JPH10264384A - インクジェット式記録ヘッド、その製造方法および圧電体素子 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド、その製造方法および圧電体素子

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JPH10264384A
JPH10264384A JP9076248A JP7624897A JPH10264384A JP H10264384 A JPH10264384 A JP H10264384A JP 9076248 A JP9076248 A JP 9076248A JP 7624897 A JP7624897 A JP 7624897A JP H10264384 A JPH10264384 A JP H10264384A
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JP
Japan
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electrode film
upper electrode
piezoelectric layer
piezoelectric
laminated
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Application number
JP9076248A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Hashizume
勉 橋爪
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 白金の還元作用による圧電特性の劣化が少な
い圧電体素子の構造を提供し、もってインクジェット式
記録ヘッドや圧電体素子に対する信頼性を高めることを
目的。 【解決手段】 インクが充填される圧力室基板2の少な
くとも一面に、1以上の圧電体素子4を備えた振動板3
が設けられたインクジェット式記録ヘッドであって、圧
電体素子4は、電圧を印加することにより体積変化を生
ずる圧電体層41に、圧電体層の加水分解による還元作
用を妨げる組成からなる電極膜42、43を積層して構
成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴をノズル
から噴射して記録媒体に印字するオンデマンド方式のイ
ンクジェット式記録ヘッドに係り、特に、電圧印加によ
り体積変化を生ずる圧電体にジルコン酸チタン酸鉛(P
ZT)等を用いた場合に生ずる電極の還元作用を防止す
る発明に関する。
【0002】
【従来の技術】オンデマンド方式のインクジェット式記
録ヘッドとは、振動板上に形成された圧電体素子に電圧
を印加し、体積変化を生じさせ、圧力室の圧力を瞬間的
に高めることにより圧力室内のインク滴を記録媒体に噴
射させるものである。
【0003】従来のインクジェット式記録ヘッドのため
の圧電体素子は、圧電体層にジルコン酸チタン酸鉛(P
ZT)を用い、その上に接触する電極膜に白金(Pt)
を用いていた。ジルコン酸チタン酸鉛は、好適な圧電特
性を示す圧電体材料として知られている。白金は、素材
自体が酸化されにくく、化学的・物理的安定性に富むた
め、微小な圧電体に形成する電極材料として優れてい
た。
【0004】しかしながら、圧電体層を狭持する電極膜
のうち上部電極は、大気中に露出する構造となっている
ため、ジルコン酸チタン酸鉛の圧電体層に大気中の水蒸
気が侵入すると、白金により水分が還元されて水素が発
生し、圧電体層の圧電特性を劣化させる場合があった。
水素の発生により、圧電体層の誘電率が下がり、電圧印
加による体積変化率が劣化するのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記問題に鑑み、白金の還元作用による圧電特性の劣化が
少ない圧電体素子の構造を提供し、もってインクジェッ
ト式記録ヘッドや圧電体素子に対する信頼性を高めるこ
とを目的とする。
【0006】すなわち、本発明の第1の課題は、圧電体
層にジルコン酸チタン酸鉛等を用いた場合に、ジルコン
酸チタン酸鉛等の白金による水分の還元作用が生じない
圧電体素子の電極の組成を提供するものである。
【0007】本発明の第2の課題は、白金を電極材料と
して用いた場合であっても、圧電体層のジルコン酸チタ
ン酸鉛等に水分の還元作用が生じない電極構造を提供す
るものである。
