JPH10265827A - クロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法および該スラグに含有される金属成分の回収利用方法 - Google Patents
クロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法および該スラグに含有される金属成分の回収利用方法Info
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- JPH10265827A JPH10265827A JP7174797A JP7174797A JPH10265827A JP H10265827 A JPH10265827 A JP H10265827A JP 7174797 A JP7174797 A JP 7174797A JP 7174797 A JP7174797 A JP 7174797A JP H10265827 A JPH10265827 A JP H10265827A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 クロム含有鋼精錬スラグの経済的かつ環境汚
染のない再生利用方法について提案する。 【解決手段】 精錬炉内に装入したクロム含有溶湯に、
酸素を供給して行う酸化精錬に伴って発生するスラグ
に、還元処理を施してスラグ中の(T・Cr) 濃度を0.3 〜
3.0wt%に調整し、次いで該スラグを冷却してから、直
接または焼結後に高炉へ添加し、高炉にてスラグ中のCr
およびFe分を溶鉄内に還元回収する一方、高炉からの改
質スラグは土木、建築用途に再利用する。
染のない再生利用方法について提案する。 【解決手段】 精錬炉内に装入したクロム含有溶湯に、
酸素を供給して行う酸化精錬に伴って発生するスラグ
に、還元処理を施してスラグ中の(T・Cr) 濃度を0.3 〜
3.0wt%に調整し、次いで該スラグを冷却してから、直
接または焼結後に高炉へ添加し、高炉にてスラグ中のCr
およびFe分を溶鉄内に還元回収する一方、高炉からの改
質スラグは土木、建築用途に再利用する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、転炉、AOD炉
またはVOD炉等の精錬炉にてクロム含有鋼を精錬する
際に発生するスラグを、環境に悪影響を与えることな
く、かつ安価に再生利用する方法および該スラグ中の金
属成分を回収利用する方法に関する。
またはVOD炉等の精錬炉にてクロム含有鋼を精錬する
際に発生するスラグを、環境に悪影響を与えることな
く、かつ安価に再生利用する方法および該スラグ中の金
属成分を回収利用する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、クロム含有鋼、例えばステンレス
鋼は、電気炉にてスクラップを主たる原料としてクロム
含有溶湯を溶製し、その後AOD炉あるいはVOD炉を
用いて、クロム酸化ロスを最小限とする酸化精錬を施し
て製造するのが一般的である。また、近年になって、高
炉からの溶銑と合金鉄を用いて、上底吹き転炉にて酸化
精錬を行う技術、あるいは合金鉄を用いずに直接クロム
鉱石を上底吹き転炉内に添加し、溶融還元を行って得た
粗溶湯を、別の上底吹き転炉に装入し、ここで酸化精錬
を行う技術など、種々のステンレス鋼の製造技術が提案
されている。
鋼は、電気炉にてスクラップを主たる原料としてクロム
含有溶湯を溶製し、その後AOD炉あるいはVOD炉を
用いて、クロム酸化ロスを最小限とする酸化精錬を施し
て製造するのが一般的である。また、近年になって、高
炉からの溶銑と合金鉄を用いて、上底吹き転炉にて酸化
精錬を行う技術、あるいは合金鉄を用いずに直接クロム
鉱石を上底吹き転炉内に添加し、溶融還元を行って得た
粗溶湯を、別の上底吹き転炉に装入し、ここで酸化精錬
を行う技術など、種々のステンレス鋼の製造技術が提案
されている。
【0003】これらのステンレス鋼の製造プロセスで
は、精錬炉において脱炭反応と同時に進行するクロムの
酸化反応により、スラグ中に高価なクロムが移行するこ
とが共通の問題であり、このスラグ中の(T,Cr) で代
表される、酸化クロム量をどこまで低減できるかが経済
的に極めて重要になる。ここで、酸化クロムとはクロム
が酸化され、2価、3価あるいは6価の個数になった状
態を意味し、通常スラグの分析においてはそれらの総計
をクロム換算にて表わしてトータルクロム(T・Cr) と称
している。従って、この発明においても(T・Cr) 濃度
は、上記した如く、酸化状態にあるクロムの総計の濃度
を表わすこととする。
は、精錬炉において脱炭反応と同時に進行するクロムの
酸化反応により、スラグ中に高価なクロムが移行するこ
とが共通の問題であり、このスラグ中の(T,Cr) で代
表される、酸化クロム量をどこまで低減できるかが経済
的に極めて重要になる。ここで、酸化クロムとはクロム
が酸化され、2価、3価あるいは6価の個数になった状
態を意味し、通常スラグの分析においてはそれらの総計
をクロム換算にて表わしてトータルクロム(T・Cr) と称
している。従って、この発明においても(T・Cr) 濃度
は、上記した如く、酸化状態にあるクロムの総計の濃度
を表わすこととする。
【0004】そこで、生成した(T・Cr) を回収するた
め、酸化精錬後にFeSi等による還元回収処理が行われて
いる。しかし、酸化クロムを還元回収するにつれて、ス
ラグ中のクロム濃度が低くなって、その還元効率も低く
なるため、還元に用いるFeSiやAlなどの還元材の使用量
が必然的に増える結果、コストの増加をまねいてしま
う。従って、(T・Cr) 濃度が0.7 〜3wt%程度となるま
で還元を行って、その後スラグを排出するのが一般的で
ある。
め、酸化精錬後にFeSi等による還元回収処理が行われて
いる。しかし、酸化クロムを還元回収するにつれて、ス
ラグ中のクロム濃度が低くなって、その還元効率も低く
なるため、還元に用いるFeSiやAlなどの還元材の使用量
が必然的に増える結果、コストの増加をまねいてしま
う。従って、(T・Cr) 濃度が0.7 〜3wt%程度となるま
