JPH10121180A - 水素吸蔵合金およびその製造方法 - Google Patents
水素吸蔵合金およびその製造方法Info
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- JPH10121180A JPH10121180A JP27343896A JP27343896A JPH10121180A JP H10121180 A JPH10121180 A JP H10121180A JP 27343896 A JP27343896 A JP 27343896A JP 27343896 A JP27343896 A JP 27343896A JP H10121180 A JPH10121180 A JP H10121180A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、水素吸蔵合金に関し、特に高価な
V等の合金元素を使用することなく、かつ従来のBCC
型水素吸蔵合金と同レベルの水素吸放出能を有する製造
コスト的に有利な水素吸蔵合金およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 組成が、一般式Ti100-a-b Cr
a Xb 、但し、XはMo,Wの少なくとも1種で、式中
a,bは原子%表示で、40≦a≦70,0<b≦20
で表され、かつ結晶立方構造が体心構造(BCC型)で
あることを特徴とし、前記合金を、溶解・鋳造後、前記
インゴットを1200〜1400℃(ただし、TiCr
2 単相領域を除く)の温度で1〜5時間保持し、その後
急冷処理をすることによって、結晶構造が常温で体心立
方構造(BCC型)を有するようになすことを特徴とす
る。
V等の合金元素を使用することなく、かつ従来のBCC
型水素吸蔵合金と同レベルの水素吸放出能を有する製造
コスト的に有利な水素吸蔵合金およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 組成が、一般式Ti100-a-b Cr
a Xb 、但し、XはMo,Wの少なくとも1種で、式中
a,bは原子%表示で、40≦a≦70,0<b≦20
で表され、かつ結晶立方構造が体心構造(BCC型)で
あることを特徴とし、前記合金を、溶解・鋳造後、前記
インゴットを1200〜1400℃(ただし、TiCr
2 単相領域を除く)の温度で1〜5時間保持し、その後
急冷処理をすることによって、結晶構造が常温で体心立
方構造(BCC型)を有するようになすことを特徴とす
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金に関
し、特に高価なV等の合金元素を使用することなく、か
つ従来のBCC型水素吸蔵合金と同レベルの水素吸放出
能を有し、製造コスト的に有利な水素吸蔵合金およびそ
の製造方法に関する。
し、特に高価なV等の合金元素を使用することなく、か
つ従来のBCC型水素吸蔵合金と同レベルの水素吸放出
能を有し、製造コスト的に有利な水素吸蔵合金およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素の貯蔵・輸送手段として、水素吸蔵
合金は、合金自身の体積の約1000倍以上の水素ガス
を吸蔵し貯蔵することが可能であり、その体積密度は、
液体あるいは固体水素とほぼ同等かあるいはそれ以上で
ある。この水素吸蔵材料として、V,Nb,TaやTi
VMn系、TiVCr系合金などの体心立方構造(以下
BCCと呼称する)の金属は、すでに実用化されている
LaNi5 などのAB5型合金やTiMn2 などのAB
2 型合金に比べ、大量の水素を吸蔵することが古くから
知られていた。これは、BCC構造では、その結晶格子
中の水素吸蔵サイトが多く、計算による水素吸蔵量がH
/M=2.0(原子量50程度のTiやVなど合金では
約4.0wt%)と極めて大きいためである。
合金は、合金自身の体積の約1000倍以上の水素ガス
を吸蔵し貯蔵することが可能であり、その体積密度は、
液体あるいは固体水素とほぼ同等かあるいはそれ以上で
ある。この水素吸蔵材料として、V,Nb,TaやTi
VMn系、TiVCr系合金などの体心立方構造(以下
BCCと呼称する)の金属は、すでに実用化されている
LaNi5 などのAB5型合金やTiMn2 などのAB
2 型合金に比べ、大量の水素を吸蔵することが古くから
知られていた。これは、BCC構造では、その結晶格子
中の水素吸蔵サイトが多く、計算による水素吸蔵量がH
/M=2.0(原子量50程度のTiやVなど合金では
約4.0wt%)と極めて大きいためである。
【0003】また、純バナジウム合金においては、結晶
構造から計算された値とほぼ同じ約4.0wt%を吸蔵
