JPH10202093A - リン酸カルシウム系無機中空カプセルおよびその製造方法 - Google Patents

リン酸カルシウム系無機中空カプセルおよびその製造方法

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JPH10202093A
JPH10202093A JP9025882A JP2588297A JPH10202093A JP H10202093 A JPH10202093 A JP H10202093A JP 9025882 A JP9025882 A JP 9025882A JP 2588297 A JP2588297 A JP 2588297A JP H10202093 A JPH10202093 A JP H10202093A
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calcium carbonate
phosphate
calcium
water
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JP9025882A
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Yoshio Suga
良夫 菅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価な合成原料から、特徴ある形状と強度、
粉体特性を有し、吸着特性、徐放性に優れ、かつ生体へ
の為害性がない、リン酸カルシウム系無機中空カプセル
を提供するものである。 【解決手段】 炭酸カルシウムの水性懸濁液と水溶性リ
ン酸類あるいはその水溶性塩の水溶液を反応させ、第三
リン酸カルシウムおよび/または水酸化アパタイト結晶
層を炭酸カルシウム粒子表面に形成させ、ついで、水不
溶性リン酸カルシウム塩あるいはその水性懸濁液を反応
させ、内部の炭酸カルシウムを溶出させて、第三リン酸
カルシウムおよび/または水酸化アパタイト結晶層の壁
材を形成させ、粒子中心部を中空にして、第三リン酸カ
ルシウムおよび/または水酸化アパタイトの結晶からな
る壁材を有する中空カプセル粒子を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、医薬品、化粧品、
食品、塗料、接着剤などに利用できる、リン酸カルシウ
ム系化合物の結晶を壁材とするリン酸カルシウム系無機
中空カプセルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、第三リン酸カルシウムや水酸
化アパタイトのようなリン酸カルシウム系化合物は、歯
科用セメント、歯科用補綴剤、骨充填剤、人工骨などの
生体インプラント材料として、また、研磨剤、琢磨剤、
希釈剤などの医薬品や化粧品の基剤として、食品、飼料
および微生物飼育用の強化剤として、さらには、乾燥
剤、無機フィラー、分散剤、濾過剤、濾過助剤、離型
剤、繊維およびフィルムのブロッキング防止剤などとし
て利用されている。また、プラスチック、ゴム、塗料、
接着剤、インキ、シーリング材、製紙などにも利用され
る。一般に、第三リン酸カルシウムや水酸化アパタイト
は、湿式法、水熱法および乾式法と呼ばれる方法により
製造され、工業的には、主に、湿式法が用いられてい
る。湿式法による第三リン酸カルシウムや第三リン酸カ
ルシウムの合成方法として、特開昭53−110999
号、特開昭59−107912号などには、炭酸カルシ
ウムを原料に使用する方法が開示されている。
【0003】最近、第三リン酸カルシウムや水酸化アパ
タイトとして、医療用材料と同じ、非常に高純度のもの
が使用されるようになり、また、二次加工により、適当
な粒径に造粒したものが利用されている。しかし、この
ような、非常に高純度の第三リン酸カルシウムや水酸化
アパタイトはコストの高いものであり、その用途に制限
があり、また、造粒には煩雑な二次加工が必要となる。
さらに、造粒しても利用上、有効的に利用されるのは粒
子表面層またはその近傍だけであるため、粒子の大部分
