JPH0982319A - アルカリ蓄電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用正極活物質及びその製造方法

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JPH0982319A
JPH0982319A JP7230951A JP23095195A JPH0982319A JP H0982319 A JPH0982319 A JP H0982319A JP 7230951 A JP7230951 A JP 7230951A JP 23095195 A JP23095195 A JP 23095195A JP H0982319 A JPH0982319 A JP H0982319A
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Akifumi Yamawaki
章史 山脇
Yoshitaka Baba
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活物質粒子相互間の導電性を少ない量のコバ
ルト化合物でもって効果的に向上させ、かつ過放電時に
おいても母粒子表面近傍のコバルト化合物が水酸化ニッ
ケル母粒子内部へ拡散することのないアルカリ蓄電池用
正極活物質、及びそのような正極活物質の製造方法を提
供することを目的とする。 【解決手段】 少なくとも水酸化ニッケルと、コバルト
化合物とを含有する固溶体粒子を必須構成要素とするア
ルカリ蓄電池用正極活物質において、前記固溶体粒子
が、粒子表層に高く粒子中心部に向かって減少するコバ
ルト濃度勾配を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルカリ蓄電池用の
正極活物質に関し、詳しくは水酸化ニッケルとコバルト
化合物とで固溶体粒子となした水酸化ニッケル活物質の
改良に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ蓄電池用ニッケル正極の製法に
は、ニッケル粉末を焼結した焼結式基板に活物質を充填
するいわゆる焼結式と、ニッケル繊維焼結多孔体や発泡
ニッケル多孔体などの高多孔度のニッケル多孔体にペー
スト状の活物質を充填するいわゆるペースト式とがあ
る。しかし、焼結式は、活物質の充填作業が煩雑であ
り、また基板の高多孔度化に限界があるため、電極の高
エネルギー密度化を図り難いという欠点がある。このた
め、近年では、電池の高エネルギー密度化、低価格化の
要請に応えるべく、高多孔度ニッケル体を用いたペース
ト式のニッケル正極が主流になりつつある。
【0003】しかしながら、ペースト式は多孔体への高
密度充填が可能であるものの、集電体として機能する多
孔体の細孔径が大きいために、多孔体と活物質との電気
的接触が不充分となり、集電効率が悪いという欠点があ
る。このため、高密度に充填した活物質の発電能力を十
分に引出し得ないという問題がある。
【0004】そこで、従来よりこのようなペースト式の
欠点を改善することを目的とし、水酸化ニッケルと水
酸化カドミウム又は水酸化コバルトを含む固溶体活物質
粉末の表面に水酸化コバルトの被覆層を形成する技術
(特開昭62−222566号公報)や、水酸化ニッ
ケルの表面部に水酸化ニッケルと水酸化コバルトの固溶
体を形成する技術(特開平3−62457号公報)、更
には前記特開昭62−222566号公報に記載の技術
を一層改良した技術として、水酸化ニッケル表面に形
成されたコバルト化合物を含む被覆層の上に親水性有機
物膜を施す技術(特開平5−151962号公報)など
が提案されている。これらの技術を適用した場合、活物
質粒子相互間における導電性が向上するため、ニッケル
正極の性能を向上させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の技術
では、次のような問題点が解決できていない。即ち、水
酸化ニッケル粒子表面に水酸化コバルトを配した場合、
この水酸化コバルトが活物質粒子相互間の導電性を向上
させるが、粒子表面の水酸化コバルトは、過放電時に水
酸化ニッケルの内部に拡散し、粒子表面の水酸化コバル
ト量が減少するという現象が生じる。このため、活物質
粒子の導電性が低下し、その利用率が低下し、特に過放
電時において十分な電池容量が取り出せなくなるという
問題がある。しかし、前記拡散を見込んで予め多量の水
酸化コバルトを粒子表面又は活物質全体に配する方法で
は、水酸化ニッケル量(活物質本体の量)の相対的減少
を招くため、エネルギー密度を十分に高めることができ
