JPH10140332A - 非晶質ito膜の作製方法 - Google Patents

非晶質ito膜の作製方法

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JPH10140332A
JPH10140332A JP33775996A JP33775996A JPH10140332A JP H10140332 A JPH10140332 A JP H10140332A JP 33775996 A JP33775996 A JP 33775996A JP 33775996 A JP33775996 A JP 33775996A JP H10140332 A JPH10140332 A JP H10140332A
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ito film
film
substrate
frequency power
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JP33775996A
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English (en)
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Keiji Ishibashi
啓次 石橋
Kazufumi Watabe
一史 渡部
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Original Assignee
Anelva Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 In,Snの酸化物をターゲットとしたマグ
ネトロンスパッタリング法によるITO膜の作製におい
て、微結晶構造が混在しない非晶質のITO膜を安定に
作製できる方法を提供する。 【解決手段】 インジウム(In)と錫(Sn)の酸化
物をターゲットとして用い、ターゲットの背面にマグネ
ットを設置し、スパッタリングガスとして希ガスのみあ
るいは希ガスと酸素を導入した雰囲気中でターゲットに
電力を供給し、ターゲットの表面近傍にプラズマを収束
させ、スパッタリング現象を利用して基板上にITO膜
を形成した高周波マグネトロンスパッタリング法を用い
たITO膜の作製方法であり、基板の温度をITO膜の
結晶化温度以下に保持し、ターゲットに供給される電力
を高周波電力とし、かつこの高周波電力を周期的に停止
し、または低下させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非晶質ITO膜の作
製方法に関し、特に、高周波マグネトロンスパッタリン
グ法を利用して非晶質のITO膜を作製する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インジウム(In)と錫(Sn)と酸素
(O)からなるITO膜(In2 3:Sn膜)は可視
光領域に対して高い透過性と電気伝導性を有する。この
ためITO膜はフラットパネルディスプレイの透明電極
として用いられる。ITO膜は液晶ディスプレイ(以下
LCDと記す)では重要な膜である。
【0003】LCDの透明電極のパターンを形成するに
は二通りの方法がある。一つの方法は、ITO膜の結晶
化温度以下の低温の基板上で当該ITO膜を作製し、湿
式エッチングによりパターンを形成し、その後、熱処理
を行って電気伝導性と可視光透過性を向上させる方法で
ある。他の方法は、基板の温度をITO膜の結晶化温度
以上に保持して、電気伝導性と可視光透過性の良いIT
O膜を作製した後、湿式エッチングによりパターンを形
成する方法である。前者の方法で湿式エッチング前のI
TO膜は非晶質膜である。これに対して、後者の方法で
湿式エッチング前のITO膜は多結晶膜である。非晶質
のITO膜は、多結晶のITO膜に比べて、エッチング
速度が2桁以上速いので、エッチング工程にかかる時間
が短くて済む。また非晶質のITO膜は、パターン形状
が良好なので、LCDの高精細化で要求される微細加工
に関して有利である。
【0004】ITO膜の作製方法としてスパッタリング
法、蒸着法、スプレー法、塗布法、CVD法などがあ
る。LCDの透明電極用ITO膜の作製には、大面積基
