JPH10297960A - 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器の製造方法 - Google Patents

低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器の製造方法

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JPH10297960A
JPH10297960A JP9108725A JP10872597A JPH10297960A JP H10297960 A JPH10297960 A JP H10297960A JP 9108725 A JP9108725 A JP 9108725A JP 10872597 A JP10872597 A JP 10872597A JP H10297960 A JPH10297960 A JP H10297960A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】800〜1000℃で焼成することが可能であ
り、1GHz以上の高周波領域において、低誘電率、低
誘電正接で熱膨張係数の制御が容易な低温焼成磁器組成
物と低温焼成磁器の製造方法を提供する。 【解決手段】SiO2 を14.9〜95重量%と、Zn
Oを1〜84.9重量%と、B2 3 を0.1〜15重
量%およびLi2 Oを0.1〜10重量%とからなる
か、またはSiO2 を14.9〜95重量%、ZnOを
1〜84.5重量%、Li2 Oを0.1〜10重量%
と、少なくともSiO2 およびB2 3 を含有するガラ
ス0.5〜20重量%と、とからなる組成物を成形後、
酸化あるいは非酸化性雰囲気中、800℃〜1000℃
で焼成して、少なくともZnOおよびSiO2 を含む結
晶相およびSiO2 相を主相とし、さらに副相として、
少なくともSiO2 、Li2 OおよびZnOを含む結晶
相を含み、1GHz〜60GHzでの誘電率(εr)が
7以下、誘電損失が30×10-4以下、さらに室温から
400℃における熱膨張係数が2〜17ppm/℃の特
性を有する磁器を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層回路基板にお
ける絶縁基板として有用な低温焼成磁器組成物と、低温
焼成磁器の製造方法に関するものであり、例えば集積回
路(IC)や電子部品を多層に積層し、焼成してなる銅
配線可能な特に高周波用の低誘電率、低誘電損失を備え
た低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器の製造方法の
改良に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来より、セラミック配線基板としては、
絶縁基板がアルミナなどのセラミックスからなるアルミ
ナ質配線基板が多用されているが、近年、高度情報化時
代を迎え、半導体素子はより高速化、高集積化、実装の
より高密度化が進み、誘電率の大きなアルミナ基板(3
GHzでの比誘電率は9〜9.5)は高周波回路基板等
には不適切である。つまり、信号を高速で伝搬させるた
めには絶縁基板材料には、より低い誘電率が要求されて
いる。また、マイクロ波、ミリ波対応として低損失化も
要求されている。
【0003】そこで、上述した低誘電率化に対応し得る
セラミック材料としては、例えば、ガラスと無機質フィ
ラーとの混合物を成形、焼成してなる、いわゆるガラス
セラミックスは、誘電率が3〜7程度と低いことから、
高周波用絶縁基板として注目されている。また、このガ
ラスセラミックスは、800〜1000℃の低温で焼成
することができることから、配線用導体として、銅、
金、銀などの低抵抗金属を使用できるという長所を有す
る。
【0004】一方、多層配線基板に種々の電子部品を実
装したり、入出力端子等を取付けたり、またその多層配
線基板をマザーボードなどのプリント基板に接続する上
で、これら電子部品や入出力端子等、またはプリント基
板との熱膨張率の差により基板に加わる応力から基板が
破壊したり、欠けが生じるのを防止する為に、各材料間
の熱膨張係数が近似していることが望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ガラスセラミックス材料は、誘電率が低いものの、信号
の周波数が10GHz以上のマイクロ波に対して、その
誘電損失が20×10-4以上と高く、このような高周波
用としては実用化し得るに十分な特性を有していないも
のであった。
【0006】しかも、従来のガラスセラミックスは、誘
電体特性を決定する成分のみでは、その組成を調整して
も、熱膨張係数を種々調整することが難しく、そのため
に、種々の熱膨張調整剤を必要とし、その結果、誘電特
性を損ねてしまうなどの問題があった。
【0007】従って、本発明は、銅、金、銀等の低抵抗
金属と同時焼成が可能であり、しかも低誘電率および高
周波領域で低誘電正接を有し、直線的な熱膨張挙動を示
し、しかも熱膨張係数が2〜17ppm/℃の間で調整
可能である低温焼成磁器組成物と低温焼成磁器の製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
を鋭意検討した結果、Zn,Siを特定比率で含有する
複合酸化物に対して、Li2 O、B2 3 、あるいは少
なくともSiO2 とB2 3 とを含むガラスを添加する
ことにより複合酸化物中のZnOとB2 3 中のB(ホ
ウ素)成分による液相反応と、さらにLi2 O中のLi
成分による液相反応が加わることにより僅かなB
2 3 、Li2 Oにより、800〜1000℃以下の温
度で焼成でき、しかもを焼成によって、結晶相として、
少なくともZn、およびSiを含むウイレマイト結晶相
やSiO2 結晶相を析出させることにより、低い比誘電
率と低い誘電正接、さらには2〜17ppm/℃の間で
幅広く熱膨張係数を調整できることを知見し、本発明に
至った。
【0009】即ち、本発明の低温焼成磁器組成物は、S
iO2 を14.9〜95重量%と、ZnOを1〜84.
