JPH1018423A - 中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造 - Google Patents
中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造Info
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- JPH1018423A JPH1018423A JP19525696A JP19525696A JPH1018423A JP H1018423 A JPH1018423 A JP H1018423A JP 19525696 A JP19525696 A JP 19525696A JP 19525696 A JP19525696 A JP 19525696A JP H1018423 A JPH1018423 A JP H1018423A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 中間補助材を用いて、0.9以上のすべり係
数を確保でき、摩擦接合面の品質を向上し、接合性能を
高め、高力ボルトの必要本数を減少させ、摩擦接合部を
コンパクト化し、施工性を高め、施工費の低減を図る。 【解決手段】 高力ボルト4により接合すべき鋼材1、
2間に中間補助材3を介在させて鋼材1、2を接合する
高力ボルト摩擦接合構造において、該中間補助材3の摩
擦接合面の表層部の硬さと前記の鋼材1、2における摩
擦接合面の表層部の硬さとの比が2.5以上であって、
前記の中間補助材3の表層部の硬さの層の深さを0.2
mm以上とし、さらに中間補助材3の表層部の表面に沿
って三角形の波形状あるいは角錐状の複数の突起5を設
け、かつ該突起の高さは0.2〜1.0mmとし、また
鋼材1、2の表面の最大表面粗さを該突起5の高さより
も充分に小さくしたことを特徴とする中間補助材を用い
た高力ボルト摩擦接合構造。
数を確保でき、摩擦接合面の品質を向上し、接合性能を
高め、高力ボルトの必要本数を減少させ、摩擦接合部を
コンパクト化し、施工性を高め、施工費の低減を図る。 【解決手段】 高力ボルト4により接合すべき鋼材1、
2間に中間補助材3を介在させて鋼材1、2を接合する
高力ボルト摩擦接合構造において、該中間補助材3の摩
擦接合面の表層部の硬さと前記の鋼材1、2における摩
擦接合面の表層部の硬さとの比が2.5以上であって、
前記の中間補助材3の表層部の硬さの層の深さを0.2
mm以上とし、さらに中間補助材3の表層部の表面に沿
って三角形の波形状あるいは角錐状の複数の突起5を設
け、かつ該突起の高さは0.2〜1.0mmとし、また
鋼材1、2の表面の最大表面粗さを該突起5の高さより
も充分に小さくしたことを特徴とする中間補助材を用い
た高力ボルト摩擦接合構造。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中間補助材を用い
た高力ボルト摩擦接合構造に関する。建築鉄骨構造物あ
るいはその他の鉄骨構造物における鋼材を接合する場合
に適用することができる。
た高力ボルト摩擦接合構造に関する。建築鉄骨構造物あ
るいはその他の鉄骨構造物における鋼材を接合する場合
に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、建築鉄骨構造物の高力ボルトによ
る摩擦接合では、鋼材の摩擦面は屋外にて自然発錆させ
た赤錆面、あるいはショットブラスト面によることが標
準となっている。ところが、赤錆を発生させる方法は、
赤錆面の発生した面での表面の凹凸の突起の高さは、例
えば0.07mm程度であり、しかも突起の高さや形状
における施工上の大きなバラツキを考慮すると、0.4
5よりも大きなすべり係数の値を接合部の設計に採用す
ることはできない。ここで、すべり係数とは高力ボルト
の初期締め付け力に対する抵抗力の比率μをいう。ま
た、ショットブラストによる方法は、表面の凹凸の突起
の高さは、最大で0.07〜0.10mm程度、またR
z(DIN)で0.05〜0.07mmで実施されてお
り、バラツキを考慮すると、やはり0.45よりも大き
なすべり係数の値を採用することは困難である。かかる
事情から、すべり係数の設計値は、低い値(μ=0.4
5)に設定されている(日本建築学会JASS6参
照)。
る摩擦接合では、鋼材の摩擦面は屋外にて自然発錆させ
た赤錆面、あるいはショットブラスト面によることが標
準となっている。ところが、赤錆を発生させる方法は、
赤錆面の発生した面での表面の凹凸の突起の高さは、例
えば0.07mm程度であり、しかも突起の高さや形状
における施工上の大きなバラツキを考慮すると、0.4
5よりも大きなすべり係数の値を接合部の設計に採用す
ることはできない。ここで、すべり係数とは高力ボルト
の初期締め付け力に対する抵抗力の比率μをいう。ま
た、ショットブラストによる方法は、表面の凹凸の突起
の高さは、最大で0.07〜0.10mm程度、またR
z(DIN)で0.05〜0.07mmで実施されてお
り、バラツキを考慮すると、やはり0.45よりも大き
なすべり係数の値を採用することは困難である。かかる
事情から、すべり係数の設計値は、低い値(μ=0.4
5)に設定されている(日本建築学会JASS6参
照)。
【0003】さらに、赤錆面の場合には、赤錆状態にす
るために、鋼材表面のうち摩擦面の部分に事前に塗装を
施すことはできないばかりか、油などの錆の発生を妨げ
るものの付着を完全に除去することが必要であり、施工
品質の管理が非常に煩雑となる。
るために、鋼材表面のうち摩擦面の部分に事前に塗装を
施すことはできないばかりか、油などの錆の発生を妨げ
るものの付着を完全に除去することが必要であり、施工
品質の管理が非常に煩雑となる。
【0004】このため、安定して大きいすべり係数を得
るため、(1)特開昭51−52336号公報により鋼
材の摩擦面に特殊な塗装を施して高力ボルトにより接合
する方式、(2)特開平1−266309号公報により
鋼材の摩擦面にセラミックのプラズマ溶射処理を施し
て、高力ボルトにより接合する方式、さらに鋼材の摩擦
面にアルミ溶射処理あるいはジンクリッチ塗装を施し
て、高力ボルトにより接合する方式などが提案されてい
る。しかしながら、ここで前記(1)の方法の場合は、
鋼材に特殊な塗装を施す必要があるので、煩雑であり、
また前記(2)の方法の場合には、鉄骨加工工程中で新
たな専用設備を必要とするという問題があるということ
で、前記の(1)と(2)の方法は、いずれも広く実施
されていないのが現状である。また、前記のアルミ溶射
による方法やジンクリッチ塗装を施す方法も加工、施工
が煩雑であることから、広く採用されるに至っていな
い。
るため、(1)特開昭51−52336号公報により鋼
材の摩擦面に特殊な塗装を施して高力ボルトにより接合
する方式、(2)特開平1−266309号公報により
鋼材の摩擦面にセラミックのプラズマ溶射処理を施し
て、高力ボルトにより接合する方式、さらに鋼材の摩擦
面にアルミ溶射処理あるいはジンクリッチ塗装を施し
て、高力ボルトにより接合する方式などが提案されてい
る。しかしながら、ここで前記(1)の方法の場合は、
鋼材に特殊な塗装を施す必要があるので、煩雑であり、
また前記(2)の方法の場合には、鉄骨加工工程中で新
たな専用設備を必要とするという問題があるということ
で、前記の(1)と(2)の方法は、いずれも広く実施
されていないのが現状である。また、前記のアルミ溶射
による方法やジンクリッチ塗装を施す方法も加工、施工
が煩雑であることから、広く採用されるに至っていな
い。
【0005】そこで、本発明者は、高力ボルトにより締
め付けられて摩擦接合される鋼材の一方の鋼材の摩擦面
側の表面硬さと表面粗さを、他方の鋼材の摩擦面側の表
面硬さと表面粗さよりも大きくすることにより、0.6
以上のすべり係数が比較的容易に確保できる高力ボルト
摩擦接合構造を開発し、特願平4−326232号に係
る発明として出願し、特開平6−146427号により
公開されている。上記の特開平6−146427号の発
明により、高力ボルト摩擦接合構造においてすべり係数
0.6以上を安定して確保することが可能となった。し
かしながら、特開平6−146427号の発明において
は、すべり係数0.6以上を達成できても、その最大値
は0.85をわずかに越える程度である。また、特開平
6−146427号の発明では、グリットブラスト加工
により粗面化することを開示するが、グリットブラスト
による摩擦面の凹凸はせいぜい0.15mm程度であ
