JPH1010140A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡

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JPH1010140A
JPH1010140A JP18542896A JP18542896A JPH1010140A JP H1010140 A JPH1010140 A JP H1010140A JP 18542896 A JP18542896 A JP 18542896A JP 18542896 A JP18542896 A JP 18542896A JP H1010140 A JPH1010140 A JP H1010140A
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JP18542896A
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Takeshi Murayama
健 村山
Takashi Morimoto
高史 森本
Hiroshi Kuroda
浩史 黒田
Sumio Hosaka
純男 保坂
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Hitachi Ltd
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走査型プローブ顕微鏡で、高速測定と広範囲
測定を同時に行えるようにする。 【解決手段】 探針15を備えたカンチレバー13、試料・
探針の位置を相対的に変化させるXYZ微動機構11を備
え、XYZ微動機構で表面走査と探針・試料間距離調整
を行い、カンチレバーのたわみ量を制御し試料表面の物
理情報を得る。さらにカンチレバーの圧電薄膜16と、カ
ンチレバーを所定周波数で振動させる第1信号発生器21
と、カンチレバーにたわみ変形を生じさせる第2信号発
生器26と、検知装置(22,23) と、カンチレバーの振動振
幅等が一定になるように探針・試料間距離を制御するサ
ーボ制御機構(25,26,24)を備える。当該制御は、圧電薄
膜によるカンチレバーのたわみ変形とZ微動機構部11b
の組み合わせによって行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は走査型プローブ顕微
鏡に関し、特に、高速測定と広範囲測定の両方に適した
走査型プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡は、原子レベルの
オーダの測定分解能を有するものであり、表面の形状計
測など各種の分野に適用される。検出に利用する物理量
により、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕
微鏡(AFM)、磁気力顕微鏡(MFM)などに分か
れ、応用範囲も広がっている。
【0003】中でも原子間力顕微鏡は、試料表面の形状
を高分解能で検出するに適しており、半導体、ディスク
の表面計測などの分野で実績を上げている。以下では、
原子間力顕微鏡(AFM)の例を挙げて説明する。
【0004】図9に、従来の原子間力顕微鏡の構成の代
表例を示す。この原子間力顕微鏡では、トライポッド型
またはチューブ型といった一般的なバルク型圧電素子に
よる微動機構が使用される。試料台として機能するXY
Z微動機構151の上に被測定試料152が載置され
る。ここでX,Y,Zは直交する3軸を意味する。X軸
とY軸で決まるXY平面は試料台の載置面に平行であ
り、Z軸方向はXY平面に垂直である。試料152の上
方位置にカンチレバー153が配置される。カンチレバ
ー153の基端は固定され、先端には探針154が設け
られる。探針154の先端は試料152の観察表面に臨
む。またカンチレバー153の上方位置にはレーザ光発
振器(レーザ光源)155と、レーザ光検出器156が
配置される。レーザ光発振器155から出射されたレー
ザ光157は、カンチレバー153の背面に設けられた
鏡面部(反射面)で反射され、レーザ光検出器156に
対して照射される。
【0005】上記の構成において、カンチレバー接近機
構(図示せず)により、探針154と試料152の間隔
を約1nm(ナノメータ)にまで近づけると両者の間に
原子間力が作用し、カンチレバー153にたわみ変形が
生じるようになる。たわみ変形におけるたわみ角を、上
記レーザ光157によって光てこの原理に従って検出す
る。測定開始前に、試料152と探針154の間は原子
間力が作用する所定の距離に保持される。
【0006】試料表面を測定するときには、XYZ微動
機構151のXY微動部によって試料152をXまたは
Yの各方向に走査し、この走査の間、XYZ微動機構1
51に含まれるZ微動部によってカンチレバー153の
たわみ角が所定の角度になるようにする。XYZ微動機
構151のZ微動部の移動量をモニタすることによっ
て、試料152の表面形状を計測することができる。
【0007】レーザ光検出器156の検出信号を取り込
み、当該制御手段にフィードバックする機構、XYZ微
動機構151の動作を制御する制御機構、Z微動部の移
動量に関する信号を取り出し、表面形状を演算し表示す
る機構を概略的に説明する。上記のレーザ光検出器15
6から出力される検出信号(検出電圧)は増幅器181
で増幅され、加算器182に入力される。加算器182
では、さらに基準電圧(電圧値Vref )が入力されてお
り、検出電圧と基準値が比較され、その結果、検出電圧
に関する偏差信号Vdが出力される。偏差信号Vdは制
御器183に入力される。制御器183では比例・積分
補償(PI制御のための信号補償)が行われ、ここから
Z軸方向制御信号Vzが出力され、Z方向微動用の増幅
器184に入力される。増幅器184の出力信号は、X
YZ微動機構151に含まれるZ微動部に与えられる。
これにより、Z微動部を動作させ、探針154と試料1
52との相対的な距離を変化させる。上記の構成によ
り、探針・試料間の距離が一定に保たれる制御が行われ
る。また185はXY走査回路である。XY走査回路1
85の出力は増幅器186を介してXYZ微動機構15
1に含まれるXY微動部に入力し、試料152をXY方
向に平面走査させる。XY走査回路185のXY平面走
査のための出力信号と制御器183から出力されるZ微
動部の移動量に相当するVzとを記憶部に格納し、これ
らの信号を組合せて画像信号を作成し、測定した形状の
画像をモニタ187に表示する。これにより、モニタ1
87によって試料152の表面の微細な凹凸形状を観察
できる。
【0008】上記のごとく、原子間力顕微鏡では、XY
平面内で、試料152の観察表面を機械的に走査すると
同時に、試料152の観察表面と探針154の間隔を一
