JPH10280031A5 - - Google Patents

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JPH10280031A5
JPH10280031A5 JP1997089815A JP8981597A JPH10280031A5 JP H10280031 A5 JPH10280031 A5 JP H10280031A5 JP 1997089815 A JP1997089815 A JP 1997089815A JP 8981597 A JP8981597 A JP 8981597A JP H10280031 A5 JPH10280031 A5 JP H10280031A5
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Description

【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明者が種々実験・研究した結果、鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素の鋼への添加と、A1 変態点未満の温度で炭素を鋼中に拡散浸透させることとが可能であることを知見するに至った。
【0012】
そこで、請求項1の鋼の表面硬化方法は、少なくとも表面硬化が要求される部分が低炭素含有量でありかつ鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素を含む鋼を、A1 変態温度未満の温度により浸炭剤中で加熱処理するようにしている(以下、本明細書では、これをサブA1 変態浸炭硬化方法と呼ぶ)。ここで、鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素としては、Ti,Nb,V,Ta,W,Mo,Cr,Mn,Zr,Hfのうち少なくとも1種類を含むものであることが好ましい。また、加熱処理温度は450〜650℃であることが好ましい。なお、本明細書中では、「少なくとも表面硬化処理が要求される部分が低炭素含有量の鋼」とは、炭素量0.20〜0.30%C以下のいわゆる低炭素鋼の他、炭素量0.30%Cを超えても脱炭することにより表面層が炭素量0.1%C以下に調整されたものも含む。
【0013】
この場合、浸炭表面硬化処理が求められる部分が低炭素であるので、浸炭前の鋼では鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素ほとんど炭化物になっていない。このため、浸炭により新たな炭素が多量に鋼の表面に供給されて、その時初めて鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素が炭化物となる。したがって、鋼の表面層での析出硬化を有効に行うことができる。
【0020】
そして、加熱温度はA1 変態温度未満の温度、好ましくは450〜650℃程度である。500〜650℃の温度のとき、鋼の鉄の結晶の間で鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素の原子が移動可能となる。
【0021】
この鋼を500〜650℃程度に加熱することにより、鉄の結晶の中で鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素の原子が移動を始める。そして、水素−アセチレン雰囲気中の炭素は、鋼の表面で鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素の周囲に引き寄せられる。このため、炭素と鉄とが結合して鋼の表面にセメンタイトFe3 C層を緻密に形成することはないので、鋼の表面での炭素の侵入を阻害することがない。これにより、炭素は鋼の表面層に浸透拡散することができる。さらに、鋼の表面層に浸透した炭素が鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素に結合して炭化物を析出することにより、その周囲の鉄の結晶が歪み析出硬化によって鋼の表面層が硬化する。ここで、この鋼は低炭素鋼であるので、浸炭前の鋼では鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素ほとんど炭化物になっていない。このため、浸炭により新たな炭素が多量に鋼の表面に供給されて、その時初めて鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素が炭化物となる。したがって、鋼の表面層での析出硬化を有効に行うことができる。したがって、鋼を450〜650℃程度の温度で加熱することにより焼入れしなくても表面硬化を行うことができる。
【0024】
上述した鋼の表面硬化方法によれば、鋼の加熱温度をA1 変態温度未満、好ましくは450〜650℃程度にして焼入れ工程を省いているので、鋼はマルテンサイト変態を起こさない。このため、鋼はマルテンサイト変態による著しい体積膨張を起こすことがないので、鋼材の寸法精度を向上させることができる。また、鋼材の焼き割れを防止して歩留まりを良くすることができるので、製造コストを低減することができる。しかも、従来はマルテンサイト変態による体積膨張を避けて焼入れを行うことができなかった鋼製品でも表面硬化処理を行うことができるようになり、表面硬化可能な鋼製品の範囲を拡大することができる。
【0028】
[実施例2]
表1に示す組成のMAC24鋼(熱間圧延材)を水素−アセチレン浸炭性雰囲気中で3時間600℃加熱する、いわゆるサブA1 変態浸炭硬化方法を実施した
【0029】
[実施例3]
表1に示す組成のMAC24鋼(熱間圧延材)を水素−アセチレン浸炭性雰囲気中で3時間650℃加熱する、いわゆるサブA1 変態浸炭硬化方法を実施した
【0036】
