JPH10324780A - エラストマー組成物および空気入りタイヤ - Google Patents

エラストマー組成物および空気入りタイヤ

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JPH10324780A
JPH10324780A JP9241333A JP24133397A JPH10324780A JP H10324780 A JPH10324780 A JP H10324780A JP 9241333 A JP9241333 A JP 9241333A JP 24133397 A JP24133397 A JP 24133397A JP H10324780 A JPH10324780 A JP H10324780A
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electron beam
thermoplastic resin
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elastomer
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性を維持したまゝ、耐熱性および耐久性
に優れるエラストマー組成物を提供すること。 【解決手段】 電子線架橋型熱可塑性樹脂と電子線崩壊
型エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物に電
子線照射を施してなるエラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟性を維持した
まゝ耐熱性を向上させたエラストマー組成物に関し、更
には、このエラストマー組成物をガス透過防止層に使用
した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂フィルムに電子線を照射して、その
耐熱性および強度を向上させる技術は既に一般的であ
る。しかし、この技術をタイヤのようなゴムとの積層体
として動的に用いる場合には、電子線照射によってポリ
マーが三次元化されてヤング率が上がっているために耐
久性に欠け、フィルムクラック等が発生するという問題
があった。
【0003】また、ゴムと熱可塑性樹脂からなる熱可塑
性エラストマーをタイヤのインナーライナーに使用した
例もあるが(特願平8−183683号)、一般に、耐
久性の優れた柔軟な材料はその耐熱性が低く、タイヤ加
硫温度以下の融点をもっている熱可塑性樹脂をマトリッ
クスに使用した熱可塑性エラストマーでは、ブラダー離
型時、ブラダーへの付着、ブラダーとのこすれ等でタイ
ヤ内面が外観不良となる欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、上記実情
に鑑み、これらの問題点を解消すべく検討を進めた結
果、柔軟性を維持したまゝ、耐熱性および耐久性に優れ
たエラストマー組成物を提供すること、更には、空気入
りタイヤの空気透過防止層として該エラストマー組成物
を使用した場合に、柔軟性に優れつつ、その耐熱性、耐
久性にも優れた上、成形ブラダーへの付着がなく、した
がってその表面仕上がりも良好であるような、当該エラ
ストマー組成物の空気入りタイヤにおける空気透過防止
層への利用を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、電子線
架橋型熱可塑性樹脂と電子線崩壊型エラストマーを含む
熱可塑性エラストマー組成物に電子線を施してなるエラ
ストマー組成物が提供される。
【0006】また、本発明によれば、前記エラストマー
組成物を空気透過防止層に用いた空気入りタイヤが提供
される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成および作用
効果について説明する。本発明に従ったエラストマー組
成物に配合される電子線架橋型熱可塑性樹脂は、電子線
を照射したときに架橋する特性を有する熱可塑性樹脂を
用いることができ、これには、単独で電子線照射により
架橋するタイプの熱可塑性樹脂と、そのまゝ空気中で電
子線を照射すると崩壊するが、アクリル基やアリル基な
どをもつものを架橋助剤(例えば、トリアリルイソシア
ヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパントリア
クリレート、トリアリルシアヌレート等)として用いる
と空気中で照射しても架橋するタイプの熱可塑性樹脂の
両者がある。
【0008】前者のタイプの熱可塑性樹脂としては、例
えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリレー
ト、ポリアクリルアミド、ポリビニルクロライド、ポリ
酢酸ビニル、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドンおよびポリエステルなど
が含まれ、また、後者のタイプの熱可塑性樹脂には、例
えば、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどが含まれる。
【0009】本発明に従ったエラストマー組成物に電子
線架橋型熱可塑性樹脂成分として配合される前記熱可塑
性樹脂は、空気透過係数が25×10-12 cc・cm/cm2
・sec ・cmHg以下、好ましくは0.05×10-12 〜1
0×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHgの任意の前記樹
脂の単独およびこれらの混合物を用いることができ、そ
の配合量は、本発明によると全ポリマー成分の合計重量
当り15〜80重量%、柔軟性の点でより好ましくは1
5〜60重量%である。80重量%を超えると、混合は
可能であるが得られるエラストマー組成物の柔軟性に欠
け好ましくなく、また15重量%未満であれば、熱可塑
性エラストマー成分を含む連続相を形成させるのに不充
分で、本発明の所定エラストマー組成物を形成できなく
なる。
【0010】また、本発明に従ったエラストマー組成物
に配合される電子線崩壊型エラストマーは、電子線を照
射すると崩壊する特性を有する崩壊型ゴムと言われるも
のを用いることができ、これには、例えば、ポリイソブ
チレンゴム(IBR)、エピクロルヒドリンゴム(CH
R)、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム(IIR)
およびパラメチルスチレン−イソブチレン共重合体の臭
素化物(Br−IPMS)などがある。
【0011】本発明に従ったエラストマー組成物に電子
線崩壊型エラストマー成分として配合される前記エラス
トマーは、任意の前記ゴムの単独およびこれらの混合物
を用いることができ、その配合量は、本発明によると、
全ポリマー成分の合計重量当り20〜85重量%であ
り、好ましくは40〜80重量%である。20重量%未
満であれば、本発明のエラストマー組成物に必要な柔軟
性を与えるのに充分ではなく、また、85重量%超で
は、連続相をなす熱可塑性樹脂成分の量が充分ではな
く、混練および成形ができなくなるため好ましくない。
【0012】本発明に従ったエラストマー組成物に配合
される熱可塑性樹脂成分としては、前述したような電子
線架橋型の熱可塑性樹脂を用いることが必須であるが、
これに電子線崩壊型の熱可塑性樹脂を併用することがで
きる。しかし、その場合にも、本発明のエラストマー組
成物では、マトリックス相が電子線架橋型の熱可塑性樹
脂から構成されることが必要であるので、配合されるこ
れらの樹脂は、熱可塑性エラストマー製造時の混練条件
下で次の条件: α=(φd /φm )×(ηm /ηd )<1 但し、φd :電子線崩壊型熱可塑性樹脂の体積分率、 φm :電子線架橋型熱可塑性樹脂の体積分率、 ηd :電子線崩壊型熱可塑性樹脂の溶融粘度、 ηm :電子線架橋型熱可塑性樹脂の溶融粘度、 を満足するように選定使用される。
【0013】なお、こゝで、溶融粘度とは、混練加工時
の任意の温度、成分の溶融粘度をいい、各ポリマー材料
の溶融粘度は、温度、剪断速度(sec -1)及び剪断応力
の依存性があるため、一般に細管中を流れる溶融状態に
ある任意の温度、特に混練時の温度領域でのポリマー材
料の応力と剪断速度を測定し、下式(1)より溶融粘度
を測定する。
【数1】 なお、溶融粘度の測定には、東洋精機社製キャピラリー
レオメーター(キャピログラフ1C)を使用した。ま
た、本発明では、溶融粘度は、単一成分のものでなくて
もよく、各々二種以上のポリマーを使用する場合には構
成する熱可塑性樹脂成分として各ポリマー成分任意の混
練温度での溶融粘度の加重平均値を使用して算出するこ
とができる。
【0014】前記電子線崩壊型の熱可塑性樹脂として
は、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ
α−メチルスチレン、ポリメタアクリレート、ポリメタ
クリルアミド、ポリメタクリロニトリル、ポリビニリデ
ンクロライド、ポリ塩化三フッ化エチレンおよびポリ四
フッ化エチレンなどを挙げることができる。
【0015】また、本発明に従ったエラストマー組成物
には、前記マトリックス相を構成する電子線架橋型熱可
塑性樹脂に反応可能な官能基を有した熱可塑性樹脂(こ
の樹脂は、電子線架橋型、崩壊型のいずれも可)も配合
することができる。例えば、マトリックス樹脂がポリア
ミドである場合には、マレイン酸基、エポキシ基等をも
つ熱可塑性樹脂が、また、マトリックス樹脂がポリアク
リレート樹脂である場合には、水酸基、アミド基をもつ
熱可塑性樹脂が、さらに、マトリックス樹脂がポリ塩化
ビニル樹脂である場合には、アミド基をもつ熱可塑性樹
脂が使用される。かかる反応性官能基を有した熱可塑性
樹脂を本発明のエラストマー組成物に配合し、これをマ
