【発明の詳細な説明】
ヒトT(2;5)リンパ腫に存在する特異的融合核酸及び
タンパク質、それらの検出方法及び用途
本発明で行われた研究の一部は、米国立衛生研究所(National Institute of
Health)及び米国立がん研究所(National Cancer Institute),Grant No.K08CA
01702,P01CA20180,P30CA21765の認可により政府資金の使用でなされた。発明の分野
本発明はがん診断及び療法の分野に関する。特に、本発明はヒトt(2;5)
陽性リンパ腫の検出及び治療方法に関する。発明の背景
大細胞リンパ腫は、子供及び若年者におけるすべての非ホジキンリンパ腫の約
1/4を占める。これら腫瘍の約1/3はt(2;5)(p23;q35)染色
体転座を有し(H.Stein及びF.Dallenbach,in Neoplastic Hematopathology,D.M.K
nowles,Ed.(Williams & Wilkins,Baltimore,pp.675-714(1992))、これら染色体
上における細胞がん原遺伝子の再配列がリンパ腫発生の一因であることを示唆し
ている。t(2;5)を有するリンパ腫は典型的にはリンパ節、皮膚、肺臓、軟
組織、骨及び胃腸管と関係があり、主に活性化Tリンパ球から生じる(Y.Kaneko
ら,Blood,73:806(1989);M.M,Le Beau ら,Leukemia,3:866(1989);R.Rimokhら
,Br.J.Haematol,71:31(1989);D.Y.Mason ら,Br.J.Haematol.,74:161(1990);M.
A.Bitter Am,J.Surg.Pathol.,14:305(1990);M.E.Kadin,J.Clin.Oncol.,9;533(
1991);J.P.Greer ら,J.Clin.Oncol.,9:539(1991);V.Vecchiら,Med.Pediatr.O
ncol.,21:402(1993))。悪性細胞はIL‐2レセプター及びCD30(Ki‐1
)抗原、腫瘍壊死因子リガンドファミリーの新たに記載されたメ
ンバー用のレセプターを発現する(H.Durkopら,Cell,68:421(1992);C.A.Smith
ら,Cell,73:1349(1993))。最新のキール(Kiel)リンパ腫分類によると、t(
2;5)を有するほとんどの腫瘍は退生大細胞非ホジキンリンパ腫として分類さ
れる(A.G.Stansfeldら,Lancet,1:292(1988))。
染色体異常は悪性疾患にしばしば伴う。いくつかの場合に、発がん性質のある
タンパク質についてコードする融合遺伝子を生じる特異的染色体転座が特徴付け
られている(Sawyersら,Cell,64:337-350(1991))。特異的t(2;5)転座はヒ
ト退生大細胞非ホジキンリンパ腫の顕著な特徴である。発明の要旨
ヒトt(2;5)リンパ腫で起きるt(2;5)(p23;q35)染色体転
座現象で再配列されたヒト核酸配列のクローニング及び配列決定について本明細
書では開示されている。その再配列では、染色体5q35上にある核小体リンタ
ンパク質遺伝子(NPM遺伝子)からの配列を、染色体2q23上にあるこれま
で未同定のタンパク質チロシンキナーゼ遺伝子(以下、ALK遺伝子)からの配
列に運ぶことがわかった。融合遺伝子及び融合タンパク質(以下、各々NPM/
ALK融合遺伝子又はタンパク質)の配列も開示されている。
同定されたNPM/ALK融合遺伝子の配列を利用して、本発明では:
サンプルを2種の核酸増幅プライマーと接触させる(第一核酸増幅プライマー
はNPMについてコードする核酸配列又はその相補配列とハイブリッド形成する
ことができ、第二核酸増幅プライマーはALKについてコードする核酸配列又は
その相補配列とハイブリッド形成することができる);
2種のプライマーとハイブリッド形成する、サンプル中のプライム化配列を増
幅させる;及び
NPM/ALK融合体を含有した、サンプル中の増幅核酸配列の存在を検出す
る;
ステップからなる、NPM/ALK融合配列を含む、サンプル中の核酸配列の存
在を同定する方法を提供する。
本発明は:
サンプルを2種の核酸プローブと接触させる(第一核酸プローブはNPMにつ
いてコードする核酸配列とハイブリッド形成することができ、第二核酸プローブ
はALKについてコードする核酸配列とハイブリッド形成することができる);
及び
第一及び第二核酸プローブ双方とハイブリッド形成する、サンプル中の核酸配
列の存在を検出する;
ステップからなる、NPM/ALK融合体を含む、サンプル中の核酸配列の存在
を同定する代替方法を提供する。
一方、NPM/ALK融合ジャンクションにわたる単一核酸プローブも、2つ
の別々のプローブの代わりに用いることができる。
本発明は抗体検出系に基づくNPM/ALK融合体の存在を検出する方法も更
に提供する。特に、NPM/ALK融合タンパク質はt(2;5)リンパ腫細胞
で発現されるため、融合タンパク質を同定する抗体はNPM/ALK融合タンパ
ク質の存在を検出するために使用できる。例えば、NPM/ALK融合タンパク
質は:
サンプルを2種の抗体と接触させる(第一抗体はNPMと結合することができ
、第二抗体はALKと結合することができる);及び
第一及び第二抗体双方と結合する、サンプル中のタンパク質の存在を検出する
;ことにより検出できる。
加えて、NPM/ALK融合で作られる融合タンパク質の性質のために、その
融合タンパク質と選択的に結合する単一抗体がNPM/ALK融合体を同定する
上で作製及び使用できる。
本発明は上記検出方法で用いられる試薬を含有した1以上の容器をきっちりと
収納した区画化キットを更に提供する。図面の簡単な説明
図1(パネルA‐C):(A)核型上正常なエプスタイン‐バールウイルス不
死化ヒトリンパ球細胞系(コントロール、列1、4及び7)、t(2;5)陽性
細胞系SU‐DHL‐1(列2、5及び8)及びSUP‐M2(列3、6及び9
)から作製されたDNAとp16‐3/1.3Sプローブとのサザンブロット分
析。矢じりは再配列制限断片を示す。(B)t(2;5)陰性Bリンパ様(NA
LM‐6、列2)、Tリンパ様(MOLT4、列1;CEM、列3)及び横紋菌
肉腫(Rh30、列7)形質転換細胞系並びにt(2;5)陽性系SU‐DHL
‐1、SUP‐M2及びUCONN‐L2(列4‐6)からのRNAと5′NP
M cDNA断片(最上パネル)及びNPM‐ALK cDNA(pS1.2)
の3′断片(最下パネル)とのノーザンブロット分析(pS1.2とハイブリッ
ド形成したt(2;5)陽性細胞系RNAで明白な薄い約4kbバンドは、この
プローブと28SリボソームRNAとの交差ハイブリッド形成を表す;このよう
なバンドはポリ(A)+RNAのハイブリッド形成では明白でなかった)。全R
NA 20μgが各サンプル列にのせられたが、但しRh30(ポリ(A)+8
μg)である。(C)3′NPM‐ALK cDNAプローブ(pS1.2)に
よる様々な成人及び胎児組織からのRNA〔各列ポリ(A)+2μg;クロンテ
ック(Clontech),San Diego,CA〕の分析。白丸、6.5kb ALK転写物;黒
円、8.0kb転写物;白四角、4.4kb転写物;矢じり、6.0kb転写物
。β‐アクチンcDNAプローブで得られたハイブリッド形成結果は下のパネル
で示されている。pS1.2とハイブリッド形成したパネルは6日間オートラジ
オグラフィー照射を表し、β‐アクチンハイブリッド形成は4時間照射された。
図2(パネルA‐C):(A)NPM‐ALK及び(B)融合ジャンクション
にすぐ隣接するALKの部分の演繹アミノ酸配列と、及び(C)ALKの触媒ド
メインとインスリンレセプターサブファミリーの他のチロシンキナーゼとの相同
性比較。パネルAにおいて、黒丸は可能なタンパク質キナーゼCリン酸化部位;
点下線は潜在的金属結合ドメイン;矢印はALK触媒ドメインの境界;星印は共
通ATP認識配列の保存残基及びATP結合リジン残基;実下線はチロシンキナ
ーゼに特異的な共通配列について示す。パネルBにおいて、矢印はNPM‐AL
K融合が起きる正常ALK中の位置;ボックスは推定経膜ドメインを含んだ残基
(1.5以上の疎水性)について示す。パネルCでは、チロシンキナーゼ触媒ド
メインのアミノ酸残基が並べられ、ギャップはダッシュで示されている。陰影ボ
ックスはALKのアミノ酸と同一である関連チロシンキナーゼ中の残基を示す。
すべての配列は71es(Drosophila melanogaster Sevenless)を除いてヒトタ
ンパク質に関するものである(J.J.Krolewskiら,EMBO J.,10:2911(1991);H.Toyo
shima ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,90:5404(1993);D.Martin-Zancaら,Natur
e,319:743(1986);H.Matsushimeら,Mol.Cell.Biol.,6:3000(1986);J.M.Chen
ら,Oncogene,6:257(1991);K.Baslerら,Cell,54:299(1988);D.D.Bowtell ら,G
enes and Development,2:620(1988);A.Ullrich ら,EMBO J.,5;2503(1986);A.
