JPH102793A - 焦電型赤外線検知素子及び焦電型赤外線センサ - Google Patents
焦電型赤外線検知素子及び焦電型赤外線センサInfo
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Abstract
電型赤外線検知素子、赤外線センサを提供する。 【解決手段】焦電体基板1の受光部3に、前三方向から
取り囲むくり抜き孔2を形成した片持ち支持構造とした
焦電型赤外線検知素子Aであり、くり抜き孔2は、焦電
体基板1の実装条件などを考慮した解析を行うことによ
って、熱変化を加えたときに生じる応力集中を効果的に
抑制出来る形状にしている。
Description
る赤外線を検知する焦電型赤外線検知素子、及び赤外線
センサの改良に関する。
は、人の動きを検知する人感センサなどとして広く使用
されている。図22〜図25に、従来の焦電型赤外線検
知素子を示す。図22は、焦電型赤外線検知素子を利用
した赤外線センサの構造を概略的に示す分解斜視図であ
る。
に、3つの出力ピン101を下方に突出させた底板10
2上に、信号処理部を構成するためにFET103、高
抵抗素子104などのチップ部品を実装した回路基板1
05を載せ、その回路基板105の側部に一対の支持台
105a,105bを対向配置させており、これらの一
対の支持台105a,105bの上部に、受光部10
7,107を形成した焦電型赤外線検知素子106の両
側端を導電性接着剤などで固着してから、底板102の
上方より、赤外線を透過させるシリコン製フィルタ11
0aを窓部に貼付したパッケージカバー110を被せて
組立られる構造となっている。
型赤外線検知素子の構造を説明する図であり、(a)は
受光部の配置を示す焦電体基板の概略的な平面図、
(b)は焦電体基板の表面に形成される導電パターン
図、(c)は裏面に形成される導電パターン図、(d)
は赤外線センサの概略等価回路を示しており、焦電体基
板の受光部107,107に蓄積された電荷を、高抵抗
RとFETでインピーダンス変換して出力させる構成に
なっている。図24は回路基板上に焦電型検知素子を取
り付けたものの側面図である。
106は、一般的に使用されているデュアルタイプと呼
ばれ、焦電体基板106aの中央には、プラス、マイナ
スに分極された1組の受光部107と107が対向配置
され、基板106aの両側端には一対の出力端子109
が形成され、導電性接着剤によって回路基板の支持台に
固着されている。
O3、PZT等のセラミック材料、LiTaO3等の単結
晶材料や、PVF2等の高分子材料等の、焦電効果を有
する材料が用いられ、その表面には、NiCr等の赤外
線吸収材料を蒸着するなどして2つの電極107a,1
07aを対設し、それぞれの裏面には、対応した2つの
電極107b,107bを形成して、焦電体基板106
aの表、裏より1組の上下電極107a,107bで挟
みこんで受光部107,107を形成している。
形成された2つの受光部107,107は、基板106
aの表、裏に形成された導電パターン108,108に
よる結線を替えることによって、受光部107,107
を直列に接続したり、並列に接続したりできるようにな
っている。したがって、このような焦電体基板106a
によれば、その受光部107,107に赤外線が入射す
れば、入射した赤外線が熱に変換される時に電荷を生じ
させるので、このとき生じた電荷をFETと高抵抗素子
Rとによるインピーダンス変換回路によって、電圧とし
て取り出す。
子では、焦電素子の感度を向上させるために、光熱変換
効率を良くすることが望まれているが、そのため、従来
から焦電体基板の熱絶縁抵抗を大きくする一方、その厚
みを一般に40μm〜100μmと薄くし、基板の面積
