JPH10310699A - ポリアリーレンスルフィド成形体の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド成形体の製造方法

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JPH10310699A
JPH10310699A JP9137877A JP13787797A JPH10310699A JP H10310699 A JPH10310699 A JP H10310699A JP 9137877 A JP9137877 A JP 9137877A JP 13787797 A JP13787797 A JP 13787797A JP H10310699 A JPH10310699 A JP H10310699A
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polyarylene sulfide
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアリーレンスルフィドを含有する樹脂組
成物を用いて、従来よりも低温の金型温度で金型内に射
出成形した場合に、充分な結晶化度と表面光沢を有し、
機械的物性にも優れ、しかもバリの発生が抑制された成
形体を与えることができる成形体の製造方法、及び該成
形体を提供すること。 【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド(A)30〜
98重量%、劈開性無機充填材(B)2〜50重量%、
及びその他の充填材(C)0〜68重量%を含有する樹
脂組成物を120℃以下の金型温度で金型内に射出成形
することを特徴とするポリアリーレンスルフィド成形体
の製造方法、及び該成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形によりポ
リアリーレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体を製
造する方法に関し、さらに詳しくは、射出成形に際し、
金型温度を充分に低くしても、結晶化度や表面光沢に優
れ、機械的強度が良好で、かつ、バリの少ない成形体を
得ることができるポリアリーレンスルフィド成形体の製
造方法に関する。また、本発明は、このような製造方法
により得られるポリアリーレンスルフィド成形体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド(以下、PA
Sと略記)は、式[−Ar−S−](ただし、Arは、
アリーレン基である。)で表されるアリーレンスルフィ
ドの繰り返し単位を主たる構成要素とする芳香族ポリマ
ーであり、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと
略記)がその代表例である。PASは、耐熱性、耐薬品
性、難燃性、寸法安定性、機械的性質、電気絶縁性等に
優れたエンジニアリングプラスチックであり、自動車部
品、電気・電子機器部品、化学機器部品など広範な分野
で使用されている。PASは、射出成形、押出成形、圧
縮成形などの各種成形法により成形体に成形される。特
に、PASに繊維状充填材や非繊維状充填剤を配合した
PAS樹脂組成物を使用すると、射出成形により、引張
強度、曲げ弾性率、曲げ強度などの機械的物性に優れた
成形体を得ることができる。
【0003】ところが、PASは、ガラス転移温度やガ
ラス状態からの結晶化温度(冷結晶化温度)が高いた
め、射出成形により成形体を製造する場合、金型温度を
高くしないと、結晶化度の高い成形体を得ることができ
ない。また、PASは、結晶化速度が比較的遅いため、
射出成形に際し、PASの結晶化度を高めるために比較
的長いサイクル時間を必要とする。PASを射出成形す
る場合、結晶化を促進し、かつ、良好な外観の成形体を
得るには、通常、130℃以上の温度に金型を加熱する
必要があった。例えば、特許第2547266号公報に
は、PASに無機充填材を配合したPAS樹脂組成物が
開示されているが、その実施例では、金型温度150℃
で射出成形した例が示されている。しかも、PASの射
出成形では、金型を高温にしても、硬度、寸法安定性、
形状安定性、光沢などに優れた成形体を得るには、射出
・冷却時間を長くして結晶化度を高める必要があった。
【0004】このようにPASの射出成形には、高い金
型温度と長い成形サイクルを必要とするため、生産性に
問題がある。また、金型温度が高いと、金型潤滑のため
に特殊なグリースを使用する必要があること、グリース
の取り扱いに際して火傷の危険が高いこと、作業場の温
度が高くなること等の作業環境上の問題もある。さら
に、PASを通常の高い金型温度で射出成形すると、バ
リの発生が著しいという問題があった。なお、バリと
は、成形用金型のキャビティ部において、その組み合わ
せ部の隙間から溶融した成形材料が流出した部分が、そ
のまま成形体に付着したものをいう。
【0005】PASの射出成形時の金型温度を低減する
ことができるならば、生産性の向上に加えて、前述の如
き諸問題も軽減される。従来より、PASの射出成形時
の金型温度を下げるために、各種可塑剤を添加してPA
Sのガラス転移温度を下げることにより、結晶化速度を
高める方法が提案されている。可塑剤としては、例え
ば、オリゴマー状エステル(特開昭62−45654号
公報)、チオエーテル(特開昭62−230849号公
報)、カルボン酸エステル(特開昭62−230884
8号公報)、燐酸エステル(特開昭62−230850
号公報、特開平1−225660号公報)などが提案さ
れている。しかしながら、このような可塑剤の多くは、
熱安定性に劣るため、PASのように高融点の樹脂に添
加すると、コンパウンド作製のための溶融加工時に、揮
発ガスや分解ガスを発生するという問題があった。熱安
定性に優れた特殊な可塑剤は、高価である。また、金型
温度を充分に下げるには、PASに比較的多量の可塑剤
を配合する必要があるため、機械的物性の低下やブリー
ドなどのおそれがある。
【0006】PASに少量の黒鉛粉末を1種の結晶核剤
として添加することにより、結晶化速度を高める方法が
