JPH0995229A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JPH0995229A
JPH0995229A JP27645195A JP27645195A JPH0995229A JP H0995229 A JPH0995229 A JP H0995229A JP 27645195 A JP27645195 A JP 27645195A JP 27645195 A JP27645195 A JP 27645195A JP H0995229 A JPH0995229 A JP H0995229A
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淳二 堤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コイルの温度変化や電源電圧の変動によるP
WM制御信号のデューティ比と電磁弁の開閉動作量との
対応のずれを補償して、精密なABS制御を実行できる
制御装置等のブレーキ液圧制御装置を提供する。 【解決手段】 各車輪1の制動用シリンダ2の流体圧を
制御信号に応じて各々増減圧調整するアクチュエータ6
と、車輪1のスリップ状態に基づいてアクチュエータ6
を制御する制御信号を出力するアクチュエータ制御手段
20とを備えたブレーキ液圧制御装置において、アクチ
ュエータ制御手段20が、アクチュエータ6を制御する
制御信号をPWM制御するPWM制御手段と、電磁弁
8,9のコイルの電流値を検出するコイル電流検出手段
とを備え、PWM制御手段は、オンデューティ比100
%のときのコイル電流検出値と、予め設定した基準電流
値との比に応じて前記PWM制御のデューティ比を設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各車輪の制動用シ
リンダに作用する液圧を最適状態に制御して、車輪のロ
ックを防止するアンチブレーキロックシステム(以下A
BSと記す)やトラクションコントロール装置等のブレ
ーキ液圧制御装置に関するものであって、特に、電磁弁
のコイル温度の変化(コイル電流による発熱や環境温度
による)に起因するコイル電流の変動による制御結果の
変動を抑制できるブレーキ液圧制御装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】このようなブレーキ液圧制御装置のう
ち、車両の制動時における車輪のロックを防止するAB
Sは、一般に、制御対象車輪の回転数の負の加速度を検
出して、この負の加速度の絶対値が、舵取り効果や制動
距離の確保に有効とされる基準スリップ率を満足する目
標としての負の加速度の絶対値よりも大きい場合には、
制動用シリンダへの液圧を減圧し、この減圧によって当
該車輪回転数の負の加速度の絶対値が目標としての負の
加速度の絶対値よりも小さくなると、再び当該車輪の制
動用シリンダへの液圧を増圧し、いわゆるポンピングブ
レーキ的な操作を自動的に行わせることによって、制御
対象車輪のスリップ率が基準スリップ率以下に維持され
るように制動力を調節制御する。
【0003】なお、このABS制御中の作動流体の増圧
調整制御は、所定時間毎に制限された増圧を繰返して、
マクロ的には各車輪の制動用シリンダの液圧が比較的緩
やかに増圧される(以下緩増圧とも記す)ようにしてい
る。また、昨今では、前記ABS制御中の液圧減圧調整
制御にも、所定時間ごとに制限された減圧を繰返して、
当該車輪の制動用シリンダの液圧が比較的緩やかに減圧
される(以下、緩減圧とも記す)ようにしたものもあ
る。
【0004】このような制動用シリンダの作動流体圧
(以下、ホイールシリンダ圧とも記す)の緩増圧或いは
緩減圧時にあって、当該ホイールシリンダ圧に対して、
所定時間ごとに制限された増減圧を繰返すために、例え
ば図18に示すような電磁弁8(この場合は流入用電磁
弁である)が用いられている。この電磁弁8の吐出孔5
1は図示されないホイールシリンダ側に接続され、流入
孔53は図示されないマスタシリンダ側に接続されてい
る。
【0005】上記流入孔53と吐出孔51との間に形成
した弁座面54には、ニードル55の前端(図18では
下端)が対向配置されており、このニードル55の後端
(図18では上端)にアーマチュア56が形成されてい
て、このアーマチュア56の外周にコイル57が配設さ
れている。
【0006】また、前記ニードル55と弁座面54との
間にリターンスプリング58を介装して、ニードル55
を弁座面54から離間する方向に付勢している。また、
弁座面54と流入孔53との間に絞り52を形成してい
る。従って、コイル57に通電のないときはリターンス
プリング58の付勢力によってニードル55が弁座面5
4から離間し、流入孔53と吐出孔51とが連通状態と
なり、マスタシリンダ圧は絞り52の影響を受けながら
ホイールシリンダ圧を増圧する。
【0007】また、コイル57に通電があると、アーマ
チュア56が前記リターンスプリング58の付勢力に抗
して前記流入孔53側に変位して、ニードル55の前端
が弁座面54に当接し、前記流入孔53と吐出孔51と
が遮断されてホイールシリンダ圧が保持される。
【0008】従って、この電磁弁8を用いて前述のよう
にホイールシリンダ圧を緩増圧する際には、前記コイル
57に通電し続けて流入孔53と吐出孔51間を閉状態
とするホイールシリンダ圧の保持状態から、前記所定時
間毎に、例えばデューティ比制御された短い矩形波(パ
ルス)形状に前記コイル57への通電を解除して、前記
流入孔53と吐出孔51間を開状態とするホイールシリ
ンダ圧の増圧状態とし、これを前記所定時間ごとに繰返
して当該ホイールシリンダ圧がステップ状に増圧される
ようにしている。
【0009】なお、このホイールシリンダ圧の緩増圧制
御では、前記短いパルス形状のコイルへの通電解除信号
は、当該緩増圧制御の全体的な増圧速度を制御するため
の信号であるということができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
電磁弁のコイルに電流を流すと、コイルの電気抵抗によ
ってコイルが発熱し、更にPWM駆動の場合は交流的な
誘導抵抗も加わるため、直流駆動の場合に比べて発熱量
が大きくなり、そのため、コイルの温度が上昇する。コ
イルの温度が上昇するとコイルの抵抗値が変動して、P
WM制御信号のデューティ比と電磁弁の開閉動作量との
対応にずれが生ずる。
【0011】また、バッテリ電圧の変動等によって、A
BS制御装置への電源電圧が変動するとPWM制御信号
のデューティ比と電磁弁の開閉動作量との対応にずれが
生じ、これらの対応のずれのため、図19に示すよう
に、PWM制御信号のデューティ比とホイールシリンダ
圧(図19ではW/C圧と記す)との関係が一定せず、
そのため、ABS制御性能に悪影響を及ぼし、精密なA
BS制御に支障を来すという問題がある。
【0012】また、PWM制御のように、作動流体圧或
いはその流量を小刻みに制御する場合には、その流体圧
の脈動に伴って流体路系に振動が生じる。既知のよう
に、ABS制御中の緩増圧或いは緩減圧時に発生する車
体の振動は、本来、流体圧の脈動によって制動力に脈動
が生じ、これがサスペンション系を介して車体に伝達さ
れるのであるが、電磁弁とホイールシリンダとの間の流
体路系を構成する配管系から配管系の取付け部材を介し
て直接車体に伝達される振動もある。
【0013】つまり、前記電磁弁からホイールシリンダ
までの間は閉鎖された流体圧系となり、これを構成する
流体路系、主として配管系の共振周波数と同一周期の作
動流体の圧力変動が発達する。その状態を、単一パルス
の増減圧信号(開弁信号)を与えた場合の圧力変動とし
て図20に示す。
【0014】なお、開弁信号が継続して電磁弁が開弁し
ているにも拘らず、ホイールシリンダ圧が一旦低下する
のは、上記作動流体の脈動によるものである。そして、
上記脈動の振幅が次第に小さくなるのは、主として前記
絞り52の粘性抵抗によるものである。また、弁開閉時
にも、配管系の共振に起因する圧力変動が発生する。ち
なみに、配管系の振動は、開弁時と閉弁時とでは、閉弁
時に発生する方が大きい。
【0015】このようなホイールシリンダ圧の脈動を抑
制するために、一般的には前記電磁弁を含むアクチュエ
ータ内にオリフィスやダンパ等の流体圧ディバイスを付
加しているが、これらの流体圧ディバイスの付加によっ
て通常ブレーキ時(非ABS制動時)の制動力発生の応
答性が低下する虞れがある。
【0016】また、このような流体圧ディバイスを付加
する分だけコスト高になるという問題もある。また、こ
れらの流体圧ディバイスによる脈圧抑制は、粘性抵抗に
よって収束を速めるというものであり、根本的な脈圧発
生のきっかけとなるパルスを抑制するものではない。
【0017】本発明は、これらの諸問題に鑑みて開発さ
れたものであり、コイルの温度変化や電源電圧の変動に
よるPWM制御信号のデューティ比と電磁弁の開閉動作
量との対応のずれを補償して、精密なABS制御を実行
できる制御装置等のブレーキ液圧制御装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0018】また、電磁弁の開閉制御を司る制御信号の
立上がりや立下がりに傾きを与えて当該電磁弁が緩やか
に開閉動作するようにすることで、制動用シリンダ圧の
脈動そのものを抑制防止し、流体路系に発生する振動及
びそれに起因する騒音を低減可能にすると共に、コスト
の低廉化をはかれるアンチスキッド制御装置等のブレー
キ液圧制御装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するた
めに、本発明のうち請求項1に係るブレーキ液圧制御装
置は、図1の基本構成図に示すように、制御信号により
開閉動作する電磁弁から構成されて、各車輪の制動用シ
リンダの流体圧を制御信号に応じて各々増減圧調整する
アクチュエータと、前記車輪のスリップ状態に基づいて
前記アクチュエータの電磁弁の開閉動作を制御する制御
信号を出力するアクチュエータ制御手段とを備えたブレ
ーキ液圧制御装置において、前記アクチュエータ制御手
段が、ブレーキ液圧制御時に前記電磁弁への電流値を制
御する制御信号をPWM制御するPWM制御手段と、電
磁弁のコイルの電流値を検出するコイル電流検出手段と
を備え、前記PWM制御手段は、オンデューティ比10
