JPH1028865A - カルボン酸エステル製造用触媒の改良製法 - Google Patents

カルボン酸エステル製造用触媒の改良製法

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JPH1028865A
JPH1028865A JP8189609A JP18960996A JPH1028865A JP H1028865 A JPH1028865 A JP H1028865A JP 8189609 A JP8189609 A JP 8189609A JP 18960996 A JP18960996 A JP 18960996A JP H1028865 A JPH1028865 A JP H1028865A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度、高品位なPd3 Pb1 金属間化合物
を担持してなるカルボン酸エステル製造用触媒の改良さ
れた製造方法を提供する。 【解決手段】 パラジウム/鉛担持組成比が原子比で3
/0以上3/1.3未満の触媒前駆体を、パラジウム/
鉛原子比が3/0.7〜1.3となるのに必要な鉛化合
物が存在する水溶液またはメタノール溶液中でホルマリ
ン、ヒドラジン等で還元する。 【効果】 パラジウム/鉛原子比が3/0.7〜1.
3、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線
回折角(2θ)が38.55〜38.70である、高純
度、高品位なPd3 Pb1 金属間化合物を担持してなる
触媒が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルデヒドとアル
コール及び分子状酸素からカルボン酸エステルを製造す
る際に使用する触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】工業的に有用なメタクリル酸メチル(以
下、MMAという。)又はアクリル酸メチルを製造する
方法としてメタクロレインからメタクリル酸を製造し、
さらにMMAに変換する直酸法と呼ばれる製法が既に工
業化されている。しかしながら、メタクロレインを酸化
しメタクリル酸とする工程の収率は長年にわたる触媒改
良により80%台前半まで改善されてきているが依然と
して低く改良の余地が大きい。また使用されるヘテロポ
リ酸触媒は、熱的安定性にもともと難点があり、反応温
度条件下で分解が徐々に進行する。耐熱性を向上させる
ための触媒改良が報じられているものの、工業触媒とし
ては触媒寿命が未だ不十分といわれる。
【0003】一方、メタクロレイン又はアクロレインを
メタノールと分子状酸素と反応させて一挙にメタクリル
酸メチル又はアクリル酸メチルを製造する新しいルート
が近時脚光をあびている。メタクロレイン又はアクロレ
インをメタノール中で分子状酸素と反応させることによ
って行われ、パラジウムを含む触媒の存在が必須であ
る。
【0004】従来、この製法はアルデヒドの分解反応を
併発して炭化水素や炭酸ガスが生成し、目的とするカル
ボン酸エステルの収率が低く、またカルボン酸エステル
の生成反応と並行してアルコール自身の酸化による異種
のアルデヒドおよびそのアルデヒドから異種のカルボン
酸エステル(例えば、アルコールとしてメタノールを用
いた場合は蟻酸メチル、エタノールの場合は酢酸エチ
ル)が副生し、アルコール基準の選択性も悪かった。し
かも触媒活性を長期にわたり維持できないという欠点も
あった。特に工業的実用価値の高いメタクロレインやア
クロレインなどのα・β−不飽和アルデヒドを出発原料
とした場合には、これら反応中間体の安定性が一段と低
いため反応中に多量の炭酸ガスやオレフィン(メタクロ
レインの場合はプロピレン)などの分解生成物が発生
し、実用化レベルにはほど遠かった。本発明者らは、特
公昭57−035856号、特公昭57−035857
号、特公昭57−035859号の各公報でパラジウ
ム、鉛を含む触媒系を提案し、メタクロレイン又はアク
ロレインを基準とした当該メチルエステルへの選択率を
大幅に改善し、90%を超える高い値となることを示し
ているが、反応温度は高々50℃までであった。引き続
き、特公昭62−007902号公報ではパラジウムと
鉛とが簡単な整数比で結合した金属間化合物を含む触媒
を提案し、メタクロレイン又はアクロレインの分解反応
がほぼ完全に抑止され、かつ触媒活性も長期間失われる
ことがない触媒系であることを示した。これら新しい触
媒系を使用する新製法は前記した通り収率改善及び触媒
寿命改善に頭打ちの感のある直酸法に比べ工程が短いな
どの利点もあり、工業的に有用なポリマー原料の新しい
製法として工業化が待ち望まれている。
【0005】しかしながら、工業的実施を前提として経
済的に有利な反応条件である60℃以上の高温で本反応
を実施すると、前記触媒系ではMMA選択率の低下及び
アルコール自身の酸化による蟻酸メチルの副生量が急激
する。即ち、特公昭62−007902号公報は90%
を超える高いMMA選択率が得られ、しかも蟻酸メチル
は0.03〜0.06モル/モルMMAと僅かし生成し
ないことを例示しているが、これらはアルデヒド濃度が
10%以下でしかも反応温度も40〜60℃という穏和
な条件で実施されたものである。これらの条件では生成
するMMA濃度が低いため未反応メタノールのリサイク
ル量が多く、その結果蒸気使用量が増大し経済性を悪化
させている。しかも生産性が低く反応器も大きい。経済
性改善のためにはアルデヒド濃度及び反応温度を可及的
に高めることが望ましく、特公平5−069813号公
報ではメタクロレイン濃度20%、反応温度80℃での
反応例が示されている。ところがこのような高いメタク
ロレイン濃度及び高い反応温度条件になると90%を超
える高いMMA選択率は得られない。しかも蟻酸メチル
が0.0923モル/モルMMAと倍増する。さらにメ
