JPH10330646A - 水性無機質塗料用組成物および塗膜形成方法 - Google Patents

水性無機質塗料用組成物および塗膜形成方法

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JPH10330646A
JPH10330646A JP15733997A JP15733997A JPH10330646A JP H10330646 A JPH10330646 A JP H10330646A JP 15733997 A JP15733997 A JP 15733997A JP 15733997 A JP15733997 A JP 15733997A JP H10330646 A JPH10330646 A JP H10330646A
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inorganic
potassium silicate
water
coating film
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Shiro Tago
四郎 多胡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期の屋外暴露においても、耐水性、防錆
性、耐エフロレッセンス性、耐汚染性、及び耐薬品性な
どの諸特性に優れた塗膜を形成することができる経済的
な可溶性珪酸カリウム系の水性無機質塗料を提供する。 【解決手段】 可溶性珪酸カリウムと水性シリカゾルか
らなる無機質塗料用バインダーを主成分とする水性無機
質塗料用組成物において、前記無機質塗料用バインダー
が、可溶性珪酸カリウム水溶液と水性シリカゾルを加熱
溶解させて調製したSiO2/K2Oのモル比が5.4〜
10.0のものであることを特徴とする水性無機質塗料
用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期の屋外暴露に
おいても、耐水性、防錆性などに優れた無機質塗膜を形
成することができる可溶性珪酸カリウムと水性シリカゾ
ルからなる水性無機質塗料用組成物及びその塗膜形成方
法に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、従来の珪酸カリ
ウムと超微粒子状のシリカからなる無機質塗料用バイン
ダーの限界を克服したSiO2/K2Oが高モル比の耐水
性、防錆性、耐エフロレッセンス、及び耐汚染性などの
諸特性、及び実用的な硬化特性を有する珪酸カリウム/
シリカ系の無機質塗料用組成物及びその塗膜形成方法に
関する。
【0003】
【従来の技術】従来、可溶性珪酸塩(水ガラス)水溶液
は造膜性に優れているため、無機質塗料への応用が試み
られてきた。しかしながら、水ガラスから形成される塗
膜は、耐水性が十分でない。また、元来、水ガラスの如
何なる乾燥塗膜であっても、塗膜中に多量に存在するア
ルカリ成分が、空気中の湿気を引き寄せるため、水ガラ
スから得られた塗膜は親水性を示す。前記した親水性
は、塗膜からのアルカリ成分の溶出を容易にするばかり
か、塗膜表面に析出したアルカリ成分は塗膜を攻撃し、
硬化塗膜中のシロキサン結合を切断して塗膜を破壊した
り、空気中の炭酸ガスによりエフロレッセンスを引き起
こす欠点がある。なお、前記エフロレッセンス(白華)
とは、「水に溶けて構造物の表面に運ばれ、そこで析出
した物質」ということができる。更に詳しくいうと、ア
ルカリ珪酸塩系無機質塗料においては、その硬化塗膜中
の可溶性成分(網目構造中に固定化されていないアルカ
リ成分)が、硬化膜(塗膜)内部から表面部に移行して
表面に析出し、空気中の炭酸ガスや水の存在で、K2
3、KHCO3、などを生成析出し白華となることをい
う。
【0004】前記した水ガラス系の無機質塗料の問題点
を解決するために、(i).可溶性珪酸塩を水難溶性にした
り、あるいは、(ii).アルカリ成分を固定化する目的
で、金属酸化物(ZnO,MgO、CaOなど)、金属
水酸化物[Ca(OH)2、Mg(OH)2など]、珪酸
塩、珪フッ化物(CaSiO3、Na2SiF6、K2Si
6Fなど)、リン酸塩[Al(PO33、ZnO・P2
5、MO・nAl23、m2PO5、AlH2310・2
2Oなど]、ホウ酸塩(KBO2、CaB47など)な
どの硬化剤を使用する方法が知られている。しかしなが
ら、前記した改善策は、ポットライフが短い欠点と透明
な塗膜の形成が不可能であり、さらに有色塗料において
は、硬化剤によって着色剤本来の色調が損ねられたりす
る。その上、雲母を使用したパール顔料による虹彩、あ
るいはメタリック調のカラーを得ることは難しいという
欠点がある。
【0005】また、耐水性、耐エフロレッセンス性、及
び防錆性を改善し、さらに一液性で実用上問題のないポ
ットライフを有する塗料を得るために、可溶性珪酸カリ
ウム(一般式K2O・nSiO2で示される。)の水溶液
に超微粒子状シリカ粉末を加熱溶解させて調製したシリ
カ/酸化カリウム(SiO2/K2O)のモル比が比較的
高い珪酸カリウム系塗料用バインダーを利用する方法が
提案されている(特開平2−129269号公報参
照)。なお、前記した珪酸カリウム系塗料用バインダー
(特開平2−129269号公報)は、後述するよう
に、本発明の直接の改良の対象になるものであり、以
下、このものについて詳しく考察する。
【0006】前記した従来の可溶性珪酸カリウム水溶液
に超微粒子状シリカ粉末を加熱溶解する方法は、可溶性
珪酸カリウム水溶液への超微粒子状シリカ粉末の溶解に
は限界があり、SiO2/K2Oモル比が5.3以上の完
全溶解溶液を得ることが出来ない。このため、即ち、前
記したようにSiO2/K2Oの高モル比の珪酸カリウム
系バインダーが調製できないことに起因して、下記に示
す種々の欠点が招来される。
【0007】不溶の超微粒子状シリカ粉末の存在は、ク
リアー塗膜の中に超微粒子が点在するようになるため外
観を損ねること。また、不溶解性の微粒子状シリカは構
造性を持つため、溶液がチキソトロピー性を呈し、増粘
と流動性を失うため塗装に不可能な状態となる欠点があ
る。
【0008】前記した公知の低モル比(4.0〜5.
3)のアルカリ珪酸カリウムから得られるバインダー
は、フッ素塗料において期待できる耐薬品性、とくに耐
アルカリ性及び防錆性の特性において、十分とは言いが
たい。このことは、形成される塗膜の架橋度が低く、か
つ緻密性に欠けることを意味するものである。また、前
記した架橋度の低さは、元来、アルカリ珪酸塩系の塗膜
の特長である親水性に大きく寄与するアルカリ金属を、
屋外暴露などの降雨に曝される条件下において、塗膜外
に流出させてしまい、その効果(親水性の付与効果)を
未架橋のシラノール基のみに依存せざるを得なくするた
め、経時的にみて殆ど失効する状態となる。
【0009】前記した公知の低モル比(4.0〜5.