を占める内部は、物理的、化学的、生物的などの特性に
関与していない場合が多く、機能的には、形状の保持の
ために利用されているのが実情である。また、粒度は均
一になるが、粒子の強度は決して大きいものでなく、容
易に変形したりつぶれたりするため、機械的強度におい
ても不十分なものとなっている。このような問題を解消
するため、特開昭63−198970号、特開平7−1
96305号、特開平7−196314号には、リン酸
カルシウムの結晶を壁材とするリン酸カルシウム系中空
カプセル粒子が開示されている。これらは、カプセル粒
子が開孔を有していたり、長径の形状を有し、カプセル
壁材は板状結晶もしくは針状、柱状であるとされてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明も、従来の造粒
した第三リン酸カルシウムや水酸化アパタイトにおける
問題を解消することを目的とするもので、安価な合成原
料から、特徴ある形状と強度、粉体特性を有し、吸着特
性、徐放性に優れ、かつ生体への為害性がない中空カプ
セル粒子状の第三リン酸カルシウムおよび/または水酸
化アパタイトを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
特性を有する中空カプセル粒子状の第三リン酸カルシウ
ムおよび/または水酸化アパタイトを得るために鋭意研
究を重ねた結果、湿式法を用いて炭酸カルシウム、水溶
性リン酸類あるいはその水溶性塩の水溶液、さらに水不
溶性リン酸カルシウム塩あるいはその水性懸濁液を原料
とし、沈殿法と加水分解法を組み合わせて反応させるこ
とにより、所望の性能を有するリン酸カルシウム系中空
無機カプセルが得られることを見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、第三リン酸カルシウ
ムおよび/または水酸化アパタイトの結晶からなる壁材
を有する中空カプセル粒子状であることを特徴とするリ
ン酸カルシウム系無機中空カプセル、特に、球状粒子形
態の中空カプセルを提供するものである。また、本発明
は、炭酸カルシウムの水性懸濁液と水溶性リン酸類ある
いはその水溶性塩の水溶液を反応させ、第三リン酸カル
シウムおよび/または水酸化アパタイト結晶層を炭酸カ
ルシウム粒子表面に形成させ、ついで、水不溶性リン酸
カルシウム塩あるいはその水性懸濁液を反応させ、内部
の炭酸カルシウムを溶出させて、第三リン酸カルシウム
および/または水酸化アパタイト結晶層の壁材を形成さ
せ、粒子中心部を中空にする該リン酸カルシウム系無機
中空カプセルの製造方法も提供する。
【0007】本発明のリン酸カルシウム系無機中空カプ
セルは、従来の湿式法で製造される第三リン酸カルシウ
ムや水酸化アパタイトと比較して、煩雑な二次加工程を
含まず目的粒度の優れた物性を有する球状粒子であり、
製造コストが非常に安くなるため、従来、第三リン酸カ
ルシウムや水酸化アパタイトでは利用が限られていた分
野での使用が可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のリン酸カルシウム系中空
無機カプセルは、図1および図2に示すように、第三リ
ン酸カルシウム、水酸化アパタイトまたはそれらの混合
物の結晶層の壁材からなり内部が中空である、例えば、
平均粒度が5〜200μmの球状ないしイガグリ状の粒
子形状を有する。本発明で用いる炭酸カルシウムは特に
限定されるものではなく、平均粒度が0.1〜200μ
m、好ましくは5〜30μmであればその形状や起源に
関係なく利用できる。平均粒度が0.1μm に満たな
いと、反応性は向上するが、反応時に発生する炭酸ガス
の制御が難しい。一方、200μmを超えると反応性が
悪くなり、反応に長時間を必要とする。炭酸カルシウム
としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カル
シウムおよび炭酸カルシウム原料として使用されている
貝殻、珊瑚、卵殻等を粉砕した天然炭酸カルシウムが使
用できる。
【0009】本発明で用いる水溶性リン酸類としては、