0%のときのコイル電流検出値と、予め設定した基準電
流値との比に応じて前記PWM制御のデューティ比を設
定することを特徴とするものである。
【0020】また、本発明のうち請求項2に係るブレー
キ液圧制御装置は、前記オンデューティ比100%のコ
イル電流検出値を、ABS作動時の減圧動作又は液圧保
持動作時のコイル電流値とし、これに基づいて減圧又は
液圧保持動作毎に次回増圧時のPWM制御信号のデュー
ティ比を設定することを特徴とするものである。
【0021】また、本発明のうち請求項3に係るブレー
キ液圧制御装置は、ABS作動時の減圧動作時又は減圧
直後の液圧保持動作時のコイル電流検出値に応じて、次
回の緩増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定す
ることを特徴とするものである。
【0022】また、本発明のうち請求項4に係るブレー
キ液圧制御装置は、前記アクチュエータ制御手段が、前
記電磁弁が開方向及び閉方向の少なくとも一方に次第に
移行して緩やかに増減圧するように、PWM制御信号の
デューティ比を次第に増減設定するデューティ比設定手
段を備えて、緩増圧動作中の液圧保持動作時に設定した
オンデューティ比100%時のコイル電流検出値に応じ
て、次回の増減圧信号出力時のPWM制御信号のデュー
ティ比を設定することを特徴とするものである。
【0023】このため、上記構成を有する請求項1記載
のブレーキ液圧制御装置では、ブレーキ液圧制御時に、
アクチュエータ制御手段が具備するPWM制御手段で電
磁弁への電流値をPWM制御して、制動用シリンダへ送
給する作動流体圧を、制動及び操向性維持に最適の車輪
のスリップ率に見合う圧力に維持させることができる。
特に、電磁弁のコイル電流検出手段によって、オンデュ
ーティ比100%のときに実際に電磁弁に送給される電
流値を検出し、これと予め設定した基準電流値との比に
応じて前記PWM制御手段がPWM制御のデューティ比
を設定することによって、電磁弁のコイルの温度変化や
電源電圧の変動による励磁電流の変化が補償されて、電
磁弁作動量とデューティ比とのずれが解消されるので、
制御信号と実際の作動流体圧とのずれが解消される。
【0024】また、請求項2記載のブレーキ液圧制御装
置では、前記オンデューティ比100%のコイル電流検
出値を、ABS作動時の減圧動作又は液圧保持動作時の
コイル電流値とし、これに基づいて減圧又は液圧保持動
作毎に次回増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設
定することによって、常に最新のコイル電流値に基づい
たデューティ比の設定が行われることになり、より精密
な温度と電源電圧の変動に対する補償が行われて、制御
信号と実際の作動流体圧とのずれを、より小さくするこ
とができる。
【0025】なお、ABS制御において、減圧及び液圧
保持状態では、流入用の電磁弁を完全に閉弁するため
に、オンデューティ比100%の電流を同電磁弁に送給
するようになっている。
【0026】また、請求項3記載のブレーキ液圧制御装
置では、ABS作動時の減圧動作時又は減圧直後の液圧
保持動作時のコイル電流検出値に応じて、次回の緩増圧
時のPWM制御信号のデューティ比を設定することによ
って、特に精密さを要する緩増圧時の制御信号と実際の
作動流体圧とのずれを、より小さくすることができる。
【0027】また、請求項4記載のブレーキ液圧制御装
置では、前記アクチュエータ制御手段が具備するデュー
ティ比設定手段によって、ABS制御時における前記制
動用シリンダへの液圧の時間変化率を、前記電磁弁が許
容できる範囲内で緩やかに増減圧させて、電磁弁が次第
に開方向又は閉方向に移行させることにより、急激な弁
の開閉が行われず、従って、制動用シリンダへの液圧の
脈動が抑制され、前述したABS制御時に発生する車体
や配管系等の振動を防止する。
【0028】更に、緩増圧動作中の液圧保持動作時に設
定したオンデューティ比100%時のコイル電流検出値
に応じて、次回の増圧信号出力時のPWM制御信号のデ
ューティ比を設定することによって、電磁弁が開方向又
は閉方向に次第に移行して緩やかに増圧するような、比
較的長い時間デューティ比100%の状態が現出しない
場合でも、可及的に最新のコイル電流値に基づくコイル
温度と電源電圧の変化の補償が可能になり、精密なAB
S制御が可能になる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るブレーキ液圧
制御装置の第1の実施の形態を添付図面を参照して説明
する。なお、上記説明の内容は、大別すれば、PWM制
御と、電磁弁のコイル抵抗の変動及び電源電圧変動の補
償と、制動用シリンダへの液圧の脈動の抑制とを目的と
した構成及び作用に関する詳細な説明であり、請求項1
〜請求項4に対応するものである。
【0030】図2は、本発明のブレーキ液圧制御装置
を、FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式をベ
ースにした後輪駆動車のアンチスキッド制御装置に適用
した実施の形態を示している。図中、1FL,1FRは
前左右車輪、1RL,1RRは後左右車輪であって、後
左右車輪1RL,1RRには、エンジンEGからの回転
駆動力が、変速機T、プロペラシャフトPS及びディフ
ァレンシャルギヤDGを介して伝達されるようにしてい
る。また、各車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動用
シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜2RRが取
付けられている。
【0031】更に、前左右車輪1FL,1FRには、こ
れらの車輪の回転数に応じたパルス信号PSFL、PSFR
を出力する車輪速度(以下、単に車輪速とも記す)検出
手段としての車輪速センサ3FL、3FRが取付けられ
ており、プロペラシャフトPSには、後左右車輪の1R
L,1RR平均回転数に応じたパルス信号PSRを出力
する車輪速検出手段としての車輪速センサ3Rが取付け
られている。また、車両に車体の前後方向に発生する前
後加速度Xgを検出出力する前後加速度センサ16が設
けられている。
【0032】各前車輪側ホイールシリンダ2FL,2F
Rには、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前車輪側及
び後車輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマス
タシリンダ5からの一方のマスタシリンダ圧PMCFが、
前車輪側アクチュエータ6FL,6FRを介して個別に
供給されると共に、後車輪側ホイールシリンダ2RL,
2RRには、前記マスタシリンダ5からの他方のマスタ
シリンダ圧PMCRが共通の後車輪側アクチュエータ6R
を介して供給され、全体として3センサ3チャンネルシ
ステムに構成されている。
【0033】なお、前記マスタシリンダ5には、前記二
系統のマスタシリンダ圧PMCF、PMCRを検出出力する圧
力センサ13F,13Rが設けられている。また、前記
各アクチュエータ6FL〜6Rに対応するホイールシリ
ンダ2FL〜2RRとの間の流体路には、各ホイールシ
リンダ2FL〜2RRの作動流体圧(以下、ホイールシ
リンダ圧とも記す)PFL,PRを検出する圧力センサ1
8FL〜18Rが設けられている。
【0034】前記アクチュエータ6FL〜6Rは、それ
ぞれ図3で示すように、マスタシリンダ5に接続される
油圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に
介装された電磁流入弁8と、同電磁流入弁8と並列に接
続された電磁流出弁9、油圧ポンプ10及び図示しない
逆止弁の直列回路と、電磁流出弁9及び電磁ポンプ10
間の油圧配管に接続されたアキュムレータを兼ねるリザ
ーバ12とを備えている。なお、10aはポンプモータ
である。
【0035】この電磁流入弁8と及び電磁流出弁9を構
成する電磁弁は、前記図20に示す従来のものと同様又
はほぼ同様であり、またその接続構成や作用についても
前述の内容と同様又はほぼ同様であるから、その詳細な
説明を省略する。
【0036】なお、異常時の作動補償、いわゆるフェー
ルセーフの関係から、前記電磁流入弁8は通電のないノ
ーマル位置では常時開状態(増圧状態)、通電による切
換位置で閉状態(圧力保持状態)に移行し、前記電磁流
出弁9は通電のないノーマル位置では常時閉状態(圧力
保持状態)、通電による切換位置で開状態(減圧状態)
に移行する。そして、これらの電磁弁8,9の開状態へ
の移行を開動作、閉状態への移行を閉動作という。
【0037】また、実質的な各電磁弁8,9の開閉動作
を調整するための電流値制御は、後述するPWM制御に
おけるデューティ比制御によって行われており、したが
って、後述するアンチスキッド制御中の増圧モードで
は、電磁流入弁8による増圧状態と圧力保持状態とを所
定時間毎に繰返して選択設定することにより、当該ホイ
ールシリンダ圧の増圧傾きを制御し、減圧モードでは、
前記電磁流出弁9による減圧状態と圧力保持状態とを所
定時間毎に繰返して選択設定することにより、当該ホイ
ールシリンダ圧の減圧傾きを制御する。
【0038】そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの
電磁流入弁8、電磁流出弁9及び油圧ポンプ10は、車
輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PSFL
〜PSR及び前後加速度センサ16からの前後加速度X
g及び圧力センサ13F,13Rからのマスタシリンダ
圧PMCF,PMCR及び圧力センサ18FL〜18Rからの
ホイールシリンダ圧PFL〜PR及びブレーキペダル4の
踏込みを検出するブレーキスイッチ14からのブレーキ
ペダル踏込時にオン状態となるブレーキスイッチ信号B
Sが入力する、コントロールユニットCRからの液圧制
御信号EV,AV及びMRによって制御される。
【0039】上記コントロールユニットCRは、車輪速
センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PSFL〜P
Rが入力し、これらと各車輪1FL〜1RRのタイヤ
転がり動半径とから各車輪の周速度でなる車輪速VwFL