なくなる。
【0006】また、前記の技術は、被覆層の上に親水
性有機物膜を施すことによりコバルト種が電解液中へ散
逸するのを物理的に防止しようとする技術であるので、
この技術でも母粒子内部に拡散する現象を抑制できな
い。
【0007】本発明は、前記従来技術における問題点を
解決するためになされたものであり、活物質粒子相互間
の導電性を少ない量のコバルト化合物でもって効果的に
向上させ、かつ過放電時においても母粒子表面近傍のコ
バルト化合物が水酸化ニッケル母粒子内部へ拡散するこ
とのないアルカリ蓄電池用正極活物質、及びそのような
アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次の特徴を有している。請求項1記載の発
明は、少なくとも水酸化ニッケルと、コバルト化合物と
を含有する固溶体粒子を必須構成要素とするアルカリ蓄
電池用正極活物質であって、前記固溶体粒子は、粒子表
層に高く粒子中心部に向かって減少するコバルト濃度勾
配を有することを特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載のア
ルカリ蓄電池用正極活物質において、前記固溶体粒子の
表面に粒子表層のコバルト濃度と同等以上のコバルト濃
度を有する水酸化コバルト被覆層が形成されていること
を特徴とする。
【0010】請求項3記載の発明は、前記水酸化コバル
ト被覆層中の水酸化コバルトが、被覆層の形成された固
溶体粒子をアルカリと酸素の共存下で加熱処理すること
によって、2価を超えるコバルト化合物としてあること
を特徴とする請求項2記載のアルカリ蓄電池用正極活物
質。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項1記載のア
ルカリ蓄電池用正極活物質が、前記固溶体粒子と、前記
固溶体粒子表層のコバルト濃度と同等以上のコバルト濃
度を有する水酸化コバルト含有粉末とを含むことを特徴
とする。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項1ないし請
求項4記載のアルカリ蓄電池用正極活物質において、前
記固溶体粒子が、更に亜鉛化合物、カドミウム化合物、
マグネシウム化合物、マンガン化合物からなる群より選
択される1種以上の化合物を含有することを特徴とす
る。
【0013】請求項6記載の発明は、攪拌下ニッケル塩
溶液に対し、コバルト塩添加量が連続的または段階的に
増加するようにコバルト塩溶液を注加し、これと同時並
行的にアルカリ溶液を注加して反応溶液pHを所定値に
維持することにより、粒子中心部で低く粒子表層に高い
コバルト濃度勾配を有するニッケル・コバルト固溶体粒
子を作製する固溶体粒子作製工程を備えるアルカリ蓄電
池用固溶体活物質粒子の製造方法であることを特徴とす
【0014】請求項7記載の発明は、請求項6記載のア
ルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造方法の固溶体粒
子作製工程において、反応溶液中にアンモニアを存在さ
せることを特徴とする。
【0015】請求項8記載の発明は、請求項6ないし請
求項7記載のアルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造
方法において、更に、前記ニッケル・コバルト固溶体粒
子を、少なくともコバルト塩を溶解したコバルト塩溶液
に攪拌分散し、この攪拌分散液にアルカリ溶液を注加し
分散液pHを所定値に調整することによりコバルト化合
物を析出させ、前記ニッケル・コバルト固溶体粒子の表
面に水酸化コバルト被覆層を形成する被覆層形成工程を
備えることを特徴とする。
【0016】請求項9記載の発明は、請求項8記載のア
ルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造方法において、
更に、前記被覆層形成工程で作製した被覆固溶体粒子に
アルカリ金属溶液を含浸させた後、酸素存在下で熱処理
するアルカリ熱処理工程を備えることを特徴とする。
【0017】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
アルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造方法におい
て、前記アルカリ金属溶液が、水酸化カリウム溶液であ
ることを特徴とする。
【0018】請求項11記載の発明は、請求項9ないし
請求項10記載のアルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の
