JPH10315229A - 連続繊維強化樹脂構造物及びそれから得られる成形品 - Google Patents

連続繊維強化樹脂構造物及びそれから得られる成形品

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JPH10315229A
JPH10315229A JP14108197A JP14108197A JPH10315229A JP H10315229 A JPH10315229 A JP H10315229A JP 14108197 A JP14108197 A JP 14108197A JP 14108197 A JP14108197 A JP 14108197A JP H10315229 A JPH10315229 A JP H10315229A
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福 隆 志 新
Nobukazu Atsumi
美 信 和 渥
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げ強度並びに150℃の耐熱性及び耐金属劣
化性に優れた連続繊維補強構造物の開発。 【解決手段】 無水マレイン酸改質PP樹脂基材に、3種
併用酸化防止剤(D)として、フェノール系(D1)、リン系
(D2)及びチオ系(D3)、白色系無機顔料(B1)として、ZnS
若しくはリトポン(商品名)の1以上0.01〜10wt%、処方
次第で併用される有機系顔料(B2)として、フタロシアニ
ンブルー、複素環イェロー、キナクリドンレッド若しく
はカーボンブラック並びに連続繊維強化材(C)10〜80wt%
で形成された連続繊維強化樹脂構造物。上記構造物から
成形された偏向ヨーク、ヘッドランプハウジング及び電
化製品ソケット等の物品。 【効果】 成形試験片は耐熱性(150℃)104日;耐金属劣
化性(150℃)75日;曲げ強度222MPaを達成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は着色を行なった場合
でも、金属不活性化剤を添加しないに拘わらず、その耐
熱性、耐金属劣化性及び機械的特性に優れ、有機シラン
化合物又は不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸
の酸無水物(「不飽和カルボン酸類」と総称することが
ある)と有機過酸化物との共存で改質された改質ポリプ
ロピレン樹脂を基材とする連続繊維強化改質ポリプロピ
レン樹脂構造物及びその連続繊維強化樹脂構造物から得
られる耐熱性、耐金属劣化性及び機械的特性に優れた成
形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱硬化性樹脂をマトリックスとす
る繊維強化複合材料が各種の成形材料等に主な素材とし
て使用されていた。しかし、成形体の靱性、貯蔵性、リ
サイクル性(再使用可能性)の観点から、熱可塑性樹脂を
マトリックス(基材)とした繊維強化複合材料が注目され
始めた結果、近年では盛んにその開発が進められてい
る。
【0003】しかしながら、熱可塑性樹脂は一般に高い
溶融粘度を示すことから、強化繊維への含浸に困難を来
す。その困難を回避する為に、既に種々の方法が開発さ
れている。その例として下記のものを挙げることができ
る: (i)熱可塑性樹脂の繊維化物を強化用繊維と均一に混合
する混繊糸法、(ii)熱可塑性樹脂粉末を強化用繊維間に
分散させる方法、(iii)溶融熱可塑性樹脂を強化用繊維
間に直接に含浸させる溶融引抜き法等。
【0004】上掲の各種方法の中でも、成形時間の短さ
及び比較的簡単なプロセスであること等から、上掲の項
(iii)の溶融引抜き法が一般的に用いられている。マト
リックス材料として用いられる熱可塑性樹脂の中でもポ
リプロピレン樹脂を用いる場合には、樹脂の溶融粘度を
低下させる手法として有機過酸化物であるジ-t-ブチル
パーオキサイド(DBPO)、ジクミルパーオキサイド
(DCPO)又はベンゾイルパーオキサイド(BPO)等を
原料樹脂に添加する手法が主に用いられている。
【0005】上述の先行技術の例としては、下記のもの
を挙げることができる: この文献は硫化亜鉛がポリプロピレン中において酸化
防止特性を有し、有機酸化安定剤を保護することを開示
している。
【0006】本発明以外には、耐金属劣化性が向上した
ことを開示した文献は見当らない。まして、硫化亜鉛と
有機過酸化物との相乗効果を示す例も見当らない。 この文献はガラス繊維強化ポリアミド樹脂又はガラス
繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂(FRPBT)
に対して白色顔料に属する硫化亜鉛を添加した場合に
は、同じく白色顔料に属する二酸化チタン(酸化チタ
ン)を添加した場合に比較して、機械的特性の低下を著
しく小幅に抑制できることを報告している(特公昭55
-24466号公報)。 この文献は着色成分として硫化亜鉛を使用したガラス
繊維強化樹脂組成物を開示している。即ち、この文献は
硫化亜鉛を使用することによって、従来技術における酸
化チタンを使用した場合に比べてガラス繊維の破損が少
なくなること及び成形物の機械的強度が向上したことを
開示している。この文献にも、上記の項におけると同
様に、耐金属劣化性が向上したことを示す開示は見当ら
ない。まして、硫化亜鉛と有機過酸化物との相乗効果の
例は全く見当らない(特開平4-353536号公
報)。 この文献は着色成分として硫化亜鉛とカーボンブラッ
クとからなる2成分顔料に分散剤としてポリエチレンワ
ックスが添加されてグレイ(灰色)に着色された繊維強化
ポリプロピレン樹脂組成物を開示している。それによれ
ば、ポリエチレンワックスを分散剤として使用するこに
よって、ホイールキャップ等の型物としての強度(剛性
及び耐衝撃性等)が向上している。この文献にも、両者
の添加によって耐金属劣化性を向上させた旨の開示は見
当らず、まして、硫化亜鉛と有機過酸化物との相乗効果
の開示も全く見当らない(特開平2-150444号公
報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この有機過酸化物(パ
ーオキサイド)の樹脂に対する作用原理を説明すると、
この種の化合物は熱等の作用によって分解を起こして有
機酸に変化し、この有機酸が熱又は光等の作用によって
容易にラジカル(フリーラジカル)を生成する。このラジ
カルはポリプロピレン樹脂等の酸化を受けやすい第3級
炭素を攻撃して触媒的に酸化劣化を促進させる。
【0008】この結果として、従来ポリプロピレン樹脂
を用いた場合には、樹脂の耐熱性及び耐金属劣化性の少
なくとも何れかを向上させる目的で酸化防止剤であるフ
ェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸
化防止剤及び金属不活性化剤の少なくとも1種以上を配
合した組成物が提唱されて来た。
【0009】しかし、有機過酸化物の分解物であるラジ
カルは安定剤である酸化防止剤の働きを弱めるといった
作用をも引起こす。これに起因して、溶融粘度を減成さ
れたポリプロピレン樹脂が用いられた系においてその耐
熱性及び耐金属劣化性を向上させるには、有機過酸化物
を添加しない系における場合に比較して酸化防止剤及び
金属不活性化剤の添加量の必然的増加を来すという問題
が伴う。
【0010】他方、黒色以外の着色を行なう場合には、
一般的に有機顔料又は無機顔料に白色顔料である酸化チ
タン等を添加した着色が行なわれている。酸化チタンを
添加した着色系では、酸化チタンがその表面の酸素と結
合して過酸化化合物を形成し、これがポリプロピレン樹