〜VwRを演算する車輪速度演算回路15FL〜15R
と、これら車輪速度演算回路15FL〜15Rの車輪速
VwFL〜VwRに基づいて推定車体速度(以下、疑似車
速とも記す)Vi を算出し、かつ、目標ホイールシリン
ダ圧PFL*〜PR*を算出し、この目標ホイールシリン
ダ圧PFL*〜PR*と前記圧力センサ18FL〜18R
で検出されたホイールシリンダ圧PFL〜PRとが一致す
るようにアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号
EV,AV及びMRを出力する制御手段としてのマイク
ロコンピュータ20とを備えており、マイクロコンピュ
ータ20から出力する制御信号EVFL〜EVR,AVFL
〜AVR及びMRFL〜MRRがPWM駆動回路22aFL
22aR,22bFL〜22bR及び22cFL〜22cR
介してアクチュエータ6FL〜6Rに供給される。
【0040】そして、前記マイクロコンピュータ20
は、前記各車輪速度演算回路15FL〜15Rからの出
力値である車輪速VwFL〜VwRや前後加速度センサ1
6からの前後加速度Xgなどを読込むためのA/D変換
機能を有する入力インタフェース回路20aと、マイク
ロプロセッサ等の演算処理装置20bと、ROM,RA
M等の記憶装置20cと、前記演算処理装置20bで得
られた制御信号EVFL〜EVR,AVFL〜AVR及びMR
FL〜MRRをアナログ信号として出力するためのD/A
変換機能を有する出力インタフェース回路20dとを備
えている。
【0041】このマイクロコンピュータ20では、前記
車輪速VwFL〜VwRを用いて最大車輪速VwH等から車
体速度検出値としての疑似車速Viを算出し、この疑似
車速Viに基づいて目標車輪速Vw*を算出すると共
に、車輪速VwFL〜VwRを微分して車輪加減速度V´
FL〜V´wRを算出し、前記車輪速VwFL〜VwR及び
車輪加減速度V´wFL〜V´wR及び目標車輪速Vw*
等に基づいて目標ホイールシリンダ圧PFL*〜PR*を
算出し、前記ホイールシリンダ圧PFL〜PRと目標ホイ
ールシリンダ圧PFL*〜PR*とが一致するように、各
アクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EVFL
EVR,AVFL〜AVR,MRFL〜MRRを出力する。
【0042】次に、上記実施の形態に係るブレーキ液圧
制御装置の動作を、マイクロコンピュータ20の演算処
理を示す図4〜図9を参照して説明する。図4で示す演
算処理は、所定時間(例えば10msec)毎のメインプロ
グラムへの割込処理として実行される。なお、このフロ
ーチャートでは、特に情報の入出力ステップを設けてい
ないが、演算処理装置20bで演算処理算出されたり設
定されたりした情報は、随時前記記憶装置20cにおい
て記憶され、また記憶装置20cに記憶されている情報
は随時演算処理装置20bのバッファ等に伝達され記憶
される。
【0043】この演算処理では、まず、ステップS1
で、圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧
(図ではM/C圧)PMCF及びPMCRと、前後加速度セン
サ16の前後加速度Xgとを読込む。次に、ステップS
2に移行して、各車輪速度演算回路15FL〜15Rの
車輪速VwFL〜VwR(図ではVwi)を読込む。
【0044】次いで、ステップS3に移行して、前記ス
テップS2で読込んだ車輪速VwFL〜VwRを時間に関
し微分して車輪加減速度V´wFL〜V´wR(図ではV
´wi)を算出し、これらを記憶装置20cの所定記憶
領域に記憶する。次に、ステップS4に移行して、前記
ステップS2で読込んだ車輪速VwFL〜VwRに基づい
て疑似車速Viを算出する車体速度演算処理を実行す
る。
【0045】次いで、ステップS5に移行して、前記圧
力センサ18FL〜18Rのホイールシリンダ圧PFL
R(図ではPi)を読込む。次いで、ステップS6に
移行して、下記の式(1)の演算を行って目標車輪速V
w*を算出して、これを記憶装置20cに設定した目標
車輪速記憶領域に記憶する。 Vw*=0.8Vi………(1)
【0046】次いで、ステップS7に移行して、車輪速
Vwiが目標車輪速Vw*よりも小さいか否かを判定
し、Vw*>VwiであるときはステップS8に移行
し、そうでないときはステップS9に移行する。前記ス
テップS8では、目標車輪加減速度V´w*を“0”に
設定してこれを記憶装置20cに設定した目標車輪減速
度記憶領域に記憶し、ステップS10に移行する。
【0047】一方ステップS9では、下記の式(2)の
演算を行って目標車輪加減速度V´w*を算出してか
ら、前記ステップS10に移行する。 V´w*=V´wo………(2) ここで、V´woは予め設定した負値の設定値である。
【0048】前記ステップS10では、各ホイールシリ
ンダ2FL〜2Rに対する目標ホイールシリンダ圧PFL
*〜PR*を算出する目標ホイールシリンダ圧演算処理
を実行する。次いで、ステップS11に移行して、ホイ
ールシリンダ圧PFL〜PRと目標ホイールシリンダ圧P
FL*〜PR*との偏差に応じたアクチュエータ6FL〜
6Rに対する制御信号EV,AV,MRを決定し、これ
を出力するアクチュエータ制御処理を実行してからタイ
マ割込処理を終了した後所定のメインプログラムに復帰
する。
【0049】なお、前記図4の演算処理のステップS4
で実行されるサブルーチンとしての疑似車速演算処理
は、具体的には本出願人が先に出願した特開平4−27
650号公報記載のハード構成されたものをソフト化し
たものであると考えればよく、その具体的な演算処理の
説明を省略する。そして、前記図4の演算処理のステッ
プS10では、目標ホイールシリンダ圧演算処理が、図
5のフローチャートに従ってサブルーチンとして実行さ
れる。
【0050】次に、前記図4の演算処理のステップS1
1では、アクチュエータ制御演算処理が、図6のフロー
チャートに従ってサブルーチンとして実行される。次
に、前記マイクロコンピュータ20で実行される電磁流
入弁8に対するアクチュエータ制御信号出力演算処理に
ついて、図7(a)で示すフローチャートを参照して説
明する。
【0051】この演算処理は、前記図4の演算処理の実
行時間ΔTよりも充分に短い時間(例えば1msec)
ΔTEVi毎にフリーランタイマ割込処理として実行され
る。なお、図7(a)のフローチャート中、前出のフラ
グ符号やタイマ符号、デューティ比符号等は前記図6の
演算処理の説明と同様である。
【0052】ここで、電磁流入弁8のデューティ比D
EViの閉側所定デューティ比DHEVi及び後述する開側所
定デューティ比DLEViについて簡潔に説明する。前述の
ように、前記電磁流出弁9は通常開状態であり、通電に
よって閉状態となり、その電流値が前記デューティ比D
LEViによって制御される。このデューティ比DLEViの可
変範囲は勿論0〜100%であるが、図8(a)に示す
ように、ホイールシリンダ圧(図ではW/C圧)をマス
タシリンダ圧まで増圧制御可能なデューティ比D
EViは、比較的大きい閉側所定デューティ比DHでほぼ全
閉状態となり、比較的小さい開側所定デューティ比DL
でほぼ全開状態となってしまう。
【0053】これをバルブ変位に置換したものが図8
(b)である。ここでバルブ変位を調整制御可能なデュ
ーティ比の可変有効範囲(図では有効duty範囲)は、全
可変範囲の僅か10〜15%に過ぎない。従って、この
デューティ比可変有効範囲の閉側デューティ比DEVi
電磁流入弁8の閉側所定デューティ比DHEViとし、開側
デューティ比DEViを開側所定デューティ比DLEViとす
る。
【0054】そして、前記図7(a)の電磁流入弁8に
対するアクチュエータ制御信号出力演算処理では、ま
ず、ステップS101で前記図6の演算処理による流入
弁PWM制御許可フラグFPWMEViが“1”のセット状態
である場合には、ステップS102に移行し、そうでな
い場合にはステップS103に移行する。
【0055】ステップS103では、前記電磁流入弁8
を完全開状態に維持するように流入弁デューティ比D
EViを“0”に設定し、これを記憶装置20cに記憶さ
せると共に、電磁流入弁8に向けて出力してからメイン
プログラムに復帰する。一方、ステップS102では、
前記図6の演算処理による流入弁保持圧制御フラグF
HOLDEViが“0”であるか否かを判定し、当該流入弁保
持圧制御フラグFHOLDEViが“0”のリセット状態であ
る場合には、ステップS104に移行し、そうでない場
合はステップS105に移行する。
【0056】前記ステップS105では電磁流入弁8を
完全閉状態に維持するように流入弁デューティ比DEVi
を“100”%に設定し、これを記憶装置20cに記憶
させると共に、電磁流入弁8に向けて出力してから、メ
インプログラムに復帰する。また、前記ステップS10
4では、増圧サイクルタイマTPEViをインクリメントす
る。
【0057】次に、ステップS106に移行して、前記
流入弁デューティ比減少許可フラグFDEViが“1”のセ
ット状態であるか否かを判定し、当該デューティ比減少
許可フラグFDEViが“1”のセット状態である場合には
ステップS107に移行し、そうでない場合にはステッ
プS108に移行する。
【0058】前記ステップS107では、記憶装置20
cに記憶されている流入弁デューティ比DEViが前記開
側所定デューティ比DLEVi以下であるか否かを判定し、
当該流入弁デューティ比DEViが開側所定デューティ比
LEVi以下である場合にはステップS109に移行し、
そうでない場合はステップS110に移行する。
【0059】前記ステップS110では、前回の流入弁
デューティ比DEViから、比較的大きい正値のデューテ
ィ比所定減少量ΔDEV1iを減じて今回の流入弁デューテ
ィ比DEViを算出設定し、これを記憶装置20cに記憶
させると共に、電磁流入弁8に向けて出力してから、メ
インプログラムに復帰する。
【0060】一方、前記ステップS109では流入弁デ
ューティ比DEViを前記開側所定デューティ比DLEVi
設定し、これを記憶装置20cに更新記憶すると共に、
流入弁8に向けて出力してからステップS111に移行
する。
【0061】ステップS111では、増圧タイマTEVi
が、前記図7(a)の演算処理で説明した増圧時間T
LEViに等しくないか否かを判定し、両者が等しくない場
