JPH10117632A - Pla2受容体遺伝子の機能が欠損したマウス - Google Patents
Pla2受容体遺伝子の機能が欠損したマウスInfo
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- JPH10117632A JPH10117632A JP8273130A JP27313096A JPH10117632A JP H10117632 A JPH10117632 A JP H10117632A JP 8273130 A JP8273130 A JP 8273130A JP 27313096 A JP27313096 A JP 27313096A JP H10117632 A JPH10117632 A JP H10117632A
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- pla
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Abstract
(57)【要約】
【解決課題】ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能が欠
損したマウスを提供する。 【解決手段】 ホスホリパーゼA2受容体遺伝子に他の遺
伝子を挿入することによりホスホリパーゼA2受容体遺伝
子を欠損させる。 【効果】 本発明動物は、ホスホリパーゼA2の関与する
循環器系、呼吸器系、免疫系疾患の病態生理、原因の解
明及び治療法の開発等のために有用である。
損したマウスを提供する。 【解決手段】 ホスホリパーゼA2受容体遺伝子に他の遺
伝子を挿入することによりホスホリパーゼA2受容体遺伝
子を欠損させる。 【効果】 本発明動物は、ホスホリパーゼA2の関与する
循環器系、呼吸器系、免疫系疾患の病態生理、原因の解
明及び治療法の開発等のために有用である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な系統の動物自
体およびその作製方法に関する。本発明動物は、実験、
研究用のマウスであり、ホスホリパーゼA2受容体構造遺
伝子の一部に変異を有し、ホスホリパーゼA2受容体タン
パク質の合成が抑制されている。この特質は、ホスホリ
パーゼA2の関与する循環器系、呼吸器系ならびに免疫系
疾患の病態生理、原因の解明および治療法の開発等の研
究のための実験動物として、極めて有用である。
体およびその作製方法に関する。本発明動物は、実験、
研究用のマウスであり、ホスホリパーゼA2受容体構造遺
伝子の一部に変異を有し、ホスホリパーゼA2受容体タン
パク質の合成が抑制されている。この特質は、ホスホリ
パーゼA2の関与する循環器系、呼吸器系ならびに免疫系
疾患の病態生理、原因の解明および治療法の開発等の研
究のための実験動物として、極めて有用である。
【0002】
【従来の技術】I 型ホスホリパーゼA2(I 型PLA2)は、
膜リン脂質の2位に結合する脂肪酸を遊離する酵素の一
つであり、膵臓に多く存在することから、従来、消化酵
素として位置づけられていた。この酵素が肺、脾臓、精
巣等の消化器系以外の組織にも存在することから、消化
酵素以外の他の機能を有している可能性に注目した本発
明者らは、I 型ホスホリパーゼA2を特異的に認識し結合
する受容体の存在を発見し、I 型ホスホリパーゼA2が受
容体への結合を介して、細胞増殖作用、細胞遊走促進作
用ならびにプロスタノイド産生を伴う肺収縮作用及び脳
血管弛緩作用等を惹起することを明らかにした (Ohara,
O., Ishizaki, J., and Arita, H. Prog.Lipid. Res.
34:117, 1995)。この受容体は、黄体から単離、精製さ
れた分子量18万の糖タンパク質であり、その本体は、19
94年に本発明者らによって明らかにされた(Ishizaki,
J., Hanasaki, K., Higashino, K. et al. J. Biol. Ch
em. 269: 5897, 1994)。
膜リン脂質の2位に結合する脂肪酸を遊離する酵素の一
つであり、膵臓に多く存在することから、従来、消化酵
素として位置づけられていた。この酵素が肺、脾臓、精
巣等の消化器系以外の組織にも存在することから、消化
酵素以外の他の機能を有している可能性に注目した本発
明者らは、I 型ホスホリパーゼA2を特異的に認識し結合
する受容体の存在を発見し、I 型ホスホリパーゼA2が受
容体への結合を介して、細胞増殖作用、細胞遊走促進作
用ならびにプロスタノイド産生を伴う肺収縮作用及び脳
血管弛緩作用等を惹起することを明らかにした (Ohara,
O., Ishizaki, J., and Arita, H. Prog.Lipid. Res.
34:117, 1995)。この受容体は、黄体から単離、精製さ
れた分子量18万の糖タンパク質であり、その本体は、19
94年に本発明者らによって明らかにされた(Ishizaki,
J., Hanasaki, K., Higashino, K. et al. J. Biol. Ch
em. 269: 5897, 1994)。
【0003】ホスホリパーゼA2受容体の組織分布は、
肺、脾臓、腎臓、胃、精巣、子宮、卵巣など多彩であ
る。現在までの薬理実験や生化学的解析などを通して、
ホスホリパーゼA2受容体の生理機能の解明が試みられて
きたが、生体の機能維持にどのように関与しているかは
解明されていない。また、このような生理機能の解明に
必要な、ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能が欠損し
た哺乳動物は知られていない。
肺、脾臓、腎臓、胃、精巣、子宮、卵巣など多彩であ
る。現在までの薬理実験や生化学的解析などを通して、
ホスホリパーゼA2受容体の生理機能の解明が試みられて
きたが、生体の機能維持にどのように関与しているかは
解明されていない。また、このような生理機能の解明に
必要な、ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能が欠損し
