JPH10287491A - 表面粗さを調整したダイヤモンド被覆硬質部材 - Google Patents

表面粗さを調整したダイヤモンド被覆硬質部材

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JPH10287491A
JPH10287491A JP10810197A JP10810197A JPH10287491A JP H10287491 A JPH10287491 A JP H10287491A JP 10810197 A JP10810197 A JP 10810197A JP 10810197 A JP10810197 A JP 10810197A JP H10287491 A JPH10287491 A JP H10287491A
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diamond
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hard member
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JP10810197A
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Hiroyuki Kodama
浩亨 児玉
Masaru Yagi
優 八木
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Tungaloy Corp
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Toshiba Tungaloy Co Ltd
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    • C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00—After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐摩耗性、耐剥離性、耐チッピング性にすぐ
れ、特に切削工具として実用可能な表面粗さを調整した
ダイヤモンド被覆硬質部材の提供。 【解決手段】 基材の上にダイヤモンドおよび/または
ダイヤモンド状カーボンの被膜を被覆したダイヤモンド
被覆硬質部材であって、該被膜に隣接する該基材の平均
表面粗さがRa表示において0.1μm〜2.5μmに
調整されており、該被膜の平均表面粗さがRa表示にお
いて1.5μm以下に調整されており、かつ該被膜の平
均表面粗さをRa(c)と表示し、該基材の平均表面粗
さをRa(s)と表示したときに、Ra(c)≦Ra
(c)からなることを特徴とする表面粗さを調整したダ
イヤモンド被覆硬質部材。(但し、Raは、日本工業規
格JIS B0601に記載の内容に準ずる)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被膜が緻密である
こと、膜質がすぐれていること、被膜の付着性および耐
剥離性がすぐれていることを特徴とする表面粗さを調整
したダイヤモンド被覆硬質部材に関し、具体的には、基
材の表面粗さと、基材上に被覆するダイヤモンドを主成
分とする被膜の表面粗さとを調整することにより、旋削
工具,ドリル,エンドミル,リーマ,フライス工具に代
表される切削工具部材,スリッターなどの切断工具,ノ
ズル,光学素子成形型,ボンデングツールに代表される
耐摩耗性および耐摩擦性を重要視する耐摩耗性工具、さ
らには電子工業,精密工業,化学工業などに用いられる
構造部材,機能部材として実用可能な表面粗さを調整し
たダイヤモンド被覆硬質部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から超硬合金に代表される焼結合金
の基材上にダイヤモンドおよび/またはダイヤモンド状
カ−ボンの被膜を被覆してなるダイヤモンド被覆焼結合
金についての検討が行われており、その被膜の耐摩耗性
を発揮させることにより工具材料、特に切削工具として
実用化しようという試みが行われている。
【0003】ダイヤモンド被覆焼結合金は、ダイヤモン
ドおよび/またはダイヤモンド状カーボンが他の物質と
の濡れ性に劣ることから、基材の表面にダイヤモンドお