例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、トリ
ポリリン酸などが挙げられる。その水溶性塩としては、
例えば、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウ
ム、リン酸二水素アンモニウムなどが挙げられる。水不
溶性リン酸カルシウム塩あるいはその水性懸濁液として
は、例えば、第二リン酸カルシウムおよびその水和物、
ピロリン酸カルシウム、オクタカルシウムホスフェート
などが挙げられる。
【0010】本発明のリン酸カルシウム系無機中空カプ
セルは、沈殿法と加水分解法を組み合わせた2段階の合
成反応により製造することができる。第1段階として、
炭酸カルシウムの水性懸濁液に水溶性リン酸類あるいは
その水溶性塩の水溶液を加え、塩基性領域および/また
は弱酸性領域で、常圧下、50〜100℃の温度で反応
させることにより、炭酸カルシウム粒子表面に第三リン
酸カルシウムおよび/または水酸化アパタイト結晶層の
表面層を形成させる。この状態では、中心部に原料であ
る未反応の炭酸カルシウムが残存する。第2段階とし
て、さらに、水不溶性リン酸カルシウム塩あるいはその
水性懸濁液を添加し、塩基性領域および/または弱酸性
領域で、常圧下、50〜100℃の温度で反応させるこ
とより、中心部の未反応の炭酸カルシウムを水不溶性リ
ン酸カルシウム塩により溶解溶出させ、中心部を中空に
する。溶解、溶出された炭酸カルシウムおよび水不溶性
リン酸カルシウム塩により、さらに、第三リン酸カルシ
ウムおよび/または水酸化アパタイト結晶層の壁材を形
成させ、球状粒子形状の中空カプセル状態の本発明のリ
ン酸カルシウム系無機中空カプセルを製造することがで
き、反応後、水洗、ろ過、乾燥などの処理を施してもよ
い。
【0011】つぎに、本発明のリン酸カルシウム系無機
中空カプセルの製造方法の具体例を挙げる。例えば、第
1段階として、まず、炭酸カルシウムを水性懸濁液とす
る。このとき水100重量部当たり、炭酸カルシウム原
料を2〜100重量部、好ましくは10〜30重量部の
割合で用いる。この炭酸カルシウムの量が少なすぎて低
濃度になりすぎると、生産性が低下し、また、多すぎて
高濃度になりすぎても水溶性リン酸類あるいはその水溶
性塩の水溶液の分散性が不良となり、反応性が低下する
ので好ましくない。この炭酸カルシウムの水性懸濁液
に、加える水溶性リン酸類あるいはその水溶性塩の水溶
液を加えることにより、それが炭酸カルシウムと反応
し、炭酸カルシウム粒子表面に第三リン酸カルシウムお
よび/または水酸化アパタイト結晶層を形成させる。こ
のときのCa/Pモル比は1.5〜60、好ましくは2
〜5とする。この比が小さすぎると、炭酸カルシウム粒
子表面の該リン酸カルシウム系化合物の結晶層が積層し
すぎ、中心部の炭酸カルシウムを閉塞させてしまうため
反応速度が低下し、反応に長時間を必要とする。一方、
大きすぎると、炭酸カルシウム粒子表面にリン酸カルシ
ウム系化合物の結晶層の生成が不十分となり、得られリ
ン酸カルシウム系無機中空カプセルの中空の形状が保持
できず、また、保持できても、強度的に弱いものとなっ
てしまう。
【0012】上記した塩基性領域および/または弱酸性
領域条件としては、通常、pH5〜11、好ましくはp
H6〜9の範囲が選ばれる。このpH値が低すぎると第
二リン酸カルシウムなどの第三リン酸カルシウムや水酸
化アパタイト以外のリン酸カルシウム系化合物が生成
し、また、高すぎると炭酸カルシウム粒子表面の結晶生
成が低下し、反応に長時間を必要とするので好ましくな
い。反応温度は、50〜100℃、好ましくは、70〜
90℃である。50℃以下では反応性が悪く、効率的で
はない。また、本合成反応は水系での反応であるため、
100℃以上にするためには、加圧反応器が必要とな
る。圧力は、通常常圧で行われるが、要すれば、オート
クレーブなどの加圧式の反応器を用いてもよい。
【0013】第2段階としては、結晶層を形成させた炭
酸カルシウムの水性懸濁液をそのまま用いることができ