3)のアルカリ珪酸カリウムから得られるバインダー
は、耐エフロレッセンス性及び防錆性が十分であるとは
言えない。すなわち、塗装材の設置雰囲気(高温、高湿
度)により、或いは、養生シート包装で屋外に放置され
て雨水が侵入し、かつ高温に曝されることにより、エフ
ロレッセンスを引き起こす欠点がある。また、鋼材への
クリアー塗装あるいは無機質塗料の塗装の両態様とも、
屋外暴露において短時間で錆の発生を見る。さらに、実
用的な美粧性、光沢性を確保するとともに、隠蔽性を確
保するためには、高膜厚にする必要があるため、塗膜形
成時に極めて厳密かつ、長時間の昇温方式を採用しなけ
れば発砲を起こす欠点がある。
【0010】可溶性珪酸カリウム(水ガラス)系塗料の
塗膜に撥水性を付与するためにナトリウム・メチルシリ
コネートを添加することは知られているが(東レ・ダウ
コーニング No.R006)、従来の低モル比の可溶性珪酸
カリウム系バインダーでは、塗膜の耐久性に問題があ
り、かつ屋外では降雨によりナトリウム・メチルシリコ
ネートの溶出が大きく撥水性が短期に消失してしまうと
いう欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の可溶
性珪酸カリウムから得られる塗料の欠点を解消するため
に創案されたものである。即ち、本発明者らは、可溶性
珪酸カリウムから得られる塗料として、耐水性、防錆
性、耐エフロレッセンス性、及び耐汚染性などの諸特性
に優れ、かつ発砲の危険性のない薄膜で塗膜の隠蔽性や
光沢性を得るための易施工性を目標とした水性無機質ク
リアー塗料組成物、あるいは前記クリアー塗料に無機質
顔料や無機質充填剤を配合した水性無機質塗料用組成
物、及び前記塗料組成物の塗膜形成方法を開発すべく鋭
意検討を重ねた。
【0012】その結果、本発明者らは、可溶性珪酸カリ
ウムの水溶液とシリカ源として従来の超微粒子状のシリ
カ粉末を使用せずに、水性シリカゾルを組み合わせ、こ
れを加熱溶解させることにより従来技術よりもSiO2
/K2Oの高モル比(5.4〜10.0)の可溶性珪酸
カリウム系塗料用バインダーを容易に調製することがで
きること、かつ前記バインダーをベースとした塗料用組
成物が優れた諸特性を発現すること、更に塗膜成形の易
施工性に優れている、という重要な知見を見い出した。
【0013】本発明は、前記知見をベースにして完成さ
れたものである。本発明により、SiO2/K2Oモル比
が従来のモル比(4.0〜5.3)よりも高モル比
(5.4〜10.0)の可溶性珪酸カリウム系塗料用バ
インダーをベースとし、塗膜性能、塗膜形成性(易施工
性)、及び経済性(製造の容易性)などに優れた水性無
機質塗料用組成物が提供される。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第一の発明は、可溶性珪酸カリウムと水性シリカ
ゾルからなる無機質塗料用バインダーを主成分とする水
性無機質塗料用組成物において、前記無機質塗料用バイ
ンダーが、可溶性珪酸カリウム水溶液と水性シリカゾル
を加熱溶解させて調製したSiO2/K2Oのモル比が
5.4〜10.0のものであることを特徴とする水性無
機質塗料用組成物に関するものである。
【0015】また、本発明の第二の発明は、前記第一の
発明に関する水性無機塗料用組成物を、各種の基材上に
塗布し、加熱硬化、例えば150〜250℃に加熱硬化
させ、耐水性、防錆性、耐エフロレッセンス性、及び耐
汚染性などの諸特性に優れた塗膜を形成する方法に関す
るものである。
【0016】以下、本発明の技術的構成及び実施態様を
更に詳しく説明する。
【0017】本発明の水性無機質塗料用組成物は、前記
したように従来の可溶性珪酸アルカリ水溶液と超微粒子
状シリカ粉末とから調製する可溶性珪酸カリウム系塗料
用バインダー(特開平2−129269号公報)の欠
点、限界に鑑み、可溶性珪酸アルカリ水溶液と水性シリ
カゾルとから従来技術では調製することができない高い
SiO2/K2Oモル比の可溶性珪酸カリウム系塗料用バ
インダーをベースとした点に最大の特徴点がある。
【0018】まず、本発明の前記した特徴点の理解を助
けるために、本発明と従来法(特開平2−129269
号公報)の可溶性珪酸カリウム系塗料用バインダーの調
製法と調製されたバインダーの特性について説明する。
両者を比較するために、下記の実験(1)を行なった。な
お、下記の実験(1)において、従来法は厳密には前記特
開平2−129269号公報に開示のものではなく、生
成バインダーのSiO2/K2Oのモル比が本発明と同じ
領域になるようにしたものである。そして、本発明者ら
は、下記の従来法は、本発明の特徴点を評価する上で最
適な比較例であると考えている。
【0019】<実験例(1)> (i).本発明の塗料用バインダー:可溶性珪酸カリウム
(商標名:A珪酸カリ、日本化学工業(株)製)250
g(固形分換算:100重量部)をビーカーに入れ、9
0〜100℃の間で加熱攪拌しながら水性シリカゾル
(商標名:スノーテックス20、日産化学工業(株)
製)308g(固形分換算:61.5重量部)を加え
て、更に30分加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し
て全量が568gになるように水を添加して、SiO2
/K2Oのモル比5.9、固形分28%の珪酸カリウム
水溶液(塗料用バインダー)を調製した。
【0020】(ii).従来法の塗料用バインダー:次に、
前記と同種、同量の可溶性珪酸カリウムをビーカーに入
れ、室温で攪拌しながら、同種、同量の水性シリカゾル
