JPH09512553A - 細胞内シグナル変換操作によるt細胞応答の調節方法 - Google Patents

細胞内シグナル変換操作によるt細胞応答の調節方法

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JPH09512553A
JPH09512553A JP7528376A JP52837695A JPH09512553A JP H09512553 A JPH09512553 A JP H09512553A JP 7528376 A JP7528376 A JP 7528376A JP 52837695 A JP52837695 A JP 52837695A JP H09512553 A JPH09512553 A JP H09512553A
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Abstract

(57)【要約】 T細胞共刺激に関連する細胞内シグナルを操作することによってT細胞応答を調節する方法が記載されている。該方法にはT細胞内における少なくとも1種のD3ホスホイノシチドの産生の阻害または刺激が含まれる。D3ホスホイノシチドの産生は、T細胞をホスファチジルイノシトール3−キナーゼのインヒビターまたはアクチベーターと接触させることによって操作しうる。本発明の方法に使用するホスファチジルイノシトール3−キナーゼのインヒビターはウォルトマンニンおよびクエルセチンあるいはその誘導体または類縁体である。本発明はさらに、T細胞内においてプロテインチロシンキナーゼまたはプロテインチロシンホスファターゼの活性を調節するなどの、プロテインチロシンキナーゼリン酸化などの共刺激に関連する他の細胞内シグナルを調節することに関する。本発明方法にしたがったT細胞応答の阻害は、臓器あるいは骨髄移植および自己免疫疾患などの抗原に対する免疫応答を阻害することが望ましい状況において治療上有用である。別法として、本発明方法にしたがったT細胞応答の刺激は、被検体における抗腫瘍応答を刺激すること、病原体あるいはワクチン化に対する応答を刺激することなどの抗原に対する免疫応答を強化することにおいて治療上有用である。T細胞応答を阻害あるいは刺激することができるホスファチジルイノシトール3−キナーセのインヒビターまたはアクチベーターを同定するための新規スクリーニングアッセイも記載されている。

Description

【発明の詳細な説明】 細胞内シグナル変換操作によるT細胞応答の調節方法 発明の背景 抗原特異的T細胞応答は、T細胞上の細胞表面受容体と抗原付与細胞(APC s)上のリガンドとの間の多重の相互作用によって誘発される。第1の相互作用 は、T細胞上のT細胞受容体(TCR)/CD3複合体と抗原付与細胞上の主要 組織適合遺伝子複合体(MHC)分子/抗原ペプチド複合体のとの間の作用であ る。この相互作用は、T細胞における第1の、抗原特異的、活性化シグナルの引 金となる。第1の活性化シグナルに加えて、T細胞応答を誘発するには、第2の 、共刺激性(costimulatory)シグナルが必要である。適当な共刺激がないと、 TCRシグナリングはT細胞にアネルギー状態を誘発する。アネルギーT細胞に 対し、引き続いて抗原を適当に付与すると、特有の応答を起こさなくなる[シュ ワルツ,R.H.らの(1990)Science248:1349を参照]。 共刺激シグナルは、T細胞内でCD28などのT細胞表面受容体を通って発信 される。たとえば、T細胞のサブ最適ポリクローナル刺激[たとえば、抗CD3 抗体またはホルボールエステル(これらは第1の活性化シグナルを提供しうる) による刺激]は、CD28と抗CD28抗体の架橋によって有効化されることが 説明されている[リンスリー,P.S.らの(1991)J.Exp.Med.173:7 21;ギミ,C.D.らの(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:65 75]。さらに、CD28の刺激は、T細胞クローンにおけるアネルギー状態の 誘発を妨げることができる[ハーデイング,F.A.の(1992)Nature35 6:607〜609]。CD28に対する天然のリガンドはAPCs上で同定さ れている。CD28リガンドには、B7−1(CD80)およびB7−2(CD 70などのプロテインのB7ファミリーのメンバーが含まれる[フリードマン, A.S.らの(1987)J.Immunol.137:3260〜3267;フリーマン ,G.J.らの(1989)J.Immunol.143:2714〜2722;フリーマ ン, G.J.らの(1991)J.Exp.Med.174:625〜631:フリーマン,G .J.らの(1993)Science262:909〜911;アズマ,M.らの( 1993)Nature366:76〜79;フリーマン,G.J.らの(1993) J.Exp.Med.178:2185〜2192]。CD28に加えて、B7ファミリー のプロテインも、CTLA4と呼ばれるCD28に関連するT細胞上の他の表面 受容体(これは、またT細胞共刺激においても役割を演じる)に結合することが わかっている[リンスリー,P.S.らの(1991)J.Exp.Med.174:56 1〜569;フリーマン,G.J.らの(1993)Science262:909〜 911]。 CD28/CTLA4とB7ファミリープロテインの受容体:リガンド相互関 係の解明および共刺激におけるこの相互作用の役割の解明によって、共刺激分子 を結合するというT細胞表面受容体の細胞外相互作用処置などの治療用途へのア プローチが導かれた。たとえば、B7−1とB7−2の両方に結合し、それらの CD28/CTLA4との相互作用を遮断するCTLA4Ig融合プロテインは 、同種および異種移植における拒絶反応の阻害のために用いられている[ターカ ,L.A.らの(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:11102〜1 1105;レンスコー,D.J.らの(1992)Science257:789〜7 92などを参照]。同様に、B7−1および/またはB7−2と反応する抗体が 、インビトロにおけるT細胞の増殖およびIL−2の産生の阻害およびインビト ロにおける抗原に対する第1免疫応答の阻害に用いられている[ハスコック,K .S.らの(1993)Science262:905〜907;アズマ,M.らの( 1993)Nature366:76〜79;パワーズ,G.D.らの(1994)Ce ll.Immunol.153:298〜311;チェン,C.らの(1994)J.Immunol .152:2105〜2114]。同時に、これらの研究では、B7−1および B7−2などの共刺激性分子を結合するT細胞表面受容体が免疫応答を操作する ための所望標的であることが示されている。 CD28/CTLA4とそれらのリガンド間の細胞外相互作用は、ある程度詳 細に解明されているけれども、これらの分子の連結に続いてT細胞内で起きる細 胞内のイベントについては少ししかわかっていない。T細胞の共刺激経路はシク ロスポリンAの阻害効果に対して耐性があるので、T細胞の共刺激は、TCRを 経るシグナリングとは異なる細胞内シグナル変換経路をもつと考えられている[ ジューン,C.H.らの(1990)Immunology Today11:211〜216を 参照]。プロテインチロシンのリン酸化は、T細胞内でCD28との連結により 起こることがわかっており、プロテインチロシンキナーゼインヒビターであるハ ービマイシンAがCD28誘発IL−2産生を阻害しうることが説明されている [ヴァンデンバーグ,P.らの(1992)J.Exp.Med.175:951〜960 ;ルー,Y.らの(1992)J.Immunol.149:24〜29]。 CD28受容体は、抗原受容体に関係するシグナルならびに抗原受容体とは無 関係のシグナルの引金をひくことができることが研究によってわかっている。さ らに、CD28のオリゴマー形成の度合は、CD28媒介シグナル変換において 重要な決定要素である[リンスリー,P.S.およびレドベター,J.A.の( 1993)Annu.Rev.Immunol.11:191およびレドベター,J.A.らの( 1990)Blood75:1531]。抗CD28および抗CD3モノクローナル 抗体を用いる研究から、カルシウムシグナリング、ホスホリパーゼC(PLC) 活性化、チロシンキナーゼ活性の増加およびp21ras活性化のすべてが、受容 体結合後の早期に起こることがわかっている[ジューン,C.H.らの(199 4)Immunology Today15:321;およびラッド,C.E.らの(1994) IImmunol.Today15:225]。プロテインチロシンキナーゼp72itkおよび p56lck[オーガスト,A.およびデュポン,B.の(1994)Biochem.Bio phys.Res.Commun.199:1466およびオーガスト,A.らの(1994)Pr oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:9347]は、CD28とT細胞抗原受容体の 両方によって活性化される、あるいはそれらと物理的に会合すると報告されてい る。CD28媒介カルシウム、p21rasおよびp70s6キナーゼシグナルは休 止期のT細胞よりも幼若化T細胞において顕著であり、抗原受容体シグナルと比 較して 一時的に遅い[レドベター,J.A.らの(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S .A.84:1384;ナンズ,J.S.らの(1993)Biochem.J.293:8 35;シーゲル,J.N.らの(1993)J.Immunol.151:4116;およ びパイ,S.V.らの(1994)J.Immunol.24:2364]。さらに、CD 8+T細胞およびCD4+T細胞はその両方がCD28シグナルに応答するけれど も、抗CD28誘発カルシウムシグナルはCD4+T細胞に対して第1に制限さ れる[アベ,R.P.らの(1995)J.Immunol.印刷中]。これらの研究は共 に、CD28シグナル変換が数個のシグナル変換カスケードに連結し、シグナル の性質がT細胞発達中に規定されることを示している。 発明の要約 本発明は、細胞内シグナル変換操作によるT細胞応答の調節に関する。さらに 詳しくは本発明は、T細胞の共刺激において起こる細胞内シグナリングイベント を操作することに関する。本発明は、共刺激性分子を結合するT細胞の表面受容 体の連結から得られる1種あるいはそれ以上の細胞内シグナルを阻害または刺激 することによるT細胞応答の調節方法を含む。現在、CD28受容体刺激によっ て、T細胞内にD3−ホスホイノシチドが産生されることが発見されている。さ らに、T細胞内のホスファチジルイノシトール3−キナーゼの活性が、リンホカ イン産生および細胞増殖などのT細胞応答を阻害しうることが発見されている。 