し、その約半分を常温常圧下で放出する。同じ周期表の
5A族の元素のNbやTaにおいても同様に大きな水素
吸蔵量と良好な水素放出特性を示すことが知られてい
る。しかし、V,Nb,Taなどの純金属では、コスト
が非常に高いため、水素タンクやNi−MH電池などあ
る程度の合金量を必要とする工業的な応用では、Ti−
VなどのBCC構造を有する成分範囲の合金において、
その特性が検討されてきた。一方、このようなTiを含
むBCC型水素吸蔵合金は、高容量であるがいずれも高
価なVを含むので、これに対してVを含むことなくかつ
同等レベルの容量を有する水素吸蔵合金は、電気自動車
(EV)用水素タンクなどの高容量な水素吸蔵合金を必
要とするアプリケーションにおいて、画期的なコストメ
リットが期待できる。
構造から計算された値とほぼ同じ約4.0wt%を吸蔵
し、その約半分を常温常圧下で放出する。同じ周期表の
5A族の元素のNbやTaにおいても同様に大きな水素
吸蔵量と良好な水素放出特性を示すことが知られてい
る。しかし、V,Nb,Taなどの純金属では、コスト
が非常に高いため、水素タンクやNi−MH電池などあ
る程度の合金量を必要とする工業的な応用では、Ti−
VなどのBCC構造を有する成分範囲の合金において、
その特性が検討されてきた。一方、このようなTiを含
むBCC型水素吸蔵合金は、高容量であるがいずれも高
価なVを含むので、これに対してVを含むことなくかつ
同等レベルの容量を有する水素吸蔵合金は、電気自動車
(EV)用水素タンクなどの高容量な水素吸蔵合金を必
要とするアプリケーションにおいて、画期的なコストメ
リットが期待できる。
【0004】また、VはNi−MH電池中の電解液に溶
出するが、これを含まない合金では、Ni−MH電池の
負極材への適用も期待できる。この分野の公知技術とし
て、特開平4−210446号公報には、比較的安い材
料費で水素吸蔵量を増大し、さらに反応速度を大きくす
ることを目的に、TiCrMo系およびTiCrMoF
e系において、高純度Arガス雰囲気下でアーク溶解
し、−40℃での水素吸放出量、さらに吸蔵・放出の効
率、および反応速度を改善できることが開示されてい
る。また、特開昭61−176067号公報には、Ti
−Cr合金にアルカリ土類金属等から選ばれる一種の元
素を添加して、充放電によるサイクル寿命の長い水素吸
蔵電極を提供するための水素吸蔵合金が開示されてい
る。
出するが、これを含まない合金では、Ni−MH電池の
負極材への適用も期待できる。この分野の公知技術とし
て、特開平4−210446号公報には、比較的安い材
料費で水素吸蔵量を増大し、さらに反応速度を大きくす
ることを目的に、TiCrMo系およびTiCrMoF
e系において、高純度Arガス雰囲気下でアーク溶解
し、−40℃での水素吸放出量、さらに吸蔵・放出の効
率、および反応速度を改善できることが開示されてい
る。また、特開昭61−176067号公報には、Ti
−Cr合金にアルカリ土類金属等から選ばれる一種の元
素を添加して、充放電によるサイクル寿命の長い水素吸
蔵電極を提供するための水素吸蔵合金が開示されてい
る。
【0005】しかし、これらのBCC合金では、V系に
おいて問題とされている反応速度が遅い、活性化が困難
という点に加えて、実用的な温度・圧力では吸蔵するの
みで放出量は少ない等の新しい問題点も生じている。こ
の結果、BCC相を主たる構成相とする合金は、いまだ
実用には至っていない。さらに、V等の高価な合金元素
を含有せず、かつ水素吸放出特性が優れた合金の開発が
望まれている。
おいて問題とされている反応速度が遅い、活性化が困難
という点に加えて、実用的な温度・圧力では吸蔵するの
みで放出量は少ない等の新しい問題点も生じている。こ
の結果、BCC相を主たる構成相とする合金は、いまだ
実用には至っていない。さらに、V等の高価な合金元素
を含有せず、かつ水素吸放出特性が優れた合金の開発が
望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のBCC型水素吸蔵合金のTi−V−Mn系、Ti−V
−Cr系合金におけるVをMoおよび/またはWで置換
することを検討し、高容量で安価な水素吸蔵合金を提供
する。また、本発明の他の目的は、前記製造コスト的に
有利で水素吸放出特性が優れた合金により、水素タンク
やNi−MH電池用として工業的規模に適用可能とする
水素吸放出特性を有する水素吸蔵合金を提供する。ま
た、本発明の別の目的は、上記の新規BCC合金によっ
て、低コストで工業的規模における製造を可能とするた
めの最適な製造工程を熱処理方法で達成する。
のBCC型水素吸蔵合金のTi−V−Mn系、Ti−V
−Cr系合金におけるVをMoおよび/またはWで置換