よび/またはダイヤモンド状カ−ボンの被膜を、密着性
および付着性を高めた状態に、いかに被覆することがで
きるかという問題が最大の課題となっている。また、各
種の基材上にダイヤモンドおよび/またはダイヤモンド
状カ−ボンの被膜がある程度の密着性および付着性にす
ぐれた状態に被覆されたとしても、工具材料に応用した
場合には、実用時に被膜の剥離またはチッピングが生じ
易くなるという課題がある。
【0004】特に、旋削工具,フライス工具,ドリル,
エンドミルに代表される切削工具、金型,裁断刃,切断
刃に代表される耐摩耗工具などの工具の場合は、最も苛
酷な条件で用いられるために、例えば超硬合金でなる基
材と被膜との密着性および付着性、ならびに被膜の表面
粗度が一層重要な問題になっている。
【0005】ダイヤモンドおよび/またはダイヤモンド
状カ−ボンの被膜と基材との密着性を高めて、工具とし
て用いることが可能なダイヤモンド被覆焼結合金とし
て、多数提案されており、このうち、基材の表面をエッ
チングすることについて提案されている代表的なもの
に、特開昭63−53269号公報,特開平1−201
475号公報,特開平1−246361号公報,特開平
2−217398号公報,特開平3−107460号公
報および特開平3−115571号公報があり、基材の
表面粗さについて提案されている代表的なものに、特開
平7−223101号公報がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ダイヤモンド被覆焼結
合金の基材の表面部について提案されている先行技術の
内、特開昭63−53269号公報,特開平1−201
475号公報,特開平1−246361号公報,特開平
2−217398号公報,特開平3−107460号公
報および特開平3−115571号公報には、超硬合金
でなる基材の表面を酸によりエッチング処理すること、
特に特開平2−217398号公報および特開平3−1
07460号公報には、基材の表面を酸や中性物質によ
り電解研磨およびエッチング処理して、表面部に存在す
る結合相を除去した基材の表面にダイヤモンドの被膜を
被覆することが開示されている。
【0007】これらの公報に開示されている方法により
得られるダイヤモンド被覆焼結合金は、酸溶液によるエ
ッチングであるために、結合相のみがエッチングされ
て、エッチング前後における基材表面の面粗さの変動が
余り大きくなく、理想的な凹凸面にすることが困難であ
ることから、基材表面に被覆されたダイヤモンドの被膜
の付着性および密着性に満足できないという問題があ
り、特に工具材料に応用した場合には短寿命になるとい
う問題がある。
【0008】また、特に特開平2−217398号公報
および特開平3−107460号公報に開示されている
ように、酸による電解研磨およびエッチングにより、基
材表面部のエッチング深さを深くした場合には、上述の
問題の他に、さらに基材表面部の強度が低下するという
問題がある。
【0009】特開平7−223101号公報には、基材
とダイヤモンド被膜との接合表面における表面粗さがR
a=0.1〜3μmに調整することが開示されている。
しかしながら、同公報に開示のダイヤモンド被覆焼結合
金は、ダイヤモンド被膜の表面粗さが調整されていない
ことから、基材とダイヤモンド被膜との付着性および密
着性が著しく低く、工具として用いた場合に被膜の剥
離,チッピングなどにより短寿命になりやすいという問
題がある。
【0010】また、その他の技術文献に、基材の表面に
被覆したダイヤモンドの被膜表面を研磨して表面粗さを
小さくすると、長寿命化を達成することが可能であると
開示されているものがある。この場合、従来のダイヤモ
ンド被覆部材に対比して、ダイヤモンドの被膜表面粗さ
を小さくすることにより、長寿命の傾向を有している
が、基材の表面粗さを調整していないために、より過酷
な条件で実用された場合には、基材と被膜との付着性お
よび密着性の低下、被膜の剥離,チッピングなどにより
短寿命になりやすいという問題がある。
【0011】本発明は、上述のような問題点を解決した
もので、具体的には、金属,合金,焼結合金,またはセ
ラミックス焼結体の基材の表面粗さを調整することによ
り、その基材表面に被覆する被膜の成膜時にダイヤモン
ドの核が容易に、かつ多量に形成可能であること、緻密
な膜にし得ること、および膜質にすぐれること、そして
