JPH10280081A - Al−Zn−Mg系合金からなる高強度・高精度枠形状部材およびその製造方法 - Google Patents
Al−Zn−Mg系合金からなる高強度・高精度枠形状部材およびその製造方法Info
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- JPH10280081A JPH10280081A JP10532297A JP10532297A JPH10280081A JP H10280081 A JPH10280081 A JP H10280081A JP 10532297 A JP10532297 A JP 10532297A JP 10532297 A JP10532297 A JP 10532297A JP H10280081 A JPH10280081 A JP H10280081A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ペリクルフレームなどの高精度、高強度が要
求される枠形状部材として、切削加工後の寸法精度が確
実かつ安定して高い部材を提供する。 【解決手段】 請求項1:析出硬化されたAl−Zn−
Mg系合金からなり、かつ耐力値が280MPa以上で
あって、しかも組織中の各結晶粒における最長方向の寸
法dLと最長方向に対し垂直な方向での最大寸法dSと
の比dL/dSの平均値が8以下とされている枠形状部
材。 請求項2:鋳塊に1回以上の熱間塑性加工を施し
て作製した素材に、400〜500℃の範囲内で溶体化
処理を施した後、20〜80℃の水中に焼入れし、その
後1〜5%の圧縮加工により残留応力除去を行なった
後、さらに時効析出処理を施してから切削加工を施して
枠形状とする。 請求項3:前記熱間塑性加工として、
圧縮方向を互いに45〜90°異なる方向とした各1回
以上の熱間鍛造を含む複数回の熱間塑性加工を施す。
求される枠形状部材として、切削加工後の寸法精度が確
実かつ安定して高い部材を提供する。 【解決手段】 請求項1:析出硬化されたAl−Zn−
Mg系合金からなり、かつ耐力値が280MPa以上で
あって、しかも組織中の各結晶粒における最長方向の寸
法dLと最長方向に対し垂直な方向での最大寸法dSと
の比dL/dSの平均値が8以下とされている枠形状部
材。 請求項2:鋳塊に1回以上の熱間塑性加工を施し
て作製した素材に、400〜500℃の範囲内で溶体化
処理を施した後、20〜80℃の水中に焼入れし、その
後1〜5%の圧縮加工により残留応力除去を行なった
後、さらに時効析出処理を施してから切削加工を施して
枠形状とする。 請求項3:前記熱間塑性加工として、
圧縮方向を互いに45〜90°異なる方向とした各1回
以上の熱間鍛造を含む複数回の熱間塑性加工を施す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高精度および高
強度が要求されるアルミニウム合金製の枠形状を有する
部材、特に半導体製造において用いられるペリクルフレ
ームに最適なAl−Zn−Mg系合金からなる枠形状部
材およびその製造方法に関するものである。
強度が要求されるアルミニウム合金製の枠形状を有する
部材、特に半導体製造において用いられるペリクルフレ
ームに最適なAl−Zn−Mg系合金からなる枠形状部
材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】析出硬化されたAl−Zn−Mg系合金
は高強度を有するところから、従来から各種の膜を保持
するための枠として用いられており、その代表例として
は、半導体製造設備の半導体回路転写装置(ステッパ
ー)においてペリクル膜を保持するためのペリクルフレ
ームがある。ペリクル膜は、半導体回路の原版であるフ
ォトマスクに対する防塵膜として用いられるものであっ
て、半導体回路転写工程の歩留りに対して大きな影響を
有する。そしてペリクル膜を保持するためのペリクルフ
レームは、中空の枠形状を有する部材であって、圧延材
もしくは押出材からなる素材にNC加工機等により切削
加工を施して枠形状とし、さらに光の反射を防ぐために
黒色に染色アルマイト処理を施して使用されるのが通常
である。
は高強度を有するところから、従来から各種の膜を保持
するための枠として用いられており、その代表例として
は、半導体製造設備の半導体回路転写装置(ステッパ
ー)においてペリクル膜を保持するためのペリクルフレ
ームがある。ペリクル膜は、半導体回路の原版であるフ
ォトマスクに対する防塵膜として用いられるものであっ
て、半導体回路転写工程の歩留りに対して大きな影響を
有する。そしてペリクル膜を保持するためのペリクルフ
レームは、中空の枠形状を有する部材であって、圧延材
もしくは押出材からなる素材にNC加工機等により切削
加工を施して枠形状とし、さらに光の反射を防ぐために
黒色に染色アルマイト処理を施して使用されるのが通常
である。
【0003】ここで、Al−Zn−Mg系合金を素材と
して用いる場合、高強度を達成するべく析出硬化させる
必要があるが、そのためには素材の製造工程中におい
て、溶体化処理−焼入れ−時効処理の一連の熱処理を行
なう必要がある。
して用いる場合、高強度を達成するべく析出硬化させる
必要があるが、そのためには素材の製造工程中におい
て、溶体化処理−焼入れ−時効処理の一連の熱処理を行
なう必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ペリクルフレームに
は、高い寸法精度と高強度とが要求されることが知られ
ており、これらのうち特に高い寸法精度、とりわけ平坦
度が重要とされている。すなわち、ペリクルフレームの
平坦度が悪ければ、密閉性を確保することができず、ペ
リクル膜が防塵の役割を果たすことができなくなる。ま
た高強度については、使用中の歪やキズの発生を防止す
るために必要であるばかりでなく、切削加工中における
歪の発生を防止して、高い寸法精度を実現するためにも
必要である。
は、高い寸法精度と高強度とが要求されることが知られ
ており、これらのうち特に高い寸法精度、とりわけ平坦
度が重要とされている。すなわち、ペリクルフレームの
平坦度が悪ければ、密閉性を確保することができず、ペ
リクル膜が防塵の役割を果たすことができなくなる。ま
た高強度については、使用中の歪やキズの発生を防止す
るために必要であるばかりでなく、切削加工中における