することを検討し、高容量で安価な水素吸蔵合金を提供
する。また、本発明の他の目的は、前記製造コスト的に
有利で水素吸放出特性が優れた合金により、水素タンク
やNi−MH電池用として工業的規模に適用可能とする
水素吸放出特性を有する水素吸蔵合金を提供する。ま
た、本発明の別の目的は、上記の新規BCC合金によっ
て、低コストで工業的規模における製造を可能とするた
めの最適な製造工程を熱処理方法で達成する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、組成が、
一般式Ti100-a-b Cra Xb 、但し、XはMo,Wの
少なくとも1種で、式中a,bは原子%表示で、40≦
a≦70,0<b≦20で表され、かつ結晶構造が体心
立方構造(BCC型)であることを特徴とする水素吸蔵
合金によって達成される。また、上記の目的は、前記合
金を、溶解・鋳造後、前記インゴットを1200〜14
00℃(ただし、TiCr2 単相領域を除く)の温度で
1〜5時間保持し、その後急冷処理をすることによっ
て、結晶構造が常温で体心立方構造(BCC型)を有す
るようになすことを特徴とする水素吸蔵合金の製造方法
によっても達成される。
一般式Ti100-a-b Cra Xb 、但し、XはMo,Wの
少なくとも1種で、式中a,bは原子%表示で、40≦
a≦70,0<b≦20で表され、かつ結晶構造が体心
立方構造(BCC型)であることを特徴とする水素吸蔵
合金によって達成される。また、上記の目的は、前記合
金を、溶解・鋳造後、前記インゴットを1200〜14
00℃(ただし、TiCr2 単相領域を除く)の温度で
1〜5時間保持し、その後急冷処理をすることによっ
て、結晶構造が常温で体心立方構造(BCC型)を有す
るようになすことを特徴とする水素吸蔵合金の製造方法
によっても達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の合金の例として、Ti−
Cr−Mo系合金での範囲を、図1に示す。この三元状
態図では、Ti−Cr系のTiCr2 であるラーベス相
の単相領域が存在し、本発明はこの範囲を回避し結晶構
造がBCCからなる範囲とするものである。すなわち、
図1の点A(Ti30Cr70)、B(Ti10Cr70X20) 、C(Ti40Cr
40X20)、およびD(Ti60Cr40)からなる線分で囲まれた範
囲内で、ただし、AD以外の線分上を含む組成とするも
のである。
Cr−Mo系合金での範囲を、図1に示す。この三元状
態図では、Ti−Cr系のTiCr2 であるラーベス相
の単相領域が存在し、本発明はこの範囲を回避し結晶構
造がBCCからなる範囲とするものである。すなわち、
図1の点A(Ti30Cr70)、B(Ti10Cr70X20) 、C(Ti40Cr
40X20)、およびD(Ti60Cr40)からなる線分で囲まれた範
囲内で、ただし、AD以外の線分上を含む組成とするも
のである。
【0009】一方、これまでの本発明者等の知見では、
BCC合金のなかでも、その内部でスピノーダル分解に
より、ナノオーダの微細な二相に規則的に分解した合金
では、水素放出特性が著しく改善される。本三元系合金
の基本となる二元系状態図で、特にTi−Cr系,Cr
−Mo系およびCr−W系では、二相分離の領域が存在
することがわかる。一例として図6に、Ti−Cr系の
二元の状態図を示す。この図では、TiCr2 の1370℃
と共析点を結ぶ二相分離の固相線があり、これ以上の温
度では、均一BCC相である。このような状態図におい
ては、スピノーダル分解により形成され特定の結晶方位
に成長した格子定数の異なる二相が、1.0nmから10
0nmの間隔で周期的構造を有することになる。
BCC合金のなかでも、その内部でスピノーダル分解に
より、ナノオーダの微細な二相に規則的に分解した合金
では、水素放出特性が著しく改善される。本三元系合金
の基本となる二元系状態図で、特にTi−Cr系,Cr
−Mo系およびCr−W系では、二相分離の領域が存在
することがわかる。一例として図6に、Ti−Cr系の
二元の状態図を示す。この図では、TiCr2 の1370℃
と共析点を結ぶ二相分離の固相線があり、これ以上の温
度では、均一BCC相である。このような状態図におい
ては、スピノーダル分解により形成され特定の結晶方位
に成長した格子定数の異なる二相が、1.0nmから10
0nmの間隔で周期的構造を有することになる。
【0010】この規則的なナノオーダ周期構造により、
BCC合金が構造的に持つ大きな水素吸蔵量を、実用的
な温度と圧力域で放出させ、かつ活性化条件を緩和し、
反応速度を改善することができる。一方、本発明の合金
系におけるBCC均一相の存在領域をより具体的に示し
