JPH10128668A - 超砥粒砥石とその製造方法 - Google Patents

超砥粒砥石とその製造方法

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JPH10128668A
JPH10128668A JP28706796A JP28706796A JPH10128668A JP H10128668 A JPH10128668 A JP H10128668A JP 28706796 A JP28706796 A JP 28706796A JP 28706796 A JP28706796 A JP 28706796A JP H10128668 A JPH10128668 A JP H10128668A
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勝彦 靱
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人司 大西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い研削効率が持続すると共に高い物理的強
度を有する超砥粒砥石とその製造方法を得る。 【解決手段】 平均粒径が0.5μm〜60μmのダイ
ヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素からなる超砥粒1と、
嵩密度が超砥粒1の0.5倍〜2倍、熱膨張係数が超砥
粒1の0.3倍〜3倍である結合材粒子2との焼結体か
らからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精密加工分野で用
いられる超砥粒砥石に関するものであり、特に高い研削
能率が持続すると共に物理的強度も優れた超砥粒砥石と
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、セラミックス、超硬合金など研削
が困難な難研削材料が多用されるようになり、これらを
高能率で精密に研削する要望が高まってきている。例え
ば、構造用セラミックスを機械部品などに利用する場合
に、製造の最終工程で形状付与や寸法出しのために研削
加工が必要になる。これらセラミックス材料など難研削
材料の精密加工には、砥粒としてダイヤモンドや立方晶
窒化ホウ素(以下、「cBN」と記す)などのいわゆる
「超砥粒」を含む砥石が用いられている。
【0003】この超砥粒を含む砥石は「超砥粒砥石」と
呼ばれ、一般に、超砥粒を結合材によって結合し成形し
て製造される。この結合材として、合成樹脂を用いたも
のはレジンボンド砥石、ガラス質を用いたものはビトリ
ファイドボンド砥石、また金属を用いたものはメタルボ
ンド砥石と呼ばれ、それぞれ被研削体の特性によって使
い分けられる。
【0004】最近では、薄膜プロセスを用いた集積回路
に代表されるように、素子の高密度化が進み、また広く
普及してくると、経済的理由から基板の切断代の幅を、
例えば0.3mm以下とするような細密な切断が要求さ
れるようになり、この切断を可能とする薄刃の研削砥石
が求められるようになった。
【0005】従来、難研削性のセラミックスなどの精密
研削加工に用いられる薄刃砥石は、砥石の機械的強度の
観点から、砥石自体の剛性が高い無気孔型のメタルボン
ド砥石が用いられてきた。メタルボンド砥石は、一般
に、砥粒を結合材に均一に分散させ、電鋳法や焼結法に
よって形成される。結合材としては、例えばCu−Sn
系、Cu−Sn−Co系、Cu−Sn−Fe−Co系な
ど青銅系の軟質金属が用いられる。
【0006】これらの従来のメタルボンド砥石は、無気
孔性であるために他のビトリファイドボンド砥石やレジ
ンボンド砥石に比べ、砥石自体の機械的強度は格段に高
く、難研削材の研削に際して特に重要となる結合材によ
る砥粒の保持力も優れているが、結合材組織が緻密で摩
滅し難いため、砥石の表面に絶えず砥粒の新しい切り刃
が現れる現象、いわゆる「自生発刃作用」が小さく、ま
た研削時に発生する切り屑の排出を助ける気孔がないた
め、目詰まりし易く、研削抵抗が大きくなり、いわゆる
「切れ味」が落ちて被研削体の高能率加工が困難になる