り、しかもその凹凸の形態は、グリットブラストにて加
工することから、十点平均粗さRz(DIN)ではほぼ
等しい粗さに管理していても、凹凸形状とその分布が一
定でないため、すべり係数の値に無視できないバラツキ
が発生する場合がある。その結果、0.85を越える大
きなすべり係数値を設計に活かすことができないという
問題があった。
め付けられて摩擦接合される鋼材の一方の鋼材の摩擦面
側の表面硬さと表面粗さを、他方の鋼材の摩擦面側の表
面硬さと表面粗さよりも大きくすることにより、0.6
以上のすべり係数が比較的容易に確保できる高力ボルト
摩擦接合構造を開発し、特願平4−326232号に係
る発明として出願し、特開平6−146427号により
公開されている。上記の特開平6−146427号の発
明により、高力ボルト摩擦接合構造においてすべり係数
0.6以上を安定して確保することが可能となった。し
かしながら、特開平6−146427号の発明において
は、すべり係数0.6以上を達成できても、その最大値
は0.85をわずかに越える程度である。また、特開平
6−146427号の発明では、グリットブラスト加工
により粗面化することを開示するが、グリットブラスト
による摩擦面の凹凸はせいぜい0.15mm程度であ
り、しかもその凹凸の形態は、グリットブラストにて加
工することから、十点平均粗さRz(DIN)ではほぼ
等しい粗さに管理していても、凹凸形状とその分布が一
定でないため、すべり係数の値に無視できないバラツキ
が発生する場合がある。その結果、0.85を越える大
きなすべり係数値を設計に活かすことができないという
問題があった。
【0006】ところで、近年、鋼構造物の大型化や大ス
パン化に伴って使用される鋼材の板厚が厚くなるととも
に、鋼材の高強度化か図られ、また、接合部の加工の簡
略化、省力化、また施工のスピードアップが一層強く要
求されてきている。これらに適合する有効な手段とし
て、接合部の高耐力化を図り、また高力ボルト摩擦接合
部にあっては締付け張力の増大を図る高力ボルトの高強
度化とすべり係数の増大化を図る必要がある。ここでの
高力ボルト摩擦接合部におけるすべり係数の増大化のた
めには、すべり係数について現状の基準値の倍である
0.9以上を確保することが必要である。
パン化に伴って使用される鋼材の板厚が厚くなるととも
に、鋼材の高強度化か図られ、また、接合部の加工の簡
略化、省力化、また施工のスピードアップが一層強く要
求されてきている。これらに適合する有効な手段とし
て、接合部の高耐力化を図り、また高力ボルト摩擦接合
部にあっては締付け張力の増大を図る高力ボルトの高強
度化とすべり係数の増大化を図る必要がある。ここでの
高力ボルト摩擦接合部におけるすべり係数の増大化のた
めには、すべり係数について現状の基準値の倍である
0.9以上を確保することが必要である。
【0007】このため、すべり係数0.9以上を確保す
る高力ボルト摩擦接合構造を開発し、特願平7−394
15号として出願している。その内容を図14により例
示すと、摩擦接合面を構成する鋼材19と、添板20の
うち、添板20における摩擦面の表層部の硬さと鋼材1
9における摩擦面の表層部の硬さとの比が2.5以上で
あって、添板20の表層部の硬さが大なる層の深さを
0.2mm以上とし、さらに添板20の側の表層部の硬
さが大なる側の表面に沿って三角形の波形状あるいは角
錐状の複数の突起を設け、かつ該突起の高さは0.2〜
1.0mmとし、また鋼材19の側の表層部の硬さが小
なる側の表面の最大表面粗さを該突起の高さよりも充分
に小さくした高力ボルト21による摩擦接合構造であ
る。
る高力ボルト摩擦接合構造を開発し、特願平7−394
15号として出願している。その内容を図14により例
示すと、摩擦接合面を構成する鋼材19と、添板20の
うち、添板20における摩擦面の表層部の硬さと鋼材1
9における摩擦面の表層部の硬さとの比が2.5以上で
あって、添板20の表層部の硬さが大なる層の深さを
0.2mm以上とし、さらに添板20の側の表層部の硬
さが大なる側の表面に沿って三角形の波形状あるいは角
錐状の複数の突起を設け、かつ該突起の高さは0.2〜
1.0mmとし、また鋼材19の側の表層部の硬さが小
なる側の表面の最大表面粗さを該突起の高さよりも充分
に小さくした高力ボルト21による摩擦接合構造であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の特願平7−39
415号は、二つの接合すべき鋼材の何れか一方の鋼材
に突起を形成させて、鋼材どうしを直接接合する場合の
高力ボルト摩擦接合構造である。ところで、高力ボルト
摩擦接合構造において、鋼材どうしを直接接合するので
はなく、二つの鋼材間に中間補助材を介在させて摩擦接
合した方が良い場合がある。
415号は、二つの接合すべき鋼材の何れか一方の鋼材
に突起を形成させて、鋼材どうしを直接接合する場合の
高力ボルト摩擦接合構造である。ところで、高力ボルト
摩擦接合構造において、鋼材どうしを直接接合するので
はなく、二つの鋼材間に中間補助材を介在させて摩擦接
合した方が良い場合がある。
【0009】従来の摩擦接合技術において、二つの接合
すべき鋼材間に摩擦板を介挿入する摩擦接合の技術とし
て、特開平7−83211号が開示されている。特開平
7−83211号につき、図15により説明すると、接
合される2以上の構造部材22、23の摩擦接合間、又
は構造部材22、23の摩擦接合面と添接板24、25
の摩擦接合面との間に、板材26の片面又は両面に複数
の凸又は凹の少なくともいずれか一方が設けられた摩擦
板を介挿させ、これらをボルト27及びナット28によ
り締結するよう構成した摩擦接合である。特開平7−8
3211号は、すべり係数1以上の継手の強度を得るこ
とが可能であると記載されているが、すべり係数1以上
の継手の強度とするという見地から特開平7−8321
1号における記載をみるに、「この摩擦板14、16は
鋼構造部材10、12や添接板18、20の強度とほぼ
同等の材質のもので構成されてもよく、特に限定されな
いが、摩擦板14、16の硬度は鋼構造部材10、12
や添接板18、20の硬度よりも高いのが好ましい。」
(特開平7−83211号公報 第3頁の
すべき鋼材間に摩擦板を介挿入する摩擦接合の技術とし
て、特開平7−83211号が開示されている。特開平
7−83211号につき、図15により説明すると、接
合される2以上の構造部材22、23の摩擦接合間、又
は構造部材22、23の摩擦接合面と添接板24、25
の摩擦接合面との間に、板材26の片面又は両面に複数
の凸又は凹の少なくともいずれか一方が設けられた摩擦
板を介挿させ、これらをボルト27及びナット28によ
り締結するよう構成した摩擦接合である。特開平7−8
3211号は、すべり係数1以上の継手の強度を得るこ
とが可能であると記載されているが、すべり係数1以上
の継手の強度とするという見地から特開平7−8321
1号における記載をみるに、「この摩擦板14、16は
鋼構造部材10、12や添接板18、20の強度とほぼ
同等の材質のもので構成されてもよく、特に限定されな
いが、摩擦板14、16の硬度は鋼構造部材10、12
や添接板18、20の硬度よりも高いのが好ましい。」
(特開平7−83211号公報 第3頁の
【0015】第7行〜第11行、符号は特開平7−83
211号の図面と同じ。)とあるように、具体的な開示
は何らなされていない。したがって、特開平7−832
11号においては、複数の凸又は凹を設けた摩擦板を単
に介挿して設けるという程度に近い記載に過ぎず、すべ
り係数1以上の継手の強度を確保するために、どのよう
にするかという具体的な記載は何らなされていない。
211号の図面と同じ。)とあるように、具体的な開示
は何らなされていない。したがって、特開平7−832
11号においては、複数の凸又は凹を設けた摩擦板を単
に介挿して設けるという程度に近い記載に過ぎず、すべ
り係数1以上の継手の強度を確保するために、どのよう
にするかという具体的な記載は何らなされていない。
【0010】本発明の目的は、中間補助材を用いる場合
の高力ボルトによる鋼材の摩擦接合構造において、0.
9以上の高いすべり係数値を達成し、しかも安定的に確
保でき、摩擦接合面の品質の安定と摩擦接合面の施工管
理を簡易にし、摩擦接合に要するボルト本数を大幅に減
少させ、トータルとして高力ボルト摩擦接合部のコスト
を低減できる、中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合
構造を提供することにある。
の高力ボルトによる鋼材の摩擦接合構造において、0.