を加えて、更に30分間攪拌し、先と同様に、全量が5
69gになるように水を添加して、モル比65.8、固
形分28%の珪酸カリウム溶液を調製した。
【0021】両者(i)及び(ii)の粘度を岩田粘度カップ
I.H.S NK−2(25℃)で測定し、さらに粘性、
溶液外観を目視で観察した。その後、両液を室温で、2
0日間放置した後、再度、粘度測定を実施し、経時変化
の有無を調査した。その結果を下記の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】前記<表1>に示されるように、従来法に
おいては、塗料用バインダーとして、流動特性が適切な
粘度(粘稠度)のものを調製することが難しいことを示
している。また、従来法においては、未溶解シリカがル
アルカリ珪酸塩に徐々に溶解すること、更に未溶解シリ
カの超微粒子は構造性を示すために溶液が増粘する欠点
があることを示している。
【0024】本発明の水性無機質塗料用組成物におい
て、可溶性珪酸アルカリは、一般式K2O・nSiO2
示される珪酸カリウム水溶液であり、SiO2/K2Oの
モル比が約2〜4の市販品水溶液が使用できる。前記可
溶性珪酸カリウムとして、例えば、A珪酸カリ、2K珪
酸カリ(以上、日本化学工業(株)社製)などを挙げる
ことができる。
【0025】本発明の水性無機質塗料用組成物におい
て、可溶性珪酸カリウムに加熱溶解される水性シリカゾ
ルは、負に帯電した無定型シリカが水中に分散したもの
(無水珪酸のコロイド溶液)で、その粒子径は、例えば
1〜100nmである。前記水性シルカゾルとして、例
えば、アデライトAT−20(旭電化工業(株)社
製)、スノーテックス20、スノーテックス30、スノ
ーテック40(以上、日産化学工業(株)社製)などを
挙げることができる。
【0026】本発明において、前記水性シリカゾルは、
通常、コロイダルシリカと呼ばれるものであり、無水珪
酸の超微粒子を水に分散せしめたコロイド溶液である。
その粒子径は、前記したように1〜100nmの範囲の
ものなどがある。前記水性シリカゾルとして、安定化の
ために(i)Na2OでpH=8〜11としたもの、(ii)ア
ンモニアでpH=9〜10としたもの、(iii)アルカリ
性で粒子表面をAlで処理しpH=8〜9としたもの、
及び、(iv)酸性で、純粋な無水珪酸のコロイド溶液のp
H=2〜4のもの、などがある。前記した各種の水性シ
リカゾルのうち、下記の実験(2)から酸性タイプの水性
シリカゾルは、可溶性珪酸カリウム水溶液に加えるとゲ
ル化するため使用しがたいことが判明した。
【0027】<実験例(2)>可溶性珪酸カリウム(商標
名:A珪酸カリ、日本化学工業(株)製)100gをビ
ーカーに入れ90〜100℃に加熱し、つづいて、攪拌
しながら下記<表2>に示される各種の水性シリカゾル
(商標名:スノーテックス、日産化学工業(株)製)を
108g添加し(SiO2/K2Oのモル比5.5)、そ
の溶解性を調べた。結果を<表2>に示す。なお、下記
<表2>において、スノーテックCは、スノーテックス
20の粒子表面をAlで処理したものであり、またスノ
ーテックNは、アンモニアで安定化したものである。
【0028】
【表2】
【0029】本発明において、可溶性珪酸カリウム水溶
液に対して前記水性シリカゾルを加熱攪拌下で溶解し、
水性無機質塗料用バインダーの骨格を形成せしめる。前
記水性シリカゾルの溶解量は、水性無機質塗料用バイン
ダーにおいて、SiO2/K2Oモル比で5.4〜10.
0が好ましい。前記モル比が5.4以下の場合、アルカ
リ量に左右される塗膜の耐エフロレッセンス性、及び網
目(架橋)構造の不十分な発達による防錆性に問題を生
じるアルカリ(K)量となる。また、前記モル比が1
0.0を超える場合、アルカリ(K)量が少なくなり、
素地との付着性や耐クラック性などの塗膜特性の上で問
題が出るため好ましくない。
【0030】本発明の水性無機質塗料用組成物は、前記
SiO2/K2Oの高モル比の珪酸カリウム系塗料バイン
ダーに各種の添加剤や配合剤を添加して構成されるもの
である。以下、これら配合成分について説明する。な
お、本発明の水性無機質塗料用組成物において、配合成
分は下記に説明するものに限定されず、当業界におい
て、慣用のものが使用できることはいうまでもないこと
である。
【0031】本発明の水性無機質塗料用組成物におい
て、塗膜に親水性と撥水性の両性を具備させるために、
アニオン系有機化合物を使用することは有用である。従
来のSiO2/K2Oの低モル比の珪酸カリウム系塗料用
バインダーにおいては、塗膜の網目(架橋)構造が不十
分なため、これに撥水性などを付与するために添加され
るアニオン系有機化合物は、例えば屋外暴露での降雨に
より塗膜外表面に流出し、塗膜の撥水性などを急速に消
失する。一方、本発明のSiO2/K2Oの高モル比のも
のにおいては、前記欠点が解消される。この点も、本発
明の大きな特徴点である。
【0032】本発明の水性無機質塗料用組成物におい
て、前記アニオン系有機化合物としては、広く市販され
ているカルボンサン系、硫酸系、エステル系、スルフォ
ン酸系、フッ素系アニオン化合物、シリコネート系を挙
げることができる。これらアニオン系有機化合物は、塗
膜中に残存した時、耐水性を著しく低下させないことが
好ましいことはいうまでもないことである。アニオン系
有機化合物の適性について、下記の実験(3)を行なっ
た。
【0033】<実験例(3)>可溶性アルカリ珪酸塩(商
標名:A珪酸カリ、日本化学工業(株)製)100gを
