JPH11238920A - 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 - Google Patents

圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法

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JPH11238920A
JPH11238920A JP4005298A JP4005298A JPH11238920A JP H11238920 A JPH11238920 A JP H11238920A JP 4005298 A JP4005298 A JP 4005298A JP 4005298 A JP4005298 A JP 4005298A JP H11238920 A JPH11238920 A JP H11238920A
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宏 邱
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
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    • B41J2/14201Structure of print heads with piezoelectric elements
    • B41J2/14233Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
    • B41J2002/14258Multi layer thin film type piezoelectric element

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼性の高い圧電体素子やインクジェット式
記録ヘッドを製造する。 【解決手段】 電極膜302、410の間に複数の圧電体薄膜
401〜40nを積層して圧電体素子を構成する。この圧電体
素子40は、各圧電体薄膜中には微結晶粒420が散在して
いる。また、各圧電体薄膜における微結晶粒420の面密
度が下部電極膜302に接する圧電体薄膜401から遠い順に
減少する傾向にある。この圧電体素子構成によれば、微
結晶粒が内部応力を緩和するので、圧電体の厚膜化が可
能となり、信頼性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット式
記録ヘッドに用いる圧電体素子に係り、特に厚膜化が可
能で高い信頼性を得ることのできる圧電体素子の製造技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電体素子は、電界を印加することによ
り体積変化を生じたり、圧力を加えると電圧変化を生じ
たりする電気機械変換作用を生ずるものである。圧電体
素子はインクジェット式記録ヘッドの重要な駆動素子で
ある。ペロブスカイト(perovskite)結晶構造を有する
圧電性材料はこの作用を顕著に示すものが多いため、圧
電体素子の材料に用いられている。
【0003】従来、圧電体素子の製造方法は、PZT等
の圧電性材料をゾル−ゲル法で積層し、一層当たり10
0nm程度の圧電体薄膜を複数積層していくものであっ
た。例えば、特開平3−69512号公報には、有機化
合物の水素を金属で置換したアルコキシドを含んだ前駆
物質を、金属カチオンを用いて加水分解し、その水溶液
を基質に塗布して、最後に600℃から700℃程度の
温度でアニールして圧電特性を示す薄膜を成形する手順
が記載されている。このような従来の圧電体素子の製造
方法は、例えば、Communications of the American Cer
amic Society,vol. 79, no. 8, 2189-92 (1996)にも記
載されている。
【0004】インクジェット式記録ヘッドは、インクを
溜めるための圧力室基板の一面を形成する振動板上に前
記圧電体素子を形成して構成されている。このインクジ
ェット式記録ヘッドは、圧電体素子の変形が振動板に伝
達されて圧力室の体積が変形し、圧力室のインクに圧力
が加えられることによってインクを吐出可能に構成され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来の製造方法
で生産される圧電体素子ではまだ十分な信頼性があると
