JPH10277476A - 耐汚染性に優れた表面処理金属板及びその製造方法 - Google Patents

耐汚染性に優れた表面処理金属板及びその製造方法

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JPH10277476A
JPH10277476A JP9250897A JP9250897A JPH10277476A JP H10277476 A JPH10277476 A JP H10277476A JP 9250897 A JP9250897 A JP 9250897A JP 9250897 A JP9250897 A JP 9250897A JP H10277476 A JPH10277476 A JP H10277476A
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metal plate
treated metal
silicate compound
sio
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JP9250897A
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Koichi Hatanaka
孝一 畑中
Kenichi Kamiya
憲一 神谷
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機物及び無機物に対する耐汚染性及び皮膜
の密着性に優れ、しかも低コスト且つ高生産性で製造し
て得ることが可能な表面処理金属板及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 金属板の表面に、M2O (但し、M はLi、
Na、又は、K である)で示される化合物およびSiO2を含
有するケイ酸塩化合物の一種以上を塗布し、乾燥するこ
とにより皮膜を形成した後、酸により洗浄することを特
徴とする耐汚染性に優れた表面処理金属板の製造方法、
及び、かかる製造方法により得られる表面処理金属板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐汚染性に優れた
表面処理金属板及びその製造方法に関し、詳細には、表
面に耐汚染性皮膜を有する表面処理金属板及びその製造
方法に関し、特には、建材パネル、レンジフードカバー
や、家電製品、自動車等のシャーシパネルの如く、室内
室外を問わず汚染環境に曝されて使用される表面処理金
属板及びその製造方法に関する技術分野に属するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】鋼板及びアルミニウム板に代表されるよ
うな金属板は、使用される環境における耐食性、耐熱
性、耐薬品性や、加工性等の様々な機能を付与するた
め、種々の無機化合物及び/又は有機化合物を用いた化
成処理や塗装処理等の様々な表面処理が施される。その
付与する機能の一つとして耐汚染性がある。即ち、金属
板表面が汚染されると美観が損なわれるのは勿論のこ
と、汚染された部分にて腐食が発生するという問題があ
り、その対策として耐汚染性の付与が行われる。
【0003】汚染には二種類あり、その一つは煤煙や油
分のような有機物によるもの、もう一つは砂塵や金属粉
のような無機物によるものである。この有機物による汚
染の防止方法としては、材料表面に極力有機物が付着し
ないように、材料の表面エネルギーを低下させる方法が
採られてきた。一方、無機物による汚染の防止方法とし
ては、この汚染原因は硬い砂塵や金属粉が材料表面に押
し込まれることにあることから、材料表面の硬度を高く
(硬く)するという方法が採られてきた。
【0004】このような耐汚染性を向上させる方法とし
て、これまで、様々な金属板の表面処理方法が提案され
ている。その詳細を以下説明する。 特許1161079 号、特許1549730 号、特開昭58-17747
5 号、特開平3-52976号、特開平3-224950号、特開平4-1
1671 号、特開平5-177766号公報では、フッ素樹脂及び
フッ素系界面活性剤を添加した樹脂を塗装した後、焼き
付けることにより、金属板表面に皮膜を形成させる方法
(以降、従来法Aという)が提案されている。 特許1101649 号、特開昭53-77234号、特開昭59-194
