JPH10131970A - 転がり軸受とその製造方法 - Google Patents
転がり軸受とその製造方法Info
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- JPH10131970A JPH10131970A JP28692296A JP28692296A JPH10131970A JP H10131970 A JPH10131970 A JP H10131970A JP 28692296 A JP28692296 A JP 28692296A JP 28692296 A JP28692296 A JP 28692296A JP H10131970 A JPH10131970 A JP H10131970A
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- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
の油分が少なく、軸受に耐蝕性が求められることがあ
る。従来の窒化処理は、窒化層が不十分な部分があると
ともに、窒化層自体も平滑性に劣り、クラック等も存在
する。このため潤滑油の保持が充分でなく、油膜切れが
生じることがあった。 【解決手段】本転がり軸受1では、転動体3及び軌道輪
2の各表面に窒化層Nを形成した。窒化処理前に、表面
の酸化物を、ふっ化処理12で金属ふっ化膜に置き換え
ることによって除去する。金属ふっ化膜は酸化物の生成
も防止する。この表面に窒化処理される。窒化層Nが、
各表面に緻密且つ均一且つ十分に形成され、表面の平滑
性が保たれて、各部の油膜切れは防止される。 【効果】緻密かつ均一であり平滑な窒化層Nを安定して
形成できる。耐蝕性を有する。
Description
製造方法に関する。特に、軌道輪および転動体に関す
る。
ら、転がり軸受は、グリースによって潤滑されて使用さ
れる場合がある。このような潤滑では、グリースの油分
が軸受全体に行き渡らず、軸受に錆が生じる場合が想定
される。特に、転がり軸受が、ウォーターポンプ等の、
自動車のエンジンの補機に使用される場合等には、耐蝕
性を有することが好ましい。
は、軌道輪や転動体に、いわゆるタフトライド処理と呼
ばれる、塩浴窒化、ガス窒化等の窒化処理を含む表面処
理を施すことが知られている(特開平6−341442
号公報参照)。窒化処理を施すと、潤滑性を向上できる
という利点もある。しかしながら、上述のように窒化処
理によって潤滑性を高めた軌道輪や転動体であっても、
潤滑条件のあまり良くない状況、例えば、上述のように
グリースにより潤滑された状況で使用されると、油膜切
れが生じることがあり、場合によっては、軌道輪と転動
体との間で焼き付きを生じる虞もあった。
表面粗さが大きく、平滑度が悪いため、軸受の回転振動
や騒音が大きくなってしまうという問題もあった。上述
の油膜切れの原因としては、以下のことが考えられる。
すなわち、窒化処理の前処理で、表面の酸化物の除去が
行われる。しかしながら、酸化物を完全に除去すること
は困難であることに加えて、除去後にも再度酸素の吸着
や酸化作用が働くので、表面の酸化物を完全に除去でき
ない。この状態で、窒化処理が行われると、窒化層は、
酸化物が除去された部分には十分に、酸化物の残った部
分には不十分に形成されて、その結果、窒化層にむらが
生じていたり、クラックが多数形成されていた。不十分
な窒化層の表面では、もともと平滑度が充分でなく、ク
ラックの存在もあり、潤滑油が窒化層の最表面に保持さ
れ難く、よって、油膜が切れ易く、潤滑が不充分になる
と考えられる。
的課題を解決し、均一な窒化層によって、良好な耐蝕性
を有し、且つ油膜切れが生じ難く、潤滑性の良い軌道輪
や転動体を有する転がり軸受を提供することである。ま
た、本発明の他の目的は、上記の転がり軸受を安定して
製造できる製造方法を提供することである。
め、請求項1にかかる発明の転がり軸受は、一般軸受用
鋼からなる軌道輪および転動体の少なくとも一方の表面
に窒化物の平均粒子径が1μm以下の緻密な窒化層が形
成されたことを特徴とする。この構成によれば、窒化層
を、表面に緻密に、且つむらなく均一に、且つ十分に形