などの問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの問題を解決す
るものとして、鋳鉄を結合材として用いた砥石が提案さ
れている(特開平3−264263号公報参照)。この
鋳鉄ボンド砥石は、高剛性であり、結合材組織が塑性流
動を起こさず脆性的破壊を起こすので、目詰まりが起こ
り難いなど多くの利点を有するものの、強度が高すぎて
ドレッシング(目立て)性が悪いという問題があった。
また、鋳鉄の微粉末は一般に入手困難であり高価であ
る。
【0008】この鋳鉄ボンド砥石の欠点を改善するもの
として、多孔質メタルボンド砥石が提案された(特開平
7−251379号公報参照)。この多孔質メタルボン
ド砥石は、結合材として金属粉末を用い、砥粒である超
砥粒が、粉末焼結により形成された結合材の多孔質組織
に分散保持されているので、その気孔率を調節すること
によって、砥石の機械的強度および/または砥粒の保持
力を制御することができる。この砥石は目詰まりが起こ
らず、長時間の連続研削が可能であり、ドレッシング性
に優れ、また研削比も高いので優れた砥石ではあるが、
気孔を有するために砥石自体の剛性が低く、薄刃砥石な
ど高剛性が要求される砥石を製造することは困難であっ
た。
【0009】また、上記の精密加工用多孔質メタルボン
ド砥石は、砥粒と結合材との微粒粉末を混合して型に入
れ、加圧下に焼結する粉末焼結法によって製造される
が、この際超砥粒と結合材の微粒粉末どうしの均一な分
散が困難で互いに分離し易く、均質な砥石が得難いとい
う問題もあった。
【0010】上記のように、精密加工用砥石において
は、砥石の研削性能と機械的強度とは相反する要素であ
って、これらを両立させることは困難であり、また粉末
焼結に際しては超砥粒と結合材との均一な混合、分散が
困難であった。本発明は、これらの課題を解決するため
になされたものであって、従ってその目的は、研削能率
と機械的強度が共に高く、かつ超砥粒が結合材中に均一
に混合分散されて、研削性能が均一に持続する超砥粒砥
石とその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決する手
段として本発明は、平均粒径が0.5μm〜60μmの
範囲内であるダイヤモンドまたはcBNからなる超砥粒
と結合材粒子との焼結体からなり、この結合材粒子が、
前記超砥粒の0.5倍〜2倍の範囲内の嵩密度と、前記
超砥粒の0.3倍〜3倍の範囲内の熱膨張係数とを有す
るものである超砥粒砥石を提供する。
【0012】前記において、結合材は、W、Zr、C
r、Mo、TaならびにVからなる単体元素、Wならび
にSiの炭化物、Ti、Si、ならびにWの酸化物、お
よびSiの窒化物からなる群から選ばれた1種以上であ
ることが好ましい。
【0013】本発明はまた、平均粒径が0.5μm〜6
0μmの範囲内であるダイヤモンドまたはcBNからな
る超砥粒と、この超砥粒の0.5倍〜2倍の範囲内の嵩
密度と前記超砥粒の0.3倍〜3倍の範囲内の熱膨張係
数とを有する結合材粒子とを混合し、得られた粉体混合
物を、0.5Tm(Tmは絶対温度゜Kで表す結合材の
融点または液相生成温度である)以下の温度で焼結する
ことからなる超砥粒砥石の製造方法を提供する。
【0014】前記の製造方法において、超砥粒と結合材
粒子との混合は、揮発性有機溶剤の存在下に行い、次い
で乾燥して、粉体混合物を得ることが好ましい。前記の
焼結は、放電プラズマ焼結法(以下、「SPS法」と記
す)またはホット・アイソスタチック・プレス焼結法
(以下、「HIP法」と記す)を用いて行うことが好ま
しい。また前記の焼結は、5MPa〜50MPaの範囲
内の圧力下に行うことが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を一実施形態によっ
て説明する。図1に模式的に示すように、この実施形態
の超砥粒砥石10は、ダイヤモンドまたはcBNの超砥
粒1と、結合材粒子2との焼結体からなっている。そし
て、この超砥粒の平均粒径は0.5μm〜60μmの範
囲内とされ、また、結合材粒子2は、例えばW(タング
ステン)などから形成されていて、前記超砥粒1の0.
