JPH0971857A - 透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents

透明導電膜およびその製造方法

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JPH0971857A
JPH0971857A JP25024795A JP25024795A JPH0971857A JP H0971857 A JPH0971857 A JP H0971857A JP 25024795 A JP25024795 A JP 25024795A JP 25024795 A JP25024795 A JP 25024795A JP H0971857 A JPH0971857 A JP H0971857A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱やプラズマ等の影響により変質、劣化、
熱分解を生じたり脱ガスを生じるような耐熱性および耐
プラズマ性の低い基材上に成膜される低抵抗で透明性が
高くパターニング特性に優れる透明導電膜と、このよう
な透明導電膜を簡便に形成することができる製造方法を
提供する。 【解決手段】 透明導電膜は、結晶粒を有しX線回折法
における(222)面のピーク強度I1 と(400)面
のピーク強度I2 との比I1 /I2 が5以上であり、か
つ比抵抗が0.8×10-4〜3.5×10-4Ω・cmの
範囲である透明導電膜で、このような透明導電膜を、フ
ォロカソード型イオンプレーティング法を用い、蒸着源
と基材との間にプラズマを形成し、このプラズマにより
基材が悪影響を受けないような条件で基材上に成膜す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明導電膜、特に耐
熱性および耐プラズマ性の低い基材上に成膜される低抵
抗の透明導電膜と、このような透明導電膜の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、種々の電子部品、画像表示装
置等に透明導電膜が使用されており、この透明導電膜は
酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、
酸化スズ(SnO)等、およびその合金等を用いて、ス
パッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の成膜方法に
より形成されていた。
【0003】上記の成膜方法のうち、スパッタリング法
では、例えば、ITO酸化物ターゲット材をArイオン
でスパッタして基材上にITO膜を形成するものであ
る。このようなITO膜は、成膜時の基材温度および成
膜後のアニール温度を200〜300℃として結晶化さ
せることにより低抵抗化がなされ、パターニング特性が
付与されていた。
【0004】しかし、透明導電膜の成膜対象である基材
のなかには、成膜時の加熱やプラズマの影響等が原因で
水分や有機成分等のガスを発生する脱ガス現象を生じる
もの、あるいは、変質や劣化、熱分解等を生じるものが
ある。基材からの脱ガスがある場合、発生するガスによ
って透明導電膜中に結晶粒塊が生じて粗密な膜となり、
透明導電膜の低抵抗化が阻害される。また、例えば、透
明導電膜の成膜対象が液晶ディスプレイ用のカラーフィ
ルタを備えた基板の場合、透明導電膜に生じた上記の結
晶粒塊が原因で、透明導電膜の表面と接する液晶の配向
状態に悪影響が生じるという問題がある。このため、上
述のような脱ガスを生じる基材に対しては、予めガスバ
リアー性の薄膜を形成し、この薄膜上に透明導電膜を形
成することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ガスバリアー性の薄膜は、珪素酸化物等の無機薄膜や合
成樹脂等の有機薄膜のような電気絶縁性の薄膜であり、
このようなガスバリアー性薄膜を形成することにより、
透明導電膜の製造工程が複雑になり、製造コストの上昇
を来たしていた。さらに、ガスバリアー性の薄膜を設け
る場合あっても、高温で透明導電膜を形成することによ
って耐熱性の低い基材に変質、劣化等(例えば、カラー
フィルタの色差変化)が生じることは避けられない。
【0006】これに対応するために、基材を150℃以
下の温度としてスパッタリング法による透明導電膜の形
成を行い、その後、熱処理(160〜250℃)を施し
て結晶化する方法が提案されている(特開平1−259
320号)。しかし、このような透明導電膜は、工程が
煩雑であり、また、プラズマの影響等による基材からの
