JPH10196709A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JPH10196709A
JPH10196709A JP555397A JP555397A JPH10196709A JP H10196709 A JPH10196709 A JP H10196709A JP 555397 A JP555397 A JP 555397A JP 555397 A JP555397 A JP 555397A JP H10196709 A JPH10196709 A JP H10196709A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体室の内圧制御に基づく能動的な防振効果
が、複数のまたは広い周波数域の入力振動に対して、効
率的に発揮される流体封入式防振装置の提供。 【解決手段】 流体室36の壁部の一部を構成する可動
部材34を、複数のマス部材42,44を弾性板40で
連結せしめて形成することにより、該可動部材34を実
質的に複数の振動系55,57を含んで構成せしめて、
それらの振動系55,57に加振力を及ぼすようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、非圧縮性流体が封入された流体
室を備えており、該流体室における内圧や内圧変化に伴
う流体流動をコントロールすることによって防振特性を
適当に調節することの出来る流体封入式防振装置に関す
るものである。
【0002】
【従来技術】振動伝達系を構成する部材間に介装される
防振連結体や防振支持体等としての防振装置の一種とし
て、特開昭60−8540号公報,特開昭61−293
9号公報等に記載されているように、互いに離隔配置さ
れた第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体
で連結する一方、それら第一の取付部材と第二の取付部
材の間への振動入力時に本体ゴム弾性体の変形によって
内圧変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された
主液室を設けると共に、かかる主液室の壁部の一部を可
動部材で構成し、防振すべき振動に対応した適当な周波
数で可動部材を加振せしめて主液室の内圧をコントロー
ルすることにより、防振特性を適当に調節するようにし
た流体封入式防振装置が、知られている。
【0003】また、実開昭61−191543号公報等
には、振動入力時に内圧変化が生ぜしめられる主液室に
対してオリフィス通路を通じて連通された副液室を形成
し、それら主液室と副液室をオリフィス通路を通じて相
互に連通すると共に、副液室の壁部の一部を可動部材で
構成し、該可動部材を加振することにより副液室に内圧
変化が生ぜしめられるようにした流体封入式防振装置
が、提案されている。かかる防振装置においては、振動
入力時に主液室に惹起される内圧変動を考慮して、可動
部材の加振によって副液室に生ぜしめられる内圧変化を
調節することにより、オリフィス通路を通じての流体の
流動を制御することが出来るのであり、それ故、オリフ
ィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の
流動作用を利用したり、或いは副液室の内圧をオリフィ
ス通路を通じて及ぼして主液室の内圧を制御したりする
こと等によって、防振効果を有利に得ることが出来るの
である。
【0004】ところで、このような流体封入式防振装置
において、目的とする防振効果を有効に得るためには、
入力振動に対応した大きさと周波数で流体室の圧力制御
を行う必要があり、入力される振動荷重が大きい場合に
は、流体室に大きな圧力変化を生ぜしめるために、可動
部材に対して大きな加振力を及ぼしめることが必要とな
る。
【0005】ところが、従来の流体封入式防振装置で
は、可動部材に及ぼされる加振力を大きくしようとする
と、可動部材に加振力を及ぼす加振装置ひいては防振装
置全体のサイズや重量の増大が避けられないために、要
求される防振特性の実現が難しい場合があった。
【0006】また、従来では、可動部材に加振力を及ぼ
す加振装置として、一般に、電磁駆動手段が採用されて
いるが、かかる電磁駆動手段の出力を増大させて大きな
加振力を得ようとすると、コイルへの通電時の発熱に起
因する温度上昇や、消費電力の増大等も問題となるため
に、要求される防振特性の達成がより難しかったのであ
る。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、請求項1乃至10に記載の
発明は、何れも、上述の如き事情を背景として為された
ものであって、その解決課題とするところは、可動部材
の加振によって流体室に大きな内圧変化を効率的に生ぜ
しめることが可能であり、それによって、要求される防
振特性が有利に実現され得る、構造が簡単でコンパクト
な流体封入式防振装置を提供することにある。
【0008】また、請求項1乃至10に記載の発明は、
何れも、周波数域が異なる複数種の入力振動や広い周波
数域に亘る入力振動等に対しても、流体室の内圧制御に
基づいて有効な防振効果を得ることが出来る流体封入式
防振装置を提供することも、目的とする。
【0009】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、互い
に離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本
体ゴム弾性体で連結する一方、非圧縮性流体が封入され
た流体室を形成すると共に、該流体室の壁部の一部を可
動部材で構成せしめて、該可動部材を加振することによ
り、該流体室の内圧を制御せしめて防振特性を調節する
ようにした流体封入式防振装置において、複数のマス部
材を弾性板によって相互に連結して前記第一の取付部材
または前記第二の取付部材に対して弾性的に支持せしめ
ることにより、前記可動部材を実質的に複数の振動系を
含んで構成し、それらの振動系に対して加振力を及ぼし
めるようにしたことにある。
【0010】このような請求項1に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、可動部材に
おいて複数の振動系が構成されていることから、可動部
材を加振する場合に、各振動系の固有振動数域での加振
時には、かかる振動系の共振現象が生ぜしめられ、その
共振作用に基づき、小さな加振力によって可動部材が有
利に加振駆動されて、流体室に大きな内圧変化が生ぜし
められることとなる。
【0011】なお、弾性板は、適当なばね定数を発揮し