Ullrich ら,Nature,313:756(1985); Y.Ebina ら,Cell,40:747(1985))。
図3(パネルA‐C):(A)NPM‐ALK及びNPM RNA‐PCR産
物のサザンブロット分析。t(2;5)陽性細胞系(SU‐DHL‐1、SUP
‐M2及びUCONN‐L2;列3‐5)と診断サンプル(Pt.1‐4;列6
‐9)からの全RNA(1μg)が分析された;加えて、転座を欠くが正常AL
Kを発現するt(2;5)陰性B及びTリンパ様白血病細胞系(各々NALM‐
6及びCEM;列1、2)とRh30横紋菌肉腫細胞系(列10)からのRNA
は陰性コントロールとして含め、同様にRNAのないブランク(列11)も含め
た。(B)NPM‐ALK RNA‐PCR産物のヌクレオチド配列。単下線は
増幅に用いられるプライマーに相同的(5′末端)又は相補的(3′末端)な配
列;二重下線はサザンハイブリッド形成用のプローブとして用いられる検出オリ
ゴヌクレオチドに相同的な配列;垂直線はNPM及びALK間の融合ジャンクシ
ョンについて示す。(C)正常NPM、NPM‐ALK融合遺伝子及び正常AL
Kによりコードされるタンパク質の概略図。矢印はNPM‐ALK融合ジャンク
ションの位置とNPM及びALKでの対応位置;MBは潜在的金属結合ドメイン
;ACは酸性アミノ酸クラスター;Nは核局在化シグナル;Tmは正常ALKの
推定経膜ドメインの位置について示す。NPMリン酸化部位も示されている(黒
丸、タンパク質キナーゼC;白丸、核小体タイプIIキナーゼ;星印、cdc2キ
ナーゼ)。NPMアミノ末端における2つのタンパク質キナーゼCリン酸化部位
だけが可能性のある部位である;すべての他の部位はインビトロ又はインビボで
証明されている(M.Peterら,Cell,60:791(1990);P.K.Chanら,Biochem.J.,270:54
9(1990);R.Beckmannら,Eur.J.Biochem.,210:45(1992))。十分に特徴付けられて
いないALKの一部は点線内に示されている。発明の具体的な説明
本発明は、ヒトt(2;5)リンパ腫に伴う転座現象の結果として存在する核
酸配列(以下、NPM/ALK融合遺伝子)の同定、染色体2p23上の新規タ
ンパク質チロシンキナーゼ遺伝子(以下、ALK遺伝子及びタンパク質)の同定
、t(2;5)リンパ腫細胞中に存在する核小体リンタンパク質遺伝子(以下、
NPM)及びALK遺伝子の融合体を含んだmRNAの同定と、新規融合タンパ
ク質産物(以下、NPM/ALK融合タンパク質)についてコードするNPM/
ALK融合mRNA内にあるオープン読取枠の同定に基づいている。
これらの観察に基づいて、本発明の一態様では、部分的ALKタンパク質につ
いてコードする単離された核酸配列(Seq.ID No.1)、NPM/AL
K融合タンパク質についてコードする単離された核酸配列(Seq.ID No
.2)、単離された部分的ALKタンパク質(Seq.ID No.3)及び単
離
されたALK/NPM融合タンパク質(Seq.ID No.4)を提供する。
特に、ALKタンパク質の部分的アミノ酸配列は図2b及びc(Seq.ID
No.3)で示され、ALKについてコードする部分的核酸配列はSeq.I
D No.1で示され、NPM/ALK融合タンパク質のアミノ酸配列は図2a
(Seq.ID No.2)で示され、NPM/ALK融合ジャンクションのア
ミノ酸配列は図3b(Seq.ID No.7)で示され、NPM/ALK融合
ジャンクションについてコードする核酸配列は図3b(Seq.ID No.4
)で示されている。ALK cDNAを含むクローンはブダペスト条約の規則に
従いATCCに寄託され、ATCC69497と付された。
本発明のいずれかの核酸配列を適切なベクター中に挿入することにより、当業
者は多量の特異的配列を容易に産生することができる。一方、本発明の核酸配列
は本発明のアミノ酸配列を産生するために発現ベクター中に挿入することができ
る。
核酸配列の増殖及び/又は発現タンパク質の産生に利用しうる宿主/ベクター
系は多数ある。これらにはプラスミド及びウイルスベクターと原核及び真核宿主
があるが、それらに制限されない。当業者であれば、異種DNAを増殖又は発現
して本発明の配列を産生又は発現させうる宿主/ベクター系に容易に改変するこ
とができる。
例1において、本発明はNPM/ALK融合配列を含む核酸配列がt(2;5
)リンパ腫を有する患者に存在するという証拠を提示している。この観察に基づ
き、本発明ではサンプル中におけるNPM/ALK融合体含有核酸配列の存在に
ついてのアッセイ方法を提供し、こうしてt(2;5)リンパ腫の検出用アッセ
イを提供する。
NPM/ALK融合体を検出するために用いられる本発明のアッセイ方法の一
例は、NPM/ALK融合タンパク質についてコードする核酸配列を含有したサ
ンプル内における配列の優先的増殖に基づいている。
一般的に、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)のような増幅反応は、NPM/AL
K融合タンパク質についてコードするmRNA又はt(2;5)転座を含むゲノ
ムDNAを増幅させるために用いられる。特に、同定された融合遺伝子の配列を
利用して、本発明では:
サンプルを2種の核酸増幅プライマーと接触させる(第一核酸増幅プライマー
はNPMについてコードする核酸配列又はその相補配列とハイブリッド形成する
ことができ、第二核酸増幅プライマーはALKについてコードする核酸配列又は
その相補配列とハイブリッド形成することができる);
プライム化核酸配列をサンプルで増幅させる;及び
NPM/ALK融合配列を含むサンプル中の増幅核酸配列の存在を検出する;
ステップからなる、NPM/ALK融合配列を含むサンプル中の核酸配列の存在
を同定する方法を提供する。
本発明で用いられる増幅プライマーとは、標的配列とハイブリッド形成して、
適切な条件下で適切な試薬と共にインキュベートされたときにその標的配列を増
幅させることができる、いずれかの短いDNA配列である。例えば、Ausubel ら
,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Press(1993)参照。増幅に
は増幅させるべき領域に隣接する2種のプライマーの使用を要する。一方のプラ
イマーは標的配列とハイブリッド形成し、他方のプライマーは標的配列と相補的
な配列とハイブリッド形成する。
本発明において、一方の増幅プライマーはNPM遺伝子の配列から誘導され、
第二プライマーはALK遺伝子の配列から誘導される。NPM又はALK遺伝子
配列のいかなる断片も、選択される配列の断片がNPM/ALK融合遺伝子に存
在するかぎり、適切な増幅プライマーを作るために使用できる。例1において、
Seq.ID No.5と、Seq.ID No.6の逆相補配列がプライマー
として選択された。当業者であれば、NPM及びALK遺伝子の他の断片も同様
の結果を得るためにプライマーとして使用できることを容易に認識するであろう
。
増幅させるべき標的配列は、NPM/ALK融合タンパク質についてコードす
るmRNAでもよく、又はt(2;5)転座を含むゲノムDNAであってもよい
。熟練者であれば、適切な標的分子を含有したサンプルを作製するために当業界
で知られる技術を容易に用いることができる。
本発明で用いられる増幅プライマーは、そのプライマーが適切な条件下で標的
配列と水素結合を形成できるならば、核酸配列とハイブリッド形成できると言わ
れる。一般的に、好ましい条件は高度緊縮条件であるとして特徴付けられる。熟
練者であれば、他で記載された方法に従い適切な条件を容易に決定することがで
きる(PCR Protocols,Cold Spring Harbor Press(1991),Priviteraら,Blood,79:
1781(1992))。
本発明で用いられる増幅とは、標的配列の多数コピーを作るプロセスに関する
。様々な方法及び酵素がこの目標を達成するために利用できる。好ましい態様に
おいて、Taq‐1 DNAポリメラーゼが標的配列を増幅させるためにPCR
として知られる方法で用いられる(例1参照)。しかしながら、熟練者であれば
増幅目標が達成されるかぎりTaq‐1ポリメラーゼの代わりに他の酵素を用い
ることができる。
本発明で用いられる増幅標的配列の検出とは、所定サイズの増幅核酸配列又は
又は特定配列の存在又は不在について調べるために使用できるいずれかの方法に
関する。1つの適用において、増幅産物は増幅サンプル中に存在する様々なサイ
ズの核酸を分割するためにアガロース又はアクリルアミドゲル電気泳動に付され
る。次いで得られたゲルは、適切なサイズの核酸分子が増幅サンプル中に存在し
ているかどうかを調べるために、核酸染色剤、例えばエチジウムブロミドを用い
て視覚的に分析できる。
一方、検出できるように標識されたプローブも、サンプルが増幅配列を含有し
ているかどうかを調べるために使用できる(例1参照)。このようなプローブは
上記電気泳動に従い用いても、あるいはドットブロット又はその場でのアッセイ
法に用いてもよい。NPM/ALK融合遺伝子上における検出プローブベースの
形成については、以下で詳細に記載されている。
標的配列の増幅に依存した方法に加えて、本発明では配列増幅を要しないNP