成膜後の被膜表面粗さを調整すると、実用時において被
膜の耐摩耗性および耐摩擦性が向上し、基材との付着性
および密着性がより一層すぐれるようになることから被
膜厚さを厚く被覆することが可能となること、これらが
総合されて耐摩耗性,耐剥離性,耐チッピング性にすぐ
れること、特に切削工具として実用可能な表面粗さを調
整したダイヤモンド被覆硬質部材の提供を目的とするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために長年に亘り研究を重ねていたところ、
超硬合金でなる基材表面の面粗さが、ダイヤモンドの気
相合成時におけるダイヤモンドの核形成量および膜質に
大きく影響すること、それにより成膜されたダイヤモン
ド被膜と基材との付着性,密着性に大きく影響するこ
と、これら両方の効果を最大に発揮させるためには、最
適な基材表面の面粗さが存在するという第1の知見を得
た。
【0013】また、本発明者らは、基材の表面に気相合
成法によりダイヤモンド被膜を被覆した場合に、被膜表
面の面粗さが実用時における相手物質との摩擦および摩
耗に大きく影響を及ぼし、そして基材表面の面粗さと被
膜表面の面粗さとの関係から、被膜の耐剥離性を最大に
高め得ること、その結果、切削工具として用いた場合に
長寿命となるという第2の知見を得た。これら第1およ
び第2の知見に基づいて、本発明を完成するに至ったも
のである。
【0014】すなわち、本発明のダイヤモンド被覆硬質
部材は、基材の上にダイヤモンドおよび/またはダイヤ
モンド状カーボンの被膜を被覆したダイヤモンド被覆硬
質部材であって、該被膜に隣接する該基材の平均表面粗
さがRa表示において0.1μm〜2.5μmに調整さ
れており、該被膜の平均表面粗さがRa表示において
1.5μm以下に調整されており、かつ該被膜の平均表
面粗さをRa(c)と表示し、該基材の平均表面粗さを
Ra(s)と表示したときに、Ra(c)≦Ra(s)
からなることを特徴とするものである。(但し、Ra
は、日本工業規格JIS B0601に記載の内容に準
ずる)
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のダイヤモンド被覆硬質部
材における基材は、ダイヤモンド気相合成法において、
変形が生じない材料であり、かつ基材表面に被膜が被覆
された後に実用時に耐え得る材料ならば問題はなく、具
体的には、例えばSi,Ti,Zr,Hf,V,Ta,
Nb,W,Mo,Crの金属、これらの金属の中の少な
くとも1種を含む合金,高速度鋼,ダイス鋼などの合
金、またはサーメット,超硬合金などの焼結合金、もし
くは窒化珪素基焼結体,炭化珪素基焼結体,炭化タング
ステン主体の炭化物含有焼結体などのセラミックス焼結
体、あるいはこれらの金属,合金,焼結合金,セラミッ
クス焼結体の表面にダイヤモンドおよび/またはダイヤ
モンド状カーボン以外の無機物質からなる単層,多層の
薄膜を被覆した部材を挙げることができる。
【0016】これらの基材のうち、実質的に周期律表の
4a,5a,6a族元素,Si,Alの炭化物,窒化
物,酸化物,およびこれらの相互固溶体の中の少なくと
も1種の硬質相と不可避不純物とからなるセラミックス
焼結体でなる基材、または99重量%以上の炭化タング
ステンを主成分とする硬質相と残部がCoおよび/また
はNiを主成分とする結合相と不可避不純物とからなる
セラミックス焼結体でなる基材、もしくは1重量%を超
えて10重量%以下のCoおよび/またはNiを主成分
とする結合相と残部が炭化タングステンを主成分とする
硬質相と不可避不純物とからなる超硬合金でなる基材の
場合は、気相合成法によるダイヤモンド被膜の膜質を高
めることが容易であることから好ましいことである。
【0017】特に、上述の超硬合金からなる基材の場合
には、切削工具として実用した場合に、基材自体の強度
および靭性にすぐれていることから、長寿命を発揮させ
得ることが可能となり、好ましいことである。この超硬
合金は、従来から実用されている超硬合金である、例え
ばJIS規格のB4104およびB4053に記載され
ている超硬合金を用いることができる。具体的には、C
oおよび/またはNiを主成分とする結合相1〜15重
量%と残部が炭化タングステンのみの硬質相、または8
0重量%以上の炭化タングステンと他の炭化物,窒化
物,炭窒化物を少なくとも1種を20重量%以下とでな