成できる。このような窒化層が形成された軌道輪や転動
体では、油膜が切れることもなく、転がり軸受として良
好な潤滑性を維持できる。
ム軸受鋼の他に、浸炭鋼、耐熱鋼、ステンレス鋼、工具
鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼等を例示することが
できる。この転がり軸受は、例えば、以下の請求項2に
かかる発明の転がり軸受の製造方法によって製造するこ
とができる。
法は、一般軸受用鋼からなる軌道輪および転動体の少な
くとも一方の表面に窒化層が形成された転がり軸受の製
造方法において、窒化処理の前に、軌道輪および転動体
の少なくとも一方の表面の酸化物を金属ふっ化膜に置き
換えるふっ化処理を含むことを特徴とする。この構成に
よれば、ふっ化処理に用いる活性化されたふっ素原子に
より、母材の鋼の表面に付着していた加工助剤等の異物
が破壊等されて除去され、表面が浄化されると同時に、
鋼表面の酸化皮膜のような不働態膜が、金属ふっ化膜に
置き換えられる。このように置き換えられることによっ
て、鋼の表面が金属ふっ化膜によって被覆保護された状
態になり、後の窒化処理まで酸化物の生成が阻止される
ので、確実に酸化物を除去できる。従って、表面に緻
密、且つ均一、且つ十分な窒化層を形成することができ
る。
700℃の温度域では、鋼材中のCr,Mn,Si,A
lのような金属元素は、酸化されやすい。しかし、上記
温度領域においては、これらの金属元素を完全に中性も
しくは還元性に維持する雰囲気をつくることが困難なこ
とから、上記金属元素は上記温度領域で殆ど酸化され、
それによって窒化処理に際して鋼材の表面に粒界酸化物
が形成され、この粒界酸化物が障害となって窒化処理が
阻害される。結果として、鋼材の表面に窒化層を安定し
て形成できないでいた。
を除去できるので、一定の窒化層を安定して形成するこ
とができる。すなわち、窒化処理の際、480℃〜70
0℃程度の温度で、窒素源を有するガス(例えばNH3
ガス)とH2 ガスとの混合ガスを炉内に導入することに
より、上記H2 ガスによって、鋼材表面を被覆保護して
いる金属ふっ化膜は破壊され除去される。これにより、
浄化されて活性化した金属素地が現れ、この活性化した
金属素地に窒化ガス(例えばNH3 ガス)中のN原子が
作用し、内部に迅速に浸透拡散し、深い窒化層を均一に
形成する。すなわち、鋼の表面から内側に向かってCr
N,Fe2 N,Fe3 N,Fe4 N等の窒化物を含有す
る超硬質な化合物層(窒化層)が、均一に深く形成さ
れ、それに続いて硬質なN原子の拡散層が形成され、上
記化合物層+拡散層が全窒化層を構成する。また、窒化
層の硬さも、従来のタフトライド処理品と同等で、表面
硬さはビッカース硬さ450HV(試験荷重50gf)
を維持している。
としては、NF3 ,BF3 ,CF4,HF,SF6 ,F
2 の単独もしくは混合物からなるふっ素源成分をN2 等
の不活性ガス中に含有させたガスが好適に用いられる。
なかでも、安全性、反応性、コントロール性、取扱性等
の点でNF3 が最も優れており、実用的である。このよ
うなふっ素系ガスでは、効果の点から、NF3 等のふっ
素源成分が0.05%〜20%(重量基準、以下同じ)
の濃度に設定される。好ましいのは、3%〜5%の範囲
内である。
かる転がり軸受及びその製造方法を、添付図面を参照し
ながら詳細に説明する。まず、本発明の軸受について説
明する。図1は、本発明にかかる軸受である玉軸受の断
面図である。図1を参照する。
3と、転動体3を転がり案内するための円筒状の内輪4
及び外輪5からなる軌道輪2とを有している。転動体3
は、内輪4と外輪5との間に回転自在に保持されつつ、
転がり案内される。内輪4の外周面と、外輪5の内周面
とには、転動体3を転がり案内するための軌道溝が形成
されている。その軌道溝に沿って、転動体3は、所定の
間隔で保持器6によって保持されて環状に配置されてい
る。また、転動体3及び軌道輪2は、所定の軸受用鋼で
形成されている。
その表面全体に、Fe3 Nを主成分とする窒化物が、そ
の平均粒子径が1μm以下であるように、緻密且つ均一
に積層された状態の窒化層Nが後述する製造方法によっ
