JPH10236290A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

車両の制動制御装置

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JPH10236290A
JPH10236290A JP3944797A JP3944797A JPH10236290A JP H10236290 A JPH10236290 A JP H10236290A JP 3944797 A JP3944797 A JP 3944797A JP 3944797 A JP3944797 A JP 3944797A JP H10236290 A JPH10236290 A JP H10236290A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パワーオフ状態でのダウンシフト時において
シフトショックを防止可能な車両の制動制御装置を提供
する。 【解決手段】 車両に搭載された自動変速機と、車両に
制動力を与える制動装置とを有した車両の制動制御装置
において、自動変速機のシフトダウンを予見するシフト
ダウン予見手段(S10)と、シフトダウン予見手段からの
情報に基づき、予見時からシフトダウン完了後所定時間
tcが経過するまでの間、制動装置に自動的に制動力を
付加する制動力付加制御手段(S12、S22)と、シフトダウ
ンの実施中には上記制動力付加制御手段による制動力の
付加量を減少させる付加量制限手段(S18)とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機を備え
た車両の制動制御装置に係り、変速時のシフトショック
を低減可能な制動制御装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】自動車等の車両用の自動変速機で
は、一般にプラネタリギヤによる変速機構が用いられて
おり、油圧式の湿式多板クラッチ等の油圧摩擦係合要素
によりサンギヤやプラネタリキャリヤ等の連結あるいは
固定を行って所望の変速段を得るようにしている。
【0003】このような自動変速機は、変速制御がアク
セル開度と車速とをパラメータとするシフトマップに基
づいて行われる。即ち、運転状態がシフトマップ上のダ
ウンシフトタイミングやアップシフトタイミングとなっ
た時点で変速指令が出力され、この変速指令に応じて解
放側の油圧摩擦係合要素から排出される作動油圧、及び
結合側の油圧摩擦係合要素に供給される作動油圧を制御
してギヤの掴み換えを行っている。
【0004】ところで、このように解放側の油圧摩擦係
合要素と結合側の油圧摩擦係合要素との掴み換えを行う
際、変速前後でギヤ比が異なるために、変速中において
所謂シフトショックが発生する。このシフトショックは
車両の乗員にとっては非常に不快なものであり、極力低
減することが望まれる。そこで、ブレーキ等の制動装置
を利用することにより、変速中において車両に制動力を
与え、これにより出力軸側の回転速度を低下させて安価
にシフトショックを低減するように図った制動制御装置
が特開平8−85373号公報等に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された制動制御は、主として加速走行中のアッ
プシフト時、つまりアクセルペダルを踏込みながらのパ
ワーオンアップシフト時に適用されるものである。従っ
て、上記公報に開示された装置では、例えばアクセルペ
ダルを戻して減速しているような場合にダウンシフトが
実施されたようなとき、即ちパワーオフダウンシフトが
実施されたような場合には有効なものとはなっていな
い。
【0006】つまり、例えば、走行中に運転者がアクセ
ルペダルから足を離して車両を減速しているようなとき
にダウンシフトが実施されたような場合には、低速段側
のギヤ比の方が大きいために急制動に似た減速ショック
が発生するのであるが、このようなショックを回避する
ことができない。このような減速ショックが特に高速走
行中に発生することは極めて不快なことであり、また車
両の走行安定性を悪化させることにもなり好ましいこと
ではない。
【0007】本発明は、上述した事情に基づいてなされ
たもので、その目的とするところは、パワーオフ状態で
のダウンシフト時においてシフトショックを防止可能な
