JPH1031971A - 電子管 - Google Patents

電子管

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JPH1031971A
JPH1031971A JP8186392A JP18639296A JPH1031971A JP H1031971 A JPH1031971 A JP H1031971A JP 8186392 A JP8186392 A JP 8186392A JP 18639296 A JP18639296 A JP 18639296A JP H1031971 A JPH1031971 A JP H1031971A
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本比呂 須山
Suenori Kimura
末則 木村
Norio Asakura
憲夫 朝倉
Masaru Hirano
賢 平野
Katsuhiko Kawai
克彦 河合
Hiroshi Hasegawa
寛 長谷川
Tetsuya Morita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、小型化が可能であり、組立て作業
性の良い電子管を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明による電子管1は、ケース10と
入力面板21とステム31と半導体素子40とアノード
電極60とを備えた電子管1において、ケース12は、
光電面22側に位置して、光電面22から放出した電子
を半導体素子40に照射する電子レンズをアノード電極
60との協働で形成し、導電性材料で一体成形されると
共に、入力面板21に低融点金属23を介して接続され
るリング状のカソード電極11と、ステム31側に位置
して、外端をステム31に固定させたリング状の溶接電
極13と、カソード電極11と溶接電極13との間に位
置して、一端をカソード電極11の内端面11aに固定
すると共に他端を溶接電極13の内端面13aに固定し
て、電気絶縁性材料からなるリング状のバルブ12と、
バルブ12を少なくとも2分割させると共にバルブ12
の分割部分に介挿させたリング状の中間電極90と、を
同心状に積層配置した構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微弱な光を定量的
に計測するための光検出器として利用され、特に、光電
面より放出された電子を増倍して出力する半導体素子を
もった電子管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光の入射によって光電面より放出
された電子を、電子レンズで加速・収束した後、半導体
素子に入射して高いゲインを得る電子管が知られてい
る。この電子管は、例えば、特開平5−54849号公
報、特開平7−320681号公報、文献 “Nuclear
Instruments and Methods in Physics Research A330(1
993)93-99"「Test results of the first Proximity Foc
used Hybrid Photodiode Detector prototypes」(著者
S.Base et all)などに開示されている。特に、この文献
には、図7に示す電子管が開示され、この電子管は電気
絶縁性のバルブ102を有し、このバルブ102により
アノード電極100とカソード電極101との間で電気
絶縁性を確保させている。また、バルブ102の径に対
してカソード電極101の径を大きくすることにより、
光電面103を大きくし、半導体素子104の有効面積
(例えば100mm2)を大きくしている。従って、図
7に示した電子管は大型であることが判る。また、この
電子管に採用されているカソード電極101は、円筒状
の2枚の平板101a,101bを並設させることによ
り中空状に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7に
示した電子管のカソード電極101は、2枚の平板10
1a,101bを組み合わせることにより、様々な大き
さや形状のものを可能にするが、中空状になっているた
め、大型の電子管には適しているが、小型(例えば直径
10mm程度)の電子管ではこの中空部分を確保しにく
い。また、このようなカソード電極101は、2枚の平
板101a,101bをプレス加工した後、溶接等で接
合させる必要があるので、組立て作業効率が悪いといっ
た問題点があった。
【0004】本発明は、上述の課題を解決するためにな
されたもので、特に、小型化が可能であり、組立て作業
