JPH10204548A - 溶融飛灰から重金属を回収する方法 - Google Patents

溶融飛灰から重金属を回収する方法

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JPH10204548A
JPH10204548A JP905397A JP905397A JPH10204548A JP H10204548 A JPH10204548 A JP H10204548A JP 905397 A JP905397 A JP 905397A JP 905397 A JP905397 A JP 905397A JP H10204548 A JPH10204548 A JP H10204548A
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JP
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residue
fly ash
heavy metal
slurry
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JP905397A
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Inventor
Keisuke Nakahara
啓介 中原
Tsuyoshi Nakao
強 仲尾
Masahiro Sudo
雅弘 須藤
Takuya Shinagawa
拓也 品川
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回収される重金属濃縮物に、溶融飛灰中のダ
イオキシン類が移行して混入し、また、制限値以上の塩
素分が含まれており、非鉄金属製錬用の原料として望ま
しい重金属濃縮物が得られない。 【解決手段】 ごみ焼却残渣を溶融処理した際に捕集さ
れた飛灰(溶融飛灰)に水を加え、さらに必要に応じて
アルカリを加えて、スラリーにし、このスラリーを固液
分離して可溶性塩類が溶出した溶液B1 と重金属を含む
残渣A1 とに分け、残渣A1 を高温加熱処理し、この処
理物を重金属濃縮物として回収する。残渣A1 を高温加
熱処理した際には、ダストが飛散するので、このダスト
を捕集し、飛灰に水を加えてスラリーにする処理段階へ
戻す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却残渣を溶
融処理した際に捕集される飛灰(以下、溶融飛灰と言
う)から重金属を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみや産業廃棄物などを焼却した際
に発生する焼却残渣の多くは埋め立て処分されている
が、埋立地の確保が困難になるにしたがって、その減容
化が要望されてきた。また、焼却残渣のうち、燃焼排ガ
スと共に飛散して集塵機で捕集されたもの(焼却飛灰)
は、鉛などの重金属を含んでおり、特別管理一般廃棄物
に指定されているので、その廃棄処分に際しては、重金
属を無害化する処理をしなければならない。このため、
焼却炉から直接取り出された焼却灰を減容化すると共
に、飛灰を無害化する必要が生じている。
【0003】このような問題に対処し、焼却残渣の減容
化と重金属の不溶化・無害化を同時に行うことができる
技術として、焼却残渣を溶融する処理方法が開発されて
いる。この溶融処理においては、上記焼却飛灰、または
焼却炉から直接排出された残渣、または上記両者を混ぜ
て成分調整したものを溶融炉へ投入して溶融させ、この
溶融物を固化させる処理が行われ、重金属が安定な状態
になって無害化されると共に、処理物が減容化される。
【0004】ところで、焼却残渣には、沸点が低い塩化
ナトリウム、塩化カリウムなどの塩類や、亜鉛、鉛など
の重金属が含まれており、このような焼却残渣を溶融す
ると、その溶融温度が非常に高いので、相対的に沸点が
低い重金属の多くは上記塩類と一緒に揮散し、排ガスと
共に飛散する。そして、これらの低沸点物は飛散中に凝
縮し、集塵処理された際に捕集される溶融飛灰の中に集
められる。このため、溶融飛灰は焼却残渣中の低沸点物