車両の制動制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1の発明は、車両に搭載された自動変速機
と、車両に制動力を与える制動装置とを有した車両の制
動制御装置において、前記自動変速機のシフトダウンを
予見するシフトダウン予見手段と、前記シフトダウン予
見手段からの情報に基づき、前記予見時から前記シフト
ダウン完了後所定時間が経過するまでの間、前記制動装
置に自動的に制動力を付加する制動力付加制御手段と、
前記シフトダウンの実施中には前記制動力付加制御手段
による制動力の付加量を減少させる付加量制限手段とを
備えたことを特徴としている。
【0009】従って、自動変速機のシフトダウンが予見
されると、制動力付加制御手段によって制動力の付加が
行われるが、実際にシフトダウンが実施されているとき
には付加量制限手段によって制動力の付加量が減少させ
られる。これにより、シフトダウン開始前に車両が減速
されるとともに、シフトダウン実施時には、変速前後で
のギヤ比の差に基づく回転速度差によって発生するエン
ジンブレーキの増長が防止され、変速前と変速時の車両
の減速度差が小さく抑えられる。故に、シフトダウン実
施時にエンジンブレーキによって引き起こされるシフト
ショックが大きく低減され、シフトダウン時において乗
員が違和感を感じることが好適に防止される。
【0010】また、請求項2の発明では、前記付加量制
限手段は、前記制動力付加手段による制動力の付加を解
除することを特徴としている。従って、シフトダウン実
施時には、変速前後でのギヤ比の差に基づく回転速度差
によって発生するエンジンブレーキの増長が完全に防止
され、変速前と変速時の車両の減速度差が極めて小さく
抑えられる。故に、シフトダウン時において乗員が違和
感を感じることがより一層好適に防止される。
【0011】また、請求項3の発明では、前記制動力付
加制御手段は、前記予見時から制動力を漸増させるとと
もに、前記シフトダウン完了後漸減させることを特徴と
している。従って、自動変速機のシフトダウンが予見さ
れると、制動力付加制御手段によって制動力が漸増さ
れ、シフトダウン前に車両が急に減速することなく徐々
に減速し、乗員が減速ショックのような違和感を感じる
ことが防止される。また、シフトダウン完了後には制動
力が漸減され、シフトダウン後においても乗員が違和感
を感じることが防止される。
【0012】また、請求項4の発明では、前記車両は、
加速操作を行うアクセルペダルと、該アクセルペダルの
操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段とをさら
に有し、前記制動力付加制御手段は、前記アクセル操作
状態検出手段により前記アクセルペダルが戻し状態であ
ることが検出されているとき制動力を付加することを特
徴としている。
【0013】従って、アクセルペダルが戻し状態、つま
りパワーオフ状態で車両が減速走行しているようなとき
に自動変速機のシフトダウンが予見されると制動力付加
制御が実施されることになり、車両の減速走行時におけ
るシフトショックが低減され、乗員が減速走行時に不快
感を感じることが好適に防止される。また、車両が比較
的高速で走行しているような場合にあっては、シフトシ
ョックが低減されることにより車両の走行安定性が損な
われることもない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態としての一実施例を説明する。図1を参照す
ると、本発明に係る制動制御装置を含む車両(乗用車
等)のパワープラントの概略構成が示されている。同図
に示すように、エンジン1の後端には自動変速機(A/
T)2が接続されており、自動変速機2は出力軸3を介
して駆動輪(図示せず)に接続されている。
【0015】自動変速機2は、主として流体継手である
トルクコンバータ4、変速機本体5、油圧コントローラ
6から構成されている。変速機本体5には、複数組のプ
ラネタリギヤの他、油圧クラッチや油圧ブレーキ等の複
数の油圧摩擦係合要素が内蔵されており、これら複数の
油圧摩擦係合要素の係合の組合せに応じて変速段が決定
される。
【0016】油圧コントローラ6には、一体に形成され
た油圧回路の他、上記複数の油圧摩擦係合要素にそれぞ
れ対応し、当該複数の油圧摩擦係合要素に対して油圧ユ