性の極めて良い電子管を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による電子管は、
第1の開口と第1の開口と反対側に位置する第2の開口
とを有するケースと、ケースの第1の開口側に設けられ
て、入射された光に対応して電子を放出する光電面をも
った入力面板と、ケースの第2の開口側に設けられて、
入力面板と共に真空領域を規定するステムと、ステムの
真空側に固着して、光電面より放出した電子が照射され
る電子入射面を有する半導体素子と、半導体素子と光電
面との間で半導体素子の近くに位置して、電子を通過さ
せる開口部をもったアノード電極とを備えた電子管にお
いて、ケースは、光電面側に位置して、光電面から放出
した電子を半導体素子に照射する電子レンズをアノード
電極との協働で形成し、導電性材料で一体成形されると
共に、入力面板に低融点金属を介して接続されるリング
状のカソード電極と、ステム側に位置して、外端をステ
ムに固定させたリング状の溶接電極と、カソード電極と
溶接電極との間に位置して、一端をカソード電極の内端
面に固定すると共に他端を溶接電極の内端面に固定し
て、電気絶縁性材料からなるリング状のバルブと、バル
ブを少なくとも2分割させると共にバルブの分割部分に
介挿させたリング状の中間電極と、を同心状に積層配置
したことを特徴とする。
【0006】この電子管においては、外部から入力面板
に入射した光は光電面によって電子に変換され、電子
は、カソード電極とアノード電極と中間電極との協働に
より形成される電子レンズ効果により収束させながら、
半導体素子の電子入射面に到達する。ここで、カソード
電極はリング体を構成しているので、コバール金属等の
導電性の良い材料を利用して、プレス成形又は射出成形
又は切削加工等の様々な一体成形方法で簡単に作り出す
ことができる。しかも、小さなカソード電極が要求され
る場合でも簡単に具現化することができ、電子管の小型
化を更に促進させることができる。また、カソード電
極、バルブ、中間電極及び溶接電極がそれぞれリング状
に形成されているので、ケースを形成する際、同心状に
簡単に積層させることができ、ケースの組立て作業が容
易になる。そして、電子管の小型化により、限られたス
ペースに1000本〜1万本の電子管を並べて使用する
高エネルギ分野や医療機器分野からの強い要求に応える
ことができる。また、ケースのカソード電極と入力面板
との間に低融点金属(例えばインジウム)を介在させ、
真空になったトランスファー装置内で、入力面板とカソ
ード電極とを互いに押し付け合いながら、100kg程
度の高圧をかけることにより電子管内に真空領域を簡単
に作り出すことができる。従って、ケースに排気管を突
設させる必要がなくなり、トランスファー装置内で電子
管を大量生産することができる。
【0007】この場合、カソード電極の外形とバルブの
外形と溶接電極の筒状本体の外形と中間電極の外形とを
略同じにすると好ましい。このように構成することで、
ケースの外面から凹凸を無くすことができ、引っ掛かり
の無いシンプルな形状にすることができる。従って、多
数本の電子管を密に配列させることができ、取り扱い易
い電子管が可能になり、しかも、150kgの高圧に耐
え得る構造を可能にしている。
【0008】また、カソード電極の内周壁面はバルブの
内周壁面より内側に位置し、中間電極は、バルブの内周
壁面から内方に突出すると好ましい。このように構成す
ることで、光電面側の意図しない場所で生じた迷走電子
がバルブに衝突するのを防止し、迷走電子の衝突によっ
て発生するバルブの帯電や、これに起因する電子軌道へ
の影響をなくすことができる。
【0009】また、溶接電極は、ステムに抵抗溶接で接
続させると好ましい。この場合、ケースの溶接電極にス
テムを抵抗溶接することで、ケースの第2の開口をステ
ムによって簡単に塞ぐことができる。
【0010】また、溶接電極に設けられた筒状本体の一
端には、外方に突出する第1フランジ部が形成され、筒
状本体の他端には、内方に突出する第2フランジ部が形
成され、ステムの外周には、溶接電極の第1フランジ部
に嵌合する切欠き縁部が形成されていると好ましい。こ
のように構成することで、溶接電極の第1フランジ部を
ステムの切欠き縁部に嵌合させて抵抗溶接するだけの簡
単な組付け作業で、溶接電極とステムとを接合させるこ
とがでる。更に、ステムに対するケースの着座性を良く
することもできる。また、溶接電極の第2フランジ部を
電子管内に突出させているので、この第2フランジ部自
体をアノード電極として機能させることもでき、第2フ
ランジ部に任意の形状のアノード電極を溶接等で簡単に
固定させることもできる。
