JPH0978254A - アルミニウム合金鋳物の化成処理方法 - Google Patents

アルミニウム合金鋳物の化成処理方法

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JPH0978254A
JPH0978254A JP24145595A JP24145595A JPH0978254A JP H0978254 A JPH0978254 A JP H0978254A JP 24145595 A JP24145595 A JP 24145595A JP 24145595 A JP24145595 A JP 24145595A JP H0978254 A JPH0978254 A JP H0978254A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金鋳物の化成処理性を向上さ
せ、また、表面性状等が異なる他の部材とアルミニウム
合金鋳物とを同時に処理できるようにする。 【解決手段】 化成処理を施すべきアルミニウム合金鋳
物の表面をアルミナビーズを用いたショットブラストで
清浄化し、次に、化成処理被膜が付着し易い軟質金属の
ビーズを用いてアルミニウム合金鋳物にショットブラス
トを施し、アルミニウム合金鋳物よりも化成処理性が良
好な他の部材と組み合わせた上で、この組み合わせ状態
で、他の部材に対する処理条件下で、該他の部材と同時
に所定の化成処理を施すことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム合
金鋳物の表面に化成処理被膜を形成する化成処理方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、例えば、自動車等の車両
の車体部品には、防錆,耐食性および外観性の向上など
のために塗装が施されるが、この塗装の下地処理の一種
として、例えば、リン酸亜鉛処理やクロム酸処理などの
化成処理を施すことが一般に行われている。すなわち、
通常、この化成処理の後に、電着塗装および上塗り塗装
が順次施される。
【0003】ところで、近年では、車両のより一層の軽
量化を実現するために、車両各部の部品材料として、従
来の鉄あるいは鋼系の材料に代えてアルミニウム系の材
料(特にアルミニウム合金材料)が種々採用されつつあ
り、車体部品についても、例えば、車体パネル自体,ボ
ンネットやドア等の開閉体あるいはエンジンルーム内部
のパネル部材(例えば、エンジンルーム前部に配設され
るフロントシュラウドパネル等)などにアルミニウム系
材料の適用が考えられている。
【0004】この場合、例えば、ドアのインナパネルや
上記フロントシュラウドパネルなどのように、形状があ
る程度以上複雑な部品については、機械加工にかかる工
数を極力少なくするために、通常、その素材は鋳造品と
して供給される。そして、このように、素材が鋳造品
(アルミニウム合金鋳物)として供給される場合には、
通常、鋳造後に、例えば硬質のアルミナビーズやガラス
ビーズを用いたショットブラストによってその表面の清
浄化が行われ、表面に付着していた汚れや酸化物あるい
は鋳造時に用いられた離型剤などが除去され、その後
に、所要の機械加工が行われ、この機械加工を終えた鋳
造品が、最終的に塗装の前工程で化成処理を施される。
尚、ショットブラストでアルミニウム部品の表面を清浄
化した後に化成処理を施すことについて、例えば、特開
平2−190481号公報では、ステンレス鋼製のビー
ズを用いてショットブラストを行った後、クロム酸処理
による化成処理を施すようにした表面処理方法が開示さ
れている。
【0005】しかしながら、素材を鋳造品とした場合に
は、上記化成処理を施す際、その表面に被膜が形成され
にくいという問題がある。すなわち、アルミニウム合金
鋳物の場合、上述のように、通常、鋳造後に、例えば硬
質のアルミナビーズやガラスビーズを用いたショットブ
ラストによってその表面の清浄化が行われ、表面に付着
していた離型剤や酸化物その他の汚れ等が除去される
が、このような清浄化処理を行っても、例えばアルミニ
ウム板材など表面性状等が異なる他の部材に比べて化成
処理性が著しく劣り、同一条件で化成処理を施した場
合、その表面への付着量(従って、形成される被膜の厚