脂の酸化劣化を促進するという触媒効果を示すことか
ら、有機過酸化物が添加されたポリプロピレン樹脂組成
物中の樹脂は二重に酸化を受ける。その結果、樹脂が更
に劣化を受け易い環境に曝されるという問題が生じる。
【0011】本発明者らは上述の問題点すなわち、ポリ
プロピレン系樹脂の耐熱性不足及び耐金属劣化性不足と
いう問題点を解決する為に鋭意研究の結果、本発明を完
成した。
【0012】すなわち、本発明者らは酸化劣化及び金属
接触劣化を一層小さくする為に有益で、着色系の基本で
ある白色顔料の検討を行なった処、硫化亜鉛系並びに硫
化亜鉛と硫酸バリウムとの特定比混合物(商品名「リト
ポン」)の少なくとも何れかである白色顔料が特に優れ
ていることを見出した。
【0013】また、本発明者らは硫化亜鉛系及び商品名
「リトポン」系の白色顔料は有機過酸化物の存在で両者
が相乗的に作用することに起因する耐金属劣化性の飛躍
的向上を見出した。すなわち、本発明者らは驚いたこと
にこの系が金属不活性化剤が添加された系よりも優れた
耐金属劣化性を示すことを見出した。
【0014】本発明以外には、ガラス繊維強化樹脂の耐
金属劣化性を向上させた報告は見当らない。まして、有
機過酸化物との相乗効果の例等は全く見当らない。以上
の記述から明らかなように、本発明の目的は着色が行な
われた場合でも、耐熱性、耐金属劣化性及び機械的特性
に優れた連続繊維強化樹脂構造物であって、その基材と
して不飽和カルボン酸類及び有機過酸化物の共存で改質
された改質ポリプロピレン樹脂が用いられた構造物を提
供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に用いられる連続
繊維強化樹脂構造物は下掲の通りに、特定の改質プロピ
レン結晶性樹脂(改質ポリプロピレン樹脂)、有機過酸化
物、酸化防止剤、硫化亜鉛及び連続繊維強化材からな
る:ここで先ず上記の各成分について説明する。
【0016】本発明の連続繊維強化樹脂構造物に含まれ
る改質プロピレン樹脂(A)とは、結晶性ポリプロピレン
樹脂に改質剤(E)である有機シラン系化合物(E1)又は
不飽和酸カルボン酸(E2)若しくはその酸無水物(E3)
(両者を総称して「不飽和カルボン酸類(2/3)」と称する
ことがある)をグラフトさせることによって改質した改
質結晶性ポリプロピレン樹脂(A1)又はこれと非改質の
結晶性ポリプロピレン樹脂(A0)との組成物(A0/1;配
合物)を包含する総称である。
【0017】この種の改質プロピレン結晶性樹脂(A)は
改質結晶性プロピレン樹脂(A1)/非改質の結晶性ポリ
プロピレン樹脂(A0)(重量/重量)=0.5/99.5〜
100/0、好ましくは5/95〜80/20(両成分
の重量部の和を100重量部に選定する)で構成され
る。
【0018】ここで、本発明における非改質結晶性ポリ
プロピレン樹脂(A0)は例えば下掲の各種のものを包含
する: ◆プロピレン結晶性単独重合体又は結晶性プロピレン−
エチレン共重合体として、一層具体的には結晶性を有す
るアイソタクチックプロピレン単独重合体、 ◆エチレン単位を比較的に小割合で含有するプロピレン
−エチレン(ランダム→結晶性)共重合体からなる共重
合体部(コポリマーセグメント)又はプロピレン単独重合
体からなるホモ重合部(ホモセグメント)と比較的に高割
合でエチレン単位を含有するプロピレン−エチレン(ラ
ンダム→結晶性)共重合体からなる共重合部とから構成
されたプロピレン−エチレンブロック共重合体として市
販されているプロピレンとエチレンとのブロックとの結
晶性共重合体(略称「ブロック共重合体」)又は ◆上掲のブロック共重合体における各単独(ホモ)重合部
又は共重合部が更に、ブテン-1,2-メチル-1-ぺンテン等
のα-オレフィン(モノマー)を共重合させたものからな
る実質上結晶性のプロピレン-エチレン-α-オレフィン
の共重合体等が好ましく挙げられる。
【0019】本発明における改質ポリプロピレン結晶性
重合体(A1)を作成する為の改質剤に属する有機シラン
化合物(E1)としては、具体的にはアミノシラン、エポ
キシシラン、ビニルシラン及びメタクリロキシシランか
ら選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0020】本発明における改質ポリプロピレン結晶性
重合体(A1)を形成する不飽和カルボン酸類(E2/3)に属
する不飽和カルボン酸(E2)としては、具体的にはアク
リル酸、メタクリル酸[両者を包括して「(メタ)アクリ
ル酸類」と称することがある]、マレイン酸、イタコン
酸、テトラヒドロフタル酸及びノルボルネンジカルボン
酸等の1種以上、それらの酸無水物(E3)として無水マ
レイン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸
及び無水ノルボルネンジカルボン酸等から選ばれる1種
以上を挙げることができる。
【0021】上掲の不飽和カルボン酸類(E2/3)の中で
も、実用性能において最も優れているものは無水マレイ
ン酸(E3;マレイン酸無水物)であり、更にはこれらの不
飽和カルボン酸の別種誘導体を用いてもよい。
【0022】上記の本発明の連続繊維強化改質プロピレ
ン樹脂構造物における改質プロピレン結晶性樹脂(A1)
中にグラフト成分として含有される改質剤(E)の量は基
材(マトリックス)樹脂の重量に対して通常、0.01〜
1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%に選べば通
常の目的には十分である。また、上記の樹脂成分が改質
樹脂(A1)と非改質樹脂(A0)との組合わせ系(1/0;併用
系)である場合には、改質樹脂側にグラフト成分として
含有される改質剤(E)の量を前記組合わせ系において上
記の範囲内に収める様に設定することが好ましい。
【0023】本発明の連続繊維強化樹脂構造物を構成す
る有機過酸化物(F)は基材樹脂(A)との混合反応温度
(通常170〜250℃)の範囲内で適切な速度で分解
することが望ましい。この種の有機過酸化物(F)の具体
例としては、2,5-ジメチル-(t-ブチルパーオキシ)ヘキ
サン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベン
ゼン、ジクミルパーオキサイド又はベンゾイルパーオキ
サイド等を挙げることができる。
【0024】かかる有機過酸化物(F)の添加量は組成物
基準で通常0.01〜0.5重量%である。0.005重
量%以下では、添加効果が不明瞭であり、他方、1重量
%以上では、得られる減成樹脂(A1)のメルトフローレ
ート[MFR(230℃,21.2N)]が異常に上昇する場合を
生じ得る。その種の場合には、本発明の連続繊維強化樹
脂構造物がその特性を発現し難い事態を来す。
【0025】本発明の連続繊維強化樹脂構造物を構成す
る酸化防止剤(D)としては、フェノール系酸化防止剤(D
1)、チオ系酸化防止剤(D2)又はリン系酸化防止剤(D3)等
の各種酸化防止剤を挙げることができる。その他の酸化
防止剤(D4)であっても、ポリプロピレン樹脂(A)に通常
用いられる酸化防止剤(D)であれば特には除外されな
い。該酸化防止剤(D)は単独で又はそれらの2種以上の
組合わせで用いることができる。最も一般的な使用例と
しては、ヒンダード(立体障害)フェノール化合物の様な
酸化防止剤(D1)にジ高級アルキルチオジプロピオネート
の様なチオ系酸化防止剤(D2;場合によっては相乗作用
剤とも呼ばれる)を組合わせたものを挙げることができ
る。この種の酸化防止剤(D)は単独で用いるにせよ、2
種以上の組合わせで用いるにせよ、フェノール系酸化防
止剤(D1)を1種類以上含有することが熱安定性の点から