M/ALK融合体を含む核酸を同定するための方法も更に提供する。特に、サザ
ン及びノーザンブロットハイブリッド形成の公知方法が、サンプルがNPM/A
LK核酸融合配列を含有しているかどうかを調べるために使用できる(Sambrook
ら,Molecular Cloning ed.,Spring Harbor Press(1989))。詳しくは、このよう
な融合体は:
サンプルを2種の核酸プローブと接触させる(第一核酸プローブはNPMにつ
いてコードする核酸配列とハイブリッド形成することができ、第二核酸プローブ
はALKについてコードする核酸配列とハイブリッド形成することができる);
及び
第一及び第二核酸プローブ双方とハイブリッド形成するサンプル中の核酸配列
の存在を検出する;
ことにより検出できる。
本発明の核酸プローブにはDNAとRNAプローブを含み、このようなプロー
ブは当業界で知られる技術を用いて作られる(Sambrookら,Molecular Cloning e
d.,Spring Harbor Press(1989))。熟練者は、プローブとして本明細書で記載さ
れたNPM及びALK遺伝子配列又はそれらの断片を用いて、このような公知技
術を用いることができる。
上記方法のもう1つの適用において、2つの別々なプローブとは反対に、NP
M/ALK融合体の融合領域にわたる単一核酸プローブが、サザン又はノーザン
アッセイ系で用いられる。
特に、このような方法は:
サンプルを単一核酸プローブと接触させる(核酸プローブはNPM/ALK融
合遺伝子の融合ジャンクションとハイブリッド形成することができる);及び
核酸プローブとハイブリッド形成するサンプル中の核酸配列の存在を検出する
ステップからなる。
一方、ALK、NPM又はNPM/ALK融合配列のいずれかに基づく単一プ
ローブも考えられる。このようなプローブはNPM又はALKの制限酵素断片に
相当しており、そのサイズは再配列の結果として異なる(制限断片多型、RFL
P分析)。
当業界で知られるいかなる方法も、上記アッセイ法で用いられるプローブを標
識するために利用できる。2プローブ態様において、第一及び第二プローブは異
なるラジオアイソトープ、酵素又は発色団で標識できる。異なる標識プローブを
用いて、一方又は双方のプローブと結合するDNA配列を同定することができる
。もう1つの適用では、第一及び第二プローブは、それらのプローブが同一の核
酸断片とハイブリッド形成するとシグナルが発せられるように標識できる。この
ような操作は米国特許第4,820,630号明細書で記載されている。
上記方法の1適用において、一方の核酸プローブは固体支持体に固定される。
このような固体支持体の例には、ポリカーボネートのようなプラスチック、アガ
ロース及びセファロースのような複合炭水化物と、ポリアクリルアミド及びラテ
ックスビーズのようなアクリル樹脂があるが、それらに制限されない。核酸プロ
ーブをこのような固体支持体にカップリングさせる技術は当業界で周知である。
本発明の検出方法で用いられるサンプルには細胞又は組織、タンパク質、膜あ
るいは細胞又は組織の核酸抽出物と、血液、血清及び血漿のような生物学的流体
があるが、それらに制限されない。上記方法で用いられるサンプルは、アッセイ
フォーマット、検出方法の性質と、サンプルとして用いられる組織、細胞又は抽
出物に基づいて変わる。タンパク質抽出物、膜抽出物又は細胞の核酸抽出物の作
製方法は当業界で周知であり、利用される方法と適合するサンプルを得るため容
易に改変することができる。
本発明で利用されるサンプルの1つの好ましいタイプは、単離されたリンパ腫
細胞から誘導される。このような細胞は適切な抽出物を作製するために使用して
も、又はその場での分析に基づく操作に用いてもよい。その場での分析の例は蛍
光現場ハイブリッド形成(FISH)と称され、例1と Selleriら,PNAS,88:887
-891(1991)及び Tkachukら,Science,250:559-562(1990)で詳細に記載されている
。
本発明は、特異的抗原と選択的に結合する抗体の能力に依存したNPM/AL
K融合体の検出方法も更に提供する。
一態様において、NPM/ALK融合タンパク質は2組の抗体を用いて検出さ
れ、1組はNPMタンパク質と結合できる抗体からなり、他の組はALKタンパ
ク質と結合できる抗体からなる。
特に、このような方法は:
サンプルを2種の抗体と接触させる(第一抗体はNPMと結合することができ
、第二抗体はALKと結合することができる);及び
第一及び第二抗体双方と結合するサンプル中のタンパク質の存在を検出する;
ステップからなる。
上記方法で利用される抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体と、こ
れら抗体の断片である。一般的に、モノクローナル抗体の作製技術は当業界で周
知である(Campbell,A.M.,′Monoclonal Antibody Technology: Laboratory Tec
hniques in Biochemistry and Molecular Biology″,Elsevier Science Publish
ers,Amsterdam,The Netherlands(1984);St.Grothら,J.Immunol.Methods,35:1
-21(1980))。例えば、NPM又はALKタンパク質と結合できる
抗体は、配列がNPM/ALK融合タンパク質中に存在するNPM又はALKタ
ンパク質の領域から得られるポリペプチドで動物を免疫することにより作製でき
る。
抗体を産生することが知られているいかなる動物(マウス、ウサギ等)も、望
ましい特異性のある抗体を産生するために利用できる。免疫方法は当業界で周知
である。このような方法にはポリペプチドの皮下又は腹腔内注射がある。当業者
であれば、免疫に用いられるポリペプチドの量が免疫される動物、選択されたポ
リペプチドの抗原性及び注射の部位に基づき変わることを認識するであろう。ポ
リペプチドは、ペプチド抗原性を増加させるために、修飾しても又はアジュバン
トで投与してもよい。ポリペプチドの抗原性を増加させる方法は当業界で周知で
ある。このような操作には、抗原を異種タンパク質(例えばグロブリン又はβ‐
ガラクトシダーゼ)とカップリングさせること、又は免疫中アジュバントの含有
がある。 モノクローナル抗体を作る場合、免疫動物から脾臓細胞が摘出され、
SP2/0‐Ag14ミエローマ細胞のようなミエローマ細胞と融合されて、ハ
イブリドーマ細胞産生モノクローナル抗体とされる。
当業界で周知ないくつかの方法のうちいずれか1つが、望ましい特性のある抗
体を産生するハイブリドーマ細胞を同定するために使用できる。これらにはEL
ISAアッセイ、ウェスタンブロット分析又はラジオイムノアッセイによるハイ
ブリドーマのスクリーニングがある(Lutzら,Exp.Cell Res.,175:109-124(1988)
)。
望ましい抗体を分泌するハイブリドーマがクローニングされ、クラス及びサブ
クラスが当業界で公知の操作を用いて決定される(Campbell,A.M.,Monoclonal A
ntibody Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular
Biology,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1984))。
ポリクローナル抗体の場合、抗体含有抗血清が免疫動物から単離され、上記操
作の1つを用いて望ましい特異性のある抗体の存在についてスクリーニングされ
る。
試験サンプルと共に抗体をインキュベートするための条件は様々である。イン
キュベート条件は、アッセイに用いられるフォーマット、用いられる検出方法、
試験サンプルの性質と、アッセイに用いられる抗体のタイプ及び性質に依存して
いる。当業者であれば、一般に利用できる免疫学的アッセイフォーマット(例え
ば、ラジオイムノアッセイ、酵素結合イムノソルベントアッセイ、拡散ベースの
オクタロニー又はロケット免疫蛍光アッセイ)のうちいずれか1つが本発明の抗
体を用いるため容易に改変できることを認識するであろう。このようなアッセイ
の例は、Chard,T.,″An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techn
iques″,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1986);Bu
llock,G.R.ら,″Techniques in Immunocytochemistry″,Academic Press,Orland
o,FL,Vol.1(1982),Vol.2(1983),Vol.3(1985);Tijssen,P.,″Practice and Theo
ry of Enzyme Immunoassays: Laboratory Techniques in Biochemistry and Mol
ecular Biology″,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1
986)でみられる。
上記方法の一態様において、抗NPM抗体又は抗ALK抗体が固体支持体上に