定に保つようにZ軸方向の動作を機械的に制御する。原
子間力顕微鏡は、その原理上、非常に高い測定分解能力
を有するが、探針154を試料152の表面に沿って機
械的に走査するため、測定時間を短縮することが難しい
という本質的な問題を含んでいる。
【0009】機械制御の高速化を達成するためには、微
動機構の共振点を高くする、すなわち剛性を上げる必要
がある。図9で説明したトライポッド型またはチューブ
型といったバルク型圧電素子を用いた微動機構の場合、
寸法としては数十mmが一般的であり、その共振点は数
kHzから10kHz程度になる。かかる微動機構で
は、当該微動機構の共振点すなわち剛性を上げると、変
位量が低下する。従って、そのままでは、実用的な観察
装置として使用することが難しい。
【0010】さらに一般的に述べると、立方体型または
円柱型(円筒型を含む)の微動機構の機械的な共振点
は、次式で与えられる。図9を参照して説明した上記の
トライポッド型またはチューブ型の微動機構もこの種類
に属する。
【0011】
【数1】 f∝1/L …(1) ここで、 L:立方体型/円柱型の圧電体の変位方向の
長さ
【0012】上記(1)式によれば、立方体型/円柱型
を有する微動機構で共振点を上げるためには、圧電体の
長さを短くすればよいことが分かる。しかしながら、圧
電体の長さを短くすると、発生変位量が低下することに
なるので、前述の通り、このままでは実用的な計測が難
しいという問題を有する。
【0013】次に、図10を参照して、片持ち梁構造を
有する微動機構について、当該微動機構における寸法と
共振点の関係を説明する。片持ち梁構造を有する微動機
構の共振点は次の式で表される。
【0014】
【数2】 f=1/2π(k/m)1/2 …(2) ∝T/L2 ここで、 f:共振点(固有振動数) k:剛性(ばね定数) m:質量 T:板厚 L:長さ
【0015】例えば、T:L=1:100の場合を考え
る。1mm:100mmと1μm:100μmの場合、
それらの間の共振周波数の比率は、1/1002 :10
-3/(100×10-32 =1:1000になる。この
結果によれば、寸法が小さい方が共振周波数が大きくな
り、共振点の面では圧倒的に有利になることが分かる。
このことから、従来の圧電素子を用いた微動機構では、
サイズが相対的に大きくなるため、機構の共振点を大き
くすることが困難となる。
【0016】従って、XYZ微動機構151に含まれる
Z微動部をカンチレバー153側に設けて、カンチレバ
ー153をZ軸方向に移動させるようにすることによ
り、極めて高速な計測を行うことが可能となることが予
想される。
【0017】カンチレバー自身をZ微動機構として作用
させる従来技術として特開平4−350510号公報に
開示されるものがある。この公知文献に開示される機構
では、探針と試料の間に流れるトンネル電流を測定する
ことにより試料表面の微細形状を測定するものであり、
当該トンネル電流が変化したときその値が予め設定され
た一定値になるように、カンチレバー自身にたわみ変形
を生じさせるように構成される。カンチレバー自身のZ
軸方向のたわみ変形に基づき、カンチレバーの先端の探
針と試料の表面との間の間隔を調整し、もってカンチレ
バー自身によってZ微動機構を構成している。
【0018】しかしながら、当該公報に開示されるカン
チレバー自身をZ微動機構として利用する構成は、トン
ネル電流顕微鏡に使用することはできても、原子間力顕
微鏡等に使用することはできない。何故なら、原子間力
顕微鏡等の力型走査顕微鏡では、探針と試料間に作用す
る力をカンチレバーのたわみ量として検出するからであ
る。原子間力顕微鏡の場合、カンチレバー自身をZ微動
機構としてたわみ変形させると、本来の原子間力を検出
できないという問題が起きる。
【0019】一方、従来では、カンチレバー153にZ
nO等の圧電薄膜を付加して構成した走査型プローブ顕
微鏡が提案されている。例えば第42回応用物理学関連
連合講演会、講演予稿集、No.2、P474にその一
例が記載されている。図11に、その基本的な構成を示
す。161,162はZnO等の薄膜圧電体、163,
164,165は電極である。この走査型プローブ顕微
鏡は、動的走査型力顕微鏡と呼ばれる。この走査型プロ
ーブ顕微鏡では、カンチレバー153をその共振点近傍
の周波数で微小振動させ、探針と試料の間の距離に応じ
てその共振周波数が変化することを利用しており、探針
と試料の間の距離を一定に保つサーボが行われる。
【0020】上記の走査型プローブ顕微鏡では、一方の
薄膜圧電体161はカンチレバー153の加振用に用い
られ、他方の薄膜圧電体162はカンチレバー153の
変位検出用に用いられる。166は加振用の信号発生
器、167は変位検出器である。168はコントローラ
であり、このコントローラはカンチレバー153の振動
周波数と基準周波数(Vref )を比較器69で比較し、
その後、制御器170を介してXYZ微動機構151の
中のZ軸圧電素子に電圧を印加する。なお圧電体は、電
圧を印加すると歪みが生じ、この歪みが作用すると、電
圧が発生するという可逆的な特性を有する。探針154
と試料152との間の距離調整は、XYZ微動機構15
1によって行われる。
【0021】上述の走査型プローブ顕微鏡は、換言すれ
ば、カンチレバー153の共振点近傍の周波数が一定に
なるように、カンチレバー自身にたわみ変形を生じさ
せ、これにより或る意味でZ微動機構として使用するも
のである。基本的に周波数を検出するためのものである
ために、カンチレバーをたわみ変形させZ軸方向の微動
機構として作用させても、本来の原子間力検出との間で
干渉が生ぜず、測定が可能となる。しかしながら、Z微
動機構としてバルブ型の通常の圧電体を用いているため
高速性は確保されていない。
【0022】図11に示した従来例の説明では、圧電体
が片持ち梁であることを前提にし、カンチレバー自身に
圧電体を設け、微動機能部自身をコンパクトに作れば良
いという論点で述べ、またカンチレバー自身を微動機構
として構成するための従来方法と問題点についても述べ
た。カンチレバー自身を微動機構に構成するという場合
のもっとも大きな問題点は、微動機構の変位量を大きく
するためには一般的にカンチレバーを長く薄くする必要
があり、カンチレバー自身の共振点が低下するというこ
とである。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】高速測定が達成できる
ように微動機構の剛性や共振点を高めるためには、前述
の通り、立方体型/円柱型の圧電体を用いた微動機構の
場合には圧電体の変位方向の長さ(厚み)を小さくする
こと、また、カンチレバー自身をアクチュエータにする
場合には微動機構の寸法を小さくすることが、それぞれ
要求される。しかしながら、前者の構成および後者の構
成の両方共に、微動機構の剛性や共振点を高めると、微