これらの発見は、共刺激性シグナル変換経路におけるD3−ホスホイノシチドの 機能的役割を示し、T細胞応答を調節するための細胞内標的としてのホスファチ ジルイノシトール3−キナーゼを提供する。したがって、D3−ホスホイノシチ ドを含む細胞内シグナリングイベントは、共刺激シグナルの阻害およびそれによ るT細胞不応答の誘発、あるいは共刺激シグナルの発信およびそれによるT細胞 応答の産生のいずれかによって調節される。さらに、T細胞応答を阻害または刺 激するのに用いうる、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼのインヒビター またはアクチベーターを同定するための新規なスクリーニングアッセイも本発明 の範囲に含まれる。 さらに本発明は、共刺激性分子を結合する表面受容体を発現するというT細胞 による応答の阻害方法に関する。このような方法には、T細胞中のD3−ホスホ イノシチドの産生を阻害する作用剤にT細胞を接触させることが包含される。ひ とつの具体例においては、該作用剤は、真菌代謝物であるウォルトマンニンまた はバイオフラボノイドであるクエルセチンあるいはそれらの類縁体など(たとえ ばLY294002)のホスファチジルイノシトール3−キナーゼのインヒビタ ーである。本発明方法の別の具体例においては、プロテインチロシンリン酸化な どの共刺激に関連する異なる細胞内シグナルを阻害する作用剤の少なくとも1種 にT細胞を接触させる。たとえば、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼお よびプロテインチロシンキナーゼのインヒビターにT細胞を接触させることがで きる。好ましいプロテインチロシンキナーゼのインヒビターはハービマイシンA である。別法として、チロシンホスファターゼまたはチロシンホスファターゼの アクチベーターによってT細胞内でのプロテインチロシンリン酸化を阻害するこ とができる。この具体例においては、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ および細胞チロシンホスファターゼに結合して活性化させる抗体などの分子(た とえばCD45またはHcph)にT細胞を接触させることができる。本発明方 法の別の好ましい具体例においては、プロテインセリンキナーゼのインヒビター またはセリンホスファターゼのアクチベーターにT細胞を接触させる。 さらに本発明は、T細胞内の共刺激に関連する細胞内シグナルを妨害しながら T細胞における第1の、抗原特異的シグナルの引金をひくことによってT細胞内 に抗原に対する不応答を誘発する方法を提供する。共刺激性シグナル変換の妨害 の結果として、抗原の存在下でT細胞が適当な共刺激性シグナルを受け取ること ができず、抗原特異的不応答がT細胞内に誘発される。T細胞の不応答を誘発す るために、T細胞における第1の活性化シグナルの刺激に適した形体の抗原およ びT細胞内におけるD3−ホスホイノシチドの産生を阻害する作用剤に抗原特異 的T細胞を接触させる。たとえば、APCによって供与される抗原およびウォル トマンニンまたはクエルセチンあるいはそれらの誘導体または類縁体など(たと えばLY294002)のホスファチジルイノシトール3−キナーゼのインヒビ ターにT細胞を接触させることができる。さらに、プロテインチロシンリン酸化 および/またはプロテインセリンリン酸化などの共刺激に関連する他の細胞内シ グナルをT細胞内で阻害することができる。 T細胞応答の阻害方法およびT細胞不応答の誘発方法は、たとえば、移植を受 ける被験体(臓器移植または骨髄移植など)または自己免疫疾患あるいは異常免 疫応答に関連する他の疾病に罹患している被験体などの免疫応答を下降方向に調 節することが望ましい状況において有用である。共刺激に関連するシグナル変換 を阻害する作用剤(たとえばイノシトールリン酸3−キナーゼのインヒビターな ど)を被験体に投与することができ、また別法として被験体からT細胞を採取し 、本明細書に記載したようにインビトロで処理し、それを被験体に投与すること もできる。 さらに本発明は、第1の活性化シグナルを受け、共刺激分子を結合する表面受 容体を発現したT細胞によって応答を刺激する方法に関する。このような方法に は、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼなどのT細胞中のD−3ホスホイ ノシチドの産生を刺激する作用剤にT細胞を接触させることが包含される。別の 具体例においては、D3−ホスホイノシチドの産生を刺激する作用剤およびプロ テインチロシンリン酸化などの共刺激に関連する異なる細胞内シグナルを刺激す る作用剤の少なくとも1種にT細胞を接触させる。たとえば、ホスファチジルイ ノシトール3−キナーゼおよび過バナジウム酸塩などのプロテインチロシンキナ ーゼのアクチベーターにT細胞を接触させることができる。本発明の別の具体例 においては、さらに、プロテインセリンキナーゼを活性化する作用剤にT細胞を 接触させる。別法として、CD45またはHcphなどの細胞ホスファターゼの インヒビターをPI3Kアクチベーターとともに用いることができる。さらなる 本発明の他の具体例においては、抗原特異的T細胞を抗原およびT細胞内でD− 3ホスホイノシチドの産生を刺激する作用剤に接触させることによって抗原特異 的T細胞応答を刺激し、それによってT細胞内における第1の活性化シグナルお よび共刺激性シグナルの両方を刺激する。本発明の別の具体例においては、1種 またはそれ以上のプロテインチロシンおよび/またはプロテインセリンキナーゼ を活性化する作用剤に抗原特異的T細胞を接触させることによって、抗原特異的 T細胞応答をさらに刺激する。 T細胞応答を刺激する方法は、免疫応答を上昇方向に調節することが望ましい 状況において有用である。たとえば、腫瘍ができている被験体における腫瘍に対 する応答、あるいは被験体の病原体(たとえばバクテリア、HIVなどのウイル ス、真菌、寄生虫など)に対する応答を刺激することができる。さらに、本発明 方法は、ワクチン接種の効能を増強するのに用いることができる。共刺激に関連 する細胞内シグナルを刺激する作用剤(イノシトールホスファターゼ3−キナー ゼのアクチベーターなど)を被験体に投与するかまたは別法としてインビトロに てT細胞を刺激し、次いでそれを被験体に投与することができる。 本発明はさらに、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼのインヒビターま たはアクチベーターを同定するためのスクリーニングアッセイに関する。ひとつ の具体例においては、共刺激性分子を結合する細胞表面受容体を発現するT細胞 (CD28など)が用いられる。インヒビターを同定するには、T細胞における 受容体に関連する細胞内シグナル変換経路を、被検作用剤の存在下に刺激し、T 細胞におけるD−3ホスホイノシチドの少なくとも1種の産生を阻害する能力に 基づいてインヒビターを同定する。アクチベーターを同定するには、被検作用剤 にT細胞を接触させ、T細胞におけるD−3ホスホイノシチドの少なくとも1種 の産生を刺激する能力に基づいてアクチベーターを同定する。 本発明はさらに、CD28を介して刺激されたT細胞におけるCD28に関連 するおよそ67kDaの新規なチロシン−リン酸化プロテインに関する。該プロ テインの活性化あるいは該プロテインのCD28との相互作用を遮断する方法、 または別法として、該67Kプロテインの活性化あるいは該プロテインのCD2 8との相互作用を刺激する方法もまた本発明に包含される。 図面の簡単な説明 第1図は、CD28+T細胞(ジャーカット細胞)における、該細胞を培地、 抗CD3抗体または抗CD28抗体で刺激した後のホスファチジルイノシトール (3,4,5)−トリリン酸塩の産生を示すグラフであり、CD3またはCD2 8を介した刺激におけるホスファチジルイノシトール3−キナーゼの活性化の独 特の動力学を表している。 第2図は、CD28+T細胞(ジャーカット細胞)における、該細胞をB7− 1またはB7−2を発現するようにトランスフェクトされたCHO細胞で刺激し た後のホスファチジルイノシトール(3,4,5)−トリリン酸塩の産生を示す グラフであり、B7−1またはB7−2による刺激におけるホスファチジルイノ シトール3−キナーゼの活性化の独特の動力学を表している。 第3図は、CD28+T胞(ジャーカット細胞)における、該細胞をB7−2 を発現するようにトランスフェクトされたCHO細胞で刺激した後のホスファチ ジルイノシトール(3,4,5)−トリリン酸塩の産生に関する種々の濃度のウォ ルトマンニン(0〜100mM)の効果を示すグラフである。 第4図は、CD28と抗CD28抗体の連結によって誘発されたT細胞におけ るカルシウム代謝速度に関するウォルトマンニンまたはハービマイシンの効果を 示すグラフである。 第5図は、ジャーカット細胞をCHO−neo、CHO−B7−1またはCH O−B7−2細胞のいずれかとともにインキュベートする細胞−コンジュゲート アッセイから得た一連のフローサイトメトリーのプロフィールである。カルシウ ム代謝速度をY軸に、細胞コンジュゲーションをX軸に示す。 第6図は、精製ヒト末梢血液T細胞によるIL−2の産生に関する、抗CD3 抗体と組み合わせた場合の膜結合B7−1およびB7−2の効果を示すグラフで あり、B7−1またはB7−2のいずれかの共刺激によるIL−2の産生におけ る用量依存性の増加を表している。 第7A図は、培地、固定化抗CD3+CHO−B7−1、固定化抗CD3+C HO−B7−2、PMA+CHO−B7−1またはPMA+CHO−B7−2で 休止期ヒトT細胞を刺激した24時間後の、該細胞によるIL−2の産生に関す る、ウォルトマンニン処理(1nM〜1mM)の効果を示すグラフである。 第7B図は、抗CD3抗体(OKT3)ならびにB7−1、B7−2またはB 7−1とB7−2の両方を発現するCHO細胞で24時間刺激されたヒトT細胞 によるIL−産生、またはPMAならびにB7−1またはB7−2を発現するC HOで刺激されたT細胞によるIL−産生に関する、ウォルトマンニン(1〜1 00nM)による阻害パーセントを示すグラフである。 第8図は、抗CD28mAb(9.3)、CHO、CHO−B7−1またはC HO−B7−2で刺激されたジャーカット細胞によるホスファチジルイノシトー ル(3,4,5)−トリリン酸塩の産生に関する、ハービマイシン処理の効果を 示すグラフである。 第9図は、ハービマイシンの存在(+)または不在(−)下で、抗CD28m Ab(9.3)またはCHO−B7−1(B7)細胞で刺激した後の異なる時点 におけるジャーカット細胞によって産生されたホスファチジルイノシトール(3 ,4,5)−トリリン酸塩の量を示す薄層クロマトグラフィーである。 