ニット(図示せず)からの油圧の供給と解放とを行う複
数のソレノイド弁が収納されている。これら油圧コント
ローラ6の複数のソレノイド弁は、電子コントロールユ
ニット(ECU)10に電気的に接続されており、当該
ECU10からの駆動信号に応じて切換制御される。
【0017】なお、これらトルクコンバータ4、変速機
本体5、油圧コントローラ6の構成は公知であり、ここ
では詳細な説明を省略する。ECU10は、図示しない
入出力装置、多数の制御プログラムを内蔵した記憶装置
(不揮発性RAM,ROM等)、中央処理装置(CP
U)、タイマカウンタ等を備えており、その入力側に
は、車速Vを検出する車速センサ12、エンジン1の出
力を調節し車両の加速操作を行うアクセルペダル20の
操作量、即ちアクセル開度θAを検出するアクセル開度
センサ(アクセル操作状態検出手段)22、車両の操舵
を行うハンドル(図示せず)の操作量、即ちハンドル角
θHを検出するハンドル角センサ30、自動変速機2の
現在の変速段を検出する変速段センサ40等が接続され
ている。
【0018】車速センサ12は、例えば上記出力軸3の
回転速度を検出するものであり、ECU10内において
当該出力軸3の回転速度が車両Vに換算される。また、
図1に示すように、車両には、自動変速機2の変速モー
ドを自動変速モード、即ち走行レンジ(Dレンジ)と、
手動変速モード、即ち1速段や2速段のマニュアルレン
ジ(Mレンジ)、パーキングレンジ(Pレンジ)、ニュ
ートラルレンジ(Nレンジ)及び後退レンジ(Rレン
ジ)に切換可能なセレクトレバー7が設けられており、
ECU10の入力側には、セレクトレバー7のセレクト
位置を検出するインヒビタスイッチ8も接続されてい
る。
【0019】また、ECU10の入力側には、上記の
他、道路状況を検出する道路状況検出手段50も接続さ
れている。この道路状況検出手段50は、主として道路
の勾配相関値XRを検出するものである。詳しくは、当
該道路状況検出手段50では、例えばエンジン駆動力、
空力抵抗、転がり抵抗及び加速抵抗に基づき勾配相関値
XRが次式(1)から算出され、この算出値がECU10に
供給される。
【0020】 勾配相関値XR=エンジン駆動力−空力抵抗−転がり抵抗−加速抵抗 …(1) 以下、右辺各項について簡単に説明する。エンジン駆動
力は次式(2)により算出される。 エンジン駆動力=TE・iCON・μ・iT・iF/r …(2) ここに、TEはエンジントルク、iCONはトルクコンバー
タ4のトルク比、μは自動変速機2の伝達効率、iTは
自動変速機2の現在のギヤ比、iFはデファレンシャル
ギヤ(図示せず)のギヤ比(ファイナルギヤ比)、rは
車輪(タイヤ)の動半径である。
【0021】また、空力抵抗は次式(3)により算出され
る。 空力抵抗=ρa・S・Cd・V2/2 …(3) ここに、ρaは空気密度、Sは車両前面投影面積、Cdは
空気抵抗係数、Vは車速である。また、転がり抵抗は次
式(4)により算出される。
【0022】 転がり抵抗=R0+(CF2/CP) …(4) ここに、R0は自由転動時の転がり抵抗、CFはコーナ
リングフォース、CPはコーナリングパワーである。自
由転動時の転がり抵抗R0は次式(5)から算出される。 R0=μr・W …(5) 同式中、μrは転がり抵抗係数であり、Wは車両重量で
ある。
【0023】また、加速抵抗は次式(6)により算出され
る。 加速抵抗=(W+ΔW)・Gx …(6) ここに、Wは上記車両重量、ΔWは回転部分相当重量、
Gxは車両前後方向加速度(前後G)である。この勾配
相関値XRは、値が大きいほど道路勾配の大きな登坂路
であることを示している。
【0024】一方、ECU10の出力側には、上記油圧
コントローラ6の複数のソレノイド弁、車輪に設けられ
たブレーキ装置(例えば、ディスクブレーキ)62に制
動力を付加するブレーキコントロールユニット60が接
続されている。ブレーキコントロールユニット60は、
主として油圧マスタシリンダ(図示せず)、当該油圧マ
スタシリンダを作動させる電動アクチュエータ(図示せ
ず)及び油圧マスタシリンダに高圧油路で接続され、油
圧によりブレーキ装置62を制動作動させるブレーキア
クチュエータ(図示せず)等から構成されており、実際
には、ECU10は上記電動アクチュエータに接続され
ている。従って、ECU10から駆動信号が電動アクチ