て形成されている。なお、窒化層Nは、転動体3と軌道
輪2の何れか一方に形成してあればよく、また、窒化層
Nは、少なくとも部材同士が接触する部分に形成してあ
ればよい。例えば、軌道輪2では、窒化層Nを、軌道輪
2の軌道溝のみに形成してもよいし、上記軌道溝と他の
部分とに形成してもよいし、内輪4または外輪5の一方
に形成してもよいし、転動体3のみに形成してもよい
し、軌道輪2と転動体3との両方に形成してもよい。
される。すなわち、図2は、本発明の製造方法の概略工
程図である。以下、図2を参照して、本発明にかかる製
造方法を説明する。本製造方法は、転動体3や軌道輪2
の各部品の形状を形成する形成工程11と、形成された
各部品の表面の酸化物を金属ふっ化膜に置き換えるふっ
化処理12と、窒化層Nを形成する窒化処理13とを備
えている。その後、窒化処理された各部品を軸受1に組
み立てる組立工程14が行われる。
が、所定の軸受鋼から、所定の形状に加工される。例え
ば、鍛造加工や切削加工等が行われて、転動体3や軌道
輪2の形状を有した成形品が形成される。ふっ化処理1
2では、被処理品である成形品を、3ふっ化窒素(NF
3 )、窒素等の混合気中に、所定のふっ化温度T1、例
えば300℃〜400℃に所定時間(10分〜120
分)保持する。その結果、成形品の表面の異物等は、ふ
っ化処理に用いる活性化されたふっ素原子によって破壊
等されて除去され、表面が浄化されると同時に、鋼表面
の酸化皮膜のような不働態膜が、金属ふっ化膜に置き換
えられる。この際に、表面に形成される金属ふっ化膜
は、不働態膜であるので、表面への酸素の吸着や酸化作
用を防止し、次の窒化処理13まで酸化物の生成を阻止
し、その結果、確実に酸化物を除去することができる。
ここでの被処理品であるふっ化処理された成形品(表面
が金属ふっ化膜で覆われている)は、所定の反応ガス、
例えばNH3 単体からなるガスまたはNH3 と炭素源と
からなる混合ガス(例えばRXガス)中に、所定の窒化
温度T2に、所定時間(0.5時間〜5時間)保持され
る。
が昇温される過程で、被処理品表面の金属ふっ化膜は活
性化膜となる。その結果、窒化処理13で、窒素は金属
に速やかに深く浸透して、窒化層Nが形成される。その
後、所定時間をかけて、冷却される。被処理品は、冷却
終了まで、窒素ガス中に保持されており、表面に酸化物
の生成が防止される。
間は、窒化処理13で形成される窒化層Nの深さ等に応
じて、所定値に設定されるのが好ましい。窒化温度T2
としては、480℃〜700℃であれば、表面に硬い窒
化層を形成することができる。従って、潤滑性を向上す
ることができる。また、ふっ化処理12で被処理品の表
面が活性化されるので、窒化温度T2を、従来の窒化層
形成時に被処理品を保持する温度よりも低くすることが
できる。窒化温度T2が低くなる程に、窒化層Nの表面
が平滑に形成される傾向があり、特に、上述のように窒
化温度T2が480℃〜700℃であれば、この窒化温
度T2で形成される窒化層Nの表面が、従来形成された
タフトライド処理品の窒化層の表面よりも平滑になる。
窒化層Nの表面粗さは、未処理品、すなわち、研磨仕上
げ面の粗さ(中心線平均粗さRa=0.7μm〜1.0
μm、十点平均粗さRz=4.0μm〜7.0μm、最
大高さRmax=4.5μm〜7.5μm)に対し、殆
ど同じ値である。従来のタフトライド処理品の表面粗さ
は、Ra=1.5μm〜2.0μm、Rz=10.0μ
m〜15.0μm、Rmax=14.0μm〜18.0
μmであるから、本発明の窒化層Nは、表面粗さが従来
のタフトライド処理品に比べて小さく、また、かなり平
滑性を増している。
つ緻密であることに加え、クラックが殆どないため、窒
化層Nの最表面での潤滑油の保持性がよく、この点でも
耐焼き付き性が向上している(実施例の,欄参
照)。また、窒化層Nでは、摩擦が大きくなる虞がない
ので、油膜切れも生じ難く、より一層焼き付き難くする
ことができる。ちなみに、無潤滑状態での摩擦係数は
0.24であり、従来のタフトライド処理品の0.54
に対して2分の1以下となっている。なお、実験条件
は、HRIDON式摩耗試験機にて、試験片(表面に窒
化層Nを形成したSUJ2材)にボール(SUJ2材)