5倍〜2倍の範囲内の嵩密度と、前記超砥粒1の0.3
倍〜3倍の範囲内の熱膨張係数とを有している。
【0016】この超砥粒砥石10は、例えば下記の方法
により製造することができる。すなわち、平均粒径が
0.5μm〜60μmの範囲内であるダイヤモンドまた
はcBNからなる超砥粒1と、例えばWなどから形成さ
れ前記の超砥粒1の0.5倍〜2倍の範囲内の嵩密度と
前記超砥粒1の0.3倍〜3倍の範囲内の熱膨張係数と
を有する結合材粒子2とを、例えばメタノールなどの揮
発性有機溶剤の存在下に均一に混合し、この溶剤を乾燥
させて得られた粉体混合物を、例えばSPS法を用い、
5MPa〜50MPaの範囲内の圧力を加え、0.5T
m(Tmは絶対温度゜Kで表す結合材の融点または液相
生成温度)以下の温度で焼結する。
【0017】得られた超砥粒砥石10は、砥粒1として
硬度が高くかつ平均粒径0.5μm〜60μmの微細な
ダイヤモンド粒子またはcBN粒子が用いられているの
で、セラミックスや超硬合金などの難研削材料を精密に
研削することができる。
【0018】結合材粒子2の嵩密度を超砥粒の0.5倍
〜2倍の範囲内とすれば、超砥粒1の嵩密度と結合材粒
子2の嵩密度とが近似するので、製造時の混合に際し
て、超砥粒1と結合材粒子2とを均一に分散させること
ができる。このため、焼結後の砥石本体内で超砥粒1が
偏在することなく全体に均一に分布し、砥石を使いきる
まで均一な切削能力を持続することができる。
【0019】結合材粒子2の熱膨張係数が、例えばW
(熱膨張係数4.6×10-6)のように、超砥粒1(例
えばダイヤモンドの熱膨張係数3.0×10-6)の0.
3倍〜3倍の範囲内とされていれば、製造時の、例えば
焼結後の冷却に際して発生する熱膨張係数の差に由来す
る材料間の不整合、例えば熱収縮率の差によって粒子の
焼結界面に発生する内部応力が緩和され、これらに起因
する微細な亀裂や砥石のソリ、ウネリなどが防止され、
超砥粒砥石の物性や成形性が向上する。
【0020】次に、本発明の超砥粒砥石を構成する諸要
素について詳しく説明する。本発明の超砥粒砥石10に
用いられる超砥粒1は、ダイヤモンドまたはcBNであ
る。例えばセラミックス材料などの硬い被研削体を細密
加工するなどの場合には、最高硬度を有するダイヤモン
ドを用いることが好ましい。このダイヤモンドは、単結
晶のものであっても多結晶のものであってもよく、天然
ダイヤモンド、人造ダイヤモンドのいずれも使用でき
る。
【0021】しかし、鉄系の被研削体を加工する場合
は、ダイヤモンドの使用に問題があるので、この場合に
はcBNを用いることが好ましい。このcBNも、単結
晶のもの、多結晶のものいずれでもよい。また、本発明
に用いる超砥粒は、前記の任意の2種類以上の混合物で
あってもよい。
【0022】超砥粒1の平均粒径は、0.5μm〜60
μmの範囲内とされる。平均粒径が0.5μm未満では
粒子が微細にすぎて研削能力が十分に発現せず、60μ
mを越えると、例えばこの砥石を細密研削やラッピング
などに用いる場合に、被研削面の仕上げが粗くなって不
適当である。
【0023】結合材としては、熱膨張係数が前記の範囲
内にあり、かつその粒子の嵩密度が前記の範囲内にあっ
て、熱圧を加えたときに超砥粒と焼結体を形成し得るも
のであればいずれも使用可能である。好ましい結合材の
例としては、W、Zr、Cr、Mo、TaならびにVか
らなる単体元素、WならびにSiの炭化物、Ti、S
i、ならびにWの酸化物、およびSiの窒化物などを挙
げることができる。特にWは、超砥粒としてダイヤモン
ドを用いる場合に好適な結合材である。
【0024】超砥粒(ダイヤモンド)と代表的な結合材
について、融点、熱膨張係数、および粒子の粒径とその
粒径における嵩密度とを表1に示す。また参考として、
本発明の超砥粒砥石の結合材としては範囲外であるが、