が濃縮された状態になっており、その中には、亜鉛、鉛
などの重金属や上記アルカリ塩類が多量に含まれてい
る。
【0005】このように、溶融飛灰中には多量の重金属
が含まれているので、この重金属を資源として回収する
方法(特開平8−141539号公報)が提案されてい
る。図6はその方法の説明図である。
【0006】この方法においては、まず、飛灰に水およ
びアルカリを加えてスラリーにし、このスラリーを濾別
して重金属含有残渣と塩類含有濾液とに分離する。
【0007】次いで、上記残渣に水を加えてリパルプ
し、酸を加えて亜鉛を主体とする重金属分を溶出させた
後、濾別し、鉛を主体とする重金属を含む残渣を得る。
【0008】そして、上記2回の濾別によって得られた
濾液にアルカリを添加し、必要に応じてさらに硫化剤を
添加し、濾液中の重金属を水酸化物、または水酸化物お
よび硫化物として沈澱させ、これらの沈澱物を濾別し、
亜鉛を主体とする重金属を含む残渣を得る。
【0009】上記のような方法で飛灰を処理することに
よって、飛灰中の重金属が、鉛や亜鉛を主体とする残渣
として回収されるか、あるいは鉛を主体とする残渣と亜
鉛を主体とする残渣に分別されて回収され、製錬用の原
料として供給することができる状態になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
においては、飛灰に含まれているダイオキシン類が、回
収される重金属含有残渣(重金属濃縮物)に混入してく
ると言う問題がある。すなわち、ダイオキシン類は水溶
性ではないので、飛灰を水で浸出処理して塩類含有溶液
と重金属含有残渣と分別した際に、ダイオキシン類は残
渣側に移行する。このため、ダイオキシン類は濃縮され
て重金属含有残渣中に残留し、その含有率は飛灰中の含
有率の数倍に上がる。そして、ダイオキシン類が含まれ
ている重金属含有残渣を製錬用の原料として供給した場
合、これを取り扱う過程や、これを使用した時の廃棄物
処理などにおいて種々の不都合が発生する。
【0011】さらに、回収された重金属含有残渣中には
塩素分が含まれており、この重金属含有残渣を非鉄金属
製錬用の原料として使用した場合、塩素分あるいは塩素
化合物が種々の障害を引き起こすと言う問題もある。そ
して、このような重金属含有残渣を非鉄金属製錬用の原
料として使用する場合には、塩素分の含有率を1%未満
程度にしなければならないものとされている。
【0012】上記従来技術において、飛灰に水を加え、
このスラリーを濾別して重金属含有残渣と塩類含有濾液
とに分離する処理は、本来、塩化物を主とする水溶性物
質を溶出させることを目的に行われるものである。しか
し、飛灰に水を加えて浸出処理をしても、飛灰中の塩素
分の一部が溶出しないで、そのまま残渣中に残ってしま
い、この塩素分は許容できない量となる。
【0013】本発明は、ダイオキシン類および塩素分が
除去され、製錬用原料として支障なく使用可能な重金属
濃縮物を得ることができる溶融飛灰から重金属を回収す
る方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明に係る方法は、ごみ焼却残渣を溶
融処理した際に捕集された飛灰に水を加え、さらに必要
に応じてアルカリを加えて、スラリーにし、このスラリ
ーを固液分離して可溶性塩類が溶出した溶液と重金属を
含む残渣とに分け、分離された残渣を高温加熱処理し、
この処理物を重金属濃縮物として回収することを特徴と
している。
【0015】また、請求項2の発明に係る方法は、ごみ
焼却残渣を溶融処理した際に捕集された飛灰に水を加
え、さらに必要に応じてアルカリを加えて、スラリーに
し、このスラリーを固液分離して可溶性塩類が溶出した
溶液と重金属を含む残渣とに分け、分離された残渣を造
粒し、この造粒物を高温加熱処理し、この処理物を重金
属濃縮物として回収することを特徴としている。
【0016】また、請求項3の発明に係る方法は、ごみ
焼却残渣を溶融処理した際に捕集された飛灰に水を加
え、さらに必要に応じてアルカリを加えて、スラリーに
し、このスラリーを固液分離して可溶性塩類が溶出した
溶液と重金属を含む残渣とに分け、分離された残渣を高
温加熱処理し、この処理物に水を加え、さらに硫酸を加