9重量%と、B2 3 を0.1〜15重量%およびLi
2 Oを0.1〜10重量%とからなるか、またはSiO
2 を14.9〜95重量%、ZnOを1〜84.5重量
%、Li2 Oを0.1〜10重量%と、少なくともSi
2 およびB2 3 を含有するガラス0.5〜20重量
%と、とからなることを特徴とするものである。
【0010】また、かかる磁器組成物は、焼成によっ
て、少なくともZnOおよびSiO2を含む結晶相を主
相とし、さらに副相として、少なくともSiO2 、Li
2 OおよびZnOを含む結晶相と、SiO2 結晶相を含
む磁器が得られるもので、1GHz〜60GHzでの誘
電率(εr)が7以下、誘電損失が30×10-4以下、
さらに室温から400℃における熱膨張係数が2〜17
ppm/℃の特性を有することを特徴とする。
【0011】さらに、本発明の低温焼成磁器の製造方法
は、上記の各組成物を用いて、所定形状に成形後、酸化
あるいは非酸化性雰囲気中、800℃〜1000℃で焼
成して、磁器を製造することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の低温焼成磁器組成物の第
1の態様によれば、SiO2 を14.9〜95重量%
と、ZnOを1〜84.9重量%と、B2 3 を0.1
〜15重量%およびLi2 Oを0.1〜10重量%とか
らなるものである。
【0013】各成分組成を上記の範囲に限定したのは、
SiO2 が14.9重量%よりも少ないとZnOが過剰
に析出してしまい誘電損失が劣化し、SiO2 が95重
量%よりも多くなると焼結性が劣化し1000℃以下の
低温で緻密化しないためである。SiO2 の望ましい量
は25〜90重量%である。
【0014】また、ZnOが1重量%よりも少ないと十
分な液相が生成せず、1000℃以下の低温で緻密化し
ないためであり、84.9重量%よりも多いとZnOが
過剰に析出してしまい誘電損失が劣化してしまうためで
ある。ZnOの望ましい量は10〜60重量%である。
【0015】さらに、Li2 Oが0.1重量%よりも少
ないと、SiO2 量が多い場合において、主相となるS
iO2 相が容易にクリストバライトに相変態してしま
い、200℃付近に変曲点をもつ熱膨張挙動を示してし
まうためであり、10重量%よりも多いと誘電損失が劣
化してしまうためである。Li2 Oの望ましい範囲は、
1〜5重量%である。
【0016】さらに、B2 3 量が0.1重量%より少
ないと、800〜1000℃の温度で磁器が十分に緻密
化することができず、15重量%より多いと、過剰な液
相が生成し1〜60GHzの高周波領域における誘電正
接が30×10-4を越えるためである。B2 3 の望ま
しい範囲は、1〜5重量%である。
【0017】また、本発明の第2の態様によれば、Si
2 を14.9〜95重量%、ZnOを1〜84.5重
量%、Li2 Oを0.1〜10重量%と、少なくともS
iO2 およびB2 3 を含有するガラス0.5〜20重
量%とからなる。
【0018】この組成物において、SiO2 、ZnO、
Li2 O量の限定理由は第1の態様と同様な理由によ
る。少なくともSiO2 およびB2 3 を含有するガラ
スについて、上記ガラス量が0.5重量%より少ない
と、800〜1000℃の温度で磁器が十分に緻密化す
ることができず、20重量%より多いと、過剰な液相が
生成し1〜60GHzの高周波領域における誘電正接が
30×10-4を越えて高くなるためである。少なくとも
SiO2 とB2 3 を含有するガラスの望ましい範囲
は、1〜10重量%である。
【0019】なお、上記の少なくともSiO2 、B2
3 を含むガラスとしては、一般にホウケイ酸系ガラス、
ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラスなどが
好適に用いられるが、特にSiO2 を5〜80重量%、
2 3 を4〜50重量%の割合でそれぞれ含み、他の
成分としてAl2 3 を30重量%以下、アルカリ金属
酸化物を20重量%以下の割合で含むものが好適に使用
され、これらの酸化物成分を所定割合で配合したものを
溶融、冷却し、ガラス化したものが使用される。
【0020】また、上記第1および第2の態様の磁器組
成物は、いずれも800〜1000℃の温度範囲での焼
成によって相対密度95%以上まで緻密化することがで
き、これによって形成される磁器は、図1(a)(b)
の磁器組織の概略図に示すように、結晶相として、少な