る。必要であるならば、水洗、ろ過、乾燥などの処理を
施した後、再び水性懸濁液としてもよい。このとき、水
100重量部当たり、第1段階で合成された結晶表面層
を形成させた炭酸カルシウムを2〜100重量部、好ま
しくは10〜30重量部の割合で用いる。この炭酸カル
シウムの量が少なすぎて低濃度になりすぎると、生産性
が低下し、また、多すぎて高濃度になりすぎても添加す
る水不溶性リン酸カルシウム塩あるいはその水性懸濁液
の分散性が不良となり、反応性が低下するので好ましく
ない。添加する水不溶性リン酸カルシウム塩は、特に限
定されるものではなく、平均粒度が0.1〜200μ
m、好ましくは5〜30μmであれば、その形状や起源
に関係なく利用できる。平均粒度が0.1μm に満た
ないと、反応性は向上するが、反応時に発生する炭酸ガ
スの制御が難しい。一方、200μmを超えると反応性
が悪くなり、反応に長時間を必要とする。また、水不溶
性リン酸カルシウム塩の水性懸濁液の場合、水100重
量部当たり、水不溶性リン酸カルシウム塩2〜100重
量部、好ましくは10〜30重量部の割合で用いる。こ
の水不溶性リン酸カルシウム塩の量が少なすぎて低濃度
になりすぎると、生産性が低下し、また、多すぎて高濃
度になりすぎても添加時の分散性が不良となり、反応性
が低下するので好ましくない。
【0014】添加される水不溶性リン酸カルシウム塩あ
るいはその水性懸濁液の量は、残存する未反応の炭酸カ
ルシウムを溶解、溶出させるのに十分な量であり、最終
的に合成されるリン酸カルシウム系化合物のCa/Pモ
ル比が1.5〜1.7となるように選ばれる。この比が
小さすぎると、第二リン酸カルシウムなどの、第三リン
酸カルシウムや水酸化アパタイト以外のリン酸カルシウ
ム系化合物が生成し、大きすぎても、球状粒子の中心部
が完全な中空とならず、中心部に未反応の炭酸カルシウ
ムが残存する。上記した塩基性領域および/または弱酸
性領域条件としては、通常、pH5〜11、好ましくは
pH6〜9の範囲が選ばれる。このpH値が低すぎると
第二リン酸カルシウムなどの、第三リン酸カルシウムや
水酸化アパタイト以外のリン酸カルシウムが生成し、ま
た、高すぎると結晶生成が低下し反応に長時間を必要と
するので好ましくない。反応温度は、50〜100℃、
好ましくは、70〜90℃である。50℃以下では反応
性が悪く効率的ではない。また、本合成反応は水系での
反応であるため、100℃以上にするためには加圧反応
器が必要となる。圧力は、通常、常圧で行われるが、要
すれば、オートクレーブなどの加圧式の反応器を用いて
もよい。
【0015】本発明のリン酸カルシウム系無機中空カプ
セルは、従来の湿式法で製造される第三リン酸カルシウ
ムや水酸化アパタイトと比較して、煩雑な二次加工工程
を含まず、目的とした粒度の球状粒子が得られる。ま
た、製造コストが非常に安くなるため、従来、第三リン
酸カルシウムや水酸化アパタイトでは利用が限られてい
た分野での使用が可能になる。かくして、本発明のリン
酸カルシウム系無機中空カプセルは、例えば、医薬品、
部外品、医療用具、化粧品、食品添加物、工業、農業等
の分野に属し、歯科用セメント、歯科用補綴剤、骨充填
剤、人工骨などの生体インプラント材料として、研磨
剤、琢磨剤、清掃剤清掃助剤、賦形剤、希釈剤などの医
薬品、部外品、化粧品などの基剤として、強化剤、固結
防止剤、補給剤、賦形剤などの食品添加物として、飼
料、微生物飼育、乾燥剤、無機フィラー、分散剤、濾過
剤、濾過助剤、離型剤、繊維およびフィルムのブロッキ
ング防止剤、研磨剤などの工業、農業等の基剤として利
用される。また、組織培養、触媒、酵素、医薬、農薬、
微生物、生体、過酸化物、カラムクロマト用の担体およ
び担持体として、オレフィン、紫外線、タンパク質、ア
ミノ酸、多糖、菌体、グリセリド、香料、臭い等の吸着
剤および徐放性基剤として、プラスッチク、ゴム、塗
料、接着剤、インキ、シーリング材、製紙、骨、歯根等
のとして徐放体、芳香剤、抗菌剤、薬剤、薬効剤等のリ
リースコントロール剤として、セラッミックス、生体材
料、釉薬、化粧品基剤等の原料としても利用される。