で還元を行って、その後スラグを排出するのが一般的で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この処
理方法では、還元処理がばらついたり、あるいは冷却後
の状態によって、スラグ中のクロムが再酸化して有害な
過酸化クロム、いわゆる6価クロムが発生することがあ
り、このスラグを埋め立て等の用途に供する際の大きな
障害となる。なぜなら、大半のスラグが問題のない場合
でも、過酸化クロムを含有するスラグが混入すると、全
てのスラグの再利用ができなくなるからである。
理方法では、還元処理がばらついたり、あるいは冷却後
の状態によって、スラグ中のクロムが再酸化して有害な
過酸化クロム、いわゆる6価クロムが発生することがあ
り、このスラグを埋め立て等の用途に供する際の大きな
障害となる。なぜなら、大半のスラグが問題のない場合
でも、過酸化クロムを含有するスラグが混入すると、全
てのスラグの再利用ができなくなるからである。
【0006】この問題に対して、特開平8−104553号公
報では、スラグ中での過酸化クロムの発生を抑制するた
めに、FeSを添加する方法が提案されている。しかし、
スラグ中にFeSを添加すると、大量のS含有ガスが発生
して環境に悪影響を与えるため、この排ガスを回収する
必要があるが、回収の際にS含有ガスに起因して配管腐
食が生じること、また排ガス中のSが高いため燃焼ガス
として再利用するのが難しいこと、など、FeSを添加す
ることによる弊害が多いことから、実際の採用は難し
い。
報では、スラグ中での過酸化クロムの発生を抑制するた
めに、FeSを添加する方法が提案されている。しかし、
スラグ中にFeSを添加すると、大量のS含有ガスが発生
して環境に悪影響を与えるため、この排ガスを回収する
必要があるが、回収の際にS含有ガスに起因して配管腐
食が生じること、また排ガス中のSが高いため燃焼ガス
として再利用するのが難しいこと、など、FeSを添加す
ることによる弊害が多いことから、実際の採用は難し
い。
【0007】また、スラグ中の磁鉄分は磁選で回収でき
るが、ステンレス鋼精錬スラグにはスラグと分離困難な
金属分が多く含まれていて、この金属成分の回収が困難
であり、この回収の実現も望まれている。
るが、ステンレス鋼精錬スラグにはスラグと分離困難な
金属分が多く含まれていて、この金属成分の回収が困難
であり、この回収の実現も望まれている。
【0008】この発明は、クロム含有鋼精錬スラグの経
済的かつ環境汚染のない再生利用方法、さらには該スラ
グ中の金属成分の有効な回収利用方法について提案する
ことを目的とする。
済的かつ環境汚染のない再生利用方法、さらには該スラ
グ中の金属成分の有効な回収利用方法について提案する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的に
適う、クロム含有鋼精錬スラグの再生利用について種々
の検討を行ったところ、精錬炉が製鉄所内に立地してい
ることに着目し、製鋼において精錬炉の上流過程にある
高炉に対して、スラグを再生利用するのが有利であるこ
とを見出した。すなわち、スラグを高炉に戻すことによ
って、スラグ中の金属成分を溶鉄に回収するとともに、
ここで改質されたスラグを土木や建築の用途に再利用す
ることが可能になるのである。
適う、クロム含有鋼精錬スラグの再生利用について種々
の検討を行ったところ、精錬炉が製鉄所内に立地してい
ることに着目し、製鋼において精錬炉の上流過程にある
高炉に対して、スラグを再生利用するのが有利であるこ
とを見出した。すなわち、スラグを高炉に戻すことによ
って、スラグ中の金属成分を溶鉄に回収するとともに、
ここで改質されたスラグを土木や建築の用途に再利用す
ることが可能になるのである。
【0010】この発明は、上記の知見に由来するもので
ある。すなわち、この発明は、精錬炉内に装入したクロ
ム含有溶湯に、酸素を供給して行う酸化精錬に伴って発
生するスラグに、還元処理を施してスラグ中の(T・Cr)
濃度を0.3 〜 3.0wt%に調整し、次いで該スラグを固化
処理してから、直接または焼結後に高炉へ添加し、高炉
にてスラグ中のCrおよびFe分を溶鉄内に還元回収する一
方、高炉からの改質スラグは土木、建築用途に再利用す
ることを特徴とするクロム含有鋼精錬スラグの再生利用
方法である。
ある。すなわち、この発明は、精錬炉内に装入したクロ
ム含有溶湯に、酸素を供給して行う酸化精錬に伴って発
生するスラグに、還元処理を施してスラグ中の(T・Cr)
濃度を0.3 〜 3.0wt%に調整し、次いで該スラグを固化
処理してから、直接または焼結後に高炉へ添加し、高炉
にてスラグ中のCrおよびFe分を溶鉄内に還元回収する一
方、高炉からの改質スラグは土木、建築用途に再利用す
ることを特徴とするクロム含有鋼精錬スラグの再生利用
方法である。
【0011】ここで、還元処理は、Si含有物質を用い
て、かつ溶鋼中のSi量が0.10〜0.30wt%の条件下で行う
こと、還元処理において、Si含有物質を用いてスラグ中
のAl2O 3 量を10wt%以下としたスラグを高炉に添加する
こと、固化処理として、還元処理後のスラグにほう素酸
化物を添加すること、スラグ中のAl2O3 を10wt%以下に
して高炉または焼結炉で再利用すること、冷却後のスラ
グを粒径によって選別し、粒径が10mm以下のスラグは焼
結炉で焼結したのち、粒径が10mmをこえるスラグはその
まま、高炉へ添加すること、還元処理後のスラグに、そ
して酸化精錬後に、スラグの塩基度(CaO /SiO2)を1.
8 〜3.0 に調整して、スラグの還元処理に併せて溶湯の
脱硫を行うこと、がそれぞれ実施に当たり有利に適合す
る。
て、かつ溶鋼中のSi量が0.10〜0.30wt%の条件下で行う
こと、還元処理において、Si含有物質を用いてスラグ中
のAl2O 3 量を10wt%以下としたスラグを高炉に添加する
こと、固化処理として、還元処理後のスラグにほう素酸
化物を添加すること、スラグ中のAl2O3 を10wt%以下に
して高炉または焼結炉で再利用すること、冷却後のスラ
グを粒径によって選別し、粒径が10mm以下のスラグは焼
結炉で焼結したのち、粒径が10mmをこえるスラグはその
まま、高炉へ添加すること、還元処理後のスラグに、そ
して酸化精錬後に、スラグの塩基度(CaO /SiO2)を1.