もできるだけ小さくし、しかも他の回路部品の熱影響を
避けるため、出来る限り、他の回路部品に対して熱的ア
イソレーションが良好で、熱伝導の悪い材料を使うなど
の工夫が設計段階からなされている。
焦電型赤外線検知素子は、非常に薄い薄片からなる焦電
体基板を導電性接着剤を用いて、その両端を回路基板上
に固着した構造になっているため、赤外線が入射されな
いときでも、焦電体基板に温度変化が加わると、焦電体
基板、導電性接着剤、回路基板の支持台などの線膨張率
の違いにより、図25に矢印で示したように、圧縮また
は引っ張りのストレスが加わる。
る圧縮または引っ張りのストレスは、焦電体基板、電極
などの欠陥部や、ダイシング等による切断時に発生した
チッピング、マイクロクラック部などに応力を集中さ
せ、これが原因となって不要な電荷を発生し、このとき
受光部はポップコンノイズと称される突発的なノイズを
出力するなどの問題が指摘されている。
ンノイズを低減するため、回路基板材料、導電性接着剤
などの材料面から試行錯誤によって最適化を図ることが
繰り返し行われているが、単に材料を選択するだけで
は、このようなノイズを十分に低減することができず、
赤外線検知素子の今日の開発課題は、ポップコンノイズ
の軽減化に向けられているといっても過言ではない。
題を解決するため、特願平8−118406号において
は、焦電体基板に形成される受光部に、その前三方向を
取り囲むくり抜き孔を形成するという、形状、構造的な
アプローチから解決策を提案したが、この先願において
提案した手法は、温度変化が生じた場合に焦電対基板の
一部に生じる一方向の圧縮または引っ張りストレスに着
目して、そのストレスによる応力集中を軽減させるもの
であった。
導体製品は、光印刷技術などの方法を用いて多量に製造
されるものであるため、製造した商品を追加工すること
は出来ず、そのため、設計段階からコンピュータによる
シュミレーションを行って、形状、構造を特定する研究
がなされており、ホップコンノイズの発生要因を探る場
合も、発生要因となる外的条件を設計段階から予め特定
する必要があり、外的条件が異なる毎に解析結果も異な
るものである。
案した手法は、外的要因として温度変化が生じた場合
に、基板の一部に生じる一方向の圧縮または引っ張りス
トレスに着目し、そのストレスを軽減させる形状、構造
を特定して、ホップコンノイズの軽減を図るものであっ
たが、一般の半導体素子と同様にして、設計段階からコ
ンピュータによるシュミレーションを行って開発された
ものであった。
験、研究によれば、ポップコンノイズを発生させる外的
要因は、焦電体基板が、他の回路部品を実装した回路基
板に取り付けられるときの位置ズレや誤差、焦電体基板
それ自体のバラツキなども無視できない要因となってお
り、焦電体基板にこのような誤差やバラツキが存在する
条件下で温度変化を受けた場合には、一方向の圧縮また
は引っ張りのストレスに加えて、更に多方向のストレ
ス、つまり捻れを生じるようなストレスが発生してしま
い、このようなストレスによる応力集中もポップコンノ
イズの発生に大きい影響を与えていることが知得され
た。
果、到達したものであり、温度変化による一方向のスト
レスに着目して提案された先願発明を基礎として、回路
基板上の位置ズレや誤差などに起因する多方向のストレ
スにも注目して開発されたホップコンノイズの発生防止
に更に有効な手法を提案するものである。
提案される請求項1に記載の発明は、焦電体基板の表、
裏面に、上、下一組の電極を形成して受光部となし、そ
の受光部に赤外線を入射させて電荷を生じさせる構成と
した焦電型赤外線検知素子において、受光部には、受光
部の前三方向を取り囲むくり抜き孔を形成することによ
って、焦電体基板の一部で片持ち支持させた構造にして
いる。
は、焦電体基板に複数の受光部を形成する場合に適用さ
