JPH10185802A - 表面特性評価装置 - Google Patents

表面特性評価装置

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JPH10185802A
JPH10185802A JP34367796A JP34367796A JPH10185802A JP H10185802 A JPH10185802 A JP H10185802A JP 34367796 A JP34367796 A JP 34367796A JP 34367796 A JP34367796 A JP 34367796A JP H10185802 A JPH10185802 A JP H10185802A
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健一 志村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料表面の凝着力を精度よく測定する。 【解決手段】 ばね8は両端が支持体7のばね固定部7
aに固定されており、試料5の測定面5aに対面する位
置に配設されている。ばね8の測定面5aに対向する面
の中心部に、圧子9が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面特性評価装置
に関する。さらに詳しくは、固体試料表面の凝着力を測
定する表面特性評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ギア装置や軸受装置などの機械的な摺動
を伴う機構において、物体同士の接触界面での凝着現象
に起因する摩擦は、装置の信頼性や性能、さらには寿命
を左右する要因の一つである。例えば、ギア装置や軸受
装置の摩擦はエネルギの損失を生じさせ、さらには接触
面の摩耗を生じさせるので装置の寿命を短くする。ま
た、金属の塑性加工における材料と工具の摩擦、すなわ
ち凝着現象は、加工表面の仕上げを左右する。一方、リ
レー装置などの接触機構においても、接触面間の凝着力
はリレー動作時の負荷となり、また、接点劣化の原因と
もなる。
【0003】このように、凝着現象は基盤技術のあらゆ
る領域で重要な要素となっており、さらに近年では、磁
気記録装置やマイクロマシンなどの先端技術分野におい
て、微小荷重や微小領域での凝着現象の解明が重要にな
っている。
【0004】従来は、固体間の凝着現象の測定装置とし
て、例えば特開平5−296918号公報に示されるよ
うな、金属材料からなる2つの試料を適宜な荷重で接触
させた後に直線運動によって摺動させ、そのときの摩擦
力と荷重から凝着係数を算出する凝着力測定装置が用い
られていた。
【0005】また、特開平3−238342号公報等に
は、マイクロニュートンオーダーの微小な凝着力を微小
領域で測定するための装置として、表面特性評価装置が
示されている。以下に、従来の表面特性評価装置を図面
を用いて説明する。
【0006】図12は、従来の表面特性評価装置の全体
構成を示す斜視図である。図12に示すように、従来の
表面特性評価装置は、試料105が載置される固定台1
04を有する試料固定部101と、試料105に接触さ
せる圧子107を支持する圧子支持部102と、圧子支
持部102の変位を測定する変位センサ103とにより
構成されている。
【0007】試料固定部101において、試料105は
固定台104の上に測定面105aが水平になるように
載置される。固定台104には移動手段(不図示)が設
けられており、試料105の測定面105aに垂直な方
向に移動可能になっている。
【0008】圧子支持部102は、一端部がベース(不
図示)に固定され、自由端部が測定面105aに垂直に
弾性変形するばね106と、ばね106の測定面105
aに対向する面に設けられている圧子107とから構成
されている。圧子107はダイヤモンドが角錐形状に形
成されたものであり、その先端の半径はサブミクロンオ
ーダーに仕上げられている。なお、圧子107は測定面
105aの上方に位置するように配設されている。
【0009】変位センサ103は、ばね106の自由端
における圧子107の、測定面105aに垂直な方向の
変位を検出するための変位検出手段であり、ばね106
の自由端の上方に設けられている。
【0010】以下に、この従来の表面特性評価装置によ
る凝着力の測定方法を説明する。
【0011】まず最初に、固定台104を上昇させて試
料105の測定面105aを圧子107に接触させ、ば
ね106の自由端の位置を変位センサ103にて検出す
る。その後、測定面105aに塑性変形を生じない程度