固定される。このような固体支持体の例には、ポリカーボネートのようなプラス
チック、アガロース及びセファロースのような複合炭水化物と、ポリアクリルア
ミド及びラテックスビーズのようなアクリル樹脂があるが、それらに制限されな
い。抗体をこのような固体支持体にカップリングさせる技術は当業界で周知であ
る(Weir,D.M.ら,″Handbook of Experimental lmmunology″,4th Ed.,Blackwell
Scientific Publications,Oxford,England,Chapter 10(1986),Jacoby,W.D.ら,
Meth.Enzym.,34,Academic Press,N.Y.(1974))。
加えて、上記方法で用いられる抗体の1種以上は使用前に検出可能に標識する
ことができる。抗体はラジオアイソトープ、親和性標識(例えば、ビオチン、ア
ビジン等)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスフ
ァターゼ等)、蛍光標識(例えば、FITC又はローダミン等)、常磁性原子等
の使用で検出可能に標識することができる。このような標識を行うための操作は
当業界で周知であり、例えばSternberger,L.A.ら,J.Histochem.Cytochem.,18:31
5(1970);Bayer,E.A.ら,Meth.Enzym.,62:308(1979);Engval,E.ら,Imnunol.,
109:129(1972);Goding,J.W.,J.Immunol.Meth.,13:215(1976)参照。
上記方法のもう1つの例において、抗体は2種の抗体が同一の分子と結合する
ときにシグナルが発せられるように標識される。1つのこのような系は米国特許
第4,663,278号明細書で記載されている。
抗体ベース検出系のもう1つの態様では、NPM/ALK融合タンパク質の融
合ジャンクションに存在するが、非融合NPM又はALKタンパク質に存在しな
いエピトープと結合することができる単一抗体が用いられる。NPM/ALK融
合タンパク質の融合ジャンクションは図3bに記載されている。熟練者であれば
、上記抗体作製方法で有用なペプチド抗原を作るために、融合ジャンクションの
アミノ酸配列を容易に用いることができる。
上記アッセイ方法(核酸及びタンパク質ベース双方)で用いられる物質はキッ
トの製造に申し分なく適している。例えば、増幅ベース検出系の場合、本発明で
は:
(a)本発明の増幅プライマーの1種以上を含有した第一容器;及び
(b)下記のうち1種以上を含有した1以上の他の容器:サンプルリザーバー、
増幅試薬、洗浄試薬及び検出試薬;
からなる1以上の容器をきっちりと収納した区画化キットを提供する。
抗体ベース検出系の場合、本発明では:
a)NPMと結合できる抗体を含有した第一容器;
b)ALKと結合できる抗体を含有した第二容器;及び
c)下記のうち1種以上を含有した1以上の他の容器:洗浄試薬、及び第一及び
第二容器からの結合抗体の存在を検出できる試薬;
からなる1以上の容器をきっちりと収納した区画化キットを提供する。
本発明では:
a)NPM/ALK融合タンパク質の融合ジャンクションに存在するが、2種の
非融合タンパク質のいずれにも存在しないエピトープと結合することができる抗
体を含有した第一容器;及び
b)下記のうち1種以上を含有した1以上の他の容器:洗浄試薬、及び第一容器
からの結合抗体の存在を検出できる試薬;
からなる1以上の容器をきっちりと収納した区画化キットを更に提供する。
詳しくは、区画化キットには試薬が別々の容器に入れられたあらゆるキットが
ある。このような容器には小さなガラス容器、プラスチック容器、あるいはプラ
スチック又は紙のストリップがある。このような容器によれば、サンプル及び試
薬が交差汚染されず、各容器の薬剤又は溶液が区画毎に定量的に添加できるよう
に、区画毎に効率的に試薬を移すことができる。このような容器には、試験サン
プルを入れる容器、アッセイで用いられる抗体又はプローブを含む容器、洗浄試
薬(例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等)を含む容器と、結合抗体又はハイ
ブリット化プローブを検出するために用いられる試薬を含む容器がある。
核酸プローブの場合、検出試薬の例には放射性標識プローブ、酵素標識プロー
ブ(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)及び親和性標識プ
ローブ(ビオチン、アビジン又はストレプトアビジン)があるが、それらに制限
されない。抗体の場合、検出試薬の例には標識第二抗体、あるいは代わりに第一
抗体が標識されているならば、その標識抗体と反応できる発色、酵素又は抗体結
合試薬があるが、それらに制限されない。当業者であれば、本発明で記載された
抗体及び核酸プローブが当業界で周知の確立されたキットフォーマットの1つの
中に容易に配合できることを容易に認識するであろう。
本発明にはNPM/ALK融合タンパク質を発現する細胞を選択的に殺す方法
も更に含む。詳しくは、このような方法ではNPM/ALK融合タンパク質を発
現する細胞を毒素誘導抗体と接触させるが、その抗体は融合タンパク質と結合で
きるが、非融合NPM又はALKタンパク質と結合できない。このような抗体の
例は、Seq.ID No.2の融合ジャンクションと結合する毒素誘導抗体で
ある。
本発明で用いられる抗体は、抗体が毒素部分と共有結合されたときに“毒素誘
導”であると言われる。このような部分を分子にカップリングさせる操作は当業
界で周知である。
毒素誘導抗体と細胞との結合性は毒素部分を細胞近くに運んで、それにより細
胞死を促進させる。このような抗体分子を哺乳動物に与えることにより、融合タ
ンパク質を発現する細胞が優先的に殺せる。
いかなる適切な毒素部分も用いてよい;しかしながら、例えばリシン毒素、コ
レラ毒素、ジフテリア毒素、ラジオアイソトープ毒素又は膜チャンネル形成毒素
のような毒素を用いることが好ましい。
本発明の抗体は静脈内、筋肉内、皮下、経腸、局所又は非経口で哺乳動物に投
与される。注射により抗体又はペプチドを投与するとき、投与は連続注射による
かあるいは単回又は多数回注射による。
本発明の抗体は“治療上有効な”十分な量で“薬学上許容される形”でレシピ
エント哺乳動物に与えられる。量は、剤の投与量、投与経路等がNPM/ALK
融合タンパク質を発現する細胞の一部を優先的に殺す上で十分であるならば、治
療上有効であると言われる。抗体は、その投与がレシピエント患者により許容で
きるならば、“薬理上許容される形”であると言われる。本発明の抗体は薬学上
有用な組成物を製造する公知方法に従い処方でき、それによりこれらの物質又は
それらの機能性誘導体が製薬上許容されるキャリアビヒクルと組み合わされる。
他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含めて、適切なビヒクル及び
それらの処方は、例えばRemington′s Pharmaceutical Sciences(16th ed.,Osol
,A.,Ed.,Mack,Easton PA(1980))で記載されている。有効な投与に適した薬学上
許容される組成物を形成するために、このような組成物は適量のキャリアと一緒
に本発明の抗体の有効量を含有する。キャリアに加えて、本発明の抗体はヒト化
形で供給してもよい。
ヒト化抗体は、例えば抗体の免疫原部分を対応する非免疫原部分と置き換える
ことにより産生してもよい(即ち、キメラ抗体)(Robinson,R.R.らの国際特許
出願PCT/US86/02269;Akira.K.らの欧州特許出願184,187
;Taniguchi.M.の欧州特許出願171,496;Morrison,S.L.らの欧州特許出
願173,494;Neuberger,M.S.らのPCT出願WO86/01533;Cabi
lly.S.らの欧州特許出願125,023;Better,M.ら,Science,240:1041-1043
(1988);Liu,A.Y.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:3439-3443(1987);Liu,A.Y.ら
,J.Immunol.,139:3521-3526(1987);Sun,L.K.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:2
14-218(1987);Nishimura,Y.ら,Canc.Res.,47:999-1005(1987);Wood,C.R.ら,Na
ture,314446-449(1985);Shawら,J.Natl.Cancer Inst.,80:1553-1559(1988))
。
患者に毒素誘導抗体を与える場合、投与剤の用量は患者の年齢、体重、身長、
性別、一般的医学的状態、過去の病歴等のようなファクターに応じて変わる。一
般的に、約1pg/kg〜10mg/kg(患者の体重)の範囲内である用量の抗体をレシ
ピエントに与えることが望ましいが、それより低い又は高い用量でも投与してよ
い。
本発明のもう1つの態様では、細胞中でNPM/ALK融合タンパク質につい
てコードするRNAの翻訳を調節する方法が提供される。特に、このような方法
