JPH1010777A - トナー用バインダー樹脂およびトナー - Google Patents

トナー用バインダー樹脂およびトナー

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JPH1010777A
JPH1010777A JP16007096A JP16007096A JPH1010777A JP H1010777 A JPH1010777 A JP H1010777A JP 16007096 A JP16007096 A JP 16007096A JP 16007096 A JP16007096 A JP 16007096A JP H1010777 A JPH1010777 A JP H1010777A
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JP
Japan
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toner
acid
polyester resin
temperature
binder resin
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Application number
JP16007096A
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English (en)
Inventor
Koichi Ito
弘一 伊藤
Hitoshi Iwasaki
等 岩崎
Takayuki Tajiri
象運 田尻
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トナーとしての定着性、耐ブロッキング性お
よび非オフセット性を損なうことなく、画像安定性に優
れたトナーが得られるバインダー樹脂を提供する。 【解決手段】 ジカルボン酸を主成分とする酸成分と、
芳香族ジオールおよび/または脂肪族ジオールを主成分
とするジオール成分とから構成され、仕事関数が3.4
eV以上である金属元素からなる化合物が全酸成分に対
して300ppm以下であるポリエステル樹脂であっ
て、ガラス転移温度が50〜75℃、軟化温度が80〜
170℃、酸価が25mgKOH/g以下であるトナー
用バインダー樹脂及びこれを含有するトナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法、静電印刷法などにおいて、静電荷像または磁気
潜像の現像に用いられる乾式トナーのバインダー樹脂と
して有用なポリエステル樹脂に関する。さらに詳しく
は、定着性、耐ブロッキング性、非オフセット性および
画像安定性に優れたトナー用バインダー樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】静電荷像より恒久的な顕像を得る方法に
おいては、光導電性感光体または静電記録体上に形成さ
れた静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナー
によって現像した後、定着される。磁気潜像の場合は、
磁気ドラム上の潜像を磁性体を含むトナーによって現像
した後、定着される。定着は、光導電性感光体または静
電記録体上に現像によって得られたトナー像を直接融着
させるか、紙やフィルム上にトナー像を転写した後、こ
れを転写シート上に融着させることによって行われる。
トナー像の融着は、溶剤蒸気との接触、加圧および加熱
によって行われ、加熱方式には、電気オーブンにより無
接触加熱方式と加圧ローラーによる圧着加熱方式がある
が、定着工程の高速化が要請される最近では主として後
者が用いられている。
【0003】乾式現像方式で使用されるトナーには、1
成分系トナーと2成分系トナーがある。2成分系トナー
は、まずバインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤およびそ
の他必要な添加剤を溶融混練して十分に分散させた後、
粗粉砕し、次いで微粉砕して、所定の粒度範囲に分級し
て製造される。1成分系トナーは、上記の2成分系のト
ナーの各成分の他に磁性粉を添加して同様に製造され
る。特に、バインダー樹脂は、トナー配合中の主成分で
あるため、トナーに要求される性能の大部分を支配す
る。このためトナー用バインダー樹脂には、トナー製造
においては溶融混練工程での着色剤の分散性、粉砕工程
での粉砕性等が要求され、またトナーの使用においては
定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および帯電
安定性等の多用な性能が要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近では、長時間連続
して印刷するような大量需要用途への適用が進み、長時
間の印刷においても安定した画像が得られることができ
るトナーの必要性が高まってきており、トナーとして安
定した帯電量を保持できることが重要となってきてい
る。このような要求に対して、従来、一定量の荷電制御
剤を使用することによって現像システムに必要な帯電量
を確保する方法が一般的に行われていた。しかしなが
ら、このような荷電制御剤による帯電量の調整では、多
量の荷電制御剤の使用によっても、得られる帯電量とそ
の安定性には限界があり、特に、長期に安定した帯電量
を保持することは困難であった。また、このような荷電
制御剤は、環境問題等の観点からも、その使用量や種類
が限られてくるようになってきている。