たのが、図5のTiCr2 と第三元素としてのMoおよ
び/またはWをXとした擬二元系状態図である。この図
で本発明の熱処理温度は斜線で表示される部分、すなわ
ち、前記TiCr2 単相領域を除外して、BCCを均一
に室温まで持ち来ることが可能なる範囲とするものであ
る。
BCC合金が構造的に持つ大きな水素吸蔵量を、実用的
な温度と圧力域で放出させ、かつ活性化条件を緩和し、
反応速度を改善することができる。一方、本発明の合金
系におけるBCC均一相の存在領域をより具体的に示し
たのが、図5のTiCr2 と第三元素としてのMoおよ
び/またはWをXとした擬二元系状態図である。この図
で本発明の熱処理温度は斜線で表示される部分、すなわ
ち、前記TiCr2 単相領域を除外して、BCCを均一
に室温まで持ち来ることが可能なる範囲とするものであ
る。
【0011】以上のように、本発明は、高価なVを用い
ることなく、従来のBCC型水素吸蔵合金と同レベルの
水素吸放出能を有する合金を提供可能とする。さらに、
製造工程の最適化による低コスト化も可能とする。次
に、本発明の合金組成および熱処理条件について説明す
る。本発明の合金組成は、Ti,Crと、Moおよび/
またはWを成分とするので、従来のV等を使用した水素
吸蔵合金に比較して、コストを低減しかつV等をMoお
よび/またはWで置換した成分であり、状態図における
溶体化処理範囲を拡大し、そのため相分離が十分に起こ
り、二相状態で水素吸放出特性に優れた合金が得られ
る。以下、本発明の成分限定理由について説明する。一
般式Ti100-a-b Cra X b 、但し、XはMoおよび/
またはW、式中a,bは原子%表示で、40≦a≦7
0,0<b≦20で表される。前記組成範囲はBCC相
の均一化と、熱処理による合金中の二相分離状態での結
晶構造の歪みを最適化し、水素吸蔵合金としての水素の
移動度を促進可能とする微細組織にできる最適なる組成
といえる。
ることなく、従来のBCC型水素吸蔵合金と同レベルの
水素吸放出能を有する合金を提供可能とする。さらに、
製造工程の最適化による低コスト化も可能とする。次
に、本発明の合金組成および熱処理条件について説明す
る。本発明の合金組成は、Ti,Crと、Moおよび/
またはWを成分とするので、従来のV等を使用した水素
吸蔵合金に比較して、コストを低減しかつV等をMoお
よび/またはWで置換した成分であり、状態図における
溶体化処理範囲を拡大し、そのため相分離が十分に起こ
り、二相状態で水素吸放出特性に優れた合金が得られ
る。以下、本発明の成分限定理由について説明する。一
般式Ti100-a-b Cra X b 、但し、XはMoおよび/
またはW、式中a,bは原子%表示で、40≦a≦7
0,0<b≦20で表される。前記組成範囲はBCC相
の均一化と、熱処理による合金中の二相分離状態での結
晶構造の歪みを最適化し、水素吸蔵合金としての水素の
移動度を促進可能とする微細組織にできる最適なる組成
といえる。
【0012】すなわち、Crが40at%未満では、水
素吸蔵合金の水素吸放出特性(圧力組成等温線:PCT
線図)における平衡圧力が低く、吸蔵した水素を再び常
温で取り出すことが困難となる。また、Crが70at
%超では、前記平衡圧力が高11常温での水素吸蔵量が
少ない。さらに、Moおよび/またはWが、0at%で
は熱処理を施しても合金がBCC化されない。また、2
0at%超では水素吸蔵量が低下するため実用的でなく
なる。このため上記の組成範囲に限定した。Moおよび
/またはWの好ましい範囲は5%以上20%以下であ
る。また、Crの好ましい範囲は50%以上70%以下
である。
素吸蔵合金の水素吸放出特性(圧力組成等温線:PCT
線図)における平衡圧力が低く、吸蔵した水素を再び常
温で取り出すことが困難となる。また、Crが70at
%超では、前記平衡圧力が高11常温での水素吸蔵量が
少ない。さらに、Moおよび/またはWが、0at%で
は熱処理を施しても合金がBCC化されない。また、2
0at%超では水素吸蔵量が低下するため実用的でなく
なる。このため上記の組成範囲に限定した。Moおよび
/またはWの好ましい範囲は5%以上20%以下であ
る。また、Crの好ましい範囲は50%以上70%以下
である。
【0013】本発明では、前記合金をBCC相が均一に
出現し、水素吸放出量を最大とするように、製造方法と
しての熱処理条件を規定した。すなわち、母合金を溶解
・鋳造後、前記インゴットを、1200〜1400℃
(ただし、TiCr2 単相領域を除く)の温度で1〜5
時間保持し、その後油中または氷水中にて急冷処理する
ことによって、合金をBCC化することを特徴とする。
すなわち、本発明の熱処理条件としては、上記の組成範
囲の合金においては、水素吸蔵量の高容量なBCC相が