従来から一般に用いられている結合材であるCoとFe
とについて同様なデータを表2に示す。
【0025】
【表1】
【表2】
【0026】結合材粒子2の粒径は、前記の嵩密度の条
件を満たすものであれば特に限定されないが、一般には
超砥粒の平均粒径の5%〜50%の範囲内とすることが
好ましい。超砥粒に対する結合材粒子の粒径が50%を
越えると、焼結の際、混合物が型に充填された状態で超
砥粒と結合材粒子との接触面積が小さくなり、焼結時の
結合力が不足して砥石自体の強度が低下する。また5%
未満では、接触面積は十分に大きいから焼結時の結合力
は問題ないが、気孔率および気孔径が小さくなって、焼
結物は無気孔メタルボンド砥石と大差がなくなる。
【0027】本発明の超砥粒砥石10において、超砥粒
と結合材との配合割合は、超砥粒:結合材粒子の容量比
で1:0.5〜1:3の範囲内とされていることが好ま
しい。1:0.5より結合材の割合が少ない場合は、超
砥粒の密度が高すぎて焼結体の強度が低下し、目こぼれ
などが起こりやすくなる。1:3より結合材の割合が多
い場合は、研削能力が不足するようになる。
【0028】本発明の超砥粒砥石10は、粉粒体の表面
焼結によって成形されるので、図1に示すように、その
組織内には多数の気孔4が含まれ、多孔質になってい
る。この気孔率は、5%〜60%の範囲内とされている
ことが好ましい。気孔率が5%未満では、結合材の組織
が緻密となって摩滅し難く、従って自生発刃作用が起こ
り難くなるばかりでなく、研削時に発生する切り屑を収
容するポケット(図1の符号5)の容量が不足し、また
冷却液の循環も不十分となり、目詰まりや摩擦熱による
溶融などが起こり易い。気孔率が60%を越えると、砥
石自体の物性が低下し、また目こぼれや目潰れが起こり
易くなる。これら観点から、気孔率は5%〜45%の範
囲内とすることが更に好ましい。気孔率は、超砥粒と結
合材粒子のそれぞれの粒径、混合割合、焼結時に加える
圧力、混合時の揮発性介在物の有無などの諸条件を選定
することにより調節することができる。
【0029】次に本発明の超砥粒砥石の製造方法につい
て詳しく説明する。この製造方法は、順次、混合工程と
焼結工程とに大別される。上記の超砥粒1と結合材粒子
2とは、混合工程において均一に混合される。この混合
は、超砥粒と結合材粒子とを揮発性有機溶剤の存在下
に、例えばボールミルなどにより攪拌混合し、次いで溶
剤を乾燥することによって行うことが好ましい。
【0030】揮発性有機溶剤としては、炭化水素類、ア
ルコール類、エステル類、エーテル類などがいずれも使
用できるが、特に揮発の容易さ、価格などの観点から、
エタノールまたはメタノールを用いることが好ましい。
揮発性有機溶剤の存在によって、攪拌混合時の粒子間の
潤滑性が向上し、より均一な分散が達成されると共に、
粒子相互の摩擦が緩和されるので、超砥粒の切り刃の摩
耗や結合材の微粉化が防止される。この揮発性有機溶剤
は、焼結に先だって、好ましくは減圧下に蒸発乾燥さ
せ、粉体混合物を得る。
【0031】焼結は、SPS法またはHIP法を用いて
行うことが好ましい。これらはいずれも粉末焼結法であ
り、これらの焼結法によれば、超砥粒と結合材粒子との
界面における拡散、反応、固溶などが促進され、超砥粒
と結合材粒子との結合力が強化される。
【0032】SPS法は、例えば図2に概略を示す放電
プラズマ焼結装置(SPS装置)を用いて行うことがで
きる。図2において、このSPS装置は、筒状のダイ2
1と、このダイ21と同軸的に挿入された中子22と、
これらのダイ21および中子22と嵌合する上部パンチ
23および下部パンチ24と、これら上下のパンチ2
3、24に挟まれた粉体混合物25の温度を測定する熱
電対26とを有している。この上部パンチ23および下
部パンチ24は、ダイ21と中子22との間隙に充填さ