は好ましい。
【0026】上記のフェノール系酸化防止剤(D1)として
具体的には下記のものを挙げることができる:2,6-ジ-t
-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、n
-オクタデシル-β-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチル
フェニル)プロピオネート、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-
6-(4-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-
トリアジン、スチレン化フェノール、2,2'-メチレン-ビ
ス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデ
ン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N,N'-ビス
[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ
ニル]ヒドラジン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキ
シ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,
4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベ
ンゼン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジ
ル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t
-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,
1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニ
ル)ブタン、上記のチオ系酸化防止剤(D2)として、具体
的には下記のものを挙げることができる:ジラウリル-
3,3'-チオジプロピオン酸エステル(ジラウリルチオジプ
ロピオネート)、ジミリスチル-3,3'-チオジプロピオン
酸エステル、ジステアリル-3,3'-チオジプロピオン酸エ
ステル、ペンタエリスリト-ルテトラキス(β-ラウリル
チオプロピオネート)エステル、2-メルカプトベンズイ
ミダゾール、上掲のリン系酸化防止剤(D3)として、具体
的には下記のものを挙げることができる:ジフェニルイ
ソオクチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、
ジステアリルペンタエリスリト-ルジホスファイト、4,
4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-
トリデシルホスファイト)、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチ
ルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスフォナイト、ト
リラウリルトリチオホスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-
ヒドロキシベンジルホスフォン酸ジエチルエステル。
【0027】上掲の酸化防止剤(D)の配合量は通常0.
01〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。
該配合量が0.005重量%以下では熱安定性の改善が
所期の水準に到達せず、他方、8重量%以上に配合して
も、熱安定性改善の効果が飽和することから、寧ろ不経
済である。
【0028】本発明の連続繊維強化樹脂構造物を構成す
る硫化亜鉛(B11)又はリトポン(B12)の少なくとも何れか
である白色顔料(B)は化合物としては白色の金属塩であ
り、鉱物学的には閃亜鉛鉱又は繊維亜鉛鉱の構造であっ
て、合成樹脂に配合されれば、所期の高度の屈折率を付
与する。
【0029】<硫化亜鉛又はそれを含有する無機顔料>
硫化亜鉛(B11)の良好な色彩性及び被覆性は微粒状顔料
に調製することによって得られる。また、その製造は通
常は亜鉛塩溶液と硫化ナトリウム溶液との反応によって
行なわれる。即ち、これらの反応原料溶液を混合して生
ずる硫化亜鉛(B1)を沈殿させ、濾過及び乾燥後に650
℃程度に焼成することによって、光線の分散に最も適し
た平均粒径約0.3μmの微粉末が得られる。
【0030】別法として、上記の焼成物を水に溶解し
て、溶液から塩分と酸化亜鉛とを除去し、濃縮された硫
化亜鉛溶液を再度濾過、乾燥及び粉砕工程を経たものを
本発明に使用しても良い。
【0031】硫化亜鉛(B11)又はリトポン(B12)の少なく
とも何れかである白色顔料(B;「硫化亜鉛等」と称す
ることがある)は例えば、トリエタノールアミン等で表
面処理されていてもよい。この処理は合成樹脂中への分
散性を改善する為に有用である。
【0032】硫化亜鉛(B11)の配合量は本発明の連続繊
維強化樹脂構造物全体の量に対して0.01〜10重量
%、好ましくは0.02〜5重量%である。硫化亜鉛(B1
1)の配合量が0.005重量%以下である場合には、得
られる構造物の着色が不十分に終わる。他方、硫化亜鉛
(B11)の配合量が15重量%以上では成形品が重くなり
過ぎると共に、その機械的特性低下を来たす。しかも、
硫化亜鉛(B11)を15重量%以上に多量に添加しても、
調色上のメリットが伴わず、却って不経済的である。
【0033】本発明の連続繊維強化樹脂構造物を構成す
るリトポン(顔料)(B12;商品名)とは、硫化亜鉛と硫酸バ
リウムとの特定比の混合物からなる白色顔料である。リ
トポン(B12)を製造するには、硫酸バリウムに炭素を加
えて空気の不在下に約900℃に加熱して、硫酸根を還
元したものを水で抽出して硫化バリウム溶液をつくる。
一方、亜鉛を希硫酸に溶解して硫酸亜鉛溶液を調製す
る。硫化バリウム溶液中へ硫酸亜鉛溶液を加えて反応さ
せ、硫化亜鉛と硫酸バリウムとの反応生成物を沈殿さ
せ、この沈殿を濾過、水洗及び乾燥する。この乾燥物を
空気の不在下で800℃に加熱し、次に水で急冷し、次
に乾燥して目的のリトポン(B12;商品名)が得られる。
【0034】尤も、その原料及び製造条件に応じて、
「リトポン」と称されながらも、その組成は或程度変動
する。従って、実際に硫化亜鉛に対する使用比率を決定
する場合には、リトポン中の硫化亜鉛含有量を基準にす
ることが重要である。とはいえ、場合に応じてはリトポ
ン中に共存する硫酸バリウムの作用が効果に関連し得
る。この用途向けには、硫酸バリウムの含有量も問題で
ある。
【0035】このリトポン(B12)は例えば、トリエタノ
ールアミン等で表面処理されていても良い。この処理は
合成樹脂中への分散性を改善する為に有用である。リト
ポン(B12;商品名)の配合量は本発明の連続繊維強化樹脂
構造物の重量基準で通常0.01〜10重量%、好まし
くは0.02〜5重量%である。
【0036】リトポン(B12;商品名)の配合量が0.00
5重量%以下であると構造物の着色が不十分に留まる。
逆に、リトポン(B12;商品名)の配合量が15重量%以上
に達すると、得られる成形品が重くなり過ぎ、かつ機械
的特性低下を来す上に、15重量%以上に多量に添加し
ても調色上のメリットを伴わず、却って不経済的であ
る。
【0037】ここで、白色無機顔料(B)は硫化亜鉛とリ
トポン(商品名)との混合物であっても良く、その場合の
両者の比率は重量基準で前者/後者=通常99.9/0.
