JPH10297985A - 石灰窒素用改質剤、その含有組成物と造粒品、及び石灰窒素の加水分解速度調節方法 - Google Patents

石灰窒素用改質剤、その含有組成物と造粒品、及び石灰窒素の加水分解速度調節方法

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JPH10297985A
JPH10297985A JP10042317A JP4231798A JPH10297985A JP H10297985 A JPH10297985 A JP H10297985A JP 10042317 A JP10042317 A JP 10042317A JP 4231798 A JP4231798 A JP 4231798A JP H10297985 A JPH10297985 A JP H10297985A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】緩効性の石灰窒素肥料に適用される組成物を提
供する。 【解決手段】石灰窒素の加水分解速度を遅延させる物質
を含有する石灰窒素用改質剤並びに石灰窒素と改質剤を
含有する石灰窒素組成物である。特に、前記改質剤が、
(1)式の官能基を有する化合物であり、開環して
(1)式の官能基を有する糖類であり、芳香族スルホン
酸又はリグニンスルホン酸若しくはそれらの塩から選ば
れる1種以上であり、複数個の水酸基が結合した芳香環
を有する化合物である。又、改質剤の石灰窒素に対する
配合割合を、加水分解遅延作用が発現するしきい値に対
する配合割合よりも多く、しかも配合割合を変化させる
ことで、加水分解速度を制御する石灰窒素組成物の加水
分解速度調節方法である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石灰窒素を含有す
る石灰窒素組成物に関し、例えば肥料に用いたときに、
加水分解速度が制御され肥効と農薬効果の調整ができる
という特徴を有する石灰窒素組成物とその造粒品に関す
る。又、本発明は前記石灰窒素組成物やその造粒品につ
いて、石灰窒素改質剤の配合割合を適宜制御することに
より、その加水分解速度を調整する方法に関する。
【0002】石灰窒素肥料は、カルシウムシアナミドを
主成分とする緩効性肥料であり、農薬効果をも有するこ
とから、長年にわたって賞用されている。しかし、石灰
窒素肥料の緩効性は土壌の影響を受けやすいこと、また
農薬効果は施用後1〜2日以内に発現し、発現後1週間
前後薬効が継続するが、それ以上の薬効継続は困難であ
る。このために、薬効を更に長く継続させたいという使
用目的を満足できず、作業性が悪いという欠点があっ
た。そこで、土壌等の影響を受けず、肥効、例えば硝酸
化までの期間、並びに農薬効果、例えばシアナミドの徐
放などの調整ができる石灰窒素肥料が望まれている。
【0003】
【従来の技術】従来、肥料成分の溶解性を調整して緩効
性を達成するために、肥料を粒状となし、その表面に樹
脂等を被覆することが知られている(特公昭60−30
40号公報、特公昭60−21952号公報、特公平2
−23515号公報参照)が、これらの対象は、いずれ
も尿素、硫安、硝安、塩化カリ等の肥料に関するもので
あり、石灰窒素肥料に関するものではない。石灰窒素肥
料については、その風化防止のために、粒状としたもの
の表面に硫黄を被覆することが開示されているのみであ
る(特公昭40−22896号公報)。
【0004】前記の硫黄で被覆された粒状石灰窒素肥料
は、むしろ溶出を抑制しないように配慮して製造されて
いるので、土壌が異なった場合、肥効を保持しつつ緩効
性と農薬効果を調整することが困難である場合があり、
石灰窒素肥料を造粒してその表面に熱可塑性樹脂やゴム
重合体で被覆すること等の工夫、改良が更に進められて
いる。