タクロレイン濃度を30%を越えるより過酷な条件にす
ると、アルデヒドの分解反応が起こりやすくなりMMA
の選択率がさらに悪化することが、本発明者らの検討で
明らかになった。
【0006】経済性改善のため、高温、高アルデヒド濃
度下で90%を超える高いMMA選択率及び蟻酸メチル
副生の少ない触媒系の出現が待たれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルデヒド
とアルコールをパラジウム及び鉛を含む触媒と反応させ
てカルボン酸エステルを製造するに際し、アルデヒドの
濃度および反応温度を高めて経済性を改善した反応条件
においても、カルボン酸エステルの選択率が高くしかも
蟻酸メチルなどのアルコール由来の副生物の少ない触媒
を製造する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な現状に鑑み、カルボン酸エステル選択率が高くしかも
蟻酸メチルなどのアルコール由来の副生物の少ない触媒
を開発すべくパラジウム、鉛を含む触媒系につき鋭意研
究し、本発明を完成した。即ち、本発明は以下のとおり
である。 1. 酸素の存在下でアルデヒドとアルコールを反応さ
せてカルボン酸エステルを製造する際に用いるパラジウ
ム/鉛含有担持触媒の製造方法において、パラジウム/
鉛担持組成比が原子比で3/0以上3/1.3未満の触
媒前駆体を、パラジウム/鉛原子比で3/0.7〜3/
1.3の担持組成比を有するパラジウム/鉛担持触媒を
得るのに必要な量の鉛化合物が存在する水溶液またはメ
タノール溶液中でホルマリン、蟻酸、ヒドラジンまたは
分子状水素で還元することを特徴とするパラジウム/鉛
含有担持触媒の製造方法。 2. 低級脂肪酸、低級脂肪酸のアルカリ金属塩または
低級脂肪酸のアルカリ土類金属塩を共存させて行う上記
1のパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法。 3. パラジウム/鉛含有担持触媒のパラジウム/鉛の
担持組成比が原子比で3/0.7〜3/1.3であり、
パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折
角(2θ)が38.55〜38.70である上記1のパ
ラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法。 4. アルデヒドがメタクロレイン、アクロレインまた
はこれらの混合物であり、アルコールがメタノールであ
る上記1のパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法。
【0009】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明者らは、特公昭62−007902号公報で提案し
た、パラジウムと鉛が簡単な整数比で結合した金属間化
合物種である原子比3/1のPb3 Pb1 種に注目し、
Pb3 Pb1 が担持されてなる担持触媒の製造について
より緻密な研究を進めた。その結果、特公昭62−00
7902号公報記載の調製法で得られるパラジウム、鉛
を含む担持触媒は、触媒種としてPb3 Pb1 金属間化
合物を含むものの純度が低く、しかもパラジウム/鉛金
属間化合物の結晶格子に欠陥等が多く残る触媒であるこ
とが明らかとなった。特に、鉛の担持量を、Pb3 Pb
1 金属間化合物のパラジウム/鉛の量論組成である原子
比3/1で調製した触媒は、結晶格子の欠陥が一段と増
加し、経済的に有利な条件である高温、高アルデヒド濃
度条件では、MMA選択率が却って低くなる触媒である
ことも本発明者らにより明らかとなった。
【0010】さらに研究を進めた結果、特公昭62−0
07902号公報に記載の通常の調製法では、高純度で
高品位なPb3 Pb1 金属間化合物が担持されてなる触
媒は得られず、本発明で提案するところの触媒製造方法
により、結晶格子に欠陥の少ない高品位なPb3 Pb1
金属間化合物を高純度で含む担持触媒が得られることを
見出した。得られた触媒は、前記したような高いアルデ
ヒド濃度及び高い反応温度の過酷な反応条件であっても
高いMMA選択率を示すことも本発明者等は明らかにし
た。
【0011】本発明において用いる、パラジウム/鉛担
持組成比が原子比で3/0以上3/1.3未満の触媒前
駆体は、公知の調製法で準備することができる。代表的
な触媒調製法について説明すれば、パラジウム及び鉛が
担持されてなる触媒前駆体は、塩化パラジウムなどの可
溶性のパラジウム化合物、及び可溶性の鉛化合物を、パ
ラジウム/鉛比が原子比で3/0以上3/1.3未満と
なるように溶解させた水溶液に担体を加温含浸させ、パ
ラジウム、鉛を担持するなどの公知の方法で準備するこ
とができる。この場合、パラジウムを担持する前に鉛を
担持しておいてもよいし、上記説明のようにパラジウ
ム、鉛を同時に担持してもよい。あるいはパラジウムを
担持した後、鉛を担持しても構わないため種々の製法が
可能である。
【0012】触媒前駆体中に含まれる触媒成分としてパ
ラジウム、鉛の他に異種元素として、例えば水銀、タリ
ウム、ビスマス、テルル、ニッケル、クロム、コバル
ト、インジウム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、
ハフニウム、タングステン、マンガン、銀、レニウム、
アンチモン、スズ、ロジウム、ルテニウム、イリジウ
ム、白金、金、チタン、アルミニウム、硼素、珪素など
を含んでいてもよい。これらの異種元素は通常、5重量
%を超えない範囲で、好ましくは1重量%を超えない範
囲で含むことができる。さらにはアルカリ金属化合物お
よびアルカリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも一
員を含むものは反応活性が高くなるなどの利点がある。
アルカリ金属、アルカリ土類金属は通常0.01〜30
