JPH10316468A - 誘電体磁器組成物、誘電体磁器材料およびその製造方法ならびに誘電体素子およびその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物、誘電体磁器材料およびその製造方法ならびに誘電体素子およびその製造方法

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JPH10316468A
JPH10316468A JP9139404A JP13940497A JPH10316468A JP H10316468 A JPH10316468 A JP H10316468A JP 9139404 A JP9139404 A JP 9139404A JP 13940497 A JP13940497 A JP 13940497A JP H10316468 A JPH10316468 A JP H10316468A
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dielectric
silver
oxide
dielectric ceramic
calcined
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JP9139404A
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Tatsuji Sano
達二 佐野
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銀との同時焼結が可能で、誘電率が高く、焼
成後に内部の銀電極との間に隙間を生じることがなく、
しかも低コストで、生産効率の高い誘電体磁器組成物、
誘電体磁器材料およびその製造方法を実現する。 【解決手段】 主成分に鉛および/またはタングステン
含有酸化物を有する誘電体磁気組成物に、副成分として
銀を含有する溶液を添加し、950℃以下の温度で焼結
する製造方法を用い、銀の内部導体と同時焼成して誘電
体素子を得ることとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、誘電体磁器組成
物、特に周波数が数百M〜数十GHzのいわゆるマイクロ
波、ミリ波領域において使用される共振器等を構成する
誘電体磁器組成物、誘電体磁器材料およびその製造方法
ならびに誘電体素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車電話や携帯電話、あるいは
衛星通信といった移動体通信機器の需要の増大と、それ
に伴う高機能化、高性能化により、移動体通信機器等に
使用されるマイクロ波デバイスの小型化等への要求が高
まりつつある。ここで、マイクロ波デバイスとはマイク
ロ波およびミリ波領域において使用され、共振器等を構
成する誘電体磁器材料を用いた誘電体素子をいう。
【0003】このような、マイクロ波デバイスを小型化
するためには、誘電率を高くすることが有効である。マ
イクロ波デバイス用の誘電体基板としては、高誘電率で
比較的低温で焼成できる、鉛を含むペロブスカイト構造
の誘電体セラミックが広く用いられている。また、導体
としては、空気中で焼成可能な金属の中では、比抵抗が
小さい銀が好ましい。しかし、銀を主成分とする導体と
同時焼成するためには、銀の融点である960℃より低
い温度で誘電体を焼結させる必要がある。また、銀にパ
ラジウムを含有させた合金として、融点の高い導体とす
ることも可能であるが、比抵抗が大きくなり、また、高
価になってしまう。
【0004】960℃より低い温度で焼成可能な誘電体
と銀導体とを一体として焼成する場合、誘電体に必要な
誘電率を得るための焼成温度と焼成時間の条件によって
は、銀導体の端部と誘電体との間に隙間が生じてしまう
ことがある。このような隙間が誘電体素子で生じた場
合、例えばチップコンデンサーでは、コンデンサーの容
量が変化してしまい、不良となることがある。また、高
周波帯で使用される共振器やフィルター等に隙間が生じ
た場合、誘電体、すなわち高周波の媒体の実効誘電率が
低くなってしまい、不良となることがある。さらに、こ
れらの誘電体素子は、表面実装技術により基板上に装着
されるが、基板装着に際し、良好なハンダ濡れ性とハン
ダ食われの少ない引き出し電極を有することが必要とさ
れ、実装時の電極のハンダ食われを防止するにはNiメ
ッキが、ハンダ濡れ性を改善するにはSn,Pb等のメ
ッキが施される。従って、前記の隙間が存在する場合、
Niメッキ、Sn,Pb等のメッキ処理工程で素子中に
メッキ液が進入し、ポッピングや腐食等による製品不良
や素子の性能劣化が生ずることがある。
【0005】さらに、銀導体と誘電体とを焼成によって
一体化するときに、誘電体素子にデラミネーション(剥
離)やクラックが生じることがある。デラミネーション
やクラックは、本質的には焼成工程での誘電体と導体と
の間の収縮率や、熱膨張率の差と、素材の強度の問題と
考えられる。これを解決する方法として、導体に焼結抑
制剤をあらかじめ添加しておき、導体の焼結挙動を制御
し、導体と誘電体との焼結マッチングをとることが一般
的な手法として知られており、誘電体の組成によっては
有効である。しかし、この誘電体および導体の組成によ
っても前記の隙間を防止することは困難である。
【0006】一方、特開平6−283024号公報に
は、(Pb1-X CaX 1+y {(Fe1/2 Nb1/2
1-2 (Fe2/3 1/3 Z }O3+y と表したとき、x、
zおよびyが、 0.43<x≦0.63, 0.0<z≦0.5, 0.0≦y≦0.20 の範囲にある誘電体磁器組成物が開示されている。しか
しながら、このものは誘電率が90以上と高いものの、
焼結温度も1000〜1200℃程度と高く、銀との同
時焼成は不可能である。従って、空気中で焼成可能で、
低損失の銀導体が誘電体中に埋設された構造のデバイス
を作製することができない。
【0007】特開平7−147111号公報には、P
b、Ca、W、FeおよびNbを酸化物の形で含有し、 (Pb1-Z CaZ )(Ws Fet Nbu )O3 と表したとき、 s+t+u=1、 0.3≦z≦0.9、 0.01≦s≦0.2、 0.5≦t≦0.6、 0.2≦u≦0.49 の範囲の組成物を主相として含有する誘電体磁器材料が
