JPH10139681A - 水性乳化栄養組成物及びその用途 - Google Patents

水性乳化栄養組成物及びその用途

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JPH10139681A
JPH10139681A JP8292591A JP29259196A JPH10139681A JP H10139681 A JPH10139681 A JP H10139681A JP 8292591 A JP8292591 A JP 8292591A JP 29259196 A JP29259196 A JP 29259196A JP H10139681 A JPH10139681 A JP H10139681A
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正 船田
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紘二 久保田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】経口での苦みを改善し、経腸での下痢の発生を
抑えた水性乳化栄養組成物を提供する。 【解決手段】A成分であるL−アルギニン及びB成分で
あるグルタミン含有ペプチドを含有し、かつ液のPHが
5.5〜7.0である水性乳化栄養組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定成分を含有す
る水性乳化栄養組成物、それを有効成分とする経口およ
び経腸栄養剤に関する。更に詳細には、経口投与時の嗜
好性の改善、製品への配合時の着色防止に優れた栄養組
成物に関する。また、該水性乳化栄養組成物を有効成分
とする経口および経腸栄養剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、手術前後の栄養補給方法とし
ては、経口投与、経腸栄養剤投与や中心静脈栄養投与等
の方法が採用されている。近年では特に、中心静脈等に
よる栄養投与では胃腸を使用しないために、生理的な面
や消化管粘膜の萎縮の観点から、口からあるいは直接腸
へ経腸栄養剤を投与する方法が注目されてきている。こ
れらの経腸栄養剤の投与では、蛋白質、脂質、糖質、ビ
タミン、ミネラルなど栄養源を摂取せしめて、疾病の治
療に大きく寄与している。更に、最近では、積極的な治
療を目的として、五大栄養素に更に各種の有効成分を加
える処方が検討されている。積極的な治療の例として
は、免疫学的な賦活、蛋白代謝系の賦活をさせて、感染
症の予防、創傷の早期治癒等を図るもの等が挙げられ
る。特に、非必須アミノ酸であるL−アルギニン、グル
タミンの検討が行われている。これらの理由の1つは、
L−アルギニンは、ポリアミン、蛋白質合成促進、細胞
性免疫機能増進による宿主防御機構の強化や、各種ホル
モンの分泌促進等の効果があると言われており、また、
グルタミンは、腸管粘膜細胞などのエネルギー源、蛋白
の代謝系の改善の効果等があると言われている(Sur
gery 第108巻 第331〜337頁、著者A.
Barbulら、およびNutrition 第4巻第
4号、第261〜268頁、E.A.Newsholm
eら)。
【0003】従来のL−アルギニンあるいはグルタミン
若しくはグルタミン含有ペプチドを含む栄養組成物の経
口投与では、バランスがとれた栄養組成物で、かつ嗜好
性の改善された栄養組成物はない。また、前記の栄養組
成物の経腸投与では、浸透圧が高すぎると、腸での摂取
時に下痢などの症状を引き起こすことが知られている。
L−アルギニンあるいはグルタミン若しくはグルタミン
含有ペプチドを含み、バランスがとれた栄養組成物で、
かつ浸透圧が改善された栄養組成物はない。従来、L−
アルギニン、グルタミンを前記の効果のために配合する
と、著しく苦みを呈する問題があり、L−アルギニン、
グルタミン等のアミノ酸等の苦みを改善するために、あ
るいは栄養分として糖質を加えて、液状栄養組成物とし
て保存するために滅菌等の加熱処理を行うとアミノカル
ボニルとの反応を生じ、製品が著しい着色を生じ、商品
価値を損なうという問題があった。また、液状栄養組成
物としてグルタミンを配合すると、前記のように加熱処
