JPH10191996A - 試料中の微生物由来atp濃度の測定法 - Google Patents

試料中の微生物由来atp濃度の測定法

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JPH10191996A
JPH10191996A JP345497A JP345497A JPH10191996A JP H10191996 A JPH10191996 A JP H10191996A JP 345497 A JP345497 A JP 345497A JP 345497 A JP345497 A JP 345497A JP H10191996 A JPH10191996 A JP H10191996A
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JP
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atp
hydrolase
microbial cells
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microbial
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JP345497A
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Yukiko Higo
幸呼 肥後
Hiromi Uchida
弘美 内田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物細胞及び非微生物細胞混合物を含む試
料から、微生物細胞由来のATPを選択的に検出する方
法を提供する。 【解決手段】 微生物細胞及び非微生物細胞混合物を含
む試料において、非イオン界面活性剤を混合して非微生
物細胞のATPを細胞外へ出す工程、試料を遠心分離し
て上済み液を除去し微生物細胞ペレットを形成する工
程、微生物細胞ペレットに緩衝液を加えpH=6.0〜
8.0としプロテアーゼフリーの可溶性タンパク質、A
TP加水分解酵素及びATP加水分解酵素活性化剤を加
える工程、ATP加水分解酵素の阻害剤を加える工程、
ATP抽出剤を添加し微生物細胞からATPを抽出する
工程、及び微生物細胞から放出されたATP濃度を生物
発光法を用いて測定する工程を含むことを特徴とする微
生物細胞中のATP濃度の測定法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物細胞及び非
微生物細胞混合物である試料の微生物学的品質検査に関
わり、生物発光法により該試料中の微生物細胞由来AT
Pを簡便かつ短時間で選択的に測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】ホタルルシフェラーゼを用いた生物発光法
は、微生物細胞ATPの迅速検出法として広く利用され
ている。この方法は、主に微生物細胞及び非微生物細胞
混合物である試料中の微生物細胞由来ATPを測定する
方法として一般的になってきているが、測定対象である
ATPは生物界に広く存在するため、目的とする微生物
細胞由来ATPのみを選択的に検出するには、様々な工
夫が必要である。
【0004】非微生物細胞を含む試料中の微生物細胞由
来ATPを選択的に測定する方法として、様々な方法が
開発されている。いずれの方法でも、大量に存在する非
微生物細胞由来ATPから微生物由来ATPのみを選択
的に高感度に検出する方法に腐心している。その中で、
非イオン性界面活性剤などにより非微生物細胞由来AT
Pを抽出した後、アピラーゼなどのATP加水分解酵素
でこれを分解し、その後微生物細胞由来ATPを抽出し
て生物発光法で測定する方法は、第1にATP測定法の
簡便化、第2に選択的検出感度の向上のために有効な手
段である。しかし一方で、ATP加水分解酵素を用いる
ために起こる不都合もある。すなわち、非微生物細胞由
来ATPを分解した後、試料中に残るATP加水分解酵
素は目的とする微生物細胞由来ATPまでも分解してし
まう恐れがある。そこで、ATP加水分解酵素を用いた
方法では、いずれの場合もATP加水分解酵素の処理に
工夫を凝らして、現在までに様々な測定法が開発されて
いる。
【0005】すなわち、米国特許第3745090号で
は、ATP加水分解酵素であるアピラーゼを失活させる
方法をいくつか記述している。化学的方法として酸、塩
基、重金属、有機溶媒、酵素抑制剤の添加、物理的方法
として加熱、短波長放射線の使用が示唆されており、そ
の中で沸騰Tris−EDTA緩衝液での加熱失活が試
みられているが、この方法では、目的とする微生物細胞
を含む全てのタンパク質を非特異的かつ不可逆的に変成
させること、及び沸騰Tris−EDTA緩衝液による
該試料の希釈のために測定感度は低下する。また、該特
許には酵素活性阻害剤の使用も示唆されているが、具体
的な方法については触れられていない。
【0006】これとは別に、目的とするATPの速やか
な分解が起きないように、ATP加水分解酵素をごく低
濃度で用いる方法も開発されている(米国特許第430
3752号)。しかし、この方法ではATP加水分解酵
素の使用条件を厳しく制限する必要があり、かつATP
加水分解酵素の作用が緩慢であったために、測定バック
グランドとなる非目的ATPを十分に分解するにはかな
りの時間を要した。
【0007】特公昭62−4120号には、アピラーゼ
などのATP加水分解酵素で非微生物細胞由来ATPを
加水分解した後、アピラーゼをガラスビーズなどで不動
態化する方法が示されている。しかし、この方法では、
試料に対して微生物細胞の濃縮操作が施されていないこ
とや、タンパク質、乳脂肪などの試料の構成成分による
測定阻害を受けることによって高感度の検出は期待でき
ない。また、アピラーゼの除去あるいは失活が不完全で
あって、微生物細胞からATPを抽出した後もアピラー
ゼの阻害作用があり正確な測定値が得られないといった
問題がある。このため、測定値のバラツキが大きく、実
用的には106 CFU/ml(CFU;C olony F ormi