合にはステップS112に移行し、両者が等しい場合に
はステップS113に移行する。
【0062】前記ステップS112では、増圧タイマT
EViをインクリメントしてからメインプログラムに復帰
する。また、前記ステップS113では、流入弁デュー
ティ比減少許可フラグFDEViを“0”にリセットしてか
らメインプログラムに復帰する。
【0063】一方、前記ステップS108では、流入弁
デューティ比DEViが前記閉側所定デューティ比DHEVi
以上であるか否かを判定し、当該流入弁デューティ比D
EViが前記閉側所定デューティ比DHEVi以上である場合
にはステップS114に移行し、そうでない場合にはス
テップS115に移行する。
【0064】前記ステップS115では、前回の流入弁
デューティ比DEViに、前記デューティ比所定減少量Δ
EV1iと比較して小さい正値のデューティ比所定増加量
ΔDEV2iを加えて今回の流入弁デューティ比DEViを算
出設定し、これを記憶装置20cに記憶させると共に、
電磁流入弁8に向けて出力してから、メインプログラム
に復帰する。
【0065】一方、前記ステップS114では、流入弁
デューティ比DEViを前記閉側所定デューティ比DHEVi
に設定し、これを記憶装置20cに記憶させると共に、
電磁流入弁8に向けて出力してからステップS116に
移行する。
【0066】前記ステップS116では、前記増圧サイ
クルタイマTPEViが前記所定増圧カウントアップ値T
dEVi以上であるか否かを判定し、当該増圧サイクルタイ
マTPEViが所定増圧カウントアップ値TdEVi以上である
場合にはステップS117に移行し、そうでない場合に
はステップS118に移行する。
【0067】前記ステップS117では、流入弁デュー
ティ比減少許可フラグFDEViを“1”にセットしてから
ステップS119に移行する。ステップS119では、
増圧サイクルタイマTPEViを“0”にクリアしてから前
記ステップS118に移行する。ステップS118で
は、前記増圧タイマTEViを“0”にクリアしてから、
メインプログラムに復帰する。
【0068】次に、前記マイクロコンピュータ20で実
行される前記電磁流出弁8に対するアクチュエータ制御
信号演算処理について、図9(a)のフローチャートを
参照して説明する。この演算処理は、一見して明らかな
ように、前記図7(a)の演算処理に類似しているた
め、各ステップを追っての説明は省略し、異なる点につ
いてのみ詳述する。
【0069】まず、前記図7(a)の演算処理の説明で
記述された流入弁の記載は、基本的に図9(a)の演算
処理では流出弁に置換される。また、前記図7(a)の
演算処理でそれぞれ流入の意味で添えられた添字EV
は、図9(a)の演算処理でそれぞれ流出の意味で沿え
られる添字AVに変更されている。
【0070】また、図9(a)の演算処理の実行時間
は、実質的には前記所定実行時間ΔTEViと同じであっ
ても良いが、ここでは個別に設定された前記図4の演算
処理が実行される実行時間ΔTよりも充分に短い所定実
行時間(例えば1msec)ΔTAVi毎にフリーランタ
イマ割込処理として実行される。
【0071】なお、図9(a)のフローチャート中前出
のフラグ符号やタイマ符号、デューティ比符号等は、前
記図7(a)の演算処理の説明と同様である。また、F
DAViは“1”のセット状態で流出弁デューティ比DAVi
の増加を許可する。即ち、電磁流出弁9を開動作させて
ホイールシリンダ圧の減圧を許可する流出弁デューティ
比増加許可フラグであり、そのリセット状態は“0”と
する。また、TAViは減圧タイマであり、流出弁デュー
ティ比DAViが前記開側所定デューティ比DHAViに維持
されて、実質的なホイールシリンダ圧の減圧時間を計測
するものである。
【0072】かかる演算処理によって、図7(b)及び
図9(b)に示すように、弁開閉の状態変化に際し、ア
クチュエータ制御手段から出力されるPWM制御出力
を、ディーティ比可変有効範囲内において、小刻みな階
段状に変化させてマクロ的には滑らかな直線上の傾きを
持たせることができる。
【0073】また、常時閉状態で通電時にのみ開状態と
なる電磁流出弁9では、制御信号としての流出弁デュー
ティ比DAViの大きい状態が開状態、小さい状態が閉状
態となるため、前記図8(a)及び図8(b)を用いた
電磁流入弁8の説明とは逆になるが、当該電磁流出弁9
によるホイールシリンダ圧Piの減圧制御可能な、或い
はバルブ変位を調整制御可能なデューティ比の可変有効
範囲は基本的に同一であるため、ここでは、このデュー
ティ比可変有効範囲において当該電磁流出弁9をほぼ全
閉状態とする比較的大きい開側デューティ比DAViを開
側所定デューティ比DHAViとする。
【0074】また、演算処理のステップ上では、前記図
7(a)のステップS105に相当するステップが削除
されており、図9(a)の演算処理のステップS202
で流出弁保持圧制御フラグFHOLDAViが“0”のリセッ
ト状態でない場合には、前記図7(a)のステップS1
03に相当するステップS203に移行するように設定
されている。
【0075】また、前記閉側所定デューティ比DLAVi
び開側所定デューティ比DHAViの設定変更から、図7
(a)のステップS107が図9(a)の演算処理では
ステップS207に、同じくステップS108がステッ
プS208に、ステップS110がステップS210
に、ステップS115がステップS215に変更設定さ
れていて、その他のステップについては、前述の条件及
びステップ符号の100番台が200番台に変更されて
いることを除いて同等である。
【0076】このうち、前記ステップS207では、記
憶装置20cに記憶されている流出弁デューティ比D
AViが前記開側所定デューティ比DHAVi以上である場合
には、ステップS209に移行し、そうでない場合はス
テップS210に移行する。
【0077】また、前記ステップS210では、前回の
流出弁デューティ比DAViに比較的大きい正値のデュー
ティ比所定増加量△DAV1iを加えて今回の流出弁デュー
ティ比DAViを算出設定し、これを記憶装置20cに記
憶を更新させると共に、電磁流出弁9に向けて出力して
から、メインプログラムに復帰する。
【0078】一方、前記ステップS208では、流出弁
デューティ比DAViが前記閉側所定デューティ比DLAVi
以下であるか否かを判定し、当該流出弁デューティ比D
AViが、前記閉側所定デューティ比DLAVi以下である場
合には、ステップS214に移行しそうでない場合には
ステップS215に移行する。
【0079】そして、前記ステップS215では、前回
の流出弁デューティ比DAViから、前記デューティ比所
定増加量△DAV1iと比較して、小さい正値のデューティ
比所定減少量△DAV2iを減じて今回の流出弁デューティ
比DAViを算出設定し、これを記憶装置20cに記憶さ
せると共に、電磁流出弁9に向けて出力してからメイン
プログラムに復帰する。
【0080】次に、本実施例のABS制御装置の作用に
ついて、図10(a)〜(d)のタイミングチャートを
参照して説明する。このタイミングチャートでは、時刻
t0以前から乾燥した舗装路等の充分な高摩擦係数路面
を車両が非制動状態で、かつ、高速で定速走行してお
り、時刻t1でブレーキを踏込んで制動を開始した時の
状態をシミュレートしたものである。
【0081】前記各演算処理によれば、前記時刻t1で
ブレーキを踏込んで制動状態になると、前記図4のステ
ップS4で算出される疑似車速Viに基づき、同ステッ
プS6でこの疑似車速Viに0.8を乗じて算出した目
標車輪速Vw*が、図10(a)に破線で示すように設
定されることになる。また、前記時刻t1から時刻tに
かけては、未だABS制動は行われない通常制動状態で
あることから、各ホイールシリンダ圧Piはマスタシリ
ンダ圧PMCに一致している。
【0082】このため、図7(a)の目標ホイールシリ
ンダ圧演算処理が実行されたときに、車輪加減速度V´
wiが負の領域で減少するが、前記図5のステップS5
1で下記の式(3)に従って算出される目標ホイールシ
リンダ増減量△Pi*は、図10(c)に示すように7
は依然として正の値を継続し、かつ、ホイールシリンダ
圧Piが増加したことにより、算出される目標ホイール
シリンダ圧Pi*がマスタシリンダ圧PMCよりも大きい
値となるが、ステップS56で下記の式(4)に従って
マスタシリンダ圧PMCが目標ホイールシリンダ圧Pi*
として決定される。
【0083】 △Pi*=KP×(Vwi−Vw*)+KD×(V´wi−V´w*)…(3) Pi*=min(PMC,Pi*) ……(4) 上記式(3)において、右辺第1項が比例制御項、右辺
第2項が微分制御項であり、KPは比例ゲイン、KDは
微分ゲインである。
【0084】従って、図6のアクチュエータ制御の演算
処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧Pi
*とマスタシリンダ圧PMCとが一致するので、同ステッ
プS14からステップS16に移行してPWM制御許可
フラグFPWMAVi,FPWMEViが共に“0”となり、同じく
ステップS34で流出弁デューティ比DAVi及び流入弁
デューティ比DEViが共に“0”となり、マスタシリン
ダ圧PMCをホイールシリンダ圧Piとして供給するよう
にアクチュエータ6iに対する増圧状態を継続する。こ
のため、各車輪1iの車輪速Vwiは、図10(a)に
示すように、時刻t1から減少し始める。
【0085】このときは、前記図7(a)及び図9
(a)のアクチュエータ制御信号出力演算処理におい
て、流入弁デューティ比DEViが“0”%に設定出力さ
れるために、当該電磁流入弁8は完全開状態となり、合
わせて流出弁保持制御フラグFHOLDAViが、“1”セッ
トされているから、流出弁デューティ比DAViが“0”
%に設定出力されるために、当該電磁流出弁9は完全閉
状態となり、ホイールシリンダ圧Piはマスタシリンダ
圧PMCに等しい、いわゆる通常制動状態となる。
【0086】やがて、前記疑似車輪速Viが、図10
(a)で破線図示のように減少し続けると、これに応じ
て目標車輪速Vw*も減少し、更に車輪速加減速度V´
wiも図10(b)に示すように負の領域で減少する。
【0087】従って、図6の目標ホイールシリンダ圧演
算処理が実行されたときに、そのステップS51で算出