歪の発生を防止して、高い寸法精度を実現するためにも
必要である。
【0005】ところでペリクルフレームは、前述のよう
に主に析出硬化されたAl−Zn−Mg系合金の押出材
もしくは圧延材を素材とし、切削加工およびアルマイト
処理により製造されるが、この場合切削加工後の平坦度
などの寸法精度の点で問題が生じやすく、そのため切削
加工の後あるいは切削加工に引続いてアルマイト処理を
施した後に、作業員が手作業で形状の手直しを行なう必
要が生じることが多い。このような手作業による手直し
作業の必要性が生じることは、製造の安定性が欠けるこ
とを意味し、また製造能率の点からも好ましいとは言え
ない。
に主に析出硬化されたAl−Zn−Mg系合金の押出材
もしくは圧延材を素材とし、切削加工およびアルマイト
処理により製造されるが、この場合切削加工後の平坦度
などの寸法精度の点で問題が生じやすく、そのため切削
加工の後あるいは切削加工に引続いてアルマイト処理を
施した後に、作業員が手作業で形状の手直しを行なう必
要が生じることが多い。このような手作業による手直し
作業の必要性が生じることは、製造の安定性が欠けるこ
とを意味し、また製造能率の点からも好ましいとは言え
ない。
【0006】特に素材として析出硬化されたAl−Zn
−Mg系合金を用いる場合、素材の製造工程中において
は既に述べたように溶体化処理−焼入れ−時効処理の一
連の熱処理が必要となるが、焼入れの際には焼入れ歪が
生じるから、焼入後の時効処理前あるいは時効処理後に
歪矯正加工を行なうのが通常である。この歪矯正加工
は、引張等の変形を与えて歪みを除去するものである
が、このような歪矯正加工を行なって素材外形の歪みを
除去しても、その後の切削加工時に改めて部材の歪みが
生じることがあり、これは材料内部の残留応力によるも
のと考えられる。したがって切削加工後の寸法精度を向
上させるためには、残留応力による切削加工時における
歪みの発生を低減することが必要であると考えられる
が、従来はこの点については充分な検討がなされておら
ず、そのため前述のように切削加工後に高い寸法精度を
有するペリクルフレームを安定して確実に得ることが困
難であったのである。
−Mg系合金を用いる場合、素材の製造工程中において
は既に述べたように溶体化処理−焼入れ−時効処理の一
連の熱処理が必要となるが、焼入れの際には焼入れ歪が
生じるから、焼入後の時効処理前あるいは時効処理後に
歪矯正加工を行なうのが通常である。この歪矯正加工
は、引張等の変形を与えて歪みを除去するものである
が、このような歪矯正加工を行なって素材外形の歪みを
除去しても、その後の切削加工時に改めて部材の歪みが
生じることがあり、これは材料内部の残留応力によるも
のと考えられる。したがって切削加工後の寸法精度を向
上させるためには、残留応力による切削加工時における
歪みの発生を低減することが必要であると考えられる
が、従来はこの点については充分な検討がなされておら
ず、そのため前述のように切削加工後に高い寸法精度を
有するペリクルフレームを安定して確実に得ることが困
難であったのである。
【0007】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、ペリクルフレームで代表されるAl−Zn−
Mg系合金からなる枠形状部材として、切削加工後、さ
らにはアルマイト処理後の寸法精度が高くしかも高強度
を有する枠形状部材を提供することを目的とするもので
ある。
たもので、ペリクルフレームで代表されるAl−Zn−
Mg系合金からなる枠形状部材として、切削加工後、さ
らにはアルマイト処理後の寸法精度が高くしかも高強度
を有する枠形状部材を提供することを目的とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、枠形状部
材の素材自体の特性として残留応力が生じにくい状態に
適切に制御することにより、切削加工後の歪みの少ない
高強度Al−Zn−Mg系合金を製造する方策を見出す
べく、種々実験・検討を重ねたところ、素材の結晶粒組
織およびそれに起因する機械的性質の異方性が残留応力
に影響を及ぼし、切削加工後の寸法精度に大きな影響を
与えることを見出した。そしてさらに研究を重ねた結
果、結晶粒形状を適切に制御することによって、切削加
工後の寸法精度が高いAl−Zn−Mg系合金からなる
枠形状部材を安定して得ることができることを見出し、
この発明をなすに至った。
材の素材自体の特性として残留応力が生じにくい状態に
適切に制御することにより、切削加工後の歪みの少ない
高強度Al−Zn−Mg系合金を製造する方策を見出す
べく、種々実験・検討を重ねたところ、素材の結晶粒組
織およびそれに起因する機械的性質の異方性が残留応力
に影響を及ぼし、切削加工後の寸法精度に大きな影響を
与えることを見出した。そしてさらに研究を重ねた結
果、結晶粒形状を適切に制御することによって、切削加
工後の寸法精度が高いAl−Zn−Mg系合金からなる
枠形状部材を安定して得ることができることを見出し、
この発明をなすに至った。
【0009】具体的には、請求項1の発明の枠形状部材
は、析出硬化されたAl−Zn−Mg系合金からなり、
かつ耐力値が280MPa以上であって、しかも組織中
の各結晶粒における最長方向の寸法dLと最長方向に対
し垂直な方向での最大寸法dSとの比dL/dSの平均
値が8以下であることを特徴とするとするものである。
は、析出硬化されたAl−Zn−Mg系合金からなり、
かつ耐力値が280MPa以上であって、しかも組織中
の各結晶粒における最長方向の寸法dLと最長方向に対
し垂直な方向での最大寸法dSとの比dL/dSの平均
値が8以下であることを特徴とするとするものである。
【0010】ここで請求項1の発明においては、素材合
金として前述のように析出硬化されたAl−Zn−Mg
系合金を用いる。これは、次に説明するように耐力値と
して280MPa以上の高強度を確保するために必要で
ある。
金として前述のように析出硬化されたAl−Zn−Mg
系合金を用いる。これは、次に説明するように耐力値と
して280MPa以上の高強度を確保するために必要で
ある。
【0011】請求項1の発明の枠形状部材では、耐力値
が280MPa以上であることが必要であるが、これ
は、耐力値が280MPa未満であれば切削加工時に材
料の歪みが生じやすく、また枠形状部材としての長時間