板の上に均一に成膜できるスパッタリング法が最も広く
用いられている。
【0005】スパッタリング法は良く知られた薄膜形成
方法である。スパッタリング法では、真空室で、アルゴ
ン等の希ガスあるいは当該希ガスに反応性ガス(酸素や
窒素等)を混合したガスを導入しかつターゲットに電力
を供給してプラズマを発生させ、スパッタリング現象を
利用してターゲット構成元素を基本構成元素とする薄膜
を基板上に形成する。特にマグネトロンスパッタリング
法が量産において最も広く用いられている。マグネトロ
ンスパッタリング法では、ターゲットの表面近傍にプラ
ズマを収束させ、成膜速度を向上させるため、ターゲッ
トの背面にマグネットを配置している。ITO膜を作製
する場合にはInとSnの酸化物からなるターゲットが
用いられる。このターゲットは導電性があり、直流電力
を供給してスパッタリングすることができる。そこで、
現在のマグネトロンスパッタリング法では一般にコスト
が低く制御が簡単な直流が用いられている。これを直流
マグネトロンスパッタリング法という。前述の非晶質の
ITO膜の製作でも、この直流マグネトロンスパッタリ
ング法が用いられていた。
【0006】直流マグネトロンスパッタリング法を用い
かつ基板の温度をITO膜の結晶化温度以下に保持して
作製したITO膜は、基本的には非晶質構造であるが、
完全な非晶質膜ではない。このITO膜は微結晶構造を
含んでいる。
【0007】図2に、直流マグネトロンスパッタリング
法を用い、10℃の温度に保持された基板の上に作製し
たITO膜のX線回折パターンを示す。使用したターゲ
ットはIn2 3 にSnO2 を10wt%添加した密度
97%の焼結体ターゲットである。ターゲットと基板の
間の距離(以下「ターゲット・基板間距離」と呼ぶ)は
115mm、スパッタリング圧力は0.8Pa(スパッタ
リングガスはArのみ)である。2θ=30°のあたり
に弱い結晶ピーク11が観察される。このようなITO
膜を湿式エッチングすると、非晶質膜の中に混在する上
述の微結晶構造が、エッチング速度の大きな違いからエ
ッチング残渣(エッチング跡の残りかす)として基板上
に取り残される。このエッチング残渣は電極パターンの
形状を悪くする。さらに、多量のエッチング残渣が生じ
ると、電極間にリーク電流が流れ、画像のムラを引き起
こし、LCDにおける欠陥発生の原因となる。
【0008】直流マグネトロンスパッタリング法を用い
る場合であって、上記エッチング残渣を生じさせない均
質な非晶質のITO膜を作製する方法として、低酸素導
入、高スパッタリング圧力、成膜前の高い到達圧力の条
件を与えることが有効であると報告されている(北原
等、Proc. 1st Int'l Symp. on ISSP '91, 149ページ(1
991))。しかし、酸素導入量やスパッタリング圧力はI
TO膜の比抵抗や透過率といった基本特性に大きく関わ
るパラメータであり、ITO膜の基本特性(正確には熱
処理後の基本特性)から必然的に決定される。ITO膜
の基本特性から決定された条件では、やはり微結晶構造
が混在した非晶質膜となる。
【0009】ITO膜の基本特性に対する成膜前の到達
圧力の影響は、酸素導入量やスパッタリング圧力ほど大
きくはない。しかし、到達圧力が高くなると、比抵抗は
増加する。このため比抵抗の限界に近い膜が要求される
場合には、この比抵抗の増加も無視できなくなり、問題
となる。
【0010】さらに到達圧力の残留ガス成分はほとんど
が水蒸気の分圧であり、一般の量産用装置では連続的に
成膜を行うため、成膜室の雰囲気に含まれる水蒸気の分
圧が時間経過と共に低下する。従って、初期に到達圧力
を高くしてエッチング残渣が発生しないようにしておい
ても、ITO膜の生産に伴ってエッチング残渣が発生
し、次第にその量が増加する。これを抑制する方法とし
て水蒸気を導入して成膜中の水蒸気の分圧を制御するこ
とが考えられるが、壁面等の吸着量の経時変化等により
その分圧を精密に制御することは実際上困難である。
【0011】以上のように、実際に用いられているIT
O膜は、膜の基本特性(熱処理後の基本特性)が実用レ
ベルのものであり、基本的に非晶質構造であるが、少な
からず微結晶構造の混在した膜である。しかし、かかる
膜であっても、実際のLCD形成では、エッチング時間
を長くして(以下「オーバーエッチング」という)エッ
チング残渣を無視できる程度まで減少させ、実用化を達
成している。