を荷重200gf、速度100mm/秒、距離20mm
で10往復させ、その際の動摩擦係数を測定し、各測定
値の最大値の平均値を求めた。
軌道輪2、転動体3等の各部品によって軸受1が組み立
てられる。このように本実施の形態の軸受1によれば、
以下の作用効果を奏するものである。窒化層Nが形成さ
れた軌道輪2や転動体3では、耐蝕性が向上するので、
表面に潤滑剤による油膜が充分に形成されない場合で
も、軌道輪2や転動体3が錆びることを防止することが
できる。従って、グリース潤滑等、充分に潤滑されない
状況下で好適に使用できる転がり軸受を得ることができ
る。
強度の向上や摩耗防止を図ることができる上に、潤滑性
を向上できるという利点もある。特に、本実施の形態の
窒化層Nは、均一に緻密に形成されているので、多孔質
の部分がある従来の窒化層に比べて、表面がより一層硬
く、耐摩耗性が良好である。
道輪2では、表面の硬い窒化層Nによって鋼材の機械的
強度が改善される上に、内部の窒化されていない鋼材の
部分によって柔軟性、靱性が維持されるため、耐衝撃性
を備えて、転動体や軌道輪としての強度がより一層向上
する。従って、この転動体3や軌道輪2の少なくとも一
方を備えた軸受1では、その回転時に、転動体3や軌道
輪2が、各部と接触して衝撃を受けても、衝撃に耐える
ことができ、破損する虞もなく、実用に適した軸受とす
ることができる。特に、本発明の製造方法によって形成
された窒化層Nは、従来のタフトライド処理品に比べ
て、素材中心部分の硬さが低く(後述する実施例の欄
参照)、その結果、内部の柔軟性、靱性がより一層向上
して衝撃に耐えることができる。なお、ここでの転動体
3や軌道輪2としての強度とは、単純な形状の試験片を
測定して求められる材料自体の機械的強度でなく、転動
体3や軌道輪2を実際に軸受1に使用した際の強度であ
って、材料自体の強度に、柔軟性、靱性、耐衝撃性等が
加味された強度である。
っ化処理12により酸化物が確実に除去された表面に、
緻密に、且つむらなく均一に、且つ十分に形成されてい
るので、潤滑油を表面に保持でき、油膜が切れることも
なく、良好な潤滑性を維持できる。一方、従来のタフト
ライド処理による窒化層は、酸化物が残った表面に形成
されており、この酸化物の残った表面には十分に形成さ
れなかったので、不十分な窒化層であり、且つクラック
が存在していたので、油膜が切れることがあった。
表面の窒化層自身が潤滑性を向上する効果を、緻密、且
つ均一、且つ十分な窒化層Nとすることによって、より
一層向上させることができるので、潤滑が行われ難い状
況でも、上述の効果を高く維持できる。従って、潤滑が
行われ難い状況の生じ易い用途、例えば、二輪車用2サ
イクルエンジンやそれに関連する機器に、この窒化層N
の形成された軌道輪2や転動体3の少なくとも一方を備
えた軸受を適用すると、顕著な効果がある。ところで、
潤滑性を向上する場合でも、油溜まりとなる凹部が表面
に形成され、凹部に保持された潤滑剤が潤滑性を向上す
る場合には、潤滑が行われ難い状況では、効果を維持す
ることが困難である。
の基材に一般軸受用鋼を用い、その表面に窒化層Nを形
成することによって、転動体3等の内部の基材の性質、
例えば、形状加工性、経済性、強度等に優れた性質を得
られ、それに加えて、転動体3等の表面の窒化層Nの性
質、例えば、耐蝕性、硬さ、耐焼き付き性に優れた性質
を得ることができる。従って、軸受用の軌道輪や転動体
として好ましい。
ることによって、耐蝕性をより一層優れたものとするこ
とができる。というのは、一般に、軸受用鋼は、鋼内部
に含まれるスラグ等の不純物が少ない清浄度の高い材料
であることから、その表面に窒化層を形成したときの窒
化物も均一なものとすることができる。従って、均一な
窒化層は、不純物による窒化物を含む不均一な窒化層に
比べて緻密に形成でき、耐蝕性を向上することができ
る。また、軸受用鋼は清浄度が高いので、転動体等の表
面形状の精度を良好に加工することができ、つまり窒化
処理前の表面の凹凸を少なくできる。その結果、その表
面に窒化層を形成したときの表面を凹凸が少なく、緻密
に形成でき、従って、凹凸が多く、且つ緻密でない窒化
層に比べて耐蝕性を向上することができる。