【0016】さらに、リン酸カルシウム系無機中空カプ
セルは、その中空特性を活かして、揮発物質保護、反応
性物質・不混合物の混合化と貯蔵、毒性物質の取り扱い
の安全化、味・臭い・感触の隠ぺいの改良、湿気・光・
酸素からの保護、光・熱・磁力などへの感応、溶出・溶
解性の改変、比重の改変、表面の官能基利用、表面の親
媒性の利用、比表面積の拡大、内包物の安定化としても
各分野に利用できる。特に、リン酸カルシウム系無機中
空カプセルの結晶層の壁材の厚みを制御することによ
り、カプセル強度に自由度を持たすことが可能であり、
内包物との組み合わせにより、徐放性をコントロールし
たり、また、一定の応力によりカプセルを破砕させるこ
とにより内包物を分散させたり、結晶層の壁材による研
磨性を制御することが可能となる。
【0017】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 重質炭酸カルシウム、リン酸および第二リン酸カルシウ
ム・無水物を原料としたカプセルの製造 平均粒度15μmの重質炭酸カルシウム(炭酸カルシウ
ム97%以上含有)100gを精製水1リットルに懸濁
し、攪拌しながら加温し80℃に保った。反応時のpH
を塩基性に保ちながら、Ca/Pモル比が約2となるよ
うにリン酸水溶液を滴下し反応させた後、さらに、Ca
/Pモル比が約1.7となるように第二リン酸カルシウ
ム・無水物を添加し、攪拌しながら加温し80℃に保っ
た。反応時のpHを弱酸性ないし塩基性に保ちながら、
常法に従って、生成物を乾燥、必要に応じて粉砕して、
平均粒度18μmのリン酸カルシウム系無機中空カプセ
ルを得た。生成物をX線回折、走査型電子顕微鏡、高性
能電界放射型電子顕微鏡とX線マイクロアナライザーに
よるリンとカルシウムの平面元素分析等で解析した。解
析結果を図2〜図5に示す。その結果から、水酸化アパ
タイトの結晶層の壁材を有し、中心部が中空であるリン
酸カルシウム系無機中空カプセルであることを確認し
た。
【0018】実施例2 重質炭酸カルシウム、リン酸および第二リン酸カルシウ
ム・2水物を原料としたカプセルの製造 平均粒度20μmの重質炭酸カルシウム(炭酸カルシウ
ム97%以上含有)200gを精製水1リットルに懸濁
し、攪拌しながら加温し70℃に保った。反応時のpH
を塩基性に保ちながら、Ca/Pモル比が約6となるよ
うにリン酸水溶液を滴下し、反応させた後、さらに、C
a/Pモル比が約1.7となるように第二リン酸カルシ
ウム・2水物を添加し、攪拌しながら加温し、80℃に
保った。反応時のpHを弱酸性ないし塩基性に保ちなが
ら、常法に従って、生成物を乾燥、必要に応じて粉砕し
た。平均粒度は22μmであった。実施例1と同様の分
析方法で解析した結果、水酸化アパタイトの結晶層の壁
材を有し、中心部が中空であるリン酸カルシウム系無機
中空カプセルであることを確認した。
【0019】実施例3 重質炭酸カルシウム、リン酸および第二リン酸カルシウ
ム・無水物を原料としたカプセルの製造 平均粒度15μmの重質炭酸カルシウム(炭酸カルシウ
ム97%以上含有)100gを精製水1リットルに懸濁
し、攪拌しながら加温し80℃に保った。反応時のpH
を塩基性に保ちながら、Ca/Pモル比が約2となるよ
うにリン酸水溶液を滴下し反応させた後、さらに、Ca
/Pモル比が約1.5となるように第二リン酸カルシウ
ム・無水物を添加し、攪拌しながら加温し、80℃に保
った。反応時のpHを中性ないし塩基性に保ちながら、
常法に従って、生成物を乾燥、必要に応じて粉砕した。
平均粒度は18μmであった。実施例1と同様の分析方
法で解析した結果、第三リン酸カルシウムの結晶層の壁
材を有し、中心部が中空でありるリン酸カルシウム系無
機中空カプセルであることを確認した。
【0020】実施例4 重質炭酸カルシウム、リン酸および第二リン酸カルシウ
ム・2水物を原料としたカプセルの製造 平均粒度20μmの重質炭酸カルシウム(炭酸カルシウ
ム97%以上含有)100gを精製水1リットルに懸濁
し、攪拌しながら加温し80℃に保った。反応時のpH
を塩基性に保ちながら、Ca/Pモル比が約6となるよ
