JPH10334529A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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Publication number
JPH10334529A
JPH10334529A JP9142753A JP14275397A JPH10334529A JP H10334529 A JPH10334529 A JP H10334529A JP 9142753 A JP9142753 A JP 9142753A JP 14275397 A JP14275397 A JP 14275397A JP H10334529 A JPH10334529 A JP H10334529A
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JP
Japan
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layer
magneto
recording
recording medium
magnetization direction
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Withdrawn
Application number
JP9142753A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Hosokawa
哲夫 細川
Akio Okamuro
昭男 岡室
Kazutomo Miyata
一智 宮田
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、記録感度およびCN比が低下する
ことなくオーバーライト動作と磁気超解像再生動作とを
共に良好に行うことができる光磁気記録媒体を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 基板上に少なくとも、外部磁界による副
格子磁化方向の反転によって情報が記録される記録層1
5と、記録層15の副格子磁化方向が転写されて情報が
保持されるメモリー層13と、メモリー層13の一部の
領域の副格子磁化方向が転写される再生層11と、再生
層11とメモリー層13との間に形成された非磁性層1
2と、記録層15の副格子磁化方向を強制的に一方向に
揃える初期化層17と、外部磁界による記録層15の副
格子磁化方向の反転時に、初期化層17による記録層1
5への交換結合力の伝達を阻止するスイッチング層16
とが積層されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、照射される記録光
を変調することによって適宜情報を書き換えることがで
きる光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光磁気ディスク(光磁気記録媒
体)では、既に記録されている情報を新たな情報に書き
換えるためには、記録されている情報を一旦消去し(消
去動作)、その後、新たな情報を書き込む必要があっ
た。しかし、近年、上記消去動作を不要とした光変調オ
ーバーライト方式の光磁気ディスクが提案された。
【0003】この光変調オーバーライト方式の光磁気デ
ィスクでは、記録時に照射される光(記録光)の強度を
記録する情報に応じて変調させるだけで、既に記録され
ている情報の消去と新たな情報の書き込みをほぼ同時に
行うことができる。したがって、この光変調オーバーラ
イト方式によって、上記消去動作に要する時間が不要と
なる分だけ、新たな情報に書き換える際の動作時間を短
縮して、その高速化を図ることができる。
【0004】ところで、光磁気ディスクでは、上記のよ
うに情報の書き換え速度の高速化が要望される一方で、
大容量化を図ることが要求されている。この光磁気ディ
スクの大容量化の要求に応えるためには、情報を高密度
に記録する技術と、高密度に記録された情報を正確に再
生する技術との両方が必要である。情報を記録する場合
には、記録する部分に記録光を照射することによってそ
の温度を上昇させ、その磁化方向を変化させるのが一般
的である。したがって、光磁気ディスクに照射される記
録光のスポット領域のうち、特に温度が上昇する中心部
のみを利用して情報を記録することができるので、その
高密度化が図られる。
【0005】一方、記録された情報の再生は、再生する
部分に直線偏光(再生光)を照射し、その反射光の偏光
面の回転角を検出するといった光学的な方法で行われ
る。このため、再生光のスポット領域の中に複数の情報
が存在する場合には、クロストークが生じてしまい、正
確な再生ができない。特に、上記のように情報を高密度
に記録した場合には、再生時のクロストークが問題とな
る。
【0006】そのための方策として、再生光の短波長化
など、記録再生装置側の改良によって、再生光のスポッ
ト領域自体を小さくする試みがなされているが、大幅に