【0008】本発明の第3の課題は、第2の課題を解決
しうる圧電体素子を備えたインクジェット式記録ヘッド
の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、インクが充填される圧力室基板の少なくとも一面
に、1以上の圧電体素子を備えた振動板が設けられたイ
ンクジェット式記録ヘッドであって、圧電体素子は、電
圧を印加することにより体積変化を生ずる圧電体層に、
当該圧電体層の加水分解による還元作用を妨げる組成か
らなる電極膜を積層して構成される。
【0010】請求項2に記載の発明では、電極膜は、圧
電体層側にチタン(Ti)を含む第1上部電極膜が積層
され、当該第1上部電極膜上に白金(Pt)を含む第2
上部電極膜が積層されており、第1上部電極膜の膜厚
は、3nm以上かつ30nm以下である請求項1に記載
のインクジェット式記録ヘッドである。
【0011】請求項3に記載の発明では、圧電体層は、
鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)およびチタン(T
i)を含む酸化物から構成され、電極膜は、金(A
u)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、タング
ステン(W)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(R
u)、酸化イリジウム(IrOx)または酸化ルテニウ
ム(RuOx)のうちいずれかから構成される請求項1
のインクジェット式記録ヘッドである。
【0012】請求項4に記載の発明では、電極膜は、圧
電体層側に積層される第1上部電極膜と、当該第1上部
電極膜上に積層される第2上部電極膜とにより構成さ
れ、第2上部電極膜の組成を金(Au)とした場合には
第1上部電極膜としてクロム(Cr)を積層し、第2上
部電極膜の組成をイリジウム(Ir)とした場合には第
1上部電極膜として酸化イリジウム(IrOx)を積層
する請求項3に記載のインクジェット式記録ヘッドであ
る。
【0013】請求項5に記載の発明は、鉛(Pb)、ジ
ルコニウム(Zr)およびチタン(Ti)を含む酸化物
を組成とする圧電体層が、金(Au)、イリジウム(I
r)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、アルミ
ニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、酸化イリジウム
(IrOx)または酸化ルテニウム(RuOx)のうち
いずれかを組成とする電極膜により狭持された層構造を
備えたことを特徴とする圧電体素子である。
【0014】請求項6に記載の発明では、電極膜は、圧
電体層側に積層される第1上部電極膜と、当該第1上部
電極膜上に積層される第2上部電極膜とにより構成さ
れ、第2上部電極膜の組成を金(Au)とした場合には
第1上部電極膜としてクロム(Cr)を積層し、第2上
部電極膜の組成をイリジウム(Ir)とした場合には第
1上部電極膜として酸化イリジウム(IrOx)を積層
する請求項5に記載の圧電体素子である。
【0015】請求項7に記載の発明は、インクが充填さ
れる圧力室基板の少なくとも一面に、1以上の圧電体素
子を備えた振動板が設けられたインクジェット式記録ヘ
ッドの製造方法であって、振動板上に、下部電極膜を介
して、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)およびチタン
(Ti)を含む酸化物を組成とする圧電体層を形成する
工程と、圧電体層上に第1上部電極膜を形成する工程
と、第1上部電極膜上に第2上部電極膜を形成する工程
と、を備えたことを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドの製造方法である。
【0016】請求項8に記載の発明は、第2上部電極膜
の組成を白金(Pt)とした場合には第1上部電極膜と
してチタン(Ti)を積層し、第2上部電極膜の組成を
金(Au)とした場合には第1上部電極膜としてクロム
(Cr)を積層し、第2上部電極膜の組成をイリジウム
(Ir)とした場合には第1上部電極膜として酸化イリ
ジウム(IrOx)を積層する請求項7に記載のインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の最良の実施の形態
を図面を参照して説明する。
【0018】<実施形態1>本発明の実施形態1は、上
部電極膜を積層することにより、圧電体素子の特性劣化