さ)には大きな差が生じることが知られている。尚、こ
れは、鋳造品とした場合には、その素材中に一定量以上
のシリコン(Si)が含有されるが、このSiが部分的
に鋳物の表面もしくはその近傍に介在し、化成処理被膜
の形成に悪影響を及ぼすためであると考えられる。
【0006】従って、かかるアルミニウム合金鋳物を、
表面清浄化および機械加工を行った後、化成処理性が良
好な他の部材と組み合わせ、この組み合わせ状態で化成
処理を行う場合、その処理条件を上記他の部材に対する
処理条件(つまり、当該他の部材について規定の被膜付
着量が得られる処理条件)に設定して両者を同時に化成
処理すると、鋳物部分については、他の部分に比べて化
成処理被膜が形成されにくく、十分な被膜付着量が得ら
れないので膜厚が薄くなる。その結果、後工程で塗装を
行っても、鋳物部分については、その耐食性および塗装
被膜の密着性が低下するという問題が生じ得る。
【0007】すなわち、例えば、自動車のドアのインナ
部材(ドアインナ)の素材にアルミニウム合金鋳物を用
いた場合を例にとって具体的に説明すれば、上述のよう
にして鋳物表面を清浄化して所要の機械加工が行われる
が、これを、例えばアルミニウム板材製もしくは鋼板製
のドアアウタ部材(ドアアウタパネル)と組み合わせて
ドアを形成し、このドアを、例えばアルミニウム板材製
もしくは鋼板製の車体パネルに組み付ける。そして、こ
の組立状態で全体を(つまり、ドアと他の車体パネル材
とを)同時に化成処理する際、処理条件は、通常、化成
処理性の良好な車体パネル等の板材(アルミニウム板材
もしくは鋼板)に対する処理条件に設定される。従っ
て、この場合、鋳物製のドアインナ部材のみが、化成処
理被膜が十分な厚さに形成されず、塗装時の塗膜密着性
が悪く、耐食性も低下することとなる。かかる不具合を
回避するためには、化成処理の処理時間を長く設定する
か、あるいは処理液を変更するなど、化成処理条件を根
本的に変える必要があり、生産性の低下を来し、また、
コスト高になるという問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この問題に対しては、
鋳物部分(つまりドアインナ部材)のみを別ラインで化
成処理し、この化成処理済みのドアインナ部材を組み付
けた上で全体の化成処理を行うことが考えられる。すな
わち、図7の工程説明図に示すように、ドアインナ部材
の素材としてのアルミニウム合金鋳物を鋳造(工程S1
1)した後、これを硬質のアルミナビーズを用いてショ
ットブラスト(工程S12)し、その表面を清浄化す
る。次に、この鋳物に所要の機械加工(工程S13)を
施す。そして、この時点で、当該アルミニウム合金鋳物
を本来の生産ラインから外し、別ラインに準備されたア
ルミニウム合金鋳物用の化成処理槽にて、当該アルミニ
ウム合金鋳物に対して単体で化成処理(工程S14)を
施す。
【0009】この化成処理は、化成処理性の良くないア
ルミニウム合金鋳物でも、最終的に(例えば、後述する
全体の化成処理での被膜付着を含めて)規定の被膜付着
量が得られるように、処理時間を長くする、あるいは処
理液を変更するなど、板材の場合とは異なる特別な条件
設定で行われる。このようにして鋳物単独での化成処理
を終えた後、再び元の生産ラインに戻され、車体パネル
に組み付け(工程S15)られた後、全体としての化成
処理(工程S16)が施される。つまり、アルミニウム
合金鋳物とその他の部材とが同時に化成処理される。こ
の化成処理は、化成処理性の良好な車体パネル材に対す
る処理条件、すなわち、車体パネル材について規定の被
膜付着量が得られる処理条件で行われる。このとき、ド
アインナ(アルミニウム合金鋳物)は、工程S14で予
め別途に化成処理されているので、この工程S16の化
成処理条件でも、最終的に規定の被膜付着量を得ること
ができる。そして、この後、塗装(工程S17)が行わ
れる。
【0010】上記の方法によれば、確かに、アルミニウ
ム合金鋳物は、他の部材と同時に化成処理される前に、
予め単独で当該アルミニウム合金鋳物に適合した処理条
件で化成処理されるので、十分な被膜付着量を得ること
ができるものの、一旦、別ラインに取り出して化成処理
を行った後に再び元の生産ラインに戻すなど、余分な工
数がかかり、また、化成処理工程を二度繰り返すことに