【0012】ところで、マグネトロンスパッタリング法
には、ターゲットに高周波電力を供給する高周波マグネ
トロンスパッタリング法もある。InとSnの酸化物か
らなるターゲットを用いたITO膜の作製法では、直流
マグネトロンスパッタリング法よりも高周波マグネトロ
ンスパッタリング法を用いた方が、低比抵抗、高透過率
の良好な膜を形成できることが報告されている(例えば
第14回応用物理学関連連合講習会予稿集、370ペー
ジ、講習番号28p−ME−14、(1994))。しかしな
がら、高周波マグネトロンスパッタリング法を用いたI
TO膜作製に関する今までの報告は、いずれも、電気伝
導性および可視光透過率といった膜の基本特性について
の報告である。本発明者の知る限り、基板温度をITO
膜の結晶化温度以下に保持して、高周波マグネトロンス
パッタリング法により非晶質ITO膜を成膜した例はな
い。
【0013】InとSnの酸化物からなるターゲットを
用いた高周波マグネトロンスパッタリング法では、ター
ゲット上のターゲット面に垂直な磁場成分がゼロとなる
部分、すなわちターゲットが最も食刻される部分でアー
クが回転するという独特の異常放電が発生する。この異
常放電はトラッキングアークと呼ばれる。このトラッキ
ングアークのため、高周波マグネトロンスパッタを利用
した成膜法では、安定なITO膜を作製できなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、先に、
上述した高周波マグネトロンスパッタリング法の問題を
考慮し、トラッキングアーク発生の問題を解決する手段
として、ターゲットに供給する高周波電力を周期的に停
止あるいは低下させる方法を提案した(「ITO透明導
電膜の作製方法」、特願平8−52255号)。この方
法によれば、InとSnの酸化物からなるターゲットを
用いた高周波マグネトロンスパッタリング法を利用し
て、ITO膜を安定に作製できるようになった。
【0015】ところで、現在のLCDの開発では、高精
細化と高画質化が進み、LCDの素子そのものの微細化
が必要となっている。この状況において、前述の直流マ
グネトロンスパッタリング法を用いると、基板温度をI
TO膜の結晶化温度以下に設定しても、作製されたIT
O膜は非晶質膜中に微結晶構造が混在した膜となる。現
状では、このような膜であっても、オーバーエッチング
を行い、エッチング残渣を無視できる程度まで減少させ
ることで実用化している。しかしながら、エッチング残
渣が無視できるほどになるまでオーバーエッチングする
と、膜面に水平な方向にエッチングが進み(以下「サイ
ドエッチング」という)、電極と電極の間が必要以上に
拡がる。このため、微細化に限界があり、LCDの高精
細化ができないという問題を生じていた。
【0016】以上のように、現在使用されている非晶質
ITO膜は、厳密には非晶質膜中に微結晶構造の混在し
た膜であるため、エチング残渣が障壁となり、今後のL
CDの高精細化においては大きな問題である。従って、
微結晶構造が混在しない非晶質膜であって、しかも熱処
理後の基本特性が実用レベルであるITO膜が要求され
ている。
【0017】本発明の目的は、上記課題を解決すること
にあり、In,Snの酸化物をターゲットとしたマグネ
トロンスパッタリング法によるITO膜の作製におい
て、微結晶構造が混在しない非晶質のITO膜を安定に
作製する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる非晶質I
TO膜の作製方法は、上記目的を達成するため、インジ
ウム(In)と錫(Sn)の酸化物をターゲットとして
用い、ターゲットの背面にマグネットを設置し、スパッ
タリングガスとして希ガスのみあるいは希ガスと酸素を
導入した雰囲気中でターゲットに電力を供給し、ターゲ
ットの表面近傍にプラズマを収束させ、スパッタリング
現象を利用して基板上にITO膜を形成する高周波マグ
ネトロンスパッタリング法を用いたITO膜の作製方法
であり、基板の温度をITO膜の結晶化温度以下に保持
にすると共に、ターゲットに供給される電力を高周波電
力とし、かつこの高周波電力を周期的に停止したことを
特徴とする。
【0019】上記の方法において、高周波電力を周期的
に停止する代わりに周期的に低下させることも可能であ
る。
【0020】以下に、上記目的を達成する解決手段とし
て、前述した本発明の構成に到った知見を述べる。