を防止するものである。
【0019】(構成の説明)図1に示すように、本形態
のインクジェットプリンタ100は、本発明のインクジ
ェットプリンタヘッド101、本体102、およびトレ
イ103等を備えて構成されている。
【0020】図1に示すように、インクジェットプリン
タヘッド101は、用紙105が給紙された際に、同図
の矢印の方向へ駆動され、そのノズル11(図2参照)
から吐出されたインク滴により用紙105上に印字可能
なように構成されている。
【0021】本体102は、トレイ103を備え、その
内部にインクジェットプリンタヘッド101を駆動可能
に配置している。また、図示しないコンピュータから印
字情報が送信されてきた際に、トレイ103から供給さ
れた用紙105上に、インクジェットプリンタヘッド1
01で印字させ、印字後の用紙を排出口104に排紙可
能に構成されている。
【0022】トレイ103は、用紙105を載置する台
であって、給紙時に用紙105を本体102内へ供給可
能に構成されている。
【0023】図2および図3に示すように、本インクジ
ェットプリンタヘッド101は、ノズル板1、圧力室基
板2、振動板3および筐体5を備えて構成されている。
【0024】ノズル板1は、圧力室基板2に貼り合わせ
られる際に、圧力室基板2に複数設けられたキャビティ
(圧力室)21の各々に対応する位置にノズル11が配
置されるよう構成されている。
【0025】圧力室基板2は、キャビティ21、側壁2
2、リザーバ23および供給口24を備えている。キャ
ビティ21は、シリコン等の基板をエッチングすること
により形成され、側壁22は、キャビティ21間を仕切
るよう構成され、リザーバ23は、各キャビティ21に
インク充填時にインクを供給可能な共通の流路として構
成されている。供給口24は、各キャビティ21にイン
クを導入可能に構成されている。
【0026】筐体5は、樹脂または金属により成型さ
れ、ノズル板1および振動板3が貼り付けられた圧力室
基板2を収納可能に構成されている。筐体5には、図示
しないインクタンクからインクが供給され、図3に示す
インクタンク口33を介して圧力室基板2内にインクを
供給可能に構成されている。
【0027】振動板膜3は、図3に示すように、圧力室
基板2の一方の面に貼り合わせ可能な構成で、あるい
は、圧力室基板上に薄膜プロセスによって形成されて構
成されている。圧電体素子4は、振動板3上に所定の形
状で形成されて構成されている。
【0028】振動板膜3および圧電体素子4の層構造
(図3のA−A切断面)は、具体的には図4に示すよう
に、基板20(図5参照)の上に、振動板3として絶縁
膜31および下部電極膜32が積層され、圧電体素子4
として圧電体層41、第1上部電極膜42、および第2
上部電極膜43が積層されて構成されている。
【0029】基板20は、加工が容易なシリコン等によ
り組成される。圧電体素子4が形成される位置に対応す
る基板の反対側はエッチングされ、キャビティ21が形
成されている。基板20は、適度な機械的強度を有し、
圧力室基板として適当な高さを備えるように、例えば2
00μm程度の厚さで構成する。
【0030】絶縁膜31は、導電性のない材料、例え
ば、シリコン基板を熱酸化等して形成された二酸化珪素
により構成され、圧電体層の体積変化により変形し、キ
ャビティ21の内部の圧力を瞬間的に高めることが可能
に構成されている。絶縁膜31は、適当な強度と絶縁性
を維持できるように、例えば1μm程度の厚さで形成す
る。
【0031】下部電極膜32は、圧電体層に電圧を印加
するための上部電極膜40と対になる他方の電極であ
り、導電性を有する材料、例えば、白金(Pt)を50
0nm程度の厚さで成形して構成される。また、白金と
圧電体層41や絶縁膜31との密着性を向上させるため
に、積層構造を備えてもよい。例えば、絶縁膜31の上
に、チタン(Ti)層、酸化チタン層、チタン(Ti)
層、白金(Pt)層およびチタン(Ti)層を順に積層
して構成してもよい。
【0032】圧電体層41は、電圧印加により大きな体
積変化を生ずる材料により構成される。このような材料
として、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、チタン
(Ti)、マグネシウム(Mg)およびニオブ(Nb)
の酸化物、ニッケル(Ni)、またはタングステン
(W)等の圧電性セラミックスが挙げられる。特に、ジ
ルコニウム酸チタン酸鉛(Pb(ZrTi)O3;PZ
T)等が代表的である。圧電体層41は、同一の材料を