る硬質相からなる超硬合金である。これらの超硬合金の
うち、特に、上述の結合相を1〜10重量%と残部が上
述の硬質相からなる超硬合金である場合がダイヤモンド
被膜形成と実用時の強度,靭性から好ましいことであ
る。
【0018】この超硬合金の基材のうち、結合相は、具
体的には、Ni,Co,NiとCoの混在,またはNi
−Co合金からなる場合、もしくはこれらのNiおよび
/またはCoと他の金属との混在、あるいは相互合金と
なっている場合がある。このうち、Ni,Co以外の金
属の含有した結合相は、具体的には、例えばCo−Fe
合金,Ni−Fe合金,Ni−Mo合金,Co−Mo合
金,Ni−Co−Mo合金,Co−Ni−Fe合金,C
o−Cr合金,Ni−Cr合金,Co−Ni−Cr合
金,Co−Fe−Cr合金,Ni−Fe−Cr合金,C
o−V合金,Ni−V合金,Co−Ni−V合金,Co
−Ni−Cr−V合金,Co−Cr−V合金,Ni−C
r−V合金,Co−W合金,Ni−Cr−Mo合金を挙
げることができる。 この結合相は、Co,Niの中の
少なくとも1種が結合相に対して、50wt%以上含有
されていることが好ましいことである。この結合相の含
有量は、ドリルおよびエンドミルに代表される回転工具
に用いる場合には、超硬合金全体に対して2〜10重量
%でなることが特に好ましく、硬質相の粒成長抑制効果
の高いCrおよび/またはVが含有されていることがさ
らに好ましいことである。
【0019】さらに、これらの金属,合金,焼結合金,
セラミックス焼結体の表面に、ダイヤモンドおよび/ま
たはダイヤモンド状カーボンの被膜以外の無機物質から
なる薄膜を被覆した基材の場合には、ダイヤモンドの被
膜合成時にダイヤモンドの核発生および成長を阻害させ
ないような物質からなる薄膜の選択が可能となること、
かつ基材全体の強度および靭性をも選定でき得ることか
ら、好ましいことである。具体的には、例えば超硬合金
や高速度鋼の表面に、TiN,TiCN,(TiAl)
N,SiC,Si3N4,Siの中の1種の単層または2
種以上の多層からなる薄膜を被覆した基材を挙げること
ができる。このときの薄膜の厚さは、上述の被膜の形成
時に効果が発揮され得る最低厚さがあればよく、具体的
には、0.1μm以上,好ましくは0.5〜5μmであ
る。
【0020】この基材は、ダイヤモンドおよび/または
ダイヤモンド状カーボンの被膜に隣接する基材表面の平
均の表面粗さがRa=0.1μm〜2.5μmからなる
ことである。この基材表面の平均の表面粗さがRa<
0.1μmの場合には、基材への被膜の付着性,密着性
が劣ること、逆に基材表面の平均の表面粗さがRa>
2.5μmの場合には、基材上に被覆されるダイヤモン
ドおよび/またはダイヤモンド状カーボンの被膜表面の
面粗さが粗くなり、例えば切削工具として用いると、切
削抵抗が高くなり、欠損および被膜の剥離の原因になる
こと、相手材である被削材の仕上げ面を粗くし、短寿命
となる。また、被覆後にラッピングなどにより、被膜表
面粗さを調整するとしても、物質の中で最高の硬さを有
している被膜表面粗さの調整は、長時間を要すること、
被膜を損傷する可能性が高くなる。したがって、基材表
面の平均の表面粗さは、Ra=0.1μm〜2.5μm
と定めたものである。
【0021】この基材上に被覆されるダイヤモンドおよ
び/またはダイヤモンド状カーボンの被膜は、平均の表
面粗さがRa≦1.5μmでなるものである。この被膜
の平均の表面粗さがRa>1.5μmになると、上述し
たように、例えば切削工具として用いた場合に、切削抵
抗が高くなり、欠損および被膜の剥離の原因になるこ
と、相手材である被削材の仕上げ面を粗くし、短寿命と
なるという問題がある。この被膜の平均の表面粗さがR
a≦1.0μmでなることが好ましく、特に好ましいの
は、Ra=0.1〜1.0μmである。また、この被膜
の膜厚さは、用途により最適値が異なるが、切削工具ま
たは耐摩耗工具のような過酷な条件でも実用可能な膜厚
さとするためには、平均膜厚さを1〜15μmとするこ
とが好ましいことである。
【0022】この基材表面の面粗さと被膜表面の面粗さ
との比が重要であり、被膜表面の面粗さが基材表面の面
粗さより大きくなると、膜の耐密着性,耐付着性,耐剥
離性,および耐チッピング性の低下が著しくなること、
さらに摩擦性の増大と、相手材料への損傷の増大を誘起
させることになる。