ngU nit )程度の検出感度しか期待できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のような事実を鑑
み、本発明は、微生物細胞及び非微生物細胞混合物であ
る試料中の微生物細胞由来ATPの選択的測定法におい
て、ATP加水分解酵素を利用し、しかも、目的とする
微生物細胞由来ATPの分解を起こさないように速やか
にATP加水分解酵素を不活性化して、微生物細胞由来
ATPのみを簡便に、かつ高感度に測定する方法を提供
することにある。
【0009】本発明者らは、ATP加水分解酵素を有効
に働かせて非微生物由来ATPを分解し、尚かつ加水分
解後には速やかにATP加水分解酵素を不活性化する条
件を見出したことにより、目的とする微生物細胞由来の
ATPのみを選択的かつ高感度に検出することを可能に
した。
【0010】ATP加水分解酵素添加時、緩衝液を加え
pH=6.0〜8.0とし、さらにプロテアーゼフリー
の可溶性タンパク質とATP加水分解酵素活性化剤を加
え、ATP加水分解酵素の活性レベルを最適とする。A
TP加水分解酵素は非微生物細胞由来ATPを分解する
ときには良好に作用する。更に、ATP加水分解酵素に
よる非微生物由来ATPの分解処理を行った後、残った
ATP加水分解酵素に、キレート剤、バナジン酸塩、レ
バミソール、ステロイドa、グルコン酸クロルヘキシジ
ン、及びタンパク質加水分解酵素からなる群から選ばれ
る少なくとも一種の阻害剤を加えてATP加水分解酵素
を不活性化し、その後、微生物細胞由来のATPを抽出
し生物発光法で定量することが微生物細胞由来ATPの
選択的検出に有効であった。以上の一連の操作の組み合
わせが検出感度を向上させ、測定値のバラツキを抑え、
その信頼性を高める上で効果があることを見出して本発
明を完成させた。
【課題を解決するための手段】本発明は、微生物細胞及
び非微生物細胞混合物を含む試料中のATP濃度を測定
する方法であって、非イオン界面活性剤を混合して非微
生物細胞のATPを細胞外へ出す工程、試料を遠心分離
して上澄み液を除去し微生物細胞ペレットを形成する工
程、微生物細胞ペレットに緩衝液を加えpH=6.0〜
8.0とし、プロテアーゼフリーの可溶性タンパク質、
ATP加水分解酵素及びATP加水分解酵素活性化剤を
加える工程、ATP加水分解酵素の阻害剤を加える工
程、ATP抽出剤を添加し微生物細胞からATPを抽出
する工程、及び微生物細胞から放出されたATP濃度を
生物発光法を用いて測定する工程を含むことを特徴とす
る微生物細胞中のATP濃度の測定法に関する。
【0011】更に本発明は、非イオン界面活性剤を混合
して非微生物細胞のATPを細胞外へ出す工程におい
て、キレート剤を混合することを特徴とする上記測定法
に関する。
【0012】更に本発明は、ATP加水分解酵素の阻害
剤が、キレート剤、バナジン酸塩、レバミソール、下記
一般式で示される骨格を有するステロイドa、グルコン
酸クロルヘキシジン、及びタンパク質加水分解酵素から
なる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴と
する上記測定法に関する。
【0013】
【化2】
【0014】
【発明の実施の形態】
【0015】本発明の試験方法を、典型的な微生物細胞
及び非微生物細胞混合物を含む試料であるミルク試料に
ついて詳述する。ただし、これにより本発明の範囲がミ
ルク試料に限定されるものではない。分析に供試される
ミルク試料をまず遠心分離容器に入れ、キレート剤、及
び非イオン界面活性剤を添加する。ここで加えるキレー
ト剤はミルク試料中のカルシウムイオンを捕捉してカゼ
インの沈殿を抑制するために添加するものであって、A
TP加水分解酵素の活性を阻害するために加えるもので
はない。したがって、カゼインが測定の阻害とならない
場合には、ここでキレート剤を添加する必要はない。ま
た、非イオン界面活性剤は非微生物細胞からのATP抽
出剤として働く。
【0016】混合物の入った遠心分離容器に蓋をし、反
転あるいは旋回して混合する。試料を遠心分離機に入
れ、最小限5分間、10,000×g(最小相対遠心
力)で遠心分離すると、3つの層に分離する。最上層は
白色または帯黄白色のクリームおよびミルクタンパク質
である。その下側には中間層である透明液領域があり、
最下層には微生物細胞ペレットがたまる。微生物細胞ペ
レット以外の他のミルク成分を吸引によって除去する
と、微生物細胞ペレットのみが遠心管の底部に残る。こ
の時、先に入れたキレート剤も吸引によって除去され
る。管底部に残った微生物細胞ペレットの大きさはミル
ク試料中の細胞数およびキレート剤と非イオン界面活性
剤のタイプに依存する。また、微生物細胞ペレットは少
量の細胞と会合した他のミルク成分も含んでいる。
【0017】次に、管底部に残る微生物細胞ペレット
に、ATP加水分解酵素含有溶液を加えて再懸濁させ
る。再懸濁させた液は、バックグランドとなる非微生物
細胞由来または遊離のATPが加水分解されるまでイン
キュベートさせる。ATP加水分解酵素含有液には、p
H=6.0〜8.0とする緩衝液、プロテアーゼフリー
の可溶性タンパク質、及びATP加水分解酵素活性化剤
を添加する。ATP加水分解酵素含有溶液を加える工程
は、非微生物細胞由来ATP及び遊離ATPを分解する
ためである。遠心分離操作で大部分の非微生物細胞由来
のATPは除去されているが、ミルク試料は大量の体細
胞を含むため、遠心分離操作だけで非微生物細胞由来の
ATPを完全に除去することはできない。そこで、AT
P加水分解酵素によりこれらのATPを加水分解する。
また、pH=6.0〜8.0に調整するのは、ATP加
水分解酵素を最適の活性とするためであり、プロテアー
ゼフリーの可溶性タンパク質の添加は、ATP加水分解
酵素を安定に作用させる働きがある。ATP加水分解酵
素活性化剤も、酵素を安定に作用させ測定値のバラツキ
を抑えるために添加している。
【0018】微生物細胞ペレットにATP加水分解酵素
含有溶液を加える工程では、ATP加水分解酵素の活性
及び反応条件を以下のように制御することが不可欠であ
る。 a)ATP加水分解酵素の活性値をΔlogRLU/分