重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲から選ば
れる。これらの異種元素あるいはアルカリ金属およびア
ルカリ土類金属化合物などは結晶格子間に少量、侵入し
たり、または結晶格子金属の一部と置換していてもよ
い。また、アルカリ金属および/又はアルカリ土類金属
化合物は触媒前駆体調製時にパラジウム化合物あるいは
鉛化合物を含む溶液に加えておき担体に吸着あるいは付
着させてもよいし、あらかじめこれらを担持した担体を
利用して触媒前駆体を調製することもできる。また、反
応条件下に反応系に添加することも可能である。
【0013】触媒前駆体調製のために用いられるパラジ
ウム化合物あるいは鉛化合物は、例えば蟻酸塩、酢酸塩
などの有機酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などの無機酸
塩、アンミン錯体、ベンゾニトリル錯体などの有機金属
錯体、酸化物、水酸化物などのなかから適宜選ばれる
が、パラジウム化合物としては塩化パラジウム、酢酸パ
ラジウムなどが、鉛化合物としては硝酸鉛、酢酸鉛など
が好適である。またアルカリ金属化合物、アルカリ土類
金属化合物についても有機酸塩、無機酸塩、水酸化物な
どから選ばれる。
【0014】担体は活性炭、シリカ、アルミナ、シリカ
アルミナ、ゼオライト、マグネシア、水酸化マグネシウ
ム、チタニア、炭酸カルシウム、活性炭などから広く選
ぶことができる。担体へのパラジウム担持量は特に限定
はないが担体100重量部に対して通常0.1〜20重
量部、好ましくは1〜10重量部である。鉛の担持量も
特に限定はなく担体100重量部に対して通常0.1〜
20重量部、好ましくは1〜10重量であるが、パラ
ジウム、鉛の各担持量よりも、むしろパラジウム/鉛の
担持組成比(原子比)が重要である。即ち、本発明にお
いて触媒前駆体のパラジウム/鉛組成比は原子比で3/
0以上3/1.3未満の範囲から選ばれる。好ましくは
3/0〜3/1.0、特に好ましくは3/0〜3/0.
7の範囲から選ばれる。本発明の触媒は、これら触媒前
駆体を、パラジウム/鉛原子比で3/0.7〜3/1.
3の担持組成比を有するパラジウム/鉛担持触媒を得る
のに必要な量の鉛化合物が存在する水溶液もしくはメタ
ノール溶液中でホルマリン、蟻酸、ヒドラジンもしくは
分子状水素で還元することで得られ、最終的に3/0.
7〜3/1.3のパラジウム/鉛担持組成比を有する触
媒を得る。本発明においては、触媒前駆体を鉛化合物が
存在する水溶液もしくはメタノール溶液中でホルマリ
ン、蟻酸、ヒドラジンもしくは分子状水素で還元するこ
とが必要である。
【0015】以下、パラジウム/鉛担持組成比が原子比
で3/0以上3/1.3未満の触媒前駆体から本発明の
触媒を得る方法につき説明する。前述の触媒前駆体を水
もしくはメタノールに分散加温しながら、パラジウム/
鉛原子比で3/0.7〜3/1.3の担持組成比を有す
るパラジウム/鉛担持触媒を得るのに必要な量の鉛化合
物が存在する水溶液もしくはメタノール溶液中でホルマ
リン、蟻酸、ヒドラジンもしくは分子状水素で還元す
る。
【0016】当該条件で安定な溶剤であれば水、メタノ
ール以外の不活性な溶剤を選ぶこともできるが、実用的
には水、又はメタノールを選ぶのが好ましい。還元剤と
してホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、もしくは分子状水
素を使用する。ホルマリン、ヒドラジン、蟻酸の場合は
ホルマリン、ヒドラジン、蟻酸含有溶液を触媒前駆体分
散溶液に添加するだけでよい。また分子状水素による還
元処理は、純粋な水素ガス又は窒素、メタン等の不活性
なガスで希釈された水素濃度0.1容量%以上の水素含
有ガスを常圧ないしは数十気圧、好ましくは常圧ないし
数気圧の圧力条件で触媒前駆体分散溶液に吹き込んで行
われる。ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、もしくは分子
状水素の使用量は一般的にはパラジウム担持量に対し
0.5〜100倍モル、実用的には2〜10倍モルが使
用される。また、この量を越えても特に問題はない。ま
た、還元剤と同時に苛性ソーダなどのアルカリを加えて
おくと還元がより容易に進行する。通常、還元剤に対し
1/100〜等モル程度を加える。
【0017】還元の際には鉛を含む物質を共存させる。
通常、鉛を含む物質を触媒前駆体を分散させた水もしく
はメタノール中に加えるのが一般的である。鉛を含む物
質を添加する際には、鉛イオンとして溶解するものであ
れば特に制限はない。その一例として蟻酸塩、酢酸塩な
どの有機酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などの無機酸
塩、アセチルアセトナート錯体、エチレンジアミンテト
ラアセテート錯体などの有機金属錯体、酸化物、水酸化
などがあげられるが、溶解度の高い硝酸鉛、酢酸鉛など
が好適である。
【0018】溶解する鉛イオン濃度としては、少なくと
も30ppm以上が必要であり、好ましくは300pp
m以上、さらに好ましくは1000ppm以上である。
加える鉛化合物の量は対象となる触媒前駆体に担持され
ている鉛量により異なる。一般的には触媒前駆体に担持
されているパラジウム量を基準に、触媒前駆体に担持さ
れている鉛量と溶液中の鉛量を合わせてパラジウム/鉛
原子比で3/0.7〜3/1.3となるのに必要な量の
鉛化合物を加えて水溶液又はメタノール溶液を調製し、
該水溶液又はメタノール溶液に触媒前駆体を分散させ還
元を行う。
【0019】上記鉛化合物は還元操作を始める前に加え
ておいてもよいし、還元操作中に連続的に又は間欠的に
加えることもできる。触媒前駆体のパラジウム/鉛比が
既に3/0.7以上3/1.3未満の範囲にある場合に
も、パラジウム/鉛原子比が最終的に3/1.3を越え