ュエータに供給されると、油圧マスタシリンダが自動で
作動して高圧の油圧が発生し、この高圧の油圧によりブ
レーキアクチュエータが作動しブレーキ装置62が制動
力を発生する。なお、油圧マスタシリンダには、通常の
車両と同様に電動アクチュエータのみならずブレーキペ
ダル64も連結されており、これにより当然ながら運転
者の操作によってもブレーキ装置62を制動作動可能と
されている。
【0025】以下、上記のように構成された制動制御装
置の作用を説明する。先ず、自動変速機2が自動変速モ
ード、即ちセレクト位置がDレンジにある場合の変速制
御について簡単に説明する。上記ECU10の記憶装置
には、自動変速時に変速段を選択設定するための目標変
速段設定用のシフトマップ(図示せず)が記憶されてい
る。この目標変速段設定用のシフトマップ上には、車速
Vとアクセル開度θAとに基づいた適正な変速段、即ち
目標変速段が予め設定されている。
【0026】従って、車両走行中、セレクト位置がDレ
ンジであるときには、先ず、車速センサ12により検出
される車速Vとアクセル開度センサ22により検出され
るアクセル開度θAに応じ、上記目標変速段設定用のシ
フトマップから目標変速段が読み出される。そして、こ
のように読み出し設定された目標変速段信号(シフト信
号)が油圧コントローラ6内の対応するソレノイド弁に
供給され、これにより変速機本体5の油圧クラッチや油
圧ブレーキ等のうち該当する油圧摩擦係合要素の掴み換
えが実施され、変速が達成される。
【0027】詳しくは、油圧摩擦係合要素の掴み換えで
は、目標変速段信号が供給されると、先ず解放する側の
油圧摩擦係合要素の係合が解除されて変速機本体5が一
旦略ニュートラル状態とされる。そして、その後、結合
側の油圧摩擦係合要素の係合が実施されることになり、
これにより変速が完了する。なお、略ニュートラル状態
となったときにエンジン1が急に吹き上がったりするこ
とのないよう、油圧摩擦係合要素の掴み換えのタイミン
グは常時学習制御されている。
【0028】さらに、ここでは、自動変速機2の変速
は、上記目標変速段に基づいてのみならず、運転者の意
思に即したファジイ推論に基づく制御によっても実施可
能とされている。ここでは、主として上記道路状況検出
手段50、ハンドル角センサ30からの情報を前件部と
したファジイ推論が行われ、ファジイ推論が成立する場
合には、その後件部に応じた変速制御が実施される。具
体的には、例えば道路状況検出手段50から出力される
上記勾配相関値XRが大きく道路勾配が大で車両が登坂
路を走行或いは走行しようとしていると判定できる場合
には、変速段は上記目標変速段に拘わらず低速段側に変
速制御され、また、ハンドル角センサ30から出力され
るハンドル角θHが大きく車両が屈曲路を走行或いは走
行しようとしていると判定できる場合にも、変速段はや
はり上記目標変速段に拘わらず低速段側に変速制御され
る。
【0029】ところで、上記のように変速が実施される
と、変速の前後でギヤ比iTが変化するため、低速段側
から高速段側への変速(アップシフト)時には、エンジ
ン1側のエンジン回転速度Neに対して出力軸3の回転
速度が速くなり、一方、高速段側から低速段側への変速
(ダウンシフト)時には、エンジン1側のエンジン回転
速度Neに対して出力軸3の回転速度が遅くなる。つま
り、アップシフト時には、エンジン1の出力が一定であ
れば車両は急加速されることになり、ダウンシフト時に
は、エンジン1の出力が一定であれば車両は急減速され
ることになる。
【0030】この場合、アップシフト時に関しては、通
常は運転者がアクセルペダル20を踏込んで加速走行
(パワーオンアップシフト)している場合が多いことか
ら、変速時において運転者がアクセル開度θAを調節す
れば容易にエンジン回転速度Neと出力軸3の回転速度
とを略一致させることができ、乗員が急加速による違和
感をそれほど感じることなく滑らかな走行を継続するこ
とができる。
【0031】しかしながら、一方、登坂路走行の場合の
ようなアクセルペダル20を踏込みながらダウンシフト
を行うキックダウン(パワーオンダウンシフト)以外の
通常のダウンシフト時にあっては、運転者がアクセルペ
ダル20を戻して踏込まずに減速走行(パワーオフダウ
ンシフト)している場合が多い。この場合、車両にはエ
ンジン回転速度Neと出力軸3の回転速度の回転速度差