第10A図は、ハービマイシンAの存在または不在下で、PMA単独またはP MAとCHO−B7−1(PMA+CHOB71)、PMAとCHO−B7−2 (PMA+CHOB7−2)、PMAと9.3mAb溶液(PMA+9.3)、 PMAとビーズ上の9.3mAb(PMA+9.3ビーズ)、PMAとイオノマ イシン(PMA+イオノマイシン)あるいはPMAとイオノマイシンと可溶性9 .3mAb(PMA+イオノ+9.3)で刺激された末梢血液T細胞によるIL −2分泌を示すグラフである。 第10B図は、イオノマイシンの存在(+イオノ)または不在下で、抗CD3 (OKT3)単独またはOKT3とCHO−B7−1(OKT3+CHOB71 )、OKT3とCHO−B7−2(OKT3+CHOB7−2)またはOKT3 と9.3mAb(OKT3+9.3)で刺激された末梢血液T細胞によるIL− 2分泌を示すグラフである。 第11図は、およそ6kDaのホスホチロシンプロテインが抗CD28抗体で 共免疫沈降されることを示すイムノブロットのオートラジオグラフィーである。 発明の詳細な記載 本発明は、T細胞上の表面受容体の共刺激分子への結合などの共刺激によって T細胞において産生される細胞内シグナルを調節することによるT細胞応答の調 節方法に関するものである。さらに詳しくは本発明は、共刺激性シグナルを阻害 または刺激し、それによってT細胞応答を阻害または刺激するためのT細胞にお けるD−3ホスホイノイシチド産生の調節に関する。共刺激に関連するシグナル 変換の妨害による共刺激性シグナルの阻害を利用してさらに、T細胞不応答を誘 発することができる。本発明は、CD28表面受容体を介するT細胞の刺激によ ってT細胞にD−3ホスホイノシチドが産生され、CD28が連結したT細胞に おいてホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(本明細書においてPI3Kと も称する)のインヒビターがD−3ホスホイノシチドの産生を阻害するという発 見に少なくとも部分的には基づいている。さらに本発明は、T細胞におけるPI 3K活性を阻害すると、サイトカイン産生および細胞増殖などのT細胞応答が阻 害されるという発見に少なくとも部分的には基づいている。 したがって、さらに本発明は、シグナル変換に関連する細胞内シグナル変換を 妨害することによるT細胞の応答を阻害する方法に関する。ひとつの具体例にお いては、T細胞におけるD−3ホスホイノシチドの産生を阻害する作用剤に、共 刺激性分子を結合する細胞表面受容体を発現しているT細胞を接触させることに よって細胞内シグナルを阻害する。語句「共刺激性分子に結合する細胞表面受容 体を発現しているT細胞」とは、CD28および/またはCRLA4、あるいは B7−1、B7−2または他のB7ファミリーのメンバーなどの共刺激性分子を 結合する能力をもつ他の受容体を発現しているT細胞を意味する。 T細胞による「応答」とは、T細胞における第1の活性化シグナルおよび共刺 激性シグナルの引金をひくことによって生じるT細胞応答を意味し、リンホカイ ンの産生(IL−2産生など)およびT細胞の増殖が含まれる。T細胞応答の阻 害には、応答の完全遮断(無応答など)または応答の大きさの程度の減少(応答 の部分的阻害など)も含まれる。 「D−3ホスホイノシチド」とは、イノシトール環のD−3位でリン酸化され るホスファチジルイノシトールの誘導体を意味し、ホスファチジルイノシトール (3)−モノリン酸塩(PtdIns(3)P)、ホスファチジルイノシトール (3,4)−ビスリン酸塩(PtdIns(3,4)P2)およびホスファチジ ルイノシトール(3,4,5)−トリリン酸塩(PtdIns(3,4,5)P3 )などの化合物が含まれる。 D−3ホスホイノシチドはホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3 K)の活性によって細胞内的に産生される。PI3Kは、そのSH2ドメインを 介してチロシル−リン酸化プロテインを結合する85kDaのサブユニットおよ び110kDaの触媒サブユニットからなるヘテロ二量体である。PI3Kは最 初、ホスファチジルイノシトール、PtdIns(4)PおよびPtdIns( 4,5)P2のイノシトール環のD−3位をリン酸化する脂質キナーゼとして同 定された。最近の2つの研究では、PI3Kが、事実、脂質およびセリンキナー ゼ活性の両方を有する2重特異的キナーゼであることが説明されている[ジャン ド,R.らの(1991)EMBO J.13:522およびカーペンター,C.L. らの(1993)Mol.Crll Biol.13:1657]。 したがって、ひとつの具体例においては、T細胞におけるD−3ホスホイノシ チドの産生を阻害する作用剤は、PI3Kの活性を阻害する作用剤である。T細 胞におけるPI3K活性を阻害する好ましい作用剤は、真菌代謝物であるウォル トマンニンまたはその誘導体あるいは類縁体である。ウォルトマンニンはT・ウ ォルトマンニイ(T.wortmannii)(協和発酵株式会社)またはP.フミクロスム (P.fumiculsum)(シグマ)から誘導されるインヒビターである。ウォルトマンニ ン誘導体または類縁体には、PI3KおよびT細胞応答を阻害する能力をもつウ ォルトマンニンに構造的に関連する化合物が含まれる。ウォルトマンニン誘導体 よ び類縁体の例は、ワイシンガー,D.らの(1974)Experientia30:13 5〜136;クロッス,A.らの(1981)J.Med.Chem.24:1465〜1 471;およびバッジョリーニ,M.らの(1987)Exp.Cell Res.169: 408〜418に開示されている。使用しうるその他のPI3K活性のインヒビ ターは、バイオフラボノイドであるクエルセチンまたはその誘導体あるいは類縁 体である。クエルセチン誘導体または類縁体には、PI3KおよびT細胞応答を 阻害する能力をもつクエルセチンに構造的に関連する化合物が含まれる。クエル セチン誘導体および類縁体の例は、ブラホス,C.J.らの(1994)J.Biol .Chem.269:5241〜5284に開示されている。PI3K活性を阻害する 好ましいクエルセチン誘導体は、LY29400[2−(4−モルホリニル)− 8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン](リリー、インデイアナポ リス、IN)(上記ブラホスらに記載)。別法として、後記方法で同定される他 のPI3Kインヒビターを用いることもできる。 本発明の別の態様としては、共刺激に関連する2種またはそれ以上の細胞内シ グナリングイベントの妨害によるT細胞応答の阻害が含まれる。たとえば、CD 28の刺激によってT細胞におけるプロテインチロシンリン酸化が起こることが 示されている[ヴァンデンバーグ,P.らの(1992)J.Exp.Med.175:9 51〜960;ルー,Y.らの(1992)J.Immunol.149:24〜29など を参照]。したがって、ひとつの具体例においては、T細胞応答は、T細胞にお ける少なくとも1種のD−3ホスホイノシチドの産生を阻害する第1作用剤およ びT細胞におけるチロシンリン酸化を阻害する第2作用剤にT細胞を接触させる ことによって阻害される。たとえば、T細胞をPI3K活性を阻害する作用剤お よびプロテインチロシンキナーゼ活性を阻害する作用剤の両方に接触させること ができる。好ましいプロテインチロシンキナーゼインヒビターは、srcプロテイ ンチロシンキナーゼを阻害するものである。ひとつの具体例においては、該src プロテインチロシンキナーゼインヒビターは、ハービマイシンAまたはその誘導 体もしくは類縁体である。ハービマイシンAの誘導体もしくは類縁体には、構造 的にハービマイシンAに関連し、プロテインチロシンキナーゼを阻害する能力を もつ化合物が含まれる。別の具体例においては、プロテインチロシンリン酸化を 阻害する作用剤は、プロテインチロシンホスファターゼまたはプロテインチロシ ンホスファターゼのアクチベーターである。T細胞におけるチロシンホスファタ ーゼ活性の増加によって、プロテインチロシンリン酸化の正味量が減少する。プ ロテインチロシンホスファターゼは、T細胞内においてはCD45またはHcph などの細胞プロテインチロシンホスファターゼとなりうる。T細胞上の細胞表面 チロシンホスファターゼの活性は、ホスファターゼに結合し、その活性を刺激す る分子に、T細胞を接触させることによって活性化することができる。たとえば 、CD45に対する抗体を用いて、CD45をその表面に発現するT細胞におけ るチロシンホスファターゼの活性を刺激することができる。したがって、ひとつ の具体例においては、T細胞内においてプロテインチロシンリン酸化を阻害する 作用剤は、抗CD45抗体またはCD45の活性を刺激する能力をもつそのフラ グメントである。抗体フラグメントの例として、FabおよびF(ab′)2フラグメ ントが挙げられる。抗体またはそのフラグメントは、多量体化または固定化など の刺激性形体で提供することができる。 共刺激に関連する他の細胞内シグナルは、D−3ホスホイノシチド産生の阻害 とともに阻害され、その結果としてT細胞応答を阻害することができる。たとえ ば、CD28の連結は、ホスホリパーゼCの活性の増加[ナン,J.らの(19 93)Biochem.J.293:835〜842を参照)、および細胞内カルシウ ム濃度の増加[レドベター,J.A.らの(1990)Blood 75:1531 〜1539および実施例を参照]に関連することがわかっている。したがって、 PI3K活性を阻害する第1作用剤およびホスホリパーゼC活性を阻害および/ または細胞内カルシウム濃度の増加を阻害する第2作用剤に、T細胞を接触させ る。実施例に示すように、チロシンキナーゼインヒビターであるハービマイシン AもまたT細胞におけるCD28誘発性カルシウム代謝を阻害する。 さらに、実施例に示すように、CD28を介する刺激の結果として、ハービマ イシン耐性のT細胞によるIL−2の産生が起こり、これは、関係するシグナル 変換経路に、プロテインセリンキナーゼなどのさらなるプロテインキナーゼが含 まれることを示唆する。 いくつかの研究によって、プロテインセリンキナーゼが、CD28に関連する シグナル変換経路に含まれることが示されている[シーゲル,J.N.らの(1 993)J.Immunol.151:416〜4127およびパイ,S.V.らの(1 994)J.Immunol.24:2364]。かくして、本発明の特定の具体例に おいては、PI3K活性を阻害する作用剤およびセリンキナーゼを阻害する作用 剤に、T細胞を接触させることによって、T細胞応答が阻害される。別の具体例 においては、このようなT細胞をさらに、プロテインチロシンキナーゼを阻害す る作用剤に接触させる。さらに別の具体例においては、PI3K、プロテインチ ロシンキナーゼ、プロテインセリンキナーゼ、ホスホリパーゼC活性を阻害する 作用剤の種々の組合せ、または細胞内カルシウムの増加を阻害する作用剤に、T 細胞を接触させることによってT細胞応答を阻害する。 T細胞応答は、本発明方法にしたがってインビトロまたはインビボのいずれに おいても阻害することができる。