ではNPM/ALK融合タンパク質についてコードするmRNAと相補的なRN
Aを転写することができるDNA配列を細胞中に導入する。このようなDNA配
列を細胞中に導入することにより、ハイブリッド形成してNPM/ALK融合タ
ンパク質の翻訳を阻止するアンチセンスRNAが産生される。アンチセンスクロ
ーニングは他にもMethisら,Blood,82:1395-1401(1993);Stein ら,Science,261
:1004-1012(1993);Mirabella ら,Anti-Cancer Drug Design,6:647-661(1991);
Rosenberg ら,Nature,313:703-706(1985);Preissら,Nature,313:27-32(1985
);Melton,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:144-148(1985);Kim ら,Cell,42:129-13
8(1985)で更に詳細に記載されている。
導入されたDNAの転写により、アンチセンスRNAの多数コピーが作られる
。アンチセンスRNAの転写レベルと、プロモーター選択による発現の組織特異
性又はアンチセンス発現配列の遺伝子標的化をコントロールすることにより、当
業者は患者内の特定細胞でNPM/ALK融合タンパク質の翻訳レベルを調節す
ることができる。
NPM/ALK融合タンパク質の発現レベルは、リボザイム技術の使用によっ
てもコントロールできる(例えば、Shore ら,Oncogen,8:3183-3188(1993);Sarv
erら,Science,247:1222-1225(1990);Cech,T.,JAMA,260:303-3034(1988)参照)
。詳しくは、公知操作を用いて、NPM/ALK融合mRNAに特異的なリボザ
イムが作られて細胞内に供給されるか又はその中で発現される。リボザイムの供
給又は発現により、NPM/ALK融合体についてコードするmRNAを開裂さ
せる。
本発明のもう1つの態様では、本明細書で記載されたNPM/ALK融合タン
パク質と結合できる作用物質(agents)を同定するための方法が提供される。
詳しくは、このような方法は:
(a)作用物質をNPM/ALK融合タンパク質又はその断片と接触させる;及
び
(b)作用物質が融合タンパク質と結合するかどうかを調べる
ことからなる。
この方法を用いて、NPM/ALK融合タンパク質の活性を調節するために使
用できる作用物質が同定される。
本発明のもう1つの態様では、本明細書で記載されたALK融合体と結合でき
る作用物質を同定するための方法が提供される。
詳しくは、このような方法は:
(a)作用物質をALKタンパク質又はその断片と接触させる;及び
(b)作用物質がALKタンパク質と結合するかどうかを調べる
ことからなる。
この方法を用いて、ALKタンパク質の活性を調節するために使用できる作用
物質が同定される。加えて、この方法はALKタンパク質のリガンドを同定する
ために使用できる。
ALKの作動剤、拮抗剤及びリガンドを単離するために、過度な実験の必要性
なしに熟練者により使用できる、上記アッセイの様々なバリエーションがある。
例えば、抗体はALK結合剤を共沈させて精製及び同定を助けるために使用でき
る。加えて、ALKタンパク質又はALKの活性部位を含む断片は、ALKと結
合するタンパク質についてコードする遺伝子の発現ライブラリーをスクリーニン
グするために使用できる。更に、表面でALKを発現する細胞は、単離されたA
LKタンパク質を用いる代わりとして使用できる。
上記アッセイでスクリーニングされる物質はペプチド、炭水化物又はビタミン
誘導体であるが、それらに制限されない。その物質はランダムに選択及びスクリ
ーニングしても、あるいは合理的にタンパク質モデリング技術を用いて選択又は
デザインしてもよい。ランダムスクリーニングの場合、ペプチド又は炭水化物の
ような物質はランダムに選択され、偽遺伝子ペプチドと結合するそれらの能力に
ついて調べられる。一方、物質は合理的に選択又はデザインしてもよい。本発明
で用いられる物質は、その物質が偽遺伝子ペプチドの配置に基づき選択されると
き、“合理的に選択又はデザインされた”と言われる。例えば、当業者であれば
、合理的にデザインされた抗ペプチドペプチドを作るために、特異的ペプチド配
列と結合しうるペプチドを作る現行操作を容易に改変することができる。例えば
Hurby ら,Application of Synthetic Peptides: Antisense Peptides″,In Synt
hetic Peptides,A User′s Guide,W.H.Freeman,NY,pp.289-307(1992)と、Kaspcz
akら,Biochemistry,28:9230-8(1989)参照。
上記操作を用いて、本発明では:
(a)その作用物質をNPM/ALK融合タンパク質又はその断片と接触させる
;及び
(b)上記作用物質が上記NPM/ALK融合タンパク質と結合するかどうかを
調べる
ステップにより産生される、NPM/ALK融合タンパク質と結合できる作用物
質を提供する。
上記操作を用いて、本発明では:
(a)その作用物質をALKタンパク質又はその断片と接触させる;及び
(b)上記作用物質が上記ALKタンパク質と結合するかどうかを調べる
ステップにより産生される、ALKタンパク質と結合できる作用物質を提供する
。
本発明ではNPM/ALK遺伝子融合体及び/又はALK遺伝子を含むトラン
スジェニック動物を作製する方法も更に提供する。このような動物はヒトt(2
;5)リンパ腫とALK機能及び活性研究用の動物モデルとして有用である。
一般的に、トランスジェニック動物の作製方法も当業界で周知である(例えば
、
Grosveldら,Transgenic Animals,Academic Press Ltd.,San Diego,CA(1992)参照
)。NPM/ALK融合体又はALKタンパク質について本明細書で開示された
配列を用いて、熟練者であればNPM/ALK融合タンパク質及び/又はALK
タンパク質を含む及び発現するトランスジェニック動物を容易に作製することが
できる。NPM/ALK融合体を発現するトランスジェニック動物(例えばマウ
ス及びブタ)はヒトt(2;5)リンパ腫用の動物用モデルとして使用できる。
ALKタンパク質を発現するトランスジェニック動物は、ALK機能及び活性を
研究する上で有用である。このような動物はt(2;5)リンパ腫に関する代替
療法の開発用モデルとして使える。
ヒトALK遺伝子又はNPM/ALK融合遺伝子を含むように変えられたトラ
ンスジェニック非ヒト哺乳動物に加えて、本発明ではALK遺伝子の正常非ヒト
哺乳動物相同体の発現を“ノックアウトする”ように変えられた非ヒトトランス
ジェニック哺乳動物を更に提供する。特にその他で記載された遺伝子標的化操作
を用いて、熟練者は非ヒト哺乳動物で相同的遺伝子を不活化(ノックアウト)す
るために本発明のALK遺伝子を用いることができる(Mansourら,Nature,336:34
8-352(1988))。“ノックアウト”操作はいくつかの哺乳動物系でうまく用いられ
てきた。例えばLui ら,Cell,75:59-72(1993)参照。ALK遺伝子の高度の保存性
のために、ヒトALK配列は標準ノックアウト操作で非ヒト哺乳動物に用いるこ
とができる。
本発明で一般的に記載されてきたが、物質とそれを得る方法は下記例を参考に
すると更に容易に理解されるようになり、例は説明のために示されていて、それ
らは指摘されないかぎり本発明の制限ではないと考えられる。
例1
t(2;5)により変えられた遺伝子をクローニングするために、我々は局所
的に誘導されたコスミドクローンの蛍光現場ハイブリッド形成(FISH)順序
に基づく位置的戦法を用いた。(分子的に特徴付けられた白血病及びリンパ腫関
連染色体転座の大部分とは対照的に、t(2;5)は免疫グロブリン又はT細胞
レセプター遺伝子だけでなく、ブレークポイント領域に前に局在していた他のク
ローン化遺伝子も含まない。このため、染色体5でブレークポイントを同定する
ために、我々はバンド5q34‐q35から微切裂クローンを単離して、39の
コスミドクローンを同定するためにそれらを用い(D.Saltmanら,Nucleic Acids R
es.,20:1401(1992))、その後SUP‐M2及びSU‐DHL‐1 t(2;5)
陽性細胞系からの中期染色体のFISH分析によりブレークポイントに対する向
きを定めた(R.Morganら,Blood,73:2155(1989))。17のクローンはブレークポ
イントに対してセントロメア、22のクローンはテロメアに位置し、これらグル
ープからのクローンは2色中期FISH分析により互いに比較して向きを定めた
。FISHは既に記載されたように行った(S.Morrisら,Blood,78:2013(1991);
D.Saltman ら,Genomics,16;726(1993))。cos47C12(セントロメア)及
びcos191E7(テロメア)と称されるブレークポイントに最も近く隣接す
る2つのコスミド間の推定ゲノム距離は、正常染色体5を含む細胞で間期FIS
H分析によると290kbであった(J.Lawrenceら,Science,249:928(1990);B.