分のエンジンブレーキが大きく作用し、所謂シフトショ
ックが発生する。このようなエンジンブレーキの作用に
よるシフトショックは、変速段が比較的高速段(例えば
3速段以上)であって変速前と変速後での回転速度差が
大きくなるほど大となる傾向にあり、つまり出力軸3の
回転速度が大きくなるほど、即ち車速Vが大きい場合ほ
どその作用は大きなものとなる。
【0032】そこで、ここでは、このようなパワーオフ
ダウンシフト時におけるシフトショックを低減すること
を目的として、以下に示すような制動力付加制御を実施
するようにしている。図2を参照すると、ECU10が
実行する制動力付加制御ルーチンのフローチャートが示
されており、以下同図を参照して、本発明に係るパワー
オフダウンシフト時の制動力付加制御について説明す
る。なお、ここでは、比較的高速段である4速段から3
速段へのシフトダウンを例に説明する。
【0033】先ずステップS10では、アクセルペダル
20が戻され、アクセル開度センサ22からの出力がな
くパワーオフ状態(アクセルペダル戻し状態)で4速段
から3速段へのシフトダウンが予見されたか否かを判別
する(シフトダウン予見手段)。ここでは、ECU10
内において上記ファジイ推論が成立し、シフトダウンが
実施される見通しがたったときにパワーオフでのシフト
ダウンが予見されたとみなすようにしている。従って、
このステップS10では、ファジイ推論が成立したか否
かを判別する。
【0034】ステップS10の判別結果が真(Yes)
でシフトダウンが予見された場合には、次にステップS
12において、制動力漸増制御を実施する(制動力付加
制御手段)。即ち、このステップS12では、上記ブレ
ーキコントロールユニット60に向けて、徐々にブレー
キ作動信号を供給し、制動力を付加する。つまり、車両
に徐々に減速度aを付加する。このとき、乗員に違和感
を与えることなく滑らかに制動が進行するよう、減速度
aの増加率da/dtが一定になるよう漸増制御するの
が望ましい。なお、この制動力漸増制御に関しては、実
際には別途設けられた制御ルーチンが実施される。
【0035】図3を参照すると、4速段から3速段への
シフトダウン時の変速段、制動力付加量及び減速度aの
時間変化がそれぞれ(a)、(b)、(c)に示されて
いるが、このように、シフトダウンが予見されると、制
動力漸増制御が実施されて(a)に示すように制動力が
付加され、(b)に実線で示すように変化率da/dt
一定にして減速度aが徐々に上昇することになる。
【0036】そして、次のステップS14では、制動力
漸増制御継続信号を出力し、制動力漸増制御を継続実施
する。次のステップS16では、ECU10から4速段
から3速段へのシフトダウン指令が出力されて実際にシ
フトダウンが開始されたか否かを判別する。図3に示す
ように、シフトダウンが予見されると、通常は所定時間
ta経過後にECU10からシフトダウン指令がブレー
キコントロールユニット60に向けて供給される。そし
て、さらに、作動遅れ時間td(例えば、0.6sec)経
過後に実際にシフトダウンが開始される。従って、ここ
では、例えば上記所定時間taと作動遅れ時間tdとが経
過した(t>ta+td)か否かを判別する。
【0037】ステップS16の判別結果が偽(No)
で、所定時間taと作動遅れ時間tdとが未だ経過してお
らず、実際にシフトダウンが開始されていないと判定さ
れる場合には、制動力漸増制御を継続実施する。一方、
ステップS16の判別結果が真(Yes)で、所定時間
taと作動遅れ時間tdとが経過し、実際にシフトダウン
が開始されたと判定された場合には、次にステップS1
8に進む。
【0038】なお、ここでは、例えば上記所定時間ta
と作動遅れ時間tdとが経過した(t>ta+td)か否
かの判別によりシフトダウンが開始されたか否かを判別
するようにしたが、これに限らず、上記変速段センサ4
0からの情報に基づいて判別するようにしてもよい。つ
まり、4速段に対応する信号がオフ状態となった時点で
シフトダウンが開始されたと判定するようにしてもよ
い。
【0039】ステップS18では、制動力減少制御を行
う(付加量制限手段)。即ち、このステップS18で
は、図3(c)に示すように、シフトダウンの開始と同
時に制動力付加を中断する(制動力の付加を解除)。こ
のように、シフトダウンが実際に行われているときに制
動力付加を中断すると、その中断期間に亘って制動によ