脱ガス、すなわち、質量分析計で測定するとマスナンバ
ー68以上のガス発生が生じ、形成された膜は粒塊構造
を有した膜になっており、比抵抗の低い透明導電膜は得
られないという問題があった。
【0007】本発明は、上記のような事情に鑑みてなさ
れたものであり、加熱やプラズマにより変質、劣化、熱
分解を生じたり脱ガスを生じるような耐熱性および耐プ
ラズマ性の低い基材上に成膜される低抵抗で透明性が高
くパターニング特性に優れる透明導電膜と、このような
透明導電膜を簡便に形成することができる製造方法を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の透明導電膜は、結晶粒を有し、X線
回折法における(222)面のピーク強度I1 と(40
0)面のピーク強度I2 との比I1 /I2 が5以上であ
るとともに、比抵抗が0.8×10-4〜3.5×10-4
Ω・cmの範囲であるような構成とした。
【0009】また、本発明の透明導電膜は、移動度が3
0〜50cm2 /Vsecの範囲であるような構成、波
長550nmの光に対する透過率が80〜100%であ
るような構成、透明導電膜の表面における100Å以上
の大きさの溝の面積占有率が15%以下であるような構
成とした。
【0010】本発明の透明導電膜の製造方法は、反応性
蒸着法を用い、蒸着源と基材との間にプラズマを形成
し、かつ、該プラズマに曝される前記基材に悪影響が生
じないような条件で前記基材上に透明導電膜を成膜する
ような構成とした。
【0011】また、本発明の透明導電膜の製造方法は、
前記条件を、前記基材をプラズマ雰囲気中あるいは加熱
雰囲気中に曝したとき、質量分析計でマスナンバー68
以上に該当する出力の分圧比が1×10-11 Torr未満を
呈するような条件であるような構成とした。
【0012】このような本発明では、基材がプラズマに
曝されて悪影響を受けることなく透明導電膜が反応性蒸
着法によって成膜されるので、基材が加熱により変質、
劣化、熱分解を生じたり脱ガスを生じるような耐熱性お
よび耐プラズマ性の低い基材であっても、成膜された透
明導電膜は結晶粒を有する緻密で表面平坦性に優れたも
のであり、これにより、膜構造中に空孔が生じないた
め、比抵抗が0.8×10-4〜3.5×10-4Ω・cm
と極めて低いものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照
して説明する。
【0014】本発明の透明導電膜は結晶粒を有するもの
であり、この透明導電膜のX線回折法における(22
2)面のピーク強度I1 と(400)面のピーク強度I
2 との比I1 /I2 は5以上、好ましくは6〜100で
あり、非結晶性ではなく明確な結晶構造をなすものであ
る。上記の結晶粒は、平均粒子径が300〜1000Å
程度の結晶性の粒子であるが、結晶粒塊は存在せず、透
明導電膜の表面は平坦である。また、上記のピーク強度
比I1 /I2 が5未満であると、透明導電膜の結晶性が
不十分となり、下記のような良好な比抵抗および移動度
が得られない。ここで、本発明では、X線回折のピーク
強度比I1 /I2 は、バックグランドを削除したX線回
折曲線の(222)面のピーク高さと(400)面のピ
ーク高さの比より算出するものである。
【0015】本発明の透明導電膜には、上記の結晶粒に
伴う粒界、および結晶粒の配向方向がある領域ごとに異
なるようなドメインが存在しない。そして、結晶粒は隙
間なく密に詰まった状態であるため、膜構造中には空孔
が生じておらず、これによって、比抵抗が0.8×10
-4〜3.5×10-4Ω・cmと極めて低いものとなって
いる。また、本発明の透明導電膜は、その移動度が30
〜50cm2 /Vsecの範囲であり、かつ、波長55
0nmの光に対する透過率が80〜100%である。し
たがって、本発明の透明導電膜は、低抵抗で透明性の高
い透明導電膜である。
【0016】さらに、本発明の透明導電膜の表面は、大
きさが100Å以上の溝の面積占有率が15%以下であ
り、極めて平坦な表面状態を有している。尚、透明導電
膜の表面における100Å以上の溝の面積占有率は、走
査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察(倍率10万
倍)で、7cm×7cmの面積内で1mm以上の溝が占
める面積の総和を求めて算出する。
【0017】このような本発明の透明導電膜は、酸化イ
ンジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、およ
び、その合金(AZO(AlドープのZnO膜))、N