の力で圧子107を試料105に押し付ける。
【0012】次に、固定台104を徐々に下降させる
が、圧子107と測定面105aとの間に作用している
凝着力によって圧子107が試料105に付着している
ので、圧子107は試料105から離反せず、ばね10
6は測定面105a側にたわむ。さらに固定台104を
下降させると、ばね106の復元力が前記の凝着力を超
えて、圧子107が試料105から離反する。このとき
のばね106の自由端の変位を変位センサ103で検出
することにより、圧子107が測定面105aに接触し
た位置から離反した位置までのばね106の自由端のた
わみ量が測定され、ばね106のたわみ量とばね定数か
ら圧子107と測定面105aに作用する凝着力が算出
される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−296918号公報に示されるような凝着力測定装
置では、試料の摺動は振幅がミリメートルオーダーの直
線往復運動によって行われ、さらに試料同士の接触面積
も平方ミリメートルオーダーを必要とする。従って、微
小領域の凝着力の測定が行えず、また、測定面の凝着力
に分布がある試料でも平均化した凝着力しか測定できな
かった。
【0014】一方、特開平3−238342号公報等に
示される表面特性評価装置では、圧子の先端が極めて鋭
利に形成されているので微小領域の凝着力の測定を行え
るが、ばねは一端のみで支持されて圧子はばねの自由端
に固定されている構造であるため、圧子を試料から引き
離す際に、ばねの変形に伴って圧子が測定面に対して次
第に傾いていく。このとき、圧子の先端が測定面に接触
する箇所が変化するため、接触面積が一定に保たれなく
なるので、凝着力を精度よく測定できなかった。また、
圧子の先端が錐状であるため圧子と測定面は点接触とな
り、正確な接触面積を知ることができず、接触している
圧子と試料を引き離すのに必要な単位接触面積当りの凝
着力を定量的に評価することができなかった。
【0015】以上の理由により、測定される凝着力の値
は普遍性を有さないので、異なる圧子を用いて同一の試
料を測定した場合の凝着力の比較を行うことができず、
あるいは、同一の圧子を用いて異なる試料を測定した場
合であっても凝着力の比較をすることができなかった。
【0016】そこで本発明は、凝着力を精度よく測定す
ることができる表面特性評価装置を提供することを目的
とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の表面特性評価装置は、試料の測定面に対面
して配置され、前記測定面に垂直な方向に弾性変形可能
に固定されたばね部材と、前記ばね部材の前記測定面に
対向する面に設けられた圧子と、前記測定面に垂直な方
向の前記圧子の変位を検出する変位検出手段とを有する
表面特性評価装置において、前記ばね部材は両端部が支
持され、前記圧子は前記ばね部材の中心部に設けられて
いる。
【0018】上記の通り構成された本発明では、ばね部
材は両端部が支持され、その中心部に圧子が設けられて
いるので、圧子はばね部材のたわみ量が変化しても常に
測定面と平行に保たれる最大たわみ点に設けられている
ことになる。その結果、ばね部材にたわみが生じても圧
子の先端面が測定面に対して傾くことはなく、圧子の先
端面と試料の測定面との接触面積は常に一定に保たれ
る。
【0019】また、前記圧子の先端面を前記測定面に対
して平行な平面に形成することにより、先端面を測定面
に接触させたときの接触面積は、先端面の面積とほぼ等
しくなるため、例えば複数の試料を測定した場合でも、
先端面と測定面の接触面積はいずれも一定に保たれる。
【0020】さらに、前記圧子の先端面の面積を規定さ
れた面積に形成することにより、面積は既知の値になる
ため、単位面積当りの凝着力が定量的に容易に測定され
る。
【0021】さらには、前記面積を平方マイクロメート
ルオーダー以下に形成することにより、測定面の微小領
域での凝着力の測定が可能になる。
【0022】前記変位検出手段として、前記ばね部材の
上方に設置された光学的変位センサを用いることによ
り、ばねのたわみ量を測定する際に、変位検出手段がば
ねに接触することがない。
【0023】また、前記変位検出手段として、前記ばね
部材の前記圧子が設けられている面と反対側の面に設け
られた圧電体薄膜を用いることにより、ばね部材の上方
に設けられる変位センサが不要になり、ばね部材の上方
空間から構造物がなくなるので、ばね部材の上方からの
顕微鏡等による観察が容易になる。
【0024】さらには、前記ばね部材は支持体に固定さ