なるので、化成処理のためのコストが非常に高くつくと
いう問題があった。更に、車体に対する取り付け/取り
外しが困難な部材の場合には、適用することが難しいと
いう問題があった。
【0011】本願発明者は、以上のようなアルミニウム
合金鋳物の化成処理性の問題に関して鋭意研究を重ねた
結果、ある種の軟質金属、特に、アルミニウム系あるい
は亜鉛系の金属を鋳物表面に薄膜状に付着させることに
より、アルミニウム合金鋳物に化成処理を施した際の化
成処理被膜の付着量を大幅に増加させ得ることを見いだ
した。これは、上記軟質金属の被膜が、鋳物の表面ある
いはその近傍に介在するシリコン(Si)を覆い、しか
も、化成処理被膜を形成する上での一種の媒体として作
用するためであると考えられる。
【0012】この発明は、上記諸問題に鑑みてなされた
もので、上記軟質金属の作用に着目することにより、ア
ルミニウム合金鋳物の化成処理性を向上させ、また、表
面性状等が異なる他の部材とアルミニウム合金鋳物とを
同時に処理できるようにする化成処理方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】このため、本願の請求項
1に係る発明(以下、第1の発明という)は、化成処理を
施すべきアルミニウム合金鋳物の表面を清浄化し、次
に、化成処理被膜が付着し易い軟質金属のビーズを用い
てアルミニウム合金鋳物にショットブラストを施し、そ
の後、該アルミニウム合金鋳物の表面に所定の化成処理
を施すようにしたものである。
【0014】また、本願の請求項2に係る発明(以下、
第2の発明という)は、上記第1の発明において、上記
アルミニウム合金鋳物の表面の清浄化はアルミナビーズ
を用いたショットブラストによることを特徴としたもの
である。
【0015】更に、本願の請求項3に係る発明(以下、
第3の発明という)は、化成処理を施すべきアルミニウ
ム合金鋳物に、表面清浄化用の硬質のビーズと化成処理
被膜が付着し易い軟質金属のビーズとを混合させたもの
を用いてショットブラストを施し、その後、該アルミニ
ウム合金鋳物の表面に所定の化成処理を施すようにした
ものである。ここに、硬質のビーズとは、表面を清浄化
すべきアルミニウム合金鋳物の表面よりも硬い、もしく
は同程度の硬度を有するビーズを言う。また、軟質金属
のビーズとは、ショットブラストが施されるアルミニウ
ム合金鋳物の表面よりも軟らかい、もしくは同程度の軟
らかさを有する金属で造られたビーズを言うものとす
る。
【0016】また、更に、本願の請求項4に係る発明
(以下、第4の発明という)は、上記第3の発明におい
て、上記硬質のビーズがアルミナから成ることを特徴と
したものである。
【0017】また、更に、本願の請求項5に係る発明
(以下、第5の発明という)は、上記第1〜第4の発明の
いずれか一において、上記軟質金属のビーズが、アルミ
ニウム系金属および亜鉛系金属の少なくともいずれか一
方から成ることを特徴としたものである。ここに、アル
ミニウム系金属とは純アルミニウムおよびアルミニウム
合金を含むものであり、亜鉛系金属とは純亜鉛および亜
鉛合金を含むものである。従って、上記軟質金属のビー
ズとしては、純アルミニウム若しくはアルミニウム合
金、あるいは純亜鉛若しくは亜鉛合金で造られたものが
用いられる。あるいは、これらを混合して用いても良
い。
【0018】また、更に、本願の請求項6に係る発明
(以下、第6の発明という)は、上記第1〜第5の発明の
いずれか一において、上記化成処理がリン酸亜鉛処理で
あることを特徴としたものである。
【0019】また、更に、本願の請求項7に係る発明
(以下、第7の発明という)は、上記第1〜第6の発明の
いずれか一において、上記アルミニウム合金鋳物は、そ
れよりも化成処理性が良好な他の部材と組み合わされる
ものであり、上記軟質金属のビーズを用いたショットブ
ラストが施され、かつ、上記他の部材と組み合わされた
状態で、この他の部材に対する処理条件下で、該他の部
材と同時に化成処理が施されることを特徴としたもので
ある。ここに、他の部材に対する処理条件とは、当該他
の部材について、予め定めた規定の被膜付着量が得られ
るように設定された化成処理条件をいう。
【0020】
【発明の作用および効果】本願の第1の発明によれば、
アルミニウム合金鋳物の表面を清浄化した後、該アルミ