それぞれビーカーに入れ90〜100℃に攪拌し、加熱
する。次に、水性シリカゾル(商標名:アデライトAT
−20、旭電化工業(株)製)108gを添加し、(S
iO2/K2Oのモル比5.5)、完全に溶解した後、下
記<表3>に示される各種のアニオン性有機化合物14
gをそれぞれのビーカーに添加し、10分間加熱攪拌
し、室温に冷却後、固形分20%溶液とした。各溶液に
アルカリ脱脂したステンレスSUS304(0.8×50×1
00mm)を浸漬塗布し、各塗布板を220℃×20分硬化
した。各塗板の硬化直後、沸騰水試験後の塗膜表面試験
を実施した。その結果を<表3>に示す。なお、下記<
表3>において、油性黒マジック汚染消去性は、塗布板
に落書きした油性黒マジックの水拭き消去性を評価する
ものであり、また、撥水性は塗布板に散布し、水のハジ
キ性を評価したものである。
【0034】
【表3】
【0035】前記<表3>から分かるように、塗膜の耐
水性を低下させないためには、アニオン性有機化合物と
しては、フッ素系アニオン化合物、シリコネート系アニ
オン化合物、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸
カリ、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、アルカリ・アルキルシリコネートなどが好ましい
ものである。
【0036】本発明において、前記アニオン系有機化合
物は、例えば、ポリ珪酸カリウムSin3n 2n-の核(S
i)に吸着し、(イ)吸着したアニオン基は硬化塗膜の
疎水化に有効に作用し、即ち塗膜を撥水性にし、本来ア
ルカリ珪酸塩系塗膜が保有している親水性機能と合わせ
た撥水・親水両性を持つものとなる。また、(ロ)吸着
したアニオン基は、硬化時の体積収縮を緩和する働きが
あり、塗膜のクラック防止に一役を果たす。アニオン系
有機化合物として、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、ス
ルホン酸塩、リン酸エステル塩などの所謂アニオン系界
面活性剤、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、フルオ
ロアルキルベンゼンスルホン酸塩などのフッ素系界面活
性剤及び、水溶性シリコネートなどがある。これらアニ
オン系界面活性剤は、前記(イ)及び(ロ)には比較的
有効であるが、塗膜性能、特に耐水性に問題を生じるも
のがある。また、フッ素系界面活性剤は(イ)及び
(ロ)には有効であっても、本発明の珪酸アルカリ系塗
料用バインダー液への溶解性に限界があるものがある。
【0037】本発明において、これらアニオン系有機化
合物のうち、前記<表3>に示されるように水溶性シリ
コネートとして、アルカリ・アルキルシリコネートは、
前記(イ)及び(ロ)はもとより、多くの塗膜性能を向
上させることができるため、最も好ましいものである。
本発明において、前記アニオン系有機化合物の添加量
は、前記珪酸カリウム系塗料用バインダー(固形分換
算)100重量部に対して、3重量部以下では(イ)に
効果がなく、また15重量部以上では、耐沸騰水性や耐
エフロレッセンス性を劣化させるので好ましくない。な
お、前記したように、例えばアニオン系有機化合物とし
てアルカリ・アルキルシリコネートを使用する場合、こ
の有機化合物がアルカリ塩となっているため、多くを添
加すれば、当然、前記したような欠点を生むことは明白
である。
【0038】本発明の水性無機質塗料用組成物におい
て、各種の無機系配合剤を添加することができる。前記
無機系配合剤は、例えば、無機顔料、パール顔料、及び
無機質充填剤などであり、これらのものとしては、市販
のものを広く使用することができる。前記した無機顔料
としては、酸化チタン系白色顔料、酸化コバルト系ブー
ルー顔料、酸化鉄系ブラウン顔料など、パール顔料とし
ては雲母一酸化チタン系無毒性パール顔料などが使用で
きる。また、無機質充填剤としては、タルク、雲母、ア
ルミナ、酸化ジルコニウム、β−ユークリタイトなどを
挙げることができる。
【0039】本発明において、無機顔料、パール顔料は
塗料の着色剤として用いられ、また無機充填剤は塗料の
サテン調を表現する着色剤として、あるいは粘度調整剤
及び増量剤などとして用いられるものである。本発明に
おいて、前記した無機系配合剤の配合量は、前記珪酸カ
リウム系塗料用バインダー(水性無機クリアー)の固形
分100重量部に対し、例えば80〜200重量部に設
定すればよい。前記下限値以下では、塗膜の隠蔽性に欠
き、隠蔽性を確保するために厚塗りを試みると、硬化時
の昇温時間を長くすることが必要となり、作業性を悪く
する。また、上限値以上では、例えば、本発明のアニオ
ン系有機化合物や無機系配合剤を配合した水性無機塗料
により形成した塗膜上にwet−on−wet方式で前
記水性無機クリアーを塗布し、所謂、2コート、1ベー
クをしても塗膜の光沢が落ち、しかも基材との密着性も
悪くなる傾向を示し、かつ非経済的である。
【0040】本発明の水性無機質塗料用組成物は、例え
ば、以下の調製法によって製造することができる。所定
量の可溶性珪酸カリウムを反応容器にいれ、攪拌下で、
90〜100℃に加熱し、そこに水性シリカゾルを徐々
に加え、同温度で30〜40分間程度攪拌する。次に、
この溶液にアニオン系有機化合物を徐々に加え、さらに
同温度で、20〜30分間攪拌し、完全に溶解せしめ膠
質透明溶液を得る。前記膠質透明溶液において、必要に
応じ水を添加して20%固形分溶液としたものは、水性