される目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*が、図1
0(c)に示すように減少し始め、時刻t3 で零とな
り、その後、負の領域で減少する。
【0088】従って、その後の図5の演算処理のステッ
プS56では、増加し続けるマスタシリンダ圧PMCに対
して、目標ホイールシリンダ増減圧量△Pi*が“0”
となって、目標ホイールシリンダ圧Pi*はそれ以前の
ホイールシリンダ圧Piに維持される。
【0089】このように、目標ホイールシリンダ圧Pi
*の増加が停止されるが、マスタシリンダ圧PMCは、図
10(d)で破線図示のように増加を継続するので、図
5のアクチュエータ制御の演算処理が実行されたとき
に、目標ホイールシリンダ圧Pi*とマスタシリンダ圧
MCとが不一致となり、このためステップS14からス
テップS15に移行し、目標ホイールシリンダ圧Pi*
とホイールシリンダ圧Piとのホイールシリンダ圧誤差
Perriを算出したときに、この時刻t3またはその
直後では、目標ホイールシリンダ圧Pi*とホイールシ
リンダ圧Piとが等しいので、ホイールシリンダ圧誤差
Perriは“0”となるため、ステップS17からス
テップS18に移行して、下記の式(5)の演算を行う
ことにより、増圧時間TLEViが“0”に算出設定され、
合わせて減圧時間THAViも“0”に設定され、次いでス
テップS20で、流出弁及び流入弁PWM制御許可フラ
グFPWMAVi,FPWMEViが共に“1”にセットされ、ステ
ップ21からステップS22を経てステップS24で、
ホイールシリンダ圧保持モードとなるため、流出弁及び
流入弁保持圧制御フラグFHOLDAVi,FHOLDEViが共に
“1”にセットされ、次いで、ステップS29で増減圧
サイクルタイマTPAVi,TPEViが共に“0”にクリアさ
れ、ホイールシリンダ2iとマスタシリンダ5との間を
遮断する保持圧モードとなる。 TLEVi=INT(Perri/PEV0i)……(5) なお、上記の式(5)中、INTは小数点以下四捨五入
を表す。
【0090】また、ホイールシリンダ増圧量基準値P
EV0iは、前記電磁流入弁8への開度制御量として算出さ
れる流入弁デューティ比DEViが、完全開状態を示す
“0”%であるときに、この図4の演算処理の実行時間
△T中、当該電磁流入弁8のPWM制御が継続された場
合のホイールシリンダ圧Piの増加量である。
【0091】このときは、前記図7(a)及び図9
(a)のアクチュエータ制御信号出力演算処理におい
て、前記流入弁保持圧制御フラグFHOLDEViが“1”に
セットされているから、流入弁デューティ比DEVi
“100”%に設定出力されるために、当該電磁流入弁
8は完全閉状態となり、合わせて流出弁保持圧フラグF
HOLDAViが“1”にセットされているから、流出弁デュ
ーティ比DAViが“0”%に設定出力されるために、当
該電磁流出弁9は完全閉状態となり、ホイールシリンダ
圧Piはその直前の状態に保持される。
【0092】このように、ホイールシリンダ2iのシリ
ンダ圧が一定値に保持される保持圧モードとなると、図
5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたとき
に、そのステップS51で算出される目標ホイールシリ
ンダ圧増減量△Pi*が、負の領域で減少することにな
るが、目標車輪速Vw*が車輪速Vwi以下の状態を継
続しているので、ステップS52からステップS54に
移行して、目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*が
“0”に制限され、ステップS55で下記の式(6)に
従って前回のホイールシリンダ圧Piを保持する現在の
ホイールシリンダ圧Piをそのまま目標ホイールシリン
ダ圧Pi*として設定し、かつ、ステップS56ではマ
スタシリンダ圧PMCが増加状態を継続していることから
設定された目標ホイールシリンダ圧Pi*がそのまま記
憶される。 Pi*=max(0,Pi+△Pi*)……(6) このため、図6のアクチュエータ制御の演算処理が実行
されたときに、前回の処理時と同様に、アクチュエータ
6iの保持圧モードが継続される。
【0093】その後、車輪速Vwiが減少して、時刻t
4で目標車輪速Vw*よりも小さい値となると、図4の
処理が実行されたときには、そのステップS7からステ
ップS9に移行して、目標車輪速Vw*が“0”に設定
される。この状態で、図5の目標ホイールシリンダ圧演
算処理が実行されると、そのステップS51で算出され
る目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*は、負の領域
での減少を継続しており、目標車輪速Vw*が車輪速V
wiよりも大きくなるので、ステップS52,S53,
S55を経てステップS56に移行し、目標ホイールシ
リンダ圧Pi*は、ホイールシリンダ圧Piに目標ホイ
ールシリンダ圧増減量△Pi*を加算した値に設定され
る(目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*そのものが
負値であるから、実質的な目標ホイールシリンダ圧Pi
*は小さくなる)。
【0094】このため、図6のアクチュエータ制御の演
算処理が実行されたときに、ステップS15算出される
ホイールシリンダ圧誤差Perriが負値となるため、
ステップ17からステップS19に移行して、下記の式
(7)の演算を行って或る減圧時間THAViが設定され、
合わせて増圧時間TLEViが“0”に設定され、次いでス
テップS20では、流出弁及び流入弁PWM制御許可フ
ラグFPWMAVi,FPWMEViが共に“1”にセットされ続
け、ステップS21からステップS23に移行して、ホ
イールシリンダ減圧モードになるため、流入弁保持圧制
御フラグFHOLDEViは“1”にセットされ続けるが、流
出弁保持圧制御フラグFHOLDAViは“0”にリセットさ
れ、次いでステップS27で増圧サイクルタイマTPEVi
は”0”にクリアされ続けるが、減圧サイクルタイマT
PAViは所定減圧カウントアップ値TdAViに設定され、次
いでステップS28で流入弁デューティ比DEVi
“0”%に設定され続けるが、流出弁デューティ比D
AViは閉側所定デューティ比DLAViに設定されるから、
これに応じて制御信号EVi,AVi,MRiを減圧信
号としてアクチュエータ6iに出力することになる。 THAVi=INT(Perri/PAV0i)……(7)
【0095】なお、前記ホイールシリンダ圧減圧量基準
値PAV0iは、前記電磁流出弁9への開度制御量として算
出される流出弁デューティ比DAViが、完全開状態を示
す“100”%であるときに、この図4の演算処理の実
行時間△T中、当該電磁流出弁9のPWM制御が継続さ
れた場合のホイールシリンダ圧Pwiの減圧量である。
【0096】このとき、前記図9(a)の演算処理によ
れば、デューティ比制御信号は前記閉側所定デューティ
比DLAViから開側所定デューティ比DHAViまで、前記所
定実行時間△TAVi毎に前記デューティ比所定増加量△
AV1iづつ大きくなって、前記デューティ比可変有効範
囲内で閉状態から開方向へと次第に移行される。なお、
このときの傾き、即ち開弁動作速度は比較的大きく、当
該電磁流出弁9はその開動作時に急峻ではないが比較的
速やかに開かれることになる。
【0097】一方前記増加される流出弁デューティ比D
AViが開側所定デューティ比DHAViまで大きくなると、
図9(a)のステップS207からステップS209に
移行して、当該流出弁デューティ比DAViを開側所定デ
ューティ比DHAViに設定出力し、次いでステップS21
1で減圧タイマTAViが前記減圧時間THAViでカウント
アップするまで、ステップS212で当該減圧TAVi
インクリメントするフローが繰返される。
【0098】従って、図9(b)に示すように、この減
圧時間THAViが経過するまで、流出弁デューティ比D
AViは開側所定デューティ比DHAViに維持されるから、
電磁流出弁9は開又は略開状態に維持されてホイールシ
リンダ圧Piは当該減圧時間THAViに見合った分だけ減
圧される。
【0099】そして、減圧タイマTAViが前記減圧時間
HAViでカウントアップすると、図9(b)に示すよう
に、この間に出力されるデューティ比制御信号は前記開
側所定デューティ比DHAViから閉側所定デューティ比D
LAViまで、前記所定実行時間△TAVi毎に前記デューテ
ィ比所定減少量△DAV2iずつ小さくなり、前記デューテ
ィ比可変有効範囲内で開状態から閉状態へと次第に移行
される。なお、このときの傾き、即ち開弁動作速度は比
較的小さく、当該電磁流出弁9はその閉動作時に、前記
開動作よりも更にゆっくりと閉じられることになる。
【0100】やがて、増加される流出弁デューティ比D
AViが前記閉側所定デューティ比DLAViまで小さくなる
と、図9(b)に示すように、前記流出弁デューティ比
AViの増加を開始してから前記所定減圧カウントアッ
プ値TdAViが経過するまで、流出弁デューティ比DAVi
は閉側所定デューティ比DLAViに維持されるから、電磁
流出弁9は閉又は略閉状態に維持されてホイールシリン
ダ圧Piは保持される。
【0101】そして、前記減圧サイクルタイマTPAVi
前記所定減圧カウントアップ値TdAViでカウントアップ
までの時間毎に、前記流出弁デューティ比DAViの増減
或いは保持設定が繰返され、当該ホイールシリンダ圧P
iは前記目標ホイールシリンダ圧Pi*に向けて次第に
減圧設定される。
【0102】このため、アクチュエータ6iの電磁流入
弁8が閉状態を維持するが、電磁流出弁9は前記図9
(a)のアクチュエータ制御信号出力演算処理によって
通常は閉状態に維持され、かつ、所定時間毎に前記減圧
時間THAViだけ開状態となると共に、図示されない演算
処理による制御信号MRiによって油圧ポンプ10が駆
動されて、ホイールシリンダ2i内の作動流体がマスタ
シリンダ5側に排出され、これによってホイールシリン
ダ2iのシリンダ圧が、図7(b)に示すように減圧を
開始し、その後は、前記所定カウントアップ値TdAVi
相当する時間毎に保持圧と減圧とを繰返してステップ状
に減圧されてゆく。
【0103】この減圧状態を継続することにより、図1
0(a)に示すように、車輪速Vwiが実際の車体速に