【0011】また、カソード電極には光電面と同一の電
圧を供給し、アノード電極には溶接電極と同一の電圧を
供給し、中間電極には、カソード電極の電圧とアノード
電極の電圧のぼぼ中間の電圧を供給すると好ましい。こ
のように構成することで、高い負電圧を光電面に印加し
ても絶縁破壊が起こることがなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による電
子管の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明に係る電子管の第1実施形
態を示す断面図である。同図に示すように、電子管1は
円筒状のケース10を有し、このケース10は、導電性
の良いコバール金属を利用して、プレス成形又は射出成
形又は切削加工等の様々な一体成形方法により作り出さ
れたリング状のカソード電極11と、電気絶縁性材料
(例えばセラミック)からなるリング状のバルブ12
と、コバール金属からなるリング状の溶接電極13と、
バルブ12を2分割することで形成された第1バルブ1
2Aと第2バルブ12Bとの間で、挟むようにして固定
させたコバール金属製のリング状中間電極90とから構
成され、これら部材11,12,13及び90は互いに
同心状に積層配置されている。また、中間電極90をも
ったバルブ12は、カソード電極11と溶接電極13と
の間に設けられ、バルブ12の一端は、カソード電極1
1のフラットな内端面11aに突き合わせた後、ろう付
け等で固定され、バルブ12の他端は、溶接電極13の
フラットな内端面13aに突き合わせた後、ろう付け等
で固定されている。また、バルブ12は、第1バルブ1
2Aと第2バルブ12Bとで中間電極90の外周端部を
挟み、接合部分にろう付け作業を施すことで形成され
る。従って、ケース10は、ろう付けにより簡単に一体
化が図られる。
【0014】更に、カソード電極11とバルブ12と溶
接電極13の筒状本体13Aとは略同じ外形(この場合
「例えば直径14mmの円形」)に形成されている。従
って、ケース10の外面から凹凸を無くすことができ、
引っ掛かりの無いシンプルな形状にすることができる。
その結果、狭い空間においても多数本の電子管を密に配
列させることができ、取り扱い易い電子管が可能にな
り、しかも高圧に耐え得る構造を可能にしている。な
お、リング体をなすカソード電極11、バルブ12、中
間電極90及び溶接電極13の外形は多角形であっても
よい。
【0015】カソード電極11の内周壁面11bはバル
ブ12の内周壁面12aより内側に位置し、バルブ12
の内径に対してカソード電極11の内径を小さくしてい
る。従って、後述する光電面22側の意図しない場所で
生じた迷走電子がバルブ12に衝突するのを防止でき、
迷走電子の衝突によって発生するバルブ12の帯電や、
これに起因する電子軌道への影響をなくすことができ
る。この場合、内周壁面11b及び12aはそれぞれ円
形に形成され、カソード電極11の内径は例えば10m
m、バルブ12の内径は例えば11mmで形成されてい
る。なお、内周壁面11bと内周壁面12aとの形状は
同じであっても異なっていてもよく、円形であっても多
角形であってもよい。この場合、カソード電極11の長
さは3.5mmが好適であり、第1バルブ12Aの長さ
は3.5mm、第2バルブ12Bの長さは3mmが好適
である。
【0016】ここで、中間電極90は、バルブ12の内
周壁面12aから内方に突出し、中間電極90の開口部
90aの内径は、電子軌道に干渉しない範囲内で極力小
さくなっている(好適には7mmである)。従って、迷
走電子によるバルブ12の帯電が防止されると共に、仮
に何らかの理由でバルブ12が帯電しても、電子軌道に
近い空間の電位を中間電極90により固定させているの
で、バルブ12の帯電が電子軌道に悪影響を与えるのを
防止することができる。なお、中間電極90の厚さは、
0.5mmが好適である。
【0017】ケース10のカソード電極11には、光を
透過させるガラス製の入力面板21が固設され、この入
力面板21は、内側に光電面22を有すると共に、ケー
ス10の第1の開口14側に配置されている。そして、
この入力面板21は、光電面22を作製した後、低融点
金属(この場合「インジウム」)23を介してカソード
電極11に一体化されている。光電面22の周辺部分に
は、光電面22とインジウム23とを電気的に接続する
ように、クロムの薄膜よりなる光電面電極25が配置さ
れている。そして、光電面電極25の内径8mmが光電
面22の有効径を規定している。また、インジウム23
は、中空円筒状の支持体24の内側面で突出するように
形成されている。そこで、カソード電極11の上にイン
