JPH10290016A - 硫化カドミウム膜の形成法及び該膜を用いた太陽電池 - Google Patents

硫化カドミウム膜の形成法及び該膜を用いた太陽電池

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JPH10290016A
JPH10290016A JP9097005A JP9700597A JPH10290016A JP H10290016 A JPH10290016 A JP H10290016A JP 9097005 A JP9097005 A JP 9097005A JP 9700597 A JP9700597 A JP 9700597A JP H10290016 A JPH10290016 A JP H10290016A
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film
forming
cadmium sulfide
organic compound
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JP9097005A
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Satoshi Shibuya
聡 澁谷
Takeshi Nishio
剛 西尾
Miwa Tsuji
美輪 辻
Mikio Murozono
幹夫 室園
Takeshi Hibino
武司 日比野
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Matsushita Battery Industrial Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 金属有機化合物を塗布した基板と膜形成用基
板を対面させて加熱することによる膜形成法では、バッ
チ処理で量産性が悪かった。またそれぞれの基板の温度
差が小さければ材料利用率が低く、高コストとなってい
た。 【解決手段】 金属有機化合物を塗布した基板1と膜形
成用基板3を対面させて加熱し膜形成基板上に硫化カド
ミウム膜を形成する際の加熱手法として、基板を搬送す
る機能を持つ加熱装置4を用いることによりベルト速度
に応じた連続処理が可能であり1台の装置で高い量産性
が得られるというものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化合物半導体膜であ
る硫化カドミウム膜の形成法およびその膜を用いた太陽
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、硫化カドミウム膜の形成法として
は化学的液相製膜法が知られている。この方法は、アン
モニアおよび塩化アンモニウムを添加した塩化カドミウ
ム水溶液とチオ尿素水溶液を加熱して混合し、膜形成用
基板を混合溶液中に入れることにより膜形成用基板上に
硫化カドミウム膜を形成するというものである。この方
法では、液の濃度、温度の制御が困難であるために量産
性が悪かった。また、大量にでる使用済みの廃液を処理
するための処理コストが増大するという点でも量産性が
悪かった。
【0003】化学的液相製膜法の問題点を改善するため
に、液を用いない硫化カドミウム膜の形成法として金属
有機化合物を塗布した基板と膜形成用基板を対面させて
ホットプレートタイプのヒーターを用いて、1基板毎に
加熱することによるバッチ処理で膜形成基板上に硫化カ
ドミウム膜を形成する手法があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のバッチ処理により、金属有機化合物を塗布した基板と
膜形成用基板を対面させて加熱することにより膜形成用
基板上に硫化カドミウム膜を形成する手法では、1台の
加熱装置で基板の加熱および膜形成という工程をふまな
ければならないので基板の昇温に多くの時間を必要とし
ていた。そのため、多量の膜形成には多くの加熱装置が
必要となり量産性の悪いものであった。また、ホットプ
レートタイプのヒーターを用いた膜形成では、膜形成用
基板の温度が同心円状の分布を生じ、その結果、基板温
度分布を反映した結晶性の分布を生じていた。
【0005】また、金属有機化合物を塗布した基板と膜
形成用基板を対面させて加熱することにより膜形成用基