ない範囲で鉛化合物を添加して、前記してきた如く還元
する必要がある。
【0020】触媒前駆体を還元する際にプロピオンン
酸、酢酸、酪酸、マレイン酸等の低級脂肪酸を系に加え
ながら還元することもできる。加える低級脂肪酸の量は
担持パラジウムを基準に0.1〜30倍モル程度加え
る。より好ましくは1〜15倍モルの範囲から選ぶ。実
用的には入手容易な酢酸を選ぶのが好ましい。これら低
級脂肪酸は還元剤と同時に加えてもよいが、還元剤添加
前に加えるとより効果的である。これら低級脂肪酸の添
加はパラジウム及び鉛が担持されてなる触媒前駆体に適
用する際に特に効果的である。
【0021】さらに好ましくは低級脂肪酸のアルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩を添加することであり、これ
らの金属塩を添加することで、得られるPb3 Pb1
属間化合物の格子欠陥がより少なくなり、きわめて高品
位のPb3 Pb1 金属間化合物が担持されてなる触媒が
得られることを本発明者らは見いだした。この効果はパ
ラジウムが担持されてなる触媒前駆体、パラジウム及び
鉛が担持されてなる触媒前駆体いずれに対しても効果的
である。低級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩は担持パラジウムを基準に0.1〜30倍モル程度
加える。より好ましくは1〜15倍モルの範囲から選
ぶ。低級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩
としては酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウムなどが好ま
しい。如何なる理由により高品位のPb3 Pb1 が得ら
れるのか未だ理由は不明であるが、アルカリカチオンあ
るいはアルカリ土類カチオンの働きにより、鉛イオンが
選択的にPd/Pb化合物の格子欠陥部に相互作用する
のを助けているものと推察している。
【0022】また、これら低級脂肪酸、低級脂肪酸のア
ルカリ金属塩および/又はアルカリ土類金属塩を添加す
る場合で、触媒前駆体のパラジウム/鉛比が既に3/
0.7以上3/1.3未満の範囲にある場合には、水溶
液またはメタノール溶液中に溶解した鉛が存在すること
から、鉛化合物を添加することなく、還元することが可
能である。
【0023】還元操作は室温〜200℃の温度で行うこ
とができる。液相に保つために必要な圧力をかけてお
く。好ましくは40〜160℃、常圧から数気圧の条件
で行う。還元処理時間は触媒種、処理条件により変わる
ため決めがたいが、数分〜100時間である。数時間以
内に処理が完了するように条件を設定するのが好都合で
ある。また、得られる触媒のパラジウム/鉛金属間化合
物の(111)面のX線回折角を測定すれば処理完了を
容易に判断できる。
【0024】還元に使用する反応器は特に制限はなく、
通常の攪拌槽型反応器で行える。以上、説明してきた還
元処理を触媒前駆体に施すことで、パラジウム/鉛の担
持組成比が原子比で3/0.7〜3/1.3であって、
かつパラジウム/鉛化合物の(111)面のX線回折角
(2θ)が38.55〜38.70である、格子欠陥の
少ない、高品位なPd3 Pd1 化合物からなる高純度の
担持触媒を得ることができる。さらに好ましいのはパラ
ジウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/鉛金
属(4f(7/2)×1.75)のX線光電子スペクト
ル強度比が1/0.2〜1/0.7である。
【0025】パラジウム/鉛化合物の(111)面のX
線回折角(2θ)が38.55未満の触媒ではアルコー
ル基準の収率の低下が著しく、例えば蟻酸メチルの生成
が増加する。38.70を越えるとアルデヒドの分解が
顕著となり、アルデヒド基準の収率が低下する。また、
担持鉛量が原子比で1.3を超えると蟻酸メチルの生成
が顕著となり、0.7未満ではアルデヒドの分解による
MMA選択率の低下が大きい。本発明の製造法により得
られる触媒はアルデヒド基準、及びアルコール基準の収
率がともに改善される。
【0026】本発明の方法により、パラジウム/鉛の担
持組成比(原子比)が3/0.7〜3/1.3と3/1
に近づけた触媒であって、過剰の鉛を含まず、しかも、
格子欠陥のないPd3 Pb1 を高純度で含む担持触媒を
得ることを可能にした。原理的には触媒への鉛担持量を
可及的にパラジウム/鉛原子比で3/1の触媒を得るこ
とが可能である。公知の製法では、前記したとおりパラ
ジウム/鉛原子比が3/1に近い組成で調製した触媒は
MMA選択率が低かった。本発明の方法により、従来不
可能とされてきたパラジウム/鉛原子比が3/1の触媒
に活性化することが可能となった。MMA選択率の改善
は勿論のこと、蟻酸メチルなどのアルコール由来の副生
も極めて少ない触媒が得られ、しかも触媒中に鉛を含む
不純物が少ないためプロセス排水中への鉛の流出のない
触媒となることが期待でき、排水中の鉛を無害化するた
めの処理コストが不要となるなどの利点があり、工業的
に実施する際にはきわめて重要である。
【0027】如何なる理由により、パラジウムが担持さ
れてなる触媒前駆体、パラジウム及び鉛が担持されてな
る触媒前駆体を、鉛を含む物質の存在する条件で、低級
脂肪酸、低級脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ
土類金属塩を共存させながらホルマリン、蟻酸、ヒドラ
ジンもしくは分子状水素で還元処理するだけのきわめて
簡便な方法で、結晶格子に欠陥の少ない高品位なPb3
Pb1金属間化合物を、高純度で含む担持触媒が得られ
るのか未だ詳細は不明であるが、本発明者らの推察する
ところによると、第一に該条件で触媒上に形成される活
性水素が重要な役割を果たしており、この活性水素の働