動機構の変位量が低下し、実用的な原子間力顕微鏡(一
般的には走査型プローブ顕微鏡)としての測定が困難に
なるという問題を提起する。
【0024】また特に後者の場合に、カンチレバー15
3の共振点を高めるためにはカンチレバーの剛性を上げ
ることが必要である。しかしこのことは、反面、圧電薄
膜に電圧を印加してカンチレバーをたわませるとき、カ
ンチレバーのたわみ量が低下するという問題を提起す
る。例えばカンチレバーの共振点を100kHzに設定
しようとする場合に、圧電薄膜における電圧印加でカン
チレバーのたわみ量を1μm以上確保することは困難な
状況である。共振点設定との関係でカンチレバーのたわ
み量が制限されるということは、Z軸方向の測定範囲が
狭くなるという問題を提起する。なお、カンチレバーの
共振点を高めるためにカンチレバーの剛性を上げなけれ
ばならないことは、立方体型/円柱型の圧電体を用いた
微動機構の場合も全く同じである。
【0025】本発明の目的は、上記の問題を解決するこ
とにあり、立方体型/円柱型の圧電体を用いた微動機構
の場合、または、カンチレバー自身をアクチュエータに
する場合のいずれでも、探針・試料間の距離制御を高速
に行うことによって高速な測定を行うことができると共
に、Z軸方向の測定範囲を拡大できるようにした走査型
プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
走査型プローブ顕微鏡は、上記目的を達成するため、次
のように構成される。
【0027】第1の走査型プローブ顕微鏡(請求項1に
対応)は、試料に臨む探針を先端部に備えたカンチレバ
ーと、試料と探針の相対的位置を変化させるXYZ微動
機構(第1微動機構)と、カンチレバーのたわみ変形に
伴って生じる変位を検出する検出装置(カンチレバー変
位検出手段)とを備える。かかる構成で、XYZ微動機
構によって、探針が試料の表面を走査しかつ探針・試料
間の距離を調整し、走査の間、XYZ微動機構のための
制御系(「第1制御手段」という)によって、探針と試
料の間の相互作用に基づき生じるカンチレバーのたわみ
量を制御することで試料の表面における物理情報を得る
ようにする。上記走査型プローブ顕微鏡では、さらに、
上記XYZ微動機構の共振点より高い共振点を有する他
の微動機構(第2微動機構)を設け、試料と探針の距離
を、第1制御手段と、第2微動機構の動作を制御する制
御系(「第2制御手段」という)との組み合わせによっ
て変化させるように構成し、第1制御手段から得られる
信号と第2制御手段から得られる信号を加算して前述の
物理情報を得るように構成される。
【0028】上記の本発明では、カンチレバー変位検出
装置で得られた信号と予め設定された基準値とを比較
し、それらの偏差信号を、第1制御手段と第2制御手段
に同時に与えるようにし、探針・試料間の距離を上記の
2つの制御手段によって同時に制御するようにしてい
る。この構成で、XYZ微動機構(第1微動機構)の共
振点は相対的に低く、一方、他の微動機構部(第2微動
機構)の共振点はXYZ微動機構の共振点よりも高く
(例えば100kHz以上)する。またXYZ微動機構
によるZ軸方向の変位量は数μmと大きく、その制御帯
域は例えば数kHzであり、一方、第2微動機構の変位
量は逆に小さくなり(例えば数百nm)、その制御帯域
は例えば数十kHzである。このようにすると、試料の
表面凹凸が第2微動機構の変位量より小さい場合には、
第2制御手段の方が第1制御手段により高速に動作する
ため、第1制御手段による補償が行われる前に動作が完
了し、ほぼ第2制御手段のみで試料表面の凹凸形状を測
定する。また試料の表面凹凸が第2微動機構部の変位よ
り大きい場合には、第1制御手段と第2制御手段が同時
に働く。すなわち、試料表面の大きなうねりは第1制御
手段およびXYZ微動機構で追従し、その中に含まれる
微小凹凸(高周波成分)は第2制御手段および第2微動
機構で追従する。こうして2つの制御手段の出力値を加
算することによって、試料表面を正確に測定できる。以
上のごとく、探針・試料間の距離制御を高速に行うと同
時に、Z軸方向の測定範囲が拡大される。
【0029】第2の走査型プローブ顕微鏡(請求項2に
対応)は、第1の構成において、好ましくは、微動機構
部がカンチレバーに設けられた圧電薄膜で構成される。
【0030】第3の走査型プローブ顕微鏡(請求項3に
対応)は、第2の構成において、カンチレバーを所定周
波数(共振周波数、その付近の周波数、または高調波周
波数)で振動させる第1の信号発生器(第1の電圧印加
手段)と、カンチレバーの圧電薄膜にカンチレバーの所
定周波数よりも低い周波数の電圧を印加し、カンチレバ
ーにたわみ変形を生じさせる第2の信号発生器(第2の
電圧印加手段)とを備える。上記のカンチレバー変位検
出装置はカンチレバーの所定周波数の振動の振幅または
周波数を検知する検知装置であり、また第2制御手段
は、当該検知装置で検出されたカンチレバーの振動に関
する振幅または周波数が一定になるように、探針と試料
の間の距離を制御し、探針・試料間の距離が、圧電薄膜
によるカンチレバーのたわみ変形と、XYZ微動機構の
Z微動機構部(距離調整部)との組み合わせによって制
御される。
【0031】本発明では、第1の信号発生器で与えられ
るカンチレバーの共振点等の周波数を有する電圧信号
で、カンチレバーを微振動させる。このときの振動振幅
は、方式にもよるが、1〜数十nm程度とする。この状
態で探針を試料の表面に対して数nmの距離まで接近さ
せると、探針・試料間の原子間力等や接触力が作用し、
カンチレバーの振動の振幅や周波数が変化することが確
認される。従って、カンチレバーの振動振幅や振動周波
数を一定に保つと、探針・試料間の距離も一定に保た
れ、試料表面の形状を測定できる。
【0032】本発明では、カンチレバーに圧電薄膜を設
け、これに所定周波数の電圧信号を印加することでカン
チレバーにたわみ変形を起こさせることで、探針・試料
間の距離を一定に保持する。これにより、従来装置とは
異なり、高速な測定動作が可能となる。例えば、原子
像、薄膜表面、Si表面などは表面形状が100nm以
下のことが多く、上記の圧電薄膜に関連する構成部分の
みで高速な測定を行うことができる。
【0033】本発明では、さらに、第1制御手段からの
制御信号をXYZ微動機構のZ微動機構部にも与えるよ
うに構成した。圧電薄膜に関連する構成部分では高速測
定に対応できるが、広範囲の測定に対応できない。そこ
で、Z微動機構部による探針・試料間の距離の調整を併
用することで、広範囲の測定に対応できるようにした。
制御の反応状態では、圧電薄膜に関連する制御部分が優
先的に作用する。
【0034】上記のごとく本発明によれば、高速測定と
広範囲測定が可能となる。制御用の偏差信号は圧電薄膜
とZ微動機構部に同時に入力されるが、動作の速い圧電