【0005】しかし、上記の方法はいずれも、石灰窒素
肥料中の石灰窒素が加水分解するに際して水と接触する
部分の石灰窒素の表面積を実質的に低下させることを目
的としているものであり、一旦石灰窒素の加水分解が開
始されると、その効果は失われて加水分解速度が上昇
し、結果的には石灰窒素肥料本来の肥効を保持しつつ緩
効性と農薬効果を調整することが困難な場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記課
題の解決を図り実験的にいろいろ検討した結果、石灰窒
素の加水分解速度を特定の物質の存在下で遅延させるこ
とができるという知見を得て、本発明に至ったものであ
り、本発明の目的は、土壌等の影響を受けずに肥効と農
薬効果の調整ができる石灰窒素肥料に好適な、石灰窒素
の改質剤とそれを含む石灰窒素組成物、肥料を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、土壌等の影響
を受けずに肥効と農薬効果の調整ができ、しかも作業性
に優れる粒状の前記石灰窒素組成物の造粒品を提供する
ことにある。更に、本発明の目的は、前記組成物並びに
その造粒品が土壌や気候条件に即した肥効と農薬効果を
容易に発揮できるように、前記石灰窒素組成物の加水分
解速度調節方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、石灰窒素の加
水分解速度を遅延させる物質を含有することを特徴とし
た石灰窒素用改質剤であり、石灰窒素と前記改質剤を含
有することを特徴とする石灰窒素組成物である。より詳
細には、本発明は、前記改質剤が、(1)式で示される
官能基を有する化合物であり、前記の(1)式で示され
る官能基を有する化合物が、オキシカルボン酸又はその
塩とケトカルボン酸又はその塩からなる群のうちから選
ばれる1種以上であることを特徴とする。また、本発明
は、前記改質剤が、(1)式で表される官能基を有す
る、又は分解して(1)式で示される官能基を有する糖
類であり、好ましくは廃糖蜜或いは糖製造時の廃液(以
下、糖廃液という)またはコーンシロップであることを
特徴とする。更に、本発明は、前記改質剤が、芳香族ス
ルホン酸又はリグニンスルホン酸若しくはそれらの塩か
ら選ばれる1種以上であり、好ましくは、パルプ廃液で
あることを特徴とする。また、本発明は、前記改質剤
が、複数個の水酸基が結合している芳香環を有する化合
物であり、好ましくは、芳香環内の隣接した炭素に水酸
基が結合している前記化合物であることを特徴とする。
加えて、本発明は石灰窒素と改質剤とを含有することを
特徴とする石灰窒素組成物である。
【0008】
【化2】
【0009】本発明は、前記石灰窒素組成物に水を加え
て乾燥してなることを特徴とする石灰窒素組成物造粒品
であり、好ましくは、該石灰窒素組成物中の石灰窒素に
含まれる生石灰を予め消和処理したものであることを特
徴とする前記石灰窒素組成物造粒品である。又、本発明
は、石灰窒素と改質剤とを含有する石灰窒素組成物の加
水分解速度調節方法であって、改質剤の石灰窒素に対す
る配合割合を、変化させることにより、石灰窒素の加水
分解速度を制御することを特徴とする石灰窒素組成物の
加水分解速度調節方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】石灰窒素は、土壌等の中に含まれ
る水分と接触し、加水分解されて薬効のあるH2CN
2(シアナミド)に至り、尿素を経て、肥効を示すN
H4 +、NO3 -に変化することが知られている。前述した
とおりに、土壌中で石灰窒素は加水分解を受けて前記シ
アナミドを放出するが、一般的には1〜2日で加水分解
は終了し、生成したシアナミドは更に尿素等に加水分解
してゆくので、薬効が1週間程度で終了する。石灰窒素
の加水分解速度を遅延してシアナミドの発生速度を遅く