れるとともに、前記試料は固定台上に載置され、前記支
持体を前記測定面に垂直な方向および水平な方向に移動
させるピエゾ素子、あるいは、前記固定台を前記測定面
に垂直な方向および水平な方向に移動させるピエゾ素子
のうち、少なくともいずれか一方を有することにより、
ピエゾ素子に印加する電圧を一定にすることで、測定開
始前に圧子が試料に押し付けられる力が一定になるため
測定の初期条件が一定になり、また、ピエゾ素子はナノ
メートルオーダーの精度で制御されることから、微小な
移動操作を繰り返すことにより、圧子と試料を引き離す
際に圧子が試料から離反する位置がより正確に検出され
る。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0026】(第1の実施形態)図1は、本発明の表面
特性評価装置の第1の実施形態の全体構成を示す斜視図
である。
【0027】図1に示すように、本実施形態の表面特性
評価装置は、試料5が載置される固定台4を有する試料
固定部1と、試料5に接触させる圧子9を支持する圧子
支持部2と、圧子9の変位を測定するための変位検出手
段である変位センサ3とにより構成されている。
【0028】試料固定部1は、ベース(不図示)に取り
付けられているステージ6の上に固定台4が設けられた
構成となっており、試料5は固定台4の上に測定面5a
が水平になるように載置される。なお、ステージ6には
移動手段(不図示)が設けられており、測定面5aに垂
直な方向および水平な方向に移動可能である。
【0029】圧子支持部2は、後方の端部がベース(不
図示)に取り付けられ、先端部に二股状のばね固定部7
aが形成されている支持体7と、これら2つのばね固定
部7aに両端が支持されているばね8と、ばね8の測定
面5aに対向する面の中心部に設けられている圧子9と
から構成されている。また、支持体7にも移動手段(不
図示)が設けられており、圧子支持部2は測定面5aに
垂直な方向に移動可能である。なお、圧子9は測定面5
aの上方に位置するように配設されている。
【0030】変位センサ3は、検出部がばね8の中心部
の上方、すなわち圧子9の上方に位置するように、ばね
8の上方に設けられている。変位センサ3には、光学的
変位センサなどの、ばね8に接触せずに変位を検出する
ことができるセンサを用いることが望ましい。
【0031】次に、ばね8および圧子9の詳細を図2お
よび図3を用いて説明する。図2は図1に示したばね8
の底面図、図3は図1に示したばね8の正面図である。
【0032】図2に示すように、本実施形態で用いられ
るばね8には、その長手方向に2本の平行なくり抜き部
8aが設けられており、これらくり抜き部8aの間に圧
子9が固定されている。例えば、支持体7の二股状のば
ね固定部7aが相互にねじれていたり段差があるなどの
理由で、ばね8をばね固定部7aに固定した際に初期応
力が発生した場合でも、くり抜き部8aによって初期応
力が低減されるため、くり抜き部8aのない単純な板ば
ねが用いられる場合に比べて正確な測定ができる。
【0033】また、図2および図3に示すように、圧子
9は面積が正確に規定されて形成されている先端面9a
を有し、ばね8が支持体7に取り付けられたときに先端
面9aが試料5の測定面5aと平行になるように、ばね
8の底面の中心部に設けられている。ばね8のばね定数
および先端面9aの面積は、測定される試料5の凝着
力、要求される測定精度、測定領域の大きさなどによっ
て設定されるが、通常は、ばね定数はニュートン/メー
トル(N/m)のオーダーあるいはそれ以下に設定さ
れ、先端面9aの面積は平方マイクロメートルオーダー
あるいはそれ以下に設定される。
【0034】以下に、本実施形態の表面特性評価装置に
よる凝着力の測定方法を説明する。
【0035】まず最初に、ステージ6の上昇あるいは支
持体7の下降の少なくとも一方の操作によって測定面5
aを圧子9の先端面9aに接触させ、このときのばね8
の中心部の位置を変位センサ3にて検出する。その後、
測定面5aに塑性変形を生じない程度の力で圧子9を試
料5に押し付ける。なお、圧子9の先端面9aは測定面
5aに対して平行に設けられているので、先端面9aと
測定面5aの接触面積は、規定の面積に形成されている
先端面9aの面積とほぼ等しくなる。
【0036】次に、ステージ6を徐々に下降させるが、
圧子9の先端面9aと測定面5aとの間に作用している
凝着力によって圧子9が試料5に付着しているので、測
定面5aが圧子9と接触したときの位置よりも下降して
も圧子9は試料5から離反せず、図4に示すように、ば
ね8は測定面5a側にたわむ。ここで、圧子9はばね8
