JPH0971409A - 無機保護膜およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

無機保護膜およびそれを用いた磁気記録媒体

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JPH0971409A
JPH0971409A JP7230349A JP23034995A JPH0971409A JP H0971409 A JPH0971409 A JP H0971409A JP 7230349 A JP7230349 A JP 7230349A JP 23034995 A JP23034995 A JP 23034995A JP H0971409 A JPH0971409 A JP H0971409A
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film
inorganic
protective film
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JP7230349A
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Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Makoto Nagao
信 長尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化することによってシリカに転化するポリ
シラザンを用い、塗膜法によって無機保護膜を形成する
について、表面の平滑化による摩擦抵抗の増大で低下す
る走行性を改善する。 【解決手段】 ポリシラザン塗膜の酸化処理による無機
酸化物皮膜中に、微粒子を含有させて表面に凹凸を有す
る無機保護膜を形成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、素材表面の機械特
性や耐摩耗性を改良する無機保護膜に関する。またこの
無機保護膜を用いた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、ハードディスク等の磁気記
録媒体においては高密度記録に適した強磁性金属薄膜を
磁性層とする磁気記録媒体が実用化されている。このよ
うな強磁性金属薄膜を磁性層とする磁気記録媒体は、高
い磁気エネルギーを容易に達成できると同時に、非常に
平滑な表面性を達成できるためスペーシングロスが少な
く、高い電磁変換特性を有する特徴がある。
【0003】しかし、これらの強磁性金属薄膜型の磁性
層は従来の塗布型の磁性層と比較し、磁気ヘッド等との
摺接による磨耗が大きく走行耐久性に問題があった。そ
こで、この磁性層の上にシリカ、ジルコニア等の無機酸
化物や炭素の保護膜を形成し、耐磨耗性を向上させる方
法が一般的に用いられている。
【0004】しかし、最近最も注目されている炭素保護
膜はスパッタリング法や化学気相反応法(CVD)など
の真空成膜法で作成するため、成膜速度が遅く、かつ量
産性に欠けるという問題がある。
【0005】さらに真空成膜法で作成された保護膜は被
覆性が十分とはいえず、基板が複雑な凹凸を有する形状
である場合にはピンホールを生じることが多い。特にこ
の傾向は保護膜の厚みが薄いほど顕著となり、磁気記録
媒体の保護膜のように20nm以下の膜厚の保護膜の場
合には耐食性の改善度合いが低くなるなどの問題があっ
た。また無機酸化物保護膜も真空成膜法で作成する場合
には、炭素保護膜と同様の問題がある。このような問題
を解決する方法としては、保護膜を塗布法で作成する方
法があげられる。このような塗布法による手法では生産
性が改善され、適切な塗布方法を選択することによって
基板の形状に関わらず、薄膜においてもピンホールのな
い保護膜を作成することができる。このような方法とし
ては、無機酸化物保護膜をゾルゲル法で作成する方法が
あげられる(特開昭52−20804 号、特開平7−161031
号、特開平7−161032号参照)。さらに、ゾルゲル法で
はシリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニアやこれらの
複合酸化物など様々な組成の無機酸化物保護膜を作成す
ることが可能である。
【0006】しかし、この場合、ゾル溶液を塗布し乾燥
した後の塗膜(乾燥ゲル膜)がポーラスであるために、
十分に緻密な膜を得るためにはある程度高温で焼成しな
ければならず、好ましくは500℃以上の加熱が必要と
なる。従って、このような手法は金属やガラス基板上に
作成されたハードディスクにおいても熱的に厳しい処理
が必要となり、プラスチック支持体上に作成されたフレ
キシブル媒体に応用することはかなり困難である。ま
た、ゾルゲル法においては良好なシリカ皮膜を作成する
ためにはアルコキシドなどの出発原料の加水分解速度と