【0021】基板の温度をITO膜の結晶化温度以下に
設定し、従来の直流マグネトロンスパッタリング法を用
いて作製されたITO膜では、そのエッチング残渣が、
今後のLCDの高精細化に大きな問題となる。エッチン
グ残渣の発生原因は非晶質膜中に微結晶構造が混在する
ことによる。本発明者等は、エッチング残渣の発生原因
である非晶質膜中の微結晶構造混在の問題を解決すべく
鋭意研究した。その結果、直流マグネトロンスパッタリ
ング法の場合には、基板温度をITO膜の結晶化温度以
下にしても微結晶構造が生じる原因について、次のよう
な考えに到った。
【0022】一般にスパッタ粒子(ターゲットからスパ
ッタリングされた粒子)の初期エネルギーの分布は、タ
ーゲットに入射する一次イオンのエネルギーに関わらず
2〜3eVにピークがある。しかし、一次イオンのエネ
ルギーが高くなると、粒子の持つ最も高いエネルギーが
高エネルギー側へシフトし、高エネルギーを持つ粒子の
割合が増加する。ターゲットから飛び出したスパッタ粒
子は、基板に到達するまでにスパッタリングガス分子と
衝突を繰り返しエネルギーを失う。2eV程度のエネル
ギーの場合、すべての粒子がエネルギーを失い熱平衡化
するまでの衝突回数は、スパッタ粒子の質量とスパッタ
リングガスの分子の質量との関係で多少異なるが、およ
そ30回程度である。
【0023】直流マグネトロンスパッタリング法を用い
てInとSnの酸化物からなるターゲットをスパッタリ
ングした場合、そのターゲットの電位は−300〜−4
50V程度であるので、一次イオンのエネルギーは30
0〜450eV程度となり、ターゲットから飛び出すス
パッタ粒子のエネルギーは最高20〜30eVと見積も
ることができる。一般に直流マグネトロンスパッタリン
グ法によりITO膜を作製する場合、ターゲット・基板
間距離とスパッタリング圧力はそれぞれ150mm以下と
1Pa以下で行われている。ターゲット・基板間距離を
150mm、スパッタリング圧力を1Paとした場合、ス
パッタ粒子は基板に入射するまでにスパッタリングガス
分子と100〜200回程度衝突することになる。10
eV程度のエネルギーのスパッタ粒子であればほとんど
すべてが熱平衡化されるが、30eV程度のエネルギー
を持つスパッタ粒子は平均的に5〜10eV程度のエネ
ルギーを持ったまま基板に入射する。基板温度が室温程
度の場合、ITO膜の結晶化が生じるエネルギーは実験
結果等から2eV弱と予想される。従って、これ以上の
エネルギーを持ったスパッタ粒子によって非晶質中に微
結晶構造が形成されるものと考えられる。よって基板に
入射するスパッタ粒子のエネルギーをITO膜の結晶化
が起こるエネルギー以下に低減すれば、微結晶構造の形
成を抑制できることになる。
【0024】スパッタ粒子の基板に入射するエネルギー
を低減するためには、スパッタリングガス分子との衝突
回数を増やすこと、または、スパッタ粒子がターゲット
から放出されるときの初期エネルギーそのものを低くす
ること、が必要である。前者はスパッタリング圧力を高
くすること、またはターゲット・基板間距離を広げるこ
とで可能である。しかしながら、この方法では成膜速度
が低下し、実際の生産では問題となる。またスパッタリ
ング圧力に関しては、前に述べたように膜の基本特性に
影響を及ぼすので、あまり高くすることは好ましくな
い。従って、本発明では、後者のスパッタ粒子の初期エ
ネルギーそのものを低くすることで問題を解決しようと
するものである。
【0025】本発明による方法では、前提として、高周
波マグネトロンスパッタリング法を利用し、基板の温度
はITO膜の結晶化温度以下に保持される。かかる温度
の基板の上に、高周波マグネトロンスパッタリング法に
基づく成膜を行う。前に述べたように、スパッタ粒子の
初期エネルギーの分布は、2〜3eVにピークを持ち、
一次イオンのエネルギーが高くなると高エネルギー側に
テールを引く。換言すると、一次イオンのエネルギーが
低いと高エネルギー成分がなくなるということである。
従って、この初期エネルギーを低下させるには、一次イ
オンのエネルギーを低くしてやればよいことに注目し
た。
【0026】InとSnの酸化物からなる物質をターゲ
ットとした高周波マグネトロンスパッタ法では、一次イ
オンのエネルギーはプラズマの電位とカソードにかかる
自己バイアスとの電位差に相当する。一般的な条件下に
おけるその電位差は−100〜−150V程度であり、