くともZnOおよびSiO2 を含む結晶相(W)または
SiO2 (クオーツ)結晶相(Q)を主相とし、さらに
副相として、少なくともSiO2 、Li2 OおよびZn
Oを含む結晶相(L)含み、さらに、さらには、これに
わずかにSiO2 またはZnO、B2 3 を含む非晶質
が析出する場合もある。
【0021】なお、少なくともZnOおよびSiO2
含む結晶相としては、ウイレマイト(Zn2 SiO
4 型)結晶相である。また、少なくともSiO2 、Li
2 OおよびZnOを含む結晶相は、Zn2 SiO4 型結
晶のSiサイトにZnおよびLiが固溶した、Zn
2 (Znx Liy Siz )O4 (x+y+z=1)の結
晶相および/またはLi2 ZnSiO4 型結晶である。
さらに、SiO2 相としては、クオーツ相を含み、さら
には、少量のクリストバライト相、トリジマイト相など
の結晶相が析出する場合もある。
【0022】このように本発明によれば、磁器中に、少
なくともZnとSiを含む結晶相や、SiO2 系結晶相
等を析出させることができる結果、比誘電率を7以下の
低誘電率を有するとともに、マイクロ波、ミリ波などの
高周波帯域、具体的には1GHz〜60GHzの範囲に
おいて、誘電損失が30×10-4以下の低損失特性を有
するものである。しかも、この磁器は、組成物の組成を
前述の範囲で制御することにより、上記誘電体特性を維
持しながら、結晶相の比率などの変動によって、室温か
ら400℃の温度範囲の熱膨張係数を2〜17ppm/
℃の範囲で制御することが可能であり、しかも直線的な
熱膨張挙動を示すものである。
【0023】また、本発明の低温焼成磁器の製造方法に
よれば、上記の組成物を得るにあたり、原料粉末として
は、Zn2 SiO4 で表されるウイレマイト化合物と、
結晶質または非晶質からなるSiO2 が好適に用いられ
る。
【0024】また、B2 3 源としては、B2 3 、焼
結過程でB2 3 を形成し得るB23 、H2 BO
3 や、ZnO・2B2 3 、4ZnO・3B2 3 など
のほう酸亜鉛などの化合物の群から選ばれる少なくとも
1種が用いられる。
【0025】さらに、Li2 O源として、Li2 O、焼
結過程でL 2 Oを形成し得るLi2 CO3 、LiOH
・H2 O、Li2 S等、あるいはLi2 SiO3 、Li
4 SiO4 、Li2 Si2 5 、Li2 Si3 7 、L
6 Si2 7 、Li8 SiO6 などのSiO2 および
Li2 Oを含む化合物、Li2 ZnSiO4 、Zn
2(ZnxLiySiz)O4 (x+y+z=1)など
のSiO2 、Li2 OおよびZnOを含む化合物の群か
ら選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0026】またさらに、少なくともSiO2 およびB
2 3 を含有するガラスとしては、前述したような、ホ
ウケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ
酸鉛系ガラスなどが好適に用いられる。
【0027】これらの原料を用いて、前記第1の態様ま
たは第2の態様の組成物に調合し、、混合する。そし
て、その混合粉末に適宜バインダ−を添加した後、例え
ば、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成形、ド
クターブレード法、圧延法等により任意の形状に成形
後、酸化雰囲気中または、N2 ,Ar等の非酸化性雰囲
気中において800℃〜1000℃、特に900〜10
00℃の温度で0.1〜5時間焼成することにより相対
密度95%以上に緻密化することができる。
【0028】この時の焼成温度が800℃より低いと、
磁器が十分に緻密化せず、1000℃を越えると緻密化
は可能であるが、銅、銀などの導体と同時焼成ができな
くなる。因みに、同時焼成時に、導体として銅を用いる
場合には非酸化性雰囲気とし、銀を用いる場合には非酸
化性または酸化性雰囲気で焼成することが必要である。
銅導体を用いることが出来なくなるためである。
【0029】本発明の上記方法によれば、ZnおよびS
iからなる複合酸化物と、B2 3、またはSiO2
2 3 を含むガラスに、さらにLi2 Oを組み合わせ
ることにより、複合酸化物から生成するZnを主とする
液相とB2 3 中またはガラス中のB(ホウ素)成分の
より活性な液相反応が生じる。さらにLi2 O中のLi
成分による液相反応加わることにより僅かなB2 3