提案されているが(特開平5−239354号公報)、
その実施例では、PPSに40重量%のガラス繊維と共
に1重量%の黒鉛粉末を配合した樹脂組成物を、金型温
度135℃(275。F)で射出成形した例が示されて
いるだけであり、金型温度を充分に下げることができて
いない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
アリーレンスルフィドを含有する樹脂組成物を用いて、
従来よりも低温の金型温度で金型内に射出成形した場合
に、充分な結晶化度と表面光沢を有し、機械的物性にも
優れ、しかもバリの発生が抑制された成形体を与えるこ
とができる成形体の製造方法を提供することにある。本
発明の他の目的は、ポリアリーレンスルフィドを含有す
る樹脂組成物を用いて、低温の金型温度で射出成形する
ことにより得られる充分な結晶化度と表面光沢を有し、
機械的物性にも優れ、バリの発生が抑制された成形体を
提供することにある。
【0008】本発明者らは、前記従来技術の問題点を克
服するために鋭意研究した結果、PASに劈開性無機充
填材を特定の割合で配合し、さらに好ましくは、その他
の充填材、特に好ましくは繊維状充填材を配合した樹脂
組成物を用いて、120℃以下の金型温度で金型内に射
出成形することにより、X線を用いて測定した成形体表
面の結晶化指数が23%以上の充分な結晶化度と表面光
沢を有し、機械的物性にも優れ、しかもバリの発生が大
幅に抑制された成形体の得られることを見いだした。劈
開性充填材としては、23℃、空気中で測定した摩擦係
数が0.4以下のものが好ましく、その中でも、窒化ホ
ウ素、黒鉛、タルク及び硫化モリブデンがより好まし
く、窒化ホウ素及び黒鉛が特に好ましいことを見いだし
た。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
【0009】
【課題を達成するための手段】本発明によれば、ポリア
リーレンスルフィド(A)30〜98重量%、劈開性無
機充填材(B)2〜50重量%、及びその他の充填材
(C)0〜68重量%を含有する樹脂組成物を120℃
以下の金型温度で金型内に射出成形することを特徴とす
るポリアリーレンスルフィド成形体の製造方法が提供さ
れる。また、本発明によれば、ポリアリーレンスルフィ
ドと充填材とを含有する樹脂組成物を射出成形してなる
ポリアリーレンスルフィド成形体において、ポリアリー
レンスルフィド(A)30〜98重量%、劈開性無機充
填材(B)2〜50重量%、及びその他の充填材(C)
0〜68重量%を含有する樹脂組成物を120℃以下の
金型温度で金型内に射出成形することにより得られ、か
つ、X線を用いて測定した成形体表面の結晶化指数が2
3%以上であることを特徴とするポリアリーレンスルフ
ィド成形体が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】ポリアリーレンスルフィド(PAS) 本発明で使用するPASとは、式[−Ar−S−](た
だし、−Ar−はアリーレン基である。)で表されるア
リーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素と
する芳香族ポリマーである。[−Ar−S−]を1モル
(基本モル)と定義すると、本発明で使用するPAS
は、この繰り返し単位を通常50モル%以上、好ましく
は70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有
するポリマーである。アリーレン基としては、例えば、
p−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン
基(置換基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、
またはフェニル基である。)、p,p′−ジフェニレン
スルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジ
フェニレンカルボニル基、ナフチレン基などを挙げるこ
とができる。PASとしては、主として同一のアリーレ
ン基を有するポリマーを好ましく用いることができる
が、加工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン
基を含んだコポリマーを用いることもできる。
【0011】これらのPASの中でも、p−フェニレン
スルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするPPS
が、加工性に優れ、しかも工業的に入手が容易であるこ
とから特に好ましい。この他に、ポリアリーレンケトン
スルフィド、ポリアリーレンケトンケトンスルフィドな
どを使用することができる。コポリマーの具体例として
は、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位とm−フ
ェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムま
たはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り
返し単位とアリーレンケトンスルフィドの繰り返し単位
を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレ
ンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンケトン
スルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロ
ックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位
とアリーレンスルホンスルフィドの繰り返し単位を有す
るランダムまたはブロックコポリマーなどを挙げること
ができる。これらのPASは、結晶性ポリマーであるこ
とが好ましい。また、PASは、靭性や強度などの観点
から、直鎖状ポリマーであることが好ましい。このよう
なPASは、極性溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハ
ロゲン置換芳香族化合物とを重合反応させる公知の方法