れ、それぞれの受光部には、基板の内方に向かって略コ
字状に張り出すくり抜き孔を、受光部の前三方向を取り
囲むようにして形成し、基板の一部で片持ち支持された
構造をなしている。このような焦電型赤外線検知素子で
は、焦電体基板を、信号処理部やチップ部品を実装させ
た回路基板の支持部などに導電性接着剤を用いて固着し
た際、焦電体基板、支持部、回路基板の熱膨張率の差異
によって焦電体基板に応力を生じた場合でも、受光部に
は、その前三方向を取り囲むようにくり抜き孔が形成さ
れているため、そこで応力が吸収される。このため、受
光部に不要な応力が集中してポップコンノイズが発生す
ることが有効に防止される。
素子は、焦電体基板に複数の受光部を形成する場合に適
用される別の態様を提案しており、赤外線検知素子の焦
電体基板に形成された複数の受光部は、基板内方に張り
出す共通のくり抜き孔で囲むことによって、基板の一部
で片持ち支持される構造をなしている。この態様の場
合、複数の受光部は、基板の適所に集められ、その周囲
に面積の大きいくり抜き孔が形成されるため、ストレス
の吸収緩和効果も、その孔部の面積に応じて大きくな
る。
光部の周囲に形成されるくり抜き孔のコーナ部に丸み加
工を施している。くり抜き孔の形成時や熱応力を受けた
ときでも、コーナ部にクラックを生じにくい構造にした
ものである。これらの請求項1〜4は、焦電体基板の受
光部に、その前三方向を取り囲むくり抜き孔を形成した
点を構造的な特徴とするもので、いずれも温度変化を与
えたときに生じる一方向のストレスに着目して、ポップ
コンノイズの発生を抑制するものである。
5〜7は、焦電体基板の受光部に、その前三方向を取り
囲むようにして形成されるくり抜き孔をの形状を特定す
るにあたって、焦電体基板の回路実装誤差やズレを考慮
した条件下で熱的変化を与えたときに生じるねじれスト
レスにも注目して、応力吸収効果の高い形状を提案する
ものである。
くり抜き孔は、全体的形状が馬蹄形になっており、請求
項7ではくり抜き孔の両終端において、くり抜き孔の孔
幅よりも大きい直径の円形の逃がし孔部を付加した形状
にしている。また、請求項8は、くり抜き孔をサンドブ
ラスト加工によって、高い精度で効率よく形成したもの
を提案している。
逃がし孔部を形成した焦電体基板を用いて構成される焦
電型赤外線センサを提案しており、このような赤外線セ
ンサによって、従来に比べてポップコンノイズの発生の
少ない、信頼性の高い赤外線センサが提供できる。な
お、本明細書では、後述する実験例1,2のいずれにお
いても、有限要素法を用いて応力分布を求めるシミュレ
ーション解析を行っているが、かかる応力分布を求める
シミュレーションの方法は、有限要素法を用いる方法に
限定されず、他の方法、たとえば、アナログ的手法であ
る光弾性を用いた方法等でも可能である。
状に形成したものについてのシュミレーション結果を説
明する程度にとどめているが、受光部の三方を取り囲ん
で受光部を片持ち支持できる形状であれば、舌片状、切
り欠きのあるリング状であっても十分な効果が得られる
ことはいうまでもない。
本発明の好ましい実施の形態について、詳細に説明す
る。 (焦電型基板の実施例)図1〜図6は、くり抜き孔を形
成した焦電型基板の基本構造を示す図である。
示すもので、焦電体基板1には、一対の受光部3,3が
形成され、これらの受光部3の各々は、前三方向より取
り囲むようにしてコ字状に形成されたくり抜き孔2によ
って、焦電体基板1で片持ち支持された構造になってい
る。赤外線検知素子としては、いわゆるシングルタイプ
を構成している。
関係のみを示し、一対の受光部33はプラス、マイナス
に分極させているが、実際の焦電体基板では、図16や
図17に示したように、受光部3,3の表、裏には電極