はいえなかった。一般により高い電圧を圧電体素子の電
極膜間に印加するほど圧電体素子の信頼性は損なわれ
る。しかし印加する電圧が低いと圧電体素子の体積変化
が少なく、インクジェット式記録ヘッドに適用した場合
にはインクの吐出量が少なくなってしまう。
【0006】一方圧電体素子を多層積層構造にして厚膜
化すれば圧電体膜内の電界の強さが小さくなるので信頼
性は向上するが、ある程度以上圧電体薄膜を積層すると
内部応力によって製造過程においてクラックが生ずると
いった不都合があった。
【0007】そこで本願発明者は内部応力を緩和するた
めの構造を採用することで圧電体素子の厚膜化を可能と
し、圧電体素子の信頼性を著しく向上することに成功し
た。
【0008】すなわち、本発明の第1の課題は、圧電体
薄膜中に微結晶粒を備えることにより、厚膜化を可能と
し信頼性を向上させることのできる圧電体素子を提供す
ることである。
【0009】本発明の第2の課題は、圧電体薄膜中に微
結晶粒を備えた圧電体素子を備えたことにより、信頼性
を向上させることのできるインクジェット式記録ヘッド
を提供することである。
【0010】本発明の第3の課題は、圧電体薄膜中に微
結晶粒を生じさせることにより厚膜化を可能とする圧電
体素子の製造方法を提供することである。
【0011】本発明の第4の課題は、圧電体薄膜中に微
結晶粒を生じさせた圧電体素子を製造することにより、
信頼性を向上させることのできるインクジェット式記録
ヘッドの製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決す
る発明は、下部電極膜および上部電極膜の間に複数の圧
電体薄膜を積層して構成される圧電体素子において、各
圧電体薄膜中には微結晶粒が散在し、かつ、各圧電体薄
膜における微結晶粒の面密度が下部電極から遠い圧電体
薄膜になる程減少する傾向にあることを特徴とする圧電
体素子である。
【0013】ここで微結晶粒とは直接圧電特性に寄与す
る圧電体薄膜中の柱状結晶と異なる結晶であって柱状結
晶粒よりも小さい結晶粒のことをいう。
【0014】好ましくは、圧電体素子において、微結晶
粒の直径が20nm乃至80nmである。また、圧電体
素子において、下部電極膜に最も近い圧電体薄膜におけ
る微結晶粒の面密度が5×10/cm程度である。
さらに圧電体素子において、圧電体薄膜の積層構造の中
央付近の圧電体薄膜における微結晶粒の面密度が1×1
/cm程度である。さらにまた圧電体素子におい
て、上部電極膜に最も近い圧電体薄膜における微結晶粒
の面密度が1×10/cm程度である。
【0015】上記第2の課題を解決する発明は、圧力室
基板に設けられた圧力室に体積変化を生じさせることに
よって圧力室に設けられたノズルからインクを吐出可能
に構成されたインクジェット式記録ヘッドにおいて、圧
力室に体積変化を生じさせる駆動手段として上記圧電体
素子を備えたインクジェット式記録ヘッドである。
【0016】上記第3の課題を解決する発明は、電気機
械変換作用を示す圧電体素子を製造する圧電体素子の製
造方法であって、圧電性材料に当該圧電性材料に含まれ
る鉛の量に対して70乃至135mol%の高分子有機
化合物を含有させ前駆体を生成する工程と、下部電極膜
上に前駆体を複数回塗布して圧電体薄膜を複数積層する
工程と、積層された圧電体薄膜上に上部電極膜を形成す
る工程と、を備えたことを特徴とする圧電体素子の製造
方法である。
【0017】例えば、圧電体薄膜を複数積層する工程
は、前駆体を所定の厚みに塗布する塗布工程と、塗布さ
れた前駆体を乾燥させ脱脂する乾燥・脱脂工程と、を所
定回繰り返し、さらに積層された前駆体を熱処理して結
晶化させる工程を備える。また、圧電体薄膜を複数積層
する工程は、塗布工程と乾燥・脱脂工程により前駆体を
積層してからさらに熱処理する工程を、さらに複数回繰
り返す。
【0018】なお、圧電体薄膜を複数積層する工程で
は、当該圧電体薄膜を一層当たり40nm以上80nm
以下の厚みで形成することは好ましい。さらに圧電体薄
膜を複数積層する工程では、当該圧電体薄膜を一層当た
り略65nmの厚みで形成することは好ましい。
【0019】例えば、高分子有機化合物としてはポリエ
チレングリコールを使用する。
【0020】上記第4の課題を解決する発明は、圧力室
基板に設けられた圧力室に体積変化を生じさせることに
よって圧力室に設けられたノズルからインクを吐出可能
に構成されたインクジェット式記録ヘッドにおいて、圧