1200℃以上においてのみ安定に存在することにな
る。一方、誘導加熱法、アーク溶解法などにより溶融さ
れた合金は、通常冷却時に1200℃以下でより安定な
C14ラーベス相へと変態する。このため、上記組成に
てBCC相を形成するためには、高温安定なBCC相を
常温まで凍結する必要がある。
出現し、水素吸放出量を最大とするように、製造方法と
しての熱処理条件を規定した。すなわち、母合金を溶解
・鋳造後、前記インゴットを、1200〜1400℃
(ただし、TiCr2 単相領域を除く)の温度で1〜5
時間保持し、その後油中または氷水中にて急冷処理する
ことによって、合金をBCC化することを特徴とする。
すなわち、本発明の熱処理条件としては、上記の組成範
囲の合金においては、水素吸蔵量の高容量なBCC相が
1200℃以上においてのみ安定に存在することにな
る。一方、誘導加熱法、アーク溶解法などにより溶融さ
れた合金は、通常冷却時に1200℃以下でより安定な
C14ラーベス相へと変態する。このため、上記組成に
てBCC相を形成するためには、高温安定なBCC相を
常温まで凍結する必要がある。
【0014】
【実施例】本発明の実施例として水素吸蔵合金の試料を
次のように作成した。組成は本発明の範囲、すなわち図
1(a)のABCD内の組成範囲として、図1(b)に
示すTi27Cr66Mo7 、Ti30Cr63Mo7 、Ti33Cr60M
o7 、Ti36Cr57Mo7 、Ti39Cr54Mo7 に成分調整し
た。試料は、全て水冷銅ハースを用いたアルゴン中アー
ク溶解で約20gのインゴットで行った。本実施例のデ
ータはすべて鋳造後1400℃で2時間加熱した後水冷
する熱処理を行って組織をBCCとし、このインゴット
を空気中で粉砕し、活性化処理として、60℃、10-4
torr真空引き+50atm 水素加圧を4サイクル繰返し行
った後、合金の水素吸蔵量と水素吸放出特性は、容積法
による圧力組成等温線測定法(JIS H7201)に
規定されている真空原点法で行ったものである。
次のように作成した。組成は本発明の範囲、すなわち図
1(a)のABCD内の組成範囲として、図1(b)に
示すTi27Cr66Mo7 、Ti30Cr63Mo7 、Ti33Cr60M
o7 、Ti36Cr57Mo7 、Ti39Cr54Mo7 に成分調整し
た。試料は、全て水冷銅ハースを用いたアルゴン中アー
ク溶解で約20gのインゴットで行った。本実施例のデ
ータはすべて鋳造後1400℃で2時間加熱した後水冷
する熱処理を行って組織をBCCとし、このインゴット
を空気中で粉砕し、活性化処理として、60℃、10-4
torr真空引き+50atm 水素加圧を4サイクル繰返し行
った後、合金の水素吸蔵量と水素吸放出特性は、容積法
による圧力組成等温線測定法(JIS H7201)に
規定されている真空原点法で行ったものである。
【0015】また、合金の構造解析は、透過電子顕微鏡
と付属のEDX(エネルギー分散型X線回折)を用いて
行った。さらに透過電子顕微鏡で得られた情報をもとに
結晶構造モデルを作成し、粉末X線回折データのリート
ベルト解析を行った。リートベルト解析は通常のX線回
折法とは異なり、回折強度を用いて結晶構造パラメータ
を精密化できるとともに、各相の重量分率を計算により
求めることが可能である。リートベルト解析には、無機
材質研究所泉博士の開発した解析ソフトRIETAN9
4を用いた。
と付属のEDX(エネルギー分散型X線回折)を用いて
行った。さらに透過電子顕微鏡で得られた情報をもとに
結晶構造モデルを作成し、粉末X線回折データのリート
ベルト解析を行った。リートベルト解析は通常のX線回
折法とは異なり、回折強度を用いて結晶構造パラメータ
を精密化できるとともに、各相の重量分率を計算により
求めることが可能である。リートベルト解析には、無機
材質研究所泉博士の開発した解析ソフトRIETAN9
4を用いた。
【0016】図2は本実施例の前記〜の試料につい
ての0℃での水素吸蔵および放出過程を示す図である。
この図で、Ti27Cr66Mo7 およびTi30Cr63Mo7 は水素
吸蔵量が小さく殆ど放出しない。Ti33Cr60Mo7 および
Ti36Cr57Mo7 では、水素吸蔵量が改善され、Ti33Cr
60Mo7 のプラト平衡圧はほぼ1MPa に近く、Ti36Cr 57
Mo7 では1MPa 以下で、吸蔵・放出とも最大の値を示
し、プラト平坦性においても良好な値を示している。ま
た、Ti39Cr54Mo7 については、水素吸蔵量は小さく、
殆ど放出しない傾向を示している。図3に前記Ti39Cr
54Mo7 について、0℃および40℃での水素吸蔵特性を
示す。本成分においては40℃において、水素吸蔵量お
よび放出量ともに改善され、かつプラト圧における平坦