トリックス樹脂材料と反応させる場合には、該マトリッ
クス樹脂材料の結晶構造を一部阻害して、それにより本
発明のエラストマー組成物における柔軟性を上げること
ができる。
【0016】本発明に従ったエラストマー組成物に配合
される電子線崩壊型エラストマー成分としては、これに
一部電子線架橋型のエラストマーを併用したものを用い
ることができる。当該電子線架橋型のエラストマーを少
量併用すると、電子線照射後の本発明のエラストマー組
成物における耐熱性および強度をその分高めることがで
きる。かかる電子線架橋型のエラストマーとしては、例
えば、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、エ
ポキシ化天然ゴム(ENR)、ブタジエンゴム(B
R)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、エ
チレンプロピレンターポリマー(EPDM)、クロロプ
レンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、シリコン
ゴム、フッ素ゴムおよび塩素化ポリエチレン(CPE)
などがある。
【0017】本発明のエラストマー組成物は、前記所定
の電子線架橋型熱可塑性樹脂成分と電子線崩壊型エラス
トマー成分を含む配合組成物を混練して、作製された熱
可塑性エラストマー組成物に電子線を照射して製造する
ことができる。
【0018】以下に、本発明のエラストマー組成物の製
造方法を詳しく説明する。本発明におけるエラストマー
組成物の製造方法は、予め電子線架橋型熱可塑性樹脂成
分と電子線崩壊型エラストマー成分(ゴムの場合は未加
硫物)、あるいはこれら成分と所要の前記他の配合成分
とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相を形成する
電子線架橋型熱可塑性樹脂中に電子線崩壊型エラストマ
ーあるいはこれと他の配合成分を分散させることによ
る。こゝで、他の配合成分として前記の電子線架橋型熱
可塑性樹脂に反応可能な官能基を有した熱可塑性樹脂を
配合する場合には、この配合成分は、前記溶融混練中に
電子線架橋型熱可塑性樹脂と反応結合する。電子線崩壊
型エラストマーを加硫する場合には、混練下で加硫剤を
添加し、電子線崩壊型エラストマーを動的加硫させても
よい。また、電子線架橋型熱可塑性樹脂または電子線崩
壊型エラストマーなどへの各種配合剤(加硫剤を除く)
は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混
合しておくことが好ましい。電子線架橋型熱可塑性樹脂
成分と電子線崩壊型エラストマー成分、あるいはこれら
成分と所要の配合成分との混練に使用する混練機として
は、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バン
バリーミキサー、2軸混練押出機等が挙げられる。中で
も分散性の点から、2軸混練押出機を使用するのが好ま
しい。さらに、2種類以上の混練機を使用し、順次混練
してもよい。溶融混練の条件として、温度は電子線架橋
型熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。ま
た、混練時の剪断速度は500〜7500sec -1である
のが好ましい。混練全体の時間は、30秒から10分、
また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は1
5秒から5分であるのが好ましい。
【0019】本発明の電子線崩壊型エラストマーの加硫
に用いられる加硫剤、加硫助剤や加硫条件(温度、時
間)等は、配合する電子線崩壊型エラストマーの組成に
応じて適宜決定すればよく、特に限定はない。加硫剤と
しては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることが
できる。具体的には、イオウ系加硫剤としては、粉末イ
オウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオ
ウ、不溶性イオウ、ジモルフオリンジサルファイド、ア
ルキルフェノールジサルファイド等が例示され、例え
ば、0.5〜4phr (エラストマー成分(ポリマー)1
00重量部当りの重量部)程度を用いればよい。
【0020】また、有機過酸化物系の加硫剤としては、
ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキ
サイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ
(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、
1〜15phr 程度を用いればよい。さらに、フェノール
樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭
素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナー
とアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が
例示され、例えば1〜20phr 程度を用いればよい。
【0021】その他として、亜鉛華(5phr 程度)、酸
化マグネシウム(4phr 程度)、リサージ(10〜20
phr 程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイル
キノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、
ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr 程度)、
メチレンジアニリン(0.2〜10phr 程度)が例示さ
れる。
【0022】また、必要に応じて、加硫促進剤を添加し
てもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニ
ア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド
系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般
的な加硫促進剤を、例えば0.5〜2phr 程度用いれば
よい。
【0023】具体的には、アルデヒド・アンモニア系加
硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等が;グ
アニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン
等が;チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチア
ジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチ
アゾールおよびそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等
が;スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘ
キシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、
N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェン
アマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスル
フェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾ
チアゾール等が;チウラム系加硫促進剤としては、テト
ラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラ
エチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラム
モノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウ
ラムテトラサルファイド等が;ジチオ酸塩系加硫促進剤
としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−
ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジ
チオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバ
メート、Tc−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジ
メチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカー
バメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等
が;チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウ
レア、ジエチルチオウレア等が;それぞれ開示される。
また、加硫促進剤としては、一般的なゴム用助剤を併せ
て用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr 程度)、
ステアリン酸やオレイン酸およびこれらのZn塩(2〜
4phr 程度)等を用いればよい。
【0024】前記した特定の電子線架橋型熱可塑性樹脂
と電子線崩壊型エラストマーの化学的相溶性が異なる場
合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相