1〜0.1/99.9、好ましくは70/30〜30/7
0、更に好ましくは60/40〜40/60であれば殆
どの場合に所期の効果を達成し得る。なお、リトポン
(商品名)中の硫化亜鉛成分の含有量は各種の要因によっ
て左右される。従って、上記の比率は最も通常的に市販
されているリトポンに含有される硫化亜鉛の量の平均値
を基準にした場合の比率である。
【0038】上記の事実に対し、白色顔料(B)として硫
化亜鉛(B11)及びリトポン(B12;商品名)の少なくとも何
れかに代えて、酸化チタン(B13)、酸化亜鉛(B14)又は硫
酸バリウム(B15)を用いた場合には、得られる構造物の
耐熱性及び耐金属劣化性が所期の水準に達しない。それ
ばかりか、得られる成形品中の繊維強化材を長い儘に保
つことが難しいことから、成形品の機械的特性(強度、
剛性及び衝撃等)低下を来す点で望ましくない。
【0039】本発明の連続繊維強化樹脂構造物に白色以
外の調色を行なう場合には、硫化亜鉛(B11)又はリトポ
ン(B12)と有機顔料(B2)とを組合わせることもできる。
用いられる有機顔料(B2)はポリプロピレン樹脂の調色に
通常用いられる有機顔料であれば別段に除外されること
は無い。
【0040】<有機顔料>この種の有機顔料(B2)として
は例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、キナ
クリドンレッド、アントラキノンレッド、DPPレッ
ド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド、複素環イェロ
ー、ポリアゾイェロー、イソインドリノンイェロー、キ
ノフタロンイェロー、アドレーキイェロー、フタロシア
ニングリーン、フタロシアニンブルー、ポリアゾブラウ
ン等が挙げられる。
【0041】調色の為の有機顔料(B2)と硫化亜鉛(B11)
及びリトポン(B12;商品名)の少なくとも何れかとの配合
量は目的の色調によって異なる。即ち、[硫化亜鉛(B1
1)及びリトポン(B12)の少なくとも何れか]/[有機顔
料(B2)]の比率は前者/後者=通常0.1/99.9〜9
9.9/0.1。
【0042】有機顔料(B2)/[硫化亜鉛(B11)及びリト
ポン(B12;商品名)]の組合わせ比率が0.005重量%
以下であると、本発明の構造体に対する着色が不十分に
留まる。他方、前記の組合わせ比率が15重量%以上に
達すると、得られる成形品が重くなり過ぎ、かつその機
械的特性低下を来すことに加えて、15重量%以上の多
量に添加しても調色上のメリットを伴わず、却って不経
済的になる。
【0043】これらの硫化亜鉛(B11)又はリトポン(B12;
商品名)は単独で用いられても、2種以上の組み合わせ
でも用いられても良い。これに対して、白色以外の調色
を行なう場合であって、硫化亜鉛(B11)及びリトポン(B1
2;商品名)の少なくとも何れかと無機顔料(B1)とを組み
合わせることは一般に望ましくない。その理由は得られ
る成形品中の繊維強化材(C)を長い儘に保つことが難し
い結果、得られる成形品の機械的特性(強度、剛性及び
耐衝撃性等)が低下を来たすことにある。
【0044】<連続繊維強化材(C)>本発明の連続繊維
強化樹脂構造物を構成する連続繊維強化材(C)は通常、
その単繊維の平均直径3〜21μm、好ましくは9〜2
1μmであって、それらが500〜4000本程度の集
束体として提供さている。この本発明の構造物がペレッ
ト(柱状体)の形態である場合には、その中に含有される
連続繊維集束体である強化材(C)を構成する単繊維の平
均繊維長(ペレットの平均長と略同一)が3〜30mm、好
ましくは5〜25mmである。強化用連続繊維(C)の平均
繊維径が1μm以下であると、成形時に繊維の折損を生
じ易く、その結果として成形品の衝撃強度不足を来た
す。他方、強化用連続繊維(C)の平均繊維径が25μm
以上に達すると、成形品の外観不良と共に、成形品の機
械的強度不足を来たす。
【0045】上記の連続繊維集束体は当初には通常、ロ
ービングと称する形態で供給されている。更に、これら
の連続繊維集束体であるロービング等を2本以上を合糸
した形態で用いることもできる。
【0046】本発明の構造物中のガラス連続繊維(C11)
の配合量は構造物全体重量基準で通常10〜80重量
%、好ましくは20〜60重量%である。この配合量が
5重量%以下であると、得られる構造物の引張強度、曲
げ強度、剛性及び耐熱性等の諸物性に対する改良効果が
小幅に留まり、他方、85重量%以上では、成形性低下
と共に、一般に成形品の外観不良を来たす。
【0047】本発明にあっては、連続繊維強化材(C)は
それを含有する柱状体の長軸と略平行に整列すると共
に、その長さが柱状体の長さと略同一であることを要す
る。この種の連続繊維強化構造物は例えば、実際上無端
の形態で提供される繊維強化材(強化用繊維束;ロービ
ング等)を用いた後述の方法によって得られる。
【0048】<<無機繊維強化材>>上記の前提条件に適合
する無機繊維(C1)としては例えば、ガラス繊維、石英
繊維(C11)、岩綿(ロックウール)、炭素繊維及び金属繊
維等の人工無機繊維を挙げることができる。その中でも
ガラス繊維(C11)はその物性及び価格の両面から見て、
最も普及している繊維強化材である。その短所は比較的
に重質(比強度においては不利)で比較的に折損し易
く、アルカリに弱い点等である。これらの問題を初めか
ら寄せ付けず、特に比強度において最高に位置するもの
は炭素繊維(C12)である。価格よりも比強度を重視する
用途には比肩するものが殆ど見当らない。上記の無機繊
維は単独で用いられても、2種以上の組み合わせても良
い。
【0049】また、その表面にカップリング剤(例えば
シラン系、チタネート系、ボロン系、アルミネート系又
はジルコアルミネート等)の如き表面処理剤による処理
が施された前記の連続無機繊維強化材(C1)を用いても
良い。
【0050】これらの無機繊維補強材(C)の中でも通常