記載されている。この誘電体磁器材料は誘電率が90以
上と高く、焼結温度は、銀の融点以下である。しかし、
十分な誘電率を得るための焼成温度と時間の条件では、
導体と誘電体との間に隙間が生じてしまうという問題が
あった。また、近年マイクロ波帯通信機器への小型化の
要請がさらに高まる傾向にあり、マイクロ波デバイスに
おいても更なる小型化の要請に応じるべく、誘電率を向
上させる必要がある。
【0008】特開平4−313208号公報には、鉛含
有ペロブスカイト系化合物を主体とする誘電体と、銀を
主体とする内部電極とを、銀を含有する雰囲気中で同時
に焼成することで、端部の隙間を改善する方法が記載さ
れている。しかしながら、この公報には端部の隙間が改
善された理由についての記載は見られない。また、実施
例では、グリーンチップと共に銀の共材が焼成時に使用
され、この共材の重量が焼成後に5%も減少していたと
記載されている。銀は、大気中で高温にさらされても酸
化しない貴金属中では安価であるが、単価は基本的には
高く、このような使用方法はコスト的に問題があり、現
実的でない。また、鉛含有ペロブスカイト化合物を焼成
する場合、密閉した雰囲気が必要であるが、銀の共材の
存在により、スペースが減少し生産効率が低下する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、銀
との同時焼結が可能で、誘電率が高く、焼成後に内部の
銀電極との間に隙間を生じることがなく、しかも低コス
トで、生産効率の高い誘電体磁器組成物、誘電体磁器材
料およびその製造方法ならびに誘電体素子およびその製
造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、950℃以下で焼成
可能で、銀導体を同時焼成したときに、銀導体の端部に
隙間が生じるような誘電体磁器組成物であっても、その
隙間を実質的に生じなくさせる手段を見いだし本発明に
至った。すなわち、本発明者は銀導体端部に隙間の生じ
る原因は、導体を形成する銀が原子やコロイド、あるい
はイオンの状態で、誘電体磁器材料中に拡散するためで
あることを見いだした。
【0011】誘電体磁器材料中には銀が拡散しやすいも
のがあり、例えば、軟化点の低いガラス(ガラスセラミ
ック)や、鉛、タングステン等の酸化物等がこれに相当
する。軟化点の低いガラスに対する銀の拡散は、ガラス
中でのコロイド形成の問題として良く知られている。タ
ングステンの酸化物が酸素の存在下で昇温されるとき、
金属銀との間で約605℃付近に融点を持つタングステ
ン酸銀(AgWO4)を生じることは、古くから知られ
ている。また、J.M ater.Res.,Vol.10,No.11(1995) p29
33 には、酸化鉛が金属銀との間に共融点を持ち、82
5℃以上の温度で酸化鉛と金属銀とからなる液相が存在
することが報告されている。このような反応を示す酸化
物と、金属銀の塊が接触(接着)している状態で高温下
に置かれると、金属銀と酸化物との界面から銀が粒子や
イオンの形で酸化物中に拡散して行き、母体の銀が減少
し、いわゆる銀やせ現象を生じることになる。そして、
前記銀導体の端部に隙間が生じる原因もこのような現象
によることが判明した。
【0012】従って、誘電体磁器組成物中に予め銀を添
加しておき、銀導体から銀を拡散し難くさせることによ
り、端部に隙間が生じる現象を防止することができる。
【0013】さらに、上記のように酸化鉛や酸化タング
ステンは、銀との間で液相を形成するため、鉛系酸化物
からなる誘電体磁器組成物に銀を添加すると、より低温
で焼成することが可能となる。低温で焼結することによ
り、より緻密な焼結体を形成し易くなり、誘電率を向上
させることが可能となる。
【0014】すなわち、上記目的は以下の構成により達
成される。 (1) 主成分が、Pb,Ca,R,(R=WまたはT
i),FeおよびNbの複合酸化物であって、この複合
酸化物はその組成を、 (PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz 、 で表したとき、x,y,s,tおよびuが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, であり、副成分として銀をAg換算で0.005〜1wt
%含有し、焼結温度が950℃以下である誘電体磁器組
成物。 (2) 前記複合酸化物はR=Tiであって、その組成
が、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.5, 0<s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, である上記(1)の誘電体磁器組成物。 (3) 前記複合酸化物はR=Wであって、その組成
が、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0<s≦0.2, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, である上記(1)の誘電体磁器組成物。 (4) さらに焼結助剤および/またはマンガン酸化物
を含有する上記(1)〜(3)のいずれかの誘電体磁器
組成物。 (5) 前記焼結助剤として、ゲルマン酸鉛が0.1〜
10wt%添加された上記(4)の誘電体磁器組成物。 (6) 前記ゲルマン酸鉛は、Pb5 Ge3 11を含有
する上記(5)の誘電体磁器組成物。 (7) マンガン酸化物を、Mn換算で0.5wt%以
下含有する上記(4)〜(6)のいずれかの誘電体磁器
組成物。 (8) 上記(1)〜(7)の誘電体磁器組成物を95
0℃以下で焼成した誘電体磁器材料。 (9) 銀を含有する内部導体との隙間が3μm 未満で
ある上記(8)の誘電体磁器材料。 (10)主成分に鉛および/またはタングステン含有酸
化物を有する誘電体磁気組成物に、副成分として銀を含
有する溶液を添加し、950℃以下の温度で焼結する誘
電体磁器材料の製造方法。 (11) Pbと、Ti、またはFeおよびWとの酸化
物または焼結により酸化物となる化合物を所定量混合
し、仮焼して第1仮焼物を得、Pb,Ca,Feおよび