得るものであれば良く、材質等は特に限定されるもので
ないが、例えば、ゴム弾性板や金属製板ばね等が採用さ
れる。また、各振動系は、防振すべき振動に対応した固
有振動数を有するように、マス部材の質量と弾性板のば
ね定数が、それぞれ設定される。更に、各振動系が、弾
性板によって相互に連結されて連続的に形成されている
場合には、かかる振動系に対する加振力を、少なくとも
一つの振動系に対して直接に及ぼすことにより、他の振
動系を、弾性板を介して間接的に加振せしめることが出
来る。
【0012】そして、このような請求項1に記載の発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、大
型化や重量化を回避しつつ、流体室に大きな内圧変化を
生ぜしめることが可能であり、それによって、流体室の
内圧制御に基づく防振効果が有効に発揮されるのであ
る。
【0013】また、かかる流体封入式防振装置において
は、可動部材が複数の振動系を含んで構成されているこ
とから、それら各振動系の固有振動数を異ならせること
によって、複数の或いは広い周波数域に亘る入力振動に
対して、それぞれ、流体室の内圧制御に基づく防振効果
を、各振動系の共振作用を利用して有利に得ることが出
来るのである。
【0014】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置に
おいて、前記複数のマス部材が、互いに同心的に離隔配
置されていることを、特徴とする。
【0015】このような請求項2に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置にあっては、可動部材に
おいて複数の振動系が有利に且つ効率的に配置されて構
成されると共に、各振動系が、その固有振動数域で有利
に加振せしめられる。それによって、各振動系の固有振
動数域で、流体室における内圧変化がより効率的に生ぜ
しめられて、各振動系の固有振動数域の入力振動に対し
て、流体室の内圧制御に基づく防振効果がより有効に発
揮されることとなる。
【0016】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振
装置において、前記可動部材を挟んで前記流体室とは反
対側に密閉された作用空気室を形成し、該作用空気室に
外部から及ぼされる空気圧変化に基づいて、前記振動系
に対して加振力が及ぼされるようにしたことを、特徴と
する。
【0017】このような請求項3に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、作用空気室
に空気圧変動を及ぼすことによって、かかる空気圧の作
用によって振動系が加振せしめられるのであり、それ
故、装置内部に電磁駆動手段等を組み込む必要がなく、
装置の構造の簡略化や、更なる小型,軽量化が有利に達
成され得る。加えて、このような流体封入式防振装置に
おいては、長時間に亘る連続的な使用に際しても、発熱
による高温化や消費電力の確保等が問題となるようなこ
とがないのであり、特に自動車用防振装置等に用いる場
合には、内燃機関において負圧力を容易に得ることが可
能であることから、特別な空気圧源等を新たに設ける必
要もない。
【0018】しかも、作用空気室を、可動部材の背後の
略全体に亘って形成すれば、複数の振動系に対して、何
れも、加振力を有効に且つ直接的に作用せしめることが
可能となり、各振動系に対して加振力を効率的に及ぼす
ことが出来る。
【0019】なお、請求項3に記載の発明に従う構造と
された流体封入式防振装置においては、請求項4に記載
されているように、前記作用空気室に及ぼされる空気圧
を、防振すべき振動の周波数に同期して変化せしめる空
気圧制御装置が、好適に採用され、それによって、入力
振動に対して有効な防振効果が安定して発揮される。こ
こにおいて、防振すべき振動の周波数に同期して作用空
気室の空気圧を変動させるためには、例えば、作用空気
室を、切換弁の操作によって負圧等の空気圧源と大気中
とに択一的に切換接続すること等によって、有利に為さ
れ得る。また、その際、切換弁としては、制御が容易で
切り換えを高速で行うことが出来るように、例えば電磁
切換弁等が好適に採用され得、例えば、加速度センサ等
によって検出された防振対象の振動信号に基づいて、該
防振対象の振動が小さくなるように、作用空気室への空
気圧制御を行う切換弁を、公知の適応制御やマップ制御
等で切換制御すること等によって、各作用空気室の空気
圧制御が有利に実施され得る。
【0020】また、請求項5に記載の発明は、請求項1
乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置において、前記流体室が、前記本体ゴム弾
性体により壁部の一部が構成されて振動入力時に内圧変
動が生ぜしめられる主液室を含んで構成されていると共
に、該主液室の壁部の別の部分が前記可動部材にて構成
されて、該可動部材における前記振動系の加振によって
該主液室に直接に内圧変化が及ぼされるようになってい
ることを、特徴とする。
【0021】このような請求項5に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、振動系の加
振により主液室の内圧を直接的にコントロールせしめて
防振特性を制御することが出来るのである。
【0022】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至5の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置において、前記流体室が、前記本体ゴム弾
性体により壁部が構成されて振動入力時に内圧変動が生
ぜしめられる主液室と、前記可動部材で壁部の一部が構
成されてオリフィス通路を通じて該主液室に連通せしめ
られた副液室を含んで構成されており、該可動部材にお
ける前記振動系の加振によって該副液室に内圧変化が生
ぜしめられるようにされていることを、特徴とする。
【0023】このような請求項6に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、振動系の加
振によって副液室に圧力変化が及ぼされることから、振
動入力による主液室の圧力変動を考慮して、入力振動に
対する適当な位相差で振動系を加振して副液室の内圧を
コントロールすることにより、オリフィス通路を通じて
流動せしめられる流体の流動作用やオリフィス通路を通
じての主液室の内圧制御に基づいて、目的とする防振特
性を得ることが出来るのである。
【0024】また、請求項7に記載の発明に従う構造と