【0023】この本発明のダイヤモンド被覆硬質部材に
おける基材の表面粗さの調整は、従来から行われている
表面粗さ調整方法である、例えば研磨,ラッピング,腐
食,バレル処理,ショットピーニング処理,熱処理など
の方法により調整することができる。このことを、超硬
合金の基材について、具体的に説明すると、例えば、焼
き肌面または研磨面でなる超硬合金の表面を、アルカリ
溶液中で超硬合金の表面に存在する硬質相を電解腐食
し、その後酸溶液中で超硬合金の表面に存在する結合相
を腐食することにより、基材の表面粗さを調整すること
ができる。
【0024】このようにして、表面粗さを調整した基材
を用いて、例えば従来から行われているマイクロ波プラ
ズマ化学蒸着法,高周波プラズマ化学蒸着法により、基
材の表面にダイヤモンドおよび/またはダイヤモンド状
カーボンからなる被膜を被覆する。このとき、基材の表
面粗さの調整と、その基材の表面に被覆する被膜形成条
件により、被膜の表面粗さを調整することも可能であ
り、この場合には、後工程を省略することができて、か
つ寿命が向上するのに最適な被膜表面粗さにすることが
できることから好ましいことである。しかし、その被膜
の表面粗さは、調整範囲が狭いことから、被膜形成後
に、例えば従来から行われている微粒ダイヤモンドペー
ストによるラッピング法,金属酸化物との摩擦接触によ
る酸化法,熱腐食法などにより、被膜の表面粗さを調整
することも、特に好ましい。
【0025】
【作用】本発明のダイヤモンド被覆硬質部材は、基材の
表面粗さを調整することにより、被膜の成膜時にダイヤ
モンドの核の発生を誘起させていること、良質な被膜を
生成させていること、基材表面の凹凸にクサビ状に被膜
がくい込んで基材と被膜との密着性,付着性を高めると
いう作用をしているものである。また、本発明のダイヤ
モンド被覆硬質部材は、被膜の表面粗さを調整すること
により、相手材料との摩擦抵抗を低減する作用をし、被
膜の表面粗さが基材の表面粗さと等しいか、または被膜
の表面粗さが基材の表面粗さより小さくすることによ
り、より一層の基材と被膜との密着性,付着性を高めて
いること、被膜の耐剥離性,部材の耐欠損性,耐チッピ
ング性を高めていること、切削工具として用いた場合に
相手材料である被削材の仕上げ面粗さを高めるという間
接的な作用をもしているものである。
【0026】
【実施例1】市販されている平均粒径が約0.5〜2μ
mの各種粉末を用いて、表1に示した配合組成成分に秤
量し、混合粉砕,粉末成形および焼結(焼結条件、1×
10-2Torr,1400〜1600℃,50分間保
持)を行って形状および表面粗さがJIS規格のSNG
N120408に相当する焼結体の基材を得た。これら
の基材を用いて、表1に併記したアルカリ溶液中でそれ
ぞれの基材を陽極とし、銅板を陰極として、直流電流を
流して各基材の表面を電解腐食した。次いで、各基材表
面を洗浄,乾燥後、表1に併記した酸処理により各基材
表面を腐食した。次に、各基材は、ダイヤモンド砥粒に
よる表面の傷付け処理,洗浄,乾燥後、マイクロ波プラ
ズマCVD装置内に設置し、水素:200SCCM,メ
タン:1SCCM,圧力:40Torrの雰囲気中、マ
イクロ波出力:2.1kw,基材温度:950℃の条件
により、各基材表面にダイヤモンドの被膜を被覆して本
発明品1〜9を得た。
【0027】比較として、基材と被膜の表面粗さは、研
磨およびラッピングにより調整作製した基材の表面粗さ
と被膜の表面粗さとの比が本発明品から外れた比較品1
〜3、および基材表面におけるアルカリ溶液中での電解
腐食を行わなかったこと以外は、上述の本発明品と同様
に処理して比較品4〜6を得た。また、表面粗さが異な
る基材を用いた以外は、上述の本発明品と同様に処理し
て比較品7〜9を得た。
【0028】こうして得た本発明品1〜9および比較品
1〜9について、成膜後の基材の表面粗さおよび被膜の
表面粗さをランダムに5点測定し、それぞれの平均表面
粗さを求めて、その結果を表2に示した。また、本発明
品1〜9および比較品1〜9の被膜厚さは、約10μm
であった。さらに、引っ掻き硬さ試験機に相当する被膜
の耐剥離試験機を用いて、本発明品1〜9および比較品
1〜9の被膜がそれぞれ剥離する最大荷重を求めて表2
に併記した。次に、本発明品1〜9および比較品1〜9
を用いて、被削材:Al−18wt%Si合金,切削速