Nbの酸化物または焼結により酸化物となる化合物を所
定量混合し、仮焼して第2仮焼物を得、前記第1仮焼物
と第2仮焼物とをその最終組成が、 (PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz
(R=WまたはTi)、 で表したとき、x,y,s,tおよびuが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2 の範囲にあるように混合・粉砕し、仮焼して第3仮焼物
を得、これに副成分として銀含有する溶液を添加した後
さらに混合して、誘電体磁器組成物とし、これを成形
し、焼結する上記(10)の誘電体磁器材料の製造方
法。 (12)Pb,Ca,Fe,およびNbの酸化物または
焼結により酸化物となる化合物を所定量混合し、仮焼し
て第2仮焼物を得、この第2仮焼物と、Pbと、Ti、
またはFeおよびWの酸化物または焼結により酸化物と
なる化合物とを所定量混合し、その最終組成が、 (PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz
(R=WまたはTi)、 で表したとき、x,y,s,tおよびuが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2 の範囲にあるように混合・粉砕し、仮焼して前記第3仮
焼物を得、これに副成分として銀を含有する溶液を添加
した後さらに混合して、誘電体磁器組成物とし、これを
成形し、焼結する上記(10)の誘電体磁器材料の製造
方法。 (13)前記第3仮焼物に、他の副成分として焼結助剤
および/または酸化マンガンまたは焼成により酸化マン
ガンとなる化合物を添加して誘電体磁器物とする上記
(11)または(12)の誘電体磁器材料の製造方法。 (14)前記銀を含有する溶液は、銀塩または銀化合物
を、Ag換算で0.005〜1wt%含有するように添加
する上記(10)〜(13)のいずれかの誘電体磁器材
料の製造方法。 (15)前記銀化合物の溶液は硝酸銀溶液である上記
(14)の誘電体磁器材料の製造方法。 (16)上記(8)または(9)の誘電体誘電体磁器材
料中に、銀導体パターンを内蔵する誘電体素子。 (17)上記(1)〜(7)のいずれかの誘電体磁器組
成物と銀とを同時焼成して上記(16)の誘電体素子を
得る誘電体素子の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。本発明の誘電体磁器材料の製造方法
は、主成分に鉛および/またはタングステン含有酸化物
を有する誘電体磁気組成物に、副成分として銀を含有す
る溶液を添加し、950℃以下の温度で焼結するもので
ある。
【0016】添加される副成分としての銀は、硝酸銀、
酢酸銀、炭酸銀等の無機銀塩やアルコキシド,アセテー
ト、アセチルアセトナートおよびクエン酸等の有機物か
らなる配位子が銀に配位した有機銀化合物等が挙げられ
るが、これらのうち、本発明の方法によれば、これらの
塩や化合物を、溶液の形で添加する。溶液として添加す
ることにより、効率よく均一に分散し、少量でも内部導
体との間に生じる隙間を有効に抑制することができる。
溶媒としては酸や塩基等の種類にもよるが、水の他、2
−メトキシエタノール、アセトン等の水溶性溶媒が可能
である。これらのうち、特に硝酸銀水溶液を用いること
が好ましい。水溶液の量は、仮焼粉をスラリー状態にす
る程度、あるいはそれ以上であってもよく、溶液濃度
は、添加後の誘電体磁器組成物が上記組成範囲となるも
のであればよい。なお、粒子状態の銀成分の添加では、
上記の効果は実現しない。
【0017】副成分の銀は、好ましくはAg換算で0.
005〜1wt%添加する。銀の含有量が0.005wt%
に満たないと本発明の効果が得られず、1wt%を超える
と絶縁性が悪化し、Q値が低下する。なお銀の存在は、
蛍光X線分析法(XRF)、エネルギー分散X線分析法
(EDX)、透過型電子顕微鏡(TEM)等で分析する
ことができる。
【0018】本発明の方法により得られる誘電体磁器材
料は、好ましくは焼成後に銀を含有する内部導体との間
に生じる隙間が3μm 未満、好ましくは2μm 以下、特
に1μm 以下、さらには0.5 μm 以下である。誘電
体磁気組成物中に銀を含有させることにより、焼成時に
おける銀やせ現象を防止し、銀を含有する内部導体との
間に隙間が生じることを防止する。誘電体と内部導体と
の間に生じる隙間が3μm 未満であれば、電解液の進入
によるポッピングや腐食、デラミネーション、クラック
等の発生を防止することができる。
【0019】銀が添加される誘電体磁器組成物は、上記
のように主成分に鉛および/またはタングステン含有酸
化物(鉛系酸化物)を有する誘電体磁器組成物であれば
特に限定されるものではなく、本発明の効果を得ること
が可能であるが、好ましくは、主組成がPb,Ca,W
またはTi,FeおよびNbの複合酸化物であって、こ
の複合酸化物はその組成を、 (PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz
(R=WまたはTi)、 で表したとき、x,y,s,tおよびuが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2 であることが好ましく、より好ましくは複合酸化物が、
R=Tiであって、その組成が、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.5, 0<s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, であるか、または複合酸化物がR=Wであって、その組
成が、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0<s≦0.2, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, であることが好ましく、鉛を含む複合ペロブスカイト化
合物である。なお、上記鉛含有酸化物(鉛系酸化物)以
外にも、銀との同時焼成が可能な誘電体磁器組成物等に
おいても、その条件によっては、銀を添加することによ
り、本発明と同様な効果を奏することが考えられる。従
って、その場合には本発明に準じて銀を添加すればよ