理する際に、グルタミンが分解消失するという問題があ
った。すなわち、L−アルギニン、グルタミン含有ペプ
チドおよび糖質を加えて、液状で配合し、嗜好性に優
れ、着色を防止し、更に経腸投与した場合の下痢の発生
を防止することができる栄養組成物を作ることは困難で
あった。
【0004】一方、L−アルギニン、グルタミン又はグ
ルタミン含有ペプチドを栄養組成物として用いる技術は
次のものが挙げられる。 (1)特開平2−191213号公報 (2)特開平7−258075号公報 (3)特開平6−9384号公報 (4)特開平5−236909号公報 (5)特開平7−255398号公報 (6)国際公開WO95/11019号公報 具体的には、前記の公知技術は、次のとおりである。
(1)の特開平2−191213号公報には、 「a)ポリアミンの合成に関連した化合物 b)ヌクレオ塩基源 c)オメガ−3ポリ不飽和脂肪酸および d)オメガ−6ポリ不飽和脂肪酸 の免疫刺激的に効果的な量の集合体からなる免疫刺激性
組成物」が開示されている。(2)の特開平7−258
075号公報には、「窒素源として、小麦グルテンの酵
素分解物を含むことを特徴とする保存安定性の高い経口
経腸栄養組成物」が開示されている。(3)の特開平6
−9384号公報には、「低いPHのアミノ酸を含んで
いる改良された味および口当たり性を有する経口的に摂
取可能な栄養組成物において、該アミノ酸がアルギニ
ン、バリンおよび、ポリアミン類の合成に関連する化合
物類からなる群から選択された該組成物」が開示されて
いる。(4)の特開平5−236909号公報には、
「グルタミンもしくは、グルタミン酸を構成するアミノ
酸の40%以上を含有するペプチド組成物」が開示され
ている。(5)の特開平7−255398号公報には、
「窒素源として、小麦グルテンの酵素分解物を含むこと
を特徴とする保存安定性および嗜好性の高い経口経腸栄
養組成物」が開示されている。(6)の国際公開WO9
5/11019号公報にはグルタミンの十分な量を含有
する消化組成物が開示されており、ホルモンの成長促進
を誘引するものとしての効果が記載されている。以上の
ように、L−アルギニン、および/またはグルタミン酸
若しくはグルタミン含有ペプチドを配合した栄養組成物
の経口投与では、嗜好性、特に苦みに問題があり、前記
の(3)の特開平6−9384号公報では、組成物にお
いて苦みを酸性にして改善する方法が示されている。ま
た、前記の(5)の特開平7−255398号公報に
は、小麦グルテンの酵素分解物をグルタミン含有ペプチ
ドとして40〜80%配合することにより苦味を改善す
る方法が開示されている。一方、L−アルギニン、グル
タミンの組み合わせでは、粉末状での配合であり、使用
時に、水に添加分散させるための手間が必要であるとい
う問題があった。したがって、前記のように、L−アル
ギニン、グルタミン含有ペプチドを組み合わせて、水溶
性乳化液の状態で含有して、嗜好性に優れ、かつ加熱殺
菌時の着色を抑え、経腸投与した場合の下痢の発生の防
止に優れた栄養組成物は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、L−アルギニン及びグルタミンを組み合わせて含有
して、苦みを改善し、かつ加熱時の色調変化や長期の安
定性に優れた水溶性乳化栄養組成物を提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、該栄養組成物を有効成分と
する経口および経腸栄養剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題点に鑑み鋭意検討した結果、L−アルギニン及び
グルタミン含有ペプチドを併用し、液のPHを特定の酸
性領域にすることによって上記問題点が改善ができるこ
との知見を得て、本発明を完成した。すなわち、本発明
は、次の(1)〜(7)である。 (1)A成分であるL−アルギニン及びB成分であるグ
ルタミン含有ペプチドを含有し、かつ液のPHが5.5
〜7.0である水性乳化栄養組成物。 (2)A成分であるL−アルギニン、B成分であるグル
タミン含有ペプチド及びC成分である非水溶性食物繊維
を含有し、かつ液のPHが5.5〜7.0である水性乳
化栄養組成物。 (3)A成分であるL−アルギニン、B成分であるグル