の使用によっても歪みや傷が生じやすいためである。耐
力値が280MPa以上であればこのような歪みや傷の
発生を有効に防止できる。
が280MPa以上であることが必要であるが、これ
は、耐力値が280MPa未満であれば切削加工時に材
料の歪みが生じやすく、また枠形状部材としての長時間
の使用によっても歪みや傷が生じやすいためである。耐
力値が280MPa以上であればこのような歪みや傷の
発生を有効に防止できる。
【0012】ここで、組織中の各結晶粒における最長方
向の寸法dL、および各結晶粒における最長方向に対し
垂直な方向の最大寸法dSについて、模式的に図1に示
す。請求項1の発明はこれらの比dL/dSの平均値が
8以下であることが必要である。結晶粒のdL/dSの
比が大きいほど、結晶粒は細長く伸長された状態となる
が、特にその比dL/dSの平均値が8を越える素材で
は、結晶粒が一方向に揃って大きく伸び、その方向の材
料強度が他の方向より高くなるなど、機械的特性の異方
性が大きくなり、そのため焼入れ時の変形が不均一とな
って残留応力が大きくなり、さらに焼入れ後の歪矯正時
においても変形が不均一となってかえって残留応力が生
じてしまい、そのため切削加工後の寸法精度に悪影響を
与える。ここでdL/dSの比の平均が8以下であれ
ば、切削加工後の寸法精度を確実かつ安定して良好とす
ることができるが、特にdL/dSの比の平均値が5以
下であれば、より一層確実かつ安定して高い寸法精度を
確保することができる。
向の寸法dL、および各結晶粒における最長方向に対し
垂直な方向の最大寸法dSについて、模式的に図1に示
す。請求項1の発明はこれらの比dL/dSの平均値が
8以下であることが必要である。結晶粒のdL/dSの
比が大きいほど、結晶粒は細長く伸長された状態となる
が、特にその比dL/dSの平均値が8を越える素材で
は、結晶粒が一方向に揃って大きく伸び、その方向の材
料強度が他の方向より高くなるなど、機械的特性の異方
性が大きくなり、そのため焼入れ時の変形が不均一とな
って残留応力が大きくなり、さらに焼入れ後の歪矯正時
においても変形が不均一となってかえって残留応力が生
じてしまい、そのため切削加工後の寸法精度に悪影響を
与える。ここでdL/dSの比の平均が8以下であれ
ば、切削加工後の寸法精度を確実かつ安定して良好とす
ることができるが、特にdL/dSの比の平均値が5以
下であれば、より一層確実かつ安定して高い寸法精度を
確保することができる。
【0013】さらに請求項2、請求項3の発明において
は、前述のような耐力値条件、結晶粒条件を満たし、切
削加工後の寸法精度が高い枠形状部材を製造する方法を
規定している。
は、前述のような耐力値条件、結晶粒条件を満たし、切
削加工後の寸法精度が高い枠形状部材を製造する方法を
規定している。
【0014】具体的には、請求項2の発明のAl−Zn
−Mg系合金からなる枠形状部材の製造方法は、請求項
1に記載の枠形状部材を製造するにあたり、Al−Zn
−Mg系合金からなる鋳塊に1回以上の熱間塑性加工を
施した後、400〜500℃の範囲内で溶体化処理を施
して、20〜80℃の水中に焼入れし、その後1〜5%
の圧縮加工により残留応力除去を行ない、さらに時効析
出処理を施してから切削加工を施して枠形状とすること
を特徴とするものである。
−Mg系合金からなる枠形状部材の製造方法は、請求項
1に記載の枠形状部材を製造するにあたり、Al−Zn
−Mg系合金からなる鋳塊に1回以上の熱間塑性加工を
施した後、400〜500℃の範囲内で溶体化処理を施
して、20〜80℃の水中に焼入れし、その後1〜5%
の圧縮加工により残留応力除去を行ない、さらに時効析
出処理を施してから切削加工を施して枠形状とすること
を特徴とするものである。
【0015】また請求項3の発明のAl−Zn−Mg系
合金からなる枠形状部材の製造方法は、請求項2に記載
の製造方法において、鋳塊に1回以上の前記熱間塑性加
工を施すにあたり、圧縮方向を互いに45〜90°異な
る方向とした各1回以上の熱間鍛造を含む複数回の熱間
塑性加工を施すことを特徴とするものである。
合金からなる枠形状部材の製造方法は、請求項2に記載
の製造方法において、鋳塊に1回以上の前記熱間塑性加
工を施すにあたり、圧縮方向を互いに45〜90°異な
る方向とした各1回以上の熱間鍛造を含む複数回の熱間
塑性加工を施すことを特徴とするものである。
【0016】ここで、鋳塊に対しては1回以上の熱間塑
性加工を与える必要があるが、これは鋳塊の組織を加工
により鍛練し、金属組織をより均一にするために必要な
工程である。そして組織中の各結晶粒の最長方向寸法d
Lと最長方向に対し垂直な方向での最大寸法dSとの比
dL/dSの平均値を8以下とするためには、複数回の
熱間塑性加工を行なうことが望ましく、特に第1回目の
熱間塑性加工による結晶粒の展伸を打消す方向で第2回
目の熱間塑性加工を行ない、さらに必要に応じて同様に
方向を異ならしめながら熱間塑性加工を繰返すことが望
ましい。具体的には、請求項3において規定しているよ
うに、圧縮方向を交互に45〜90°異ならしめた複数
回の鍛造を行なうことが、結晶組織の異方性低減に有効
である。
性加工を与える必要があるが、これは鋳塊の組織を加工
により鍛練し、金属組織をより均一にするために必要な
工程である。そして組織中の各結晶粒の最長方向寸法d
Lと最長方向に対し垂直な方向での最大寸法dSとの比
dL/dSの平均値を8以下とするためには、複数回の
熱間塑性加工を行なうことが望ましく、特に第1回目の
熱間塑性加工による結晶粒の展伸を打消す方向で第2回
目の熱間塑性加工を行ない、さらに必要に応じて同様に
方向を異ならしめながら熱間塑性加工を繰返すことが望
ましい。具体的には、請求項3において規定しているよ
うに、圧縮方向を交互に45〜90°異ならしめた複数
回の鍛造を行なうことが、結晶組織の異方性低減に有効
である。
【0017】溶体化処理は400〜500℃の範囲内の
温度で行なう必要がある。溶体化処理温度が400℃未
満では、析出硬化に寄与する元素の固溶、すなわち溶体
化が不充分となり、最終的に充分な高強度が得られなく
なるおそれがある。一方溶体化処理温度が500℃を越
えれば、共晶融解などによって材料にフクレや不均質な
部分が生じるおそれがある。
温度で行なう必要がある。溶体化処理温度が400℃未
満では、析出硬化に寄与する元素の固溶、すなわち溶体