された流体封入式防振装置においては、請求項6に記載
の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置におい
て、前記副液室が互いに独立して複数形成されており、
且つそれら各副液室の壁部の一部が、それぞれ前記可動
部材における前記複数の振動系の何れかによって構成さ
れていると共に、それら各副液室を前記主液室に連通せ
しめる複数のオリフィス通路が形成されていることを、
特徴とする。
【0025】このような請求項7に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、各オリフィ
ス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流
動作用に基づいて、互いに異なる周波数域の入力振動に
対する有効な防振効果を得ることが可能となり、広い周
波数域に亘って優れた防振効果が発揮され得る。
【0026】なお、複数のオリフィス通路を形成する場
合には、各副液室を主液室に対して、それぞれ直接的に
連通せしめるように各オリフィス通路を形成することも
可能であるが、副液室間に跨がってオリフィス通路を形
成することにより、副液室を主液室に対して、他の副液
室を介して、間接的に連通せしめるようにしても良い。
【0027】そして、そのように副液室を主液室に対し
て、他の副液室を介して、間接的に連通せしめるように
オリフィス通路を形成する場合には、例えば、請求項8
に記載されているように、複数のオリフィス通路を、複
数の副液室と主液室を互いに直列的に接続するように形
成すると共に、該主液室に近いオリフィス通路ほど高周
波側にチューニングすることが望ましい。このような請
求項8に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振
装置においては、特別なオリフィス通路の切換手段等を
設けることなく、各オリフィス通路を通じて流動せしめ
られる流体の流動作用に基づく防振効果を、何れも、有
効に得ることが出来るのである。
【0028】また、請求項9に記載の発明は、請求項1
乃至8の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置において、前記流体室が、前記本体ゴム弾
性体により壁部の一部が構成されて振動入力時に内圧変
動が生ぜしめられる主液室を含んで構成されている一
方、該主液室とは独立して、壁部の一部が可撓性膜で構
成されて容積変化が許容される平衡室が設けられ、該平
衡室に前記非圧縮性流体が封入されていると共に、該平
衡室を前記主液室に連通する流体連通路が形成されてい
ることを、特徴とする。
【0029】このような請求項9に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、振動入力時
に主液室に圧力変動が生ぜしめられることにより、主液
室と平衡室の間に圧力差が生じて、それら両室間で、流
体連通路を通じての流体流動が生ぜしめられるのであ
り、そして、この流体連通路を通じて流動せしめられる
流体の共振作用等の流動作用に基づいて、有効な防振効
果が発揮されることとなる。
【0030】それ故、例えば、かかる流体連通路を前記
オリフィス通路と併せて採用し、該流体連通路に対して
オリフィス通路とは異なるチューニングを施せば、オリ
フィス通路による防振効果が発揮される入力振動とは異
なる振動に対して、有効な防振効果を得ることが出来、
防振性能の更なる向上が図られ得る。
【0031】また、請求項10に記載の発明は、請求項
1乃至9の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体
封入式防振装置において、前記可動部材を構成する前記
弾性板が、弾性に基づく一定形状への復元力を有してい
ることを、特徴とする。
【0032】このような請求項10に記載の発明に従う
構造とされた流体封入式防振装置においては、可動部材
を構成する各振動系に対する外力(加振力)を解除した
状態下で、各振動系が略一定位置に復帰,保持されるこ
とから、流体室の内圧コントロールが容易となる。ま
た、特に、請求項3に記載の発明に従って、空気圧によ
り振動系の加振力を得る場合には、作用空気室に及ぼさ
れる空気圧を解除した際、振動系が所定位置に復帰せし
められることから、例えば、作用空気室に及ぼされる空
気圧として、負圧または正圧の何れか一方の側だけで変
動する空気圧や、或いは一定の大きさの負圧または正圧
の一方と大気圧との交互の切り換えによる変動空気圧等
を採用して、可動部材を有利に加振せしめることが可能
となる。
【0033】なお、弾性板の弾性に基づく一定形状への
復元力を補助するために、弾性板に対して特定方向の付
勢力を常時及ぼす付勢手段を設けることも可能であり、
例えば、付勢手段としてコイルスプリング等を採用すれ
ば、弾性板の一定形状への復元性を有利に且つ長期間に
亘って安定して得ることが出来る。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0035】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての自動車用エンジンマウント10が、示されてい
る。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔
てて対向配置された第一の取付部材および第二の取付部
材としての第一の取付金具12と第二の取付金具14を
有していると共に、それら両取付金具12,14が本体
ゴム弾性体16によって連結されており、第一の取付金
具12と第二の取付金具14の各一方が、パワーユニッ
ト側とボデー側の何れかに取り付けられることにより、
パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるよう
になっている。なお、かかるエンジンマウント10にお
いては、自動車への装着時にパワーユニット荷重が及ぼ
されることにより、本体ゴム弾性体16が圧縮変形せし
められる。また、そのような装着状態下、防振すべき振
動が、第一の取付金具12と第二の取付金具14の略対
向方向(図1中の上下方向)に入力されることとなる。
なお、以下の説明中、上方および下方とは、原則とし
て、図1中の上方および下方をいうものとする。
【0036】より詳細には、第一の取付金具12は、そ
れぞれ略有底円筒形状の上金具18と下金具20が、各
開口側で互いに軸方向に重ね合わされてボルト連結され
ることにより、中空構造をもって形成されている。な
お、上金具18の底壁部には、外方に突出する取付ボル