力室基板に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に上記圧
電体素子の製造方法により圧電体素子を形成する工程
と、圧電体素子を圧力室に体積変化を生じさせることが
可能な形状に整形する工程と、圧力室基板に圧力室を形
成する工程と、を備えたことを特徴とするインクジェッ
ト式記録ヘッドの製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の最良の実施形態
を、図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明の
圧電体素子をインクジェット式記録ヘッドに適用したも
のである。
【0022】(インクジェットプリンタの構成)図1
に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドが用いら
れるインクジェットプリンタの斜視図を示す。同図に示
すように、本インクジェットプリンタ100は、本体2
に、本発明に係る圧電体素子を備えたインクジェット式
記録ヘッド1、トレイ3および排出口4等を備えて構成
されている。トレイ3は、用紙5を載置可能に構成され
る。インクジェット式記録ヘッド1は、図示しない内部
移送機構により、用紙5の幅方向(矢印方向)に移送自
在に構成されている。
【0023】この構成において、コンピュータ等から印
字用データがこのインクジェットプリンタ100に供給
されると、図示しない内部ローラが用紙5を本体2に取
り入れる。用紙5は、ローラの近傍を通過するとき、同
図矢印方向に駆動されるインクジェット式記録ヘッド1
により印字され、排出口4から排出される。
【0024】図2に、本実施形態のインクジェット式記
録ヘッドの構造を説明する斜視図を示す。同図に示すよ
うに、インクジェット式記録ヘッド1は、ノズル11の
設けられたノズル板10、および振動板30の設けられ
た圧力室基板20を、筐体25に嵌め込んで構成され
る。圧力室基板20は、キャビティ(圧力室)21、側
壁22およびリザーバ23等が形成されている。
【0025】なお、本実施形態では、インクを溜めるリ
ザーバが流路基板に設けられているが、ノズル板を多層
構造にし、その内部にリザーバを設けるものでもよい。
【0026】(インクジェット式記録ヘッドの構成)図
3に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの一部
拡大斜視図を示す。一部は断面図になっている。この図
は、図2に示すインクジェット式記録ヘッドの構造のう
ち、圧力室基板20および振動板30の部分を反対側か
ら拡大して見た図に相当する。同図に示すように、本イ
ンクジェット式記録ヘッド1の主要部は、ノズル板1
0、圧力室基板20、振動板30および圧電体素子40
を備えて構成されている。
【0027】ノズル板10は、圧力室基板20に複数設
けられたキャビティ21の各々に対応する位置にそのノ
ズル11が配置されるよう、圧力室基板20に貼り合わ
せられて構成されている。
【0028】圧力室基板20は、キャビティ21、側壁
22、リザーバ23および供給口24を備えている。圧
力室基板20のキャビティ21は、シリコン等の基板を
エッチングすることにより複数形成されるものであり、
個々のキャビティにはインクが充填可能に形成される。
側壁22は、エッチングされずに残った部分であり、キ
ャビティ21間を仕切るよう構成される。リザーバ23
は、各キャビティ21にインクを供給可能な共通の流路
として構成されている。供給口24は、各キャビティ2
1にインクを導入可能に構成されている。
【0029】振動板30は、圧力室基板20の一方の面
に設けられている。振動板30の一部には、インクタン
ク口31が設けられており、筐体25を介して、図示し
ないインクタンクからのインクをリザーバ23に供給可
能な構成になっている。
【0030】圧電体素子40は、本発明に係る部材であ
り、振動板30上を変形させることによりキャビティ2
1に圧力を印加可能な位置に所定の形状で形成されてい
る。
【0031】(圧電体素子の層構造)図4に、振動板3
0および圧電体素子40の層構造を断面図で示す。同図
に示すように、振動板30が絶縁膜301および下部電
極膜302を積層して構成され、圧電体素子40が複数
の圧電体薄膜401〜40n(nは2以上の自然数)、
さらに上部電極膜410を積層して構成されている。
【0032】絶縁膜301は、導電性のない材料、例え