タミン含有ペプチド、C成分である非水溶性食物繊維、
D成分である中鎖脂肪酸トリグリセリド及びE成分であ
る核酸を含有し、かつ液のPHが5.5〜7.0である
水性乳化栄養組成物。 (4)A成分であるL−アルギニンを0.5〜1.5重
量%、B成分であるグルタミン含有ペプチドを0.5〜
2重量%含有し、窒素源、脂質、糖質、ビタミン、ミネ
ラル、乳化剤及び水を含み、かつ液のPHをクエン酸で
5.5〜7.0にしてなる水性乳化栄養組成物。 (5)A成分のL−アルギニンが0.5〜1.5重量
%、B成分のグルタミン含有ペプチドが0.5〜2.0
重量%、C成分の非水溶性食物繊維が0.3〜0.8重
量%、D成分の中鎖脂肪酸トリグリセリドが0.1〜
1.5重量%及びE成分の核酸が0.3重量%以下を含
有し、かつ液のPHが5.5〜7.0である水性乳化栄
養組成物。 (6)前記(1)〜(5)に記載の水性乳化栄養組成物
を有効成分とする経口栄養剤。 (7)前記(1)〜(5)に記載の水性乳化栄養組成物
を有効成分とする経腸栄養剤。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の水性乳化栄養組成物は、
A成分のL−アルギニン及びB成分のグルタミン含有ペ
プチド、さらには必要に応じてその他の各種栄養源、ビ
タミン、ミネラルを混合して得られる。
【0008】本発明の水性乳化栄養組成物に用いるA成
分のL−アルギニンは、ゼラチン、魚の白子の核蛋白質
などを分解し、精製したものでも良いが、発酵法により
産生し精製したものを好ましく挙げられる。
【0009】本発明の水性乳化栄養組成物に用いるB成
分のグルタミン含有ペプチドは、小麦グルテンやトウモ
ロコシ蛋白質のゼインの分解生成物が挙げられる。例え
ば、市販品としてはDMV社製小麦グルテン分解物であ
る商品名グルタミンペプチドWGE80GPAが好まし
く挙げられる。
【0010】必要に応じて、さらに、C成分である非水
溶性食物繊維、D成分である中鎖脂肪酸トリグリセリド
及びE成分である核酸を含有してもよい。
【0011】C成分である非水溶性食物繊維としては、
例えば、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチ
ン等が挙げられる。好ましくは、精製パルプを加水分解
した結晶セルロースに懸濁安定性を改良するために水溶
性天然多糖類として例えばカラヤガムなどによるコーテ
イングしたものが挙げられる。平均粒径としては、14
0μm以下が好ましい。市販品としては、旭化成工業
(株)社製、商品名アビセルRC−N81が挙げられ
る。
【0012】D成分の中鎖脂肪酸トリグリセリドは、例
えば炭素数8〜10の中鎖脂肪酸のトリグリセリドが挙
げられ、炭素数8〜10の脂肪酸は、単一の高純度のも
のでも、混合物でもよい。また、そのヤシ油、パーム
油、パーム核油等からの分画したものでも、中鎖脂肪酸
とグリセリン等から合成したものでもよい。好ましく
は、炭素数8〜10の脂肪酸トリグリセリドで、具体的
には、市販品として、日本油脂(株)製パナセート81
0等が挙げられる。
【0013】E成分の核酸としては、例えば、ヌクレオ
シドとして、アデノシン、グアノシン、ウリジン、シチ
ジン、デオキシチミジン、デオキシシチジン、ヌクレオ
チドとして、アデニル酸、グアニル酸、ウリジル酸、シ
チジル酸、デオキシチミジル酸、デオキシシチジル酸等
が挙げられる。またさらに、酵母由来のRNA、鮭等の
魚の白子由来の核蛋白、DNA、DNAナトリウム(ニ
チロ(株)社製)等が挙げられる。
【0014】各成分の配合割合は、A成分のL−アルギ
ニン、0.5〜1.5重量%、B成分のグルタミン含有
ペプチド、0.5〜2.0重量%、C成分の非水溶性食
物繊維、0.3〜0.8重量%、D成分の中鎖脂肪酸ト
リグリセリド、0.1〜1.5重量%及びE成分の核
酸、0.3重量%以下であることが望ましい。A成分の
L−アルギニンが0.5重量%より少ないと、ポリアミ
ンや蛋白質の合成促進の効果が少なく、1.5重量%よ
り多いと腸において下痢の発生が多くなり、好ましくな
い。B成分のグルタミン含有ペプチドが0.5重量%よ
り少ないと、腸管粘膜細胞エネルギー源としての効果が
少なく、2.0重量%より多いと、経口時の味が悪くな
るので好ましくない。C成分の非水溶性食物繊維が0.