た哺乳動物は知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の実情に基づき、
本発明者らはホスホリパーゼA2受容体の遺伝子を欠損し
たマウスを作成して、その生理機能の変化を解析するこ
とによって、ホスホリパーゼA2受容体の生理的な役割を
直接明らかにすることを可能にするとともに、同時に、
ホスホリパーゼA2の関与する種々の病態の解明あるいは
治療法の研究のために、遺伝的背景の明確な動物モデル
を提供しようとするものである。
本発明者らはホスホリパーゼA2受容体の遺伝子を欠損し
たマウスを作成して、その生理機能の変化を解析するこ
とによって、ホスホリパーゼA2受容体の生理的な役割を
直接明らかにすることを可能にするとともに、同時に、
ホスホリパーゼA2の関与する種々の病態の解明あるいは
治療法の研究のために、遺伝的背景の明確な動物モデル
を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、遺伝
子工学的方法でホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)遺伝
子の機能を人為的に欠損させたマウスを提供する。即
ち、本発明は、ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能が
欠損しているマウスに関し、さらに詳しくはホスホリパ
ーゼA2受容体遺伝子のいずれかの部位に他の遺伝子が挿
入されることによりホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機
能が欠損しているマウス、好ましくは前記他の遺伝子が
選択マーカー遺伝子、例えばネオマイシン耐性遺伝子で
あるマウス、また好ましくは前記選択マーカー遺伝子が
ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の第1エキソンに挿入さ
れているマウスに関する。
子工学的方法でホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)遺伝
子の機能を人為的に欠損させたマウスを提供する。即
ち、本発明は、ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能が
欠損しているマウスに関し、さらに詳しくはホスホリパ
ーゼA2受容体遺伝子のいずれかの部位に他の遺伝子が挿
入されることによりホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機
能が欠損しているマウス、好ましくは前記他の遺伝子が
選択マーカー遺伝子、例えばネオマイシン耐性遺伝子で
あるマウス、また好ましくは前記選択マーカー遺伝子が
ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の第1エキソンに挿入さ
れているマウスに関する。
【0006】
【具体的な説明】本発明マウスの作製方法を説明する。 1) マウスホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)遺伝子DNA
の相同組換え用構築物の作製 ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能を人為的に欠損さ
せたマウスを得るためには、マウス由来のホスホリパー
ゼA2受容体遺伝子をクローニングし、ホスホリパーゼA2
受容体の遺伝子に欠損や挿入あるいは他の遺伝子との置
換などの変異を起こした後にマウスにもどす方法が用い
られる。ホスホリパーゼA2受容体遺伝子のクローニング
は、例えばマウス肝臓からジェノミックDNAを抽出し、
常法に従ってDNAライブラリーを作製し、これをすでに
クローニングされているマウスホスホリパーゼA2受容体
をコードするDNA、例えばcDNA (Higashino, K., Ishiza
ki, J., Kishino, J. et al. Eur. J. Biochem. 225: 3
75, 1994)を用いてスクリーニングすればよい。
の相同組換え用構築物の作製 ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能を人為的に欠損さ
せたマウスを得るためには、マウス由来のホスホリパー
ゼA2受容体遺伝子をクローニングし、ホスホリパーゼA2
受容体の遺伝子に欠損や挿入あるいは他の遺伝子との置
換などの変異を起こした後にマウスにもどす方法が用い
られる。ホスホリパーゼA2受容体遺伝子のクローニング
は、例えばマウス肝臓からジェノミックDNAを抽出し、
常法に従ってDNAライブラリーを作製し、これをすでに
クローニングされているマウスホスホリパーゼA2受容体
をコードするDNA、例えばcDNA (Higashino, K., Ishiza
ki, J., Kishino, J. et al. Eur. J. Biochem. 225: 3
75, 1994)を用いてスクリーニングすればよい。
【0007】ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能の欠
損には、ホスホリパーゼA2受容体遺伝子のいずれかの部
位を欠失させればよく、あるいはいずれかの部位に他の
遺伝子を挿入させてもよい。他の遺伝子を挿入させる場
合、ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の欠損を検出するた
めの遺伝子マーカーとしても機能できる他の遺伝子を挿
入することが好ましく、この様な遺伝子としてはネオマ
イシン耐性遺伝子(G418 耐性により選択)、ジフテリア
毒素Aフラグメント遺伝子等が用いられる。これらの遺
伝子の挿入は試験管内で常用のDNA組換技法により行う
ことができる。
損には、ホスホリパーゼA2受容体遺伝子のいずれかの部
位を欠失させればよく、あるいはいずれかの部位に他の
遺伝子を挿入させてもよい。他の遺伝子を挿入させる場
合、ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の欠損を検出するた