板上に硫化カドミウム膜を形成する手法では、金属有機
化合物を塗布した基板から金属有機化合物を蒸発・昇華
させ、膜形成用基板表面での金属有機化合物の分解によ
り膜形成を行うため、金属有機化合物を塗布した基板と
膜形成用基板の基板温度差が小さければ、金属有機化合
物を塗布した基板上で金属有機化合物の分解が起こり、
膜形成に利用されない材料が増え、材料利用率の低下と
なっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属有機化合
物を塗布した基板と膜形成用基板を対面させて加熱し膜
形成基板上に硫化カドミウム膜を形成するための加熱装
置として基板を搬送する機能を持つ加熱装置を用いるよ
うにしたものである。これにより搬送速度に応じた連続
処理が可能であり1台の装置で高い量産性が得られる。
【0007】また、基板を搬送する機能を持つ加熱装置
を用いることにより、基板進行方向に対して基板温度分
布を向上することができ、結晶の均一性を向上すること
ができる。
【0008】また、金属有機化合物を塗布した基板の有
効な温度制御法として、金属有機化合物を塗布した基板
に膜形成用基板の熱容量よりも2倍以上10倍以下の熱
容量をもつ基板を用いる手法、あるいは金属有機化合物
を塗布した基板に1cm2当たり0.08(cal/h
our・K)以上1.0(cal/hour・K)以下
の熱伝導度の断熱材を密着する手法がある。これらの方
法により、金属有機化合物を塗布した基板の昇温速度を
抑制することができ、金属有機化合物塗布基板上での金
属有機化合物の分解を抑制し、材料利用率を向上するこ
とができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、少なくとも一つ以上カドミウムおよび硫黄を含む金
属有機化合物を塗布した基板と、膜形成用基板を対面さ
せて加熱することにより、膜形成用基板上に硫化カドミ
ウム膜を形成する膜形成法において、基板を加熱するた
めに基板を搬送する機能を持つ加熱装置を用いることを
特徴とする硫化カドミウム膜の形成法であり、基板を搬
送する機能を持つ加熱装置を用いることにより量産性が
向上し、また結晶の均一性を向上することができる。
【0010】さらに、金属有機化合物塗布基板と膜形成
用基板が対面する間隔を0.5mm以上200.0mm
以下とすることにより、硫化カドミウム膜の良品率を高
くし、膜形成時の材料利用率を向上することができる。
これは、基板間間隔が狭いとガラスの反りが原因となり
基板間同士で接触することにより、製膜不良を生じる。
また、基板間間隔が広いと金属有機化合物が膜形成用基
板に到達するのが困難となり、材料利用率が低下する。
このため、基板間間隔は0.5mm以上200.0mm
以下とすることが好ましい。
【0011】また、基板を搬送する機能を持つ加熱装置
が複数の被加熱物温度を制御可能とすることにより、膜
形成時の材料利用率を向上することができる。被加熱物
である膜形成用基板、金属有機化合物塗布基板あるいは
加熱装置内の雰囲気を制御することにより、膜形成によ
り好ましい温度とするものである。
【0012】請求項4に記載の発明は、少なくとも一つ
以上カドミウムおよび硫黄を含む金属有機化合物を塗布
した基板と、膜形成用基板を対面させて加熱することに
より、膜形成用基板上に硫化カドミウム膜を形成する膜
形成法において、基板を加熱するために基板を搬送する
機能を持つ加熱装置を用い、金属有機化合物を塗布する
ための基板として膜形成用基板の熱容量より2倍以上1
0倍以下の熱容量を持つ基板を用いて、硫化カドミウム
膜を形成することを特徴とする硫化カドミウム膜の形成
法であり、金属有機化合物を塗布した基板の昇温速度を
膜形成用基板の昇温速度よりも遅くすることにより、塗
布基板上で有機金属化合物が分解することを抑制でき、
材料利用率を向上することができる。特に、マッフル炉
などのように内部が均熱になる加熱装置を用いる場合に
は、本発明の方法により基板間温度差を付けることがで
きる。
【0013】請求項5に記載の発明は、少なくとも一つ
以上カドミウムおよび硫黄を含む金属有機化合物を塗布
した基板と、膜形成用基板を対面させて加熱することに
より、膜形成用基板上に硫化カドミウム膜を形成する膜
形成法において、基板を加熱するために基板を搬送する
機能を持つ加熱装置を用い、金属有機化合物を塗布した