れた粉体混合物25を上下から挟圧するためのプレス
(図示せず)に連結されていると共に、粉体混合物25
にパルス電流を印加するためのそれぞれの電極を構成し
ている。このSPS装置において、少なくとも上下のパ
ンチ23,24に挟まれた部分はチャンバ(図示せず)
内に収容され、このチャンバ内は真空に排気されるか、
または不活性ガスが導入されるようになっている。
【0033】超砥粒と結合材との粉体混合物25は、所
定の砥石の形状に成形されたダイ21と中子22との間
隙に所定量が充填され、チャンバ内が真空にされ、また
は不活性ガスで置換された後に、上部パンチ23および
下部パンチ24で上下から、好ましくは5MPa〜50
MPaの範囲内の圧力で圧縮され、次いでパルス電流が
印加される。
【0034】このSPS法によれば、通電電流を調節す
ることにより、粉体混合物25を所定の焼結温度に均一
に素早く昇温することができ、また温度管理や焼結時間
管理も厳密に行うことができる。上記のSPS法に用い
ることができるSPS装置としては、例えば住友石炭鉱
業社製モデルSPS−2050型放電プラズマ焼結装置
などを挙げることができる。
【0035】一方、HIP法は、例えば超砥粒と結合材
粒子との混合物に成形助材としてワックスなどを加え、
単軸プレスなどを用いて圧力10MPa程度に加圧して
粉体圧縮成形物をつくり、この粉体圧縮成形物を真空中
約800℃に加熱してワックスの除去と仮焼結とを行
い、次いで形状整形の後に、真空または不活性ガス雰囲
気中で熱圧を加えて本焼結を行い焼結体を得る方法であ
る。
【0036】いずれの焼結方法においても、焼結温度は
0.5Tm以下とされる。ここでTmとは、絶対温度゜
Kで表す結合材粒子の融点または液相生成温度である。
焼結温度を0.5Tm以下とすることによって、結合材
粒子どうしはその表層のみによって融着し、砥石自体の
強度を維持しながら適度の崩落性を有して自生発刃作用
を現し、良好な研削性が維持されるようになる。
【0037】焼結温度の下限は、用いられる結合材粒子
の特性と焼結圧力に依存するが、少なくとも粒子どうし
が互いに表面融着して融合相を形成し得る温度とされ
る。この下限温度は、通常600℃以上である。この観
点から、実際上好ましい焼結温度範囲は600℃〜15
00℃の範囲内とされる。
【0038】粉末焼結法においてダイ中で焼結を行うに
際して、粉体混合物に加える圧力は、5MPa〜50M
Paの範囲内とすることが好ましい。圧力が5MPa未
満では、焼結物である砥石の気孔率が高くなりすぎて、
砥石全体の機械的強度が大幅に低下する。また圧力が5
0MPaを越えると、砥石の気孔率が低下しすぎてほと
んど無気孔型となり、研削効率が大幅に低下する。
【0039】いずれの焼結工程においても、焼結は、不
活性ガスまたは酸素分圧が0.01MPa以下の雰囲気
中で行うことが好ましい。酸素分圧が0.01MPaを
越える雰囲気で熱圧を加えて焼結を行うと、超砥粒や結
合材粒子が変質する惧れがある。不活性ガスとしては、
2 またはArなどが好適に用いられる。
【0040】次に本発明の実施例を示す。これらの実施
例はいずれも、外径が120mm、内径が114mm、
厚みが3mmのカップ型に成形された超砥粒砥石であ
り、前記の本発明の実施形態に準じて製造されている。
【0041】(実施例1)ボールミルに、下記の超砥粒
100容量部と、結合材粒子128容量部とを仕込み、
更にメタノール200容量部を添加して24時間攪拌混
合した。
【0042】得られたスラリー状の混合物をボールミル
から取り出し、減圧乾燥によりエタノールを除去し、超
砥粒が結合材中に均一に分散した粉体混合物を得た。次
にこの混合物を、図2に示したSPS装置のダイ21と
中子22との間隙に充填し、下記の条件で焼結し、前記