めの遺伝子マーカーとしても機能できる他の遺伝子を挿
入することが好ましく、この様な遺伝子としてはネオマ
イシン耐性遺伝子(G418 耐性により選択)、ジフテリア
毒素Aフラグメント遺伝子等が用いられる。これらの遺
伝子の挿入は試験管内で常用のDNA組換技法により行う
ことができる。
【0008】より具体的には、マウスジェノミックDNA
ライブラリーにPLA2R cDNAの部分配列をプローブとして
ハイブリダイズし、陽性クローンを得る。これをベクタ
ーに挿入後、制限酵素で消化して特定のエキソンを含む
ジェノミックDNAをサブクローニングする。次いで、PLA
2R 遺伝子の構造を破壊しかつポジティブ/ネガティブ
セレクションを行うために、ネオマイシン耐性遺伝子お
よびジフテリア毒素Aフラグメント遺伝子を挿入して相
同組換え用構築物を作製する。
ライブラリーにPLA2R cDNAの部分配列をプローブとして
ハイブリダイズし、陽性クローンを得る。これをベクタ
ーに挿入後、制限酵素で消化して特定のエキソンを含む
ジェノミックDNAをサブクローニングする。次いで、PLA
2R 遺伝子の構造を破壊しかつポジティブ/ネガティブ
セレクションを行うために、ネオマイシン耐性遺伝子お
よびジフテリア毒素Aフラグメント遺伝子を挿入して相
同組換え用構築物を作製する。
【0009】2) 相同組換えによる胚性幹細胞でのPL
A2R遺伝子変異 次に、こうして得られた相同組み換え用DNAをマウス胚
性幹細胞 (ES cell) に導入し、ES cell 中のホスホリ
パーゼA2受容体遺伝子と相同組み換えを行う。ES細胞は
株化されたものであり、多分化能を保持し、しかも培養
細胞として維持、継代が可能な細胞である。相同組み換
え用DNAの挿入は、例えば常用のエレクトロポレーショ
ンにより行うことができる。この相同組み換えにおいて
は、胚性幹細胞内のホスホリパーゼA2受容体遺伝子のDN
Aと相同組み換え用DNAの対応する領域との間で組み換え
が生じ、相同組み換え用DNA中に挿入されていたマーカ
ー遺伝子が胚性幹細胞のゲノムホスホリパーゼA2受容体
遺伝子に挿入される。この結果、胚性幹細胞はホスホリ
パーゼA2受容体遺伝子を欠失し、同時にマーカー遺伝子
を得る。このマーカー遺伝子に基づいてホスホリパーゼ
A2受容体遺伝子を欠失した胚性幹細胞を得ることができ
る。より具体的には、相同組換え用構築物を胚性幹細胞
を含むリン酸緩衝生理食塩水 (PBS) に懸濁し、遺伝子
導入を行う。次いで、G418で選択培養を行う。G418耐性
コロニーについては、サザンブロットにより相同組換え
体の確認を行う。
A2R遺伝子変異 次に、こうして得られた相同組み換え用DNAをマウス胚
性幹細胞 (ES cell) に導入し、ES cell 中のホスホリ
パーゼA2受容体遺伝子と相同組み換えを行う。ES細胞は
株化されたものであり、多分化能を保持し、しかも培養
細胞として維持、継代が可能な細胞である。相同組み換
え用DNAの挿入は、例えば常用のエレクトロポレーショ
ンにより行うことができる。この相同組み換えにおいて
は、胚性幹細胞内のホスホリパーゼA2受容体遺伝子のDN
Aと相同組み換え用DNAの対応する領域との間で組み換え
が生じ、相同組み換え用DNA中に挿入されていたマーカ
ー遺伝子が胚性幹細胞のゲノムホスホリパーゼA2受容体
遺伝子に挿入される。この結果、胚性幹細胞はホスホリ
パーゼA2受容体遺伝子を欠失し、同時にマーカー遺伝子
を得る。このマーカー遺伝子に基づいてホスホリパーゼ
A2受容体遺伝子を欠失した胚性幹細胞を得ることができ
る。より具体的には、相同組換え用構築物を胚性幹細胞
を含むリン酸緩衝生理食塩水 (PBS) に懸濁し、遺伝子
導入を行う。次いで、G418で選択培養を行う。G418耐性
コロニーについては、サザンブロットにより相同組換え
体の確認を行う。
【0009】3) PLA2R遺伝子変異胚性幹細胞によるキメ
ラマウスの作製 次に、この胚性幹細胞をマウスの胚盤胞に注入し、さら
に偽妊娠マウスの子宮角に移植して産仔を得る。次に、
こうして得たキメラマウスを適当な系統のマウスと交配
することにより産仔を得る。キメラ動物の生殖細胞が相
同組み換え体(ホスホリパーゼA2受容体遺伝子が破壊さ
れている)に由来すればホスホリパーゼA2受容体遺伝子
が破壊された動物を得ることができる。
ラマウスの作製 次に、この胚性幹細胞をマウスの胚盤胞に注入し、さら
に偽妊娠マウスの子宮角に移植して産仔を得る。次に、
こうして得たキメラマウスを適当な系統のマウスと交配
することにより産仔を得る。キメラ動物の生殖細胞が相
同組み換え体(ホスホリパーゼA2受容体遺伝子が破壊さ
れている)に由来すればホスホリパーゼA2受容体遺伝子
が破壊された動物を得ることができる。
【0010】4) ホモ変異マウスの作製 移植によって得られたキメラ動物を、目的とする系統の
マウスと交配させ産仔を得る。キメラマウスの生殖細胞
が胚性幹細胞に由来しているか、交配マウスの系統に由
来しているかは、得られた産仔の適当な特質によって決
定できる。PLA2R遺伝子のヘテロ変異マウスは、1度以
上の戻し交配により胚性幹細胞由来の染色体の置換を行
った後に、PLA2R遺伝子のヘテロ変異マウス同士を交配
し、産仔のPLA2R遺伝子をサザンブロットによって確認
し、目的物であるPLA2R遺伝子ホモ変異マウス、即ちPLA
2R遺伝子の機能が欠損したマウスを得る。
マウスと交配させ産仔を得る。キメラマウスの生殖細胞
が胚性幹細胞に由来しているか、交配マウスの系統に由
来しているかは、得られた産仔の適当な特質によって決
定できる。PLA2R遺伝子のヘテロ変異マウスは、1度以
上の戻し交配により胚性幹細胞由来の染色体の置換を行
った後に、PLA2R遺伝子のヘテロ変異マウス同士を交配
し、産仔のPLA2R遺伝子をサザンブロットによって確認
し、目的物であるPLA2R遺伝子ホモ変異マウス、即ちPLA
2R遺伝子の機能が欠損したマウスを得る。
【0011】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、これらは本発明の限定を意図するもので
ない。