9以上の高いすべり係数値を達成し、しかも安定的に確
保でき、摩擦接合面の品質の安定と摩擦接合面の施工管
理を簡易にし、摩擦接合に要するボルト本数を大幅に減
少させ、トータルとして高力ボルト摩擦接合部のコスト
を低減できる、中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合
構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の中間補助材を用
いた高力ボルト摩擦接合構造は、高力ボルトにより接合
すべき鋼材間に中間補助材を介在させて鋼材を接合する
高力ボルト摩擦接合構造において、該中間補助材の摩擦
接合面の表層部の硬さと前記の鋼材における摩擦接合面
の表層部の硬さとの比が2.5以上であって、前記の中
間補助材の表層部の硬さの層の深さを0.2mm以上と
し、さらに中間補助材の表層部の表面に沿って三角形の
波形状あるいは角錐状の複数の突起を設け、かつ該突起
の高さは0.2〜1.0mmとし、また鋼材の表面の最
大表面粗さを該突起の高さよりも充分に小さくしたこと
により構成される。また、本発明において、中間補助材
の上下の表層部に設けた突起の頂部が平坦である場合に
は平坦幅Wを突起高さh以下とするか、相対する斜面の
なす角度がθである突起の斜面の頂部を凸曲面とする場
合には該凸曲面の半径rにつき、r≦h/cos(θ/
2)とし、且つ該突起の両側の斜面と該凸曲面との、両
側の二つの接点を結ぶ距離が突起高さhの値を超えない
ようにすることが好ましい。(相対する斜面のなす角度
θについては、図2、図3における図示を参照。) また、本発明において、中間補助材の上下の表層部に設
けた突起の相対する斜面のなす角度θ(夾角)を60〜
120度とすることが好ましい。また、本発明におい
て、摩擦接合面を構成する中間補助材と鋼材との表面の
うち、該中間補助材と該鋼材の片方もしくは両方の表面
に防錆用の塗料あるいは油を塗布してもよい。このこと
により、鋼材表面に防錆処理を施すということで、鋼材
の摩擦接合面となる表面を、それ以外の表面とは別に扱
う必要がなくなる。本発明における中間補助材を用いた
高力ボルト摩擦接合構造は、上下の表層部に突起を設け
た中間補助材を介在させ、すべり係数0.9を超える継
手強度を確保することができる。なお、このことは、本
発明の中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造を、
すべり係数0.9以下でもよいという指定の場合に供す
ることを制限するものではない。以下、本願に係る発明
について、詳細に説明する。
いた高力ボルト摩擦接合構造は、高力ボルトにより接合
すべき鋼材間に中間補助材を介在させて鋼材を接合する
高力ボルト摩擦接合構造において、該中間補助材の摩擦
接合面の表層部の硬さと前記の鋼材における摩擦接合面
の表層部の硬さとの比が2.5以上であって、前記の中
間補助材の表層部の硬さの層の深さを0.2mm以上と
し、さらに中間補助材の表層部の表面に沿って三角形の
波形状あるいは角錐状の複数の突起を設け、かつ該突起
の高さは0.2〜1.0mmとし、また鋼材の表面の最
大表面粗さを該突起の高さよりも充分に小さくしたこと
により構成される。また、本発明において、中間補助材
の上下の表層部に設けた突起の頂部が平坦である場合に
は平坦幅Wを突起高さh以下とするか、相対する斜面の
なす角度がθである突起の斜面の頂部を凸曲面とする場
合には該凸曲面の半径rにつき、r≦h/cos(θ/
2)とし、且つ該突起の両側の斜面と該凸曲面との、両
側の二つの接点を結ぶ距離が突起高さhの値を超えない
ようにすることが好ましい。(相対する斜面のなす角度
θについては、図2、図3における図示を参照。) また、本発明において、中間補助材の上下の表層部に設
けた突起の相対する斜面のなす角度θ(夾角)を60〜
120度とすることが好ましい。また、本発明におい
て、摩擦接合面を構成する中間補助材と鋼材との表面の
うち、該中間補助材と該鋼材の片方もしくは両方の表面
に防錆用の塗料あるいは油を塗布してもよい。このこと
により、鋼材表面に防錆処理を施すということで、鋼材
の摩擦接合面となる表面を、それ以外の表面とは別に扱
う必要がなくなる。本発明における中間補助材を用いた
高力ボルト摩擦接合構造は、上下の表層部に突起を設け
た中間補助材を介在させ、すべり係数0.9を超える継
手強度を確保することができる。なお、このことは、本
発明の中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造を、
すべり係数0.9以下でもよいという指定の場合に供す
ることを制限するものではない。以下、本願に係る発明
について、詳細に説明する。
【0012】本発明で中間補助材を用いた高力ボルト摩
擦接合構造とは、接合すべき鋼材間に突起を施した鋼製
の中間補助材を介在させ、高力ボルトで締め付けること
によって鋼材間に生じる摩擦力(あるいはすべり抵抗
力)を利用して鋼材どうしの応力伝達を行う結合構造を
いう。ここで、結合構造は、具体的には構造物を構成す
る部材と、該部材を結合する役割を果たす添板、T型
鋼、山型鋼等との間に中間補助材を介在させ、或いは構
造物を構成する部材どうしとの間に中間補助材を介在さ
せる、等において形成することができる。本発明の、中
間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造につき、図1
により示すと、二つの鋼材1、1の端部を近接させ、鋼
材1、1と添板2、2間に中間補助材3、3を介在さ
せ、高力ボルト4により締め付け、鋼材1、1と添板
2、2間において摩擦接合を形成し、高力ボルト摩擦接
合構造を構成する。ここで、中間補助材3、3のそれぞ
れの両面には、波形状、あるいは角錐状の突起を設けて
あるが、その形態の詳細は図2、図3において例示す
る。図2は突起5が三角形の波形状の場合であり、図3
は突起5が角錐状(四角錐状)の場合である。突起5の
断面形状は、三角形の場合に、図2のごとく真正な三角
形だけでなく、三角形の斜面が内側に凹状、或いは外側
に凸状、等の場合がある。また、三角形の突起5の頂部
については、図7により後述するように、突起の頂部が
尖っている場合(図7(イ))だけでなく、突起の頂部
が平坦である場合(図7(ロ))、突起の頂部がr部を
有する凸曲面である場合(図7(ハ))がある。したが
って、本発明で三角形の用語は、かかる三角形に近似す
る形状を含む意味をもって使用する。突起の形状の点に
ついては、角錐状についても同様である。本発明では、
かかる突起を、中間補助材の表面に沿って複数設ける。
複数の突起は、通常同一形状で同一高さの三角形の波形
状あるいは角錐状のものが繰り返すように設けることが
好ましい。また、高さがやや異なり、形状が相似的ある
いは近似的であるものが連続的に繰り返すように設けて
も良い。かかる突起の成形加工は、切削加工、レーザー
加工、ローレット加工、プラズマ加工により可能であ
る。
擦接合構造とは、接合すべき鋼材間に突起を施した鋼製
の中間補助材を介在させ、高力ボルトで締め付けること
によって鋼材間に生じる摩擦力(あるいはすべり抵抗
力)を利用して鋼材どうしの応力伝達を行う結合構造を
いう。ここで、結合構造は、具体的には構造物を構成す
る部材と、該部材を結合する役割を果たす添板、T型
鋼、山型鋼等との間に中間補助材を介在させ、或いは構
造物を構成する部材どうしとの間に中間補助材を介在さ
せる、等において形成することができる。本発明の、中
間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造につき、図1
により示すと、二つの鋼材1、1の端部を近接させ、鋼
材1、1と添板2、2間に中間補助材3、3を介在さ
せ、高力ボルト4により締め付け、鋼材1、1と添板
2、2間において摩擦接合を形成し、高力ボルト摩擦接
合構造を構成する。ここで、中間補助材3、3のそれぞ
れの両面には、波形状、あるいは角錐状の突起を設けて
あるが、その形態の詳細は図2、図3において例示す
る。図2は突起5が三角形の波形状の場合であり、図3
は突起5が角錐状(四角錐状)の場合である。突起5の
断面形状は、三角形の場合に、図2のごとく真正な三角
形だけでなく、三角形の斜面が内側に凹状、或いは外側
に凸状、等の場合がある。また、三角形の突起5の頂部
については、図7により後述するように、突起の頂部が
尖っている場合(図7(イ))だけでなく、突起の頂部