【0005】一般に、トナー用バインダー樹脂として
は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹
脂、メタクリル系樹脂などが使用されており、モノマー
組成や官能基を調整することによって、トナーとしての
帯電量を高くし、帯電安定性を向上させる試みがなされ
ていたが、未だ満足のできる帯電特性を得ることはでき
なかった。これらバインダー樹脂の中でも、特に、ポリ
エステル樹脂が帯電量の高いトナーを得ることができる
ものとして注目されてきており、ポリエステル樹脂の重
合時に使用される金属触媒がトナーの帯電量を高める一
要因であるとされている。しかしながら、ポリエステル
樹脂の重合時に使用される金属触媒は、トナーの添加剤
等との間で相互作用があり、やはり満足のできる帯電特
性を得ることはできなかった。そこで、本発明の目的と
するところは、トナーとしての定着性、耐ブロッキング
性および非オフセット性を損なうことなく、画像安定性
に優れたトナー用バインダー樹脂としてのポリエステル
樹脂トナーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のトナ
ー用バインダー樹脂は、ジカルボン酸を主成分とする酸
成分と、芳香族ジオールおよび/または脂肪族ジオール
を主成分とするジオール成分とから構成され、仕事関数
が3.4eV以上である金属元素からなる化合物が全酸
成分に対して300ppm以下であるポリエステル樹脂
であって、ガラス転移温度が50〜75℃、軟化温度が
80〜170℃、酸価が25mgKOH/g以下である
ことを特徴とするものでる。また、本発明のとなーは、
このようなポリエステル樹脂を主成分とするバインダー
樹脂および着色剤を含有することを特徴とするものであ
る。
【0007】このような本発明は、トナー用バインダー
樹脂としてのポリエステル樹脂を重合する際に使用する
重合触媒として、トナーの帯電量を高めることができる
特定の金属元素からなる金属化合物を、トナーへの添加
剤等との間の相互作用のない範囲内で使用することによ
って、特定の金属化合物を特定範囲内で含有したトナー
用バインダー樹脂を製造し、トナーとしての安定した帯
電を長期間に渡って維持することができ、画像安定性に
優れたトナーを得ることができるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のトナー用バインダー樹脂
としてのポリエステル樹脂は、仕事関数(φ)が3.4
eV以上である金属元素からなる金属化合物を、全酸成
分に対して300ppm以下の範囲で含有させることを
特徴とするものである。このような金属化合物は、主と
してポリエステル樹脂を重合する際の重合触媒に起因す
るものであり、重合触媒として特定の種類のものを特定
の使用量で使用することによって、本発明のポリエステ
ル樹脂を得ることができる。
【0009】本発明において、仕事関数(φ)は、原子
中の電子と同様に束縛されている固体中の電子を、固体
中から表面を通して真空中に取り出すために必要な最小
のエネルギーであり、金属元素に高真空中で光を照射し
た際に放出される電子を測定する光電子放出法で測定さ
れた値をいう。このような仕事関数(φ)が3.4eV
以上である金属元素からなる金属化合物をポリエステル
樹脂に含有させることによってトナーの帯電量を高くす
ることができるものであり、好ましくは仕事関数(φ)
が3.5eV以上の金属元素からなる金属化合物であ
る。
【0010】仕事関数(φ)が3.4eV以上である金
属元素としては、アルミニウム、コバルト、クロニウ
ム、ゲルマニウム、モリブデン、ニッケル、アンチモ
ン、セレン、錫、テルル、チタニウム、パナジウム、亜
鉛等が挙げられ、好ましくはゲルマニウム、アンチモ
ン、錫、チタン、亜鉛であり、特に好ましくは周期律表
におけるIV族またはV族で4あるいは5周期の元素で
あるゲルマニウム、アンチモン、錫、チタニウムであ
る。また、このような金属元素からなる金属化合物とし
ては、例えば、酢酸マンガン4水和物、酢酸コバルト1
水和物、酢酸亜鉛2水和物、二酸化ゲルマニウム、三酸
化アンチモン、チタンテトラブドキシド、チタンテトラ
メトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ2
−エチルヘキソキシド、ジブチル錫オキシド、ジブチル
錫アセトキシド、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫
ジウラレート、ジブチル錫スルフィド、ジブチル錫マレ
エート等が挙げられ、いずれもポリエステル樹脂の重合
触媒として使用することができ、単独または2種以上を
み合せて使用することができる。中でも、二酸化ゲルマ
ニウム、三酸化アンチモン、ジブチル錫オキシド、チタ
ンテトラエトキシドが好ましく、さらに好ましくは三酸
化アンチモン、チタンテトラエトキシドである。
【0011】これら金属化合物は、ポリエステル樹脂中
に300ppm以下の範囲で含有させることが重要であ
り、好ましくは200ppm以下の範囲、さらに好まし
くは100ppm以下の範囲である。この含有量が30
0ppmを超えると、トナーの添加剤と反応したり、電
荷の打消し合いが生じる等の相互作用が生じ、トナーと
しての帯電安定性が低下するためである。
【0012】本発明のポリエステル樹脂を構成するジカ
ルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳
香族ジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、イソデシル
琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸等の脂肪族
ジカルボン酸及びそれらの低級アルキルエステルあるい
は酸無水物等が挙げられる。これらジカルボン酸の低級
アルキルエステルとしては、例えば、モノメチルエステ
ル、モノエチルエステル、ジメチルエステル、ジエチル
エステル等が挙げられる。中でも、テレフタル酸、イソ
フタル酸やアジピン酸あるいはこれらの低級アルキルエ
ステルが好ましい。これらジカルボン酸は、単独または
2種以上を組合せて使用することができる。本発明にお
いて、ジカルボン酸は、ポリエステル樹脂のガラス転移
温度を調整し、トナーの耐ブロキング性および定着性を
向上させるもので、全酸成分中に70〜100モル%の
範囲で含有することが好ましく、さらに好ましくは90
〜100モル%の範囲、より好ましくは95〜100モ
ル%の範囲である。
【0013】特に、テレフタル酸やイソフタル酸等の芳
香族ジカルボン酸は、ポリエステル樹脂のガラス転移温
度を上げ、トナーの耐ブロッキング性の向上に寄与し、
それの持つ疎水性のためトナーの耐湿性向上にも効果が
ある。従って、芳香族ジカルボン酸は、全酸成分に対し
て50モル%以上であることが必要であり、好ましくは
60モル%以上の範囲である。中でも、テレフタル酸系
のものはバインダー樹脂のガラス転移温度をアップさせ
るのに効果があり、またイソフタル酸系のものは反応性
を高める効果があるので目的によってその使用バランス
を変えて用いることが好ましい。一方、アジピン酸等の
脂肪族ジカルボン酸は、トナーの定着性や耐ブロッキン
グ性に大きく影響を与えるので、これらの特性を考慮し
て使用する必要があり、全酸成分に対して30モル%以
下の範囲で使用することが好ましい。
【0014】また、本発明においては、ポリエステル樹
脂を構成する成分として、必要に応じて3価以上の多価
カルボン酸あるいは3価以上の多価アルコールを使用す
ることができる。3価以上の多価カルボン酸あるいは3
価以上の多価アルコールは、ポリエステル樹脂の反応を
促進させるとともに、分子量や分子量分布を調整するも
のであり、トナーの融着性、フィルミング性を向上させ
ることができる。3価以上の多価カルボン酸としては、
トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シクロ
ヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリ
カルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、
1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8
−オクタンテトラカルボン酸およびこれらの酸無水物等
が挙げられる。中でも、トリメリット酸、トリメリット
酸無水物が好ましい。また、3価以上の多価アルコール
としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテ
トラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトー
ル、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペン
タトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリ
オール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,
3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられ
る。中でも、トリメリット酸およびその酸無水物、ペン
タエリスリトール、トリメチロールプロパンが好まし
い。これら3価以上の多価カルボン酸あるいは3価以上
の多価アルコールは、単独または2種以上を組合せて使
用することができる。
【0015】本発明においては、3価以上の多価カルボ
ン酸および/または3価以上の多価アルコールの使用量
は、重合度あるいは分子量とガラス転移温度とのバラン
スを考慮して選定することができるが、全酸成分に対し
て30モル%以下の範囲で使用することが好ましく、さ
らに好ましくは27モル%以下の範囲である。これは、
3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多
価アルコールが、30モル%を超えるとポリエステル樹
脂の溶融粘度が高くなり、トナーの定着性が低下する傾
向にあるためである。
【0016】さらに、本発明のポリエステル樹脂を構成
する芳香族ジオールは、ポリエステル樹脂のガラス転移
温度を上げ樹脂強度を付与し、ポリエステル樹脂の低分
子量成分を低減させるものであり、トナーの耐ブロッキ
ング性を良好とするとともに、樹脂の反応性を制御する
ための成分であり、一般式(1)で示されるような芳香
族ジオールを使用することができる。
【0017】
【化1】
【0018】(式中、R1は炭素数3以下のアルキレン
基であり、mおよびnは自然数である。) 芳香族ジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレン
−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシエチレン−(2.8)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(3.