Trask ら,Am.J.Hum.Genet.,48:1(1991))。染色体5ブレークポイントへのそれ
らの近接にもかかわらず、これらのコスミドから作製されたプローブは、t(2
;5)含有細胞系のDNAから作製されたパルスフィールドゲルのサザンブロッ
ト分析で再配列制限断片を検出しなかった。)
二方向染色体歩行を染色体5上のブレークポイントに約290kb離れて隣接
するコスミドから行った;各歩行は150kbのゲノム領域にわたった。テロメ
アコスミドから70kb離れたゲノムプローブを用いて、我々はt(2;5)含
有細胞系2つのDNAで再配列制限断片を検出した(図1A)。(テロメア隣接
クローンからブレークポイント方向に約70kbのところで、我々はt(2;5
)
陽性細胞系からのDNAのサザンブロット分析で多数の酵素により再配列断片を
同定する染色体5‐特異性ゲノムプローブ(p16‐3/1.2S及びp21‐
3/3E)を単離した。ゲノム断片p16‐3/1.2Sは染色体5ブレークポ
イントのすぐセントロメア側に位置し、p21‐3/3Eはブレークのちょうど
テロメア側にある。双方のプローブはt(2;5)陽性及び陰性細胞系から作製
されたRNAのノーザン分析で1.6kb転写物を同定した;加えて、p16‐
3/1.2Sはt(2;5)陽性RNAのみにみられる2.4kb転写物とハイ
ブリッド形成した。)
一方のプローブ(p21‐3/3E)は、t(2;5)を欠くUOC‐B1
pro‐B白血病細胞系のポリアデニル化RNAから作製されたcDNAライブ
ラリーとハイブリッド形成した。ヌクレオホスミン(NPM;B23又はヌマト
リンとしても知られる)‐リボソームアセンブリーの後期段階において核小体及
び細胞質間でリボソーム成分を運ぶ高度保存核小体リンタンパク質(W.Y.Chanら
,Biochemistry,28:1033(1989);R.A.Borer ら,Cell,56:379(1989))についてコ
ードすることが配列分析により予測された偏在発現1.6kb mRNAとハイ
ブリッド形成する多数のcDNAクローンを単離した。NPM cDNAの5′
末端からのサブクローンを用いて、t(2;5)を含む又は含まない細胞系から
作製されたRNAのブロービングにより、正常NPM転写物とt(2;5)陽性
細胞系に限定される2.4kb転写物双方を同定した(図1B、最上)。3′非
翻訳配列含有サブクローンは正常1.6kb NPM転写物のみを検出した(示
さず)。
SU‐DHL‐1 t(2;5)含有細胞系のmRNAから作製されたcDN
Aライブラリーをスクリーニングすることにより、我々は3′ではなく5′NP
Mプローブとハイブリッド形成する20以上のクローンを単離した。3つの最長
クローンの5′末端からの配列は5′NPM cDNA配列と同一であったが、
Val117のコドン後に異なる。このコドンの3′側NPM配列を1223ヌク
レオチドで置き換えて、1575ヌクレオチドのオープン読取枠を得た(図2A
)。融合cDNA(pS1.2)の3′末端から作製されたプローブは、t(2
;5)陽性細胞からのRNAにおいて5′NPMプローブで検出された同様の2
.4kb転写物を同定した(図1B、最下)。この断片は、ヒトxげっ歯類体細
胞ハイブリッドのDNAとのハイブリッド形成及び中期FISH分析によると、
染色体2のバンドp23に局在しており(示さず)、2.4kb mRNAがt
(2;5)により作られた融合遺伝子によりコードされていることを示している
。
キメラt(2;5)cDNAの3′部分は、タンパク質‐チロシンキナーゼ(
PTK)遺伝子ファミリーのメンバーの触媒ドメインに特徴的な保存残基につい
てコードしている(S.K.Hanksら,Science,241:42(1988);S.S.Taylorら,Annu.Re
v.Cell Biol.,8:429(1992))(図2A及びC)。この新たに同定された退生リン
パ腫キナーゼ(ALK)(NPM及びALKは承認されたHGM遺伝子シンボル
である(P.McAlpine,personal communication))と公知PTKファミリーメンバ
ーとの比較では、白血球チロシンキナーゼ(LTK;64%アミノ酸同一率)、
TRKA(38%)、ROS(37%)及びそのDrosophila相同性Sevenless(
35%)、インスリン様増殖因子‐1レセプターのβ‐鎖(IGFIR;37%
)とインスリンレセプターのβ‐鎖(IR;36%)を含めて、インスリンレセ
プターキナーゼサブファミリーのメンバーと最大の相同性を示した(J.J.Krolews
kiら,EMBO J.,10:2911(1991);H.Toyoshima ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,90:
5404(1993);D.Martin-Zancaら,Nature,319:743(1986);H.Matsushimeら,Mol.Ce
ll.Biol.,6:3000(1986);J.M.Chenら,Oncogene,6:257(1991);K.Baslerら,Cell,
5:299(1988);D.D.Bowtell ら,Genes and Development,2:620(1988);A.Ullrich
ら,EMBO J.,5:2503(1986);A.Ullrich
ら,Nature,313:756(1985);Y.Ebina ら,Cell,40:747(1985))。
正常ALKタンパク質の構造は、pS1.2ALKプローブを用いて、横紋筋
肉腫細胞系(Rh30)から作製されたcDNAライブラリーをスクリーニング
することで調べた。2つの最大クローンpRMS4及びpRMS17‐2のイン
サートの分析では融合遺伝子cDNAの場合と同一の3′ALK配列を示し、変
異がキメラタンパク質で起きなかったことを示している。NPM‐ALKジャン
クションのすぐ上流にあるALKの配列は経膜ドメインに典型的な23疎水性ア
ミノ酸についてコードし(図2B)、ALKクローンの最5′末端からのものは
インスリン様増殖因子結合タンパク質‐1(IBP‐1)(IBP‐1は、高度
親和性のあるインスリン様増殖因子‐1(IGF1)と結合する、ヒト血漿及び
羊水中でみられる30kDa分泌タンパク質である)についてコードする配列と
50%同一であった(A.Brinkmanら,EMBO J.,7:2417(1988);Y.L.Lee ら,Mol.E
ndocrinol.,2:404(1988);M.Julkunenら,FEBS Lett.,236:295(1988))。これら
の比較では、正常ALK産物が膜スパニングチロシンキナーゼレセプターである
ことを示している。重要なことに、経膜セグメント及び推定細胞外リガンド結合
ドメインはNPM‐ALKキメラタンパク質に含まれていない。
6.5kb及び8.0kbのALK mRNAは小腸及び横紋筋肉腫細胞系で
容易に同定され、脳(胎児及び成人)、結腸及び前立腺で弱く発現された(図1
、B(下)及びC)。豊富な量の4.4kb及び6.0kb mRNAは精巣で
検出され、胎盤及び胎児肺臓では各々単一6.0kb転写物を発現した。全部で
4種のmRNAも3′非翻訳ALK配列のみを含むプローブで検出され、それら
が他のPTK遺伝子の交差ハイブリッド形成転写物ではなく、別にスプライスさ
れたALK mRNAを表すことを示唆している。ALK転写物は正常脾臓、胸
腺、末梢血白血球、B‐リンパ芽球様細胞系、フィトヘマグルチニン刺激Tリン
パ球、あるいは骨髄様又はBもしくはTリンパ様源のt(2;5)陰性白血病/
リンパ
腫細胞系で検出されず、それらが造血細胞で正常には発現されないことを意味し
ている。
FISH地図作成では、NPM及びALKが各々染色体5及び2でセントロメ
アからテロメア方向に転写されて、2.4kb融合転写物が誘導5転座染色体か
ら生じることを示した。ノーザンブロット分析では、誘導2染色体から形成させ
ることができた、相互ALK‐NPMキメラ転写物の発現に関する証拠を与えな
