JPH10297455A - 車両の制動液圧制御装置 - Google Patents

車両の制動液圧制御装置

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JPH10297455A
JPH10297455A JP11128097A JP11128097A JPH10297455A JP H10297455 A JPH10297455 A JP H10297455A JP 11128097 A JP11128097 A JP 11128097A JP 11128097 A JP11128097 A JP 11128097A JP H10297455 A JPH10297455 A JP H10297455A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】後輪の制動用シリンダの作動液圧を制御するこ
とにより、前輪制動力に対して理想制動力配分を達成す
る後輪制動力を制御するに当たり、制御の応答性を向上
させつつハンチングを防止する。 【手段】前輪用マスタシリンダ圧PMCF を検出するか、
前輪ホイールシリンダ圧PF を直接検出するなどして前
輪制動力FF を直接算出すると共に、制御される後輪ホ
イールシリンダ圧PR から後輪制動力FR も算出し、前
記前輪制動力FFに対して理想制動力配分を達成する目
標後輪制動力F* R を算出設定し、この目標後輪制動力
* R と実際の後輪制動力FR との差分値等に基づいて
後輪ホイールシリンダPR を増減圧制御する。また、前
後輪制動力FF ,FR から車両重量Wを算出し、更に前
後加速度GX を用いて前後輪荷重WF ,WR を算出する
ことで、目標後輪制動力F* R の精度を高め、もって制
御性を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、少なくと
も車両の後輪の制動用シリンダの液圧をアクチュエータ
で調整して、理想制動力配分を達成するように制動用シ
リンダの液圧を制御する車両の制動液圧制御装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】前記した理想制動力配分とは、制動に伴
って前輪側の輪荷重が増加し、逆に後輪側の輪荷重が減
少することから、夫々の車輪の摩擦力が変化することに
着目したものであり、例えば車両に作用する前後加速度
をパラメータとして、前後各輪がロックしない限界制動
力をプロットして得られるものである。そして、このよ
うな理想制動力配分を達成するための車両の制動液圧制
御装置としては、例えば特開平5−278585号公報
に記載されるものがある。
【0003】この従来例では、前記したような理想制動
力配分が、前後輪で同等の車輪速度となることを前提と
していることから、前後輪の回転速度を検出し、後輪の
回転速度が前輪の回転速度より小さいと判定されたとき
に、後輪の制動用シリンダの液圧を減圧又は保持する制
御信号をアクチュエータに出力し、後輪の回転速度が前
輪の回転速度より大きいと判定されたときに、後輪の制
動用シリンダの液圧を復圧(増圧)する制御信号をアク
チュエータに出力し、結果的に後輪が前輪と同等の速度
で減速されるようにしている。これにより、例えば空車
時や車載時等での車両重量の変化やそれに伴う輪荷重の
変化から発生する路面との摩擦力又はその路面反力トル
クの変化に係わらず、前後輪の制動力を前記理想制動力
配分に近づけることを可能としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、停止距離を
最短とするための必要にして十分な条件とは、前後輪が
ロックしない限界の減速度で且つ同じ車輪速度,つまり
回転速度で減速することなのであるから、前述の従来例
は、原理的にはこれを達成する可能性を有している。
【0005】しかしながら、車輪の回転速度を検出しな
がら各車輪の制動力を制御する,或いはその制動液圧を
制御するのは、所謂フィードバック制御であって、例え
ば制動液圧を制御し、その結果、制動力が変化し、それ
が車輪の回転速度として発現して始めて制御の正当性が
評価される。そのため、どうしても制動液圧制御の応答
性に劣り、例えば後輪の回転速度が目標値の近傍で増減
するハンチングに似た現象が発生し易い。また、車輪の
回転速度を検出するには、例えば車輪の回転角速度から
演算によって求めるのが一般的であるが、このようにし
て検出される回転速度には比較的多くの誤差が含まれて
いる。その要因としては、例えばタイヤの空気圧変動や
輪荷重変動に伴うタイヤの転がり動半径の変化や、旋回
軌跡に応じた車輪回転角速度の変化、或いは低回転から
高回転まで回転する車輪の回転速度に応じたノイズの影
響などが挙げられる。従って、このような影響を抑制し
て高精度な車輪の回転速度を得るためには、例えば所定
時間内における移動平均値やノイズ除去のフィルタリン
グを施した値等を用いる必要があり、しかしながら、そ
のような値をもって車輪の回転速度とするには、車輪の
回転速度として検出するまでに時間を要し、その結果制
御のタイミングが遅くなってしまうという問題もある。
【0006】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、マスタシリンダの作動液圧又は前輪の制
動用シリンダの作動液圧から直接的に前輪の制動力を算
出し、これに対して目標とする後輪の制動力を設定し
て、その後輪の目標制動力が達成されるように当該後輪
の制動用シリンダの作動液圧を制御することで、制御の
応答性を向上すると共に、車輪の回転角加速度や車両に
作用する前後加速度から車両重量及び輪荷重を算出し、
これらを用いて後輪の目標制動力を設定することによ
り、そのときの車両状態に応じた理想制動力配分を確実
に達成可能とする車両の制動液圧制御装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するた
めに、本発明のうち請求項1に係る車両の制動液圧制御
装置は、少なくとも車両の後輪の制動用シリンダの作動
液圧を指令信号に応じて調整可能なアクチュエータと、
マスタシリンダの作動液圧を検出するマスタシリンダ作
動液圧検出手段と、このマスタシリンダ作動液圧検出手
段で検出されたマスタシリンダの作動液圧に基づいて前
輪の制動力を算出すると共にこの前輪の制動力に基づい
て理想制動力配分となる後輪の目標制動力を設定し且つ
この後輪の目標制動力を達成する指令信号を前記アクチ
ュエータに向けて出力する制動液圧制御手段とを備えた
ことを特徴とするものである。
【0008】なお、この発明では、一般にこの種の車両
の制動液圧制御装置では、後輪の制動用シリンダの作動
液圧を制御するだけで、前輪の制動用シリンダには、マ
スタシリンダの作動液圧がそのまま供給されることを前
提としている。
【0009】また、本発明のうち請求項2に係る車両の
制動液圧制御装置は、少なくとも車両の後輪の制動用シ
リンダの作動液圧を指令信号に応じて調整可能なアクチ
ュエータと、前輪の制動用シリンダの作動液圧を検出す
る前輪制動用シリンダ作動液圧検出手段と、この前輪制
動用シリンダ作動液圧検出手段で検出された前輪の制動
用シリンダの作動液圧に基づいて前輪の制動力を算出す
ると共にこの前輪の制動力に基づいて理想制動力配分と
なる後輪の目標制動力を設定し且つこの後輪の目標制動
力を達成する指令信号を前記アクチュエータに向けて出
力する制動液圧制御手段とを備えたことを特徴とするも
のである。
【0010】また、本発明のうち請求項3に係る車両の
制動液圧制御装置は、少なくとも前後各輪の回転角加速
度を検出する車輪回転角加速度検出手段を備え、前記制
御手段は、この車輪回転角加速度検出手段で検出された
前後各輪の回転角加速度を用いて前後各輪の制動力を算
出すると共にこの前後各輪の制動力に基づいて算出され
る車両重量を用いて前記後輪の目標制動力を設定するこ
とを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のうち請求項4に係る車両の
制動液圧制御装置は、少なくとも車両に作用する前後方
向への前後加速度を検出する前後加速度検出手段を備
え、前記制御手段は、この前後加速度検出手段で検出さ
れた前後加速度及び前記算出された前後各輪の制動力を
用いて前記車両重量を算出すると共にこの車両重量及び
前後加速度に基づいて算出される前後各輪の輪荷重を用
いて前記後輪の目標制動力を設定することを特徴とする