8 〜3.0 に調整して、スラグの還元処理に併せて溶湯の
脱硫を行うこと、がそれぞれ実施に当たり有利に適合す
る。
【0012】また、この発明は、精錬炉内に装入したク
ロム含有溶湯に、酸素を供給して行う酸化精錬に伴って
発生するスラグに、還元処理を施してスラグ中の(T・C
r) 濃度を0.3 〜 3.0wt%に調整し、次いで該スラグに
ほう素酸化物を添加後冷却してから、スラグを直接また
は焼結後に高炉へ添加し、高炉にてスラグ中の金属成分
を溶鉄内に還元回収し、その後高炉から出湯した溶鉄
に、酸素を供給して、高炉内スラグから溶鉄内に還元回
収されたBを除去してから、溶鉄を精錬炉に装入して脱
炭精錬を行うことを特徴とするクロム含有鋼精錬スラグ
に含有される金属成分の回収利用方法である。
ロム含有溶湯に、酸素を供給して行う酸化精錬に伴って
発生するスラグに、還元処理を施してスラグ中の(T・C
r) 濃度を0.3 〜 3.0wt%に調整し、次いで該スラグに
ほう素酸化物を添加後冷却してから、スラグを直接また
は焼結後に高炉へ添加し、高炉にてスラグ中の金属成分
を溶鉄内に還元回収し、その後高炉から出湯した溶鉄
に、酸素を供給して、高炉内スラグから溶鉄内に還元回
収されたBを除去してから、溶鉄を精錬炉に装入して脱
炭精錬を行うことを特徴とするクロム含有鋼精錬スラグ
に含有される金属成分の回収利用方法である。
【0013】ここで、酸素を、酸素原単位が2Nm3 /t
溶鉄以上で供給すること、および脱炭精錬中に生成する
スラグを直接または焼結後に高炉へ添加してスラグ中の
金属成分の回収利用に供すること、がそれぞれ実施に当
たり有利に適合する。
溶鉄以上で供給すること、および脱炭精錬中に生成する
スラグを直接または焼結後に高炉へ添加してスラグ中の
金属成分の回収利用に供すること、がそれぞれ実施に当
たり有利に適合する。
【0014】
【発明の実施の形態】さて、ステンレス鋼の精錬時に発
生するスラグを高炉に添加すると、スラグ中に含有され
た金属およびFeO ,Cr2O3 ,MnO などの金属酸化物は、
溶融あるいは還元されて、高炉内溶銑中に回収される。
一方、スラグ自体は、高炉内で完全に還元されて、酸化
物の含まれない、いわゆる高炉スラグに改質されるか
ら、この改質スラグを、路盤材、セメントまたは生コン
骨材などの土木、建設用途に再利用することができる。
生するスラグを高炉に添加すると、スラグ中に含有され
た金属およびFeO ,Cr2O3 ,MnO などの金属酸化物は、
溶融あるいは還元されて、高炉内溶銑中に回収される。
一方、スラグ自体は、高炉内で完全に還元されて、酸化
物の含まれない、いわゆる高炉スラグに改質されるか
ら、この改質スラグを、路盤材、セメントまたは生コン
骨材などの土木、建設用途に再利用することができる。
【0015】ここで、ステンレス鋼精錬スラグ中の(T・
Cr) 濃度が高すぎると、このスラグを高炉に添加した
際、溶鉄へのクロムの還元量が増加して、溶鉄中のクロ
ム濃度が高くなる。溶鉄中クロム濃度が上昇すること
は、高炉溶鉄の全てをクロム含有鋼の精錬原料として使
用するのであれば、特に問題とはならないが、通常は普
通鋼の精錬原料としても使用するから、その際に支障を
来さない程度のクロム含有量に止めることが必要にな
る。つまり、スラグ中の(T・Cr) 濃度をある程度低下さ
せる必要があるのである。一方、上述したように、スラ
グ中の(T・Cr) を極低濃度域まで低下させるには、還元
効率の低下に伴って還元材の使用量を増加しなくてはな
らないため、(T・Cr) 濃度に反比例して還元に要するコ
ストが増加する。
Cr) 濃度が高すぎると、このスラグを高炉に添加した
際、溶鉄へのクロムの還元量が増加して、溶鉄中のクロ
ム濃度が高くなる。溶鉄中クロム濃度が上昇すること
は、高炉溶鉄の全てをクロム含有鋼の精錬原料として使
用するのであれば、特に問題とはならないが、通常は普
通鋼の精錬原料としても使用するから、その際に支障を
来さない程度のクロム含有量に止めることが必要にな
る。つまり、スラグ中の(T・Cr) 濃度をある程度低下さ
せる必要があるのである。一方、上述したように、スラ
グ中の(T・Cr) を極低濃度域まで低下させるには、還元
効率の低下に伴って還元材の使用量を増加しなくてはな
らないため、(T・Cr) 濃度に反比例して還元に要するコ
ストが増加する。
【0016】発明者らの知見によれば、(T・Cr) 濃度が
0.3 wt%程度以下となるまで完全に還元処理を行うと、
過酸化クロムの問題は解消されるが、ばらつきを含めて
(T・Cr) 濃度を0.3 wt%以下となるまで還元するには、
図1に示すように、多大の還元コストが必要になる。一
方、スラグの再利用を行うには、高炉で再利用するため
のリサイクルコスト、具体的にはコレマナイト費用やハ
ンドリング費用あるいは、Cr濃度を抑制するためにNiス
ラグ等の安価な原料の使用が制限されることに伴う原料
費の増加および製鋼課程での脱クロムに伴う副原料増加
等に起因してコストが増加する。このリサイクルコスト
および還元コストと、両者を合計した精錬コストとを、
図1に示すように、(T・Cr) 濃度が3wt%をこえると、
(T・Cr)濃度を0.3 wt%未満にする場合と同等以上のコ
ストが必要になることがわかる。すなわち、(T・Cr) 濃
度を3wt%以下としてスラグの再利用を行わないと、コ
スト面では不利となる。また、(T・Cr) 濃度が3wt%を
こえると、破砕後に塊が粉化する傾向が強くなること
も、問題である。この理由は明らかではないが、(T・C
r) 濃度が3wt%をこえるとスラグの性状が変化して、
炉内で添加したコレマイトの添加歩留まりが低下するも
のと推定される。従って、スラグの再利用をコスト増お
よび粉化などの問題点なく行うには、(T・Cr) 濃度を3
wt%以下とする必要がある。
0.3 wt%程度以下となるまで完全に還元処理を行うと、
過酸化クロムの問題は解消されるが、ばらつきを含めて
(T・Cr) 濃度を0.3 wt%以下となるまで還元するには、
図1に示すように、多大の還元コストが必要になる。一
方、スラグの再利用を行うには、高炉で再利用するため
のリサイクルコスト、具体的にはコレマナイト費用やハ
ンドリング費用あるいは、Cr濃度を抑制するためにNiス
ラグ等の安価な原料の使用が制限されることに伴う原料
費の増加および製鋼課程での脱クロムに伴う副原料増加
等に起因してコストが増加する。このリサイクルコスト
および還元コストと、両者を合計した精錬コストとを、
図1に示すように、(T・Cr) 濃度が3wt%をこえると、
(T・Cr)濃度を0.3 wt%未満にする場合と同等以上のコ
ストが必要になることがわかる。すなわち、(T・Cr) 濃