が平坦である場合(図7(ロ))、突起の頂部がr部を
有する凸曲面である場合(図7(ハ))がある。したが
って、本発明で三角形の用語は、かかる三角形に近似す
る形状を含む意味をもって使用する。突起の形状の点に
ついては、角錐状についても同様である。本発明では、
かかる突起を、中間補助材の表面に沿って複数設ける。
複数の突起は、通常同一形状で同一高さの三角形の波形
状あるいは角錐状のものが繰り返すように設けることが
好ましい。また、高さがやや異なり、形状が相似的ある
いは近似的であるものが連続的に繰り返すように設けて
も良い。かかる突起の成形加工は、切削加工、レーザー
加工、ローレット加工、プラズマ加工により可能であ
る。
【0013】本発明において、中間補助材を用いた高力
ボルト摩擦接合構造におけるすべり係数に関連して、中
間補助材における摩擦面の表層部の硬さと、鋼材の摩擦
面の表層部の硬さとの差、および中間補助材の表面に設
ける複数の突起の高さが大きく関与することから、中間
補助材の硬さと、鋼材の表層部の硬さとの比が2.5以
上とし、また、突起の高さを0.2〜1.0mmとす
る。これに関して、硬さ比と突起高さを変え、すべり係
数の関係について試験した。図4においてその試験例を
説明する。図4の試験には、図1に示す鋼材1、1、添
板(鋼製)2、2、中間補助材(鋼製)3、高力ボルト
4から構成される形式のすべり試験体を用いた。そのす
べり試験体の寸法につき、鋼材1は幅100mm、長さ
370mm、厚さ25mm、添板2は幅100mm、長
さ350mm、厚さ16mm、中間補助材は幅100m
m、長さ350mm、厚さ2mm(上下の表面に設けた
突起の高さ頂部間の長さ)である。図4において、
(注)等によりその他の試験条件を示す。その結果、図
4に示すように、(1)中間補助材と鋼材(本発明での
鋼材は添板を含む。)との硬さ比の増加に伴ってすべり
係数も増大するが、硬さ比が2.5を越えるとすべり係
数はほとんど増加しない。(2)0.5mmから1.0
mmの範囲のある突起高さまでは、突起高さの増大に伴
ってすべり係数は増大するが、それ以上の突起高さにつ
いてはすべり係数は減少する。(3)0.9以上のすべ
り係数を確保するためには、硬さ比は2.5以上かつ突
起高さが0.2mm以上必要である。かかる試験例等か
ら、表層部の硬さの比を2.5以上とし、また、突起の
高さを0.2〜1.0mmとするこことした。表層部の
硬さの比は大きくしても、すべり係数はそれに応じてあ
まり増加しないことに鑑み、この比の上限は5程度あれ
ばよい。また、表層部の硬さがあまり硬いと割れのおそ
れがあり、力学的性能上安全性に問題が生じるというこ
とからも、この比の上限は5程度がよい。なお、中間補
助材の両側の表層部の硬さ、突起の高さは、同一にせず
に、異なる数値とする場合がある。突起の形状について
も、同様である。
ボルト摩擦接合構造におけるすべり係数に関連して、中
間補助材における摩擦面の表層部の硬さと、鋼材の摩擦
面の表層部の硬さとの差、および中間補助材の表面に設
ける複数の突起の高さが大きく関与することから、中間
補助材の硬さと、鋼材の表層部の硬さとの比が2.5以
上とし、また、突起の高さを0.2〜1.0mmとす
る。これに関して、硬さ比と突起高さを変え、すべり係
数の関係について試験した。図4においてその試験例を
説明する。図4の試験には、図1に示す鋼材1、1、添
板(鋼製)2、2、中間補助材(鋼製)3、高力ボルト
4から構成される形式のすべり試験体を用いた。そのす
べり試験体の寸法につき、鋼材1は幅100mm、長さ
370mm、厚さ25mm、添板2は幅100mm、長
さ350mm、厚さ16mm、中間補助材は幅100m
m、長さ350mm、厚さ2mm(上下の表面に設けた
突起の高さ頂部間の長さ)である。図4において、
(注)等によりその他の試験条件を示す。その結果、図
4に示すように、(1)中間補助材と鋼材(本発明での
鋼材は添板を含む。)との硬さ比の増加に伴ってすべり
係数も増大するが、硬さ比が2.5を越えるとすべり係
数はほとんど増加しない。(2)0.5mmから1.0
mmの範囲のある突起高さまでは、突起高さの増大に伴
ってすべり係数は増大するが、それ以上の突起高さにつ
いてはすべり係数は減少する。(3)0.9以上のすべ
り係数を確保するためには、硬さ比は2.5以上かつ突
起高さが0.2mm以上必要である。かかる試験例等か
ら、表層部の硬さの比を2.5以上とし、また、突起の
高さを0.2〜1.0mmとするこことした。表層部の
硬さの比は大きくしても、すべり係数はそれに応じてあ
まり増加しないことに鑑み、この比の上限は5程度あれ
ばよい。また、表層部の硬さがあまり硬いと割れのおそ
れがあり、力学的性能上安全性に問題が生じるというこ
とからも、この比の上限は5程度がよい。なお、中間補
助材の両側の表層部の硬さ、突起の高さは、同一にせず
に、異なる数値とする場合がある。突起の形状について
も、同様である。
【0014】また、本発明において、中間補助材の厚さ
に関連して、上下の表面に設けた突起の谷部底間の長さ
t(図10における図示参照。)は、強度の点から約1
mm程度あればよいが、高力ボルトの長さが、あまり長
くならない範囲で1mm以上の厚さにすることは差し支
えない。中間補助材の全体の厚さは、かかる突起の谷部
底間の長さtと上下の突起高さの和となる。また、中間
補助材の長手方向における、上の表面の突起の谷部底
と、下の表面の突起の谷部底との相対的な位置関係(位
相)は、上述したように、突起の谷部底の長さtが約1
mm以上あれば、図10(イ)、(ロ)、(ハ)のいず
れの場合であってもよい。すなわち、上の表面の突起の
谷部底と、下の表面の突起の谷部底とが上下方向で重な
っても、強度上破損等の心配はない。
に関連して、上下の表面に設けた突起の谷部底間の長さ
t(図10における図示参照。)は、強度の点から約1
mm程度あればよいが、高力ボルトの長さが、あまり長
くならない範囲で1mm以上の厚さにすることは差し支
えない。中間補助材の全体の厚さは、かかる突起の谷部
底間の長さtと上下の突起高さの和となる。また、中間
補助材の長手方向における、上の表面の突起の谷部底
と、下の表面の突起の谷部底との相対的な位置関係(位
相)は、上述したように、突起の谷部底の長さtが約1
mm以上あれば、図10(イ)、(ロ)、(ハ)のいず
れの場合であってもよい。すなわち、上の表面の突起の
谷部底と、下の表面の突起の谷部底とが上下方向で重な
っても、強度上破損等の心配はない。
【0015】次に、本発明において、摩擦面の表層部の
硬さの大なる層の深さを0.2mm以上とする。ここで
いう層の深さは、突起の頂部を起点として突起の高さ方
向に測定した長さである。硬さの大なる層の深さについ
ても、試験を行い、その結果を図5により説明する。図
5は突起高さ0.5mmの場合であり、硬い層の深さを
変化させたが、その他の試験条件は図4におけると同様
である。その結果、(1)表層部の硬い層の深さが0.
2mm以上おいて、すべり係数にほとんど変化がない。
(2)硬い層の深さが0.2mm以上の場合にすべり係
数0.9以上の確保が可能である。(3)鋼材全厚にわ
たって硬くなくても、摩擦面表面から0.2mm以上の
層で硬さ比が確保できていればよい。(4)以上を踏ま
えて、本発明における表層部の硬さについて、その層の
深さは少なくとも表面から0.2mm以上とすればよ
い。設計上、層の深さの長さについては、突起の高さの
長さあれば充分である。ただし、層の深さの長さの上限
ということでは、鋼材全厚にわたり硬さが大なる鋼材を
使用してもよい。なお、突起部の硬化処理は切削加工を
行う場合は、突起の成形加工後に熱処理により行うのが
よい。真空熱処理、浸炭焼入れ、浸炭窒化焼入れ、火炎
焼入れ、等の方法を適宜選定して行う。レーザー加工ま
たはプラズマ加工により突起の成形加工を行う場合は、
加工に伴う突起部の急冷により硬化が行われる。硬さの
大なる側の鋼材には、焼入れ可能な鋼、例えばSCM4
35やS45C等を使用する。また、高強度鋼や耐磨耗
鋼さらに表層のみに硬さが大きな鋼を備えた複層鋼板等
も使用できる。
硬さの大なる層の深さを0.2mm以上とする。ここで
いう層の深さは、突起の頂部を起点として突起の高さ方
向に測定した長さである。硬さの大なる層の深さについ
ても、試験を行い、その結果を図5により説明する。図
5は突起高さ0.5mmの場合であり、硬い層の深さを
変化させたが、その他の試験条件は図4におけると同様
である。その結果、(1)表層部の硬い層の深さが0.