ば、シリコン基板を熱酸化等して形成された二酸化珪素
により構成され、圧電体素子の体積変化により変形し、
キャビティ21の内部の圧力を瞬間的に高めることが可
能に構成されている。
【0033】下部電極膜302は、上部電極膜410と
対になる、圧電体薄膜に電圧を印加するための電極であ
り、導電性を有する複数の材料、例えば、白金(Pt)
層で構成されている。下部電極膜302は、同図に示す
ように熱酸化膜301の総ての領域に重ねて形成して
も、圧電体素子40の下部領域のみに形成してもよい。
また、圧電体素子40の下部における厚みとその他の領
域における厚みとを異ならせて形成してもよい。
【0034】上部電極膜410は、圧電体素子に電圧を
印加するための電極であり、導電性を有する材料、例え
ば厚み0.1μmの白金(Pt)で形成されている。
【0035】圧電体薄膜401〜40nは、圧電特性を
有する圧電性材料に高分子有機化合物を混合した前駆体
を結晶化させて構成されている。例えば、チタン酸鉛
(PbTiO)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Z
r、Ti)O:PZT)、ジルコン酸鉛(PbZrO
)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)Ti
)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,L
a)(Zr、Ti)O):PLZT)またはマグネシ
ウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr
0.56Ti0.44(Mg1/3
2/30.1)等で構成される。
【0036】圧電体薄膜401〜40nは、高分子有機
化合物が作用して各層に微結晶粒420を備えている。
微結晶粒の直径は20nm乃至80nm程度である。各
圧電体薄膜に含まれる微結晶粒は下部電極膜に近い圧電
体薄膜ほど面密度が高く上部電極膜に近いほど面密度が
低くなる傾向にある。例えば圧電体薄膜が4層で構成さ
れている場合(401〜404)、下部電極膜302に
最も近い圧電体薄膜401における微結晶粒の面密度は
5×10/cm程度となる。また中央付近の圧電体
薄膜402または403における微結晶粒の面密度は1
×10/cm程度となる。また上部電極膜410に
最も近い圧電体薄膜404における微結晶粒の面密度は
1×10/cm程度となる。なお、この面密度の変
化は必ずしも厳密なものではなく全体として上記した傾
向を備えるという意味である。
【0037】圧電体薄膜の厚みは、圧電体薄膜一層当た
り40nm以上80nm以下程度であることが好まし
く、さらに圧電体薄膜一層当たり略65nmの厚みであ
ることが好ましい。これらの厚みであればクラック等の
発生なく多数層を積層して最も厚い圧電体素子を形成で
きるからである(図8参照)。
【0038】さらに圧電体薄膜は従来より多く積層する
ことが可能である。最大1.6μm〜2.0μmまで積
層させることが可能である。余りに厚く積層すると高い
駆動電圧が必要となり、あまりに薄くすると駆動電圧を
印加する際、PZT膜内に高電場が生じ、膜の特性が低
下したり、膜が絶縁破壊したりして信頼性を損ねるから
である。
【0039】(作用)図7を参照して微結晶粒ができる
理由を考察する。一般にPZT等の圧電性材料を含んだ
前駆体を熱処理すると、アモルファス状態であった分子
構造からペロブスカイト結晶構造の緻密な結晶構造が発
達する。結晶が発達する方向は下から上に向かってであ
る。すなわち図7において下部電極と接している下層で
は、下部電極の結晶構造が前駆体へ伝達され、界面から
一定の速度V2で結晶粒が成長していく。複数の点から
結晶粒が成長して結晶粒同士が接触すると柱状構造の結
晶粒が成長していくのである。一方、アモルファス層内
にも一定の速度v1で成長する結晶粒が存在する。
【0040】本発明の高分子有機化合物を含んだ前駆体
では、熱処理が加えられると、下部電極の白金等の影響
が多いほど、すなわち下部電極に近い層ほど、層内にお
ける結晶粒が成長する速度V1が大きい傾向がある。よ
って下部電極に近い圧電体薄膜では層内からの結晶の成
長速度V1が界面からの結晶の成長速度V2に比べ相対
的に大きいので多数の微結晶粒が結晶後に残留する。一
方下部電極から遠いほど層内から結晶粒が成長する速度
V1が相対的に小さい。相対的に圧電体薄膜の境界から