度を3wt%以下としてスラグの再利用を行わないと、コ
スト面では不利となる。また、(T・Cr) 濃度が3wt%を
こえると、破砕後に塊が粉化する傾向が強くなること
も、問題である。この理由は明らかではないが、(T・C
r) 濃度が3wt%をこえるとスラグの性状が変化して、
炉内で添加したコレマイトの添加歩留まりが低下するも
のと推定される。従って、スラグの再利用をコスト増お
よび粉化などの問題点なく行うには、(T・Cr) 濃度を3
wt%以下とする必要がある。
【0017】また、スラグ中の酸化クロムの還元材に
は、FeSi等のSi含有物質を用いることが一般的である
が、FeSiによって還元を行うと、溶鋼中のSi濃度が増加
する。すなわち、スラグ中の(T・Cr) 濃度と溶鋼中のSi
濃度との関係について、FeSiで還元した場合を、図2に
示す。同図から、溶鋼中のSi濃度を0.1 wt%以上にする
ことによって、スラグ中の(T・Cr) 濃度を 3.0wt%以下
に抑制できることがわかる。
は、FeSi等のSi含有物質を用いることが一般的である
が、FeSiによって還元を行うと、溶鋼中のSi濃度が増加
する。すなわち、スラグ中の(T・Cr) 濃度と溶鋼中のSi
濃度との関係について、FeSiで還元した場合を、図2に
示す。同図から、溶鋼中のSi濃度を0.1 wt%以上にする
ことによって、スラグ中の(T・Cr) 濃度を 3.0wt%以下
に抑制できることがわかる。
【0018】一方、溶鋼中のSi濃度が高くなると、二次
精錬での脱炭処理中にSiが酸化してスラグボリュームが
増加し、その後の合金添加歩留まりの低下や介在物の生
成など、種々の問題を引き起こす、おそれがある。ま
た、Si含有量が高いと、出鋼中の窒素吸着量が多くな
り、極低窒素鋼の溶製が困難になる。そして、発明者ら
の調査によれば、これらの現象はSi含有量が0.3 wt%を
こえると頻繁に発生することから、Si含有量を0.3 wt%
以下に制限することが望ましい。以上の知見から、還元
処理は、FeSiを用いて、かつ溶鋼中のSi量が0.10〜0.30
wt%の条件下で行うのが好ましいことがわかる。
精錬での脱炭処理中にSiが酸化してスラグボリュームが
増加し、その後の合金添加歩留まりの低下や介在物の生
成など、種々の問題を引き起こす、おそれがある。ま
た、Si含有量が高いと、出鋼中の窒素吸着量が多くな
り、極低窒素鋼の溶製が困難になる。そして、発明者ら
の調査によれば、これらの現象はSi含有量が0.3 wt%を
こえると頻繁に発生することから、Si含有量を0.3 wt%
以下に制限することが望ましい。以上の知見から、還元
処理は、FeSiを用いて、かつ溶鋼中のSi量が0.10〜0.30
wt%の条件下で行うのが好ましいことがわかる。
【0019】さらに、FeSi等のSi含有物質を用いて還元
を行う第2の理由は、スラグ中のAl 2O3 濃度の上昇を抑
制するためである。すなわち、スラグ中のAl2O3 濃度が
高いと、スラグを高炉へ投入した場合に、高炉スラグの
粘度が高くなって排滓や出銑作業に支障を来す。ここ
に、高炉スラグ中のAl2O3 濃度は、通常14または15wt%
以下に調整しなければならないが、他の原料からもAl2O
3 は混入するから、スラグ中のAl2O3 は低ければ低いほ
ど良い。現実的にスラグを再利用するレベル(高炉出銑
当り5〜50kg/t)を考慮すると、Al2O3 は10wt%以
下、望ましくは5wt%以下とする必要がある。実際にス
テンレス精錬を行った後還元材として、例えばFeSiを用
いると、Al2O3 量は2wt%以下程度に維持することがで
きる。
を行う第2の理由は、スラグ中のAl 2O3 濃度の上昇を抑
制するためである。すなわち、スラグ中のAl2O3 濃度が
高いと、スラグを高炉へ投入した場合に、高炉スラグの
粘度が高くなって排滓や出銑作業に支障を来す。ここ
に、高炉スラグ中のAl2O3 濃度は、通常14または15wt%
以下に調整しなければならないが、他の原料からもAl2O
3 は混入するから、スラグ中のAl2O3 は低ければ低いほ
ど良い。現実的にスラグを再利用するレベル(高炉出銑
当り5〜50kg/t)を考慮すると、Al2O3 は10wt%以
下、望ましくは5wt%以下とする必要がある。実際にス
テンレス精錬を行った後還元材として、例えばFeSiを用
いると、Al2O3 量は2wt%以下程度に維持することがで
きる。
【0020】次に、ステンレス鋼精錬スラグを高炉に添
加するに当たり、ステンレス鋼精錬スラグが粉化し易い
が、粉化したステンレス鋼スラグについては高炉で使用
するのが困難であることを見出した。すなわち、ステン
レス鋼精錬スラグは、いわゆるダイカルシウムシリケー
ト{(CaO)2SiO2 }の相変態の際に生じる体積膨張によ
り、冷却後に粉化が進行しやすく、とりわけステンレス
鋼精錬スラグは、普通鋼精錬スラグと比較して、Pの含
有量が少なくて相が不安定であるために、この粉化は顕
著である。この自然に粉化したスラグは極めて微粉であ
り、その運搬などに際して飛翔する問題がある上に、高
炉に添加した際に高炉内の通気性を阻害することから、
高炉での使用は困難であることがわかった。
加するに当たり、ステンレス鋼精錬スラグが粉化し易い
が、粉化したステンレス鋼スラグについては高炉で使用
するのが困難であることを見出した。すなわち、ステン
レス鋼精錬スラグは、いわゆるダイカルシウムシリケー
ト{(CaO)2SiO2 }の相変態の際に生じる体積膨張によ
り、冷却後に粉化が進行しやすく、とりわけステンレス
鋼精錬スラグは、普通鋼精錬スラグと比較して、Pの含
有量が少なくて相が不安定であるために、この粉化は顕
著である。この自然に粉化したスラグは極めて微粉であ
り、その運搬などに際して飛翔する問題がある上に、高
炉に添加した際に高炉内の通気性を阻害することから、
高炉での使用は困難であることがわかった。
【0021】そこで発明者らは、スラグの冷却に先立っ
て、還元処理後のスラグにほう素酸化物を添加して、ス
ラグの粉化を防止して冷却、固化した後再度粉砕し整粒
化して使用することを試みた。すなわち、上述のよう
に、自然に冷却、固化したスラグは大半が粉化し、その
スラグの粒径は、表1に例示するように、極めて小さい
ため、運搬時に飛翔したり、また高炉内の通気性を妨げ
ることになる。そこで、還元処理後のスラグにほう素酸
化物を添加してスラグの粉化を防止して固化させ、固化
後のスラグを破砕してから、篩にかけることによって、
スラブを10mm径を境として選別すれば、塊状のスラグが
より多く得られ、一方10mm径以下のスラグも比較的大き
な径のものとすることができ、高炉または焼結炉への導