化が不充分となり、最終的に充分な高強度が得られなく
なるおそれがある。一方溶体化処理温度が500℃を越
えれば、共晶融解などによって材料にフクレや不均質な
部分が生じるおそれがある。
【0018】溶体化処理後の焼入れは、20〜80℃の
水中に投入することによって行なわれる。焼入れ温度が
20℃未満では焼入れ時の歪みが大きくなり、一方80
℃未満を越えれば焼入れ冷却速度低下により充分な機械
的性質が得られなくなる。なお特に焼入れ歪を低減させ
るためには、50〜80℃の範囲内の温度の水中に焼入
れることが望ましい。
水中に投入することによって行なわれる。焼入れ温度が
20℃未満では焼入れ時の歪みが大きくなり、一方80
℃未満を越えれば焼入れ冷却速度低下により充分な機械
的性質が得られなくなる。なお特に焼入れ歪を低減させ
るためには、50〜80℃の範囲内の温度の水中に焼入
れることが望ましい。
【0019】焼入れ後には、歪みを矯正するために1〜
5%の圧下率の圧縮加工を施して残留応力除去を行なう
必要があり、この圧下率が1%未満では充分な残留応力
除去が達成されず、一方5%を越えれば過度の加工によ
り機械的性質の変化が生じて新たな歪みの原因となるお
それがある。
5%の圧下率の圧縮加工を施して残留応力除去を行なう
必要があり、この圧下率が1%未満では充分な残留応力
除去が達成されず、一方5%を越えれば過度の加工によ
り機械的性質の変化が生じて新たな歪みの原因となるお
それがある。
【0020】
【発明の実施の形態】この発明で素材として用いるAl
−Zn−Mg系合金は、要は時効処理による析出硬化に
よって280MPa以上の耐力値が得られるようなもの
であれば良く、その成分組成は特に限定しないが、次の
(1)〜(4)に示す成分組成のものが望ましい。 (1) Zn2.5〜9wt%、Mg0.5〜5wt%
を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合
金。 (2) Zn2.5〜9wt%、Mg0.5〜5wt%
を含有し、さらにCu0.5〜4wt%を含み、残部が
Alおよび不可避的不純物よりなる合金。 (3) Zn2.5〜9wt%、Mg0.5〜5wt%
を含有し、さらにMn0.05〜1.9wt%、Cr
0.05〜0.6wt%、Zr0.05〜0.6wt
%、V0.05〜0.6wt%、Ni0.05〜0.6
wt%、およびCo0.05〜0.6wt%のうちから
選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなる合金。 (4) Zn2.5〜9wt%、Mg0.5〜5wt
%、Cu0.5〜4wt%を含有し、さらにMn0.0
5〜1.9wt%、Cr0.05〜0.6wt%、Zr
0.05〜0.6wt%、V0.05〜0.6wt%、
Ni0.05〜0.6wt%、およびCo0.05〜
0.6wt%のうちから選ばれた1種または2種以上を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合
金。
−Zn−Mg系合金は、要は時効処理による析出硬化に
よって280MPa以上の耐力値が得られるようなもの
であれば良く、その成分組成は特に限定しないが、次の
(1)〜(4)に示す成分組成のものが望ましい。 (1) Zn2.5〜9wt%、Mg0.5〜5wt%
を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合
金。 (2) Zn2.5〜9wt%、Mg0.5〜5wt%
を含有し、さらにCu0.5〜4wt%を含み、残部が
Alおよび不可避的不純物よりなる合金。 (3) Zn2.5〜9wt%、Mg0.5〜5wt%
を含有し、さらにMn0.05〜1.9wt%、Cr
0.05〜0.6wt%、Zr0.05〜0.6wt
%、V0.05〜0.6wt%、Ni0.05〜0.6
wt%、およびCo0.05〜0.6wt%のうちから
選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなる合金。 (4) Zn2.5〜9wt%、Mg0.5〜5wt
%、Cu0.5〜4wt%を含有し、さらにMn0.0
5〜1.9wt%、Cr0.05〜0.6wt%、Zr
0.05〜0.6wt%、V0.05〜0.6wt%、
Ni0.05〜0.6wt%、およびCo0.05〜
0.6wt%のうちから選ばれた1種または2種以上を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合
金。
【0021】これらの(1)〜(4)の合金の成分組成
が望ましい理由は次の通りである。
が望ましい理由は次の通りである。
【0022】Zn:ZnはMgとともに析出硬化のため
に必要な必須元素であり、Zn量が2.5wt%未満で
は充分な析出硬化による強度上昇が図られず、切削加工
後の寸法精度も低下し、一方Zn量が9wt%を越えれ
ば鋳造性や加工性が低下するから、Zn量は2.5〜9
wt%の範囲内とすることが望ましい。
に必要な必須元素であり、Zn量が2.5wt%未満で
は充分な析出硬化による強度上昇が図られず、切削加工
後の寸法精度も低下し、一方Zn量が9wt%を越えれ
ば鋳造性や加工性が低下するから、Zn量は2.5〜9
wt%の範囲内とすることが望ましい。
【0023】Mg:MgもZnとともに析出硬化のため
に必要な必須元素であり、Mg量が0.5wt%未満で
は充分な析出硬化による温度上昇が図られず、切削加工
後の寸法精度も低下し、一方Mg量が5wt%を越えれ
ば鋳造性や加工性が低下するから、Mg量は0.5〜5
wt%の範囲内とすることが望ましい。
に必要な必須元素であり、Mg量が0.5wt%未満で
は充分な析出硬化による温度上昇が図られず、切削加工
後の寸法精度も低下し、一方Mg量が5wt%を越えれ
ば鋳造性や加工性が低下するから、Mg量は0.5〜5
wt%の範囲内とすることが望ましい。
【0024】Cu;Cuは(2),(4)の合金におい
て添加される元素であって、固溶強化により強度向上に
寄与する。Cu添加量が0.5wt%未満では強度向上
の効果が充分に得られず、一方4wt%を越えれば鋳造
性や加工性が低下するから、Cu量は0.5〜4wt%
の範囲内とすることが好ましい。
て添加される元素であって、固溶強化により強度向上に
寄与する。Cu添加量が0.5wt%未満では強度向上
の効果が充分に得られず、一方4wt%を越えれば鋳造