結晶粒が成長する速度V2のほ方が大きくなると、層内
からの微結晶粒が圧電体薄膜の境界から成長した結晶粒
に飲み込まれて消滅する場合が多くなる。よって下部電
極から遠い圧電体薄膜では層内から成長した結晶が界面
から成長した柱状の結晶に飲み込まれ消滅し結晶後に相
対的に少ない微結晶粒しか残留しなくなる。上記作用ゆ
えに下部電極膜302に近い圧電体薄膜ほど微結晶粒4
20が多く残留する傾向が生ずるのである。
【0041】さて圧電体素子の製造時、圧電体薄膜には
結晶の成長に伴って複雑な内部応力が生ずる。圧電体薄
膜内部に生じた内部応力は結晶構造上弱い点から破壊
(クラック)を生ずる。圧電体薄膜を厚くすればするほ
ど内部応力が大きく加算される。このため余りに厚く形
成した圧電体素子では、熱処理の過程でクラックが生ず
るのである。従来はこのクラック発生があるため、ある
程度以上(例えば1.0μm以上)圧電体素子を厚くす
ることができなかった。
【0042】本発明によれば、微結晶粒420が各部に
存在するため、圧電体薄膜内に多くの粒界が存在する。
これらの粒界によって圧電体薄膜内部に生じた内部応力
を緩和する。すなわち微結晶粒420が結晶構造に生じ
た内部応力を緩和しているのである。一方微結晶粒42
0はそれ自体圧電性材料の結晶であるため圧電体素子全
体の圧電特性を阻害することはない。したがって本発明
の圧電体素子によれば、圧電特性を阻害することなく応
力集中による破壊(クラック)を防止できるのである。
【0043】本実施形態のインクジェット式記録ヘッド
では、この信頼性の高い圧電体素子を備える。このイン
クジェット式記録ヘッドの動作原理を説明する。圧電体
素子40の下部電極302と上部電極410との間に電
圧が印加されていない場合、圧電特性を示す圧電体薄膜
401〜40nには、体積変化を生じさせない。したが
って、電圧が印加されない圧電体素子40に対応して形
成されたキャビティ21に圧力に変化が生じず、ノズル
11からインク滴は吐出されない。
【0044】一方、圧電体素子40の下部電極302と
上部電極410との間に、圧電体素子40に体積変化を
生じさせる電圧が印加されている場合、圧電体薄膜40
1〜40nは体積変化を生じる。したがって、電圧が印
加されている圧電体素子40が取り付けられた振動板3
0が大きくたわみ、そのキャビティ21内の体積を変化
させる。このためキャビティ21内の圧力が変化し、ノ
ズル11からインク滴が吐出される。本発明によれば、
圧電体素子の信頼性が高いためインクジェット式記録ヘ
ッド全体の信頼性も高い。
【0045】(製造方法の説明)次に、本発明のインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法を説明する。
【0046】絶縁膜形成工程(図5(a)): まず、
圧力室基板20の基礎となるシリコン基板201に絶縁
膜301、例えば二酸化ケイ素の膜を形成する。シリコ
ン基板201は、例えば200μm程度、絶縁膜301
は、1μm程度の厚みに形成する。絶縁膜の製造には公
知の熱酸化法等を用いる。
【0047】下部電極膜形成工程(同図(b)): 次い
で絶縁膜301の上に下部電極膜302を形成する。下
部電極膜302は、例えば白金層を0.5μmの厚みで
積層する。これら層の製造は公知の直流スパッタ法等を
用いる。
【0048】塗布・乾燥・脱脂工程(同図(c)):
次いで圧電体薄膜401〜40nを形成する。まずPZ
T等の圧電性材料の前駆体に高分子有機化合物を混入さ
せて溶解液を生成する。高分子有機化合物としては、例
えばポリエチレングリコール等を混入する。高分子有機
化合物の含有量は、圧電性材料の前駆体に含まれる鉛の
量に対して70乃至135mol%程度含有させる。こ
の程度の含有量が最も効率よく微結晶粒を成長させるこ
とができるからである。
【0049】次いで高分子物質を混入した溶解液を、下
電極膜302上に一定の厚みに塗布する。この厚みは前
述したとおりである。例えば公知のスピンコート法を用
いる。一回のコーティングは、毎分500回転で30
秒、毎分1500回転で30秒、最後に毎分500回転
で10秒程度行う。塗布後、一定温度(例えば180
度)で一定時間(例えば10分程度)乾燥させる。乾燥
により溶媒が蒸発する。乾燥後、さらに大気雰囲気下に
おいて所定の高温(例えば400度)で一定時間(30
分間)脱脂する。脱脂により金属に配位している有機の
配位子が熱分解され、金属が酸化されて金属酸化物とな
る。