入を有利に行うことができるのである。ちなみに、ほう
素酸化物を添加して固化させた、スラグを破砕して得た
スラグの粒径分布は、表2および表3に例示するとおり
である。
て、還元処理後のスラグにほう素酸化物を添加して、ス
ラグの粉化を防止して冷却、固化した後再度粉砕し整粒
化して使用することを試みた。すなわち、上述のよう
に、自然に冷却、固化したスラグは大半が粉化し、その
スラグの粒径は、表1に例示するように、極めて小さい
ため、運搬時に飛翔したり、また高炉内の通気性を妨げ
ることになる。そこで、還元処理後のスラグにほう素酸
化物を添加してスラグの粉化を防止して固化させ、固化
後のスラグを破砕してから、篩にかけることによって、
スラブを10mm径を境として選別すれば、塊状のスラグが
より多く得られ、一方10mm径以下のスラグも比較的大き
な径のものとすることができ、高炉または焼結炉への導
入を有利に行うことができるのである。ちなみに、ほう
素酸化物を添加して固化させた、スラグを破砕して得た
スラグの粒径分布は、表2および表3に例示するとおり
である。
【0022】また、塊状スラグと粉状スラグの比率は破
砕機等の選択にも依存するが、概ね各々40〜60wt%程
度、つまり半々程度とすることが好ましい。なお、スラ
グを固化させるには、スラグ中のほう素酸化物(B2O3)
濃度が0.1 〜0.5 wt%程度となる添加が必要である。こ
の場合、出鋼後排滓前に炉内にほう素酸化物を添加し、
底吹き羽口からのガスで攪拌しながら排滓する方法が用
いられる。一方、スラグ排出容器へ事前に入れる方法で
は、充分に攪拌されず、ほう素の添加歩留りが低くな
る。
砕機等の選択にも依存するが、概ね各々40〜60wt%程
度、つまり半々程度とすることが好ましい。なお、スラ
グを固化させるには、スラグ中のほう素酸化物(B2O3)
濃度が0.1 〜0.5 wt%程度となる添加が必要である。こ
の場合、出鋼後排滓前に炉内にほう素酸化物を添加し、
底吹き羽口からのガスで攪拌しながら排滓する方法が用
いられる。一方、スラグ排出容器へ事前に入れる方法で
は、充分に攪拌されず、ほう素の添加歩留りが低くな
る。
【0023】
【表1】
【表2】
【表3】
【0024】ここで、スラグを固化するのに用いるほう
素酸化物は、そのままスラグによって高炉内に持ち込ま
れ、高炉内で還元されて溶鉄中に含まれるため、ステン
レス鋼精錬スラグを添加したのちの操業で得られる溶鉄
は、B濃度が高くなる。このBが製品段階にまで残存し
ていると、鋼種によっては材質上の問題となるため、製
鋼工程で除去する必要がある。このBは、次工程の転炉
における酸化精錬にて除去できるけれども、この転炉精
錬で除去すると、その後のスラグの再生利用の点で問題
があることが、新たに判明した。
素酸化物は、そのままスラグによって高炉内に持ち込ま
れ、高炉内で還元されて溶鉄中に含まれるため、ステン
レス鋼精錬スラグを添加したのちの操業で得られる溶鉄
は、B濃度が高くなる。このBが製品段階にまで残存し
ていると、鋼種によっては材質上の問題となるため、製
鋼工程で除去する必要がある。このBは、次工程の転炉
における酸化精錬にて除去できるけれども、この転炉精
錬で除去すると、その後のスラグの再生利用の点で問題
があることが、新たに判明した。
【0025】すなわち、転炉スラグについても、上記し
たステンレス鋼精錬スラグと同様に、高炉へ添加して、
転炉スラグ中のCaO や鉄分を回収するのが有効である
が、転炉でBを除去すると、転炉スラグに移行したBが
高炉の溶鉄に再度還元回収されてしまい、以上のサイク
ルを繰り返すことによってBが循環濃化してしまうこと
がわかった。そこで、溶銑予備処理でBを除去すること
を試みた。溶銑予備処理では、その処理温度が低いこと
から、Bを除去しきれない可能性があったが、図3に示
すように、酸素を酸素原単位を2Nm3/t 溶鉄以上にすれ
ば、Bを除去できることがわかった。なお、図3は、各
種濃度のB含有溶鉄をトピードカー内にて酸素を供給し
た際の、供給酸素量とB濃度との関係を調査したもので
ある。
たステンレス鋼精錬スラグと同様に、高炉へ添加して、
転炉スラグ中のCaO や鉄分を回収するのが有効である
が、転炉でBを除去すると、転炉スラグに移行したBが
高炉の溶鉄に再度還元回収されてしまい、以上のサイク
ルを繰り返すことによってBが循環濃化してしまうこと
がわかった。そこで、溶銑予備処理でBを除去すること
を試みた。溶銑予備処理では、その処理温度が低いこと
から、Bを除去しきれない可能性があったが、図3に示
すように、酸素を酸素原単位を2Nm3/t 溶鉄以上にすれ
ば、Bを除去できることがわかった。なお、図3は、各
種濃度のB含有溶鉄をトピードカー内にて酸素を供給し
た際の、供給酸素量とB濃度との関係を調査したもので
ある。
【0026】ここで、酸素とは通常の酸素ガス以外に、
鉄鉱石やスケールなどの、いわゆる溶鉄中で反応して酸
化反応を生じる固体酸素でも良い。また、酸素の添加方
法についても、石灰等と共にインジェクションする方法
あるいは上吹きランスから酸素のみを熱供給の目的と共
に行う方法など、適宜選択すれば良い。
鉄鉱石やスケールなどの、いわゆる溶鉄中で反応して酸
化反応を生じる固体酸素でも良い。また、酸素の添加方
法についても、石灰等と共にインジェクションする方法
あるいは上吹きランスから酸素のみを熱供給の目的と共
に行う方法など、適宜選択すれば良い。
【0027】以上述べたように、ステンレス鋼の精錬に
おいて、まず酸化精錬を行った後に、例えば溶鋼中のSi
濃度を0.10〜0.30wt%とするFeSiを添加して、生成した
スラグ中の(T・Cr) 濃度を0.3 〜 3.0wt%に調整し、次
いで溶鋼を排出後に、精錬炉内にて、スラグにほう素酸
化物を添加した後排出し、冷却、固化させ、その後固化
したスラグを粉砕して篩にかけ、径が10mmをこえる塊ス
ラグは高炉に直接添加すると共に、径が10mm以下の粉ス
ラグのみを焼結炉に入れて焼結鉱としてから高炉へ添加
し、スラグの金属成分は高炉の溶鉄へ回収し、改質され
て高炉スラグとなったスラグは路盤材等の従来の高炉ス
ラグと同様の用途に供する。
おいて、まず酸化精錬を行った後に、例えば溶鋼中のSi
濃度を0.10〜0.30wt%とするFeSiを添加して、生成した
スラグ中の(T・Cr) 濃度を0.3 〜 3.0wt%に調整し、次
いで溶鋼を排出後に、精錬炉内にて、スラグにほう素酸
化物を添加した後排出し、冷却、固化させ、その後固化
したスラグを粉砕して篩にかけ、径が10mmをこえる塊ス
ラグは高炉に直接添加すると共に、径が10mm以下の粉ス
ラグのみを焼結炉に入れて焼結鉱としてから高炉へ添加
し、スラグの金属成分は高炉の溶鉄へ回収し、改質され