性や加工性が低下するから、Cu量は0.5〜4wt%
の範囲内とすることが好ましい。
【0025】Mn,Cr,Zr,V,Ni,Co:これ
らの元素は、(3),(4)の合金においていずれか1
種以上が添加される。これらは、いずれも結晶粒の微細
化に寄与するが、それぞれ下限未満では結晶粒微細化の
効果が充分に得られず、一方それぞれ上限を越えれば粗
大な晶出物が生成されやすくなるから、それぞれ前述の
範囲内とすることが好ましい。
らの元素は、(3),(4)の合金においていずれか1
種以上が添加される。これらは、いずれも結晶粒の微細
化に寄与するが、それぞれ下限未満では結晶粒微細化の
効果が充分に得られず、一方それぞれ上限を越えれば粗
大な晶出物が生成されやすくなるから、それぞれ前述の
範囲内とすることが好ましい。
【0026】そのほか一般のアルミニウム合金において
は、鋳塊の組織の微細化のために微量のTiを単独で、
あるいはTiをBと組合せて添加することが多いが、こ
の発明の場合もTiを単独であるいはBと組合せて添加
しても良い。但しTi量、B量はいずれも0.05wt
%未満とすることが望ましい。
は、鋳塊の組織の微細化のために微量のTiを単独で、
あるいはTiをBと組合せて添加することが多いが、こ
の発明の場合もTiを単独であるいはBと組合せて添加
しても良い。但しTi量、B量はいずれも0.05wt
%未満とすることが望ましい。
【0027】さらに通常のアルミニウム合金において
は、不純物としてFe,Siが含有されるが、この発明
の場合それぞれ0.5wt%未満であれば特に支障はな
い。
は、不純物としてFe,Siが含有されるが、この発明
の場合それぞれ0.5wt%未満であれば特に支障はな
い。
【0028】次にこの発明の枠形状部材の製造方法、す
なわち請求項2、請求項3の発明の方法の実施の形態に
ついて説明する。
なわち請求項2、請求項3の発明の方法の実施の形態に
ついて説明する。
【0029】この発明の方法の実施にあたっては、先
ず、好ましくは前述のような成分組成を有する合金の鋳
塊を鋳造する。この鋳造方法は特に限定されるものでは
ないが、通常のDC鋳造法(半連続鋳造法)あるいはそ
れを改良したホットトップDC鋳造法を適用することが
好ましい。また鋳塊のサイズは、断面積で1200cm
2 以下が好ましい。
ず、好ましくは前述のような成分組成を有する合金の鋳
塊を鋳造する。この鋳造方法は特に限定されるものでは
ないが、通常のDC鋳造法(半連続鋳造法)あるいはそ
れを改良したホットトップDC鋳造法を適用することが
好ましい。また鋳塊のサイズは、断面積で1200cm
2 以下が好ましい。
【0030】鋳塊に対しては、熱間塑性加工前に均質化
熱処理を施しても良く、この場合の熱処理条件は420
〜550℃の範囲内の温度で3〜24時間とすることが
好ましい。なおこの均質化熱処理は、熱間塑性加工のた
めの予備加熱と兼ねて行なっても良い。さらに、均質化
熱処理の前あるいは後には、鋳塊の表面の不良層を除去
する目的、あるいは加工に適した寸法とする目的から、
面削や切断を行なっても良い。
熱処理を施しても良く、この場合の熱処理条件は420
〜550℃の範囲内の温度で3〜24時間とすることが
好ましい。なおこの均質化熱処理は、熱間塑性加工のた
めの予備加熱と兼ねて行なっても良い。さらに、均質化
熱処理の前あるいは後には、鋳塊の表面の不良層を除去
する目的、あるいは加工に適した寸法とする目的から、
面削や切断を行なっても良い。
【0031】熱間塑性加工は前述のように1回以上行な
う必要があり、その具体的加工法としては、自由鍛造あ
るいは型鍛造を含む熱間鍛造が適当であり、またこれら
に熱間圧延や熱間押出を組合せても良い。ここで、請求
項3において規定したように、熱間鍛造の圧縮方向を交
互に45〜90°変えて複数回の鍛造を行なう方法とし
ては、最も簡単には、自由鍛造もしくは型鍛造にて3次
元を構成する3軸の2方向もしくは3方向の圧縮を各1
回以上行なう方法が挙げられる。
う必要があり、その具体的加工法としては、自由鍛造あ
るいは型鍛造を含む熱間鍛造が適当であり、またこれら
に熱間圧延や熱間押出を組合せても良い。ここで、請求
項3において規定したように、熱間鍛造の圧縮方向を交
互に45〜90°変えて複数回の鍛造を行なう方法とし
ては、最も簡単には、自由鍛造もしくは型鍛造にて3次
元を構成する3軸の2方向もしくは3方向の圧縮を各1
回以上行なう方法が挙げられる。
【0032】さらに熱間塑性加工においては、最終的に
得るべき枠形状部材に近い形状、すなわちプリフォーム
に加工しても良く、あるいは熱間塑性加工時には平板に
近い形状に加工しておき、溶体化処理前に打ち抜き切削
加工等を施して最終的な枠形状部材に近い形状のプリフ
ォームとしても良く、さらには平板のまま溶体化処理を
施しても良い。
得るべき枠形状部材に近い形状、すなわちプリフォーム
に加工しても良く、あるいは熱間塑性加工時には平板に
近い形状に加工しておき、溶体化処理前に打ち抜き切削
加工等を施して最終的な枠形状部材に近い形状のプリフ
ォームとしても良く、さらには平板のまま溶体化処理を
施しても良い。
【0033】熱間塑性加工の後の溶体化処理は、前述の
ように400〜500℃で行なえば良いが、その場合の
保持時間は10〜100minの範囲内が好ましい。溶
体化処理後の焼入れは、前述のように20〜80℃、好
ましくは50〜80℃の水中に投入して行ない、その
後、歪矯正のために1〜5%の圧下の圧縮加工によって
残留応力除去を行なう。この圧縮加工は、最終的に得る
べき枠形状部材の厚み方向に圧縮することが望ましい。
ように400〜500℃で行なえば良いが、その場合の
保持時間は10〜100minの範囲内が好ましい。溶
体化処理後の焼入れは、前述のように20〜80℃、好
ましくは50〜80℃の水中に投入して行ない、その
後、歪矯正のために1〜5%の圧下の圧縮加工によって
残留応力除去を行なう。この圧縮加工は、最終的に得る
べき枠形状部材の厚み方向に圧縮することが望ましい。
【0034】焼入れ後には、析出硬化のために時効処理
を行なう。この時効処理としては、100〜140℃の
範囲内の温度で12〜36時間加熱する人工時効処理を
適用することが適当であり、また任意の時間の自然時効
後に上記の人工時効処理を施しても良い。なお280M
Pa以上の耐力値を得るためには、通常は前述のような