えてpH4〜6のスラリーを調製し、このスラリーを固
液分離して亜鉛を主体とする重金属を含む溶液と鉛を主
体とする重金属を含む残渣とに分けることを特徴として
いる。
【0017】そして、請求項4の発明に係る方法は、請
求項1から請求項3の方法において、分離された残渣を
高温加熱処理した際に飛散した塩化物を含むダストを捕
集し、このダストを、飛灰に水を加えてスラリーにする
処理段階へ戻すことを特徴としている。
【0018】表1は、ごみ焼却炉で発生した焼却残渣を
電気抵抗式溶融炉で溶融した際に集塵機で捕集された溶
融飛灰の分析値の一例である。この表のように、溶融飛
灰はその大部分がNa,K,Cl,Pb,Znによって
占められており、Si,Al,Fe,Caなどの成分お
よび他の金属類(以下、他の灰分成分と言う)はごく僅
かしか含まれていない。このように、溶融飛灰の成分
は、Na,K,Clで表されているアルカリ金属の塩化
物と、Zn,Pbよりなる重金属の酸化物および塩化物
と、他の灰分成分とに分類される構成になっている。
【0019】
【表1】
【0020】溶融飛灰を水や溶液で浸出して上記重金属
を製錬原料として回収しようとする場合、上記のよう
に、他の灰分成分はその含有率が非常に少ないので、必
ずしも、分離・除去しなければならないものではない。
そこで、本発明においては、まず、可溶性塩類であるア
ルカリ金属の塩化物を溶出させて除去して、亜鉛および
鉛を主体とする重金属濃縮物を得る処理を行う。
【0021】そして、溶融飛灰を浸出処理して可溶性塩
類を除去する際には、pH値が好ましい範囲になるよう
にして重金属の溶出を抑え、分離・除去される可溶性塩
類溶液中の重金属濃度を、その回収を実施する価値がな
い程度の低濃度に留めるようにすることが望ましい。
【0022】図4および図5は、表1の分析に供したも
のと同じ溶融飛灰における亜鉛および鉛の溶出特性を示
す図である。図4は亜鉛の溶出特性を示し、図5は鉛の
溶出特性を示す。図4および図5において、★はpH調
整をしなかった場合(溶媒は精製水、その溶出液のpH
は6.2)の値であり、実線は塩酸を添加してpH調整
した場合の溶出濃度の変化、点線は硫酸を添加してpH
調整した場合の溶出濃度の変化を示す。
【0023】図4によれば、pH値を6.2付近よりも
低くすると、亜鉛の溶出量は急激に増大する。また、図
5によれば、酸の種類によって、鉛の溶出濃度は異なる
が、pH値が6.2よりも低くなると(塩酸添加の場
合)、鉛の溶出濃度は急激に上昇する。
【0024】このため、可溶性塩類を溶出・除去する処
理を行う際には、pH値を、少なくとも6.2以上、好
ましくは7以上にし、亜鉛および鉛の溶出濃度が極めて
低い値になるようにすることが必要である。
【0025】なお、溶融飛灰自体のpH(水スラリーの
pH)は、溶融飛灰が発生した際の条件によって異なる
が、通常の溶融飛灰を水で浸出した際のpHは略6〜7
の範囲に収まるので、通常の溶融飛灰を処理する場合に
は、必ずしも、アルカリを添加してpH調整をする必要
はない。
【0026】しかし、pH値を7以上に調整すれば、亜
鉛および鉛の一部が可溶性である塩化物の形態で含まれ
ている溶融飛灰を浸出処理する場合においても、亜鉛お
よび鉛の溶出濃度が非常に低い値に抑えられる状態にす
ることができる。すなわち、pH7における亜鉛の溶出
濃度は50mg/l程度、鉛の溶出濃度は5mg/l程度であ
り、その溶出量は極めて少ないので、溶融飛灰中の亜鉛
や鉛の殆どは浸出残渣に残留する。このため、溶融飛灰
を浸出処理した溶液は排水処理がなされた後に放流可能
な状態になる。
【0027】なお、亜鉛および鉛は両性金属であり、p
H値を12以上にすると、水酸化錯体となって溶解して
しまうので、溶融飛灰を浸出処理する際のpHの上限は
11程度にすべきである。
【0028】上述のようにして溶融飛灰を浸出処理すれ
ば、分離・除去される可溶性塩類溶液中の重金属を低濃
度に抑えることができるが、前述のように、残渣中には
ダイオキシン類や許容できない量の塩素分が含まれてい
るので、これを製錬用の原料としての用途に向けるため
には、残渣中のダイオキシン類や塩素分を除去しなくて