が形成されるとともに、その焦電体基板の両端には出力
端子が形成され、これらは導電パターンで結線される。
そして、このようにして形成された焦電体基板は、後述
するように、FETや高抵抗などの回路部品を実装させ
た回路基板との熱的アイソレーションを確保するため、
基板の両端部のみを回路基板の支持部に導電性接着剤で
固着し橋渡状態に支持される。
必要に応じて増大させることもでき、その場合には、図
18〜図21に示したように、焦電体基板1の表、裏面
に形成される導電パターン5を種々変更させれば、複数
の受光部3を直列、並列、あるいは直並列に接続するこ
とができ、高抵抗素子RとFETとの組合によって種々
のタイプの赤外線検知素子が製造できる。
上における受光部3とくり抜き孔2の配置を示すもの、
(b),(c)は焦電体基板1上における表面,裏面の
導電パターン5を示すもの、(d)は赤外線検知素子の
電気的な等価回路図を示しており、4は出力端子で、こ
の部分が回路基板の支持部に導電性接着剤で固着され
る。
示すもので、焦電型基板1の対向配置された一対の受光
部3,3は、共通のくり抜き孔21で取り囲まれるよう
にして片持ち支持された構造になっている。この例も、
いわゆるシングルタイプの赤外線検知素子を構成してい
る。このようなくり抜き孔21を形成した場合には、各
々の受光部3,3の向い合う部分には基板の一部が存在
しない空間部分が存在するので、図1の例に比べて、熱
ストレスの吸収効果が一層高いものとなる。
光部3を、前三方向より取り囲むくり抜き孔2のコーナ
部の内、外に丸み2aを設けた例A’(請求項4)を示
している。くり抜き孔2のコーナ部に、このような丸み
2aを形成すれば、くり抜き孔2の形成時や熱応力を受
けたときでも、コーナ部にクラックを発生しにくくさせ
る効果がある。
き孔21を形成した態様の変形例B’(請求項3)を示
しており、隣接する受光部3同士の間にもくり抜き孔部
21aを形成して、より熱応力を吸収しやすくし、かつ
軽量化を図っている。図5,図6は、請求項5〜7に対
応した実施例を示すものである。図5に示した焦電体基
板1は、請求項6において提案したものの一実施例Cで
ある。受光部3は、前三方より取り囲むコ字状のくり抜
き孔2によって、焦電体基板1の一部で片持支持された
構造となっており、それぞれのくり抜き孔2の両終端に
は、受光部3の基部(焦電体基板1の受光部3を片持支
持している部分)にくびれを形成するように、逃がし孔
部2Cが形成された例Cを示している。この例では、デ
ュアルタイプの赤外線検知素子を構成しているが、受光
部3は、その全体的形状が馬蹄形に形成されたくり抜き
孔2によって前三方向から取り囲まれて、焦電体基板1
の一部で片持ち支持された構造になっている。
内方に湾曲した形状になっているが、コーナ部に丸みを
持たせることはクラックの発生防止上も望ましく採用さ
れる。図6は、請求項7に対応した実施例Dを示したも
ので、焦電体基板1には、受光部3を前三方より取り囲
むコ字状のくり抜き孔2を形成しており、それぞれのく
り抜き孔2の両終端部には、くり抜き孔2の孔幅よりも
大きい孔径の逃がし孔部2Dを形成している。この例も
デュアルタイプの赤外線検知素子を構成しており、受光
部3は、プラス、マイナスに分極させた状態を想定して
示している。
有効性については、後の実験結果において詳述する。 (製造方法)ついで、本願発明の焦電体基板の製造方法
について説明する。本発明に係る焦電型赤外線素子は、
レジストパターンを用いた通常の半導体製造方法により
形成することができる。
ば、LiTa03単結晶(厚さ40μm))の表面上
に、所望のレジストパターンをメタルマスクにより形成
し、そのレジストパターンにしたがって、焦電体基板の
表面に、赤外線吸収材料(例えば、NiCr)を所定の