る減速度aが略ゼロとされる。
【0040】通常、シフトダウンが実施されると、図3
(b)に示すように、油圧摩擦係合要素の掴み換えが実
施され、上述したようにエンジンブレーキが急に作用し
て減速度aが一時的に急増し減速度a2となる。故に、
このシフトダウン中(例えば、時間tsの間)におい
て、制動力付加を継続実施するとエンジンブレーキによ
る減速度a2に併せて制動力が付加されてしまう。しか
しながら、上記のようにこの変速期間(時間tsの間)
に亘り制動力付加を中断することにより、当該エンジン
ブレーキによる減速度a2を増長させないようにするこ
とが可能となる。この制動力減少制御についても、実際
には別途設けられた制御ルーチンが実施される。
【0041】なお、ここでは、シフトダウン中は制動力
付加を中断し一切制動力を付加しないようにしたが、実
際には、制動力漸増制御時の制動力付加状況等に応じて
制動力を適量減少させるよう制御するのがよい。これに
より、制動力漸増制御により増加されたシフトダウン実
施直前の減速度a1とシフトダウン中にエンジンブレー
キによって引き起こされる上記減速度a2との差Δa
が、従来のように制動力付加を行わなかった場合の減速
度a0(図3中破線で示す)と減速度a2との差Δa’
(例えば、0.1G程度)よりも遥かに小さく抑えられ
る。例えば、図3(b)に示す実験結果によれば、減速
度差Δaは従来の減速度差Δa’に対して約50%小さ
くされ、その値は例えば0.05Gとされている。故
に、シフトダウン中に発生するシフトショックが軽減さ
れ、乗員が違和感を感じることが好適に防止される。
【0042】なお、さらに実験を繰り返した結果、本発
明の制動装置では、シフトダウン中にエンジンブレーキ
によって引き起こされる減速度aのピーク値が当該減速
度a2よりも小さくなることが明らかになってきており
(例えば、0.02G程度減少)、故に本発明の実施効
果は非常に大きいといえる。そして、ステップS20に
おいて、上記変速時間ts(例えば、0.3sec)が経過
したか否か、即ちシフトダウンが完了したか否かを判別
し、判別結果が偽(No)で未だシフトダウンが完了し
ていない場合には、制動力減少制御を継続する。一方、
判別結果が真(Yes)でシフトダウンが完了したと判
定された場合には、次にステップS22に進む。
【0043】ステップS22では、一旦中断していた制
動力付加を再開するとともに、制動力付加を所定時間t
cに亘り徐々に通常の3速段での減速度aまで減少させ
る。つまり制動力漸減制御を実施する(制動力付加制御
手段)。ここに、所定時間tcは任意に設定されればよ
い。これにより、シフトダウン中にエンジンブレーキに
よって引き起こされた減速度a2が急激に低下してしま
うようなことがなくなり、やはり乗員が違和感を感じる
ことが好適に防止される。
【0044】なお、ここでは、図3に示すように、再開
する時点での制動力付加量を中断直前の制動力付加量と
略同一としたが、必ずしも同一にしなくてもよい。ま
た、この制動力漸減制御においても、乗員に違和感を与
えることなく滑らかに制動力が解除されるよう、上記制
動力漸増制御の場合と同様、減速度aの減少率da/d
tが一定になるように制御するのが望ましい。なお、こ
の制動力漸減制御についても、実際には別途設けられた
制御ルーチンが実施される。
【0045】ところで、上記ステップS10の判別結果
が偽(No)で、パワーオフでのシフトダウンが予見さ
れていない場合には、次にステップS30に進む。ステ
ップS30では、シフトダウンの予見なくシフトダウン
指令が出力されたか否かを判別する。判別結果が偽(N
o)で、シフトダウンの予見もシフトダウン指令の出力
もない場合には何もせずに当該ルーチンを抜ける。
【0046】一方、ステップS30の判別結果が真(Y
es)で、シフトダウンの予見なくシフトダウン指令が
出力された場合には、次にステップS32に進み、上記
ステップS12の場合と同様に制動力漸増制御を実施す
る。つまり、上記ファジイ推論が成立せずにシフトダウ
ンが実施される場合であっても、シフトダウンが予見さ
れた場合と同様に制動力漸増制御を実施するのである。
【0047】しかしながら、このようにシフトダウン指
令が出力されてから制動力漸増制御が実施されるように
すると、制動力付加の開始タイミングが遅れることにな