基板に1cm2当たりの熱伝導度0.08(cal/h
our・K)以上1.0(cal/hour・K)以下
の断熱材を密着させ、硫化カドミウム膜を形成すること
を特徴とする硫化カドミウム膜の形成法であり、金属有
機化合物を塗布した基板の昇温速度を膜形成用基板の昇
温速度よりも遅くすることにより、塗布基板上で有機金
属化合物が分解することを抑制でき、材料利用率を向上
することができる。特に、マッフル炉などのように内部
が均熱になる加熱装置を用いる場合には、本発明の方法
により基板間温度差を付けることができる。
【0014】請求項6に記載の発明は、請求項1から5
記載の形成法により形成した硫化カドミウム膜とp型半
導体膜とをpn接合することにより構成された太陽電池
であり、さらに、p型半導体膜としてテルル化カドミウ
ム膜を用い、硫化カドミウム膜上にテルル化カドミウム
膜を形成した太陽電池であり、また、p型半導体膜とし
てCuInxGa1-xSe2やCuInxGa1-x2などの
I−III−VI2型カルコパイライト膜を用い、I−III−VI2
型カルコパイライト膜上に硫化カドミウム膜を形成した
太陽電池である。前記方法により形成された硫化カドミ
ウム膜は結晶性の面内均一性が向上しているため、高い
変換効率を有する太陽電池を得ることができる。
【0015】以下、本発明の実施の形態について図1か
ら4を用いて説明する。 (実施の形態1)図1(a)は基板を搬送する機能を持
つ加熱装置を用いて硫化カドミウム膜を形成する模式図
を示したものである。図1(b)に金属有機化合物塗布
基板1上に間隔保持用治具2を置き膜形成用基板3を間
隔保持用治具2上にセットし構成した膜形成治具を示
す。この膜形成治具を、ローラー5とベルト6からなる
搬送用ベルトに乗せ、加熱装置4内に連続投入する。加
熱装置4内で膜形成治具は加熱され、金属有機化合物塗
布基板1上の金属有機化合物は気化され、対向する膜形
成用基板3表面で分解され、硫化カドミウム膜が形成さ
れる。図2に膜形成用基板温度を430℃に設定した場
合の膜形成用基板の温度分布を示す。本発明によれば、
基板進行方向に対して両端の温度が若干低くなるもの
の、基板温度はほぼ均一である。この状態で基板に形成
された硫化カドミウム膜の結晶性をX線回折により測定
した結果を図3に示す。基板中心部から3箇所、2cm
の距離ごとに測定を行ったが、硫化カドミウム膜の結晶
性に違いは見られない。
【0016】よって、本発明によれば硫化カドミウム膜
の結晶の均一性を向上することができる。
【0017】なお、加熱装置としては、ヒータを備え加
熱する構造のもの、また抵抗加熱法により加熱する構造
のものなどがある。
【0018】(実施の形態2)図4(a)は基板を搬送
する機能を持つ加熱装置を用いて、金属有機化合物塗布
基板に断熱材を密着し硫化カドミウム膜を形成する模式
図を示したものである。図4(b)に金属有機化合物塗
布基板1の底部に断熱材7を密着し、金属有機化合物塗
布基板1上に間隔保持用治具2を置き膜形成用基板3を
間隔保持用治具2上にセットし構成した膜形成治具を示
す。この膜形成治具を、ローラー5とベルト6からなる
搬送用ベルトに乗せ、加熱装置4に連続投入すると、実
施の形態1と同様に硫化カドミウム膜が形成される。こ
の時、金属有機化合物塗布基板に断熱材を密着すること
により、金属有機化合物を塗布した基板の昇温速度を膜
形成用基板の昇温速度よりも遅くすることができ、塗布
基板上で有機金属化合物が分解することが抑制できる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。
【0020】(実施例1)実施の形態1に示した方法に
より硫化カドミウム膜を形成する方法を、図1を参照し
ながら説明する。
【0021】金属有機化合物としてジエチルジチオカル
バミン酸カドミウム500gとプロピレングリコール7
50gを混練してペーストを調製する。同ペーストを1
00×100×1.1mmのガラス板上に0.9mg/
cm2で均一に塗布する。同塗布基板を120℃で30
分乾燥し、プロピレングリコールを揮発させて金属有機
化合物塗布基板1を作製する。
【0022】100×100×1.1mmのコーニング
社製#1737ガラス上に、真空中での高周波電界によ
り発生するプラズマを利用するスパッタリング法である
RFマグネトロンスパッタリング法により200nmの
酸化インジウム(スズドープ)膜を形成し、膜形成用基