性もかなり良好な結果であって、本成分系は実用上有望
であることが分かった。
ての0℃での水素吸蔵および放出過程を示す図である。
この図で、Ti27Cr66Mo7 およびTi30Cr63Mo7 は水素
吸蔵量が小さく殆ど放出しない。Ti33Cr60Mo7 および
Ti36Cr57Mo7 では、水素吸蔵量が改善され、Ti33Cr
60Mo7 のプラト平衡圧はほぼ1MPa に近く、Ti36Cr 57
Mo7 では1MPa 以下で、吸蔵・放出とも最大の値を示
し、プラト平坦性においても良好な値を示している。ま
た、Ti39Cr54Mo7 については、水素吸蔵量は小さく、
殆ど放出しない傾向を示している。図3に前記Ti39Cr
54Mo7 について、0℃および40℃での水素吸蔵特性を
示す。本成分においては40℃において、水素吸蔵量お
よび放出量ともに改善され、かつプラト圧における平坦
性もかなり良好な結果であって、本成分系は実用上有望
であることが分かった。
【0017】圧力組成等温線の平坦な領域の圧力(プラ
ト平衡圧)は、図8(a)および(b)のようにTi/Cr
の組成比により変化する。この図はTi−Cr−Mo系のMoを
7at%に固定して、TiとCrの量を変化させたものであ
る。本発明では、水素タンクやヒートポンプなどのアプ
リケーションの使用環境として考えられる−40℃で1
0MPa以下の吸蔵圧を示す合金組成、および100℃
で0.01MPa 以上の放出圧を示す合金組成を請求範囲
とした。
ト平衡圧)は、図8(a)および(b)のようにTi/Cr
の組成比により変化する。この図はTi−Cr−Mo系のMoを
7at%に固定して、TiとCrの量を変化させたものであ
る。本発明では、水素タンクやヒートポンプなどのアプ
リケーションの使用環境として考えられる−40℃で1
0MPa以下の吸蔵圧を示す合金組成、および100℃
で0.01MPa 以上の放出圧を示す合金組成を請求範囲
とした。
【0018】また、図4に、Ti41Cr56W3について、前記
と同様にアーク溶解後、1400℃で2時間保持後、水
焼入れの熱処理を施したサンプルの水素吸蔵および放出
過程(PCT特性)を示す。この図で、40℃での最大
水素吸蔵量は約2.3Wt%、0℃で約2.4Wt%の良好
な値を示し、放出特性においても40℃では、プラト圧
における平坦性もかなり良好な結果を示している。図3
および図4は略同一の水素吸蔵特性であって、このこと
から、WではMoに比較して原子量が約2倍であること
から、添加量が少なくてもBCC化効果が十分に得られ
ることによるものと考えられる。表1に本発明材と比較
材の水素吸放出能の比較を示す。
と同様にアーク溶解後、1400℃で2時間保持後、水
焼入れの熱処理を施したサンプルの水素吸蔵および放出
過程(PCT特性)を示す。この図で、40℃での最大
水素吸蔵量は約2.3Wt%、0℃で約2.4Wt%の良好
な値を示し、放出特性においても40℃では、プラト圧
における平坦性もかなり良好な結果を示している。図3
および図4は略同一の水素吸蔵特性であって、このこと
から、WではMoに比較して原子量が約2倍であること
から、添加量が少なくてもBCC化効果が十分に得られ
ることによるものと考えられる。表1に本発明材と比較
材の水素吸放出能の比較を示す。
【0019】
【表1】
【0020】この表より、本発明のTi33Cr60Mo7 では、
水素吸蔵量が598cc/gで、放出量は598cc/
gで、Ti36Cr57Mo7 では、水素吸蔵量が674cc/g
で、放出量は502cc/gと良好な値を示している。
一方、比較材のTi20Cr73Mo7では、水素吸蔵量が146
cc/gで、放出量は40cc/gと前記本発明材に比
較してかなり小さな値を示している。本発明材は明らか
にラーベス合金より有効水素移動量が多く、水素吸放出
特性に優れ、その特性値は従来のVを含むBCC合金と
同レベルである。また、表2に組成Ti36Cr57Mo7 につ
いて、母合金と熱処理後のXRDによるBCCとラーベ
ス相との相分率を比較で示す。
水素吸蔵量が598cc/gで、放出量は598cc/
gで、Ti36Cr57Mo7 では、水素吸蔵量が674cc/g
で、放出量は502cc/gと良好な値を示している。
一方、比較材のTi20Cr73Mo7では、水素吸蔵量が146
cc/gで、放出量は40cc/gと前記本発明材に比
較してかなり小さな値を示している。本発明材は明らか
にラーベス合金より有効水素移動量が多く、水素吸放出
特性に優れ、その特性値は従来のVを含むBCC合金と
同レベルである。また、表2に組成Ti36Cr57Mo7 につ
いて、母合金と熱処理後のXRDによるBCCとラーベ
ス相との相分率を比較で示す。
【0021】図7(a)および(b)に、Ti41Cr56W3に