0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン等のエチレンキサイドを付加したビスフェノールA誘
導体、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプ
ロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.
8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン−(3.0)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のプロピレンオ
キサイドを付加したビスフェノールA誘導体等があげら
れ、これらは単独または2種以上を組合せて使用するこ
とができる。
【0019】特に、ポリエステル樹脂のガラス低温度を
上げ樹脂強度を付与するためには、プロピレンオキサイ
ドを付加したビスフェノールA誘導体が好ましく、ポリ
エステル樹脂の低分子量成分を低減させるためには、エ
チレンキサイドを付加したビスフェノールA誘導体が好
ましい。中でも、2.1≦n≦2.5であるポリオキシ
プロピレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ポリエステル樹脂の2.0≦n≦3.
0であるポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0020】これら芳香族ジオールは、高温で熱分解を
起こしやすいため、高い反応性を必要とするジカルボン
酸と併用する場合には、全酸成分に対して20〜110
モル%の範囲で使用することが好ましく、さらに好まし
くは25〜105モル%の範囲である。これは、芳香族
ジオールが20モル%未満では、ポリエステル樹脂のガ
ラス転移温度が低下する傾向にあり、トナーの耐ブロッ
キング性が低下する傾向にあるためである。また、芳香
族ジオールが110モル%を超えると、反応性が著しく
低下し目的の重合度まで反応が進行しなくなるためであ
る。
【0021】本発明のポリエステル樹脂を構成する脂肪
族ジオールは、樹脂の縮重合反応速度を向上させるもの
であり、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポ
リエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、水添ビスフェノールA等が挙げられ、これらは単
独または2種以上を組合せて使用することができる。中
でも、トナーとしての定着性の点から、エチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオールが好ま
しい。脂肪族ジオールは、全酸成分に対して5〜110
モル%の範囲で使用することが好ましく、さらに好まし
くは10〜105モル%の範囲である。これらは、脂肪
族ジオールが5モル%未満では、反応性が著しく低下し
目的の重合度まで反応が進行しなくなる傾向にあり、1
10モル%を超えるとポリエステル樹脂のガラス転移温
度や樹脂強度の低下を招きやすくなり、トナーの耐ブロ
ッキング性が低下する傾向にあるためである。
【0022】以上の構造からなる本発明のトナー用ポリ
エステル樹脂は、ガラス転移温度が50〜75℃、軟化
温度が80〜170℃、酸価が25mgKOH/g以下
であることが必要である。これは、ガラス転移温度が5
0℃未満ではトナーとしての耐ブロッキング性に劣り、
逆に75℃を超えると耐ブロッキング性は良好である
が、トナーとしての定着性能が著しく低下するためであ
り、好ましくは52〜73℃の範囲である。また、軟化
温度が80℃未満では、トナーとしての定着性能は向上
するが、ポリエステル樹脂の凝集力が極端に低下し十分
な非オフセット性が得られなくなるためであり、逆に1
70℃を超えると非オフセット性は向上するが、トナー
としての定着性能が極端に低下するためであり、好まし
くは85〜165℃の範囲である。さらに、酸価が2m
gKOH/gを超えると、トナーとしての帯電量が環境
により変化しやすくなり、帯電安定性が低下するためで
あり、好ましくは20mgKOH/g以下の範囲であ
る。