=1.0〜6.0とする。 b)ATP加水分解酵素の反応温度を20〜40℃とす
る。 c)ATP加水分解酵素の反応時間を5分間以上とす
る。 なお、本発明では、ATP加水分解酵素の活性値を、A
TP加水分解酵素によって基質であるATPを加水分解
する速度をもって表す。従って、酵素活性の測定は被検
液中のATP量の減少を経時的に測定することで実施さ
れ、被検液中のATP量は、ATPの鋭敏な定量法であ
るホタルルシフェラーゼを用いた生物発光反応から得ら
れる相対発光量(RLU;相対発光量、Relative Light
Unit )を指標として測定される。本発明では、非連続
的に被検液より一定量を採取してATP量を生物発光反
応で測定し、得られた値から1分間当たりの相対発光量
の対数値の減少量(ΔlogRLU/分)を計算し、そ
の値をもってATP加水分解酵素の活性値とする。
【0019】微生物細胞ペレットにATP加水分解酵素
を加える工程では、以下の試薬を加えることもできる。 a)防腐剤 b)タンパク質SH基保護剤
【0020】ATP加水分解酵素を作用させインキュベ
ートの終了した再懸濁液に、該酵素を不活性化させる目
的で阻害剤を添加する。この時の阻害剤の濃度は、次の
生物発光法における酵素ルシフェラーゼの活性への影響
が最小であり、かつATP加水分解酵素を効果的に不活
性化させる濃度を選んで添加する。
【0021】阻害剤を添加した再懸濁液に微生物細胞A
TP抽出剤を加え、微生物細胞からATPを放出させた
後、ルシフェリン/ルシフェラーゼを含む発光試薬を加
えて生物発光させ、ATP量をルミノメーターで定量す
る。
【0022】本発明のミルク試料とは、生乳、生山羊
乳、生めん羊乳、牛乳、超高温殺菌乳、低温長時間殺菌
乳、殺菌山羊乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工
乳、液状に戻した粉末ミルク、クリーム、スキムミル
ク、液化されたアイスクリームあるいはアイスミルクあ
るいは関連製品、豆乳、および試料中のミルクあるいは
懸濁液を包含するミルクの生材料あるいはコーヒー等と
の混合液、ミルクの培養液(増菌培養液)等の乳製品を
起源とする全ての液状溶液を含む。本発明の微生物と
は、単細胞の原核生物を意味する。バクテリアあるいは
非真核細胞という用語に入れ換えることもまた本発明の
範囲に属する。なお、真核細胞は、遺伝材料が核により
囲まれている生物体を表わす。
【0023】本発明の非微生物細胞とは微生物ではない
細胞であり、大部分は体細胞である。体細胞とは、ミル
クを生産する動物、例えばウシに主として由来してミル
ク中に存在する、生物体を構成する全細胞のうち生殖細
胞以外の細胞であり、例えば体液由来の白血球、赤血
球、血小板等の細胞あるいは乳房内部組織等より剥離し
た細胞などを示す。
【0024】ATP(アデノシン−5’−三リン酸)
は、アデニン、D−リボースおよび3個のリン酸基から
なるヌクレオチドであり、呼吸、発酵および光合成にお
けるリン酸化反応によって生成され、生物エネルギー代
謝において重要である。全ての生細胞は、ATPを含有
する。
【0025】本発明の非イオン界面活性剤は、水溶液中
でイオンに解離する基を持たない界面活性剤であり、非
微生物細胞のATP抽出剤として作用するものである。
ミルク試料から非微生物細胞を分離除去し、微生物細胞
のみを分離濃縮するために、特に、微生物細胞に作用す
ることなく非微生物細胞よりATPを抽出する薬剤であ
る。非微生物細胞ATP抽出剤の作用として、微生物細
胞ATPを減少させ、あるいは微生物に障害を与え、あ
るいは微生物の生存を危うくさせる非微生物細胞ATP
抽出剤は好ましくない。したがってタンパクの変性作用
が温和でかつ膜可溶化能に優れ、尚かつ凝集するミルク
成分の乳化分散化に寄与し、微生物細胞の分離濃縮を更
に容易にする非微生物細胞ATP抽出剤が好ましい。
【0026】非イオン界面活性剤は大別して3つのグル
ープに分類され、1)高級アルコール、アルキルフェノ
ール、脂肪酸などにエチレングリコールを親水基として
結合させたもの、2)多価アルコールの部分エステル、
高級脂肪酸グリセロールエステルであるモノグリセリ
ド、ソルビトールの脂肪酸エステル、3)ポリプロピレ
ングリコールとポリエチレングリコールの付加重合物な
どが挙げられる。以上の非イオン界面活性剤の中で、本
発明においては、ポリオキシエチレングリコールオクチ
ルフェニルエーテル類であるTriton X−100
あるいはNonidet P−40(NP−40)を用
いることが好ましく、特にTritonX−100が好
ましい。とりわけ、このような非イオン界面活性剤をキ
レート剤と共にミルク試料に加えることが特に好まし
い。大部分の体細胞は遠心分離の前の処理で溶解され、
遠心分離後には非微生物細胞由来のATPの影響は軽減
される。非イオン界面活性剤の添加量は、Triton
X−100を使用した場合、ミルク試料に対し0.1
〜5%であり、好ましくは0.25〜2.5%である。
【0027】本発明の非イオン界面活性剤を混合して非
微生物細胞のATPを細胞外に出す工程において混合さ
れるキレート剤とは、カルシウムイオン、マグネシウム
イオン、カドミウムイオン、ベリリウムイオン、コバル
トイオン、ニッケルイオン、銅イオン、鉛イオン等の二
価金属イオン、及び他の金属イオンと結合する全ての分
子あるいは巨大分子であり、合成あるいは天然の有機化
合物、上記イオンに結合できるタンパク質、炭水化物、
脂質、あるいは生物起源分子の複製品または修飾製品等
である。
【0028】遠心分離操作の前に添加されるキレート剤
の作用は、ミルク試料中におけるカゼインミセルのサブ
ミセルへの解離である(L. C. Chaplin, J. Dairy Re
s., 51, 251-257 (1984))。もしキレート剤無しのミル
ク試料を同様にして遠心分離すると、ミルク試料の上澄
液は透明化せず、ミセル状ミルクタンパク質は遠心分離
管の中で浮遊し、あるいは会合して分子量の大きくなっ
たカゼインミセルは沈降して、底部に巨大なペレットを
形成して明瞭な微生物細胞ペレットを形成できない。キ