一次イオンのエネルギーは100〜150eV程度とな
る。これは通常の直流マグネトロンスパッタリング法の
場合の1/2〜1/3の値である。
【0027】一次イオンのエネルギーが100〜150
eVの場合、スパッタ粒子のエネルギーは最高でも10
〜15eV程度と見積もられる。この程度のエネルギー
であれば50〜100回程度のガス分子との衝突で2e
V以下に下げられる。すなわち、従来の一般的なターゲ
ット・基板間距離とスパッタリング圧力でも、スパッタ
粒子のエネルギーを結晶化に寄与できなくなるエネルギ
ーまで低下させることができる。従って、たとえ酸素導
入量とスパッタリング圧力が膜の基本特性から決定され
る値であっても、直流マグネトロンスパッタリング法の
場合のごとく結晶化を生じることはなく、微結晶構造の
混在しない非晶質ITO膜を得ることができる。
【0028】さらに本発明では、高周波マグネトロンス
パッタリング法において、ターゲットに供給する高周波
電力を周期的に停止し、あるいは周期的に低下させる。
InとSnの酸化物をターゲットとして用いた高周波マ
グネトロンスパッタリング法では、前述の通りトラッキ
ングアークが発生する。トラッキングアークが発生する
と成膜速度が低下したり、まったく成膜されなくなった
りする。また成膜されたとしても特性のまったく異なっ
た高比抵抗で不透明な膜が形成される。このようにトラ
ッキングアークが発生すると、安定して微結晶構造の混
在しない非晶質ITO膜を作製することができなくな
る。
【0029】先に、本発明者等は、当該トラッキングア
ーク発生の原因について検討し、ターゲット上の再付着
物あるいはプラズマ/シース界面に凝集する粒子のチャ
ージングがトラッキングアークの発生原因であるという
考えに到った。そして、周期的にプラズマを消す、ある
いは周期的にプラズマ密度を低下させることで、トラッ
キングアークの発生を抑制できることを見出した。
【0030】すなわち、トラッキングアーク発生の問題
を解決する手段として、ターゲットに供給する高周波電
力を周期的に停止あるいは低下させる方法を提案した
(前述の特願平8−52255号)。本発明では、さら
に、当該方法を適用してトラッキングアーク発生を抑制
し、微結晶構造の混在しない非晶質ITO膜を安定に得
ることを可能にしている。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明に係るITO膜の作製方法
は、高周波電力を利用してマグネトロンスパッタリング
法を行い、非晶質ITO膜の作製するものである。ター
ゲットには、InとSnの酸化物を使用する。このター
ゲットの背面にはマグネットが設置される。スパッタリ
ングガスとしては、希ガスのみあるいは希ガスと酸素が
使用される。かかるスパッタリングガスを導入した雰囲
気中で、ターゲットに電力を供給し、ターゲットの表面
近傍にプラズマを収束させ、スパッタリング現象を利用
して基板の上にITO膜を形成する。当該基板は、IT
Oの結晶化温度以下に保持される。またターゲットに供
給される電力は高周波電力であって、周期的に停止され
る。また高周波電力を周期的に停止する代わりに、周期
的に低下させることも可能である。次に、より具体的な
実施例を説明する。
【0032】
【実施例】第1の実施例を説明する。この実施例では、
上記のターゲットにIn2 3 にSnO2 を10wt%
添加した密度97%の焼結体ターゲットを用いた。ター
ゲットの背面に配置されたマグネットによってターゲッ
トの表面で作られる磁場の強度は、ターゲット面に垂直
な成分が0Gauss となる箇所、すなわちターゲットが最
もスパッタリングされる箇所で、ターゲット面に平行な
成分が約250Gauss であった。
【0033】基板は、ターゲット・基板間の距離を11
5mmとしてターゲットに対向して配置され、その温度は
約10℃に保持された。スパッタリング装置の到達圧力
は、2×10-5Pa以下であった。スパッタリング室に
スパッタリングガスとしてArとO2 をそれぞれ500
sccmと0.1sccm導入し、スパッタリング圧力を0.8
Paに設定した。この導入した酸素量は、作製した膜の
比抵抗が熱処理後に最小となる値である。真空中および
大気中において異なった処理温度および処理時間で熱処
理を行ったが、比抵抗が最小になる酸素導入量はほぼ同
じであった。成膜は、ターゲットに1.5W/cm2 の電