はならない。このため、ダイオキシン類および塩素分を
除去するための検討を行った。
【0029】まず、塩素分除去の検討に先立って、飛灰
を浸出処理した際の塩素含有物質の挙動について調べ
た。この浸出処理試験においては、まず、飛灰1重量に
対し10倍量の水を加えて2時間攪拌した後に濾過し、
残渣を得た。次いで、この残渣を洗浄するために、水を
加えて2時間攪拌した後に濾過し、1回目の洗浄残渣を
得た。さらに、この残渣を上記同様に処理し、2回目の
洗浄残渣を得た。そして、上記の各残渣から試料を採取
し、成分分析をした。この結果は表2の如くであった。
【0030】
【表2】
【0031】表2によれば、溶融飛灰中の塩素分は、最
初の浸出処理で約83%が除去されたが、その残渣を洗
浄した場合、その除去率(飛灰中の含有量に対する除去
率)は、1回の洗浄では約91%に留まり、2回の洗浄
を行っても約92%までしか達していない。この結果、
飛灰を浸出処理した残渣中には、洗浄しただけでは除去
できない難溶性の塩素化合物が存在していることが分か
った。事実、X線回折により、飛灰を浸出処理した残渣
を調べたところ、PbClOHのような形態の塩素化合
物が認められた。
【0032】このように、水による浸出処理および洗浄
処理だけでは、残渣中の塩素分を除去することができな
いので、本発明においては、飛灰を浸出処理した残渣を
高温加熱することによって、揮散しやすい塩素化合物を
除去する処理を行う。高温加熱処理を行えば、難溶性の
塩素化合物に係る塩素分だけではなく、可溶性の塩化物
に係る塩素分も一緒に揮散して除去され、塩素分の含有
量が非常に少なく、製錬用の原料として供することがで
きる重金属濃縮物を得ることができる。なお、難溶性の
塩素化合物は、加熱された際に分解し、塩素分が揮散し
て除去されるものと考えられる。
【0033】残渣を高温加熱した際には、主として塩化
物が揮散するが、揮散物中には塩化亜鉛や塩化鉛などの
重金属化合物も含まれているので、この揮散物のダスト
を捕集し、飛灰に水を加えてスラリーにする最初の処理
段階に戻し、重金属を回収する。この際、ダスト中の塩
化ナトリウムや塩化カリウムなどの可溶性塩類は溶解し
て溶液側へ移行し、分離・除去される。
【0034】このため、本発明においては、飛灰を浸出
処理して得た残渣中の塩素分を、必ずしも、十分に除去
しなくてもよい。そして、このことが次のような利点を
もたらす。まず、残渣を洗浄すれば、可溶性の塩化物は
十分に除去されるが、上記のように、可溶性の塩化物は
飛灰を水で浸出した最初の段階でも大部分が除去されて
しまうので、残渣の洗浄を省略することができる。そし
て、残渣の洗浄が省略されれば、微細粒子よりなり、濾
過速度が非常に小さい飛灰スラリーを濾過・分離する回
数が減少し、濾過・分離段階の処理能率が大幅に上が
る。また、固液分離された残渣が脱液不十分のものであ
り、可溶性の塩化物が残留しているものであっても、塩
素分が少ない重金属濃縮物を得ることができる。
【0035】上述のように、飛灰を浸出処理した残渣を
高温加熱すれば、塩素分が揮散して除去されるが、この
際、同時に、ダイオキシン類が分解して、消失してしま
う。このため、残渣を高温加熱処理すれば、塩素分およ
びダイオキシン類の両者が除去される。
【0036】上記高温加熱処理は、後述の試験結果によ
れば、700℃〜1000℃の温度範囲で行うのがよ
い。すなわち、500℃以上に加熱れば、ダイオキシン
類が分解され、また、700℃以上に加熱すれば、塩素
分が1%未満になるまで除去される。従って、700℃
以上に加熱すれば、塩素分およびダイオキシン類が一緒
に除去される。ただし、1000℃を超える温度領域ま
で加熱すると、酸化鉛の蒸気圧が高くなり、その揮散が
起こる。
【0037】上記のようにして得られた重金属濃縮物を
亜鉛分と鉛分に分別する場合には、亜鉛を溶出させ、次
いで固液分離し、亜鉛含有溶液と鉛含有残渣とに分ける
処理を行う。この処理においては、pHを4〜6の範囲
に調整するが、このpH調整に際しては、特定の酸を用
いる。図5に示すように、酸の種類によって、鉛の溶出
濃度が著しく異なる。すなわち、硫酸を添加した場合に
は、鉛はPbSO4 の形態で存在するので、pHを1.