うにリン酸水溶液を滴下し反応させた後、さらにCa/
Pモル比が約1.5となるように第二リン酸カルシウム
・2水物を添加し、攪拌しながら加温し、80℃に保っ
た。反応時のpHを中性から塩基性に保ちながら、常法
に従って、生成物を乾燥、必要に応じて粉砕した。平均
粒度は22μmであった。実施例1と同様の分析方法で
解析した結果、第三リン酸カルシウムの結晶層の壁材を
有し、中心部が中空であるリン酸カルシウム系無機中空
カプセルであることを確認した。
【0021】同様に、軽質炭酸カルシウム、卵殻粉砕物
等を原料としても、適宜の粒度のものを用いれば、所望
のリン酸カルシウム系無機中空カプセルを、安定に製造
できることを確認した。さらに、実施例1および2で得
たリン酸カルシウム系無機中空カプセルの機能確認のた
め、その粒子強度、歯磨剤での研磨力および細胞毒性等
について試験評価した。比較のために、以下の比較例の
ものを用いた。 比較例1 同等の粉体粒度(約20μm)を持つ、湿式法の沈殿法
により生成した1次粒子をスプレードライにより2次凝
集させた球形水酸化アパタイトを用いた。 比較例2 同等の粉体粒度(約20μm)を持つ、湿式法の加水分
解法により生成した水酸化アパタイトを用いた。 比較例3 炭酸カルシウムを原料とし、同等の粉体粒度(約20μ
m)を持つ、湿式法の沈殿法により生成した炭酸カルシ
ウム−リン酸カルシウム系化合物複合体を用いた。
【0022】比較例4 同等の粉体粒度(約20μm)を持つ、湿式法の沈殿法
により生成した1次粒子を乾燥後粉砕した不定形の第三
リン酸カルシウムを用いた。 比較例5 長径20μm、短径0.6μmの針状形状であるアラゴ
ナイト型結晶の炭酸カルシウムを水に分散させて、湿式
法の沈殿法により炭酸カルシウム−ヒドロキシアパタイ
ト複合体とした。これを、酢酸およびグリシン混合溶液
で処理することにより、内部の炭酸カルシウムを溶解、
除去して、ヒドロキシアパタトのチューブ状粒子(約2
0μm)を得た。
【0023】 1.粒子強度実施例1〜4および比較例1〜5の粒子を
試料として、以下に示す方法において粒子強度を評価し
た。試料0.1gをガラス板上にとり、精製水0.2m
lと均一に練り、試験スラリーを調製した。この試験ス
ラリーの上から同じガラス板をのせ、荷重をかけながら
一定距離(約2cm)を10往復させる。その後上部の
ガラス板を外し、試験スラリーを乾燥し、走査型電子顕
微鏡(理学電機社製)を用いて、複合体の形状と表面性
状を観察評価した。 (評価基準) 全体が崩れている。 :3 全体の1/2程度が崩れている。:2 全体の1/4程度が崩れている。:1 崩れていない。 :0 評価結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1に示すように、実施例1〜4および比
較例3の粉体は、粉体表面の性状、粒子の形状とも比較
例1、2、4および5の粉体と比べて強度が優れている
ことが判明した。比較例3の粉体より、実施例1〜4
は、中心部に残存する炭酸カルシウムにかかわらず、結
晶層の壁材に十分な強度があることが判明した。また、
比較例5は中空であるにかかわらず粒子形状がチューブ
状であるため、粒子の形状を維持することができず粉体
強度が弱いものであることが判明した。
【0026】2.研磨力 実施例1〜4および比較例1〜5を研磨剤として、以下
に示す処方において歯磨を調製し、RDA(Radio Acti
ve Dentine Abrasive)法により研磨力を測定した。 処方1 成分 配合量(重量%) 研磨剤(実施例1) 25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ソルビット液 50.0 精製水 21.5 合計 100.0 処方2〜9は、研磨剤を実施例2〜4および比較例1〜
5に置き換えた。
【0027】上記の製造法にしたがって製造した処方1
〜9の試料の研磨力(RDA値)を測定した。このRD
A値は、歯磨剤に配合される研磨剤の有する特性(歯の
研磨性とステイン除去)を表わす。RDA値50以下で