ト22が固設されており、この取付ボルト22によっ
て、第一の取付金具12がパワーユニット側またはボデ
ー側に取り付けられるようになっている。
【0037】また、第一の取付金具12の中空内部に
は、可撓性膜としての変形容易な薄肉の略円板形状を有
するゴム弾性膜23が収容配置されており、外周縁部を
上下金具18,20間で挟持されることによって、第一
の取付金具12の中空内部が、ゴム弾性膜23を挟ん
で、上金具18側と下金具20側とに流体密に仕切られ
ている。これにより、ゴム弾性膜23と下金具20の間
には、非圧縮性流体が封入されてゴム弾性膜23の変形
に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室24が形
成されていると共に、ゴム弾性膜23と上金具18の間
には、外部空間に連通されてゴム弾性膜23の変形を許
容する空気室25が形成されている。なお、封入流体と
しては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレング
リコール,シリコーン油等が何れも採用可能であるが、
流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るために
は、0.1Pa・s以下の粘度を有するものが望まし
い。
【0038】さらに、第一の取付金具12を構成する下
金具20の底壁部には、円板形状の通路形成金具26が
重ね合わされてボルト固定されている。そして、これら
下金具20と通路形成金具26の重ね合わせ面間におい
て、周方向に一周弱の長さで延びる流体連通路27が形
成されており、該流体連通路27の一方の端部が、平衡
室24に連通せしめられている。
【0039】また一方、第二の取付金具14は、円環ブ
ロック形状の支持金具28と円板形状の底金具29が、
互いに軸方向に重ね合わされてボルト連結されることに
より構成されており、全体として、上面中央部に開口す
る凹所30を備えた厚肉の有底円筒形状を有している。
なお、底金具29には、下方に突出する取付ボルト33
が立設されており、この取付ボルト33によって、第二
の取付金具14がボデー側またはパワーユニット側に取
り付けられるようになっている。
【0040】そして、この第二の取付金具14が、第一
の取付金具12に対して、軸方向下方に所定距離を隔て
て対向位置せしめられており、それらの間に介装された
本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0041】かかる本体ゴム弾性体16は、厚肉のテー
パ筒形状を有しており、その小径側開口部が、第一の取
付金具12を構成する下金具20の外周面に加硫接着さ
れて固着されている一方、その大径側開口部に連結リン
グ31が加硫接着されており、かかる連結リング31が
第二の取付金具14を構成する支持金具28の上面に重
ね合わされてボルト固定されることにより、大径側開口
部が第二の取付金具14に固着されている。これによ
り、第一の取付金具12と第二の取付金具14の対向面
間において、周囲を本体ゴム弾性体16で画成されて外
部空間に対して流体密に閉塞された内部空所が形成され
ている。なお、本体ゴム弾性体16の軸方向中間部分に
は、弾性変形の安定化を図り座屈等を防止するための拘
束リング32が加硫接着されている。
【0042】また、第二の取付金具14に形成された凹
所30の内部には、全体として略円板形状を有する可動
部材34が収容配置されており、この可動部材34によ
って、第一の取付金具12と第二の取付金具14の対向
面間に形成された内部空所が、第一の取付金具12側と
第二の取付金具14側とに、流体密に仕切られている。
そして、可動部材34を挟んで、第一の取付金具12側
には、非圧縮性流体が封入されて流体室36が形成され
ている一方、第二の取付金具14側には、作用空気室3
8が形成されており、第二の取付金具14(底金具2
9)を貫通して形成された空気給排路39を通じての作
用空気室38への空気の給排によって、可動部材34に
及ぼされる空気圧が可変されるようになっている。な
お、流体室36の封入流体としては、第一の取付金具1
2内に形成された平衡室24の封入流体と同じものが採
用される。
【0043】ここにおいて、可動部材34は、略円板形
状を有するゴム弾性板40を有しており、このゴム弾性
板40の中央部分に対して、円板形状の第一のマス金具
42が加硫接着されていると共に、ゴム弾性板40の径
方向中間部分に対して、円環形状の第二のマス金具44
が加硫接着されている。換言すれば、第二のマス金具4
4は、第一のマス金具42の径方向外方に所定距離を隔
てて同心的に配設されており、これら第一及び第二のマ
ス金具42,44が、ゴム弾性板40で弾性的に連結さ
れている。そして、ゴム弾性板40は、その外周面が支
持金具28の内周面に加硫接着されることにより、第二
の取付金具14で支持されて、底金具29から上方に所
定距離だけ離れて配設されている。
【0044】また、可動部材34には、全体として略厚
肉の円板形状を有する第一の仕切部材46が上方から重
ね合わされ、外周縁部を第二のマス金具44の上面に載
置された状態で、該第二のマス金具44に対してボルト
固定されている。そして、この第一の仕切部材46の中
央部分が、第一のマス金具42が加硫接着された可動部
材34の中央部分から上方に所定距離だけ離隔位置せし
められていることにより、第二のマス金具44よりも径
方向内方において、可動部材34と第一の仕切部材46
の対向面間に、第一の副液室48が形成されている。
【0045】更にまた、可動部材34の上方には、薄肉
の金属板にて形成された略ハット形状の第二の仕切部材
50が配設されており、外周鍔部を支持金具28と連結
リング31の間で挟持されることにより、第二の取付金
具14に対して固定されている。そして、この第二の仕
切部材50が、第一の仕切部材46が装着された可動部
材34から上方に所定距離だけ離隔位置せしめられてい
ることにより、第一の仕切部材46が装着された可動部
材34と第二の仕切部材50の対向面間に、第二の副液
室52が形成されている。
【0046】また一方、第二の仕切部材50を挟んで、
第二の副液室52と反対側には、第一の取付金具12と
第二の仕切部材50の対向面間に、主液室53が形成さ
れている。この主液室53は、周壁部が本体ゴム弾性体
16で構成されており、振動入力時に、本体ゴム弾性体
16の弾性変形に基づいて内圧変動が生ぜしめられるよ
うになっている。また、かかる主液室53は、第一の取
付金具12の内部に形成された平衡室24に対して、流
体連通路27を通じて連通されている。そして、振動入