の用途において最も有用なガラス繊維を選んで本発明を
説明する。本発明の連続繊維強化改質プロピレン樹脂構
造物を構成する代表的な連続繊維強化材(C)として選ば
れたガラス繊維の材質は通常、珪酸ガラス(シリケート
ガラス)又は硼珪酸ガラス(ボロシリケートガラス)に属
する硬質ガラスであって、通称「Eガラス」で知られて
いるカリガラス又は「パイレックス」等の商品名で市販
されている耐熱ガラスを挙げることができる。
【0051】<有機繊維強化材(C2)>上記の前提条件
に適合する有機繊維(C2)としては例えば、機械的に優
れる全芳香族ポリアミド(例えば、商品名:アラミド)
繊維、半芳香族ポリアミド樹脂繊維であるナイロンMX
D6(m-キシリレンジアミンとアジピン酸との共重縮合
樹脂)繊維を挙げることができ、機械的に優れる全芳香
族ポリエステル繊維(商品名:ケプラー);半芳香族樹脂
であるPET(ポリエチエレンテレフタレート)繊維、P
BT(ポリ-1,4-ブチレンテレフタレート)繊維等を挙げ
ることができる。上掲の有機繊維強化材(C2)は1種で
用いられても、2種以上の組み合わせで用いられても良
い。
【0052】<その他の添加剤(H)>本発明の構造物に
あっては、基材樹脂である改質ポリプロピレン(A)に通
常添加される各種の添加剤、光安定剤(紫外線安定剤;耐
候安定剤)、透明化剤、造核剤(核剤)、滑剤、帯電防止
剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、無滴剤、金属石鹸
等の分散剤又は中和剤、無機充填剤(例えば、タルク、
マイカ、クレー、ウォラストナイト、ゼオライト、アス
ベスト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、チタン酸カリウムなど)又はカップリング剤(例え
ばシラン系、チタネート系、ボロン系、アルミネート
系、ジルコアルミネート等)の様な表面処理剤で表面処
理された前記無機充填剤または有機充填剤(例えば、木
粉、パルプ又は故紙等)を本発明の目的を損なわない範
囲内で併用することができる。
【0053】<図面に基づく説明>本発明の構造物を作
製する為の開繊含浸装置(溶融引抜き装置)の1態様を添
付の図面に基づいて具体的に説明する。以下に、単一方
向へ整列された連続繊維で強化された連続繊維強化樹脂
構造物を製造する為の開繊含浸装置(「上記の装置」と
略称することがある)について図面を引用しながら具体
的に説明する。
【0054】図1で総称されるものは上記開繊含浸装置
(1)の模式的断面図であって、図1の(A)はこの装置
(1)をその縦方向(成形方向)へ伸びる鉛直平面で切断
した模式的縦断面図である。上記の装置(1)の略中段を
略水平方向へ左から右(本明細書において「上下左右、
手前、奥」等は説明の便宜上の表現である)へ貫く上段
の強化用の連続繊維集束体(21u)を挟んでその上方及
び下方に最少限2本の通称「(上段)開繊ピン」(4u)と
「(下段)開繊ピン」(4d)とが一対として所定の定義距
離(Hu)を隔てて連続繊維(集束体)(2)の進行方向に
対して略垂直な平面内に設けられている。ここで、連続
繊維集束体には「2」の符号が付与されているが、その
意図は図示されていないものの、図面の奥に「連続繊維
集束体(22)」、場合によっては更に奥に「連続繊維集
束体(23)」等が存在する場合を包括することにある。
【0055】他方、上記の装置(1)の下段側に導入され
る連続繊維(集束体)(2d)を挟んでその上方及び下方
に最少限2本の通称「(下段)開繊ピン」(4d)と「(下
段)開繊ピン」(4d)とが一対として所定の定義距離(H
d)を隔てて、連続繊維(集束体を包含)(22)の進行方
向に対して略垂直な平面内に設けられている。
【0056】上記の装置に装着された開繊ピン(4)は略
円筒状(中空)又は円柱状(中実)の管状体又は棒状体
(「棒状体」で包括する)であって、その母線は通常は
略直線であると共に、その直径は棒状体の略全長に亘る
平均値で例えば約5〜50mmで足り、その長さは上記の
装置の横方向における内法と原則的には同一で良く、例
えば約200〜300mmである。尤も、開繊ピン(4)の
長さはロービングの並列本数(水平方向に同時に導入さ
れる本数)によっても左右される。
【0057】更に、相互に対を形成する上段側開繊ピン
例えば開繊ピン(4u)と下段側開繊ピン例えば下段開繊
ピン(4d)とは何れも連続繊維(2)の進行に同伴回転し
ない様に通常は固定されている。両開繊ピン(4ud)がそ
れぞれ少なくとも下流側へ向けては回転しないことはそ
れらの上流側に溶融樹脂流の渦を生じさせる為には有用
と見られる。
【0058】とはいえ、開繊ピン対(4ud)がその上流側
に渦を一層激しく生じさせることを要する場合に開繊ピ
ン対(4ud)に連続繊維(集束体)(2)の進行ベクトルに対
して逆方向のベクトルを生ずるに十分な角速度で回転さ
せる態様もまた包含される。
【0059】上記の装置(1)においては図1の左側境壁
(1wL)に設けられた連続繊維集束体導入孔(3)から連続
繊維集束体(2)が下流側(図面で「右横」)へ進入し、相
互に対を形成する上下2本の開繊ピン例えば(4ud)で挟
まれた通路を両開繊ピン(4ud)の何れにも接触せずに通
過しながら開繊されると共に開繊によって分離された多
数本の連続繊維(2F)の間に溶融樹脂による含浸が行な
われる。
【0060】上記の装置(1)内に導入される上下2段以
上の連続繊維(2)のそれぞれの開繊物の間に樹脂が含浸
される結果、本発明の目的である連続繊維強化樹脂構造
体即ち、樹脂相内で連続繊維が平均的に同一方向へ整列
した構造体が得られる。この構造物が棒状体である場合
には「連続繊維補強樹脂ロッド」と称されることがあ
る。
【0061】得られた連続繊維補強樹脂構造物(7)は上
記の装置(1)の下流端壁(1wR)に穿たれた賦形ノズル
(6)から装置外へ引出され、引取り装置(不図示)に引取
られる。ここで、連続繊維補強樹脂構造物には「7」の
