JPH10317166A - Fe−Ni系合金板の表面酸化層の除去方法 - Google Patents

Fe−Ni系合金板の表面酸化層の除去方法

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JPH10317166A
JPH10317166A JP6887898A JP6887898A JPH10317166A JP H10317166 A JPH10317166 A JP H10317166A JP 6887898 A JP6887898 A JP 6887898A JP 6887898 A JP6887898 A JP 6887898A JP H10317166 A JPH10317166 A JP H10317166A
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hydrochloric acid
ferric chloride
oxide layer
alloy
descaling
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JP6887898A
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Tamako Ariga
珠子 有賀
Isamu Kage
勇 鹿毛
Katsumi Shomura
克身 正村
Masayuki Kurata
雅之 倉田
Hiroshi Wakasa
浩 若狭
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Fe−Ni系合金熱延板の表面酸化層を効率
よく除去し、かつ母材合金のロスの小さい表面酸化層の
除去方法を提供する。 【解決手段】 Fe−Ni系合金板を、3〜12wt%
の塩酸と20〜35wt%の塩化第二鉄の混合水溶液で
浸漬処理または3〜12wt%の塩酸水溶液で浸漬処理
し引続き20〜35wt%の塩化第二鉄水溶液で浸漬処
理する。前記処理で、塩酸濃度を5〜10wt%かつ塩
化第二鉄濃度を25〜30wt%にする。またはさらに
水溶液温度を60〜80℃あるいは水溶液と板面の相対
流速を20〜60mpmにする。前記濃度の塩酸と塩化
第二鉄を使用することによってFe−Ni系合金熱延板
の表面酸化層を短時間で除去でき、かつ母材合金のロス
を小さくできる。脱スケール効率の面から、温度を60
〜80℃あるいは相対流速を20〜60mpmにするこ
とがより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスク等
に使用される熱膨張特性およびエッチング特性に優れた
Fe−Ni系合金熱延板の表面酸化層の除去方法、特
に、母材合金ロスが少なく、かつ短時間で熱延板の表面
酸化層を除去できる優れた除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe−Ni系合金は、熱間圧延され、あ
るいはさらに冷間圧延された後、LNG容器、リードフ
レーム、シャドウマスク、パーマロイなどの用途に使用
される。
【0003】熱間圧延されたFe−Ni系合金板には、
表面の黒皮スケール(2次スケール)の下に、深いもの
では深さ100μmに及ぶ粒状の内部酸化層(以下、サ
ブスケールという)が点在する。サブスケールはスラブ
加熱時に生成した粒界酸化層の名残と考えられ、Fe酸
化物とNiが濃化した金属層(以下、Ni濃化層とい
う)が混在した組織である。このようなスケール形態は
Fe−Ni系合金に特徴的である。
【0004】Fe−Ni系合金板の使用に際しては、前
記した黒皮スケールとサブスケールを除去する必要が生
じる場合が多い。しかしながら、サブスケールはFe酸
化物と極めて耐酸性の良い高Ni合金というケミカル処
理面では相反する特徴を持つ組織の混在型であるため、
その除去は通常の炭素鋼などに比べて困難である。
【0005】以下の記載において、Fe−Ni系合金板
に対して、表面酸化層は黒皮スケールとサブスケールを
合わせたスケール層を意味し、脱スケールは前記表面酸
化層の除去を意味する。
【0006】前記したように、Fe−Ni系合金板の表
面酸化層は固有の組織であるため除去しにくいが、実生
産を考慮するとできるだけ短時間で脱スケールできるこ
とが必要である。
【0007】一般的に、TVブラウン管用シャドウマス
ク原板などFe−Ni系合金が多く使用される製品につ
いては、熱延板の板厚は5mm以下と薄い。このような
板厚の薄い熱延板において、前記したように片面で10
0μm程度、両面で200μm程度の研削を行うこと
は、脱スケールに伴う歩留りロスが著しく大きい。すな
わち、脱スケールに伴う減肉量が母材歩留りに大きく影
響するので、できるだけ少ない減肉量で、脱スケールで
きることが必要である。
【0008】ところで、Fe−Ni系合金に限らず、炭
素鋼、ステンレス鋼などの熱延鋼板の脱スケール方法に
関しては、以下に記載するように、機械的研削処理、機
械的研削処理とケミカル処理を組み合わせた処理あるい
はケミカル処理等の様々な手法が既に知られている。
【0009】(1)「R&D 神戸製鋼技報、vol.