製造方法において、前記熱処理の温度が、40〜100
℃であることを特徴とする。
【0019】
【実施の形態】以下、本発明にかかるニッケル固溶体活
物質粒子の作製方法およびこの固溶体活物質粒子を用い
た正極の製造方法を説明し、その後この正極を組み込ん
だ電池により各種固溶体活物質粒子の電気化学的特性を
説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにす
る。
【0020】〔各種固溶体活物質粒子の作製〕 (本発明活物質粒子A0 の作製)先ず、固溶体粒子の全
重量を100とするとき、亜鉛とコバルトの金属元素重
量分率がそれぞれ0.5重量%、2重量%となるよう
に、硫酸ニッケル水溶液(a液)、硫酸亜鉛水溶液(b
液)、硫酸コバルト水溶液(c液)を用意した。次に前
記a液とb液を攪拌混合し、このab液に対し、攪拌混
合を続けながら、単位時間当たりの注加量が段階的又は
連続的に増加するように注加量を制御しながら前記c液
を添加するとともに、これと同時並行的にabc反応溶
液のpHが所定値に維持されるようにアンモニア水およ
び水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加した。これによ
りabc反応溶液中に水酸化ニッケルを主成分とする活
物質粒子が生成・析出するので、これを採取し、水洗・
乾燥してニッケル・コバルト固溶体粒子を得た。以下、
このニッケル・コバルト固溶体粒子を本発明活物質粒子
0 とする。
【0021】上記のようにab液に対するc液の注加量
を段階的または連続的に増加する方法で各溶液を反応さ
せた場合、ニッケル化合物、亜鉛化合物、コバルト化合
物の3成分からなる固溶体粒子が得られ、この固溶体粒
子は、コバルト化合物が粒子内部で低く粒子表面で高い
濃度勾配(以下、Co濃度勾配という)をもって粒子内
に分散したものとなる。
【0022】なお、上記a、b、cの各液の濃度および
使用量は、反応条件等を勘案して適宜可変するのがよい
が、例えば、a、b、c各液の濃度を20重量%とし、
この濃度の各液を重量比でa:b:c=5000:4
2.2:168.5の比率で用いた場合、上記した金属
元素重量分率の固溶体粒子が得られる。上記ではこの方
法に従って固溶体粒子を作成した。
【0023】また、c液の注加方法の具体例としては、
例えばc液の全注加液量を100とした場合、1回目に
その1/100、2回目に3/100、3回目に5/1
00、4回目に7/100、5回目に9/100、6回
目に11/100、7回目に13/100、8回目に1
5/100、9回目に17/100、10回目に19/
100というふうに段階的に注加液量を増大させる方法
や、高濃度のコバルト塩溶液と低濃度のコバルト塩溶液
を用意し、両溶液の混合比率を段階的または連続的に変
化させることにより、注加液のコバルト塩濃度を段階的
または連続的に高めていく方法が挙げられる。
【0024】更に、上記反応溶液のpHは10〜12の
範囲で適当に調整すればよいが、反応収率や粒子性状の
面から好ましくはpH11とするのがよい。また、反応
溶液のpH調整用のアルカリは特に限定されるものでは
なく、例えば水酸化ナトリウム水溶液のみで行うことも
できるが、良好な粒状固溶体を得やすいことから、好ま
しくはアンモニア水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを
併用するのがよい。更にアンモニアと水酸化ナトリウム
の使用比率としては、1:0.05〜100(モル比)
の範囲がよく、好ましくは1:2〜3とするのがよい。
【0025】(本発明被覆活物質粒子BA0 の作製)上
記本発明活物質粒子A0 を約2倍量の硫酸コバルト水溶
液(濃度;10重量%)の中に入れ、攪拌下、水酸化ナ
トリウム水溶液を反応液pHが10に維持されるように
徐々に添加する。これにより活物質粒子A0 の周囲に水
酸化コバルトが析出し、粒子の表面が水酸化コバルトで
被覆されるので、硫酸コバルト水溶液の添加量を調整し
て、10重量%(被覆粒子に対する値)の水酸化コバル
トを被覆した。この被覆粒子を補集し水洗・乾燥した。
以下、この被覆粒子を本発明被覆活物質粒子BA0 とす
る。
【0026】(比較活物質粒子Xの作製)上記本発明活
物質粒子A0 の作製の場合と同様に、固溶体粒子の全重
量を100とするとき、亜鉛とコバルトの金属元素重量
分率がそれぞれ0.5重量%、2重量%となるように、
硫酸ニッケル水溶液(a液)、硫酸亜鉛水溶液(b
液)、硫酸コバルト水溶液(c液)を用意した。次にa