0まで下げても、鉛の溶出濃度は非常に低い範囲に抑え
られ、ほぼ一定の値(分析値は20〜30mg/l)になっ
ているのに対し、塩酸を添加した場合には、pH値が
6.2よりも低くなると、鉛の溶出濃度は急激に上昇す
る。
【0038】このように、残渣中の亜鉛を溶出させ、亜
鉛分と鉛分に分別しようとする場合、塩酸を加えてpH
調整すると、多量の鉛が溶出して亜鉛を含む溶液中に混
入し、その溶液から得た亜鉛濃縮物のZn含有率が低下
するので、本発明においては、pH調整用の酸として
は、硫酸を使用する。
【0039】上述のように、浸出処理によって、溶融飛
灰中の亜鉛および鉛を効率よく回収しようとする場合に
は、各浸出段階におけるpH値を好ましい範囲に調整す
る必要があり、また、酸を添加してpH調整を行う際に
は、硫酸を使用する必要がある。
【0040】なお、本発明においては、可溶性塩類を除
去した残渣から亜鉛を溶出させて分離する処理を行う際
のpH値が4〜6の範囲に限定されているが、このpH
値の範囲は次のようにして決められた。図4に示すよう
に、pH値を6よりも低い範囲にすれば、亜鉛の殆どが
溶出する。このため、pH値を必要以上に下げても、酸
の消費量が増加し、さらに、後の亜鉛回収工程においけ
る中和剤の使用量が増加するだけであるので、pH調整
値は亜鉛の溶出操作に支障を生じない範囲に止めるべき
である。そこで、本発明においては、上記処理における
pH値の下限を4程度としている。
【0041】
【発明の実施の形態】図1は本発明により溶融飛灰から
亜鉛および鉛を主成分とする重金属濃縮物を得る方法の
一例を示すフローチャートである。溶融飛灰を浸出処理
する際には、まず、溶融飛灰に水を加えてスラリーに
し、pHを6.2〜11、好ましくは7〜11に調整し
た後、所定時間攪拌し、溶融飛灰中の可溶性塩類を溶出
させる。そして、このスラリーを固液分離して、亜鉛お
よび鉛を主とする重金属が濃縮された残渣と可溶性塩類
の溶液に分別する。
【0042】なお、上記浸出処理において、処理する溶
融飛灰が通常の溶融飛灰である場合には、水を加えただ
けのスラリーのpHが6〜7程度の範囲に収まるので、
必ずしも、pH調整をする必要はない。しかし、スラリ
ーのpHを7以上にして、亜鉛や鉛の溶出濃度を一層低
い低い値に抑えようとする場合には、苛性ソーダなどの
アルカリを添加してpH調整を行う。また、処理する溶
融飛灰が、それ自体のpH(水スラリーのpH)が6.