32、No.3、p.38」(以下、先行技術A)に記
載されるように、Fe−Ni系合金熱間圧延鋼帯の脱ス
ケールは、機械的研削によるのが一般的である。
【0010】(2)特開平1−273607号公報(以
下、先行技術B)には、メカニカル処理でスケールに亀
裂や剥離を生じさせて脱スケール性を向上し、次いで砥
粒番手が#46〜100の範囲の第1研削ロールと、砥
粒番手が#80〜400の範囲で、かつ第1研削ロール
の砥粒番手より細かいか、または等しい砥粒番手の第2
研削ロールを用いてスケールのほとんどを除去した後、
酸液処理を行うことにより酸洗の負荷を軽減して酸液寿
命を延長する熱延合金鉄鋼帯の脱スケール方法が記載さ
れている。
【0011】(3)特開昭62−139888号公報
(以下、先行技術C)には、硝酸5〜11wt%、弗酸
6〜11wt%を含む温度40〜70℃の硝弗酸によ
り、脱スケール性を向上し、また酸洗後の表面荒れを抑
制して表面性状に優れるFe−Ni系合金熱間圧延鋼帯
の脱スケール方法が記載されている。
【0012】(4)特開平2−19486号公報(以
下、先行技術D)には、塩化硫酸鉄(III)または塩化
鉄(III)と2〜30wt%の鉱酸を含み、鉄(III)イ
オンが15〜200g/lの水溶液で5〜40分間金属
または合金を処理して、金属または合金の表面の酸化物
層とスケールを除去することが記載されている。
【0013】(5)特公昭55−34232号公報(以
下、先行技術E)には、5wt%以上の塩酸と5〜15
wt%の塩化第二鉄を含む水溶液を用いて処理する鋼材
(ステンレス系特殊鋼を除く)の脱スケール方法が記載
されている。
【0014】(6)特開昭54−47830号公報(以
下、先行技術F)には、5〜20%の酸溶と塩化鉄の混
合物1000リットルにつき150〜200リットルの
割合で塩化第二鉄を混入した液体を用いたステンレス鋼
や特殊鋼の酸洗方法が記載されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかし、先行技術Aに
記載の方法による場合、サブスケールの厚み分の片面1
00μm程度を母材を含めて削りとることになるので、
研削量が多く母材歩留りの低下が大きい。また、研削量
が数10μm乃至100μm程度と大きいため、研削機
械への負荷が大きく高速研削が難しく、かつ、研削材は
高価で寿命が短いため生産性が低い。そのため、脱スケ
ールコストが高価になるという問題がある。
【0016】また、機械的研削による脱スケールはステ
ンレス鋼帯についても行われており、硬質なステンレス
鋼では問題にならないが、Fe−Ni系合金は軟質であ
るため、研削材に含まれる砥粒がFe−Ni系合金熱延
板中に埋め込まれ、次工程の冷間圧延時に表面疵となっ
たり、シャドウマスクなどに加工された際にエッチング
不良を生じるなどの問題がある。
【0017】先行技術Bに記載の方法は、機械的研削と
酸洗による脱スケールの併用であり、設備の維持費やラ
ンニングコストが高くなる。また、スケールのほとんど
を機械的研削で除去するため、前記した先行技術Aに記
載の問題点が本質的に改善されておらず、研削砥粒の埋
め込みに伴う冷間圧延後やエッチング加工後の欠陥発生
等の問題がある。
【0018】先行技術Cに記載の方法では、弗酸を使用
して脱スケールを行うため、高価な弗酸の使用量が多く
なり、処理液費用が増大する。また、過酸洗になりやす
く母材歩留りの低下が大きい。
【0019】先行技術D〜Fに記載の方法では、スプレ
ー方式、浸漬方式により短時間の脱スケールが可能とし
ている。しかし、これらの手法、条件の対象は、均一な
厚さのFe酸化物のスケールが形成される炭素鋼に関す
るものであり、本発明が対象とする特殊なサブスケール
が存在するFe−Ni系合金の表面酸化層を除去するに
は適した条件ではない。また、できるだけ少ない減肉量
で脱スケールする点については全く考慮されていない。
【0020】本発明は、これらの先行技術を考慮してな
されたものであり、Fe−Ni系合金熱延板の表面酸化
層を処理時間の観点で効率よく除去し、かつ母材合金の
ロスの小さい表面酸化層の除去方法を提供することを目