複数回塗布し積層して構成することが好ましい。圧電体
層全体の膜厚は、あまりに厚くすると、層全体の厚みが
厚くなり、高い駆動電圧が必要となったり、内部応力に
よる歪みからクラックが入り易くなり、欠陥の原因とな
ったりする。あまりに薄くすると、膜厚を均一にできず
エッチング後に分離された各圧電体素子の特性がばらつ
いたり、製造工数が多くなり、妥当なコストで製造でき
なくなったりする。また、あまりに薄くすると、駆動電
圧に耐えられず、絶縁破壊を起こす問題も生ずる。した
がって、各圧電体層における積層数は、4層乃至36層
が好ましく、特に好適には8層程度であり、圧電体層4
1全体の膜厚を、600nm〜3600nm、特に好適
には800nm〜2000nm程度とすることが好まし
い。
【0033】第1上部電極膜42は、圧電体層41の還
元作用を防止する隔離層として作用させるべく構成され
ている。第1上部電極膜42は、第2上部電極膜43に
どのような材料を用いるかによって定まる。第1上部電
極膜の材料には、以下の性質が要求される。
【0034】a) 圧電体層41に大気中の水分が取り込
まれても、触媒としてこの水分に作用し水素を発生させ
ないような組成であること b) 圧電体層41と第2上部電極膜43との密着性が高
いこと このような要求を満たす材料として、第2上部電極膜に
白金(Pt)を用いた場合には、第1上部電極膜として
チタン(Ti)を用いるのが好ましい。チタンは水(H
2O)を還元させず、白金との密着性が高いからであ
る。第1上部電極膜42の膜厚は、3nm以上であって
30nm以下であることが好ましい。あまりに膜厚が厚
すぎると、チタンが圧電体層の酸素を取り込み、低誘電
体の酸化チタン(TiOx)が形成されてしまう。この
ため、電圧を印加しても圧電体層に印加される実質的な
電圧が低下するので、十分な体積変化を発生させること
ができないという不都合がある。また、あまりに膜厚が
薄すぎると、密着剤の役割を果たすチタンが島状に形成
されて完全に圧電体層を被覆しないため、第2上部電極
材料である白金と圧電体層の間の密着力が低下する。さ
らに、白金が直接に圧電体層に接触する領域が出現する
ため、白金が水分を還元して発生した水素が圧電体層に
侵入し、圧電特性を低下させてしまうという不都合が生
ずる。
【0035】第2上部電極膜43は、本来の電極薄膜と
して作用すべく構成されている。すなわち、第2上部電
極膜43の材料は、良好な導電性材料であって、化学的
・物理的に安定な材料であることが望まれる。このよう
な性質の材料としては、金(Au)や白金(Pt)が好
ましい。第2上部電極膜43の膜厚は、電極膜としての
均一性を保てる程度の厚さ、例えば、膜厚0.1μm程
度とする。
【0036】なお、下部電極膜と圧電体層との間におい
ても、圧電体層に取り込まれた水分の還元作用が生じる
ときは、下部電極と圧電体層との間に、第1上部電極に
対応するような中間層を設ければよい。例えば、下部電
極膜として白金を用いている場合はこの中間層としてチ
タン層を設ける。
【0037】(作用)従来は、上部電極である白金は、
直接圧電体層に接触していた。大気中には水蒸気が存在
するため、空間にさらされる圧電体層の側壁からは、水
蒸気が圧電体層の中に取り込まれる。白金は、水(H2
O)に対し触媒として働き、水を還元し、水素(H2
を発生させる。水素が発生すると、圧電体の誘電率が下
がり、圧電特性が劣化していた。
【0038】本発明では、圧電体層41と第2上部電極
膜43との間に、水の還元作用を及ぼさない材料からな
る第1上部電極膜42を介しているので、圧電体層に水
分が取り込まれても、圧電体の特性を劣化させることが
ない。
【0039】次に、インク滴吐出の原理を説明する。本
発明のインクジェットプリンタヘッドでは、図4の層構
造を備える圧電体素子4において、第2上部電極膜43
と下部電極32との間に駆動電圧が印加可能に接続され
る。第2上部電極膜と下部電極膜との間に電圧が印加さ
れないと、圧電体層には体積変化が生じない。このた
め、電圧が印加されない圧電体素子4が設けられたキャ
ビティ21(図3参照)では、体積変化が起こらず、イ
ンク滴は吐出されない。
【0040】一方、第2上部電極膜と下部電極膜との間
に一定の電圧(例えば15V)が印加されると、圧電体
層に体積変化が生ずる。このため、一定の電圧が印加さ
れた圧電体素子4が設けられたキャビティ21では、圧
電体素子4の体積変化により振動板3が変形し、キャビ
ティ21内の体積を減らす。このため、キャビティ21
内のインクの内圧が瞬間的に高まり、インク滴がノズル