符号及び賦形ノズルには「6」の符号がそれぞれ付与さ
れているが、その意図は図示されてはいないものの、図
面の奥に「連続繊維補強樹脂構造物(72)」、場合によ
っては更に奥に「連続繊維補強樹脂構造物(73)」等が
存在する場合及び「賦形ノズル(62)」、場合によって
は更に奥に「連続繊維補強樹脂構造物(63)」等が存在
する場合を包括することにある。
【0062】<開繊含浸装置の変形態様>上記の開繊含
浸装置(1)が重層開繊含浸装置(「上記の重層装置」と
略称することがある)(11)である場合に、重層装置(1
1)内に装着されている開繊ピン(4)は上段開繊ピン(4
u)と中段開繊ピン(4m)との2本で又は中段開繊ピン(4
m)と下段開繊ピン(4d)との2本でそれぞれ一対を形成
し、連続繊維集束体(2)の上流側から下流側へ向かって
2対以上の開繊ピン対が系列的に設置されてもよい。実
用的には3対以上の開繊ピン対が装着されることが好ま
しい。
【0063】上記何れの場合においても、何れかの開繊
ピン対例えば開繊ピン対(4u1と4d1)における上段側
開繊ピン(4u1)と下段側開繊ピン(4d1)との間の定義
間隔(H1)がその下流側に位置する他の対例えば開繊ピ
ン対(4u2と4d2)における定義距離(H2)とは異なる
値であってもよい。尤も、下掲の式(1)で表わされる単
繊維平均直径(D)と定義距離(H)との関係を充足するこ
とは当然である。
【0064】10D≦H≦500D・・・(1) [ここで、D:単繊維の平均直径;H:定義距離]開繊
ピン対(4uと4m)が2対以上系列的に設置される場合の
隣接する各対例えば開繊ピン対(4u1と4d1)と開繊ピ
ン対(4u2と4d2)間の最小距離(S12)は下流側に位置
する開繊ピン対(4u2と4d2)の上流側に生ずる渦流の
外郭がその上流側に位置する開繊ピン対(4u1と4d1)
によって実質的には乱されない距離に設定することが重
要である。この距離は直径10mmの開繊ピンの場合を例
にとれば、通常は15mm以上、好ましくは25mm以上に
設定されれば足りる。勿論、開繊ピンとして大径のもの
が用いられる場合には、それに応じて変更され得る。
【0065】上記の開繊含浸装置(1)内に装着される2
対以上の開繊ピン対例えば開繊ピン対(4u1と4d1)と
の中で連続繊維(集束体)(2)を境界としてそれよりも上
段側開繊ピン例えば(4u)の位置が下段側開繊ピン例え
ば(4d)に対して上流側又は下流側へ或範囲内で偏寄し
ていても良い。許容される偏寄の範囲は何れかの対の上
段側開繊ピン(4u)の中心とそれに対応する下段側開繊
ピン(4d)の中心とを結ぶ直線と、連続繊維(集束体)
(2)面に立てられた法線(VL)との交差角(交角;α)が
−45°≦α≦45°、好ましくは−35°≦α≦35
°の範囲である。上記の開繊含浸装置(1)を構成する開
繊ピン(4)は場合によっては上下方向に多段で導入され
る連続繊維集束体(2)に同伴される樹脂流を堰き止めて
渦流を生じさせる機能を果たす為の諸元及び性状を備え
ていることが好ましい。その性状としては例えば、開繊
ピン(4)表面の形状又は平滑度等を挙げることができ
る。
【0066】即ち、開繊ピン(4)の長軸に垂直な断面は
通常は円形である。しかし、この断面形状は円形に限ら
ず、その頂点部が切除されて丸められた所謂「角丸形
状」の凸多角形状であっても差支え無い。尤も、凸多角
形の中でも五角形、六角形又は八角形の様な比較的頂点
を多数に備えた文字通りの多角形であってしかも「樹脂
流を可能な限り広い面積で堰き止められる」多角形であ
ることが有用である。
【0067】とはいえ、三角形又は四角形等であっても
樹脂流を堰き止めて上流側へ回る渦流を生じさせる断面
形状である限りは依然として本発明の開繊ピン(4)とし
て使用可能である。
【0068】開繊ピン(4)の表面は別段に平滑に仕上げ
られていることを要せず、棒材から旋盤等で削り出した
儘の表面平滑度であっても殆どの場合には十分に使用に
耐える。なお、開繊ピン(4)として断面形状が三角形の
ものを採用する場合には、棒材からの削り出し体に代え
てアングル材をその稜線が頂縁となる位置関係(屋根
型)に設置してもよい。
【0069】
【発明の効果】
(1)本発明の連続繊維強化樹脂構造物は金属不活性化剤
を含有しないに拘わらず、着色された場合においても、
依然として耐熱性、耐金属劣化性及び機械的特性特に、
曲げ強度に優れている。 (2)本発明の連続繊維強化改質ポリプロピレン樹脂構造
物を用いれば、上記の各種の長所を備えた各種の成形品
例えば、偏向ヨーク、ヘッドランプハウジング及び電化
製品用ソケット(蛍光灯用ソケット)等の様な常時高温
に曝される物品に加えて、自動車等の車輪用のホイール
オーナメントリング(通称「ホイールキャップ」)等とし
て、色彩、その酸化安定性及び機械的特性等に優れた各
種物品又は部材等を作製することができる。
【0070】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて、場合によ
っては有用な比較例を参照して具体的に説明する。しか
し、本発明はそれらによっては全く限定されない。
【0071】更に、本明細書における実験例の結果測
定、測定結果の評価基準等を次に説明する: <試験方法> (1)熱安定性試験(オーブンライフ試験) 試験片(長さ50mm×幅25mm×厚み1mm)を循環熱風
オーブン(温度150℃に調節されている)に収容し、
その試験片が完全に劣化するまでの処理時間を測定(JI
S K 7212に準処)した。 (2)耐金属劣化性試験 試験片(長さ50mm×幅25mm×厚さ1mm)を銅板(長
さ25mm×厚さ0.3mm)と接触させてクリップで固定
し、それを循環熱風オーブン(温度150℃に調節)に
収容し、試験片の銅板に接触した部分が完全に劣化する
までに要した時間(肉眼観察によって、劣化が試験片の
裏側へ貫通するまでの所要時間)を測定(JIS K 7212に
準処)した。 (3)曲げ強度 JIS K7203 に準処して測定した。 (4)実施例及び比較例で用いられた樹脂、改質剤、酸化