2より低い値を示すものである場合には、アルカリを添
加してpH調整を行う。
【0043】次いで、上記の重金属が濃縮された残渣
を、必要に応じて洗浄し、そして乾燥した後、700℃
〜1000℃で所定時間加熱し、ダイオキシン類および
塩素分が除去された重金属濃縮物を得る。この重金属濃
縮物は、鉛分と亜鉛分に分別することなく、鉛・亜鉛同
時製錬(ISPプロセス)用の原料として供給すること
ができる。
【0044】残渣を高温加熱した際に発生するダストは
捕集され、飛灰に水を加えてスラリーにする最初の処理
段階に戻される。なお、上記高温加熱の前に、残渣を洗
浄しておくと、高温加熱時に発生する塩化物などのダス
トが減少し、集塵負荷が軽減される。
【0045】上記スラリーの固液分離によって分けられ
た可溶性塩類の溶液は、排水処理された後、放流される
か、または塩類を回収する工程へ送られる。そして、溶
融飛灰を浸出処理する際のpHが7以下の場合には、上
記可溶性塩類の溶液中に含まれる亜鉛、鉛、カドミウム
などの金属類が多くなるので、排水処理によって除去さ
れた残渣は、ごみ焼却残渣の溶融炉へ送られ、ごみ焼却
残渣と共に再度溶融処理される。
【0046】図2は本発明により溶融飛灰から亜鉛およ
び鉛を主成分とする重金属濃縮物を得る他の方法を示す
フローチャートである。図2において、図1と同じ処理
を行う工程については、説明を省略する。この方法にお
いては、溶融飛灰に水を加えて可溶性塩類を溶出させた
後に固液分離して得た残渣は水分含有率が非常に高いの
で、この残渣に後工程から返送されてくる残渣の乾燥物
を加えて混練し、次の工程へ送る。そして、この混練物
を造粒し、造粒物を乾燥した後、篩分けし、粒径が所定
範囲の造粒物だけを高温加熱処理して、粒状の重金属濃
縮物を得る。篩分け工程から混練工程への乾燥残渣の返
送は造粒工程における混練物の水分含有率を所定の範囲
に調整するために行われるものであり、返送量は混練物
の水分含有率の状態に応じ適宜調節される。このため、
篩分けされた乾燥残渣のうち、粒径が所定値未満のもの
は混練工程へ返送され、粒径が所定値より大きなものは
破砕された後返送されるが、さらに多量の乾燥残渣を必
要とする場合には、粒径が所定値のものも破砕された後
返送される。
【0047】なお、固液分離して得た残渣を、直接、高
温加熱処理せずに、造粒物にして加熱すると、乾燥工程
や高温加熱工程におけるダスト飛散量が大幅に減少し、
集塵に係わる負担が軽減される。また、高温加熱処理さ
れた残渣(重金属濃縮物)の収納や運搬、あるいはこの
重金属濃縮物を製錬用原料として使用した際のダスト飛
散量が大幅に減少し、その取扱いが容易になる。
【0048】図3は本発明により溶融飛灰から得た亜鉛
および鉛を主成分とする重金属濃縮物から亜鉛含有物と
鉛含有物を得るための方法の一例を示すフローチャート
である。この方法においては、図1の方法によって得ら
れた重金属濃縮物を処理する。まず、重金属濃縮物に水
を加えてスラリーにし、硫酸を加えてpH4〜6に調整
した後、所定時間攪拌し、残渣中の亜鉛を溶出させる。
そして、このスラリーを固液分離して、亜鉛を含む溶液
を分離し、鉛を主とする重金属を含む残渣を得る。この
残渣は鉛濃縮物として回収され、製錬原料に供される。
次いで、亜鉛を含む溶液にアルカリおよび硫化剤を添加
して亜鉛を硫化物として沈澱させ、この沈澱物を分離
し、亜鉛を主とする重金属を含む残渣を得る。この残渣
は亜鉛濃縮物として回収され、製錬原料に供される。
【0049】(高温加熱試験)溶融飛灰のスラリーを固
液分離して得た残渣を高温加熱し、ダイオキシン類を分
解すると共に塩素分を揮散させる際の条件を決定するた
めに、必要な加熱温度範囲を設定するための試験を行っ
た。表3は、固液分離して得た残渣を乾燥した後、各種
の温度で30分間加熱する処理を行った際の結果を示す
表である。
【0050】表3において、まず、塩素分の除去状態を
みると、700℃よりも低い温度領域で加熱処理した場
合には、塩素分はごく僅かしか除去されないが、700
℃で加熱した場合には、塩素分は1%未満まで除去され