板3とする。
【0023】図1に示すように金属有機化合物塗布基板
1を塗布面を上向きに置き、金属有機化合物塗布基板1
のエッジ部分4箇所に5×5×2.7mmのアルミナ製
間隔保持用治具2を2.7mmの方向が基板間間隔とな
るように置き、その上に膜形成用基板3を酸化インジウ
ム(スズドープ)膜面が下を向くように置く。
【0024】基板を搬送する機能を持つ加熱装置4とし
て、膜形成用基板と金属有機化合物塗布基板の温度をそ
れぞれ制御できるように上下に独立したヒーターをも
ち、ベルト6にメッシュベルトを用いたコンベア炉を用
いる。ベルト6上に膜形成用基板3、間隔保持用治具2
および金属有機化合物塗布基板1をセットした膜形成用
治具を連続して投入する。基板を搬送する機能を持つ加
熱装置内で、加熱された金属有機化合物が蒸発し、膜形
成用基板表面で熱分解を起こし、膜形成用基板上に硫化
カドミウム膜が形成される。
【0025】加熱装置内での膜形成用基板3および金属
有機化合物塗布基板1の温度プロファイルを図5に示
す。図5より膜形成用基板3は10分で430℃に、金
属有機化合物塗布基板1は10分で330℃となり、そ
の状態で5分間温度を保持した後、冷却される。
【0026】本実施例の方法によれば膜形成の処理速度
は、1時間当たり120枚であった。また、形成された
硫化カドミウム膜の結晶性は図3に示すように、基板箇
所による違いが見られない均一性の良いものであった。
【0027】比較例として、従来の方法であるバッチ処
理の方法を図6に示す。ヒーターには(株)井内盛栄堂
製シャマルホットプレートを用い、膜形成用治具は上記
実施例と同様のものを用いた。図6の加熱したホットプ
レート8上に形成用治具を金属有機化合物塗布基板1が
上になるように置く。ホットプレート8上で加熱された
膜形成用基板3からの輻射により金属有機化合物塗布基
板1が加熱され、金属有機化合物が蒸発し、膜形成用基
板表面で熱分解を起こし、膜形成用基板上に硫化カドミ
ウム膜が形成される。
【0028】ホットプレート上での膜形成用基板3およ
び金属有機化合物塗布基板1の温度プロファイルを図7
に示す。図7より膜形成用基板3は2分で430℃に、
金属有機化合物塗布基板1は2分で330℃となり、そ
の状態で1分間温度を保持した後、ホットプレート5上
から取り除き冷却する。
【0029】本実施例の方法によれば膜形成の処理速度
は、1時間当たり20枚であった。図8に膜形成用基板
温度を430℃に設定した場合の膜形成用基板の温度分
布を示す。従来例のホットプレートによれば、膜形成用
基板の表面温度は中心部を430℃とした同心円上に端
に向かって温度が低くなり、中心部と端の温度差は約1
5℃であった。この状態で基板に形成された硫化カドミ
ウム膜の結晶性をX線回折により測定した結果を図9に
示す。基板中心部から3箇所、2cmの距離ごとに測定
を行ったが、中心部から外側に行くほど結晶性の低い硫
化カドミウムであり、基板箇所によりばらつきがあっ
た。
【0030】以上の結果より、本発明の基板を搬送する
機能を持つ加熱装置による膜形成法は従来のバッチ処理
のものに比べ約6倍の処理速度で量産性に優れており、
また形成された硫化カドミウム膜は結晶性の良いもので
あった。
【0031】(実施例2)アルミナ製間隔保持用治具の
厚さを0.4,0.5,10,50,100,150,
200,210mmとした以外は実施例1と同様にして
硫化カドミウム膜の形成を行った。図10に基板間間隔
と良品率の関係を、図11に基板間間隔と材料利用率の
関係を示す。図10より、基板間間隔が狭いと、ガラス
の反りが原因で基板同士が接触し、外観で分かる製膜不
良を生じる。基板間間隔が0.5mm以上では98%以
上の良品率であったが、0.4mmでは53%となり良
品率が大きく低下した。また、図11より、膜形成用基
板と金属有機化合物塗布基板の間隔が大きくなると材料
利用率が低下する。基板間間隔が200mm以下では材
料利用率が98%以上であるが、210mmでは50%
となり、材料利用率が大きく低下した。このため、基板
の対面する間隔は、0.5mm以上200.0mm以下
とするのが好ましい。
【0032】(実施例3)有機金属化合物塗布基板であ
るガラス板の厚みを変化させることにより熱容量を変化
させた。ガラス板の厚みは熱容量に比例する。
【0033】金属有機化合物の塗布基板の厚さを1.