液、b液及びc液を混合し、攪拌下この混合液に、反応
溶液のpHが11に維持されるようにアンモニア水およ
び水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加した。これによ
り反応溶液中に水酸化ニッケルを主成分とする固溶体粒
子が生成・析出するので、これを補集し、水洗・乾燥し
た。以下、この固溶体粒子を比較活物質粒子Xとする。
【0027】なお、この比較活物質粒子Xと本発明活物
質粒子A0 とは、粒子内のコバルト化合物の分布状態が
異なり、比較活物質粒子Xではコバルト化合物が粒子内
にほぼ均一に分布している。
【0028】(比較被覆活物質粒子BXの作製)比較活
物質粒子Xを用いたこと以外は、本発明活物質粒子BA
0 の作製の場合と同様にして、X粒子の表面に水酸化コ
バルト被覆層を形成した。この粒子を比較被覆活物質粒
子BXとする。
【0029】〔各種正極の作製〕 (本発明例正極EA0 の作製)本発明活物質粒子A0
90重量部と、水酸化コバルト粉末(平均粒径;0.2
0μm)を10重量部と、酸化亜鉛粉末(平均粒径;
0.65μm)を2重量部とを混合し、これに0.2重
量%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を50重量部
を加えて混練して活物質スラリーを調製した。この活物
質スラリーを発泡ニッケル体(多孔度95%、厚み約
1.6mm)に充填し乾燥した後、圧延して厚み0.6
mmのニッケル正極を作製した。このニッケル正極を、
本発明例正極EA0 とする。
【0030】この本発明例正極EA0 は、別途添加した
水酸化コバルト含有粉末(水酸化コバルト粉末、酸化亜
鉛粉末)が、前記本発明活物質粒子A0 の近傍に存在す
る状態で正極が構成されている点に特徴を有する。
【0031】なお、上記本発明例正極EA0 では、水酸
化コバルト粉末と酸化亜鉛粉末とからなる水酸化コバル
ト含有粉末を用いたが、例えば酸化亜鉛以外の他の第三
の成分(後記)と水酸化コバルトとの混合末を水酸化コ
バルト含有粉末として用いることもできるし、水酸化コ
バルトのみからなる粉末を水酸化コバルト含有粉末とし
て用いることもできる。即ち、本明細書における「水酸
化コバルト含有粉末」は、「少なくとも水酸化コバルト
を含有した粉末」の意味で使用されている。
【0032】(本発明例正極EBA0 の作製)前記本発
明被覆活物質粒子BA0 を用いたこと以外は、上記本発
明例正極EA0 の作製と同様にして、本発明例正極EBA
0 を作製した。
【0033】この本発明例正極EBA0 と前記正極EA
0 とは、組成的には同一であるが、次の点で異なる。即
ち、正極EA0 では固溶体粒子A0 と共に10重量%の
水酸化コバルトが粉末で添加されているのに対し、正極
EBA0 では、10重量%の水酸化コバルトが固溶体粒
子A0 の表面に被覆された状態となっている。
【0034】(比較例電極EXの作製)前記比較活物質
Xを用いたこと以外は、上記本発明例正極EA0 の作製
と同様にして、比較例電極EXを作製した。
【0035】(比較例電極EBXの作製)前記比較活物
質粒子BXを用いたこと以外は、上記本発明例正極EA
0 の作製と同様にして、比較例電極EBXを作製した。
【0036】なお、上記において、「E」は電極を意味
し、例えば「EA0 」は本発明活物質粒子A0 を用いた
電極(正極)であることを意味する。また、「B 」は、
水酸化コバルトが粒子表面に被覆されたものであること
を意味し、例えば「BA0 」は本発明活物質粒子A0
母粒子としこの表面に水酸化コバルト被覆層が形成され
た活物質であることを意味する。本明細書では全てこの
用法に従って活物質、正極の種類の別が表記してある。
【0037】〔電気化学的特性の測定・評価〕上記で作
製した各種正極を用いて以下に記載した簡易セルとニッ
ケル水素蓄電池を構成し、これら電池を用いて各種正極
活物質の単位活物質重量当たりの放電容量と過放電特性
を調べた。
【0038】(簡易セル)上記各種正極とこの正極より
も十分に大きな容量を有する公知の焼結式カドミウム負
極とを、不織布からなるセパレータを介して重ね、その
両側を内側に加重が掛かる状態にアクリル板で挟み一対
の電極体となす。この電極体を電気化学的に過剰量の水
酸化カリウム水溶液(濃度;約25重量%)中に浸漬
し、理論容量360mAhの開放型簡易セルを構成し
た。
【0039】(ニッケル水素蓄電池)上記各種正極とこ
の正極よりも容量の大きい下記の水素吸蔵合金負極と
を、不織布からなるセパレータを介して巻回し電極体を
作製する。この電極体を電池缶に挿入し、更に7〜8.