度:900m/min,送り:0.1mm,切り込み:
0.5mm,乾式切削という条件で旋削試験を行い、逃
げ面摩耗量が0.3mmまたは欠損,チッピングが発生
したときを寿命とし、寿命までの切削時間を求めて表2
に併記した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【実施例2】実施例1で用いた各種の粉末を、表3に示
した配合組成成分に秤量したこと、形状が直径6mm,
長さ80mmのドリルを基材としたこと、ドリルの刃先
先端から約20mmまでを、表3に併記した腐食溶液に
よる腐食および被膜の被覆を施したこと、被膜処理条件
が熱フィラメント装置,フィラメント:タングステン
線,水素:200SCCM,メタン:1SCCM,圧
力:30Torr,フィラメント温度:2000℃,基
材温度:900℃とした以外は、実施例1の本発明品1
〜9とほぼ同様にして本発明品10〜18を得た。
【0032】比較として、基材と被膜の表面粗さは、研
磨およびラッピングにより調整作製した基材の表面粗さ
と被膜の表面粗さとの比が本発明品から外れた比較品1
0〜12、および基材表面におけるアルカリ溶液中での
電解腐食を行わなかったこと以外は、上述の本発明品と
同様に処理して比較品13〜15を得た。また、表面粗
さが異なる基材を用いた以外は、上述の本発明品と同様
に処理して比較品16〜18を得た。
【0033】こうして得た本発明品10〜18および比
較品10〜18について、成膜後の基材の表面粗さおよ
び被膜の表面粗さをランダムに5点測定し、それぞれの
平均表面粗さを求めて、その結果を表4に示し、実施例
1と同様にして被膜の耐剥離性を求めて表4に併記し
た。また、本発明品10〜18および比較品10〜18
の被膜厚さは、約10μmであった。次に、本発明品1
0〜18および比較品10〜18を用いて、被削材:A
l−30wt%Si合金,切削速度:230m/mi
n,回転当りの送り:0.2mm/rev,穴深さ:2
0mm,水溶性エマルジョンによる湿式切削という条件
で穴明け試験を行い、加工穴形状の不良,またはドリル
の欠損,チッピングが発生したときを寿命とし、寿命ま
での穴加工数を求めて表4に併記した。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【実施例3】表5に示した基材組成でなり、形状が直径
0.5mm,長さ50mmのミクロンドリルの基材を用
いて、ドリルの刃先先端から約5mmまでを表5に併記
したアルカリ溶液中の電解腐食および酸溶液による腐食
を施したこと、並びに熱フイラメント装置によりタング
ステン線をフイラメントとし、水素:200SCCM,
メタン:2SCCM,圧力:40Torrの雰囲気,フ
イラメント温度:1840℃,基材温度:950℃の条
件で被膜を被覆したこと以外は、ほぼ実施例1の本発明
品1〜9と同様に処理して本発明品19〜24を得た。
【0037】比較として、基材と被膜の表面粗さは、研
磨およびラッピングにより調整し、基材の表面は、アル
カリ溶液の電解腐食および酸溶液の腐食を行わずに、そ
の他はほぼ同様に処理し基材の表面粗さと被膜の表面粗
さとの比が本発明品から外れた比較品19〜20を得
た。また、基材は、表5に併記した組成のものを用い
て、この基材表面におけるアルカリ溶液中の電解腐食を
行わずに、酸溶液の腐食のみを行って、その他はほぼ同
様に処理して比較品21,22を得た。さらに、基材
は、表5に併記した組成であって、この基材の表面粗さ
が本発明品から外れるようにした基材を用いて、基材表
面におけるアルカリ溶液中の電解腐食および酸溶液の腐
食を行って、その他はほぼ同様に処理して比較品23,
24を得た。
【0038】こうして得た本発明品19〜24および比
較品19〜24について、成膜後の基材の表面粗さおよ
び被膜の表面粗さを実施例1と同様に測定して、その結
果を表6に示し、実施例1と同様にして被膜の耐剥離性
を求めて表6に併記した。また、本発明品19〜24お
よび比較品21〜24の基材表面部における組成成分を
確認したところ、基材の表面から内部に向かって約2μ
m深さまでは結合相が減少または除去された状態となっ
ていた。また、被膜の厚さは、約5μmであった。次い
で、本発明品19〜24および比較品19〜24を用い
て、被削材:厚さ0.6mmのAlとCuを積層したプ
ラスチック製電子回路用プリント基板,切削速度:1.