3重量%より少ないと、L−アルギニンに由来する下痢
の発生を抑制することができにくくなり、0.8重量%
より多いと、製品の粘度が高くなり、チューブ等を経由
して送るときの流動性が悪くなるので好ましくない。D
成分の中鎖脂肪酸トリグリセリドが0.1重量%より少
ないと、腸から吸収してエネルギー源としての効果が少
なく、1.5重量%より多いと、油性が強くなり、口当
たりなど感触が悪くなるので好ましくない。E成分の核
酸が0.3重量%より多いと、取りすぎるようになり好
ましくない。
【0015】さらに、栄養組成物としては、その他の配
合物を加えて使用する。前記のように、その他の配合物
としては、窒素源、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルが
挙げられる。その際の添加量は、0.25ppm〜20
重量%である。
【0016】窒素源としては、例えば、アミノ酸類、カ
ゼイン、カゼインナトリウム、乳蛋白、大豆蛋白、並び
にこれらの蛋白質の酵素分解物等が挙げられる。その際
の添加量は、0.1〜4重量%である。
【0017】脂質としては、例えば、大豆油、ナタネ
油、コーン油、シソ油、魚油等が挙げられる。さらに
は、ω−3またはω−6の高度不飽和脂肪酸として、例
えばω−3高度不飽和脂肪酸としてエイコサペンタエン
酸、α−リノレン酸が挙げられ、それを多く含有する油
脂として魚油、シソ油が挙げられる。またω−6の高度
不飽和脂肪酸としては、リノール酸、アラキドン酸が挙
げられ、それを多く含有する油脂として、大豆油、コー
ン油が挙られる。これらの成分の含有量の高い油脂をそ
のまま用いても、あるいは精製した高純度品を用いても
よい。その際の添加量は、0.1〜3重量%である。
【0018】糖質としては、例えば、デキストリン、オ
リゴ糖、ショ糖等が挙げられる。製品の着色を抑えるた
めには、デキストリンが好ましく、さらに、分解度の低
いものがより好ましい。例えば分解度はDEとして表さ
れ、DE=8〜15のデキストリンが挙げられる。市販
品としては、商品名パインデックス#2、(DE=1
1)松谷化学(株)製が好ましく挙げられる 。その際
の添加量は、5〜20重量%である。
【0019】ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミン
B12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミ
ンK、ニコチン酸、葉酸、チアミン、リボフラビン、ニ
アシン、ビオチン、パントテン酸、β−カロチン等が挙
げられる。これらのビタミンは、栄養所要量を目安に予
めそれぞれを配合したものを用いてもよい。その際の添
加量は、0.01〜0.1重量%である。
【0020】ミネラルとしては、例えば、ナトリウム、
カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜
鉛、銅、鉄、セレン、クロム、モリブデン、リン、塩素
等が挙げられる。これらのミネラルは、これらを含む化
合物を、栄養所要量を目安に予めそれぞれを配合したも
のを用いてもよい。その際の添加量は、0.4〜1重量
%である。
【0021】本発明に用いる乳化剤としては、例えば、
ポリまたはモノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン
脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レ
シチンなどが挙げられる。好ましくは、中でも、コハク
酸モノグリセリド、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ソ
ルビタンモノ脂肪酸エステル等が挙げられる。より好ま