重合速度を調整するための酸触媒が必要となるが、これ
は磁性層の耐食性を劣化させたり、製造装置の腐食を生
じる問題があった。
【0007】その他の方法としてはポリマーを溶解した
溶液を塗布乾燥するか、モノマーを溶解した溶液を塗布
した後、例えば電子線によって重合させて高分子の保護
膜を形成する方法が知られている(例えば、特開平6−
50564 号公報参照)。しかしこの場合、磁気記録媒体の
ように摺動部材が金属やセラミックスのような比較的硬
質な材料である場合には、高分子の硬化皮膜では耐摩耗
性が不足し、摺動時の耐久性に劣るという問題があっ
た。
【0008】さらにこのような塗膜法によって保護膜を
作成する場合、表面の凹部を埋めることで皮膜性が良
く、ピンホールが少ない皮膜が得られ、表面が平滑化で
きるという長所がある反面、この特性故に表面が平滑に
なりすぎるため、摺動時に実接触面積の増大を招き、摩
擦係数が増大することがあった。この摩擦係数の増大に
伴って、摺接面が相互に滑りがたくなって、両者の耐久
性に悪影響を与える恐れがある。
【0009】この問題は基板の表面粗さを粗くし、保護
膜表面の表面粗さを制御することで解決できるが(特開
昭61−229227号、特開昭61−73227 号参照)、この場合
には、摺動時の接触部となる凸部の保護膜の膜厚が他の
部分よりも薄くなってしまい、保護膜としての基本的な
摺動特性の改善効果が少なくなる。特に、磁気記録媒体
の場合、保護膜の膜厚がヘッドと磁性膜間の間隙となっ
て直接電磁変換特性に影響を与えるため、前記のような
問題は特に重要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では、
ポリシラザン塗膜の酸化膜による無機酸化物皮膜の保護
膜は、比較的低温で成膜できること、強度が高く保護膜
として有効であること、皮膜形成性がよいことなどの特
徴があるので、薄くて丈夫で均一な皮膜であることが要
求される磁気記録媒体、特に強磁性金属薄膜用の保護膜
として適用せんとするものであるが、その皮膜形成性に
伴って得られる皮膜表面が極めて平滑化可能であること
から、この皮膜表面の平滑化によって前述のような摺動
における実接触面積が増大して摩擦係数が大きくなり、
この保護膜に接触して摺動する摺接面の走行耐久性が劣
化する恐れがある。
【0011】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あって、基板の形状に依存せず、保護膜表面の摺動時の
摩擦係数を低減し、耐久性や耐食性を改善した無機保護
膜およびそれを用いた磁気記録媒体を提供せんとするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の無機保護膜は、塗布により形成したポリシラザン皮
膜を酸化処理してなる無機酸化物皮膜中に微粒子を含有
したことを特徴とするものである。
【0013】また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体の少なくとも一方の面に形成した磁性層の表面に、
無機酸化物皮膜中に微粒子を含有した無機保護膜を形成
したことを特徴とするものである。
【0014】上記磁気記録媒体においては、好ましく
は、磁性層が真空成膜法で形成される強磁性金属薄膜で
あって、前記無機保護膜の厚さが3nm以上30nm以
下であり、さらに、前記微粒子は無機物でモース硬度が
3以上でかつその粒子径が5nm以上40nm以下、特
に5nm以上20nm以下である。
【0015】上記無機保護膜における無機酸化物皮膜
は、ポリシラザン塗膜を酸化処理した酸化ケイ素皮膜で
あり、ケイ素原子と酸素原子が強固に結合したネットワ
ークを形成した連続皮膜を構成している。
【0016】また、微粒子は、酸化物、窒化物、炭化物
等による無機微粒子または有機物による有機微粒子であ
り、大きさおよび皮膜中の含有量は、被保護物に対する
保護膜に期待される機能により相違するので一概には決
められない。この微粒子(フィラー)は、その添加によ
り保護膜表面に凹凸を形成し、摺接における実接触面積
を減少させ、摩擦係数を低減する。また、微粒子が前記
無機酸化物皮膜よりも硬質な材料である場合には、さら
に耐摩耗性が向上し好適である。
【0017】使用できる微粒子の材料としては、酸化ケ
イ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化
ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニ
ア)、酸化クロム等の無機酸化物、カーボンブラック、
ダイヤモンド状炭素、ダイヤモンド等の炭素、ポリスチ
レン等の有機物等の粒子があげられる。
【0018】添加する微粒子の直径は、無機酸化物皮膜
の膜厚の等倍から3倍程度のものが均一な表面を得る上
で好ましいが、膜厚より小さいものでも表面に凹凸を作
成することは可能であるので使用できる。添加量は用