の中心部に固定されているが、ばね8はその両端がばね
固定部7aに支持されているので、圧子9が固定されて
いる位置はばね8の最大たわみ点8bとなる。この最大
たわみ点8bは、ばね8のたわみ量が変化しても常に測
定面5aに平行に保たれるので、その結果、ばね8の変
形に伴って圧子9の先端面9aが測定面5aに対して傾
いていくことはなく、先端面9aと測定面5aとの接触
面積は常に一定に保たれる。
【0037】さらにステージ6を下降させると、ばね8
の復元力が凝着力を超えて圧子9が試料5から離反する
が、このときのばね8の中心部の変位を変位センサ3で
検出することにより、圧子9が試料5に接触した位置か
ら離反した位置までのばね8の中心部のたわみ量が測定
され、ばね8のたわみ量とばね定数から圧子9の先端面
9aと測定面5aに作用する凝着力が算出される。
【0038】また、ステージ6を測定面5aに水平な方
向に少しづつ移動させつつ凝着力を測定する操作を繰り
返すことで、測定面5aの微小領域での凝着力の分布を
測定することができる。
【0039】以上のように、ばね8の両端が支持体7に
支持され、圧子9がばね8の中心部に設けられているた
め、ばね8のたわみに応じて前記の先端面9aと試料5
の測定面5aとの接触面積が変化することがないので、
凝着力を精度よく測定することができる。
【0040】さらに、先端面9aは試料5の測定面5a
に平行に設けられているので、先端面9aと測定面5a
の接触面積が一定に保たれるため、例えば複数の試料を
測定した場合でも、先端面9aと測定面5aの接触面積
はいずれも一定に保つことができる。
【0041】また、圧子9の先端面9aの面積が正確に
規定されて設けられているので、面積は既知の値となる
ため、単位面積当りの凝着力を定量的に容易に測定でき
る。
【0042】さらには、圧子9の先端面9aの面積が平
方マイクロメートルオーダー以下に形成されていること
で、微小領域の凝着力の測定が可能になり、測定面5a
の微小領域での凝着力の分布を測定することができる。
【0043】変位センサ3には光学的変位センサが用い
られているので、ばね8のたわみ量を測定する際に、変
位センサ3がばね8に接触することがない。そのため、
ばね8のたわみ量を測定する際に、ばね8に不要な外力
が加えられることがないため、ばね8のたわみ量を正確
に測定することができる。
【0044】ばね8の素材はステンレス鋼などが好適に
用いられるが、それに限られず、他にも弾性が高く微細
加工が容易な金属やシリコン系の材料を用いることがで
きる。特に、シリコン系の材料を用いる場合には、フォ
トリソグラフィー技術を利用することで、ばね8と圧子
9を極めて微小に、かつ高精度で一体成形することがで
きる。
【0045】本実施形態での圧子9には、角錐の先端を
平面に形成したものを用いたが、先端面9aの面積が正
確に規定されて形成されていれば、圧子9の形状は角錐
状、円錐状の他、例えば円柱、角柱などの柱状に形成し
てもよい。さらに、圧子9を任意の材料で形成したり、
先端面9aに任意の材料の薄膜を形成すれば、様々な物
質を組合せて形成された圧子9で凝着力を測定できるの
で、素材の異なる試料5に応じて最適な圧子9を選択す
ることができる。また、本実施形態では、測定面5aの
微小領域での凝着力の分布を測定するために、先端面9
aの面積が平方マイクロメートルオーダー以下に形成さ
れているが、微小領域での凝着力の分布を測定する必要
がない場合には先端面9aの面積を微小に形成する必要
がなく、例えば平方ミリメートル程度のオーダーで形成
してもよい。
【0046】また、本実施形態の表面特性評価装置は、
標準液体を試料表面に滴下してその接触角から固体の表
面自由エネルギーを測定するような方法と異なり、液体
を利用しないので、真空中や任意の気体中、さらには液
体中でも凝着力を測定することができる。
【0047】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の
実施形態について図面を参照して説明する。図5は本発
明の表面特性評価装置の第2の実施形態の全体構成を示
す斜視図である。
【0048】図5に示すように、本実施形態では、ベー
ス(不図示)に取り付けられている取付支持具10と支
持体7との間に、印加電圧に応じて測定面5aに垂直な
方向に伸縮する第1のピエゾ素子11が設けられ、ステ
ージ6と固定台4との間には、印加電圧に応じて測定面
5aに垂直な方向に伸縮し、かつ上面部12aが測定面
5aに水平な方向に変位する第2のピエゾ素子12が設
けられている。これらのピエゾ素子11、12の伸縮量