ESA膜(SnO2 )等で形成された薄膜であり、厚み
は50〜10000Å、好ましくは500〜3000Å
程度とすることができる。
【0018】次に、本発明の透明導電膜の製造方法を説
明する。
【0019】本発明の透明導電膜の製造方法は、上述の
ような本発明の透明導電膜を、加熱やプラズマの影響に
より変質、劣化、熱分解を生じたり脱ガスを生じるよう
な耐熱性および耐プラズマ性の低い基材上に簡便に成膜
できるものであり、反応性蒸着法を用い、蒸着源と基材
との間にプラズマを形成し、かつ、このプラズマに曝さ
れる基材に悪影響が生じないような条件で基材上に透明
導電膜を成膜するものである。
【0020】ここで、本発明における耐熱性および耐プ
ラズマ性の低い基材とは、真空中200℃加熱あるいは
Arプラズマ雰囲気中に基材を曝したとき、質量分析計
でマスナンバー68以上に該当する出力の分圧比が1×
10-11 Torr以上を呈するような基材を意味する。ま
た、基材がプラズマに曝されて悪影響が生じないような
条件とは、基材をプラズマ雰囲気中に曝したとき、質量
分析計でマスナンバー68以上に該当する出力の分圧比
が1×10-11 Torr未満を呈するような条件を意味す
る。
【0021】本発明の透明導電膜の製造方法に使用する
反応性蒸着法としては、フォロカソード型イオンプレー
ティング法、DC型イオンプレーティング法、RF型イ
オンプレーティング法等が挙げられる。
【0022】ここで、フォロカソード型イオンプレーテ
ィング法について、図1を参照して説明する。図1は横
形フォロカソード型イオンプレーティング装置の一例を
示す構成図である。図1において、フォロカソード型イ
オンプレーティング装置1は、排気口2aと反応ガス供
給口2bを設けた真空チャンバー2と、この真空チャン
バー2内の下部に配設された陽極(ハース)3、真空チ
ャンバー2内の上部に配設された基材ホルダー4、真空
チャンバー2の所定位置(図示例では真空チャンバー左
側壁)に配設されたプラズマガン5、陰極6、中間電極
7および補助コイル8を備えている。また、陽極3の下
方には永久磁石9が配設されている。
【0023】このようなフォロカソード型イオンプレー
ティング装置1を用いたイオンプレーティング法による
透明導電膜の形成は以下のように行われる。まず、陽極
3に蒸発源11を配置し、また透明導電膜の被形成体で
ある基材12を基材ホルダー4に保持し、真空チャンバ
ー2内部を10-6〜10-5Torr程度の真空度にする。こ
の状態で、アルゴン(Ar)等のプラズマ用ガスをプラ
ズマガン5に導入する。そして、プラズマガン5で発生
したプラズマビーム15は、補助コイル8により形成さ
れる磁界によって真空チャンバー2内に引き出され、陽
極3下方の永久磁石9が作る磁界によって蒸発源11に
収束し、この蒸発源11を加熱する。その結果、加熱さ
れた部分の蒸発源11は蒸発し、プラズマビーム15の
領域を通過する際に一部電離し、基材ホルダー4に保持
されている基材12に到達して表面に膜を形成する。
【0024】上述のような本発明の透明導電膜の製造方
法では、基材12はプラズマビーム15に曝されない位
置に配置されていることを特徴としている。これは、液
晶ディスプレイ用のカラーフィルタのような加熱により
熱分解を生じたり脱ガスを生じるような耐熱性および耐
プラズマ性の低い基材をプラズマに曝した場合、基材か
らの脱ガスが発生して、成膜したITO膜に結晶粒塊が
生じて粗密な膜となり低抵抗化が阻害されるという事実
を見いだしたことに起因している。すなわち、本発明の
透明導電膜の製造方法では、透明導電膜の被形成体であ
る基材の温度を、従来のスパッタリング法によるITO
膜の形成時に比べて大幅に低い温度に設定することがで
き、プラズマに基材を曝さない状態でイオンプレーティ
ング法により透明導電膜を形成するので、加熱による変
質、劣化、熱分解を生じたり脱ガスを生じるような耐熱
性の低い基材に対しても、この基材の耐熱性温度内で透
明導電膜を形成することが可能である。そして、本発明
では、基材の脱ガスを有効に阻止しながら透明導電膜を
形成するので、従来のガスバリアー性の薄膜上に透明導
電膜を形成する2層成膜のような煩雑な工程が不要とな
り、生産性が大幅に向上する。また、従来の2層成膜に
よる透明導電膜に比べてパターニング特性に優れた透明
導電膜が得られる。
【0025】尚、本発明の透明導電膜の製造方法におけ
る反応性蒸着法に用いるイオンプレーティング装置は、
蒸発源と基材との間に形成したプラズマに基材が曝され
ても、上述の条件を満足するような構成のイオンプレー