しくは、コハク酸モノグリセリドである。その際の添加
量は、0.1〜1重量%である。
【0022】液のPHを下げるためには、例えば、リン
酸、酢酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、塩酸、アミノ酸
等が使用できる。特に用途の点から、食品等級のものが
望ましい。また液のPHとしては、5.5〜7.0でな
ければならない。液のPHが5.5より低いと蛋白質の
凝集が起こりやすくなり安定な乳化液が得られにくくな
り、液のPHが7.0より高いと後述のように栄養組成
物の風味が悪くなる。
【0023】またさらには、嗜好性の改良などの点か
ら、例えば、風味や、口当たり性のための呈味料、香料
やハーブエッセンスをさらには着色料や酸化防止剤等を
添加してもよい。
【0024】前記の栄養組成物を調製するには、例え
ば、前記の成分を一括仕込みで、あるいは、順次配合物
を添加して、公知の方法によって、例えば、攪拌機、サ
ーキュレーター、高圧ホモジナイザー、デイスパー、マ
イクロフルイダイザー等の機械的に強力な分散機械を用
いて調製することができる。配合時の温度は、特に限定
されないが、好ましくは、10〜80℃、より好ましく
は、40〜60℃である。攪拌条件は特に限定されない
が、10分〜24時間である。より好ましくは、20分
〜1時間である。
【0025】さらに、必要に応じて、例えば長期保存な
どのために、加熱滅菌等の処理をすることが好ましい。
加熱滅菌等の処理としては、具体的には、100〜15
0℃で3秒〜20分であり、高温短時間殺菌では、13
0〜140℃、20秒、レトルト殺菌では、110〜1
30℃、5〜15分が望ましく挙げられる。
【0026】本発明の水性乳化栄養組成物は、そのまま
で、疾病患者の経口投与が可能であり、粉末のように使
用時に、分散あるいは溶解させる必要がない。また、経
腸栄養組成物として、手術前後にチューブを経由して、
投与することも可能である。手術前後の状態や患者の体
重や食欲等により異なるが、その際の投与量は、3〜6
0ml/kg体重/日であり、好ましくは、20〜50
ml/kg体重/日である。
【0027】
【発明の効果】本発明の水性乳化栄養組成物は、L−ア
ルギニン及びグルタミン含有ペプチドを含有し、液のP
Hが酸性の特定領域にあるので、配合時の製品の着色お
よび経口摂取時の苦みに対する改善が得られるため、高
栄養で、嗜好性、特に苦みに対する口当たり性が改善さ
れて疾病患者の経口投与がしやすくなり、また、製品の
着色防止や長期の安定性の改善をすることができる。さ
らに、本発明の水性乳化栄養組成物は、各種の成分を含
むために、免疫学的な賦活、蛋白代謝系の賦活をさせ
て、感染症の予防、創傷の早期治癒に効果がある。
【0028】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。 参考例1〜7 L−アルギニン、グルタミン含有ペプチド、ショ糖及び
クエン酸を表1の様に配合して、液のPHと味の関係を
調べた。結果を表1に併せて示した。
【0029】
【表1】
【0030】この結果から、液のPHを5.5〜7.0
にすると苦みが改善できることが分かった。 実施例1 攪拌機付ステンレススチール容器に、約60℃の精製
水、78.00kgを仕込み、L−アルギニン、0.7
5kg、ついでクエン酸、0.13kgを加えて、溶解
した。さらに、ミネラルミックス(予め配合した下記の
成分含有のもの)0.60kg、グルタミン含有ペプチ
ド(DMV社、商品名グルタミンペプチドWGE80G
PA)1.50kg、カゼインナトリウム{中央商工
(株)製、商品名インスタンラックS}2.0kgさら
にデキストリン{松谷化学(株)社製、商品名パインデ
ックス#2、分解度DE=11}14kg、ビタミンミ