向けて増速回復することになり、時刻t5で、図5の目
標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、目
標ホイールシリンダ増減圧量△Pi*が、再度“0”と
なり、これに応じて目標ホイールシリンダ圧Pi*とホ
イールシリンダ圧Piとが一致することになるため、図
6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステ
ップS15で算出されるホイールシリンダ圧誤差Per
riが“0”となるため、ステップS17からステップ
S18に移行して、前記した式11の演算を行うことに
より、増圧時間TLEViが“0”に設定され、合わせて減
圧時間THAViも“0”に設定され、次いでステップS2
0で流出弁及び流入弁PWM制御許可フラグFPWMAVi
PWMEViを共に“1”にセットした後、ステップS21
からステップS22を経てステップS24でホイールシ
リンダ保持圧モードとなるため、前記時刻t3以後と同
様に、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に保
持される。
【0104】このホイールシリンダ保持圧モードとなる
と、前述したように、図5の目標ホイールシリンダ圧演
算処理では、目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*
が、正方向に増加しているが、目標車輪速Vw*が車輪
速Vwiよりも大きいので、ステップS52からステッ
プS54に移行して、目標ホイールシリンダ圧増減量△
Pi*が“0”に制限され、これによって目標ホイール
シリンダ圧Pi*が前回の値に保持される。
【0105】その後、時刻t6で、目標車輪速Vw*と
車輪速Vwiとが一致すると、図5の目標ホイールシリ
ンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS52か
らステップS53,S55を経てステップS56に移行
し、このときの目標ホイールシリンダ増減量△Pi*が
正方向の大きな値となっているので、目標ホイールシリ
ンダ圧Pi*がホイールシリンダ圧Piよりも大きな値
に設定され、これが記憶される。
【0106】従って、図6のアクチュエータ制御の演算
処理が実行されたときに、そのステップS15で算出さ
れるホイールシリンダ圧誤差Perriが正値となるこ
とにより、ステップS17からステップS18に移行し
て、式(5)の演算を行い或る増圧時間TLEViが設定さ
れ、合わせて減圧時間THAViが“0”に設定され、次い
でステップS20では流出弁及び流入弁PWM制御許可
フラグFPWMAVi,FPWMEViが共に“1”にセットされ続
け、ステップS21からステップS22を経てステップ
S25に移行してホイールシリンダ増圧モードとなるた
め、流出弁保持圧制御フラグFHOLDAViは“1”にセッ
トされ続けるが、流入弁保持圧制御フラグFHOLDEVi
“0”にリセットされ、次いでステップS31で減圧サ
イクルタイマTPAViは“0”にクリアされ続けるが、増
圧サイクルタイマTPEViは所定増圧カウントアップ値T
dEViに設定され、次いでステップS32で流出弁デュー
ティ比DEViは閉側所定デューティ比DHEViに設定され
るから、これに応じて制御信号EVi,AVi,MRi
を減圧信号としてアクチュエータ6iに出力する。
【0107】このように、増圧モードが選択されると、
前記図7(a)の演算処理において、この増圧モードが
選択された直後から、図7(b)に示すように、デュー
ティ比制御信号は前記閉側所定デューティ比DHEViから
開側所定デューティ比DLEViまで、ミクロ的には前記所
定実行時間△TEV1毎に前記デューティ比所定減少量△
EV1iずつ小さくなり、マクロ的には前記デューティ比
可変有効範囲内で閉状態から開状態へと次第に移行す
る。なお、このときの傾き、即ち開弁動作速度は比較的
大きく、当該電磁流入弁8はその開動作時に、急峻では
ないが比較的速やかに開かれることになる。
【0108】一方、前記減少される流入弁デューティ比
EViが開側所定デューティ比DLEViまで小さくなる
と、図7(b)に示すように、この増圧時間TLEViが経
過するまで、流入弁デューティ比DEViは開側所定デュ
ーティ比DLEViに維持されるから、電磁流入弁8は開又
は略開状態に維持されてホイールシリンダ圧Piは当該
増圧時間TLEViに見合った分だけ増圧される。
【0109】そして、増圧タイマTEViが前記増圧時間
LEViでカウントアップすると、図7(b)に示すよう
に、この間に出力されるデューティ比制御信号は前記開
側所定デューティ比DLEViから閉側所定デューティ比D
HEViまで、前記所定実行時間△TEV1毎に前記デューテ
ィ比所定増加量6DEV1iずつ大きくなり、前記デューテ
ィ比可変有効範囲内で開状態から閉方向へと次第に移行
される。なお、このときの傾き、即ち閉弁動作速度は比
較的小さく、当該電磁流入弁8は、その閉動作時に、前
記開動作時よりも更にゆっくりと閉じられることにな
る。
【0110】やがて、増加される流入弁デューティ比D
EViが前記閉側所定デューティ比DHEViまで大きくなる
と、図7(b)に示すように、前記流入弁デューティ比
EViの減少を開始してから前記所定増圧カウントアッ
プ値TdEViが経過するまで、流入弁デューティ比DEVi
は閉側所定デューティ比DHEViに維持されるから、電磁
流入弁8は閉又は略閉状態に維持されて、ホイールシリ
ンダ圧Piは保持され、前記増圧サイクルタイマTPEVi
が前記所定増圧カウントアップ値TdEViでカウントアッ
プまでの時間毎に、前記流入弁デューティ比DEViの増
減或いは保持設定が繰返されて、当該ホイールシリンダ
圧Piは前記目標ホイールシリンダ圧Pi*に向けて次
第に増圧設定される。
【0111】このため、アクチュエータ6iの電磁流出
弁9が閉状態を維持するが、電磁流入弁8は前記図7
(a)のアクチュエータ制御信号出力演算処理によっ
て、通常は閉状態に維持され、かつ、所定時間毎に前記
増圧時間TLEViだけ開状態となり、マスタシリンダ5側
の作動流体がホイールシリンダ2i内に供給され、これ
によってホイルシリンダ2iのシリンダ圧が図7(b)
に示すように増圧開始され、その後は、前記所定増圧カ
ウントアップ値TdEViに相当する時間毎に保持圧と増圧
とを繰返してステップ状に増圧されてゆく。
【0112】そして、車輪速Vwiの回復により、時刻
T7で車輪速演算回路15iから出力される車輪速Vw
iのセレクトハイ車輪速VwHが疑似車速Viと略一致
すると、急激に減速する当該セレクトハイ車輪速VwH
が疑似車速Viから離間する時刻t8までの間、当該セ
レクトハイ車輪速VwHに疑似車速Viが一致して設定
され、また、それに合わせて目標車輪速Vw*は、図1
0(a)に破線で示すように設定されたものとする。
【0113】一方、ホイールシリンダ2iの増圧によっ
て車輪速Vwiは、図10(a)に示すように、再度減
少し始め、前記時刻t8以後は各実行時間△T毎に図1
0(a)に破線で示すように疑似車速Viが算出設定さ
れ、それに合わせて目標車輪速Vw*も破線図示のよう
に設定される。
【0114】やがて、時刻t9で図5の目標ホイールシ
リンダ圧演算処理が実行されたとき、そのステップS5
1で算出される目標ホイールシリンダ増減圧量△Pi*
が“0”となることにより、前述した時刻t3と同様に
保持圧状態となり、次に図5の処理が実行されたときに
ステップS52からステップS54に移行して、目標増
減圧量△Pi*を“0”の状態に保持する。
【0115】その後、時刻t10で、目標車輪速Vw*
が小さくなると、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処
理が実行されたときに、ステップS53からステップS
55を経てステップS56に移行し、前述した時刻t4
と同様に減圧状態となり、以後時刻t11で保持圧状
態、時刻t12で増圧状態、時刻t13で保持圧状態、
時刻t14で減圧状態が繰返されて、疑似車速Viが減
少する。
【0116】以上は本発明のうち請求項1のブレーキ液
圧制御装置の構成のうち、PWM制御手段及びアクチュ
エータ制御手段の制動用シリンダへの液圧の脈動抑制に
関する説明であり、図7(a)のフローチャートのステ
ップS104、S114、S116及び/又は図9
(a)のフローチャートのステップS204、S21
4、S216が液圧保持手段に相当し、以下同様に、図
4のフローチャートのステップS11で実行される図6
のフローチャートのステップS18又はS19が開弁時
間設定手段に相当し、図7(a)のフローチャートのス
テップS110又はS115及び/又は図9(a)のフ
ローチャートのステップS210又はS215がデュー
ティ比設定手段に相当し、図4のフローチャートのステ
ップS11で実行される図6のフローチャート全体及び
図7(a)及び/又は図9(a)のフローチャート全体
がPWM制御手段に相当し、図4のフローチャート及び
/又は図9(a)のフローチャート全体がアクチュエー
タ制御手段に相当する。
【0117】なお、この実施例では、増減圧制御のきめ
細かさの要求に基づいて設定された増減圧サイクルタイ
ムに相当する増減圧カウントアップ値TdEVi,TdAVi
もとで、上記増減圧カウントアップ値TdEVi,TdAVi
みを変数とし、その他の例えば各開側所定デューティ比
HAVi,DLEViや閉側所定デューティ比DLAVi,DHEVi
やデューティ比所定増減圧量△DAV1i,△DAV2i,△D
EV1i,△DEV2iなどは、定数として適宜設定又は選択可
能としている。このようにしたことで、前記演算処理の
アルゴリズムが簡単になり、演算処理の実行速度を高め
ることができる。
【0118】また、デューティ比所定増減圧量△
AV1i,△DAV2i,△DEV1i,△DEV2iはその絶対量を
小さく設定するほど、ホイールシリンダ圧の脈動抑制効
果が高い。しかし、これを小さくし過ぎると、電磁弁の
開状態から閉状態へ、又は、閉状態から開状態への移行
時間が長くなり、充分な増減圧時間がとれなくなる。
【0119】よって設計的には、ホイールシリンダ圧の
制御の応答性と、ホイールシリンダ圧の脈動抑制効果
(例えば振動音の抑制効果等)という車両に要求される
条件を勘案して、デューティ比所定増減圧量を大きくす