【0023】また、本発明のポリエステル樹脂は、ゲル
パーミェーションクロマトグラフィーによる分子量分布
において、ピークの分子量が1500〜20000の範
囲にあり、重量平均分子量(Mw)が60000以上
で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比(Mw/Mn)が20以上の範囲であることが好まし
い。これは、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー
による分子量分布におけるピークの分子量が1500未
満であると、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が低下
してトナーとしての耐ブロッキング性が低下する傾向に
あり、逆に20000を超えるとトナーとしての定着性
が損なわれる傾向にあり、好ましくは2000〜150
00の範囲である。また、重量平均分子量(Mw)が6
0000未満であったりMw/Mnが20未満である
と、トナーとしての非オフセット性が低下する傾向にあ
るためである。
【0024】さらに、本発明のポリエステル樹脂を、フ
ルカラートナー用のバインダー樹脂として使用する場合
には、重量平均分子量(Mw)が2000〜60000
で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比(Mw/Mn)が1.5〜20の範囲であることが好
ましい。これは、ゲルパーミェーションクロマトグラフ
ィーによる分子量分布におけるピークの分子量が150
0未満であると、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が
低下してトナーとしての耐ブロッキング性が低下する傾
向にあり、逆に20000を超えるとトナーとしての定
着性が損なわれる傾向にあり、好ましくは2000〜1
5000の範囲である。また、重量平均分子量(Mw)
が2000未満であると、ポリエステル樹脂のガラス転
移温度が低下してトナーとしての耐ブロッキング性が低
下する傾向にあり、逆に60000を超えるとポリエス
テル樹脂の粘度が高くなりトナーとしての定着性が低下
する傾向にあるり、好ましくは3000〜58000の
範囲である。さらに、Mw/Mnが1.5未満である
と、トナーとしての耐ブロッキング性が低下する傾向に
あり、逆に20を超えるとトナーとしての発色性や定着
性が低下する傾向にある。
【0025】本発明のポリエステル樹脂の製造において
は、上記の重合成分を反応釜に仕込み、加熱昇温して、
エステル化反応またはエステル交換反応を行う。この
時、前述したような仕事関数(φ)が3.4eV以上で
ある金属元素からなる金属化合物を重合触媒として使用
する。次いで、常法に従って該反応で生じた水またはア
ルコールを除去する。その後引き続き重合反応を実施す
るが、このとき150mmHg以下の真空下でジオール
成分を留出除去させながら縮重合を行う。この縮重合に
おいても、必要に応じて、前述したような仕事関数
(φ)が3.4eV以上である金属元素からなる金属化
合物を重合触媒として使用することができる。この際、
使用する重合触媒の合計量が300ppm以下の範囲と
なるようにすることが必要である。これは、重合触媒の
使用量が300ppmを超えると、ポリエステル樹脂中
に含有される金属化合物の含有量が増加し、トナーの添
加剤と反応したり、電荷の打消し合いが生じる等の相互
作用が生じ、トナーとしての帯電安定性が低下するため
である。
【0026】本発明のポリエステル樹脂の製造方法にお
いて、エステル化反応を行った後に縮重合を行う場合に
は、最終的に重合が完結する時点での縮重合の反応温度
がエステル化の反応温度よりも10℃以上低くなるよう
な重合条件とすることが好ましい。また、エステル交換
反応を行った後に縮重合を行う場合には、最終的に重合
が完結する時点での縮重合の反応温度がエステル交換の
反応温度よりも5℃以上低くなるような重合条件とする
ことが好ましい。さらに、エステル化またはエステル交
換反応が終了した後に冷却を行いながら縮重合反応を行
う際に、目標とする縮重合反応温度までの冷却時間を3
時間以内とすることが好ましく、さらに好ましくは2.