ついてのXRD(Cu電極、出力48kv)のX線相対
強度と回折角度のチャートを示す。(a)図は、アーク
溶解直後のサンプルで、(b)図は、熱処理材(140
0℃→水冷)についての結果である。アーク溶解直後で
はラーベス相とその他相が存在していたが、熱処理によ
りBCC均一単相になっていることが分かる。
ついてのXRD(Cu電極、出力48kv)のX線相対
強度と回折角度のチャートを示す。(a)図は、アーク
溶解直後のサンプルで、(b)図は、熱処理材(140
0℃→水冷)についての結果である。アーク溶解直後で
はラーベス相とその他相が存在していたが、熱処理によ
りBCC均一単相になっていることが分かる。
【0022】
【表2】
【0023】これより、母合金がラーベス単相であるの
に対し、熱処理された合金は顕著にBCC化しているの
が分かる。
に対し、熱処理された合金は顕著にBCC化しているの
が分かる。
【0024】
【発明の効果】本発明によって、高価なV等を含むこと
なく、かつ水素吸放出特性が従来のV等を含む合金並で
あるBCC型水素吸蔵合金が製造可能となる。また、合
金原料費の大幅な削減が図れる。従って、本発明によっ
て、高容量なBCC型水素吸蔵合金を極めて低コストで
製造することができ、各種用途への実用化が可能にな
る。
なく、かつ水素吸放出特性が従来のV等を含む合金並で
あるBCC型水素吸蔵合金が製造可能となる。また、合
金原料費の大幅な削減が図れる。従って、本発明によっ
て、高容量なBCC型水素吸蔵合金を極めて低コストで
製造することができ、各種用途への実用化が可能にな
る。
【図1】本発明のTiCrX(Moおよび/またはW)
系の三元状態図上に示した図による組成を示し、(a)
組成範囲、(b)TiCrMo系の実施例組成を示す図
である。
系の三元状態図上に示した図による組成を示し、(a)
組成範囲、(b)TiCrMo系の実施例組成を示す図
である。
【図2】本発明の実施例に係るTiCrMo系の組成に
よる水素吸放出特性を示すPCT図である。
よる水素吸放出特性を示すPCT図である。
【図3】本発明の実施例に係るTiCrMo系の0℃と
40℃における水素吸放出特性を示すPCT図である。
40℃における水素吸放出特性を示すPCT図である。
【図4】本発明の実施例に係るTiCrW系の0℃と4
0℃における水素吸放出特性を示すPCT図である。
0℃における水素吸放出特性を示すPCT図である。
【図5】本発明の熱処理範囲をTiCr2 −X擬二元系
状態図である。
状態図である。
【図6】本発明に関連するTi−Cr系二元状態図であ
る。
る。
【図7】本発明の実施例に係るTiCrW系のXRDの
チャートで、(a)アーク溶解直後、(b)熱処理後の
ものである。
チャートで、(a)アーク溶解直後、(b)熱処理後の
ものである。
【図8】本発明の実施例に係るプラト平衡圧とCr量と
の関係を示し、(a)−40℃の吸蔵圧、(b)100
℃の放出圧を示す図である。
の関係を示し、(a)−40℃の吸蔵圧、(b)100
℃の放出圧を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 691 C22F 1/00 691B 691C
Claims (2)
- 【請求項1】 組成が、一般式Ti100-a-b Cr
a Xb 、但し、XはMo,Wの少なくとも1種で、式中
a,bは原子%表示で、40≦a≦70,0<b≦20
で表され、かつ結晶構造が体心立方構造(BCC型)で
あることを特徴とする水素吸蔵合金。 - 【請求項2】 請求項1の合金を、溶解・鋳造後、該イ
ンゴットを1200〜1400℃(ただし、TiCr2
単相領域を除く)の温度で1〜5時間保持し、その後急
冷処理を施すことによって、結晶構造が常温で体心立方
構造(BCC型)を有するようになすことを特徴とする
水素吸蔵合金の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27343896A JPH10121180A (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | 水素吸蔵合金およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27343896A JPH10121180A (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | 水素吸蔵合金およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10121180A true JPH10121180A (ja) | 1998-05-12 |
Family