るか、小さくするかという相反する数値の最適の妥協点
に、上記デューティ比所定増減圧量を設定する必要があ
る。
【0120】また、前記閉弁作動速度に相当するデュー
ティ比所定増減圧量△DAV2i,△DEV2iの脈動への影響
が、開弁作動速度に相当するデューティ比所定増減圧量
△DAV1i,△DEV1iの脈動への影響に比して大きいの
で、前者を後者よりも小さく設定し、電磁弁の開状態か
ら閉状態への移行時間の方を長くとることは勿論である
が、前記開側所定デューティ比DHAVi,DLEVi、閉側所
定デューティ比DLAVi,DHEViやデューティ比所定増減
圧量△DAV1i,△DAV2i,△DEV1i,△DEV2iを総合的
に考慮して増減圧時間THAVi,TLEViを設定すべきであ
る。
【0121】また、実車にあっては、当該ホイールシリ
ンダ圧Piの増減圧量を設定するに当たっても、車体速
や路面の摩擦係数などを考慮すべきである。更に、前記
デューティ比の増減変化率に関与するフリーランタイマ
割込みの時期や、各プログラムの演算処理の実行に要す
る時間等についても充分に考慮する必要がある。
【0122】また、前述のように一般に電磁弁のデュー
ティ比可変有効範囲や、温度等の動作環境によるデュー
ティ比と弁動作量との対応等には、個別的なバラツキが
あるため、少なくとも各開側所定デューティ比DHAVi
LEViや閉側所定デューティ比DLAVi,DHEViを各車両
に応じて設定する必要がある。
【0123】かかるブレーキ液圧制御装置において、本
発明では、図1及び図2に示すようにコイル電流検出手
段DICを設けて、デューティ比100%時においてコ
イルCEMを流れる電流を検出し、これを入力インター
フェース回路20aを介して演算処理装置20bと記憶
装置20cとに入力するようにしている。
【0124】即ち、コイル電流検出手段DICは、図1
1に示すように、電磁流入弁8のコイル(ソレノイドバ
ルブ)CEMの一端に電源としてのバッテリBATTを
接続し、上記コイルCEMの他端を、シャント抵抗RS
と、PWM信号によって高速でスイッチングする電界効
果型トランジスタFETとを介して接地GNDに接続し
て、シャント抵抗RSの両端に電流に比例した電位差を
発生させ、同シャント抵抗RSの両端を入力抵抗Riを
介して演算増幅器OAMPの反転入力端子と非反転入力端
子とに接続し、上記演算増幅器OAMPの反転入力端子と
出力端子とをフィードバック抵抗Rfを介して接続し、
非反転入力端子と接地GNDとを接地抵抗Rbを介して
接続している。コイルCEMにはフライホイールダイオ
ードFLDが並列に接続されている。
【0125】このようにコイル電流検出手段DICを構
成したことで、上記電位差に正確に比例した電圧を電流
検出値として、A/D変換機能を有する入力インターフ
ェース回路20aを介し、ホイールシリンダ圧の減圧動
作時又は液圧保持動作時にタイミングを合わせてマイク
ロコンピュータ20に入力することができる。
【0126】次に、図12〜図15を参照して、デュー
ティ比100%時のコイル電流検出値を用いての演算処
理について説明する。マイクロコンピュータ20に取込
んだコイル電流検出値は、図12に示すフローチャート
に従って処理される。即ち、ステップS301でABS
制御が行われているか否かを判定し、ABS制御が行わ
れていない場合、ステップS302でPWM制御出力を
禁止し、ステップS303でノーマルモード(増圧モー
ド)にセットしてからメインプログラムに復帰する。
【0127】また、ステップS301でABS制御が行
われていると判定した場合は、ステップS304で、現
在、減圧状態、液圧保持状態、増圧状態のいずれである
かを判定し、減圧状態であれば、ステップS305でP
WM制御出力を禁止してからステップS306に移行す
る。ステップS306では減圧時間をフリーランタイマ
Aにセットして、ステップS307で減圧モードにセッ
トしてからメインプログラムに復帰する。
【0128】また、ステップS304で液圧保持状態で
あると判定されたときは、ステップS308に移行す
る。ステップS308では、PWM制御出力を禁止して
からステップS309に移行し、ステップS309で
は、液圧保持モードにセットしてからステップS310
に移行する。ステップS310では、前記コイル電流検
出手段DICで検出したコイル電流値をA/D変換した
値をR0として記憶を更新してからステップS311に
移行する。
【0129】ステップS311では、予め設定した設定
電流値(流出弁の開側)IHに100を乗じた値を前記
の値ROで除した値を流出弁の開側デューティ比DHと
して記憶を更新してからステップS312に移行する。
ステップS312では、予め設定した設定電流値(流出
弁の閉側)ILに100を乗じた値を前記の値ROで除
した値を流出弁の閉側デューティ比DLとして記憶を更
新してからステップS313に移行する。ステップS3
13では、上記開側デューティ比DHと閉側デューティ
比DLとの平均値を中間デューティ比DMとして記憶を
更新してからメインプログラムに復帰する。
【0130】また、ステップS304で増圧状態である
と判定されたときは、ステップS314に移行する。ス
テップS314では、増減圧時間をフリーランタイマA
にセットしてからステップS315に移行する。ステッ
プS315では、演算処理装置20bに設定したデュー
ティ比用のレジスタに、前記流出弁の開側デューティ比
DHを記憶させてからステップS316に移行する。ス
テップS316では、PWM出力を許可してからメイン
プログラムに復帰する。
【0131】なお、上記フリーランタイマAは、メイン
プログラムへの割込み時期を決定するものであり、図1
3に示すように、この割込みが発生すると、ステップS
320で、ABS制御が減圧状態であるか増圧状態であ
るかを判定し、減圧状態であればステップS321に移
行する。ステップS321では、液圧保持モードにセッ
トしてからメインプログラムに復帰する。
【0132】また、ステップS320で増圧状態である
と判定されたときは、ステップS322に移行する。ス
テップS322では、デューティ比用のレジスタに中間
デューティ比DMを記憶させてからステップS323に
移行する。ステップS323では、フリーランタイマB
に減圧カウントアップ値Tdを記憶させてからメインプ
ログラムに復帰する。
【0133】また、上記フリーランタイマBは、メイン
プログラムへの割込み時期を決定するものであり、図1
4に示すように、この割込みが発生すると、ステップS
330で、デューティ比用のレジスタが今まで記憶して
いる閉側デューティ比DLよりも、今回の閉側デューテ
ィ比DLが小さいか否かを判定し、今回の閉側デューテ
ィ比DLの方の方が小さくない場合は、ステップS33
1で、上記レジスタに今回の閉側デューティ比DLを記
憶させてからメインプログラムに復帰する。
【0134】また、ステップS330で今回の閉側デュ
ーティ比DLの方が小さい場合は、ステップS332に
移行する。ステップS332では、上記レジスタに他の
レジスタが記憶している制御の基準となる所定閉側デュ
ーティ比DLを記憶させてからメインプログラムに復帰
する。
【0135】かかる演算処理を行った結果、図15に示
すように、温度変化によるコイル抵抗値の変化や、電源
電圧の変化によって、PWM制御されたデューティ比と
励磁電流の実効値(図15ではコイル電流と記す)との
対応が、PWM制御のデューティ比と上記励磁電流の実
効値とが正確に対応した同図中央のグラフMから、上側
のグラフH又は下側のグラフLで示すようにずれた場合
でも、上記演算処理によってデューティ比を修正するこ
とにより、デューティ比と励磁電流の実効値とが正確に
対応した中央のグラフMと等価の実効値の励磁電流を出
力することができる。
【0136】つまり、一例としてコイルの抵抗が大きく
なるか及び/又は電源電圧が低下して励磁電流の実効値
が低下し、デューティ比と上記励磁電流の実効値との対
応が中央のグラフMから下側に変位した場合について説
明すると、上記演算処理を行わず、D1で示すデューテ
ィ比で出力した場合は、下側のグラフLとD1からの垂
直延長線との交点が示すI1´の実効値の励磁電流しか
出力しないことになる。
【0137】これに対し、本実施例では、 D1´=D
1×100×I0/I0´ の演算処理を行い、D1´%
のPWM制御信号を出力することにより、下側のグラフ
Lと同デューティ比D1´からの垂直延長線との交点が
示すI1の実効値(デューティ比と励磁電流の実効値と
が正確に対応した中央のグラフMと等価の実効値と等し
い)の励磁電流を出力することができる。
【0138】なお、D1は上記演算処理による補正を行
わないときのデューティ比、I0は基準電流値であっ
て、デューティ比と励磁電流の実効値とが正確に対応し
た中央のグラフMのデューティ比100%における励磁
電流の実効値、I0´はコイル電流検出値であって、そ
の時点でのデューティ比100%における励磁電流の実
効値、D1´は電磁弁に出力されるPWM制御信号する
デューティ比である。
【0139】かかる演算処理によりPWM制御出力の修
正を行うことによって、図16(a)及び図16(b)
のタイミングチャートに示すように、電磁弁のコイル抵
抗の変化に関係なく正確に意図したコイル電流のパター
ンを描かせることができ、ひいては、ホイールシリンダ
圧に意図した通りのパターンを描かせることができる。
なお、図16(a)はオフデューティパターンで描かれ
ているが、縦軸を上下反転して、0%を100%とし、
100%を0%として考えることにより、これをオンデ
ューティパターンとして理解することができる。
【0140】その結果、電磁弁のコイル温度の変化に関
係なく、図17(c)の(2)及び(4)で示すよう
に、制御目的に細部まで忠実に対応したデューティ比の
制御を行うことができ、その結果、図17(d)の
(1)(3)及び(1)(3)間の微小な電流変化とに
示されるように、制御目的に細部まで忠実に対応した実
効値を有するコイル電流を電磁弁のコイルに作用させる
ことができるので、図17(b)に示すような制御目的
に細部まで忠実に対応したホイールシリンダ圧を実現で
きることから、図17(a)に示すように、ABS制御
時のブレーキ作動時において、車輪速が、予め設定した
設定スリップ量になる速度を示す線とクロスした時点で
正確に減圧動作を開始して、過大な制動力が原因の車輪