および変位量は、ナノメートルオーダーの精度で制御す
ることができる。なお、取付支持具10は、試料5の測
定面5aに垂直な方向に移動可能となるように設けられ
ている。その他の構成は第1の実施形態と同様であるの
でその説明は省略し、図5において第1の実施形態と同
様の構成については図1と同じ符号を付している。
【0049】ここで、図6を用いて、第2のピエゾ素子
12の構造について簡単に説明する。
【0050】垂直方向および水平方向に変位するピエゾ
素子、すなわち3次元的に変位するピエゾ素子は、走査
型トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AF
M)などに広く用いられており、その代表例としてはト
ライポッド型やチューブ型が挙げられる。本実施形態で
は、第2のピエゾ素子12にチューブ型のピエゾ素子を
用いている。
【0051】図6に示すように、第2のピエゾ素子12
の外周面および内周面には、X軸電極12b、Y軸電極
12c、Z軸電極12dが設けられている。X軸電極1
2bおよびY軸電極12cに印加する電圧を制御すれ
ば、第2のピエゾ素子12の上面部12aをX−Y方向
(すなわち、測定面5aに水平な方向)に自在に変位さ
せることができる。また、Z軸電極12dに電圧を印加
することにより、第2のピエゾ素子12をZ軸方向(す
なわち、測定面5aに垂直な方向)に伸縮させることが
できる。このようにして、第2のピエゾ素子12を測定
面5aに垂直な方向に伸縮させ、かつ第2のピエゾ素子
12の上面部12aを測定面5aに水平な方向に変位さ
せることができる。
【0052】本実施形態の表面特性評価装置による凝着
力の測定では、ステージ6の上昇あるいは取付支持具1
0の下降の少なくとも一方の操作によって測定面5aを
圧子9の先端面9aに接触させる。その後、第1のピエ
ゾ素子11と第2のピエゾ素子12の少なくとも一方に
規定の電圧を印加することにより、ピエゾ素子を測定面
5aに垂直な方向に伸長させることで、圧子9が試料5
に一定の力で押し付けられる。また、各ピエゾ素子1
1、12はナノメートルオーダーの精度で制御されるの
で、微小な移動操作を繰り返すことにより、圧子9aと
試料5aを引き離す際に圧子9が試料5から離反する位
置がより正確に検出される。
【0053】このように、本実施形態の表面特性評価装
置によれば、測定開始前に圧子9が試料5に押し付けら
れる力が一定であるので、測定の初期条件が一定にな
り、複数の試料5を測定した場合における各測定値の比
較結果の信頼性が向上する。
【0054】また、圧子9が試料5から離反する位置が
より正確に検出されることに伴って、ばね8のたわみ量
もより正確に測定されるので、凝着力をより正確に測定
することができる。
【0055】さらに、第2のピエゾ素子12の上面部1
2aを測定面5aに水平な方向に変位させることによ
り、試料固定部1は測定面5aに水平な方向に高精度で
移動されるので、測定面5aでの凝着力の分布を高分解
能で測定することができる。
【0056】なお、本実施形態においては、第2のピエ
ゾ素子12のみによって試料5を測定面5aに垂直な方
向および水平な方向に移動させ、試料5と圧子9の相対
位置を変位させることができるので、第1のピエゾ素子
11を省略してもよい。また、支持体7を測定面5aに
垂直な方向および水平な方向に移動可能とする機能を第
1のピエゾ素子11に具備させれば、上記とは逆に第2
のピエゾ素子12を省略することができる。
【0057】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施形態について図7から図10を参照して説明する。
図7は本発明の表面特性評価装置の第3の実施形態の全
体構成を示す斜視図であり、図8は図7に示したばね8
の上面図、図9は図7に示したばね8の底面図、図10
は図7に示したばね8の正面図である。
【0058】図7および図8に示すように、ばね8の上
面には圧電体薄膜13が装着されている。圧電体薄膜1
3は、歪み量に応じて電気抵抗が変化し、その電気抵抗
を測定することでばね8のたわみ量が測定されるもので
あり、そのため、本実施形態では変位センサは不要であ
る。その他の構成は第1の実施形態と同様であるのでそ
の説明は省略し、図7から図10において第1の実施形
態と同様の構成については図1と同じ符号を付してい
る。
【0059】圧電体薄膜13は、形状に歪みが生じると
その歪み量に応じて電気抵抗が変化する性質を有するた
め、その電気抵抗の変化を計測することでばね8のたわ
み量が測定される。このたわみ量とばね定数により凝着