途、目的に大きく依存するため最適化する必要がある。
【0019】例えば、磁気記録媒体の無機保護膜に添加
する場合には、微粒子の直径が前述のように5〜40n
m程度のものが好ましく、特に、5〜20nm程度のも
のがさらに好ましい。微粒子の直径がこの範囲より小さ
くなると、表面エネルギーの増大によって凝集を起こし
やすくなるし、仮に溶液中に分散できても凹凸の形成が
困難である。一方、微粒子の直径がこれより大きい場合
には、無機保護膜の最大厚さが大きくなってヘッド−磁
性膜間の間隙が増大し、スペーシング損失による電磁変
換特性が劣化するため好ましくない。
【0020】前記ポリシラザン皮膜の酸化処理として
は、加熱処理、光照射処理、活性酸素またはオゾンと接
触させる処理であり、この酸化処理により酸化ケイ素皮
膜(シリカ保護膜)が形成される。
【0021】
【発明の効果】上記のような本発明によれば、無機保護
膜によって良好な保護膜機能を得るとともに、無機酸化
物皮膜に微粒子を含有することで、無機保護膜の表面に
微小な凹凸を付して皮膜表面の摩擦係数が低下し、保護
膜形成による実接触面積の増大に伴う摩擦係数の上昇を
防止して、適度の滑り性を与えてその材料の使用目的に
あった耐久性を有する無機保護膜となる。
【0022】また、ポリシラザン塗膜によって無機保護
膜を形成していることで、スパッタリング法などの真空
成膜法よりも優れた生産性および耐食性を達成し、さら
にアルコキシシラン等を出発原料としたゾルゲル法より
も低温で緻密で高い機械強度を有する無機保護膜の作成
が可能となる。また、ポリシラザンを出発原料として用
いることで、ゾルゲル法の様に酸触媒を不要としたた
め、磁気記録媒体の耐食性を損なったり、製造装置の腐
食が防止できる。さらに、ガラス、金属はもとよりポリ
エチレンテレフタレート等のプラスチック基板、非磁性
支持体や高分子塗膜、磁性層などの熱を加えることによ
って変形や分解が生ずるおそれのある素材上に無機保護
膜を作成することが可能となる。このようにして作成さ
れた無機保護膜は、機械強度、ガスの遮蔽性に優れるた
め、ハードコート、防食皮膜、ブロッキング防止皮膜、
絶縁皮膜など様々な用途に使用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の無機保護膜の実
施の形態を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0024】本例の無機保護膜は基板(被保護物)の表
面に、微粒子(フィラー)を含有したポリシラザンの塗
膜を形成した後、この塗膜に酸化処理を施すことによっ
て、無機酸化物(酸化ケイ素)皮膜中に微粒子を含有
し、表面に凹凸を有する無機保護膜(以下、シリカ保護
膜)を形成したものである。
【0025】前記のポリシラザンは、 (−SiH2 −NH−)n の主鎖構造を有する含珪素ポリマーであり、実際の構造
例としては下記に示すものが挙げられる。このようなポ
リシラザンは、例えば、特公昭63−16325号公報
に記載された方法で合成することができる。
【0026】
【化1】
【0027】このポリシラザンは空気中で酸化すると酸
化ケイ素になるため、シリカ保護膜作成の出発原料とし
て使用できる。そして、前述のゾルゲル法等と比較する
と、シリカ保護膜の前駆体であるポリシラザン塗膜の密
度が、ゾルゲル法での前駆体である乾燥ゲル膜と比較し
て高いため、分解したときの体積変化が少なく、クラッ
クを生じにくい。従って一回の塗布で作成できるシリカ
膜の臨界膜厚が厚いこと、低温でも比較的緻密なシリカ
膜が得られるなどの特徴を有する。
【0028】特に、ポリシラザン塗膜の酸化処理におい
て、加熱によって酸化ケイ素に転化する場合にはその転
化温度は400 ℃以上、易分解タイプのものでは250 ℃以
上であり、プラスチック基板などの熱の影響を受けやす
いものについては、紫外線等の光照射、または、活性酸
素もしくはオゾンを接触させることによって酸化反応を
行い、酸化ケイ素への転化温度が低く、室温に近い低温
でも良好なシリカ保護膜が得られる。これに伴い、シリ
カ保護膜を形成し得る素材としては、ポリエチレンテレ
フタレートやポリエチレンナフタレートのように比較的
低温で変形するような素材のほか、金属、ガラス等の種
々の素材に作成可能である。
【0029】作成するシリカ保護膜の厚みは3nm以上
が好ましく、2μm以上のシリカ保護膜を作成する場合
には、1μm程度のシリカ保護膜を複数回積層する方法
で作成するのが好ましい。このようにする事によって均
一な膜厚のシリカ保護膜が容易に作成でき、また乾燥後
のクラックも防止できる。
【0030】また、磁気記録媒体のシリカ保護膜として
用いる場合には、このシリカ保護膜の厚みは3nm〜3
0nmが好ましく、さらに好ましくは5nm〜20nm
である。これより薄いと保護膜としての機能が十分に発
揮されず、逆にこれよりも厚いと、ヘッド−磁性層間の
スペーシングが増大し、再生出力の低下を招く。