力密度(投入電力/ターゲット面積)で、13.56M
Hzの高周波電力を間欠的に供給して行った。間欠的供
給に関しては、供給時間を5msec、停止時間を1msecに
設定した。
【0034】以上の成膜条件で作製した膜のX線回折パ
ターンを図1に示す。このX線回折パターンでは、前述
の図2と比較して、結晶ピークは表れず、微結晶構造が
混在しない非晶質膜が作製されたことがわかる。
【0035】上記第1実施例では、高周波電力の供給を
間欠的に行ったが、基本的には、高周波マグネトロンス
パッタリング法による成膜が行われた。高周波電力の供
給時のターゲットに印加される自己バイアス電圧は−1
30Vであった。プラズマの電位は、本実施例で用いた
スパッタリング装置の構成上測定できなかったが、通常
では20V程度以下である。従って、1次イオンのエネ
ルギーは最高でも150eV程度あったと推定される。
このことからスパッタ粒子のエネルギーは最高でも15
eV程度であると見積もられる。15eV程度であれ
ば、本実施例のスパッタリング圧力およびターゲット・
基板間距離でもスパッタリングガス分子との散乱により
2eV以下に下げることができる。しかも、ほどんどの
スパッタ粒子は数eV程度のエネルギーであり、これら
は、本実施例のスパッタリング圧力およびターゲット・
基板間距離で十分に熱平衡化できる。よって本実施例で
は、結晶化を生じることなく、非結晶のITO膜を作製
することができた。
【0036】さらに上記第1実施例では、高周波電力を
間欠的に供給するようにしたので、異常放電はまったく
発生せず、安定に放電を維持することができた。その結
果、再現性よく非晶質のITO膜を形成できた。本実施
例で異常放電がなく安定に放電を発生できた理由は、高
周波電力を供給した時間5msecが、異常放電の発生まで
の時間よりも短く、また高周波電力の供給を停止した時
間1msecが、供給時間5msec内に生じたチャージングを
緩和するのに十分であったためである。
【0037】また上記実施例では、高周波電力を供給す
る時間を5msecに設定したが、この供給時間は異常放電
が発生するまでの時間よりも短ければよく、本実施例の
内容に限定されるものではない。同様に、高周波電力の
供給の停止時間も1msecに限定されない。高周波電力の
供給停止時間は、供給を行う時間内に生じるチャージン
グが緩和されればよく、1msecよりも短くて構わない。
高周波電力の供給時間および供給停止時間は、実質的に
は、msecオーダ、長くても100msecオーダに設定さ
れ、成膜速度が点から供給時間に対して供給停止時間を
できるだけ短く設定するのが望ましい。さらに、ターゲ
ットに供給される高周波電力の電力密度も、本実施例の
数値に限定されない。ただし、高周波電力が変わると、
異常放電発生までの時間が変わるので、投入する高周波
電力により供給時間および停止時間を調整する必要があ
る。
【0038】次に本発明の第2の実施例を説明する。第
2の実施例では、高周波電力の供給の仕方を除いて、他
の条件については第1の実施例で述べた条件と同じであ
る。本実施例ではターゲットに供給する高周波電力を周
期的に低下させる。すなわち1.5W/cm2 の電力密度
で高周波電力をターゲットに供給し、この高周波電力
を、電力密度にして0.3W/cm2 に周期的に低下させ
た。電力密度1.5W/cm2 で供給する時間を5msec、
電力密度0.3W/cm2 で供給する時間を2msecとし
た。
【0039】第2の実施例でも、図1に示すX線回折パ
ターンと同様の結晶ピークのないX線回折パターンが得
られ、微結晶構造が混在しない非晶質ITO膜が作製で
きた。また本実施例でも、長時間、異常放電はまったく
発生せず、安定に放電でき、再現性良く非晶質ITO膜
の形成を行うことができた。さらに、本実施例における
高周波電力の供給の仕方では、電力供給を完全に止めて
しまわないので、供給を完全に停止してしまう場合に比
べて放電維持圧力を低く設定することができ、低いスパ
ッタリング圧力においても非晶質ITO膜の形成が可能
である。
【0040】第2の実施例において、異常放電がなく、
長時間安定に放電できた理由の一つは、第1の実施例の
説明において述べたことと同様に、電力密度1.5W/
cm2で供給を行う時間5msecが、異常放電の発生までの
時間に対して充分に短かったためである。そして他の一