838 号、特開昭60-112865 号公報、特許1800192 号、特
開平2-103216号、特開平3-258374号、特開平3-261551
号、特開平4-284239号、特開平5-193017号、特開平5-28
5450号、特開平6-47340 号、特開平6-47341 号公報で
は、放射線、電子線、及び/又は、紫外線で樹脂を硬化
させることにより、金属板表面に皮膜を形成させる方法
(以降、従来法Bという)が提案されている。 特開昭54-127428 号、特開平4-135841号、特開平4-
146132号、特開平4-146133号、特開平4-146136号、特開
平4-146127号、特開平5-38782 号、特開平5-185555号、
特開平5-318654号、特開平6-23319 号、特開平6-8369号
公報では、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、PVC 樹脂等
のフイルムを金属板表面に接着させる方法(以降、従来
法Cという)が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これら従来
法においては次のような問題点がある。
【0006】即ち、従来法Aにおいては、フッ素樹脂が
高価であるためにコストが高くつくこと、200 ℃以上の
高温で焼き付けるために金属板に歪みが生じ易いこと、
皮膜が柔らかいために砂塵や金属粉のような硬質な無機
物の皮膜表面への押し込みには弱いこと等の問題点があ
る。
【0007】従来法Bにおいては、放射線、電子線、及
び/又は、紫外線で硬化する樹脂を用いる必要がある
が、その樹脂が高価であるためにコストが高くつくこ
と、放射線、電子線、及び/又は、紫外線の発生に大量
の電気を使用するために生産コストが高くつくこと、形
成される皮膜と金属板との密着性が不充分であること等
の問題点がある。
【0008】従来法Cにおいては、樹脂フイルムを金属
板表面に接着させるために、生産コストが高くつくこ
と、生産性が低いこと等の問題点がある。
【0009】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、前記従来法の有する問題点
を解消し、耐汚染性及び皮膜の密着性に優れ、しかも低
コスト且つ高生産性で製造して得ることが可能な表面処
理金属板及びその製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る表面処理金属板及びその製造方法
は、請求項1〜4記載の表面処理金属板の製造方法、請
求項5記載の表面処理金属板としており、それは次のよ
うな構成としたものである。即ち、請求項1記載の表面
処理金属板の製造方法は、金属板の表面に、下記化学式
(1)で示される化合物およびSiO2 を含有するケイ
酸塩化合物の一種以上を塗布し、乾燥することにより皮
膜を形成した後、酸により洗浄することを特徴とする耐
汚染性に優れた表面処理金属板の製造方法である(第1
発明)。 M2 O ------ 化学式(1) 但し、上記化学式(1)において、MはLi、Na又は
Kである。
【0011】請求項2記載の表面処理金属板の製造方法
は、前記ケイ酸塩化合物のSiO2量がM2 O量に対し
てモル数で2倍以上である請求項1記載の耐汚染性に優
れた表面処理金属板の製造方法である(第2発明)。請
求項3記載の表面処理金属板の製造方法は、前記乾燥す
る際の乾燥温度が150〜200℃である請求項1又は
2記載の耐汚染性に優れた表面処理金属板の製造方法で
ある(第3発明)。請求項4記載の表面処理金属板の製
造方法は、前記塗布されたケイ酸塩化合物の量がSiO
2 の量で50〜3000mg/塗布面積1m2 である請
求項1、2又は3記載の耐汚染性に優れた表面処理金属
板の製造方法である(第4発明)。
【0012】請求項5記載の表面処理金属板は、前記請
求項1、2、3又は4に記載の製造方法によって得られ
る耐汚染性に優れた表面処理金属板である(第5発
明)。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、前記化学式
(1)で示される化合物及びSiO2 を含有するケイ酸
塩化合物は、換言すれば、M2O (但し、M はLi、Na又は
K)及びSiO2を含有するケイ酸塩化合物である。このケ
イ酸塩化合物は化学式で示せば、xLi2O・ySiO2・nH2
O 、xNa2O・ySiO2・nH2O 又はxK2O ・ySiO2・nH2