1,2.0,2.2,5.0,11,12mmとした以
外は実施例1と同様にして膜形成用治具を構成する。
【0034】基板を搬送する機能を持つ加熱装置とし
て、加熱には抵抗加熱法で内部が均熱になる金属マッフ
ルを加熱し、搬送にはベルトにメッシュベルトを用いた
マッフル型コンベア炉を用いる。ベルト上に膜形成用基
板、間隔保持用治具および金属有機化合物塗布基板をセ
ットした膜形成用治具を連続して投入する。
【0035】基板を搬送する機能を持つ加熱装置内で、
加熱された金属有機化合物が蒸発し、膜形成用基板表面
で熱分解を起こし、膜形成用基板上に硫化カドミウム膜
が形成される。
【0036】加熱装置内での膜形成用基板および金属有
機化合物塗布基板の温度プロファイルを図12に示す。
マッフル炉は内部が均熱になるため、膜形成用基板と金
属有機化合物塗布基板の厚みが同じ場合、つまり熱容量
が同じ場合には両基板の温度プロファイルは同じにな
る。しかし、金属有機化合物塗布基板の厚さを変える
と、膜形成用基板温度は一定であるが、金属有機化合物
塗布基板の温度は変化し、厚くすることにより基板間の
温度差が大きくなる。
【0037】図13に金属有機化合物塗布基板厚さと材
料利用率の関係を示す。図13より金属有機化合物塗布
基板厚さが薄ければ、膜形成用基板との温度差が小さい
ため金属有機化合物塗布基板上での分解が起こり材料利
用率は低下する。逆に金属有機化合物塗布基板厚さが厚
ければ、金属有機化合物塗布基板温度が十分上がらない
ため、材料利用率は低下する。この金属有機化合物塗布
基板の厚さは熱容量と比例するため、金属有機化合物塗
布基板の熱容量が膜形成用基板に対して2倍以下であれ
ば材料利用率は低下し、また、10倍以上であっても低
下することとなる。このため、塗布基板の熱容量は膜形
成用基板に対して2倍以上10倍以下とするのが好まし
い。
【0038】(実施例4)金属有機化合物の塗布基板と
して100×100×1.1mmであるガラス板を用
い、この金属有機化合物塗布基板に断熱材を密着させた
膜形成用治具を用いたこと以外は実施例3と同様にして
硫化カドミウム膜の形成を行った。
【0039】断熱材は大阪ガス(株)製不燃性断熱材ド
ナカーボ・ライトウールを用い、厚みを変えることによ
り1cm2当たりの熱伝導度を0.07,0.08,
0.3,、1.0,1.1(cal/hour・K)と
した。
【0040】加熱装置内での膜形成用基板および金属有
機化合物塗布基板の温度プロファイルを図14に示す。
マッフル炉は内部が均熱になるため、膜形成用基板と金
属有機化合物塗布基板が同じ場合、両基板の温度プロフ
ァイルは同じになる。しかし、金属有機化合物塗布基板
に断熱材を密着させると、金属有機化合物塗布基板の温
度は変化し、熱伝導度の小さいものを用いることにより
基板間の温度差が大きくなる。。
【0041】図15に断熱材の熱伝導度と材料利用率の
関係を示す。図15より熱伝導度が0.08以上1.0
以下では材料利用率が98%以上であるが、0.07で
は約50%、1.1では約60%と低下する。これは熱
伝導度が小さければ、膜形成用基板との温度差が小さい
ため金属有機化合物塗布基板上での分解が起こり材料利
用率は低下し、逆に熱伝導度が大きければ、金属有機化
合物塗布基板の温度が十分上がらないため、材料利用率
は低下することによる。
【0042】(実施例5)実施例1で得られた、基板を
搬送する機能を持つ加熱装置により形成した硫化カドミ
ウム膜上にテルル化カドミウム膜を形成し、図16に示
す構造の太陽電池を形成する。100×100×1.1
mmのコーニング社製#1737ガラス10上にRFマ
グネトロンスパッタリング法により200nmの酸化イ
ンジウム(スズドープ)膜11を形成し、その上の一部
に実施例1により硫化カドミウム膜12を形成する。硫
化カドミウム膜12を形成した基板を600℃にし、一
方テルル化カドミウム粉末をアルミナボート上に敷き6
30℃にし、これらを圧力200Paアルゴン雰囲気下
で3.0mmの間隔を保持し1分間対面することによ
り、厚さ5.0μmのテルル化カドミウム膜13を形成
する。このテルル化カドミウム膜13付基板を、塩化カ
ドミウム飽和溶液に浸積し、400℃で30分熱処理
し、その後純水で表面を洗浄する。テルル化カドミウム
膜13上にカーボンペーストをスクリーン印刷法を用い
塗布する。同塗布基板を熱風乾燥機により150℃で6
0分乾燥しカーボン電極14を得る。カーボン電極14
上および酸化インジウム(スズドープ)膜11上に集電
電極として銀電極15を形成し、硫化カドミウム/テル