【0050】上記塗布→乾燥→脱脂の各工程を所定回
数、例えば4回繰り返して4層積層する。これらの乾燥
や脱脂により、溶液中の金属アルコキシドが加水分解や
重縮合され金属−酸素−金属のネットワークが形成され
る。
【0051】熱処理工程(同図(d)): 4層重ねる
ごとに、さらに圧電体層の結晶化を促進し圧電体として
の特性を向上させるために所定の雰囲気下で熱処理す
る。例えば、4層積層後、酸素雰囲気下において、高速
熱処理(RAT)で、600度で5分間、さらに900
度で1分間加熱する。この熱処理によりアモルファス状
態のゲルからペロブスカイト結晶構造が形成される。こ
の結晶化の際に、上記したような微結晶粒も上記した分
布にしたがって残留することになる。
【0052】上記塗布・乾燥・脱脂を4回繰り返して熱
処理を1回行うという一連の工程をさらに所定回数、例
えば4回繰り返すことになり圧電体薄膜401〜40n
が形成される。
【0053】上部電極形成工程(同図(e)): 圧電体
薄膜の上に、さらに電子ビーム蒸着法、スパッタ法等の
技術を用いて、上部電極膜410を形成する。上部電極
の材料は、白金(Pt)等を用いる。厚みは100nm
程度にする。
【0054】エッチング工程(図6(a)): 各層を形
成後、振動板膜30(絶縁膜301および下部電極膜3
02)上の積層構造(401〜40nおよび410)
を、各キャビティ21の形状に合わせた形状になるよう
マスクし、その周囲をエッチングする。エッチングする
際、スピンナー法、スプレー法等の方法を用いて均一な
厚さのレジストを塗布し、露光・現像して、レジストを
上部電極膜410上に形成する。これに、通常用いるイ
オンミリング、あるいはドライエッチング法等を適用し
て、不要な層構造部分を除去する。エッチングで不要部
分を取り除くことによって、圧電体素子40が形成され
る。
【0055】圧力室形成工程(同図(b)): 圧電体
素子40を形成した圧力室基板20の他方の面をエッチ
ングしてキャビティ21を形成する。例えば、異方性エ
ッチング、平行平板型反応性イオンエッチング等の活性
気体を用いた異方性エッチングを用いて、キャビティ2
1空間のエッチングを行う。エッチングされずに残され
た部分が側壁22になる。エッチングでキャビティ等を
形成したものが、圧力室基板20である。
【0056】貼り合わせ工程(同図(c)): エッチ
ング後の圧力室基板20にノズル板10を、樹脂等を用
いて貼り合わせる。このとき、各ノズル11がキャビテ
ィ21各々の空間に配置されるよう位置合せする。ノズ
ル板10の貼り合わせられた圧力室基板20を筐体25
に取り付ければ(図2参照)、インクジェット式記録ヘ
ッド101が完成する。なお、ノズル板を貼り合わせる
代わりに、ノズルと圧力室基板を一体的にエッチングし
て形成してもよい。
【0057】(実施例)上記実施形態の製造方法に沿っ
て製造した圧電体素子の実施例を示す。圧電体層を構成
する圧電性材料には、 Pb(Zr0.56Ti0.440.9(Mg1/3
Nb2/30.1 を用いた。
【0058】表1に、上記本発明の製造方法によって製
造したインクジェット式記録ヘッドの実施例と、従来の
製造方法によって製造したインクジェット式記録ヘッド
の比較例との比較結果を示す。比較項目は、圧電体素子
の圧電特性を決定する圧電d定数、圧電g定数および誘
電率εと、信頼性、クラックを生ずることなく形成可能
な圧電体素子の最大の厚みである。なお、圧電d定数お
よび圧電g定数の添え字31は、圧電体素子の厚み方向
についての定数であることを示す。信頼性は障害を発生
することなく使用できた回数等を相対値で示した。比較
例は通常の前駆体を用い、熱処理を600度で5分間、
900で1分間行ったものである。
【0059】
【表1】
【0060】表1から判るように、圧電特性は変わらな
いまま、圧電体素子の厚みを2倍以上にし、信頼性を3
倍にすることができた。
【0061】図8に、圧電体薄膜一層当たりの膜厚と全
体としてクラックを生ずることなく積層可能であった圧
電体素子の膜厚の最大値との関係を示す。同図に示すよ
うに、一層当たりの膜厚を一定の範囲に抑えて多層積層
にすれば全体としての膜厚を厚くすることができる。
【0062】図9に、上記実施例における圧電体薄膜と
下部電極膜との界面付近の断面TEM(Transmission E
lectron Microscopy)写真の模写図を示す。同図に示す
ように、微結晶粒が残留していることがはっきりと確認
できる。また下部電極膜から離れるほど微結晶粒の個数