薄膜の方が先に動作し、偏差を減少させるように働く。
従って、圧電薄膜によるカンチレバーの動作範囲内の測
定は、ほとんど圧電薄膜だけで行われ、測定の高速性が
維持される。また、圧電薄膜によるカンチレバーの変形
範囲より大きい段差形状が存在した場合には、圧電薄膜
がフルストロークまでカンチレバーを変形させた後、広
範囲に移動を行うことができるZ微動機構部が動作する
ことになる。こうして、高速測定と広範囲測定を両立す
ることができる。
【0035】実際上カンチレバーの共振点を数百kHz
とすることができる。カンチレバーの共振点を数百kH
zとした場合、原子間力に伴う変化分はその1%以下で
あり極めて微小である。カンチレバーでたわみ変形を生
じさせるZ軸サーボ用の電圧信号は、実際には、その帯
域をカンチレバーの共振点の例えば1/2〜1/10程
度にすることで、干渉を防止できる。この場合において
も数10〜100kHz程度のサーボ帯域を確保でき
る。
【0036】従来用いられている、トライポッド型、チ
ューブ型といったバルク圧電素子を用いたZ軸サーボで
は、その機構共振点の制約からサーボ帯域は数kHz以
下に限られていた。従って試料をXY方向に高速で走査
するとZ軸サーボが追従できなくなり、高速な測定がで
きなかった。今回の薄膜圧電体を用いた方式は、従来法
に比べおよそ10〜100倍の高速測定を実現でき、走
査型プローブ顕微鏡の欠点といわれる測定時間の問題を
解決できるものである。
【0037】第4の走査型プローブ顕微鏡(請求項4に
対応)は、第1の構成において、好ましくは、上記第2
微動機構はカンチレバーを保持するホルダに設けられる
ことを特徴とする。
【0038】第5の走査型プローブ顕微鏡(請求項5に
対応)は、第1の構成において、上記第2微動機構が試
料を支持するように設けられることを特徴とする。
【0039】第6の走査型プローブ顕微鏡(請求項6に
対応)は、第3の構成において、カンチレバーが加振用
圧電体を備えたカンチレバーホルダに固定され、第1の
信号発生器は、加振用圧電体に電圧信号を与えてカンチ
レバーを振動させるようにした。
【0040】第7の走査型プローブ顕微鏡(請求項7に
対応)は、上記第3の構成において、第1の信号発生器
が、カンチレバーの圧電薄膜に電圧信号を与えてカンチ
レバーを振動させるように構成される。
【0041】第8の走査型プローブ顕微鏡(請求項8に
対応)は、上記第3の構成において、検知装置が、カン
チレバーの振動振幅を検出する手段を含む。
【0042】第9の走査型プローブ顕微鏡(請求項9に
対応)は、上記第8の構成において、カンチレバーの振
動振幅を検出する手段が、カンチレバーの前記圧電薄膜
で誘起される電圧を検出する構成を含む。
【0043】第10の走査型プローブ顕微鏡(請求項1
0に対応)は、上記第8の走査型プローブ顕微鏡の構成
において、好ましくは、上記検知装置が、カンチレバー
の振動周波数を検出する手段を含む。
【0044】第11の走査型プローブ顕微鏡(請求項1
1に対応)は、上記検知装置が、光てこ方式の検出光学
系を含む。
【0045】第12の走査型プローブ顕微鏡(請求項1
2に対応)は、上記の各構成において、カンチレバー変
位検出装置から出力される信号は、第1制御手段および
第2制御手段に同時に入力されることを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0047】図1に本発明の第1の実施形態を示す。こ
の走査型プローブ顕微鏡の例は原子間力顕微鏡である。
試料台としての機能を有するXYZ微動機構11の上面
に試料12が載置される。試料12の上方位置にカンチ
レバー13が配置される。カンチレバー13の基端は、
カンチレバーホルダ14に固定され、その先端には探針
15が設けられる。探針15の先端は、試料12の観察
表面に臨む。図1に示したカンチレバー13および探針
15は、説明の便宜上その寸法を誇張して描いている。
実際には、カンチレバー13の長さは100μm程度、
厚みは1μm程度である。またカンチレバーホルダ14
の寸法は数ミリ程度のものである。
【0048】上記構成で、試料台において試料12を微
動させる機構部分はXYZ微動機構11である。X,
Y,Zは直交する3軸座標系を定める軸で、XY平面は
図1中水平な面であり、Z軸は当該XY平面に垂直な軸
である。従ってXYZ微動機構11は3軸の各方向に微
動させる3軸微動機構である。XYZ微動機構11に
は、試料12の測定面上の探針走査のためのXY微動機
構部11aと、探針・試料間の距離を調整するためのZ
微動機構部11bが含まれる。このXYZ微動機構11
は、一般的な圧電素子を用いたもので構成される。例え
ば、よく知られたチューブ型圧電素子あるいはトライポ
ッド型圧電素子が使用される。
【0049】カンチレバー13の背面部には、積層構造
にて、圧電薄膜16と電極17,18が設けられる。圧
電薄膜16の材料には例えばZnOやPZTが用いられ
る。圧電薄膜16は、電極17,18によって挟まれて
いる。電極17,18は、圧電薄膜16に対して電圧信
号(V1)を印加するためのものである。なおGND
(アース)側の配線はその図示を省略している。電極1
7,18を介して圧電薄膜16に電圧信号V1を印加す
ると、電圧信号V1に基づいて圧電薄膜16に変形が生
じ、その結果カンチレバー13においてユニモルフの原
理でたわみ変形が生じる。
【0050】カンチレバーホルダ14は壁部19に固定
され、かつその中間部に加振用圧電体20を備える。加
振用圧電体20には、信号発生器21から加振用電圧信
号が供給される。加振電圧信号は、カンチレバー13の
共振周波数またはその付近の周波数または高調波周波数
を有する例えば正弦波形の電圧信号である。本実施形態
では、共振周波数であるとする。信号発生器21から加
振用電圧信号を与えられた圧電体20に基づき、カンチ
レバー13は共振周波数で振動する。
【0051】図1において、カンチレバー13の背面の
電極17から出力されるように示された符号Vaは、カ
ンチレバー13自身のたわみ変形で圧電薄膜16に誘起
された電圧信号を表す。電圧信号Vaは、カンチレバー
13がたわむときに圧電薄膜16内では歪みが生じる
が、この歪みに対応して誘起される。カンチレバー13
は共振周波数で振動しているので、電圧信号Vaも所定
の周波数を有する電圧信号となる。圧電薄膜16から取
り出された電圧信号Vaは、フィルタ22に供給され
る。フィルタ22には、カンチレバー13の共振周波数
のみを通過させるバンドパスフィルタ、または共振点の
周波数以上の周波数成分を通過させるハイパスフィルタ
が使用される。フィルタ22から取り出された周波信号
は、実効値演算回路23に入力される。実効値演算回路
23は実効値演算機能と増幅機能を有する。実効値演算
回路23は、入力された周波信号から当該周波信号の実
効値を演算し、実効値で決まる一定振幅を有する電圧信