ニウム合金鋳物の表面に化成処理被膜が付着し易い軟質
金属のビーズを用いてショットブラストを施すようにし
たので、ビーズを加速して鋳物表面に投射することによ
り、ビーズを構成する軟質金属の一部を鋳物表面に薄膜
状に付着させ、鋳物表面の化成処理性を向上させること
ができる。そして、その後にアルミニウム合金鋳物の表
面に所定の化成処理を施すようにしたので、該表面に十
分な量の化成処理被膜を付着させることが可能になる。
その結果、化成処理を施すに際して、処理時間を長く設
定したり処理液を変更するなど、鋳物用として特別な化
成処理条件を設定する必要をなくすることができる。
【0021】また、本願の第2の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができ
る。特に、上記アルミニウム合金鋳物の表面の清浄化
は、アルミナビーズを用いたショットブラストで行うよ
うにしたので、加速された硬質のアルミナビーズを鋳物
表面に投射することにより、鋳造工程で鋳物表面に付着
した汚れや離型剤、あるいは鋳造後に鋳物表面に生成さ
れた酸化物など、化成処理時に被膜の形成に悪影響を及
ぼすアルミニウム合金鋳物表面の付着物を確実に除去す
ることができる。
【0022】更に、本願の第3の発明によれば、アルミ
ニウム合金鋳物に、表面清浄化用の硬質のビーズと化成
処理被膜が付着し易い軟質金属のビーズとを混合させた
ものを用いてショットブラストを施すようにしたので、
硬質のビーズを加速して鋳物表面に投射することにより
鋳物表面を清浄化させることができるとともに、軟質金
属のビーズを加速して鋳物表面に投射することにより、
ビーズを構成する軟質金属の一部を鋳物表面に薄膜状に
付着させ、鋳物表面の化成処理性を向上させることがで
きる。そして、その後にアルミニウム合金鋳物の表面に
所定の化成処理を施すようにしたので、該表面に十分な
量の化成処理被膜を付着させることが可能になる。その
結果、化成処理を施すに際して、処理時間を長く設定し
たり処理液を変更するなど、鋳物用として特別な化成処
理条件を設定する必要をなくすることができる。この場
合において、アルミニウム合金鋳物の表面清浄化と上記
軟質金属の付着とを一工程で行うことができ、生産効率
を高めることができる。
【0023】また、更に、本願の第4の発明によれば、
基本的には、上記第3の発明と同様の効果を奏すること
ができる。特に、アルミニウム合金鋳物の表面の清浄化
を行う硬質ビーズをアルミナビーズとしたので、加速さ
れた硬質のアルミナビーズを鋳物表面に投射することに
より、鋳造工程で鋳物表面に付着した汚れや離型剤、あ
るいは鋳造後に鋳物表面に生成された酸化物など、化成
処理時に被膜の形成に悪影響を及ぼすアルミニウム合金
鋳物表面の付着物を確実に除去することができる。
【0024】また、更に、本願の第5の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第4の発明のいずれか一と同様
の効果を奏することができる。特に、上記軟質金属のビ
ーズが、アルミニウム系金属および亜鉛系金属の少なく
ともいずれか一方から成るようにしたので、上記ビーズ
を加速して鋳物表面に投射することにより、ビーズを構
成する軟質金属の一部が鋳物表面に薄膜状に付着する結
果、アルミニウム合金鋳物の化成処理性を向上させるこ
とができる
【0025】また、更に、本願の第6の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第5の発明のいずれか一と同様
の効果を奏することができる。特に、上記化成処理をリ
ン酸亜鉛処理としたので、このリン酸亜鉛処理により化
成処理を行うに際して、アルミニウム合金鋳物表面の化
成処理性を向上させ、該表面に十分な量の化成処理被膜
を付着させることができるようになる。
【0026】また、更に、本願の第7の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第6の発明のいずれか一と同様
の効果を奏することができる。特に、上記アルミニウム
合金鋳物は、それよりも化成処理性が良好な他の部材と
組み合わされるものであり、上記軟質金属のビーズを用
いたショットブラストが施され、かつ、上記他の部材と