い。
【0020】ここで、CaのPbに対する置換量は、好
ましくはそのモル分率をyとしたとき、 0.3≦y<0.918 の範囲内となるように設定する。Caの置換量が、上記
の範囲を越えると、低温焼結性が損なわれ易くなり、一
方それ未満であると、電気的特性が劣化してくるからで
ある。
【0021】上記yは、特に0.3≦y≦0.8、さら
には0.4≦y≦0.75の範囲にすると、より良好な
低温焼結性、高誘電率を得ることができる。
【0022】また、Oの(PbX Cay )に対するモル
分率をx+yとしたとき、0.99≦x+y<1.08
である。
【0023】x+yが0.99より低くなると、焼結が
困難となってくるので好ましくない。一方、x+yが
1.08以上でも、焼結が困難となってくる また、Fe、Nb、R(R=TiまたはW)のモル分率
をそれぞれt、u、sとし、s+t+u=1としたと
き、 0.375≦t≦0.50 0.20≦u≦0.50 0≦s≦0.25 であることが好ましく、より好ましくは、R=Tiであ
る場合、 0.375≦t≦0.60 0.20≦u≦0.50 0<s≦0.25 であることが好ましく、特に、R=Wである場合、 0.375≦t≦0.60 0.20≦u≦0.50 0<s≦0.20 であると、焼結助剤を添加した場合、950℃以下で焼
結してもペロブスカイト型結晶相が主結晶相として形成
され、85以上の高誘電率で端部に隙間のない優れた誘
電体素子を得ることができ好ましい。
【0024】このようなモル分率としたのは、次の理由
による。まず、sについては、0.25超であると電気
的特性が劣化してくる。uについては、0.2未満であ
ると電気的特性が劣化する傾向にあり、0.49超であ
ると低温焼結性が損なわれてくる。そして、上記の組成
範囲内にすることによって、誘電率εが80以上とな
る。そして、好ましい態様では、90〜115、特に1
00〜110の値が得られる。
【0025】また、(Fet Nbu s )に対するOの
モル分率zは、電荷バランスを表す量(3t+5U+4
s)/2に等しい。
【0026】εは大きければ大きいほど望ましい。これ
は、例えば共振器においては、その大きさが誘電体材料
のεの平方根に反比例するため、小型化しようとする場
合には、必然的にεを大きくしなければならず、したが
って、εが大きいということは重要なことである。誘電
率εは、好ましくは70以上、特に80以上、さらには
90以上が好ましい。
【0027】このような(PbX Cay )Ox+y (Fe
t Nbu s )Oz :(R=WまたはTi)の存在はX
線回折スペクトル(XRD)から確認できる。通常、平
均グレインサイズは0.5〜15μm 、特に1〜10μ
m である。
【0028】誘電体磁器材料には、焼結温度を低下でき
るように、他の副成分として焼結助剤を添加することが
好ましい。焼結助剤としては、ゲルマン酸鉛、酸化鉛、
酸化鉛と銀との固溶体、タングステン酸銀あるいはタン
グステン酸鉛等を好ましく挙げることができるが、95
0℃以下の温度で液相化するものであれば添加時の結晶
構造には特に制限はない。添加量は、好ましくは上記主
組成に対して0.1〜10wt%、より好ましくは0.5
〜4wt%の範囲である。焼結助剤の添加量が多すぎる
と、電気的特性に悪影響を及ぼす。
【0029】さらに誘電体磁器材料中には、他の副成分
として、Mnが酸化物、通常MnOの形で含有されてい
てもよい。Mnの添加量は金属Mn換算で、好ましくは
主組成に対して0.5wt%以下、より好ましくは0.0
5〜0.3wt%の範囲である。Mn酸化物の添加により
絶縁抵抗が向上する。Mn酸化物は焼結後、通常、複合
ペロブスカイト化合物中に存在している。
【0030】次に、誘電体磁器材料の製造方法について
詳細に説明する。
【0031】出発原料としては、誘電体磁器組成物を構
成する金属元素の酸化物、例えば酸化鉛、酸化カルシウ
ム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化チタ
ン等を用いればよい。また、焼結により酸化物となり得
る各種化合物、例えば、炭酸カルシウム等の炭酸塩や蓚
酸塩などを用いてもよい。出発原料の配合比率は、各金
属元素の比率が最終組成と同じとなるように選択する。
出発原料の平均粒径は0.5〜10μm 程度の平均粒径
とする。あるいは硫酸塩、硝酸塩等の溶液として添加し
てよい成分もある。
【0032】出発原料の粉末の混合は、ボールミルなど
を用いて湿式で行うことが好ましい。混合後、仮焼を行
う。この混合、仮焼は、第1仮焼物として、R=Wであ
る場合は、鉄・タングステン酸鉛Pb(Fe
2/3 1/3 )O3 (以下、PFWと称する)と、Pbの
一部がCaで置換された第2仮焼物である鉄・ニオブ酸
鉛(Pbx Cay )Ox+y (Fe1/2 Nb1/2 )O
3 (以下、PCFNと称する)とを別個に行う。これは
原料の混合、仮焼を一度に行った場合、CaWO4 が容
易に生成してしまい、目的とする(PbX Cay )O
x+y (Fet Nbu s )Ozが合成できないからであ
る。なお、R=Tiである場合には、第1仮焼物と第2
仮焼物を経る必要はないが、上記製法に準じて製造する
場合等には、チタン酸鉛PbTiO3 (以下、PTと称
する)を第1仮焼物として用いてもよい。
【0033】従って、第1仮焼物であるPFWあるいは
PTにあっては、出発原料として、PbO、Fe
2 3 、WO3 、TiO2 を使用し、一方、第2仮焼物
であるPCFNにあっては、PbO、Fe2 3 、Nb
2 5 、CaCO3 を、それぞれ別個に使用する。ここ
で、PCFNにおける、C(Ca)によるP(Pb)の
一部置換量は、そのモル分率をyとしたとき、yが 0.3≦x≦0.918 の範囲内となるように設定する。
【0034】Caの一部置換量が、上記の範囲を越える
と、低温焼結性が損なわれ、一方それ未満であると、電
気的特性が劣化してくるからである。
【0035】上記yは、特に 0.4≦y≦0.7 の範囲にすると、より良好な低温焼結性を示し、誘電率
を高めることができる。
【0036】上記仮焼は、PFWあるいはPTにあって
は、800〜1000℃程度の温度で、PCFNにあっ
ては、1000〜1200℃程度の温度で、1〜4時間