きにより、パラジウム/鉛金属間化合物が活性化され、
欠陥の少ない構造への変化を容易にしていること、また
第二に共存する鉛イオンが活性化を進行させているこ
と、第三にアルカリカチオンあるいはアルカリ土類カチ
オンの働きにより鉛イオンが選択的にPd/Pb化合物
の格子欠陥部に相互作用を助けるのに重要な役割を演じ
ているものと推察される。
【0028】本発明の触媒製造法で得られるパラジウム
/鉛含有担持触媒は、アルデヒドをアルコール及び分子
状酸素と反応させてカルボン酸エステルを製造する反応
に好適に使用することができる。触媒の使用量は、反応
原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条件、反応形式
などによって大巾に変更することができ、特に限定はな
いが、触媒をスラリー状態で反応させる場合には反応液
1リットル中に0.04〜0.5kg使用するのが好ま
しい。
【0029】本発明においてカルボン酸エステル製造反
応に使用するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアル
デヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イ
ソブチルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族飽和
アルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトン
アルデヒドなどの脂肪族α・β−不飽和アルデヒド、ベ
ンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒ
ド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド並びにこ
れらアルデヒドの誘導体などがあげられる。これらのア
ルデヒドは単独もしくは任意の二種以上の混合物として
用いることができる。
【0030】カルボン酸エステル製造反応に使用するア
ルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、オクタノールなどの脂肪族飽和アル
コール、エチレングリコール、ブタンジオールなどのジ
オール、アリルアルコール、メタリルアルコールなどの
脂肪族不飽和アルコール、ベンジルアルコールなどの芳
香族アルコールなどがあげられる。これらのアルコール
は単独もしくは任意の二種以上の混合物として用いるこ
とができる。
【0031】カルボン酸エステルを製造する反応におけ
るアルデヒドとアルコールとの使用量比には特に限定は
なく、例えばアルデヒド/アルコールのモル比で10〜
1/1000のような広い範囲で実施できるが、一般的
には1/2〜1/50の範囲で実施される。特に、本発
明の触媒を使用すれば従来の触媒以上にアルデヒド濃度
を高めることが可能であり、重量%であらわすならば3
0〜60重量%もの高濃度の反応でも工業的に実施でき
る。
【0032】カルボン酸エステル製造反応は気相反応、
液相反応、潅液反応などの任意の従来公知の方法で実施
できる。例えば液相で実施する際には気泡塔反応器、ド
ラフトチューブ型反応器、撹拌槽反応器などの任意の反
応器形式によることができる。カルボン酸エステルの製
造反応に使用する酸素は分子状酸素、すなわち酸素ガス
自体又は酸素ガスを反応に不活性な希釈剤、例えば窒
素、炭酸ガスなどで希釈した混合ガスの形とすることが
でき、空気を用いることもできる。また、本反応を連続
的に実施する際には鉛を含む物質を反応器に加えながら
反応を行うことで触媒の劣化を抑制できる。このとき、
反応器出口側の酸素分圧を0.8kg/cm2 以下とす
ることで反応器に供給する原料液中の鉛濃度を少量にし
て触媒の劣化を抑制できる。反応させるアルデヒド種、
アルコール種などの反応原料、反応条件もしくは反応器
形式などにより鉛の添加量、反応器出口の酸素分圧は特
定の値に決めがたいが、実用的には反応器出口の酸素分
圧を0.02〜0.8kg/cm2 に管理し、反応器に
添加する鉛濃度は0.1〜2000ppmの範囲で反応
を行う。酸素条件にあわせて鉛量を決定して反応器に供
給することで触媒の状態を反応中も安定に維持すること
ができる。添加する鉛量が多い場合には、排水中の鉛を
無害化するための処理コストが高くなったり、また反応
副生物の蟻酸メチルの量が多くなるなど好ましくないた
め、反応器出口側の酸素分圧は0.4kg/cm2 以下
として供給する鉛量を減らすのが好ましい。更に好まし
くは0.2kg/cm2 以下にすることもできるが反応
に必要な酸素を確保せねば酸素不足になり原料アルデヒ
ドの転化率が低下したり、不都合な副生物が生成するた
めこれらの悪影響がでない範囲で選べばよい。
【0033】反応圧力は減圧から加圧下の任意の広い圧
力範囲で実施することができるが、通常は0.5〜20
kg/cm2 の圧力で実施される。反応器流出ガスの酸
素濃度が爆発範囲(8%)を越えないように全圧を設定
するとよい。カルボン酸エステルの製造反応は、反応系
にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化合物(例
えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)
を添加して反応系のpHを6〜9に保持することが好ま
しい。特にpHを6以上にすることで触媒中の鉛成分の
溶解を防ぐ効果がある。これらのアルカリ金属もしくは
アルカリ土類金属の化合物は単独もしくは二種以上組み
合わせて使用することができる。
【0034】カルボン酸エステルの製造反応は、100
℃以上の高温でも実施できるが、好ましくは30〜10
0℃である。反応時間は特に限定されるものではなく、
設定した条件により異なるので一義的には決められない