た。また、900℃以上に加熱すると、殆どの塩素分は
揮散してしまう。
【0051】次いで、ダイオキシン類の減少度合いをみ
ると、500℃以上に加熱した場合には、ダイオキシン
類は殆ど分解された状態になった。なお、この試験に供
した溶融飛灰中のダイオキシン類の含有率は0.17n
g/g(TEQ換算)であった。
【0052】このように、上記残渣を700℃以上に加
熱すれば、殆どのダイオキシン類が除去されると共に塩
素分が1%未満まで除去された処理物が得られるが、前
述のように、1000℃を超える温度領域まで加熱する
と、酸化鉛の揮散が起こるので、高温加熱処理は700
℃〜1000℃の温度範囲で行う必要がある。
【0053】
【表3】
【0054】(実施例1)図1に示す処理順序に従っ
て、溶融飛灰から鉛および亜鉛を主成分とする重金属濃
縮物を回収する試験を実施した。
【0055】ごみ焼却残渣を電気抵抗式溶融炉で溶融し
た際に捕集された溶融飛灰(分析値は表1に示す)10
kgに水100kgを加えてスラリーにし、30分間攪
拌して溶融飛灰中の可溶性塩類を溶出させた。この際の
スラリーのpHは6.4であった。そして、このスラリ
ーをフィルタープレスで濾過し、残渣A1 と溶液B
1(浸出液)に分けた。得られた残渣A1 は6.9kg
含水率は36%、溶液B1は103kgあった。
【0056】次いで、残渣A1 を150℃で乾燥した
後、電気炉に入れ、800℃で30分加熱処理した。こ
の加熱処理によって、ダイオキシン類の大部分が除去さ
れ、処理物中のダイオキシン類の含有率は0.05ng
/g(TEQ換算)未満まで減少していた。
【0057】この処理物の分析値は、加熱処理されてい
ない残渣A1 の値と共に、表4に示す。この表のよう
に、加熱処理物はZnを約49%、Pbを約24%含む
重金属濃縮物であると共に、塩素分の含有率が0.4%
まで低下しており、また、上記のように、ダイオキシン
類の含有率が極めて低い値になっているので、鉛・亜鉛
同時製錬用の原料として供給しうるものであると判断さ
れた。なお、残渣A1 の分析値は乾ベースにて示す。
【0058】また、スラリーを濾過した際に生じた溶液
1 に塩化第二鉄を加え、さらに苛性ソーダを加えてp
H10に調整し、中和凝集沈澱処理によって、亜鉛、鉛
などの重金属を沈澱させ、濾過分離した。この処理を行
う前後の溶液の分析値を表5示す。この表のように、処
理後の溶液は有害重金属濃度が排水基準に適合してお
り、酸を加えてpH7付近に調整すれば、放流可能の液
であった。
【0059】重金属濃縮物の分析値(表4)を溶融飛灰
の分析値(表1)を基に算出した重金属の回収率は、亜
鉛が96%、鉛が99%以上の値であった。
【0060】ところで、溶液B1 を中和凝集沈澱処理し
た際の沈澱物(濾過分離した際の残渣)は、その分析値
が表6の通りであり、28%にも及ぶ亜鉛が含まれてい
るものであった。このように、上記沈澱物には、溶液B
1 側から移行した重金属が濃縮されて含まれているの
で、これらの重金属を回収する処理を行えば、重金属の
回収率を上げることができる。
【0061】上記沈澱物から重金属を回収する場合、こ
の沈澱物中には多量の夾雑物が含まれているので、図
1、図2の方法によるのは得策ではない。このため、上
記沈澱物をごみ焼却残渣の溶融炉へ投入して溶融処理
し、この際に揮散した重金属を溶融飛灰として捕集し、
この溶融飛灰を図1または図2の方法によって、重金属
を回収する処理を行うのがよい。なお、揮散しなかった
重金属は溶融物中に閉じ込められ、安定化される。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】(実施例2)実施例1で得た重金属濃縮物
4kgに水10kgを加えてスラリーにし、これに20
%硫酸を添加してpH5に調整した。このスラリーを3
0分間攪拌した後、濾過し、残渣a1 (鉛濃縮物)と溶
液b1 に分別した。残渣a1 の含水率は37%であっ
た。この残渣a1 の分析値は表7に、溶液b1 の分析値
は表8に示す。得られた残渣a1 は、表7のように、P
b約44%を含有すると共に、塩素分が0.1%未満に