【0031】上記ポリシラザン塗膜を作成する方法とし
ては、前記原料を有機溶剤に溶解した溶液をワイヤーバ
ー法、グラビア法、スプレー法、ディップコート法、ス
ピンコート法等の手法によって磁性層上に塗布した後、
乾燥すればよい。このときの塗布液濃度、溶液の塗布量
を調整することでポリシラザンの膜厚を調整することが
できる。
【0032】ポリシラザンを溶解する溶剤はキシレン、
トルエン、ベンゼン、THFなどが使用できるが、エタ
ノール等のアルコール類はポリシラザンと反応してしま
うため、使用できない。
【0033】本例において微粒子を含有させる方法とし
ては、予め基板上に微粒子を塗布しておき、この上にポ
リシラザンを重ねて塗布する方法か、微粒子がキシレン
やトルエンなどのポリシラザンと反応しない溶剤に分散
されたものであれば、ポリシラザン溶液中に直接添加し
て塗布する方法があげられる。
【0034】本例でポリシラザンに加熱で酸化を行う方
法としては、基板上にポリシラザンと微粒子を塗布した
後、水および酸素の存在する雰囲気中で150℃以上、
好ましくは200℃以上に保持する方法があげられる。
【0035】また、紫外線などの光を照射させて酸化を
行う場合には、例えば紫外線ランプにポリシラザン塗膜
を暴露する方法があげられる。光源としては紫外線が好
ましく、特に185nm等の200nm以下の波長成分
を有する低圧水銀ランプやエキシマーランプなどが酸化
処理時間が短縮できるため好ましい。
【0036】また、活性酸素またはオゾンと接触させる
方法では、ポリシラザン塗膜をオゾンと接触させる方
法、減圧下で酸素プラズマと接触させる方法、大気中で
火炎処理する方法などがあげられる。接触させるオゾン
は放電法、紫外線照射法、放射線照射法を応用した一般
的な発生装置によって作成できる。酸化処理にオゾンを
使用する場合のオゾンの濃度は特に限定されないが、酸
化処理を効率的に行うためには1〜100g/m3 (5
00〜50000ppm )、好ましくは5〜50g/m3
(2500〜25000ppm )である。またオゾンとの
接触時間は数秒から数分で酸化処理が可能である。
【0037】上記光照射や活性酸素と接触させる場合に
は、基板温度が室温近傍でも酸化が可能なため、プラス
チック基板等の耐熱性の低い基板にも使用することがで
きる。しかし処理速度を改善するためには基板加熱を行
うことが好ましく、その加熱温度は基板等に変形などの
影響を与えない範囲で設定する。たとえば基板にポリエ
チレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用
い、この基板裏面を加熱ローラに密着させながら、基板
表面に設けたポリシラザン塗膜を酸化処理する場合にお
いては、100℃前後に加熱すると基板に影響を与え
ず、処理速度を速めることができる。
【0038】以下では、上記のような無機保護膜を、ポ
リエチレンテレフタレート等を非磁性支持体とした磁気
テープや磁気ディスク等の磁気記録媒体の磁性層の保護
膜として応用した実施の形態について説明する。
【0039】本例の磁気記録媒体で使用する非磁性支持
体としては、フレキシブル媒体の場合には高分子フィル
ム、リジット媒体の場合にはガラス基板やアルミ基板が
使用できる。フレキシブル媒体の場合には厚さ3〜75
μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド
等のフィルムが好ましい。また、支持体の内部または表
面に微粉体(フィラー)を含有し、この支持体の表面に
凹凸を形成したものでも良い。
【0040】本例の磁気記録媒体における磁性層となる
強磁性金属薄膜は、従来より公知の真空成膜法、例え
ば、真空蒸着法、スパッタリング法等が使用できる。斜
め真空蒸着法における走行速度は通常、20m/分以
上、好ましくは50〜200m/分の範囲である。ま
た、この斜め真空蒸着法の場合は、蒸着室の真空度は通
常、5×10-5torr以下、好ましくは1×10-6torr以
下である。その、強磁性金属の加熱手段は特に制限はな
いが電子ビーム、誘導加熱等が挙げられる。
【0041】前記磁性層を高速成膜が可能な連続巻き取
り式の真空蒸着法で作成する場合、組成としてはコバル
トを主体とした従来より公知の金属または合金が挙げら
れ、具体的にはCo、CoNi、CoFeなどを酸素雰
囲気中で蒸着し、膜中に酸素を含んだものが使用でき
る。特に電磁変換特性を改善するため磁性層を構成する
金属原子の90%以上、さらに好ましくは95%以上は
コバルトであるCo−O、またはCo−Oを含有するC
o−Fe等が好ましい。磁性層の厚みは、100〜30
0nmとするのが望ましく、さらに望ましくは120〜
200nmである。また磁性層を重層構成にすることに
よってさらに電磁変換特性を改善できる。
【0042】蒸着中の酸素ガスは磁性層の抗磁力(H
c)を高めるために必要である。1200Oe〜200