ものである。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る車両の制動液圧制御装置によれば、マスタシ
リンダの作動液圧を検出し、この検出されたマスタシリ
ンダの作動液圧に基づいて前輪の制動力を算出すること
で、正確にして迅速な前輪の制動力を算出可能とすると
共に、この正確で迅速な前輪の制動力に基づいて理想制
動力配分となる後輪の目標制動力を設定し且つこの後輪
の目標制動力を達成する指令信号を前記アクチュエータ
に向けて出力する構成としたために、従来に比して制御
の応答性が向上すると共に制御性も向上することができ
る。
【0013】また、本発明のうち請求項2に係る車両の
制動液圧制御装置によれば、前輪の制動用シリンダの作
動液圧を検出し、この検出された前輪の制動用シリンダ
の作動液圧に基づいて前輪の制動力を算出することで、
正確にして迅速な前輪の制動力を算出可能とすると共
に、この正確で迅速な前輪の制動力に基づいて理想制動
力配分となる後輪の目標制動力を設定し且つこの後輪の
目標制動力を達成する指令信号を前記アクチュエータに
向けて出力する構成としたために、従来に比して制御の
応答性が向上すると共に制御性も向上することができ
る。
【0014】また、本発明のうち請求項3に係る車両の
制動液圧制御装置によれば、前後各輪の回転角加速度を
検出し、この検出された前後各輪の回転角加速度を用い
ることで正確な前後各輪の制動力を算出可能とすると共
に、この正確な前後各輪の制動力に基づいて算出される
車両重量を用いて前記後輪の目標制動力を設定すること
により、当該後輪の目標制動力をより理想制動力配分に
近いものとして制御性を向上することができる。
【0015】また、本発明のうち請求項4に係る車両の
制動液圧制御装置によれば、車両に作用する前後方向へ
の前後加速度を検出し、この検出された前後加速度と正
確に算出された前後各輪の制動力とを用いることで正確
な車両重量を算出可能とすると共に、この正確な車両重
量と前後加速度とに基づいて算出される前後各輪の輪荷
重を用いて前記後輪の目標制動力を設定することによ
り、当該後輪の目標制動力を更に理想制動力配分に近い
ものとして制御性を向上することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の車両の制動液圧制
御装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】図1は本発明の車両の制動液圧制御装置
を,FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式をベ
ースにした後輪駆動車両のアンチスキッド制御装置に展
開した一例である。
【0018】図中、1FL,1FRは前左右輪、1R
L,1RRは後左右輪であって、後左右輪1RL,1R
RにエンジンEGからの回転駆動力が変速機T、プロペ
ラシャフトPS及びディファレンシャルギヤDGを介し
て伝達される。また、各車輪1FL〜1RRには、それ
ぞれ制動用シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜
2RRが取付けられ、更に前輪1FL,1FRには、こ
れらの車輪の各回転速度に応じた正弦波信号を出力する
車輪速センサ3FL,3FRが取付けられ、プロペラシ
ャフトPSには、後二輪の平均回転速度に応じた正弦波
信号を出力する車輪速センサ3Rが取付けられている。
なお、各ホイールシリンダ2FL〜2RRは、ディスク
ロータにパッドを押付けて制動する,所謂ディスクブレ
ーキである。
【0019】各前輪側ホイールシリンダ2FL,2FR
には、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前輪側及び後
輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリ
ンダ5からの一方の系統の作動液圧(以下、単に前輪用
マスタシリンダ圧とも記す)PMCF が元圧として前輪側
アクチュエータ6FL,6FRを介して個別に供給され
ると共に、後輪側ホイールシリンダ2RL,2RRに
は、マスタシリンダ5からの他方の作動液圧(以下、単
に後輪用マスタシリンダ圧とも記す)PMCR が元圧とし
て共通の後輪側アクチュエータ6Rを介して供給される
ように構成されている。従って、このアンチスキッド制
御装置は、全体として3センサ3チャンネルのシステム
構成になっている。なお、前記マスタシリンダ5の一方
の系統には前記前輪側アクチュエータ6FL,6FRに
供給される前輪用マスタシリンダ圧PMCF を、また他方
の系統には前記後輪側アクチュエータ6Rに供給される
後輪用マスタシリンダ圧PMCR を検出する圧力センサ1
3F,13Rが夫々配設されていると共に、ブレーキペ
ダル4には、その踏込時にオン状態,即ち論理値“1”
のブレーキスイッチ信号SBRK を出力するブレーキスイ
ッチ14が配設されている。このうち、前記各圧力セン
サ13F,13Rは、前後輪用マスタシリンダ圧
MCF ,PMCR の大きさを電気信号に変換するものであ
り、この実施形態では両者は互いにリニアな関係になっ
ている。従って、後述するコントロールユニットCRの
マイクロコンピュータ20で読込まれた電気信号はその
まま前後輪用マスタシリンダ圧PMCF ,PMCR を表示す
る。なお、マイクロコンピュータ20で読込む前に、ノ
イズ除去処理等のために適宜ローパスフィルタ処理を施
すなどしてもよい。また、この車両には、当該車両に作
用する前後方向への加速度,所謂前後加速度GX を検出
する前後加速度センサ15が取付けられている。
【0020】前記アクチュエータ6FL〜6Rの夫々
は、図2に示すように、マスタシリンダ5に接続される
液圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に
介装された電磁流入弁8と、この電磁流入弁8と並列に
接続された電磁流出弁9、液圧ポンプ11及び逆止弁1
1の直列回路と、流出弁9及び液圧ポンプ10間の液圧
配管に接続されたアキュームレータ12とを備えてい
る。そして、異常時の作動補償,所謂フェールセーフの
関係から、前記電磁流入弁8は通電のないノーマル位置
で常時開状態(増圧状態),通電による切換え位置で閉
状態(圧力保持状態)に移行し、前記電磁流出弁9は通
電のないノーマル位置で常時閉状態(圧力保持状態),
通電による切換え位置で開状態(減圧状態)に移行す
る。
【0021】そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの
電磁流入弁8、電磁流出弁9及び液圧ポンプ10は、車
輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速正弦波信号と、前
記圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧P
MCF 及びPMCR と、前記ブレーキスイッチ14からのブ
レーキスイッチ信号SBRK と、横加速度センサ15から
の横加速度GX が入力されるコントロールユニットCR
からの液圧制御用駆動信号EV、AV及びMRによって
制御される。
【0022】前記コントロールユニットCRは、車輪速
センサ3FL〜3Rからの車輪速正弦波信号が入力さ
れ、これらと各車輪1FL〜1RRのタイヤ転がり動半
径とから各車輪の周速度でなる車輪速度(以下、単に車
輪速とも記す)VwFL〜VwRを演算し、この車輪速V
FL〜VwR や前記マスタシリンダ圧PMCF 及びPMCR
或いは前記横加速度GX 等に基づいて、アンチスキッド
制御及び後輪ホイールシリンダ液圧制御の演算処理を司
るマイクロコンピュータ20を備えている。このマイク
ロコンピュータ20は、例えばアンチスキッド制御にお
いては、車体速度勾配VXK及び車体速度VX を算出し、
且つアンチスキッド制御中の各ホイールシリンダ2FL
〜2RRの作動液圧(以下、単にホイールシリンダ圧と
も記す)P FL〜PR を算出すると共に、例えば目標とす
るホイールシリンダ圧とのPD(比例−微分)値からな
る目標ホイールシリンダ増減圧量ΔP* FL〜ΔP* R
算出し、この目標ホイールシリンダ増減圧量ΔP* FL
ΔP* R が達成されるように、前記アクチュエータ6F
L〜6Rに対する制御信号SEVFL〜SEVR ,SAVFL〜S
AVR 及びSMRFL〜SMRR を出力する。また、このマイク
ロコンピュータ20は、後輪ホイールシリンダ液圧制御