は研磨性が弱く、歯牙に付着するステインを除去する力
が小さく、歯牙が着色する傾向にある。逆に、150を
超えるものは研磨力が強すぎ、ステインだけでなく歯牙
も削るため好ましくない。米国歯科医師会(ADA)に
おいても、RDA値が100程度の研磨力を有するもの
が、比較的歯牙の研磨力が少なく、ステイン除去もあり
適当であるとしている。すなわち、RDA値として50
〜100のものが好ましいという判断基準がある。測定
結果を以下の表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2の示すように、処方1〜4および7の
研磨剤は、RDA値が50〜100で、歯磨剤の研磨剤
として最適であることが判明した。また、処方5、6、
8および9は、RDA値が50以下であり歯磨の研磨剤
としては、不十分である。
【0030】3. 細胞毒性 実施例1〜4および比較例1〜5を試料として、以下に
示す方法において細胞毒性を評価した。ヒト胎児表皮細
胞を用い、96穴プレートの1ウエルに、4000個/
100μlずつ植込み3日間培養した。検体は無血清培
地に溶解し、最終濃度1000〜0.61μl/mlの
14段階とコントロールを合せて設定し各濃度6ウエル
ずつ行った。6日目に常法に従い、ニュートラルレッド
の色素取込み量を測定した。未処理コントロールに対し
て50%細胞傷害を生じる検体濃度(μl/ml)をN
50値として示し、その値が大きければ検体の細胞毒性
は小さいことを表わす。結果を以下の表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】表3に示すように、実施例1〜4および比
較例1〜5は、すでに使用実績のある比較例1および2
の試料と同等であり、生体への為害性がないことが判明
した。
【0033】4.粉体特性 実施例1〜4および比較例1〜4を試料として、以下に
示す方法において粉体特性を評価した。 見かけ比容積:カサ測定器を用い、試料をフルイの上に
載せ、ハケにより前面を一様に軽く掃き、試料を分散落
下させ、内容量30ccの受器に受けた。試料で受器が
山盛りとなるまでこの操作を繰返し、つぎに、受器をヘ
ラですり切った後、内容物の重さを計る。つぎの数1の
式より見かけ比容積を算出した。 見かけ比容積={(試料の重さ)/30}×100
【0034】比表面積:BET法により比表面積を測定
した。 安息角:粉体特性器により安息角を測定した。 結果を以下の表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】表4に示すように、中心部を中空にするこ
とにより粉体特性の改変が行え、粉体として取扱いやす
いものとなっていることが判明した。
【0037】5.吸着力 実施例1〜4および比較例1〜4を試料として、以下に
示す方法においてタンパク質および多糖類の吸着を評価
した。試料を100mg秤量し、その上に所定濃度(多
糖類:500μg/ml;タンパク質:2mg/m
l)、所定pH(5.9)に溶解したタンパク質および多
糖類水溶液を加え、常温下で30分間分散させた。試料を
遠心分離後、上清を一定量採取し、発色試薬により発色
させ吸光度を測定することにより吸着量を求めた。結果
を以下の表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】表5に示すように、比較例1および2と比
べて吸着力は劣るが、比較例1および2は吸着カラム用
のものであるためで、実施例のカプセルの吸着力は十分
である。
【0040】6.徐放性 実施例1〜4および比較例1〜4を試料として、以下に
示す方法においてナフタリンの徐放性を評価した。試料
10gに、10%ナフタリン−四塩化炭素溶液を加え浸
漬後、四塩化炭素を気化させナフタリン2gを担持させ
た。ナフタリンを担持させた試料を40℃の恒温槽に入
れ、ナフタリンの残存率を経時的に測定した。結果を以
下の表6に示す。
【0041】
【表6】
【0042】表6に示すように、中心部を中空にするこ
とにより徐放性担体として良好であることが判明した。
表1〜6に示すように、状粒子が第三リン酸カルシウム