的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、機械的研
削処理によるFe−Ni系合金の表面酸化層の除去は品
質上、コスト上の問題が大きいので、ケミカル処理によ
るFe−Ni系合金の表面酸化層の除去が有利であると
考え、Fe−Ni系合金に特有のサブスケールの形態調
査、各種処理液の脱スケール性の調査を徹底的に行っ
た。その結果、塩酸と塩化第二鉄を特定の濃度で使用し
た場合に、Fe−Ni系合金熱延板の表面酸化層を短時
間で除去でき、かつ母材合金のロスが小さくできること
を見出した。
【0022】本発明はこの知見に基づくものであり、そ
の特徴とする構成は以下のとおりである。
【0023】(1)3〜12wt%の塩酸と20〜35
wt%の塩化第二鉄の混合水溶液にて、Fe−Ni系合
金板を浸漬処理することを特徴とするFe−Ni系合金
板の表面酸化層の除去方法。
【0024】(2)Fe−Ni系合金板を、3〜12w
t%の塩酸水溶液にて浸漬処理し、引続き20〜35w
t%の塩化第二鉄水溶液にて浸漬処理することを特徴と
するFe−Ni系合金板の表面酸化層の除去方法。
【0025】(3)前記(1)又は(2)において、塩
酸濃度が5〜10wt%であり、かつ塩化第二鉄濃度が
25〜30wt%であるFe−Ni系合金板の表面酸化
層の除去方法。
【0026】(4)前記(1)乃至(3)のいずれかに
おいて、水溶液温度が60〜80℃であるFe−Ni系
合金板の表面酸化層の除去方法。
【0027】(5)前記(1)乃至(3)のいずれかに
おいて、水溶液と板面の相対流速が20〜60mpmで
あるFe−Ni系合金板の表面酸化層の除去方法。
【0028】<限定理由>本発明者らは、Fe−Ni系
合金の表面酸化層に対する各種処理液の脱スケール性を
調査した。
【0029】脱スケール性は、ケミカル処理後の合金板
の表面酸化層の残留状態および平均減肉厚さにより評価
した。
【0030】表面酸化層の残留状態は、処理後の合金板
を観察して、以下の基準により評価した。
【0031】 ××:黒皮スケールが残留しているもの ×:黒皮スケールは認められないが、多量のサブスケー
ルが認められるもの △:黒皮スケールは認められないが、中程度の量のサブ
スケールが認められるもの ○:黒皮スケールは認められないが、少量のサブスケー
ルが認められるもの ◎:黒皮スケール、サブスケールとも認められないもの また、平均減肉厚さは、ケミカル処理前後の合金板の重
量変化、すなわち溶解量を測定し、これを金属板の板厚
変化に換算して評価した。
【0032】本発明者らが検討した処理液のうち、Fe
−36wt%系Ni合金熱延板に対する代表的な処理液
の浸漬処理における脱スケール性を図1に示す。各処理
液の処理条件は以下の通りであり、図中に記載した数字
は浸漬時間(min)である。〜の処理温度は、設
備と溶液の特性を考慮して、通常採用されている実操業
上の最も適した温度である。また、水溶液と板面の相対
流速は40mpmとした。
【0033】硝弗酸(記号○) 10wt%硝酸+2wt%弗酸溶液を用いて60℃で処
理 塩酸(記号△) 10wt%塩酸溶液を用いて95℃で処理 塩化第二鉄(記号□) 30wt%塩化第二鉄溶液を用いて80℃で処理 塩酸→塩化第二鉄(記号■) 10wt%塩酸を用いて80℃で浸漬処理(1min)
後、30wt%塩化第二鉄溶液を用いて80℃で処理
(二段処理) 塩酸+塩化第二鉄A(記号●) 10wt%塩酸+30wt%塩化第二鉄溶液を用いて8
0℃で処理 塩酸+塩化第二鉄B(記号▲) 10wt%塩酸+25wt%塩化第二鉄溶液を用いて8
0℃で処理
【0034】図1から、塩酸溶液以外の処理溶液では、
表面酸化層を完全に除去できるが、所要時間、平均減肉
量には大きな差がある。前記した処理液について、脱ス
ケールが終了するまでの平均減肉厚さと所要時間の関係
を図示すると、図2のようになる。脱スケール所要時間
および脱スケール後の平均減肉厚さは、処理液の種類に
よって大きく異なっている。
【0035】平均減肉厚さ、脱スケール所要時間が図
1、図2のように異なる理由は、次のように考えられ