力が求められるが、本実施形態におけるばね8のばね定
数には、ばね8単独での値ではなく、圧電体薄膜13が
装着された状態でのばね8のばね定数が用いられる。
【0060】以上のように、ばね8のたわみ量をばね8
自身に装着された圧電体薄膜13によって測定するため
変位センサの使用が不要になり、ばね8の上方空間の構
造物がなくなるので、上方からの顕微鏡等による観察が
容易になる。そのため、例えば測定面5aが単一平面で
ない場合であっても、凝着力の測定箇所を顕微鏡観察に
よって決定し、さらに圧子9を測定面5aに接触させる
操作等を顕微鏡観察下で行うことができる。これによ
り、測定操作中に誤って圧子9や試料5を破損するおそ
れを低減することができ、また、測定面5aの画像を記
録することもできる。
【0061】なお、図8および図10に示すように、本
実施形態における圧電体薄膜13は、ばね8の表面のた
わみが生じる部分、すなわち2箇所のくり抜き部8aで
挟まれている部分の全体に設けられているが、ばね8の
たわみ量に対する圧電体薄膜13の歪み量が相関関係を
有するように設けられるのであれば、圧電体薄膜13を
ばね8の表面のたわみが生じる部分全体に設ける必要は
なく、圧電体薄膜13をより小型化してもよいし、線状
等に設けてもよい。
【0062】なお、圧電体薄膜13には歪みが生じるこ
とによって電気抵抗が変化する素材が用いられ、たとえ
ばシリコンなどがその1例に挙げられる。
【0063】また、図11に示すように、圧電体薄膜1
3を第2の実施形態で説明したピエゾ素子11、12
(図5参照)を有する表面特性評価装置に組み合せて使
用してもよい。これにより、顕微鏡観察下での高精度な
凝着力の測定を行うことができる。なお、第1のピエゾ
素子11あるいは第2のピエゾ素子12の一方のみによ
って試料5と圧子9の相対位置を変位させることができ
る理由から、第1のピエゾ素子11あるいは第2のピエ
ゾ素子12の一方を省略してもよいことは、第2の実施
形態で説明した通りである。
【0064】
【実施例】次に、図1に示した表面特性評価装置の実施
例について説明する。
【0065】本実施例の表面特性評価装置は、ばね8の
素材にステンレス鋼を用いて、ばね8の板厚を10μ
m、板幅を0.2mm、板長を4mmとすることで、ば
ね8のばね定数が2N/mとなるように設定した。一
方、圧子9の素材にはシリコンを用い、先端面9aが結
晶面の(100)面となるようにし、かつ面積を0.1
μm2に加工し、さらに先端面9aを窒化した。また、
変位センサ3には、ばね8の上面に光を垂直に入射して
入射光と反射光の干渉効果から変位を検出する光学的変
位センサを用いた。
【0066】この表面特性評価装置を用いて、シリコ
ン、窒化シリコン、酸化シリコンの3種類の試料5の凝
着力を測定したところ、圧子9の先端面9a(窒化シリ
コン)との単位接触面積当りの凝着力は、シリコンが
1.7MPa、窒化シリコンが2.4MPa、酸化シリ
コンが7.2MPaであった。また、測定面5aの凝着
力の分布は認められなかった。比較のために、シリコ
ン、窒化シリコン、酸化シリコンの表面に標準液体を滴
下し、その液体接触角から表面自由エネルギーを算出
し、さらに幾何平均則を用いて算出した窒化シリコンと
の凝着エネルギーの結果は、シリコン、窒化シリコン、
酸化シリコンの順に大きく、本実施例の測定結果は表面
自由エネルギーから算出した結果と一致した。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の表面特性
評価装置は、ばね部材の両端が支持体に支持され、圧子
がばね部材の中心部に設けられていることにより、試料
表面の凝着力を精度よく測定することができる。
【0068】また、圧子の先端面を測定面に対して平行
な平面に形成することにより、例えば複数の試料を測定
した場合でも、先端面と測定面の接触面積はいずれも一
定に保つことができる。
【0069】さらに、圧子の先端面の面積を規定された
面積に形成することにより、前記面積は既知の値になる
ので、単位面積当りの凝着力を定量的に容易に測定する
ことができる。
【0070】さらには、圧子の先端面の面積を平方マイ
クロメートルオーダー以下に形成することで、微小領域
の凝着力の測定が可能になり、測定面の微小領域での凝
着力の分布を測定することができる。
【0071】変位検出手段として、ばね部材の上方に設
置された光学的変位センサを用いることにより、ばね部
材のたわみ量を測定する際に変位検出手段がばね部材に
接触することがない。そのため、ばね部材のたわみ量を
測定する際にばね部材に不要な外力が加えられることが