が減少していく傾向が現れている。
【0063】上記したように本実施形態によれば、圧電
性材料に高分子有機化合物を混合すること及び圧電体薄
膜一層当たりの厚みを制御することにより微結晶粒を生
じさせることができる。微結晶粒が内部応力を緩和する
ので、積層数を多くして圧電体素子の厚みを厚く形成す
ることができる。圧電体素子を厚くしたので、圧電体薄
膜にかかる電界の強さを抑えることができ圧電体素子や
インクジェット式記録ヘッドの信頼性を向上させること
ができる。
【0064】<その他の変形例>本発明は、上記各実施
形態によらず種々に変形して適応することが可能であ
る。例えば、上記実施形態では、ゾル−ゲル法を用いて
圧電体層を形成したが、それ以外の方法、例えばスパッ
タリング法を用いて圧電体層を形成してもよい。
【0065】また、上記実施形態では、単一の圧電性材
料により圧電体層を形成したが、層ごとに異なる圧電性
材料を用いてもよい。異なる圧電性材料を用いる場合に
も、高分子有機化合物を混ぜることおよび圧電体薄膜一
層当たりの厚みを制御することにより微結晶粒を成長さ
せることができる。
【0066】また、本発明の圧電体素子は、上記インク
ジェット式記録ヘッドに使用する圧電体素子のみなら
ず、不揮発性半導体記憶装置、薄膜コンデンサ、パイロ
電気検出器、センサ、表面弾性波光学導波管、光学記憶
装置、空間光変調器、ダイオードレーザ用周波数二倍器
等のような圧電体装置、誘電体装置、パイロ電気装置、
および電気光学装置の製造に適応することができる。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、圧電体薄膜中に微結晶
粒を備えたので、厚膜化を可能とし信頼性を向上させる
ことのできる圧電体素子を提供できる。
【0068】本発明によれば、圧電体薄膜中に微結晶粒
を備えた圧電体素子を備えたので、信頼性を向上させる
ことのできるインクジェット式記録ヘッドを提供でき
る。
【0069】本発明によれば、圧電体薄膜中に微結晶粒
を生じさせる工程を備えたので、厚膜化を可能とする圧
電体素子の製造方法を提供できる。
【0070】本発明によれば、圧電体薄膜中に微結晶粒
を生じさせた圧電体素子を製造するので、信頼性を向上
させることのできるインクジェット式記録ヘッドの製造
方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のインクジェットプリンタの構造を説
明する斜視図である。
【図2】実施形態のインクジェット式記録ヘッドの構造
を説明する斜視図である。
【図3】実施形態のインクジェット式記録ヘッドの斜視
図一部断面図である。
【図4】本発明のインクジェット式記録ヘッドの積層構
造を説明する断面図である。
【図5】本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造方
法を説明する製造工程断面図である。(a)は絶縁膜形
成工程、(b)は下部電極膜形成工程、(c)は圧電体
薄膜形成工程、(d)は熱処理工程および(e)は上部
電極膜形成工程である。
【図6】本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造方
法を説明する製造工程断面図である。(a)は圧電体素
子形成工程、(b)は圧力室形成工程、および(c)は
貼り合わせ工程である。
【図7】微結晶粒成長の原理を説明する図である。
【図8】圧電体薄膜一層当たりのの膜厚とクラックが発
生しない全体膜厚との関係図である。
【図9】圧電体薄膜の断面TEM(Transmission Elect
ron Microscopy)写真である。
【符号の説明】
10…ノズル板 11…ノズル 20…圧力室基板 21…キャビティ 22…側壁 23…リザーバ 201…シリコン基板 30…振動板 301…絶縁膜 302…下部電極膜 40…圧電体素子 401−40n…圧電体薄膜 410…上部電極膜 420…微結晶粒

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極膜および上部電極膜の間に複数
    の圧電体薄膜を積層して構成される圧電体素子におい
    て、 各前記圧電体薄膜中には微結晶粒が散在し、かつ、各前
    記圧電体薄膜における前記微結晶粒の面密度が前記下部
    電極膜から遠い圧電体薄膜ほど減少する傾向にあること
    を特徴とする圧電体素子。