る。
【0036】硝弗酸は、単位時間当たりの母材溶解量が
大きいため、点在する前記100μm深さのサブスケー
ルを除去するにあたっては、周辺の母材が溶解すること
によってサブスケールが脱落するような形態となる。そ
のため、ある程度の時間で脱スケールすることができる
が、母材ロスが著しく大きい。
【0037】塩酸は、酸化物の溶解に効果が大きいが、
合金の溶解にはほとんど効果がないため、表面の黒皮ス
ケールを短時間で除去することができるが、サブスケー
ルを除去できない。したがってFe−Ni合金を脱スケ
ールできない。
【0038】塩化第二鉄は、溶解速度はさほど大きくな
いものの、Fe酸化物、Fe−Ni合金のいずれも溶解
するため、脱スケールに効果があり、比較的小さい母材
ロスにより脱スケールできるが所要時間が長い。
【0039】これらに比べて、塩酸で処理後、塩化第二
鉄で処理する方法では、塩酸によって母材の溶解を妨げ
ている黒皮スケールが短時間で除去されるので、塩化第
二鉄によるサブスケールの除去が効果的に進み、塩化第
二鉄のみの処理と比べて、さらに小さい母材ロスで脱ス
ケールできる。
【0040】さらに、塩酸と塩化第二鉄を混合すると、
両者の反応が同時に進み、時間的にも母材ロスの観点か
らも、より一層効率よく脱スケールできる。
【0041】図1、図2から、Fe−Ni系合金の表面
酸化層の除去に際して、塩酸と塩化第二鉄の混合溶液、
または塩酸で処理後塩化第二鉄で処理することにより、
母材ロスを低減しつつ表面酸化層を効率的に除去できる
ことが分かったので、引続きこれらの処理液の脱スケー
ル性に及ぼす影響について検討した。
【0042】Fe−36wt%Ni合金熱延板に関する
塩酸と塩化第二鉄の混合溶液を用いて溶液温度80℃、
溶液と板面の相対流速40mpmで浸漬処理を行った場
合の塩酸濃度と塩化第二鉄の濃度の脱スケール性に及ぼ
す影響についてさらに調査した。脱スケール性は、脱ス
ケール効率、母材ロスの程度により評価した。
【0043】脱スケール効率は、サブスケールが完全に
除去されるまでの処理時間により、以下のように判定し
た。
【0044】 ◎:5min以下 ○:5min超え10min以下 △:10min超え15min以下 ×:15min超え、または15minを超えてもサブ
スケールを完全に除去できなかったもの 母材ロスの程度は、脱スケール前後の重量変化を板厚変
化に換算し、この板厚変化に応じて下記の基準に従い判
定した。
【0045】 ◎:10μm以下 ○:10μm超え20μm以下 △:20μm超え30μm以下 ×:30μm超え、または30μmを超えてもサブスケ
ールを完全に除去できなかったもの さらに、前記の脱スケール効率、母材ロスの程度の判定
に際して、劣る方の判定を総合判定とした。総合判定の
調査結果を図3に示す。図3から、塩酸濃度は3〜12
wt%、塩化第二鉄濃度は20〜35wt%にする必要
がある。
【0046】塩酸濃度が3wt%未満になると、黒皮ス
ケールの溶解速度が低下し、サブスケール溶解時に不均
一溶解しやすくなり、脱スケール終了時の減肉厚さが大
きくなり、母材ロスが大きくなりやすい。また、塩酸濃
度を12wt%以上にしても、脱スケール実施温度にお
いては塩酸が蒸発するため、実際的には12wt%が調
整可能な濃度の限界である。
【0047】塩化第二鉄濃度が20wt%未満になる
と、サブスケール中のNi濃化層やサブスケールと母材
の界面を溶解しにくくなり、不均一溶解しやすくなるた
め、脱スケールに時間がかかり母材合金のロスが大きく
なる。また、塩化第二鉄の濃度が35wt%を超える
と、母材の溶解速度が遅くなり脱スケールの際の不均一
溶解が起こりやすくなるため、やはり脱スケールに時間
がかかり母材合金のロスが大きくなる。
【0048】塩酸濃度が5〜10wt%、塩化第二鉄濃
度が25〜30wt%の範囲では、不均一溶解がより起
こりにくくなり、脱スケール速度、母材ロスをより低減
できる。したがって、より好ましい濃度範囲は、塩酸濃
度が5〜10wt%、塩化第二鉄濃度が25〜30wt
%である。
【0049】また、前記濃度の塩酸溶液を用いて処理し