が、通常1〜20時間である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を用いて本
発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例等で用いる
圧力は絶対圧力で表示し、kg/cm2 で示すことにす
る。 <参考製造例1>シリカゾル水溶液としての日産化学社
製スノーテックスN−30(SiO2 分:30重量%)
に硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウムをそれぞれAl
/Si+Al=10モル%、Mg/Si+Mg=10モ
ル%となるように加え溶解させた後、130℃の温度に
設定した噴霧乾燥機で噴霧乾燥して平均粒子系60μm
の球状担体を得た。300℃、ついで600℃で焼成し
た後、これを担体として塩化パラジウムを担体100重
量部当たりパラジウム分として5.0重量部となるよう
に担持して触媒前駆体(Pd5.0/Mg、Al−Si
2 と表記する。)を得た。
【0036】
【実施例1】参考製造例1の触媒前駆体2kg、酢酸ナ
トリウム1水和物を6重量%含む水20リットル、触媒
前駆体担持パラジウムを基準にパラジウム/鉛=3/
1.27原子比相当の酢酸鉛、そして触媒担持パラジウ
ムを基準にホルマリン/パラジウム=10モル比のホル
マリンを30リットルオートクレーブに仕込み、触媒前
駆体をかき混ぜながら90℃で1時間還元処理を実施し
た。得られた触媒のPd/Pbの担持組成比(原子比)
は3/1.25、パラジウム/鉛金属間化合物の(11
1)面のX線回折角(2θ)は38.601度であり、
パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子
スペクトルの強度比は1/0.49であった。
【0037】得られた触媒240gを触媒分離器を備
え、液相部が1.2リットルの外部循環型ステンレス製
気泡塔反応器に仕込み反応を実施した。酢酸鉛を供給原
料液中の鉛濃度が20ppmとなるように加えた36.
7重量%のメタクロレイン/メタノール溶液を0.54
リットル/hr、NaOH/メタノール溶液を0.06
リットル/hr連続的に供給し、反応温度80℃、反応
圧力5kg/cm2 で出口酸素濃度が4.0%(酸素分
圧0.20kg/cm2 相当)となるように空気量を調
整しながら反応器に空気を供給し、10時間反応を行っ
た。反応液のpHは7.1となるように反応器に供給す
るNaOH濃度をコントロールした。反応生成物を分析
したところ、メタクロレイン転化率は61.8%、メタ
クリル酸メチル選択率は91.8%であり、副生物とし
てプロピレンが選択率1.2%、蟻酸メチルが0.04
6モル/モルMMA生成していた。 <Pd/Pb化合物の(111)面のX線回折角度の測
定>測定は理学製RAD−RAを使用して通常の粉末X
線回折の測定手順に従い、CuKα1線(1.5405
981Å)を用いて、担持触媒パラジウム/鉛金属間化
合物の(111)面の回折角2θを測定した。測定は特
に高精度に行わねばならない。例えばNational Institu
te of Standards & Technologyが標準参照物質660とし
て定めるところのLaB6化合物の(111)面、(2
00)面を測定し、それぞれの値を37.441、4
3.506となるように規準化する。これにより測定精
度が高く再現性のよい結果が得られる。
【0038】触媒は160℃で真空排気し、3時間処理
することで低分子の吸着/吸蔵成分を除去した後、測定
する。 <X線光電子スペクトルの測定>測定はVG製ESCA
LAB−200−Xを使用して行った。図2に示す如
く、ピーク分離処理した後各ピークの面積を求め、パラ
ジウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/鉛金
属(4f(7/2)×1.75)の面積比及び、パラジ
ウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/有電荷
性鉛(4f(7/2)+4f(5/2))の面積比を求
め、これをピーク強度比とした。
【0039】図1、図2にそれぞれパラジウム(3
d)、鉛(4f)の測定例を示す。
【0040】
【比較例1】参考製造例1で使用した担体に塩化パラジ
ウム、硝酸鉛を担体100重量部当たりそれぞれパラジ
ウム、鉛分として5.0重量部、4.2重量部となるよ
うに同時に担持した触媒前駆体(Pd5.0Pb4.2
/Mg、Al−SiO2 と表記する。)を得た。この触
媒前駆体と触媒前駆体担持パラジウムを基準にホルマリ
ン/パラジウム=10モル比のホルマリンを30リット
ルオートクレーブに仕込み、触媒前駆体をかき混ぜなが
ら90℃で1時間還元処理を実施した。得られた触媒の
Pd/Pbの担持組成比(原子比)は3/1.25、パ
ラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角
(2θ)は38.891度であり、パラジウム金属(3
d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比
は1/0.49であった。
【0041】得られた触媒を実施例1と同一の装置、操
作条件で反応を行い反応生成物を分析したところ、メタ
クロレイン転化率は58.2%、メタクリル酸メチル選
択率は84.6%であり、副生物としてプロピレンが選
択率6.3%、蟻酸メチルが0.178モル/モルMM
A生成していた。
【0042】
【比較例2】酢酸鉛量を触媒前駆体担持パラジウムを基
準にパラジウム/鉛=3/1.95原子比相当としたほ
かは実施例1と全く同様にして参考製造例1の触媒前駆
体から触媒を調製した。得られた触媒のPd/Pb担持
組成比(原子比)は3/1.92、パラジウム/鉛金属
間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.