溶化させるのが好ましい。系に相溶化剤を混合すること
により、電子線架橋型熱可塑性樹脂と電子線崩壊型エラ
ストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形
成している電子線崩壊型エラストマー(ゴム)粒子径が
微細になることから両成分の特性はより有効に発現され
ることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に
電子線架橋型熱可塑性樹脂成分、電子線崩壊型エラスト
マー成分の両方又は片方の構造を有する共重合体、或い
は電子線架橋型熱可塑性樹脂又は電子線崩壊型エラスト
マーと反応可能なエポキシ基、カルボキシル基、カルボ
ニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸
基等を有した共重合体の構造をとるものとすることがで
きる。これらは、混合される電子線架橋型熱可塑性樹脂
と電子線崩壊型エラストマーの種類によって選定すれば
よいが、通常使用されるものには、スチレン・エチレン
・ブチレン・スチレン系ブロック共重合体(SEBS)
及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM及びそれ
らのマレイン酸変性物、EPDM/スチレン又はEPD
M/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイ
ン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フ
ェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の
配合量には特に限定はないが、好ましくは、ポリマー成
分(電子線架橋型熱可塑性樹脂と電子線崩壊型エラスト
マーの総和)100重量部に対して0.5〜20重量部
がよい。
【0025】さらに、本発明に係る電子線照射前の電子
線架橋型熱可塑性樹脂と電子線崩壊型エラストマーを含
む熱可塑性エラストマー組成物には、エラストマーの分
散性や耐熱性などの改善その他のために一般的にエラス
トマーに配合される補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、
老化防止剤、加工助剤、色材などの配合剤も必要量任意
に配合することができる。
【0026】次いで、上記方法によって作製された前記
電子線架橋型熱可塑性樹脂と電子線崩壊型エラストマー
を含む熱可塑性エラストマーは、通常の熱可塑性樹脂の
Tダイ押出成形、インフレーション成形、またはカレン
ダー成形によってフィルム化される。このようにして得
られる薄膜は、前記電子線架橋型熱可塑性樹脂のマトリ
ックス中に高電子線崩壊型エラストマー比率で該エラス
トマー成分が不連続相として分散した構造をとる。
【0027】本発明に従えば、上記方法によってフィル
ム化された電子線架橋型熱可塑性樹脂と電子線崩壊型エ
ラストマー、あるいはこれらと他の配合成分、更に所要
の各種添加剤を配合して含む熱可塑性エラストマー組成
物に対して、所要の電子線を照射する。フィルムに電子
線を照射すると、マトリックス相を形成している電子線
架橋型熱可塑性樹脂成分が架橋を始め、逆に、分散相を
形成している電子線崩壊型エラストマー成分が崩壊をす
る。この結果、マトリックス相は3次元構造をとるため
に、流動しなくなり耐熱性が向上する。一方、マトリッ
クスが3次元化して、マトリックスの剛性が増した分、
分散相のエラストマーが崩壊して、柔軟化するため、エ
ラストマー組成物全体としての柔軟、低ヤング率は維持
される事となる。
【0028】電子線照射は、フィルムの少なくとも一方
表面から、加速電圧が例えば150kV以上、好ましくは
150〜250kV、より好ましくは200〜250kVで
照射し、照射量が2Mrad以上、40Mrad以下、
好ましくは5〜15Mradの範囲になるように照射す
るのがよい。この電子線照射に当っては、フィルム層に
トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレー
ト、またはトリメチロールプロパントリメタクリレート
等の電子線架橋助剤を添加する技術を併用することも可
能で、その添加量は特に制限はないが、好ましくは、フ
ィルム層を構成する電子線架橋型熱可塑性樹脂100重
量部当り1〜5重量部程度とするのがよい。このように
電子線架橋助剤を併用すると、電子線照射量等を少なく
することも可能である。その際の照射量は、2Mrad
以下であってもよく、40Mrad以下、好ましくは
0.1〜40Mrad、更に好ましくは1〜20Mra
dの範囲となるように照射することが好ましい。前記加
速電圧が150kV未満では表面から裏面まで均一な線量
にならない傾向があり好ましくなく、また前記照射量が
40Mradを超えると前記フィルムのゴム層との接着
性が低下する傾向があり好ましくない。