かった。
RNAベースポリメラーゼ鎖反応(RNA‐PCR)法では、t(2;5)保
有リンパ腫で発現されるキメラ転写物において融合ジャンクションの特異性を確
認した(図3、A及びB)。(RNA‐PCRはE.Privitera ら,Blood,79:1781
(1992)で既に記載されたように行った。反応は、キメラNPM‐ALK転写物に
特異的なオリゴヌクレオチドプライマー(図3B参照)と、逆転写及び増幅用の
コントロールとして偏在発現NPM遺伝子から誘導されたプライマーペアとで同
時に行った。3′NPMプライマー(5′‐GCTACCACCTCC AGG
GGCAGA‐3′(Seq.ID No.8))をコントロール増幅のため図
3Bで示されたNPMプライマーと共に用い、185bp NPM産物を融合ジ
ャンクションが起きる領域からの正常NPM配列と相同的な末端標識オリゴヌク
レオチド(5′‐AGCACTTAGTAGCTGTGGAGGAAG‐3′(
Seq.ID No.9))とのハイブリッド形成により検出した。NPM‐A
LK融合RNA‐PCR産物は融合ジャンクションにわたる末端標識オリゴヌク
レオチド(5′‐AGCACTTAGTAGTGTACCGCCGGA‐3′)
(Seq.ID No.10)で検出した。緊縮ハイブリッド形成後洗浄はNP
M‐ALK及びNPM検出オリゴヌクレオチド双方について2×SSC/0.1
%SDSで62℃にて行った。)
逆に、融合転写物は、ALK転写物を発現するいくつかの横紋筋肉腫系を含め
た、t(2;5)を欠く細胞系で検出されなかった。NPM‐ALKジャンクシ
ョン配列は、SU‐DHL‐1、SUP‐M2及びUCONN‐L2細胞系を含
めた7つ全部のt(2;5)陽性サンプルと、退生大細胞リンパ腫の患者4例か
らの診断サンプルとのRNAでみられた。(患者サンプル(リンパ節生検3例、
胸膜滲出液1例)は各々t(2;5)保有リンパ腫細胞を含有することが細胞遺
伝子分析により示された。患者2及び4の細胞からのRNA‐PCR産物の配列
を配列決定したところ、SU‐DHL‐1細胞系から得られたcDNA配列と同
一であることがわかった(図3B)。文書によるインフォームドコンセントが患
者から得られ、研究はSt.Jude Children′s Research Hospitalの臨床試験検討
委員会により承認された。)
したがって、2;5転座のブレークポイントはNPM及びALK遺伝子の同一
のイントロンを一致して含んでいるらしく、融合遺伝子から生じるスプライスさ
れたmRNAで同一ジャンクションとなる。リンパ腫生検サンプルの細胞遺伝子
分析における困難性のために、RNA‐PCRによるNPM‐ALK融合mRN
Aの分子検出はこれら腫瘍の同定を著しく改善することになる。
退生大細胞リンパ腫におけるt(2;5)の頻度は、NPM‐ALK産物がこ
れら新生物の病原性に重要な役割を有することを示している。正常NPMタンパ
ク質は、大小双方のリボソームサブユニットへのプレリボソーム粒子のアセンブ
リーに関与する、非リボソーム核小体リンタンパク質である(W.Y.Chanら,Bioch
emistry,28:1033(1989);R.A.Borer ら,Cell,56:379(1989);M.S.Schmidt-Zac
hmannら,EMBO J.,6:1881(1987);M.S.Schmidt-Zachmannら,Chromosoma.,96:417
(1988);D.Hernandez-Verdun,J.Cell.Sci.,99:465(1991))。それは一本鎖核
酸と高親和性で協力的に結合し、RNAヘリックス不安定化活性を示し、ほとん
どの成熟核小体プレリボソームリボ核タンパク質と共にみられる(T.S.Dumbarら,
Biochemistry,28:9495(1989))。NPM転写物及びタ
ンパク質の相対的豊富さは細胞サイクル調節される。NPM転写及び翻訳はS期
に細胞が入る直前にピークに達し、G2期の開始直前にベースラインまで下降す
る(N.Feuersteinら,J.Immunol.,139:1818(1987);N.Feuersteinら,J.Biol.Chem
.,262;11389(1987);N.Feuersteinら,J.Biol.Chem.,263;10608(1988);N.Feue
rsteinら,J.Cell Biol.,107:1629(1988);N.Feuersteinら,Exp.Cell Res.,194:2
89(1991))。
NPMの公知構造ドメインのほとんどについてコードする配列は融合転写物中
に取り込まれていない(W.Y.Chanら,Biochemistry,28:1033(1989);R.A.Borer
ら,Cell,56:379(1989);M.Peter ら,Cell,60:791(1990);P.K.Chanら,Biochem.J
.,270:549(1990);R.Beckmannら,Eur.J.Biochem.,210:45(1992))(図3C)。
我々は、NPM遺伝子がt(2;5)を含むリンパ腫細胞でALK触媒ドメイン
を発現させる上で活性プロモーターに関与しているとみている。NPMのこの役
割は重要であるように思え、ALKプロモーターはリンパ様細胞で通常休止して
いる。もしあるにしても、潜在的タンパク質キナーゼCリン酸化部位(Ser43
及びThr78)及び潜在的C‐X5‐H‐X4‐H金属結合モチーフ(残基104
‐115)についてコードするものを含めて、NPM‐ALK中に組み込まれた
アミノ末端NPMコード配列に関する発がん役割は確定されている。
悪性形質転換への異常活性化レセプターチロシンキナーゼの関与はよく認識さ
れている(J.Schlessingerら,Neuron,9:383(1992);T.Pawson,Curr.Opin.Gen.De
v.,2:4(1992))。例えば、TRKAの悪性活性化はNPM‐ALKと類似した遺
伝子融合体から生じることがあり、その場合に酵素の細胞外ドメインは、非筋肉
トロポミオシン及びリボソームタンパク質L7aの場合を含めて、他の遺伝子に
よりコードされるアミノ酸で置き換えられる(D.Martin-Zancaら,Nature,319:74
3(1986);F.Coulier ら,Mol.Cell.Biol.,9:15(1989);R.Oskam ら,Proc.Natl.
Acad.Sci.U.S.A.,85:2964(1988);S.C.Kozma ら,EMBO J.,7:147(1988);A.Ziemi
ecki ら,EMBO J.,9:191(1990))。発がん性TRKA融合タンパク質と、BCR
‐ABL、EGFR、HER2/NEU及びCSF‐1Rを含めた他のチロシン
キナーゼがん遺伝子の一致した特徴は、それら効力の多くが構成上活性な触媒ド
メインとなる変異又は遺伝子融合に関与しうることである(J.Schlessingerら,N
euron,9:383(1992);T.Pawson,Curr.Opin.Gen.Dev.,2:4(1992);D.Martin-Zanca
ら,Nature,319:743(1986);F.Coulier ら,Mol.Cell.Biol.,9:15(1989);R.Oskam
ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:2964(1988);S.C.Kozma ら,EMBO J.,7:147(
1988);A.Ziemiecki ら,EMBO J.,9:191(1990))。このため、NPM‐ALK融
合タンパク質では、端部切取ALKキナーゼは調節解除され、細胞内基質をリン
酸化して、悪性形質転換を誘発すると予想している。退生大細胞リンパ腫は増殖
及び生存上IL‐2に依存している活性化Tリンパ球から生じるため(K.A.Smit
h,Science,240:1169(1988))、NPM‐ALKはIL‐2レセプター媒介シグナ
ルに応答して通常リン酸化される基質をリン酸化して(E.M.Saltzmanら,J.Biol.