力時に、主液室53と平衡室24の間に惹起される内圧
差によって流体連通路27を通じての流体流動が生ぜし
められることにより、かかる流体の共振作用等の流動作
用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。な
お、流体連通路27のチューニング周波数は何等限定さ
れるものでないが、特に本実施形態では、流体連通路2
7が低周波数域にチューニングされており、該流体連通
路27を通じての流体流動作用に基づいて、例えばシェ
イク等の低周波振動に対して有効な防振効果が発揮され
るように、流体連通路27の長さや断面積等が設定され
ている。
【0047】要するに、上述の如き第一の仕切部材46
と第二の仕切部材50によって、第一の取付金具12と
可動部材34の間に形成された流体室36が三つに仕切
られており、以て、第一の副液室48,第二の副液室5
2および主液室53が形成されているのである。また、
第一の副液室48および第二の副液室52は、何れも、
壁部の一部が可動部材34によって構成されている。そ
して、可動部材34のうち、第一の副液室48の壁部を
構成する部分が、第一のマス金具42と、該第一のマス
金具42を第二のマス金具44に対して弾性的に連結す
るゴム弾性板40における環状の第一の弾性連結部54
とによって形成されて、第一の振動系55が構成されて
いる。また、可動部材34のうち、第二の副液室52の
壁部を構成する部分が、第一の仕切部材46が取り付け
られた第二のマス金具44と、該第二のマス金具44を
第二の取付金具14に対して弾性的に連結するゴム弾性
板40における環状の第二の弾性連結部56とによって
形成されて、第二の振動系57が構成されている。
【0048】さらに、第一の仕切部材46は、厚肉の下
板金具58の上面に薄肉の上板金具59が重ね合わされ
ることによって構成されており、下板金具58に設けら
れた所定長さの凹溝60が上板金具59で覆蓋されるこ
とにより、第一の副液室48と第二の副液室52を相互
に連通する第一のオリフィス通路62が形成されてい
る。また、第二の仕切部材50には、中央部分を軸方向
に貫通して延び、第二の副液室52と主液室53を相互
に連通する第二のオリフィス通路64が形成されてい
る。要するに、第一のオリフィス通路62および第二の
オリフィス通路64は、第一の副液室48と第二の副液
室52と主液室53を、互いに直列的に接続連通せしめ
るようにして、第一の副液室48と第二の副液室52の
間および第二の副液室52と主液室53の間に跨がって
それぞれ形成されているのである。
【0049】そして、これら第一のオリフィス通路62
と第二のオリフィス通路64を通じて流動せしめられる
流体の共振作用等の流動作用に基づいて、所定の防振効
果が発揮されるようになっている。なお、これら第一及
び第二のオリフィス通路62,64のチューニング周波
数は何等限定されるものでないが、特に本実施形態で
は、第一のオリフィス通路62が、第一の取付金具12
に形成された流体連通路27よりも高周波数域に、また
第二のオリフィス通路64が第一のオリフィス通路62
よりも更に高周波数域に、それぞれチューニングされて
いる。具体的には、例えば、第一のオリフィス通路62
を流通せしめられる流体の共振作用に基づいてアイドリ
ング振動等の中周波振動に対して有効な防振効果が発揮
されるように、また第二のオリフィス通路64を流通せ
しめられる流体の共振作用に基づいてこもり音等の高周
波振動に対して有効な防振効果が発揮されるように、各
オリフィス通路62,64の通路長さや断面積等が設定
されている。
【0050】また、ここにおいて、第一の副液室48の
壁部を構成する第一の振動系55は、その固有振動数
が、第一のオリフィス通路62のチューニング周波数に
対応するように設定されていると共に、第二の副液室5
2の壁部を構成する第二の振動系57は、その固有振動
数が、第二のオリフィス通路64のチューニング周波数
に対応するように設定されている。なお、第一の振動系
55では、第一のマス金具42の質量と第一の弾性連結
部54のばね定数を調節することによって固有振動数を
チューニングすることが出来る。また、第二の振動系5
7では、第二のマス金具44と第一の仕切部材46の質
量と第二の弾性連結部56のばね定数を調節することに
よって固有振動数をチューニングすることが出来る。な
お、第二の振動系57のチューニングに際しては、必要
に応じて、第一のオリフィス通路62の実質的な閉塞化
に伴う第一の副液室48の封入流体等の質量の影響など
も考慮される。
【0051】上述の如き構造とされたエンジンマウント
10は、自動車への装着状態下において、空気給排路3
9に固着されたポート66に空気圧管路68が接続せし
められ、この空気圧管路68と空気給排路39を通じ
て、作用空気室38が、切換バルブ70に接続される。
そして、この切換バルブ70の切換作動に従って、作用
空気室38が負圧タンク72と大気中とに択一的に連通
せしめられるようにされる。要するに、切換バルブ70
の切換操作によって、作用空気室38には、負圧と大気
圧とが、択一的に及ぼされることとなり、切換バルブ7
0を、適当な周期で切換作動せしめることによって、作
用空気室38に周期的な空気圧変動が生ぜしめられるよ
うにされる。
【0052】それ故、切換バルブ70を防振すべき振動
に対応した周波数で切り換えれば、作用空気室38の空
気圧変動が可動部材34に及ぼされて、可動部材34
が、ゴム弾性板40の弾性変形に基づいて変形加振され
ることにより、この可動部材34にて壁部の一部が構成
された第一の副液室48および第二の副液室52に対し
て、防振すべき振動に対応した周波数で内圧変化が生ぜ
しめられることとなる。その結果、かかる第一及び第二
の副液室48,52と、振動入力によって内圧変動が惹
起される主液室53の間に、内圧差が有利に惹起され
て、かかる内圧差に基づき、第一のオリフィス通路62
や第二のオリフィス通路64を通じての流体流動が生ぜ
しめられることとなり、以て、流体の共振作用等の流動
作用に基づく防振効果が発揮されるのである。
【0053】なお、切換バルブ70の切換作動による可
動部材34の加振制御に際しては、加速度センサ等で検
出された入力振動に対応した基準信号を用いて、制振対
象における振動を出来るだけ小さくする適応制御等のフ
ィードバック制御やマップ制御等が、何れも採用され
得、要求される防振効果が有利に発揮されるように、周
期や位相差,加振力等が決定されることとなる。また、
このことから明らかなように、本実施形態では、切換バ
ルブ70および該切換バルブ70の切換作動制御系を含