無機質クリアー塗料として使用することができる。ま
た、30%固形分溶液としたものは、水性無機質塗料用
バインダー組成物として使用することができる。次に、
前記水性無機質塗料用バインダー組成物に所定量の無機
顔料、パール顔料、無機充填剤などの無機系配合剤の1
種または2種以上を加え、ボールミル等で、1〜2時間
混合分散し、水性無機質塗料を得る。
【0041】本発明において、前記した水性無機質クリ
アー塗料及び水性無機質塗料の塗膜形性方法は、所望の
態様に従えばよい。以下に、塗膜形成方法の一例を示す
が、本発明はこれに限定されない。
【0042】(i).水性無機質クリアー塗料の場合:前記
水性無機質クリアー塗料を、油分や汚れを除去した清浄
な金属板や無機質基板などに、スプレーガン、ディッビ
ングなどで硬化膜厚1〜10μの範囲で塗布し、120
〜250℃の範囲で5〜20分間加熱硬化する。これに
より、長期の屋外暴露においても撥水性、親水性の両性
を有するとともに、耐水性、防錆性、耐エフロレッセン
ス、及び耐汚染性などに優れた硬化塗膜が得られる。
【0043】(ii).水性無機質塗料の場合:水性無機質
塗料を、油分や汚れを除去した清浄な金属板や無機質基
板などに、スプレーガンなどで硬化膜厚で20〜50μ
程度になるように塗布し、つづいて、前記水性無機質ク
リアー塗料を硬化膜厚で1〜10μの範囲で塗装して、
およそ80℃より所定の硬化温度(例えば180〜25
0℃)で加熱硬化する。これにより、長期の屋外暴露に
おいても、撥水性、親水性の両性を有するとともに、耐
水性、防錆性、耐エフロレッセンス、及び耐汚染性など
に優れた硬化塗膜が得られる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。なお、本発明は、これら実施例により限定されな
いことはいうまでもないことである。
【0045】<実施例1>可溶性珪酸カリウム(商標
名:A珪酸カリ、日本化学工業(株)製)250g(固
形分換算:100重量部)を反応容器に入れ90〜10
0℃の間で加熱攪拌しながら、下記<表4>に示した所
定量の水性シリカゾル(商標名:アデライトAT−2
0、旭電化工業(株)製)を徐々に加えた。添加後、同
温度で30分間加熱攪拌し、液が透明性を呈した時点
で、アニオン系有機化合物<アルカリ・アルキル・シリ
コネート>(商標名:TSW−870、東芝シリコーン
(株)製)を前記透明溶液の固形分100重量部に対し
固形分換算で6.4重量部に相当する量を添加し、更
に、同温度で20分攪拌し、本発明の水性無機質塗料用
組成物(表4のNo.3,4,5,6及び7参照)を得
た。次に、比較のために、水性シリカゾルの代わりに超
微粒子状無水珪酸粉末(商標名:ニップシールE−22
0、日本シリカ工業(株)製)を使用した組成物(N
o.2参照)、及び本発明で規定するSiO2/K2Oモ
ル比を外れたモル比の珪酸カリウム組成物(No.1及
び8参照)を調製した。前記各組成物をクリアー塗装用
塗料にするために、水を添加して固形分含有量が20%
になるように調製した。なお、下記<表4>において、
各塗料成分のうち、可溶性珪酸カリウム、水性シリカゾ
ル、超微粒子状無水珪酸粉末のカッコ内の数値は、固形
分換算の重量部を示す。また、アニオン系有機化合物の
カッコ内の数値は、前記可溶性珪酸カリウムと水性シリ
カゾルの固形分100重量部に対する固形分重量を示
す。前記した点は、後述する実施例2以降についても同
様である。
【0046】前記のようにして調製された各クリアー塗
料を、アルカリ脱脂、水洗、乾燥されたステンレス鋼板
(0.4×60×100mm)上にスプレー塗装した。また、耐防
錆試験のために、前記各クリアー塗料を冷間圧延鋼板
(0.4×60×100mm)上に同様にスプレー塗装した。次
に、塗布鋼板を200℃の電気炉に入れ、20分間保持
して硬化を完了した。なお、硬化塗膜の膜厚は、それぞ
れ3〜4μmであった。
【0047】硬化処理された塗布鋼板の試験内容と評価
方法は、以下の通りであり、結果を下記<表4>に示
す。
【0048】1.溶液性状: (i).溶液中の珪酸………目視により珪酸粒子の溶解性を
評価した。○印は均質溶解、×印は不均質溶解を示す。 (ii).透明度………目視により溶液の透明度を評価し
た。○印は透明膠質液、△は透明液、×印は白濁不透明
液を示す。 2.塗膜性能: (1).塗膜外観………目視により硬化塗膜の濁り、ブツを
観察し、その状態を評価した。 (2).油性黒マジック汚染性………硬化塗膜面に油性黒マ
ジックで落書し、24時間後、水を含んだティッシュペ
ーパーで拭き取り、除去程度を観察し、評価した。 (3).耐沸騰水試験………沸騰水に20時間入れ、塗膜の
剥離、白濁化、及び油性黒マジック汚染性試験を行な
い、その結果を評価した。 (4).耐湿性………50℃×98%×1000時間、ブリ
スターボックスに保持した後、塗膜の白濁化、クラック
の有無を観察し評価した。 (5).硬度………鉛筆引っかき試験(JIS K5400 8.4.2に
準ずる) (6).付着性………ゴバン目試験(JISK-5400 8.5.2に準
ずる) (7).屋外暴露(1年間) クラック(塗膜表面を油性黒マジックで直径30mm
の円を塗潰し、×10倍のルーペでクラックを観察し評
価した。) エフロレッセンス(目視により塗膜の白濁化の有無を
観察視評価した。 油性黒マジック汚染性(塗膜に油性黒マジックで落書
し、水を含ませたテッシュペーパーでマジックを拭き取
った状況を観察し評価した。) 塗膜表面の撥水性(塗膜表面に水をかけ、その水のハ