に説明するが、これらは本発明の限定を意図するもので
ない。
【実施例】実施例1 マウスPLA 2R遺伝子DNAの相同組換え用構築物の作製 129SVJ系マウス肝臓から調製したジェノミックDNAライ
ブラリー (Stratagene)から、マウスPLA2R の開始コド
ンを含む約300bpのcDNAの部分配列をプローブとして用
い(Higashino, K., Ishizaki, J., Kishino, J. et a
l. Eur. J. Biochem. 225: 375, 1994)、マウスPLA2R
遺伝子の第1エキソンを含むジェノミックDNAをサブク
ローンした(図1A)。次いで、PLA2遺伝子の構造を破
壊し、ポジティブ/ネガティブセレクションを行うため
に、ネオマイシン耐性遺伝子およびジフテリア毒素Aフ
ラグメント遺伝子を用いて構築物を作製した(図1
B)。より具体的には、XbaI-NsiI 断片(3.25kbp, 第
1エキソンの5' 側)とMluI-EcoRI断片(3.15kbp, 第1
エキソンの3' 側)を相同領域として用い、ネオマイシ
ン耐性遺伝子とジフテリア毒素Aフラグメント遺伝子を
選択マーカーとして相同組換え用構築物を作製した。相
同組み換えが起こった場合には、マウスPLA2R 第1エキ
ソンを含むNsiI-MluI 領域(1.7kbp)がネオマイシン耐
性遺伝子(1.8kbp)に置き換わることになる(図1
C)。
ブラリー (Stratagene)から、マウスPLA2R の開始コド
ンを含む約300bpのcDNAの部分配列をプローブとして用
い(Higashino, K., Ishizaki, J., Kishino, J. et a
l. Eur. J. Biochem. 225: 375, 1994)、マウスPLA2R
遺伝子の第1エキソンを含むジェノミックDNAをサブク
ローンした(図1A)。次いで、PLA2遺伝子の構造を破
壊し、ポジティブ/ネガティブセレクションを行うため
に、ネオマイシン耐性遺伝子およびジフテリア毒素Aフ
ラグメント遺伝子を用いて構築物を作製した(図1
B)。より具体的には、XbaI-NsiI 断片(3.25kbp, 第
1エキソンの5' 側)とMluI-EcoRI断片(3.15kbp, 第1
エキソンの3' 側)を相同領域として用い、ネオマイシ
ン耐性遺伝子とジフテリア毒素Aフラグメント遺伝子を
選択マーカーとして相同組換え用構築物を作製した。相
同組み換えが起こった場合には、マウスPLA2R 第1エキ
ソンを含むNsiI-MluI 領域(1.7kbp)がネオマイシン耐
性遺伝子(1.8kbp)に置き換わることになる(図1
C)。
【0012】実施例2 相同組換えによるES細胞のPLA 2R遺伝子の変異 1) ES細胞の調製およびその培養方法 実施例1により調製したマウスPLA2R遺伝子DNAの相同組
換え用構築物を導入する細胞としてマウス胚性幹細胞
(ES細胞)129/SVJ系マウス胚盤胞由来のE14株(Hoope
r, M. L. et al. Nature 326:292, 1987)を用いた。ES
細胞の培養には、ダルベッコ改変イーグル培地 (D-MEM,
12800-066 GIBCO) に15% 牛胎児血清 (FCS)、0.1 mMの
2-メルカプトエタノール、核酸混合液、非必須アミノ酸
溶液(Gibco)、L-グルタミン、ペニシリン/ストレプ
トマイシン、および103 units/mlのLIF (AMRAD) を添加
した培養液 (ES培地) を用いた。また、ES細胞のフィー
ダー細胞として用いるマウス胎児線維芽細胞の培養に
は、D-MEMに10% FCS 、L-グルタミンおよびペニシリン
/ストレプトマイシンを添加した培地 (EF培地) を用い
た。マウス胎児線維芽細胞の調製および培養は、以下の
通りに行った。胎齢10 -14日のC57BL/6J系マウスの胎児
を無菌的に採取し、PBSで洗浄後、頭および内臓を除い
た組織をハサミを用いて細切した。次いで、0.05%トリ
プシンおよび0.02%EDTAを含む溶液(TE溶液、Gibco)で
処理して細胞浮遊液を得た。細胞浮遊液はナイロンメッ
シュを通して細胞塊や組織片を除いた後に1500 rpmで5
分間遠心後、上清を除去し、30 mlのEF培地に懸濁し、1
75 mlの培養用フラスコで培養を行った。3 - 4日間隔で
継代を行い、継代が3代目の細胞を以下の様にマイトマ
イシンCで処理し、フィーダー細胞として用いた。コン
フルエント状態に達したマウス胎児線維芽細胞を10μg/
mlのマイトマイシンCで2時間処理し、EF培地で3回洗浄
した後に、TE溶液で処理して細胞を剥離した。次いで、
遠心後、細胞を2-4 x104 cells/cm2 に調製し、ゼラチ
ンでコートしたフラスコ、シャーレあるいはマイクロプ
レート上に分注した。ES細胞の継代は、37℃で5 分間、
TE溶液で処理後、ピペッティングによって単一細胞にま
で分散させ、フィーダー細胞層上に播種することにより
行った。培養液は12時間の間隔で交換した。
換え用構築物を導入する細胞としてマウス胚性幹細胞
(ES細胞)129/SVJ系マウス胚盤胞由来のE14株(Hoope
r, M. L. et al. Nature 326:292, 1987)を用いた。ES
細胞の培養には、ダルベッコ改変イーグル培地 (D-MEM,
12800-066 GIBCO) に15% 牛胎児血清 (FCS)、0.1 mMの
2-メルカプトエタノール、核酸混合液、非必須アミノ酸
溶液(Gibco)、L-グルタミン、ペニシリン/ストレプ
トマイシン、および103 units/mlのLIF (AMRAD) を添加
した培養液 (ES培地) を用いた。また、ES細胞のフィー
ダー細胞として用いるマウス胎児線維芽細胞の培養に
は、D-MEMに10% FCS 、L-グルタミンおよびペニシリン
/ストレプトマイシンを添加した培地 (EF培地) を用い
た。マウス胎児線維芽細胞の調製および培養は、以下の
通りに行った。胎齢10 -14日のC57BL/6J系マウスの胎児
を無菌的に採取し、PBSで洗浄後、頭および内臓を除い
た組織をハサミを用いて細切した。次いで、0.05%トリ