においては、前記前輪の各ホイールシリンダ圧PFL,P
FRと等価なマスタシリンダ圧PMCF と、前記前輪の車輪
速VwFL,Vw FRの微分値を平均して得られる平均前輪
回転角速度ω'wF とを用いて前輪の制動力FF を算出す
ると共に、現在の後輪ホイールシリンダ圧PR と、後輪
の車輪速VwR を微分して得られる後輪回転角速度ω'w
R とから後輪の制動力FR を算出し、これらに合わせて
前後加速度GX を用いて車両重量Wを算出すると共に、
それに前後加速度GX を乗じて前後輪荷重WF ,WR
算出し、これらに基づいて理想制動力配分を達成する目
標後輪制動力F* R を算出し、このときの後輪制動力F
R との偏差から目標後輪ホイールシリンダ増減圧量ΔP
* R を算出し、この目標後輪ホイールシリンダ増減圧量
ΔP* R が達成されるように、前記アクチュエータ6F
L〜6Rに対する制御信号SEVFL〜SEVR ,SAVFL〜S
AVR 及びSMR FL〜SMRR を出力する。そして、このよう
にマイクロコンピュータ20から出力された制御信号S
EVFL〜SEVR ,SAVFL〜SAVR 及びSMRFL〜SMRR は、
駆動回路に22aFL〜22aR ,22bFL〜22bR
び22cFL〜22cR より、指令信号としての駆動信号
EVFL〜EVR ,AVFL〜AVR 及びMRFL〜MRR
変換されてアクチュエータ6FL〜6Rに供給される。
【0023】そして、前記マイクロコンピュータ20
は、例えばA/D変換機能等を有する入力インタフェー
ス回路20aと、マイクロプロセサ等の演算処理装置2
0bと、ROM,RAM等の記憶装置20cと、例えば
D/A変換機能を有する出力インタフェース回路20d
とを備えている。また、前記マイクロコンピュータ20
は、その動作周波数が大変に高いことから、当該マイク
ロコンピュータ20からパルス幅変調されたディジタル
データの基準矩形波制御信号SEVFL〜SEVR ,S AVFL
AVR 及びSMRFL〜SMRR を出力するようにし、各駆動
回路22aFL〜22aR ,22bFL〜22bR 及び22
FL〜22cR は単にそれを各アクチュエータ作動に適
した駆動信号EVFL〜EVR ,AVFL〜AVR 及びMR
FL〜MRRに変換,増幅するだけのものとして構成され
ている。
【0024】それでは次に、本実施形態の車両の制動液
圧制御装置による制動液圧制御の構成を、前記マイクロ
コンピュータ20で実行される図3乃至図9のフローチ
ャートに示す演算処理に従って説明する。この演算処理
は所定のサンプリング時間(例えば10msec)ΔT毎に
タイマ割込処理として実行される。なお、これ以後の演
算処理では、何れも特に通信のためのステップを設けて
いないが、演算処理装置20bで必要なプログラムやマ
ップ、或いは必要なデータは随時記憶装置20cから読
込まれるし、逆に演算処理装置20bで算出されたデー
タは随時記憶装置20cに更新記憶されるものとする。
【0025】まず、図3の演算処理では、そのステップ
S01で、例えば本出願人が先に提案した特開平8−1
50920号公報に記載される演算処理により推定車体
速度VSPを算出する。
【0026】次いで、ステップS02に移行して、図示
されない演算処理によって、アンチスキッド制御を行わ
ないアンチスキッド非制御条件を満足しているか否かを
判定し、アンチスキッド非制御条件を満足している場合
にはステップS03に移行し、そうでない場合にはステ
ップS04に移行する。このアンチスキッド非制御条件
とは、例えば前記推定車体速度VSPから当該車輪速度V
i (i=FL,FR,R)を減じた値の推定車体速度
SPに対する比(百分率)を当該車輪のスリップ率Si
としてとき、当該車輪のスリップ率Si が舵取効果に優
れた所定の基準スリップ率S0 より小さいとか、或いは
前記車輪速度Vwi の時間微分値からなる車輪(角)加
(減)速度V'wi (<0)が予め設定された所定車輪加
速度V'w 0 (<0)より大きいといったように、アンチ
スキッド制御開始とは逆の判定条件を採用すればよい。
【0027】前記ステップS03では、後述する図4の
演算処理により後輪ホイールシリンダ圧制御を行ってか
らメインプログラムに復帰する。また、前記ステップS
04では、例えば前述した特開平8−150920号公
報に記載される演算処理によりアンチスキッド制御を行
ってからメインプログラムに復帰する。
【0028】次に、前記図3の演算処理のステップS0
3で実行されるマイナプログラムを図4のフローチャー
トに従って説明する。この演算処理では、まずステップ
S1で前記圧力センサ13F,13Rからのマスタシリ
ンダ圧PMCF ,PMCR を読込む。
【0029】次にステップS2に移行して、前記前後加
速度センサ15からの前後加速度G X 及び前記車輪速セ
ンサ3FL〜3Rからの正弦波信号に基づいて算出され
た各車輪速VwFL〜VwR を読込む。なお、前記前後加
速度センサ15から読込まれる前後加速度GX は、減速
方向を正値とする。
【0030】次にステップS3に移行して、後述する図
5の演算処理により前後各輪の制動力FF ,FR を算出
する。次にステップS4に移行して、後述する図6の演
算処理により車両重量Wを算出する。
【0031】次にステップS5に移行して、後述する図
7の演算処理により前後輪荷重WF,WR を算出する。
次にステップS6に移行して、後述する図8の演算処理
により目標後輪制動力F* R を算出する。
【0032】次にステップS7に移行して、後述する図
9の演算処理により後輪ホイールシリンダ圧制御信号を
出力してからメインプログラムに復帰する。次に、前記
図4の演算処理のステップS3で実行されるマイナプロ
グラムを図5のフローチャートに従って説明する。
【0033】この演算処理では、まずステップS31
で、前記読込まれた各車輪速度Vwiの時間微分値を更
に各車輪のタイヤ転がり動半径ri で除して各車輪の車
輪角加速度ω'wi を算出する。
【0034】次にステップS32に移行して、後述する
後輪ホイールシリンダ圧制御フラグFPROPが“0”のリ
セット状態か否かを判定し、当該後輪ホイールシリンダ
圧制御フラグFPROPがリセット状態である場合にはステ
ップS33に移行し、そうでない場合にはステップS3
4に移行する。
【0035】前記ステップS33では、前記後輪用マス
タシリンダ圧PMCR を現在の後輪ホイールシリンダ圧P
R に設定してからステップS35に移行する。また、ス
テップS34では、前記記憶装置20cに更新記憶され
ている前回の後輪ホイールシリンダ圧PR に、後述する
前回の図9の演算処理で設定された後輪ホイールシリン
ダ増減圧量(以下、単に後輪増減圧量とも記す)ΔPR
を和して現在の後輪ホイールシリンダ圧PR を設定して
から前記ステップS35に移行する。
【0036】前記ステップS35では、前記読込まれた
前輪用マスタシリンダ圧PMCF を前左右輪ホイールシリ
ンダ圧PFL,PFR又は単に前輪ホイールシリンダ圧PF
に設定する。
【0037】次にステップS36に移行して、前記前左
右輪の車輪角加速度ω'wFL,ω'wFRの平均値から平均前
輪角加速度ω'wF を算出する。次にステップS37に移
行して、下記1式に従って、前後ホイールシリンダによ
る制動トルクTBj(j=ForR)を算出する。
【0038】 TBj=μPj・Pj ・Aj ・rrj・2 ……… (1) 但し、式中の μPj:各輪のディスクブレーキのパッドとディスクロー
タとの間の摩擦係数 Aj :各輪のディスクブレーキのホイールシリンダの断
面積 rrj:各輪のディスクブレーキのディスクロータの有効
半径 を示す。なお、制動トルクが2倍されているのは、左右
両輪の総和で考えるためである。
【0039】次にステップS38に移行して、下記2式
に従って、前後各輪の制動力Fj を算出してから前記図
4の演算処理のステップS4に移行する。 Fj =(|Ij ・ω'wj |+TBj)/rj ……… (2) 但し、式中の Ij :各輪の慣性モーメント を示す。
【0040】ここで、各輪の制動力Fj の導出原理につ
いて簡潔に説明する。まず、各車輪の制動力Fj は、下
記2−1式のようにそのときの輪荷重Wj と路面摩擦係
数μとの積の形で表れる。
【0041】 Fj =μ・Wj ……… (2-1) 一方、車輪の運動方程式からは、下記2−2式を得る。 |Ij ・ω'wj |=μ・Wj ・rj −TBj ……… (2-2) 従って、この2−2式に2−1式の輪荷重Wj を代入し