ジウム23、入力面板21の順に配置し、カソード電極
11と入力面板21とを100kg程度の高圧で互いに
押し付けることにより、インジウム23が変形して接着
剤として機能し、入力面板21はケース10と一体化す
る。
【0018】ケース10の溶接電極13には導電性材料
(例えばコバール金属)よりなる円盤状のステム31が
固設され、このステム31は、ケース10の第2の開口
15側に配置されている。ここで、溶接電極13の筒状
本体13Aの外端には、ステム31との接合に利用する
ために外方に突出した円形の第1フランジ部13Bが形
成され、筒状本体13Aの内端には、バルブ12との接
合に利用するために内方に突出した円形の第2フランジ
部13Cが形成されている。また、ステム31の外周に
は、第1フランジ部13Bに嵌合させるための円形の切
欠き縁部31aが形成されている。従って、溶接電極1
3の第1フランジ部13Bをステム31の切欠き縁部3
1aに嵌合させ、抵抗溶接を施すだけの簡単な組立て作
業で、溶接電極13とステム31とを簡単に接合させる
ことができる。また、抵抗溶接中において、ステム31
に対するケース10の着座性は極めて良い。なお、ステ
ム31にはガラス34で絶縁された貫通ピン32が固定
され、電子管1は、ケース10と入力面板21とステム
31とで一体化され、真空気密を保持している。
【0019】図2に示すように、ステム31における真
空側の面上には、APD(アバランシェ・フォトダイオ
ード)として動作する半導体素子40が導電性の接着剤
50を介して固着されている。半導体素子40は、n型
の高濃度シリコン基板41を基板材料とし、中央部分に
は円板状でp型のキャリア増倍層42が形成されてい
る。このキャリア増倍層42の外周には、キャリア増倍
層42と同じ厚さで高濃度n型層よりなるガードリング
層43が形成されている。キャリア増倍層42の表面に
は、高濃度p型層よりなる降伏電圧制御層44が形成さ
れている。この降伏電圧制御層44の表面は電子入射面
44aとして形成され、降伏電圧制御層44の周辺部分
とガードリング層43とを架け渡すように、酸化膜45
及び窒化膜46が形成されている。降伏電圧制御層44
にアノード電位を供給するために、半導体素子40の最
外面には、円環状にアルミを蒸着して形成された入射面
電極47が設けられている。更に、半導体素子40の最
外面には、ガードリング層43と導通する周辺電極48
が設けられ、この周辺電極48は、入射面電極47に対
して所定の間隔をもって離間させられている。なお、電
子入射面44aの直径は入射面電極47の内方で3mm
が好適である。
【0020】この半導体素子40の高濃度n型シリコン
基板41は導電性接着剤50を介してステム31に固着
され、この導電性接着剤50を利用することで、ステム
31と高濃度n型基板41とは電気的に導通する。ま
た、半導体素子40の入射面電極47は、ステム31と
絶縁させた貫通ピン32に対してワイヤー33により接
続されている。
【0021】図1及び図2に示すように、半導体素子4
0と中間電極90との間には板状のアノード電極60が
配置され、このアノード電極60の外周端部は溶接電極
13の第2フランジ部13Cに固定されている。また、
アノード電極60は、半導体素子40に近い側に位置す
ると共に、厚さ0.3mmのステンレス製の薄板をプレ
ス加工することで形成されている。なお、アノード電極
60と半導体素子40との間隔は1mmが好適である。
【0022】このアノード電極60の中央には、半導体
素子40の電子入射面44aに対峙させた開口部61が
形成され、アノード電極60には、開口部61を包囲す
るように突出した円筒状のコリメーター部(コリメータ
ー電極)62が一体に形成され、このコリメーター部6
2は、光電面22に向けて突出すると共に、開口部61
に対して同心的に配置されている。また、このコリメー
ター部62の内径は2.5mmが好適であり、この高さ
は1.5mmが好適である。なお、アノード電極60
は、溶接電極13の第2フランジ部13Cの延長上に予
め形成させておいて、溶接電極13がアノード電極60
を兼ねるように構成することも可能である。
【0023】次に、前述した構成に基づき、電子管1の
組立について説明する。先ず、ステム31に半導体素子
40をダイボンドし、続いて、ワイヤー33にて入射面
電極47と貫通ピン32を結線する。一方、ケース10
の溶接電極13には、アノード電極60を抵抗溶接にて
固着し、溶接電極13とステム31とを抵抗溶接にて固
着させる。そして、入力面板21と、インジウム23
と、ステム31を一体化したケース10とを、別体にし
た状態でトランスファー装置と呼ばれる真空装置に入
れ、300℃、10時間程度のべ一キングを施した後、