623度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4
f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/1.23で
あった。また、得られた触媒を実施例1と同一の装置、
操作条件で反応を行い、応生成物を分析したところ、メ
タクロレイン転化率は57.8%、メタクリル酸メチル
選択率は87.3%であり、副生物としてプロピレンが
選択率1.9%、蟻酸メチルが0.213モル/モルM
MA生成していた。
【0043】
【比較例3】酢酸鉛量を触媒前駆体担持パラジウムを基
準にパラジウム/鉛=3/1.55原子比相当としたこ
と、及び酢酸ナトリウム1水和物を使用しなかった他は
実施例1と全く同様にして参考製造例1の触媒前駆体か
ら触媒を調製した。得られた触媒のPd/Pb担持組成
比(原子比)は3/1.58、パラジウム/鉛金属間化
合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.75
0度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)
のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.75であっ
た。また、得られた触媒を実施例1と同一の装置、操作
条件で反応を行い、応生成物を分析したところ、メタク
ロレイン転化率は57.8%、メタクリル酸メチル選択
率は85.3%であり、副生物としてプロピレンが選択
率5.1%、蟻酸メチルが0.129モル/モルMMA
生成していた。
【0044】
【実施例2】参考製造例1の触媒前駆体2kg、触媒担
持パラジウムを基準にパラジウム/鉛=3/1.19原
子比相当の硝酸鉛、及び酢酸ナトリウム1水和物を6重
量%含む水20リットルを30リットルのオートクレー
ブに仕込み、200℃に加温し触媒前駆体をかき混ぜな
がら1時間、窒素で希釈した2%水素ガスを5Nリット
ル/分で吹き込み触媒前駆体を還元した。得られた触媒
のPd/Pb担持組成比(原子比)は3/1.18、パ
ラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角
(2θ)は38.697度であり、パラジウム金属(3
d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比
は1/0.72であった。得られた触媒を実施例1と同
一の装置、操作条件で反応を行い反応生成物を分析した
ところ、メタクロレイン転化率は55.2%、メタクリ
ル酸メチル選択率は88.6%であり、副生物としてプ
ロピレンが選択率2.3%、蟻酸メチルが0.104モ
ル/モルMMA生成していた。 <参考製造例2>富士シリシア社製シリカゲル(商品
名:キャリアクト10)100重量部に塩化パラジウ
ム、酢酸鉛、酢酸カリウムをそれぞれパラジウム分、鉛
分、カリウム分として5.0重量部、2.13重量部、
2.0重量部担持した触媒前駆体を得た。得られた触媒
前駆体のPd/Pb原子比は3/0.66であった。
【0045】
【実施例3〜7】参考製造例2の触媒前駆体を実施例3
〜7の還元操作を施して得られた触媒のPd/Pb原子
比、パラジウム/鉛化合物の(111)面のX線回折角
(2θ)、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)の
X線光電子スペクトルの強度比及び反応成績を表1にま
とめた。比較のため実施例1と同一の装置及び反応条件
で反応を行った。
【0046】
【表1】
【0047】
【実施例8】比較例1の触媒前駆体を2kg及び酢酸ナ
トリウムを10重量%含む水溶液20リットルを内容積
30リットルのオートクレーブに仕込み、90℃で1時
間攪拌した。水溶液を分析したとこころ750重量pp
mの鉛イオンが溶解していた。ついで触媒前駆体担持パ
ラジウムを基準にホルマリン/パラジウム=5モル比の
ホルマリンを追加して90℃で1時間還元処理を実施し
た。得られた触媒のPd/Pb担持組成比(原子比)は
3/1.27、パラジウム/鉛金属間化合物の(11
1)面のX線回折角(2θ)は38.610度であり、
パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子
スペクトルの強度比は1/0.39であった。
【0048】実施例1で用いた触媒分離器を備え、液相
部が1.2Lの外部循環型ステンレス製気泡塔反応器を
直列に2基連結し、活性化処理を終えた触媒240gを
仕込み反応を実施した。第一段目の反応器に酢酸鉛を供
給原料液中の鉛濃度が20ppmとなるように溶かした
36.7重量%のメタクロレイン/メタノール溶液を
0.54リットル/hr、NaOH/メタノール溶液を
0.06リットル/hr連続的に供給し、反応温度80
℃、反応圧力5kg/cm2 で出口酸素濃度が4.0%
(酸素分圧0.20kg/cm2 相当)となるように空
気量を調整しながら反応器に空気を供給して反応を行っ
た。触媒懸濁液は液固分離して触媒は反応器に戻し反応
液のみを第二段反応器にNaOH/メタノール溶液0.