し、それに続く尿素等の発生速度も遅延できるので、肥
効の長期化、延長を可能とすることができる。従って、
肥効と農薬効果を調整するためには、その加水分解速度
を調整し、H2CN2、尿素、更にNH4 +やNO3 -の発生
する速度を調整することが本質的である。この加水分解
速度を調整する方法として、従来は、例えば石灰窒素肥
料を粒状となし、該粒子表面を樹脂等を用いて被覆し、
土壌中の水分との接触面積を低減することで、石灰窒素
肥料中の石灰窒素の溶出を調整すること等の試みがなさ
れてきたが、必ずしも十分に目的を達成できるとは限ら
なかった。
【0011】本発明者らは、石灰窒素固体表面を特定の
物質を用いて微視的オーダーで被覆することにより石灰
窒素の加水分解速度を低減するという考えに基づき、実
験的にいろいろ検討し、カルシウム元素と親和性の強い
特定の化合物を石灰窒素と共存させながら石灰窒素の加
水分解を行わせるときに、前記石灰窒素の加水分解速度
を調整することができることを見いだし、本発明に至っ
たものである。本発明は、石灰窒素肥料中のカルシウム
元素に対する石灰窒素改質剤の親和性を利用するもので
あり、従来の概念とは全く異なるものである。
【0012】本発明の改質剤としては、カルシウム元素
との親和性を有していてキレート化合物や吸着分子を形
成しやすく、しかもカルシウム元素を分子レベルで覆う
ことができるものであれば良く、本発明者らの検討によ
れば、(1)式で表わされる官能基を有する化合物が挙
げられる。(1)式で表される官能基に結合する分子
団、原子団については、該官能基に一旦結合したカルシ
ウムが再び水分子と結合しないように、適当な大きさを
有することが望ましい。本発明者らの検討によれば、例
えば、炭素数としては3〜20程度のものが好適であ
り、2以下或いは20を越える場合には、加水分解遅延
特性が充分でないものがある。
【0013】前記の(1)式で表わされる官能基を有す
る化合物としては、例えばグルコン酸、グルコヘプトン
酸、クエン酸、酒石酸などのオキシカルボン酸及びその
塩、並びにピルビン酸などで代表されるケトカルボン酸
及びその塩が挙げられる。
【0014】更に、本発明者らの検討によれば、糖類の
うち、(1)式で表される官能基を有する、又は分解し
た時に(1)式で表される官能基を有する糖類、例え
ば、グルコースを初めとする単糖類、ラクトース、サッ
カロース等のオリゴ糖類、デキストラン、β−シクロデ
キストリン等の多糖類、なども同じ効果が得られ、本発
明の石灰窒素用改質剤として用いることができる。ま
た、前記糖類の誘導体も用いることができる。尚、前記
糖類を含有する廃糖蜜、糖廃液、コーンシロップなど
は、安価であるし、高強度の造粒品を容易に得ることが
できるので、好ましく用いられる。
【0015】また、本発明の改質剤として、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデ
シルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン
酸等を初めとするアルキルベンゼンスルホン酸等の芳香
族スルホン酸又はリグニンスルホン酸若しくはそれらの
塩が用いることができる。また、リグニンスルホン酸又
はその塩を成分として含有するパルプ廃液等をも用いる
ことができる。更に、セメント分野で広く用いられてい
る減水剤、例えばイソプレン製造時の廃液等をも用いる
ことができる。尚、パルプ廃液は、高強度の造粒品を安
価に得ることができることから、好ましく用いられる。
【0016】更に、本発明の改質剤として、複数個の水
酸基が結合している芳香環を有する化合物を用いること
ができる。前記化合物としては、ハイドロキノン、カテ
コール、ピロガロール、ベンゼンテトロール、ベンゼン
ペントロール、ベンゼンヘキリール及びこれらの誘導