たとえば、T細胞におけるD−3ホスホイノシ チドの産生を阻害する作用剤を、T細胞応答を阻害するのに十分な用量および期 間において被験体に投与することができる。別法として、被験体からT細胞を採 取し、インビトロにてT細胞を作用剤に接触させ、被験体に再投与することがで きる。「被験体」とは、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスおよ びそれらのトランスジェニック種などの哺乳動物などの免疫応答を起こす動物を 意味する。T細胞応答を阻害しうる被験体には、免疫応答を下降調節することが 望ましい被験体が含まれる。下降調節とは、リンホカイン産生およびT細胞増殖 などのT細胞応答の部分的および完全阻害を意味する。たとえば、自己免疫疾患 または免疫応答異常に関連する他の疾病の被験体、あるいは骨髄移植または他の 臓器移植なとの移植を受ける者に対し、本発明方法を適用することができる。 本発明のひとつの具体例においては、T細胞内において共刺激性シグナルを阻 害することによって抗原特異的T細胞不応答を誘発する。したがって、本発明の 別の態様は、抗原に対するT細胞不応答を誘発する方法である。本明細書で用い る「T細胞不応答」とは、抗原(または抗原性部分)に対して、さらされた時に T細胞によるT細胞応答(増殖、リンホカイン分泌またはエフェクター機能の誘 発など)が減少するかまたは応答しなくなり、T細胞が不応答になることを意味 する。「T細胞不応答」および「T細胞アネルギー」は、本明細書においては互 換的に用いられる。抗原に対する不応答は、T細胞における抗原特異的第1活性 化シグナル(TCR/CD3複合体を介する活性化など)が、共刺激性シグナル が無い状態で引金を引かれることによって誘発することができる。本発明方法に おいては、共刺激に関連する細胞内シグナルを妨害する作用剤に、T細胞を接触 させることによって、T細胞における共刺激性シグナルを遮断する。特に、共刺 激性シグナルを阻害するためのT細胞におけるD−3ホスホイノシチドの産生を 阻害する作用剤の存在下に、T細胞における第1の活性化シグナルの引金をひく のに適した形体の抗原に、抗原特異的T細胞(すなわち、抗原を認識するTCR を発現しているT細胞)を接触させることによって、抗原に対するT細胞不応答 を誘発することができる。該抗原は、たとえば、自己免疫反応を刺激する抗原ま たは移植された細胞の拒絶反応を刺激するアロ抗原である。おそらく、D−3ホ スホイノシチドの産生を阻害する作用剤が、ウォルトマンニンまたはクエルセチ ンなどのT細胞におけるPI3Kまたはその誘導体もしくは類縁体(LY294 002など)の活性を阻害する。共刺激に関連する他の細胞内シグナルを阻害す る追加の作用剤(前述)もまた、T細胞におけるD−3ホスホイノシチドの産生 を阻害する作用剤とともに用いることができる。たとえば、PI3Kならびにハ ービマイシンAなどのプロテインチロシンキナーゼに、T細胞を接触させること ができる。 T細胞不応答を誘発するために、T細胞において第1の活性化シグナルの引金 をひくのに適した形体の抗原に、抗原特異的T細胞を接触させるが、このことは 、 T細胞においてTCR/CD3複合体を介するシグナルが引金を引かれるように 抗原をT細胞に対して付与することを意味する。たとえば、MHC分子に関連し て細胞を付与する抗原によって、T細胞に対して抗原を付与することができる。 B細胞、マクロファージ、モノサイト、樹状細胞、ランゲルハンス細胞またはT 細胞に対して抗原を付与するその他の細胞などのシンジェネティックな抗原付与 細胞を、抗原付与細胞がT細胞に対して抗原を付与するような抗原の存在下に、 T細胞とともにインキュベートすることができる。別法として、アロ抗原に対す るアネルギーを誘発するために、T細胞に対するアロ抗原を付与するアロジェネ ティックな細胞とともにT細胞をインキュベートすることができる。 インビボにおいて抗原に対するT細胞不応答を誘発するために、T細胞におけ るD−3ホスホイノシチドの産生を阻害する作用剤を、抗原に対するT細胞不応 答を誘発するのに十分な用量と期間で、被験体に投与する。作用剤投与に続いて 、抗原(たとえば内因的に細胞によって発現される自己抗原)を抗原特異的T細 胞に内因的に接触させる。別法として、抗原に対する不応答を、インビトロにて 誘発することができる。この場合、T細胞を被験体から採取し、インビトロにて 抗原ならびに抗原不応答を誘発する作用剤に接触させ、次いで被験体にT細胞を 再投与する。たとえば、移植片を移植を受ける者に移植する前に、移植を受ける 者から採取したT細胞を、T細胞におけるD−3ホスホイノシチド産生を阻害す る作用剤(たとえばウォルトマンニン、クエルセチン、LY294002)およ び/または共刺激に関連する他の細胞内シグネルの1種あるいはそれ以上を阻害 する1種あるいはそれ以上の作用剤とともに移植片ドナーからのアロジェニック な細胞に接触させて、アロ抗原特異的T細胞不応答を誘発することができる。次 いで、ドナーの抗原に対して不応答になった移植を受ける者のT細胞を、該移植 を受ける者に再投与する。別法として、骨髄移植の場合、移植される骨髄(いず れかの残留T細胞を含む)を、インビトロにて、D−3ホスホイノシチドの産生 および/または他の共刺激に関連する細胞内シグナルを阻害する作用剤とともに 骨髄移植を受ける者のアロジェネティックな細胞に接触させて、移植を受ける者 の アロ抗原に対するドナーT細胞における不応答を誘発する。この前処理によって 移植片と移植を受けた者の間で生じる疾患を阻害することができる。 該T細胞不応答誘発方法は、臓器移植および骨髄移植などの移植、および自己 免疫疾患および異常免疫応答に関連する他の疾病などの免疫応答を下降調節する ことが望ましい状況において治療的に適用することができる。自己免疫疾患また は不適当あるいは異常免疫応答に関連する他の疾病の例として、リウマチ性関節 炎、若年性リウマチ性関節炎、乾せん性関節炎、アレルギー、接触性皮膚炎、乾 せん、癩病性逆反応、癩病性結節性紅斑、自己免疫性ぶどう膜炎、多発性硬化症 、アレルギー性脳脊髄炎、全身性紅斑性狼瘡、急性壊死性出血性脳障害、突発性 両側性進行性感覚神経聴力損失、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血、突発性血 小板血症、多発性軟骨炎、強皮症、ウェジナー肉芽腫症、慢性活動性肝炎、重症 筋無力症、スチーブン−ジョンソン症候群、突発性スプルー、偏平苔せん、クロ ーン病、グレイブス眼病、サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変、原発性若年 性糖尿病、シェーグレン症候群関連乾き眼、後ぶどう膜炎および間質性肺繊維症 が挙げられる。 本発明の他の態様は、共刺激性シグナルをT細胞に与えることによってT細胞 応答を刺激することに関する。第1活性化シグナルにつづく共刺激シグナルの伝 達によってT細胞応答を発生させることができる。本発明方法においては、共刺 激性シグナルは、T細胞においてD−3ホスホイノシチドの産生を刺激する作用 剤に、第1活性化シグナルを受けたT細胞を接触させることにより付与される。 T細胞の「応答」とは、T細胞(IL−2など)による少なくとも1種のリンホ カインの細胞および/またはT細胞の増殖を意味する。第1活性化シグナルは、 抗CD3抗体またはMHC/抗原複合体などのTCR/CD3複合体を介してT 細胞を刺激すること、またはホルボールエステル(PMA)などのこの刺激を模 倣する作用剤を用いることによってT細胞に伝達される。本明細書中で用いる語 句「作用剤」とは、T細胞表面受容体と共刺激分子の間に相互作用を要求するこ となくT細胞において共刺激シグナルを刺激する化学薬品および他の薬剤化合物 を意味する。たとえば、該作用剤は、細胞内的に作用して、共刺激関連シグナル を刺激する。ひとつの具体例においては、該作用剤は非プロテイン性化合物であ る。本発明方法に用いる該作用剤は、天然の受容体:リガンド共刺激メカニズム をバイパスすることを意図しており、語句「作用剤」には、B7−1および/ま たはB7−2などの天然のリガンドCD28/CTLA4を発現している細胞を 含まない。 おそらく、T細胞におけるD−3ホスホイノシチドの産生は、PI3Kのアク チベーターにT細胞を接触させることによって刺激される。PI3Kの活性化は 、たとえば、後述の方法によって同定することができる。共刺激に関連する1種 またはそれ以上の他の細胞内シグナルを刺激する追加の作用剤を、D−3ホスホ イノシチド産生のアクチベーターとともに用いることができる。たとえば、PI 3Kを刺激する第1作用剤およびT細胞内におけるプロテインチロシンリン酸化 を刺激する第2作用剤の両方に、T細胞を接触させる。T細胞におけるプロテイ ンチロシンリン酸化は、過バナジン酸塩などのプロテインチロシンキナーゼのア クチベーターに、T細胞を接触させることによって刺激することができる[オシ ア,J.J.らの(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:1030〜103 10;およびシーリスト,J.P.の(1993)J.Biol.Chem.268:588 6〜5893を参照]。たとえば、PI3Kを刺激する第1作用剤、およびプロ テインセリンキナーゼのアクチベーターにT細胞を接触させるなどのT細胞内に おけるプロテインセリンリン酸化を刺激する第2作用剤にT細胞を接触させても よい。別の具体例においては、プロテインチロシンリン酸化を刺激する第3の作 用剤にさらにT細胞を接触させる。別法として、PI3Kのアクチベーター、お よびT細胞における正味のプロテインチロシンリン酸化を増加するためのCD4 5などの細胞プロテインチロシンホスファターゼの活性および/または細胞プロ テインセリンホスファターゼの活性を阻害する作用剤の両方にT細胞を接触させ る。本発明には、ホスホリパーゼC活性の刺激および/または細胞内カルシウム 濃度の増加などのT細胞の共刺激に関連する他の細胞内シグナルを刺激すること も含 まれる。 本発明の他の具体例は、抗原特異的T細胞による抗原に対する特異的応答を刺 激する方法を提供する。T細胞応答を刺激するために、抗原ならびにT細胞にお いてD−3ホスホイノシチドの産生を刺激する作用剤に、抗原特異的T細胞を接 触させ、それによってT細胞における共刺激シグナルの引金をひく。おそらく、 T細胞においてD−3ホスホイノシチドの産生を刺激する作用剤はPI3Kのア クチベーターである。MHC分子に関連の、T細胞における第1の活性化シグナ ルを刺激するのに適した形体の抗原に、T細胞を接触させる(TCR/CD3複 合体を介するなど)。抗原付与細胞(B細胞、マクロファージ、モノサイト、樹 状細胞、ランゲルハンス細胞またはT細胞に対して抗原を付与するその他の細胞 など)を、抗原(可溶性抗原など)の存在下にT細胞とインキュベートすること ができる。