【0029】上記のようにして得られる本発明のエラス
トマー組成物は、柔軟性(ヤング率500MPa以下)
があるために耐久性が良好で、かつ耐空気透過性(空気
透過率25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下)
に優れ、加熱時温度でも流動しない耐熱性を有してい
る。
【0030】以下、本発明のエラストマー組成物を用い
て製造した空気透過防止層を有する空気入りタイヤにつ
いて説明する。本発明に係る空気入りタイヤの空気透過
防止層は、タイヤ内部の任意の位置、即ちカーカス層の
内側又は外側、或いはその他の位置に配置することがで
きる。要はタイヤ内部からの空気の透過拡散を防止し
て、タイヤ内部の空気圧を長期間保持することができる
ように配置することにより本発明の目的が達成される。
【0031】図1は、空気入りタイヤの空気透過防止層
の配置の典型例を例示する子午線方向半断面図である。
図1において、左右一対のビードコア1,1間にカーカ
ス層2が装架され、このカーカス層2の内側のタイヤ内
面には、インナーライナー層3が設けられている。この
インナーライナー層3は、本発明では前記タイヤ用ポリ
マー組成物から構成されている。図1において、4はサ
イドウオールを示す。
【0032】本発明のエラストマー組成物をタイヤの空
気透過防止層として用いる場合、空気透過係数が25×
10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下、好ましくは5
×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下である。空気
透過係数の下限は特にないが、事実上は0.05×10
-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHgである。空気透過量を2
5×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下にすること
によって空気透過防止層の厚さを従来の空気透過防止層
の厚さの1/2以下にすることができる。
【0033】一方、ヤング率は500MPa以下、好ま
しくは10〜300MPa、厚さが0.02〜1.0m
m、好ましくは0.05〜0.5mmである。ヤング率が
500MPa超では、走行時のタイヤ変形に追従できな
いので好ましくない。
【0034】また、本発明に係るエラストマー組成物の
薄膜からなる空気透過防止層を有する空気入りタイヤの
製造について、インナーライナー層をカーカス層の内側
に配置する場合の一例を説明すると、予め本発明の組成
からなる熱可塑性エラストマー組成物を所定の幅と厚さ
の薄膜状に押出し、これを所定の加速電圧と照射量から
なる電子線で照射した後、それをタイヤ成形用ドラム上
に円筒に貼り着ける。その上に未加硫ゴムからなるカー
カス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に
用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグ
リーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常
法に従って、加熱加硫することにより、所望の空気入り
タイヤを製造することができる。なお、カーカス層の外
周面に空気透過防止層を設ける場合にも、これに準じて
行うことができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を更に具体的に
説明するが、本発明を以下の実施例に限定するものでな
いことは言うまでもない。
【0036】以下の実施例および比較例の各例の配合に
使用した配合成分は、以下の市販品を用いた。熱可塑性樹脂成分 ナイロン11:リルサンBMN O(アトケム製)…電
子線架橋型 ナイロン6−66共重合:アミランCM6001(東レ
製)…電子線架橋型 ポリプロピレン/ポリエチレン共重合体:PER・M5
52E(トクヤマ)…電子線崩壊型 マレイン酸変性EEA:日石NポリマーA1600(日
本石油化学)…電子線架橋型 エポキシ変性EMA:ボンドファースト7L(住友化
学)…電子線架橋型エラストマー成分 Br−IPMS:EXXPRO 98−4(エクソン化
学製)…電子線崩壊型 HNBR:Zetpol 1020(日本ゼオン製)…
電子線崩壊型 ENR:50% Epoxidized Natura
l Rubber(Malaysia製)…電子線架橋
エラストマー成分の加硫系成分 亜鉛華:亜鉛華3号(正同化学製) ステアリン酸亜鉛: (正同化学製) ステアリン酸:ビーズステアリン酸NY(日本油脂製) TT:ノクセラーTT(大内新興化学製) M:Nocceler M(大内新興化学製) S:粉末イオウ(軽井沢精錬所)熱可塑性樹脂分の架橋助剤 TAIC:パーカリンク301−70DPD(アクゾケ