程度行うことが好ましい。仮焼後、好ましくはそれぞれ
ボールミル等により湿式粉砕する。粉砕後の平均粒径は
0.7〜3.0μm 程度とする。
【0037】また、PFWあるいはPT、PCFNは、
US patent No.3 330,697 july (1967) や、日本板硝子
材料工学助成会成果報告書 vol.14 p35 ('96) に開示さ
れているように、クエン酸の金属錯体と有機化合物中の
水酸基とのエステル化による前駆体を仮焼する方法や、
同様に、カルボキシル基とアミノ基とのアミド結合によ
る前駆体を仮焼する方法によっても得ることができる。
金属源の出発原料としては、 Pb(CH3COO)2−3H2O Ca(CH3COO)2−H2O W(OEt)6 Fe(acac)3 Nb(OEt)5 等が挙げられる。
【0038】次に、第1仮焼物であるPFWまたはPT
と第2仮焼物であるPCFNとからなる主成分と、副成
分とを調合する。このときの混合比は、主組成が、 (PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz
(R=WまたはTi)、 で表したとき、x,y,s,tおよびuが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, の範囲にあるように秤量し、仮焼する。仮焼は、通常大
気中で600〜1100℃、特に700〜1000℃、
さらには900〜1000℃程度の温度で、1〜4時間
程度行うことが好ましい。仮焼後、ボールミル等により
粉砕する。粉砕後の平均粒径は0.7〜1.5μm 程度
とする。このようにして、粉体組成が(PbX Cay
x+y (Fet Nbu s )Oz で表される第3仮焼物
を(以後PCFNRと略記する)得る。そして、副成分
が、銀をAg換算で上記主組成に対し0.005〜1wt
%の範囲となるよう混合し、本発明の誘電体磁器組成物
を得る。なお、副成分としての銀は、上記のように第3
仮焼物焼結後に混合することが好ましいが、その前に混
合してもよい。
【0039】次に、他の副成分として、必要により焼結
助剤を混合することが好ましい。焼結助剤としては、例
えば、好ましくはPbOとGeO2 とを最終組成が、好
ましくはPb5 Ge3 11となるように、好ましくは1
4時間程度湿式混合し、その乾燥物を500℃程度で仮
焼し、得られたPb5 Ge3 11の仮焼物を好ましくは
ボールミル等を用いて湿式粉砕し、所定粒径の焼結助剤
を得る。この他、PbOあるいはPbOにAgを固溶化
させたものが好ましい焼結助剤として挙げられる。こ
の、Pb5 Ge3 11や、PbO、PbO+Ag等の焼
結助剤は、通常、成形前に仮焼体粉末と混合される。
【0040】また、他の副成分としてMnを酸化物の形
で含有させる場合には、Mn化合物を添加する。Mn化
合物としては、酸化物、例えばMnO、MnO2 の他、
焼結により酸化物になる化合物、例えば炭酸塩、蓚酸塩
等を用いることができる。また、他の構成成分との複合
酸化物、例えば(Pb Ca)(Mn Nb)O3
(Pb Ca)(Mn1/3 Nb2/3 )O3 等を用いるこ
とができる。これらは、上記第1仮焼物および第2仮焼
物にMnを添加したものであり、どちらを用いてもよ
い。これらの場合、平均粒径は0.1〜1.0μm 程度
とする。この他、硫酸塩、硝酸塩の溶液添加を行うこと
もでき、Mn化合物の添加量はMn換算で前記PCFN
Rである(PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s
z とPGOとの合計分、すなわち、Pb、Ca、Wま
たはTi、FeおよびNbの酸化物の全量と焼結助剤と
の総計の0.5wt%以下、特に0.05〜0.3wt% と
する。なお、Mn化合物の添加時期は焼結助剤と同じで
あってもよく、何度かに分けて添加してもよい。
【0041】本発明の高周波誘電体磁器材料を、誘電体
素子として共振器に適用する場合、上記仮焼体粉末に、
有機バインダおよび有機溶媒を含むビヒクルを加えてペ
ースト化し、印刷法やシート法などにより積層し、この
誘電体層間にストリップ線路を形成し、同時焼結する。
焼結は、通常大気中で950℃以下、特に945℃以
下、さらには940℃以下、一般に910℃以上、特に
920℃以上、さらには930℃以上の温度で、保持時
間は1〜6、特に1〜3時間程度行うことが好ましい。
その昇温時間、降温時間は任意である。内部電極層に用
いる導電性材料としては、低抵抗導体材料である銀、好
ましくはAg95%以上、より好ましくは98%以上が
用いられる。
【0042】次に、前記第3仮焼物PCFNRを得る他
の方法について説明する。
【0043】出発原料としては、上記同様、誘電体磁器
組成物を構成する金属元素の酸化物を用いればよい。
【0044】先ず、第2仮焼物(PCFN)の合成を行
う。出発原料の粉末の混合は、ボールミルなどを用いて
湿式で行うことが好ましい。混合後、仮焼を行う。得ら
れた第2仮焼物PCFNの(紛状物)を必要により粉砕
し、このPCFN仮焼物あるいは仮焼紛と、R=Wであ
る場合は、Pb、FeおよびW、あるいはR=Tiの場
合はPb、FeおよびTiの酸化物、あるいは焼成によ
り酸化物となる化合物とを混合し、仮焼し、粉砕して第
3仮焼物PCFNRを得る。これにより、上記の方法よ
りも、より簡単な方法で第3仮焼物を得ることができ
る。
【0045】さらに詳細に説明すると、出発原料とし
て、PbO、Fe2 3 、WO3 、TiO2 を使用し、
一方、第2仮焼物であるPCFNにあっては、PbO、
Fe23 、Nb2 5 、CaCO3 を、それぞれ別個
に使用する。ここで、PCFNにおける、C(Ca)に
よるP(Pb)の一部置換量は、そのモル分率をyとし
たとき、yが 0.3≦x≦0.918 の範囲内となるように設定する。
【0046】上記yは、特に好ましくは 0.4≦y≦0.7 の範囲にする
【0047】上記仮焼は、1000〜1200℃程度の
温度で、1〜4時間程度行うことが好ましい。仮焼後、
そのまま用いることも可能であるが、好ましくはボール
ミル等により湿式粉砕する。粉砕後の平均粒径は0.7
〜3.0μm 程度とする。
【0048】次に、酸化鉛、酸化鉄、酸化タングステ