て各輪の制動力Fj で解けば前記2式を得る。
【0042】次に、前記図4の演算処理のステップS4
で実行されるマイナプログラムを図6のフローチャート
に従って説明する。この演算処理では、まずステップS
41で、前記ブレーキスイッチ信号SBRKが“1”のO
N状態であるか否かを判定し、当該ブレーキスイッチ信
号SBRK がON状態である場合にはステップS42に移
行し、そうでない場合にはステップS43に移行する。
【0043】前記ステップS42では、下記3式に従っ
て車両重量Wを算出してから前記図4の演算処理のステ
ップS5に移行する。 W=m・g=(FF +FR )・g/GX ……… (3) 但し、 g:重力加速度 を示す。
【0044】ここで、車両重量Wの算出原理について簡
潔に説明する。四輪の全制動力をFとしたとき、この全
制動力Fは、車両質量mを前後加速度XG で減速するこ
とになるから、下記3−1式を得る。
【0045】 F=m・XG ……… (3-1) また、全制動力Fは前輪制動力FF と後輪制動力FR
(何れも左右二輪で算出済)の和であるから、これを3
−1式の左辺に代入し、これを車両質量mで解いた後、
重力加速度gを乗じて前記3式による車両重量Wを得
る。
【0046】また、前記ステップS43では、前記3式
による車両重量Wの算出原理が適用できないために、予
め設定された所定値W0 を車両重量Wに設定してから前
記図4の演算処理のステップS5に移行する。
【0047】次に、前記図4の演算処理のステップS5
で実行されるマイナプログラムを図7のフローチャート
に従って説明する。この演算処理では、まずステップS
51で、下記4式、5式に従って前後各輪の輪荷重
F ,WR を算出してから前記図4の演算処理のステッ
プS6に移行する。
【0048】 WF =WF0+W・GX ・H/L ……… (4) WR =WR0−W・GX ・H/L ……… (5) 但し、 WF0:前輪静荷重 WR0:後輪静荷重 H :車両重心高さ L :ホイールベース を示し、前後加速度GX は減速方向で正値とする。この
輪荷重WF ,WR の算出手法は十分に周知であるから、
その詳細な説明を省略する。
【0049】次に、前記図4の演算処理のステップS6
で実行されるマイナプログラムを図8のフローチャート
に従って説明する。この演算処理では、まずステップS
61で、下記6式に従って目標後輪制動力F* R を算出
してから前記図4の演算処理のステップS7に移行す
る。
【0050】 F* R =(|IF ・ω'wF |+TBF)・WR /(WF ・rF ) ……… (6) ここで、目標後輪制動力F* R の算出原理について簡潔
に説明する。理想制動力配分曲線は、前述したように例
えば車両に作用する前後加速度をパラメータとして、前
後各輪がロックしない限界制動力をプロットして得られ
るものであるが、各プロットポイントが前後各輪がロッ
クしない限界制動力であることから、それはタイヤと路
面との摩擦係数,所謂路面μをパラメータとしたものに
も置換できる。これを図11に示すと、ある路面μが前
輪制動力FF の下で決定すれば、その路面μにおいて理
想制動力配分を達成する後輪制動力FR が決まる。そし
て、これらの各制動力FF ,FR は前後各輪の輪荷重W
F ,WR と路面μとの積であるから、下記6−1式及び
6−2式を得る。
【0051】 FF =μ・WF ……… (6-1) FR =μ・WR ……… (6-2) このうち6−1式に、添字jをFに設定した前記2式を
代入してμで解けば、下記6−3式を得る。
【0052】 μ=(|IF ・ω'wF |+TBF)/(WF ・rF ) ……… (6-3) この6−3式を前記6−2式に代入して、つまり前後輪
で発生する路面μを等しく設定することで前記6式を得
る。
【0053】次に、前記図4の演算処理のステップS7
で実行されるマイナプログラムを図9のフローチャート
に従って説明する。この演算処理では、まずステップS
71で、下記7式に従って後輪制動力偏差ΔFR を算出
する。
【0054】 ΔFR =F* R −FR ……… (7) 次にステップS72に移行して、下記8式に従って目標
後輪ホイールシリンダ増減圧量(以下、単に目標後輪増
減圧量とも示す)ΔP* R を算出する。
【0055】 ΔP* R =k1 ・ΔFR +k2 ・(dΔFR /dt) ……… (8) 但し、 k1 :比例ゲイン k2 :微分ゲイン を示す。
【0056】次にステップS73に移行して、前記目標
後輪増減圧量ΔP* R が、例えば0MPa程度に予め設定
された増圧閾値ΔP* RZより小さいか否かを判定し、当
該目標後輪増減圧量ΔP* R が増圧閾値ΔP* RZより小
さい場合にはステップS74に移行し、そうでない場合
にはステップS75に移行する。
【0057】前記ステップS74では、前記後輪ホイー
ルシリンダ圧制御フラグFPROPを“1”にセットし、次
いでステップS76に移行して、前記目標後輪増減圧量
ΔP * R が、例えば(−10MPa)程度に予め設定され
た減圧閾値ΔP* RGより大きいか否かを判定し、当該目
標後輪増減圧量ΔP* R が減圧閾値ΔP* RGより大きい
場合にはステップS77に移行し、そうでない場合には
ステップS78に移行する。
【0058】前記ステップS78では、増圧間隔カウン
タCNTINT-Z をクリアし、次いでステップS79に移
行して、増圧カウンタCNTZ をクリアし、次いでステ
ップS80に移行して、後輪用ポンプ駆動パルス幅設定
パラメータWMRR を“1”に設定し、次いでステップS
81に移行して、減圧間隔カウンタCNTINT-G をイン
クリメントし、次いでステップS82に移行して、前記
減圧間隔カウンタCNTINT-G が予め設定された所定カ
ウントアップ値CNTINT-G0以上であるか否かを判定
し、当該減圧間隔カウンタCNTINT-G が所定カウント
アップ値CNTIN T-G0以上である場合にはステップS8
3に移行し、そうでない場合には前記ステップS77に
移行する。
【0059】前記ステップS83では、後輪増減圧量Δ
R を予め設定された減圧所定値(−ΔPR0)に設定
し、次いでステップS84に移行して、後輪用流入弁駆
動パルス幅設定パラメータWEVR を“1”に設定すると
共に、後輪用流出弁駆動パルス幅設定パラメータWAVR
を予め設定されたパルス幅所定値WAVR0に設定し、次い
でステップS85に移行して、前記減圧間隔カウンタC
NTINT-G をクリアしてからステップS86に移行す
る。
【0060】一方、前記ステップS75では、前記後輪
ホイールシリンダ圧制御フラグFPR OPが“1”のセット
状態であるか否かを判定し、当該後輪ホイールシリンダ
圧制御フラグFPROPがセット状態である場合にはステッ
プS87に移行し、そうでない場合にはステップS88
に移行する。
【0061】前記ステップS87では、減圧間隔カウン
タCNTINT-G をクリアし、次いでステップS89に移
行して、増圧カウンタCNTZ をインクリメントし、次
いでステップS90に移行して、当該増圧カウンタCN
Z が予め設定された所定カウントアップ値CNTZ0
上であるか否かを判定し、当該増圧カウンタCNTZ
所定カウントアップ値CNTZ0以上である場合にはステ
ップS88に移行し、そうでない場合には前記ステップ
S91に移行する。
【0062】前記ステップS91では、増圧間隔カウン
タCNTINT-Z をインクリメントし、次いでステップS
92に移行して、前記増圧間隔カウンタCNTINT-Z
予め設定された所定カウントアップ値CNTINT-Z0以上
であるか否かを判定し、当該増圧間隔カウンタCNT
INT-Z が所定カウントアップ値CNTINT-Z0以上である
場合にはステップS93に移行し、そうでない場合には
前記ステップS77に移行する。
【0063】前記ステップS93では、後輪増減圧量Δ
R を予め設定された増圧所定値(+ΔPR0)に設定
し、次いでステップS94に移行して、後輪用流入弁駆
動パルス幅設定パラメータWEVR を予め設定されたパル
ス幅所定値WEVR0に設定すると共に、後輪用流出弁駆動
パルス幅設定パラメータWAVR を“0”に設定し、次い
でステップS95に移行して、前記増圧間隔カウンタC
NTINT-Z をクリアしてから前記ステップS86に移行
する。
【0064】そして、前記ステップS77では、後輪増
減圧量ΔPR を“0”に設定し、次いでステップS96
に移行して、後輪用流入弁駆動パルス幅設定パラメータ
EV R を“1”に設定すると共に、後輪用流出弁駆動パ