た後、前記濃度の塩化第二鉄溶液を用いて処理する二段
階処理であってもよい。この場合、塩酸溶液による処理
は浸漬処理またはスプレー処理によることができるが、
浸漬処理がより好ましい。
【0050】Fe−36wt%Ni合金熱延板に対する
塩酸と塩化第二鉄の混合溶液を用いて浸漬処理を行った
場合の処理液温度の影響について、表1に示す濃度、相
対流速の混合水溶液を用いて調査した。調査結果を表1
および図4に示す。調査結果から脱スケール所要時間を
考慮すると、より好ましい溶液温度は60℃以上である
が、設備に使用する材料の耐久性を考慮すると液温は6
0〜80℃が望ましい。
【0051】
【表1】
【0052】同様に、Fe−36wt%Ni合金熱延板
に対する塩酸と塩化第二鉄の混合溶液を用いて浸漬処理
を行った場合の溶液と板面の相対流速の影響について、
表2に示す濃度、温度の混合溶液を用いて調査した。調
査結果を表2および図5に示す。調査結果から流速を加
えることによって溶解速度が増し、脱スケール効率が向
上するが、相対流速が過度に高いと溶解反応が十分に進
まず、却って脱スケール効率が低下する。したがって、
相対流速は20〜60mpmが望ましい。
【0053】
【表2】
【0054】なお、本発明が対象とするFe−Ni系合
金板は、基本成分として、wt%で、Ni:20wt%
以上60wt%以下、またはさらにCo:6wt%以下
を含有し残部がFeおよびその他の不可避不純物からな
るFe−Ni系合金であり、より好ましくはNi:30
wt%以上39wt%以下、またはさらにCo:6wt
%以下を含有し残部がFeおよびその他の不可避不純物
からなるFe−Ni系合金である。
【0055】Ni、Coが前記範囲を外れると、Fe−
Ni系合金板が、LNG容器、リードフレーム、シャド
ウマスク、パーマロイなどの用途に使用される材料に必
要な所要の物理的、磁気的性質および機械的性質を満足
できなくなるために前記のように限定した。
【0056】これらのFe−Ni系合金には、必要に応
じて、Si、Mn、Cr、Cu、Mo、Al等の元素を
添加しても、本発明の効果が損なわれないし、また、
C、P、S、N、O等の不可避不純物が混入しても構わ
ない。
【0057】本発明のFe−Ni系合金板としては、L
NG容器、リードフレーム、シャドウマスク、パーマロ
イなどの用途に用いられるインバー合金(36wt%N
i)、スーパーインバー合金(32wt%Ni−5wt
%Co)、42合金(42wt%Ni)、42−6合金
(42wt%Ni−6wt%Cr)、PB級パーマロイ
(45wt%Ni)等を例示することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】本発明を実施するための脱スケー
ル設備として、塩酸と塩化第二鉄溶液を用いることので
きる槽であればよく、その槽に処理液を循環させるため
のタンクが付随していればなお都合がよい。また、脱ス
ケール前によく知られているようなショットブラストな
どによるメカニカル処理を施しても、本発明の効果はな
んら妨げられない。
【0059】
【実施例】
(実施例1)表3、表4に記載の条件の塩酸、塩化第二
鉄の処理液(温度:80℃、流速:40mpm)を用い
て、Fe−36wt%Ni系合金熱延板の脱スケールを
行い、脱スケール性を調査した。脱スケール性は、外
観、脱スケール効率、母材ロスの程度により評価した。
【0060】外観は、鋼板を目視観察して、鋼板のサブ
スケール残りの状況に応じて、次のように評価した。
【0061】多:黒皮スケールが残留、あるいは黒皮ス
ケールはないもののサブスケールが多量に残留している
もの 中:黒皮スケールは認められないが、中程度の量のサブ
スケールが認められるもの 少:黒皮スケールは認められないが、少量のサブスケー
ルが認められるもの なし:黒皮スケールとサブスケールの両方とも認められ
ないもの 脱スケール効率、母材ロスの程度の評価については、前
記図3の説明において記載した評価法と同様の評価法に
より評価した。
【0062】また、前記の脱スケール効率、母材ロスの
程度の判定に対して、劣る方の判定を総合判定とした。