Li2 Oにより、800〜1000℃以下の温度で焼成
でき、磁器を緻密化することができる。そのために、誘
電正接を増大させる要因となる粒界の非晶質相の量を最
小限に押さえることができる。このため高周波帯域にお
いてより低い誘電正接を得ることができるのである。
【0030】また、本発明における磁器組成物は、80
0〜1000℃で焼成可能であることから、特に銅、
金、銀などを配線する配線基板の絶縁基板として用いる
ことができる。かかる磁器組成物を用いて配線基板を作
製する場合には、例えば、上記のようにして調合した混
合粉末を公知のテープ成形法、例えばドクターブレード
法、圧延法等に従い、絶縁層形成用のグリーンシートを
作製した後、そのシートの表面に配線回路層用として、
銅、金および銀のうちの少なくとも1種の金属、特に、
銅粉末を含む導体ペーストを用いて、グリーンシート表
面に配線パターンにスクリーン印刷法、グラビア印刷法
等によって回路パターン状に印刷し、場合によってはシ
ートにスルーホールやビアホール形成後、上記導体ペー
ストを充填する。その後、複数のグリーンシートを積層
圧着した後、上述した条件で焼成することにより、配線
層と絶縁層とを同時に焼成することができる。
【0031】
【実施例】
実施例1 平均粒径が1μm以下のZn2 SiO4 、ZnO・2B
2 3 、4ZnO・3B2 3 で示される化合物、Si
2 (アモルファス)、Li2 Oを原料として用い、表
1の組成に従い混合した。そして、この混合物に有機バ
インダー、可塑剤、トルエンを添加し、ドクターブレー
ド法により厚さ300μmのグリーンシートを作製し
た。そして、このグリーンシートを5枚積層し、50℃
の温度で100kg/cm2 の圧力を加えて熱圧着し
た。得られた積層体を水蒸気含有窒素雰囲気中で、70
0℃で脱バインダーした後、乾燥窒素中で表1の条件に
おいて焼成して多層基板用磁器を得た。
【0032】得られた焼結体について誘電率、誘電正接
を以下の方法で評価した。測定は、形状直径1〜5m
m、厚み2〜3mmの試料を切り出し、60GHzにて
ネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパー
を用いて誘電体円柱共振器法により行った。測定では、
NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共振器
の励起を行い、TE021,TE031モードの共振特
性より誘電率、誘電正接を算出した。測定の結果は表1
に示した。また、X線回折測定から、磁器の構成相を同
定し、試料No.8、15についてX線回折チャートを図
2、図3に示した。さらに、各磁器について、室温から
400℃の温度範囲における熱膨張係数を測定するとと
もに、その温度範囲内で熱膨張曲線における200℃付
近での変曲点を有無を確認した。なお、試料No.19お
よび試料No.9の熱膨張曲線を図4、図5に示した。
【0033】また、比較例として、Zn2 SiO4 、S
iO2 に代わり、MgSiO3 、CaSiO3 を用いて
同様に焼結体を作製し評価した(試料No.25、2
6)。
【0034】
【表1】
【0035】表1の結果から明らかなように、結晶相と
して、ウイレマイト結晶相(Zn2SiO4 )、SiO
2 系結晶相が主として析出した本発明の磁器は、いずれ
も誘電率が7以下、60GHzでの誘電正接が30×1
-4以下の優れた値を示した。
【0036】これに対して、SiO2 量が95重量%を
越える試料No.1では1600℃まで高めないと緻密化
できず、14.9重量%よりも少ないと誘電特性が大き
く劣化した。B2 3 量が0.1重量%未満である試料
No.13では、焼成温度を1300℃まで高めないと緻
密化することができず、本発明の目的に適さないもので
あった。一方、B2 3 量が15重量%を越える試料N
o.16は誘電損失が増大し60GHzにおいて誘電特性
が評価できなかった。Li2 O量が0.1重量%よりも
少ない試料No.9では、クリストバライトが多量に析出
し、その結果、熱膨張曲線に変曲点が生じた。なお、本
発明品の磁器の液相に対して、ICP発光分光分析によ
って分析した結果、いずれも液相中からZn、Bが元素
が検出された。
【0037】ZnO量が84.9重量%を越える試料N
o.24では過剰なZnO相が析出し、このため誘電損失
が増大し60GHzにおいて誘電特性が評価できなかっ
た。
【0038】一方、ZnO量が1重量%未満の試料No.