んで、作用空気室38に及ぼされる空気圧を防振すべき
振動の周波数に同期して変化せしめる空気圧制御装置が
構成される。
【0054】そこにおいて、可動部材34によって構成
された第一の副液室48の壁部では、第一のオリフィス
通路62のチューニング周波数に対応した固有振動数を
有する第一の振動系55が構成されていることから、そ
の固有振動数の領域において、第一の振動系55自体の
共振現象に基づき、作用空気室38での小さな空気圧変
動による加振力によって、第一の副液室48に大きな内
圧変動を効率的に生ぜしめることが出来る。それ故、か
かる第一の振動系55の固有振動数に対応してチューニ
ングされた第一のオリフィス通路62において、そのチ
ューニング周波数域での流体流動量が一層有利に確保さ
れることとなり、以て、第一のオリフィス通路62を通
じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果
が一層有効に発揮されるのである。
【0055】また、可動部材34によって構成された第
二の副液室52の壁部では、第二のオリフィス通路64
のチューニング周波数に対応した固有振動数を有する第
二の振動系57が構成されていることから、その固有振
動数の領域において、第二の振動系57自体の共振現象
に基づき、作用空気室38での小さな空気圧変動による
加振力によって、第二の副液室52に大きな内圧変動を
効率的に生ぜしめることが出来る。それ故、かかる第二
の振動系57の固有振動数に対応してチューニングされ
た第二のオリフィス通路64において、そのチューニン
グ周波数域での流体流動量が一層有利に確保されること
となり、以て、第二のオリフィス通路64を通じて流動
せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が一層有
効に発揮されるのである。
【0056】なお、第二のオリフィス通路64は第一の
オリフィス通路62よりも高周波数域にチューニングさ
れているから、第一の振動系55の共振周波数域では、
第一及び第二のオリフィス通路62,64の何れも流体
流通抵抗が小さく維持されて、第一のオリフィス通路6
2を通じて第一の副液室48から流出入せしめられる流
体が、第二のオリフィス通路64を介して、主液室53
との間で有利に流動せしめられるのであり、また、第二
の振動系57の共振周波数域では、第一のオリフィス通
路62の流体流通抵抗が著しく大きくなって実質的に閉
塞状態となるために、第二の副液室52の内圧変化に伴
って、該第二の副液室52と主液室53の間で第二のオ
リフィス通路64を通じて流動せしめられる流体量が有
利に確保されることとなる。それ故、オリフィス通路の
切換手段等を設けなくても、第一のオリフィス通路62
および第二のオリフィス通路64の何れにおいても、各
チューニング周波数域での流体流通量が有利に確保され
ることとなり、流体の共振作用等に基づく防振効果が、
それぞれ、極めて有効に発揮されるのである。
【0057】また、本実施形態のエンジンマウント10
においては、それ自体に電磁駆動手段等のアクチュエー
タ部材を組み込む必要がないことから、構造が極めて簡
単で製作で容易であり、軽量でコンパクト且つ安価であ
るといった大きな利点がある。しかも、構造が簡単であ
ることから、耐久性や信頼性にも優れており、故障した
場合でも対処が容易であるといった利点もある。
【0058】さらに、本実施形態のエンジンマウント1
0においては、負圧力を利用して可動部材34に加振力
が及ぼされることから、特に内燃機関を利用した自動車
等において、吸気系に生ずる負圧を有効に活用すること
が出来、特別な駆動エネルギの発生手段が必要ないこと
に加えて、連続的な作動に際しても、電磁駆動手段等を
採用した場合に問題となり易い通電発熱や電力消費等が
問題とされることなく、長時間に亘って安定した性能が
発揮されるのである。
【0059】しかも、負圧力を利用して可動部材34に
加振力を及ぼすことにより、可動部材34の全体に加振
力を及ぼすことが可能であり、それによって、第一及び
第二の振動系55,57に対して、何れも、直接的に加
振力が及ぼされることから、第一及び第二の振動系5
5,57の加振制御を容易且つ有利に行うことが出来る
といった利点もある。
【0060】また、本実施形態のエンジンマウント10
においては、可動部材34において第一のマス金具42
と第二のマス金具44が互いに同心的に離隔配置されて
いると共に、第一の取付金具12と可動部材34の間
に、第二のマス金具44で支持された第一の仕切部材4
6と、第二の取付金具14で支持された第二の仕切部材
50が、所定距離を隔てて配設されて流体室36が仕切
られていることから、それぞれ可動部材34にて壁部の
一部が構成された第一及び第二の副液室48,52と主
液室53が、簡単な構造と効率的な配置形態をもって有
利に形成され得るのである。
【0061】更にまた、本実施形態のエンジンマウント
10においては、第一のオリフィス通路62と第二のオ
リフィス通路64が、第一の副液室48,第二の副液室
52および主液室53の間に跨がって直列的に形成され
ていることから、第一及び第二のオリフィス通路62,
64を、簡単な構造をもって、且つコンパクトに形成す
ることが出来るといった利点もある。
【0062】また、本実施形態のエンジンマウント10
においては、ゴム弾性板40の弾性による復元力に基づ
いて、作用空気室54が大気中に接続された状態下で、
可動部材34が略平板形状に保持されることから、作用
空気室38に対して所定大きさの負圧を断続的に及ぼす
ことによって、第一及び第二の振動系55,57に対し
て加振力を容易に且つ有利に作用せしめることが出来る
のである。
【0063】なお、圧縮エアが容易に得られる場合に
は、負圧力に代えて正圧力を利用してゴム弾性板40を
変形変位させても良く、また、負圧乃至は正圧の範囲内
で圧力を増減させることによってゴム弾性板40を変形
変位させることも、勿論可能である。
【0064】また、本実施形態の如く、負圧力と正圧力
の何れか一方だけを用いて、ゴム弾性板40を変形変位
させる場合には、ゴム弾性板40自体の弾性による復元
変位力を補助するために、ゴム弾性板40と第二の取付
金具14(底金具29)の間に、コイルスプリング等の
付勢手段を配設することも、有効である。
【0065】更にまた、流体連通路27や平衡室24
は、マウント要求特性に応じて採用されるものであっ
て、必ずしも設ける必要はない。また、マウント要求特
性によっては、互いに異なるチューニングが施された流
体連通路27を複数設けることも可能である。
【0066】さらに、可動部材34における振動系5