組み合わされた状態で、この他の部材に対する処理条件
下で、該他の部材と同時に化成処理が施されるので、こ
の他の部材と同時に化成処理を行うに際して、アルミニ
ウム合金鋳物は、軟質金属のビーズを用いたショットブ
ラストによりその表面に化成処理被膜が付着し易い金属
が薄膜状に付着させられて化成処理性が高められてお
り、上記他の部材に対する化成処理条件下でも、十分な
量の化成処理被膜を付着させることができる。その結
果、アルミニウム合金鋳物と上記他の部材とを同時に化
成処理を施すに際して、処理時間を長く設定したり処理
液を変更するなど、鋳物のために特別な化成処理条件を
設定する必要をなくすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、例
えば、自動車用ドアのインナ部材の素材にアルミニウム
合金鋳物を採用した場合について、添付図面を参照しな
がら詳細に説明する。図1および図2は、本実施の形態
に係る自動車用ドアのドアパネルの全体斜視図および該
ドアパネルの横断面構造を模式的に示す横断面説明図で
ある。これらの図に示すように、上記ドアD(ドアパネ
ル)は、そのアウタパネルDo(ドアアウタ)がアルミ
ニウムの板材で形成される一方、インナ部材Di(ドア
インナ)はアルミニウム合金鋳物で形成されており、両
者Di,Doの外縁部どうしを接合してアルミニウム製
のドアパネルDが構成されている。尚、本実施の形態で
は、ドアアウタDoの素材として、例えばAl−4.5
のアルミニウム板材を用い、ドアインナDiの素材とし
て、例えばAl−7Si−0.3Mgのアルミニウム合
金鋳物を用いた。
【0028】図3は、上記ドアDの製造を含む車体の組
立および塗装に至る一連の工程を説明するための工程説
明図である。以下、この工程説明図に沿って、上記ドア
Dの製造および車体への組み付け並びに車体の塗装に至
る一連の工程を説明する。まず、ドアインナDiの素材
としてのアルミニウム合金鋳物が鋳造(工程S1)され
ると、これを硬質のアルミナビーズを用いてショットブ
ラストする(工程S2)。このショットブラストは、例
えば圧縮エアの圧力でスプレー状に加速された硬質のア
ルミナビーズを鋳物表面に投射するもので、これによ
り、鋳造工程で鋳物表面に付着した汚れや離型剤、ある
いは鋳造後に鋳物表面に生成された酸化物など、化成処
理時に被膜の形成に悪影響を及ぼす表面の付着物が除去
され、アルミニウム合金鋳物の表面が清浄化される。
【0029】本実施の形態では、このアルミナビーズに
よるショットブラストを行った後、工程S3で、後工程
で行う化成処理の被膜が付着し易い軟質金属のビーズを
用いて行う軟質ショットブラストを施すようにしてい
る。この軟質ショットブラストは、アルミニウム合金鋳
物の表面に付着し易い軟質金属として、ビーズが、アル
ミニウム系金属(純アルミニウムあるいはアルミニウム
合金)および亜鉛系金属(純亜鉛あるいは亜鉛合金)の
少なくともいずれか一方から成るビーズを、圧縮エアの
圧力でスプレー状に加速して鋳物表面に投射するもの
で、これにより、ビーズを構成する軟質金属の一部が鋳
物表面に薄膜状に付着する結果、後工程で行う化成処理
において、鋳物表面の化成処理性を向上させることがで
きる。このビーズとしては、純アルミニウム若しくはア
ルミニウム合金、あるいは純亜鉛若しくは亜鉛合金で造
られたものが用いられる。あるいは、これらを混合して
用いても良い。本実施の形態では、この軟質金属のビー
ズとして、例えば、直径が50〜100μm程度の純亜
鉛製のビーズを用いた。
【0030】次に、このアルミニウム合金鋳物に所要の
機械加工(工程S4)を施した後、車体に組み付ける
(工程S5)。つまり、機械加工されたドアインナDi
をアルミニウム板材製のドアアウタDoと組み合わせて
ドアパネルD(ドア)を形成し、このドアDを車体パネ
ルに組み付ける。本実施の形態では、この車体パネル部
材として、例えばAl−4.5のアルミニウム板材を用
いた。そして、この組付状態で、車体全体に対して、塗
装下地処理としての化成処理(工程S6)が施される。
つまり、アルミニウム合金鋳物製のドアインナDiとア
ルミニウム板材製のドアアウタDoおよび車体パネルと
が同時に化成処理される。この化成処理は、アルミニウ
ム板材(ドアアウタDoおよび車体パネル)に対する処