11から吐出される。
【0041】(製造方法の説明)次に、本発明のインク
ジェットプリンタヘッドの製造方法を説明する。
【0042】圧電体層形成工程(図5(a)): まず、
シリコン基板20に振動板膜3となる絶縁膜31と下部
電極膜32を形成する。絶縁膜31は、例えば、110
0℃の炉の中で、乾燥酸素を流して22時間程度熱酸化
させ、約1μmの膜厚の熱酸化膜とすることで形成され
る。あるいは、1100℃の炉の中で、水蒸気を含む酸
素を流して5時間程度熱酸化させ、約1μmの膜厚の熱
酸化膜を形成してもよい。これらの方法により形成され
た絶縁膜は、電気的な絶縁をする他、エッチング処理に
対する保護層となる。
【0043】下部電極膜32としては、例えば、チタン
層を約200nm、酸化チタン層を約200nm、チタ
ン層を約5nm、白金を約500nmおよびチタン層を
約5nmの各膜厚で、直流スパッタ法等を用いて順次積
層して形成する。なお、膜厚約800nmの白金層をス
パッタ法等により形成してもよい。ただし、白金層の下
のチタン層は必要である。
【0044】次いで、圧電体層41を形成する。圧電性
セラミックス材料(例えば、ジルコン酸チタン酸鉛:P
ZT)あるいはそれらの固溶体を主成分とする材料を、
スピンコーディング法で下部電極膜32の上に塗布(形
成)する。層の厚みは、本形態のように8層重ねる場合
には、一層当たり125nm程度の厚さにする。各層の
厚みを均一化するために、スピンコーティングする回転
台の回転速度は、小さい回転速度(例えば500r.p.m
で30秒程度)から始め、次第に大きい回転速度(例え
ば1500r.p.mで30秒程度)に加速され、最後に再
び小さい回転速度(例えば500r.p.mで10秒程度)
となるよう調速する。
【0045】乾燥脱脂工程(同図(b)): 塗布直後の
圧電体層41bはアモルファス状態の圧電体膜前駆体と
いうものであり、結晶化していない。このため、材料の
塗布後、一定温度(例えば180度)で一定時間(例え
ば10分程度)乾燥させる。乾燥後、さらに有機溶媒を
蒸発させるたべく、所定の高温(例えば400度)で一
定時間(30分間)脱脂する。
【0046】複数層を積層する場合は、さらに圧電性セ
ラミックス材料の塗布、乾燥、脱脂をくり返し、所望の
厚さとする。
【0047】所望の厚さに圧電体を積層したら、さらに
セラミックス層の結晶化を促進し、圧電体としての特性
を向上させるために、所定の雰囲気下で熱処理する。例
えば、酸素中において、高速熱処理(RTA:Rapid Th
ermal Annealing)するため、600度で5分間、さら
に725度で1分間加熱する。
【0048】第1上部電極形成工程(同図(c)): 圧
電体層41の上に、第1上部電極膜42を、電子ビーム
蒸着法、スパッタ法等の技術を用いて形成する。第1上
部電極の材料は、第2上部電極膜43に白金を用いる場
合はチタンとする。その膜厚は、3nm以上であって3
0nm以下となるよう調整する。
【0049】第2上部電極形成工程(同図(d)): 第
1上部電極膜42の上に、さらに第2上部電極膜43
を、電子ビーム蒸着法、スパッタ法等の技術を用いて形
成する。第2上部電極の材料は、第1上部電極膜42に
チタンを用いる場合は白金とする。その膜厚は、100
nm程度の厚さとする。
【0050】エッチング工程(同図(e)): 各層を形
成後、振動板膜3上の積層構造を、各キャビティの形状
に合わせた形状になるようマスクし、その周囲をエッチ
ングし、第2上部電極膜、第1上部電極および圧電体層
を取り除く。すなわち、スピンナー法、スプレー法等の
方法を用いて均一な厚さのレジストを塗布し、露光・現
像して、レジストを第2上部電極膜43上に形成する。
これに、通常用いるイオンミリング、あるいはドライエ
ッチング法等を適用して、不要な層構造部分を除去す
る。
【0051】さらに、圧力室基板2の他方の面にキャビ
ティ21を形成する。例えば、異方性エッチング、平行
平板型反応性イオンエッチング等の活性気体を用いた異
方性エッチングを用いて、キャビティ空間のエッチング
を行う。エッチングされずに残された部分が側壁22に
なる。エッチング後の圧力室基板2にノズル板1をエポ
キシ樹脂等を用いて貼り合わせる。このとき、各ノズル
11が圧力室基板2のキャビティ21の各々の空間に配
置されるよう位置合せする。ノズル板1が貼り合わせら
れた圧力室基板2を筐体5に取り付ければ、インクジェ
ットプリンタヘッド101が完成する。
【0052】上記したように、本第1形態によれば、第