2mm以上おいて、すべり係数にほとんど変化がない。
(2)硬い層の深さが0.2mm以上の場合にすべり係
数0.9以上の確保が可能である。(3)鋼材全厚にわ
たって硬くなくても、摩擦面表面から0.2mm以上の
層で硬さ比が確保できていればよい。(4)以上を踏ま
えて、本発明における表層部の硬さについて、その層の
深さは少なくとも表面から0.2mm以上とすればよ
い。設計上、層の深さの長さについては、突起の高さの
長さあれば充分である。ただし、層の深さの長さの上限
ということでは、鋼材全厚にわたり硬さが大なる鋼材を
使用してもよい。なお、突起部の硬化処理は切削加工を
行う場合は、突起の成形加工後に熱処理により行うのが
よい。真空熱処理、浸炭焼入れ、浸炭窒化焼入れ、火炎
焼入れ、等の方法を適宜選定して行う。レーザー加工ま
たはプラズマ加工により突起の成形加工を行う場合は、
加工に伴う突起部の急冷により硬化が行われる。硬さの
大なる側の鋼材には、焼入れ可能な鋼、例えばSCM4
35やS45C等を使用する。また、高強度鋼や耐磨耗
鋼さらに表層のみに硬さが大きな鋼を備えた複層鋼板等
も使用できる。
【0016】次に、表層部に突起を設け、硬さの大なる
中間補助材に対して、相手方となる表層部の硬さの小な
る鋼材の表面状態について説明する。硬さの小なる方の
鋼材には、例えばSN400B、SN490B等を使用
し、機械仕上げ面ほど平滑でなくてもよく、ショットブ
ラスト処理かサンダー掛け処理にて十点平均粗さRz
(DIN)で70μm以下程度に、最大突起高さで表示
すると0.1mm以下程度に仕上げてあればよい。ま
た、特に処理を施さずに、黒皮のままであっても表面の
粗さとしてよい場合もある。本発明でいう、「表層部の
硬さが小なる側の表面の最大表面粗さを(表層部の硬さ
が大なる側にある)突起の高さよりも充分に小さく」と
は、かかる状態を指している。
中間補助材に対して、相手方となる表層部の硬さの小な
る鋼材の表面状態について説明する。硬さの小なる方の
鋼材には、例えばSN400B、SN490B等を使用
し、機械仕上げ面ほど平滑でなくてもよく、ショットブ
ラスト処理かサンダー掛け処理にて十点平均粗さRz
(DIN)で70μm以下程度に、最大突起高さで表示
すると0.1mm以下程度に仕上げてあればよい。ま
た、特に処理を施さずに、黒皮のままであっても表面の
粗さとしてよい場合もある。本発明でいう、「表層部の
硬さが小なる側の表面の最大表面粗さを(表層部の硬さ
が大なる側にある)突起の高さよりも充分に小さく」と
は、かかる状態を指している。
【0017】ここで、硬さの小なる鋼材の表面状態につ
いて、図6により、さらに具体的に説明する。図6は硬
さの小なる鋼材の表面状態をパラメーターにしたすべり
試験について示す。ここで、すべり試験体は図4におい
て示したのと同様の形状、寸法のものであり、図6にお
いて記載する試験条件により試験を行った。その結果、
次の通りである。 (1)硬さの小なる鋼材の摩擦面の状態に関わらず、
0.9以上のすべり係数の確保が可能である。このこと
は、鋼材に塗膜処理、グリース処理等を施したものにつ
いても、すべり係数0.9以上の確保が可能であること
を意味する。 (2)すなわち、加工工場段階で摩擦面に錆止め塗装等
の防錆処理を施すことが可能である。 (3)したがって、硬さの小なる鋼材の摩擦面の表面状
態にかなりの柔軟性があるとともに、現在行っている塗
装時の摩擦面のマスキング等の処理も不要になることか
ら、加工や施工の省力化、工程短縮が図られる。さら
に、摩擦面の管理に特別な技能・技術を要しないことか
ら施工品質の確保が容易となる。
いて、図6により、さらに具体的に説明する。図6は硬
さの小なる鋼材の表面状態をパラメーターにしたすべり
試験について示す。ここで、すべり試験体は図4におい
て示したのと同様の形状、寸法のものであり、図6にお
いて記載する試験条件により試験を行った。その結果、
次の通りである。 (1)硬さの小なる鋼材の摩擦面の状態に関わらず、
0.9以上のすべり係数の確保が可能である。このこと
は、鋼材に塗膜処理、グリース処理等を施したものにつ
いても、すべり係数0.9以上の確保が可能であること
を意味する。 (2)すなわち、加工工場段階で摩擦面に錆止め塗装等
の防錆処理を施すことが可能である。 (3)したがって、硬さの小なる鋼材の摩擦面の表面状
態にかなりの柔軟性があるとともに、現在行っている塗
装時の摩擦面のマスキング等の処理も不要になることか
ら、加工や施工の省力化、工程短縮が図られる。さら
に、摩擦面の管理に特別な技能・技術を要しないことか
ら施工品質の確保が容易となる。
【0018】ここで、本発明を実施するにあたり、突起
につき推奨できる、その他の事項について、以下(1)
〜(4)において説明する。 (1)図8により、突起の頂部を平坦とした場合、突起
の頂部の平坦幅とすべり係数との関係を説明する。ここ
で、中間補助材の表層部に施す突起の平坦部、平坦幅に
関して、図7により各種の形状を示す。図7(イ)は突
起5の斜面5a、5bの頂部が尖った形状の場合、図7
(ロ)は突起5の斜面5a、5bの頂部に平坦部5cを
有する場合、図7(ハ)は突起5の斜面5a、5bの頂
部が半径rの凸曲面5cを有する場合であり、A、Bは
それぞれ斜面5a、5bと凸曲面5cとの接点である。
試験条件については、図8において示す。 突起の頂部の幅が大きくなるにつれ、すべり係数は低
下する。突起の頂部は、図7(イ)に示すように尖った
形状(突起の頂部の平坦幅は0である)が好ましい。 突起高さが0.5mmの場合には頂部の平坦幅が0.
6mm以下の場合で0.9のすべり係数の確保が可能で
あり、突起高さが1.0mmの場合には頂部の平坦幅が
1.0mm以下で、突起高さが0.2mmの場合には頂
部の平坦幅が0.2mm以下で、0.9のすべり係数の
確保が可能である。 以上から少なくとも突起頂部の平坦幅が突起高さ以下
の場合には、0.9のすべり係数値の確保が可能にな
る。 突起頂部の形状は、尖り(図7(イ)の平坦幅が0の
場合)、または平坦(図7(ロ)の場合)の他に製造上
都合が良ければ、突起の斜面の頂部を凸曲面(図7
(ハ)の場合)とすることも可能である。ただし、凸曲
面を採用する場合には、両側の突起斜面5a、5bと凸
曲面5cの二つの接点A、Bを結ぶ距離が頂部平坦幅の
限界値(即ち、突起の高さh)を超えないようにする。
また、凸曲面のrについては既述した通りである。な
お、本発明において突起についての三角形の頂部の形状
については、図7に図示するものに制限するものではな
い。
につき推奨できる、その他の事項について、以下(1)
〜(4)において説明する。 (1)図8により、突起の頂部を平坦とした場合、突起
の頂部の平坦幅とすべり係数との関係を説明する。ここ
で、中間補助材の表層部に施す突起の平坦部、平坦幅に
関して、図7により各種の形状を示す。図7(イ)は突
起5の斜面5a、5bの頂部が尖った形状の場合、図7
(ロ)は突起5の斜面5a、5bの頂部に平坦部5cを
有する場合、図7(ハ)は突起5の斜面5a、5bの頂
部が半径rの凸曲面5cを有する場合であり、A、Bは
それぞれ斜面5a、5bと凸曲面5cとの接点である。
試験条件については、図8において示す。 突起の頂部の幅が大きくなるにつれ、すべり係数は低
下する。突起の頂部は、図7(イ)に示すように尖った
形状(突起の頂部の平坦幅は0である)が好ましい。 突起高さが0.5mmの場合には頂部の平坦幅が0.