3では過剰なSiO2 相が析出し、またZn量が不十分
であるため、B2 3 中のB成分と液相を形成すること
が困難となり、1400℃まで高めないと緻密化できな
かった。
【0039】また、比較例として、MgSiO3 やCa
SiO3 を用いた試料No.25、26では、B2 3
を15重量%以上添加しないと緻密化しないため十分な
誘電特性が得られず、本発明の目的に適さないものであ
った。
【0040】実施例2 表2の組成からなるガラス粉末と平均粒径が1μm以下
のZn2 SiO4 、Li2 O、SiO2 を用いて表3の
組成になるように混合した。そして、この混合物に有機
バインダー、可塑剤、トルエンを添加し、ドクターブレ
ード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製し
た。そして、このグリーンシートを5枚積層し、50℃
の温度で100kg/cm2 の圧力を加えて熱圧着し
た。得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中で、7
00℃で脱バインダーした後、乾燥窒素中で表3の条件
において焼成して多層基板用磁器を得た。
【0041】得られた焼結体について実施例1と同様に
して誘電率、誘電正接および結晶相の同定、熱膨張係数
を実施例1と同様な方法で測定評価した。測定の結果は
表3に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】表2、表3の結果から明らかなように、本
発明の成分組成に制御した試料は、実施例1と同様に、
いずれも1000℃以下で緻密化できるとともに、結晶
相として、ウイレマイト結晶相やSiO2 系結晶が主と
して析出し、いずれも誘電率が7以下、60GHzでの
誘電正接が30×10-4以下の優れた値を示した。しか
も、熱膨張係数が1.5〜17ppm/℃の範囲で制御
可能であり、変曲点も存在しなかった。
【0045】実施例3 上記実施例1中のNo.8および15の磁器を用いて、直
径1〜30mm、厚み2〜15mmの円柱サンプル)を
作製した。また比較として汎用品のコージェライト系ガ
ラスセラミックス(硼珪酸ガラス75重量%、Al2
3 25重量%)、汎用の低純度アルミナ(Al2 3
5重量%、CaO、MgO5重量%)を用い同様にして
サンプルを作製した。作製したサンプルを1GHz、1
0GHz、20GHz、30GHz、60GHzの高周
波、マイクロ波、ミリ波領域において、誘電体円柱共振
器法により誘電正接を測定した。結果を図6に示した。
【0046】汎用品のガラスセラミックスは低周波領域
において誘電正接は7×10-4と低いが、高周波領域に
なるに従い特性が劣化してしまい20GHz以上では2
0×10-4程度になってしまう。また、汎用の低純度ア
ルミナは60GHzで40×10-4程度まで高くなっ
た。一方、本発明品は、60GHzでの高周波領域にお
いても誘電正接は30×10-4以下と低いものであっ
た。なお、誘電率は汎用品ガラスセラミックスは5、低
純度アルミナは9であった。
【0047】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の低温焼成磁
器組成物は、誘電率が低く、30GHz以上の高周波に
おいても誘電正接が小さいので、高周波用途のマイクロ
波用回路素子等において最適である。さらに、熱膨張係
数を誘電特性を損なうことなく、直線的な熱膨張挙動で
幅広く制御できることから、かかる磁器を用いた配線基
板をマザーボードなどのプリント基板に実装したり、電
子部品や入出力端子を取り付ける際において、熱膨張差
を小さくできることから、信頼性の高い基板を作製する
ことができる。しかも、800〜1000℃で焼成され
るため、Cu、Au、Ag等による配線を同時焼成によ
り形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器の組織の概略図である。
【図2】本発明の誘電体磁器(試料No.8)のX線回折
チャート図である。
【図3】本発明の誘電体磁器(試料No.15)のX線回
折チャート図である。
【図4】本発明の誘電体磁器(試料No.19)の熱膨張