【0063】脱スケール性の調査結果を表3、表4に併
せて記載した。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】表3、表4に示されるように、本発明例
は、比較例に比べて、表面酸化層がなくなるまでの処理
時間が短く、また母材ロスが少なく、脱スケール性に優
れている。
【0067】(実施例2)表5に記載の塩酸水溶液の浸
漬処理後、塩化第二鉄水溶液の浸漬処理を行う二段階処
理により、Fe−36wt%Ni系合金熱延板の脱スケ
ールを行い、実施例1と同様にして、脱スケール性を調
査した。比較のために、塩酸水溶液の浸漬処理、塩化第
二鉄水溶液の浸漬処理のみで脱スケールを行った場合に
ついても同様に調査した。調査結果を表5に併せて記載
した。
【0068】
【表5】
【0069】表5に示されるように、本発明例は比較例
に比べて表面酸化層がなくなるまでの処理時間が短く、
また母材ロスが少なく脱スケール性に優れている。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、Fe−Ni系合金板の
表面酸化層の除去を、母材ロスを低減し、かつ短時間で
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−Ni系熱延合金板に対する各種処理液の
脱スケール性を示す図。
【図2】Fe−Ni系合金熱延板に対する各種処理液の
平均減肉量と脱スケール所要時間の関係を示す図。
【図3】塩酸濃度、塩化第二鉄濃度と脱スケール所要時
間の関係を示す図。
【図4】塩酸−塩化第二鉄混合液について、処理液温度
と脱スケール所要時間の関係を示す図。
【図5】塩酸−塩化第二鉄混合液について、溶液と板面
の相対流速と脱スケール所要時間の関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉田 雅之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 若狭 浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3〜12wt%の塩酸と20〜35wt
    %の塩化第二鉄の混合水溶液にて、Fe−Ni系合金板
    を浸漬処理することを特徴とするFe−Ni系合金板の
    表面酸化層の除去方法。
  2. 【請求項2】 Fe−Ni系合金板を、3〜12wt%
    の塩酸水溶液にて浸漬処理し、引続き20〜35wt%
    の塩化第二鉄水溶液にて浸漬処理することを特徴とする
    Fe−Ni系合金板の表面酸化層の除去方法。
  3. 【請求項3】 塩酸濃度が5〜10wt%であり、かつ
    塩化第二鉄濃度が25〜30wt%である請求項1また
    は請求項2記載のFe−Ni系合金板の表面酸化層の除
    去方法。
  4. 【請求項4】 水溶液温度が60〜80℃である請求項
    1乃至請求項3のいずれかの項に記載のFe−Ni系合
    金板の表面酸化層の除去方法。
  5. 【請求項5】 水溶液と板面の相対流速が20〜60m
    pmである請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載
    のFe−Ni系合金板の表面酸化層の除去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009231427A (ja) * 2008-03-21 2009-10-08 Toagosei Co Ltd エッチング液、該エッチング液を用いた透明導電膜のエッチング方法及び被エッチング基板
JP2017219349A (ja) * 2016-06-03 2017-12-14 日本電信電話株式会社 劣化した金属構造物の試験体を模擬的に製作する金属構造物の減肉加工方法
CN117468004A (zh) * 2023-11-14 2024-01-30 贵州黎阳国际制造有限公司 一种硬化型镍基合金表面处理方法

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