プシンおよび0.02%EDTAを含む溶液(TE溶液、Gibco)で
処理して細胞浮遊液を得た。細胞浮遊液はナイロンメッ
シュを通して細胞塊や組織片を除いた後に1500 rpmで5
分間遠心後、上清を除去し、30 mlのEF培地に懸濁し、1
75 mlの培養用フラスコで培養を行った。3 - 4日間隔で
継代を行い、継代が3代目の細胞を以下の様にマイトマ
イシンCで処理し、フィーダー細胞として用いた。コン
フルエント状態に達したマウス胎児線維芽細胞を10μg/
mlのマイトマイシンCで2時間処理し、EF培地で3回洗浄
した後に、TE溶液で処理して細胞を剥離した。次いで、
遠心後、細胞を2-4 x104 cells/cm2 に調製し、ゼラチ
ンでコートしたフラスコ、シャーレあるいはマイクロプ
レート上に分注した。ES細胞の継代は、37℃で5 分間、
TE溶液で処理後、ピペッティングによって単一細胞にま
で分散させ、フィーダー細胞層上に播種することにより
行った。培養液は12時間の間隔で交換した。
【0013】2) 相同組換えによるES細胞のPLA2R遺伝子
の変異 制限酵素Not I により線状化した相同組換え用構築物 3
0μgをE14株2.3 - 2.5x 106 個を含むPBSに懸濁し、800
V, 3μFの条件でエレクトロポレーション法により遺伝
子導入を行った。導入後、125μg/ml G418 (Genetisin,
Sigma) で選択培養を行った。 G418 耐性コロニーにつ
いては、遺伝子導入約150 時間後から、マイクロピペッ
トを用いて20μlのTE溶液を含む96穴のマイクロプレー
ト (Corning 25850) に移し換え、数分間処理し、さら
にピペッティングにより細胞を分散させた後、200μlの
ES細胞用培地を含む96穴マイクロプレートに移し換え、
培養を継続した。96穴のマイクロプレート上の細胞がコ
ンフルエントになった段階で、TE処理後、順次、24穴の
マイクロプレート (IWAKI 3820-024) に移し換えて培養
し、細胞の増殖を図った。なお、ES細胞の培養は、すべ
てフィーダー細胞上で行った。
の変異 制限酵素Not I により線状化した相同組換え用構築物 3
0μgをE14株2.3 - 2.5x 106 個を含むPBSに懸濁し、800
V, 3μFの条件でエレクトロポレーション法により遺伝
子導入を行った。導入後、125μg/ml G418 (Genetisin,
Sigma) で選択培養を行った。 G418 耐性コロニーにつ
いては、遺伝子導入約150 時間後から、マイクロピペッ
トを用いて20μlのTE溶液を含む96穴のマイクロプレー
ト (Corning 25850) に移し換え、数分間処理し、さら
にピペッティングにより細胞を分散させた後、200μlの
ES細胞用培地を含む96穴マイクロプレートに移し換え、
培養を継続した。96穴のマイクロプレート上の細胞がコ
ンフルエントになった段階で、TE処理後、順次、24穴の
マイクロプレート (IWAKI 3820-024) に移し換えて培養
し、細胞の増殖を図った。なお、ES細胞の培養は、すべ
てフィーダー細胞上で行った。
【0014】3) 相同組み換え体の確認 相同組み換え体の確認は、サザンブロットによって以下
の通りに行った。G418耐性細胞からジェノミックDNA を
抽出し、2種類の制限酵素とプローブを用いて、5' お
よび3' 側の組換えを確認した。5' 側の確認は、ジェノ
ミックDNAを制限酵素BamHIで消化後、BamHI-Xba I断片
(1.12kbp)をプローブとして行った。相同組換え体およ
び野性型の確認はそれぞれ5.7kbpおよび約30kbpのバン
ドの検出により行った。この方法により相同組換え体と
して検出された細胞は、さらに3'側の組み換えについて
確認した。3' 側の確認はジェノミックDNAを制限酵素Xh
oIで消化後、EcoRI-Xho I断片(0.85kbp)をプローブとし
て行った。相同組換え体および野性型の確認はそれぞ
れ、4.5kbpおよび6.1kbpのバンドの検出により行った。
相同組換え体のコロニー数は、G418 耐性コロニー464個
のうち2個であった。
の通りに行った。G418耐性細胞からジェノミックDNA を
抽出し、2種類の制限酵素とプローブを用いて、5' お
よび3' 側の組換えを確認した。5' 側の確認は、ジェノ
ミックDNAを制限酵素BamHIで消化後、BamHI-Xba I断片
(1.12kbp)をプローブとして行った。相同組換え体およ
び野性型の確認はそれぞれ5.7kbpおよび約30kbpのバン
ドの検出により行った。この方法により相同組換え体と
して検出された細胞は、さらに3'側の組み換えについて
確認した。3' 側の確認はジェノミックDNAを制限酵素Xh
oIで消化後、EcoRI-Xho I断片(0.85kbp)をプローブとし
て行った。相同組換え体および野性型の確認はそれぞ
れ、4.5kbpおよび6.1kbpのバンドの検出により行った。
相同組換え体のコロニー数は、G418 耐性コロニー464個
のうち2個であった。
【0015】以上、実施例1および2により作製した相
同組換え体の作製模式図を添付の図1に示す。図1中、
(A) はマウスPLA2R遺伝子を示す。ボックスは第1エキ
ソンを示し、実線はイントロンを示す。ボックス中のAT
Gは開始コドンの位置を示す。下部の太線はサザンブロ
ット解析用の5' 側プローブ(BamHI-Xba I cDNA断片(1.
12kbp))および3' 側プローブ(EcoRI-Xho I cDNA断片
(0.85kbp))を示す。(B) はマウスPLA2R遺伝子相同組換
え用構築物を示す。ネオマイシン耐性遺伝子 (pgk-ne
o)、およびジフテリア毒素Aフラグメント (DT-A) 遺伝
子をボックスで示している。実線は相同領域を示す。
(C) は予想及び観察される相同組換え体を示す。
同組換え体の作製模式図を添付の図1に示す。図1中、
(A) はマウスPLA2R遺伝子を示す。ボックスは第1エキ
ソンを示し、実線はイントロンを示す。ボックス中のAT
Gは開始コドンの位置を示す。下部の太線はサザンブロ
ット解析用の5' 側プローブ(BamHI-Xba I cDNA断片(1.