4m/min,回転当りの送り:2μm/rev,穴深
さ:3mm,雰囲気:乾式切削という条件で、プリント
基板の穴明け試験を行い、加工穴形状が不良になったと
きを寿命とし、寿命までの穴加工数を求めて表6に併記
した。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【実施例4】実施例1で用いた各種の粉末を、表7に示
した配合組成成分に秤量したこと、形状が直径6mm,
長さ70mm,刃長30mmの4枚刃エンドミルの基材
としたこと、刃先先端から約30mmまでを、表7に併
記した腐食溶液による腐食および被膜の被覆を施したこ
と、被膜処理条件が熱フィラメント装置,フィラメン
ト:タングステン線,水素:250SCCM,メタン:
2.3SCCM,圧力:30Torr,フィラメント温
度:1860℃,基材温度:950℃とした以外は、実
施例1の本発明品1〜9とほぼ同様にして本発明品25
〜30を得た。
【0042】比較として、基材と被膜の表面粗さは、研
磨およびラッピングにより調整し、基材の表面は、アル
カリ溶液の電解腐食および酸溶液の腐食を行わずに、そ
の他はほぼ同様に処理し基材の表面粗さと被膜の表面粗
さとの比が本発明品から外れた比較品25〜26を得
た。また、基材表面におけるアルカリ溶液中での電解腐
食を行わなかったこと以外は、上述の本発明品と同様に
処理して比較品27〜28を得た。また、基材の表面粗
さが異なること以外は、上述の本発明品と同様に処理し
て比較品29〜30を得た。
【0043】こうして得た本発明品25〜30および比
較品25〜30について、成膜後の基材の表面粗さおよ
び被膜の表面粗さをランダムに5点測定し、それぞれの
平均表面粗さを求めて、その結果を表8に示し、実施例
1と同様にして被膜の耐剥離性を求めて表8に併記し
た。また、本発明品25〜30および比較品25〜30
の被膜厚さは、約15μmであった。次に、本発明品2
5〜30および比較品25〜30を用いて、被削材:C
/Cコンポジット,工具突出し:30mm,切削速度:
90m/min,切込み:軸方向6mm−半径方向2m
m,刃当りの送り:0.02mm/rev,乾式切削と
いう条件でエンドミルの切削試験を行い、逃げ面摩耗幅
が0.2mmになったときを寿命とし、寿命までの加工
長を求めて表8に併記した。
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】
【実施例5】実施例1で用いた各種の粉末を、表9に示
した配合組成成分に秤量したこと、形状が直径6mm,
長さ70mm,刃長30mmの4枚刃エンドミルの基材
としたこと、刃先先端から約30mmまでを、表9に併
記した腐食溶液による腐食および被膜の被覆を施したこ
と、被膜処理条件が熱フィラメント装置,フィラメン
ト:タングステン線,水素:250SCCM,メタン:
2.3SCCM,圧力:30Torr,フィラメント温
度:1860℃,基材温度:950℃とした以外は、実
施例1の本発明品1〜9とほぼ同様にして本発明品31
〜38を得た。
【0047】比較として、基材と被膜の表面粗さは、研
磨およびラッピングにより調整し、基材の表面は、アル
カリ溶液の電解腐食および酸溶液の腐食を行わずに、そ
の他はほぼ同様に処理し基材の表面粗さと被膜の表面粗
さとの比が本発明品から外れた比較品31〜34を得
た。また、基材の表面粗さが異なること以外は、上述の
本発明品と同様に処理して比較品35〜38を得た。
【0048】こうして得た本発明品31〜38および比
較品31〜38について、成膜後の基材の表面粗さおよ
び被膜の表面粗さをランダムに5点測定し、それぞれの
平均表面粗さを求めて、その結果を表10に示し、実施
例1と同様にして被膜の耐剥離性を求めて表10に併記
した。た。また、本発明品31〜38および比較品31
〜38の被膜厚さは、約10μmであった。次に、本発
明品31〜38および比較品31〜38を用いて、被削
材:C/Cコンポジット,工具突出し:30mm,切削
速度:90m/min,切込み:軸方向6mm−半径方
向2mm,刃当りの送り:0.02mm/rev,乾式
切削という条件でエンドミルの切削試験を行い、逃げ面
摩耗幅が0.2mmになったときを寿命とし、寿命まで
の加工長を求めて表10に併記した。
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】
【実施例6】市販されているMo板,Si板および窒化
珪素基焼結体を基材とし、これらの基材の表面を研磨,
ラッピングおよび腐食処理により調整し、各種の表面粗