号Vbを出力する。実効値演算回路23から出力された
電圧信号Vbは加算器25に入力される。
【0052】カンチレバー13の先端に設けた探針15
が試料12の表面から離れているときには、探針15と
試料12の間に力が働かないので、カンチレバー13は
共振周波数で所定振幅にて自由振動を行っている。この
とき、上記電圧信号Vaは自由振動の共振周波数と同じ
周波数の信号を表し、上記電圧信号Vbはカンチレバー
13の共振点付近の振動の振幅を表す。探針15と試料
12の間をnm(ナノミリ)オーダの距離まで近付ける
と、探針・試料間に原子間力が反力として作用し始め
る。また探針15と試料12をさらに接近させると、接
触による反力が作用するようになる。反力の要因として
は、その他に、静電力、磁気力、吸着力などがある。こ
のような反力が作用すると、カンチレバー13の自由振
動の振幅が変化する。従って、カンチレバー13の振動
における振幅を予め設定された一定値に保つようにすれ
ば、探針・試料間の距離を、予め設定した一定距離に保
つことができる。
【0053】図2は、カンチレバー13における共振点
(共振周波数f0 )での、反力に起因する振幅の変化を
示すものである。図2で、横軸は周波数(f)を示し、
縦軸は信号強度(振幅)を示す。共振周波数f0 に着目
すると、自由振動のときには振幅がa1 であるのに対し
て、探針・試料間の距離が変化すると、周波数の分布が
27から28へ推移して振幅がa2 に変化する。従っ
て、共振点付近の振動の振幅によって、探針・試料間の
距離の変化を知ることができる。
【0054】以上のごとく、カンチレバー13の共振振
動における振幅を所定の一定値に保つようにして試料1
2の測定表面を走査すれば、そのデータによって試料の
表面の形状を測定することができる。カンチレバー13
の振動における振幅値、すなわち、探針・試料間の距離
は、実効値演算回路23の出力電圧値Vbに基づいて知
ることができる。従って、電圧信号Vbに基づいて、探
針・試料間の距離を一定に保つことができる。
【0055】コントローラの部分は、前述の加算器25
と、PI(比例−積分)制御機能および増幅機能を有す
る制御器26から構成される。加算器25に入力された
電圧信号Vbは、加算器25で、基準電圧(Vref )と
の間において偏差(Vd)が求められる。制御器26
は、偏差信号Vdに基づき、当該偏差信号Vdが0にな
るようにカンチレバー13を変形させるための制御用の
電圧信号(V1)を生成する。電圧信号V1は前述の電
極17,18に印加され、圧電薄膜16を変形させる。
圧電薄膜16が変形すると、カンチレバー13にたわみ
変形を生じさせ、これによって探針・試料間の距離が望
ましい状態になるように制御される。
【0056】上記において、カンチレバー13の共振周
波数は例えば100kHz以上に高く設定することがで
きる。これによって、カンチレバー13を高速に変形さ
せる。他方、電極17,18を介して圧電薄膜16に与
えられる電圧信号V1の最高周波数(サーボ帯域)はカ
ンチレバー13の共振周波数よりも小さい周波数に設定
される。例えば10〜50kHzに設定される。
【0057】かかる各周波数の設定によって、電圧信号
Vbにはサーボによるカンチレバーたわみの影響が除去
され、その結果、従来のサーボ帯域数kHzから飛躍的
に高速化された測定方法を実現できる。
【0058】また、加算器25に入力された電圧信号V
bと基準電圧(Vref )に基づき当該加算器25で生成
された上記偏差信号Vdは、制御器24を経由して、信
号V2としてXYZ微動機構11のZ微動機構部11b
に入力される。制御器24の働きは上記制御器26の働
きと実質的に同じである。従って、圧電薄膜16に与え
られる電圧信号と基本的に同じ信号がXYZ微動機構1
1のZ微動機構部11bに与えられる。この構成によれ
ば、Z微動機構部11bの作用によってZ軸方向の移動
に関して3μm以上の移動範囲を容易に達成できる。
【0059】次に、上記構成を有する走査型プローブ顕
微鏡の動作を説明する。
【0060】信号発生器21はカンチレバー13の共振
点またはその近傍の周波数を有する電圧信号を出力す
る。この電圧信号は、カンチレバーホルダ14の加振用
圧電体20に印加される。カンチレバー13は、カンチ
レバーホルダ14を介して共振点またはその近傍の周波
数で振動する。
【0061】図示しない探針接近機構により、探針15
を試料12に約1nmの距離まで近づけると、探針と試
料の間に原子間力が作用し、カンチレバー13の共振点
に関する周波数について電圧信号Vbが変化する。
【0062】加算器25では、基準電圧Vref と電圧信
号Vbを比較し、偏差信号Vdを出力する。この偏差信
号Vdは制御器26および制御器24に入力される。制
御器26は、圧電薄膜16に印加する電圧信号V1を出
力し、制御器24はZ微動機構部11bに印加する電圧
信号V2を出力する。サーボ用電圧信号V1が圧電薄膜
16に印加されると、カンチレバー13にたわみ変形が
生じ、探針15と試料12の間の距離を変えることがで
きる。また、制御器24からの電圧信号V2がZ微動機
構部11bに入力されると、所定条件の下で探針・試料
間の距離を変えることができる。ただし、後述するごと
く、制御器26から出力される電圧信号V1は高速な測
定に寄与するものであり、他方、制御器24から出力さ
れる電圧信号V2は広範囲の測定に寄与するものであ
り、制御器26,24の出力する電圧信号による制御に
おいては、制御器26から出力される電圧信号V1によ
る制御が速度的に優先される。
【0063】一般的に、加振用電圧信号によるカンチレ
バー13の振動は、振幅が1〜数十nmであって、一定
の振幅であるとする。これに対し、サーボ用電圧信号V
1によるカンチレバー13のたわみ(振幅)はミクロン
(μm)オーダまたはサブミクロンオーダに設定され
る。
【0064】電圧信号Vbの振動振幅は探針・試料間の
距離に依存するため、この振動振幅を一定に保つように
電圧信号V1による制御を行えば、探針・試料間の距離
を一定に保つことができる。実際には、サーボ用電圧信
号V1によるカンチレバーの振幅は0.1〜数μmオー
ダに設定され、XY微動機構部11aにより試料12を
XY平面で走査のために移動し、その間、上記方式によ
って探針15と試料12との間の距離を一定に保つよう
に制御する。そして、印加電圧信号V1をモニタするこ
とによって、試料12の表面形状を測定できる。
【0065】上記構成によれば、カンチレバー13自身
が持つ構造でZ軸方向の移動のサーボ制御を行えるよう
にしたので、数十から100kHz程度の高速なZ軸サ
ーボが実現でき、走査型プローブ顕微鏡としての測定時
間を大幅に(従来比:10〜100倍程度)短縮でき
る。
【0066】カンチレバー13の共振点を数百kHzと
した場合、例えば原子間力に伴う変化分はその1%以下