ン、酸化チタン、あるいはこれらの酸化物となりうる化
合物と第2仮焼物であるPCFNとを調合する。このと
きの混合比は、最終組成が、 (PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz
(R=WまたはTi)、 で表したとき、x,y,s,tおよびuが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, の範囲にあるように秤量し、混合し、仮焼する。仮焼
は、通常大気中で600〜1100℃、特に700〜1
100℃、さらには900〜1100℃程度の温度で、
1〜4時間程度行うことが好ましい。仮焼後、そのまま
用いることも可能であるが、好ましくはボールミル等に
より粉砕する。粉砕後の平均粒径は0.7〜1.5μm
程度とする。このようにして得られた、粉体組成が(P
X Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz で表され
る第3仮焼物を得る。
【0049】本発明の誘電体素子は、共振器の他、バン
ドパスフィルタ、ディプレクサ等にも使用でき、また誘
電体層と内部電極層を交互に積層し、焼結後、外部電極
を設けたチップコンデンサ等にも適用可能である。
【0050】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0051】<合成例1>(Rなし) 出発原料としてPbO、CaCO3 、Fe2 3 、Nb
2 5 を用い、 これらを、最終組成が、(PbX Ca
y )Ox+y (Fet Nbu s )Oz で表したとき、
x,y,s,t,uが、表1の組成となるよう秤量配合
し、これをボールミルにより16時間湿式混合した。乾
燥後、850〜1050℃で3時間仮焼した。この仮焼
により、(PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s
z 、(ただし、s=0:以下、PCFNと称する場合
がある)を主相とする第3仮焼物を得た。
【0052】<合成例2>(R=Ti) 出発原料として、PbO、CaCO3 、Fe2 3 、N
2 5 を用い、 これらを、最終組成が、(PbX
y )Ox+y (Fet Nbu s )Oz で表したとき、
x,y,s,t,uが、表2の組成となるよう秤量配合
し、これを混合し、1000〜1200℃程度で1〜4
時間仮焼し、PCFNである第2仮焼物を得た。この第
2仮焼物を粉砕し、PbO、Fe2 3 、TiO2 を所
定量秤量してこれと混合し、ボールミルを用いて16時
間湿式混合した。乾燥後。850〜1100℃で3時間
仮焼した。この仮焼により、(PbX Cay )O
x+y (Fet Nbu s )Oz 、(ただし、s=Ti:
以下、PCFNTと称する場合がある)を主相とする第
3仮焼物を得た。
【0053】<合成例3>(R=W) 出発原料としてPbO、Fe2 3 、WO3 を所定量秤
量し、これを混合し、850℃程度で2時間仮焼し、第
1仮焼物であるPFWを得た。一方、PbO、CaCO
3 、Fe2 3 、Nb2 5 を所定量秤量し、これを混
合し、1150℃程度で2時間仮焼し、PCFNである
第2仮焼物を得、それぞれボールミルにより湿式粉砕し
た。
【0054】これらを、最終組成が、(PbX Cay
x+y (Fet Nbu s )Oz で表したとき、x,
y,s,t,uが、表3の組成となるよう秤量配合し、
混合して、600〜1000℃で2時間仮焼した。この
仮焼により、(PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu
s )Oz (以下、PCFNWと称する場合がある)を主
相とする第3仮焼物を得た。
【0055】<実施例1>前記各合成例1〜3で得られ
た各第3仮焼物(PCFN,PCFNTi,PCFN
W)に、表1〜3に示す銀量をそれぞれ添加したもの
を、ボールミルにより湿式粉砕し、平均粒径0.9μm
(レーザー回折式粒度分布計による測定)の仮焼体粉末
とした。
【0056】さらに、焼結助剤としてPb5 Ge3 11
を、所定量の酸化鉛(PbO)と二酸化ゲルマニウム
(GeO2 )を湿式で14時間混合したものを乾燥し、
この乾燥物を500℃で反応させることにより得た(以
下、PGOと称する場合がある)。これをボールミルに
より湿式粉砕した。このときの平均粒径は0.9μm で
あった。
【0057】次いで、このPGOの化学組成をPb5
3 11と現したとき、表1〜3の組成となるよう上記
第3仮焼物(PCFN,PCFNTi,PCFNW)粉
末に添加し、ボールミルで湿式混合し、乾燥して最終的
な混合物を得た。また、必要に応じ、タングステン酸鉛
(PWO)、酸化鉛(PbO)、および平均粒径0.9
μm のMnOをMn換算で、表1〜3のように添加し
た。
【0058】次いで、上記混合物に有機バインダである
ポリビニルアルコールを加えて造粒し、100MPaの圧
力で成形して、直径12.5mm、厚さ10mmの円柱状成
形体とした。
【0059】得られた成形体を、同一成分の粉体が敷き
詰められたジルコニアセッターに乗せ、空気中でバイン
ダ剤を除去した後、空気中で表1に示す温度にて焼結し
た。焼結の際には、成形体および共材として仮焼体粉末
を匣鉢に密封し、成形体からのPbの蒸発を防いだ。得
られた焼結体を直径10mm、厚さ5mmに加工し、表1〜
3に示す実施例の誘電体サンプルNo. 1〜4,11〜1
5,21〜29を得た。
【0060】以上のサンプルのうち、サンプルNo. 21
につき、X線回折により相構成を調べたところ、サンプ
ルNo. 21は、ほぼPCWFN単相からなるものである
ことが分かった。
【0061】また、比較例として、同等にして表1〜3
に示すように、本発明の組成範囲から外れた組成で誘電
体サンプルNo. 5,6、16,17,30〜33を作製
した。
【0062】これらの誘電体サンプルについて、誘電率
εを測定した。結果を表1〜3に示す。
【0063】さらに、上記の最終組成物である各試料を
それぞれ用い、これに有機溶剤、ポリビニルブチラール
樹脂、分散剤を混合して誘電体スラリーを得た。
【0064】得られた誘電体スラリーをPETフィルム
上にドクターブレードを用いて流し込み、乾燥させた