0Oeになるように酸素量を調整することが好ましい。
磁性層中の酸素量は10〜30%、好ましくは15〜2
5%、蒸着中の酸素の導入量は蒸着する幅、搬送速度に
依存する。例えば、100mm幅の非磁性支持体、20
m/分の速度でHcが1600Oeの条件で磁性層を作
る場合、最低入射角の近傍から、250cc/分であ
る。また、この場合、酸素分圧は通常、1×10-5torr
〜5×10-4torrである。
【0043】一方、磁性層をスパッタリング法で作成す
る場合、組成としてはコバルトを主体とした従来より公
知の金属または合金が挙げられ、具体的にはCo−C
r、Co−Ni−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr
−Pt、Co−Cr−Ta−Pt、Co−Cr−Pt−
Si、Co−Cr−Pt−B等が使用できる。特に電磁
変換特性を改善するためにCo−Cr−Ta、Co−C
r−Ptが好ましい。磁性層の厚みは10〜300nm
とするのが望ましい。
【0044】また、この場合も電磁変換特性を改善する
ため重層構成としたり、下地層、中間層を有していても
良い。下地層としてCrまたはこの合金を使用すること
で特に電磁変換特性を改善することができる。この膜厚
は通常30〜300nmである。
【0045】また本発明による磁気記録媒体は、そのシ
リカ保護膜上に摩擦特性を改善するための潤滑剤や耐食
性を改善するための防錆剤を含有したトップコート膜が
存在することが好ましい。上記潤滑剤としては公知の炭
化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使
用できる。
【0046】炭化水素系潤滑剤としてはステアリン酸、
オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等の
エステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸
類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ス
テアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコー
ル類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ス
テアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0047】フッ素系潤滑剤としては上記炭化水素系潤
滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル
基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑
剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基として
は、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオ
ロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピ
レンオキシド重合体{(CF2 CF2 CF2 O)n }、
パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体{(CF
(CF3 )CF2 O)n }またはこれらの共重合体等が
挙げられる。
【0048】極圧添加剤としてはリン酸トリラウリル等
のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン
酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ
亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベ
ンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0049】上記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して
使用される。これらの潤滑剤をシリカ保護膜上に付与す
る方法としては潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバ
ー法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法
等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させればよ
い。潤滑剤の塗布量としては1〜30mg/m2 が好ま
しく、2〜20mg/m2 が特に好ましい。
【0050】前記防錆剤としてはベンゾトリアゾール、
ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有