ティング装置であればよく、図1に示されるものに限定
されるものではない。
【0026】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。 (実施例1)厚み1.1mmのガラス基板(コーニング
社製 7059)と、このガラス基板の一方の面に顔料
分散法により液晶ディスプレイ用のカラーフィルタを形
成したカラーフィルタ基板とを準備した。
【0027】次に、図1に示されるようなフォロカソー
ド型イオンプレーティング装置の基材ホルダー上に上記
のカラーフィルタ基板あるいはガラス基板を保持した。
また、陽極(ハース)に蒸発源として蒸着材料(In2
3 −SnO2 燒結体(SnO2 5重量%))を載置し
た。その後、下記の成膜条件で成膜を行い、基材上に厚
さ1500Åの透明導電膜(試料1、比較試料1)を作
製した。
【0028】(成膜条件) ・成膜真空度 : 2.4×10-4 Torr ・導入ガス : Ar=30sccm、O2 =7sc
cm ・プラズマガン: 電圧=60V、電流=150A、ビ
ーム径=数10mm ・基材温度 : 190℃ ・成膜レート : 1500Å/分 また、比較として、基材温度を60℃とした他は、上記
の試料1と同様にして基材上に厚さ1500Åの透明導
電膜(比較試料2、3)を作製した。
【0029】さらに、比較として、上記と同様のガラス
板およびカラーフィルタ基板を用い、下記の成膜条件で
スパッタリング法により成膜を行って基材上に厚さ15
00Åの透明導電膜(比較試料4〜7)を作製した。
【0030】(成膜条件) ・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2s
ccm ・雰囲気圧力 : 6×10-3Torr ・導入パワー : DC2.5W/cm2 ・成膜レート : 720Å/分 ・基板温度 : 60℃、190℃ ・ターゲット材: In23 −SnO2 燒結体(Sn
2 10重量%) さらに、比較として、基材ホルダーをプラズマ放電内に
位置するようにした他は上記の試料1、2と同様(基材
温度190℃)にして、基材上に厚さ1500Åの透明
導電膜(比較試料8、9)を作製した。尚、この場合、
基材は質量分析計(四重極質量分析計(SKKバキュー
ムエンジニアリング(株)製 DAQ200/DX
M))でマスナンバー61,91(レジスト)、12
9,172(顔料)、190(開始剤)に該当する出力
(分圧比1×10-11 〜10×10-11Torrに相当)を
呈した。本実施例で用いた材料では、このような質量分
析計での出力となったが、使用する材料が変わればマス
ナンバーも当然変化する。但し、樹脂や顔料が用いられ
る基材は、マスナンバー68以上のものが検出される。
【0031】上記のように作製した透明導電膜(試料1
および比較試料1〜9)について、結晶構造、比抵抗、
移動度、透過率および配向膜適性を測定、評価して結果
を下記の表1に示した。
【0032】(結晶構造の評価)X線回折法により、結
晶性を示す2θ=30.08°(222)の回折ピーク
強度I1 および2θ=35.12°(400)の回折ピ
ーク強度I2 の比I1 /I2 を算出した。
【0033】X線回折測定条件 ・測定装置 :粉末X線回折装置(理学電気(株)
製)(広角ゴニオメータ使用、CuKα線、2θ/θス
キャン) ・管電圧 :40Kv ・管電流 :200mA ・サンプリング幅:0.020° ・走査速度 :4°/分 ・発散スリット :1° ・散乱スリット :1° ・受光スリット :0.30nm (比抵抗値の測定)三菱油化(株)製表面抵抗計LOR
ESTA−FPを用いてシート抵抗Rs (Ω/□)を測
定し、式(1)に示すように透明導電膜の厚みd(Å)
をかけて比抵抗ρ(Ω・cm)を求めた。
【0034】ρ=d×Rs …(1) (移動度の測定)Van der Pauw法によって作製して算出
した。
【0035】(透過率の測定)ガラス基板上に形成した
透明導電膜について、波長550nmでの透過率を測定
した。
【0036】(配向膜適性の評価)ポリイミド塗布用の
溶剤であるn−メチルプロテイド(NMP)を滴下して
カラーフィルタの色材が流出するか否か評価した。
【0037】評価基準 ○:色材の流出が生じない △:色材の流出がややみられる ×:色材の流出が顕著にみられる
【0038】
【表1】 表1に示されるように、カラーフィルタ基板上に形成し
た透明導電膜(試料1)は、ガラス板上に形成した透明
導電膜(比較試料1)と同様にX線回折ピーク強度比I
1 /I2 が5以上であり、結晶性の良好な透明導電膜で
あった。そして、この本発明の透明導電膜は、比抵抗が