ル化カドミウム太陽電池を形成した。
【0043】比較として、従来法であるバッチ処理によ
り形成した硫化カドミウム膜を用いる以外は上記実施例
と同様にして図16の構造の太陽電池を形成した。
【0044】得られた太陽電池の特性を(表1)に示
す。
【0045】
【表1】
【0046】(表1)より、基板を搬送する機能を持つ
加熱装置により形成した硫化カドミウム膜を用いた本発
明の太陽電池は、硫化カドミウム膜の結晶性の向上によ
るとみられる開放電圧の向上と曲線因子の向上がみら
れ、その結果、変換効率が向上していた。
【0047】(実施例6)CuInxGa1-xSe2で表
される2セレン化銅ガリウム1-xインジウムx(0≦x≦
1)膜上に実施例1で得られた、基板を搬送する機能を
持つ加熱装置により形成した硫化カドミウム膜を形成
し、図17に示す構造の太陽電池を形成する。100×
100×1.1mmのコーニング社製#1737ガラス
10上にRFマグネトロンスパッタリング法により厚さ
1.0μmのモリブデン膜17を形成する。モリブデン
膜17上の一部に4元蒸着法を用いて、厚さ3.0μm
のCuInxGa1-xSe2(0≦x≦1)膜18を形成
する。CuInxGa1-xSe2(0≦x≦1)膜18付
基板を膜形成用基板とし、後は実施例1と同様にして厚
さ50nmの硫化カドミウム膜12を形成する。硫化カ
ドミウム膜12上にRFマグネトロンスパッタリング法
を用いて厚さ100nmの酸化亜鉛膜19を形成する。
酸化亜鉛膜19上にRFマグネトロンスパッタリング法
を用いて厚さ200nmの酸化インジウム(スズドー
プ)膜11を形成する。モリブデン膜17上および酸化
インジウム(スズドープ)膜11上に集電電極として、
銀電極16を形成する。以上により図17の構造の太陽
電池を形成した。
【0048】比較として、従来法であるバッチ処理によ
り形成した硫化カドミウム膜を用いる以外は上記実施例
と同様にして図17の構造の太陽電池を形成した。
【0049】得られた太陽電池の特性を(表2)に示
す。
【0050】
【表2】
【0051】(表2)より、基板を搬送する機能を持つ
加熱装置により形成した硫化カドミウム膜を用いた本発
明の太陽電池は、硫化カドミウム膜の結晶性の向上によ
るとみられる開放電圧の向上と曲線因子の向上がみら
れ、その結果、変換効率が向上していた。
【0052】なお、本実施例では膜形成を空気中で行っ
たが、窒素等の不活性雰囲気下で行っても同様の効果が
得られる。
【0053】また、本実施例では金属有機化合物塗布基
板の熱容量の変化を、ガラスの厚さを変えることにより
行ったが、塗布用基板としてステンレスおよびアルミナ
などの熱容量のことなるものを用いて行った場合でも同
様の効果が得られる。
【0054】また、断熱材として大阪ガス(株)製不燃
性断熱材ドナカーボ・ライトウールを用いたが、ガラス
ウールなど他の断熱効果のある材料を用いた場合でも同
様の効果が得られる。
【0055】また、本実施例では少なくとも一つ以上カ
ドミウムおよび硫黄を含む金属有機化合物としてジエチ
ルジチオカルバミン酸カドミウムを用いたが、金属有機
化合物がカドミウムメルカプチド、カドミウムのチオ酸
塩、カドミウムのジチオ酸塩、カドミウムのチオカルボ
ナート塩、カドミウムのジチオカルボナート塩、カドミ
ウムのトリチオカルボナート塩、カドミウムのチオカル
バミン酸塩もしくはカドミウムのジチオカルバミン酸塩
を用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、硫化カド
ミウム膜形成の量産性を向上することができる。また、
結晶性の面内均一性を向上することによる太陽電池の変
換効率を向上するという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施例である基板を搬送する
機能を持つ加熱装置を用いた膜形成法の概要図 (b)本発明の膜形成用治具の断面図
【図2】本発明の膜形成用基板の温度分布図
【図3】本発明により得られた硫化カドミウム膜のX線
強度の分布図
【図4】(a)本発明の他の実施例である基板を搬送す
る機能を持つ加熱装置を用いた膜形成法の概要図 (b)本発明の膜形成用治具の断面図
【図5】本発明の膜形成時の膜形成用基板と金属有機化
合物塗布基板の温度プロファイル図
【図6】従来例のホットプレートを用いたバッチ処理で
の膜形成法の概要図
【図7】従来法の膜形成時の膜形成用基板と金属有機化
合物塗布基板の温度プロファイル図
【図8】従来例の膜形成用基板の温度分布図
【図9】従来例により得られた硫化カドミウム膜のX線