ミカル製)
【0037】なお、比較例3で使用した、現用ブチルゴ
ム系の配合成分は次のとおりである。 臭素化ブチルゴム :エクソンブロモブチル224
4 エクソン化学(株)製 FEFカーボンブラック:HTC100 中部カーボン
(株)製 ステアリン酸 :ルナックYA 花王(株)製 酸化亜鉛 :銀嶺亜鉛華 東邦亜鉛(株)
製 硫黄 :粉末硫黄 軽井沢精錬所
(株)製 加硫促進剤(NS) :ノクセラーNS−P 大内新
興化学工業(株)製 アロマオイル :コウモレックス300 日本
石油(株)製
【0038】サンプルの調製 下記の表Iに示すマトリックス樹脂成分としての所定の
熱可塑性樹脂成分のペレットを、あるいは実施例6〜1
0および比較例4の場合には、このペレットと他の所定
の熱可塑性樹脂成分のペレットを2軸混練押出機の第一
の投入口より投入し、溶融混練した後に、第二の投入口
よりエラストマー成分のペレットを投入混練し、マトリ
ックス樹脂組成物中にエラストマー成分を、あるいはこ
の成分と他の熱可塑性樹脂成分を微細に分散させた後、
第三の投入口より表Iに示す加硫系配合剤を投入して、
エラストマー成分を動的に架橋(加硫)させエラストマ
ー相の分散を固定化させた。最後に、第四の投入口より
熱可塑性樹脂の架橋助剤を投入し、得られた熱可塑性エ
ラストマー組成物を2軸混練押出機の吐出口よりストラ
ンド状に押出し、該ストランドを水冷した後に樹脂用ペ
レタイザーでペレット化した。次に、このペレットをT
ダイヘッドを装置した樹脂用単軸押出機を用いて厚さ1
50μmのフィルム状に成形した後、所定の電子線を照
射し、該フィルムをヤング率および空気透過係数の試験
に供した。但し、比較例1および3のものでは、電子線
照射を行っていない。
【0039】また、上記で得られた電子線を照射した1
50μm厚さのフィルムを使用し(但し、比較例1およ
び3では電子線照射を行わないもの)、タイヤ成形用ド
ラムに巻き、その上に以下の配合(I)のゴムをコート
したカーカス、サイドベルト、トレッド等のタイヤ部材
を積層させ、インフレートさせてグリーンタイヤとし
た。グリーンタイヤは、加硫機で180℃、10分間加
硫させ、タイヤサイズ165SR13の図1に示すよう
なタイヤに仕上げた。
【0040】ゴム組成物の配合(I) 配合成分 重量部 市販品(生産会社) 天然ゴム 80 SIR−20 SBR 20 ニッポール1502(日本ゼオン製) FEFカーボンブラック 50 HCT#100(中部カーボン製) ステアリン酸 2 ビーズステアリン酸NY(日本油脂製) ZnO 3 3号亜鉛華 硫黄 3 粉末硫黄(軽井沢精錬所) 加硫促進剤 1 N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスル フェンアミド アロマオイル 2 デソレックス3号(昭和シェル石油製) そして、このタイヤを用いて、タイヤ内部外観、空気漏
れ性能および耐久性試験を実施した。
【0041】なお、以下の例において使用した測定法、
評価方法は、次のとおりである。フィルムのヤング率の測定法 JIS K6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じ
た。 試験片:各例で作成したフィルムサンプルを、フィルム
の押出成形時の樹脂の押出方向に平行にJIS3号ダン
ベルで打ち抜いた。得られた応力〜歪曲線の初期歪領域
の曲線に接線を引き、その接線の傾きよりヤング率を求
めた。
【0042】フィルムの空気透過係数測定法 JIS K7126「プラスチックフィルム及びシート
の気体透過度試験方法(A法)」に準じた。 試験片:各例で作成したフィルムサンプルを用いた。 試験気体:空気(N2 :O2 =8:2) 試験温度:30℃
【0043】タイヤ内部外観 耐熱性の低いものは、タイヤ加硫後フィルムが部分的に
加硫ブラダーにとられたり、もしくは、表面層が破壊
し、ザラザラ状に変質する。このようなものを不合格
(×)とする。また、タイヤ性能には影響しないが商品
性が低下するものを△とする。これら異常なきものを合
格(○)とする。
【0044】タイヤ空気漏れ性能試験法 165SR13スチールラジアルタイヤ(リム13×4
1/2−J)を使用して、初期圧力200kPa 、無負
荷条件にて室温21℃で3ケ月間放置して測定間隔4日
毎に圧力を測定した。測定圧力Pt 、初期圧力Po およ
び経過日数tとして、関数: Pt /Po =exp(−αt) に回帰してα値を求める。得られたαを用い、t=30
を下式に代入し、 β=〔1−exp(−αt)〕×100 β値をえる。このβ値を1ケ月当りの圧力低下率(%/
月)とする。
【0045】インナーライナー層の耐久性試験法 165SR13スチールラジアルタイヤ(リム13×4
1/2−J)を使用し、空気圧を200kPa として、
1500ccクラスの乗用車に装着して、4名乗車時相当
荷重(65kg/人)を与え、実路上を2万km走行する。