3.5×10-4Ω・cm以下、移動度が30cm2 /V
sec以上であり、かつ、波長550nmにおける透過
率が80%以上(比較試料1において)であり、電気的
特性および透明性ともに優れた透明導電膜であることが
確認された。さらに、配向膜特性も良好であり、液晶デ
ィスプレイ用の透明導電膜として実用に供し得るもので
あった。
【0039】これに対して、イオンプレーティング法や
従来のスパッタリング法により比較的低い基材温度で形
成された透明導電膜(比較試料2、3、4、6)は、X
線回折ピーク強度I1 、I2 が極めて小さく非結晶性に
近いものであり、比抵抗、移動度は不十分なものであっ
た。また、比較的高い基材温度で形成された透明導電膜
(比較試料5、7)のうち、カラーフィルタ基板上に形
成された透明導電膜(比較試料8)は、X線回折ピーク
強度比I1 /I2 が5未満で結晶配向度が違い構造の異
なるものであり、このため比抵抗が3.5×10-4Ω・
cmを上回り、移動度が30cm2 /Vsec未満で、
電気的特性に劣り、かつ、配向膜特性も悪く、液晶ディ
スプレイ用の透明導電膜として実用に供し得ないもので
あった。 (実施例2)実施例1と同様にして、本発明の透明導電
膜の製造方法により下記の条件で基材上に厚さ1500
Åの透明導電膜(試料I、比較試料I)を作製した。
尚、この透明導電膜(試料I、比較試料I)は、実施例
1の透明導電膜(試料1、比較試料1)に相当する。
【0040】(成膜条件) ・到達真空度 : 1.0×10-5 Torr 以下 ・成膜真空度 : 2.4×10-4 Torr ・導入ガス : Ar=30sccm、O2 =7sc
cm ・プラズマガン: 電圧=60V、電流=150A、ビ
ーム径=数10mm ・基材温度 : 190℃ ・成膜レート : 1500Å/分 比較として、実施例1と同様のガラス板およびカラーフ
ィルタ基板を用い、下記の成膜条件でスパッタリング法
により成膜を行い、基材上に厚さ1500Åの透明導電
膜(比較試料II、III )を作製した。
【0041】(成膜条件) ・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2s
ccm ・雰囲気圧力 : 6×10-3Torr ・導入パワー : DC2.5W/cm2 ・成膜レート : 720Å/分 ・基板温度 : 165℃ ・ターゲット材: In23 −SnO2 燒結体(Sn
2 10重量%) さらに、比較として、実施例1と同様のカラーフィルタ
基板を用い、下記の成膜条件でスパッタリング法により
成膜を行い、その後、熱処理(200℃、30分間)を
行って基材上に厚さ2400Åの透明導電膜(比較試料
IV)を作製した。
【0042】(成膜条件) ・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2s
ccm ・雰囲気圧力 : 6×10-3Torr ・導入パワー : DC2.5W/cm2 ・成膜レート : 720Å/分 ・基板温度 : 60℃ ・ターゲット材: In23 −SnO2 燒結体(Sn
2 10重量%) 上記のように作製した透明導電膜(試料Iおよび比較試
料I〜IV)について、表面を走査型電子顕微鏡(SE
M)を用いて表面状態を撮影(倍率10万倍)し、結果
を図2乃至図6に示した。また、実施例1と同様にして
比抵抗、透過率および配向膜適性を測定、評価して結果
を下記の表2に示した。
【0043】
【表2】 図2に示されるカラーフィルタ基板上に形成した透明導
電膜(試料I)は、図3に示されるガラス板上に形成し
た透明導電膜(比較試料I)と同様に、結晶粒が密に存
在して表面が平坦であり、結晶粒の配向方法がある領域
ごとに異なるようなドメインが存在せず、かつ、表2に
示されるようにX線回折ピーク強度比I1 /I2 が5以
上であり、結晶性の良好な透明導電膜であった。そし
て、これらの本発明の透明導電膜は、比抵抗が4.0×
10-4Ω・cm以下、波長550nmにおける透過率が
80%以上であり、電気的特性および透明性ともに優れ
た透明導電膜であることが確認された。さらに、配向膜
特性も良好であり、液晶ディスプレイ用の透明導電膜と
して実用に供し得るものであった。
【0044】これに対して、従来のスパッタリング法に
よりカラーフィルタ基板上に形成された透明導電膜(比
較試料III )は、成膜時にカラーフィルタから発生した
ガスの影響により図5に示されるように結晶粒塊が生じ
て粗密な膜となり、このため、X線回折ピーク強度比I
1 /I2 が極めて小さく、比抵抗は不十分なものであっ
た。
【0045】一方、比較的低い基材温度でカラーフィル