12kbp))および3' 側プローブ(EcoRI-Xho I cDNA断片
(0.85kbp))を示す。(B) はマウスPLA2R遺伝子相同組換
え用構築物を示す。ネオマイシン耐性遺伝子 (pgk-ne
o)、およびジフテリア毒素Aフラグメント (DT-A) 遺伝
子をボックスで示している。実線は相同領域を示す。
(C) は予想及び観察される相同組換え体を示す。
【0016】実施例3 PLA 2R遺伝子変異ES細胞によるキメラマウスの作製 相同組換えが確認されたPLA2R遺伝子変異ES細胞株(以
下、単にES細胞と称する)をC57BL/6J系マウスの胚盤胞
へ注入した後、偽妊娠マウスの子宮角に移植して産仔を
得た。注入に用いたES細胞は、20時間前に凍結から融解
させ培養を開始したものを用い、TE処理により分散させ
た後、ゼラチンコートした24穴プレートに30分間静置す
ることによりフィーダー細胞をディッシュの底に付着さ
せ、ES細胞のみを回収した。ES細胞は顕微操作に供する
まで、氷上に静置した。ES細胞の注入針は毛細管 (MICR
OCAPS 50μl) を細く引き延ばし、先端を破砕し、鋭く
カットされ、内径がES細胞よりやや小さめのものだけを
用いた。胚の保持針は、上述の方法で引き延ばしたガラ
ス管を切断した後に先端を溶融して用いた。
下、単にES細胞と称する)をC57BL/6J系マウスの胚盤胞
へ注入した後、偽妊娠マウスの子宮角に移植して産仔を
得た。注入に用いたES細胞は、20時間前に凍結から融解
させ培養を開始したものを用い、TE処理により分散させ
た後、ゼラチンコートした24穴プレートに30分間静置す
ることによりフィーダー細胞をディッシュの底に付着さ
せ、ES細胞のみを回収した。ES細胞は顕微操作に供する
まで、氷上に静置した。ES細胞の注入針は毛細管 (MICR
OCAPS 50μl) を細く引き延ばし、先端を破砕し、鋭く
カットされ、内径がES細胞よりやや小さめのものだけを
用いた。胚の保持針は、上述の方法で引き延ばしたガラ
ス管を切断した後に先端を溶融して用いた。
【0017】注入針と保持針は針先を約30度屈曲し、マ
イクロマニピュレーター (NARISIGE) にセットした。顕
微操作に用いたチャンバーは5 cmのシャーレのふたを用
い、その上に10 mM Hepes緩衝化 ES培地を滴下しドロッ
プを形成し、その上面をミネラルオイルで覆った。自然
交配3.5日目に5%FCSを含むPBSで子宮を灌流することに
よって子宮より採取した胚盤胞を、37℃、5% CO2 条件
下、10 mM Hepes緩衝化 ES培地中で1 時間培養した。こ
の拡張した胚盤胞とES細胞をガラス針を用いてドロップ
中に入れ、倒立顕微鏡下でマイクロマニピュレートを行
った。胚盤胞1個につき15 - 20個の相同組み換え体のES
細胞を注入した。操作胚は、1時間の培養後、偽妊娠2.5
日目のICR系受容雌の子宮角に移植した。分娩予定日を2
日過ぎても産仔を娩出しなかった受容雌については、帝
王切開を施し、里親に哺育させた。娩出される産仔は、
胚盤由来のC57BL/6J系細胞とES細胞由来の129SVJ系細胞
からなるキメラであり、そのキメリズムの良し悪しは毛
色で判断される。C57BL/6J系細胞よりなるマウ
スは黒色を呈するが、ES細胞由来の129SVJ系細胞の寄
与率が高いほど一般にキメラマウスは野生色(あるいは
白色)の割合が上がり、毛色は黒色と野生色とのまだら
模様となる。得られた12匹の産仔のうち、毛色でキメラ
マウスと判定できたのは6匹であり、これらはすべて形
態的に雄を示していた。
イクロマニピュレーター (NARISIGE) にセットした。顕
微操作に用いたチャンバーは5 cmのシャーレのふたを用
い、その上に10 mM Hepes緩衝化 ES培地を滴下しドロッ
プを形成し、その上面をミネラルオイルで覆った。自然
交配3.5日目に5%FCSを含むPBSで子宮を灌流することに
よって子宮より採取した胚盤胞を、37℃、5% CO2 条件
下、10 mM Hepes緩衝化 ES培地中で1 時間培養した。こ
の拡張した胚盤胞とES細胞をガラス針を用いてドロップ
中に入れ、倒立顕微鏡下でマイクロマニピュレートを行
った。胚盤胞1個につき15 - 20個の相同組み換え体のES
細胞を注入した。操作胚は、1時間の培養後、偽妊娠2.5
日目のICR系受容雌の子宮角に移植した。分娩予定日を2
日過ぎても産仔を娩出しなかった受容雌については、帝
王切開を施し、里親に哺育させた。娩出される産仔は、
胚盤由来のC57BL/6J系細胞とES細胞由来の129SVJ系細胞
からなるキメラであり、そのキメリズムの良し悪しは毛
色で判断される。C57BL/6J系細胞よりなるマウ
スは黒色を呈するが、ES細胞由来の129SVJ系細胞の寄
与率が高いほど一般にキメラマウスは野生色(あるいは
白色)の割合が上がり、毛色は黒色と野生色とのまだら
模様となる。得られた12匹の産仔のうち、毛色でキメラ
マウスと判定できたのは6匹であり、これらはすべて形
態的に雄を示していた。
【0018】実施例4 ホモ変異マウスの作製 1) キメラマウスの交配 移植によって得られた6匹のキメラマウスのうち、毛色
から判断してES細胞の寄与率の高い5匹をC57BL/6J系マ
ウスと交配させた。娩出される産仔の毛色は、キメラマ
ウスの生殖細胞がES細胞に由来していれば、野性色を呈
し、C57BL/6J系マウスの胚盤胞に由来していれば黒色を
呈する。5例のキメラマウスのうち、4例について野生色
の産仔が得られ、ES細胞の生殖系列への伝達が確認され
た。具体的には、4例のキメラマウスとC57BL/6J系との
交配で、10回の分娩で合計65匹の産仔が得られ、このう
ち18匹が野性色の毛色を示していた。これら野性色の毛
色のマウスについて遺伝子型の解析を行った結果、10例
でPLA2R遺伝子のヘテロ変異を確認した。マウスの遺伝
子型については、2 - 3週令のマウスより採取した尾先
端からDNAを調製し、BamHIで消化後、5'-プローブ(Bam
HI-XbaI断片)を用いてサザンブロットを行って決定し
た。
から判断してES細胞の寄与率の高い5匹をC57BL/6J系マ