5規定の水酸化カリウム水溶液を注入した後、電池缶開
口部を密閉して、理論容量1200mAhの密閉型ニッ
ケル・水素蓄電池を構成した。
【0040】水素吸蔵合金負極の作製方法は次の通りで
ある。Mm、Ni、Co、Al、Mnの各金属元素(市
販品)を化学量論比で1:3.4:0.8:0.2:
0.6となるように秤量して高周波溶解炉に入れ、混合
溶融して水素吸蔵合金鋳塊となし、この合金鋳塊を粗粉
砕し更に平均粒径150μm前後まで機械的粉砕した。
次いで、この合金粉末にポリエチレンオキサイド(結着
剤)と水を適量加えて混練して活物質スラリーとなし、
このスラリーをパンチングメタルからなる集電体の両面
に塗布・乾燥した後、プレスして厚み約0.4mmの水
素吸蔵合金負極を作製した。なお、酸化を防止するた
め、合金の鋳造、粉砕は不活性ガス雰囲気下で行った。
【0041】(電気化学的特性の測定条件)単位活物質
重量当たりの放電容量は、簡易セルを0.1C(36m
A)の電流値で24時間充電した後、1/3C(120
mA)の電流値で電池電圧が1.0Vに達するまで放電
してこの時の放電容量を測定し、下記数1に従って算出
した。
【0042】
【数1】
【0043】過放電特性は、先ず前記密閉型ニッケル・
水素蓄電池に対し、0.1C(120mA)の電流値で
16時間充電し、0.2C(240mA)の電流値で電
池電圧が1.0Vに達するまで放電するというサイクル
を3サイクル繰り返して蓄電池の活性化を行い、この活
性化済蓄電池に対し下記条件で充放電を行い、下記数2
で過放電特性値を求める方法によった。
【0044】1)1C(1200mA)の電流値で、電
池電圧がピークに達し、ピーク電圧値からの電圧降下量
(−ΔV値)が10mVに達するまで充電を行う。 2)1時間の休止の後、1Cの電流値で電池電圧が1.
0Vに達するまで放電を行う。ここでこの時の放電容量
Wi(初回値)を測定しておく。 3)引き続いて0.05C(60mA)の電流値で16
時間の強制放電を行う。 4)上記1)〜3)の操作を5サイクル繰り返し、5サ
イクル目の放電容量Wf を測定する。
【0045】
【数2】
【0046】(測定結果)表1に、上記で作製した各種
固溶体粒子の組成及び特徴の一覧を示す。また表2に、
これらの固溶体粒子を用いて作製した各種電極の主要成
分の組成を示すとともに併せて電気化学的特性に関する
試験結果を示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表2の正極EA0 とEXの結果において、
本発明活物質粒子A0 を用いた正極EA0 は、比較活物
質粒子Xを用いた正極EXに比較し、顕著に高い過放電
特性値を示した。ここで、正極EA0 と正極EXとは固
溶体粒子の作製方法(Co濃度勾配の有無)のみが異な
る。したがって、両正極の過放電特性の差は、Co濃度
勾配の有無に原因することは明らかであり、このことか
ら、水酸化ニッケルとコバルト化合物を含む固溶体粒子
において、粒子中心部に低く粒子表層に高いCo濃度勾
配を形成してやると、過放電特性が顕著に高まることが
判る。
【0050】ところで、コバルト化合物を濃度勾配をも
って固溶体粒子に分散させると過放電特性が向上する理
由は、次のように考えられる。正極内に形成される導電
ネットワークは、活物質同志の接触によるものである。
しかし、活物質粒子の導電性を高めるために、大量のコ
バルト化合物を配合した場合、粒子の水酸化ニッケル
(活物質本体)の密度が低下しエネルギー密度の低下を
招く。したがって、導電性改善の目的で配合するコバル
ト化合物は可能な限り少量の方が好ましく、このために
は、コバルト化合物を粒子表面にのみ存在させるのがよ
い。
【0051】しかし、粒子表面にのみコバルト化合物を
存在させた場合、固溶体活物質粒子では、過放電時に粒
子表面のコバルト化合物が粒子内部に拡散し、Co濃度
が低下する。これに対し、粒子中心部に低く粒子表面に
高いCo濃度勾配を有する固溶体活物質粒子では、粒子
表層とその直近内側とのコバルト濃度差が小さいため、
コバルトの粒子内部への浸透・拡散が抑制される。ま
た、別途添加され粒子近傍に存在する水酸化コバルト粉
末と粒子表面とのコバルト濃度差も小さくできるので、
粒子表面近傍に常に高濃度のコバルト化合物を存在させ
ることができる。
【0052】つまり、Co濃度勾配を有する固溶体活物
質粒子を用い構成された正極では、水酸化コバルトを介
して形成される粒子相互間導電ネットワークが、過放電
時においても良好な導電性を維持する。よって、従来の
固溶体活物質粒子を用いた正極に比べ、過放電特性が顕
著に向上する。
【0053】なお、後記するが、固溶体粒子中に配合さ
れた亜鉛化合物等の第三の成分も、過放電時におけるコ
バルトの拡散を抑制するように作用する。したがって、