5時間以内である。この冷却時間が3時間を超えると、
縮重合の反応速度が大きくなり、反応が進み過ぎる傾向
にあるため、得られるポリエステル樹脂の物性制御が困
難となるためである。
【0027】本発明のトナーは、上記のようなポリエス
テル樹脂をバインダー樹脂の主成分として含有するもの
であり、スチレン系重合体、スチレン−アクリル系共重
合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、エポキシ系樹
脂等の他の樹脂と併用してバインダー樹脂とすることも
できる。また、本発明のトナーは、上記のようなバイン
ダー樹脂を60重量%以上含有するとともに、無機顔
料、有彩色の染料および有機顔料等の着色剤、ポリオレ
フィンワックス等のワックス類、テフロン、ステアリン
酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、負帯電性また
は正帯電性の荷電制御剤、離型剤、磁性材、流動改質剤
等を必要に応じて配合し、得られた配合物を、例えば、
熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等を用いて溶融
混練した後に、ジェットミル、風力分級機等を用いて粉
砕・分級し所定の平均粒径とすることによって製造する
ことができる。
【0028】本発明のトナーに使用できる着色剤として
は、公知の着色剤を使用することができ、例えば、カー
ボンブラック、鉄黒、ニグロシン、ベンジンイエロー、
キナクドリン、ローダミンB、フタロシアニンブルー等
が挙げられる。荷電制御剤としては、公知の負帯電性ま
たは正帯電性の荷電制御剤を使用することができ、例え
ば、Al、Ba、Ca、Cd、Co、Cu、Fe、H
g、Mg、Mn、Ni、Pb、Sn、Sr、Zn等の2
価以上の金属を含む有機性の塩類や錯体類等の有機金属
化合物が挙げられる。有機金属化合物としては、上記金
属のカルボン酸塩、アルコキシレート、有機金属錯体、
キレート化合物等が挙げられる。これら荷電制御剤は、
バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量
部程度の範囲で使用することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例および比較例における性能評価は以下
の方法を用いて行った。ガラス転移温度(℃) 島津製作所社製示差走査熱量計を用い、昇温速度5℃/
分で測定した時のガラス転移温度近傍の吸熱曲線の接線
と、ベースラインとの接点をガラス転移温度とした。軟化温度(℃) 島津製作所社製フローテスター(CFT−500)を用
いて、ノズル1.0mmφ×10mmL、荷重30kg
f、昇温速度3℃/分の等速昇温下で測定し、サンプル
量1.0g中の半分が流出した時の温度を軟化温度
(℃)とした。
【0030】組成分析 樹脂をヒドラジンで加水分解し、液体ガスクロマトグラ
フィーで定量した。分子量分布、重量平均分子量、数平均分子量 テトラヒドロフランを溶媒として、カラムGMHLを3
本有する東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(HCL−8200)を用いて測定した。酸価 KOH溶液による滴定法により測定した。組成分析は、
樹脂をヒドラジンで加水分解し、液体クロマトグラフィ
ーで定量した。
【0031】定着性 (1)フルカラートナー 温度を自由に変化させることができ、ブレードを有する
フルカラー複写機を用いて、印刷速度10枚/分で印刷
した時の紙への定着性を、以下の基準で評価した。 ◎:120℃以下で定着が可能。 ○:121〜135℃で定着が可能。 ×:135℃以上で定着が可能。
【0032】(2)フルカラー以外のトナー 温度を自由に変化させることができ、ローラー速度を1
50mm/秒に設定した複写機を用いて、定着ローラー
にトナーが移行しない最低温度(最低定着温度)を測定
し、以下の基準で評価した。 ◎:最低定着温度が140℃以下である。 ○:最低定着温度が141〜150℃である。 △:最低定着温度が151〜160℃である。 ×:最低定着温度が160℃を超える。
【0033】非オフセット性 温度を自由に変化させることができ、ローラー速度を1
50mm/秒に設定した複写機を用いて、定着ローラー
にトナーが移行した温度を測定し、以下の基準で評価し
た。 ◎:220℃以上である。 ○:200〜219℃である。 △:180〜199℃である。 ×:180℃未満である。
【0034】耐ブロッキング性 50mlのガラス性サンプル瓶中にトナー5gを入れ、