低下しておりし、鉛の製錬原料として供給しうるもので
あった。
【0066】そして、溶液b1 に20%の水硫化ソーダ
と苛性ソーダを加えてpH9に調整すると共に、30分
間攪拌した後、濾過し、残渣a2 (亜鉛濃縮物)と溶液
2に分別した。残渣a2 の含水率は41%であった。
残渣a2 は、表7のように、Zn含有率が約63%、P
b含有率が0.1%程度のものであると共に、塩素分が
0.1%未満に低下しておりし、亜鉛の製錬原料として
供給しうるものであった。
【0067】溶液b2 は、表8に示すように、有害金属
濃度が排水基準値以下であり、酸を加えてpH7付近に
調整すれば、放流可能のものであった。
【0068】残渣a1 、残渣a2 の分析値と溶融飛灰の
分析値を基に算出した重金属の回収率は、亜鉛が86
%、鉛が96%で、極めて良好な値であった。
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【発明の効果】本発明においては、溶融飛灰に水を加え
て調製したスラリーを固液分離して得た重金属含有残渣
を高温加熱する処理を行うので、ダイオキシン類および
塩素分が除去され、製錬用原料として支障なく使用可能
な重金属濃縮物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により溶融飛灰から亜鉛および鉛を主成
分とする重金属濃縮物を得る方法の一例を示すフローチ
ャートである。
【図2】本発明により溶融飛灰から亜鉛および鉛を主成
分とする重金属濃縮物を得る他の方法を示すフローチャ
ートである。
【図3】本発明により溶融飛灰から得た亜鉛および鉛を
主成分とする重金属濃縮物から亜鉛含有物と鉛含有物を
得るための方法の一例を示すフローチャートである。
【図4】溶融飛灰中の亜鉛の溶出特性を示す図である。
【図5】溶融飛灰中の鉛の溶出特性を示す図である。
【図6】従来技術の処理方法を示すフローチャートであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 品川 拓也 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ごみ焼却残渣を溶融処理した際に捕集さ
    れた飛灰に水を加え、さらに必要に応じてアルカリを加
    えて、スラリーにし、このスラリーを固液分離して可溶
    性塩類が溶出した溶液と重金属を含む残渣とに分け、分
    離された残渣を高温加熱処理し、この処理物を重金属濃
    縮物として回収することを特徴とする溶融飛灰から重金
    属を回収する方法。
  2. 【請求項2】 ごみ焼却残渣を溶融処理した際に捕集さ
    れた飛灰に水を加え、さらに必要に応じてアルカリを加
    えて、スラリーにし、このスラリーを固液分離して可溶
    性塩類が溶出した溶液と重金属を含む残渣とに分け、分
    離された残渣を造粒し、この造粒物を高温加熱処理し、
    この処理物を重金属濃縮物として回収することを特徴と
    する溶融飛灰から重金属を回収する方法。
  3. 【請求項3】 ごみ焼却残渣を溶融処理した際に捕集さ
    れた飛灰に水を加え、さらに必要に応じてアルカリを加
    えてスラリーにし、このスラリーを固液分離して可溶性
    塩類が溶出した溶液と重金属を含む残渣とに分け、分離
    された残渣を高温加熱処理し、この処理物に水を加え、
    さらに硫酸を加えてpH4〜6のスラリーを調製し、こ
    のスラリーを固液分離して亜鉛を主体とする重金属を含
    む溶液と鉛を主体とする重金属を含む残渣とに分けるこ
    とを特徴とする溶融飛灰から重金属を回収する方法。
  4. 【請求項4】 分離された残渣を高温加熱処理した際に
    飛散したダストを捕集し、このダストを、飛灰に水を加
    えてスラリーにする処理段階へ戻すことを特徴とする請
    求項1〜請求項3の何れかに記載の溶融飛灰から重金属
    を回収する方法。
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