強度の分布図
【図10】膜形成用基板と金属有機化合物塗布基板の基
板間間隔と基板良品率の関係を示す図
【図11】膜形成用基板と金属有機化合物塗布基板の基
板間間隔と材料利用率の関係を示す図
【図12】金属有機化合物塗布基板の厚みを変えた時の
金属有機化合物塗布基板の温度プロファイル図
【図13】金属有機化合物塗布基板の厚さと材料利用率
の関係を示す図
【図14】断熱材の熱伝導度を変えた時の金属有機化合
物塗布基板の温度プロファイル図
【図15】断熱材の熱伝導度と材料利用率の関係を示す
【図16】本発明における硫化カドミウム/テルル化カ
ドミウム太陽電池の断面構造図
【図17】本発明における硫化カドミウム/CuInx
Ga1-xSe2(0≦x≦1)太陽電池の断面構造図
【符号の説明】
1 金属有機化合物塗布基板 2 間隔保持用治具 3 膜形成用基板 4 加熱装置 5 ローラー 6 ベルト 7 断熱材 8 ホットプレート 9 制御器 10 ガラス 11 酸化インジウム(スズドープ)膜 12 硫化カドミウム膜 13 テルル化カドミウム膜 14 カーボン電極 15 銀電極 16 銀電極 17 モリブデン膜 18 2セレン化銅ガリウム1−xインジウムx (0
≦x≦1)膜 19 酸化亜鉛膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 室園 幹夫 大阪府守口市松下町1番1号 松下電池工 業株式会社内 (72)発明者 日比野 武司 大阪府守口市松下町1番1号 松下電池工 業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一つ以上カドミウムおよび硫黄
    を含む金属有機化合物を塗布した基板と膜形成用基板を
    対面させて加熱することにより、膜形成用基板上に硫化
    カドミウム膜を形成する膜形成法において、基板を加熱
    するために基板を搬送する機能を持つ加熱装置を用いる
    ことを特徴とする硫化カドミウム膜の形成法。
  2. 【請求項2】金属有機化合物塗布基板と膜形成用基板を
    対面する間隔が0.5mm以上200.0mm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の硫化カドミウム膜の
    形成法。
  3. 【請求項3】基板を搬送する機能を持つ加熱装置が複数
    の被加熱物温度を制御することが可能である請求項1記
    載の硫化カドミウム膜の形成法。
  4. 【請求項4】少なくとも一つ以上カドミウムおよび硫黄
    を含む金属有機化合物を塗布した基板と、膜形成用基板
    を対面させて加熱することにより、膜形成用基板上に硫
    化カドミウム膜を形成する膜形成法において、基板を加
    熱するために基板を搬送する機能を持つ加熱装置を用
    い、金属有機化合物を塗布するための基板として膜形成
    用基板の熱容量より2倍以上10倍以下の熱容量を持つ
    基板を用いて、硫化カドミウム膜を形成することを特徴
    とする硫化カドミウム膜の形成法。
  5. 【請求項5】少なくとも一つ以上カドミウムおよび硫黄
    を含む金属有機化合物を塗布した基板と、膜形成用基板
    を対面させて加熱することにより、膜形成用基板上に硫
    化カドミウム膜を形成する膜形成法において、基板を加
    熱するために基板を搬送する機能を持つ加熱装置を用
    い、金属有機化合物を塗布した基板に1cm2当たりの
    熱伝導度0.08(cal/hour・K)以上1.0
    (cal/hour・K)以下の断熱材を密着させ、硫
    化カドミウム膜を形成することを特徴とする硫化カドミ
    ウム膜の形成法。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいづれかに記載の形成法
    により形成した硫化カドミウム膜とp型半導体膜とをp
    n接合することにより構成された太陽電池。
  7. 【請求項7】前記p型半導体膜がテルル化カドミウム膜
    であり、硫化カドミウム膜上にテルル化カドミウム膜を
    形成した請求項6記載の太陽電池。
  8. 【請求項8】前記p型半導体膜がI−III−VI2型カルコ
    パイライト膜であり、I−III−VI2型カルコパイライト
    膜上に硫化カドミウム膜を形成した請求項6記載の太陽
    電池。
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