ジキ状態を目視で観察し評価した。) 耐防錆性(耐防錆試験は、冷間圧延鋼板を用いた。発
錆の状況を目視で観察し、塗膜表面の錆の発生度を百分
率で示し評価した。)
【0049】
【表4】
【0050】<表4>から、次の諸点をみることができ
る。 (1).SiO2/K2Oで示されるモル比は、5.4〜1
0.0の範囲にあることが好ましい。(2).屋外暴露した
塗膜は、水をはじく性質(撥水性)を有するとともに、
油性黒マジック落書が水拭きで取れる性質(親水性)を
有すること、即ち、撥水・親水性の両性を持つ塗膜であ
る。(3).耐水性、耐防食性に富み、エフロレッセンスの
ない優れた塗膜を得ることができる。(4).SiO2/K2
Oモル比が、前記下限値以下では、塗膜中のアルカリ金
属(K)量が多くなるため、基本的に耐水性能が低下
し、2次性能で塗膜の劣化からくる諸問題を提起する。
即ち、屋外暴露中の降雨で、撥水性を期待して添加した
アニオン系有機化合物は溶出するばかりか、アルカリ金
属(K)も流出され、親水性は、塗膜中のシラノール基
(Si−OH)に依ることが主体となるため、油性黒マ
ジック汚染性も期待できない結果となる。(5).SiO2
/K2Oモル比が、前記上限値以上では、アルカリ金属
(K)量が少なくなりすぎ、素地との付着性が低下し
て、塗膜にクラックや付着試験でセロテープ剥離を起こ
す。(6).水性シリカゾルの代わりに超微粒子状無水珪酸
粉末を使用する場合、完全に溶解させることができず、
良好な塗膜外観を得ることができない。なお、<表4>
において、No.2の硬度及び付着性の評価項目は、塗
膜表面に珪酸のブツがあり、評価(測定)することがで
きなかった。
【0051】<実施例2>実施例1と同様の調製方法
で、クリアー塗装用塗料を得た。則ち、可溶性珪酸カリ
ウム(商標名:A珪酸カリ、日本化学工業(株)製)2
50g(固形分換算:100重量部)、水性シリカゾル
(商標名:アデライトAT−20、旭電化工業(株)
製)、及びアニオン系有機化合物<アルカリ・アルキル
・シリコネート>(商標名:TSW−870、東芝シリ
コーン(株)製)を下記<表5>に示した配合量になる
ように使用してクリアー塗装用塗料を得た。この実施例
2は、前記アニオン系有機化合物(TWS−870)の
最適な配合量を決定しようとするものである。
【0052】前記したように調製された各クリアー塗料
を、前記実施例1と同様にステンレス鋼板(0.4×60×1
00mm)上にスプレー塗装した。次に、塗布鋼を230℃
の電気炉に投入し、10分保持し硬化を完了した。塗装
硬化膜厚は、およそ3〜4μとなった。
【0053】硬化処理された塗布鋼板の耐沸騰水試験、
付着性を実施例1と同様に評価した。結果を下記<表5
>に示す。
【0054】
【表5】
【0055】<表5>に示されるように、アニオン系有
機化合物の添加量は、可溶性珪酸カリウムと水性シリカ
ゾルから得られる珪酸カリウム水溶液中の固形分100
重量部に対し3〜15重量部の範囲にあるもの(No.
10〜17)が好ましいことがわかる。前記した下限値
以下のもの(No.9)では、耐沸騰水試験後、撥水性
が失われた。また、耐湿試験で塗膜に微細なクラックが
無数に発生することが認められた。一方、前記した上限
値以上のもの(No.18)では耐水性能に問題を残し
た。
【0056】<実施例3>実施例1と同じ調製方法で、
水性無機質塗料用バインダー組成物、及び前記バインダ
ーをベースにして本発明の水性有色無機質塗料を調製し
た。則ち、可溶性珪酸カリウム(商標名:A珪酸カリ、
日本化学工業(株)製)250g(固形分換算100重
量部)と水性シリカゾル(商標名:スノーテックス2
0、日産化学工業(株)製)295g(固形分換算59
重量部)を加熱攪拌し、SiO2/K2Oのモル比5.
8の膠質透明液を調製した。次いで、アニオン系有機化
合物<アルカリ・アルキル・シリコネート>(商標名:
TSW−870、東芝シリコーン(株)製)56g(前
記可溶性珪酸カリウムと水性シリカゾル)の固形分10
0重量部に対して17.9重量部)を添加し、加熱攪拌
した。攪拌加熱終了後、室温まで下げ、水を加えて総量
を608gとして、固形分30%水性無機質塗料用バイ
ンダー組成物(No.19)を調製した。
【0057】次に、前記バインダー組成物(No.1
9)をベースにして、下記要領で本発明の水性有色無機
質塗料を調製した。則ち、下記<表6>に示した各処方
で、前記バインダー組成物(No.19)に無機顔料<
白色ルチル型酸化チタン>(商標名:R−550、石原
産業(株)製)、無機充填剤<雲母>(商標名:クララ
イト・マイカ400W、(株)クラレ製)、及びスプレ
ー塗装に適した粘度を保持するための所望量の水を卓上
サンドミルに入れ、20分間攪拌し、本発明の水性有色
無機質塗料を調製した。この実施例3は、本発明の水性
有色無機質塗料を調製するために添加される前記無機顔
料及び無機充填剤(雲母)の最適な配合量を決定しよう
とするものである。
【0058】前記のようにして調製した水性白色無機質
塗料を塗布する鋼板として、ステンレス鋼2B仕上板
(1.0×60×100mm)を用いた。これは、長手方向に半分
をバフ研磨し、2B仕上色(グレー味)と磨き色(黒
色)の仕上げをしたものである。なお、前記した仕上げ
処理により、各水性白色無機質塗料を前記試供板に塗装
したとき、両者の仕上げ差で、塗装塗膜が同一の色を呈
するところが隠蔽されたと判断することができる。前記
試供板をアルカリ脱脂、水洗、乾燥し、次いで、各水性
白色無機質塗料をスプレー塗装した。
【0059】次に、各未硬化塗装板に実施例1のNO.