入力面板21の片側に光電面22を作製する。この光電
面22は、アンチモンを蒸着後、カリウム、ナトリウ
ム、セシウムの蒸気を順に導入することで作製される。
あるいは、予め入力面板21と一体化させているGaA
s結晶にセシウム蒸気と酸素とを交互に導入することで
も形成可能である。
【0024】このようにして入力面板21に光電面22
を形成後、ケース10と入力面板21とをインジウム2
3を介して接合させ、100kg程度の圧力をかけるこ
とで、最も柔軟なインジウム23が押しつぶされる。そ
の結果、インジウム23が接着剤として機能し真空気密
を保持することで、電子管1内に真空が作り出される。
最後に、トランスファー装置の真空をリークして、一連
の行程を終了する。通常、トランスファー装置における
電子管1の作製では、50本程度の材料を一度にセット
して、光電面22を作製する。従って、このような製造
方法では、大量の電子管1を均質に安く製造することが
できる。
【0025】図1に示すように、電子管1の光電面22
及びカソード電極11には−12kVを印加し、アノー
ド電極60はアースして0Vを印加し、中間電極90に
はその中間の−6kVを印加する。このとき、カソード
電極11とアノード電極60と中間電極90との協働で
電子レンズを形成し、有効径8mmの光電面22から放
出された電子は、コリメーター部62の内径より小さい
直径2mmに縮小して半導体素子40の電子入射面44
aに導入される。一方、半導体素子40にはpn接合に
逆バイアスが印加されるように、半導体素子40の降伏
電圧制御層(アノ−ド)44に−150Vを印加し、シ
リコン基板41(カソード)をアースして0Vを印加す
る。従って、APDには約50倍のアバランシエ増倍ゲ
インが得られる。なお、光電面22の電圧とアノード電
極60の電圧との中間の電圧を中間電極90に印加する
方法としては、コッククロフトウォルトン型の電源で実
現できる。また、抵抗を用いて電圧を分割する方法でも
よい。
【0026】そこで、電子管1に光が入射すると、光電
面22から真空中に電子が放出され、この電子は電子レ
ンズにて加速されると共に収束されて、12keVのエ
ネルギ−をもってAPD40の電子入射面44aに入射
する。この電子は、APD40内でエネルギーを3.6
eV失う毎に1個づつの電子−正孔対を生成するので、
この最初の増倍過程で約3000倍になり、続くアバラ
ンシエ増倍でさらに50倍になるので、トータルで約2
×105のゲインとなる。
【0027】この電子管1では、通常の光電子増倍管
(以下「PMT」という)に比べて、初段の増倍率が3
000と、約3桁高いので、S/Nの非常によい検出が
可能である。現に、非常に微弱なパルス光が入射して、
平均4電子程度が光電面22から放出されたとき、従来
のPMTでは、弁別できなかった入力光電子数(入射光
子数)を弁別できるようになった。前述した電子管1で
得られるこのような特性は、生体微量物質から放出され
る蛍光を定量的に観察する際に非常に有効である。そし
て、電子管1自体が、長期に渡って安定に動作すること
は非常に重要なことである。
【0028】一般的な電子管において、絶縁物であるバ
ルブは、電位的に按分された状態から、迷走電子やイオ
ン或いはX線の影響で帯電する。そして、バルブの内周
壁面の帯電が絶縁破壊のトリガーとなる。
【0029】しかしながら、本実施形態の電子管1にお
いて、セラミック製バルブ12は、同心状の第1バルブ
12Aと第2バルブ12Bとで二分割され、バルブ12
A,12B間に中間電極90が挿入され、中間電極90
には光電面22とアノード電極60との中間的な電圧が
印加されているので、高い負電圧を光電面22に印加し
ても絶縁破壊がおこらない。そして、セラミック製のバ
ルブ12の中間に中間電極90が挿入されてるので、迷
走電子、イオン、X線等によるバルブ12の帯電が起こ
りにくい。さらに、バルブ12が仮に帯電しても、中間
電極90は中間的な電位で固定されているので、バルブ
12の絶縁破壊には至らない。従って、この電子管1に
おいて、光電面22に高い負電圧を印加しても高いゲイ
ンを得ることができる。
【0030】なお、中間的な電位で固定された中間電極
90の開口部90aは、電子軌道に干渉しない程度の最
小限な大きさに設定されているので、電子軌道に近い空
間の電位を固定し、バルブ12の内周壁面12aの帯電
が電子軌道に与える影響を抑制することができる。
【0031】また、電子管1において、半導体素子40
の電子入射面44aには−150Vが印加され、電子入
射面44aはアノード電極60に対して負電位に保たれ
るので、入射電子によって電子入射面44aに吸着した