膜厚(赤外線吸収材料として、NiCrを用いる場合に
は、膜厚200〜500Å)で蒸着させて、電極等の所
定の導電パターンを形成する。焦電体基板の裏上にも、
同様にして、導電パターンを形成する。
部分に、例えば、コの字形状のくり抜き孔をサンドブラ
スト加工等により形成する。より具体的には、所定の導
電パターンが形成された焦電体基板の裏面側をガラス等
の平面度の高い基板に固定し、焦電体基板の表面上に、
例えば、感光性ドライフィルムレジスト等の砥粒に対し
て充分に耐性のあるレジストを形成し、フォトリソグラ
フィーにより回路パターンを保護するとともに、受光部
の周辺には、所望のコの字形状の孔部を有するレジスト
パターンを形成する。
電体基板に微細な砥粒を一定の圧力で吹き付けて、例え
ば、コの字形状のくり抜き孔を形成する。ここにサンド
ブラスト加工とは、微細な砥粒を一定の圧力で被加工物
に吹き付けることにより、被加工物を切断したり、溝を
開けたりする加工方法であり、くり抜き孔は、サンドブ
ラスト加工以外にも、半導体の製造に一般的に用いられ
るドライエッチング(イオンミリング、RIE)法や、
ウエットエッチング法等のエッチング方法を用いて形成
してもよい。
は、例えば、2.5×5.0mm程度の小さいものであ
るため、実際には、3インチサイズのLiTa03単結
晶(厚さ40μm)ウエハを使用し、フォトリソグラフ
ィー用のメタルマスクに焦電型赤外線素子の回路パター
ンを複数個形成し、3インチサイズのLiTa03単結
晶(厚さ40μm)ウエハから一度に数百個が取れるよ
うにしているが、受光部となる電極の大きさを、縦横
が、各々、0.5mm程度に形成した場合、その周辺に
設けるくり抜き孔の溝の幅は0.1mm程度に形成され
る。 (実験例1)本発明者らは、前三方向を取り囲むくり抜
き孔を形成して受光部を片持ち支持させた焦電体基板
(本発明の実施例)と、受光部にこのようなくり抜き孔
を形成していない従来例の焦電体基板に加わる応力をシ
ュミレーションによって解析し比較した。
として使用したデュアルタイプの焦電体基板を示してお
り、くり抜き孔2のコーナ部には丸み2aを形成してい
る。受光部3の電極サイズは、縦横が各々0.5mm、
くり抜き孔2の幅wは0.1mm、溝の長さLaは、
0.85mmとなっている。なお、(b)において示す
台座部4aは、焦電体基板が回路基板に実装される場合
に、回路基板上に設けられる支持部に相当する部分を示
している。
いない以外は、本発明のサンプルと同様のデュアルタイ
プの形状、寸法のものを使用した。衝撃応力解析は、本
発明、従来例のいずれに対しても、図7(a)に示した
ような台座部に取り付けた焦電体基板1を、高さ1.0
mから、台座部分が下方になるようにコンクリート床へ
水平に落下させ、その場合に時に生じる重力加速度を5
000Gに想定し、一回目のコンクリート床への衝突時
に、各々の素子を構成する焦電体基板にどのような衝撃
応力が加わるかを計算機を用いた有限要素法によってシ
ミュレーションした。
完全弾性衝突と仮定し、焦電体基板1と台座部4aと
は、X、Y、Z方向に完全に固定されているものと仮定
した。図8,図9は、それぞれ本発明、従来例における
衝撃応力解析を有限要素法を用いて行ったシミュレーシ
ョン結果を示す応力の等高線図である。両者を対比する
と、くり抜き孔を形成している本発明サンプルでは、受
光部3には応力が殆ど加わっていないのに対し、くり抜
き孔2を形成していない従来例では、受光部に相当する
部分Yに応力が集中していることが理解できる。この結
果から、本発明では、焦電体基板1の受光部3を構成す
る部分には応力が加わり難く、その部分に欠陥も発生し
難いことが分かる。
全体的に見れば、本発明のサンプルの方が、従来例のサ
ンプルよりも小さいことが分かる。これも、本発明のサ