さでなる基材を作製した後、実施例1の本発明品1〜9
とほぼ同様に処理して基材表面にダイヤモンド被膜を被
覆し、それぞれの被膜表面を、ダイヤモンドペーストに
よるラッピング,酸化鉄粉末との加熱摩擦による酸化拡
散処理を施して、被膜表面の面粗さを調整した。こうし
て基材表面粗さと被膜表面粗さとを調整したダイヤモン
ド被覆部材について、実施例1の耐剥離性試験と同様に
して被膜の耐剥離性を確認した結果、基材表面粗さと被
膜表面粗さとその両者の比は、実施例1の本発明品1〜
9と比較品1〜9との関係とほぼ同様の傾向が見られ
た。
【0052】
【発明の効果】本発明のダイヤモンド被覆硬質部材は、
基材と被膜との表面粗さ比が本願発明の範囲から外れた
比較品、表面を酸腐食処理した基材の表面にダイヤモン
ドの被膜を被覆した本発明の範囲から外れた比較品、お
よび表面をアルカリ溶液と酸溶液による腐食処理した基
材の表面にダイヤモンドの被膜を被覆した本発明の範囲
から外れた比較品に比べて、成膜時にはダイヤモンドの
核が容易にかつ多量に形成できること、成膜後には被膜
と基材との付着性および密着性がすぐれていること、そ
の成膜された膜質がすぐれていること(不純物含有量が
少い)、しかも基材との付着性および密着性がすぐれて
いることから被膜厚さを厚く被覆することが可能となる
こと、さらに被膜の表面粗さが基材の表面粗さよりも小
さくなっていることから、実用時において相手材料との
摩擦が小さく、耐摩耗性,耐剥離性,耐チッピング性を
高めること、相手材料の損傷を抑制するという効果があ
る。これらのことから、本発明のダイヤモンド被覆硬質
部材は、工具材料として用いることが可能であること、
工具材料の中でも切削工具として用いることが可能であ
ること、切削工具の中でも最も過酷な回転工具、具体的
には、例えばエンドミル,ドリル,プリント基板用ミク
ロンドリル,フライス用切削チップ,リーマとして用い
ると長寿命になるというすぐれた効果が発揮される。さ
らに、各種の基材に応用できることから、本発明のダイ
ヤモンド被覆硬質部材は、電子機器,精密機器,化学機
器,医療機器などに使用される部品としても実用できる
という効果が期待される。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の上にダイヤモンドおよび/または
    ダイヤモンド状カーボンの被膜を被覆したダイヤモンド
    被覆硬質部材において、該被膜に隣接する該基材の平均
    表面粗さがRa表示において0.1μm〜2.5μmに
    調整されており、該被膜の平均表面粗さがRa表示にお
    いて1.5μm以下に調整されており、かつ該被膜の平
    均表面粗さをRa(c)と表示し、該基材の平均表面粗
    さをRa(s)と表示したときに、Ra(c)≦Ra
    (s)であることを特徴とする表面粗さを調整したダイ
    ヤモンド被覆硬質部材。(但し、Raは、日本工業規格
    JIS B0601に記載の内容に準ずる)
  2. 【請求項2】 上記被膜は、プラズマ化学蒸着法,化学
    蒸着法により被覆されたものであることを特徴とする請
    求項1記載の表面粗さを調整したダイヤモンド被覆硬質
    部材。
  3. 【請求項3】 上記被膜の平均表面粗さは、Ra=0.
    1〜1.0μmであることを特徴とする請求項1または
    2記載の表面粗さを調整したダイヤモンド被覆硬質部
    材。
  4. 【請求項4】 上記被膜は、平均膜厚さが1〜15μm
    であることを特徴とする請求項1,2または3記載の表
    面粗さを調整したダイヤモンド被覆硬質部材。
  5. 【請求項5】 上記基材は、超硬合金でなる焼結合金ま
    たは炭化タングステン,炭化珪素,窒化珪素の中の少な
    くとも1種を主成分とするセラミックス焼結体、または
    超硬合金からなることを特徴とする請求項1,2,3ま
    たは4記載の表面粗さを調整したダイヤモンド被覆硬質
    部材。
  6. 【請求項6】 上記基材は、該基材の表面をアルカリ溶
    液中での電解処理と酸腐食処理により調整してあること
    を特徴とする請求項5記載の表面粗さを調整したダイヤ
    モンド被覆硬質部材。
  7. 【請求項7】 上記ダイヤモンド被覆硬質部材は、切削
    工具として用いられることを特徴とする請求項1,2,
    3,4,5または6記載の表面粗さを調整したダイヤモ
    ンド被覆硬質部材。
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