であり、極めて微小である。従って、力を受けない状態
での共振周波数近傍の周波数を有する信号をモニタす
る。Z軸サーボ用電圧信号は、試料表面の形状により変
化するため、加振用電圧信号の周波数領域になると両者
が干渉し不都合が生じることが予想できる。従って、前
述の通り、実際には、Z軸のサーボ帯域をカンチレバー
の共振点の周波数よりも低い、例えば1/2〜1/10
程度にすることで干渉を防止する。この場合においても
数十〜100kHz程度のサーボ帯域を確保できる。
【0067】また本実施形態では、光てこ方式の検出光
学系を用いていないので、調整時間が短縮され、装置構
成が簡素化される。特に、光軸調整が不要となるため
に、極めて使い勝手が良い装置を実現できる。
【0068】さらに、従来用いられているトライポッド
型やチューブ型といったバルク圧電素子のみを用いたZ
軸サーボでは、その機構共振点の制約からサーボ帯域は
数kHz以下に限られていた。従って試料をXY方向に
高速で走査すると、Z軸サーボが追従できなくなり、高
速な測定ができなかった。本実施形態の圧電薄膜を組合
せた方式は、従来法に比べおよそ10〜100倍の高速
測定を実現でき、走査型プローブ顕微鏡の欠点といわれ
る測定時間の問題、および広範囲測定の両立の問題を解
決できる。
【0069】次に、XYZ微動機構11内のZ微動機構
部11bと、前述の圧電薄膜16のサーボ制御に基づく
測定との協調動作について説明する。
【0070】圧電薄膜16に関するサーボ制御は、圧電
薄膜16に電圧信号V1を印加することで、試料12の
測定表面の形状を測定している。しかし、この測定が行
えるのは、試料表面の形状の変化がカンチレバー13の
たわみ変形可能範囲内にあることを条件とする。実際上
の測定では、カンチレバー13のたわみ変形は1μm以
下になることを想定しており、試料表面の大きな段差を
測定することに対応できない。そこで、制御器24を介
して電圧信号V2がZ微動機構部11bに入力されるよ
うにし、探針・試料間の距離を制御する構成を別のルー
トで付加した。Z微動機構部11bによる移動範囲は、
容易に例えば3μm以上にすることができる。
【0071】以上の構成において、表面ラフネスなどの
圧電薄膜16で対応できる範囲のものは、圧電薄膜16
に基づくカンチレバー13のたわみ変形だけで測定を高
速に行わせることができる。試料12の表面の段差形状
が大きく、圧電薄膜16によるたわみ変形のストローク
で対応できないときには、圧電薄膜16の変形作用によ
って変位可能な最終端までカンチレバー13は変形する
が、その後は、引き続きZ微動機構部11bが残存する
電圧信号V2に基づいて動作を開始する。Z微動機構部
11bによる探針・試料間の距離調整では、高速測定は
行えないが、広範囲な測定が可能となる。
【0072】以上のごとく、本実施形態による構成によ
れば、試料12の表面形状に追従するように探針15を
移動させ、試料表面の測定を行うときに、圧電薄膜16
およびこれに関連するサーボ制御機構と、Z微動機構部
11bおよびこれに関連するサーボ制御機構とを組み合
わせ、試料表面の相対的に小さい凹凸は圧電薄膜16お
よびこれに関連するサーボ制御機構によって高速に追従
され、試料表面の相対的に大きな凹凸はZ微動機構部1
1bおよびこれに関連するサーボ制御機構によって追従
され、高速測定から広範囲測定まで対応をとることがで
きる。
【0073】次に、図3を参照して本発明の第2の実施
形態を説明する。基本的構成は第1の実施形態と同じで
あるが、カンチレバー13の振動状態を検出するにあた
って光てこ方式の検出光学系を利用するようにした点が
異なる。図3中、図1で説明した要素と実質的に同一の
要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略す
る。
【0074】カンチレバーに関して生じた変位は、レー
ザ光発振器31とレーザ光検出器32からなる光学系変
位検出器によって検出される。33は、カンチレバー1
3の背面部に設けられた電極17で反射されるレーザ光
の軌跡を示している。レーザ光発振器31とレーザ光検
出器32からなる光学系変位検出器で得られるカンチレ
バー13の振動は、レーザ光検出器32で電圧信号に変
換され、フィルタ22に供給される。その他の構成、お
よび当該構成に基づく作用は第1の実施形態で説明され
たものと同じである。第2実施形態によっても、高速の
測定を行うことができる。またカンチレバー13の上の
圧電薄膜16に電圧を印加する部分と、カンチレバー1
3の変位検出部とが分離された構成にあるので、変位測
定の高精度化を達成できる。
【0075】次に、図4を参照して本発明の第3の実施
形態を説明する。第3の実施形態は第2の実施形態の変
形例であり、カンチレバー13の振動状態を検出するに
あたって光てこ方式の検出光学系を利用している。相違
する点は、加振用圧電体20の代わりにカンチレバー1
3に設けられた圧電薄膜16に直接に高周波電圧を印加
してカンチレバー13を共振振動させること、およびカ
ンチレバー13の振動周波数を利用して振動状態を検知
していることである。図4において、図3で説明した要
素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その詳
細な説明を省略する。
【0076】カンチレバー13は壁部40に直接に固定
される。制御器26から出力される電圧信号(V1)に
は、加算器41で、信号発生器21から出力される加振
用高周波電圧信号が加えられ、電極17,18を介して
圧電薄膜16に印加される。従って、圧電薄膜16に
は、振動を制御するための電圧信号V1と、カンチレバ
ー13を振動させるための高周波電圧信号が印加され
る。カンチレバー13の振動の状態は、光てこ式の検出
光学系で周波数信号として検出され、周波数−電圧変換
器42で周波数信号から電圧振幅値信号に変換される。
当該電圧振幅値はカンチレバー13の振動周波数に対応
している。かかる構成において、カンチレバー13の振
動周波数を一定に保つように、圧電薄膜16とZ微動機
構部11bに電圧を印加し、前述の実施形態の場合と同
様に探針・試料間の距離を一定に保持する制御を行い、
高速の測定と広範囲の測定を連続的に切り替えながら行
うことができる。本実施形態によれば、加振用の圧電体
が別途に設ける必要がないために構成が簡素になり、ま
たカンチレバー13の振動に関して共振周波数を一定に
保つ方式であるため、測定が電圧信号V1によるカンチ
レバー13のたわみの影響を受けないようにすることが
できる。
【0077】なおカンチレバーの振動数検出には、レー
ザ干渉を用いた方式、静電容量を用いた方式など各種の
ものを用いることができる。さらに、同一のカンチレバ
ーに2組の圧電薄膜を形成し、一方を加振用に、他方を
Z軸サーボ用として構成することも可能である。