ックス0.02kgを順次加えて、溶解した。次に予め
乳化剤としてコハク酸モノグリセリド製剤{理研ビタミ
ン(株)社製、商品名パンマック200(B)}0.3
kg、大豆油2.7kgと更に少量の香料(ミルクフレ
ーバー)を混合したものを加えて、60℃で20分間予
備乳化した。その後、高圧ホモジナイザー{三和機械
(株)社製}を用いて圧を500kg/cm2の均質化
圧をかけて均質化し、アルミパウチに小詰めし、その
後、温度122℃、時間6分の条件でレトルト殺菌を行
った。また、調製した水性乳化栄養組成物の測定結果を
表2に示した。
【0031】なお、用いたミネラルミックスは、市販の
各成分を含む塩を用いて予め配合したものであり、成分
は次のとおりである。 ナトリウム 153.33mg/g カリウム 195.00mg/g カルシウム 66.67mg/g リン 96.67mg/g マグネシウム 33.33mg/g 鉄 1.67mg/g
【0032】また、用いたビタミンミックスは、1g中
に次の各成分を含むものを予め配合した。 ビタミンA 10000 IU ビタミンB1 5 mg ビタミンB2 7 mg ビタミンB6 12 mg ビタミンB12 12 μg ビタミンC 360 mg ビタミンD 625 IU ビタミンE 50 mg ニコチン酸 85 mg 葉酸 1 mg パントテン酸 50 mg
【0033】
【表2】
【0034】(注)乳化剤は、コハク酸モノグリセリド
製剤{理研ビタミン(株)社製、商品名パンマック20
0(B)}を用いた。
【0035】なお、それぞれの測定方法を次に示した。 1.PH;食品添加物公定書、一般試験法29.0のP
H測定法に準じて測定した。 2.粘度;B型粘度計((株)東京計器、BLアダプタ
ー使用)を用いて測定した。 3.浸透圧;アドバンス浸透圧計3W2型(アドバンス
社製)を用いて氷点降下法で測定した。 4.色調;JIS Z 8729(1980年)に基づ
き、白色度(HW)に換算した。使用機種;色差計、カ
ーエースTC−8600型(東京電気(株)社製)を用
いた。 5.風味;パネラー5名により栄養組成物の試料約5g
を口に含み次の3段階で評価した。 評価点 評価 1 ;にがくて飲めない。風味不良 2 ;普通。 3 ;にがみもなく飲める。風味良好。 なお、合計点を求めて、次の記号で示した。 評価記号; 評点合計 ○ ;12〜15 △ ; 8〜11 × ; 5〜 7 6.乳化状態;調製した乳化液を100ml耐熱広口ビ
ンに100mlとり、密栓した後、122℃、6分の滅
菌処理を行い、30℃1週間放置して、その状態を目視
で観察し、次の3段階で評価した。 評価記号 ○ ;変化無し △ ;クリーミング発生 × ;二層に分離
【0036】7.便性試験(経腸) 下記の動物試験により実施例または比較例の水性乳化組
成物の試料を用いて、試験を行った。 1)実験動物及び飼育方法;5週齢のSD系雄のラット
を市販の固形餌料(CE−2、日本クレア社製)で1週
間の予備飼育した後、試験に用いた。ラットの飼育条件
は次のとおり。 (イ)温度22±2℃ (ロ)湿度50±10% (ハ)人工照明1日12時間(午前6時から午後6時ま
で) (ニ)飼育はSPF動物施設内で個別飼育 2)実施例1〜5および比較例1〜4の水性乳化栄養組
成物の投与;ラットの十二指腸内に留置したカテーテル
を経由して、インフュージョンポンプを用いて、約19
時間で230ml/体重kgの量を投与した。投与期間
は、4、5あるいは7日間連日で行った。 3)便性の検査 投与期間中毎日便性を観察し、次の4段階で評価した。 ×;水様便(糞形状を保っていない便) △;軟便(糞形状を保っているが、ケージ内ロートに付
着する便) ○;正常便(糞形状を保っていて、ケージ内ロートに付
着しない便) −;便なし