て高炉スラグとなったスラグは路盤材等の従来の高炉ス
ラグと同様の用途に供する。
【0028】また、高炉より出銑された溶鉄に関して
は、溶銑予備処理等の酸化精錬を行って、好ましくは酸
素原単位が2Nm3/t 溶鉄以上の酸素を供給して、溶銑中
のBを実質1ppm 以下程度となるまで除去する。その
後、溶鉄を転炉に装入し、通常の脱炭精錬を行って、こ
こで排出された転炉スラグについては、上記ステンレス
鋼精錬スラグと同様に高炉へ添加して再生利用すること
によって、高炉での石灰使用量を削減する。
は、溶銑予備処理等の酸化精錬を行って、好ましくは酸
素原単位が2Nm3/t 溶鉄以上の酸素を供給して、溶銑中
のBを実質1ppm 以下程度となるまで除去する。その
後、溶鉄を転炉に装入し、通常の脱炭精錬を行って、こ
こで排出された転炉スラグについては、上記ステンレス
鋼精錬スラグと同様に高炉へ添加して再生利用すること
によって、高炉での石灰使用量を削減する。
【0029】この発明に従う方法は、いわゆる転炉法に
よりステンレス鋼を溶製する操業の他にも、AOD法や
VOD法によってステンレス鋼を溶製する操業にも有効
である。とりわけ、還元時に脱硫を行うことを目的に、
スラグの塩基度を1.8 以上に高める操業に有効である。
なぜならば、塩基度が1.8 以上ではスラグの粉化が激し
くなるためである。この還元時に脱硫を行う場合、スラ
グ塩基度の上限について、この発明においては特に制限
する必要はないが、3.0 以上では滓化が悪化して転炉で
の脱硫効率が高まらずに脱硫精錬中のスラグボリューム
が多くなる結果、クロムロスが増加するなどの経済上の
弊害が多くなることから、3.0 程度が事実上の上限とな
る。
よりステンレス鋼を溶製する操業の他にも、AOD法や
VOD法によってステンレス鋼を溶製する操業にも有効
である。とりわけ、還元時に脱硫を行うことを目的に、
スラグの塩基度を1.8 以上に高める操業に有効である。
なぜならば、塩基度が1.8 以上ではスラグの粉化が激し
くなるためである。この還元時に脱硫を行う場合、スラ
グ塩基度の上限について、この発明においては特に制限
する必要はないが、3.0 以上では滓化が悪化して転炉で
の脱硫効率が高まらずに脱硫精錬中のスラグボリューム
が多くなる結果、クロムロスが増加するなどの経済上の
弊害が多くなることから、3.0 程度が事実上の上限とな
る。
【0030】なお、上述したステンレス鋼精錬に用いる
精錬炉は特に限定されることはなく、浴面下から精錬ガ
スを底吹きしても横吹きしても問題はないが、通常用い
られる上底吹き転炉が好適である。また、溶銑予備処理
として用いる反応容器はトピードカーのほか鍋や転炉な
ど、酸素および酸化鉄等をインジェクションあるいは上
吹きする、いかなる形式の反応容器を用いても構わな
い。これは、引き続き行われる、普通鋼の精錬において
も同様であり、転炉等の反応容器についても特に制限は
ない。
精錬炉は特に限定されることはなく、浴面下から精錬ガ
スを底吹きしても横吹きしても問題はないが、通常用い
られる上底吹き転炉が好適である。また、溶銑予備処理
として用いる反応容器はトピードカーのほか鍋や転炉な
ど、酸素および酸化鉄等をインジェクションあるいは上
吹きする、いかなる形式の反応容器を用いても構わな
い。これは、引き続き行われる、普通鋼の精錬において
も同様であり、転炉等の反応容器についても特に制限は
ない。
【0031】
【実施例】容量175 tの上底吹き転炉を用いて、ステン
レス鋼の精錬を行った。ここでは2基の上底吹き転炉を
用いて、いわゆるCr鉱石の溶融還元を行った後、もう一
基の上底吹き転炉で脱炭を行うプロセスを例に説明す
る。すなわち、クロム含有溶湯(C:5.5 wt%, Cr:9
〜13wt%) を装入した転炉において、酸化精錬を60〜70
分間にわたって施して脱炭し、精錬終了時のCを0.07〜
0.20wt%の範囲に調整した。吹錬中の CaOはFeCr中のSi
を計算してスラグの塩基度が2.0 になるようにした。引
き続く還元精錬は、還元前に行ったサンプリングの分析
結果を基に、スラグの塩基度を1.8 〜2.5 程度に変化さ
せて行った。具体的には、酸化したクロムを推定して還
元用のFeSiを決定し、FeSiで生成されるSiO2に見合うよ
うにCaOを投入した。また、流動性を高めるために、ホ
タル石を石灰投入量の5〜10wt%で投入すると共に、転
炉内の耐火物保護のためにスラグ中にMgO が数wt%残留
するように調整した。
レス鋼の精錬を行った。ここでは2基の上底吹き転炉を
用いて、いわゆるCr鉱石の溶融還元を行った後、もう一
基の上底吹き転炉で脱炭を行うプロセスを例に説明す
る。すなわち、クロム含有溶湯(C:5.5 wt%, Cr:9
〜13wt%) を装入した転炉において、酸化精錬を60〜70
分間にわたって施して脱炭し、精錬終了時のCを0.07〜
0.20wt%の範囲に調整した。吹錬中の CaOはFeCr中のSi
を計算してスラグの塩基度が2.0 になるようにした。引
き続く還元精錬は、還元前に行ったサンプリングの分析
結果を基に、スラグの塩基度を1.8 〜2.5 程度に変化さ
せて行った。具体的には、酸化したクロムを推定して還
元用のFeSiを決定し、FeSiで生成されるSiO2に見合うよ
うにCaOを投入した。また、流動性を高めるために、ホ
タル石を石灰投入量の5〜10wt%で投入すると共に、転
炉内の耐火物保護のためにスラグ中にMgO が数wt%残留
するように調整した。
【0032】次いで、溶製したステンレス溶鋼を出鋼温
度1680〜1720℃で出鋼した後、炉内に残留するスラグに
コレマナイト(B2O3:39.7wt%, FeO3:1〜2wt%,Si
O2:11wt%,CuO:21wt%, MgO:2.9 wt%)を添加し
た。ここで、コレマナイト中のB2O3含有率は約40wt%お
よび結晶水は7〜8wt%であった。スラグ中の(T・Cr)
濃度は 0.5〜3wt%であった。またスラグ中のB2O3は
0.3〜0.5 wt%であった。コレマナイトを添加する際、
炉内は底吹き羽口よりN2を110 Nm3 /min 吹きこみ攪
拌を行った。
度1680〜1720℃で出鋼した後、炉内に残留するスラグに
コレマナイト(B2O3:39.7wt%, FeO3:1〜2wt%,Si
O2:11wt%,CuO:21wt%, MgO:2.9 wt%)を添加し
た。ここで、コレマナイト中のB2O3含有率は約40wt%お
よび結晶水は7〜8wt%であった。スラグ中の(T・Cr)
濃度は 0.5〜3wt%であった。またスラグ中のB2O3は
0.3〜0.5 wt%であった。コレマナイトを添加する際、
炉内は底吹き羽口よりN2を110 Nm3 /min 吹きこみ攪
拌を行った。
【0033】その後、スラグを冷却固化させた後に、粉
砕してから篩い分けを行って、径が10mmをこえる塊状の
スラグは直接高炉の炉上ホッパから高炉内へ投入した。
一方、径が10mm以下の粉スラグは、ベッデングを行い他
の焼結原料と混合してから焼結炉にて焼結鉱とした。得
られた焼結鉱は、上記塊スラグと共に高炉内へ添加し
た。
砕してから篩い分けを行って、径が10mmをこえる塊状の
スラグは直接高炉の炉上ホッパから高炉内へ投入した。
一方、径が10mm以下の粉スラグは、ベッデングを行い他
の焼結原料と混合してから焼結炉にて焼結鉱とした。得
られた焼結鉱は、上記塊スラグと共に高炉内へ添加し
た。
【0034】以上の手順に従って、精錬のチャージ毎に
精錬スラグを高炉へ添加することを繰り返し行った。な
お、高炉へ添加した精錬スラグの組成は、表4に示すと
おりである。また、上記精錬操業に並行して行われた高
炉操業において、その出銑毎の溶鉄成分および高炉スラ
グ成分について、調査した結果を、表5および6に示
す。
精錬スラグを高炉へ添加することを繰り返し行った。な
お、高炉へ添加した精錬スラグの組成は、表4に示すと
おりである。また、上記精錬操業に並行して行われた高
炉操業において、その出銑毎の溶鉄成分および高炉スラ
グ成分について、調査した結果を、表5および6に示
す。
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】表5から、高炉から排出された高炉スラグ
は通常の高炉スラグと全く差異がなく、炉盤材、セメン
ト原料および生コン骨材などの土木、建築用として活用
できた。さらに、表4の精錬スラグの組成と表5の高炉
スラグの組成との比較から、精錬スラグ中の金属成分が
高炉内溶鉄中に回収されたことが明らかである。ちなみ
に、高炉にて再生利用される精錬スラグ量は、2400〜30
00t/月であり、その間に溶製された溶銑量は 300,000
tであった。
は通常の高炉スラグと全く差異がなく、炉盤材、セメン
ト原料および生コン骨材などの土木、建築用として活用
できた。さらに、表4の精錬スラグの組成と表5の高炉
スラグの組成との比較から、精錬スラグ中の金属成分が
高炉内溶鉄中に回収されたことが明らかである。ちなみ
に、高炉にて再生利用される精錬スラグ量は、2400〜30
00t/月であり、その間に溶製された溶銑量は 300,000
tであった。
【0039】次に、高炉で溶製された溶鉄をトピードカ
ーに受けた後、トピードカーにて溶銑予備処理を行っ
た。なお、溶鉄中の成分を表6に示したように、そのB
濃度は3〜8ppm であった。すなわち、 250tの溶鉄を
トピードカーに受けて、この溶鉄に対してランスから酸
素を20Nm3/min およびインジェクションランスから酸素
を15Nm3/min 吹き込むとともに、インジェクションラン
スからは酸化鉄を350kg/min およびCAO を50〜200kg/mi
n 吹き込む処理を、およそ10〜25分間行った。この処理
における、有効酸素原単位は3.3 〜8.2Nm3/t溶鉄であっ
た。
ーに受けた後、トピードカーにて溶銑予備処理を行っ
た。なお、溶鉄中の成分を表6に示したように、そのB
濃度は3〜8ppm であった。すなわち、 250tの溶鉄を
トピードカーに受けて、この溶鉄に対してランスから酸
素を20Nm3/min およびインジェクションランスから酸素
を15Nm3/min 吹き込むとともに、インジェクションラン
スからは酸化鉄を350kg/min およびCAO を50〜200kg/mi
n 吹き込む処理を、およそ10〜25分間行った。この処理
における、有効酸素原単位は3.3 〜8.2Nm3/t溶鉄であっ
た。
【0040】ここで、有効酸素原単位とは、次の式で定
められるように、上吹き酸素の二次燃焼に使用される酸
素を除去した酸素の溶鉄当たりの使用原単位である。
められるように、上吹き酸素の二次燃焼に使用される酸
素を除去した酸素の溶鉄当たりの使用原単位である。
【数1】有効酸素原単位=(インジェクション酸素+イ
ンジェクション酸化鉄中酸素+上吹き酸素/(1+PC
R)/溶銑重量 ここで、PCR:二次燃焼率=CO2 / (CO+CO2) CO, CO2 :排ガス中CO, CO2 濃度
ンジェクション酸化鉄中酸素+上吹き酸素/(1+PC
R)/溶銑重量 ここで、PCR:二次燃焼率=CO2 / (CO+CO2) CO, CO2 :排ガス中CO, CO2 濃度
【0041】上記の溶銑予備処理によって、図3に示す
ように、溶鉄中のBはいずれも1ppm 以下に抑制され
た。その後、転炉に溶鉄を装入し、脱炭精錬を行った。
吹き止めC量は0.03〜0.20%であったが、いずれもBは
1ppm 以下のままであった。ここで、転炉から出鋼後に
スラグ中のB2O3を調査したところ、いずれのチャージに
おいても分析検出範囲では認められなかった。次いで、
転炉から排出される転炉スラグを、全て高炉へ添加し
て、上記した精錬スラグと同様に再生利用に供した。
ように、溶鉄中のBはいずれも1ppm 以下に抑制され
た。その後、転炉に溶鉄を装入し、脱炭精錬を行った。
吹き止めC量は0.03〜0.20%であったが、いずれもBは
1ppm 以下のままであった。ここで、転炉から出鋼後に
スラグ中のB2O3を調査したところ、いずれのチャージに
おいても分析検出範囲では認められなかった。次いで、
転炉から排出される転炉スラグを、全て高炉へ添加し
て、上記した精錬スラグと同様に再生利用に供した。
【0042】
【発明の効果】この発明によれば、従来は困難であった
ステンレス鋼精錬スラグの再生利用を、ほぼ完全に実現
できるため、精錬、さらには製銑工程における、コスト
の低下および生産性の向上を共に達成し得る。
ステンレス鋼精錬スラグの再生利用を、ほぼ完全に実現
できるため、精錬、さらには製銑工程における、コスト
の低下および生産性の向上を共に達成し得る。
【図1】スラグ中の(T・Cr) 濃度と精錬コストとの関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図2】溶鋼中のSi含有量とスラグ中の(T・Cr) 濃度と
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
【図3】溶鉄に供給する酸素原単位と溶鉄中のB濃度と
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
Claims (9)
- 【請求項1】 精錬炉内に装入したクロム含有溶湯に、
酸素を供給して行う酸化精錬に伴って発生するスラグ
に、還元処理を施してスラグ中の(T・Cr) 濃度を0.3 〜