防止剤、有機過酸化物、金属不活性化剤、白色系無機顔
料及び有機系顔料を下記に示す: ●プロピレン結晶性樹脂(A) A0:非改質ポリプロピレン樹脂 A1:改質ポリプロピレン樹脂 ●酸化防止剤(D) D1:フェノール系酸化防止剤 Tris(3,5-di-t-butyl-4-hydroxybenzyl)isocyanurate
[商標名:Irganox 3114(日本チバガイギー社製)]; D2:リン系酸化防止剤 Tris(2,4-di-t-butylphenyl)-phosphite[商標名:Irgaf
os 168(日本チバガイギー社製)]; D3:硫黄系酸化防止剤 di-stearlyl-3-3'-thiodipropionate[商標名:Irganox
PS-802(日本チバガイギー社製)]; ●有機過酸化物(F) F:1,3-Bis(t-butyl-peroxyisopropyl)benzene[商標
名:パーカドックス14(化薬アクゾ社製)]; ●金属不活性化剤(G) G:N,N'-Bis[2(3(3,5-di-t-butyl-4-hydroxy-phenyl)p
ropionyloxy)ethyl]oxamido[商標名:Naugard XL-1(白
石カルシウム社製)]; ●白色無機系顔料(B1) B11:硫化亜鉛; B12:リトポン(商品名;硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混
合物); B13:酸化チタン; B14:酸化亜鉛; B15:硫酸バリウム; ●有機顔料(B2) B21:フタロシアニンブルー; B22:複素環イエロー; B23:キナクリドンレッド; B24:カーボンブラック; ●連続繊維強化材(C) C1:ガラス連続繊維強化材。
【0072】
【実施例1】樹脂混合物として、非改質ポリプロピレン
(A0)[MFR(230℃;2.16kgf)2.0g/10min;融点16
0℃,プロピレン結晶性単独重合体]粉体97.95重量
%、不飽和酸類改質剤(E)として無水マレイン酸(E3)
0.5重量%、有機過酸化物(F)として(F1)0.2重量
%、酸化防止剤として(D1)0.25重量%、(D2)0.20
重量%及び(D3)0.40重量%並びに着色剤(B1)として
(B11)1.0重量%からなる混合物を調製し、この混合物
をヘンシェルミキサー(商品名)中で撹拌混合した。
【0073】得られた樹脂混合物を押出機の供給口から
供給して溶融混練(200℃)後に押出して、得られた
ストランドを所定長に細断してペレットを造粒した。得
られた改質ポリプロピレン(A1)はMFR(230℃;21.2N)
220g/10min、無水マレイン酸グラフト率0.3%のも
のであった。
【0074】図1に示された開繊含浸装置(1)を用い、
ガラス繊維ロービング(2)[平均単繊維径17μm;テッ
クス番手2310g/km;集束本数約4000本]1本を開
繊含浸装置(1)のスリット状の繊維供給口(3)から供給
することによってこの装置(1)を通過させると共に、連
続的に下流側から引取った。他方、この装置(1)内へ押
出機(不図示)から樹脂供給口(5)経由で上記に示され
た改質ポリプロピレンの溶融物を供給すると共に開繊さ
れた連続繊維の間に溶融樹脂を十分に含浸させた。
【0075】開繊含浸装置(1)内に装着された2本で一
対の開繊ピン(41uと41d)、(42uと42d)及び
(43uと43d)の3対における各対の上段開繊ピン(4
u)と下段開繊ピン(4d)の間のそれぞれの定義距離(クリ
アランス;H41、H42、H43)を共に1mmに設定し
た。開繊含浸装置(1)内の温度を任意に調整し、開繊さ
れたガラス連続繊維で単一方向に強化された樹脂構造物
をストランドの形態として引取り速度30m/minで下流
側へ引取った。
【0076】開繊含浸装置(1)内へ導入されたガラス繊
維のロービング(2)は装置(1)の出口に設けられた賦形
ノズル(6;内径2.6mm)を通過して断面略円形に賦形
された連続ガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂ストラン
ド(7)として引取られた。得られたストランド(7)を冷
却した後に10mm長に切断して強化ペレット構造物を製
造した。
【0077】得られた強化ペレット構造物を射出成形に
供して試験片を製作し、これを状態調整した(23℃;
48h)後に、各測定を行なった。上記の各成分の配合
量を表1に示すと共に、得られた構造物の物性値を表2
に示す。
【0078】
【実施例2〜13及び比較例1〜12】実施例1におけ
る樹脂混合物の組成を各実施例においては表1の通り
に、各比較例においては表2の通りに変更した。なお、
無水マレイン酸(E3)及び酸化防止剤として(D2)又は(D3)
の配合量は実施例1におけると同一に設定した。各成分
の配合量を各実施例における場合には表1に示すと共
に、各比較例の場合には表3に示す。また、得られた構
造物の物性値を各実施例における場合には表2に示し、
各比較例における場合には表4に示す。
【0079】[比較例の所見]表3及び4に示された各
比較例から下掲の様な所見が導出された:比較例1にお
ける結果はこの処方の構造物が耐金属劣化性に不足する
ことを示す。その原因は金属不活性化剤(G)及び硫化亜
鉛(B11)又はリトポン(B12;商品名)の不在(不添加)に求
められる。
【0080】比較例2における結果はこの処方の構造物
が耐金属劣化性に稍不足することを示す。その原因は有
機過酸化物(F)の存在での金属不活性化剤(G)の効果が
硫化亜鉛(B11)に及ばないことに求められる。
【0081】比較例3における結果はこの処方の構造物
が耐熱性、耐金属劣化性及び機械特性の何れにもに劣る
ことを示す。この原因は酸化チタン(B13)共存の影響に
求められる。
【0082】比較例4における結果はこの処方の構造物
が耐金属性劣化性及び機械特性に劣ることを示す。その