り、シフトダウン実施までに制動力を充分に付加できな
いことになる。そこで、次のステップS34において、
一旦出力されたシフトダウン指令をECU10の内部で
保留する。これにより、制動力漸増制御の開始からシフ
トダウンの実施までに充分な時間を得ることができ、減
速度aを図3中に実線で示す程度に充分増加させること
が可能となる。例えば、シフトダウン指令の保留期間
は、上記所定時間taとするのがよく、このようにすれ
ば、シフトダウンの予見により制動力漸増制御を開始し
た場合と全く同様に制動力が付加され、上記同様の効果
が得られる。
【0048】そして、次のステップS36において時間
taが経過したか否かを判別し、判別結果が偽(No)
の場合には、制動力漸増制御を継続し、一方判別結果が
真(Yes)の場合には次のステップS38において、
上記ステップS34において実施したシフトダウン指令
の保留を解除し、ブレーキコントロールユニット60に
向けてシフトダウン指令を供給する。
【0049】ステップS38においてシフトダウン指令
を供給したら上述のステップS14に進み、やはり制動
力漸増制御を継続する。ところで、この場合には、実際
のシフトダウンの実施タイミングが、シフトダウンの予
見に基づき制動力漸増制御を開始した場合に比べて所定
時間taだけ遅れることになるが、この時間taは極めて
短い時間(ta<1sec)であり、充分実用の範囲内とい
える。
【0050】以上、説明したように、本発明の制動制御
装置によれば、パワーオフダウンシフト時において、シ
フトダウンが予見されてから或いはシフトダウン指令が
出力されてから実際にシフトダウンが実施されるまでの
間(所定時間ta+作動遅れ時間td)徐々に制動力を付
加(漸増)し、実際にシフトダウンが行われている間
(時間ts)制動力付加を減少(上記実施例では制動力
付加を中断)し、さらにシフトダウンが完了した後制動
力付加を再開してこれを徐々に減少(漸減)するように
している。
【0051】従って、図3(b)に示すように、シフト
ダウンの実施時に油圧摩擦係合要素の掴み換えに伴って
減速度aが減速度a2まで急増し、車両にエンジンブレ
ーキが作用するのであるが、シフトダウンの実施前に減
速度aが徐々に増加されて減速度a1とされることにな
り、エンジンブレーキが作用したときの減速度a2と減
速度a1との差Δaが制御無しの場合よりも小さくされ
(約50%減少)、シフトショックが小さく抑えられ
る。故に、乗員が違和感を感じることが好適に防止され
る。
【0052】特に、本実施例のように、車両が比較的高
速で走行している場合にシフトダウンに伴うシフトショ
ックを軽減するようにすれば、車両の走行安定性を損な
うことなく良好なドライバビリティを継続維持すること
ができる。例えば、先行車両との車間距離を一定に保持
する車間距離制御システムを備えた車両では、高速走行
中に自動的に制動が働き、パワーオフ状態で減速してシ
フトダウンされる場合が多いのであるが、このような車
両に本発明の制動制御装置を併せて適用するようにすれ
ば、車両の走行性能をより一層向上させることができ
る。
【0053】なお、上記実施例では、自動変速機2がフ
ァジイ推論に応じて変速制御可能な構成とし、ファジイ
推論の成立に基づいてパワーオフでのシフトダウンの予
見を行うようにしたが、シフトダウンの予見はこれに限
られるものではなく、予見できれば他の方法によっても
よい。また、シフトダウンの予見手段が一切無い場合で
あっても、図2中ステップS30以降のステップを実行
することによって本発明を好適に実施することができ
る。
【0054】また、上記実施例では、4速段から3速段
へのパワーオフダウンシフトについて説明したが、これ
に限られるものではなく、変速段に拘わらずパワーオフ
ダウンシフトが実施される場合には常に上記制動制御を
行うのがよい。
【0055】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
請求項1の車両の制動制御装置によれば、シフトダウン
開始前に車両が減速されるとともに、シフトダウン実施
時には、変速前後でのギヤ比の差に基づく回転速度差に
よって発生するエンジンブレーキの増長が防止され、変
速前と変速時の車両の減速度差を小さく抑えることがで
きる。
【0056】従って、シフトダウン実施時にエンジンブ
レーキによって引き起こされるシフトショックを大きく