ないので、ばね部材のたわみ量を正確に測定することが
できる。
【0072】また、変位検出手段として、ばね部材の圧
子が設けられている面と反対側の面に設けられた圧電体
薄膜を用いることにより、上方からの顕微鏡等による観
察が容易になり、測定操作中に誤って圧子や試料を破損
するおそれを低減することができ、また、測定面の画像
を記録することもできる。
【0073】さらに、圧子と試料の相対位置を変位させ
るための移動手段としてピエゾ素子を有することによ
り、測定開始前に圧子が試料に押し付けられる力が一定
になるため、測定の初期条件が一定になり、複数の試料
を測定した場合における各測定値の比較結果の信頼性が
向上する。また、ピエゾ素子はナノメートルオーダーの
精度で制御されることから、圧子が試料から離反する位
置がより正確に検出されるので、ばね部材のたわみ量も
より正確に測定され、凝着力を一層正確に測定すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面特性評価装置の第1の実施形態の
全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したばねの底面図である。
【図3】図1に示したばねの正面図である。
【図4】本発明の表面特性評価装置の第1の実施形態を
ばねにたわみが生じている状態で示す拡大正面図であ
る。
【図5】本発明の表面特性評価装置の第2の実施形態の
全体構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示した第2のピエゾ素子の構成を示す斜
視図である。
【図7】本発明の表面特性評価装置の第3の実施形態の
全体構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示したばねの上面図である。
【図9】図7に示したばねの底面図である。
【図10】図7に示したばねの正面図である。
【図11】本発明の表面特性評価装置の第3の実施形態
の応用例の全体構成を示す斜視図である。
【図12】従来の表面特性評価装置の全体構成を示す斜
視図である。
【符号の説明】
1 試料固定部 2 圧子支持部 3 変位センサ 4 固定台 5 試料 5a 測定面 6 ステージ 7 支持体 7a ばね固定部 8 ばね 8a くり抜き部 8b 最大たわみ点 9 圧子 9a 先端面 10 取付支持具 11 第1のピエゾ素子 12 第2のピエゾ素子 12a 上面部 12b X軸電極 12c Y軸電極 12d Z軸電極 13 圧電体薄膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の測定面に対面して配置され、前記
    測定面に垂直な方向に弾性変形可能に固定されたばね部
    材と、前記ばね部材の前記測定面に対向する面に設けら
    れた圧子と、前記測定面に垂直な方向の前記圧子の変位
    を検出する変位検出手段とを有する表面特性評価装置に
    おいて、 前記ばね部材は両端部が支持され、前記圧子は前記ばね
    部材の中心部に設けられていることを特徴とする表面特
    性評価装置。
  2. 【請求項2】 前記圧子の先端面は、前記測定面に対し
    て平行な平面に形成されている請求項1記載の表面特性
    評価装置。
  3. 【請求項3】 前記圧子の先端面の面積は、規定された
    面積に形成されている請求項1または2記載の表面特性
    評価装置。
  4. 【請求項4】 前記面積は、平方マイクロメートルオー
    ダー以下に形成されている請求項3記載の表面特性評価
    装置。
  5. 【請求項5】 前記変位検出手段は、前記ばね部材の上
    方に設置された光学的変位センサである請求項1から4
    のいずれか1項記載の表面特性評価装置。
  6. 【請求項6】 前記変位検出手段は、前記ばね部材の前
    記圧子が設けられている面と反対側の面に設けられた圧
    電体薄膜である請求項1から4のいずれか1項記載の表
    面特性評価装置。
  7. 【請求項7】 前記ばね部材は支持体に固定されるとと
    もに、前記試料は固定台上に載置され、前記支持体を前
    記測定面に垂直な方向および水平な方向に移動させるピ
    エゾ素子、あるいは、前記固定台を前記測定面に垂直な
    方向および水平な方向に移動させるピエゾ素子のうち、
    少なくともいずれか一方を有する請求項1から6のいず
    れか1項記載の表面特性評価装置。
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