ガス分子が正にイオン化しても光電面22まで戻ること
はない。従って、電子管1は、長期間に渡って安定な動
作をする。そして、アノード電極60に設けたコリメー
ター部62は、光電面22側からアノード電極60の開
口部61を超えて半導体素子40に向かう電界の侵入を
最小限に抑制し、イオンフィードバックの防止効果を増
強する。
【0032】次に、図3及び図4に基づいて、本発明の
第2実施形態に係る電子管100を説明する。なお、以
下、第1実施形態との相違点について説明すると共に、
図面において、第1実施形態の電子管1と同一又は同等
の構成部分については同一の符号を付し、その説明は省
略する。
【0033】図3に示すように、電子管100は、カソ
ード電極11の長さを2mmとし、バルブ12を第1〜
第4のバルブ12C〜12Fで4分割し、各バルブ12
C〜12F間でそれぞれ挟むように固定させた中間電極
90Aを3枚の第1〜第3中間電極91〜93で形成し
ている点、半導体素子80としてPD(フォトダイオー
ド)を用いた点が電子管1と相違している。この第2実
施形態では、カソード電極11の長さの変更によって電
子レンズの作用が変化し、有効径8mmの光電面22か
ら放出した電子は、直径約5mmに集束して半導体素子
80に入射する。更に、アノード電極70は、溶接電極
13の第2フランジ部13Cの延長上に予め形成させて
おいて、溶接電極13がアノード電極70を兼ねるよう
に構成している。
【0034】このように構成した電子管100は、1T
(テスラ)を越える強磁界中での使用も想定している。
このような強磁場中では、電子の進行方向は磁界の向き
によってのみ決定され、電界は単に電子を加速するだけ
にしか使えない。すなわち、このような高磁界中では、
電界による電子レンズを作用させることができない。従
って、実質的な光電面22の有効径は半導体素子80の
電子入射面84aの大きさで制限される。そこで、極力
大きな光電面22の有効径を確保するために、大きな電
子入射面84aを有する半導体素子80が必要となる。
【0035】図4に示すように、PDである半導体素子
80は、高抵抗n型ウェファの裏面からn型の不純物で
あるリンを高濃度に深く拡散させた拡散ウェファを基板
材料とし、裏面がn型高濃度コンタクト層81となった
高抵抗n型基板82の表面の周辺部分にリンを高濃度に
イオン注入して形成したn型チャンネルストップ層83
を有している。また、基板82の表面の中央部分には、
ボロンを高濃度に拡散して形成した円板状のp型入射面
層(降伏電圧制御層)84が形成され、入射面層84の
周辺部分には、チャンネルストップ層83の表面を覆う
酸化膜85及び窒化膜86が設けられている。更に、入
射面層84には、これに接触して入射面層84に電圧を
供給するアルミ膜の入射面電極87が設けられ、入射面
電極87と離間した位置には、チャンネルストップ層8
3と接触しているアルミ膜の帯電防止電極88が設けら
れている。このPD80の電子入射面84aは、実質的
には、入射面電極87の内径で規定されている。電子入
射面84aの直径は7.2mmが好適である。
【0036】そこで、電子管100の光電面22及びカ
ソード電極11には−16kV、アノード電極70には
+50Vを印加する。第1〜第3中間電極91〜93の
それぞれには、光電面22とアノード電極70との間の
電圧を按分するように、−12kV、−8kV及び−4
kVを印加する。このとき、カソード電極11とアノー
ド電極70と中間電極90Aとの協働により電子レンズ
が形成され、有効径8mmの光電面22から放出した電
子をアノード電極70の開口部71より小さい直径5m
mに縮小してPDである半導体素子80の電子入射面8
4aに導入する。一方、PD80には逆バイアスがかけ
られ、PD80のカソード側には、ステム31を介して
+50Vが印加され、アノード側には、貫通ピン32及
びワイヤー33を介して外部回路(処理回路)のグラン
ド電位が印加される。そして、貫通ピン32より直流信
号成分が出力される。
【0037】以上の電子管100に光が入射すると、光
電面22から真空中に電子が放出する。この電子はカソ
ード電極11と中間電極90Aとアノード電極70との
協働で形成される電子レンズにて加速されると共に収束
されて、中間電極90Aの開口部90Aa及びアノード
電極70の開口部71を通過した後、16keVのエネ
ルギーを有してPD80に入射する。この電子は、PD
80内でエネルギーを3.6eV失う毎に1個づつの電
子−正孔対を生成し、約4000倍され、これが電子管
100のゲインとなる。
【0038】また、セラミック製バルブ12を中間電極
90Aで4分割し、第1〜第3の中間電極91〜93の
それぞれに、光電面22とアノード電極70との間を按