ルス幅設定パラメータWAVRを“0”に設定してから前
記ステップS86に移行する。
【0065】また、前記ステップS88では、前記後輪
ホイールシリンダ圧制御フラグFPR OPを“0”にリセッ
トし、次いでステップS97に移行して、前記後輪用ポ
ンプ駆動パルス幅設定パラメータWMRR を“0”に設定
し、次いでステップS98に移行して、後輪用流入弁駆
動パルス幅設定パラメータWEVR を“0”に設定すると
共に、後輪用流出弁駆動パルス幅設定パラメータWAVR
を“0”に設定し、次いでステップS99に移行して、
前記増圧間隔カウンタCNTINT-Z をクリアしてから前
記ステップS86に移行する。
【0066】前記ステップS86では、前左輪用ポンプ
駆動パルス幅設定パラメータWMRFL及び前右輪用ポンプ
駆動パルス幅設定パラメータWMRFRを共に“0”に設定
すると共に、前左輪用流入弁駆動パルス幅設定パラメー
タWEVFL及び前右輪用流入弁駆動パルス幅設定パラメー
タWEVFRを共に“0”に設定すると共に、前左輪用流出
弁駆動パルス幅設定パラメータWAVFL及び前右輪用流出
弁駆動パルス幅設定パラメータWAVFRを共に“0”に設
定する。
【0067】次いで、ステップS100に移行して、図
示されない演算処理により、前述した各パルス幅設定パ
ラメータWEVi ,WAVi ,WMRi に応じた各制御信号S
EVi,SAVi ,SMRi を創成出力してからメインプログ
ラムに復帰する。
【0068】次に、前記図9の演算処理のステップS1
0で行われる演算処理の概要について端的に説明する。
この演算処理では、前記各車輪用流入弁駆動パルス幅設
定パラメータWEVi が“0”のときには、図10aに示
すように、前記図4の演算処理のサンプリング周期ΔT
の間、常時OFF状態の各車輪用流入弁制御信号SEV i
が出力される。また、前記各車輪用流出弁駆動パルス幅
設定パラメータWAViが“0”のときには、図10bに
示すように、前記サンプリング周期ΔTの間、常時OF
F状態の各車輪用流出弁制御信号SAVi が出力される。
【0069】また、前記後輪用流入弁駆動パルス幅設定
パラメータWEVR が前記パルス幅所定値WEVR0のとき
(その他の車輪には当該パルス幅所定値WEVR0は適用さ
れない)には、図10cに示すように、前記サンプリン
グ周期ΔTのうちの最初にあって、当該パルス幅所定値
EVR0に相当して設定される所定時間だけOFF状態と
なり、その後はON状態となる後輪用流入弁制御信号S
EVR が出力される。また、前記後輪用流出弁駆動パルス
幅設定パラメータWAVR が前記パルス幅所定値W AVR0
とき(その他の車輪には当該パルス幅所定値WAVR0は適
用されない)には、図10dに示すように、前記サンプ
リング周期ΔTのうちの最初にあって、当該パルス幅所
定値WAVR0に相当して設定される所定時間だけON状態
となり、その後はOFF状態となる後輪用流出弁制御信
号SAVR が出力される。
【0070】また、前記各車輪用流入弁駆動パルス幅設
定パラメータWEVi が“1”のときには、図10eに示
すように、前記サンプリング周期ΔTの間、常時ON状
態の各車輪用流入弁制御信号SEVi が出力される。ま
た、前記各車輪用流出弁駆動パルス幅設定パラメータW
AVi が“1”のときには、図10fに示すように、前記
サンプリング周期ΔTの間、常時ON状態の各車輪用流
出弁制御信号SAVi が出力される。
【0071】また、前記各車輪用ポンプ駆動パルス幅設
定パラメータWMRi が“0”のときには、図10gに示
すように、前記サンプリング周期ΔTの間、常時OFF
状態の各車輪用ポンプ制御信号SMRi が出力される。ま
た、前記各車輪用ポンプ駆動パルス幅設定パラメータW
MRi が“0”のときには、図10hに示すように、前記
サンプリング周期ΔTの間、常時ON状態の各車輪用ポ
ンプ制御信号SMRi が出力される。
【0072】なお、理解を容易化するために、図9の演
算処理の詳細部分について幾つか予め説明しておくと、
前述のように後輪用流入弁駆動パルス幅設定パラメータ
EV R が前記パルス幅所定値WEVR0に設定される場合に
は、図4の演算処理のステップS7で実行される図9の
演算処理において、ステップS91乃至ステップS95
又はステップS92からステップS77,ステップS9
6に移行するフローが実行される。このフローでは、後
輪用流入弁駆動パルス幅設定パラメータWEVRを前記パ
ルス幅所定値WEVR0に設定することにより、前述のよう
に後輪用アクチュエータ6Rの後輪用流入弁8を所定時
間だけOFF状態として、作動液圧を後輪ホイールシリ
ンダ2RL,2RRに供給可能とするのであるが、その
ステップS91でインクリメントされる増圧間隔カウン
タCNTINT-Z が所定カウントアップ値CNTINT-Z0
上にならない限り、ステップS92からステップS77
を経てステップS96に移行するから、この間は後輪用
流入弁駆動パルス幅設定パラメータWEVR が“1”、後
輪用流出弁駆動パルス幅設定パラメータWAVR が“0”
となり、後輪用アクチュエータ6Rの流入弁8及び流出
弁9が共に閉状態になって後輪ホイールシリンダ圧PR
は保持される。そして、増圧間隔カウンタCNTINT-Z
が所定カウントアップ値CNTINT-Z0以上になる度に、
ステップS92からステップS93,ステップS94に
移行し、ここで始めて後輪用流入弁駆動パルス幅設定パ
ラメータWEVR は前記パルス幅所定値WEVR0に設定さ
れ、後輪用流出弁駆動パルス幅設定パラメータWAVR
“0”に設定され、これにより後輪用アクチュエータ6
Rの流出弁9を閉状態に維持しながら、流入弁8だけが
前記パルス幅所定値WEVR0に相当する短時間だけ開状態
となり、この間に後輪ホイールシリンダ圧PR は前記増
圧所定値(+ΔPR0)分だけ増圧されるのである。な
お、このように後輪ホイールシリンダ圧PR がステップ
的に増圧された後は、ステップS95で増圧間隔カウン
タCNTINT-Z がクリアされてしまうので、再び増圧間
隔カウンタCNTINT-Z が所定カウントアップ値CNT
INT-Z0以上となるまでは、後輪ホイールシリンダ圧PR
の増圧は行われない。
【0073】また、後輪ホイールシリンダ圧PR の減圧
時にも同様に、後輪用流出弁駆動パルス幅設定パラメー
タWAVR が前記パルス幅所定値WAVR0に設定される場合
には、図9の演算処理においてステップS81乃至ステ
ップS85又はステップS82からステップS77,ス
テップS96に移行するフローが実行される。このフロ
ーでも、そのステップS81でインクリメントされる減
圧間隔カウンタCNT INT-G が所定カウントアップ値C
NTINT-G0以上にならない限り、ステップS82からス
テップS77を経てステップS96に移行するから、こ
の間は後輪用アクチュエータ6Rの流入弁8及び流出弁
9が共に閉状態になって後輪ホイールシリンダ圧PR
保持される。そして、減圧間隔カウンタCNTINT-G
所定カウントアップ値CNTINT-G0以上になる度に、ス
テップS82からステップS83,ステップS84に移
行し、ここで始めて後輪用流出弁駆動パルス幅設定パラ
メータWAVR が前記パルス幅所定値WAVR0に設定され、
後輪用流入弁駆動パルス幅設定パラメータWEVR
“1”に設定され、これにより後輪用アクチュエータ6
Rの流入弁8を閉状態に維持しながら、流出弁9だけが
前記パルス幅所定値WAV R0に相当する短時間だけ開状態
となり、既にステップS80で後輪用ポンプ駆動パルス
幅設定パラメータWMRR が“1”に設定された当該後輪
用ポンプ10が駆動されているために、この間に後輪ホ
イールシリンダ圧PR は前記減圧所定値(−ΔPR0)分
だけ減圧されるのである。なお、この場合も後輪ホイー
ルシリンダ圧PR がステップ的に減圧された後は、ステ
ップS85で減圧間隔カウンタCNTINT-G がクリアさ
れてしまうので、再び減圧間隔カウンタCNTINT-G
所定カウントアップ値CNTINT-G0以上となるまでは、
後輪ホイールシリンダ圧PRの減圧は行われない。
【0074】また、特に前述のような後輪ホイールシリ
ンダ圧PR をステップ的に増圧する場合にはステップS
87からステップS90のフローを通過する。ここで、
このフローを通過することは、前記ステップS91以後
で後輪ホイールシリンダ圧P R をステップ的に増圧する
ことを前提としているが、そのステップS89でインク
リメントされる増圧カウンタCNTZ が前記所定カウン