【0037】8.便性試験(経口) 実験動物及び飼育方法は、前記の便性試験(経腸)と同
様に行った。また、水性乳化組成物の投与は、5.5m
l/回を1日8回(午前9時より1時間置き)、胃ゾン
デを用いて強制経口投与した。投与期間は、4日間連日
で行った。便性の検査は便性試験(経腸)と同様に評価
した。
【0038】9.リンパ球の幼若化試験 1)実験動物及び飼育方法;4週齢のSD系雄のラット
を市販の固形餌料(CE−2、日本クレア社製)で1週
間の予備飼育した後、試験に用いた。ラットの飼育条件
は次のとおりである。 (イ)温度22±2℃ (ロ)湿度50±10% (ハ)人工照明1日12時間(午前6時から午後6時ま
で) (ニ)飼育はSPF動物施設内で個別飼育 (ホ)飼料はコバルト60照射減菌済みの固形餌料(C
E−2、日本クレア社製) および飲水(水道法水質基準に適した水)を自由に与え
た。 2)試験物質の投与;80ml/体重kg/日(20m
l/体重kg×4回/日)の量を胃ゾンデを用いて強制
経口投与した。投与期間は、4週間連日で行った。な
お、対照群として、L−アルギニンおよびグルタミン含
有ペプチドを添加していない市販の経腸栄養剤(商品
名:エンシュア・リキッド:ダイナボット社製)を同様
に投与した。動物の数は、オス8匹、メス8匹を用い
た。 3)幼若化の測定;投与期間終了後、24時間絶食し、
ペントバルビタールナトリウム(東京化成工業(株))
6.48mg/ml水溶液を5ml/体重kg腹腔内投
与し麻酔下で腹大動脈から採血し、リンパ球保存液で処
理した。コンカナバリンA(ConAと略す)による幼
若化反応を3H−サイミジン取込能測定法で測定した。 4)評価;次のように評価した。 ○;平均値において試験群が対照群より高値にある。幼
若化反応が強い。 ×;平均値において試験群が対照群と同等以下にある。
幼若化反応が同等若しくは弱い。
【0039】10.腸粘膜の萎縮性試験 1)顕微鏡観察;前記9の試験において測定用血液を採
血した後、放血致死させ、小腸腔腸を10%中性緩衝ホ
ルマリンで固定し、常法にしたがって、薄切標本を作製
し、H.E.染色後、顕微鏡観察した。 2)評価;試験群と比較し、次のように評価した。 ○;組織異常がなく、対照と比較して絨毛高が同等以上
に保たれている。 ×;組織異常が認められるか、または対照と比較して絨
毛の萎縮が認められる。
【0040】実施例2〜4 各成分を表2に示した組成となるように変えた以外は、
実施例1と同様にして水性乳化栄養組成物を調製した。
同様に各測定を行った。結果を表2に併せて示した。な
お、C成分である非水溶性食物繊維としては結晶セルロ
ース{商品名:アビセルRC−N81、旭化成工業
(株)製}を、また、D成分である中鎖脂肪酸トリグリ
セリドとしてパナセート810{日本油脂(株)社製}
を、E成分である核酸としてDNAナトリウム{(株)
ニチロ社製商品名}を所定量用いた。
【0041】実施例5 攪拌機付ステンレススチール容器に、約60℃の精製
水、78.48kgを仕込み、L−アルギニン、0.7
5kg、非水溶性食物繊維として、アビセルRC−N8
1{旭化成工業(株)社製商品名}0.5kgついでク
エン酸0.13kgを加えて、溶解した。さらに、ミネ
ラルミックス(予め配合した前記の成分含有のもの)
0.60kg、グルタミン含有ペプチド(DMV社、商
品名グルタミンペプチドWGE80GPA)1.6k
g、DNAナトリウム{(株)ニチロ社製}0.12k
g、カゼインナトリウム{商品名インスタンラックS、
中央商工(株)社製}2.0kgさらにデキストリン
{松谷化学(株)社製、商品名パインデックス#2、分
解度DE=11}11kg、ショ糖2.0kg、ビタミ
ンミックス0.02kgを順次加えて、溶解した。次に
予め乳化剤としてコハク酸モノグリセリド{理研ビタミ