(例えば、特公昭63−33775号公報)により得る
ことができる。
【0012】アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫
化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビ
ジウム、硫化セシウムなどを挙げることができる。反応
系中で、NaSHとNaOHを反応させることにより生
成させた硫化ナトリウムなども使用することができる。
ジハロゲン置換芳香族化合物としては、例えば、p−ジ
クロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、2,5−ジク
ロロトルエン、p−ジブロムベンゼン、2,6−ジクロ
ロナフタリン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼ
ン、4,4′−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ
安息香酸、p,p′−ジクロロジフェニルエーテル、
4,4′−ジクロロジフェニルスルホン、4,4′−ジ
クロロジフェニルスルホキシド、4,4′−ジクロロジ
フェニルケトンなどを挙げることができる。これらは、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用
することができる。
【0013】PASに多少の分岐構造または架橋構造を
導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン置換
基を有するポリハロゲン置換芳香族化合物を少量併用す
ることができる。ポリハロゲン置換芳香族化合物の好ま
しい例としては、1,2,3−トリクロロベンゼン、
1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリク
ロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,
3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモ
ベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼンなど
のトリハロゲン置換芳香族化合物、及びこれらのアルキ
ル置換体を挙げることができる。これらは、それぞれ単
独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが
できる。これらの中でも、経済性、反応性、物性などの
観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,
5−トリクロロベンゼン、及び1,2,3−トリクロロ
ベンゼンがより好ましい。極性溶媒としては、N−メチ
ル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記)などのN−
アルキルピロリドン、1,3−ジアルキル−2−イミダ
ゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸
トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶
媒が、反応系の安定性が高く、高分子量のポリマーが得
やすいので好ましい。
【0014】PASの分子量は、特に限定されず、低分
子量のものから高分子量のものまで使用することができ
る。310℃、剪断速度1200/秒で測定したPAS
の溶融粘度は、通常5〜600Pa・s、好ましくは1
0〜400Pa・s、より好ましくは20〜300Pa
・sである。本発明では、比較的高分子量したがって高
溶融粘度のPASを用いても、射出成形性を改善するこ
とができるが、充填材を高充填する場合には、溶融粘度
が比較的小さいPASを用いることが、射出成形時の溶
融流動性の観点から好ましい。また、PASは、示差走
査熱量計(DSC)により降温速度10℃/分で測定し
た降温結晶化温度(Tc2)が通常235℃、好ましく
は240℃以上であることが望ましい。降温結晶化温度
が低いと、低温金型を用いて射出成形により良好な表面
性を有する成形体を得ることが困難である。
【0015】劈開性無機充填材 本発明で使用する劈開性無機充填材は、ある一定方向に
容易に割れて平滑な面すなわち劈開面を作ることができ
る無機充填材である。劈開性無機充填材は、c軸方向に
対して垂直方向に層構造を有しており、剪断力をかける
と、結晶のc軸に対して垂直方向に容易に劈開する。本
発明で使用する劈開性無機充填材としては、c軸方向に
対して垂直方向に層構造を有しており、かつ、その層間
の相互作用が小さく、剪断力をかけると容易に劈開する
ものが好ましい。
【0016】PAS(PAS樹脂組成物を含む)を射出
成形する場合、溶融状態のPASを高温に保持した金型
内に射出する。その際、金型内での剪断流動、特に金型
の内表面での剪断流動により、PASは配向し、そし
て、配向誘起結晶化により結晶化が促進される。しか
し、金型温度が通常よりも低い場合、金型内でPAS表
面は急激に冷却され、結晶化するのに充分な時間的余裕
がないため、結晶化が進行しない。従来、このような状
況を改善するために、燐酸エステルのような可塑剤をP
ASに添加することが提案されている。PAS樹脂に可
塑剤を添加すると、分子鎖の易動度が向上することによ
り、ガラス転移温度、冷結晶化温度が低下し、PASが
結晶化及び配向し易くなると推定される。しかし、この
ような有機化合物は、射出成形時の高温に対して熱的に
耐えられない。また、少量の核剤を添加して、結晶化の
促進を図っても、このような状況を改善するだけの充分
な効果が望めない。
【0017】そこで、本発明者らは、射出成形時の金型
内でのPASの結晶化速度を飛躍的に向上させる方法に
ついて、種々検討を行った。その結果、劈開性無機充填
材を組成物全量基準で2〜50重量%の割合で含有させ
ることにより、金型温度を低くしても、金型の内表面で
PASが配向し易くなり、そして、PASの配向に起因
する配向誘起結晶化の速度が促進され、ひいては、PA
Sの結晶化速度が顕著に向上することを見いだした。よ