本発明固溶体活物質粒子では、Co濃度勾配の作用と第
三の成分の作用とが合わさって一層良好な過放電特性が
得られる。このことからして、この亜鉛化合物をコバル
ト化合物と同様な方法により濃度勾配を持たせて粒子中
に分布させるのも好ましい。
【0054】次に正極EA0 、EXと正極EBA0 、EB
Xの結果を比較検討する。表2において、正極EA
0 は、被覆固溶体粒子を用いた正極EBA0 に比べ、過
放電特性値がやや低下したものの、単位活物質重量当た
りの放電容量がやや向上した。この傾向はEXとEBX
との間でも同様であった。
【0055】ここで、正極EA0 及びEXと、正極EB
0 及びEBXとは被覆層の有無のみが異なり、前者
は、水酸化コバルトを粉末で添加したものであり、後者
は前者と同一量の水酸化コバルトを固溶体粒子表面に被
覆したものである。よって、単に固溶体粒子表面に水酸
化コバルトを被覆しただけでは、被覆効果が十分に現れ
ないことが判る。そこで、この結果を踏まえ、以下では
水酸化ニッケル、コバルト化合物以外の亜鉛化合物等の
第三の成分の影響、並びに水酸化コバルト被覆層の処理
条件と電気化学的特性の関係を調べ、Co濃度勾配を有
する固溶体粒子の電気化学的特性を更に向上させ得る条
件を確立した。以下、検討内容を順次説明する。
【0056】〔第三の成分の影響〕第三の成分として亜
鉛化合物、カドミウム化合物、マグネシウム化合物、マ
ンガン化合物からなる群より選択される化合物を使用
し、これらの化合物の1つと水酸化ニッケル及びコバル
ト化合物とで固溶体粒子(正極活物質粒子A1 〜A4
を作製した。作製方法は第三の成分の種類及び配合割合
を変化させたこと以外、前記本発明活物質A0 と同様で
あり、電気化学的特性試験の方法についても前記と同様
に行った。
【0057】表3に、第三成分の種類を変えた正極活物
質粒子A1 〜A4 の組成を示す。また表4に、正極活物
質粒子A1 〜A4 をそれぞれ用いて前記本発明例正極E
0と同様にして作製した正極EA1 〜EA4 の主要成
分の組成、及び電気化学的特性試験の結果を示す。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】表4において、正極EA1 〜EA4 の単位
活物質重量当たりの放電容量および過放電特性値に大き
な差が認められなかった。他方、EA1 〜EA4 の特性
値を前記EA0 (表2参照)と比較において、単位活物
質重量当たりの放電容量は僅かに低下したものの、過放
電特性値は前記EA0 に比較し明確に向上していた。
【0061】ここで、EA1 〜EA4 と前記EA0 の違
いは、第三成分の配合量のみであるので、上記結果は第
三成分量の増加に起因することは明白である。一方、表
2の結果と表4の結果から、各固溶体粒子の過放電特性
は、固溶体粒子X<固溶体粒子A0 <固溶体粒子A1
4 の順に向上していることが判る。更に本発明者ら
は、コバルト化合物とともに亜鉛化合物等の第三成分を
配合すると、亜鉛化合物等の第三成分が固溶体結晶組織
をコバルトの移動しにくい構造とすることを別途見いだ
している。これらの知見から、次のことが結論できる。
【0062】即ち、亜鉛等の第三成分は、ニッケル・コ
バルト固溶体結晶組織をコバルトの移動しにくい構造と
するプラス作用がある一方、固溶体の水酸化ニッケル密
度を低下させ、単位活物質重量当たりの放電容量を低下
させるというマイナス作用もある。したがって、A
0 (0.5wt%)よりも第三成分の添加量が多いA1
4 (2wt%)は、第三成分のマイナス作用がある程度
現れ、僅かに単位活物質重量当たりの放電容量が低下し
たものの、第三成分のプラス作用によりA1 〜A4では
過放電特性が顕著に向上したものと考えられる。このこ
とから、亜鉛等の第三成分の作用を都合良く発揮させる
ためには、第三成分の配合量を適正にする必要がある
が、亜鉛化合物等の第三成分量を2%(金属元素重量%
表示)とした場合には、単位活物質重量当たりの放電容
量を殆ど低下させることなく、Co濃度勾配の作用との
共働作用により過放電時におけるコバルト化合物の固溶
体内移動を有効に抑制することができる。
【0063】〔水酸化コバルト被覆層の処理条件〕被覆
固溶体粒子(BA0 )に以下の条件でアルカリ熱処理を
実施して、一層電気化学的特性を高め得る条件を検討し
た。
【0064】(アルカリ熱処理条件)前記被覆活物質粒
子BA0 に25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を含浸
させた後、各温度の加熱空気中で3時間熱処理し、アル
カリ熱処理済の被覆活物質粒子H-1、H-2、H-3、H-
4、H-5、H-6 を作製した。また、アルカリの種類と影