曲線を示す図である。
【図5】比較例の誘電体磁器(試料No.9)の熱膨張曲
線を示す図である。
【図6】本発明品および従来品の誘電正接の測定周波数
との関係を示した図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2 を14.9〜95重量%と、Zn
    Oを1〜84.9重量%と、B2 3 を0.1〜15重
    量%およびLi2 Oを0.1〜10重量%とからなるこ
    とを特徴とする低温焼成磁器組成物。
  2. 【請求項2】焼成によって、少なくともZnOおよびS
    iO2 を含む結晶相を主相とし、さらに副相として、少
    なくともSiO2 、Li2 OおよびZnOを含む結晶相
    と、SiO2 結晶相を含む磁器が得られることを特徴と
    する請求項1記載の低温焼成磁器組成物。
  3. 【請求項3】焼成後の磁器が、1GHz〜60GHzで
    の誘電率(εr)が7以下、誘電損失が30×10-4
    下、さらに室温から400℃における熱膨張係数が1.
    5〜17ppm/℃の特性を有することを特徴とする請
    求項1記載の低温焼成磁器組成物。
  4. 【請求項4】SiO2 を14.9〜95重量%、ZnO
    を1〜84.5重量%、Li2 Oを0.1〜10重量%
    と、少なくともSiO2 およびB2 3 を含有するガラ
    ス0.5〜20重量%と、とからなることを特徴とする
    低温焼成磁器組成物。
  5. 【請求項5】焼成によって、少なくともZnOおよびS
    iO2 を含む結晶相を主相とし、さらに副相として、少
    なくともSiO2 、Li2 OおよびZnOを含む結晶相
    と、SiO2 結晶相を含む磁器が得られることを特徴と
    する請求項4記載の低温焼成磁器組成物。
  6. 【請求項6】焼成後の磁器が、1GHz〜60GHzで
    の誘電率(εr)が7以下、誘電損失が30×10-4
    下、さらに室温から400℃における熱膨張係数が1.
    5〜17ppm/℃の特性を有することを特徴とする請
    求項4記載の低温焼成磁器組成物。
  7. 【請求項7】少なくともZnOおよびSiO2 を含むウ
    イレマイト化合物と、結晶質及び非晶質からなるSiO
    2 と、B2 3 、焼結過程でB2 3 を形成し得るホウ
    素化合物およびほう酸亜鉛化合物の群から選ばれる少な
    くとも1種と、Li2 O、焼結過程でLi2 Oを形成し
    得るリチウム化合物、少なくともSiO2 、Li2 Oを
    含む化合物および少なくともSiO2 、Li2 Oおよび
    ZnOを含む化合物の群から選ばれる少なくとも1種と
    を用いて、SiO2 を14.9〜95重量%と、ZnO
    を1〜84.9重量%と、B2 3 を0.1〜15重量
    %およびLi2 Oを0.1〜10重量%とから組成物を
    調合し、所定形状に成形後、酸化あるいは非酸化性雰囲
    気中、800℃〜1000℃で焼成することを特徴とす
    る低温焼成磁器の製造方法。
  8. 【請求項8】少なくともZnOおよびSiO2 を含むウ
    イレマイト化合物と、結晶質及び非晶質からなるSiO
    2 と、Li2 O、焼結過程でLi2 Oを形成し得るリチ
    ウム化合物、少なくともSiO2 、Li2 Oを含む化合
    物および少なくともSiO2 、Li2 OおよびZnOを
    含む化合物の群から選ばれる少なくとも1種と、少なく
    ともSiO2 およびB2 3 を含有するガラスを用い
    て、SiO2 を14.9〜95重量%、ZnOを1〜8
    4.5重量%、Li2 Oを0.1〜10重量%と、少な
    くともSiO2 およびB2 3 を含有するガラス0.5
    〜20重量%とから組成物を調合し、所定形状に成形
    後、酸化あるいは非酸化性雰囲気中、800℃〜100
    0℃で焼成することを特徴とする低温焼成磁器の製造方
    法。
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