り具体的には、劈開性充填材は、その劈開性により、該
劈開性充填材を配合したPAS樹脂組成物の金型内表面
での剪断流動性を向上させて、PASを配向し易くする
作用を示し、それによって、配向誘起結晶化を促進し、
飛躍的に結晶化速度を向上させると推定される。劈開性
無機充填材は、熱的に安定であり、PASの溶融温度以
上の高温に曝された後も、揮散や分解を起こすことな
く、安定的に前記の如き作用を行うことができる。
【0018】本発明で使用する劈開性無機充填材の具体
例としては、窒化ホウ素、黒鉛、硫化モリブデン、タル
クなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて使用することができる。こ
れらの中でも、窒化ホウ素及び黒鉛が好ましく、比較的
少量で目的の効果を得ることができる。この理由は、窒
化ホウ素及び黒鉛は、高温でも摩擦係数が小さいこと、
そして、PASとの親和性(フィッティング)が良いこ
とが考えられる。窒化ホウ素や黒鉛は、c軸に垂直方向
の平面内で原子が六角形状に配置しており、この配置が
結晶学的にみてPASの原子配置に似ているために、フ
ィッティングが良いと考えられる。窒化ホウ素及び黒鉛
は、PASの結晶核剤としての効果も良好である。ただ
し、窒化ホウ素は、硬いため、配合量が増すと、金型を
痛めたり、成形体の機械的強度を下げることがある。劈
開性無機充填材として黒鉛を使用すると、低温金型での
射出成形が可能になるばかりでなく、衝撃強度等の靭性
低下の非常に小さい組成物を得ることができる。
【0019】劈開性無機充填材は、金型内でのPAS樹
脂組成物の流動性を向上させるためには、23℃、空気
中で測定した摩擦係数が0.4以下のものであることが
好ましい。劈開性無機充填材の摩擦係数が0.4を越え
ると、低温金型での射出成形に際し、劈開性が不充分と
なり、結晶化速度の向上効果が充分ではなくなるおそれ
がある。劈開性無機充填材の平均粒径は、200μm以
下であることが好ましい。劈開性無機充填材の平均粒径
が大きすぎると、成形体の表面性を悪化させるおそれが
ある。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
使用して測定することができる。
【0020】その他の充填材 本発明においては、PASに対して、劈開性無機充填材
と共に、その他の充填材を配合することができる。その
他の充填材は、一般に、機械的強度、耐熱性、寸法安定
性、電気的性質等の諸特性に優れた成形体を得る目的で
用いられる。したがって、その他の充填材の種類及び配
合割合は、これらの目的に応じて、適宜選択される。そ
の他の充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊
維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジル
コニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、
チタン酸カリ繊維などの無機質繊維状物;ステンレス、
アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの金属繊維状物;
ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクルリ
樹脂などの高融点有機質繊維状物質;などの繊維状充填
材を挙げることができる。
【0021】また、その他の充填材としては、例えば、
シリカ、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カ
ルシム、酸化チタン、カーボンブラック、グラファイ
ト、フェライト、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、炭酸ニッケル、酸化チタン、酸化鉄、石英粉末、炭
酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの非繊維状(粒状ま
たは粉末状)充填材が挙げられる。これらの充填材は、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用
することができる。また、その他の充填材は、必要に応
じて、集束剤や表面処理剤により処理されたものであっ
てもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、
エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系
化合物、チタネート系化合物などの官能性化合物が挙げ
られる。これらの化合物は、予め表面処理または集束処
理を施して用いるか、あるいは材料調製の際に、同時に
添加してもよい。その他の充填材としては、機械的強度
や寸法安定性などの観点から、ガラス繊維などの繊維状
充填材が好ましい。
【0022】その他の配合剤 本発明で使用する樹脂組成物には、所望により、その他
の熱可塑性樹脂を配合することができる。その他の熱可
塑性樹脂としては、PASが溶融加工される高温条件下
において安定な熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂
の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリ
アセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネ
ート、ポリフェニレンエーテル、ポリアルキルアクリレ
ート、ABS、ポリ塩化ビニル、テトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオ
ロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリ
デン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、プロピレン
/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン
/クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン/ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂を挙げ
ることができる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単
独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが
できる。
【0023】また、本発明で使用する樹脂組成物には、
必要に応じて、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合
体などの耐衝撃性改質剤、アミノアルコキシシラン化合
物などのシランカップリング剤、エチレングリシジルメ
タクリレートなどの樹脂改良剤;ペンタエリスリトール
テトラステアレートなどの滑剤;熱硬化性樹脂;酸化防
止剤、紫外線吸収剤などの安定剤;ボロンナイトライド
などの核剤;難燃剤;染料や顔料等の着色剤;などを配
合することができる。
【0024】樹脂組成物 本発明で使用する樹脂組成物は、PAS(A)30〜9
8重量%、好ましくは30〜78重量%、より好ましく
は40〜70重量%、劈開性無機充填材(B)2〜50
重量%、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2
〜30重量%、及びその他の充填材(C)0〜68重量
%、好ましくは20〜68重量%、より好ましくは28
〜58重量%を含有するPAS樹脂組成物である。劈開
性無機充填材の配合割合が2重量%未満であると、劈開
性無機充填材による配向誘起結晶化の促進効果が小さ
く、充分な結晶化度と表面光沢に優れた成形体を得るこ
とができない。劈開性無機充填材の配合割合が大きすぎ
ると、成形体の機械的物性が低下する。その他の充填材
の配合割合が大きすぎると、射出成形性に問題が生じる
ほか、成形体の機械的強度が低下することがある。低温
金型での射出成形性と、曲げ弾性率、曲げ強度、曲げた
わみ、引張強度、引張伸度などの機械的物性とのバラン
スの観点から、各成分の配合割合は、前記の好ましい範
囲内、さらには、より好ましい範囲内にあることが望ま
しい。
【0025】各成分を含有する樹脂組成物は、一般に合
成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製
することができる。すなわち、必要な成分を混合し、1
軸または2軸の押出機を使用して混練し、押し出して成
形用ペレットとすることができる。必要成分の一部をマ
スターバッチとして混合し、成形する方法、また、各成
分の分散混合を良くするために、使用する原料の一部を
粉砕し、粒径を揃えて混合し、溶融押し出しすることな
どもできる。本発明の製造方法では、前記樹脂組成物を
120℃以下の金型温度で金型内に射出成形する。好ま
しい金型温度は、通常、90〜120℃、好ましくは1
00〜115℃、より好ましくは100〜110℃であ
る。
【0026】本発明の樹脂組成物を使用すると、120
℃以下の金型温度の低温金型内に射出成形しても、PA
Sの射出成形において一般に採用されている130℃以
上、多くの場合140℃以上の金型温度で射出成形した
場合に匹敵する結晶化度と表面光沢度とを有する成形体
を得ることができる。すなわち、前記樹脂組成物を12
0℃以下の金型温度で金型内に射出成形することによ
り、X線を用いて測定した成形体表面の結晶化指数が2
3%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30
%の高い結晶化度の成形体を得ることができる。また、
本発明の製造方法によれば、表面光沢度(Gloss)
が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは
70%以上、最も好ましくは80%以上の表面光沢度を
有する成形体を得ることができ、この成形体は、目視判
定でも表面性に優れている。
【0027】本発明の成形体は、成形体の表層部におい
て、劈開性無機充填材(B)が下記式(1)で表される
配向度(S)が1.2以上で、成形体表面の面方向に沿
って配向していることが好ましい。 S=Imold/(I0×Rf) (1) I0 :劈開性無機充填材単体の無配向下での結晶に特
有のピークのX線強度 Imold:劈開性無機充填材を含んだ成形体の、上記I0
を求めたピークと同位置の2θのX線強度 Rf :組成物中の劈開性無機充填材の分率
【0028】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例のみに限定されるものではない。物性の測定法は、
以下に示すとおりである。 〈測定法〉 (1)溶融粘度 キャピログラフ1C(東洋精機社製)により、長さ10
mm、径1mmのキャピラリーを用いて、温度310
℃、剪断速度1200/秒の条件で測定した。 (2)ガラス転移温度(Tg)、及び降温結晶化温度
(Tc2) 樹脂試料10mgを2枚のアルミニウム箔の間に挟み、
熱プレス機を用いて、320℃に加熱し、約30秒間保
持して樹脂を溶融させた後、厚さ0.5mmのシートに
なるように加圧した。加圧して得たシートを氷水で急冷
して、非晶のシート状サンプルを得た。シート状サンプ
ル5mgを切り出し、示差走査熱量計(DSC)による
測定用サンプルとした。DSCとしてパーキンエルマー
社製DSC7を用い、サンプルを、窒素雰囲気下、昇温
速度10℃/分で340℃まで昇温し、その際の熱的転
移温度を測定した。得られたDSCチャートから、昇温
過程での吸熱二次転移点を読み取ってガラス転移温度
(Tg)とした。溶融押出により得られたペレット状物
を310℃でホットプレスした後、急冷して得たシート
について、DSCを用い、窒素雰囲気中、30℃で3分
間保持した後、10℃/分の速度で340℃まで昇温
し、340℃で5分間保持した後、10℃/分の速度で
降温し、得られたDSCチャートから発熱ピークの温度
を読み取り降温結晶化温度(TC2)とした。
【0029】(3)結晶化指数 結晶化指数は、結晶化度に比例する値であり、X線回折
測定により求めることができる。結晶化指数は、D.
G.Bradyの方法〔Journal ofAppl
ied Polymer Science, VOL.