理条件、すなわち、アルミニウム板材について規定の被
膜付着量が得られる処理条件で行われる。本実施の形態
では、この化成処理として、自動車の車体に対する塗装
の下地処理として汎用されているリン酸亜鉛処理を施し
た。この化成処理液としては、例えば、日本ペイント
(株)製のサーフダインSD6000MZを使用した。
また、表面に形成すべき化成処理被膜の付着量(被膜重
量)の規定値は、1.9g/m2以上とした。
【0031】このとき、ドアインナDi(アルミニウム
合金鋳物)は、工程S3の軟質ショットブラストで軟質
金属(本実施の形態では純亜鉛)のビーズを投射された
結果、その表面に亜鉛が薄膜状に付着しているので、化
成処理性が高められており、アルミニウム板材(ドアア
ウタDoおよび車体パネル)に対する化成処理条件下で
も、ドアアウタDoおよび車体パネルと同様に、規定値
以上の被膜重量を得ることができた。そして、この後、
工程S7で塗装(電着塗装および上塗り塗装)が行われ
るが、ドアインナDiの表面には、他の車体部分の表面
と同様に規定値以上の化成処理被膜が形成されているの
で、十分な塗膜密着性が得られ、良好な塗装品質を確保
することができた。
【0032】次に、軟質金属のビーズを用いたショット
ブラスト(軟質ショットブラスト)によるアルミニウム
合金鋳物の化成処理性向上の効果を確かめる確認試験に
ついて説明する。この試験は、素材形状(鋳物/板材)
あるいはショットブラスト条件の異なる各試料を、同一
の化成処理槽で同時に化成処理し、その表面に形成され
た化成処理被膜の被膜重量(g/m2)を比較して評価
した。試験に用いた試料の素材およびショットブラスト
条件を表1に示す。また、化成処理の処理液は上述のサ
ーフダインSD6000MZを用いた。
【0033】
【表1】
【0034】試験結果は、表1の右端欄に示す通りであ
り、鋳物でも亜鉛(Zn)ビーズの軟質ショットブラス
トを施した本発明実施例の場合には、板材(比較例2)
と同等の被膜重量を得ることができた。これに対して、
アルミナビーズのショットブラストのみを行った比較例
1の場合には、規定値(1.90g/m2)よりもはるか
に低い被膜重量しか得られなかった。また、図4〜図6
は、上記確認試験で化成処理を施した各試料の表面の電
子顕微鏡写真(倍率:1500倍)である。本発明実施
例(図4)の場合には、板材の比較例2(図6)に比べ
て粒子が若干粗いものの十分な化成処理被膜が付着して
いる。これに対して、鋳物の比較例1(図5)の場合に
は、化成処理被膜の付着量がきわめて不十分であること
が分かる。
【0035】以上、説明したように、本発明の実施の形
態によれば、アルミニウム合金鋳物(ドアインナDi)
の表面を清浄化した後、該アルミニウム合金鋳物の表面
に化成処理被膜が付着し易い軟質金属のビーズを用いて
ショットブラストを施すようにしたので、このビーズを
加速して鋳物表面に投射することにより、ビーズを構成
する軟質金属の一部を鋳物表面に薄膜状に付着させ、鋳
物表面の化成処理性を向上させることができる。そし
て、その後にアルミニウム合金鋳物の表面に化成処理を
施すようにしたので、該表面に十分な量の化成処理被膜
を付着させることができた。その結果、化成処理を施す
に際して、処理時間を長く設定したり処理液を変更する
など、鋳物用として特別な化成処理条件を設定する必要
をなくすることができた。すなわち、このドアインナD
i(アルミニウム合金鋳物)をドアアウタDoおよび車
体パネル(アルミニウム板材)に組み付けて、化成処理
を同時に行うに際して、アルミニウム板材(ドアアウタ
Doおよび車体パネル)に対する化成処理条件下でも、
ドアアウタDoおよび車体パネルと同様に、規定値以上
の被膜重量を得ることができた。
【0036】尚、上記実施の形態は、アルミナビーズを
用いたショットブラストでアルミニウム合金鋳物の表面
を清浄化した後、軟質金属のビーズを用いたショットブ
ラスト(軟質ショットブラスト)を行うようにしたもの
であったが、この替わりに、表面清浄化用の硬質のビー
ズと化成処理被膜が付着し易い軟質金属のビーズとを混
合させたものを用いてショットブラストを施すようにし
ても良い。この場合には、アルミニウム合金鋳物の表面
清浄化と上記軟質金属の付着とを一工程で行うことがで
き、生産効率をより高めることができる。