Chem.,263:6956(1988);D.K.Ferrisら,J.Immunol.,143:870(1989);I.D.Horak
ら,Proc.Natl.Acad.U.S.A.,88;1996(1991);M.Hatakeyamaら,Science,252:1523(
1991);N.Kobayashi ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,90:4201(1993))、このシ
グナル形質導入経路の構成的活性化を起こす。
我々の発見は、未成熟(胸腺)免疫表現型の細胞で生じるT細胞リンパ腫及び
白血病の以前の分子遺伝子研究とは著しい対照をなす。リンパ芽球T細胞悪性系
における染色体転座は、染色体7、バンドq34上のTCR β鎖座又は染色体
14、バンドq11上のα/δ座に含まれるエンハンサーに一致して影響を与え
ている(M.L.Cleary,Cell,66:619(1991);T.H.Rabbitts,Cell,67:641(1991))。
各場合において、T細胞始原細胞で高度に活性であるこれらのエンハンサーは、
相互染色体上のブレークポイントに位置する発育上調節される転写因子遺伝子(
例えば、TAL/SCL、LYL1、RHOMB/TTG及びHOX11)の調
節不全発現を起こす。大細胞リンパ腫における我々の観察では、成熟Tリンパ球
で悪性形質転換に至る経路が胸腺始原細胞の分化阻止及び増殖変化に関与するも
のとは異なることを示唆している。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年12月20日
【補正内容】
請求の範囲
1. (a)核酸含有サンプルを第一増幅プライマー及び第二増幅プライマー
と接触させる(上記第一増幅プライマーはNPM/ALK融合タンパク質に存在
するNPMアミノ酸配列についてコードする核酸配列又はそれに相補的なヌクレ
オチド配列とハイブリッド形成することができ、上記第二増幅プライマーはNP
M/ALK融合タンパク質に存在するALKアミノ酸配列についてコードする核
酸配列又はそれに相補的な核酸配列とハイブリッド形成することができる);
(b)上記サンプル内でプライム化配列を増幅させる;
(c)上記NPM/ALK融合体を含有した増幅配列を検出する;
ステップからなる、ヒトt(2;5)リンパ腫の検出方法。
2. 増幅プライマーがSeq.ID No.5、Seq.ID No.5の
逆相補体、Seq.ID No.6、Seq.ID No.6の逆相補体からな
る群より選択される、請求項1に記載の方法。
3. サンプルがmRNAを含有している、請求項1に記載の方法。
4. a)サンプルを2種の抗体と接触させる(第一抗体はNPMと結合する
ことができ、第二抗体はALKと結合することができる);及び
b)上記第一及び上記第二抗体双方と結合する上記サンプル中のタンパク質の
存在を検出する;
ステップからなる、ヒトt(2;5)リンパ腫の同定方法。
5. a)サンプルを抗体と接触させる(その抗体はSeq.ID No.4
のアミノ酸配列内に存在するNPM/ALK融合タンパク質の融合ジャンクショ
ンと結合できるが、非融合NPM又はALKタンパク質と結合できない);及び
b)上記抗体と結合する上記サンプル中のタンパク質の存在を検出する;
ステップからなる、ヒトt(2;5)リンパ腫の検出方法。
6. 抗体がSeq.ID No.4のアミノ酸配列内に存在するエピトープ
と結合することができる、請求項5に記載の方法。
7. a)サンプルを2種の核酸プローブと接触させる(第一核酸プローブは
NPMタンパク質についてコードする核酸配列とハイブリッド形成することがで
き、第二核酸プローブはALKタンパク質についてコードする核酸配列とハイブ
リッド形成することができる);及び
b)上記第一及び上記第二核酸プローブ双方とハイブリッド形成する上記サン
プル中の核酸配列の存在を検出する;
ステップからなる、ヒトt(2;5)リンパ腫の検出方法。
8. 第一及び第二核酸プローブがDNA又はRNAであり、サンプル中の核
酸がDNA又はRNAである、請求項7に記載の方法。
9. a)サンプルを核酸プローブと接触させる(その核酸プローブはNPM
/ALK融合タンパク質の融合ジャンクションについてコードする核酸配列とハ
イブリッド形成できる);及び
b)上記核酸プローブとハイブリッド形成する上記サンプル中の核酸配列の存
在を検出する;
ステップからなる、ヒトt(2;5)リンパ腫の検出方法。
10. 核酸プローブがDNA及びRNAからなる群より選択され、サンプル
中の核酸配列がDNA及びRNAからなる群より選択される、請求項9に記載の
方法。
11. 核酸プローブがSeq.ID No.2の核酸配列又はその断片から
本質的になる、請求項9に記載の方法。
12. a)NPMタンパク質についてコードする核酸配列又はその相補的核
酸配列とハイブリッド形成できるプライマーを含有した第一容器;
b)ALKタンパク質についてコードする核酸配列又はその相補的核酸配列と
ハイブリッド形成できるプライマーを含有した第二容器;
c)下記のうち1種以上を含有した1以上の他の容器:洗浄試薬、増幅試薬、
及び増幅核酸配列の存在を検出できる試薬;
からなる、区画化されて1以上の容器をきっちりと収納した区画化キット。
13. a)NPM/ALK融合タンパク質の融合ジャンクションに存在して
、非融合NPM又はALKタンパク質に存在しないエピトープと結合できる抗体
を含有した第一容器;及び
b)下記のうち1種以上を含有した1以上の他の容器:洗浄試薬、及び結合抗
体の存在を検出できる試薬;
からなる、区画化されて1以上の容器をきっちりと収納した区画化キット。
14. a)NPM/ALK融合タンパク質の融合ジャンクションについてコ
ードする核酸配列とハイブリッド形成できる核酸プローブを含有した第一容器;
b)下記のうち1種以上を含有した1以上の他の容器:洗浄試薬、及び上記第
一容器からの結合核酸プローブの存在を検出できる試薬;
からなる、区画化されて1以上の容器をきっちりと収納した区画化キット。
15. NPM/ALK融合タンパク質の融合ジャンクションに存在するエピ
トープと結合できて、非融合NPM又はALKタンパク質と結合できない抗体。
16. 抗体がSeq.ID No.4のアミノ酸配列に存在するエピトープ
と結合できる、請求項15に記載の抗体。
17. ALKタンパク質と結合できる抗体。
18. アミノ酸配列がSeq.ID No.3(部分的ALKタンパク質)
又はその断片とSeq.ID No.4(NPM/ALK融合タンパク質)又は
その断片からなる群より選択される単離ペプチド。
19. NPM及びALKタンパク質の部分を含んでなる単離融合タンパク質
。
20. Seq.ID No.1のヌクレオチド配列、又はSeq.ID
No.1の31〜2608連続塩基対のヌクレオチド配列を有したその断片を有
する単離核酸分子。
21. Seq.ID No.2のヌクレオチド配列、又はSeq.ID N
o.2の31〜2440連続塩基対のヌクレオチド配列を有したその断片を有す
る単離核酸分子。
22. 単離核酸分子がNPM/ALK融合ジャンクションからなる、請求項
21に記載の単離核酸分子。
23. 単離核酸分子がSeq.ID No.9、Seq.ID No.10
、Seq.ID No.9の逆相補体及びSeq.ID No.10の逆相補体
からなる群より選択される配列を有している、請求項22に記載の単離核酸分子
。
24. Seq.ID No.3の配列を有するポリペプチドについてコード
する単離核酸分子。
25. Seq.ID No.4の配列を有するポリペプチドについてコード
する単離核酸分子。
26. ヒトt(2;5)リンパ腫で生じるt(2;5)(p23;q35)
染色体転座現象で再配列された核酸配列又はその相補配列とハイブリッド形成で
きる増幅プライマー。
27. 増幅プライマーがSeq.ID No.1の18〜30連続ヌクレオ
チド又はSeq.ID No.1の逆相補体の18〜30連続ヌクレオチドから
なる、請求項26に記載の増幅プライマー。
28. 増幅プライマーがSeq.ID No.5、Seq.ID No.6
、Seq.ID No.5の逆相補体及びSeq.ID No.6の逆相補体か
らなる群より選択される配列を有している、請求項26に記載の増幅プライマー
。
29. 染色体2p23上のヒトALK遺伝子についてコードする核酸配列又
はその相補的核酸配列とハイブリッド形成できる増幅プライマー。
30. 増幅プライマーがSeq.ID No.2の18〜30連続ヌクレオ
チド又はSeq.ID No.2の逆相補体の18〜30連続ヌクレオチドから
なる、請求項29に記載の増幅プライマー。
31. 請求項20、21、22、23、24又は25に記載の核酸分子が挿
入されているベクターを含んでなるベクター組立体。
32. 請求項31に記載のベクター組立体で形質転換された宿主。
33. NPM/ALK融合遺伝子とハイブリッド形成できるアンチセンスm
RNA配列又はその断片。
34. ヒトNPM/ALK融合タンパク質を発現するように改変された非ヒ
トトランスジェニック哺乳動物。
35. ヒトALKタンパク質を発現するように改変された非ヒトトランスジ
ェニック哺乳動物。
36. 哺乳動物がALK遺伝子の非ヒト相同体を発現しないように改変され
た非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
37. a)作用物質をNPM/ALK融合タンパク質と接触させる;及び
b)上記作用物質が上記NPM/ALK融合タンパク質と結合するかどうかを
調べる;
ステップからなる、NPM/ALK融合タンパク質と結合できる作用物質の同定
方法。
38. a)作用物質をNPM/ALK融合タンパク質と接触させる;及び
b)上記作用物質が上記NPM/ALK融合タンパク質と結合するかどうかを
調べる;
ステップにより産生された、ペプチド、炭水化物及びビタミン誘導体からなる群
より選択される、NPM/ALK融合タンパク質と結合できる単離作用物質。
39. a)作用物質をALKタンパク質と接触させる;及び
b)上記作用物質が上記ALKタンパク質と結合するかどうかを調べる;
ステップからなり、単離作用物質がペプチド、炭水化物及びビタミン誘導体から
なる群より選択される、ALKタンパク質と結合できる作用物質の同定方法。
40. a)作用物質をALKタンパク質と接触させる;及び
b)上記作用物質が上記ALKタンパク質と結合するかどうかを調べる;
ステップにより産生された、ペプチド、炭水化物及びビタミン誘導体からなる群
より選択される、ALKタンパク質と結合できる単離作用物質。
41. 作用物質がALKの天然リガンドである、請求項40に記載の作用物
質。
42. ALKタンパク質についてコードするmRNAを開裂できるリボザイ
ム。
43. NPM/ALK融合タンパク質についてコードするmRNAを開裂で
きるリボザイム。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12P 21/02 7823−4B C12Q 1/68 A
C12Q 1/68 0276−2J G01N 33/50 T
G01N 33/50 0276−2J 33/574 Z
33/574 9282−4B C12N 5/00 B
//(C12N 5/10
C12R 1:91)
(C12P 21/02
C12R 1:91)