20,2541−2551(1976)〕に従って計算
した。すなわち、結晶化指数Ciは、次式により算出す
ることができる。 Ci =〔Acryst /(Acryst +Aamorp)〕×100 Aamorp:非晶サンプルのX線チャートの面積(回折曲
線の下部面積) Acryst:結晶化サンプルのX線チャートの面積(回折
曲線の下部面積) この計算を、2θ=17〜23°の範囲で算出し、結晶
化指数とした。 (4)表面状態 射出成形して得られた試験片について、目視により表面
状態を観察し、以下の基準で表面性を判断した。 ◎:表面全体の光沢に優れている、 ○:表面全体の光沢が良好である、 △:表面光沢がある、 ×:表面光沢がない。
【0030】(5)表面光沢度 東京電色社製のGloss MeterモデルTG−P
Dを用いて、成形体表面の60°の入射光に対する反射
のGloss測定値を表面光沢度とした。 (6)摩擦係数 劈開性無機充填材の摩擦係数は、23℃、空気中で、鉄
製定盤上に劈開性無機充填材をのせ、その上に鉄製のブ
ロックを置いて荷重を加え、次いで、鉄製ブロックを一
定方向に一定速度で移動させ、そのときの摩擦力Fと垂
直荷重との比から算出した。 (7)配向度 劈開性無機充填材由来の結晶のX線回折測定におけるピ
ークの強度比から、次式に基づいて配向度を算出した。 S=Imold/(I0×Rf) (1) I0 :劈開性無機充填材単体の無配向下での結晶に特
有のピークのX線強度 Imold:劈開性無機充填材を含んだ成形体の、上記I0
を求めたピークと同位置の2θのX線強度 Rf :組成物中の劈開性無機充填材の分率 ここでは、窒化ホウ素の場合は、2θ=26.5度、タ
ルクの場合は、2θ=28.7度のピークの強度比から
求めた。
【0031】(8)引張物性(引張強度及び引張伸度) 溶融押出により作製したペレット状物を用いて、射出成
形により試験片を作成し、ASTM−D638に準拠し
て、標点間距離50mm、クロスヘッド速度5mm/分
で、引張強度及び引張伸度を測定した。 (9)曲げ弾性率、曲げ強度、及び曲げたわみ 溶融押出により作製したペレット状物を用いて、射出成
形により試験片を作成し、ASTM−D790に準拠し
て測定した。 (10)Izod衝撃強度(V/N及びR/N) 溶融押出により作製したペレット状物を用いて、射出成
形により試験片を作成し、ASTM−D256に準拠し
て測定した(Vノッチ)。反ノッチ側の衝撃強度(Rノ
ッチ)は、反ノッチ方向から打撃し、ASTM−D25
6と同様の計算方法で算出した。 (11)バリ評価方法 溶融押出により得られたペレット状物を用いて、直径7
0mm、厚さ3mmのキャビティを有する金型内に、完
全に樹脂組成物が充填される最小の充填圧力で射出成形
し、金型の円周部に設けられた厚さ20μm、幅5mm
の隙間(バリ評価スリット)に生じるバリの長さを、拡
大投影機を用いて測定した。
【0032】[合成例1]ポリマーA1 重合缶に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)72
0kgと46.21重量%の硫化ナトリウム(Na
2S)を含む硫化ナトリウム5水塩420kgを仕込
み、窒素ガスで置換後、撹拌しながら徐々に200℃ま
で昇温して水157kgを留出させた。この時、62モ
ルの硫化水素(H2S)が揮散した。脱水工程後、重合
缶にp−ジクロロベンゼン(pDCB)374kgとN
MP189kgとを加え、撹拌しながら220℃で4.
5時間反応させた。その後、撹拌を続けながら水49k
gを圧入し、次いで、255℃に昇温して5時間反応さ
せた。反応終了後、室温付近まで冷却してから、内容物
を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを
篩分し、アセトン洗2回、さらに水洗3回を行い、洗浄
ポリマーを得た。この洗浄ポリマーを3%塩化アンモニ
ウム水溶液で洗浄した後、水洗を行った。脱水後、回収
した粒状ポリマーを105℃で3時間乾燥した。このよ
うにして得られたポリマー(ポリマーA1)の収率は9
3%であり、ガラス転移温度(Tg)は86℃で、溶融
粘度は28Pa・sであった。
【0033】[合成例2]ポリマーA2 合成例1と同様にして、重合缶にNMP720kg及び
硫化ナトリウム5水塩420kgを仕込み、脱水を行っ
たところ、水160kgと硫化水素62モルが溜出し
た。次に、pDCB364kgとNMP250kgを加
え、撹拌しながら220℃で4.5時間反応させた後、
撹拌を続けながら水59kgを圧入し、次いで、255
℃に昇温して5時間反応させた。反応終了後、合成例1
と同様にして、生成ポリマーの後処理を行った。得られ
たポリマー(ポリマーA2)の収率は89%であり、ガ
ラス転移温度(Tg)は88℃で、溶融粘度は140P
a・sであった。
【0034】[実施例1]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)55重量%、窒化ホウ素〔信越化学製
KBN(H)−S;平均粒径0.6μm〕5重量%、及
びガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)40
重量%をドライブレンドし、2軸混練機(シリンダー温
度310℃)を用いて、溶融混練した後、ペレット化し
た。このペレットを射出成形機(東芝機械製IS−7
5)を用いて射出成形を行った。シリンダー温度は31
0℃、金型温度(実温)は110℃、射出時間10秒
間、冷却時間15秒間で、試験片を成形した。試験片の
表面の結晶化指数は、X線回折測定によれば、35%で
あった。目視で表面光沢を観察したところ、表面全体に
光沢があり、かつ、優れた光沢であった。試験片の配向
度は1.4(2θ=26.5)であった。試験片の機械
的物性を評価したところ、表2に示すように、曲げ弾性
率が大きく、良好な機械的特性を示した。組成及び結果
を表1及び表2に示す。
【0035】[比較例1]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)60重量%、及びガラス繊維(日本電
気硝子社製;直径13μm)40重量%をドライブレン
ドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した
後、同様に110℃の金型温度で射出成形して試験片を
作製し、評価した。試験片の表面の結晶化指数をX線を
用いて測定したところ、0%であり、結晶化していなか
った。また、目視で表面光沢を評価したところ、光沢部
分は全く見られなかった。
【0036】[比較例2]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)60重量%、及びガラス繊維(日本電