  2. 【請求項2】 前記圧電体素子において、前記微結晶粒
    の直径が20nm乃至80nmである請求項1に記載の
    圧電体素子。
  3. 【請求項3】 前記圧電体素子において、前記下部電極
    膜に最も近い圧電体薄膜における微結晶粒の面密度が5
    ×10/cm程度である請求項1に記載の圧電体素
    子。
  4. 【請求項4】 前記圧電体素子において、圧電体薄膜の
    積層構造の中央付近の圧電体薄膜における微結晶粒の面
    密度が1×10/cm程度である請求項1に記載の
    圧電体素子。
  5. 【請求項5】 前記圧電体素子において、前記上部電極
    膜に最も近い圧電体薄膜における微結晶粒の面密度が1
    ×10/cm程度である請求項1に記載の圧電体素
    子。
  6. 【請求項6】 圧力室基板に設けられた圧力室に体積変
    化を生じさせることによって前記圧力室に設けられたノ
    ズルからインクを吐出可能に構成されたインクジェット
    式記録ヘッドにおいて、 前記圧力室に体積変化を生じさせる駆動手段として請求
    項1乃至請求項5に記載された圧電体素子を備えたイン
    クジェット式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 電気機械変換作用を示す圧電体素子を製
    造する圧電体素子の製造方法であって、 圧電性材料に当該圧電性材料に含まれる鉛の量に対して
    70乃至135mol%の高分子有機化合物を含有させ
    前駆体を生成する工程と、 下部電極膜上に前記前駆体を複数回塗布して圧電体薄膜
    を複数積層する工程と、 積層された前記圧電体薄膜上に上部電極膜を形成する工
    程と、を備えたことを特徴とする圧電体素子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記圧電体薄膜を複数積層する工程は、
    前記前駆体を所定の厚みに塗布する塗布工程と、塗布さ
    れた前記前駆体を乾燥させ脱脂する乾燥・脱脂工程と、
    を所定回繰り返し、さらに積層された前記前駆体を熱処
    理して結晶化させる工程を備える請求項7に記載の圧電
    体素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記圧電体薄膜を複数積層する工程は、
    前記塗布工程と前記乾燥・脱脂工程により前記前駆体を
    積層してからさらに熱処理する工程を、さらに複数回繰
    り返す請求項8に記載の圧電体素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記圧電体薄膜を複数積層する工程で
    は、当該圧電体薄膜を一層当たり40nm以上80nm
    以下の厚みで形成する請求項7乃至請求項9のいずれか
    一項に記載の圧電体素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記圧電体薄膜を複数積層する工程で
    は、当該圧電体薄膜を一層当たり略65nmの厚みで形
    成する請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の圧
    電体素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記高分子有機化合物としてポリエチ
    レングリコールを使用する請求項7に記載の圧電体素子
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 圧力室基板に設けられた圧力室に体積
    変化を生じさせることによって前記圧力室に設けられた
    ノズルからインクを吐出可能に構成されたインクジェッ
    ト式記録ヘッドにおいて、 前記圧力室基板に絶縁膜を形成する工程と、 前記絶縁膜上に請求項7乃至請求項12のいずれか一の
    圧電体素子の製造方法により圧電体素子を形成する工程
    と、 前記圧電体素子を前記圧力室に体積変化を生じさせるこ
    とが可能な形状に整形する工程と、 前記圧力室基板に前記圧力室を形成する工程と、を備え
    たことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造
    方法。
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