4の水性無機質クリアー塗料を3〜5μの厚さで塗装し
(所謂、wet on wet方式)、各塗装板を80℃の電気炉
に投入し、図1に示される種々の昇温曲線で硬化した。
最終硬化温度は全て220℃まで昇温し、かつこの温度
で10分間保持した。なお、塗膜性能試験用塗装板につ
いては、図1の昇温曲線(d)に従い、各水性白無機質塗
料の硬化膜厚が18±1μ、水性無機質クリアー塗料の
硬化膜厚が3±1μのものを試供した。
【0060】前記のようにして調製された各塗装板の試
験内容と評価方法は、以下の通りであり。結果を下記<
表6>に示す。
【0061】1.塗膜性能: (1) 光沢度………:60°鏡面反射率。 (2) 隠蔽力……:試供ステンレス鋼板(SUS304、
2B仕上げ)の長手方向に半分に2B仕上げのまま、一
方をバフ研磨仕上し、その上に硬化膜厚で21±2μ塗
装した塗膜が下地の影響を受けず、同一色を呈している
か否かを判断した。同一色を示さなかったときは×、同
一色を示したときは○とした。 (3) 油性黒マジック汚染性………表4と同様の試験方
法。 (4) 耐沸騰水性………表4と同様の試験方法。 (5) 耐アルカリ性………10%NaOH水溶液中に室
温、240時間浸漬し塗膜の異常を観察した。 (6) 耐酸性………10%H2SO4水溶液中に室温、24
0時間浸漬し塗膜の異常を観察した。 (7) 塩水噴霧試験………JIS K 5400 9.1に
準じる(2,000時間)。 (8) 促進耐候性試験………サンシャインウェザーメータ
ー(5,000時間)。 2.硬化作業性: (1) 塗膜フクレ………図1の(a)〜(e)昇温曲線で各塗装
板を硬化させた時に、塗膜がフクレない膜厚を求めた。
【0062】
【表6】
【0063】<表6>に示されるように、水性無機質塗
料用バインダー固形分100重量部に対して無機顔料、
無機充填剤の合計重量部が80〜200重量部の範囲に
あるもの(NO.22〜25)が好ましい。前記下限値
以下のもの(No.21〜22)では、隠蔽性に難があ
り、膜厚を厚くすることで隠蔽性を保とうとすると、硬
化作業性に問題を生じることが認められた。また、前記
上限値を超えるもの(No.26)では、付着性、光沢
が劣る傾向を示し、とくに無機顔料、無機充填剤を増加
させることは、経済性の点で不利である。なお、前記N
o.20及びNo.21の塗料は、水性白色無機質塗料
の塗装表面のみで、水性無機質クリアー塗料をコートし
なくとも、実用上、問題のない光沢と性能が得られる
が、硬化作業性(生産性)を考慮して隠蔽性を付与する
ためには、水性白色無機塗料を2コート、2ベークさせ
るという煩雑な工程を採用しなければならない欠点があ
る。
【0064】<実施例4>この実施例は、本発明の珪酸
カリウム系水性無機質塗料と公知の珪酸カリウム系水性
無機質塗料(特開平2−129269号公報に開示もの
もの。以下、比較例1という。)の相違を実証するもの
である。 (i).実施例1と同様の調製方法で、可溶性珪酸カリウム
(商標名:A珪酸カリ、日本化学工業(株)製)250
gと水性シリカゾル(商標名:スノーテックス40)1
50gを加熱溶解し、SiO2/K2Oモル比5.8の溶
液を調製した。次に、アニオン系有機化合物(商標名:
TSW−870、東芝シリコーン(株))40gを加え
攪拌加熱した。溶液を室温まで冷却後、水を加えて、2
0%固形分の水性無機質クリアー塗料(No.27)を
調製した。 (ii).比較のために、ケイ酸カリウム(商標名:A珪酸
カリ、日本化学工業(株)製)250g(固形分換算:
100重量部)に超微粒子状シリカ(ニップシールE−
220、日本シリカ工業(株)製)36.8g(固形分
換算:36.8重量部)と水159gを反応容器に入れ
90〜100℃で2時間加熱攪拌し、溶解した。得られ
た溶液を室温で冷却し、水を再び加え固形分20%、S
iO2/K2Oのモル比4.7の比較用塗料(比較例1)
を調製した。
【0065】前記のようにして調製した本発明の塗料
(No.27)及び比較例1の塗料を、それぞれアルカ
リ脱脂した.ステンレス製SUS304 2B仕上げ
板(0.6×300×300mm)、真鍮版(0.4×300×300m
m)、及び鏡(ガラス)(10×200×200mm)にスプレ
ー塗装し、230°で20分間硬化した。なお、各硬化
膜厚は、4〜6μmであった。次に、前記試験板〜
を、6カ月間屋外暴露したのち、中性洗剤で塗膜表面を
洗浄し、下記<表7>に示す各試験を行なった。結果を
<表7>に示す。なお、<表7>において、養生シート
の梱包は、屋外の立て架けた試験板の上部から雨水が浸
入するようにしたものである。また、この試験は、屋外
暴露7カ月後に、梱包を解き、白華の状況を観察したも
のである。
【0066】
【表7】
【0067】<表7>に示されるように、公知の比較例
1の低モル比の塗膜では、屋外暴露に対してクラックの
発生を見たり、建築部材の塗装品においてしばしば経験
する梱包状態の野ざらしに対して塗膜白華の危険性を示
した。本発明の塗料(No.27)が比較例1よりはる
かに優れた性能を示すのは、アニオン系有機化合物の添
加とともにSiO2/K2Oの高モル比により形成される
塗膜の網目構造の緻密さが、雨水にさらされる屋外暴露
条件下でも添加されたアニオン系有機化合物及びアルカ
リ金属(K)の塗膜外表面への流出を抑制するためであ
る。前者(アニオン系有機化合物)は、塗膜の撥水性を
保ち、雨水、湿気などから塗膜を保護し、また、塗膜の
応力緩和に効果を示し、更に経時的に発生してくるクラ
ックを防止する。また、後者(SiO2/K2Oの高モル
比)は、撥水性塗膜でありながら、親水性塗膜に見られ
る油性黒マジックの落書が水拭きで消去できるという、
通常では予測できない特性を発現させる。前記した両者
の特徴により、まさに、本発明の撥水・親水両性を持つ
水性無機質塗料が得られる。
【0068】<実施例5>この実施例は、前記実施例4
と同様に本発明の水性無機質塗料と公知の水性無機質塗
料(特開平2−129269号公報の開示のもの。以
下、比較例2という。)の相違を実証するものである。 (i).実施例3(No.19)の無機質塗料用バインダー
固形分100重量部に対し、緑色無機顔料(商標名:ダ
イピロオキサイドグリーン 9320、大日精化(株)
製)67重量部と無機質充填剤(商標名:クラライト・
マイカ400W、(株)クラレ製)17重量部及び水を
22重量部を加え、ボールミル中で4時間混合分散し、
水性無機質塗料(No.28)を調製した。次に、前記
水性無機質塗料(No.28)をアルカリ脱脂した冷間
圧延鋼板(SPCC)(0.4×500×1000mm)に塗布し、
120℃から220℃まで12分で昇温し、220℃で