気硝子社製;直径13μm)40重量%をドライブレン
ドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した。
このペレットを射出成形機(東芝機械製IS−75)を
用いて射出成形を行った。シリンダー温度は310℃、
金型温度(実温)は140℃、射出時間10秒間、冷却
時間15秒間で、試験片を成形した。試験片の表面の結
晶化指数をX線を用いて測定したところ、35%であっ
た。また、目視で表面光沢を評価したところ、表面はす
べて光沢があった。したがって、前記樹脂組成物は、1
40℃の高温金型を用いると良好な物性の成形体を与え
ることができるが、110℃の低温金型では、満足でき
る物性の成形体を得ることができない(比較例1と2と
の対比)。ただし、140℃の金型温度で射出成形して
得られた成形体のバリ長は250mmと長かった。
【0037】[実施例2]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)55重量%、黒鉛(日本黒鉛製ACP
−3000;平均粒径6μm)5重量%、及びガラス繊
維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重量%をド
ライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレッ
ト化した後、同様に110℃の金型温度で射出成形して
試験片を作製し、評価した。試験片の表面の結晶化指数
をX線を用いて測定したところ、31%であった。ま
た、目視で表面光沢を評価したところ、表面全体に光沢
があり、優れた光沢であった。機械物性を評価したとこ
ろ、表2に見られるように曲げ弾性率も大きく、良好な
機械的特性を示した。
【0038】[実施例3]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)55重量%、黒鉛(日本黒鉛製ACB
−150;平均粒径100μm以下)5重量%、及びガ
ラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重量
%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し
て、ペレット化した後、同様に110℃の金型温度で射
出成形して試験片を作製し、評価した。試験片の表面の
結晶化指数をX線を用いて測定したところ、32%であ
った。また、目視で表面光沢を評価したところ、表面全
体に光沢があり、優れた光沢であった。また、機械物性
を評価したところ、表2に見られるように曲げ弾性率も
大きく、良好な機械的特性を示した。
【0039】[実施例4]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)55重量%、黒鉛(日本黒鉛製F#2
−F;平均粒径150μm)5重量%、及びガラス繊維
(日本電気硝子社製;直径18μm)40重量%をドラ
イブレンドし、実施例1と同様に溶融混練して、ペレッ
ト化した後、同様に110℃の金型温度で射出成形して
試験片を作製し、評価した。試験片の表面の結晶化指数
をX線を用いて測定したところ、31%であった。ま
た、目視で表面光沢を評価したところ、表面全体に光沢
があり、優れた光沢であった。機械物性を評価したとこ
ろ、表2に見られるように曲げ弾性率も大きく、良好な
機械的特性を示した。
【0040】[実施例5]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)50重量%、タルク(松村産業株式会
社クラウンタルク;平均粒径1μm)10重量%、及び
ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重
量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し
て、ペレット化した後、同様に110℃の金型温度で射
出成形して試験片を作製し、評価した。試験片の表面の
結晶化指数をX線を用いて測定したところ、28%であ
った。また、目視で表面光沢を評価したところ、実施例
1に比べてやや劣るものの、表面全体に光沢があり、良
好であった。
【0041】[実施例6]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)45重量%、タルク(松村産業株式会
社クラウンタルク;平均粒径11μm)15重量%、及
びガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)40
重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練
し、ペレット化した後、同様に110℃の金型温度で射
出成形して試験片を作製し、評価した。試験片の表面の
結晶化指数をX線を用いて測定したところ、31%であ
った。試験片の配向度は4.2(2θ=28.7)であ
った。また、目視で表面光沢を評価したところ、実施例
1に比べてやや劣るものの、表面全体に光沢があり、良
好であった。
【0042】[実施例7]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)55重量%、硫化モリブデン(大阪造
船所製T−Powder;平均粒径4.5μm)を5重
量%、及びガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μ
m)40重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に
溶融混練して、ペレット化した後、同様に110℃の金
型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。試験
片の表面の結晶化指数をX線を用いて測定したところ、
25%であった。また、目視で表面光沢を評価したとこ
ろ、実施例1に比べて劣るものの、表面全体に光沢があ
った。
【0043】[実施例8]合成例2で作成したPPS
(A2)55重量%、窒化ホウ素(信越化学製KBN
(H)−S;平均粒径0.6μm)5重量%、及びガラ
ス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重量%
をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練して、
ペレット化した後、同様に110℃の金型温度で射出成
形して試験片を作製し、評価した。試験片の表面の結晶
化指数をX線を用いて測定したところ、33%であっ