響を調べるため、上記水酸化ナトリウム水溶液の代わり
に25重量%の水酸化カリウムム水溶液を用い、加熱温
度を80℃とし、その他の条件を上記と同様にしてアル
カリ熱処理済被覆活物質粒子H-7を作製した。
【0065】次いで、上記各粒子を用い正極EBA0
場合と同様にして正極を作製するとともに、前記と同様
な方法で電気化学的特性を調べた。その結果を、アルカ
リ熱処理条件とともに表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】表5において、アルカリ熱処理を実施した
被覆活物質粒子H-2、H-3、H-4、H-5は、非アルカリ
熱処理の被覆活物質粒子BA0 (表2参照)に比較し、
単位活物質重量当たりの放電容量、過放電特性値の何れ
もが向上していた。しかし、H-1(熱処理温度30℃)
は、BA0 と同様な特性値を示し、H-6(熱処理温度1
20℃)では、単位活物質重量当たりの放電容量が低下
していた。このことから、アルカリ熱処理温度は40℃
〜100℃とするのが好ましく、被覆活物質粒子にこの
条件でアルカリ熱処理を行った場合、電気化学的特性が
顕著に高まる。
【0068】他方、水酸化カリウム水溶液を用いてアル
カリ熱処理を行ったH-7は、H-2〜H-5よりも更に優れ
た電気化学的特性を示した。このことから、アルカリ熱
処理におけるアルカリ金属としては、好ましくは水酸化
カリウムを使用するのがよい。
【0069】なお、アルカリ熱処理によって電気化学的
特性が向上するのは、被覆層のコバルト化合物が導電性
に優れる2価以上の高次コバルト化合物に変化し、また
被覆層が電解液と馴染み易い性状に変化するためと考え
れる。
【発明の効果】以上に説明したように、本発明にかかる
固溶体活物質粒子では、コバルト化合物が濃度勾配をも
って活物質粒子中に分布し、かつ粒子表層に高濃度に存
在するように構成されている。したがって、コバルト化
合物が粒子全体に均一に分散した従来の固溶体活物質粒
子に比べ、少ない量のコバルト化合物の配合でもって効
率良く粒子導電性を向上させることができ、しかも粒子
表層とその内側直近さらにその内側直近(以下同様)と
のコバルト濃度差が少ないので、粒子表面のコバルト化
合物が充放電に伴って粒子内部に拡散しにくい。
【0070】更に、この固溶体活物質粒子には、亜鉛化
合物、カドミウム化合物、マグネシウム化合物、マンガ
ン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物
(第三の成分)が配合してあるので、この化合物がコバ
ルト化合物の拡散を抑制するように作用して上記Co濃
度勾配の効果を増強する。
【0071】更にまた、このような特性を有する固溶体
活物質粒子を主成分とし、これに別途水酸化コバルト粉
末を配合してなる本発明正極活物質では、上記の説明と
同様理由から、粉末添加のコバルト化合物が充放電にと
もなって活物質粒子内部に拡散して減少することがな
い。したがって、粒子表面近傍に常に高濃度に存在する
水酸化コバルトが、粒子相互間の導電性を好適に維持す
る。
【0072】一方、本発明にかかる被覆活物質粒子で
は、水酸化コバルトを粉末で添加することに代え、水酸
化コバルトを粒子表面に被覆してある。このような被覆
活物質粒子では、水酸化コバルトが常に粒子表面に密着
した状態で存在しているので、水酸化コバルトを粉末で
添加する場合に比べ、水酸化コバルトの導電性向上効果
が有利に発揮される。
【0073】更に、本発明では、このような被覆活物質
粒子をアルカリ熱処理して、被覆層を好適な性状に改質
し、一層の電気化学的特性の向上を図ってある。即ち、
被覆活物質粒子に対しアルカリ熱処理を施した場合、被
覆層を構成するコバルト化合物がより導電性に優れた2
価以上のコバルト化合物に変化するとともに、被覆層が
ポーラスなものとなり電解液との接触性が良くなる。し
たがって、このような被覆活物質粒子で正極を構成した
場合、正極内に好適な導電ネットワークが形成され、か
つ電解液との接触性もよいので、上記Co濃度勾配の効
果や第三の成分の効果も加わって、いわゆるペースト式
における欠点である集電効率が改善され、電極活物質の
利用率が大幅に向上すると共に、単位活物質重量当たり
の電気容量(エネルギー密度)が高まる。そしてこの効
果は、特に過放電時において顕著に発揮される。
【0074】また、本発明製造方法によれば、比較的簡
易な方法で確実かつ安定して上記のような優れた固溶体
活物質粒子および被覆活物質粒子を製造できる。よっ
て、単位活物質重量当たりの電気容量が高く、かつ過放
電特性に優れたアルカリ蓄電池用正極活物質を安価に供
給できるという効果が得られる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも水酸化ニッケルと、コバルト