体、例えば、1、2、4−ベンゼントリオール、没食子
酸、2、4、6−ヒドロキシ安息香酸、没食子酸等があ
げられる。これらのうち、カテコール、ピロガロール、
没食子酸等の芳香環内の隣接した炭素に水酸基が結合し
ている分子構造を有する化合物がより顕著な効果を有す
ることから好ましい。
【0017】尚、上述した石灰窒素用改質剤は単独で用
いることは勿論のこと、それらを2種以上混合して用い
ることもできるし、アルカリ金属、カルシウム以外のア
ルカリ土類金属塩等、カルシウムと親和性を有するもの
であればどの様な塩であっても良い。
【0018】一般的に入手可能な石灰窒素は、石灰窒素
(CaCN2)を主成分とし、生石灰(CaO)、消石灰
(Ca(OH)2)、炭素(C)等の副成分が含まれ、さ
まざまな組成のものが知られているが、本発明において
は、いずれのものも使用することができる。
【0019】本発明において、改質剤が、その効果を発
揮させるために、石灰窒素肥料中の石灰窒素としての結
合状態にないカルシウム元素に対応する量を超えて配合
される必要がある。この理由は、上述したとおり、通常
の石灰窒素肥料中には、生石灰や消石灰のように、石灰
窒素としての結合状態にないカルシウム元素が多少とも
存在するので、配合された改質剤は石灰窒素として結合
しているカルシウム元素並びに石灰窒素としての結合状
態にないカルシウム元素のいずれにも作用し、しかも肥
料中に配合された改質剤の一部があたかも消費される現
象を呈するからである。
【0020】本発明者らの検討によれば、改質剤は石灰
窒素としての結合状態にないカルシウム元素への親和性
が同程度或いはより強いため、あたかも消費される挙動
を示す。即ち、石灰窒素改質剤の配合量を増加してゆく
とき、石灰窒素肥料中に含まれる石灰窒素としての結合
状態にないカルシウム元素の存在量に見合うまでは、そ
の加水分解速度の遅延効果は発揮されないが、前記の量
(以下しきい値という)を超えて配合されるとき、次第
にその効果が強く発揮される。また、前記しきい値はカ
ルシウム元素との親和性との関係からか石灰窒素改質剤
の種類によっても異なる。
【0021】前述のしきい値については、化学反応モデ
ルによって推定することもできる。化学反応モデルは次
のように考えることができる。即ち、石灰窒素肥料につ
いて分析し、その中の全カルシウム量(CaT)を求
め、また、全窒素量から計算される石灰窒素として結合
しているカルシウム量(CaB)を求め、両者の差異よ
り石灰窒素としての結合状態にないカルシウム量(Ca
F)を算出する。
【0022】一方、本発明の改質剤は、(1)式で表さ
れる官能基を有する化合物、糖類及び分解して前記官能
基を有する糖類の群(以下第1群という)と芳香族スル
ホン酸等の化合物(以下第2群という)と複数個の水酸
基が結合している芳香環を有する化合物(以下第3群と
いう)に区分することができ、第1群では(1)式の官
能基1個が、後者ではスルホン基1個が、第3群では水
酸基2個がそれぞれ前述の石灰窒素としての結合状態に
ないカルシウム原子1個と対応するものとして、CaF
に対応する量を計算することで前記しきい値を求める。
【0023】しかし、上記モデルは対象とするカルシウ
ム化合物と改質剤とをそれぞれ分子レベルで考えた場合
であり、現実的には対象とするカルシウム化合物は固体
の表面で作用するのみであること、更に石灰窒素と改質
剤とが不均一に混合されることもあり、上記計算で求め
る方法は必ずしも精度が良くなく、しきい値の目安を与
える程度にすぎない。後述の実施例に示すように実験的
に求める方法が、実際的であり実用上も有益である。
【0024】改質剤の石灰窒素に対する配合量の下限に
ついては、用いる改質剤の種類により、また前記石灰窒
素中の石灰窒素としての結合状態にないカルシウム元素
の存在量により異なるが、上述のしきい値を越えて0.