トアップ値CNTZ0以上になった場合には、即ち前述の
ような後輪ホイールシリンダ圧PR のステップ的な増圧
が所定回数だけ繰返された場合には、ステップS90か
らステップS88,ステップS97を経てステップS9
8へのフローに移行する。このフローは、後述のように
後輪用アクチュエータ6Rの流入弁8を開,流出弁9を
閉状態に維持して、後輪用マスタシリンダ圧PMCR が直
接後輪ホイールシリンダ2RL,2RRに流入する急増
圧モードである。つまり、制御された後輪ホイールシリ
ンダ圧PR のステップ的な増圧が所定回数繰返された
ら、通常のブレーキ状態に復帰して制動距離を確保する
ことを目的としている。
【0075】次に、本実施形態の全体的な作用を、図1
2のタイミングチャートに従って説明する。このタイミ
ングチャートは、時刻t00以前から車両が高μ良路を定
速走行しており、その後の時刻t00から制動状態に移行
し、やがて後輪ホイールシリンダ2RL,2RRの制動
液圧制御が開始された場合をシミュレートしたものであ
る。なお、このシミュレーションでは、前記図3の演算
処理で随時アンチスキッド非制御条件が満足されてステ
ップS03による後輪ホイールシリンダ圧制御が実行さ
れ続けたものとする。
【0076】このタイミングチャートでは、まず前記時
刻t00までの時間、図4の演算処理が実行される度に、
未だブレーキペダルが踏込まれておらず、結果的に大気
圧と等価なマスタシリンダ圧PMCF ,PMCR がステップ
S1で読込まれ、次いでステップS2で前後加速度GX
や各車輪速Vwi が読込まれる。次のステップS3で
は、図5の演算処理が実行され、そのステップS31で
は各車輪角加速度ω'wiが算出されるが、このときには
車輪速Vwi の時間微分値が“0”であることから各車
輪角加速度ω'wi も“0”となり、次いで未だ後輪ホイ
ールシリンダ圧制御フラグFPROPが“0”のリセット状
態であるためにステップS33に移行して前述のように
大気圧に等しい後輪用マスタシリンダ圧PMCR を後輪ホ
イールシリンダ圧PR に設定し、次いでステップS35
で同じく大気圧に等しい前輪用マスタシリンダ圧PMCF
を前輪ホイールシリンダ圧PF に設定し、次いでステッ
プS36で平均前輪角加速度ω'wF が算出されるが、前
左右輪角加速度ω'wFL,ω'w FRが共に“0”であること
から平均前輪角加速度ω'wF も“0”となり、次いでス
テップS37で前後各ホイールシリンダの制動トルクT
Bjが算出されるが、ここでも各ホイールシリンダ圧Pj
が大気圧に等しい(=0MPa)であることから各ホイー
ルシリンダの制動トルクTBjは全て“0”となり、従っ
て次のステップS38で算出される前後輪制動力F
j も、前記各車輪角加速度ω'wj が“0”であることか
ら“0”となる。更に次のステップS4では図6の演算
処理が実行されるが、このときはブレーキスイッチ信号
BRK が“0”のOFF状態であることからステップS
41からステップS43に移行して、予め設定された所
定値W 0 がとりあえず車両重量Wに設定される。また、
次のステップS5では図7の演算処理が実行されるが、
このときは検出される前後加速度GX が“0”であるか
ら前後輪荷重WF ,WR は、夫々前輪静荷重WF0,後輪
静荷重WR0に等しくなる。また、次のステップS6では
図8の演算処理が実行されるが、前述のように前輪制動
力FF が“0”であることから目標後輪制動力F* R
“0”になってしまう。
【0077】このように目標後輪制動力F* R が“0”
であり、実際の後輪制動力FR も“0”である非制動時
には、ステップS7で実行される図9の演算処理におい
て、そのステップS71で算出される後輪制動力偏差Δ
R が“0”となることから、ステップS72で算出さ
れる目標後輪増減圧量ΔP* R も“0”になってしま
う。このように目標後輪増減圧量ΔP* R が“0”にな
ると、それは前記増圧閾値ΔP* RZ以上であるので、図
9の演算処理でステップS73からステップS75に移
行し、未だ後輪ホイールシリンダ圧制御フラグFPROP
“0”のリセット状態であるためにステップS88に移
行して、当該後輪ホイールシリンダ圧制御フラグFPROP
をリセットし直し、次にステップS97,ステップS9
8で後輪用ポンプ駆動パルス幅設定パラメータWMRR
後輪用流入弁駆動パルス幅設定パラメータWEVR 及び後
輪用流出弁駆動パルス幅設定パラメータWAVR を全て
“0”に設定し、次のステップS99で増圧間隔カウン
タCNTINT-Z をクリアし、更にステップS86で前輪
用の各ポンプ駆動パルス幅設定パラメータWMRFL,WMR
FR及び流入弁駆動パルス幅設定パラメータWEVFL,W
EVFR及び流出弁駆動パルス幅設定パラメータWAVFL,W
AVFRを全て“0”に設定し、次のステップS100で各
パルス幅設定パラメータWEVi ,WAVi ,WMRi に応じ
た各制御信号SEVi,SAVi ,SMRi を創成出力してか
らメインプログラムに復帰する。ここで、創成出力され
る全ての制御信号SEVi ,SAVi ,SMRi は、前記図1
0の説明の通り、全てOFF状態であるから、前記各ア
クチュエータ6FL〜6Rの液圧ポンプ10は駆動され
ず、流出弁9が閉じた状態で流入弁8が開いている状態
であるから、各マスタシリンダ圧PMCF ,PMCR は各ホ
イールシリンダ2FL〜2RRに直接供給される,所謂
急増圧の状態に維持される。但し、この状態は、実際の
ホイールシリンダ圧PF ,PR が急増圧されている状態
ではないから、図12のホイールシリンダ圧制御モード
には増圧可能な状態であることを破線で示す。
【0078】一方、前記時刻t00で制動が開始される
と、それに伴って各マスタシリンダ圧PMCF ,PMCR
次第に増加し、それが図4の演算処理のステップS1で
読込まれる。また、制動に伴う減速方向(正値)の前後
加速度GX と、次第に減速する各車輪速Vwi とが同ス
テップS2で読込まれる。次のステップS3で実行され
る図5の演算処理では、そのステップS31で次第に減
速する車輪速Vwi から負値の各車輪角加速度ω'wi
算出され、次いで未だ後輪ホイールシリンダ圧制御フラ
グFPROPが“0”のリセット状態であるためにステップ
S33に移行して次第に増加する後輪用マスタシリンダ
圧PMCR を後輪ホイールシリンダ圧PR に設定し、次い
でステップS35で同じく次第に増加する前輪用マスタ
シリンダ圧PMCF を前輪ホイールシリンダ圧PF に設定
し、次いでステップS36で前記前左右輪角加速度ω'w
FL,ω'wFRの平均値からなる負値の平均前輪角加速度
ω'wFが算出され、次いでステップS37で次第に増加
する各ホイールシリンダ圧Pjに応じた前後各ホイール
シリンダの制動トルクTBjが算出され、従って次のステ
ップS38でこの制動トルクTBjと前記負値の各車輪角
加速度ω'wj とに応じた前後輪制動力Fj が算出され
る。次に、ステップS4で実行される図6の演算処理で
は、既に制動状態にあり、ブレーキスイッチ信号SBRK
が“1”のON状態であるために、ステップS41から
ステップS42に移行し、前記前後輪制動力Fj に応じ
た,そのときの車両重量Wが正確に算出される。次に、
ステップS5で実行される図7の演算処理では、前記車
両重量Wとそのときの前後加速度GXとを用いて、その
ステップS51で前後各輪の輪荷重WF ,WR が算出さ
れ、続くステップS6で実行される図8の演算処理で
は、これらの各演算結果を用いてそのときの前輪制動力
F に対して理想制動力配分を満足する目標後輪制動力
* R が算出される。
【0079】しかしながら、未だ前輪用マスタシリンダ
圧PMCF が増加しておらず、従って前輪制動力FF は、
当該路面で車輪をロックするに遙に及ばない,小さな値
であることから、算出される目標後輪制動力F* R 自体
も小さな値となるが、現在の後輪制動力FR も未だ十分
に小さいので、ステップS7で実行される図9の演算処
理では、そのステップS71で比較的小さな正値の後輪
制動力偏差ΔFR が算出され、この後輪制動力偏差ΔF
R に基づいて、次のステップS72では比較的小さな正
値の目標後輪増減圧量ΔP* R が設定される。そこで、
図9の演算処理では、この目標後輪増減圧量ΔP* R
前記増圧閾値ΔP* RZ以上であるために、前述と同様に
ステップS73からステップS75に移行し、未だ後輪
ホイールシリンダ圧制御フラグFPROPが“0”のリセッ
ト状態であるためにステップS88に移行して、当該後