レート剤は、ミセル構造に寄与するカルシウムイオンと
結合し(S. H. C.Lia, Biochemistry, 11, 1818-1821
(1972))、カゼインミセルを解離する。したがって、本
発明ではカルシウムイオンと結合するキレート剤が好ま
しい。なお、前述のようにカゼインが測定の阻害となら
ない場合には、ここでキレート剤を添加する必要はな
い。
【0029】上記キレート剤としては、エチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA、商品名Versene)、ビス−
(O−アミノフェノキシ)−エタン−N,N,N’,
N’−四酢酸(BAPTA)、エチレングリコール−ビ
ス−(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’
−四酢酸(EGTA)、ニトリロ三酢酸(トリグリシ
ン、アンモニア三酢酸塩、トリロンA)、トランス−
1,2ージアミノシクロヘキサン四酢酸(CDTA)、
ジエチレントリアミノペンタ酢酸(DTPA)、クエン
酸などのオキシカルボン酸及びその塩、アルギニン、ハ
イポザンチン、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3
−ジスルホン酸、クラウンエーテルタイプ化合物、及び
これら分子の全ての誘導体及び前駆体を使用することが
できる。
【0030】本発明のキレート剤は、検出すべき微生物
細胞には作用しないことが非常に重要である。本発明で
特に優れていると判断されたキレート剤は、ニトリロ三
酢酸及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
なお、先の非イオン界面活性剤とキレート剤は、ミルク
試料の検査キットを作成する場合、両方の薬剤を溶解し
た溶液として提供することも可能である。
【0031】本発明の微生物細胞ペレットとは、遠心分
離後に、主として微生物細胞が沈降して遠心分離管底に
分離されたものをいう。微生物細胞ペレットの大きさは
ミルク試料の細胞数およびキレート化剤および/または
非イオン界面活性剤の種類に依存する。微生物細胞ペレ
ットには少量の細胞と会合した他のミルク成分を含んで
もよい。ミルク試料1.0mlより得られる微生物細胞
ペレットは約10〜40μlであり、外観は白色または
灰色がかった白色である。
【0032】本発明のATP加水分解酵素とは、ATP
の末端リン酸基を切断し、ADPあるいはAMPと無機
リン酸を生じさせる加水分解酵素であり、EC(酵素番
号)3.6.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブッ
ク」、朝倉書店(1982)等参照)に分類される酵素が含ま
れる。例として、アデノシントリホスファターゼ、アピ
ラーゼ(主にジャガイモより抽出・精製される)、及び
ATPピロホスファターゼなどが挙げられるが、市販品
として入手が容易なアピラーゼを用いることが好まし
い。
【0033】ATP加水分解酵素は、ミルク中に存在す
る非微生物細胞由来ATPを分解し、微生物細胞由来A
TPをより高感度に検出するための手段として使用す
る。ミルク試料に対してキレート剤及び非イオン界面活
性剤含有溶液を添加し、遠心分離操作を加えることによ
って、ミルク試料から微生物細胞ペレットを分離濃縮す
るが、体細胞などの非微生物細胞はもともと大量に存在
しており、遠心分離では非微生物細胞由来ATPは除去
しきれず大量に残存している。このため、ATP加水分
解酵素含有溶液を添加することで、バックグランドとな
る非微生物細胞由来ATPを完全に除去することが可能
である。
【0034】本発明の微生物細胞ペレットにATP加水
分解酵素を加える工程では、ATP加水分解酵素が最も
安定して作用するpH=6.0〜8.0、好ましくはp
H=6.5〜7.8となるようにpHを調整する。pH
の調整は、pHが中性領域を示す「蛋白質・酵素の基礎
実験法」(堀尾、山下編著:南江堂 (1981) )432〜
435頁記載の緩衝液が使用できる。この中でも、グッ
ドの緩衝液で総括される以下の緩衝液、すなわち、ME
S(2−モルホリノエタンスルホン酸)緩衝液、Tri
s(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)系緩衝
液、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−
2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、MOPS(3−
モルホリノプロパンスルホン酸)緩衝液、HEPES
(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2−エタ
ンスルホン酸)緩衝液等を用いることが好ましい。
【0035】本発明の微生物細胞ペレットにATP加水
分解酵素を加える工程では、ATP加水分解酵素を安定
化する目的でプロテアーゼフリーの可溶性タンパク質を
添加する。添加する可溶性タンパク質は、パパイン、ト
リプシン、キモトリプシン等のタンパク質に認められる
タンパク質加水分解活性を示さないものであれば、動物
由来、植物由来、微生物由来のいずれのタンパク質を用
いることも可能であるが、アルブミンで総称される以下
の可溶性タンパク質、すなわち、オボアルブミン、ラク
トアルブミン、血清アルブミン、ロイコシン、レグメリ
ン、リシンから選ばれる一種類以上のタンパク質を用い
ることが好ましい。プロテアーゼフリーの可溶性タンパ
ク質の添加量は、ミルク試料1mlに対し0.10〜5
mgであり、好ましくは0.25〜2.5mgである。
さらに、微生物細胞ペレットにATP加水分解酵素を加
える工程では、ATP加水分解酵素活性化剤としてカル
シウムイオン、マグネシウムイオンなどを加えてもよ
い。その添加量は、ミルク試料1mlに対し、カルシウ
ムイオンは0.1〜50mM、好ましくは1〜20mM
であり、マグネシウムイオンはカルシウムイオンの10
0分の1〜10分の1である。
【0036】上述のATP加水分解酵素を加える工程
で、ATP加水分解活性値がΔlogRLU/分=1.