06リットル/hrと共に送り、第一段反応器の流出ガ
スは第二段反応器に通気する一方、第二段反応器の出口
酸素濃度が2.2%(酸素分圧0.11kg/cm2
当)となるように不足分の空気を第二段反応器に追加し
反応温度80℃、反応圧力4.6kg/cm2 で反応を
行った。また、第一段反応器、第二段反応器ともに反応
液のpHが7.1となるように反応器に供給するNaO
H濃度をコントロールした。反応生成物を分析したとこ
ろ、メタクロレイン転化率は84.9%、メタクリル酸
メチル選択率は91.4%であり副生物としてプロピレ
ンが選択率1.1%、蟻酸メチルが0.045モル/モ
ルMMA生成していた。
【0049】
【実施例9】富士シリシア社製シリカゲル(商品名:キ
ャリアクト10)100重量部に、パラジウムアンミン
錯体を利用してパラジウムを5.0重量部担持して触媒
前駆体を得た。この触媒前駆体を実施例1と同様の酢酸
ナトリウム共存下でホルマリン還元する際に鉛分として
3.93重量部、タリウム分として0.11重量部が共
存する条件下で還元処理した。得られた触媒(Pd5.
0Pb3.93Tl0.11/SiO2 と表記する。)
のPd/Pb担持組成(原子比)は3/1.21、パラ
ジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角
(2θ)は38.620度であり、パラジウム金属(3
d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比
は1/0.47であった。
【0050】実施例1と同一容量をもつ攪拌槽型反応器
に活性化を終えた触媒200gを仕込み反応器に供給す
る鉛濃度を10ppmとした以外は実施例1と同一の操
作条件で反応を行った。反応生成物を分析したところ、
メタクロレイン転化率は62.4%、メタクリル酸メチ
ル選択率は91.2%であり副生物としてプロピレンが
選択率1.2%、蟻酸メチルが0.042モル/モルM
MA生成していた。
【0051】
【実施例10】Pd5.0Mg2.0/Al2 3 の組
成をもつ触媒前駆体を実施例1と同様の酢酸ナトリウム
共存下でホルマリン還元する際に鉛、ビスマスを共存さ
せた。Pd5.0Pb4.0Bi0.23Mg2.0/
Al2 3 の組成をもつ触媒が得られ、Pd/Pb原子
比は3/1.24、パラジウム/鉛化合物の(111)
面のX線回折角(2θ)は38.612度であり、パラ
ジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペ
クトルの強度比は1/0.52であった。
【0052】実施例10と同一の装置及び同一の操作条
件で反応を行い反応生成物を分析したところ、メタクロ
レイン転化率は60.3%、メタクリル酸メチル選択率
は90.5%であり副生物としてプロピレンが選択率
1.2%、蟻酸メチルが0.052モル/モルMMA生
成していた。
【0053】
【実施例11】実施例8の得られた触媒を用いて、メタ
クロレインにかえてアクロレインを反応させた以外は実
施例8と同様の操作及び反応条件で反応を行い、反応生
成物を分析したところアクロレイン転化率は58.4
%、アクリル酸メチル選択率は92.4%であり副生物
としてエチレンが選択率1.0%、蟻酸メチルが0.0
42モル/モルMA生成していた。
【0054】
【発明の効果】アルデヒドとアルコールを分子状酸素と
反応させてカルボン酸エステルを製造するに際し、アル
デヒドの濃度及び反応温度を高めて経済性を改善した反
応条件においても、アルデヒドおよびアルコール基準の
収率を同時に改善する触媒を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Pd(3d)のX線光電子スペクトル例を示す
スペクトル図である。
【図2】Pb(4f)のX線光電子スペクトル及びカー
ブフィッティング結果を示すスペクトル図である。
【符号の説明】
1 Pb4f7/2(Pb0) 2 Pb4f5/2(Pb0) 3 Pb4f7/2(Pbox) 4 Pb4f5/2(Pbox) 5 Si2sのX線サテライト(MgKα3) 6 Si2sのX線サテライト(MgKα4)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素の存在下でアルデヒドとアルコール
    を反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用いる
    パラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法において、パラ
    ジウム/鉛担持組成比が原子比で3/0以上3/1.3
    未満の触媒前駆体を、パラジウム/鉛原子比で3/0.
    7〜3/1.3の担持組成比を有するパラジウム/鉛担
    持触媒を得るのに必要な量の鉛化合物が存在する水溶液
    またはメタノール溶液中でホルマリン、蟻酸、ヒドラジ
    ンまたは分子状水素で還元することを特徴とするパラジ
    ウム/鉛含有担持触媒の製造方法。
  2. 【請求項2】 低級脂肪酸、低級脂肪酸のアルカリ金属
    塩または低級脂肪酸のアルカリ土類金属塩を共存させて
    行う請求項1記載のパラジウム/鉛含有担持触媒の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 パラジウム/鉛含有担持触媒のパラジウ
    ム/鉛の担持組成比が原子比で3/0.7〜3/1.3
    であり、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面の
    X線回折角(2θ)が38.55〜38.70である請
    求項1記載のパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルデヒドがメタクロレイン、アクロレ
    インまたはこれらの混合物であり、アルコールがメタノ
    ールである請求項1記載のパラジウム/鉛含有担持触媒
    の製造方法。
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