ウスと交配させた。娩出される産仔の毛色は、キメラマ
ウスの生殖細胞がES細胞に由来していれば、野性色を呈
し、C57BL/6J系マウスの胚盤胞に由来していれば黒色を
呈する。5例のキメラマウスのうち、4例について野生色
の産仔が得られ、ES細胞の生殖系列への伝達が確認され
た。具体的には、4例のキメラマウスとC57BL/6J系との
交配で、10回の分娩で合計65匹の産仔が得られ、このう
ち18匹が野性色の毛色を示していた。これら野性色の毛
色のマウスについて遺伝子型の解析を行った結果、10例
でPLA2R遺伝子のヘテロ変異を確認した。マウスの遺伝
子型については、2 - 3週令のマウスより採取した尾先
端からDNAを調製し、BamHIで消化後、5'-プローブ(Bam
HI-XbaI断片)を用いてサザンブロットを行って決定し
た。
【0019】b) ホモ変異マウスの作製 雌のPLA2R遺伝子のヘテロ変異マウスは、ES細胞由来の
染色体を置き換える目的で雄のC57BL/6J系マウスと1度
以上戻し交配を行った。戻し交配によって得られた産仔
はサザンブロットによってPLA2R遺伝子の変異を確認し
た。こうして得られたPLA2R遺伝子のヘテロ変異マウス
同士を交配させ、サザンブロットにより産仔のPLA2R遺
伝子の変異を確認し、PLA2R遺伝子のホモ変異マウスを
得た。図2に示すように、野生型マウス(+/+)では、
第1エキソンを含む約30kbのバンドが、またホモ変異マ
ウス(-/-)ではpgk-neoを含む5.7kbのバンドが検出さ
れ、ヘテロ変異マウス(+/-)では両方のバンドが検出
された。
染色体を置き換える目的で雄のC57BL/6J系マウスと1度
以上戻し交配を行った。戻し交配によって得られた産仔
はサザンブロットによってPLA2R遺伝子の変異を確認し
た。こうして得られたPLA2R遺伝子のヘテロ変異マウス
同士を交配させ、サザンブロットにより産仔のPLA2R遺
伝子の変異を確認し、PLA2R遺伝子のホモ変異マウスを
得た。図2に示すように、野生型マウス(+/+)では、
第1エキソンを含む約30kbのバンドが、またホモ変異マ
ウス(-/-)ではpgk-neoを含む5.7kbのバンドが検出さ
れ、ヘテロ変異マウス(+/-)では両方のバンドが検出
された。
【0020】以下に、本発明のマウスについて機能分析
を行った結果を試験例として示す。試験例1 ホスホリパーゼA 2結合活性 雄の野性型マウスおよびPLA2R遺伝子ホモ変異マウス
(5週令)より肺、脾臓、腎臓、胃、精巣を単離後、PH
YSCOTRON(日音医理科器械製作所)を用いてホモジナイ
ズし、超遠心分離により粗膜画分を調製した。各組織の
粗膜画分 (300 -500μgタンパク)を、クロラミンT法
により125I-標識したブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2 (S
igma: 2 nM)と、4℃、2 時間インキュベートし、反応混
合物をWhatman GF/C グラスフィルター上に吸引濾過し
た。PBSで5回洗浄後、ガンマカウンターで放射活性を測
定した。1μM非標識ブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2 存
在下で測定した値を非特異的結合量とし、全結合量から
差し引いた値を特異的結合量として算出した(Hanasak
i,K., and Arita,H. J.Biol.Chem.267:6414,1992)。得
られた結果を図3に示す。図3は、野生型マウス(+/
+)の各組織膜画分で認められた特異的結合活性はPLA2R
遺伝子ホモ変異マウス(-/-)では検出されず、PLA2R遺
伝子の機能が欠損していることを示している。
を行った結果を試験例として示す。試験例1 ホスホリパーゼA 2結合活性 雄の野性型マウスおよびPLA2R遺伝子ホモ変異マウス
(5週令)より肺、脾臓、腎臓、胃、精巣を単離後、PH
YSCOTRON(日音医理科器械製作所)を用いてホモジナイ
ズし、超遠心分離により粗膜画分を調製した。各組織の
粗膜画分 (300 -500μgタンパク)を、クロラミンT法
により125I-標識したブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2 (S
igma: 2 nM)と、4℃、2 時間インキュベートし、反応混
合物をWhatman GF/C グラスフィルター上に吸引濾過し
た。PBSで5回洗浄後、ガンマカウンターで放射活性を測
定した。1μM非標識ブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2 存
在下で測定した値を非特異的結合量とし、全結合量から
差し引いた値を特異的結合量として算出した(Hanasak
i,K., and Arita,H. J.Biol.Chem.267:6414,1992)。得
られた結果を図3に示す。図3は、野生型マウス(+/
+)の各組織膜画分で認められた特異的結合活性はPLA2R
遺伝子ホモ変異マウス(-/-)では検出されず、PLA2R遺
伝子の機能が欠損していることを示している。
【0021】試験例2 ホスホリパーゼA 2受容体タンパク質の発現分析 試験例1にて調製した各組織の粗膜画分を、界面活性剤
NP-40 (1%) を含む可溶化用緩衝液で4℃、1時間インキ
ュベートし、超遠心分離により上清みの可溶性画分を調
製した。この可溶性画分 (900μg 蛋白)に、ウサギ抗
マウスホスホリパーゼA2受容体抗体 (12.5μg IgG;マ
ウスPLA2Rタンパク質をウサギに免疫して調製)を添加
し、4℃、1時間インキュベートした後、プロテインAセ
ファロースゲル(Pharmacia) 20μl を添加しさらに4
℃、1時間インキュベートした。ゲルを可溶化用緩衝液
で5回洗浄後、結合している免疫複合体を5% 2-メルカプ
トエタノールを含むLaemmli試料緩衝液で溶出した。こ
れを、SDS-ポリアクリルアミドゲル(4 - 20%) で電気泳
動後、PVDF膜(ATTO)に電気的に転写し、ビオチン化ウ
サギ抗マウスホスホリパーゼA2受容体抗体を用いてウエ