O (n=0の場合、即ち、水和物でない場合を含む)で
あり、xM2O ・ySiO2・nH2O (但し、M : Li、Na又は
K)と表現することができる。尚、これらは、いずれも
常温で液状体であり、通常は粘性を有し、又、水に可溶
である。
【0014】本発明は例えば次のようにして実施する。
先ず、M2O 及びSiO2を含有するケイ酸塩化合物(但し、
M : Li、Na又は K)、例えばNa2O・3SiO2・3H2O を準
備する。或いは更に、このケイ酸塩化合物を水に溶かし
て水溶液とする。次に、このケイ酸塩化合物或いはその
水溶液を金属板の表面に塗布した後、これを所定の乾燥
温度、例えば150℃にして乾燥させることにより、皮
膜を形成させる。次に、この皮膜の表面を酸により洗浄
する。これにより、金属板の表面に皮膜を有する表面処
理金属板が得られる。
【0015】このようにして形成され洗浄された皮膜は
耐汚染性及び耐食性並びに密着性に優れているため、か
かる皮膜を有する表面処理金属板は耐汚染性及び耐食性
に優れ、又、皮膜と金属板との密着性に優れている。
【0016】この詳細を以下説明する。前記 M2O(但
し、M はLi、Na又は K)及びSiO2を含有するケイ酸塩化
合物を塗布し、乾燥することにより、この乾燥の過程に
おいて、このケイ酸塩化合物中のSiO2が縮合反応してシ
ラノール結合(-Si-O-Si- )が生じ、皮膜となる。
【0017】即ち、 M2O及びSiO2を含有するケイ酸塩化
合物は通常水溶液状態であり、単量体、二量体、多量体
のイオンミセルとして存在しており、下記化学式に示
す一例のような可逆性をもって存在する。従って、乾燥
工程において、下記化学式に示すような脱水縮合が生
じ、シラノール結合を形成する。
【化1】
【化2】
【0018】ここで、シラノール結合は強固な結合であ
り、又、Siは硬い物質であるため、上記縮合反応により
形成される皮膜は硬い皮膜となる。従って、砂塵や金属
粉のような硬質な無機物の表面への押し込みに起因する
汚染を防ぐことが可能となり、かかる無機物に対する耐
汚染性を向上させることが可能となる。
【0019】また、SiO2の未縮合の -Si-OH が皮膜最表
面に存在するため、皮膜表面に付着した有機物を容易に
除去し得、その意味で有機物に対する耐汚染性を向上さ
せることが可能となる。
【0020】即ち、前記ケイ酸塩化合物中のSiO2は全て
が縮合反応するのではなく、SiO2の一部の -Si-OH は -
Si-OH + -Si-OH → -Si-O-Si-の反応を生じず、 -Si-O
H のまま残在(残存)し、SiO2の未縮合の -Si-OH が皮
膜の最表面に多く存在する。かかる皮膜最表面の -Si-O
H は非常に親水性が高いため、かかる皮膜最表面は大気
中の水分を保有(保水)した状態となっている。また、
皮膜最表面に -Si-OHが多く存在するので、皮膜表面の
表面エネルギーが高い状態となり、そのため油分等の有
機物が付着しやすく、付着する。しかしながら、皮膜最
表面は前記の如く保水した状態となっているので、付着
した油分等の有機物と皮膜最表面の -Si-OH との間にH2
O 分子が存在する状態となり、そのため、付着した有機
物と皮膜最表面の -Si-OH との間の結合は強固になら
ず、極めて弱く、ひいては、この有機物を乾いた布や水
を含んだ布等で容易に除去することが可能となる。従っ
て、皮膜表面に付着した油分や煤煙等の有機物の除去性
を著しく向上させ、有機物に対する耐汚染性を向上させ
ることが可能となる。
【0021】更に、ケイ酸塩化合物中のSiO2は前記乾燥
過程においてヒドロキシル化(-OH基化)され、この一
部のヒドロキシル基が金属表面のヒドロキシル基との間
で脱水縮合を生じ、 -Si-O-Me(金属) の結合を生じるた
め、皮膜と金属表面との間で優れた密着性を有する。
【0022】従って、前記の如きケイ酸塩化合物の塗
布、乾燥により形成される皮膜は耐汚染性及び耐食性並
びに密着性に優れているので、かかる皮膜を有する表面
処理金属板は耐汚染性及び耐食性に優れ、又、皮膜と金
属板との密着性に優れている。
【0023】次に、かかる乾燥後の皮膜の表面を酸によ
り洗浄する。この洗浄により、皮膜表面に濃縮している
M2O を除去することができるので、経時的な皮膜強度の
低下および基板(金属板)の腐食の発生を防止し得、表
面処理金属板の安定化が図れる。
【0024】即ち、前記ケイ酸塩化合物の塗布、乾燥の