および/または水酸化アパタイトの結晶層の壁材からな
り、内部が中空の粒子状である本発明のリン酸カルシウ
ム系無機中空カプセルは、従来の水酸化アパタイトおよ
び第三リン酸カルシウムと比較して高い強度および研磨
力を持つ一方で、生体への為害性がなく、粉体として取
扱いやすい粉体特性を有し、吸着特性、徐放性に優れる
リン酸カルシウム系化合物のカプセル粒子である。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、従来品の欠点を克服
し、安価な合成原料から、特徴ある形状と強度、粉体特
性を有し、吸着特性、徐放性に優れ且つ、生体への為害
性がない優れたリン酸カルシウム系無機中空カプセルが
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリン酸カルシウム系無機中空カプセ
ル断面の粒子構造を示す図面に代わる走査型電子顕微鏡
写真である。
【図2】 本発明のリン酸カルシウム系無機中空カプセ
ルの粒子構造を示す図面に代わる走査型電子顕微鏡写真
である。
【図3】 本発明のリン酸カルシウム系無機中空カプセ
ル断面の高性能電界放射型電子顕微鏡写真およびX線マ
イクロアナライザーによるリンの平面元素分析チャート
である。
【図4】 本発明のリン酸カルシウム系無機中空カプセ
ル断面の高性能電界放射型電子顕微鏡写真およびX線マ
イクロアナライザーによるカルシウムの平面元素分析チ
ャートである。
【図5】 本発明のリン酸カルシウム系無機中空カプセ
ルの粉末X線回折チャートである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C01B 25/32 C01B 25/32 V // A61K 6/033 A61K 6/033

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第三リン酸カルシウムおよび/または水
    酸化アパタイトの結晶からなる壁材を有する中空カプセ
    ル状粒子であることを特徴とするリン酸カルシウム系無
    機中空カプセル。
  2. 【請求項2】 炭酸カルシウムの水性懸濁液と水溶性リ
    ン酸類あるいはその水溶性塩の水溶液を反応させ、第三
    リン酸カルシウムおよび/または水酸化アパタイト結晶
    層を炭酸カルシウム粒子表面に形成させ、ついで、水不
    溶性リン酸カルシウム塩あるいはその水性懸濁液を反応
    させ、内部の炭酸カルシウムを溶出させて、第三リン酸
    カルシウムおよび/または水酸化アパタイト結晶層の壁
    材を形成させ、粒子中心部を中空にすることを特徴とす
    る請求項1記載のリン酸カルシウム系無機中空カプセル
    の製造方法。
JP9025882A 1997-01-24 1997-01-24 リン酸カルシウム系無機中空カプセルおよびその製造方法 Withdrawn JPH10202093A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001506541A (ja) * 1997-09-09 2001-05-22 セレクト リリース リミテッド カンパニー 被覆粒子とその製造法及び使用法
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JP2004081754A (ja) * 2002-06-28 2004-03-18 Cluster Technology Co Ltd リン酸カルシウム類からなるカプセルおよびその製造方法
CN103071158A (zh) * 2013-01-10 2013-05-01 天津科技大学 一种具有补钙、强壮骨骼功能性的骨质胶囊壳及其制备方法
JP2024508373A (ja) * 2021-01-28 2024-02-27 ガルフィータ アーゲー 固体医薬組成物および固体医薬組成物を生成する方法

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