寸法のカップ型超砥粒砥石を製造した。 焼結温度:1260℃ 焼結圧力:20MPa
【0043】得られた実施例1の超砥粒砥石は、断面を
電子顕微鏡で10000倍に拡大して観察すると、概略
を図1に示したように、ダイヤモンド超砥粒1が互いに
分離して結合材粒子2の焼結組織体中に均一に分布し、
超砥粒1と結合材2粒子とがその接触面3で互いに融着
しており、また、結合材粒子2の焼結組織体中には多数
の気孔4が形成されていた。実施例1の超砥粒砥石の気
孔率と物性を表3に示す。
【0044】(実施例2)下記の素材と製造条件によ
り、実施例1に準じて実施例2の超砥粒砥石を製造し
た。 得られた実施例2の超砥粒砥石の気孔率と物性を表3に
示す。
【0045】(実施例3)下記の素材と製造条件によ
り、実施例1に準じて実施例3の超砥粒砥石を製造し
た。 得られた実施例3の超砥粒砥石の気孔率と物性を表3に
示す。
【0046】(実施例4)下記の素材と製造条件によ
り、実施例1に準じて実施例3の超砥粒砥石を製造し
た。 得られた実施例4の超砥粒砥石の気孔率と物性を表3に
示す。
【0047】(比較例1)比較のため、実施例1に示し
た組成と製造方法に準じて、下記の組成および製造条件
に従う比較例1の超砥粒砥石を製造した。この比較例1
は、結合材粒子の熱膨張係数が本発明の範囲外となる例
である。 得られた比較例1の超砥粒砥石の気孔率と物性を表3に
示す。
【0048】(比較例2)実施例1に示した組成と製造
方法に準じて、下記の組成および製造条件に従う比較例
2の超砥粒砥石を製造した。この比較例2は、結合材粒
子の嵩密度が本発明の範囲外となる例である。 得られた比較例2の超砥粒砥石の気孔率と物性を表3に
示す。
【0049】(比較例3)比較のため、気孔率と物性を
表3に示す市販のビトリファイド砥石「#1200」を
比較例3として試験に用いた。
【0050】
【表3】
【0051】(研削性能試験)前記の各試料について研
削試験を行った。研削試験としては、砥石のヤング率や
研削盤の剛性や馬力の影響を受けない湿式定圧研削法を
採用した。被研削体としては、Al23・TiCセラミ
ックス(曲げ強さ588MPa、マイクロビッカース硬
さ19GPa)の断面2mm×5mmのブロックを用い
た。
【0052】図3は、各砥石試料を研削盤に装着し、そ
れぞれの試料の砥面に前記の被研削体の断面を一定時間
(30秒間)押圧し、このときの研削圧力を0.3MP
a、0.5MPa、1MPaおよび2MPaと順次に変
化させたときの、研削量(mm3 )を測定したものであ
る。図4は、前記と同様にして、一定の研削圧力(1M
Pa)で研削時間を30秒、60秒、120秒、240
秒および480秒としたときの研削量(mm3 )を測定
したものである。また図5は、研削開始から30秒間の
研削速度を100%としたときの、各研削時間に対する
研削速度の変化を測定したものである。
【0053】これら物性試験並びに研削性能試験の結果
から、下記の事項が明らかになる。 (1)表3の結果から、実施例1〜実施例3の試料は、
結合材がWであって、その嵩密度が超砥粒の0.75倍
〜1.81倍であるから0.5倍〜2倍の範囲内にあ
り、かつ熱膨張係数が超砥粒の1.53倍であるから
0.3〜3倍の範囲内にある。これらは、嵩密度が超砥
粒の2.2倍である比較例2(Fe)や熱膨張係数が超
砥粒の4.17倍である比較例1(Co)に比べ、物
性、特にヤング率とマイクロビッカース硬さにおいて優
れていることがわかる。実施例4においても同様に結合
材(Cr)の嵩密度が超砥粒の0.83倍であり、熱膨
張係数が超砥粒の2.16倍であるから物性が優れてい
る。
【0054】図3の結果から、実施例3の試料は、一定
の時間内で研削する研削量が各比較例に比べて大きく、
切れ味のよい砥石であることがわかる。従って研削工程
の工数を従来より削減することが可能となる。また、研