工程において、ケイ酸塩化合物に含まれるM2O が皮膜最
表面に濃縮した層を形成する。このままの状態では、皮
膜最表面のM2O 濃縮層のM2O からイオン化した M+ がシ
ラノール結合を解離させる反応を生じさせ、ひいては皮
膜強度を低下させ、又、 M+ が直接基板の金属と反応
し、基板である金属板に腐食を発生させる。この問題点
を解消するために、皮膜最表面のM2O 濃縮層のM2O を除
去する必要がある。そこで、前記ケイ酸塩化合物の塗
布、乾燥後の皮膜の表面を酸により洗浄する。そうする
と、この酸によって皮膜最表面のM2O 濃縮層のM2O (即
ち、皮膜最表面に濃縮しているM2O )を中和し、塩とし
て除去することができ、ひいては、皮膜最表面のM2O 濃
縮層のM2O に起因する皮膜強度の低下および基板(金属
板)の腐食の発生を防止し得る。
【0025】従って、前記の如きケイ酸塩化合物の塗
布、乾燥により形成され、酸により洗浄された皮膜は、
耐汚染性及び耐食性並びに密着性に優れており、しかも
皮膜最表面のM2O 濃縮層のM2O が除去されて存在しない
ので、かかる皮膜を有する表面処理金属板は耐汚染性及
び耐食性に優れ、又、皮膜と金属板との密着性に優れて
おり、しかも皮膜最表面のM2O 濃縮層のM2O に起因する
皮膜強度の低下および基板(金属板)の腐食が生じなく
て安定している。本発明によれば、このように優れた特
性を有する表面処理金属板が得られる。
【0026】又、本発明は、 M2O( M:Li、Na又は K)
及びSiO2を含有するケイ酸塩化合物の塗布、乾燥、酸に
よる洗浄という簡単な工程により表面処理金属板の製造
ができること、及び、このケイ酸塩化合物は従来法Aに
係るフッ素樹脂や従来法Bに係る放射線等で硬化する特
殊な樹脂と異なり、一般的なものであって比較的低コス
トであることから、従来法A、B及びCに比較して、低
コスト且つ高生産性で表面処理金属板を得ることができ
る。又、後述の如く乾燥温度は 200℃以下等でよいの
で、従来法Aの如き高温焼き付けによる金属板の歪みが
生じない利点がある。
【0027】本発明において、M2O の MをLi、Na又は K
とする理由、即ち、ケイ酸塩化合物として M2O( M:L
i、Na又は K)及びSiO2を含有するケイ酸塩化合物を用
いるのは、これらのケイ酸塩化合物が工業的に多く生産
されており、入手し易く、しかも安価であるからであ
る。
【0028】ケイ酸塩化合物に代えてSiO2を用いると、
SiO2は M2O及びSiO2を含有するケイ酸塩化合物と異な
り、その水溶液中で -Si-OH 化合物を形成しないので、
脱水縮合によるシラノール結合の生成も、最表面の -Si
-OH の残在もなく、そのため、前述の本発明での如き作
用効果を奏することができない。即ち、ケイ酸塩化合物
に代えてSiO2を用いるのでは、本発明での如きシラノー
ル結合(-Si-O-Si- )を生じないため、硬い皮膜が得ら
れず、ひいては無機物に対する耐汚染性を向上させるこ
とができない。又、 -Si-OH が皮膜最表面に存在しない
ため、皮膜表面に付着した有機物の除去性を向上し得
ず、有機物に対する耐汚染性を向上させることができな
い。
【0029】本発明において、前記ケイ酸塩化合物に含
まれるSiO2量が M2O量に対してモル数で2倍未満である
と、ケイ酸塩化合物の塗布、乾燥後の皮膜最表面におけ
るM2O 濃度が高く、M2O 量が多くなりすぎ、そのため酸
による洗浄においてM2O を充分に除去することができ
ず、ひいては皮膜強度の低下および基板(金属板)の腐
食の発生を招く可能性があるという傾向がある。かかる
点から、前記ケイ酸塩化合物のSiO2量がM2O 量に対して
モル数で2倍以上であることが望ましく、この場合には
酸による洗浄においてM2O を充分に且つ確実に除去し得
る(第2発明)。尚、ケイ酸塩化合物のSiO2量がM2O 量
に対してモル数で2倍以上とは、ケイ酸塩化合物をxM2
O ・ySiO2、或いは、xM2O ・ySiO2・nH2O という化
学式で示せば、このyとxの比率(即ちy/x)が2以
上であるということである。
【0030】前記ケイ酸塩化合物の塗布後の乾燥に際
し、乾燥温度を 150℃未満にすると、シラノール結合反
応の進行が遅くて不充分となり、そのため、充分な強度
を有し充分に硬い皮膜が得られず、ひいては無機物に対
する耐汚染性が低下するという傾向がある。又、乾燥温