0〜6.0、好ましくはΔlogRLU/分=2.0〜
5.0であり、反応温度20〜40℃、好ましくは25
℃〜35℃、反応時間5分間以上、好ましくは10分〜
30分とすることが好ましい。この条件下では、バック
グランドとなる非微生物細胞由来ATPの分解が充分に
行われるため、従来行われていた非微生物細胞由来AT
Pを完全に除去するための遠心分離−上澄み除去操作を
繰り返す必要がない。この方法によって、微生物細胞ペ
レット中の微生物細胞数の定量操作を著しく簡略化でき
る。また、本条件下では測定バックグランドとなる非微
生物細胞由来ATPの分解は充分に進み、バックグラン
ド値の低下および安定化を図ることが可能となり、微生
物細胞由来ATPの検出感度を著しく向上させることが
できる。なお、ATP加水分解酵素、プロテアーゼフリ
ーの可溶性タンパク質、ATP加水分解酵素活性剤、p
H調整用緩衝液を混合し同一溶液として加えることも可
能である。
【0037】微生物細胞ペレットにATP加水分解酵素
を加える工程では、防腐剤、及びタンパク質SH基保護
剤の添加もATP加水分解酵素の活性化に効果のある場
合がある。防腐剤は測定中に混入する微生物の影響を最
小限にするために添加するもので、ペニシリンG−Na
塩、ペニシリンG−K塩、アンピシリン、クロラムフェ
ニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、テトラ
サイクリン、オキシテトラサイクリンなどの抗生物質、
アジ化ナトリウムなどのアジ化物、クレゾールなどのフ
ェノール化合物、乳酸、クエン酸、安息香酸、プロピオ
ン酸、デヒドロ酢酸、オキシ安息香酸、ソルビン酸、な
どの酸などが挙げられる。タンパク質SH基保護剤は、
ATP加水分解酵素を安定して作用させるために添加す
るもので、ジチオスレイトール(DTT)、メルカプト
エタノール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など
を使用できるが、ジチオスレイトール(DTT)が特に
好ましい。
【0038】微生物細胞ペレットにATP加水分解酵素
を加える工程では、更に、ATP加水分解酵素活性を保
持するために、グルコース、フルクトース、アラビノー
ス、キシロース、サッカロース、トレハロース、ラクト
ース、マルトース、キシロビオースなどの糖類、マンニ
トール、キシリトール、ズルシトール、ソルビトール、
リビトール、グルシトールなどの糖アルコール、PEG
(ポリエチレングリコール)#400、PEG#600
などの水溶性高分子、グリシン、セリン、プロリン、グ
ルタミン酸、アラニンなどのアミノ酸、トリメチルアミ
ンなどのアミン類、グリセロールなどの多価アルコール
などを添加することもできる。
【0039】本発明のATP加水分解酵素の阻害剤を加
える工程では、ATP加水分解酵素の不活性化のため
に、キレート剤、バナジン酸塩、レバミソール、ステロ
イドa、グルコン酸クロルヘキシジン、及びタンパク質
加水分解酵素からなる群から選ばれる少なくとも一種の
阻害剤を用いることが好ましい。
【0040】ATP加水分解酵素の不活性化のために用
いられるキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸
(EDTA、商品名Versene)、ビス−(O−ア
ミノフェノキシ)−エタン−N,N,N’,N’−四酢
酸(BAPTA)、エチレングリコール−ビス−(β−
アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸
(EGTA)、ニトリロ三酢酸(トリグリシン、アンモ
ニア三酢酸塩、トリロンA)、トランス−1,2−ジア
ミノシクロヘキサン四酢酸(CDTA)、ジエチレント
リアミノペンタ酢酸(DTPA)、クエン酸などのオキ
シカルボン酸及びその塩、アルギニン、ハイポザンチ
ン、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホ
ン酸、N−(アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、
ジピコリン酸、クラウンエーテルタイプ化合物、及びこ
れら分子の全ての誘導体及び前駆体を挙げることができ
る。
【0041】本発明のキレート剤は、検出すべき微生物
細胞には作用しないことが非常に重要である。また、ル
シフェリン/ルシフェラーゼを利用した生物発光法にも
影響しないキレート剤が好ましい。本発明で特に優れて
いると判断されたキレート剤は、ニトリロ三酢酸、エチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)、N−(アセトアミ
ド)イミノ二酢酸(ADA)、及びクエン酸である。
【0042】ATP加水分解酵素の不活性化のために用
いられるバナジン酸塩、レバミソール、ステロイドa、
グルコン酸クロルヘキシジンは、全て膜ATPaseの
阻害剤として知られているものである(井村ら編「生化
学ハンドブック」、丸善(1984)等参照)が、本発明で用
いられるATP加水分解酵素の不活性化にも有効である
ことが認められた。このうち、バナジン酸塩としては、
メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウ
ム、メタバナジン酸カルシウムなどが挙げられる。ま
た、レバミソールとしては、レバミソール及びレバミソ
ール塩酸塩が挙げられる。
【0043】ATP加水分解酵素の不活性化のために用
いられるステロイドaは、下記一般式で示される骨格
(card-20(22)-enolide )を有するステロイドであり、
具体的にはジギトキシン、ギトキシン、G−ストロファ
ンチン、K−ストロファントシドなどが挙げられる。
【0044】
【化3】
【0045】ATP加水分解酵素の不活性化のために用
いられるタンパク質加水分解酵素としては、EC(酵素
番号)3.4群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブッ
ク」、朝倉書店(1982)等参照)に分類されるペプチド結
合に作用する加水分解酵素を用いることができるが、特
に好ましくは、キモトリプシン、トリプシン、パパイ
ン、フィシン、ブロメラインなどを用いることが望まし
い。
【0046】本発明のATP加水分解酵素の阻害剤を加
える工程で用いられる阻害剤の濃度は、ルシフェラーゼ
の酵素活性に影響を与えず、かつATP加水分解酵素を
有効に不活性化する濃度であることが望ましい。具体的
には、各阻害剤は以下に示す濃度であることが望まし
い。 キレート剤;0.01〜20mM、好ましくは0.1〜
10mM。 バナジン酸塩;0.01〜5mM、好ましくは0.1〜
2mM。 レバミソール;0.01〜20mM、好ましくは0.1
〜10mM。 ステロイドa;0.1〜20mM、好ましくは2〜10
mM。 グルコン酸クロルヘキシジン;0.01〜1%、好まし
くは0.05〜0.5% タンパク質加水分解酵素;0.1〜5mg/ml、好ま
しくは0.5〜2mg/ml。 なお、二種類以上の阻害剤を混合して用いても良い。