5,57に対して加振力を及ぼす加振手段として、本実
施形態の如き空気圧機構以外のものも、適宜に採用され
得る。具体的には、例えば、図2に示されているよう
に、第一の振動系55を構成する第一のマス金具42に
対して、コイル74が巻回装着されたボビン76をボル
ト固定する一方、支持金具28に対して、永久磁石78
とヨーク部材80,82をボルト固定せしめて、コイル
74の周りに磁路を形成することにより、コイル74へ
の交番電流の通電にて生ぜしめられる電磁力を利用して
第一のマス金具42に加振力を及ぼす電磁駆動手段を採
用することも可能である。なお、かかる構造の電磁駆動
手段において、第二の振動系57には、ゴム弾性板40
を介して、加振力が伝達されることとなる。また、ヨー
ク部材80,82は、支持金具28と協働して第二の支
持金具14を構成しており、ヨーク部材82に形成され
たボルト穴79によって、かかる第二の取付金具14が
ボデー側またはパワーユニット側に取り付けられるよう
になっている。なお、図2に示されたエンジンマウント
83では、その理解を容易とするために、前記第一実施
形態と同様な構造とされた部材および部位に対して、そ
れぞれ、図中に、第一実施形態と同一の符号を付してお
く。
【0067】また、前記第一実施形態のエンジンマウン
ト10においては、可動部材34における第一の振動系
55および第二の振動系57によって、第一の副液室4
8および第二の副液室52の壁部の一部が構成されてお
り、それら第一及び第二の振動系55,57の加振によ
って、第一及び第二の副液室48,52の内圧を変化せ
しめて、第一及び第二のオリフィス通路62,64を通
じての流体流動を積極的に生ぜしめることにより、それ
らのオリフィス通路62,64における流体流動作用に
基づく防振効果が発揮されるようになっていたが、主液
室53の壁部の一部を可動部材34における振動系で構
成せしめて、該振動系を加振し、主液室53の内圧を直
接的に制御することによって目的とする防振特性を得る
ことも可能である。その具体的構成例が、図3および図
4に示されている。なお、図3および図4においては、
何れも、特徴的部分だけを示すものとし、第一実施形態
と同一構造とされた部分については図示を省略すると共
に、第一実施形態と同様な構造とされた部材および部位
については、図中に、第一実施形態と同一の符号を付す
ることにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0068】すなわち、図3に示されたエンジンマウン
ト84においては、第一の実施形態としてのエンジンマ
ウント(10)に比して、第二の仕切部材(50)が採
用されておらず、流体室36が、第一の仕切部材46に
よって仕切られた第一の副液室48と主液室53とから
構成されている。これにより、主液室53の壁部の一部
が、第一の仕切部材46が装着された可動部材34にて
構成されている。そして、可動部材34のうち、主液室
53の壁部を構成する部分が、第一の仕切部材46が取
り付けられた第二のマス金具44と、該第二のマス金具
44を第二の取付金具14に対して弾性的に連結するゴ
ム弾性板40における環状の第二の弾性連結部56とに
よって形成された第二の振動系57とされているのであ
る。
【0069】従って、このような構造とされたエンジン
マウント84においては、第一のオリフィス通路62お
よび第一の振動系55がチューニングされた中周波数域
の入力振動に対しては、その振動周波数に対応した周期
で作用空気室38に空気圧変化を及ぼして第一の振動系
55を加振することにより、第一のオリフィス通路62
を通じて第一の副液室48と主液室53の間を流動せし
められる流体の流動作用に基づいて、前記第一実施形態
と同様な防振効果が有効に発揮され得る一方、高周波数
域の入力振動に対しては、その振動周波数に対応した周
期で作用空気室38に空気圧変化を及ぼして第二の振動
系57を加振することにより、主液室53の内圧を積極
的に制御することが出来るのであり、主液室53の内圧
制御に基づく防振効果を得ることが出来るのである。
【0070】そこにおいて、第二の振動系57の固有振
動数を、主液室53の内圧制御に基づいて防振しようと
する入力振動の周波数に対応してチューニングすること
により、第二の振動系57の共振作用を利用して、主液
室53に大きな内圧を積極的に生ぜしめて、極めて有効
な内圧制御効果を効率的に得ることが出来るのである。
【0071】また、図4に示されたエンジンマウント8
6においては、第一の実施形態としてのエンジンマウン
ト(10)に比して、第一及び第二の仕切部材(46,
50)が何れも採用されておらず、流体室36の全体で
一つの主液室53が構成されている。これにより、主液
室53の壁部の一部が、可動部材34にて構成されてい
る。そして、この可動部材34は、第一のマス金具42
と第二のマス金具44が、ゴム弾性板40(第一及び第
二の弾性連結部54,56)で連結された構造とされて
いることから、それら第一及び第二のマス金具42,4
4と第一及び第二の弾性連結部54,56の適当な組み
合わせによって、互いに異なる固有振動数を有する複数
の振動系が構成されているのである。
【0072】従って、このような構造とされたエンジン
マウント84においては、可動部材34における各振動
系の固有振動数を、それぞれ、防振すべき振動周波数に
応じてチューニングすることにより、それら各周波数域
において、作用空気室38の空気圧変化による加振力
が、かかる振動系の共振作用によって可動部材34に効
率的に作用し、以て、主液室53に積極的な内圧変化が
及ぼされて、主液室53の内圧が有利に制御されること
となり、以て、それぞれの周波数域の入力振動に対して
優れた防振効果が発揮されるのである。
【0073】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
これらの具体的な実施形態の記載によって、何等、限定
的に解釈されるものでない。
【0074】例えば、可動部材は、複数の振動系を有す
るものであれば良く、その具体的構造は何等限定され
ず、例えば、三つ以上のマス部材を採用したり、三つ以
上の振動系を構成したりすることも可能であり、また、
必ずしも複数のマス部材を同心的に配設する必要もな
い。
【0075】また、上記実施形態では、何れも、自動車
用エンジンマウントを例示したが、その他、自動車用ボ
デーマウントやデフマウント,サスペンションブッシ
ュ、或いは自動車以外の各種装置用の防振装置等に対し
ても、同様に、本発明が有利に適用され得る。
【0076】更にまた、互いに径方向に所定距離を隔て