分する電圧を印加している。従って、高い負電圧を光電
面22に印加しても絶縁破壊がおこらず、より高い打ち
込みゲインを得ることができる。さらに、電子軌道に近
い部分の空間の電位は中間電極90Aによって固定され
るので、仮にバルブ12の内周壁面12aが帯電して
も、電子軌道に影響を与えない。
【0039】前述した電子管100は、加速器を使った
高エネルギー実験でも使用される。この実験では、4T
(テスラ)の高磁界を発生する実験装置中に1万本を配
置し、シンチレーターの発光を捕らえる。ここで、限ら
れた実験スペースに多数の電子管を並べて配置すると
き、電子管のサイズが小さいことや、特性が均一である
ことも重要である。そこで、この電子管100は、イン
ジウム23による真空シール法を適用しているので、サ
イズを小さくできる。また、電子管100は、トランス
ファー装置内で、同時に且つ大量に作製されるので、光
電面22の感度等の特性がそろった均質な電子管を実現
できる。
【0040】さらに、電子管100においては、光電面
22から放出した電子を遮る遮蔽物がないので、高い磁
場中でも、大きな有効径が得られる。一般に、4T程度
の高磁界中では電界による電子レンズを作用することが
できないので、光電面22から放出した電子を電界を使
って小さく集束させることはできない。そこで、このよ
うな使用に耐える電子管100では、有効径8mmの光
電面22と、これにほぼ同等な有効径7.2mmの電子
入射面84aをもつ半導体素子80とを配置し、それら
の間には、直径7mmの開口部71を持つアノード電極
70のみを配置している。そして、管軸と同じ向きをも
った4Tの高磁界中で電子管100を動作させたとき、
光電面22の中心領域(直径7mmの部分)から放出し
た電子は、遮られることなく半導体素子80に入射す
る。よって、この電子管100では、高磁界中で7mm
の有効径が得られる。なお、言うまでもないが、このよ
うな高磁界中において一般的な光電子増倍管(PMT)
は使用できない。
【0041】本発明は、前述した実施形態に限定される
ものではない。例えば、第2実施形態の電子管100に
おいて、図5及び図6に示すように、アノード電極70
の開口部71に格子状のメッシュ電極72を配置させて
もよい。このメッシュ電極72は、ステンレス製のアノ
ード電極70を部分的にエッチングすることで作り出さ
れる。この場合、メッシュ電極72の線幅は50ミクロ
ンで、ピッチは1.5mmである。電子は、このような
メッシュ電極72の開口率(93%)の分だけ透過す
る。
【0042】アノード電極70の開口部71にメッシュ
電極72を設けた理由としては、アノード電極70の開
口部71を半導体素子80の電子入射面84aに合わせ
て大きくしたためである。すなわち、アノード電極70
の開口部71を大きくすると、光電面22側のマイナス
の電位の谷が開口部よりしみこんで、半導体素子80の
電子入射面84aで発生した正イオンのフィードバック
を抑制させる効果が低減するためである。そこで、メッ
シュ電極72を追加すると光電面22からのマイナスの
電位が電子入射面84側に侵入するのを防止できるの
で、イオンのフィードバック抑制効果を維持することが
できる。なお、アノード電極70の開口部71の最大径
はPD80の電子入射面84aより小さくなっている。
【0043】
【発明の効果】本発明による電子管は、以上のように構
成されているため、次のような効果を得る。
【0044】すなわち、ケースは、光電面側に位置し
て、光電面から放出した電子を半導体素子に照射する電
子レンズをアノード電極との協働で形成し、導電性材料
で一体成形されると共に、入力面板に低融点金属を介し
て接続されるリング状のカソード電極と、ステム側に位
置して、外端をステムに固定させたリング状の溶接電極
と、カソード電極と溶接電極との間に位置して、一端を
カソード電極の内端面に固定すると共に他端を溶接電極
の内端面に固定して、電気絶縁性材料からなるリング状
のバルブと、バルブを少なくとも2分割させると共にバ
ルブの分割部分に介挿させたリング状の中間電極と、を
同心状に積層配置したことにより、小型化が可能とな
り、限られた狭いスペースに多数の電子管を密に配列さ
せることができ、組立て作業性の極めて良い電子管が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子管の第1実施形態を示す断面
図である。
【図2】図1の電子管に利用される半導体素子を示す断
面図である。
【図3】本発明に係る電子管の第2実施形態を示す断面
図である。
【図4】図3の電子管に利用される半導体素子を示す断
面図である。
【図5】図3の電子管に適用するメッシュ電極を示す拡