【0047】本発明のATP抽出剤とは、ミルク試料か
ら分離濃縮された微生物細胞に作用し、微生物細胞体内
に存在するATPを微生物細胞体外へ放出させる目的で
使用される薬剤で、微生物細胞の構造を変化あるいは破
壊させる微生物細胞の溶解剤であって、界面活性剤、
酸、アルカリ、酵素、塩、キレート剤、有機溶媒などの
天然産あるいは合成起源のいかなる細胞膜可溶化剤をも
含む。なお、ATP抽出剤が先のATP加水分解酵素阻
害剤を含み、同一溶液とすることも可能である。
【0048】本発明におけるATP抽出剤の作用とし
て、引き続き行なわれるATP/ルシフェリン/ルシフ
ェラーゼ反応の結果として放出される生物発光を、著し
く減光あるいは消光させる物質、あるいはその条件を有
する薬剤、例えば亜鉛イオン、カルシウムイオンなどの
ような陽イオン、あるいは塩素イオン、ヨウ素イオン、
リン酸イオンなどの陰イオン、あるいは水銀、クロム、
銅、鉛などの重金属を含む薬剤、あるいは著しい酸性・
アルカリ性条件を有する薬剤などは好ましくない。従来
使用されてきたトリクロロ酢酸は酸性が強くあまり良好
なATP抽出剤とはいえない。従って、ルシフェラーゼ
に対する変性作用が温和で、かつ膜可溶化能に優れ、発
光の検出に著しい変化を与えないATP抽出剤が好まし
い。ATP抽出剤として使用できるのは、セチルトリメ
チルアンモニウムブロミド(CTAB)、臭化ドデシル
トリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩
化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの第4ア
ンモニウム塩に属するカチオン性界面活性剤、ドデシル
硫酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤、Tri
ton X−100、Nonidet P−40(NP
−40)などの非イオン界面活性剤である。この中で第
4級アンモニウム塩は抽出が速やかであり、ルシフェラ
ーゼ反応への阻害が少なく好ましい。
【0049】本発明では、ホタルルシフェラーゼによる
ATPの定量方法(M. A. DeLuca,Advances in Enzymol
ogy, 44, 37-68 (1976))を、ミルク試料中の微生物細
胞数の定量に利用する。このATP定量法は、真核ある
いは原核細胞数のいずれの定量化にも適用できる。試料
中に存在する微生物細胞数の定量は、測定された試料中
のATP量と微生物細胞に存在するATPの平均量との
関係を用いて算出される。
【0050】ATPの検出手段として使用するホタルル
シフェラーゼは温度に対して不安定であるために、測定
時の室温がその発光量すなわち測定値に反映し、被検液
中に存在するATP量が同一であるにも関わらず測定値
がばらつく。すなわち、同一量のATPを測定した場
合、20℃付近で発光量は最大であり、その前後では発
光量が減少する結果が得られている。従って、検出感度
が最大であり、測定結果のバラツキが小さくかつ信頼性
を増すためには、ホタルルシフェラーゼ反応温度および
測定時の室温を30℃以下、好ましくは15〜25℃と
する。
【0051】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
本発明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるもので
はない。
【0052】(実施例1) 1)Neutrient Broth (NB)液体培地5mlにて30
℃で一晩振盪培養した以下の5種類の微生物を、滅菌水
で10倍毎に段階希釈する。 Serattia liquefaciens PB 1707 Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027 Enterobacter spp. Bacillus subtilis ATCC 6633 Staphylococcus aureus ATCC 6538 2)1.5ml容の蓋付き遠心分離用チューブに、以下
に示すミルク試料1mlを加える。 ミルク試料;市販の超高温殺菌牛乳 3)1)の希釈液の各濃度から10μlを採取し、2)
のミルク試料に接種して、室温に10分程度放置する。 4)以下に示すキレート剤および非イオン界面活性剤含
有水溶液500μlを添加し、遠心分離用チューブの蓋
をする。 キレート剤および非イオン界面活性剤含水有溶液組成; ポリスチレンラテックス 0.01% Triton X−100 0.5% EDTA 0.15M
【0053】5)混和後、12,000×gで5分間の
遠心分離を行ない、微生物細胞ペレットと他のミルク成
分とを分離する。 6)分離した微生物細胞ペレットから、ペレット以外の
他のミルク成分をアスピレーターで吸引除去する。 7)遠心分離用チューブの底部に残存した微生物細胞ペ
レットに、以下に示すATP加水分解酵素含有水溶液1
00μlを加えて撹拌・懸濁させ、25℃で10分間イ
ンキュベートして、非微生物由来ATPを分解する。 ATP加水分解酵素含有水溶液組成; アピラーゼ(ジャガイモ由来、Sigma社製Grade ) 酵素活性(ΔlogRLU)=5.0 血清アルブミン(ウシ由来、INTERGEN社製) 1mg/ml CaCl2 2mM MgCl2 0.05mM NaN3 0.1% EDTA 0.1mM DTT 1mM MOPS/NaOH緩衝液(pH7.0) 25mM 8)反応後、以下に示すATP加水分解酵素阻害剤含有
水溶液100μlを加えて撹拌・懸濁させ、アピラーゼ
を不活性化させる。 ATP加水分解酵素阻害剤含有水溶液組成; EDTA 0.2mM 9)反応後、懸濁液を測定用セルに移し換え、以下に示
すATP抽出剤100μlを加えて10秒間反応させ
て、微生物細胞からATPを放出させる。 ATP抽出剤組成; CTAB 0.0075% 10)微生物から放出されたATPを、ルシフェリン/
ホタルルシフェラーゼを含有する発光試薬(東洋インキ
製造(株)製 商品名:菌士郎)100μlを添加し、
添加後10秒間の発光量の積算値を測定する。これを人
工汚染牛乳である試料Aの相対発光量(logRLU)
とする。 11)一方、陽性対照として1)の希釈液の各濃度か
ら、試料Aに加えたのと同量の10μl、すなわち試料
Aに含まれる菌数と等量の菌数をルミノメーター用測定
セルに採取してATP抽出剤100μlを加え、10秒
間溶菌後、発光試薬(東洋インキ製造(株)製 商品
名:菌士郎)100μlを加えて10秒間の発光量の積
算値を測定する。これを試料Bの相対発光量(logR
LU)とする。 12)試料Aおよび試料Bの菌数は等量である。従っ
て、1)の各濃度の希釈液100μlを標準寒天培地に
塗布後、30℃・48時間の培養で生育したコロニー数
を計数して、各希釈液の10μl当たりに含まれる菌数
を算出して、これを試料Aおよび試料Bの菌数(log
CFU)とする。
【0054】各微生物について求めた菌数(logCF
U)と相対発光量(logRLU)の関係を図1・図2
・図3・図4・図5に示す。試料A(□)及び試料B