ID=17527920
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27343896A Pending JPH10121180A (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | 水素吸蔵合金およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10121180A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2001044525A1 (fr) * | 1999-12-17 | 2001-06-21 | Tohoku Techno Arch Co., Ltd. | Alliage de stockage d'hydrogene et son procede preparation |
| JP2002212663A (ja) * | 2001-01-17 | 2002-07-31 | Japan Steel Works Ltd:The | 高容量水素吸蔵合金とその製造方法 |
| CN107338385A (zh) * | 2017-06-27 | 2017-11-10 | 北京科技大学 | 一种体心立方结构为主的储氢高熵合金及其制备方法 |
| CN114447288A (zh) * | 2020-10-30 | 2022-05-06 | 丰田自动车株式会社 | 复合合金的制造方法和电极的制造方法 |
-
1996
- 1996-10-16 JP JP27343896A patent/JPH10121180A/ja active Pending
Cited By (12)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2001044525A1 (fr) * | 1999-12-17 | 2001-06-21 | Tohoku Techno Arch Co., Ltd. | Alliage de stockage d'hydrogene et son procede preparation |
| WO2001044528A1 (fr) * | 1999-12-17 | 2001-06-21 | Tohoku Techno Arch Co., Ltd. | Alliage de stockage d'hydrogene |
| WO2001044527A1 (fr) * | 1999-12-17 | 2001-06-21 | Tohoku Techno Arch Co., Ltd. | Procede de preparation d'alliage de stockage d'hydrogene |
| WO2001044526A1 (fr) * | 1999-12-17 | 2001-06-21 | Tohoku Techno Arch Co., Ltd. | Alliage de stockage d'hydrogene |
| EP1249508A4 (en) * | 1999-12-17 | 2003-01-29 | Tohoku Techno Arch Co Ltd | HYDROGEN STORAGE ALLOY |
| KR100486161B1 (ko) * | 1999-12-17 | 2005-04-29 | 도와 고교 가부시키가이샤 | 수소흡장합금 및 그 제조방법 |
| JP4838963B2 (ja) * | 1999-12-17 | 2011-12-14 | 株式会社 東北テクノアーチ | 水素吸蔵合金の製造方法 |
| JP2002212663A (ja) * | 2001-01-17 | 2002-07-31 | Japan Steel Works Ltd:The | 高容量水素吸蔵合金とその製造方法 |
| CN107338385A (zh) * | 2017-06-27 | 2017-11-10 | 北京科技大学 | 一种体心立方结构为主的储氢高熵合金及其制备方法 |
| CN107338385B (zh) * | 2017-06-27 | 2019-09-13 | 北京科技大学 | 一种体心立方结构为主的储氢高熵合金及其制备方法 |
| CN114447288A (zh) * | 2020-10-30 | 2022-05-06 | 丰田自动车株式会社 | 复合合金的制造方法和电极的制造方法 |
| CN114447288B (zh) * | 2020-10-30 | 2024-01-30 | 丰田自动车株式会社 | 复合合金的制造方法和电极的制造方法 |
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