複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入し
た誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾ
チアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル
化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導
体等が挙げられる。
【0051】このような目的で使用可能なテトラザイン
デン環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0052】
【化2】
【0053】ここで、Rは、アルキル基、アルコキシ
基、アルキルアミド基から選ばれる炭化水素基である。
特に好ましくは、炭素数3以上20以下であり、アルコ
キシの場合にはROCOCH2 −のRは、C3 7 −、
6 13−、フェニルが挙げられ、また、アルキル基の
場合には、C6 13−、C9 19−、C1735−が挙げ
られ、アルキルアミドの場合にはRNHCOCH2 −の
Rは、フェニル、C3 7 −が挙げられる。
【0054】また、チオウラシル環化合物には、下記に
示すものが挙げられる。
【0055】
【化3】
【0056】
【実施例】以下に、本発明の実施例および比較例を示
し、その保護膜特性を評価する。
【0057】<実施例1>非磁性支持体として、厚さ1
0μmのポリエステルフィルムを使用し、このフィルム
上にテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、塩酸をシクロヘキサノンに溶解した溶液を、グラビ
アコート法によって塗布した後乾燥し、厚さが0.2μ
mの下塗層を作成した。これによって実質的に突起の存
在しない平滑な支持体を作成した。
【0058】この支持体を0℃に冷却した回転キャンに
密着させて搬送し、下塗層上にコバルトを酸素含有雰囲
気中で、磁性金属蒸気流の前記フイルムに対する入射角
が45°となるように設定して、70nmの厚さで2回
斜め蒸着を施し、全厚140nmの2層構成の強磁性金
属膜による磁性層を作成した。なお、2層とも薄膜を構
成する磁性金属の柱状結晶の傾きは同じ向きとなるよう
にした。
【0059】その後、上記磁性層上にポリシラザン(東
燃株式会社製)のm−キシレン溶液に、微粒子としてト
ルエンに分散した平均粒子径12nmの球状単分散シリ
カゾルを加え、これをグラビアコート法で塗布し、10
0℃で乾燥した。
【0060】得られたポリシラザン塗膜の膜厚を、TE
Mの超薄切片観察によって測定したところ層厚約12n
mであった。またこの塗膜表面をAFMで観察したとこ
ろ、基準面からの高さが5〜20nmの突起が約106
個/mm2 形成されていた。
【0061】次に、前記非磁性支持体の裏面を20℃に
冷却したローラーに密着させ、窒素雰囲気下で低圧水銀
ランプより発生させた紫外線(185nm+254n
m)を表面のポリシラザン塗膜に約1分間照射し、ポリ
シラザン塗膜の分解、酸化、重合を行い、シリカに転化
させてシリカ保護膜を形成した。
【0062】さらに、前記非磁性支持体の裏面にカーボ
ンブラック、研磨剤(炭酸カルシウム)、樹脂結合剤か
らなる塗液をワイヤーバー法で塗布し、厚さが0.5μ
mのバックコートを作成した。その後、前記シリカ保護
膜上に両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテ
ル系潤滑剤(モンテフルオス社製FOMBLIN Z−
DIACとZ−DOLの2:1混合物)をフッ素系溶剤
(同社製ZS−100)に溶解してワイヤーバー法で塗
布量20mg/m2 となるように塗布し、乾燥した。こ
の原反を幅8mmに裁断して試料としての磁気記録媒体
(磁気テープ)を得た。
【0063】<実施例2>本例はポリシラザン塗膜の酸
化工程を、次の酸素プラズマ処理に変更した以外は実施
例1と同様に試料を作成した。
【0064】酸素プラズマ処理はポリシラザン塗膜を形
成した原反を連続巻き取り式のCVD装置内に設置し、
真空槽内を排気した後、高周波励起コイルを有する石英
トーチに800WのRF電力を投入し、このトーチに酸
素ガスを200mL/分の流量で導入し、酸素プラズマ
を発生させ、このプラズマにポリシラザン塗膜が約30
秒接触するように原反を搬送して行った。
【0065】<実施例3>本例は実施例1において非磁
性支持体をアラミドフイルムに変更し、ポリシラザン塗
膜の酸化処理を空気中、200℃で1時間加熱する加熱
処理に変更した以外は実施例1と同様に試料を作成し
た。
【0066】<比較例1>本例は実施例1において、ポ
リシラザンの溶液に球状単分散シリカゾルを添加せず、
実質的に突起の存在しないポリシラザン塗膜によるシリ
カ保護膜を形成した以外は実施例1と同様に試料を作成
した。なお、高さが5〜20nmの突起数は104 個/