【0037】また、上記実施の形態は、アルミニウム製
自動車用ドアDのドアインナDiに対するものであった
が、本発明は、かかる場合に限らず、アルミニウム合金
鋳物を素材に用いて製造され化成処理が施される得る他
の種々の製品もしくは部品類、例えば、自動車用のもの
でも、ステアリングホイール,スポイラ,トランクリッ
ドのインナ部材,前述のフロントシュラウドパネル,あ
るいは、アルミニウム製スペースフレーム構造の車体の
結節部品等にも、有効に適用することができるのはもち
ろんのことである。更に、本発明は、以上の実施態様に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲に
おいて、種々の改良あるいは設計上の変更が可能である
ことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動車用ドアのド
アパネルの全体斜視図である。
【図2】 上記自動車用ドアのドアパネルの横断面説明
図である。
【図3】 上記実施の形態に係るドアの製造を含む車体
の組立および塗装に至る一連の工程を説明するための工
程説明図である。
【図4】 化成処理性向上の確認試験に用いた本発明実
施例に係るアルミニウム合金鋳物の表面の電子顕微鏡写
真である。
【図5】 上記確認試験に用いた比較例に係るアルミニ
ウム合金鋳物の表面の電子顕微鏡写真である。
【図6】 上記確認試験に用いた比較例に係るアルミニ
ウム板材の表面の電子顕微鏡写真である。
【図7】 従来例に係るドアの製造を含む車体の組立お
よび塗装に至る一連の工程を説明するための工程説明図
である。
【符号の説明】
Di…ドアインナ(アルミニウム合金鋳物) Do…ドアアウタ(他の部材)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化成処理を施すべきアルミニウム合金鋳
    物の表面を清浄化し、次に、化成処理被膜が付着し易い
    軟質金属のビーズを用いてアルミニウム合金鋳物にショ
    ットブラストを施し、その後、該アルミニウム合金鋳物
    の表面に所定の化成処理を施すことを特徴とするアルミ
    ニウム合金鋳物の化成処理方法。
  2. 【請求項2】 上記アルミニウム合金鋳物の表面の清浄
    化は、アルミナビーズを用いたショットブラストによる
    ことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金鋳物
    の化成処理方法。
  3. 【請求項3】 化成処理を施すべきアルミニウム合金鋳
    物に、表面清浄化用の硬質のビーズと化成処理被膜が付
    着し易い軟質金属のビーズとを混合させたものを用いて
    ショットブラストを施し、その後、該アルミニウム合金
    鋳物の表面に所定の化成処理を施すことを特徴とするア
    ルミニウム合金鋳物の化成処理方法。
  4. 【請求項4】 上記硬質のビーズがアルミナから成るこ
    とを特徴とする請求項3記載のアルミニウム合金鋳物の
    化成処理方法。
  5. 【請求項5】 上記軟質金属のビーズが、アルミニウム
    系金属および亜鉛系金属の少なくともいずれか一方から
    成ることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一
    に記載のアルミニウム合金鋳物の化成処理方法。
  6. 【請求項6】 上記化成処理がリン酸亜鉛処理であるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一に記載
    のアルミニウム合金鋳物の化成処理方法。
  7. 【請求項7】 上記アルミニウム合金鋳物は、それより
    も化成処理性が良好な他の部材と組み合わされるもので
    あり、上記軟質金属のビーズを用いたショットブラスト
    が施され、かつ、上記他の部材と組み合わされた状態
    で、この他の部材に対する処理条件下で、該他の部材と
    同時に化成処理が施されることを特徴とする請求項1〜
    請求項6のいずれか一に記載のアルミニウム合金鋳物の
    化成処理方法。
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