人工時効処理を行なうことが必要であるが、場合によっ
ては自然時効(室温時効)のみによって280MPa以
上の耐力値が得られる場合もあり、その場合は自然時効
のみを行なっても良い。
を行なう。この時効処理としては、100〜140℃の
範囲内の温度で12〜36時間加熱する人工時効処理を
適用することが適当であり、また任意の時間の自然時効
後に上記の人工時効処理を施しても良い。なお280M
Pa以上の耐力値を得るためには、通常は前述のような
人工時効処理を行なうことが必要であるが、場合によっ
ては自然時効(室温時効)のみによって280MPa以
上の耐力値が得られる場合もあり、その場合は自然時効
のみを行なっても良い。
【0035】析出硬化後の素材に対しては、NC切削加
工機などにより切削加工を施して最終的な枠形状とす
る。
工機などにより切削加工を施して最終的な枠形状とす
る。
【0036】切削加工後には、必要に応じてアルマイト
処理を施す。すなわち、ペリクルフレームの如く光学的
に無反射であることが要求される場合は、表面を黒色化
する必要があり、そのために染色アルマイト処理、電解
着色アルマイト処理、あるいは自然発色アルマイト処理
による黒色化を行なうのが通常である。
処理を施す。すなわち、ペリクルフレームの如く光学的
に無反射であることが要求される場合は、表面を黒色化
する必要があり、そのために染色アルマイト処理、電解
着色アルマイト処理、あるいは自然発色アルマイト処理
による黒色化を行なうのが通常である。
【0037】以上のようにして、耐力値が280MPa
以上でかつ組織の各結晶粒のdL/dSの比の平均値が
8以下であって、切削加工後の寸法精度が安定して優
れ、また切削加工後にアルマイト処理を行なう場合はそ
のアルマイト処理後の寸法精度も安定して優れた枠形状
部材を得ることができる。
以上でかつ組織の各結晶粒のdL/dSの比の平均値が
8以下であって、切削加工後の寸法精度が安定して優
れ、また切削加工後にアルマイト処理を行なう場合はそ
のアルマイト処理後の寸法精度も安定して優れた枠形状
部材を得ることができる。
【0038】
実施例1〜3:表1に示される合金符号A,B,Cの各
合金について、DC鋳造法により直径203mmの鋳塊
を作成し、長さ180mmに切断して元材とした。各元
材について、450℃×10時間の均質化熱処理を施し
た後、第1回目の熱間自由鍛造によって直径287m
m、高さ90mmの円盤状に加工し、次いで第1回目の
自由鍛造の圧縮方向に対し直角な方向に圧縮する第2回
目の熱間自由鍛造を行ない、さらに第3回目の熱間自由
鍛造として、第1回目、第2回目の鍛造の各圧縮方向に
対し直角方向に圧縮する鍛造を行ない、これらの3方向
の圧縮を適宜繰返して、270mm×165mmの断面
を有する直方体形状とした。なおこれらの鍛造は、いず
れも鍛造温度400〜410℃で実施した。次いで切断
および打抜加工を施して、図2に示すような中央に側方
向にリブ2を設けた枠状をなす外形寸法153mm×1
26mm×8mmのプリフォーム(中間加工材)1とし
た。その後、470℃×2時間の条件で溶体化処理を行
ない、水温65℃の水中に焼入れし、さらに厚み方向に
3%の加工を加える冷間圧縮によって歪み矯正を行なっ
た。次いで125℃×25時間の人工時効処理(析出硬
化処理)を行なってT652テンパーとした。その後、
最終的にNC切削加工を行なって図3に示すような枠形
状の部材3とした。
合金について、DC鋳造法により直径203mmの鋳塊
を作成し、長さ180mmに切断して元材とした。各元
材について、450℃×10時間の均質化熱処理を施し
た後、第1回目の熱間自由鍛造によって直径287m
m、高さ90mmの円盤状に加工し、次いで第1回目の
自由鍛造の圧縮方向に対し直角な方向に圧縮する第2回
目の熱間自由鍛造を行ない、さらに第3回目の熱間自由
鍛造として、第1回目、第2回目の鍛造の各圧縮方向に
対し直角方向に圧縮する鍛造を行ない、これらの3方向
の圧縮を適宜繰返して、270mm×165mmの断面
を有する直方体形状とした。なおこれらの鍛造は、いず
れも鍛造温度400〜410℃で実施した。次いで切断
および打抜加工を施して、図2に示すような中央に側方
向にリブ2を設けた枠状をなす外形寸法153mm×1
26mm×8mmのプリフォーム(中間加工材)1とし
た。その後、470℃×2時間の条件で溶体化処理を行
ない、水温65℃の水中に焼入れし、さらに厚み方向に
3%の加工を加える冷間圧縮によって歪み矯正を行なっ
た。次いで125℃×25時間の人工時効処理(析出硬
化処理)を行なってT652テンパーとした。その後、
最終的にNC切削加工を行なって図3に示すような枠形
状の部材3とした。
【0039】比較例1〜3:実施例1〜3と同様な合金
A,B,Cについて、実施例1〜3と同様にして鋳塊作
製、均質化熱処理を行なった後、400℃において熱間
押出を行なって、断面寸法135mm×8mmの押出材
を得た。この押出材に対し、実施例1〜3と同様に切断
および打抜加工を行なって図2に示すプリフォームを作
製し、さらに実施例1〜3と同様に溶体化処理、水焼入
れ、歪み矯正、NC切削加工を施して図3に示すような
枠形状部材を得た。
A,B,Cについて、実施例1〜3と同様にして鋳塊作
製、均質化熱処理を行なった後、400℃において熱間
押出を行なって、断面寸法135mm×8mmの押出材
を得た。この押出材に対し、実施例1〜3と同様に切断
および打抜加工を行なって図2に示すプリフォームを作
製し、さらに実施例1〜3と同様に溶体化処理、水焼入
れ、歪み矯正、NC切削加工を施して図3に示すような
枠形状部材を得た。
【0040】比較例4〜6:熱間押出までは比較例1〜
3と同様に行ない、得られた押出材(断面寸法135m
m×8mm)について、そのまま470℃×2時間の条
件で溶体化処理を施してから、水温65℃の水中に焼入
れした。その後、押出方向に平行に3%の引張加工を加
えて歪み矯正を行ない、次いで125℃×25時間の析
出硬化処理を施してT651テンパーとし、これを元材
としてNC切削加工を行ない、図3に示す形状、寸法の
枠形状部材とした。
3と同様に行ない、得られた押出材(断面寸法135m
m×8mm)について、そのまま470℃×2時間の条
件で溶体化処理を施してから、水温65℃の水中に焼入
れした。その後、押出方向に平行に3%の引張加工を加
えて歪み矯正を行ない、次いで125℃×25時間の析