2上部電極膜と圧電体層との間に中間層たる第1上部電
極膜を介在させたので、圧電体層に水分が取り込まれて
も、還元作用が働かない。したがって、圧電体素子の圧
電特性を劣化させることがない。
【0053】<実施形態2>本発明の実施形態2は、上
部電極膜の組成を従来の白金と異ならせることにより、
圧電体素子の特性劣化を防止するものである。
【0054】図6に示すように、本実施形態2の圧電体
素子4bは、第1上部電極膜42を設けず、圧電体層4
1上に直接第2上部電極膜43を設けて構成される。
【0055】基板20、振動板3を構成する絶縁膜31
および下部電極32並びに圧電体層41の組成は上記実
施形態1と同様である。ただし、第2上部電極43の組
成は、金(Au)、イリジウム(Ir)、ニッケル(N
i)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、ル
テニウム(Ru)、酸化イリジウム(IrOx)または
酸化ルテニウム(RuOx)のうちいずれかの組成を備
える。
【0056】なお、第2上部電極膜として金を用いる場
合、上記実施形態1の第1上部電極膜に対応する位置
に、クロム(Cr)からなる中間層44(図6に破線で
示す)を形成することは好ましい。また、第2上部電極
膜としてイリジウム(Ir)を用いる場合には、酸化イ
リジウム(IrOx)からなる中間層44を介在させる
ことは好ましい。これら中間層44は、第2上部電極膜
43である金やイリジウムと圧電体層41との密着性を
高める作用を示す。
【0057】上記したように本実施形態2によれば、第
2上部電極膜の組成が圧電体層に取り込まれた水分の還
元作用を及ぼすことがないので、圧電体素子の特性劣化
を防止できる。
【0058】<その他の変形例>なお、本発明は、上記
実施形態によらず、種々に変形が可能である。例えば、
本発明は、インクジェットプリンタヘッドの圧電体素子
を主たる適用対象としたが、本発明により形成される圧
電体層を、二つの電極膜で狭持された圧電体素子として
使用してもよい。すなわち、本発明の下部電極膜32か
ら圧電体層41、第1上部電極膜42および第2上部電
極膜43と積層した積層構造を、適用対象の大きさに合
わせた形状となるように切り出せば、高性能の圧電体素
子が得られる。本発明の圧電体層によれば、圧電特性の
劣化が無いので、高信頼の圧電体素子を提供できる。こ
のような圧電体素子の適用対象としては、圧電加速度
計、圧電結晶子、圧電スピーカ、圧電ピックアップ、圧
電マイクロフォン等が考えられる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、白金の還元作用による
圧電特性の劣化が少ない圧電体素子の構造を提供するこ
とができる。これによって、インクジェット式記録ヘッ
ドや圧電体素子の信頼性を向上させることができる。
【0060】すなわち、本発明によれば、例えば、圧電
体層にジルコン酸チタン酸鉛等を用いた場合に、ジルコ
ン酸チタン酸鉛等の白金による水分の還元作用が生じな
い圧電体素子を提供できる。
【0061】また、本発明によれば、白金を電極材料と
して用いた場合であっても、圧電体層のジルコン酸チタ
ン酸鉛等に水分の還元作用が生じない電極構造を提供で
きる。
【0062】また、本発明によれば、上記効果を奏する
圧電体素子を備えたインクジェット式記録ヘッドの製造
方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットプリンタの全体斜視図
である。
【図2】本発明のインクジェットプリンタヘッドの分解
斜視図である。
【図3】本発明のインクジェットプリンタヘッドの圧力
室基板の斜視図で一部断面図である。
【図4】本発明の圧電体素子の層構造(実施形態1)を
説明する断面図であり、図3のA−A切断面から一つの
圧電体素子を観察したものである。
【図5】本発明のインクジェットプリンタヘッドの製造
方法を説明する製造工程断面図である。
【図6】本発明の他の圧電体素子の層構造(実施形態
2)を説明する断面図であり、図3のA−A切断面から
一つの圧電体素子を観察したものである。
【符号の説明】
1…ノズル板 2…圧力室基板 3…振動板 4…圧電体素子 21…キャビティ 31…絶縁膜 32…下部電極膜 41…圧電体層 42…第1上部電極膜 43…第2上部電極膜 44…中間層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクが充填される圧力室基板の少なく