(◇)でともに、菌数(logCFU)が3から8の範
囲で相対発光量(logRLU)との間に直線性があ
り、相対発光量(logRLU)より菌数(logCF
U)の定量が可能である。また、人工汚染牛乳である試
料Aと牛乳を含まない試料Bの相対発光量(logRL
U)と菌数(logCFU)の間には良好な相関が認め
られ、微生物細胞及び非微生物細胞混合物を含む典型的
な試料である牛乳から、微生物細胞からのATPのみが
殆ど損なわれることなく測定され、更に菌数(logC
FU)で3から8の範囲で、相対発光量(logRL
U)の値から菌数(logCFU)が定量できることが
示されている。
【0055】(実施例2)以下、実施例2〜8及び比較
例1には、代表的なミルク試料汚染微生物であるStaphy
lococcus aureus ATCC 6538 を供試した結果を示す。実
施例1の8)に示されたATP加水分解酵素阻害剤含有
水溶液において、阻害剤として用いたEDTAの代わり
にADAを1.0mM含む水溶液を用い、試料Aを対象
として、その他の操作は実施例1と全く同様に行って、
菌数(logCFU)と相対発光量(logRLU)と
の関係を求めた。結果を図6に示す。図6中、○は実施
例2の結果を、□は実施例1の試料Aの結果を示したも
のである。ATP加水分解酵素の阻害剤としてADAを
用いた場合も、菌数(logCFU)が3から8の範囲
で相対発光量(logRLU)との間に直線性があり、
また、実施例1の試料1との間にも良好な相関が認めら
れ、菌数(logCFU)で3から8の間で、相対発光
量(logRLU)の値から菌数(logCFU)が定
量できることが示されている。
【0056】(実施例3) 実施例1の8)に示されたATP加水分解酵素阻害剤含
有水溶液において、阻害剤として用いたEDTAの代わ
りにクエン酸を5.0mM含む水溶液を用い、試料Aを
対象として、その他の操作は実施例1と全く同様に行っ
て、菌数(logCFU)と相対発光量(logRL
U)との関係を求めた。結果を図7に示す。図7中、○
は実施例3の結果を、□は実施例1の試料Aの結果を示
したものである。ATP加水分解酵素の阻害剤としてク
エン酸を用いた場合も、菌数(logCFU)が3から
8の範囲で相対発光量(logRLU)との間に直線性
があり、また、実施例1の試料1との間にも良好な相関
が認められ、菌数(logCFU)で3から8の間で、
相対発光量(logRLU)の値から菌数(logCF
U)が定量できることが示されている。
【0057】(実施例4)実施例1の8)に示されたA
TP加水分解酵素阻害剤含有水溶液において、阻害剤と
して用いたEDTAの代わりにメタバナジン酸ナトリウ
ムを0.5mM含む水溶液を用い、試料Aを対象とし
て、その他の操作は実施例1と全く同様に行って、菌数
(logCFU)と相対発光量(logRLU)との関
係を求めた。結果を図8に示す。図8中、○は実施例4
の結果を、□は実施例1の試料Aの結果を示したもので
ある。ATP加水分解酵素の阻害剤としてメタバナジン
酸ナトリウムを用いた場合も、菌数(logCFU)が
3から8の範囲で相対発光量(logRLU)との間に
直線性があり、また、実施例1の試料1との間にも良好
な相関が認められ、菌数(logCFU)で3から8の
間で、相対発光量(logRLU)の値から菌数(lo
gCFU)が定量できることが示されている。
【0058】(実施例5)実施例1の8)に示されたA
TP加水分解酵素阻害剤含有水溶液において、阻害剤と
して用いたEDTAの代わりにレバミソール塩酸塩を
1.0mM含む水溶液を用い、試料Aを対象として、そ
の他の操作は実施例1と全く同様に行って、菌数(lo
gCFU)と相対発光量(logRLU)との関係を求
めた。結果を図9に示す。図9中、○は実施例5の結果
を、□は実施例1の試料Aの結果を示したものである。
ATP加水分解酵素の阻害剤としてレバミソール塩酸塩
を用いた場合も、菌数(logCFU)が3から8の範
囲で相対発光量(logRLU)との間に直線性があ
り、また、実施例1の試料1との間にも良好な相関が認
められ、菌数(logCFU)で3から8の間で、相対
発光量(logRLU)の値から菌数(logCFU)
が定量できることが示されている。
【0059】(実施例6)実施例1の8)に示されたA
TP加水分解酵素阻害剤含有水溶液において、阻害剤と
して用いたEDTAの代わりにG−ストロファンチンを
4.0mM含む水溶液を用い、試料Aを対象として、そ
の他の操作は実施例1と全く同様に行って、菌数(lo
gCFU)と相対発光量(logRLU)との関係を求
めた。結果を図10に示す。図10中、○は実施例6の
結果を、□は実施例1の試料Aの結果を示したものであ
る。ATP加水分解酵素の阻害剤としてG−ストロファ
ンチンを用いた場合も、菌数(logCFU)が3から
8の範囲で相対発光量(logRLU)との間に直線性
があり、また、実施例1の試料1との間にも良好な相関
が認められ、菌数(logCFU)で3から8の間で、
相対発光量(logRLU)の値から菌数(logCF
U)が定量できることが示されている。
【0060】(実施例7)実施例1の8)に示されたA
TP加水分解酵素阻害剤含有水溶液において、阻害剤と
して用いたEDTAの代わりにグルコン酸クロルヘキシ
ジンを0.1%含む水溶液を用い、試料Aを対象とし
て、その他の操作は実施例1と全く同様に行って、菌数
(logCFU)と相対発光量(logRLU)との関
係を求めた。結果を図11に示す。図11中、○は実施
例7の結果を、□は実施例1の試料Aの結果を示したも
のである。ATP加水分解酵素の阻害剤としてグルコン
酸クロルヘキシジンを用いた場合も、菌数(logCF
U)が3から8の範囲で相対発光量(logRLU)と
の間に直線性があり、また、実施例1の試料1との間に
も良好な相関が認められ、菌数(logCFU)で3か
ら8の間で、相対発光量(logRLU)の値から菌数
(logCFU)が定量できることが示されている。
【0061】(実施例8)実施例1の8)に示されたA
TP加水分解酵素阻害剤含有水溶液において、阻害剤と
して用いたEDTAの代わりにキモトリプシンを2.0
mg/ml含む水溶液を用い、試料Aを対象として、そ
の他の操作は実施例1と全く同様に行って、菌数(lo
gCFU)と相対発光量(logRLU)との関係を求
めた。結果を図12に示す。図12中、○は実施例8の
結果を、□は実施例1の試料Aの結果を示したものであ
る。ATP加水分解酵素の阻害剤としてキモトリプシン
を用いた場合も、菌数(logCFU)が3から8の範
囲で相対発光量(logRLU)との間に直線性があ
り、また、実施例1の試料1との間にも良好な相関が認
められ、菌数(logCFU)で3から8の間で、相対
発光量(logRLU)の値から菌数(logCFU)
が定量できることが示されている。
【0062】(比較例1)実施例1の8)に示されたA
TP加水分解酵素阻害剤含有水溶液の代わりに蒸留水を
用い、試料Aを対象として、その他の操作は実施例1と
全く同様に行って、菌数(logCFU)と相対発光量