削圧力を増加させると、これに対応して研削量も直線的
に増大しており、研削精度を制御し易い砥石であること
がわかる。これに対し、各比較例の砥石は、いずれも目
詰まりの影響で研削圧力を増加しても研削量が増大せ
ず、研削精度が制御、維持し難い。
【0055】図4の結果から、実施例3の試料は研削時
間に対する研削量が各比較例より大きく、切れ味が持続
する砥石であることがわかる。また図5の結果から、実
施例1〜実施例3の試料が、比較例3(市販品)に比べ
て研削時間に対する研削速度の変化が小さく、研削精度
を一定に保ち易いので、高い品質の被研削物が得られる
ことがわかる。
【0056】図6(a)は、本発明の超砥粒砥石の一例
における組織を示す顕微鏡写真図である。この超砥粒砥
石は、超砥粒として粒径0.5μm〜2μmのダイヤモ
ンドを用い、結合材として粒径0.39μm〜0.52
μmのW粒子を用い、1260℃、20MPaの条件で
焼成したものである。この図から、ダイヤモンド超砥粒
が結合材組織中に均一に分散していることがわかる。
【0057】図6(b)は、嵩密度が本発明の範囲外で
ある超砥粒砥石の一例における組織を示す顕微鏡写真図
である。この超砥粒砥石は、超砥粒として粒径6μm〜
12μm、嵩密度1.8g/cm3 のダイヤモンドを用
い、結合材として粒径5μm、嵩密度3.8g/cm3
(ダイヤモンドの2.1倍)のCo粒子を用い、780
℃、10MPaの条件で焼成したものである。この図に
おいて、擦過紋様の部分はダイヤモンド砥粒が存在しな
い部分を示している。このように結合材の嵩密度が超砥
粒の2倍を越えるものは、超砥粒の分布が不均一になり
易く、砥石の切削力が持続しない。
【0058】本発明の超砥粒砥石は、カップ砥石または
薄刃砥石の形状でセラミックスなど超硬材料の研削・切
断に有利に使用できる。図7(a)は、本発明のカップ
砥石30を用いて、例えばAl23・TiCセラミック
スなどの超硬被研削材Sを研削している状態を示してい
る。図7(b)は、本発明の薄刃砥石31を用いて、例
えばAl23・TiCセラミックスなどの超硬被研削材
Sを切断している状態を示している。
【0059】本発明の超砥粒砥石は特に、Al23・T
iCセラミックス基板から磁気ヘッドのヘッドチップを
製造する際などに有利に使用できる。このヘッドチップ
の製造方法の一例を図8(a)(b)(c)によって説
明する。図8(a)に示すように、先ずAl23・Ti
Cセラミックス基板40に、コア41、コイル42、お
よびリード端子43からなる磁気ヘッド素子44をメッ
キ、スパッタリング法などにより形成する。次に、この
磁気ヘッド素子44…が多数並列して形成されたウエハ
状のAl23・TiCセラミックス基板40を、並列し
た磁気ヘッド素子44…の両側の線45,45に沿っ
て、本発明のダイヤモンド薄刃砥石を用いて切断する。
これによって、図8(b)に示すように、磁気ヘッドの
スライドレール(46)となる断面46を有する棒状体
47が得られる。次に、この断面46に、本発明のダイ
ヤモンドカップ砥石を用いて垂直方向にスライド面48
となる溝を研削する。これによってスライドレール46
が形成される。次に、本発明のダイヤモンド薄刃砥石を
用いて棒状体47を磁気ヘッド素子44ごとに垂直に切
断すれば、図8(c)に示すように、磁気ヘッド素子4
4とスライドレール46とスライド面48とを有するヘ
ッドチップ50が製造できる。
【0060】前記のヘッドチップ50の製造に際して
は、本発明の薄刃砥石およびカップ砥石が用いられてい
るので、研削・切断の仕上げ面はきわめて平滑であり、
また砥石の耐久性が高いので目立ての回数も減少し、高
品質のヘッドチップが高い生産効率で製造できるように
なった。
【0061】
【発明の効果】本発明の超砥粒砥石は、平均粒径が0.