スタンブロッティングを行い、ECL 検出試薬(Amersham)
を用いてシグナルを検出した。得られた結果を図4に示
す。野生型マウス(+/+)の各組織膜で認められる180kD
のPLA2Rタンパク質は、PLA2R遺伝子遺伝子ホモ変異マウ
ス(-/-)では検出されなかった。
NP-40 (1%) を含む可溶化用緩衝液で4℃、1時間インキ
ュベートし、超遠心分離により上清みの可溶性画分を調
製した。この可溶性画分 (900μg 蛋白)に、ウサギ抗
マウスホスホリパーゼA2受容体抗体 (12.5μg IgG;マ
ウスPLA2Rタンパク質をウサギに免疫して調製)を添加
し、4℃、1時間インキュベートした後、プロテインAセ
ファロースゲル(Pharmacia) 20μl を添加しさらに4
℃、1時間インキュベートした。ゲルを可溶化用緩衝液
で5回洗浄後、結合している免疫複合体を5% 2-メルカプ
トエタノールを含むLaemmli試料緩衝液で溶出した。こ
れを、SDS-ポリアクリルアミドゲル(4 - 20%) で電気泳
動後、PVDF膜(ATTO)に電気的に転写し、ビオチン化ウ
サギ抗マウスホスホリパーゼA2受容体抗体を用いてウエ
スタンブロッティングを行い、ECL 検出試薬(Amersham)
を用いてシグナルを検出した。得られた結果を図4に示
す。野生型マウス(+/+)の各組織膜で認められる180kD
のPLA2Rタンパク質は、PLA2R遺伝子遺伝子ホモ変異マウ
ス(-/-)では検出されなかった。
【0022】
【発明の効果】以上の通り、本発明は、ホスホリパーゼ
A2受容体遺伝子へのネオマイシン耐性遺伝子の挿入によ
ってホスホリパーゼA2受容体遺伝子が破壊されているマ
ウスを提供する。このマウスは、ホスホリパーゼA2の関
与する循環器系、呼吸器系ならびに免疫系疾患の病態生
理、原因の解明および治療法の開発等の研究のための実
験動物として有用である。
A2受容体遺伝子へのネオマイシン耐性遺伝子の挿入によ
ってホスホリパーゼA2受容体遺伝子が破壊されているマ
ウスを提供する。このマウスは、ホスホリパーゼA2の関
与する循環器系、呼吸器系ならびに免疫系疾患の病態生
理、原因の解明および治療法の開発等の研究のための実
験動物として有用である。
【図1】 マウスPLA2R遺伝子、相同組換え用構築物お
よびPLA2R遺伝子の相同組換え体の模式図を示す。
よびPLA2R遺伝子の相同組換え体の模式図を示す。
【図2】 F2世代のマウスより調製したDNAをBamHIで
消化し、5'-側プローブを用いてサザンブロット分析の
結果を示す。右端には、野性型(30Kbp)および変異型(5.
7Kbp)の位置を示している。
消化し、5'-側プローブを用いてサザンブロット分析の
結果を示す。右端には、野性型(30Kbp)および変異型(5.
7Kbp)の位置を示している。
【図3】 野性型ならびにPLA2Rホモ変異マウスの各組
織における125I-標識ブタ膵臓ホスホリパーゼA2特異的
結合活性を示す。
織における125I-標識ブタ膵臓ホスホリパーゼA2特異的
結合活性を示す。
【図4】 野性型ならびにPLA2Rホモ変異マウスの各組
織膜画分におけるホスホリパーゼA2受容体タンパク質の
発現を示す。右端STDは、可溶性PLA2レセプター精製標
品である。
織膜画分におけるホスホリパーゼA2受容体タンパク質の
発現を示す。右端STDは、可溶性PLA2レセプター精製標
品である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 15/09 C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91)
Claims (4)
- 【請求項1】 ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の機能が
欠損しているマウス。 - 【請求項2】 ホスホリパーゼA2受容体遺伝子のいずれ
かの部位に他の遺伝子が挿入されることによりホスホリ
パーゼA2受容体遺伝子の機能が欠損している請求項1に
記載のマウス。 - 【請求項3】 前記他の遺伝子が選択マーカー遺伝子で
ある請求項2に記載のマウス。 - 【請求項4】 ホスホリパーゼA2受容体遺伝子の第1エ
キソンに選択マーカー遺伝子が挿入されている、請求項
1から3までのいずれかに記載のマウス。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8273130A JPH10117632A (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | Pla2受容体遺伝子の機能が欠損したマウス |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8273130A JPH10117632A (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | Pla2受容体遺伝子の機能が欠損したマウス |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10117632A true JPH10117632A (ja) | 1998-05-12 |
Family
ID=17523550
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8273130A Withdrawn JPH10117632A (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | Pla2受容体遺伝子の機能が欠損したマウス |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10117632A (ja) |
-
1996
- 1996-10-16 JP JP8273130A patent/JPH10117632A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20060828 |