度を 200℃超にすると、シラノール結合反応が速くて進
行しすぎ、シラノール結合により形成される空間の中に
M2Oもしくは M+ がトラップされるという現象が生じ、
そのため、酸による洗浄においてM2O 及び/又はM+
充分に除去することができず、ひいては、皮膜強度の低
下および基板(金属板)の腐食の発生を招く可能性があ
るという傾向がある。かかる点から、前記乾燥する際の
乾燥温度を150 〜200 ℃にすることが望ましく、この場
合には充分に硬い皮膜が確実に得られ、又、酸による洗
浄においてM2O を充分に確実に除去することができる
(第3発明)。
【0031】前記ケイ酸塩化合物の塗布後のSiO2の量が
50mg/塗布面積1m2 (塗布面積1m2 当たりのSiO2
量が50mg)未満であると、皮膜厚が小さく、皮膜中の
硬度寄与成分(シラノール結合)が少なくなるため、皮
膜の硬度が低下して不充分となり、ひいては無機物に対
する耐汚染性が低下するという傾向がある。又、SiO2
量が3000mg/塗布面積1m2 を超えた場合には、塗布
乾燥後の皮膜厚が大きいため、皮膜中のM2O 量が多く、
皮膜最表面におけるM2O 濃度が高く、M2O 量が多くなり
すぎ、そのため、酸による洗浄においてM2O を充分に除
去することができず、ひいては、皮膜強度の低下および
基板(金属板)の腐食の発生を招く可能性があるという
傾向がある。かかる点から、前記塗布後のケイ酸塩化合
物の量がSiO2の量で50〜3000mg/塗布面積1m2 にな
るようにすることが望ましく、この場合には充分な硬度
を有する皮膜が確実に得られ、又、酸による洗浄におい
てM2O を充分に且つ確実に除去し得る(第4発明)。
【0032】以上のような方法により得られる表面処理
金属板は、SiO2の縮合反応により生じたシラノール結合
を有する分子構造からなると共にSiO2の未縮合の -Siが
皮膜表面に存在し、しかも皮膜最表面のM2O 濃縮層の
M2O が除去されて存在しない皮膜を、金属板表面に有し
ている。そして、この皮膜は、前述の如く、無機物に対
する耐汚染性及び有機物に対する耐汚染性に優れ、又、
密着性に優れており、しかも皮膜最表面のM2O 濃縮層の
M2O に起因する皮膜強度の低下および基板(金属板)の
腐食を生じさせない。
【0033】従って、このような皮膜を金属板表面に有
するようにした表面処理金属板は、砂塵や金属粉のよう
な硬質な無機物に対する耐汚染性、及び、有機物に対す
る耐汚染性に優れ、又、その耐汚染性皮膜の密着性が優
れて耐久性に優れ、しかも皮膜表面のM2O 濃縮層のM2
O に起因する皮膜強度の低下および基板(金属板)の腐
食が生じなくて特性が長期にわたって安定し、寿命が長
い(第5発明)。
【0034】本発明において、金属板の種類は特には限
定されるものではなく、鋼板、アルミニウム板、銅板、
亜鉛板及びその他の金属板を使用することができ、又、
それらの大きさについても限定されるものではない。
【0035】ケイ酸塩化合物の塗布に際し、ケイ酸塩化
合物としては M2Oの MがLiであるもの、 MがNaであるも
の、 Mが Kであるもののいずれか一つを使用することだ
けに限定されず、これらの中の二種又は三種を混合して
使用することができ、又、これらの中の一種を塗布した
後に他の一種或いは更に他の一種を塗布することもでき
る。又、これらの中の一種を塗布し乾燥した後に他の一
種を塗布、或いはこれを乾燥した後に他の一種を塗布す
ることもできる。
【0036】ケイ酸塩化合物の塗布、乾燥後の酸による
洗浄に際し、酸の種類は特には限定されるものではな
く、硝酸、塩酸、硫酸、これらの混酸等を使用すること
ができ、又、酸の濃度も特には限定されるものではな
い。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例】
(実施例1〜8)アルミニウム合金板(材質:5000系合
金、厚さ:0.3 mm)を脱脂し、水洗した後、このアルミ
ニウム合金板の表面に、 M2O( M:Li、Na又は K)及び
SiO2を含有するケイ酸塩化合物の水溶液を塗布し、更に
これを大気中で加熱して水分を蒸発させ、乾燥すること
により皮膜を形成した。次に、この皮膜の表面を硝酸に
より洗浄し、その後、硝酸を除去することにより水洗
し、更に大気中で加熱することにより乾燥し、本発明の
実施例1〜8に係る表面処理金属板を得た。尚、ケイ酸
塩化合物のSiO2とM2O とのモル数での比率(:y/