mm2 であった。
【0067】<比較例2>本例は酸化処理を施さない例
であり、ポリシラザン塗膜を酸化する工程を省略した以
外は、実施例1と同様に試料を作成した。
【0068】<比較例3>本例はポリシラザンを使用せ
ずゾルゲル法により形成した保護膜の例である。実施例
1においてポリシラザン溶液の代わりにテトラエトキシ
シランのエタノール溶液に塩酸を添加して10時間攪拌
した後、メタノールに分散した直径約12nmの球状単
分散シリカゾルを加え、この溶液を磁性層上に塗布し乾
燥するゾルゲル法によってシリカの前駆体となる乾燥ゲ
ル膜を作成したものであり、これ以外は実施例1と同様
に試料を作成した。この場合のゲル膜の膜厚は約12n
mであり、5〜20nmの突起数は約7×105 個/mm
2 であった。
【0069】<比較例4>本例は比較例3のテトラエト
キシシランのうち、50モル%をメチルトリエトキシシ
ランに置換した以外は、比較例3と同一の条件で試料を
作成した。この場合の5〜20nmの突起数は7×10
5 個/mm2 であった。
【0070】以上の様にして作成した各試料(実施例1
〜3、比較例1〜4)について次に示す耐磨耗試験、摩
擦係数測定による評価を行った。評価結果は表1に示
す。
【0071】(1)引っかき強度試験 直径4mmのスチールボールに10gの荷重を加え、この
スチールボールを試料に10mm/secの速度で30mm往復
摺動させた後、光学顕微鏡で試料の摺動部を観察した。
そして荷重を10gずつ増加させ、スクラッチが発生し
た荷重を引っかき強度とした。評価は荷重120gを最
大とした。
【0072】(2)スチル耐久性試験 8mmVTR(富士フイルム社製)を改造したVTRを使
用してカラーバーを録画した後、スチルモードで再生を
行い、出力が3dB低下するまでの耐久性をスチル耐久
性とした。環境は23℃、湿度5%RHとし、荷重は2
0g/8mmとした。また評価は30分を最大とした。
【0073】(3)ステンレスガイドポールとの摩擦係
数試験 温度23℃湿度5%RHの環境下で、ステンレス(SU
S420J)製ガイドポールに試料を巻き付け角180
゜で接触させ、試料の一方の端部に20gの荷重を加え
た。そして試料の他方を3.3cm/秒の速度で30mmの
距離を引っ張って走行させ、このときの張力Tをひずみ
ゲージで検出し、摩擦係数μを、 μ=(1/π)・In(T/20) の計算式によって求めた。摩擦係数は10回走行させた
時の値で評価した。
【0074】
【表1】
【0075】上記表1から分かるようにポリシラザン塗
膜に酸化処理を施したシリカ保護膜を形成した実施例1
〜3および比較例1においては、良好な引っかき強度を
示しているが、微粒子を含有する実施例1〜3では表面
の凹凸によって摩擦係数が0.30〜0.31と小さく
なって良好なスチル耐久性を示しているのに対して、微
粒子を含有していない比較例1では表面が極平坦面とな
って摩擦係数が0.45と大きくなっている。
【0076】また、比較例2のポリシラザン塗膜に酸化
処理を施していないものは、酸化ケイ素への転化が不十
分で引っかき強度およびスチル耐久性が実施例1〜3よ
り低下している。比較例3および4のゾルゲル法による
保護膜では、さらに引っかき強度およびスチル耐久性が
低下している。これにより、磁気記録媒体として適切な
シリカ保護膜が形成できているのが確認できた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗布により形成したポリシラザン皮膜を
    酸化処理してなる無機酸化物皮膜中に微粒子を含有した
    ことを特徴とする無機保護膜。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体の少なくとも一方の面に磁
    性層を有する磁気記録媒体において、該磁性層の表面に
    無機酸化物皮膜中に微粒子を含有した無機保護膜を形成
    したことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層が真空成膜法で形成される強
    磁性金属薄膜であって、前記無機保護膜の厚さが3nm
    以上30nm以下であり、さらに、前記微粒子は無機物
    でモース硬度が3以上でかつその粒子径が5nm以上4
    0nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記無機酸化物皮膜は、塗布により形成
    したポリシラザン皮膜を酸化処理したものであることを
    特徴とする請求項2または3に記載の磁気記録媒体。
JP7230349A 1995-05-29 1995-09-07 無機保護膜およびそれを用いた磁気記録媒体 Withdrawn JPH0971409A (ja)

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