大平面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】従来の電子管を示す断面図である。
【符号の説明】
1,100…電子管、10…ケース、11…カソード電
極、11a…カソード電極の内端面、11b,12a…
内周壁面、12…バルブ、13…溶接電極、13a…溶
接電極の内端面、13A…筒状本体、13B…第1フラ
ンジ部、13C…第2フランジ部、14…第1の開口、
15…第2の開口、21…入力面板、22…光電面、2
3…インジウム(低融点金属)、31…ステム、31a
…切欠き縁部、40,80…半導体素子、44a,84
a…電子入射面、60,70…アノード電極、61,7
1…開口部、90,90A…中間電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平野 賢 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 河合 克彦 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 長谷川 寛 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 森田 哲家 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の開口と前記第1の開口と反対側に
    位置する第2の開口とを有するケースと、 前記ケースの前記第1の開口側に設けられて、入射され
    た光に対応して電子を放出する光電面をもった入力面板
    と、 前記ケースの前記第2の開口側に設けられて、前記入力
    面板と共に真空領域を規定するステムと、 前記ステムの真空側に固着して、前記光電面より放出し
    た電子が照射される電子入射面を有する半導体素子と、 前記半導体素子と前記光電面との間で前記半導体素子の
    近くに位置して、電子を通過させる開口部をもったアノ
    ード電極とを備えた電子管において、 前記ケースは、 前記光電面側に位置して、前記光電面から放出した電子
    を前記半導体素子に照射する電子レンズを前記アノード
    電極との協働で形成し、導電性材料で一体成形されると
    共に、前記入力面板に低融点金属を介して接続されるリ
    ング状のカソード電極と、 前記ステム側に位置して、外端を前記ステムに固定させ
    たリング状の溶接電極と、 前記カソード電極と前記溶接電極との間に位置して、一
    端をカソード電極の内端面に固定すると共に他端を溶接
    電極の内端面に固定して、電気絶縁性材料からなるリン
    グ状のバルブと、 前記バルブを少なくとも2分割させると共に前記バルブ
    の分割部分に介挿させたリング状の中間電極と、を同心
    状に積層配置したことを特徴とする電子管。
  2. 【請求項2】 前記カソード電極の外形と前記バルブの
    外形と前記溶接電極の筒状本体の外形と前記中間電極の
    外形とを略同じにしたことを特徴とする請求項1記載の
    電子管。
  3. 【請求項3】 前記カソード電極の内周壁面は前記バル
    ブの内周壁面より内側に位置し、前記中間電極は、前記
    バルブの内周壁面から内方に突出することを特徴とする
    請求項1又は2記載の電子管。
  4. 【請求項4】 前記溶接電極は、前記ステムに抵抗溶接
    で接続されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    一項記載の電子管。
  5. 【請求項5】 前記溶接電極に設けられた前記筒状本体
    の一端には、外方に突出する第1フランジ部が形成さ
    れ、前記筒状本体の他端には、内方に突出する第2フラ
    ンジ部が形成され、前記ステムの外周には、前記溶接電
    極の第1フランジ部に嵌合する切欠き縁部が形成されて
    いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載
    の電子管。
  6. 【請求項6】 前記カソード電極には前記光電面と同一
    の電圧を供給し、前記アノード電極には前記溶接電極と
    同一の電圧を供給し、前記中間電極には、前記カソード
    電極の電圧と前記アノード電極の電圧のぼぼ中間の電圧
    を供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    項記載の電子管。
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