x)、塗布面積1m2 当たりのケイ酸塩化合物中のSiO2
の量(mg/m2 )、ケイ酸塩化合物の水溶液の塗布後の加
熱温度(乾燥温度)は、表1に示す通りである。このと
きの加熱(乾燥)時間は20秒である。
【0039】(比較例1)アルミニウム合金板(材質:
5000系合金、厚さ:0.3 mm)について脱脂し、水洗した
後、乾燥させた。次に、このアルミニウム合金板にCr量
が20mg/m2 となるようにクロメート処理を施した。次
に、その表面に合成樹脂プライマーを乾燥後の膜厚が5
μm となるように塗布した後、220 ℃で1分間乾燥して
プライマー皮膜を形成した。しかる後、フッ素樹脂塗料
を乾燥後の膜厚が10μm となるように塗布した後、230
℃で1分間乾燥して皮膜を形成し、表面処理金属板を得
た。
【0040】(比較例2)前記フッ素樹脂塗料に代えて
ポリエステル系樹脂塗料を用い、この点を除き、比較例
1と同様の方法により表面処理金属板を得た。
【0041】(比較例3)前記フッ素樹脂塗料に代えて
アクリル系樹脂塗料を用い、この点を除き、比較例1と
同様の方法により表面処理金属板を得た。
【0042】(比較例4)前記比較例1と同様の脱脂、
水洗、乾燥、そしてクロメート処理が施されたアルミニ
ウム合金板にアクリレート系紫外線硬化型塗料を乾燥後
の膜厚が10μm となるように塗布した後、紫外線(UV)
を5秒間照射して皮膜を形成し、表面処理金属板を得
た。
【0043】(評価試験)上記実施例1〜8、比較例1
〜4に係る表面処理金属板について、下記の如き各種評
価試験を行った。
【0044】(1) 耐マジック汚染性評価試験(有機物に
対する耐汚染性の評価試験の一種) 空拭き試験:表面処理金属板の表面を油性マジック
(黒色)で線引きし、15分間放置した後、乾燥状態のガ
ーゼにて上記油性マジック(黒)線引き部分を10回拭き
取った。そして油性マジック(黒)の残存状況にて評価
した。評価結果は、完全に取れ痕跡の残らないものを
○、取れて痕跡が僅かに残るものを△、取れないものを
×で示した。 水拭き試験:上記乾燥状態のガーゼに代えて水にひ
たしたガーゼを用い、上記と同様の方法により同様の評
価を行った。
【0045】(2) 表面硬度の評価試験(無機物に対する
耐汚染性の評価試験の一種) JIS 規格のK5400 の鉛筆引掻き試験方法により、表面鉛
筆硬度を測定し、表面処理金属板の表面硬度を評価し
た。
【0046】(3) 表面処理皮膜の密着性の評価試験 表面処理金属板の表面に刃物でクロスカットを入れ、そ
の部分にセロハンテープをはった後、一気に引き剥がす
こと(クロスカットテープ剥離試験)により、表面処理
皮膜の密着性を評価した。評価結果は、剥離の無いもの
を○、若干剥離部分が認められるものを△、完全に剥離
するものを×で示した。
【0047】(4) 耐食性の評価試験 JIS Z2371 の塩水噴霧試験(連続噴霧 200時間)、JIS
H8681 のCASS試験(連続噴霧8時間)を行った。評価結
果は、レイティングナンバーにて示した。
【0048】(評価試験結果)上記評価試験結果をまと
めて表1に示す。表1からわかる如く、本発明の実施例
1〜8に係る表面処理金属板は、耐マジック汚染性が良
好(○)であり、有機物に対する耐汚染性に優れてお
り、又、鉛筆引掻き試験での鉛筆硬度が8H以上であっ
て皮膜表面硬度が高く、無機物に対する耐汚染性にも優
れている。更に、密着性が良好(○)であり、又、耐食
性も良好である。
【0049】実施例9に係る表面処理金属板は、ケイ酸
塩化合物のSiO2とM2O とのモル数での比率(:y/x)
が2未満、即ちSiO2量がM2O 量に対してモル数で2倍未
満であることに起因して硝酸による洗浄工程でのM2O 除
去率が低下し、そのため、実施例1〜8の場合に比較し
て、皮膜表面硬度が少し低下し、又、耐食性も少し低下
しているが、有機物に対する耐汚染性(耐マジック汚染
性)及び密着性は良好(○)であり、実施例1〜8の場
合と同様に優れている。
【0050】実施例10に係る表面処理金属板は、ケイ酸
塩化合物水溶液塗布後の乾燥温度が200 ℃よりも高いこ
とに起因して硝酸による洗浄工程でのM2O 除去率が低下
し、そのため、実施例1〜8の場合に比較して、皮膜表
面硬度が少し低下し、又、耐食性も少し低下している
が、有機物に対する耐汚染性(耐マジック汚染性)及び
密着性は良好(○)であり、実施例1〜8の場合と同様
に優れている。