【0078】次に、図5を参照して本発明の第4の実施
形態を説明する。前述の第1から第3の実施形態ではカ
ンチレバーに微動機構を設けて高速測定と広範囲測定を
行い得る構成を説明した。上記の実施形態に対し、本実
施形態では、カンチレバーのホルダ側に立方体型または
円柱型(円筒型も含む)の薄形圧電素子を利用して形成
された微動機構を設けると共に当該微動機構の共振点を
高め、かつ2段のサーボ制御回路を用いることにより、
高速測定と広範囲測定を行える構成を示している。図5
に示された要素で、前述の実施形態で説明された要素と
実質的に同一の要素には同一の符号を付し、詳細な説明
を省略する。
【0079】111は、試料12を載置し、当該試料1
2を微動させるためのXYZ微動機構(第1の微動機
構)である。このXYZ微動機構111の内部にはZ微
動機構部111bとXY微動機構部111aが含まれ
る。XYZ微動機構11には、一般的にはトライポッド
型またはチューブ型の圧電素子が使用される。Z軸方向
の変位量としては数μm程度を確保するので、微動機構
の共振点としては10kHz以下になるのが通例であ
る。試料12の上側には、探針15を先端に備えるカン
チレバー13が配置され、カンチレバー13の端部には
カンチレバーホルダとしての働きを有する第2の微動機
構51が設けられる。微動機構51には、厚み数mm
(ミリ)以下の単板型の圧電素子を用いる。微動機構5
1では、圧電素子の板圧が小さいので、共振点が100
kHz以上の高い周波数となり、変位量を数百nm以上
確保することが可能である。
【0080】カンチレバー13で生じる変位は、レーザ
光33による光てこの原理で検出される。レーザ光検出
器32の出力信号は、増幅器58を経由して信号Vbと
して加算器25に入力される。加算器25は、信号Vb
を基準電圧Vref と比較して偏差信号Vdを出力する。
加算器25から出力される偏差信号Vdは、第1の微動
機構111の制御に関与する制御器24、第2の微動機
構51の制御に関与するぎ制御器26に入力され、制御
器24,26の各々から制御のための前述の電圧信号V
1,V2が出力される。制御器24,26は共に比例−
積分の補償を行う。制御器26からの電圧信号V1は第
2の微動機構51に与えられ、制御器24からの電圧信
号V2はZ微動機構部111bに与えられる。本実施形
態では、電圧信号V1,V2を増幅する増幅器52,5
3が設けられている。また電圧信号V1,V2は、加算
器54において加算された後に、メモリ55に格納され
る。さらにXY走査回路56から出力された信号は増幅
器57を介してXY微動機構部11aに与えられると共
に、メモリ55に与えられ、ここに格納される。XY走
査回路56の出力信号は、Z方向の電圧信号(V1+V
2)と組合され、試料表面形状をモニタ(図示せず)に
表示するのに使用される。
【0081】なお電圧信号V1,V2、加算器54、メ
モリ55、XY走査回路56等の構成は、前述した各実
施形態においても同じである。
【0082】図6と図7を参照して、測定の動作を、試
料表面形状と電圧信号V1,V2との関係に基づいて説
明する。
【0083】図6は、試料12の表面形状12aの凹凸
が、第2の微動機構51の可動範囲よりも小さい場合の
例である。この例としては、原子像、Siウェハの表
面、各種薄膜の表面などの例がある。第1の微動機構1
11に比較し、第2の微動機構51の共振点は約10倍
以上高くされている。同様に、制御帯域に関しても、第
1の制御系の制御帯域すなわち第1のXYZ微動機構1
11(Z微動機構部111b)の制御器24の制御帯域
よりも、第2の制御系の制御帯域すなわち第2の微動機
構51に関する制御器26の制御帯域を約10倍程度高
速にしている。例えば、1kHzと10kHz程度に設
定されている。かかる試料表面形状に対して、電圧信号
V1と電圧信号V2の変化では、第1の制御系の電圧信
号V1は試料表面形状の微小凹凸に追従できずフラット
な信号になり、第2の制御系の電圧信号V2は当該微小
凹凸に追従できほぼ試料表面形状に一致した信号とな
る。電圧信号V1,V2は加算器54で加算されるの
で、電圧信号V2の部分によって高速な測定を可能にす
る。第1の微動機構111のみを用いた従来の走査型プ
ローブ顕微鏡に比較して、図5の構成を有する走査型プ
ローブ顕微鏡は高速な測定を行うことができる。
【0084】図7は、試料12の表面形状12aの凹凸
が、第2の微動機構51の可動範囲よりも大きい場合の
例である。かかる試料表面形状に対して、電圧信号V1
と電圧信号V2の変化では、第1の制御系による電圧信
号V1は試料表面形状の凹凸に追従して大きなうねり成
分を表す信号になり、第2の制御系による電圧信号V2
は補正しきれない高周波成分を検出し、これを表す信号
となる。電圧信号V1,V2は加算器54で加算され、
これにより大きな凹凸を高速に測定できることになる。
【0085】なお上記の動作説明は代表的な好適例に関
するものであり、例えば、急峻であって直角な段差で、
かつ第2の微動機構51の動作範囲よりも大きな場合な
どには、うまく対応できない場合もある。このような場
合には、XY走査の速度を低下させることも必要とな
る。しかし一般的に、本実施形態の構成によれば、測定
時間を大幅に短縮でき、さらに測定範囲を拡大できる。
【0086】図8は、本発明の第5の実施形態を示す。
この実施形態は第4実施形態を変形したものであり、実
質的に同一の要素には同一の符号を付している。この実
施形態では、第2の微動機構51を第1のXYZ微動機
構111の上に積層して設け、試料12を第2の微動機
構51の上に載置するように構成した。その他の構成お
よび作用は、第4実施形態で説明した構成および作用と
同じである。第5の実施形態によれば、前述の第4の実
施形態と同等な効果に加え、カンチレバー13の側は固
定され、動かない構成であるので、光てこ光学系のカン
チレバー変位検出誤差を小さくすることができ、高精度
の測定を行える。
【0087】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、カンチレバーを有する走査型プローブ顕微鏡にお
いて、探針・試料間の距離を、共振点が相対的に低い第
1微動機構と共振点が相対的に高い第2微動機構によっ
て変化させるようにしたため、高速測定と広範囲測定を
行うことができる。
【0088】動的走査型のプローブ顕微鏡において、カ
ンチレバーをその共振点、またはその付近の周波数、ま
たは高調波周波数で振動させ、カンチレバーに圧電薄膜
を設けカンチレバー自身でZ軸サーボを行い探針・試料
間の距離を制御するようにしたので、高速なZ軸サーボ
を行うことができ、走査型プローブ顕微鏡による測定時
間を大幅に向上させることができる。
【0089】また圧電薄膜に関連する制御部分に併せ
て、XYZ微動機構のZ微動機構部により探針・試料間