タ基板上に形成された後、熱処理を施した透明導電膜
(比較試料IV)は、成膜時の脱ガスの発生がなく、図6
に示されるように結晶粒塊が生じて粗密な膜ではあるも
のの、熱処理により比抵抗および透過率が大幅に向上し
ている。しかし、この透明導電膜(比較試料IV)は配向
膜特性が悪く、液晶ディスプレイ用の透明導電膜として
実用に供し得ないものであった。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば基
材が加熱やプラズマの影響により変質、劣化、熱分解を
生じたり脱ガスを生じるような耐熱性の低い基材であっ
ても、この基材がプラズマに曝されることなく透明導電
膜がフォロカソード型イオンプレーティング法によって
成膜されるので、基材の変質、劣化、熱分解等、および
基材からの脱ガスが防止され、成膜された透明導電膜
は、結晶粒を有しX線回折法における(222)面のピ
ーク強度I1 と(400)面のピーク強度I2 との比I
1 /I2 が5以上である緻密で表面平坦性に優れ膜構造
中に空孔がほとんどない透明導電膜であるため、比抵抗
が0.8×10-4〜3.5×10-4Ω・cmと極めて低
いものとなる。また、本発明の透明導電膜は単層構造で
あり1種のエッチング剤によるパターニングが可能であ
り、パターニング特性に優れた透明導電膜が得られる。
さらに、本発明の透明導電膜は、表面平坦性が優れるた
め、液晶ディスプレイ等における配向膜適性を具備する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電膜の製造方法に使用できる横
形フォロカソード型イオンプレーティング装置の一例を
示す構成図である。
【図2】本発明の透明導電膜を走査型電子顕微鏡で観察
した図面代用写真である。
【図3】ガラス基板上に形成した透明導電膜を走査型電
子顕微鏡で観察した図面代用写真である。
【図4】従来の透明導電膜を走査型電子顕微鏡で観察し
た図面代用写真である。
【図5】従来の透明導電膜を走査型電子顕微鏡で観察し
た図面代用写真である。
【図6】従来の透明導電膜を走査型電子顕微鏡で観察し
た図面代用写真である。
【符号の説明】
1…フォロカソード型イオンプレーティング装置 2…真空チャンバー 3…陽極(ハース) 4…基材ホルダー 5…プラズマガン 6…陰極 7…中間電極 8…補助コイル 11…蒸発源 12…基材 15…プラズマビーム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性および耐プラズマ性の低い基材上
    に設けられる透明導電膜において、 結晶粒を有し、X線回折法における(222)面のピー
    ク強度I1 と(400)面のピーク強度I2 との比I1
    /I2 が5以上であるとともに、比抵抗が0.8×10
    -4〜3.5×10-4Ω・cmの範囲であることを特徴と
    する透明導電膜。
  2. 【請求項2】 移動度が30〜50cm2 /Vsecの
    範囲であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電
    膜。
  3. 【請求項3】 波長550nmの光に対する透過率が8
    0〜100%であることを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の透明導電膜。
  4. 【請求項4】 透明導電膜の表面における100Å以上
    の大きさの溝の面積占有率は、15%以下であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の透
    明導電膜。
  5. 【請求項5】 反応性蒸着法を用い、蒸着源と基材との
    間にプラズマを形成し、かつ、該プラズマに曝される前
    記基材に悪影響が生じないような条件で前記基材上に透
    明導電膜を成膜することを特徴とする透明導電膜の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記条件は、前記基材をプラズマ雰囲気
    中あるいは加熱雰囲気中に曝したとき、質量分析計でマ
    スナンバー68以上に該当する出力の分圧比が1×10
    -11 Torr未満を呈するような条件であることを特徴とす
    る請求項5に記載の透明導電膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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