【0051】実施例11に係る表面処理金属板は、塗布面
積1m2 当たりのケイ酸塩化合物中のSiO2の量が50mg/m
2 未満であることに起因し、実施例1〜8の場合に比較
して、皮膜表面硬度が低下し、又、耐食性及び耐マジッ
ク汚染性が少し低下しているが、密着性は良好(○)で
あり、実施例1〜8の場合と同様に優れている。
【0052】実施例12に係る表面処理金属板は、塗布面
積1m2 当たりのケイ酸塩化合物中のSiO2の量が3000mg
/m2 超であることに起因して硝酸による洗浄工程でのM2
O 除去率が低下し、そのため、実施例1〜8の場合に比
較して、皮膜表面硬度が少し低下し、又、耐食性も少し
低下しているが、耐マジック汚染性及び密着性は良好
(○)であり、実施例1〜8の場合と同様に優れてい
る。
【0053】比較例1に係る表面処理金属板は、有機物
に対する耐汚染性(耐マジック汚染性)は良好である
が、鉛筆引掻き試験での鉛筆硬度が2Hであって皮膜表
面硬度が低く、無機物に対する耐汚染性が不充分であ
る。
【0054】比較例2に係る表面処理金属板は、有機物
に対する耐汚染性(耐マジック汚染性)が悪くて不充分
(×)であり、又、鉛筆引掻き試験での鉛筆硬度が3H
であって皮膜表面硬度が低く、無機物に対する耐汚染性
が不充分である。
【0055】比較例3に係る表面処理金属板は、有機物
に対する耐汚染性(耐マジック汚染性)が悪くて不充分
(×)であり、又、実施例1〜8の場合に比較すると皮
膜表面硬度が低く、無機物に対する耐汚染性に劣ってい
る。
【0056】比較例4に係る表面処理金属板は、密着性
が劣っており、又、皮膜表面硬度が実施例1〜8の場合
に比較して低い。
【発明の効果】本発明によれば、有機物及び無機物に対
する耐汚染性、耐食性及び皮膜の密着性に優れた表面処
理金属板が得られ、しかも、かかる優れた特性を有する
表面処理金属板を低コスト且つ高生産性で得ることがで
きるようになる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の表面に、下記化学式(1)で示
    される化合物およびSiO2 を含有するケイ酸塩化合物
    の一種以上を塗布し、乾燥することにより皮膜を形成し
    た後、酸により洗浄することを特徴とする耐汚染性に優
    れた表面処理金属板の製造方法。 M2 O ------ 化学式(1) 但し、上記化学式(1)において、MはLi、Na又は
    Kである。
  2. 【請求項2】 前記ケイ酸塩化合物のSiO2 量がM2
    O量に対してモル数で2倍以上である請求項1記載の耐
    汚染性に優れた表面処理金属板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記乾燥する際の乾燥温度が150〜2
    00℃である請求項1又は2記載の耐汚染性に優れた表
    面処理金属板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塗布されたケイ酸塩化合物の量がS
    iO2 の量で50〜3000mg/塗布面積1m2 であ
    る請求項1、2又は3記載の耐汚染性に優れた表面処理
    金属板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1、2、3又は4に記載の製
    造方法によって得られる耐汚染性に優れた表面処理金属
    板。
JP9250897A 1997-04-10 1997-04-10 耐汚染性に優れた表面処理金属板及びその製造方法 Withdrawn JPH10277476A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000301056A (ja) * 1999-04-16 2000-10-31 Bekku Kk 塗膜の処理方法
JP2005511887A (ja) * 2001-08-03 2005-04-28 エリシャ・ホールディング・エルエルシー 金属表面を処理する無電解プロセスおよびそれにより生成される製品
EP3702489A1 (en) * 2019-02-27 2020-09-02 BSH Hausgeräte GmbH Housing wall for a housing of a home appliance

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