6mm以下の場合で0.9のすべり係数の確保が可能で
あり、突起高さが1.0mmの場合には頂部の平坦幅が
1.0mm以下で、突起高さが0.2mmの場合には頂
部の平坦幅が0.2mm以下で、0.9のすべり係数の
確保が可能である。 以上から少なくとも突起頂部の平坦幅が突起高さ以下
の場合には、0.9のすべり係数値の確保が可能にな
る。 突起頂部の形状は、尖り(図7(イ)の平坦幅が0の
場合)、または平坦(図7(ロ)の場合)の他に製造上
都合が良ければ、突起の斜面の頂部を凸曲面(図7
(ハ)の場合)とすることも可能である。ただし、凸曲
面を採用する場合には、両側の突起斜面5a、5bと凸
曲面5cの二つの接点A、Bを結ぶ距離が頂部平坦幅の
限界値(即ち、突起の高さh)を超えないようにする。
また、凸曲面のrについては既述した通りである。な
お、本発明において突起についての三角形の頂部の形状
については、図7に図示するものに制限するものではな
い。
【0019】(2)図9により、突起において相対する
斜面のなす角度である突起角度と、すべり係数との関係
を示す。図9は、中間補助材の表層部に、長手方向に沿
って三角形の波形状の突起を設けた場合であり、試験条
件について、図9において示す。 すべり係数は突起角度が90度付近で最大となり、そ
れよりも突起角度が大きくなるにつれ、また小さくなる
につれ、すべり係数は小さくなる。 突起角度は60度から120度の範囲で0.9以上の
すべり係数の確保が可能である。 なお、突起角度の適正な範囲を60〜120度とする
理由は、0.9のすべり係数値を確保するためであるこ
とは勿論であるが、さらに次のような理由があるすなわ
ち、60度よりも角度が小さくなると、突起形状の加工
において非常に精密かつ高度な技術が必要とされ、本構
造のような量産化が要求されるような場合には適さな
い。また、120度よりも大きな場合には突起を成形す
るために、より大きなエネルギーを必要とし、低コスト
かつスピーディーに突起を加工することが困難となるか
らである。
斜面のなす角度である突起角度と、すべり係数との関係
を示す。図9は、中間補助材の表層部に、長手方向に沿
って三角形の波形状の突起を設けた場合であり、試験条
件について、図9において示す。 すべり係数は突起角度が90度付近で最大となり、そ
れよりも突起角度が大きくなるにつれ、また小さくなる
につれ、すべり係数は小さくなる。 突起角度は60度から120度の範囲で0.9以上の
すべり係数の確保が可能である。 なお、突起角度の適正な範囲を60〜120度とする
理由は、0.9のすべり係数値を確保するためであるこ
とは勿論であるが、さらに次のような理由があるすなわ
ち、60度よりも角度が小さくなると、突起形状の加工
において非常に精密かつ高度な技術が必要とされ、本構
造のような量産化が要求されるような場合には適さな
い。また、120度よりも大きな場合には突起を成形す
るために、より大きなエネルギーを必要とし、低コスト
かつスピーディーに突起を加工することが困難となるか
らである。
【0020】(3)図11において、突起形状が角錐状
(例えば四角錐)の場合、力の伝達方向への角錐の投影
面積が大きいほど、すべり係数が大きい。図11におい
て、種別Aよりも種別Bの方が、また種別Cよりも種別
Dの方が、すべり係数が大きい。 (4)中間補助材の突起部に油、等の防錆処理を施すこ
とは、中間補助材の使用時に突起部の加工時の表面状態
を維持し、高力ボルト締付け時の突起の食い込み効果を
高めることに役立つ。
(例えば四角錐)の場合、力の伝達方向への角錐の投影
面積が大きいほど、すべり係数が大きい。図11におい
て、種別Aよりも種別Bの方が、また種別Cよりも種別
Dの方が、すべり係数が大きい。 (4)中間補助材の突起部に油、等の防錆処理を施すこ
とは、中間補助材の使用時に突起部の加工時の表面状態
を維持し、高力ボルト締付け時の突起の食い込み効果を
高めることに役立つ。
【0021】本発明の高力ボルト摩擦接合構造の作用に
ついて説明するに、接合部が高力ボルトによって締め付
けられ、中間補助材の突起が鋼材の表層部に食い込み、
すべりに対して強力なずれ止めとして作用するため、大
きなすべり係数値が得られる。また突起の形状と大きさ
が一定しているために、摩擦面に形成されるすべりに対
する抵抗のバラツキが小さくなり、安定したすべり係数
値の確保が可能となる。さらに、一つの摩擦接合面を構
成する鋼材と中間補助材との一方あるいは双方の摩擦面
の表面に防錆用の塗料あるいは油が塗布されていても、
突起が前記塗料あるいは油を貫通して、中間補助材の突
起が鋼材表面部に食い込むので、すべり係数値を低下さ
せることなく、従来行われなかった摩擦面の防錆処理が
可能である。それだけでなく、上下の表層部に突起を設
けた中間補助材の表面に防錆処理を施した場合には、上
述の如く、中間処理材の使用時に突起部の加工時の状態
を維持して高力ボルト締付け時の食込み効果を安定的に
高めることに役立つ。
ついて説明するに、接合部が高力ボルトによって締め付
けられ、中間補助材の突起が鋼材の表層部に食い込み、
すべりに対して強力なずれ止めとして作用するため、大
きなすべり係数値が得られる。また突起の形状と大きさ
が一定しているために、摩擦面に形成されるすべりに対
する抵抗のバラツキが小さくなり、安定したすべり係数
値の確保が可能となる。さらに、一つの摩擦接合面を構
成する鋼材と中間補助材との一方あるいは双方の摩擦面
の表面に防錆用の塗料あるいは油が塗布されていても、
突起が前記塗料あるいは油を貫通して、中間補助材の突
起が鋼材表面部に食い込むので、すべり係数値を低下さ
せることなく、従来行われなかった摩擦面の防錆処理が
可能である。それだけでなく、上下の表層部に突起を設
けた中間補助材の表面に防錆処理を施した場合には、上
述の如く、中間処理材の使用時に突起部の加工時の状態
を維持して高力ボルト締付け時の食込み効果を安定的に
高めることに役立つ。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図12によ
り説明する。図12において、左右のH形鋼6、6の上
下のフランジ7a、7bのそれぞれの両側に、上のフラ
ンジ7aにおいては中間補助材(鋼製)8a、8aを介
在させて添板9a、9aを設置し、下のフランジ7bに
おいては中間補助材(鋼製)8b、8bを介在させて添
板9b、9bを設置し、高力ボルト10により締付け、
両面に突起を設けた中間補助材8を用いて、H形鋼6の
フランジ7と添板9とを、高力ボルトにより摩擦接合す
る。ウェブ11についても、同様にウェブ11とウェブ
11の両側の添板12、12間に中間補助材を介在さ
せ、高力ボルト摩擦接合構造を形成する。図12はフラ
ンジの外側と内側との両方の表面に中間補助材を設けた
例を示す。
り説明する。図12において、左右のH形鋼6、6の上
下のフランジ7a、7bのそれぞれの両側に、上のフラ
ンジ7aにおいては中間補助材(鋼製)8a、8aを介
在させて添板9a、9aを設置し、下のフランジ7bに
おいては中間補助材(鋼製)8b、8bを介在させて添
板9b、9bを設置し、高力ボルト10により締付け、
両面に突起を設けた中間補助材8を用いて、H形鋼6の
フランジ7と添板9とを、高力ボルトにより摩擦接合す
る。ウェブ11についても、同様にウェブ11とウェブ
11の両側の添板12、12間に中間補助材を介在さ
せ、高力ボルト摩擦接合構造を形成する。図12はフラ
ンジの外側と内側との両方の表面に中間補助材を設けた
例を示す。
【0023】次に、図13により、角形鋼管柱13にH
形鋼14を固定する場合に、中間補助材17を用いた高
力ボルト摩擦接合構造を適用した例を示す。角形鋼管柱
13にT形鋼15のフランジ15aをボルト16により
取付け、T形鋼15のウェブ15bとH形鋼14のフラ
ンジ14a間に中間補助材17を介在させ、高力ボルト
18により締付け、高力ボルト摩擦接合構造を形成す
る。左右のH形鋼14、14の上下のフランジ14a、
14bと角形鋼管柱13に取り付けた四つのT形鋼15
との間で、同様の高力ボルト摩擦接合構造を形成する。
図13はフランジの外側の表面のみに中間補助材を設け
た例を示す。
形鋼14を固定する場合に、中間補助材17を用いた高
力ボルト摩擦接合構造を適用した例を示す。角形鋼管柱
13にT形鋼15のフランジ15aをボルト16により
取付け、T形鋼15のウェブ15bとH形鋼14のフラ
ンジ14a間に中間補助材17を介在させ、高力ボルト
18により締付け、高力ボルト摩擦接合構造を形成す
る。左右のH形鋼14、14の上下のフランジ14a、
14bと角形鋼管柱13に取り付けた四つのT形鋼15
との間で、同様の高力ボルト摩擦接合構造を形成する。
図13はフランジの外側の表面のみに中間補助材を設け
た例を示す。
【0024】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。 (実施例1)図12に示す場合について実施例を説明す
る。本実施例において、硬さの小なる方の一方の鋼材6
はH588×300×12(ウェブ厚さ)×20(フラ
ンジ厚さ)、材質(SN400B)である。摩擦接合す
るため、鋼材6のフランジ7、ウェブ11の表層部はシ
ョットブラストにより処理し、Rz(DIN)=50μ
mとした。一方、硬さの小なる方の他方の鋼材である添
板9についても、同様の材質のものを使用し、添板9の
表層部について同様のショットブラストにより処理を行
った。中間補助材8は硬さの大なる方の鋼材であり、機
械切削により三角形の波形状の突起を形成した。中間補
助材に施した突起高さは0.5mmであり、中間補助材
の表層部に設けた上下の突起の谷部底間の長さt(tは
図10参照。)は3mmである(従って、上下の突起の
頂部間の長さは、4mmである。)。中間補助材8の摩
擦接合面の表層部の硬さと、鋼材6における摩擦接合面
の表層部の硬さとの比が3.1とする。中間補助材の突
起の角度(両側斜面による夾角)は90度とし、上下の
表層部に設けた突起の頂部の平坦幅Wは0とした。ま
た、中間補助材の表層部に設けた上下の突起につき、上
の谷部底と下の山部頂部との位置が、中間補助材の上下
方向の線上において一致するよう加工を施した。上下の
表層部に突起を設けた中間補助材の表面に油により防錆
処理を施した。また、鋼材6、添板9について、その摩
擦接合面につき、他の部分における表面と同様に油によ
り防錆処理を施した。かかる接合構造の構成のものを、
高力ボルト10としてF10T M22を用いて、鋼材
6のフランジ7と添板9とを、及び鋼材6のウェブ11
と添板12とを締め付けた。その結果、すべり係数1.