ンプルでは、くり抜き孔によって衝撃が緩和されたため
と考えられる。更に、焦電体基板を同じサイズで比較す
ると、本発明のサンプルは、従来例のサンプルに比べ
て、くり抜き孔を設けた分だけ重量も少なくなり、軽量
化が図れることも分かるはずである。
方向への衝撃応力は、熱応力の加わる方向と一致するの
で、くり抜き孔を設ければ、熱応力の発生も緩和される
ことも、十分に推察出来る。更に、図8と図9とを対比
すれば、最大応力が発生する部位は、いずれの場合も焦
電体基板1と台座部4aとの接合部fにあることが分か
るが、両者を比較すると、本発明のサンプル方が接合部
fに加わる応力が小さくなっていることも理解できる。
て、衝撃時に発生する応力をシミュレーションしたとこ
ろ、長さLを短くすれば、衝撃時に発生する応力も小さ
くなることも分かった。具体的には、焦電体基板の長辺
Lを5mmから4.5mmにすると、衝撃時に発生する
最大応力が、10%以上低減された。更に、受光部の電
極寸法が0.5mm×0.5mm程度のものを用いた場
合には、焦電体基板として、2.2mm×4.5mm程
度のものが最適なことも分かった。
導有限要素解析により分析した。図10は、その場合の
本発明のサンプルのシュミレーション解析結果を示すも
のである。一般には、焦電体基板1の長さL(図7
(b)参照)を短くすれば、台座部分4aへの熱拡散が
生じやすくなるため、赤外線検知素子に与える熱影響は
無視できないが、くり抜き孔を形成した本発明のサンプ
ルでは、長さLが4.5mmのものを用いても、赤外線
検知素子の実用領域としての熱影響には全く問題がない
ことも判明した。
は、焦電体基板1に設けた4個の受光部3の内の一つの
受光部3Aに実際に受けると想定される熱量(0.1μ
W)を与え、焦電体基板1が熱的に定常状態になったと
きの熱分布を求めた。図10では、熱量を与えた受光部
3Aを中心とした熱拡散分布は、受光部3Aから拡散さ
れた熱量のうち、実際上影響のある領域をXで示してい
るが、焦電体基板1の両端に設けた台座部分4aを通じ
ての熱の逃げ(熱拡散)は、殆ど影響のないことも分か
る。
本発明のサンプルでは、焦電体基板1の長さLは、Xの
熱分布領域が到達していない部分まで短くすることが可
能であり、この値を求めたところ、長さLとして、4.
5mmを得た。そして、焦電体基板1を4.5mmの長
さにして試験を行ったところ、赤外線検知素子としての
熱影響も全く問題のないことが判明した。
ンプルとについて、ポップコンノイズの発生を調べるた
めヒートサイクル試験を行った。このヒートサイクル試
験では、いずれのサンプルも試験室に密閉し、所定の温
度勾配で室温を変化させて、ホップコンノイズの発生を
調べたが、本発明のサンプルは、従来例のものに比べ、
ポップコンノイズの発生が著しく低減されたことが確認
出来た。図11は、実行したヒートサイクル試験におけ
る室温変化を示している。T1〜T4は、いずれも30
分とした。 (実験例2)ついで、請求項5〜7において提案した本
発明の焦電体基板の有効性を確認するために行った実験
結果について説明する。
によって発生する圧縮または引っ張りのストレスがポッ
プコンノイズの原因となっていることが解っている。そ
こで、本出願人は、有限要素法を用いたシミュレーショ
ンと、ヒートサイクル試験を何度も繰り返した結果、ポ
ップコンノイズは、大きな応力が広い範囲で発生する
と、その影響により発生しやすくなることを確認してい
る。
ているうち、温度変化だけでなく、焦電体基板が回路基
板上の支持部に固着支持される場合にズレや誤差などが
あれば、それによって、焦電体基板にはねじれ方向のス
トレスが生じやすくなり、そのときに生じる応力集中に
よって、蓄積された電荷が放出されてホップコンノイズ
を発生することも判明した。