1重量%以上の配合割合で石灰窒素の加水分解速度を低
下することができる。肥料の使用目的により石灰窒素の
加水分解が完了する期間は異なることが要請されるが、
改質剤の量を石灰窒素に対してしきい値を越えて0.1
重量%以上の適当量配合することで、肥料の加水分解速
度を制御し、前記要請に対応することができる。
【0025】改質剤の石灰窒素に対する配合量の上限に
ついては、特に定める必要はない。しかし、改質剤の多
量の添加は、結果的に肥料中の窒素含有率の低下をもた
らす。従来、石灰窒素肥料中の窒素含有率は、その品質
確保の観点から、19%以上であるとの認識があり、こ
の考え方を維持する場合には、窒素含有率が25重量%
の石灰窒素に改質剤は約24重量%まで添加可能とな
る。しかし、改質剤の添加により加水分解速度が遅くな
ることは、引き続いて起こるシアナミドから尿素へ、尿
素からアンモニアイオンへ、更にはアンモニアイオンか
ら硝酸イオンへと変化する速度が遅延することになる
が、実用上は、降水や散水による上記化合物やイオンの
流亡が抑えられ、植物等が窒素源として利用する単位土
壌当たりの有効窒素分を高めることができるという効果
が期待できるので、改質剤の添加量の上限は、前記の全
窒素含有率に限定される必要がなく、目的や作物の種類
により高めれば良い。
【0026】本発明の石灰窒素組成物を肥料用途に用い
るに際して、石灰窒素を含有する肥料と改質剤とを予め
混合状態とした本発明の石灰窒素組成物の形態で施用す
るのが一般的であるが、石灰窒素を含有する肥料と改質
剤とを別々に施用することもできる。即ち、石灰窒素肥
料を土壌に施用後に、その土壌への溶出が完了する以前
に、本発明の改質剤を施用し土壌中で石灰窒素と接触さ
せ、その加水分解速度を遅延調整することもできるし、
逆の手順によっても良い。また、改質剤の種類、配合量
が同一の石灰窒素組成物を肥料として複数回に渡り施用
することもできる。更に、改質剤の種類と配合量を変え
た複数の石灰窒素組成物を用意し、作物の種類、土壌の
種類、或いは施用する地域の降水量等の自然環境に適合
した所望の緩効性、薬効性を有する石灰窒素含有肥料と
して施用することもできる。
【0027】石灰窒素肥料は粉末のままの場合に比べて
作業時に飛散しにくい等の理由から、粒状であることが
望まれている。本発明の石灰窒素と改質剤とを含有する
石灰窒素組成物は、これに水を加え乾燥することでその
造粒品とすることができる。造粒時に用いる液体として
は、有機溶剤を用いることもできるが、得られる造粒品
の硬さ、強度が優れることから、また、作業環境面、価
格面を考慮して水が好ましい。水を加えた石灰窒素組成
物は、一般に練って均質度を高め、必要に応じて押し出
し、型押し、或いはパン型造粒機等を用いて造粒するな
どの処理を行った後、加熱、送風等の手段で乾燥するこ
とで、造粒品とすることができる。
【0028】石灰窒素組成物を水を用いて造粒するに際
し、石灰窒素中に生石灰が多量に含まれる場合には、生
石灰が水和(消和ともいう)する際の多量の熱発生が原
因して、造粒品が粉化し崩壊してしまうことがあるの
で、予め水を石灰窒素に少量混合し、石灰窒素中の生石
灰を消和しておくことが望ましい。
【0029】また、本発明者らは、造粒品の作製におい
て、改質剤として(1)式で表される官能基を有する化
合物、糖類、或いは分解して(1)式で表される官能基
を有する糖類を用いるとき、得られる造粒品が長期に渡
って水に浸漬されてもその形状を保つことができるとい
うことを見いだし、本発明に至ったものである。前記
(1)式で表される官能基を有する化合物としては、グ
ルコン酸、グルコヘプトン酸、酒石酸、クエン酸などの
オキシカルボン酸及びその塩が挙げられ、このうちグル
コン酸、グルコヘプトン酸、酒石酸及びこれらの塩が好
ましい。(1)式で表される官能基を有する、又は分解
して(1)式で表される官能基を有する糖類としては、
ラクトース、グルコース、β−シクロデキストリン、サ
ッカロース、デキストラン或いはこれらを成分に含む廃