06の継手強度を確保し、必要ボルト本数はフランジ部
とウェブ部で総24本であった。
る。本実施例において、硬さの小なる方の一方の鋼材6
はH588×300×12(ウェブ厚さ)×20(フラ
ンジ厚さ)、材質(SN400B)である。摩擦接合す
るため、鋼材6のフランジ7、ウェブ11の表層部はシ
ョットブラストにより処理し、Rz(DIN)=50μ
mとした。一方、硬さの小なる方の他方の鋼材である添
板9についても、同様の材質のものを使用し、添板9の
表層部について同様のショットブラストにより処理を行
った。中間補助材8は硬さの大なる方の鋼材であり、機
械切削により三角形の波形状の突起を形成した。中間補
助材に施した突起高さは0.5mmであり、中間補助材
の表層部に設けた上下の突起の谷部底間の長さt(tは
図10参照。)は3mmである(従って、上下の突起の
頂部間の長さは、4mmである。)。中間補助材8の摩
擦接合面の表層部の硬さと、鋼材6における摩擦接合面
の表層部の硬さとの比が3.1とする。中間補助材の突
起の角度(両側斜面による夾角)は90度とし、上下の
表層部に設けた突起の頂部の平坦幅Wは0とした。ま
た、中間補助材の表層部に設けた上下の突起につき、上
の谷部底と下の山部頂部との位置が、中間補助材の上下
方向の線上において一致するよう加工を施した。上下の
表層部に突起を設けた中間補助材の表面に油により防錆
処理を施した。また、鋼材6、添板9について、その摩
擦接合面につき、他の部分における表面と同様に油によ
り防錆処理を施した。かかる接合構造の構成のものを、
高力ボルト10としてF10T M22を用いて、鋼材
6のフランジ7と添板9とを、及び鋼材6のウェブ11
と添板12とを締め付けた。その結果、すべり係数1.
06の継手強度を確保し、必要ボルト本数はフランジ部
とウェブ部で総24本であった。
【0025】なお、比較のため、鋼材の寸法は全く同一
とし、同一の高力ボルトを使用し、中間補助材を使用せ
ず、摩擦面については防錆を行わず、赤錆処理した従来
方式につき実施したところ、すべり係数0.49、必要
ボルト本数46本という結果を得た。
とし、同一の高力ボルトを使用し、中間補助材を使用せ
ず、摩擦面については防錆を行わず、赤錆処理した従来
方式につき実施したところ、すべり係数0.49、必要
ボルト本数46本という結果を得た。
【0026】(実施例2)図13に示す場合について実
施例を説明する。本実施例において、硬さの小なる方の
一方の鋼材14はH450×200×9(ウェブ厚さ)
×14(フランジ厚さ)、材質(SN400B)であ
る。摩擦接合するため、鋼材14のフランジ14a、1
4bの表層部はショットブラストにより処理し、Rz
(DIN)=50μmとした。一方、硬さの小なる方の
他方の鋼材であるT形鋼(スプリットテー)15につい
ても、同様の材質のものを使用し、T形鋼15のウェブ
15b、15dの表層部について同様のショットブラス
トにより処理を行った。T形鋼15は、そのフランジ1
5a、15cをボルト16により角形鋼管柱13に固定
した。中間補助材17は硬さの大なる方の鋼材であり、
機械切削により三角形の波形状の突起を形成した。中間
補助材17に施した突起高さは0.5mmであり、中間
補助材の表層部に設けた上下の突起の谷部底間の長さt
(tは図10参照。)は3mmである(従って、上下の
突起の頂部間の長さは、4mmである。)。中間補助材
17の摩擦接合面の表層部の硬さと、鋼材14、T形鋼
15における摩擦接合面の表層部の硬さとの比が2.9
とする。中間補助材17の突起の角度(両側斜面による
夾角)は90度とし、上下の表層部に設けた突起の頂部
の平坦幅Wは0とした。また、中間補助材17の表層部
に設けたの上下の突起につき、上の谷部底と下の山部頂
部との位置が、中間補助材の上下方向の線上において一
致するよう加工を施した。上下の表層部に突起を設けた
中間補助材17の表面に油により防錆処理を施した。ま
た、鋼材14、T形鋼15について、その摩擦接合面に
つき、他の部分における表面と同様に油により防錆処理
を施した。かかる接合構造の構成のものを、高力ボルト
18としてF10T M22を用いて、鋼材14のフラ
ンジ14a、14bとT形鋼15のウェブ15b、15
dとを締め付けた。その結果、すべり係数0.97の継
手強度を確保し、フランジ部での摩擦接合のための必要
ボルト本数は総24本であった。
施例を説明する。本実施例において、硬さの小なる方の
一方の鋼材14はH450×200×9(ウェブ厚さ)
×14(フランジ厚さ)、材質(SN400B)であ
る。摩擦接合するため、鋼材14のフランジ14a、1
4bの表層部はショットブラストにより処理し、Rz
(DIN)=50μmとした。一方、硬さの小なる方の
他方の鋼材であるT形鋼(スプリットテー)15につい
ても、同様の材質のものを使用し、T形鋼15のウェブ
15b、15dの表層部について同様のショットブラス
トにより処理を行った。T形鋼15は、そのフランジ1
5a、15cをボルト16により角形鋼管柱13に固定
した。中間補助材17は硬さの大なる方の鋼材であり、
機械切削により三角形の波形状の突起を形成した。中間
補助材17に施した突起高さは0.5mmであり、中間
補助材の表層部に設けた上下の突起の谷部底間の長さt
(tは図10参照。)は3mmである(従って、上下の
突起の頂部間の長さは、4mmである。)。中間補助材
17の摩擦接合面の表層部の硬さと、鋼材14、T形鋼
15における摩擦接合面の表層部の硬さとの比が2.9
とする。中間補助材17の突起の角度(両側斜面による
夾角)は90度とし、上下の表層部に設けた突起の頂部
の平坦幅Wは0とした。また、中間補助材17の表層部
に設けたの上下の突起につき、上の谷部底と下の山部頂
部との位置が、中間補助材の上下方向の線上において一
致するよう加工を施した。上下の表層部に突起を設けた
中間補助材17の表面に油により防錆処理を施した。ま
た、鋼材14、T形鋼15について、その摩擦接合面に
つき、他の部分における表面と同様に油により防錆処理
を施した。かかる接合構造の構成のものを、高力ボルト
18としてF10T M22を用いて、鋼材14のフラ
ンジ14a、14bとT形鋼15のウェブ15b、15
dとを締め付けた。その結果、すべり係数0.97の継
手強度を確保し、フランジ部での摩擦接合のための必要
ボルト本数は総24本であった。
【0027】なお、比較のため、鋼材の寸法は全く同一
とし、同一の高力ボルトを使用し、中間補助材を使用せ
ず、摩擦面については防錆を行わず、赤錆処理した従来
方式につき実施したところ、すべり係数0.46、必要
ボルト本数40本という結果を得た。
とし、同一の高力ボルトを使用し、中間補助材を使用せ
ず、摩擦面については防錆を行わず、赤錆処理した従来
方式につき実施したところ、すべり係数0.46、必要
ボルト本数40本という結果を得た。
【0028】
【発明の効果】本発明によって、次のような効果を奏す
る。 (1)突起を設けた中間補助材を用いて、0.9以上の
すべり係数値を安定して確保することが可能となる。そ
の結果、鋼材の高強度化、板厚の極厚化に対してても接
合部をコンパクトに設計し、高力ボルトの必要本数を大
巾に減少することができる。また、既存の接合部もより
コンパクトになり、加工・施工の省力化と工程短縮が図
れ、建設コストが削減できる。 (2)高力ボルト摩擦接合部のすべり耐力が非常に大き
くなることから、新しい接合部設計も可能となり、構造
設計の省力化が図れる。一例をあげれば、ボルト孔の断
面欠損を考慮に入れないで、全断面が有効であるとした
接合部設計が可能になる。また、本発明による接合構造
を有する骨組みは地震時により安定した履歴性状を有す
ることから耐震性能の向上が図れる。 (3)本発明の中間補助材の表面に設けた突起は、硬度
の小なる鋼材の表面の塗料あるいは油を貫通して、硬さ
の小なる鋼材の表層部に十分食い込み、摩擦接合機構を
形成するので、防錆処理層の存在により、すべり係数を
低下させることなく、すべり係数0.9以上を十分確保
する。摩擦接合面に防錆用の塗料あるいは油を塗布する
ことが可能となるから、摩擦接合面において、鋼材、中
間補助材における、他の表面と同様な防錆処理を一律に
行うことが可能となる。摩擦面の表面状態管理が簡単で
かつ特別の技能を要しないため、いままで必要であった
煩雑な品質管理が不要になる。また、従来法に比べ格段
に安定した性能が得られ、また工期の短縮が図られる。 (4)鋼材自体には突起を施すための加工が不要とな
り、中間補助材の加工で対応ができる。
る。 (1)突起を設けた中間補助材を用いて、0.9以上の
すべり係数値を安定して確保することが可能となる。そ
の結果、鋼材の高強度化、板厚の極厚化に対してても接
合部をコンパクトに設計し、高力ボルトの必要本数を大
巾に減少することができる。また、既存の接合部もより
コンパクトになり、加工・施工の省力化と工程短縮が図
れ、建設コストが削減できる。 (2)高力ボルト摩擦接合部のすべり耐力が非常に大き
くなることから、新しい接合部設計も可能となり、構造
設計の省力化が図れる。一例をあげれば、ボルト孔の断