20分間硬化して試験板を得た。 (ii).比較のために、可溶性珪酸カリウム(商標名:A
珪酸カリ日本化学工業(株)製)250g(固形分換算
100重量部)に超微粒子状シリカ(ニップシールE−
220、日本シリカ工業(株)製)40g(固形分換
算:40重量部)及び水を150g加えて、反応容器中
で90〜100℃の温度で2時間攪拌、溶解し、SiO
2/K2Oのモル比4.9の無機質バインダーを調製し
た。次に、前記無機質バインダーの固形分100重量部
に対し、前記緑色無機顔料26重量部、無機質繊維微粉
末(商標名:ティスモ−D、大塚化学薬品(株)製)
1.5重量部、天然ケイ酸塩微粉末(商標名:ミクロエ
ースK−1、日本タルク(株)製)5重量部を加え、ボ
ールミル中4時間混合均一化し、比較用塗料(比較例
2)を調製した。
【0069】前記のようにして調製した本発明の塗料
(No.28)及び比較例2の塗料を、アルカリ脱脂し
た冷間延鋼板上にスプレー塗装し、120℃から220
℃まで20分間硬化して試験板を得た。それぞれの膜厚
は、23〜26μとなった。次に、硬化処理された試験
板を、下記<表8>に示した試験を実施した。結果を<
表8>に示す。なお、試験評価中、沸騰水中での塗膜喫
水線試験は、沸騰水中に試験板を半分浸漬して境目(喫
水線)の塗膜変化を目視で観察し評価したものである。
【0070】
【表8】
【0071】<表8>に示されるように、本発明の水性
無機質塗料(No.28)は、公知の比較例2の塗料と
比較して、格段に優れた耐久性を示す。
【0072】<実施例6>この実施例は、さらに前記実
施例4〜5と同様に本発明の珪酸カリウム系水性無機質
塗料と公知の珪酸カリウム系水性無機質塗料の相違を実
証するものである。実施例4及び5と同様にして得られ
た水性無機質クリアー塗料No.27、比較例1及び水
性無機質塗料No.28、比較例2をステレンレス製S
US3042B仕上げ板(1.5×500×1000m
m)に実施例5と同様にスプレー塗装し、ついで230
℃×20分間硬化した。冷却後、直ちに塗装面に市販の
透明ブルー養生シートを貼り付けた。この試験板を雨水
のかかる屋外に垂直に立て架けた。なお、前記した養生
シートの役割は、.工場塗装されたパネルを取り付け
現場に搬送されるときの傷付きを防止するものであり、
また、.建築パネルなどにおいて、貼りつけたのち、
溶接やセメント施工作業などが同時進行する現場では、
塗装面を保護する目的で完成するまで剥がすことなく貼
り付けられるものである。
【0073】試験板の屋外テストの結果は、次の通りで
ある。一度の降雨により比較例1〜2により得られたパ
ネルの養生シートは、上部より剥離の発生が見られた。
さらに、1カ月間放置した結果、さらなる降雨と風によ
り比較例1〜2の養生シートは完全に剥がれた。これに
対して、本発明のNo.27及びNo.28により得ら
れたパネルの養生シートは剥がれることなく、養生シー
トの目的を完全に達成した。このことは、本発明の硬化
塗膜は撥水性をも併有しているため、養生シートの接着
剤との神和性を確保できた結果であり、一方、比較例の
硬化塗膜は親水性のみを有するため、接着剤との親和性
を阻害させたためと考えられる。
【0074】
【発明の効果】本発明の水性無機質塗料用組成物は、可
溶性ケイ酸カリウムに対してSiO2/K2Oのモル比が
従来よりも高モル比(5.4〜10.0)になるように
シリカ源として特定の水性シリカゲルを加熱溶解させて
調製した水溶液(水性無機質塗料用バンイダー)を主成
分にするものである。
【0075】前記SiO2/K2Oのモル比が高モル比の
ケイ酸カリウム系塗料用バインダーに対し塗膜に親水性
と撥水性を具備させるアニオン系有機化合物や無機質顔
料や無機質充填剤などの他の配合剤を添加して調製した
本発明の水性無機質塗料は、長期の屋外暴露に対しても
耐水性、防錆性、耐エフロレッセンス性、耐汚染性、及
び耐薬品性などの諸特性に優れた塗膜を形成することが
できる。
【0076】また、本発明のい水性無機質塗料は、易施
工性であるとともに、その硬化塗膜は薄膜であっても隠
蔽性や光沢性などに優れた実用性の高い塗膜を形成する
ことができ、更に厚膜になってもフクレのない塗膜を形
成することができる。
【0077】更にまた、本発明の水性無機質塗料は、高
硬度、不燃性及び無煙性の塗膜を形成することができ、
かつ水性、省資源、環境無公害型の無機系塗料であるた
め、極めて付加価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水性無機塗料(実施例3)の塗膜の
硬化条件を示すグラフ(昇温曲線)である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可溶性珪酸カリウムと水性シリカゾルか
    らなる無機質塗料用バインダーを主成分とする水性無機
    質塗料用組成物において、前記無機質塗料用バインダー
    が、可溶性珪酸カリウム水溶液と水性シリカゾルを加熱
    溶解させて調製したSiO2/K2Oのモル比が5.4〜
    10.0のものであることを特徴とする水性無機質塗料
    用組成物。
  2. 【請求項2】 可溶性珪酸カリウム水溶液が、一般式K
    2O・nSiO2で示される珪酸カリウム水溶液であり、
    かつSiO2/K2Oのモル比が2〜4のものである請求
    項1に記載の水性無機質塗料用組成物。
  3. 【請求項3】 水性シリカゾルが、無水珪酸のコロイド
    溶液である請求項1に記載の水性無機質塗料用組成物。
  4. 【請求項4】 水性無機質塗料用組成物が、 (i).無機質塗料用バインダー(固形分換算)100重量
    部に対し、 (ii).アニオン系有機化合物の3〜15重量部を含有す
    ること、を特徴とする請求項1に記載の水性無機質塗料
    用組成物。
  5. 【請求項5】 水性無機質塗料用組成物が、 (i).無機質塗料用バインダー(固形分換算)100重量
    部に対し、 (ii).アニオン系有機化合物の3〜15重量部を含有す
    ること、及び、 (iii).無機質顔料及び無機質充填剤から選ばれた1種以
    上の80〜200重量部を含有すること、を特徴とする
    請求項1に記載の水性無機質塗料用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の水性無機質塗料用組成
    物を各種基材に塗布し、150〜250℃の温度で硬化
    し、耐水性、防錆性、耐エフロレッセンス性、及び耐汚
    染性に優れた塗膜を形成する方法。
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