いて示したくり抜き孔を形成したサンプルに、更に回路
実装時の誤差やズレなどの要素を加えて、有限要素解析
を行ったところ、誤差やズレなどがある条件下では、く
り抜き孔の両終端部に大きな応力集中が生じることを知
見し、その部分に孔部を形成すれば、このような応力集
中も有効に吸収できることも同時に知得した。
した有限要素法では、焦電体基板は、その両端が回路基
板上で支持されたときに、ねじれ方向の外力を受けるも
のと仮定し、図12に示したように一方端を持ち上げて
強制変位させた状態を想定し、逃がし孔を形成した本発
明サンプルと、このような逃がし孔がなく、くり抜き孔
のみを形成した実験例1で示したサンプルについて、焦
電体基板に加わる応力をシュミレーションによって解析
し比較した。
ルのシュミレーション結果、図14,図15はくり抜き
孔の両終端に逃がし孔を形成したサンプル、つまり図1
4は請求項6において提案した形状のサンプルについて
の、図15は請求項7において提案した形状のサンプル
についてのシュミレーション結果を示している。いずれ
も圧力分布を等高線図として示している。
板に生じる応力は、材料の応力状態を示す最も適当な値
として、破壊の目安となる最大主応力(単位:パスカ
ル)で示してあり、その濃さの度合でその応力値の大き
さを示している。なお、ここで用いた応力単位(パスカ
ル)は、その絶対的な値はほとんど意味をもたず、相対
的な値のみが意味をもつものである。
も、周囲より応力の大きい応力の集中した部分は、くり
抜き孔2で囲まれた受光部3の基部より外方に向かって
分布していることが分かるが、図14は図13に比べ
て、応力の大きな部分は減少し、受光部より離れた箇所
に後退しており、受光部に対して応力影響が小さくなっ
ている。更に、図15では、図14に比べて、応力の大
きい部分は受光部3より更に外方に後退し、しかも小さ
くなっていることが分かる。
たサンプルでは、くり抜き孔のみを形成したサンプルに
比べて、受光部への応力集中が吸収され、低減されてい
ることが分かる。これらのシュミレーション結果から分
かるように、本出願において提案する逃がし孔部を形成
した焦電体基板によれば、応力集中の低減の度合は、最
大主応力の最大値を比較すると、くり抜き孔部のみを形
成した焦電体基板に比べて、焦電体基板Cでは13%
減、焦電体基板Dでは32%減の低減効果が得られた。
き孔を形成しただけのものでは、応力の大きな部分が、
コの字形状のくり抜き孔の両先端部に集中しているが、
これに比べて、焦電体基板Cでは、受光部より外方に後
退し緩和され、更に焦電体基板Dでは、コの字形状のく
り抜き孔の先端部に集中した大きな応力の分布は見られ
ず、くり抜き孔の両終端部に見られる応力分布は、大き
さの平均値にして、およそ50%以上低減するという飛
躍的な効果を得ている。
な応力が広い範囲に発生する場合に大きいので、このよ
うな逃がし孔によって応力集中が低減されることによ
り、ポップコンノイズの発生も抑制できることも予測さ
れ、このことも、図11に示すヒートサイクル実験を行
い、確認することができた。
に係る焦電型赤外線検知素子によれば、受光部の周囲に
くり抜き孔を形成して、受光部を焦電体基板の一部で片
持ち支持される構造としているので、焦電体基板を温度
変化させたときに生じるストレスがくり抜き孔で吸収さ
れ、受光部に加わることがない。したがって、受光部に
応力が集中することがないので、ポップコンノイズの発
生を著しく低減出来る。
発明に係る焦電型赤外線検知素子によれば、受光部の周
囲に形成したくり抜き孔の両終端に逃がし孔を形成付加
しているので、焦電体基板の実装時にズレや誤差を生じ
たものであっても、温度変化を加えたときに発生するね
じれ方向のストレスを受光部に加わえることなく、有効