別法として、対象となる抗原を発現している細胞をT細胞とインキュ ベートすることができる。たとえば、腫瘍関連抗原を発現している腫瘍細胞を、 T細胞ならびに細胞内共刺激シグナルを誘発する作用剤とともにインキュベート して腫瘍特異的応答を誘発することができる。別法として、ウイルスなどの病原 性抗原を付与する病原体に感染した細胞を、作用剤の存在下にT細胞とインキュ ベートすることができる。T細胞においてD−3ホスホイノシチドの産生を刺激 することに加えて、たとえば過バナジン酸塩またはセリンキナーゼのアクチベー ターなどのプロテインチロシンキナーゼのアクチベーターなどのCD28連結に 関連する1種またはそれ以上の追加の細胞内シグナルを刺激する1種またはそれ 以上の作用剤に、T細胞を接触させることができる。 PI3KのアクチベーターなどのT細胞においてCD28関連細胞内シグナル を刺激する作用剤を、インビボにて被検体に投与することができる。またあるい は別法として、被検体から採取したT細胞をインビトロにて刺激し、被検体に再 投与してもよい。T細胞を刺激する方法は、免疫応答を上昇調節することが望ま しい状況(たとえば応答の誘発または存在する応答の強化)において治療上有用 である。たとえば、該方法を用いて腫瘍関連抗原に対するT細胞応答を強化する ことができる。被検体からの腫瘍細胞は、典型的に腫瘍関連抗原を発現するが、 T細胞における共刺激シグナルを刺激することはできない(たとえば、それらは 共刺激分子の発現が欠如しているからである)。したがって、被検体からのT細 胞ならびにT細胞においてD−3ホスホイノシチドを刺激する作用剤に、腫瘍細 胞を接触させてT細胞における共刺激の引金をひくことができる。別法として、 本明細書中に記載したようにT細胞を刺激して、病原性作用剤(ウイルス(ヒト 免疫不全ウイルスなど)、バクテリア、寄生虫および真菌など)に対する応答性 を誘発または強化することができる。さらに、このような病原性作用剤に対する ワクチンの効能を増強することもできる。たとえば、T細胞においてD−3ホス ホイノシチドの産生を刺激する作用剤を、病原性作用剤に感染した被検体に投与 することができ、またはワクチンとともに投与して、ワクチンの抗原に対するT 細胞の応答性を強化することができる。別法として、病原性作用剤からの抗原を 発現する抗原付与細胞ならびに共刺激に関連する細胞内シグナルを刺激する作用 剤(PI3Kのアクチベーター)とともに、T細胞をインビトロで培養すること ができる。 さらに本発明のT細胞応答を刺激する方法は、CD28および/または共刺激 に関連する他の細胞表面分子(CTLA4など)を介するシグナル変換が不良で ある患者に適用することができる。たとえば、突発性血小板減少症を患っている 患者が、おそらく先天性欠陥であろうが、CD28介在性シグナル変換不良を呈 することが報告されている[ペレッツ−ブラス,M.らの(1991)Clin.Exp .Immunol.85:424〜428]。CD28シグナリング能力不全の患者にお いては、正常CD28連結によって生成する細胞内シグナルを刺激する1種また はそれ以上の作用剤を、患者のT細胞に接触させることによって、該不良をバイ パスし、CD28依存性T細胞活性化を回復することが可能である。たとえば、 CD28連結によるD−3ホスホイノシチドの産生が低下または欠如しているこ とによる不良をもつ患者を、T細胞においてD−3ホスホイノシチドの産生を刺 激する作用剤に患者からのT細胞を接触させることによって、治療することがで き る。 本発明のさらに別の態様は、PI3Kのインヒビターおよびアクチベーターを 同定するためのスクリーニングアッセイであり、それらを用いてT細胞応答をそ れぞれ阻害または刺激することができる。PI3Kは調節および触媒サブユニッ トからなるヘテロ二量体である。基質としてPtdIns(4,5)P2を優先 的に用い、ウォルトマンニンによって阻害しうる2つの形体の酵素が記載されて いる[オツ,M.らの(1991)Cell65:91〜104;ヒュー,P.らの (1993)Mol.Cell.Biol.13:7677〜7688;およびハイルス,I. D.らの(1992)Cell70:419を参照]。基質としてPtdInsを優 先的に用い、ウォルトマンニンによって阻害されない別の形体の酵素もまた記載 されている[スティーブンス,L.らの(1994)Curr.Biol.4:203〜2 14を参照]。PI3Kの特異的インヒビターまたはアクチベーターの同定は、 望まない逆の副作用を回避するための共刺激シグナルに必要とされるPI3Kの 好適な細胞内形体に対して特異的でなければならないことが認識されよう。した がって、共刺激に必要とされるPI3Kの形体(たとえば、ウォルトマンニンに よっても阻害しうる形体)を特異的に阻害または活性化する作用剤が好ましい。 ひとつの具体例において、本発明のスクリーニングアッセイは、T細胞におい て少なくとも1種のD−3ホスホイノシチド(PtdIns(3,4,5)P3 が好ましい)の産生をそれぞれ阻害または刺激する、PI3Kのインヒビターま たはアクチベーター能力に基づいている。PI3Kのインヒビターを同定するた めに、被検基質の存在あるいは不在下に、共刺激分子を結合する細胞表面受容体 を介してT細胞を刺激する(すなわち、共刺激シグナルを受容したT細胞)。好 ましくは、CD28を発現するT細胞をアッセイに用いる。別法として、CTL A4を発現するT細胞を用いてもよい。CD28またはCTLA4に対するリガ ンドに、T細胞を接触させることによって、T細胞における共刺激シグナルを刺 激することができる。該リガンドは、T細胞表面受容体に対する抗体よりもむし ろ膜結合B7−1またはB7−2などの生理学的リガンドであることが好ましい 。 天然にB7−1および/またはB7−2を発現する細胞を用いることができるが 、共刺激分子を発現するようにトランスフェクトされた細胞(CHO細胞など) を用いるのが、より好ましい。PI3Kのインヒビターの存在下に、共刺激分子 (CD28など)を結合する表面受容体を介するT細胞を刺激する結果として、 該インヒビターの不在下における刺激と比較して、T細胞におけるD−3ホスホ イノシチドの産生が低減化される。T細胞におけるD−3ホスホイノシチドの産 生は、当業者には公知の適当な方法のいずれかによって測定することができる。 たとえば、高圧液体クロマトグラフィーによって、T細胞におけるD−3ホスホ イノシチドの産生を測定することができる(実施例に記載)。別法として、薄層 クロマトグラフィーによってD−3ホスホイノシチドの産生を評価することがで きる[オカダ,T.らの(1994)J.Biol.Chem.269:3563〜3567 ]。細胞内産生を評価しえたD−3ホスホイノシチドとして、PtdIns(3 )P、PtdIns(3,4)P2およびPtdIns(3,4,5)P3が挙 げられる。被検基質の存在下に、T細胞におけるPtdIns(3,4,5)P 3の産生を検出するのが好ましい。 PI3Kのアクチベーターを同定するために、共刺激分子を結合する細胞表面 受容体を発現するT細胞を、被検基質と接触させる。T細胞において少なくとも 1種のD−3ホスホイノシチド(PtdIns(3,4,5)P3が好ましい) の産生を刺激する能力に基づいてPI3Kのアクチベーターを同定する。したが って、PI3Kアクチベーターの存在下において、T細胞におけるD−3ホスホ イノシチドの量は、基質不在下におけるT細胞中のD−3ホスホイノシチドの量 と比較して増加する。T細胞におけるD−3ホスホイノシチド[PtdIns( 3)P、PtdIns(3,4)P2およびPtdIns(3,4,5)P3] の産生は、高圧液体クロマトグラフィーまたは薄層クロマトグラフィーなどの標 準的方法によって評価することができる。 本発明スクリーニングアッセイの別の具体例においては、細胞から単離される PI3Kの活性を直接阻害または刺激するための基質の能力を評価し、次いで、 PI3Kのインヒビターまたはアクチベーターとして同定された基質を、T細胞 に接触させて、T細胞応答を阻害または刺激する基質の能力を決定する。たとえ ば、単離されたPI3Kを、放射標識されたホスフェートドナーおよび被検物質 の存在下に、基質(PtdIns(4,5)P2など)とともにインキュベート する。PI3Kのキナーゼ活性のインヒビターは、インヒビター不在下における リン酸化と比較して、基質のリン酸化を低下させるであろう。一方、アクチベー ターの不在下におけるリン酸化と比較して、アクチベーターは基質のリン酸化を 増加するであろう。次いで、このように同定されたインヒビターまたはアクチベ ーターを、T細胞に接触させて、インヒビターまたはアクチベーターのT細胞応 答(IL−2の産生など)の阻害または刺激能力をそれぞれ決定する。 さらに本発明は、実施例に記載するように、ジャーカット細胞および末梢血液 T細胞におけるCD28に関連する約67kDaのホスホチロシンプロテインに 関する。67Kと称するこの新規なタンパク質は、itk/emtプロテインチ ロシンキナーゼ、lckおよびPI3Kとは異なると考えられ、CD28に関連 するシグナル変換経路に含まれるようである。本発明の特定の具体例において、 該67Kが含まれるCD28シグナル変換経路は、たとえば、そのリン酸化の遮 断などによって67Kの活性化を遮断することによって阻害される。別法として 、該67Kに関連するシグナル変換経路は、67KとCD28の相互作用を阻害 することによって遮断される。本発明の別の具体例においては、67Kに関連す るシグナル変換経路は、67Kを活性化することによるかまたは67KとCD2 8の相互作用を刺激することによって刺激される。67Kを含むシグナル変換経 路の活性化または阻害を、上述の具体例のいずれかによって行うことができ、そ れによってT細胞応答が遮断されるかまたは別法においてはT細胞応答が刺激さ れる。 他の具体例 T細胞以外にも、CD28をその表面に発現する他のタイプの細胞が文献に記 載されている。このような細胞のタイプには、プラズマ細胞[コズボール,D.ら の(1987)J.Immunol.138:4128〜4132]および骨髄誘導マスト細 胞が含まれる。CD28を介する他のCD28+細胞の刺激によっても、該細胞 においてD−3ホスホイノシチドの産生および特異的細胞応答の発生が誘導され る。本発明方法による、これらの細胞におけるD−3ホスホイノシチドの阻害お よび活性化もまた、他のCD28+細胞型による応答を阻害または刺激するのに 有用である。 次の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定 されるものではない。本明細書に引用されたすべての参考文献、特許および特許 出願公報はすべて、本発明の引例文献である。実施例1 :CD28の連結はD−3ホスホイノシチドの産生を刺激する この実施例では、CD28またはCD3を介するジャーカット細胞の刺激によ るCD28+ジャーカット細胞におけるD−3ホスホイノシチドの産生を試験し た。