表1に示すように、サブA1 変態浸炭硬化方法を実施した実施例4の鋼は浸炭によって大きく硬化した。反面、比較例1の鋼は浸炭によって僅かしか硬化しなかった。硬化が小さい理由は、SACM645鋼は中炭素鋼で炭素量が0.46%Cであったので、鋼中の鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素浸炭前から炭化物になっていて、加熱及び浸炭によっても炭化物の析出硬化がほとんど生じなかったためと考えられる。したがって、この発明の鋼の表面硬化方法を実現するためには、鋼は低炭素鋼であることが必要であると推測される。さらに、比較例2の鋼も浸炭によって僅かしか硬化しなかった。硬化が小さい理由は、SKD61鋼は中炭素鋼で炭素量が0.37%Cであったので、比較例1のSACM645鋼と同様に鋼中の鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素浸炭前から炭化物になっていて、加熱及び浸炭によっても炭化物の析出硬化がほとんど生じなかったためと考えられる。また、比較例1のSACM645鋼よりは炭素量が少ないので硬化の程度が大きくなった。
【0038】
[実施例6]
SKD61鋼を1050℃の湿潤水素中に4時間載置して表面脱炭を行った。そして、脱炭後の表面硬さを測定した。その後、550℃で3時間加熱した後焼き戻し(テンパー)たものと、550℃3時間で本発明のサブA1 変態浸炭硬化方法を行ったものとの2種類の鋼を得た。これらの鋼の表面硬さを測定した。その結果を表2に示す。
【0040】
表2に明らかなように、SKD61鋼は極めて焼入れされ易い鋼であり、脱炭のままでもかなりの硬さとなった。また、脱炭後のSKD61鋼に焼き戻しを行っても、ある程度硬さを増すことができた。しかし、本発明のサブA1 変態浸硬化方法によって浸炭を行ったものの方が遙かに高い硬さを得ることができた。これは、SKD61鋼の内部で炭化物となっていた鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素が脱炭により金属原子として鉄の中に溶け込んだ状態になり、その後の浸炭により炭素が鋼の表面から供給されたため再び炭化物が生じて析出硬化が起こったことによるものと考えられる。したがって、本発明の鋼の表面硬化方法は低炭素鋼に特に有効であることが確認された。また、低炭素鋼の炭素含有量よりも多くの炭素を含む鋼であっても、脱炭を経て浸炭を行うことにより表面硬化できることが判明した。
【0043】
その後、図3に示すように浸炭ガスの流通路2とその内部の鋼1の保持部3とを備えた装置を用いて、550℃の水素−アセチレン雰囲気を鋼1の片側面に6時間吹き付けて浸炭を行った。ここで、浸炭ガスの流通路2の高さはSKD61鋼の直径の2倍弱であったので、SKD61鋼の上部のS部分が流通路2の高さ方向の中央部に相当した。このため、浸炭ガスはS部分に最も大きな流速で吹き付けられた。そして、この鋼1の表面硬さを測定した。SKD61鋼1の縦方向の直径W上で1mmごとに硬さを測定した結果を表3に示し、SKD61鋼のS部分でランダムな位置で硬さを測定した結果を表4に示す。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1の炭素鋼の浸炭表面硬化方法は、少なくとも表面硬化処理が求められる部分が低炭素含有量でありかつ鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素を含む鋼をA1 変態温度未満の温度により浸炭剤中で加熱処理するようにしているので、鉄の結晶の中で鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素の原子が移動すると共に、浸炭剤中の炭素が鋼の表面で鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素の周囲に引き寄せられて、炭素は鉄と結合することなく鋼の表面層に浸透拡散し、その部分だけを析出硬化原理に基づき硬化させる。しかも、その表面硬化は、焼入れをしなくとも、A1 変態温度よりも遙かに高い温度(950℃)で行う従来の浸炭法と同等以上の硬度が得られる。
【0048】
したがって、本発明の浸炭表面硬化方法によると、浸炭処理後の炭素鋼に対して表面硬化させるための焼き入れを必要としないので、マルテンサイト変態を起こさない。このため、鋼はマルテンサイト変態による著しい体積膨張を起こすことがないので、鋼材の寸法精度を向上させることができる。また、鋼材の焼き割れを防止して歩留まりを良くすることができるので、製造コストを低減することができる。しかも、従来はマルテンサイト変態による体積膨張を避け焼入れを行うことができなかった鋼製品でも表面硬化処理を行うことができるようになり、表面硬化可能な鋼製品の範囲を拡大することができる。
【0049】
また、本発明の表面硬化方法によれば、炭素鋼の加熱温度はA1 変態温度未満であるので、加熱に必要な時間を短縮して鋼製品の製造時間の短縮化を図ることができると共に、加熱に必要なエネルギの使用量を減少させてエネルギコストを削減することができる。しかも、このサブA1 変態浸炭硬化処理によれば、後処理として焼入れ及び焼戻しを行う必要がないので、従来の浸炭処理に比べて表面硬化に必要な時間の短縮とエネルギの低減とを大幅に行うことができる。特に、450〜650℃で加熱処理を行う場合には、A1 変態温度を大きく下回る温度であってもちょうど鉄の結晶の中で金属原子が移動でき始める温度であるため、炭化物形成能の強い元素が溶けていれば、炭素がその周りに引きつけられて炭化物として析出することができる。即ち、最も少ない加熱量で所望の表面硬化を行うことができる。

Claims (2)

  1. 少なくとも表面硬化が要求される部分が低炭素含有量でありかつ鉄よりも炭化物形成傾向の大きい元素を含む鋼を、A1 変態温度未満の温度により浸炭剤中で加熱処理することを特徴とする炭素鋼の浸炭表面硬化方法。
  2. 前記加熱処理温度は450〜650℃であることを特徴とする請求項1記載の炭素鋼の浸炭表面硬化方法。
JP8981597A 1997-04-08 1997-04-08 炭素鋼の浸炭表面硬化方法 Pending JPH10280031A (ja)

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