    とも一面に、1以上の圧電体素子を備えた振動板が設け
    られたインクジェット式記録ヘッドであって、 前記圧電体素子は、電圧を印加することにより体積変化
    を生ずる圧電体層に、当該圧電体層に混入した水分の還
    元作用を妨げる組成からなる電極膜を積層して構成され
    ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記電極膜は、前記圧電体層側にチタン
    (Ti)を含む第1上部電極膜が積層され、当該第1上
    部電極膜上に白金(Pt)を含む第2上部電極膜が積層
    されており、 前記第1上部電極膜の膜厚は、3nm以上かつ30nm
    以下である請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記圧電体層は、鉛(Pb)、ジルコニ
    ウム(Zr)およびチタン(Ti)を含む酸化物から構
    成され、前記電極膜は、金(Au)、イリジウム(I
    r)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、アルミ
    ニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、酸化イリジウム
    (IrOx)または酸化ルテニウム(RuOx)のうち
    いずれかから構成される請求項1のインクジェット式記
    録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記電極膜は、圧電体層側に積層される
    第1上部電極膜と、当該第1上部電極膜上に積層される
    第2上部電極膜とにより構成され、前記第2上部電極膜
    の組成を金(Au)とした場合には前記第1上部電極膜
    としてクロム(Cr)を積層し、前記第2上部電極膜の
    組成をイリジウム(Ir)とした場合には前記第1上部
    電極膜として酸化イリジウム(IrOx)を積層する請
    求項3に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)およ
    びチタン(Ti)を含む酸化物を組成とする圧電体層
    が、金(Au)、イリジウム(Ir)、ニッケル(N
    i)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、ル
    テニウム(Ru)、酸化イリジウム(IrOx)または
    酸化ルテニウム(RuOx)のうちいずれかを組成とす
    る電極膜により狭持された層構造を備えたことを特徴と
    する圧電体素子。
  6. 【請求項6】 前記電極膜は、圧電体層側に積層される
    第1上部電極膜と、当該第1上部電極膜上に積層される
    第2上部電極膜とにより構成され、前記第2上部電極膜
    の組成を金(Au)とした場合には前記第1上部電極膜
    としてクロム(Cr)を積層し、前記第2上部電極膜の
    組成をイリジウム(Ir)とした場合には前記第1上部
    電極膜として酸化イリジウム(IrOx)を積層する請
    求項5に記載の圧電体素子。
  7. 【請求項7】 インクが充填される圧力室基板の少なく
    とも一面に、1以上の圧電体素子を備えた振動板が設け
    られたインクジェット式記録ヘッドの製造方法であっ
    て、 前記振動板上に、下部電極膜を介して、鉛(Pb)、ジ
    ルコニウム(Zr)およびチタン(Ti)を含む酸化物
    を組成とする圧電体層を形成する工程と、 前記圧電体層上に第1上部電極膜を形成する工程と、 前記第1上部電極膜上に第2上部電極膜を形成する工程
    と、を備えたことを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2上部電極膜の組成を白金(P
    t)とした場合には前記第1上部電極膜としてチタン
    (Ti)を積層し、前記第2上部電極膜の組成を金(A
    u)とした場合には前記第1上部電極膜としてクロム
    (Cr)を積層し、前記第2上部電極膜の組成をイリジ
    ウム(Ir)とした場合には前記第1上部電極膜として
    酸化イリジウム(IrOx)を積層する請求項7に記載
    のインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
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