次のようにしてジャーカット細胞をキャリヤーフリーの32Pオルトホスフェ ート(32Pi)で標識した:ジャーカット細胞をホスフェートフリーの培地(D MEM/RPMI)で3回洗浄し、37℃で10分間、洗浄の間に10分間イン キュベートした。細胞を20mMのHEPES,pH7.4および5%の透析し たコウシ血清(生理的食塩水で一夜透析)を含む10mlのホスフェートフリーの 培地に再懸濁した。細胞(1mCi/10ml細胞)にキャリヤーフリーの(32Pi )を加え、該細胞を37℃で4〜6時間インキュベートした。標識後、細胞をホ スフェートフリーの培地で3回洗浄し、20mMHEPESを含むRPMI16 40に再懸濁した。 種々の実験において、32Pi標識ジャーカット細胞(0.15ml;2×107 細胞)のアリコートを培地単独、抗CD3抗体(G19〜4)、抗CD28抗体 (9.3)、非トランスフェクトCHO細胞またはCD28を発現するようにト ランスフェクトされたCHO細胞(ヒトB7−1:CHO−B7−1またはヒト B7−2:CHO−B7−2のいずれか)で刺激した[Dr.G.フリーマンお よびL.ナドラーから入手;CHO細胞をヒトB7−1をコードするcDNA( 該 配列は、フリーマン,D.J.らの(1989)J.Immunol.143:2714〜 2722に開示されている)またはヒトB7−2をコードするcDNA配列(該 配列は、フリーマン,D.J.らの(1993)Science262:909〜91 1に開示されている)含有組換え発現ベクターによって標準的技術を用いてトラ ンスフェクトした]。CHO細胞を刺激するために、ジャーカット細胞を107 CHO細胞とともにインキュベートし、マイクロ遠心管による5秒間の低速度遠 心分離によって細胞の接触を達成した。刺激に続いて種々の時間間隔(約1〜2 5分間の範囲)において、細胞を溶解し、ホスホリピッドを抽出し、脱アシル化 し、アニオン交換HPLCによって分離した[基本的に、ウォード,S.G.ら の(1992)J.Immunol.22:45の記載に準じ、下記の変更を加えた]。 750mlのCHCl3/メタノール/水(32.6%/65.3%/2.1%v /v/v)を添加してインキュベーションを終了した。細胞の反応を停止するとすぐ に、次の抽出中を通じてサンプルを氷上で保持した。725mlのCHCl3(1 0mgのフロックリピッドを含有;たとえばシグマ,カタログNo.B1502か ら入手)および172mlの2.4MHCl、5mMの硫酸テトラブチルアンモニ ウムを各サンプルに加えることによって相分離を行った。サンプルを渦巻き撹拌 し、1000rpmで5分間遠心分離することによって相を分離した。下の相を 除去し、1/2容の1M HCl、25mM Na2EDTA,pH7.5、0. 5mM硫酸テトラブチルアンモニウムを管に加えた。サンプルを再遠心分離して 相を分離し、底の相を除去し、清浄な管に入れ、サンプルを減圧乾燥した。サン プルに1mlのメチルアミン試薬(40%水/メタノール/n−ブタノール(4: 4:1v/v/v)溶液)を加えて渦巻き撹拌し、53℃で40分間インキュベ ートして脱アシル化した。サンプルを氷上に置き、次いで減圧乾燥した。サンプ ルを0.5mlの滅菌蒸留水に再懸濁し、渦巻き撹拌して混合した。サンプルを0 .7mlのn−ブタノール(40〜60%石油エーテル/ギ酸エチル(20:4: 1v/v/v))で2回抽した。底の水相を減圧乾燥し、HPLC分析を行うま で−70℃で貯蔵した。緩衝液A(水)/B[1.25M(NH42HPO4] (H3 PO4にて25℃でpH3.8に調節)に基づく溶離勾配およびPartisphereS AXカラム(ワットマン社から購入)を用いてHPLCを行った。脱アシル化し たホスホリピッドサンプルを0.1mlの蒸留水に再懸濁し、該カラムに注入した 。溶出液をCanberra Packard A−500 Flo−Oneオンラインベータ線検出 装置に導入し、3部のFlo−ScintIVシンチレーションカクテルと混合し、結 果をFlo−Oneデータプログラム(ラジオマチック,USA)によって分析した。 溶出したピークを[3H]PtdIns、[3H]PtdIns(4)Pおよび[3 H]PtdIns(4,5)P2(アマーシャム・インターナショナル社から購 入)から調製した標準液の保持時間と比較した。ウォード,S.G.らの(19 92)J.Biol.Chem.267:23862の記載にしたがって、単離したホスファ チジルイノシトール3−キナーゼをPtdIns(シグマ社から購入)とともに インキュベートすることによって標準の[32P]PtdIns(3)P、[32P ]PtdIns(3,4)P2および[32P]PtdIns(3,4,5)P3を 調製した。 抗CD3または抗CD28抗体で1〜5分間刺激した後のジャーカット細胞に おけるPtdIns(3,4,5)P3の産生を第1図に示す。その結果から、 CD3またはCD28のいずれかを介する刺激はPtdIns(3,4,5)P3 の産生を誘発するけれども、2つの経路の誘発動力学は別々であることがわか る。CD3による刺激によって早期(すなわち2分以内)にPI3Kの活性化( PtdIns(3,4,5)P3の産生によって評価される)が増加する。逆に 、CD28刺激によって誘発されるPI3Kの活性化はCD3刺激による活性化 よりも遅く(すなわち5分あるいはそれよりも遅くまで最大にはならない)、C D3刺激による活性化よりも長く持続する。このような結果から、CD3または CD28連結のいずれかによって仲介されるPI3K活性化には別のメカニズム が含まれることが示される。 CHO−B7−1またはCHO−B7−2細胞で0〜20分間刺激した後のジ ャーカット細胞におけるPtdIns(3,4,5)P3の産生を第2図に示す 。 その結果から、B7−1またはB7−2のいずれかによる刺激は有効な活性化( PtdIns(3,4,5)P3の産生によって評価される)を誘発することが 示される。誘発の動力学は2つのCD28リガンドとはわずかに異なっている: B7−1とB7−2のプラトーは同じレベルであるが、B7−1はB7−2より も早期に活性化を刺激する。B7−1またはB7−2のいずれかによるPtdI ns(3,4,5)P3産生の刺激は非常に強く、持続的である(すなわち20 分以上継続する)。 この実施例は、CD28の天然リガンドであるB7−1およびB7−2または 抗CD28抗体のいずれかによるCD28を介するT細胞の刺激が、T細胞内に おいてD−3ホスホイノシチドの産生を誘発することを証明し、CD28連結に 基づくPI3Kの活性化が示される。さらに、この実施例は、ジャーカット細胞 がCTLA4-ではなくCD28+であり、CTLA4を発現するようには誘発さ れえないので[リンステン,T.の(1993)J.Immunol.151:3489〜 3499に示される]、CD28が通例B7−1とB7−2を生理的リガンドと して分けもつことを証明する。したがって、CTLA4は明らかにB7誘発シグ ナル変換において要求されず、B7−1とB7−2の両方がCD28に対する生 理的リガンドである。実施例2 :ホスファチジルイノシトール3−キナーゼインヒビターはCD28連 結によって誘発されるD−3ホスホイノシチドの産生を阻害する この実施例では、CD28が仲介するジャーカット細胞におけるD−3ホスホ イノシチドの産生に関するホスファチジルイノシトール3−キナーゼのインヒビ ターとしての効果を試験した。実施例1に記載したようにジャーカット細胞をオ ルトホスフェートで標識し、B7−2を発現するようにトランスフェクトさせた CHO細胞で刺激した。さらに、刺激を行っている期間中、種々の濃度(0〜1 00mM)の真菌代謝物ウォルトマンニン(ホスファチジルイノシトール3−キ ナーゼのインヒビターである)の存在下で細胞をインキュベートした。ウォルト マンニンはシグマ・ケミカル・コーポレイションから購入し、10mMのDMS O溶液として−40℃で貯蔵した。それを培養中の細胞に添加する直前に培地で 希釈した。ウォルトマンニンの存在あるいは不在下において刺激を行った後、実 施例1に記載したようにHPLCによって細胞内に産生されたPtdIns(3 ,4,5)P3の量を測定した。結果を第3図に示す。第3図はCHO−B7− 2で刺激する際にウォルトマンニン処理されたジャーカット細胞において検出さ れたPtdIns(3,4,5)P3の量を、CHO−B7−2で刺激された非 処理ジャーカット細胞において検出されたPtdIns(3,4,5)P3の量 に対するパーセントとしてプロットしてグラフ化したものである。その結果から 、ジャーカット細胞を濃度増加ウォルトマンニンで処理することにより、B7− 2によりCD28が連結した細胞において産生されるD−3ホスホイノシチドの 量が減少することが示される。したがって、この実施例は、T細胞内におけるホ スファチジルイノシトール3−キナーゼの活性を阻害することによって、CD2 8を介するT細胞の刺激の結果としての細胞内的D−3ホスホイノシチドの産生 を阻害しうることを証明している。実施例3 :CD28仲介カルシウム代謝における薬物的インヒビターの効果 この実施例では、CD28抗体によって誘発されるジャーカット細胞における カルシウム代謝速度に関する薬物的インヒビターの効果を試験した。研究した薬 物的インヒビターはPI3Kの活性を阻害するウォルトマンニンおよびプロテイ ンチロシンキナーゼの活性を阻害するハービマイシンAである。培地単独あるい はウォルトマンニンもしくはハービマイシンAの存在下のいずれかにおいて抗C D28抗体でジャーカット細胞を刺激し、細胞中の平均カルシウム濃度(nM) を刺激後数分にわたって測定した。第4図に示すように、ハービマイシンAはC D28抗体誘発カルシウム代謝を阻害する能力があった。逆に、ウォルトマンニ ンはCD28抗体誘発カルシウム流出を阻害することができなかった。これらの 結果は、T細胞におけるウォルトマンニンの効果が、カルシウム代謝を妨害する ことによって仲介されないことを示している。さらにそのうえ、B7−1または B7−2によって誘発されるIL−2の産生として測定されたところの“ウォル トマンニンが補刺激を阻害すること”を示している後記実施例5の結果、このデ ータは、CD28が誘発するカルシウム濃度上昇が、特異的にT細胞不応答(す なわちアネルギー)または共刺激を誘発する化合物の評価という目的に対して、 おそらく読み取りの誤りによるものであろうということを示している。実施例4 :天然のCD28リガンドによるカルシウム代謝の誘発 この実施例では、CHO−B7−1またはCHO−B7−2のジャーカット細 胞への接着ならびにCHO−B7−1およびCHO−B7−2による刺激に応じ たジャーカット細胞におけるカルシウム可動化を試験した。アベ,R.らの(1 992)J.Exp.Med.176:459〜468に記載されているフローサイトメト リー細胞カルシウム−コンジュゲートアッセイを用いた。