走行後に、タイヤをリムから外してタイヤ内面のライナ
ー層を目視観測する。ライナー層にクラック、目視でき
るしわ、ライナー層の剥離・浮き上がりがあるものを不
合格(×)、ないものを合格(○)と判定する。
【0046】実施例1〜10および比較例1〜4 結果を表Iに示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表Iの結果より、本発明の要件を満足する
エラストマー組成物からなる実施例1〜10のもので
は、ヤング率も高くなく(柔軟性がある)、タイヤ内部
外観性も良好で(耐熱性に優れる)、その他の空気透過
係数、空気漏れ性能および耐久性の点でも優れているこ
とが示されている。これに対して、比較例1に示される
ように、前記実施例1と同じ組成の熱可塑性エラストマ
ー組成物であっても、これに所定の電子線を照射しない
ものでは、その熱可塑性樹脂成分が流動し、タイヤ内部
でインナーライナー層の溶融粘着が起り、その結果とし
てタイヤ内部外観性および空気漏れ性能が極端に劣るこ
とがわかる。また、比較例2におけるように、その熱可
塑性樹脂成分およびエラストマー成分に共に電子線架橋
型のものを用いた場合には、その熱可塑性エラストマー
組成物に電子線を照射すると、これら両成分の架橋が進
み、その結果、ヤング率が高くなり過ぎ(剛直とな
る)、また耐久性も悪いことがわかる。また、比較例4
におけるように、その熱可塑性樹脂成分において電子線
崩壊型の熱可塑性樹脂を多く配合し過ぎると、所要の電
子線架橋型の熱可塑性樹脂がマトリックス相を形成でき
なくなるため、タイヤ内部でインナーライナー層の剥離
脱落が起こり、そのタイヤ内部外観性および空気漏れ性
能が極端に劣ることがわかる。更に、実施例1と実施例
5を比較してみると、電子線照射量の大小により、タイ
ヤ内部外観性に差が生じ、よって、熱可塑性エラストマ
ー成分の架橋化の程度は、電子線の照射量に影響される
ことがわかる。なお、比較例3の現用ブチルゴム系を用
いたものでは、ヤング率が小さ過ぎて、空気透過係数も
大であり、これと比較しても、本発明のものは、これら
特性の点でバランスよく優れていることがわかる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
柔軟性を維持したまゝ、耐熱性および耐久性に優れるエ
ラストマー組成物を得ることができ、これを空気入りタ
イヤのインナーライナー層に用いることで、性能の優れ
たタイヤが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエラストマー組成物をインナーライナ
ー層(空気透過防止層)に使用した空気入りタイヤの構
造を示す子午線方向断面図である。
【符号の説明】
1…ビードコア 2…カーカス層 3…インナーライナー層 4…サイドウォール

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子線架橋型熱可塑性樹脂と電子線崩壊
    型エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物に電
    子線照射を施してなるエラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性エラストマー組成物が、更
    に電子線崩壊型熱可塑性樹脂及び/又は電子線架橋型エ
    ラストマーを含んでなる請求項1に記載のエラストマー
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記電子線架橋型熱可塑性樹脂が、マト
    リックス相を構成している請求項1に記載のエラストマ
    ー組成物。
  4. 【請求項4】 前記マトリックス相を構成する電子線架
    橋型熱可塑性樹脂に反応可能な官能基を有した熱可塑性
    樹脂を含んでなる請求項3に記載のエラストマー組成
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエ
    ラストマー組成物からなるフィルムを空気透過防止層に
    用いた空気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記電子線照射後のエラストマー組成物
    からなるフィルムの物性が、ヤング率500MPa以
    下、空気透過率25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cm
    Hg以下である請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 【請求項7】 前記電子線照射のエネルギーが、2Mr
    ad以上である請求項5または6に記載の空気入りタイ
    ヤ。
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