出硬化処理を施してT651テンパーとし、これを元材
としてNC切削加工を行ない、図3に示す形状、寸法の
枠形状部材とした。
【0041】比較例7:合金符号Cの合金について、実
施例1〜3と同様なプロセスで歪み矯正までを行ない、
次いで室温保持の自然時効のみでT452テンパーと
し、その後実施例1〜3と同様にNC切削加工を行なっ
て図3に示す枠形状部材とした。
施例1〜3と同様なプロセスで歪み矯正までを行ない、
次いで室温保持の自然時効のみでT452テンパーと
し、その後実施例1〜3と同様にNC切削加工を行なっ
て図3に示す枠形状部材とした。
【0042】以上の実施例1〜3、比較例1〜7によっ
て得られた各枠形状部材について、耐力値を調べるとと
もに、組織中における各結晶粒の最長方向寸法dLと最
長方向に対し垂直な方向の最大寸法dSとの比dL/d
Sの値を調べた。また特に実施例1〜3、比較例1〜3
によって得られた枠形状部材については、図2に示すプ
リフォーム(中間加工材)1を前述のようにT652テ
ンパー状態とした後、図2中の×印で示す位置に歪ゲー
ジを貼着し、中央のリブ2を切落した時の歪みを測定す
ることにより、NC加工前の残留応力の大きさを調べ
た。
て得られた各枠形状部材について、耐力値を調べるとと
もに、組織中における各結晶粒の最長方向寸法dLと最
長方向に対し垂直な方向の最大寸法dSとの比dL/d
Sの値を調べた。また特に実施例1〜3、比較例1〜3
によって得られた枠形状部材については、図2に示すプ
リフォーム(中間加工材)1を前述のようにT652テ
ンパー状態とした後、図2中の×印で示す位置に歪ゲー
ジを貼着し、中央のリブ2を切落した時の歪みを測定す
ることにより、NC加工前の残留応力の大きさを調べ
た。
【0043】さらに実施例1〜3、比較例1〜7の各枠
形状部材の寸法精度評価として、厚さ歪みおよび辺歪み
の平均値と最大値とを調べた。ここで、厚さ歪みについ
ては、10個のサンプルの枠形状部材について、それぞ
れ厚さ方向のゆがみの最も大きな値を厚さ歪みとし、そ
の10個のサンプルの厚さ歪みの平均値および最大値を
求めた。また辺歪みについては、同じく10個のサンプ
ルの枠形状部材について、それぞれ基準点P1,P2
(図3参照)で決定される平面的な外形理想形状(直角
平行四辺形状)からのずれの最大値を調べて辺歪みと
し、その10個のサンプルの辺歪みの平均値および最大
値を求めた。
形状部材の寸法精度評価として、厚さ歪みおよび辺歪み
の平均値と最大値とを調べた。ここで、厚さ歪みについ
ては、10個のサンプルの枠形状部材について、それぞ
れ厚さ方向のゆがみの最も大きな値を厚さ歪みとし、そ
の10個のサンプルの厚さ歪みの平均値および最大値を
求めた。また辺歪みについては、同じく10個のサンプ
ルの枠形状部材について、それぞれ基準点P1,P2
(図3参照)で決定される平面的な外形理想形状(直角
平行四辺形状)からのずれの最大値を調べて辺歪みと
し、その10個のサンプルの辺歪みの平均値および最大
値を求めた。
【0044】これらの測定結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】表2に示すように、この発明の実施例1〜
3による枠形状部材では、いずれも耐力値が280MP
aを越えており、またdL/dSの平均値はいずれも8
以下であった。そしてこれらの実施例1〜3の枠形状部
材は、切削加工後の厚さ歪み、辺歪みはともに小さく、
寸法精度が高いと言うことができる。
3による枠形状部材では、いずれも耐力値が280MP
aを越えており、またdL/dSの平均値はいずれも8
以下であった。そしてこれらの実施例1〜3の枠形状部
材は、切削加工後の厚さ歪み、辺歪みはともに小さく、
寸法精度が高いと言うことができる。
【0048】一方比較例1〜6により得られた各枠形状
部材は、いずれも耐力値は280MPaを越えている
が、押出方向に結晶粒が伸長されてdL/dSの値が8
を越えており、切削加工後の厚さ歪み、辺歪みが著しく
大きくなってしまい、切削加工後の寸法精度に劣ること
が判明した。
部材は、いずれも耐力値は280MPaを越えている
が、押出方向に結晶粒が伸長されてdL/dSの値が8
を越えており、切削加工後の厚さ歪み、辺歪みが著しく
大きくなってしまい、切削加工後の寸法精度に劣ること
が判明した。
【0049】なお実施例1〜3、比較例1〜3について
は残留応力も調べたが、実施例1〜3の場合の残留応力
は、比較例1〜3の場合よりも格段に小さく、したがっ
てこのことが実施例1〜3の寸法精度向上に大きく寄与
していることが明らかである。
は残留応力も調べたが、実施例1〜3の場合の残留応力
は、比較例1〜3の場合よりも格段に小さく、したがっ
てこのことが実施例1〜3の寸法精度向上に大きく寄与
していることが明らかである。
【0050】また比較例7は、人工時効処理の代りに自
然時効を適用したものであり、この場合はdL/dSの
平均値は8以下であるが、耐力値が280MPaを大き
く下廻ってしまい、切削加工後の歪み、特に辺歪みが著
しく大きくなってしまった。
然時効を適用したものであり、この場合はdL/dSの
平均値は8以下であるが、耐力値が280MPaを大き
く下廻ってしまい、切削加工後の歪み、特に辺歪みが著
しく大きくなってしまった。
【0051】実施例4〜6:これらの実施例4〜6は、
実施例1〜3によって得られた各枠形状部材について、
その後さらにアルマイト処理を施したものである。具体
的には、実施例4は、実施例1(合金符号A)による切
削加工後の枠形状部材について硫酸アルマイト処理後、
有機染料により黒色に染色し、酢酸ニッケル系封孔剤に
よる封孔処理を行なったもので、アルマイト皮膜の膜厚
は15μmである。また実施例5は、実施例2(合金符
号B)による切削加工後の枠形状部材について、硫酸ア
ルマイトによる自然発色アルマイト処理によって黒色化
させ、さらに酢酸ニッケル系封孔剤により封孔処理を行
なったもので、アルマイト皮膜の膜厚は20μmであ
る。さらに実施例6は、実施例3(合金符号C)による
切削加工後の枠形状部材について、硫酸アルマイト処理
後、有機染料により黒色に染色し、酢酸ニッケル系封孔
剤による封孔処理を施したもので、アルマイト皮膜の膜
厚は15μmである。
実施例1〜3によって得られた各枠形状部材について、
その後さらにアルマイト処理を施したものである。具体