輪ホイールシリンダ圧制御フラグFPROPをリセットし直
し、次にステップS97,ステップS98,ステップS
99を経てステップS86に移行することで、全てのパ
ルス幅設定パラメータWEVi ,WAVi ,WMRi を“0”
に設定すると共に増圧間隔カウンタCNTINT-Z をクリ
アすることから、次のステップS100では、全てOF
F状態の各制御信号SEVi ,SAVi ,SMRiを創成出力
され、これにより前記各アクチュエータ6FL〜6Rの
液圧ポンプ10は駆動されず、流出弁9が閉じた状態で
流入弁8が開いている状態,つまり各マスタシリンダ圧
MCF ,PMCR が各ホイールシリンダ2FL〜2RRに
直接供給される急増圧の状態に維持される。
【0080】この状態から、更に前後輪用マスタシリン
ダ圧PMCF ,PMCR が次第に増加すると、前後輪ホイー
ルシリンダ圧PF ,PR も大きくなって夫々の制動トル
クT BF,TBRが増大し、それに伴って減速方向にある前
後輪角加速度ω'wF ,ω'wRの絶対値が次第に大きくな
るために前後輪制動力FF ,FR が増加する。但し、こ
れに伴って車両に発生する前後加速度GX も大きくなる
から、前記ステップS4で実行される図6の演算処理の
ステップS42では、前述と同等又は略同等の車両重量
Wが算出される。しかしながら、前記ステップS5で実
行される図7の演算処理では、前後加速度GX の増加に
伴って、そのステップS51で、更に増加する前輪荷重
F と、更に減少する後輪荷重WR とが算出され、これ
らに応じてステップS6で実行される図8の演算処理で
は、そのステップS61で次第に或る値に漸近する目標
後輪制動力F* R が算出設定されることになる。従っ
て、時刻t01以後に図4の演算処理が実行されると、そ
のステップS7で実行される図9の演算処理では、その
ステップS71からステップS72にかけて算出される
目標後輪増減圧量ΔP* R が負値となり、つまり当該目
標後輪増減圧量ΔP* R が前記増圧閾値ΔP* RZより小
さくなり、従ってステップS73からステップS74に
移行して後輪ホイールシリンダ圧制御フラグFPROP
“1”にセットされる。このとき、前記目標後輪増減圧
量ΔP* R は未だ前記減圧閾値ΔP* RGより大きいため
にステップS76からステップS77に移行し、後輪増
減圧量ΔP R を“0”に設定すると共に、次のステップ
S96で後輪用流入弁駆動パルス幅設定パラメータW
EVR を“1”,後輪用流出弁駆動パルス幅設定パラメー
タWAV R を“0”に夫々設定する。なお、次のステップ
S86では、前述と同様に前輪用の全てのパルス幅設定
パラメータWEVFL,WEVFR,WAVFL,WAVFR,WMRFL
MRFRが“0”に設定される。従って、次のステップS
100では、前輪用のアクチュエータ6FL,6FRに
対しては全てOFF状態の各制御信号SEVi ,S AVi
MRi を創成出力され、これにより前輪用マスタシリン
ダ圧PMCF は各前輪ホイールシリンダ2FL,2FRに
直接供給される急増圧の状態に維持されるが、後輪用の
アクチュエータ6Rに対しては、常時ON状態の流入弁
制御信号S EVR 及び常時OFF状態の流出弁制御信号S
AVR が創成出力されることになるから、当該後輪用アク
チュエータ6Rは作動液圧を封じ込める保持状態とな
り、後輪ホイールシリンダ2RL,2RRは、そのとき
の作動液圧保持状態になる。
【0081】このときの前輪速VwF と前輪制動力FF
(∝前輪ホイールシリンダ圧PF )とから、前記理想制
動力配分曲線で設定される車輪減速度を用いて目標とす
る目標後輪速V* R を図12に二点鎖線で記すと、前
記時刻t01以後、後輪ホイールシリンダ2RL,2RR
内が作動液圧保持状態になっているために、実際の後輪
速VwR は前記目標後輪速V* R より若干速い状態が
僅かに継続するが、車体速度の減速によって、直ぐに一
致する。つまり、後輪ホイールシリンダ圧PRはむやみ
に増圧されたり減圧されたりすることなく、理想とする
制動力で確実に車体速度を減速することに寄与した。ま
た、これ以後、前輪用マスタシリンダ圧PMCF と等しい
前輪ホイールシリンダ圧PF は僅かに増加し続け、その
結果、理想制動力配分となる目標後輪制動力F* R を達
成するための目標後輪ホイールシリンダ圧P* R も次第
に増加することになるが、これから算出される目標後輪
増減圧量ΔP* R は前記増圧閾値ΔP* RZより小さく且
つ減圧閾値ΔP* RGより大きい状態が継続され、その結
果、後輪ホイールシリンダ2RL,2RR内は暫くの
間、作動液圧保持状態に維持され続けた。このときも、
実際の後輪速VwR は前記目標後輪速V* R によく一
致し続け、舵取効果を損なうことなく車体速度は確実に
減速されていった。なお、この間、前記後輪増減圧量Δ
R は“0”に設定され続けており、且つ前記後輪ホイ
ールシリンダ圧制御フラグFPROPが“1”にセットされ
ているために、ステップS3で実行される図5の演算処
理では、そのステップS32からステップS34に移行
し、前記時刻t01で更新記憶された後輪ホイールシリン
ダ圧PR が、その後も保持され続ける。
【0082】やがて、次第に増加し続ける目標後輪制動
力F* R に対して、後輪ホイールシリンダ圧PR 一定で
後輪制動力FR も一定であるから、その差分値である後
輪制動力偏差ΔFR も次第に大きくなり、それから算出
される目標後輪増減圧量ΔP * R が前記増圧閾値ΔP*
RZ以上になると、前記ステップS7で実行される図9の
演算処理において、再びステップS73からステップS
75,ステップS87に移行する。このステップS87
では、前述したように後輪ホイールシリンダ圧PR のス
テップ的な減圧中にインクリメントされる減圧間隔カウ
ンタCNTINT- G をクリアし、次いでステップS89で
前記増圧カウンタCNTZ をインクリメントする。しか
しながら、インクリメントされたばかりの増圧カウンタ
CNTZが前記所定カウントアップ値CNTZ0以上にな
ることはないから、ステップS90からステップS91
に移行し、ここで増圧間隔カウンタCNTINT-Z をイン
クリメントし、これが前記所定カウントアップ値CNT
INT-Z0以上となるまではステップS92からステップS
77に移行し、これ以後も、このフローを繰返す。やが
て、時刻t02で、前記増圧間隔カウンタCNTINT-Z
所定カウントアップ値CNTINT-Z0以上となると、ステ
ップS92からステップS93を経てステップS94に
移行する。これにより、後輪用アクチュエータ6Rの流
出弁9を閉状態に維持しながら、流入弁8だけが前記パ
ルス幅所定値WEVR0に相当する短時間だけ開状態とな
り、この間に後輪ホイールシリンダ圧PR は前記増圧所
定値(+ΔPR0)分だけ増圧された。
【0083】なお、これ以後は、後輪制動力FR が理想
制動力配分に相当する目標後輪制動力F* R に近づき、
その結果、目標後輪増減圧量ΔP* R が前記増圧閾値Δ
* RZと減圧閾値ΔP* RGとの間に止まったため、前述
と同様に、後輪ホイールシリンダ圧PR は保持され続
け、しかしながら理想とする制動力で確実に車体速度を
減速することに寄与した。
【0084】これに対して、従来の車輪速Vwj を制御
入力として用いた制動液圧制御のシミュレーションを図
13に示す。このシミュレーションの前提は前記図12
のものと同等であるが、前記後輪速VwR から理想制動
力配分に沿う目標後輪速V*R を設定し、この目標後
輪速V* R より実際の後輪速VwR が小さい(遅い)
と判定されたときに、後輪ホイールシリンダ圧PR を減
圧又は保持し、それより後輪速VwR が大きい(速い)
と判定されたときに、後輪ホイールシリンダ圧PR を増
圧するようにしたものである。
【0085】前述したように、車輪速Vwj から各ホイ
ールシリンダ圧Pj をオブザーブするフィードバック制
御態様では、実際の制動力Fj の推定が遅れるから、当
然のことながら液圧制御に応答遅れとハンチングが生じ
易い。このシミュレーションでも、実際の後輪速VwR
が目標後輪速V* R を下回る時刻t11では、前記図1
2のシミュレーションに比して既に後輪ホイールシリン
ダ圧PR が相応に大きくなっており、従ってその後も後
輪速VwR は大きく減速し続けることになるから、時刻
12,t13,t14で後輪ホイールシリンダ圧PR をステ
ップ的に減圧せざるを得ない。ところが、このように不
要な減圧を繰返した結果、今度は時刻t 15で後輪速Vw