軌道面を通過する際に発生する振動や騒音が減少でき、
静粛性に優れた転がり軸受を得ることができる。また,
軸受の基材に一般軸受用鋼を使用することによって、耐
蝕性を向上できる上述と同様の理由で、耐焼き付き性を
より一層優れたものとすることができる。
を向上できる一般軸受用鋼としては、SUJ2等の高炭
素クロム軸受鋼を例示でき、安定な窒化物を作るアルミ
ニウム、チタン、バナジウム等を含んだ鋼が好ましい。
また、本発明の軸受は、耐蝕性と耐焼き付き性に優れて
いるので、例えば、自動車のエンジンのウォーターポン
プ等の補機に使用すると好ましい。
れば、以下の作用効果を奏するものである。窒化処理1
3は、ガス窒化であるので、塩浴窒化のような環境汚染
の心配がない。また、従来の製造方法では、窒化処理の
際の480℃〜700℃の温度域で、鋼材中のCr,M
n,Si,Al等の金属元素が殆ど酸化され、鋼材の表
面に粒界酸化物が形成されていた。この粒界酸化物が障
害となって、窒化処理が阻害され、その結果、鋼材の表
面に窒化層を安定して形成できないでいた。これに対し
て、本発明では、ふっ化処理12で確実に酸化物を除去
できるので、一定の窒化層Nを安定して形成することが
できる。窒化層の硬さも、従来のタフトライド処理品と
同等で、表面硬さはビッカース硬さ450HVを維持し
ている(後述する実施例参照)。
で、反応ガスが活発に動き回り、被処理品表面に窒素分
子が万遍なく行き渡り、入り込んだ部分にも、窒化層N
を均一に形成することができる。例えば、軌道輪2の軌
道溝や端縁部等にも、窒化層Nが形成される。従って、
軌道輪2や転動体3全体として耐摩耗性が良好である。
く、被処理品の表面が十分に活性化するために長時間を
要する場合があった。一方、本発明の方法では、被処理
品の表面に形成された金属ふっ化膜は、窒化温度T2で
は、十分に活性化されているので、窒素は速やかに金属
に浸透して、長時間をかけずに十分な窒化層Nが形成さ
れる。
来の窒化層形成時に被処理品を保持する温度よりも低く
することができるので、熱変形等の熱による影響も少な
くすることができる。なお、本発明の軸受及びその製造
方法は、転動体3や軌道輪2の少なくとも一方に適用し
てもよい。また、本発明が適用される、転動体3や軌道
輪2は、その形状がいかなる方法によって形成されたか
について特に限定されない。また、材質も軸受鋼に限定
されない。例えば、高炭素クロム軸受鋼(SUJ1、S
UJ2、SUJ3、SUJ4、SUJ5等)の他に、浸
炭鋼(SAE5120等)、耐熱鋼(M─50等)、ス
テンレス鋼(SUS440C等)、工具鋼(SKH4
等)、クロム鋼、クロムモリブデン鋼等にも適用でき
る。
上述の玉軸受以外にも、円筒ころ軸受、円すいころ軸
受、球面ころ軸受、針状ころ軸受等の種々の転がり軸受
用の、あらゆる形状の転動体や軌道輪に適用することが
できる。また、本発明の軸受及びその製造方法は、軌道
輪2が回転軸、ハウジング等と一体に形成されたものに
も適用することができる。
種々の設計変更を施すことが可能である。
た軸受の分析及び試験を行った。その結果を説明する。
また、比較例として、従来の軸受の分析及び試験を同様
に行った。比較例の軸受は、ふっ化処理せずに、従来の
方法で酸化物を除去して、塩浴窒化した軸受である。な
お、軸受としては、窒化層の形成された軌道輪と、窒化
層の形成された転動体とを組み合わせたものである。
測定した。測定位置は、軌道輪の軌道溝を形成する部分
の表面である。 結果 実施例の平均硬さ 619HV(試験荷重25gf) 平均硬さ 451HV(試験荷重50gf) 平均硬さ 370HV(試験荷重100gf) 断面の硬さ 実施例の軸受の軌道輪の硬さを、表面からの距離の異な
る複数箇所の断面位置で測定した。同様に、比較例につ
いても測定した。なお、ビッカース硬さの試験荷重は、
100gfである。
係を示すグラフである。図3には、線Ha(─○─)で
実施例を、線Hb(─■─)で比較例を示し、縦軸に硬
さをビッカース硬さ(HV)で示し、横軸に表面からの
距離(μm)を示す。
50HVであり、比較例の窒化層とほぼ同等である。ま
た、実施例の窒化層Nは、表面から内部寄りの部分で、
比較例の窒化層よりも硬さが低い。このことから、実施