つには、電力密度0.3W/cm2 が、異常放電を引き起
こすほどのチャージングを生じず、逆に電力密度1.5
W/cm2 で電力供給を行った時間内に生じたチャージン
グを緩和できたためであり、またその時間が2msecでも
充分であったためである。
【0041】第2の実施例では電力密度1.5W/cm2
で高周波電力を供給した時間を5msecに設定したが、こ
れら高周波電力密度および時間は本実施例に限定される
ものではない。例えば高周波電力を高くした場合には供
給時間を短くすればよい。さらに、本実施例では、高周
波電力の周期的な低下において電力密度を0.3W/cm
2 、時間を2msecに設定したが、これらの数値に限定さ
れるものではない。ただし、電力密度が高くなるほどチ
ャージングの緩和に時間がかかり、また電力密度が高く
なりすぎると、緩和どころか逆にチャージングしてしま
い異常放電が発生してしまう。従って、実質的には放電
維持できる最低の電力密度程度に設定するのが望まし
い。そして、高周波電力を低下せずに供給する時間およ
び低下させて供給する時間は、実質的には本実施例のよ
うにmsecオーダ、長くても100msecオーダに設定し、
成膜速度の点から電力を低下させずに供給する時間に対
して低下させる時間をできるだけ短くするのが望まし
い。
【0042】以上、In2 3 に対しSnO2 を10w
t%添加した焼結体(密度97%)をターゲットとし
た、高周波マグネトロンスパッタリング法による非晶質
ITO膜形成の実施例について述べたが、ターゲットの
組成、作製方法、および密度等については上記実施例の
ものに限られるものではない。同じ非晶質ITO膜を形
成するためのターゲットでも、SnO2 の添加量が異な
るもの、あるいは焼結体ではなくプレスしただけのも
の、密度が異なるもの等に対しても本発明による非晶質
ITO膜の作製方法を適用できる。
【0043】ターゲットと基板の位置関係についても本
実施例に限られるものではなく、例えば、ターゲットの
前を基板を移動させながら成膜を行うインライン成膜法
においても、基板をITOの結晶化温度以下に保持でき
ればよく、本発明のITO膜の作製方法を適用できる。
ターゲットの背面に配置したマグネットの発生する磁場
強度は本実施例に限られるものではない。磁場強度を強
くすると、ターゲットにかかる自己バイアスが低下する
ので、本実施例よりもさらに低いスパッタリング圧力お
よび短いターゲット・基板間距離でも、スパッタ粒子の
エネルギーを十分に低減でき、非晶質ITO膜を作製す
ることができる。しかし、磁場強度が強くなり過ぎる
と、ターゲットにかかる自己バイアスが低くなり過ぎ、
スパッタリングイールドが低下してしまうので、磁場強
度は成膜速度との兼ね合いで設定する必要がある。
【0044】上記の各実施例では、基板温度を10℃に
設定したが、基板温度はITOの結晶化温度以下であれ
ばよく、本実施例の温度に限定されるものではない。Si
gesato等の報告(Advanced Materials '93, IV, Laser
and Ion Beam Modificationof Materials, 503 ページ
(Elsever, Amsterdam, 1994))によれば、非晶質ITO
の熱処理による結晶化温度は150℃程度である。従っ
て基板の温度は、この温度以下であればよい。しかし、
基板は成膜中にプラズマに曝されるため、その温度は成
膜する前の初期の設定温度よりも上昇してしまう。この
ため基板の冷却が可能な装置を用いることが望ましく、
初期の基板温度はこの温度上昇を加味して設定する必要
がある。
【0045】上記の各実施例でのターゲットに供給する
高周波電力の周波数は13.56MHzであったが、本
実施例の周波数に限定されない。周波数を高くするとタ
ーゲットにかかる自己バイアスが低下するので、磁場強
度を強くするのと同様に、本実施例よりもさらに低いス
パッタリング圧力および短いターゲット・基板間距離で
も、非晶質ITO膜を作製できる。
【0046】上記の各実施例では、ArガスにO2 ガス
を添加したスパッタリングガスを用いた場合について述
べたが、スパッタリングガスはこれに限らず、他の希ガ
スを用いた場合でも本発明の非晶質ITO膜の作製方法
を適用できる。例えばArよりも重いKr(クリプト
ン)やWe(キセノン)を用いると、Arの場合よりも
少ない散乱でスパッタ粒子の熱平衡化ができるので、本