(logRLU)との関係を求めた。結果を図13に示
す。図13中、○は比較例1の結果を、□は実施例1の
試料Aの結果を示したものである。ATP加水分解酵素
の阻害剤を用いない場合、目的とする微生物細胞から放
出されたATPは、共存するATP加水分解酵素によっ
て分解され、特に菌数が少ない領域ではルシフェリン/
ルシフェラーゼによる生物発光で測定される相対発光量
(logRLU)が低下する。このため、菌数(log
CFU)と相対発光量(logRLU)との間に直線性
はなく、実施例の試料1との間にも良好な相関が認めら
れないため、測定法としては不適切であった。
【発明の効果】微生物細胞及び非微生物細胞混合物を含
む試料中の微生物由来ATPを選択的に測定する方法に
かかる時間を短縮し、操作性及び検出感度を大幅に改善
した。非イオン界面活性剤によって非微生物由来ATP
を抽出し、ATP加水分解酵素で分解後、ATP加水分
解酵素を不活性化し、ATP抽出剤で微生物由来ATP
を抽出し生物発光法で定量するという一連の測定法の中
で、ATP加水分解酵素を簡単な操作で不活性化するこ
とによって、微生物由来ATPを損なうことなく非微生
物細胞由来ATPを短時間に分解し、かつ生物発光の減
光も最小にすることができた。遠心分離操作の併用によ
り、ミルク試料中の微生物の検出感度は102 〜103
CFU/mlとなった。遠心分離を伴う従来の方法で
は、非微生物細胞由来ATPを除くため遠心分離を繰り
返す必要があったが、本発明では1回の遠心分離で良好
な結果が得られるようになり、測定時間が短縮できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】Serattia liquefacience PB 1707を微生物試料
としたときに得られる菌数(logCFU)と相対発光
量(logRLU)との関係図
【図2】Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027を微生物試
料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対発
光量(logRLU)との関係図
【図3】Enterobacter spp. を微生物試料としたときに
得られる菌数(logCFU)と相対発光量(logR
LU)との関係図
【図4】Bacillus subtilis ATCC 6633 を微生物試料と
したときに得られる菌数(logCFU)と相対発光量
(logRLU)との関係図
【図5】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物試
料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対発
光量(logRLU)との関係図
【図6】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物試
料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対発
光量(logRLU)との関係図
【図7】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物試
料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対発
光量(logRLU)との関係図
【図8】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物試
料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対発
光量(logRLU)との関係図
【図9】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物試
料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対発
光量(logRLU)との関係図
【図10】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物
試料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対
発光量(logRLU)との関係図
【図11】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物
試料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対
発光量(logRLU)との関係図
【図12】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物
試料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対
発光量(logRLU)との関係図
【図13】Staphylococcus aureus ATCC 6538 を微生物
試料としたときに得られる菌数(logCFU)と相対
発光量(logRLU)との関係図

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物細胞及び非微生物細胞混合物を含
    む試料中のATP濃度を測定する方法であって、非イオ
    ン界面活性剤を混合して非微生物細胞のATPを細胞外
    へ出す工程、試料を遠心分離して上澄み液を除去し微生
    物細胞ペレットを形成する工程、微生物細胞ペレットに
    緩衝液を加えpH=6.0〜8.0とし、プロテアーゼ
    フリーの可溶性タンパク質、ATP加水分解酵素及びA
    TP加水分解酵素活性化剤を加える工程、ATP加水分
    解酵素の阻害剤を加える工程、ATP抽出剤を添加し微
    生物細胞からATPを抽出する工程、及び微生物細胞か
    ら放出されたATP濃度を生物発光法を用いて測定する
    工程を含むことを特徴とする微生物細胞中のATP濃度
    の測定法。
  2. 【請求項2】 非イオン界面活性剤を混合して非微生物
    細胞のATPを細胞外へ出す工程において、キレート剤
    を混合することを特徴とする請求項1記載の測定法。
  3. 【請求項3】 ATP加水分解酵素の阻害剤が、キレー
    ト剤、バナジン酸塩、レバミソール、下記一般式で示さ
    れる骨格を有するステロイドa、グルコン酸クロルヘキ
    シジン、及びタンパク質加水分解酵素からなる群から選
    ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の測定法。 【化1】
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CN101126718B (zh) 2006-08-16 2010-09-15 中国科学院电子学研究所 用于卫生监控的表面洁净检测试剂
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