に吸収するので、ポップコンノイズの発生を著しく低減
出来る。
ンドブラスト加工を用いたもので、効率よく、高い精度
で所望のくり抜き孔、逃がし孔を得ることができる。更
に、請求項9において提案された本発明の赤外線センサ
によれば、請求項1〜8において提案された焦電型赤外
線検知素子を用いているので、ホップコンノイズの発生
を著しく軽減させた信頼性の高い赤外線センサが提供で
きる。
(請求項1,2)を示す図。
求項3)を示す図。
求項4)を示す図。
求項3)を示す図。
求項5,6)を示す図。
求項5,7)を示す図。
た焦電体基板を説明する図。
シュミレーションした結果の衝撃応力解析図。
ーションした結果の衝撃応力解析図。
を用いてシュミレーションした結果の解析図。
トサイクル試験の説明図。
誤差を考慮するため、有限要素解析法において想定した
強制変位の説明図。
どの誤差を考慮した条件下において、有限要素法を用い
てシュミレーションした結果の解析図。
置ズレなどの誤差を考慮した条件下において、有限要素
法を用いてシュミレーションした結果の解析図。
ける位置ズレなどの誤差を考慮した条件下において、有
限要素法を用いてシュミレーションした結果の解析図。
パターン、等価回路をもって示す図。
パターン、等価回路をもって示す図。
パターン、等価回路をもって示す図。
パターン、等価回路をもって示す図。
パターン、等価回路をもって示す図。
パターン、等価回路をもって示す図。
サの概略構成を示す分解斜視図である。
ある。
た状態を示す説明図である。
合に焦電体基板に発生する圧縮または引っ張りのストレ
スを示す説明図である。
Claims (9)
- 【請求項1】焦電体基板の表、裏面に上、下一組の電極
を形成して受光部となし、その受光部に赤外線を入射さ
せて電荷を生じさせる構成とした焦電型赤外線検知素子
において、 上記受光部は、その前三方向を取り囲むくり抜き孔によ
って、上記焦電体基板の一部で片持ち支持された構造と
している焦電型赤外線検知素子。 - 【請求項2】上記焦電体基板には複数の受光部が配置さ
れており、各々の受光部は、上記焦基板内部に向かって
略コ字状に張り出すくり抜き孔で取り囲まれるようにし
て片持ち支持された構造としている請求項1に記載の焦
電型赤外線検知素子。 - 【請求項3】上記焦電体基板には複数の受光部が対向配
置されており、これらの受光部は、焦電体基板の内方に
向かって張り出す共通のくり抜き孔で取り囲まれるよう
にして片持ち支持された構造としている請求項1に記載
の焦電型赤外線検知素子。 - 【請求項4】上記くり抜き孔は、そのコーナ部に丸みを
施している請求項1から3のいずれかに記載の焦電型赤
外線検知素子。 - 【請求項5】請求項1から4のいずれかに記載の焦電型
赤外線検知素子において、 上記くり抜き孔は、上記焦電体基板の一部で片持ち支持
された上記受光部の基部にくびれを形成する形状にして
いることを特徴とする焦電型赤外線検知素子。 - 【請求項6】請求項5において、上記受光部を取り囲む
くり抜き孔は、その全体的形状が馬蹄形に形成されてい
る焦電型赤外線検知素子。 - 【請求項7】請求項5において、上記くり抜き孔は、そ
の両終端において、そのくり抜き孔の孔幅よりも大きい
直径の円形の逃がし孔部を付加した形状にしている焦電
型赤外線検知素子。 - 【請求項8】請求項1〜7において、上記くり抜き孔
は、サンドブラスト加工によって形成されたものである
焦電型赤外線検知素子。 - 【請求項9】請求項1〜8に記載の焦電体基板の両端部
を、信号処理部を構成する回路部品を実装した回路基板
に設けた支持部に固着して、回路基板上に橋渡し状態に
支持させた構造とした焦電型赤外線センサ。
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