後、PETフィルムより剥離し、厚さ200μm の誘電
体シートを得た。このようにして得られた誘電体シート
上に、銀粉、エチルセルロース、ブチルカルビトールを
混合して得られた銀ペーストをスクリーン印刷法にて印
刷した。この印刷面の上にさらに誘電体シートを重ね、
熱圧着して前駆体ブロックを得た。
【0065】このようにして得られた前駆体ブロックを
所定の大きさに切断し、焼結用試料を得た。この焼結用
試料に含まれる有機溶媒を空気中に放置して除去して脱
媒し、匣鉢に密閉した後、上記と同様にして焼結した。
【0066】焼結した各試料を、銀導体を含む断面が露
出するように切断し、エッチングを行い、金をスパッタ
し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察
し、内部導体の端部に生じた隙間の長さを測定した。結
果を表1〜3に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】表1〜3に示される比較例は、No. 30以
外は、いずれも端部の隙間が5μm以上と極めて大きな
値を示している。一方、本発明の誘電体磁器材料を用い
たものは、その殆どが端部の隙間が0.3μm 未満であ
り、極めて微量のAg添加でも隙間の抑制効果を有する
ことがわかる。なお、サンプルNo. 27と29の隙間が
比較的大きいのは、相対的に添加された銀量が少なかっ
たためであるが、この程度の隙間であれば実用上は問題
ない。また、本発明の誘電体磁器材料はいずれのサンプ
ルも誘電率が80以上と良好な特性を示した。さらに、
サンプルNo. 30について、比抵抗を測定したところ実
用レベルを大きく下回り、銀の添加量が多すぎると比抵
抗が低下してしまい、実際に使用できる誘電体材料が得
られないことがわかった。
【0071】以上の結果から本発明の効果が明らかであ
る。すなわち、本発明を満足する組成と製造方法によ
り、端部の隙間がなく、誘電率εが大きく、銀との同時
焼成が可能な低温焼結性の良い誘電体磁器組成物が得ら
れた。
【0072】<実施例2>実施例1において、焼結助剤
としてPGO、PbO、PWOに代えて、以下の方法に
より作成したPbO+Agを用いた他は実施例1と同様
にしてサンプルを作製したところ、ほぼ同等の結果を得
た。
【0073】PbOとAgNO3 をボールミルにより湿
式で14時間混合・粉砕し、乾燥した後、これを800
℃で5時間焼成し、さらに、ボールミルにより湿式で1
4時間粉砕し、乾燥して焼結助剤を得た。
【0074】<実施例3>実施例1で作成した本発明の
試料No. 21と、比較例としての試料No. 31とをそれ
ぞれ用い、これに有機溶剤、ポリビニルブチラール樹
脂、分散剤を混合して誘電体スラリーA,Bを得た。
【0075】得られた誘電体スラリーをPETフィルム
上にドクターブレードを用いて流し込み、乾燥させた
後、PETフィルムより剥離し、厚さ200μm の誘電
体シートを得た。このようにして得られた誘電体シート
上に、銀粉、エチルセルロース、ブチルカルビトールを
混合して得られた銀ペーストをスクリーン印刷法にて印
刷した。この印刷面の上にさらに誘電体シートを重ね、
熱圧着して前駆体ブロックを得た。
【0076】このようにして得られた前駆体ブロックを
所定の大きさに切断し、焼結用試料を得た。この焼結用
試料に含まれる有機溶媒を空気中に放置して除去して脱
媒し、匣鉢に密閉した後、空気中で以下に示す焼結温度
にて焼結した。すなわち、試料No. 21の前駆体ブロッ
クAは、920℃で、試料No. 31の前駆体ブロックB
は、930℃で焼結した。
【0077】焼結した各試料を、銀導体を含む断面が露
出するように切断し、エッチングを行い、金をスパッタ
し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し
た。各前駆体ブロックA,Bの焼結体SEM写真をそれ
ぞれ図1,2に示す。図1から明らかなように、前駆体
ブロックAの焼結体は920℃で焼結したにもかかわら
ず欠陥のない構造を示している。一方、図2から明らか
なように、前駆体ブロックBの焼結体は、930℃と高
い温度で焼結し、しかも銀導体と誘電体との間に隙間を
生じている。このような隙間は、ホッピング現象、すな
わち表面実装のために行うメッキ処理工程の際、電解液
が進入し、これがハンダリフロー工程で高温になると、
急激に膨張・破裂し、製品不良、特性劣化を生じさせる
原因となる。
【0078】<実施例4>実施例1で用いた組成以外の
鉛含有酸化物を有する誘電体磁器組成物として、Pb
(Mg1/3Nb2/3)O3−Pb2Oと、Pb(Mg1/3
2/3)O3−PbTiO3−Pb(Mg1/21/2)O3
をそれぞれ用い、これらに硝酸銀をAg換算で0.00
5〜1wt%の範囲でそれぞれ添加し、実施例1と同様に
銀導体ペーストと同時焼成して端部の隙間を調べたとこ
ろ、いずれの試料も端部の隙間の発生が抑制されている
ことが確認された。
【0079】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、銀との同
時焼結が可能で、誘電率が高く、焼成後に内部の銀電極
との間に隙間を生じることがなく、しかも添加する銀の
量は極めて微量で、低コストであり、生産効率の高い誘
電体磁器組成物、誘電体磁器材料およびその製造方法な
らびに誘電体素子およびその製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器組成物を銀導体とともに焼
結した断面のSEM写真である。
【図2】比較例の誘電体磁器組成物を銀導体とともに焼
結した断面のSEM写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】誘電体磁器材料中には銀が拡散しやすいも
のがあり、例えば、軟化点の低いガラス(ガラスセラミ
ック)や、鉛、タングステン等の酸化物等がこれに相当
する。軟化点の低いガラスに対する銀の拡散は、ガラス
中でのコロイド形成の問題として良く知られている。タ
ングステンの酸化物が酸素の存在下で昇温されるとき、
金属銀との間で約605℃付近に融点を持つタングステ
ン酸銀(AgWO)を生じることは、古くから知ら
れている。また、J.Mater.Res.,Vol.