該細胞コンジュゲート アッセイでは、カルシウム感受性蛍光プローブindo−1(青色および緑色の シグナルを発する)でT細胞を着色する。コントロールプラスミド(CHO−n eo)でトランスフェクトされたCHO細胞またはB7−1あるいはB7−2を 発現するようにトランスフェクトされたCHO細胞をトレーサー着色剤DilC 22(3)(赤色のシグナルを発する:モレキュラー・プローブ社から購入)で 着色する。ジャーカット細胞−CHO複合体をフローサイトメトリーによって分 析する。T細胞とCHO細胞からなる複合体は赤色のシグナルを補足することに よって測定でき、カルシウム濃度は青色または緑色のシグナルを補足することに よってT細胞内で測定できる。第5図に示すように、一連の2つのパラメーター の点プロットとして結果を表示する。カルシウム(indo−1比)をY軸に、 細胞複合体(赤色トレーサー)をX軸に示す。右上のカドラントにおける細胞は 、CHO細胞に複合したカルシウム濃度の高いジャーカット細胞を表す。右下の カドラントの細胞は、CHO細胞に複合したカルシウム濃度が正常であるジャー カット細胞を表す。左の上下のカドラントにおける細胞は、それぞれ高濃度また は低濃度のカルシウムを含む非複合ジャーカット細胞を表す。 データは、B7−1およびB7−2の両方がジャーカット細胞への接着を仲介 することができることを示している。しかし、両方のリガンドのカルシウム可動 化の増加を引き起こす能力は乏しい。したがって、B7−1およびB7−2は、 カルシウム可動化よりもPI3K活性化を誘発することにおける能力が高い(実 施例1参照)。逆に、抗CD28抗体は、PI3K活性化(実施例1参照)およ びカルシウム代謝(実施例3参照)の両方を刺激する能力がある。したがって、 刺激を天然のリガンド(B7−1またはB7−2など)を用いて行うか抗体を用 いて行うかによって、CD28の連結を介して発生する細胞内シグナルに違いが あると考えられる。ナンズ,J.らの(1993)Int.Immunol.5:311〜3 15に、CD28抗体が、T細胞のシグナル変換および活性化(IL−2の産生 など)という生化学的局面において多重かつ異種の効果をもつことが既に記載さ れている。これらの観察から、CD28に関するこれまでの結果からの外挿に基 づいてD−3代謝物の産生におけるCD28の天然のリガンド(すなわち膜結合 B7−1およびB7−2)生化学的効果を予測することは不可能であることがさ らに示される。実施例5 :ホスファチジルイノシトール3−キナーゼインヒビターはCD28の 連結によって誘発されるインターロイキン2の産生を阻害することが できる この実施例では、T細胞によるインターロイキン2のCD28依存性産生にお けるホスファチジルイノシトール3−キナーゼのインヒビターとしての効果を試 験した。最初の一連の実験では、ウォルトマンニンの不在下でのIL−2の産生 における、CD28を介するT細胞刺激の効果(CD3を介する刺激に関連して )を評価した。高純度ヒト末梢血液T細胞を、固定化抗CD3抗体(OKT3) 単独、または抗CD28抗体(9.3)あるいは非トランスフェクトまたはB7 −1またはB7−2を発現するようにトランスフェクトされたマイトマイシンC 処理CHO細胞とともに24時間インキュベートした。24時間培養後、ELI SAにて標準的技術を用いてIL−2産生について培養上清をアッセイした。第 6図に示すように、培地単独で、OKT3単独でまたはOKT3と非トランスフ ェクトCHO細胞とともにインキュベートされた細胞はIL−2を産生しなかっ た。 逆に、OKT3およびB7−1またはB7−2を発現するようにトランスフェク トされたCHO細胞とともに培養された細胞は、用量依存的にIL−2の産生を 刺激された。OKT3と9.3抗体との培養もまたIL−2の産生を刺激した。 これらの結果から、たとえばB7−1またはB7−2刺激によるCD28の連結 がリンホカイン産生に対する共刺激シグナルを提供することができることが確認 される。 次の一連の実験では、休止期ヒトT細胞をそれぞれ:1)固定化OKT3+C HO−B7−1,2、2)固定化OKT3+CHO−B7−2,3、3)固定化 OKT3+CHO−B7−1+B7−2、4)PMA+CHO−B7−1、また は5)PMA+B7−2で刺激した。培地単独中、またはウォルトマンニンを1 nM〜1mMの濃度で含有する培地中でT細胞の刺激を行った。培養の24時間 後、ELISAによってIL−2の産生について上清をアッセイした。結果を第 7A図および第7B図に示す。該結果は、ウォルトマンニンが、CD3刺激に関 連したB7−1またはB7−2のいずれかによって刺激されるIL−2の産生を 阻害することができることを示す。IL−2のウォルトマンニン仲介阻害は用量 依存性であった。B7−2仲介刺激の阻害のID50は約10nMであった。B7 −1仲介刺激の阻害のID50は10〜100nMであった。これらのウォルトマ ンニンの用量は細胞に対して一般的に毒性ではなく、非特異的メカニズムによる IL−2の産生を阻害しない。PMAおよび膜結合B7−1またはB7−2によ って刺激されるによって刺激されるIL−2の産生が、1mMという高濃度のウ ォルトマンニンによって阻害されないという事実が証拠である。この実施例は、 TCR/CD3複合体およびCD28を介する刺激に応じたIL−2の産生によ って評価されるように、T細胞内のホスファチジルイノシトール3−キナーゼの 活性を阻害する作用剤でT細胞を処理することによってT細胞の活性化を阻害し うることを証明する。実施例6 :抗CD28またはCD28の天然のリガンドで刺激したジャーカット 細胞のPI3K活性化へのハービマイシンの異なる効果 PI3キナーゼ活性化の意味を評価するため、ジャーカットT細胞(20×1 06細胞)を抗CD28mAb9.3(10μg)またはB7−1またはB7−2 (10×106細胞)を発現しているCHO細胞で刺激した。該細胞を実施例1 で記載したように32Pオルトホスフェートで標識し、ついでビヒクル希釈薬また は3μMのハービマイシンAを含む培地で前もってインキュベートした。5分後 、該細胞は溶解し、PI3キナーゼを実施例1に記載したようにHPLCによっ て、PtdIns(3,4,5)P3の測定により評価した。 該結果を図8に示す。9.3抗体で刺激したジャーカット細胞によるPtdI ns(3,4,5)P3の産生をハービマイシンの前処置によって妨げた。予期せ ず、PtdIns(3,4,5)P3の産生によって測定されたようにPI3キナ ーゼ活性を誘発したB7−1およびB7−2はハービマイシンの前処置に耐性を 示した。これらの結果は、CD28によってPI3キナーゼの活性に関するハー ビマイシンの独立した経路が存在することを示し、さらにハービマイシンは様々 なsrcファミリーキナーゼを抑制することを示しているのでCD28はsrc ファミリープロテインチロシンキナーゼから独立してPI3キナーゼを活性化す ることができることを示す。 この両分をさらに調査するため、20×106ジャーカット細胞を9.3mAb (10μg)または10×106CHO−B7−1細胞で刺激した。該細胞をハー ビマイシンA 3μMまたはビヒクル内で前もってインキュベートした。該CD 28 mAbにさらにヤギ抗マウスIgGを結合させ、該細胞を5〜10分後溶 解した。PI3キナーゼ活性化はイン・ビボリピッドキナーゼアッセイを使用し て薄層クロマトグラフィーによって評価した(ウォード(Ward,S.G.)ら(1 995)Eur.J.Immunol.25:526−532に記載のように)。 該結果を図9に示す。抗CD28 9.3mAbおよびCHO−B7細胞の両者 は、コントロールレーンと10分後の9.3mAbレーンおよび5分後のB7レ ーンとの比較から明らかなようにPI3キナーゼ活性を誘発する。再び、PIの 反対のキナーゼの産物は9.3mAb刺激後ハービマイシンによって抑制され、 B7刺激後ハービマイシンに耐性を示した。 従って、ハービマイシンは抗CD28で刺激したジャーカット細胞でPI3K のハービマイシンの活性化を遮断するが、CHO−B7−1またはCHO−B7 −2細胞で刺激したジャーカット細胞においては遮断せず、CD28によるPI 3キナーゼの活性化のハービマイシンの独立した経路が存在することを示した。実施例7 :T細胞によるIL−2の分泌へのヘルビマイシンの異なる効果 さらに、CD28受容体ライゲーションに関するシグナル変換経路を決定する ため、CD28+T細胞(抹消血T細胞のネガティブセレクションによって調製 した)を種々の濃度のハービマイシン(0.1〜3μM)にて一晩培養し、つい でPMAを3ng/mlだけまたは、1μg/mlの溶液内のmAb 9.3、m Ab9.3コートしたビーズ、0.08μg/mlのイオノマイシン、CHO−B 7−1またはCHO−B7−2細胞で刺激した。上清を24時間後に回収し、E LISAによってIL−2含有を分析した。 該結果を図10パネルAに示す。該結果はPMAプラス9.3mAbが誘発し たIL−2分泌が約0.2μMのID50を有するハービマイシンに感受性を有す ることを示す。同様に、PMAプラスCHO−B7−1細胞によって誘発したI L−2分泌はまたハービマイシンにも感受性があった。対照的に、IL−2分泌 は細胞が3μMより大きいID50を有するPMAプラスイオノマイシンで刺激し た場合、完全に耐性があった。ハービマイシンによる抑制のメカニズムをさらに 試験するため、細胞をイオノマイシンの存在下または不在下でも刺激した。PM Aプラスイオノマシインプラス9.3mAbで刺激した細胞におけるIL−2分 泌はハービマイシン、3μMのハービマイシンAにさえ完全耐性となる。 さらにハービマイシン感受性および耐性を有するIL−2分泌の結果を試験す るため、T細胞を、CHO−B7−1もしくはCHO−B7−2細胞またはイオ ノマイシンの存在下もしくは不在下にて9.3mAbを有するビーズに不動化し たCD3抗体OKT3で刺激した。上清を24時間後に回収し、ELISAによ ってIL−2の量を決定した。 該結果を図10パネルBに示す。PMAおよびB7−1またはB7−2でのT 細胞の刺激による結果のハービマイシンに対して感受性を有すると分かったIL −2分泌に反して、PMAが抗CD3で置換された場合、IL−2分泌はハービ マイシンに完全に耐性を有すると分かった。これらの結果は、CD28はハービ マイシン耐性IL−2分泌をシグナルの状況に依存して開始することができるこ とを示す。T細胞がカルシウムシグナル(すなわち、PMAプラス抗CD28) を開始しないような方法で活性化された場合、IL−2分泌はハービマイシンに 感受性を有する。T細胞がカルシウムシグナル(すなわち、PMAプラスイオノ マイシンプラスB7または抗CD28)の存在下で活性化された場合、該シグナ ルはハービマシンに対して耐性を示した。