5μm〜60μmの範囲内であるダイヤモンドまたは立
方晶窒化ホウ素からなる超砥粒と結合材粒子との焼結体
からなり、この結合材粒子が、前記超砥粒の0.5倍〜
2倍の範囲内の嵩密度と、前記超砥粒の0.3倍〜3倍
の範囲内の熱膨張係数とを有するものであるので、研削
効率と機械的強度が共に高く、しかもその研削効率を最
後まで均一に持続させることができる。
【0062】本発明の超砥粒砥石の製造方法は、平均粒
径が0.5μm〜60μmの範囲内であるダイヤモンド
または立方晶窒化ホウ素からなる超砥粒と、この超砥粒
の0.5倍〜2倍の範囲内の嵩密度と前記超砥粒の0.
3倍〜3倍の範囲内の熱膨張係数とを有する結合材粒子
とを混合し、得られた粉体混合物を、0.5Tm(Tm
は絶対温度゜Kで表す結合材の融点または液相生成温度
である)以下の温度で焼結するものであるので、高い研
削効率を均一に維持すると共に、高い機械的強度を有す
る超砥粒砥石が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の超砥粒砥石の一実施形態における断
面模式図
【図2】 放電プラズマ焼結装置の一例を示す断面図
【図3】 実施例と比較例の砥石試料における研削圧力
と被研削体の研削量との関係を示すグラフ
【図4】 実施例と比較例の砥石試料における研削時間
と被研削体の研削量との関係を示すグラフ
【図5】 実施例と比較例の砥石試料における研削時間
と研削速度変化率との関係を示すグラフ
【図6】 (a)は本発明の超砥粒砥石の一実施例、
(b)は従来型の超砥粒砥石の一例における組織の顕微
鏡写真図
【図7】 (a)(b)はそれぞれ、本発明の超砥粒砥
石の異なる使用形態の例を示す斜視図
【図8】 (a)(b)(c)は本発明の超砥粒砥石の
一適用例である磁気ヘッドのヘッドチップを製造する工
程を示す斜視図
【符号の説明】
1……超砥粒 2……結合材粒子 3……焼結面 4……気孔 5……ポケット 10…超砥粒砥石 21…ダイ 22…中子 23…上部パンチ 24…下部パンチ 25…粉体混合物 26…熱電対

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.5μm〜60μmの範囲
    内であるダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素からなる
    超砥粒と結合材粒子との焼結体からなり、この結合材粒
    子が、前記超砥粒の0.5倍〜2倍の範囲内の嵩密度
    と、前記超砥粒の0.3倍〜3倍の範囲内の熱膨張係数
    とを有するものであることを特徴とする超砥粒砥石。
  2. 【請求項2】 前記の結合材が、W、Zr、Cr、M
    o、TaならびにVからなる単体元素、WならびにSi
    の炭化物、Ti、Si、ならびにWの酸化物、およびS
    iの窒化物からなる群から選ばれた1種以上であること
    を特徴とする請求項1に記載の超砥粒砥石。
  3. 【請求項3】 平均粒径が0.5μm〜60μmの範囲
    内であるダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素からなる
    超砥粒と、この超砥粒の0.5倍〜2倍の範囲内の嵩密
    度と前記超砥粒の0.3倍〜3倍の範囲内の熱膨張係数
    とを有する結合材粒子とを混合し、得られた粉体混合物
    を、0.5Tm(Tmは絶対温度゜Kで表す結合材の融
    点または液相生成温度である)以下の温度で焼結するこ
    とを特徴とする超砥粒砥石の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記の超砥粒と結合材粒子との混合を、
    揮発性有機溶剤の存在下に行い、次いで乾燥して、粉体
    混合物を得ることを特徴とする請求項3に記載の超砥粒
    砥石の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記の焼結を、放電プラズマ焼結法また
    はホット・アイソスタチック・プレス焼結法を用いて行
    うことを特徴とする請求項3に記載の超砥粒砥石の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記の焼結を、5MPa〜50MPaの
    範囲内の圧力下に行うことを特徴とする請求項3に記載
    の超砥粒砥石の製造方法。
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