10,No.11(1995)p2933 には、酸化
鉛が金属銀との間に共融点を持ち、825℃以上の温度
で酸化鉛と金属銀とからなる液相が存在することが報告
されている。このような反応を示す酸化物と、金属銀の
塊が接触(接着)している状態で高温下に置かれると、
金属銀と酸化物との界面から銀が粒子やイオンの形で酸
化物中に拡散して行き、母体の銀が減少し、いわゆる銀
やせ現象を生じることになる。そして、前記銀導体の端
部に隙間が生じる原因もこのような現象によることが判
明した。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分が、Pb,Ca,R,(R=Wま
    たはTi),FeおよびNbの複合酸化物であって、 この複合酸化物はその組成を、 (PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz 、 で表したとき、x,y,s,tおよびuが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, であり、 副成分として銀をAg換算で0.005〜1wt%含有
    し、 焼結温度が950℃以下である誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 前記複合酸化物はR=Tiであって、そ
    の組成が、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.5, 0<s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, である請求項1の誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 前記複合酸化物はR=Wであって、その
    組成が、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0<s≦0.2, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2, である請求項1の誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 さらに焼結助剤および/またはマンガン
    酸化物を含有する請求項1〜3のいずれかの誘電体磁器
    組成物。
  5. 【請求項5】 前記焼結助剤として、ゲルマン酸鉛が
    0.1〜10wt%添加された請求項4の誘電体磁器組成
    物。
  6. 【請求項6】 前記ゲルマン酸鉛は、Pb5 Ge3 11
    を含有する請求項5の誘電体磁器組成物。
  7. 【請求項7】 マンガン酸化物を、Mn換算で0.5w
    t%以下含有する請求項4〜6のいずれかの誘電体磁器
    組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の誘電体磁器組成物を95
    0℃以下で焼成した誘電体磁器材料。
  9. 【請求項9】 銀を含有する内部導体との隙間が3μm
    未満である請求項8の誘電体磁器材料。
  10. 【請求項10】 主成分に鉛および/またはタングステ
    ン含有酸化物を有する誘電体磁気組成物に、 副成分として銀を含有する溶液を添加し、 950℃以下の温度で焼結する誘電体磁器材料の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 Pbと、Ti、またはFeおよびWと
    の酸化物または焼結により酸化物となる化合物を所定量
    混合し、仮焼して第1仮焼物を得、 Pb,Ca,FeおよびNbの酸化物または焼結により
    酸化物となる化合物を所定量混合し、仮焼して第2仮焼
    物を得、 前記第1仮焼物と第2仮焼物とをその最終組成が、(P
    X Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz 、(R=
    WまたはTi)、で表したとき、x,y,s,tおよび
    uが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2 の範囲にあるように混合・粉砕し、仮焼して第3仮焼物
    を得、 これに副成分として銀含有する溶液を添加した後さらに
    混合して、誘電体磁器組成物とし、 これを成形し、焼結する請求項10の誘電体磁器材料の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 Pb,Ca,Fe,およびNbの酸化
    物または焼結により酸化物となる化合物を所定量混合
    し、仮焼して第2仮焼物を得、 この第2仮焼物と、Pbと、Ti、またはFeおよびW
    の酸化物または焼結により酸化物となる化合物とを所定
    量混合し、その最終組成が、 (PbX Cay )Ox+y (Fet Nbu s )Oz
    (R=WまたはTi)、 で表したとき、x,y,s,tおよびuが、 0.99≦x+y≦1.08, 0.3≦y<0.918, 0.375≦t≦0.6, 0≦s≦0.25, 0.2≦u≦0.5, s+t+u=1, z=(3t+5u+4s)/2 の範囲にあるように混合・粉砕し、仮焼して前記第3仮
    焼物を得、 これに副成分として銀を含有する溶液を添加した後さら
    に混合して、誘電体磁器組成物とし、 これを成形し、焼結する請求項10の誘電体磁器材料の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第3仮焼物に、他の副成分として
    焼結助剤および/または酸化マンガンまたは焼成により
    酸化マンガンとなる化合物を添加して誘電体磁器物とす
    る請求項11または12の誘電体磁器材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記銀を含有する溶液は、銀塩または
    銀化合物を、Ag換算で0.005〜1wt%含有するよ
    うに添加する請求項10〜13のいずれかの誘電体磁器
    材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記銀化合物の溶液は硝酸銀溶液であ
    る請求項14の誘電体磁器材料の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項8または9の誘電体誘電体磁器
    材料中に、銀導体パターンを内蔵する誘電体素子。
  17. 【請求項17】 請求項1〜7のいずれかの誘電体磁器
    組成物と銀とを同時焼成して請求項16の誘電体素子を
    得る誘電体素子の製造方法。
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JP2009249264A (ja) * 2008-04-10 2009-10-29 Sumitomo Chemical Co Ltd 焼結体および熱電変換材料

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