的には、実施例4は、実施例1(合金符号A)による切
削加工後の枠形状部材について硫酸アルマイト処理後、
有機染料により黒色に染色し、酢酸ニッケル系封孔剤に
よる封孔処理を行なったもので、アルマイト皮膜の膜厚
は15μmである。また実施例5は、実施例2(合金符
号B)による切削加工後の枠形状部材について、硫酸ア
ルマイトによる自然発色アルマイト処理によって黒色化
させ、さらに酢酸ニッケル系封孔剤により封孔処理を行
なったもので、アルマイト皮膜の膜厚は20μmであ
る。さらに実施例6は、実施例3(合金符号C)による
切削加工後の枠形状部材について、硫酸アルマイト処理
後、有機染料により黒色に染色し、酢酸ニッケル系封孔
剤による封孔処理を施したもので、アルマイト皮膜の膜
厚は15μmである。
【0052】これらの実施例4〜6によりアルマイト処
理された枠形状部材について、実施例1〜3と同様に耐
力値、dL/dSの値、厚さ歪み、辺歪みを調べた結果
を表3に示す。
理された枠形状部材について、実施例1〜3と同様に耐
力値、dL/dSの値、厚さ歪み、辺歪みを調べた結果
を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】表3に示すように、実施例4〜6ではアル
マイト処理後の厚さ歪み、辺歪みが小さく、アルマイト
処理後の寸法精度に優れていることが明らかである。
マイト処理後の厚さ歪み、辺歪みが小さく、アルマイト
処理後の寸法精度に優れていることが明らかである。
【0055】
【発明の効果】請求項1の枠形状部材は、高強度を有す
るばかりでなく、耐力値および結晶粒の形状、特に各結
晶粒の最長方向寸法dLと最長方向に対し垂直な方向の
最大寸法dSとの比dL/dSを適切に制御することに
よって、切削加工後の寸法精度が確実かつ安定して優れ
たものとなり、そのため高精度、高強度が要求される枠
形状部材の部品、特にペリクルフレーム、そのほか各種
の光学機器や電子機器に最適である。また請求項2、請
求項3の製造方法によれば、上述のように切削加工後の
寸法精度に優れかつ高強度を有する枠形状部材を、確実
かつ安定して製造することができる。
るばかりでなく、耐力値および結晶粒の形状、特に各結
晶粒の最長方向寸法dLと最長方向に対し垂直な方向の
最大寸法dSとの比dL/dSを適切に制御することに
よって、切削加工後の寸法精度が確実かつ安定して優れ
たものとなり、そのため高精度、高強度が要求される枠
形状部材の部品、特にペリクルフレーム、そのほか各種
の光学機器や電子機器に最適である。また請求項2、請
求項3の製造方法によれば、上述のように切削加工後の
寸法精度に優れかつ高強度を有する枠形状部材を、確実
かつ安定して製造することができる。
【図1】この発明において素材の結晶粒の寸法の定義を
示すための模式図である。
示すための模式図である。
【図2】この発明の実施例において中間加工材(プリフ
ォーム)の形状、寸法を示す平面図である。
ォーム)の形状、寸法を示す平面図である。
【図3】この発明の実施例において最終的に得られた枠
形状部材の形状、寸法を示す平面図である。
形状部材の形状、寸法を示す平面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 684 C22F 1/00 684C 691 691C 691B (72)発明者 関口 常久 東京都港区芝大門一丁目13番9号 昭和電 工株式会社内 (72)発明者 小浜 憲人 東京都港区芝大門一丁目13番9号 昭和電 工株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 析出硬化されたAl−Zn−Mg系合金
からなり、かつ耐力値が280MPa以上であって、し
かも組織中の各結晶粒における最長方向の寸法dLと最
長方向に対し垂直な方向での最大寸法dSとの比dL/
dSの平均値が8以下であることを特徴とする、Al−
Zn−Mg系合金からなる高強度・高精度枠形状部材。 - 【請求項2】 請求項1に記載の枠形状部材を製造する
にあたり、 Al−Zn−Mg系合金からなる鋳塊に1回以上の熱間
塑性加工を施した後、400〜500℃の範囲内で溶体
化処理を施して、20〜80℃の水中に焼入れし、その
後1〜5%の圧縮加工により残留応力除去を行ない、さ
らに時効析出処理を施してから切削加工を施して枠形状
とすることを特徴とする、Al−Zn−Mg系合金から
なる枠形状部材の製造方法。 - 【請求項3】 請求項2に記載の製造方法において、 鋳塊に1回以上の前記熱間塑性加工を施すにあたり、圧
縮方向を互いに45〜90°異なる方向とした各1回以
上の熱間鍛造を含む複数回の熱間塑性加工を施すことを
特徴とする、Al−Zn−Mg系合金からなる枠形状部
材の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10532297A JPH10280081A (ja) | 1997-04-08 | 1997-04-08 | Al−Zn−Mg系合金からなる高強度・高精度枠形状部材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10532297A JPH10280081A (ja) | 1997-04-08 | 1997-04-08 | Al−Zn−Mg系合金からなる高強度・高精度枠形状部材およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10280081A true JPH10280081A (ja) | 1998-10-20 |
Family
ID=14404486
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10532297A Pending JPH10280081A (ja) | 1997-04-08 | 1997-04-08 | Al−Zn−Mg系合金からなる高強度・高精度枠形状部材およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10280081A (ja) |
Cited By (13)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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