例の窒化層Nは、表面が硬く内部が柔らかい2層硬度分
布を有し、しかも、実施例は、比較例よりも表面と内部
との硬度差が大きいことがわかる。
衝撃性を有すると考えられる。 耐焼き付き性(A) 次に、耐焼き付き性の試験結果を説明する。上述の軸受
について、下記条件下で寿命を測定した。ここでの寿命
は、潤滑が停止された状態で、焼き付きが生じるまでの
時間である。
を、同様にして測定した。試験条件 適用した軸受 深溝形玉軸受(呼び番号6305) ラジアル荷重 200Kgf 回転数 11000rpm 潤滑条件 回転前に、2サイクルエンジン用潤滑油
を0.01cc滴下試験結果 本発明実施品 平均寿命38.5分 比較例 平均寿命18.6分 このように、本発明の軸受は、殆ど無潤滑に近い過酷な
条件下でも、従来品に比べて約2倍の寿命を有してい
る。
た。試験条件 ラジアル荷重 400Kgf 回転数 11400rpm 潤滑条件 回転前に2サイクルエンジン用潤滑油を
0.005cc滴下試験結果 本発明実施品 平均寿命6.1分 比較例 平均寿命3.9分 このように、本発明の軸受は、さらに過酷な条件下で
も、従来品に比べて約1.6倍の寿命を有している。
状態で想定されない過酷な条件が課された加速試験であ
る。従って、本発明の軸受は、通常の使用で焼き付くこ
とはない。
よび転動体の少なくとも一方の表面に緻密、且つむらな
く均一に、且つ十分に形成された窒化層が形成された転
がり軸受では、良好な耐蝕性を有するとともに、油膜が
切れることもなく、良好な潤滑性を維持できる。
物をふっ化処理で確実に除去できるので、表面に緻密、
且つ均一、且つ十分な窒化層を形成することができる。
また、確実に酸化物を除去できるので、一定の窒化層を
安定して形成することができる。
離との関係を示すグラフであり、縦軸に硬さをビッカー
ス硬さ(HV)で示し、横軸に表面からの距離(μm)
を示し、線Haで実施例の場合を示し、線Hbで比較例
の場合を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】一般軸受用鋼からなる軌道輪および転動体
の少なくとも一方の表面に窒化物の平均粒子径が1μm
以下の緻密な窒化層が形成されたことを特徴とする転が
り軸受。 - 【請求項2】一般軸受用鋼からなる軌道輪および転動体
の少なくとも一方の表面に窒化層が形成された転がり軸
受の製造方法において、 窒化処理の前に、軌道輪および転動体の少なくとも一方
の表面の酸化物を金属ふっ化膜に置き換えるふっ化処理
を含むことを特徴とする転がり軸受の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28692296A JPH10131970A (ja) | 1996-10-29 | 1996-10-29 | 転がり軸受とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28692296A JPH10131970A (ja) | 1996-10-29 | 1996-10-29 | 転がり軸受とその製造方法 |
Related Child Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2004265809A Division JP2004347131A (ja) | 2004-09-13 | 2004-09-13 | 転がり軸受 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10131970A true JPH10131970A (ja) | 1998-05-22 |
Family
ID=17710707
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP28692296A Pending JPH10131970A (ja) | 1996-10-29 | 1996-10-29 | 転がり軸受とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
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