ン(株)社製商品名パンマック200(B)}0.3k
gとコーン白絞油1.3kgと中鎖脂肪酸トリグリセリ
ドとして日本油脂(株)製パナセート810、1.2k
g、更に少量の香料(ミルクフレーバー)を混合したも
のを加えて、60℃で20分間予備乳化した。さらにそ
の後、高圧ホモジナイザー{三和機械(株)社製}を用
いて、圧を500kg/cm2の均質化圧をかけて均質
化し、アルミパウチに小詰めし、その後、温度122
℃、時間6分の条件でレトルト殺菌を行なった。
【0042】比較例1〜5 表3に示した配合組成で実施例1と同様にして水性乳化
栄養組成物を調製した。同様にして試験した結果を表3
に併せて示した。なお、比較例3は水溶性食物繊維を比
較例4は非水溶性食物繊維を用いた。
【0043】
【表3】 (注)水溶性食物繊維としてはコーンファイバー{日本
食品化工(株)社製、商品名日食セルエース}を用い
た。
【0044】以上の結果から、L−アルギニンまたはグ
ルタミン含有ペプチド単独の系では、色調、風味、乳化
状態および便性試験結果のすべてを満足するものがな
く、1つ以上の問題を生じて好ましくない。L−アルギ
ニンとグルタミン含有ペプチドの組み合わせにおいても
PHが7.0を超えると着色不良、風味不良が生じ好ま
しくないことが確認された。一方、L−アルギニン及び
グルタミン含有ペプチドを組み合わせ、PHを5.5か
ら7.0に維持した場合は、色調、風味、乳化状態およ
び便性試験結果のいずれにおいても良好な状態であるこ
とがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/70 A61K 31/70 31/715 31/715 33/00 33/00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A成分であるL−アルギニン及びB成分で
    あるグルタミン含有ペプチドを含有し、かつ液のPHが
    5.5〜7.0であることを特徴とする水性乳化栄養組
    成物。
  2. 【請求項2】A成分であるL−アルギニン、B成分であ
    るグルタミン含有ペプチドおよびC成分である非水溶性
    食物繊維を含有し、かつ液のPHが5.5〜7.0であ
    る水性乳化栄養組成物。
  3. 【請求項3】A成分であるL−アルギニン、B成分であ
    るグルタミン含有ペプチド、C成分である非水溶性食物
    繊維、D成分である中鎖脂肪酸トリグリセリド及びE成
    分である核酸を含有し、かつ液のPHが5.5〜7.0
    である水性乳化栄養組成物。
  4. 【請求項4】A成分のL−アルギニンを0.5〜1.5
    重量%及びB成分のグルタミン含有ペプチドを0.5〜
    2重量%含有し、さらに窒素源、脂質、糖質、ビタミ
    ン、ミネラル、乳化剤、水を含有し、クエン酸で液のP
    Hを5.5〜7.0にしてなる水性乳化栄養組成物。
  5. 【請求項5】A成分のL−アルギニンが0.5〜1.5
    重量%、 B成分のグルタミン含有ペプチドが0.5〜2.0重量
    %、 C成分の非水溶性食物繊維が0.3〜0.8重量%、 D成分の中鎖脂肪酸トリグリセリドが0.1〜1.5重
    量%及びE成分の核酸が0.3重量%以下を含有し、か
    つ液のPHが5.5〜7.0である水性乳化栄養組成
    物。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれかに記載の水性
    乳化栄養組成物を有効成分とする経口栄養剤。
  7. 【請求項7】請求項1ないし5のいずれかに記載の水性
    乳化栄養組成物を有効成分とする経腸栄養剤。
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