原因は酸化チタン(B13)の存在によって、添加された金
属不活性化剤(G)が所期の結果を発現する作用が阻害さ
れたことに求められる。
【0083】比較例5においては、結果が得られなかっ
た。その理由は成形材料の溶融粘度過大に起因する引抜
き成形不能に求められる。比較例6及び7における結果
は共に、これらの構造物が何れも耐金属性劣化性(金属
劣化防止性)に不足することを示す。その理由は白色系
無機顔料(B1)である硫化亜鉛(B11)又はリトポン(B12;商
品名)に共存すべき金属不活性化剤の欠如に求められ
る。
【0084】比較例8〜11における結果はこれらの処
方の各構造物が何れも耐金属劣化性に劣ることを示す。
その理由は有機系顔料(B2)に共存すべき硫化亜鉛(B11)
又はリトポン(B12;商品名)の欠如に求められる。
【0085】比較例12の結果はこの構造物が耐熱性、
耐金属劣化性及び機械特性の何れにも劣ることを示す。
その原因は白色無機系顔料(B1)には属するものの所期の
効果発現には有害な酸化チタン(B13)共存の影響に求め
られる。
【0086】
【実施例14】実施例1において得られた連続繊維強化
構造物の細断によるペレットを射出成形機に導入し、樹
脂温度250℃で、金型温度50℃で、偏向ヨークを成
形した。成形品(偏向ヨーク)を銅板と接触させて固定
治具で固定し、それを循環熱風オーブン(温度150℃
に調節)に収容し、成形品の銅板接触部が完全に劣化す
るまでに要した時間を測定したところ、60日以上の結
果を得ることができ、要求スペックを軽くクリアするこ
とができた。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続繊維補強ポリプロピレン樹脂構造
物を作製する為に有用な開繊含浸装置の1態様である開
繊含浸装置の模式的縦断面図である。
【符号の説明】 1 連続繊維補強ポリプロピレン樹脂構造物を作製す
る為の開繊含浸装置 2 開繊含浸装置へ導入される連続繊維集束体(総称) 3 開繊含浸装置への連続繊維集束体導入口(総称) 4 開繊含浸装置内に装着された開繊ピン(総称) 5 開繊含浸装置へ溶融樹脂を導入する為の開口 6 開繊含浸装置から補強ストランドを引き出すため
の賦形ノズル(総称) 7 引き出された補強ストランド(総称) 41u 開繊含浸装置内で上流端に位置する上段開繊
ピン 41d 開繊含浸装置内で上流端に位置する下段開繊
ピン 42u 開繊含浸装置内で中流に位置する上段開繊ピ
ン 42d 開繊含浸装置内で中流に位置する下段開繊ピ
ン 43u 開繊含浸装置内で下流端に位置する上段開繊
ピン 43d 開繊含浸装置内で下流端に位置する下段開繊
ピン H41 上流端に位置する上段開繊ピンと下段開繊ピン
との間の定義距離(クリアランス) H42 中流に位置する上段開繊ピンと下段開繊ピンと
の間の定義距離(クリアランス) H43 下流端に位置する上段開繊ピンと下段開繊ピン
との間の定義距離(クリアランス)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23/12 C08L 23/12 23/26 23/26 // B29K 105:08 309:08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 改質剤(E)として有機シラン化合物又は
    不飽和カルボン酸類0.01〜5重量%と有機過酸化物
    (F)0.01〜0.5重量%とで改質された改質ポリプロ
    ピレン樹脂(A)と、硫化亜鉛又はリトポンの少なくとも
    何れかの白色顔料(B)0.01〜10重量%及び平均直
    径3〜21μmの連続繊維強化材(C)10〜80重量%
    とを含み、かつ連続繊維強化材(C)がその長さ方向に略
    同一の長さであると共に平均的に平行に整列されている
    連続繊維強化樹脂構造物。
  2. 【請求項2】 改質剤(E)として有機シラン化合物又は
    不飽和カルボン酸類0.01〜5重量%と有機過酸化物
    (F)0.01〜0.5重量%とで改質された改質ポリプロ
    ピレン樹脂(A)と、酸化防止剤(D)0.01〜5重量
    %、硫化亜鉛又はリトポンの少なくとも何れかである白
    色無機顔料(B)0.01〜10重量%及び平均直径3〜
    21μmの連続繊維強化材(C)10〜80重量%とを含
    み、かつ連続繊維強化材(C)がその長さ方向に略同一の
    長さであると共に平均的に平行に整列されている請求項
    1に記載の連続繊維強化樹脂構造物。
  3. 【請求項3】 白色無機顔料(B)が硫化亜鉛とリトポン
    との混合物であって両者の比率が重量基準で前者/後者
    =99.9/0.1〜0.1/99.9である請求項1又は
    2に記載の連続繊維強化樹脂構造物。
  4. 【請求項4】 改質剤(E)である不飽和カルボン酸類が
    マレイン酸又はマレイン酸無水物である請求項1〜3の
    何れかに記載の連続繊維強化樹脂構造物。
  5. 【請求項5】 連続繊維強化材(C)がガラス繊維強化材
    である請求項1〜4の何れかに記載の連続繊維強化樹脂
    構造物。
  6. 【請求項6】 連続繊維強化樹脂構造物として請求項1
    〜5の何れかに記載の該構造物を用いて得られた成形
    品。
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JP2008522017A (ja) * 2004-12-03 2008-06-26 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 木部繊維プラスチック複合材料
JP2011089076A (ja) * 2009-10-26 2011-05-06 Toyobo Co Ltd プリプレグ用酸変性ポリプロピレン樹脂及び樹脂組成物

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