低減することができ、シフトダウン時に乗員が感じる違
和感を抑制することができる。また、請求項2の車両の
制動制御装置によれば、シフトダウン実施時には、変速
前後でのギヤ比の差に基づく回転速度差によって発生す
るエンジンブレーキの増長を完全に防止でき、変速前と
変速時の車両の減速度差を極めて小さく抑えられる。従
って、シフトダウン時に乗員が感じる違和感をより一層
好適に抑制することができる。
【0057】また、請求項3の車両の制動制御装置によ
れば、自動変速機のシフトダウンが予見されると、制動
力付加制御手段によって制動力が漸増され、シフトダウ
ン前に車両が急に減速することなく徐々に減速し、乗員
が減速ショックのような違和感を感じないようにでき
る。また、シフトダウン完了後には制動力が漸減され、
シフトダウン後においてもやはり乗員が違和感を感じな
いようにできる。
【0058】また、請求項4の車両の制動制御装置によ
れば、パワーオフ状態で車両が減速走行しているような
ときに自動変速機のシフトダウンが予見されると制動力
付加制御が実施されることになり、故に車両の減速走行
時におけるシフトショックを低減でき、乗員が減速走行
時において感じる不快感を好適に防止できる。また、車
両が比較的高速で走行しているような場合にあっては、
シフトショックの低減による車両の走行安定性の悪化を
好適に防止でき、ドライバビリティを良好に維持するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制動制御装置の概略構成図であ
る。
【図2】パワーオフダウンシフト時の制動力付加制御の
制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図2の制御ルーチンの実行結果に基づくパワー
オフダウンシフト時の変速段、減速度a及び制動力付加
量の時間変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速機 3 出力軸 4 トルクコンバータ 5 変速機本体 6 油圧コントローラ 7 セレクトレバー 8 インヒビタスイッチ 10 電子制御ユニット(ECU) 12 車速センサ 20 アクセルペダル 22 アクセル開度センサ(アクセル操作状態検出手
段) 60 ブレーキコントロールユニット 62 ブレーキ装置 64 ブレーキペダル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載された自動変速機と、車両に
    制動力を与える制動装置とを有した車両の制動制御装置
    において、 前記自動変速機のシフトダウンを予見するシフトダウン
    予見手段と、 前記シフトダウン予見手段からの情報に基づき、前記予
    見時から前記シフトダウン完了後所定時間が経過するま
    での間、前記制動装置に自動的に制動力を付加する制動
    力付加制御手段と、 前記シフトダウンの実施中には前記制動力付加制御手段
    による制動力の付加量を減少させる付加量制限手段と、 を備えたことを特徴とする車両の制動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記付加量制限手段は、前記制動力付加
    手段による制動力の付加を解除することを特徴とする、
    請求項1記載の車両の制動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制動力付加制御手段は、前記予見時
    から制動力を漸増させるとともに、前記シフトダウン完
    了後漸減させることを特徴とする、請求項1または2記
    載の車両の制動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記車両は、加速操作を行うアクセルペ
    ダルと、該アクセルペダルの操作状態を検出するアクセ
    ル操作状態検出手段とをさらに有し、 前記制動力付加制御手段は、前記アクセル操作状態検出
    手段により前記アクセルペダルが戻し状態であることが
    検出されているとき制動力を付加することを特徴とす
    る、請求項1乃至3のいずれか記載の車両の制動制御装
    置。
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