糖蜜、糖廃液、コーンシロップなどが挙げられ、このう
ち廃糖蜜、糖廃液やコーンシロップは安価で入手しやす
いという理由から、特に好ましく用いられる。
【0030】加えて、本発明者らは、造粒品の作製にお
いて、改質剤として芳香族スルホン酸や、リグニンスル
ホン酸を含有するパルプ廃液を用いるときに、得られる
造粒品が長期に渡って水に浸漬されてもその形状を保つ
ことができ、しかも高強度であるということを見いだ
し、本発明に至ったものである。とりわけ、パルプ廃液
は、前記高強度で、長期に渡って保形性に優れる造粒品
を安価に得ることができるという理由から好ましい。
【0031】なお、本発明の石灰窒素組成物造粒品を作
製するに際し、従来から公知の方法、例えば尿素を用い
て造粒する方法、得られた造粒品の表面を樹脂等で被覆
する方法等を適用することもできる。
【0032】以下、実施例をもって、本発明を更に詳し
く説明する。
【0033】
【実施例】
〔実施例1〜17、比較例〕 (試料の作製)いろいろな改質剤0.5gを(改質剤が
水溶液の状態である場合は固形分換算で0.5gとなる
ようにして)乳鉢へ採取する。改質剤が粒状或いは塊状
の場合には、乳棒で摺り潰し粉状化する。予め消和した
粉状の石灰窒素(電気化学工業(株)製;粒径0.1m
m以下)9.5gを乳鉢へ採取し、乳棒を用いて改質剤
と解砕・混合する。更に、ペースト状となるように純水
3〜5mlを混合しながら練る。乳棒で5分間練り混ぜ
た後、シリンジに適量採取し、直径2〜3mmの太さの
棒状に押し出す。60℃で20分の条件で予備乾燥し、
5〜7mm長のペレット状に切断し粒状とする。更に、
100℃で加熱し、水分を蒸発した後、デシケータ中で
放冷することで石灰窒素組成物造粒品を得た。また改質
剤を全く含まない石灰窒素組成物造粒品を上記と同様な
手順で作製し比較例とした。上記で得られたいろいろの
石灰窒素組成物造粒品について、以下に示す加水分解性
評価試験を5日間行い、加水分解率を測定した。この結
果を表1に示す。
【0034】<加水分解性評価試験方法>造粒品を約1
g精秤し、120mlのスチロール瓶に採取する。純水
100mlを加え蓋をし、上下を逆にする操作を数回行
い内容物を攪拌する。その後室温にて所定の期間静置す
る。
【0035】<加水分解率の測定方法>前記水溶液を攪
拌し、しばらく静置した後、上澄水を採取してケルダー
ル法により、水中に溶出した窒素分を定量し、溶出全窒
素量を求める。また、造粒品を作製するに用いた石灰窒
素の全窒素含有量、配合割合から加水分解性評価試験に
供した造粒品中の全窒素量を算出する。前記の溶出全窒
素量と造粒品中の全窒素量から、以下の計算式により加
水分解率を算出する。 加水分解率(%)=(溶出全窒素量/造粒品中の全窒素
量)×100
【0036】
【表1】
【0037】〔実施例18〜24〕固形分47%の廃糖
蜜を0.5〜8gを改質剤として用いたこと以外は、実
施例1〜17と同じ操作で造粒品を作製し、加水分解性
評価試験において5日経過後の加水分解率を測定した。
結果を表2に示した。
【0038】
【表2】
【0039】〔実施例25〜31〕改質剤としてグルコ
ン酸ソーダを0.01〜2.0重量%配合したこと以外
は実施例18〜24と同一の操作で造粒品を得て、同一
の評価を行った。この結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】〔実施例32〜39〕改質剤として、固形
分47%の廃糖蜜を0.3g(配合割合として3重量
%)及び0.6g(配合割合として6重量%)とし、加
水分解性評価試験の期間を5日、10日、20日、30
日としたこと以外は、実施例18〜24と同じ条件で造
粒品の作製、評価を行った。この結果を、表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】〔実施例40〜54〕 (評価試料の作製)改質剤としてグルコン酸ソーダ(N
a)を全体としての配合割合が、1.0、1.2,1.