これはCD28はハービマイシン感受 性のチロシンキナーゼによって提供される不可欠なシグナルを必要としないかま たは代わって、CD28によって開始される不可欠なチロシンキナーゼカスケー ドの必要性を無視することができるかもしれないことを示している。実施例8 :CD28に関連した67kDaのチロシンホスホプロテインの同定 現在までに、CD28と物理的な関連を示す唯一報告されたプロテインはPI 3キナーゼ(トルイット(Truitt,K.E.)ら(1994)J.Exp.Med.179 ;1071−1076)およびsrcファミリーキナーゼlck(オーガ スト(August,A.)およびデュポン(Dupont,B.)(1994)Biochem. Biophys.Res.Commun.199:1466−1473)である。CD28媒 介シグナル変換をさらに研究するため、CD28と物理的に関連のあるタンパク 質に関するジャーカット細胞およびT細胞において研究を開始した。細胞を何度 も9.3mAbで刺激し、NP−40清浄剤で溶解し、ブドウ球菌タンパク質A で免疫沈降した。該免疫沈降物を洗浄し、抽出しついで還元条件のもとでSDS −PAGEによって分離した。トランスファーの後、西洋ワサビペルオキシダー ゼとともに抗ホスホチロシンAb4G10を使用してイムノブロットを行った。 チロシンリン酸化タンパク質をECLを使用して化学発光によって同定した。 該結果を図11に示すが、これはイムノブロットのオートラジオグラフィーを 示している。〜67kDaの相対的な移動を示すバンドをCD28免疫沈降物内 に同定した。ホスホプロテインに対応するバンドはCD28刺激後3分以内にジ ャーカット細胞に即座に現れた。同様のまたは同一のタンパク質をT細胞幼若細 胞において同定した。このタンパク質はitk/emtプロテインチロシンキナ ーゼではないようであった。というのはitkに対する抗体はCD28免疫沈降 物内にitkを明らかにしないからである。さらにその上、このCD28関連タ ンパク質の分子量がlckまたはPI3と一致していない。 従って、該結果は約67kDaの新規なホスホチロシンタンパク質がCD28 を通じて刺激したジャーカット細胞およびT細胞幼若細胞内におけるCD28と 関連を有することを示す。 均等物 当業者は、本明細書に記載の発明の特定の態様に均等な多くのものについて認 識するか、常套的な実験を使用するだけで確認することができるであろう。その ような均等物は以下の請求の範囲に包含するよう意図されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI G01N 33/50 9051−4C A61K 37/52

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.T細胞をT細胞内のD−3ホスホイノシチドの産生を抑制する作用剤と接 触させることからなる、共刺激分子に結合する細胞表面受容体を発現しているT 細胞によって応答を抑制する方法。 2.請求項1の作用剤がホスファチジルイノシトール3キナーゼの阻害剤であ る方法。 3.請求項2に記載の方法で、ホスファチジルイノシトール3キナーゼの阻害 剤がウォルトマンニン(wortmannin)、クエルセチンおよびLY294002よ りなる群、およびその類縁体の誘導体から選択される方法。 4.T細胞による応答に少なくとも1つのリンホカインの産生を含む請求項1 に記載の方法。 5.リンホカインがインターロイキン−2である請求項4に記載の方法。 6.T細胞による応答に増殖を含む請求項1に記載の方法。 7.請求項1の方法であって、さらにT細胞をT細胞内のプロテインチロシン リン酸化を抑制する第2の作用剤と接触させることを含む方法。 8.第2の作用剤がプロテインチロシンキナーゼの阻害剤である請求項7に記 載の方法。 9.プロテインチロシンキナーゼの阻害剤がハービマイシンAまたは誘導体ま たはその類縁体である請求項8に記載の方法。 10.第2の作用剤がチロシンホスファターゼまたはチロシンホスファターゼ の活性化物質である請求項7に記載の方法。 11.チロシンホスファターゼが細胞性チロシンホスファターゼである請求項 10の方法。 12.細胞性チロシンホスファターゼが、CD45またはHcphである請求 項11に記載の方法。 13.第2の作用剤がCD45に結合し活性化させる分子である請求項12に 記載の方法。 14.第2の作用剤が抗CD45抗体またはその断片である請求項13に記載 の方法。 15.T細胞を抗原およびT細胞内のD−3ホスホイノシチドの産生を抑制す る作用剤と接触させることからなる、共刺激分子に結合する細胞表面受容体を発 現しているT細胞における抗原に対しての不応答性を誘発する方法。 16.抗原がホスファチジルイノシトール3キナーゼの阻害剤である請求項1 5記載の方法。 17.請求項16に記載の方法で、ホスファチジルイノシトール3キナーゼの 阻害剤がウォルトマンニン、クエルセチンおよびLY294002よりなる群、 およびその類縁体の誘導体から選択される方法。 18.抗原がアロ抗原である請求項15に記載の方法。 19.抗原が自己抗原である請求項15に記載の方法。 20.イン・ビトロでT細胞を抗原および作用剤と接触させ、さらにT細胞を 被験体に投与することを含む方法である請求項15に記載の方法。 21.抗原が同種または異種細胞の表面上にあるおよび被験体が同種または異 種細胞の受容体である請求項20に記載の方法。 22.被験体が自己免疫疾患または不適切または異常な免疫応答に関連した疾 患を患っている請求項20に記載の方法。 23.第1次活性化シグナルを受け、T細胞をT細胞内のD−3ホスホイノシ チドの産生を刺激する作用剤と接触させることからなる、共刺激分子に結合する 細胞表面受容体を発現しているT細胞によって応答を刺激する方法。 24.作用剤がホスファチジルイノシトール3キナーゼの活性化物質である請 求項23に記載の方法。 25.T細胞による応答に少なくとも1つのリンホカインの産生を含む請求項 23に記載の方法。 26.リンホカインがインターロイキン−2である請求項25に記載の方法。 27.T細胞による応答に増殖を含む請求項23に記載の方法。 28.T細胞をT細胞内のプロテインチロシンリン酸化を刺激する第2の作用 剤と接触させることをさらに含む請求項23に記載の方法。 29.第2の作用剤がプロテインチロシンキナーゼの活性化物質である請求項 28に記載の方法。 30.第2の作用剤が細胞性チロシンホスファターゼである請求項28の方法 。 31.細胞性チロシンホスファターゼがCD45である請求項30に記載の方 法。 32.T細胞を抗原およびT細胞内のD−3ホスホイノシチドの産生を刺激す る作用剤と接触させることからなる、共刺激分子に結合する細胞表面受容体を発 現しているT細胞による抗原に対しての応答を刺激する方法。 33.作用剤がホスファチジルイノシトール3キナーゼである請求項32に記 載の方法。 34.抗原が腫瘍関連抗原である請求項32に記載の方法。 35.抗原が細菌、ウイルス、菌類および寄生体よりなる群から選択された病 原由来のものである請求項32に記載の方法。 36.イン・ビトロでT細胞を抗原および作用剤と接触させ、さらにT細胞を 被験体に投与することを含む方法である請求項32に記載の方法。 37.抗原が被験体に存在する腫瘍細胞によって発現されている請求項36に 記載の方法。 38.抗原が被験体に存在する病原によって発現されている請求項36に記載 の方法。 39.ホスファチジルイノシトール3キナーゼの阻害剤を同定する方法であっ て、a)共刺激分子に結合する受容体を発現しているT細胞を提供し、 b)試験しようとしている作用剤の存在下で受容体のライゲーションに関連した T細胞における細胞内シグナル変換経路を刺激し、ついで、 c)T細胞内に産生される少なくとも1つのD−3ホスホイノシチドの量を決定 する [該作用剤の存在下でT細胞において産生される少なくとも1つのD−3ホスホ イノシチドの量が該作用剤の不在下でT細胞内に産生される量に比較して少ない ことは該作用剤がホスファチジルイノシトール3キナーゼの阻害剤であることを 示している] の工程からなる方法。 40.受容体がCD28である請求項39に記載の方法。 41.T細胞をCD28のリガンドと接触させる請求項40に記載の方法。 42.CD28のリガンドがB7−1およびB7−2よりなる群から選択され たBリンパ球活性化抗原の膜結合形態である請求項40記載の方法。 43.T細胞内の少なくとも1つのD−3ホスホイノシチドの産生が高圧液体 クロマトグラフィーによって測定される請求項39に記載の方法。 44.ホスファチジルイノシトール3キナーゼの活性化物質を同定する方法で あって、 a)試験しようとしている作用剤と共刺激分子に結合する受容体を発現している T細胞を接触させ、ついで、 b)T細胞内に産生される少なくとも1つのD−3ホスホイノシチドの量を決定 する [該作用剤の存在下でT細胞において産生される少なくとも1つのD−3ホスホ イノシチドの量が該作用剤の不在下でT細胞内に産生される量に比較して多いと いうことは該作用剤がホスファチジルイノシトール3キナーゼの活性化物質であ ることを示している] の工程からなる方法。 45.T細胞内の少なくとも1つのD−3ホスホイノシチドの産生が高圧液体 クロマトグラフィーによって計測される請求項44に記載の方法。 46.T細胞をT細胞におけるプロテインセリンリン酸化を抑制する第2の作 用剤と接触させることをさらに含む請求項1に記載の方法。 47.T細胞をT細胞におけるプロテインセリンリン酸化を抑制する第3の作 用剤と接触させることをさらに含む請求項7に記載の方法。 48.T細胞をT細胞におけるプロテインチロシンリン酸化を抑制する第2の 作用剤と接触させることをさらに含む請求項15に記載の方法。 49.T細胞をT細胞におけるプロテインセリンリン酸化を抑制する第2の作 用剤と接触させることをさらに含む請求項15に記載の方法。 50.T細胞をT細胞におけるプロテインセリンリン酸化を抑制する第3の作 用剤と接触させることをさらに含む請求項48に記載の方法。 51.T細胞をT細胞におけるプロテインセリンリン酸化を刺激する第2の作 用剤と接触させることをさらに含む請求項23に記載の方法。 52.T細胞をT細胞におけるプロテインセリンリン酸化を刺激する第3の作 用剤と接触させることをさらに含む請求項28に記載の方法。 53.T細胞をT細胞におけるプロテインチロシンリン酸化を刺激する第2の 作用剤と接触させることをさらに含む請求項32に記載の方法。 54.T細胞をT細胞におけるプロテインセリンリン酸化を刺激する第2の作 用剤と接触させることをさらに含む請求項32に記載の方法。 55.T細胞をT細胞におけるプロテインセリンリン酸化を刺激する第3の作 用剤と接触させることをさらに含む請求項53に記載の方法。 56.CD28および活性化したT細胞におけるチロシンリン酸化に関連する 約67kDaの単離したタンパク質。
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