面欠損を考慮に入れないで、全断面が有効であるとした
接合部設計が可能になる。また、本発明による接合構造
を有する骨組みは地震時により安定した履歴性状を有す
ることから耐震性能の向上が図れる。 (3)本発明の中間補助材の表面に設けた突起は、硬度
の小なる鋼材の表面の塗料あるいは油を貫通して、硬さ
の小なる鋼材の表層部に十分食い込み、摩擦接合機構を
形成するので、防錆処理層の存在により、すべり係数を
低下させることなく、すべり係数0.9以上を十分確保
する。摩擦接合面に防錆用の塗料あるいは油を塗布する
ことが可能となるから、摩擦接合面において、鋼材、中
間補助材における、他の表面と同様な防錆処理を一律に
行うことが可能となる。摩擦面の表面状態管理が簡単で
かつ特別の技能を要しないため、いままで必要であった
煩雑な品質管理が不要になる。また、従来法に比べ格段
に安定した性能が得られ、また工期の短縮が図られる。 (4)鋼材自体には突起を施すための加工が不要とな
り、中間補助材の加工で対応ができる。
【図1】本発明の実施例を示す図である。(イ)は側面
図、(ロ)は平面図である。
図、(ロ)は平面図である。
【図2】本発明の突起の形状(三角形)の例を示す図で
ある。
ある。
【図3】本発明の突起の別の形状(角錐)の例を示す図
である。
である。
【図4】本発明の説明のための、硬さ比と突起高さをパ
ラメーターにしたすべり係数の試験の結果を示す。
ラメーターにしたすべり係数の試験の結果を示す。
【図5】本発明の説明のための、硬さの大なる鋼材にお
ける硬い層の深さをパラメーターにしたすべり係数の試
験の結果を示す。
ける硬い層の深さをパラメーターにしたすべり係数の試
験の結果を示す。
【図6】本発明の説明のための、硬さの小なる鋼材の表
面状態をパラメーターにしたすべり係数の試験の結果を
示す。
面状態をパラメーターにしたすべり係数の試験の結果を
示す。
【図7】本発明の三角形の形状の突起の頂部の各種
(イ)、(ロ)、(ハ)の断面を示す図である。
(イ)、(ロ)、(ハ)の断面を示す図である。
【図8】本発明の説明のための、突起頂部平坦部とすべ
り係数との関係を示す。
り係数との関係を示す。
【図9】本発明の説明のための、突起角度(突起におい
て相対する斜面のなす角度)とすべり係数との関係を示
す。
て相対する斜面のなす角度)とすべり係数との関係を示
す。
【図10】本発明の説明のための、上下の突起の谷部底
の位置の相対関係(位相)を示す。
の位置の相対関係(位相)を示す。
【図11】本発明の四角錐形状の突起において、力の伝
達方向に対して突起の方向を変えた場合を示す平面図て
ある。
達方向に対して突起の方向を変えた場合を示す平面図て
ある。
【図12】本発明の形態例を示す側面図(イ)と平面図
(ロ)を示す。
(ロ)を示す。
【図13】本発明の他の形態例を示す側面図(イ)と平
面図(ロ)を示す。
面図(ロ)を示す。
【図14】従来の技術を説明する図である。(イ)は側
面図、(ロ)は平面図を示す。
面図、(ロ)は平面図を示す。
【図15】別の従来の技術を説明する図である。
1 鋼材 2 添板 3 中間補助材 4 高力ボルト 5 突起 6 H形鋼 7 フランジ 8 中間補助材 9 添板 10 高力ボルト 11 ウェブ 12 添板 13 角形鋼管柱 14 H形鋼 15 T形鋼 16 ボルト 17 中間補助材 18 高力ボルト 19 鋼材 20 添板 21 高力ボルト 22 構造部材 23 構造部材 24 添接板 25 添接板 26 板材 27 ボルト 28 ナット
Claims (4)
- 【請求項1】 高力ボルトにより接合すべき鋼材間に中
間補助材を介在させて鋼材を接合する高力ボルト摩擦接
合構造において、該中間補助材の摩擦接合面の表層部の
硬さと前記の鋼材における摩擦接合面の表層部の硬さと
の比が2.5以上であって、前記の中間補助材の表層部
の硬さの層の深さを0.2mm以上とし、さらに中間補
助材の表層部の表面に沿って三角形の波形状あるいは角
錐状の複数の突起を設け、かつ該突起の高さは0.2〜
1.0mmとし、また鋼材の表面の最大表面粗さを該突
起の高さよりも充分に小さくしたことを特徴とする中間
補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造。 - 【請求項2】 中間補助材の上下の表層部に設けた突起
の頂部が平坦である場合には平坦幅Wを突起高さh以下
とするか、相対する斜面のなす角度がθである突起の斜
面の頂部を凸曲面とする場合には該凸曲面の半径rにつ
き、r≦h/cos(θ/2)とし、且つ該突起の両側
の斜面と該凸曲面との、両側の二つの接点を結ぶ距離が
突起高さhの値を超えないようにすることを特徴とする
請求項1記載の中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合
構造。 - 【請求項3】 中間補助材の上下の表層部に設けた突起
の相対する斜面のなす角度を60〜120度とすること
を特徴とする請求項1、又は請求項2記載の中間補助材
を用いた高力ボルト摩擦接合構造。 - 【請求項4】 摩擦接合面を構成する中間補助材と鋼材
との表面のうち、該中間補助材と該鋼材の片方もしくは
両方の表面に防錆用の塗料あるいは油を塗布してあるこ
とを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3記載
の中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19525696A JPH1018423A (ja) | 1996-07-08 | 1996-07-08 | 中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19525696A JPH1018423A (ja) | 1996-07-08 | 1996-07-08 | 中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1018423A true JPH1018423A (ja) | 1998-01-20 |
Family
ID=16338117
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP19525696A Pending JPH1018423A (ja) | 1996-07-08 | 1996-07-08 | 中間補助材を用いた高力ボルト摩擦接合構造 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1018423A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7231743B2 (en) | 1999-06-30 | 2007-06-19 | Nippon Steel Corporation | Buckling restrained braces and damping steel structures |
| JP2010031940A (ja) * | 2008-07-28 | 2010-02-12 | Takasago Thermal Eng Co Ltd | 配管振止め装置 |
| JP5885849B2 (ja) * | 2013-05-08 | 2016-03-16 | 株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ | 波動歯車装置と出力部材の締結固定方法 |
| EP3480378A1 (de) * | 2017-11-02 | 2019-05-08 | Audi Ag | Verbindungssystem |
-
1996
- 1996-07-08 JP JP19525696A patent/JPH1018423A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7231743B2 (en) | 1999-06-30 | 2007-06-19 | Nippon Steel Corporation | Buckling restrained braces and damping steel structures |
| JP2010031940A (ja) * | 2008-07-28 | 2010-02-12 | Takasago Thermal Eng Co Ltd | 配管振止め装置 |
| JP5885849B2 (ja) * | 2013-05-08 | 2016-03-16 | 株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ | 波動歯車装置と出力部材の締結固定方法 |
| EP3480378A1 (de) * | 2017-11-02 | 2019-05-08 | Audi Ag | Verbindungssystem |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20040113 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |