JPH1026601A - バイオセンサ - Google Patents

バイオセンサ

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JPH1026601A
JPH1026601A JP8180286A JP18028696A JPH1026601A JP H1026601 A JPH1026601 A JP H1026601A JP 8180286 A JP8180286 A JP 8180286A JP 18028696 A JP18028696 A JP 18028696A JP H1026601 A JPH1026601 A JP H1026601A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バイオセンサにおける測定試料中の干渉物質に
よる測定精度低下を回避する. 【解決手段】絶縁基板1上に過酸化水素電極2を形成
し、その上にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜
3、アセチルセルロース膜4、パーフルオロカーボンス
ルホン酸樹脂膜5、触媒機能をもつ酵素を固定化した有
機高分子膜6、ポリアルキルシロキサン膜7を順次形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定試料中の特定
成分を電気化学的手法を用いて分析するバイオセンサに
関し、特に酸化還元物質等の妨害物質もしくは干渉物質
の影響を受けず、測定試料のpH値による測定精度低下
を抑制可能で、測定濃度範囲の広いバイオセンサに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】測定試料中の特定成分を酵素の触媒機能
により過酸化水素に変換し、この過酸化水素を電気化学
反応を利用して計測するバイオセンサの測定精度は、セ
ンサの電極表面で過酸化水素以外の酸化還元反応を起こ
す測定試料中の物質(以下、干渉物質という)に大きく
影響される。この影響は特に測定試料として尿、血液な
どの体液を測定対象とした場合に大きな問題となってい
る。干渉物質としては、アスコルビン酸、尿酸およびア
セトアミノフェンなどが挙げられる。従来からこれらの
干渉物質の影響を防ぐため、フッ素系のイオン交換性高
分子膜やセルロース誘導体の膜で電極表面を覆い、電極
表面へのこれらの干渉物質の透過を制限していた。
【0003】例えば、特開平7−159366号公報に
示されるように、携帯型測定器の電極表面への干渉物質
の透過を制限することを目的として、アセチルセルロー
スやイオン交換性膜材などが用いられている。図12は
前記公報の干渉物質の電極表面への透過を制限する構造
を示した図である。同図において、20は内部に酵素セ
ンサ38を内蔵しているセンサホルダである。そして、
下地電極30のプレーナ型過酸化水素電極は、例えばセ
ラミックスや樹脂フイルム31の表面に、金属電極32
として例えば白金、金、銀の薄膜を選択的に形成したも
のである。33は下地電極上に固定化される固定化酵素
膜である。この固定化酵素膜33はグルコース酸化酵素
や乳酸酸化酵素等の酵素からなる固定化酵素層を上下層
で保護するようなサンドイッチ構造が代表的である。固
定化酵素層35は架橋剤を用いる架橋法、ゲルの格子や
高分子で被覆する包括法などで形成される。下部保護膜
34は必要により電極表面への干渉物質の透過を制限す
るものであり、下地電極30および固定化酵素層35との
密着性・安定性が必要であり、アセチルセルロースやイ
オン交換性膜材などが利用される。上部保護膜36は固
定化酵素層35の保護、固定化酵素層35への基質の拡
散制限を目的とするものであり、固定化酵素層35との
密着性と機械的強度が必要である。そして、ナイロン格
子やポリカーボネイト等からなる表面保護膜37は上部
保護膜36の機能を強化するために別途に上部保護膜3
6上に密着させたものである。これらの各層の形成に
は、ディップコート法やスピンコート法を用いること
で、薄く均一な膜を得ることができる。例えば、下部保
護膜34は5%アセチルセルロース薄膜(溶媒組成はア
セトン:シクロヘキサン=3:1)を金属電極32に滴
下し、2000rpmで5秒間回転させて形成される。
固定化酵素層35は0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)で調製された0.5%グルタルアルデヒド溶液と酵
素とを混合した酵素溶液を下部保護膜34と同様にスピ
ンコートとして形成される。上部保護膜36は2.5%
アセチルセルロース薄膜(溶媒組成はアセトン:エタノ
ール=1:1)を1(cm/秒)でディップコートして
形成される。
【0004】触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分
子膜への測定対象物質の過剰な拡散を制限する技術とし
ては、以下のような技術が知られている。例えば、特開
昭63−304150号公報に示される技術では、グル
コースオキシダーゼを2つの膜の間に保もち固定化する
サンドイッチ構造をとっている。外側の膜はポリカーボ
ネートからなり、タンパク質などの巨大分子の通過とグ
ルコースの拡散を制限する。この膜によってセンサの測
定濃度範囲を拡大している。内側の膜はシリコーンゴム
またはメチルメタクリレートまたはアセチルセルロース
からなり、過酸化水素のみを透過させ、干渉物質の透過
を排除する。アセチルセルロース膜は過酸化水素の透過
性と強度の兼ね合いから、2−3μmが好ましいとされ
ている。
【0005】また特公平8−16669号公報に示され
る技術では、シリコーンを主成分とする膜がグルコース
の制限透過膜として用いられている。図13はこの公報
に示されている技術の一例を示す図である。絶縁基板1
上に作用極10、対極11、参照極12を形成する。そ
の後グルコース酸化酵素固定化膜41およびシリコーン
膜42をフォトリソグラフィ法を用いて形成し、最後に
チップ毎に切断しグルコースセンサとする。この発明に
よるグルコースセンサの製造方法は、膜をフォトリソグ
ラフィ法を用いてパターニングするため、特性の揃った
グルコースセンサを大量に製造することが可能である。
【0006】さらに、測定精度の向上に関する他の従来
技術としては、特開平8−50112号公報に示される
ように、ナフィオン膜がセンサの応答がピークに到達し
た後の経時的な変化をなくし、応答特性を向上せしめる
目的で用いられている。図14はこの公報に示されてい
る技術の一例を示す図である。絶縁基板1上に作用極1
0、対極11、参照極12が形成されている。この作用
極10上にアセチルセルロース膜51、グルコース酸化
酵素−光架橋ポリビニルアルコール混合物膜52、およ
びナフィオン膜53を順次積層したサンドイッチ構造の
グルコースバイオセンサである。また、作用極10の周
囲はシリコーン接着剤54で絶縁されている。この発明
によるグルコースバイオセンサにおいては、グルコース
酸化酵素−光架橋ポリビニルアルコール混合物膜52の
作用極側にはアセチルセルロース膜51を設け、それに
よってアスコルビン酸などの干渉物質の透過を防止し過
酸化水素のみを透過させ、またそれの反対側には骨格に
ナフィオン膜53を設けることにより、その応答値がピ
ークに到達した後の経時的な変化をなくし、応答特性を
向上せしめるという効果が得られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
においては、次のような問題が生じている。第1の問題
点は、電極表面への干渉物質の透過の制限が十分でな
い、ということである。その理由は、単一種の制限透過
膜で干渉物質の透過を十分に制限するためには、制限透
過膜の膜厚を厚くするか、制限透過膜の主成分濃度を高
くする必要があり、この場合、過酸化水素の透過も制限
されるため、バイオセンサの応答速度、応答出力を損な
われるためである。
【0008】第2の問題点は、測定試料中に測定対象物
質が高濃度で存在する場合、従来の制限透過膜では測定
対象物質の拡散を十分に制限できず、センサ出力が飽和
することである。その理由は、測定対象物質が過剰に有
機高分子膜に拡散することによって、測定対象物質が有
機高分子膜中の酵素によって過酸化水素に変換しきれな
くなるためである。
【0009】第3の問題点は、測定試料中のpH変動に
伴ってセンサ出力が変動することである。その理由は、
有機高分子膜中の酵素には至適pHが存在するため、測
定試料のpH変動によって酵素の活性が影響を受け、そ
の結果センサ出力も変動するためである。
【0010】本発明の目的は、干渉物質の電極への透過
を十分に制限可能な制限透過膜を備えたバイオセンサを
提供することにある。本発明のその他の目的は、測定試
料中の測定対象物質濃度が高濃度でも出力が飽和しない
バイオセンサを提供することにある。本発明のその他の
目的は、測定試料のpH変動しても、出力が変動しにく
いバイオセンサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による第1のバイ
オセンサは、絶縁基板上に形成された電極上にγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン膜、その上にアセチルセ
ルロース膜、その上にパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂膜、そしてその上に触媒機能をもつ酵素を固定化し
た有機高分子膜が順次形成された構造をもつものであ
る。γ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびセル
ロース誘導体であるアセチルセルロース膜は、微細な孔
をもつ緻密層によって分子量の大きな分子を排除する制
限透過性をもち、パーフルオロカーボンを骨格にもつイ
オン交換性膜であるパーフルオロカーボンスルホン酸樹
脂膜は、荷電をもった分子や原子を排除する制限透過性
をもつ。このため、それぞれを単独で用いるよりも高濃
度の干渉物質に対する制限透過性の効果が向上する。ま
た、アセチルセルロース膜上に形成されたパーフルオロ
カーボンスルホン酸樹脂膜は荷電をもたない過酸化水素
の過酸化水素電極への透過を妨害しないため、過酸化水
素の検出感度の低下が起こらない。
【0012】本発明による第2のバイオセンサは、絶縁
基板上形成された電極上にγ−アミノプロピルトリエト
キシシラン膜、その上にアセチルセルロース膜、その上
にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜、その上に触
媒機能をもった有機高分子膜、そしてその上にポリアル
キルシロキサンを主成分とする膜が順次形成された構造
をもつものである。触媒機能をもつ酵素を固定化した有
機高分子膜上にポリアルキルシロキサンを主成分とする
膜を形成することにより、タンパク質などの巨大分子の
透過と測定対象物質の拡散を制限することによってバイ
オセンサのセンサ出力安定化と測定濃度範囲拡大が可能
となる。さらに、センサ出力が測定試料のpHの影響を
受けにくくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施の形態
について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1
の実施形態のバイオセンサの断面構成図であり、このバ
イオセンサは、絶縁基板1上に過酸化水素電極2を形成
し、その上に第1の膜としてγ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン膜3、第2の膜としてアセチルセルロース
膜4、第3の膜としてパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂膜5、そして第4の膜として触媒機能をもった有機
高分子膜6を順次形成した構造をもつものである。前記
絶縁基板1の材料は、絶縁性の高いセラミックス、ガラ
スもしくは石英を主成分とするものであればよいが、耐
水性、耐熱性、耐薬品性および上記電極との密着性に優
れた材料であればよい。過酸化水素電極2の材料は、白
金、金、銀を主成分とするものであればよいが、測定試
料と反応せず、また耐薬品性および過酸化水素の検出特
性の優れた白金が望ましい。また、絶縁基板1上の白金
の形成方法は、スパッタリング法、イオンプレーティン
グ法、真空蒸着法、ケミカル・ベーパー・ディポジッシ
ョン法、電解法で形成することが望ましいが、短時間で
しかも低コストで絶縁基板1上に白金膜を形成すること
が可能なスパッタリング法が望ましい。
【0014】過酸化水素電極2上に形成する最初の膜で
あるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜3は、純
水で希釈したγ−アミノプロピルトリエトキシシランを
過酸化水素電極2上に滴下して、スピンコート法で形成
される。γ−アミノプロピルトリエトキシシランを純水
で希釈するのは、純水で希釈することによって、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン中のアルコシル基が水
と加水分解してシラノール基を生成させるためである。
純水中に溶解するγ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン濃度は0.5〜2(v/v%)が望ましい。これ
は、0,0.5,1.0,2.0(v/v%)のγ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を滴下し、スピ
ンコート法でγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜
を製膜した後、この電極の過酸化水素に対する電流出力
値とアスコルビン酸に対する電流出力値を相対出力値で
表した図5に示されているように、干渉物質(アスコル
ビン酸)のみの制限透過性は、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシランの濃度が0.5〜2(v/v%)の範囲
において認められるからである。さらに望ましくは、最
も顕著に制限透過性が向上する1(v/v%)のγ−ア
ミノトリエトキシシラン水溶液を用いる。
【0015】次にアセチルセルロース膜4は、アセトン
に溶解させて調製したアセチルセルロースをγ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン膜3上に滴下し、スピンコ
ート法で形成される。アセトンに溶解させるのは、アセ
チルセルロースがアセトンに対して高い溶解性をもつた
め、容易に溶解させることができるからである。アセト
ン中のアセチルセルロース濃度は0.5〜5(w/w
%)が望ましい。これは、アセチルセルロース濃度が
0,1,2,3,4,5(w/v%)のアセチルセルロ
ース溶液をγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜上
に滴下しスピンコート法でアセチルセルロース膜製膜し
た後、この電極の過酸化水素に対する電流出力値とアス
コルビン酸に対する電流出力値を相対出力値で表したア
セチルセルロース濃度に対する過酸化水素の電流出力値
とアスコルビン酸の出力値の割合を相対出力値で表した
図6に示されているように、干渉物質(アスコルビン
酸)のみの制限透過性は、アセチルセルロースの濃度が
0.5〜5(w/v%)の範囲において認められるから
であり、さらに望ましくは、制限透過性が最も顕著に向
上する2w/v%アセチルセルロース溶液を用いる。
【0016】次にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
膜5は、エタノールに溶解させて調製したパーフルオロ
カーボンスルホン酸樹脂をアセチルセルロース膜4上に
滴下し、スピンコート法で形成される。溶媒はエタノー
ル以外にもイソプロピルアルコールでも良いが、価格の
安いエタノールが好ましい。滴下するパーフルオロカー
ボンスルホン酸樹脂の濃度は、1(v/v%)以上が好
ましい。これは、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
の濃度が 0,1,2,3,5(w/v%)のパーフルオ
ロカーボンスルホン酸樹脂溶液をγ−アミノトリエトキ
シシラン膜上に滴下し、スピンコート法でパーフルオロ
カーボンスルホン酸樹脂膜を製膜した後、過酸化水素に
対する電流出力値とアスコルビン酸に対する電流出力値
を相対出力値で表した図7に示されているように、干渉
物質(アスコルビン酸)の制限透過性はパーフルオロカ
ーボンスルホン酸樹脂の濃度が1〜5(v/v%)の範
囲において認められるからである。さらに望ましくは最
も顕著に制限透過性が向上する5(v/v%)のパーフ
ルオロカーボンスルフォン酸樹脂溶液を用いる。
【0017】触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分
子膜6は、酸化酵素、0.1〜2(v/v%)のグルタ
ルアルデヒド、アルブミンを含む水溶液を、パーフルオ
ロカーボンスルホン酸樹脂膜5上に滴下し、スピンコー
ト法で形成される。各種酸化酵素としては乳酸酸化酵
素、グルコース酸化酵素、尿素酸化酵素、尿酸酸化酵
素、ガラクトース酸化酵素、ラクトース酸化酵素、スク
ロース酸化酵素、エタノール酸化酵素、メタノール酸化
酵素、スターチ酸化酵素、アミノ酸酸化酵素、モノアミ
ン酸化酵素、コレステロール酸化酵素、コリン酸化酵素
およびピルビン酸酸化酵素等、触媒反応の生成物として
過酸化水素を生成する酵素が挙げられる。図8に示され
ているように、滴下する水溶液中のグルタルアルデヒド
の濃度は、0.1〜2(v/v%)がよく、さらに望ま
しくは、0.5〜1(v/v%)がよい。これは、この
濃度範囲において、出力の安定したバイオセンサを得る
ことができるからである。なお、膜の形成方法について
は、均一な膜厚が形成できる方法であればよく、スピン
コート法以外にもスプレーコート法なども用いることが
できる。
【0018】次に、本発明の第2の実施の形態について
図面を参照して説明する。図2は第2の実施形態の断面
図であり、この実施形態のバイオセンサは、絶縁基板1
上に過酸化水素電極2を形成し、その上に第1の膜とし
てγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜3、第2の
膜としてアセチルセルロース膜4、第3の膜としてパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂膜5、第4の膜として
触媒機能をもった有機高分子膜6を有し、さらに第5の
膜としてポリアルキルシロキサン膜7を順次形成した構
造をもつものである。
【0019】過酸化水素電極2、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン膜3、アセチルセルロース膜4、パー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂膜5、触媒機能をもつ
酵素を固定化した有機高分子膜6は第1の実施の形態と
同様な方法により順次形成する。次に、ポリアルキルシ
ロキサン濃度が7(v/v%)以上のポリアルキルシロ
キサン溶液を触媒機能をもった有機高分子膜6上に滴下
し、スピンコート法によりポリアルキルシロキサン膜7
を形成する。ポリアルキルシロキサン膜製膜時のポリア
ルキルシロキサン濃度を7(v/v%)以上にするの
は、ポリアルキルシロキサン膜に十分な制限透過性をも
たせるためであり、さらに十分な制限透過性をもたせる
ためには、10(v/v%)以上であることが望まし
い。
【0020】次に、本発明の第3の実施の形態について
図3を用いて詳細に説明する。図3はその断面図であ
り、絶縁基板1上に作用極10、対極11および参照電
極12を形成し、その上にγ−アミノプロピルトリエト
キシシラン3の膜、アセチルセルロース膜4、パーフル
オロカーボンスルホン酸樹脂膜5、そしてその上に触媒
機能をもった有機高分子膜6を順次形成された構造をも
つものである。作用極10の材料は、白金、金、炭素で
あればよいが、好ましくは過酸化水素の検出特性優れ、
耐酸性および耐薬品性を備えた白金が望ましい。また、
絶縁基板上1の作用極10の形成方法は、短時間でしか
も低コストで形成することが可能なスパッタリング法が
望ましい。対極11の材料は白金、銀、炭素であればよ
いが、導電性に優れ、耐酸性および耐薬品性を備えた白
金が望ましい。また、絶縁基板上1の対極11の形成方
法は、短時間でしかも低コストで形成することが可能な
スパッタリング法が望ましい。参照電極12の材料は銀
/塩化銀が用いられる。銀/塩化銀の形成方法は上記の
スパッタリング法で銀を形成した後、塩酸溶液中で電解
重合か、銀よりもイオン化傾向の大きな金属塩化物もし
くは酸化還元電位の低い金属塩化物を含有する溶液に浸
漬して塩化銀を形成する方法が望ましい。大量生産する
際に低コストでしかも容易に製作することが可能である
からである。
【0021】これらの電極上に第1の実施の形態と同様
にして、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜3、
アセチルセルロース膜4、パーフルオロカーボンスルホ
ン酸樹脂膜5、触媒機能をもった有機高分子膜6が形成
される。さらに、触媒機能をもった有機高分子膜の上に
第2の実施の形態と同様にしてポリアルキルシロキサン
膜7を形成することも可能である。この実施形態によれ
ば、第1及び第2の実施形態と同様な効果が得られると
ともに、作用極、対極、参照極が一つの絶縁基板上に形
成されるため、このバイオセンサを実装する測定装置を
小型化でき、さらに、測定装置を簡素化し、しかも製造
コストを下げる効果を有する。
【0022】次に、本発明の第4の実施の形態について
図4を用いて詳細に説明する。図4はその断面図であ
り、絶縁基板1上に作用極10を2つ形成し、その上に
第1の実施の形態と同様にして、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン膜3、アセチルセルロース膜4、パー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂膜5を順次形成する。
そしてその上に触媒機能をもった有機高分子膜6と触媒
機能をもった有機高分子膜13を、それぞれ各作用極1
0上に形成される構造をもつものである。触媒機能をも
つ酵素を固定化した有機高分子膜6とこれとは異なる触
媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分子膜13の形成
は、フォトリソグラフィを用いて行う。触媒機能をもっ
た有機高分子膜6と触媒機能をもった有機高分子膜13
としては、たとえば、乳酸酸化酵素を固定化した有機高
分子膜と、グルコース酸化酵素を固定化した有機高分子
膜である。絶縁基板上1上に形成される作用極と触媒機
能をもった有機高分子膜の数に制限はない。さらに、触
媒機能をもった有機高分子膜の上に第2の実施の形態と
同様にして、ポリアルキルシロキサン膜7を形成するこ
とも可能である。この実施形態によれば、測定試料中の
2種類の特定成分を同時に分析できるバイオセンサが作
製できる。さらに、作用極10と触媒機能をもった有機
高分子膜の数に制限がないため、3種類以上の特定成分
を分析することができるバイオセンサを作製することも
可能である。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する (実施例1)絶縁基板上に形成した電極面積が3mm2
過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン水溶液、そしてグルコース酸化酵
素を含み、かつ0.55(v/v%)のグルタルアルデ
ヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコートして製膜
したグルコースセンサと、同様の過酸化水素電極上に1
(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン
水溶液、2(w/v%)のアセチルセルロース溶液、そ
してグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v
%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次
スピンコートして製膜したグルコースセンサと、同様の
過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v%)のアセチ
ルセルロース溶液、5(v/v%)のパーフルオロカー
ボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコース酸化酵素を
含み、かつ0.5(v/v%)のグルタルアルデヒドを
含むアルブミン溶液を順次スピンコートして製膜したグ
ルコースセンサをそれぞれ作製した。
【0024】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表1に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%としたときのそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。 すなわち、表1中の
値が100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜
条件であることを示している。その結果、過酸化水素電
極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン水溶液、2(w/v%)のアセチルセルロース
溶液、5(v/v%)のパーフルオロカーボンスルホン
酸樹脂溶液、そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ
0.5(v/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブ
ミン溶液を順次スピンコートして製膜したグルコースセ
ンサは干渉物質の影響を全く受けずに、グルコースを測
定することができた。
【0025】 *)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
【0026】(実施例2)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 の酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、そしてグル
コース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグル
タルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコー
トして製膜したグルコースセンサと、同様の過酸化水素
電極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエト
キシシラン水溶液、2(w/v%)のアセチルセルロー
ス溶液、そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5
(v/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶
液を順次スピンコートして製膜したグルコースセンサ
と、同様の過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v
%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコー
ス酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタル
アルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコートし
て製膜したグルコースセンサをそれぞれ作製した。
【0027】評価は100(mg/dl)グルコースの
測定時に電流出力値が定常状態となるまでに要する時間
を測定し比較した。結果を表2に示す。その結果、上記
材料を用いて製作したグルコースセンサおよび上記構造
のグルコースセンサは、測定時に要する時間に影響を与
えることはなかった。これは上記材料や構造が酵素の基
質に影響しないことを示している。
【0028】
【0029】(実施例3)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 の過酸化水素電極上に0.5、1、2(v
/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶
液、2(w/v%)のアセチルセルロース溶液、5(v
/v%)のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、
そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v
%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次
スピンコートして製膜したグルコースセンサをそれぞれ
製作した。
【0030】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表3に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%とし、そしてそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が
100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜条件
であることを示している。また、γ−アミノプロピルト
リエトキシシランを表3中ではAPTES と記載する。その
結果、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液の
濃度は1(v/v%)が最適であることがわかった。
【0031】
【0032】(実施例4)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、1,2,
3,4,5(w/v%)のアセチルセルロース溶液、5
(v/v%)のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶
液、そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5(v
/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を
順次スピンコートして製膜したグルコースセンサそれぞ
れ製作した。
【0033】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表4に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%とし、そしてそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が
100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜条件
であることを示している。その結果、干渉物質の影響を
低減させる最適なアセチルセルロースの濃度は2(w/
v%)であった。
【0034】
【0035】(実施例5)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 の過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v)%のアセチルセルロース溶液、1,2,5(v/v
%)のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そし
てグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)
のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピ
ンコートして製膜したグルコースセンサそれぞれ製作し
た。
【0036】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表5に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%とし、そしてそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が
100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜条件
であることを示している。その結果、干渉物質の影響を
低減させる最適なパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
の濃度は5(v/v%)であった。
【0037】
【0038】(実施例6)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 の過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコ
ース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタ
ルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコート
して製膜したグルコースセンサと、同様に過酸化水素電
極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン水溶液、2(w/v%)のアセチルセルロース
溶液、5(v/v%)のパーフルオロカーボンスルホン
酸樹脂溶液、そして乳酸酸化酵素を含み、かつ0.5
(v/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶
液を順次スピンコートして製膜した乳酸センサと、同様
に過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v%)のアセ
チルセルロース溶液、5(v/v%)のパーフルオロカ
ーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてエタノール酸化酵素
を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタルアルデヒド
を含むアルブミン溶液を順次スピンコートして製膜した
エタノールセンサをそれぞれ製作した。
【0039】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液、200μMの乳酸溶液および0.1(w/v
%)のエタノール中のそれぞれの濃度を測定したときの
測定値を比較して行った。表6に干渉物質が含まれない
100(mg/dl)グルコース溶液、200μMの乳
酸溶液および0.1(w/v%)のエタノールのみを測
定したときの測定値を100%とし、そして各種酸化酵
素を用いて液体中の特定成分を測定したときに得られる
出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が100%
に近いほど干渉物質の影響を受け難いことを示してい
る。その結果、上記材料および上記構造は、各種酸化酵
素を利用して特定成分を検出するセンサの種類によら
ず、干渉物質の影響を低減させた。
【0040】
【0041】(実施例7)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v
%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコー
ス酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタル
アルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコートし
て製膜したグルコースセンサを製作した。
【0042】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸、2(mg/dl)の尿酸、2mMの
オルトアセトアミノフェンをそれぞれ含む100(mg
/dl)のグルコース溶液中のグルコース濃度を測定し
たときの測定値を比較して行った。表7に干渉物質が含
まれない100mg/dlのグルコース溶液のみを測定
したときの測定値を100%とし、そして各種干渉物質
を含む溶液中のグルコースを測定したときに得られる測
定値を相対値で示す。すなわち、表中の値が100%に
近いほど干渉物質の影響を受け難いことを示している。
その結果、上記材料および上記構造は、アスコルビン
酸、尿酸塩およびアセトアミノフェンに対して高い制限
透過性をもっていた。
【0043】
【0044】(実施例8)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v
%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコー
ス酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタル
アルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコートし
て製膜したグルコースセンサと、同面積の過酸化水素電
極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、5(v/v%)のパーフルオロカーボンスル
ホン酸樹脂溶液、2(w/v%)のアセチルセルロース
溶液、そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5
(v/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶
液を順次スピンコートして製膜したグルコースセンサを
それぞれ製作した。
【0045】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表8に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%とし、そしてそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が
100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜条件
であることを示している。その結果、干渉物質に対する
制限透過性は、過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコ
ース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタ
ルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコート
して製膜した構造をもつグルコースセンサが高かった。
【0046】
【0047】(実施例9)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v
%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液を順次スピンコー
トして、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜、ア
セチルセルロース膜、パーフルオロカーボンスルフォン
酸樹脂膜を形成した後、グルコース酸化酵素と0.1,
0.3,0.5,1.0,1.5,2.0(v/v%)
のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を各々パー
フルオロカーボンスルホン酸膜上に滴下し、スピンコー
ト法で有機高分子膜を製膜したグルコースセンサ6種を
作成した。これらのグルコースセンサを用いて10(m
g/dl)グルコース溶液を11回繰り返して測定し
た。アルブミン溶液中のグルタルアルデヒド濃度とグル
コースセンサのグルコースに対する電流出力値の変動係
数を表した図8に示されているように、グルコースセン
サはグルタルアルデヒド濃度が0.5〜1.0(v/v
%)であるようなアルブミン溶液を滴下して有機高分子
膜を製膜した場合において最も安定したセンサ出力を与
えた。
【0048】(実施例10)絶縁基板上に形成した電極
面積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコ
ース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタ
ルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコート
して製膜した。さらに、各種濃度のポリアルキルシロキ
サン溶液をグルコース酸化酵素を固定化した有機高分子
膜上に滴下し、スピンコート法でポリアルキルシロキサ
ン膜を製膜した後、これらグルコースセンサにより各種
濃度のグルコース溶液に対する電流出力値を測定した。
各センサの相対出力値を表した図9に示されているよう
に、グルコースの制限透過性は、ポリアルキルシロキサ
ン濃度が7(v/v%)以上の場合において認められ、
特に10(v/v%)以上の場合では、グルコース濃度
500(mg/dl)まで電流出力値が飽和せず、高濃
度のグルコース溶液の測定が可能であった。
【0049】(実施例11)絶縁基板上に形成した電極
面積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコ
ース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタ
ルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコート
して製膜した。さらに、その上にダウコーニング社製の
シリコーンを用いて調製した14(v/v%)ポリアル
キルシロキサン溶液をグルコース酸化酵素を含有する有
機高分子膜上に滴下し、スピンコート法でポリアルキル
シロキサン膜を製膜した。図10はこのようにして形成
したポリアルキルシロキサン膜を有するグルコースセン
サの、pHの異なる100(mg/dl)グルコース溶
液に対する電流出力値をpH7の出力値を100%とし
た相対出力値で表した図である。図11にはポリアルキ
ルシロキサン膜を形成しなかったグルコースセンサの1
00 (mg/dl)グルコース溶液に対する電流出力値
もpH7の出力値を100%とした相対出力値で表し
た。ポリアルキルシロキサン膜を有するグルコースセン
サはpH6〜8の範囲でほぼ同程度の出力値をもたらし
たのに対し、ポリアルキルシロキサン膜を形成しなかっ
た場合、出力値はグルコース溶液のpHに大きく左右さ
れた。
【0050】
【発明の効果】以上の実施形態および実施例の説明から
明らかなように、本発明のバイオセンサによれば、次の
効果を得ることができる。第1の効果は、高濃度の干渉
物質を含有する測定試料中の特定成分を精度良く測定す
ることが可能になることである。その理由は、過酸化水
素電極上に、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの
膜、アセチルセルロース膜そしてパーフルオロカーボン
スルホン酸樹脂膜を順次形成したため、触媒機能をもつ
酵素を固定化した有機高分子膜中で発生した過酸化水素
の電極への透過の制限を最小限に抑え、かつ、干渉物質
の電極への透過が十分制限されるためである。第2の効
果は、測定濃度範囲の拡大され、pH変動の大きな測定
試料でも高い精度で特定成分を測定することが可能にな
ることである。その理由は、触媒機能をもつ酵素を固定
化した有機高分子膜上にポリアルキルシロキサン膜を形
成することにより、測定対象物質の過剰な拡散が制限さ
れるためである。第3の効果は、大量に、しかも低コス
トで生産が可能になることである。その理由は、既存の
半導体製造工程の大部分を流用することが可能であるた
めである。第4の効果は、測定装置自体も小型化できる
ことである。その理由は対極および参照電極を、絶縁基
板上に作用極と一緒に組み込むことが可能であるからで
ある。第5の効果は、測定試料中の複数の特定試料成分
が同時に測定できることである。その理由は複数の作用
電極上にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜、ア
セチルセルロース膜、パーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂膜を介して、異なる触媒機能をもつ酵素を固定化し
た有機高分子膜を形成できるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバイオセンサの第1の実施形態を
示す断面図である。
【図2】本発明によるバイオセンサの第2の実施形態を
示す断面図である。
【図3】本発明によるバイオセンサの第3の実施形態を
示す断面図である。
【図4】本発明によるバイオセンサの第4の実施形態を
示す断面図である。
【図5】γ−アミノプロピルエトキシシラン濃度と相対
出力との関係を示す図である。
【図6】アセチルセルロース濃度と相対出力との関係を
示す図である。
【図7】パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂濃度と相
対出力との関係を示す図である。
【図8】グルタルアルデヒド濃度と変動係数との関係を
示す図である。
【図9】本発明の実施例によるグルコースセンサの応答
特性を示す図である。
【図10】本発明の実施例によるグルコースセンサのp
Hと相対出力の関係を示す図である。
【図11】対照例によるグルコースセンサのpHと相対
出力の関係を示す図である。
【図12】従来技術のバイオセンサの一例の断面図であ
る。
【図13】従来技術のバイオセンサの他の例の断面図で
ある。
【図14】従来技術のバイオセンサのさらに他の例の断
面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板 2 過酸化水素電極 3 γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 4 アセチルセルロース膜 5 パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜 6 触媒機能をつ酵素を固定化した有機高分子膜 7 ポリアルキルシロキサン膜 10 作用極 11 対極 12 参照極 13 触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分子膜 20 センサホルダ 30 下地電極 31 セラミックスや樹脂フィルム 32 金属電極 33 固定化酵素膜 34 下地保護膜 35 固定化酵素層 36 上部保護膜 37 表面保護膜 41 グルコース酸化酵素固定化膜 42 シリコーン膜 51 アセチルセルロース膜 52 グルコース酸化酵素−光架橋ポリビニルアルコー
ル混合物質 53 ナフィオン膜 54 シリコーン接着剤
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年12月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 バイオセンサ
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定試料中の特定
成分を電気化学的手法を用いて分析するバイオセンサに
関し、特に酸化還元物質等の妨害物質もしくは干渉物質
の影響を受けず、測定試料のpH値による測定精度低下
を抑制可能で、測定濃度範囲の広いバイオセンサに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】測定試料中の特定成分を酵素の触媒機能
により過酸化水素に変換し、この過酸化水素を電気化学
反応を利用して計測するバイオセンサの測定精度は、セ
ンサの電極表面で過酸化水素以外の酸化還元反応を起こ
す測定試料中の物質(以下、干渉物質という)に大きく
影響される。この影響は特に測定試料として尿、血液な
どの体液を測定対象とした場合に大きな問題となってい
る。干渉物質としては、アスコルビン酸、尿酸およびア
セトアミノフェンなどが挙げられる。従来からこれらの
干渉物質の影響を防ぐため、フッ素系のイオン交換性高
分子膜やセルロース誘導体の膜で電極表面を覆い、電極
表面へのこれらの干渉物質の透過を制限していた。
【0003】例えば、特開平7−159366号公報に
示されるように、携帯型測定器の電極表面への干渉物質
の透過を制限することを目的として、アセチルセルロー
スやイオン交換性膜材などが用いられている。図12は
前記公報の干渉物質の電極表面への透過を制限する構造
を示した図である。同図において、20は内部に酵素セ
ンサ38を内蔵しているセンサホルダである。そして、
下地電極30のプレーナ型過酸化水素電極は、例えばセ
ラミックスや樹脂フイルム31の表面に、金属電極32
として例えば白金、金、銀の薄膜を選択的に形成したも
のである。33は下地電極上に固定化される固定化酵素
膜である。この固定化酵素膜33はグルコース酸化酵素
や乳酸酸化酵素等の酵素からなる固定化酵素層を上下層
で保護するようなサンドイッチ構造が代表的である。固
定化酵素層35は架橋剤を用いる架橋法、ゲルの格子や
高分子で被覆する包括法などで形成される。下部保護膜
34は必要により電極表面への干渉物質の透過を制限す
るものであり、下地電極30および固定化酵素層35
の密着性・安定性が必要であり、アセチルセルロースや
イオン交換性膜材などが利用される。上部保護膜36は
固定化酵素層35の保護、固定化酵素層35への基質の
拡散制限を目的とするものであり、固定化酵素層35と
の密着性と機械的強度が必要である。そして、ナイロン
格子やポリカーボネイト等からなる表面保護膜37は上
部保護膜36の機能を強化するために別途に上部保護膜
36上に密着させたものである。これらの各層の形成に
は、ディップコート法やスピンコート法を用いること
で、薄く均一な膜を得ることができる。例えば、下部保
護膜34は5%アセチルセルロース薄膜(溶媒組成はア
セトン:シクロヘキサン=3:1)を金属電極32に滴
下し、2000rpmで5秒間回転させて形成される。
固定化酵素層35は0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)で調製された0.5%グルタルアルデヒド溶液と酵
素とを混合した酵素溶液を下部保護膜34と同様にスピ
ンコートとして形成される。上部保護膜36は2.5%
アセチルセルロース薄膜(溶媒組成はアセトン:エタノ
ール=1:1)を1(cm/秒)でディップコートして
形成される。
【0004】触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分
子膜への測定対象物質の過剰な拡散を制限する技術とし
ては、以下のような技術が知られている。例えば、特開
昭63−304150号公報に示される技術では、グル
コースオキシダーゼを2つの膜の間に保もち固定化する
サンドイッチ構造をとっている。外側の膜はポリカーボ
ネートからなり、タンパク質などの巨大分子の通過とグ
ルコースの拡散を制限する。この膜によってセンサの測
定濃度範囲を拡大している。内側の膜はシリコーンゴム
またはメチルメタクリレートまたはアセチルセルロース
からなり、過酸化水素のみを透過させ、干渉物質の透過
を排除する。アセチルセルロース膜は過酸化水素の透過
性と強度の兼ね合いから、2−3μmが好ましいとされ
ている。
【0005】また特公平8−16669号公報に示され
る技術では、シリコーンを主成分とする膜がグルコース
の制限透過膜として用いられている。図13はこの公報
に示されている技術の一例を示す図である。絶縁基板1
上に作用極10、対極11、参照極12を形成する。そ
の後グルコース酸化酵素固定化膜41およびシリコーン
膜42をフォトリソグラフィ法を用いて形成し、最後に
チップ毎に切断しグルコースセンサとする。この発明に
よるグルコースセンサの製造方法は、膜をフォトリソグ
ラフィ法を用いてパターニングするため、特性の揃った
グルコースセンサを大量に製造することが可能である。
【0006】さらに、測定精度の向上に関する他の従来
技術としては、特開平8−50112号公報に示される
ように、ナフィオン膜がセンサの応答がピークに到達し
た後の経時的な変化をなくし、応答特性を向上せしめる
目的で用いられている。図14はこの公報に示されてい
る技術の一例を示す図である。絶縁基板1上に作用極1
0、対極11、参照極12が形成されている。この作用
極10上にアセチルセルロース膜51、グルコース酸化
酵素−光架橋ポリビニルアルコール混合物膜52、およ
びナフィオン膜53を順次積層したサンドイッチ構造の
グルコースバイオセンサである。また、作用極10の周
囲はシリコーン接着剤54で絶縁されている。この発明
によるグルコースバイオセンサにおいては、グルコース
酸化酵素−光架橋ポリビニルアルコール混合物膜52の
作用極側にはアセチルセルロース膜51を設け、それに
よってアスコルビン酸などの干渉物質の透過を防止し過
酸化水素のみを透過させ、またそれの反対側には骨格に
ナフィオン膜53を設けることにより、その応答値がピ
ークに到達した後の経時的な変化をなくし、応答特性を
向上せしめるという効果が得られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
においては、次のような問題が生じている。第1の問題
点は、電極表面への干渉物質の透過の制限が十分でな
い、ということである。その理由は、単一種の制限透過
膜で干渉物質の透過を十分に制限するためには、制限透
過膜の膜厚を厚くするか、制限透過膜の主成分濃度を高
くする必要があり、この場合、過酸化水素の透過も制限
されるため、バイオセンサの応答速度、応答出力を損な
われるためである。
【0008】第2の問題点は、測定試料中に測定対象物
質が高濃度で存在する場合、従来の制限透過膜では測定
対象物質の拡散を十分に制限できず、センサ出力が飽和
することである。その理由は、測定対象物質が過剰に有
機高分子膜に拡散することによって、測定対象物質が有
機高分子膜中の酵素によって過酸化水素に変換しきれな
くなるためである。
【0009】第3の問題点は、測定試料中のpH変動に
伴ってセンサ出力が変動することである。その理由は、
有機高分子膜中の酵素には至適pHが存在するため、測
定試料のpH変動によって酵素の活性が影響を受け、そ
の結果センサ出力も変動するためである。
【0010】本発明の目的は、干渉物質の電極への透過
を十分に制限可能な制限透過膜を備えたバイオセンサを
提供することにある。本発明のその他の目的は、測定試
料中の測定対象物質濃度が高濃度でも出力が飽和しない
バイオセンサを提供することにある。本発明のその他の
目的は、測定試料のpH変動しても、出力が変動しにく
いバイオセンサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による第1のバイ
オセンサは、絶縁基板上に形成された電極上にγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン膜、その上にアセチルセ
ルロース膜、その上にパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂膜、そしてその上に触媒機能をもつ酵素を固定化し
た有機高分子膜が順次形成された構造をもつものであ
る。γ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびセル
ロース誘導体であるアセチルセルロース膜は、微細な孔
をもつ緻密層によって分子量の大きな分子を排除する制
限透過性をもち、パーフルオロカーボンを骨格にもつイ
オン交換性膜であるパーフルオロカーボンスルホン酸樹
脂膜は、荷電をもった分子や原子を排除する制限透過性
をもつ。このため、それぞれを単独で用いるよりも高濃
度の干渉物質に対する制限透過性の効果が向上する。ま
た、アセチルセルロース膜上に形成されたパーフルオロ
カーボンスルホン酸樹脂膜は荷電をもたない過酸化水素
の過酸化水素電極への透過を妨害しないため、過酸化水
素の検出感度の低下が起こらない。
【0012】本発明による第2のバイオセンサは、絶縁
基板上形成された電極上にγ−アミノプロピルトリエト
キシシラン膜、その上にアセチルセルロース膜、その上
にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜、その上に触
媒機能をもった有機高分子膜、そしてその上にポリアル
キルシロキサンを主成分とする膜が順次形成された構造
をもつものである。触媒機能をもつ酵素を固定化した有
機高分子膜上にポリアルキルシロキサンを主成分とする
膜を形成することにより、タンパク質などの巨大分子の
透過と測定対象物質の拡散を制限することによってバイ
オセンサのセンサ出力安定化と測定濃度範囲拡大が可能
となる。さらに、センサ出力が測定試料のpHの影響を
受けにくくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施の形態
について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1
の実施形態のバイオセンサの断面構成図であり、このバ
イオセンサは、絶縁基板1上に過酸化水素電極2を形成
し、その上に第1の膜としてγ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン膜3、第2の膜としてアセチルセルロース
膜4、第3の膜としてパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂膜5、そして第4の膜として触媒機能をもった有機
高分子膜6を順次形成した構造をもつものである。前記
絶縁基板1の材料は、絶縁性の高いセラミックス、ガラ
スもしくは石英を主成分とするものであればよいが、耐
水性、耐熱性、耐薬品性および上記電極との密着性に優
れた材料であればよい。過酸化水素電極2の材料は、白
金、金、銀を主成分とするものであればよいが、測定試
料と反応せず、また耐薬品性および過酸化水素の検出特
性の優れた白金が望ましい。また、絶縁基板1上の白金
の形成方法は、スパッタリング法、イオンプレーティン
グ法、真空蒸着法、ケミカル・ベーパー・ディポジッシ
ョン法、電解法で形成することが望ましいが、短時間で
しかも低コストで絶縁基板1上に白金膜を形成すること
が可能なスパッタリング法が望ましい。
【0014】過酸化水素電極2上に形成する最初の膜で
あるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜3は、純
水で希釈したγ−アミノプロピルトリエトキシシランを
過酸化水素電極2上に滴下して、スピンコート法で形成
される。γ−アミノプロピルトリエトキシシランを純水
で希釈するのは、純水で希釈することによって、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン中のアルコシル
水と加水分解してシラノール基を生成させるためであ
る。 純水中に溶解するγ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン濃度は0.5〜2(v/v%)が望ましい。こ
れは、0,0.5,1.0,2.0(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液を滴下し、ス
ピンコート法でγ−アミノプロピルトリエトキシシラン
膜を製膜した後、この電極の過酸化水素に対する電流出
力値とアスコルビン酸に対する電流出力値を相対出力値
で表した図5に示されているように、干渉物質(アスコ
ルビン酸)のみの制限透過性は、γ−アミノプロピルト
リエトキシシランの濃度が0.5〜2(v/v%)の範
囲において認められるからである。さらに望ましくは、
最も顕著に制限透過性が向上する1(v/v%)のγ−
アミノトリエトキシシラン水溶液を用いる。
【0015】次にアセチルセルロース膜4は、アセトン
に溶解させて調製したアセチルセルロースをγ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン膜3上に滴下し、スピンコ
ート法で形成される。アセトンに溶解させるのは、アセ
チルセルロースがアセトンに対して高い溶解性をもつた
め、容易に溶解させることができるからである。アセト
ン中のアセチルセルロース濃度は0.5〜5(w/w
%)が望ましい。これは、アセチルセルロース濃度が
0,1,2,3,4,5(w/v%)のアセチルセルロ
ース溶液をγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜上
に滴下しスピンコート法でアセチルセルロース膜製膜
した後、この電極の過酸化水素に対する電流出力値とア
スコルビン酸に対する電流出力値を相対出力値で表した
アセチルセルロース濃度に対する過酸化水素の電流出力
値とアスコルビン酸の出力値の割合を相対出力値で表し
た図6に示されているように、干渉物質(アスコルビン
酸)のみの制限透過性は、アセチルセルロースの濃度が
0.5〜5(w/v%)の範囲において認められるから
であり、さらに望ましくは、制限透過性が最も顕著に向
上する2w/v%アセチルセルロース溶液を用いる。
【0016】次にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
膜5は、エタノールに溶解させて調製したパーフルオロ
カーボンスルホン酸樹脂をアセチルセルロース膜4上に
滴下し、スピンコート法で形成される。溶媒はエタノー
ル以外にもイソプロピルアルコールでも良いが、価格の
安いエタノールが好ましい。滴下するパーフルオロカー
ボンスルホン酸樹脂の濃度は、1(v/v%)以上が好
ましい。これは、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
の濃度が,1,2,3,5(w/v%)のパーフルオ
ロカーボンスルホン酸樹脂溶液をγ−アミノトリエトキ
シシラン膜上に滴下し、スピンコート法でパーフルオロ
カーボンスルホン酸樹脂膜を製膜した後、過酸化水素に
対する電流出力値とアスコルビン酸に対する電流出力値
を相対出力値で表した図7に示されているように、干渉
物質(アスコルビン酸)の制限透過性は、パーフルオロ
カーボンスルホン酸樹脂の濃度が1〜5(v/v%)の
範囲において認められるからである。さらに望ましくは
最も顕著に制限透過性が向上する5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液を用いる。
【0017】触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分
子膜6は、酸化酵素、0.1〜2(v/v%)のグルタ
ルアルデヒド、アルブミンを含む水溶液を、パーフルオ
ロカーボンスルホン酸樹脂膜5上に滴下し、スピンコー
ト法で形成される。各種酸化酵素としては乳酸酸化酵
素、グルコース酸化酵素、尿素酸化酵素、尿酸酸化酵
素、ガラクトース酸化酵素、ラクトース酸化酵素、スク
ロース酸化酵素、エタノール酸化酵素、メタノール酸化
酵素、スターチ酸化酵素、アミノ酸酸化酵素、モノアミ
ン酸化酵素、コレステロール酸化酵素、コリン酸化酵素
およびピルビン酸酸化酵素等、触媒反応の生成物として
過酸化水素を生成する酵素が挙げられる。図8に示され
ているように、滴下する水溶液中のグルタルアルデヒド
の濃度は、0.1〜2(v/v%)がよく、さらに望ま
しくは、0.5〜1(v/v%)がよい。これは、この
濃度範囲において、出力の安定したバイオセンサを得る
ことができるからである。なお、膜の形成方法について
は、均一な膜厚が形成できる方法であればよく、スピン
コート法以外にもスプレーコート法なども用いることが
できる。
【0018】次に、本発明の第2の実施の形態について
図面を参照して説明する。図2は第2の実施形態の断面
図であり、この実施形態のバイオセンサは、絶縁基板1
上に過酸化水素電極2を形成し、その上に第1の膜とし
てγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜3、第2の
膜としてアセチルセルロース膜4、第3の膜としてパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂膜5、第4の膜として
触媒機能をもった有機高分子膜6を有し、さらに第5の
膜としてポリアルキルシロキサン膜7を順次形成した構
造をもつものである。
【0019】過酸化水素電極2、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン膜3、アセチルセルロース膜4、パー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂膜5、触媒機能をもつ
酵素を固定化した有機高分子膜6は第1の実施の形態と
同様な方法により順次形成する。次に、ポリアルキルシ
ロキサン濃度が7(v/v%)以上のポリアルキルシロ
キサン溶液を触媒機能をもった有機高分子膜6上に滴下
し、スピンコート法によりポリアルキルシロキサン膜7
を形成する。ポリアルキルシロキサン膜製膜時のポリア
ルキルシロキサン濃度を7(v/v%)以上にするの
は、ポリアルキルシロキサン膜に十分な制限透過性をも
たせるためであり、さらに十分な制限透過性をもたせる
ためには、10(v/v%)以上であることが望まし
い。
【0020】次に、本発明の第3の実施の形態について
図3を用いて詳細に説明する。図3はその断面図であ
り、絶縁基板1上に作用極10、対極11および参照
12を形成し、その上にγ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン膜3、アセチルセルロース膜4、パーフルオロ
カーボンスルホン酸樹脂膜5、そしてその上に触媒機能
をもった有機高分子膜6を順次形成された構造をもつも
のである。作用極10の材料は、白金、金、炭素であれ
ばよいが、好ましくは過酸化水素の検出特性優れ、耐酸
性および耐薬品性を備えた白金が望ましい。また、絶縁
基板上1の作用極10の形成方法は、短時間でしかも低
コストで形成することが可能なスパッタリング法が望ま
しい。対極11の材料は白金、銀、炭素であればよい
が、導電性に優れ、耐酸性および耐薬品性を備えた白金
が望ましい。また、絶縁基板上1の対極11の形成方法
は、短時間でしかも低コストで形成することが可能なス
パッタリング法が望ましい。参照12の材料は銀/塩
化銀が用いられる。銀/塩化銀の形成方法は上記のスパ
ッタリング法で銀を形成した後、塩酸溶液中で電解重合
か、銀よりもイオン化傾向の大きな金属塩化物もしくは
酸化還元電位の低い金属塩化物を含有する溶液に浸漬し
て塩化銀を形成する方法が望ましい。大量生産する際に
低コストでしかも容易に製作することが可能であるから
である。
【0021】これらの上に第1の実施の形態と同様に
して、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜3、ア
セチルセルロース膜4、パーフルオロカーボンスルホン
酸樹脂膜5、触媒機能をもった有機高分子膜6が形成さ
れる。さらに、触媒機能をもった有機高分子膜の上に第
2の実施の形態と同様にしてポリアルキルシロキサン膜
7を形成することも可能である。この実施形態によれ
ば、第1及び第2の実施形態と同様な効果が得られると
ともに、作用極、対極、参照極が一つの絶縁基板上に形
成されるため、このバイオセンサを実装する測定装置を
小型化でき、さらに、測定装置を簡素化し、しかも製造
コストを下げる効果を有する。
【0022】次に、本発明の第4の実施の形態について
図4を用いて詳細に説明する。図4はその断面図であ
り、絶縁基板1上に作用極10を2つ形成し、その上に
第1の実施の形態と同様にして、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン膜3、アセチルセルロース膜4、パー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂膜5を順次形成する。
そしてその上に触媒機能をもった有機高分子膜6と触媒
機能をもった有機高分子膜13を、それぞれ各作用極1
0上に形成される構造をもつものである。触媒機能をも
つ酵素を固定化した有機高分子膜6とこれとは異なる触
媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分子膜13の形成
は、フォトリソグラフィを用いて行う。触媒機能をもっ
た有機高分子膜6と触媒機能をもった有機高分子膜13
としては、たとえば、乳酸酸化酵素を固定化した有機高
分子膜と、グルコース酸化酵素を固定化した有機高分子
膜である。絶縁基板上1上に形成される作用極と触媒機
能をもった有機高分子膜の数に制限はない。さらに、触
媒機能をもった有機高分子膜の上に第2の実施の形態と
同様にして、ポリアルキルシロキサン膜7を形成するこ
とも可能である。この実施形態によれば、測定試料中の
2種類の特定成分を同時に分析できるバイオセンサが作
製できる。さらに、作用極10と触媒機能をもった有機
高分子膜の数に制限がないため、3種類以上の特定成分
を分析することができるバイオセンサを作製することも
可能である。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する (実施例1)絶縁基板上に形成した電極面積が3mm2
過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン水溶液、そしてグルコース酸化酵
素を含み、かつ0.55(v/v%)のグルタルアルデ
ヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコートして製膜
したグルコースセンサと、同様の過酸化水素電極上に1
(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン
水溶液、2(w/v%)のアセチルセルロース溶液、そ
してグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v
%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次
スピンコートして製膜したグルコースセンサと、同様の
過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v%)のアセチ
ルセルロース溶液、5(v/v%)のパーフルオロカー
ボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコース酸化酵素を
含み、かつ0.5(v/v%)のグルタルアルデヒドを
含むアルブミン溶液を順次スピンコートして製膜したグ
ルコースセンサをそれぞれ作製した。
【0024】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表1に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%としたときのそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。 すなわち、表1中の
値が100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜
条件であることを示している。その結果、過酸化水素電
極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン水溶液、2(w/v%)のアセチルセルロース
溶液、5(v/v%)のパーフルオロカーボンスルホン
酸樹脂溶液、そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ
0.5(v/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブ
ミン溶液を順次スピンコートして製膜したグルコースセ
ンサは干渉物質の影響を全く受けずに、グルコースを測
定することができた。
【0025】 *)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
【0026】(実施例2)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 の酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、そしてグル
コース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグル
タルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコー
トして製膜したグルコースセンサと、同様の過酸化水素
電極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエト
キシシラン水溶液、2(w/v%)のアセチルセルロー
ス溶液、そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5
(v/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶
液を順次スピンコートして製膜したグルコースセンサ
と、同様の過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v
%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコー
ス酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタル
アルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコートし
て製膜したグルコースセンサをそれぞれ作製した。
【0027】評価は100(mg/dl)グルコースの
測定時に電流出力値が定常状態となるまでに要する時間
を測定し比較した。結果を表2に示す。その結果、上記
材料を用いて製作したグルコースセンサおよび上記構造
のグルコースセンサは、測定時に要する時間に影響を与
えることはなかった。これは上記材料や構造が酵素の基
質に影響しないことを示している。表2中のAPTES はγ
−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0028】
【0029】(実施例3)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 の過酸化水素電極上に0.5、1、2(v
/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶
液、2(w/v%)のアセチルセルロース溶液、5(v
/v%)のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、
そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v
%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次
スピンコートして製膜したグルコースセンサをそれぞれ
製作した。
【0030】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表3に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%とし、そしてそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が
100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜条件
であることを示している。その結果、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン水溶液の濃度は1(v/v%)が
最適であることがわかった。
【0031】
【0032】(実施例4)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、1,2,
3,4,5(w/v%)のアセチルセルロース溶液、5
(v/v%)のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶
液、そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5(v
/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を
順次スピンコートして製膜したグルコースセンサそれぞ
れ製作した。
【0033】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表4に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%とし、そしてそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が
100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜条件
であることを示している。その結果、干渉物質の影響を
低減させる最適なアセチルセルロースの濃度は2(w/
v%)であった。
【0034】
【0035】(実施例5)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 の過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v)%のアセチルセルロース溶液、1,2,5(v/v
%)のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そし
てグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)
のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピ
ンコートして製膜したグルコースセンサそれぞれ製作し
た。
【0036】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表5に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%とし、そしてそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が
100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜条件
であることを示している。その結果、干渉物質の影響を
低減させる最適なパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
の濃度は5(v/v%)であった。
【0037】
【0038】(実施例6)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 の過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコ
ース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタ
ルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコート
して製膜したグルコースセンサと、同様に過酸化水素電
極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン水溶液、2(w/v%)のアセチルセルロース
溶液、5(v/v%)のパーフルオロカーボンスルホン
酸樹脂溶液、そして乳酸酸化酵素を含み、かつ0.5
(v/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶
液を順次スピンコートして製膜した乳酸センサと、同様
に過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v%)のアセ
チルセルロース溶液、5(v/v%)のパーフルオロカ
ーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてエタノール酸化酵素
を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタルアルデヒド
を含むアルブミン溶液を順次スピンコートして製膜した
エタノールセンサをそれぞれ製作した。
【0039】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液、200μMの乳酸溶液および0.1(w/v
%)のエタノール中のそれぞれの濃度を測定したときの
測定値を比較して行った。表6に干渉物質が含まれない
100(mg/dl)グルコース溶液、200μMの乳
酸溶液および0.1(w/v%)のエタノールのみを測
定したときの測定値を100%とし、そして各種酸化酵
素を用いて液体中の特定成分を測定したときに得られる
出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が100%
に近いほど干渉物質の影響を受け難いことを示してい
る。その結果、上記材料および上記構造は、各種酸化酵
素を利用して特定成分を検出するセンサの種類によら
ず、干渉物質の影響を低減させた。
【0040】
【0041】(実施例7)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v
%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコー
ス酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタル
アルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコートし
て製膜したグルコースセンサを製作した。
【0042】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸、2(mg/dl)の尿酸、2mMの
オルトアセトアミノフェンをそれぞれ含む100(mg
/dl)のグルコース溶液中のグルコース濃度を測定し
たときの測定値を比較して行った。表7に干渉物質が含
まれない100mg/dlのグルコース溶液のみを測定
したときの測定値を100%とし、そして各種干渉物質
を含む溶液中のグルコースを測定したときに得られる測
定値を相対値で示す。すなわち、表中の値が100%に
近いほど干渉物質の影響を受け難いことを示している。
その結果、上記材料および上記構造は、アスコルビン
酸、尿酸塩およびアセトアミノフェンに対して高い制限
透過性をもっていた。
【0043】
【0044】(実施例8)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v
%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコー
ス酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタル
アルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコートし
て製膜したグルコースセンサと、同面積の過酸化水素電
極上に1(v/v%)のγ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、5(v/v%)のパーフルオロカーボンスル
ホン酸樹脂溶液、2(w/v%)のアセチルセルロース
溶液、そしてグルコース酸化酵素を含み、かつ0.5
(v/v%)のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶
液を順次スピンコートして製膜したグルコースセンサを
それぞれ製作した。
【0045】評価は干渉物質として40(mg/dl)
のアスコルビン酸を含む100(mg/dl)のグルコ
ース溶液中のグルコース濃度を測定したときの測定値を
比較して行った。表8に干渉物質が含まれない100
(mg/dl)のグルコース溶液のみを測定したときの
測定値を100%とし、そしてそれぞれの製膜条件時に
得られる出力値を相対値で示す。すなわち、表中の値が
100%に近いほど干渉物質の影響を受け難い製膜条件
であることを示している。その結果、干渉物質に対する
制限透過性は、過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコ
ース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタ
ルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコート
して製膜した構造をもつグルコースセンサが高かった。
【0046】
【0047】(実施例9)絶縁基板上に形成した電極面
積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/v
%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパー
フルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液を順次スピンコー
トして、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜、ア
セチルセルロース膜、パーフルオロカーボンスルフォン
酸樹脂膜を形成した後、グルコース酸化酵素と0.1,
0.3,0.5,1.0,1.5,2.0(v/v%)
のグルタルアルデヒドを含むアルブミン溶液を各々パー
フルオロカーボンスルホン酸膜上に滴下し、スピンコー
ト法で有機高分子膜を製膜したグルコースセンサ6種を
作成した。これらのグルコースセンサを用いて10(m
g/dl)グルコース溶液を11回繰り返して測定し
た。アルブミン溶液中のグルタルアルデヒド濃度とグル
コースセンサのグルコースに対する電流出力値の変動係
数を表した図8に示されているように、グルコースセン
サはグルタルアルデヒド濃度が0.5〜1.0(v/v
%)であるようなアルブミン溶液を滴下して有機高分子
膜を製膜した場合において最も安定したセンサ出力を与
えた。
【0048】(実施例10)絶縁基板上に形成した電極
面積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコ
ース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタ
ルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコート
して製膜した。さらに、各種濃度のポリアルキルシロキ
サン溶液をグルコース酸化酵素を固定化した有機高分子
膜上に滴下し、スピンコート法でポリアルキルシロキサ
ン膜を製膜した後、これらグルコースセンサにより各種
濃度のグルコース溶液に対する電流出力値を測定した。
各センサの相対出力値を表した図9に示されているよう
に、グルコースの制限透過性は、ポリアルキルシロキサ
ン濃度が7(v/v%)以上の場合において認められ、
特に10(v/v%)以上の場合では、グルコース濃度
500(mg/dl)まで電流出力値が飽和せず、高濃
度のグルコース溶液の測定が可能であった。
【0049】(実施例11)絶縁基板上に形成した電極
面積が3mm2 過酸化水素電極上に1(v/v%)のγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液、2(w/
v%)のアセチルセルロース溶液、5(v/v%)のパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液、そしてグルコ
ース酸化酵素を含み、かつ0.5(v/v%)のグルタ
ルアルデヒドを含むアルブミン溶液を順次スピンコート
して製膜した。さらに、その上にダウコーニング社製の
シリコーンを用いて調製した14(v/v%)ポリアル
キルシロキサン溶液をグルコース酸化酵素を含有する有
機高分子膜上に滴下し、スピンコート法でポリアルキル
シロキサン膜を製膜した。図10はこのようにして形成
したポリアルキルシロキサン膜を有するグルコースセン
サの、pHの異なる100(mg/dl)グルコース溶
液に対する電流出力値をpH7の出力値を100%とし
た相対出力値で表した図である。図11にはポリアルキ
ルシロキサン膜を形成しなかったグルコースセンサの1
00 (mg/dl)グルコース溶液に対する電流出力値
もpH7の出力値を100%とした相対出力値で表し
た。ポリアルキルシロキサン膜を有するグルコースセン
サはpH6〜8の範囲でほぼ同程度の出力値をもたらし
たのに対し、ポリアルキルシロキサン膜を形成しなかっ
た場合、出力値はグルコース溶液のpHに大きく左右さ
れた。
【0050】
【発明の効果】以上の実施形態および実施例の説明から
明らかなように、本発明のバイオセンサによれば、次の
効果を得ることができる。第1の効果は、高濃度の干渉
物質を含有する測定試料中の特定成分を精度良く測定す
ることが可能になることである。その理由は、過酸化水
素電極上に、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの
膜、アセチルセルロース膜そしてパーフルオロカーボン
スルホン酸樹脂膜を順次形成したため、触媒機能をもつ
酵素を固定化した有機高分子膜中で発生した過酸化水素
の電極への透過の制限を最小限に抑え、かつ、干渉物質
の電極への透過が十分制限されるためである。第2の効
果は、測定濃度範囲の拡大され、pH変動の大きな測定
試料でも高い精度で特定成分を測定することが可能にな
ることである。その理由は、触媒機能をもつ酵素を固定
化した有機高分子膜上にポリアルキルシロキサン膜を形
成することにより、測定対象物質の過剰な拡散が制限さ
れるためである。第3の効果は、大量に、しかも低コス
トで生産が可能になることである。その理由は、既存の
半導体製造工程の大部分を流用することが可能であるた
めである。第4の効果は、測定装置自体も小型化できる
ことである。その理由は対極および参照を、絶縁基板
上に作用極と一緒に組み込むことが可能であるからであ
る。第5の効果は、測定試料中の複数の特定試料成分が
同時に測定できることである。その理由は複数の作用電
極上にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜、アセ
チルセルロース膜、パーフルオロカーボンスルホン酸樹
脂膜を介して、異なる触媒機能をもつ酵素を固定化した
有機高分子膜を形成できるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバイオセンサの第1の実施形態を
示す断面図である。
【図2】本発明によるバイオセンサの第2の実施形態を
示す断面図である。
【図3】本発明によるバイオセンサの第3の実施形態を
示す断面図である。
【図4】本発明によるバイオセンサの第4の実施形態を
示す断面図である。
【図5】γ−アミノプロピルエトキシシラン濃度と相対
出力との関係を示す図である。
【図6】アセチルセルロース濃度と相対出力との関係を
示す図である。
【図7】パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂濃度と相
対出力との関係を示す図である。
【図8】グルタルアルデヒド濃度と変動係数との関係を
示す図である。
【図9】本発明の実施例によるグルコースセンサの応答
特性を示す図である。
【図10】本発明の実施例によるグルコースセンサのp
Hと相対出力の関係を示す図である。
【図11】対照例によるグルコースセンサのpHと相対
出力の関係を示す図である。
【図12】従来技術のバイオセンサの一例の断面図であ
る。
【図13】従来技術のバイオセンサの他の例の断面図で
ある。
【図14】従来技術のバイオセンサのさらに他の例の断
面図である。
【符号の説明】 1 絶縁基板 2 過酸化水素電極 3 γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 4 アセチルセルロース膜 5 パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜 6 触媒機能をつ酵素を固定化した有機高分子膜 7 ポリアルキルシロキサン膜 10 作用極 11 対極 12 参照極 13 触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分子膜 20 センサホルダ 30 下地電極 31 セラミックスや樹脂フィルム 32 金属電極 33 固定化酵素膜 34 下地保護膜 35 固定化酵素層 36 上部保護膜 37 表面保護膜 41 グルコース酸化酵素固定化膜 42 シリコーン膜 51 アセチルセルロース膜 52 グルコース酸化酵素−光架橋ポリビニルアルコー
ル混合物質 53 ナフィオン膜 54 シリコーン接着剤
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中本 信也 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に過酸化水素電極を形成し、
    その上にγ−アミノプロピルトリエトキシシランを主成
    分とする第1の膜と、セルロース誘導体を主成分とする
    第2の膜と、骨格にパーフルオロカーボンをもったイオ
    ン交換性樹脂を主成分とする第3の膜と、過酸化水素を
    生成する触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分子を
    主成分とする第4の膜が順次形成されていることを特徴
    とするバイオセンサ。
  2. 【請求項2】 絶縁基板上に過酸化水素電極を形成し、
    その上にγ−アミノプロピルトリエトキシシランを主成
    分とする第1の膜と、セルロース誘導体を主成分とする
    第2の膜と、骨格にパーフルオロカーボンをもったイオ
    ン交換性樹脂を主成分とする第3の膜と、過酸化水素を
    生成する触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分子を
    主成分とする第4の膜と、ポリアルキルシロキサンを主
    成分とする第5の膜が順次形成されていることを特徴と
    するバイオセンサ。
  3. 【請求項3】 γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
    の製膜時の濃度が0.5〜2(v/v%)の範囲内にあ
    る請求項1または2のバイオセンサ。
  4. 【請求項4】 セルロース誘導体がアセチルセルロース
    であり、このアセチルセルロースの製膜時の濃度が0.
    5〜5(w/v%)の範囲内にある請求項1ないし3の
    いずれかのバイオセンサ。
  5. 【請求項5】 パーフルオロカーボンをもったイオン交
    換性樹脂がパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂であ
    り、このパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の製膜時
    の濃度が1(v/v%)以上である請求項1ないし4の
    いずれかのバイオセンサ。
  6. 【請求項6】 触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高
    分子膜の製膜時にグルタルアルデヒド−アルブミン溶液
    が使用され、そのグルタルアルデヒド濃度が0.1〜2
    (v/v%)の範囲内にある請求項1ないし5のいずれ
    かのバイオセンサ。
  7. 【請求項7】 ポリアルキルシロキサンの製膜時の濃度
    が7.0(v/v%)以上である請求項2ないし6のい
    ずれかのバイオセンサ。
  8. 【請求項8】 絶縁基板の上の過酸化水素電極が作用
    極、対極および参照電極から形成されている請求項1な
    いし7のいずれかのバイオセンサ。
  9. 【請求項9】 絶縁性基板上に作用極が2つ以上形成さ
    れ、同時に触媒機能をもつ酵素を固定化した有機高分子
    膜も2種類以上形成されている請求項8のバイオセン
    サ。
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