3.0wt%に調整し、次いで該スラグを固化処理してか
ら、直接または焼結後に高炉へ添加し、高炉にてスラグ
中の金属成分を溶鉄内に還元回収する一方、高炉からの
改質スラグは土木、建築用途に再利用することを特徴と
するクロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法。 - 【請求項2】 還元処理は、Si含有物質を用いて、かつ
溶鋼中のSi量が0.10〜0.30wt%の条件下で行う請求項1
に記載のクロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法。 - 【請求項3】 還元処理において、Si含有物質を用い
て、スラグ中のAl2O3量を10wt%以下としたスラグを高
炉に添加する請求項1または2に記載の方法。 - 【請求項4】 冷却後のスラグを粒径によって選別し、
粒径が10mm以下のスラグは焼結炉で焼結したのち、粒径
が10mmをこえるスラグはそのまま、高炉へ添加する請求
項1、2または3に記載のクロム含有鋼精錬スラグの再
生利用方法。 - 【請求項5】 固化処理として還元処理後のスラグに、
ほう素酸化物を添加し、冷却する請求項1、2、3また
は4に記載のクロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法。 - 【請求項6】 酸化精錬後に、スラグの塩基度(CaO /
SiO2)を1.8 〜3.0に調整して、スラグの還元処理に併
せて溶湯の脱硫を行うことを特徴とする請求項1、2、
3、4または5に記載のクロム含有鋼精錬スラグの再生
利用方法。 - 【請求項7】 精錬炉内に装入したクロム含有溶湯に、
酸素を供給して行う酸化精錬に伴って発生するスラグ
に、還元処理を施してスラグ中の(T・Cr) 濃度を 0.3〜
3.0wt%に調整し、次いで該スラグにほう素酸化物を添
加後冷却してから、スラグを直接または焼結後に高炉へ
添加し、高炉にてスラグ中の金属成分を溶鉄内に還元回
収し、その後高炉から出湯した溶鉄に、酸素を供給する
酸化精錬を行った後、高炉内スラグから溶鉄内に還元回
収されたBを除去してから、溶鉄を精錬炉に装入して脱
炭精錬を行うことを特徴とするクロム含有鋼精錬スラグ
に含有される金属成分の回収利用方法。 - 【請求項8】 酸素を、酸素原単位が2Nm3 /t溶鉄以
上で供給する請求項7記載のクロム含有鋼精錬スラグに
含有される金属成分の回収利用方法。 - 【請求項9】 脱炭精錬中に生成するスラグを、直接ま
たは焼結後に高炉へ添加してスラグ中の金属成分の回収
利用に供する請求項7または8に記載のクロム含有鋼精
錬スラグに含有される金属成分の回収利用方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7174797A JPH10265827A (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | クロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法および該スラグに含有される金属成分の回収利用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7174797A JPH10265827A (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | クロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法および該スラグに含有される金属成分の回収利用方法 |
Related Child Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2004161171A Division JP3994988B2 (ja) | 2004-05-31 | 2004-05-31 | クロム含有鋼精錬スラグに含有される金属成分の回収利用方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10265827A true JPH10265827A (ja) | 1998-10-06 |
Family
ID=13469441
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7174797A Pending JPH10265827A (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | クロム含有鋼精錬スラグの再生利用方法および該スラグに含有される金属成分の回収利用方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10265827A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003147429A (ja) * | 2001-11-12 | 2003-05-21 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 耐錆性に優れた低熱膨張性シャドウマスク用Fe−Ni系合金の製造方法 |
| JP2006341226A (ja) * | 2005-06-10 | 2006-12-21 | Nippon Steel Corp | 水中からのリンの除去方法 |
| CN101705317B (zh) | 2009-09-14 | 2011-06-29 | 重庆瑞帆再生资源开发有限公司 | 利用冶金烧结和高炉对铬渣进行无害化处理的方法 |
| CN105431557A (zh) * | 2013-07-08 | 2016-03-23 | 艾科弗有限责任公司 | 助熔剂、其生产工艺、造块混合物和来自二次冶金的炉渣的用途 |
| CN117587196A (zh) * | 2023-11-07 | 2024-02-23 | 阳江市大地环保建材有限公司 | 一种脱除硫元素的低碱度精炼渣系、制备方法及钢液精炼方法 |
| EP4212636A4 (en) * | 2020-09-10 | 2024-03-06 | JFE Steel Corporation | PROCESS FOR PRODUCING CHROME-CONTAINING MOLTED IRON |
-
1997
- 1997-03-25 JP JP7174797A patent/JPH10265827A/ja active Pending
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