実施例よりもさらに低いスパッタリング圧力および短い
ターゲット・基板間距離でも、非晶質ITO膜を作製す
ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、InおよびSnの酸化物をターゲットとしたマグ
ネトロンスパッタリング法によるITO膜の作製におい
て、高周波マグネトロンスパッタリング法を用いるた
め、スパッタ粒子のエネルギーが通常のスパッタリング
圧力およびターゲット・基板間距離においても、基板に
入射するスパッタ粒子のエネルギーを十分に低くでき、
しかもITOの結晶化温度以下に保持した基板上へ成膜
するので、たとえ酸素導入量およびスパッタリング圧力
が膜の基本特性から決定される値であっても結晶化を生
じることはなく、微結晶構造の混在しない非晶質のIT
O膜を作製できる。
【0048】さらに本発明では、高周波電力を供給した
後、異常放電が発生する前にその高周波電力の供給を停
止あるいは低減して、供給時の異常放電までの変化を緩
和するための時間を設け、これらを繰り返すようにした
ので、異常放電の発生のない安定な放電ができる。これ
により、非晶質ITO膜の作製を再現性よく行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る非晶質ITO膜の作
製方法により作製した膜のX線回折パターンを示す図で
ある。
【図2】従来の直流マグネトロンスパッタリング法によ
り作製した微結晶構造の混在する非晶質ITO膜のX線
回折パターンを示す図である。
【符号の説明】
11 結晶ピーク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インジウムと錫の酸化物をターゲットと
    して用い、前記ターゲットの背面にマグネットを設置
    し、スパッタリングガスとして希ガスのみあるいは希ガ
    スと酸素を導入した雰囲気中で前記ターゲットに電力を
    供給し、前記ターゲットの表面近傍にプラズマを収束さ
    せ、スパッタリング現象を利用して基板上にITO膜を
    形成した高周波マグネトロンスパッタリング法を用いた
    ITO膜の作製方法において、 前記基板の温度を前記ITO膜の結晶化温度以下に保持
    にすると共に、前記ターゲットに供給される前記電力を
    高周波電力とし、かつこの高周波電力を周期的に停止し
    たことを特徴とする非晶質ITO膜の作製方法。
  2. 【請求項2】 前記高周波電力を周期的に停止する代わ
    りに周期的に低下させることを特徴とする請求項1記載
    の非晶質ITO膜の作製方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020039089A (ko) * 2000-11-20 2002-05-25 주식회사 현대 디스플레이 테크놀로지 박막트랜지스터의 화소전극형성방법
WO2006049328A1 (ja) * 2004-11-05 2006-05-11 Ulvac, Inc. プラズマ発生方法及び装置並びに該方法及び装置を利用した低圧マグネトロンスパッタリング方法及び装置
JP2012255197A (ja) * 2011-06-10 2012-12-27 Tohoku Univ ナノ金属ガラス粒子集合体の製造方法
RU2637044C2 (ru) * 2016-04-15 2017-11-29 Закрытое Акционерное Общество "Светлана - Оптоэлектроника" Способ получения покрытия на основе оксида индия и олова
US10388520B2 (en) 2013-12-27 2019-08-20 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Manufacturing method of oxide semiconductor
JP2022520076A (ja) * 2019-02-11 2022-03-28 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド パルスpvdにおけるプラズマ改質によるウエハからの粒子除去方法

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