R が目標後輪速V* R を上回り、仕方なく、今度は時
刻t16,t17,t18で後輪ホイールシリンダ圧PR をス
テップ的に増圧しなければならなくなった。結果的には
時刻t19で実際の後輪速VwR を目標後輪速V* R
略一致させることができたが、この間、後輪制動力FR
は安定せず、結果的に理想的な制動力配分から外れる時
間も長く、制動距離を最も効果的に確保できたとは言え
ない。
【0086】このように本実施形態の制動液圧制御装置
によれば、前輪用マスタシリンダ圧PMCF を検出し、こ
のマスタシリンダ圧PMCF 或いはそれと等価な前輪ホイ
ールシリンダ圧PF に基づいて正確な前輪制動力FF
迅速に算出し、この正確で迅速な前輪制動力FF に基づ
いて理想制動力配分となる目標後輪制動力F* R を直接
設定することができるから、この目標後輪制動力F* R
を達成する後輪ホイールシリンダ圧PR が得られるよう
に指令信号を出力することにより、従来に比して制御の
応答性が向上すると共に制御性も向上することができ
る。
【0087】また、前後各輪の回転角加速度ω'wF
ω'wR を用いることで正確な前後各輪の制動力FF ,F
R を算出可能とすると共に、この正確な前後各輪の制動
力に基づいて算出される車両重量Wを用いて前記目標後
輪制動力F* R を設定することにより、当該目標後輪制
動力F* R をより理想制動力配分に近いものとして制御
性を向上することができる。
【0088】また、前後加速度GX と正確に算出された
前後制動力FF ,FR とを用いることで正確な車両重量
Wを算出可能とすると共に、この正確な車両重量Wと前
後加速度GX とに基づいて算出される前後輪荷重WF
R を用いて前記目標後輪制動力F* R を設定すること
により、当該目標後輪制動力F* R を更に理想制動力配
分に近いものとして制御性を向上することができる。
【0089】以上より、前記圧力センサ13F,13R
及び図4の演算処理のステップS1が本発明の制動液圧
制御装置のマスタシリンダ作動液圧検出手段を構成し、
或いは図5の演算処理のステップS35が前輪制動用シ
リンダ作動液圧検出手段を構成し、以下同様に、図3乃
至図9の演算処理及び前記マイクロコンピュータ20を
含むコントロールユニットCRが制動液圧制御手段を構
成すると共に、図5の演算処理のステップS31,ステ
ップS36が車輪回転角加速度検出手段を構成し、前記
前後加速度センサ15及び図4の演算処理のステップS
2が前後加速度検出手段を構成する。
【0090】なお、上記実施例では、前輪ホイールシリ
ンダ2FL,2FRの前輪ホイールシリンダ圧PF をマ
スタシリンダ圧PMCF から推定するようにした場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、各ホ
イールシリンダ2FL,2FRのホイールシリンダ圧P
F を圧力センサで直接検出するようにしてもよい。
【0091】また、前記実施形態においては後輪側の車
輪速を共通の車輪速センサで検出する3チャンネルアン
チスキッド制御装置の場合についてのみ詳述したが、こ
れに限らず後輪側の左右輪についても個別に車輪速セン
サを設け、これに応じて左右のホイルシリンダに対して
個別のアクチュエータを設ける,所謂4チャンネルのア
ンチスキッド制御装置にも展開可能である。また、この
ようにアンチスキッド制御装置を、後輪用の制動液圧制
御装置に兼用せずとも、独立した制御装置を用いてもよ
い。
【0092】また、本発明の制動液圧制御装置は,後輪
駆動車,前輪駆動車,四輪駆動車等のあらゆる車両に適
用可能である。また、前記各実施形態はコントロールユ
ニットとしてマイクロコンピュータを適用した場合につ
いて説明したが、これに代えてカウンタ,比較器等の電
子回路を組み合わせて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動液圧制御装置をアンチスキッド制
御装置に展開した一例を示す車両概略構成図である。
【図2】図1のアクチュエータの一例を示す概略構成図
である。
【図3】図1のコントロールユニットで実行される制動
力制御の全体演算処理の一実施形態を示すフローチャー
トである。
【図4】図3の全体演算処理で実行される制動液圧制御
演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4の制動液圧制御演算処理で実行される前後
輪制動力算出の演算処理の一例を示すフローチャートで
ある。
【図6】図4の制動液圧制御演算処理で実行される車両
重量算出の演算処理の一例を示すフローチャートであ
る。
【図7】図4の制動液圧制御演算処理で実行される前後
輪荷重算出の演算処理の一例を示すフローチャートであ
る。
【図8】図4の制動液圧制御演算処理で実行される目標
後輪制動力算出の演算処理の一例を示すフローチャート
である。
【図9】図4の制動液圧制御演算処理で実行される制御
信号出力のための演算処理の一例を示すフローチャート
である。
【図10】図9の演算処理で実行される制御信号の説明
図である。
【図11】理想制動力配分の説明図である。
【図12】本実施形態の制動液圧制御装置の作用説明図
である。
【図13】従来の制動液圧制御装置の作用説明図であ
る。
【符号の説明】
1FL〜1RRは車輪 2FL〜2RRはホイールシリンダ(制動用シリンダ) 3FL〜3Rは車輪速センサ 4はブレーキペダル 5はマスタシリンダ 6FL〜6Rはアクチュエータ 8は電磁流入弁 9は電磁流出弁 10はポンプ 13F,13Rは圧力センサ 20はマイクロコンピュータ 22aFL〜22cRは駆動回路 EGはエンジン Tは変速機 DGはディファレンシャルギヤ CRはコントロールユニット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも車両の後輪の制動用シリンダ
    の作動液圧を指令信号に応じて調整可能なアクチュエー
    タと、マスタシリンダの作動液圧を検出するマスタシリ
    ンダ作動液圧検出手段と、このマスタシリンダ作動液圧
    検出手段で検出されたマスタシリンダの作動液圧に基づ
    いて前輪の制動力を算出すると共にこの前輪の制動力に
    基づいて理想制動力配分となる後輪の目標制動力を設定
    し且つこの後輪の目標制動力を達成する指令信号を前記
    アクチュエータに向けて出力する制動液圧制御手段とを
    備えたことを特徴とする車両の制動液圧制御装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも車両の後輪の制動用シリンダ
    の作動液圧を指令信号に応じて調整可能なアクチュエー
    タと、前輪の制動用シリンダの作動液圧を検出する前輪
    制動用シリンダ作動液圧検出手段と、この前輪制動用シ
    リンダ作動液圧検出手段で検出された前輪の制動用シリ
    ンダの作動液圧に基づいて前輪の制動力を算出すると共
    にこの前輪の制動力に基づいて理想制動力配分となる後
    輪の目標制動力を設定し且つこの後輪の目標制動力を達
    成する指令信号を前記アクチュエータに向けて出力する
    制動液圧制御手段とを備えたことを特徴とする車両の制
    動液圧制御装置。
  3. 【請求項3】 少なくとも前後各輪の回転角加速度を検
    出する車輪回転角加速度検出手段を備え、前記制御手段
    は、この車輪回転角加速度検出手段で検出された前後各
    輪の回転角加速度を用いて前後各輪の制動力を算出する
    と共にこの前後各輪の制動力に基づいて算出される車両
    重量を用いて前記後輪の目標制動力を設定することを特
    徴とする請求項1又は2に記載の車両の制動液圧制御装
    置。
  4. 【請求項4】 少なくとも車両に作用する前後方向への
    前後加速度を検出する前後加速度検出手段を備え、前記
    制御手段は、この前後加速度検出手段で検出された前後
    加速度及び前記算出された前後各輪の制動力を用いて前
    記車両重量を算出すると共にこの車両重量及び前後加速
    度に基づいて算出される前後各輪の輪荷重を用いて前記
    後輪の目標制動力を設定することを特徴とする請求項3
    に記載の車両の制動液圧制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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