6、1.8、5.0%としたことを除いて、実施例32
〜39と同じように造粒品を作製し、評価した。この結
果を表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】〔実施例55〜58〕消和した石灰窒素に
廃糖蜜を4%(固形分換算)添加し、実施例1〜17と
同じ方法で粒状品を作製し、土中での加水分解性を測定
した。土壌は粗粒褐色低地土を用いた。50mlの円筒
容器に前記土壌を50g秤取り、精秤した90mgの粒
状品を土壌の上に均等になるように置く。更に、10g
の土壌で覆い、含水率が60%となるように水を土壌の
上からふりかける。水分の蒸発を防ぐためにアルミホイ
ルで密封しない程度に蓋をかぶせ、全重量を秤り、20
℃の恒温槽内に静置する。定期的に揮発水分量を重量法
で確認し、揮発が確認されたときには揮発水分量だけ水
分を補給し、水分量を60%とする。所定期間経過後に
土壌をシャーレに移し、土壌や粒状品を均一にすりつぶ
した後、500mlの分液ロートに移し、2%酢酸溶液
を加えることでシアナミドを抽出する。濾紙にてろ過し
た後、ろ液中のシアナミドの量をペンタシアノアンミン
フェロエートを発色試薬として分光光度法で測定する。
この結果を表6に示す。前記したとおりに、従来の石灰
窒素が約一週間程度で薬効がなくなるのに対し、本実施
例の場合では、20日頃までシアナミドが検出されてい
るので、従来の約3倍の期間もの長期に渡り薬効が期待
されるし、肥効の緩効化も期待できる。
【0046】
【表6】
【0047】
【発明の効果】本発明は、石灰窒素の加水分解速度を直
接的に遅延させた石灰窒素組成物を提供するものであ
り、該石灰窒素組成物をそのまま肥料用途に適用させ
て、使用目的に応じた緩効性を有する石灰窒素肥料を提
供することができる。また、本発明によれば、石灰窒素
用改質剤の種類や改質剤の配合割合をしきい値を越えて
変化させることにより、前記加水分解速度を容易に制御
することができるので、使用目的に応じた緩効性を有す
る石灰窒素肥料を容易に提供することができるし、石灰
窒素肥料の肥効期間や石灰窒素質肥料に特有の薬効期間
を自由に設計することができるという特徴を有し、産業
上極めて有用である。更に、本発明の石灰窒素組成物
は、薬効期間が調整でき、長期に渡って使用できるとい
う特徴を有するので、従来から知られている石灰窒素の
用途、例えば、農薬、脱臭剤、腐熟促進剤、土壌改良剤
用途等にも適用することができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石灰窒素の加水分解速度を遅延する物質を
    含有することを特徴とする石灰窒素用改質剤。
  2. 【請求項2】(1)式で示される官能基を有する化合物
    であることを特徴とする請求項1記載の石灰窒素用改質
    剤。 【化1】
  3. 【請求項3】前記(1)式で示される官能基を有する化
    合物が、オキシカルボン酸又はその塩とケトカルボン酸
    又はその塩とからなる群のうちから選ばれる1種以上で
    あることを特徴とする請求項2記載の石灰窒素用改質
    剤。
  4. 【請求項4】(1)式で示される官能基を有する、又は
    分解して(1)式で示される官能基を有する糖類である
    ことを特徴とする請求項1記載の石灰窒素用改質剤。
  5. 【請求項5】廃糖蜜またはコーンシロップであることを
    特徴とする請求項4記載の石灰窒素用改質剤。
  6. 【請求項6】芳香族スルホン酸又はリグニンスルホン酸
    若しくはそれらの塩から選ばれる1種以上であることを
    特徴とする請求項1記載の石灰窒素用改質剤。
  7. 【請求項7】パルプ廃液であることを特徴とする請求項
    6記載の石灰窒素用改質剤。
  8. 【請求項8】複数個の水酸基が結合している芳香環を有
    する化合物であることを特徴とする請求項1記載の石灰
    窒素用改質剤。
  9. 【請求項9】芳香環内の隣接した炭素に水酸基が結合し
    ている化合物であることを特徴とする請求項8記載の石
    灰窒素用改質剤。
  10. 【請求項10】石灰窒素と改質剤とを含有していること
    を特徴とする石灰窒素組成物。
  11. 【請求項11】請求項10記載の石灰窒素組成物に水を
    加えて乾燥してなることを特徴とする石灰窒素組成物造
    粒品。
  12. 【請求項12】石灰窒素が、該石灰窒素中の生石灰を消
    和処理したものであることを特徴とする請求項11記載
    の石灰窒素組成物造粒品。
  13. 【請求項13】石灰窒素と石灰窒素改質剤とを含有する
    石灰窒素組成物の加水分解速度調節方法であって、石灰
    窒素改質剤の石灰窒素に対する配合割合を変化させるこ
    とにより、該石灰窒素組成物の加水分解速度を制御する
    ことを特徴とする石灰窒素組成物の加水分解速度調節方
    法。
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