50℃の恒温槽中に24時間放置した後、室温まで冷却
し、その凝集度を観察し、次の基準で評価した。評価
A、Bであれば、耐ブロッキング性が良好であるとし
た。 ◎:サンプル瓶を逆さにしただけでトナーが分散する。 ○:サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くとトナーが分
散する。 ×:サンプル瓶を逆さにし、4回以上叩くとトナーが分
散する。
【0035】画像安定性 温度を自由に変化させることができ、ローラー速度を1
50mm/秒に設定した複写機を用いて1万枚の印刷を
行い、初期の帯電量および画像濃度と最終の帯電量およ
び画像濃度を、以下の基準で評価した。 ◎:帯電量、画像濃度が安定している。 ○:帯電量に若干の変化はあるが、画像濃度の変化が少
ない。 △:帯電量、画像濃度に変化があるが、添加剤によって
改良可能な範囲である。 ×:帯電量、画像濃度の変化が著しい。
【0036】実施例1〜4 表1に示す仕込み組成の各原料を蒸留塔を備えた反応容
器に投入した。さらに、重合触媒として三酸化アンチモ
ン(アンチモンの仕事関数(φ)=4.31eV)を全
酸成分に対して表1に示す量で添加し、撹拌回転数12
0rpmに保ち、反応系内の温度が265℃となるよう
に昇温し、常圧下で反応系から水が留出が開始してから
エステル化反応を約8時間行い、水の留出がなくなった
時点でエステル化反応を終了させた。その後、反応系内
の温度を250℃まで冷却し(実施例4では230℃ま
で冷却)、さらに反応系内の真空度を約40分かけて約
1.0mmHgとなるまで減圧し、反応系からジオール
成分を留出させながら縮合反応を行った。縮合反応にお
いては、反応系の粘度の上昇とともに真空度を上昇さ
せ、所望の軟化温度に到達した時点で反応系の圧力を常
圧に戻し、透明のポリエステル樹脂を得た。得られた樹
脂の組成分析の結果を表1に、ガラス転移温度、軟化温
度、酸価、分子量分布、重量平均分子量(Mw)および
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の測定
結果を表2に示した。
【0037】得られたポリエステル樹脂92重量部と、
カーボンブラック(三菱化学社製#44)5重量部、ワ
ックス(三洋化成社製660P)2重量部および荷電制
御剤(オリエント社製S−34)1重量部を、ミキサー
を用いて30分間混合した後、インターナルミキサーを
用いて内温をポリエステル樹脂の軟化温度として溶融混
練を30分間行った。次いで、冷却したトナー塊をジッ
トミル微粉砕機を用いて微粉砕を行い、分級機でトナー
粒子の粒径を整え、平均粒径7μmのトナーを得た。得
られたトナーの定着性、非オフセット性、耐ブロッキン
グ性および画像安定性の評価を行い、その結果を表2に
示した。
【0038】実施例5〜9 表1に示す仕込み組成の各原料を用いるとともに、重合
触媒として三酸化アンチモン(アンチモンの仕事関数
(φ)=4.31eV)、テトラチタンエオキシド(チ
タニウムの仕事関数(φ)=4.2eV)、ジブチル錫
オキシド(錫の仕事関数(φ)=3.62eV)を全酸
成分に対して表1に示す量で添加し以外は、実施例1と
同一条件で重合を行い、透明のポリエステル樹脂を得
た。得られた樹脂の組成分析の結果を表1に、ガラス転
移温度、軟化温度、酸価、分子量分布、重量平均分子量
(Mw)および重量平均分子量(Mw)/数平均分子量
(Mn)の測定結果を表2に示した。得られたポリエス
テル樹脂を用いて、実施例1と同一条件でトナー化し、
得られたトナーの定着性、非オフセット性、耐ブロッキ
ング性および画像安定性の評価を行い、その結果を表2
に示した。
【0039】実施例10〜13 表1に示す仕込み組成の各原料を蒸留塔を備えた反応容
器に投入した。さらに、重合触媒として三酸化アンチモ
ン(アンチモンの仕事関数(φ)=4.31eV)、テ
トラチタンエオキシド(チタニウムの仕事関数(φ)=
4.2eV)を全酸成分に対して表1に示す量で添加
し、撹拌回転数120rpmに保ち、反応系内の温度が
265℃となるように昇温し、常圧下で反応系から水が
留出が開始してからエステル化反応を約8時間行い、水
の留出がなくなった時点でエステル化反応を終了させ
た。その後、反応系内の温度を250℃まで冷却し(実
施例4では230℃まで冷却)、さらに反応系内の真空
度を約40分かけて約1.0mmHgとなるまで減圧
し、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応
を行った。その後、所望の軟化温度に到達した時点で反