た。また、目視で表面光沢を評価したところ、表面全体
に光沢があり、優れた光沢であった。
【0044】[実施例9]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)58重量%、黒鉛(日本黒鉛製ACP
−3000;平均粒径6μm)2重量%、及びガラス繊
維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重量%をド
ライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレッ
ト化した後、同様に110℃の金型温度で射出成形して
試験片を作製し、評価した。試験片の表面の結晶化指数
をX線を用いて測定したところ、31%であった。ま
た、目視で表面光沢を評価したところ、表面全体に光沢
があり、優れた光沢であった。機械物性を評価したとこ
ろ、表2に見られるように曲げ弾性率も大きく、良好な
機械的特性を示した。
【0045】[比較例3]合成例1で作成したPPS
(ポリマーA1)59重量%、黒鉛(日本黒鉛製ACP
−3000;平均粒径6μm)1重量%、及びガラス繊
維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重量%をド
ライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレッ
ト化した後、同様に110℃の金型温度で射出成形して
試験片を作製し、評価した。試験片の表面の結晶化指数
をX線を用いて測定したところ、20%であった。ま
た、目視で表面光沢を評価したところ、表面に光沢がな
かった。
【0046】[比較例4]実施例2と同じ樹脂組成物を
140℃の金型温度で射出成形したこと以外は、実施例
1と同様にして試験片を作製し、評価した。得られた試
験片は、表面光沢に優れていたが、バリ長が200mm
と長く、好ましくなかった。
【0047】
【表1】
【0048】脚注: (*1)PPS;Tg=86℃、溶融粘度=28Pa・
s (*2)PPS;Tg=88℃、溶融粘度=140Pa
・s (*3)信越化学製KBN(H)−S;平均粒径=0.
6μm (*4)日本黒鉛製ACP−3000;平均粒径=6μ
m (*5)日本黒鉛製ACB−150;平均粒径=100
μm以下 (*6)日本黒鉛製F#2−F;平均粒径=150μm (*7)松村産業株式会社クラウンタルク;平均粒径=
1μm (*8)大阪造船所製T−Powder;平均粒径=
4.5μm (*9)日本電気硝子社製ガラス繊維;直径=13μm (*10)日本電気硝子社製ガラス繊維;直径=18μ
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアリーレンスルフ
ィドを含有する樹脂組成物を用いて、従来よりも低温の
金型温度で金型内に射出成形した場合に、充分な結晶化
度と表面光沢を有し、機械的物性にも優れ、しかもバリ
の発生が抑制された成形体を与えることができる成形体
の製造方法が提供される。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリーレンスルフィド(A)30〜
    98重量%、劈開性無機充填材(B)2〜50重量%、
    及びその他の充填材(C)0〜68重量%を含有する樹
    脂組成物を120℃以下の金型温度で金型内に射出成形
    することを特徴とするポリアリーレンスルフィド成形体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリアリーレンスルフィド(A)が、ポ
    リフェニレンスルフィドである請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 310℃、剪断速度1200/秒で測定
    したポリアリーレンスルフィド(A)の溶融粘度が5〜
    600Pa・sの範囲である請求項1または2記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 示差走査熱量計により降温速度10℃/
    分で測定したポリアリーレンスルフィド(A)の降温結
    晶化温度(Tc2)が240℃以上である請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 23℃、空気中で測定した劈開性無機充
    填材(B)の動摩擦係数が0.4以下である請求項1な
    いし4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 劈開性無機充填材(B)の平均粒径が2
    00μm以下である請求項1ないし5のいずれか1項に
    記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 劈開性無機充填材(B)が、窒化ホウ
    素、黒鉛、タルク、及び硫化モリブデンからなる群より
    選ばれる少なくとも一種である請求項1ないし6のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 その他の充填材(C)が、繊維状充填材
    である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 ポリアリーレンスルフィドと充填材とを
    含有する樹脂組成物を射出成形してなるポリアリーレン
    スルフィド成形体において、ポリアリーレンスルフィド
    (A)30〜98重量%、劈開性無機充填材(B)2〜
    50重量%、及びその他の充填材(C)0〜68重量%
    を含有する樹脂組成物を120℃以下の金型温度で金型
    内に射出成形することにより得られ、かつ、X線を用い
    て測定した成形体表面の結晶化指数が23%以上である
    ことを特徴とするポリアリーレンスルフィド成形体。
  10. 【請求項10】 成形体の表面光沢度が50%以上であ
    る請求項9記載の成形体。
  11. 【請求項11】 成形体の表層部において、劈開性無機
    充填材(B)が下記式(1)で表される配向度(S)が
    1.2以上で、成形体表面の面方向に沿って配向してい
    る請求項9または10記載の成形体。 S=Imold/(I0×Rf) (1) I0 :劈開性無機充填材単体の無配向下での結晶に特
    有のピークのX線強度 Imold:劈開性無機充填材を含んだ成形体の、上記I0
    を求めたピークと同位置の2θのX線強度 Rf :組成物中の劈開性無機充填材の分率
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