の距離を制御できる構成を設けたため、試料表面の凹凸
が圧電薄膜で制御できる範囲より大きくなった場合にお
いて、Z微動機構部によって当該制御を行うことがで
き、広範囲の測定を行うことができる。こうして、走査
プローブ顕微鏡による試料表面の微細形状の測定におい
て、高速測定と広範囲測定を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す構成図である。
【図2】探針・試料間の距離の変化に応じた周波数分布
の推移を示す周波数分布図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態を示す構成図である。
【図5】本発明の第4の実施形態を示す構成図である。
【図6】第1の測定例を説明するための信号特性と試料
表面形状を示す図である。
【図7】第2の測定例を説明するための信号特性と試料
表面形状を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施形態を示す構成図である。
【図9】従来の走査型プローブ顕微鏡の代表例を示す構
成図である。
【図10】カンチレバーの各部の寸法を示す図である。
【図11】従来の走査型プローブ顕微鏡の他の例を示す
構成図である。
【符号の説明】
11,111 XYZ微動機構(第1の微動機
構) 11a,111a XY微動機構部 11b,111b Z微動機構部 12 試料 13 カンチレバー 14 カンチレバーホルダ 15 探針 16 圧電薄膜 17,18 電極 20 加振用圧電体 21 信号発生器 22 フィルタ 23 実効値演算回路 24 制御器 25 加算器 26 制御器 31 レーザ光発振器 32 レーザ光検出器 51 第2の微動機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 浩史 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 保坂 純男 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所基礎研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料に臨む探針を備えたカンチレバー
    と、前記試料と前記探針の相対的位置を変化させる第1
    微動機構と、カンチレバー変位検出手段とを備え、前記
    第1微動機構によって前記探針が前記試料の表面を走査
    しかつ探針・試料間の距離を調整し、走査の間、前記第
    1微動機構のための第1制御手段によって、前記探針と
    前記試料の間の相互作用に基づき生じる前記カンチレバ
    ーのたわみ量を制御することで前記試料の表面における
    物理情報を得る走査型プローブ顕微鏡において、 前記第1微動機構の共振点より高い共振点を有する第2
    微動機構を設け、前記試料と前記探針の距離を、前記第
    1制御手段と、前記第2微動機構の動作を制御する第2
    制御手段との組み合わせによって変化させるように構成
    し、前記第1制御手段から得られる信号と前記第2制御
    手段から得られる信号を加算して前記物理情報を得るよ
    うにしたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記第2微動機構は、前記カンチレバー
    に設けられた圧電薄膜で構成されることを特徴とする請
    求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記カンチレバーを所定周波数で振動さ
    せる第1の電圧印加手段と、前記カンチレバーの前記圧
    電薄膜に前記カンチレバーの前記所定周波数よりも低い
    周波数の電圧を印加し、前記カンチレバーにたわみ変形
    を生じさせる第2の電圧印加手段とを備え、 前記カンチレバー変位検出手段は前記カンチレバーの前
    記所定周波数の振動の振幅または周波数を検知する検知
    手段であり、 前記第2制御手段は、前記検知手段で検出された前記カ
    ンチレバーの前記振動に関する振幅または周波数が一定
    になるように、前記探針と前記試料の間の距離を制御
    し、探針・試料間の前記距離が、前記圧電薄膜による前
    記カンチレバーの前記たわみ変形と、前記第1微動機構
    の距離調整部との組み合わせによって制御されることを
    特徴とする請求項2記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記第2微動機構は前記カンチレバーを
    保持するホルダに設けられることを特徴とする請求項1
    記載の走査型プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記第2微動機構は、前記試料を支持す
    るように設けられることを特徴とする請求項1記載の走
    査型プローブ顕微鏡。
  6. 【請求項6】 前記カンチレバーは加振用圧電体を備え
    たカンチレバーホルダに固定され、前記第1の電圧印加
    手段は前記加振用圧電体に電圧信号を与えて前記カンチ
    レバーを振動させるようにしたことを特徴とする請求項
    3記載の走査型プローブ顕微鏡。
  7. 【請求項7】 前記第1の電圧印加手段は、前記カンチ
    レバーの圧電薄膜に電圧信号を与えて前記カンチレバー
    を振動させるようにしたことを特徴とする請求項3記載
    の走査型プローブ顕微鏡。
  8. 【請求項8】 前記検知手段は、前記カンチレバーの振
    動振幅を検出する手段を含むことを特徴とする請求項3
    記載の走査型プローブ顕微鏡。
  9. 【請求項9】 前記カンチレバーの振動振幅を検出する
    手段は、前記カンチレバーの前記圧電薄膜で誘起される
    電圧を検出する構成を含むことを特徴とする請求項8記
    載の走査型プローブ顕微鏡。
  10. 【請求項10】 前記検知手段は、前記カンチレバーの
    振動周波数を検出する手段を含むことを特徴とする請求
    項3記載の走査型プローブ顕微鏡。
  11. 【請求項11】 前記検知手段は、光てこ方式の検出光
    学系を含むことを特徴とする請求項8または10記載の
    走査型プローブ顕微鏡。
  12. 【請求項12】 前記カンチレバー変位検出手段から出
    力される信号は、前記第1制御手段および前記第2制御
    手段に同時に入力されることを特徴とする請求項1〜1
    1のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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