て配設された軸部材と外筒部材によって、第一の取付部
材と第二の取付部材を構成すると共に、それら軸部材と
外筒部材を、それら両部材の径方向対向面間に介装され
た本体ゴム弾性体で連結せしめた筒形の防振装置に対し
ても、本発明は適用可能である。
【0077】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0078】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、請求項
1乃至10に記載の発明に従う構造とされた流体封入式
防振装置においては、何れも、各振動系の共振作用に基
づいて、小さな加振力により、流体室の壁部を構成する
可動部材を有利に加振することが出来るから、流体室に
おける積極的な内圧変化が効率的に生ぜしめられて、流
体室の内圧制御に基づく防振効果が極めて有効に発揮さ
れるのである。
【0079】そして、可動部材が複数の振動系を有して
いることから、かくの如き可動部材の共振作用を利用し
た流体室の内圧制御に基づく優れた防振効果が、各振動
系がチューニングされた複数の周波数域の入力振動に対
して、それぞれ有効に発揮され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【図3】本発明の第三の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【図4】本発明の第四の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10,83,84,86 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16 本体ゴム弾性体 34 可動部材 36 流体室 38 作用空気室 40 ゴム弾性板 42 第一のマス金具 44 第二のマス金具 46 第一の仕切部材 48 第一の副液室 50 第二の仕切部材 52 第二の副液室 53 主液室 54 第一の弾性連結部 55 第一の振動系 56 第二の弾性連結部 57 第二の振動系 62 第一のオリフィス通路 64 第二のオリフィス通路 70 切換バルブ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに離隔配置された第一の取付部材と
    第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、非圧
    縮性流体が封入された流体室を形成すると共に、該流体
    室の壁部の一部を可動部材で構成せしめて、該可動部材
    を加振することにより、該流体室の内圧を制御せしめて
    防振特性を調節するようにした流体封入式防振装置にお
    いて、 複数のマス部材を弾性板によって相互に連結して前記第
    一の取付部材または前記第二の取付部材に対して弾性的
    に支持せしめることにより、前記可動部材を実質的に複
    数の振動系を含んで構成し、それらの振動系に対して加
    振力を及ぼしめるようにしたことを特徴とする流体封入
    式防振装置。
  2. 【請求項2】 前記複数のマス部材が、互いに同心的に
    離隔配置されている請求項1に記載の流体封入式防振装
    置。
  3. 【請求項3】 前記可動部材を挟んで前記流体室とは反
    対側に密閉された作用空気室が形成せしめられ、該作用
    空気室に外部から及ぼされる空気圧変化に基づいて、前
    記振動系に対して加振力が及ぼされる請求項1又は2に
    記載の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 前記作用空気室に及ぼされる空気圧を、
    防振すべき振動の周波数に同期して変化せしめる空気圧
    制御装置が設けられている請求項3に記載の流体封入式
    防振装置。
  5. 【請求項5】 前記流体室が、前記本体ゴム弾性体によ
    り壁部の一部が構成されて振動入力時に内圧変動が生ぜ
    しめられる主液室を含んで構成されていると共に、該主
    液室の壁部の別の部分が前記可動部材にて構成されて、
    前記振動系の加振によって該主液室に直接に内圧変化が
    及ぼされるようになっている請求項1乃至4の何れかに
    記載の流体封入式防振装置。
  6. 【請求項6】 前記流体室が、前記本体ゴム弾性体によ
    り壁部が構成されて振動入力時に内圧変動が生ぜしめら
    れる主液室と、前記可動部材で壁部の一部が構成されて
    オリフィス通路を通じて該主液室に連通せしめられた副
    液室を含んで構成されており、該可動部材の加振によっ
    て該副液室に内圧変化が生ぜしめられるようになってい
    る請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式防振装
    置。
  7. 【請求項7】 前記副液室が互いに独立して複数形成さ
    れており、且つそれら各副液室の壁部の一部が、それぞ
    れ前記可動部材における前記複数の振動系の何れかによ
    って構成されていると共に、それら各副液室を前記主液
    室に連通せしめる複数のオリフィス通路が形成されてい
    る請求項6に記載の流体封入式防振装置。
  8. 【請求項8】 前記複数のオリフィス通路が、前記複数
    の副液室と前記主液室を互いに直列的に接続するように
    形成されていると共に、該主液室に近いオリフィス通路
    ほど高周波側にチューニングされている請求項7に記載
    の流体封入式防振装置。
  9. 【請求項9】 前記流体室が、前記本体ゴム弾性体によ
    り壁部の一部が構成されて振動入力時に内圧変動が生ぜ
    しめられる主液室を含んで構成されている一方、該主液
    室とは独立して、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容
    積変化が許容される平衡室が設けられ、該平衡室に前記
    非圧縮性流体が封入されていると共に、該平衡室を前記
    主液室に連通する流体連通路が形成されている請求項1
    乃至8の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  10. 【請求項10】 前記可動部材を構成する前記弾性板
    が、弾性に基づく一定形状への復元力を有している請求
    項1乃至9の何れかに記載の流体封入式防振装置。
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