のスリップによる制動距離の延長や操向性の悪化を防止
することができる。なお、図17(a)において、車体
速と車輪速との縦方向の間隔がスリップ量を示すもので
ある。
【0141】また、図12のステップS313で、開側
デューティ比DHと閉側デューティ比DLとの平均値を
中間デューティ比DMとする演算を行い、増圧時に同中
間デューティ比DMを起点として、その後、増圧速度を
遅くして緩やかに増圧させる緩増圧を行うことにより、
急激な増圧に伴う急激な制動力の立上りによってスリッ
プ率が大きくなったり、車体に振動が発生するのを防止
するようにしている(図17(c)参照)。
【0142】また、前述したように、本発明ではコイル
温度変動や電源電圧変動に対するデューティ比の補償を
行っているので、従来のように、このような変動を見越
して前記設定スリップ量を小さく設定する必要がない。
【0143】従って、本発明では、設定スリップ量を従
来よりも大きく設定したり、設定スリップ量を越えて車
輪速を過剰に低下させる量を従来よりも小さく設定し
て、安全性を確保しながらより強力な制動力を発揮させ
て、制動距離を短縮することができる。
【0144】
【発明の効果】以上説明したように、本発明請求項1記
載のブレーキ液圧制御装置によれば、ブレーキ液圧制御
時に、アクチュエータ制御手段が具備するPWM制御手
段で電磁弁への電流値をPWM制御して、制動用シリン
ダへ送給する作動流体圧を、制動及び操向性維持に最適
の車輪のスリップ率に見合う圧力に維持させることがで
きる。特に、電磁弁のコイル電流検出手段によって、オ
ンデューティ比100%のときに実際に電磁弁に送給さ
れる電流値を検出し、これと予め設定した基準電流値と
の比に応じて前記PWM制御手段がPWM制御のデュー
ティ比を設定することによって、電磁弁のコイルの温度
変化や電源電圧の変動による励磁電流の変化が補償され
て、電磁弁作動量とデューティ比とのずれが解消される
ので、制御信号と実際の作動流体圧とのずれが解消され
る。
【0145】また、コイル温度変動や電源電圧変動に対
するデューティ比の補償を行っているので、設定スリッ
プ量を摩擦係数で定まる限界の近くまで大きく設定する
ことにより、設定スリップ量を越えて車輪速を過剰に低
下させる量を可及的に小さくして制動時間を長く取り、
より強力な制動力を発揮させると共に、安全性を損なう
設定スリップ量を越えての車輪速の過剰な低下を可及的
に小さくして、制動距離を短縮すると共に操向性を確保
して安全性を向上することができる。なお、従来は、上
記変動を見越して前記設定スリップ量を小さく設定した
ために、制動時間が短くなり制動性能が低下するという
不具合があった。
【0146】また、本発明請求項2記載のブレーキ液圧
制御装置によれば、前記オンデューティ比100%のコ
イル電流検出値を、ABS作動時の減圧動作又は液圧保
持動作時のコイル電流値とし、これに基づいて減圧又は
液圧保持動作毎に次回増圧時のPWM制御信号のデュー
ティ比を設定することによって、常に最新のコイル電流
値に基づいたデューティ比の設定が行われることにな
り、より精密な温度と電源電圧の変動に対する補償が行
われて、制御信号と実際の作動流体圧とのずれを、より
小さくすることができる。
【0147】また、本発明請求項3記載のブレーキ液圧
制御装置によれば、ABS作動時の減圧動作時又は減圧
直後の液圧保持動作時のコイル電流値のコイル電流検出
値に応じて、次回の緩増圧時のPWM制御信号のデュー
ティ比を設定することによって、特に精密さを要する緩
増圧時の制御信号と実際の作動流体圧とのずれを、より
小さくすることができる。
【0148】また、本発明請求項4記載のブレーキ液圧
制御装置によれば、前記アクチュエータ制御手段が具備
するデューティ比設定手段によって、ABS制御時にお
ける前記制動用シリンダへの液圧の時間変化率を、前記
電磁弁が許容できる範囲内で緩やかに増減圧させて、電
磁弁が次第に開方向又は閉方向に移行させることによ
り、急激な弁の開閉が行われず、したがって、制動用シ
リンダへの液圧の脈動が抑制され、前述したABS制御
時に発生する車体や配管系等の振動を防止することがで
きる。
【0149】更に、緩増圧動作中の液圧保持動作時に設
定したオンデューティ比100%時のコイル電流検出値
に応じて、次回の増圧信号出力時のPWM制御信号のデ
ューティ比を設定することによって、電磁弁が開方向又
は閉方向に次第に移行して緩やかに増圧するような、比
較的長い時間デューティ比100%の状態が現出しない
場合でも、可及的に最新のコイル電流値に基づくコイル
温度と電源電圧の変化の補償が可能になり、精密なAB
S制御が可能になり、ホイールシリンダ圧制御の応答性
を低下させるオリフィスやダンパ等のデバイスを要しな
いので、上記応答性を高く保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブレーキ液圧制御装置の基本構成図で
ある。
【図2】本発明のブレーキ液圧制御装置を具備する車両
の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るアクチュエータの
構成図である。
【図4】ホイールシリンダ圧制御処理のフローチャート
である。
【図5】目標ホイールシリンダ圧演算処理サブルーチン
のフローチャートである。
【図6】アクチュエータ制御演算処理サブルーチンのフ
ローチャートである。
【図7】図7(a)は流入弁制御信号出力演算処理のフ
ローチャート、図7(b)は流入弁制御信号出力パター
ンを示すグラフである。
【図8】図8(a)は時間に対するホイールシリンダ圧
の変化と電磁弁のデューティ比との関係を示すグラフ、
図8(b)は電磁弁のデューティ比可変有効範囲及び入
力パターンの説明図である。
【図9】図9(a)は流出弁制御信号出力演算処理のフ
ローチャート、図9(b)は流出弁制御信号出力パター
ンを示すグラフである。
【図10】本発明の制動動作を示すタイムチャートであ
る。
【図11】コイル電流検出手段DICの構成を示す回路
図である。
【図12】温度・電源電圧変動補償演算処理サブルーチ
ンのフローチャートである。
【図13】温度・電源電圧変動補償に係る液圧保持モー
ド及び割込み時期設定サブルーチンのフローチャートで
ある。
【図14】温度・電源電圧変動補償に係るレジスタ記憶
更新サブルーチンのフローチャートである。
【図15】上記補償演算処理の説明のためのグラフであ
る。
【図16】PWM出力パターン(a)とコイル電流
(b)との関係を示すタイムチャートである。
【図17】車体速及び車輪速(a)、ホイールシリンダ
圧(b)、PWM出力パターン(c)、コイル電流
(d)の関係を示すタイムチャートである。
【図18】図18(a)は電磁弁の構造説明図、図18
(b)は弁座面54周辺の拡大図である。
【図19】ホイールシリンダ圧の変化とコイル抵抗及び
電源電圧との関係を示すタイムチャートである。
【図20】開弁に起因する作動流体圧変動の説明図であ
る。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪 2FL〜2RR ホイールシリンダ(制動用シリンダ) 3FL〜3R 車輪速センサ 4 ブレーキペダル 5 マスタシリンダ 6FL〜6R アクチュエータ 8 電磁流入弁 9 電磁流出弁 10 油圧ポンプ 10a ポンプモータ 12 リザーバ 13F,13R 圧力センサ 15FL〜15R 車輪速度演算回路 16 前後加速度センサ 18FL〜18R 圧力センサ 20 マイクロコンピュータ 20a 入力インターフェース回路 20b 演算処理装置 20c 記憶装置 20d 出力インターフェース回路 22aFL〜22aR,22bFL〜22bR,22c
FL〜22cR PWM駆動回路 CR コントロールユニット DIC コイル電流検出手段 PS プロペラシャフト EG エンジン T 変速機 DG ディファレンシャルギヤ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御信号により開閉動作する電磁弁から
    構成されて、各車輪の制動用シリンダの流体圧を制御信
    号に応じて各々増減圧調整するアクチュエータと、前記
    車輪のスリップ状態に基づいて前記アクチュエータの電
    磁弁の開閉動作を制御する制御信号を出力するアクチュ
    エータ制御手段とを備えたブレーキ液圧制御装置におい
    て、 前記アクチュエータ制御手段が、 ブレーキ液圧制御時に前記電磁弁への電流値を制御する
    制御信号をPWM制御するPWM制御手段と、 電磁弁のコイルの電流値を検出するコイル電流検出手段
    とを備え、 前記PWM制御手段は、オンデューティ比100%のと
    きのコイル電流検出値と、予め設定した基準電流値との
    比に応じて前記PWM制御のデューティ比を設定するこ
    とを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. 【請求項2】 前記オンデューティ比100%のコイル
    電流検出値は、アンチブレーキロックシステム作動時の
    減圧動作又は液圧保持動作時のコイル電流値とし、これ
    に基いて減圧又は液圧保持動作毎に次回増圧時のPWM
    制御信号のデューティ比を設定することを特徴とする請
    求項1記載のブレーキ液圧制御装置。
  3. 【請求項3】 アンチブレーキロックシステム作動時の
    減圧動作時又は減圧直後の液圧保持動作時のコイル電流
    検出値に応じて、次回の緩増圧時のPWM制御信号のデ
    ューティ比を設定することを特徴とする請求項2記載の
    ブレーキ液圧制御装置。
  4. 【請求項4】 前記アクチュエータ制御手段が、前記電
    磁弁が開方向及び閉方向の少なくとも一方に次第に移行
    して緩やかに増減圧するように、PWM制御信号のデュ
    ーティ比を次第に増減設定するデューティ比設定手段を
    備えて、緩増圧動作中の液圧保持動作時に設定したオン
    デューティ比100%時のコイル電流検出値に応じて、
    次回の増圧信号出力時のPWM制御信号のデューティ比
    を設定することを特徴とする請求項2記載のブレーキ液
    圧制御装置。
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