    化合物とを含有する固溶体粒子を必須構成要素とするア
    ルカリ蓄電池用正極活物質であって、 前記固溶体粒子は、粒子表層に高く粒子中心部に向かっ
    て減少するコバルト濃度勾配を有することを特徴とする
    アルカリ蓄電池用正極活物質。
  2. 【請求項2】 前記固溶体粒子は、更に、粒子表層のコ
    バルト濃度と同等以上のコバルト濃度を有する水酸化コ
    バルト被覆層が粒子表面に形成されたものである、こと
    を特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄電池用正極活物
    質。
  3. 【請求項3】 前記水酸化コバルト被覆層中の水酸化コ
    バルトは、被覆層の形成された固溶体粒子をアルカリと
    酸素の共存下で加熱処理することによって、2価を超え
    るコバルト化合物とされていることを特徴とする請求項
    2記載のアルカリ蓄電池用正極活物質。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ蓄電池用正極活物質は、前
    記固溶体粒子と、前記固溶体粒子表層のコバルト濃度と
    同等以上のコバルト濃度を有する水酸化コバルト含有粉
    末とを含むことを特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄
    電池用正極活物質。
  5. 【請求項5】 前記固溶体粒子は、更に、亜鉛化合物、
    カドミウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合
    物からなる群より選択される1種以上の化合物を含有す
    る、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4記載のア
    ルカリ蓄電池用正極活物質。
  6. 【請求項6】 少なくとも水酸化ニッケルとコバルト化
    合物を含有してなるアルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子
    の製造方法において、 前記アルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造方法は、
    攪拌下ニッケル塩溶液に対し、コバルト塩添加量が連続
    的または段階的に増加するようにコバルト塩溶液を注加
    し、これと同時並行的にアルカリ溶液を注加して反応溶
    液pHを所定値に維持することにより、粒子中心部で低
    く粒子表層に高いコバルト濃度勾配を有するニッケル・
    コバルト固溶体粒子を作製する固溶体粒子作製工程を備
    えることを特徴とするアルカリ蓄電池用固溶体活物質粒
    子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記固溶体粒子作製工程において、反応
    溶液中にアンモニアを存在させることを特徴とする請求
    項6記載のアルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記ニッケル・コバルト固溶体粒子を、
    少なくともコバルト塩を溶解したコバルト塩溶液に攪拌
    分散し、この攪拌分散液にアルカリ溶液を注加し分散液
    pHを所定値に調整することによりコバルト化合物を析
    出させ、前記ニッケル・コバルト固溶体粒子の表面に水
    酸化コバルト被覆層を形成する被覆層形成工程を更に備
    える、ことを特徴とする請求項6ないし請求項7記載の
    アルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造方法。
  9. 【請求項9】 更に、前記被覆層形成工程で作製した被
    覆固溶体粒子にアルカリ金属溶液を含浸させた後、酸素
    存在下で熱処理するアルカリ熱処理工程を備える、こと
    を特徴とする請求項8記載のアルカリ蓄電池用固溶体活
    物質粒子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記アルカリ金属溶液が、水酸化カリ
    ウム溶液であることを特徴とする請求項9記載のアルカ
    リ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記熱処理の温度が、40〜100℃
    であることを特徴とする請求項9ないし請求項10記載
    のアルカリ蓄電池用固溶体活物質粒子の製造方法。
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