応系の圧力を常圧に戻し、透明のポリエステル樹脂を得
た。得られた樹脂の組成分析の結果を表1に、ガラス転
移温度、軟化温度、酸価、分子量分布、重量平均分子量
(Mw)および重量平均分子量(Mw)/数平均分子量
(Mn)の測定結果を表2に示した。得られたポリエス
テル樹脂94重量部と、フタロジアニンブルー2重量
部、および荷電制御剤5重量部を用いて、実施例1と同
様の方法でフルカラー用のシアントナーを得た。得られ
たトナーの定着性、耐ブロッキング性および画像安定性
の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】比較例1〜6 表3に示す仕込み組成の各原料を用いるとともに、重合
触媒として三酸化アンチモン(アンチモンの仕事関数
(φ)=4.31eV)、ジブチル錫オキシド(錫の仕
事関数(φ)=3.62eV)、テトラチタンエオキシ
ド(チタニウムの仕事関数(φ)=4.2eV)、酢酸
カルシウム1水和物(カルシウムの仕事関数(φ)=
2.82eV)を全酸成分に対して表3に示す量で添加
し以外は、実施例1と同一条件で重合を行い、透明のポ
リエステル樹脂を得た。得られた樹脂の組成分析の結果
を表3に、ガラス転移温度、軟化温度、酸価、分子量分
布、重量平均分子量(Mw)および重量平均分子量(M
w)/数平均分子量(Mn)の測定結果を表4に示し
た。得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同
一条件でトナー化し、得られたトナーの定着性、非オフ
セット性、耐ブロッキング性および画像安定性の評価を
行い、その結果を表4に示した。
【0043】比較例7〜8 表3に示す仕込み組成の各原料を用いるとともに、重合
触媒として三酸化アンチモン(アンチモンの仕事関数
(φ)=4.31eV)、テトラチタンエオキシド(チ
タニウムの仕事関数(φ)=4.2eV)を全酸成分に
対して表3に示す量で添加し以外は、実施例10と同一
条件で重合を行い、透明のポリエステル樹脂を得た。得
られた樹脂の組成分析の結果を表3に、ガラス転移温
度、軟化温度、酸価、分子量分布、重量平均分子量(M
w)および重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(M
n)の測定結果を表4に示した。得られたポリエステル
樹脂を用いて、実施例10と同一条件でトナー化し、得
られたトナーの定着性、耐ブロッキング性および画像安
定性の評価を行い、その結果を表4に示した。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表中で用いた化合物は次のものを表わす。 TPA :テレフタル酸 TMA :無水トリメリット酸 NDCA :ナフタレンジカルボン酸 EG :エチレングリコール ジオールA:ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン CHDM :シクロヘキサンジメタノール Sb :三酸化アンチモン Ti :テトラチタンエトキシド Sn :ジブチル錫オキシド Ca :酢酸カルシウム1水和物
【0047】
【発明の効果】本発明は、仕事関数(φ)によって規定
される特定の金属元素からなる金属化合物の含有量を特
定量以下としたポリエステル樹脂をトナーのバインダー
樹脂として使用することによって、トナーとしての定着
性、耐ブロッキング性および非オフセット性を損なうこ
となく、画像安定性に優れたトナーを提供することがて
きるものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸を主成分とする酸成分と、
    芳香族ジオールおよび/または脂肪族ジオールを主成分
    とするジオール成分とから構成され、仕事関数が3.4
    eV以上である金属元素からなる化合物が全酸成分に対
    して300ppm以下であるポリエステル樹脂であっ
    て、ガラス転移温度が50〜75℃、軟化温度が80〜
    170℃、酸価が25mgKOH/g以下であることを
    特徴とするトナー用バインダー樹脂。
  2. 【請求項2】 金属元素が、周期律表のIV族またはV
    族で、4または5周期の元素であることを特徴とする請
    求項1記載のトナー用バインダー樹脂。
  3. 【請求項3】 請求項1乃至2記載のポリエステル樹脂
    を主成分とするバインダー樹脂および着色剤を含有する
    ことを特徴とするトナー。
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