スポット領域を縮小することは困難であった。そこで、
再生光を照射する際に、そのスポット領域にマスク領域
を形成し、このマスク領域における反射光の偏光面の回
転が再生信号に反映されないようにすることによって、
実質的にスポット領域を小さくする磁気超解像(Magnet
icallyinduced Super Resolution)技術が提案されてい
る。
【0007】この磁気超解像技術は、再生時に光磁気デ
ィスクに照射される再生光のエネルギーによって、スポ
ット領域内に温度分布が生じることを利用してマスク領
域を形成するものである。この磁気超解像技術には、例
えば、スポット領域の低温部分がマスク領域となる方式
(例えば、CAD方式(Center Aperture Ditection),
静磁結合型MSR方式)や、スポット領域の高温部分が
マスク領域となる方式や、スポット領域の中間温度部分
以外がマスク領域となる方式がある。
【0008】以上のように、最近の光磁気ディスクで
は、一方で、光変調オーバーライト方式の導入によって
情報の書き換え速度の高速化が図られ、他方で、磁気超
解像技術の導入によって高密度な情報の記録と再生とが
可能となった。そして、上記2つの技術の各々の利点を
同時に取り入れるために、光磁気オーバーライト方式と
磁気超解像技術とを1つの光磁気ディスクに適用する試
みがなされている。例えば、上記のCAD方式と光変調
オーバーライト方式とを組み合わせる技術や、上記の静
磁結合型MSR方式と光変調オーバーライト方式とを組
み合わせる技術(例えば、第20回日本応用磁気学会学
術講演概要集1996,P.312)が報告されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のCAD
方式と光変調オーバーライト方式とを単に組み合わせた
光磁気ディスクでは、依然、以下のような問題がある。
CAD方式では、再生層が室温で面内磁化する膜でなけ
ればならない。また、このCAD方式を光変調オーバー
ライト方式に適用したものでは、上記の再生層が、光変
調オーバーライトを可能とするための記録層およびメモ
リー層のうちの、メモリー層と互いに交換結合力で作用
し合うことになる。
【0010】したがって、CAD方式の再生層を、少な
くとも再生光の照射面側にて、室温で面内磁化させてお
くためには、再生層の膜厚を厚くして、照射面にメモリ
ー層からの交換結合力による影響が生じないようにする
ことが必要である。しかし、膜厚が厚くなると、記録感
度が低下する問題が生じる。特に、多層化する光変調オ
ーバーライト方式では、元々、膜厚の厚さが問題となっ
ており、再生層の膜厚を厚くすることは好ましくない。
【0011】さらに、再生層の膜厚を厚くすると、室温
で面内磁化する再生層からの交換結合力が、逆に、メモ
リー層に作用してしまう。この作用は、情報のオーバー
ライト記録時に、記録層の情報をメモリー層に転写する
動作を妨害するように働くので、充分なCN比が得られ
ないという問題も生じる。このようなCAD方式と光変
調オーバーライト方式とを組み合わせたものに比べ、上
記の第20回日本応用磁気学会学術講演概要集1996,P.3
12で報告された静磁結合型MSR方式と光変調オーバー
ライト方式とを組み合わせた光磁気ディスク(以下、
「静磁結合MSR/DOW光磁気ディスク」という)
は、再生層とメモリー層との間に誘電体層を形成したこ
とによって、再生層の膜厚を薄くすることを可能にした
ものである。
【0012】しかし、この静磁結合MSR/DOW光磁
気ディスクにも、実用化を考えた場合には、依然、以下
のような問題がある。まず、この静磁結合MSR/DO
W光磁気ディスクでは、オーバーライト記録時に記録層
を初期化するために、記録再生装置側に、記録層の磁化
方向を強制的に一方向に揃える初期化磁石を内蔵するこ
とを必要としている。この初期化磁石は、記録層の反転
磁界より大きな磁界をもつものでなけれならず、外形も
大きなものとなる。
【0013】しかし、最近の記録再生装置は小型化が必
須であり、このような大きな初期化磁石を内蔵すること
は現実的でない。仮に、小型の記録再生装置に内蔵可能
な大きさの初期化磁石を設置しても、この初期化磁石で
初期化できる記録層の反転磁界は2k(Oe)以下にする
ことが必要となる。しかし、記録層の反転磁界を2k
(Oe)以下にした光磁気ディスクを製造するのであれ
ば、その膜厚は、光磁気ディスクの製造上のバラツキを
考慮すると、80nm程度必要となる。すなわち、静磁
結合MSR/DOW光磁気ディスクを実用化するには、
記録層の膜厚を厚くする(80nm以上)ことが必要に
なる。
【0014】しかし、このように膜厚が厚くなると、や
はり記録感度が低下する問題が生じる。記録感度の低下
は、記録再生装置の低回転数化につながり、オーバーラ
イトによる高速化という効果が薄れてしまうことにな
る。さらに、静磁結合MSR/DOW光磁気ディスクを
実用化するならば、記録層の膜厚が厚くなる分、記録層
からの漏れ磁界が大きくなり、この漏れ磁界によって、
情報の再生時に、メモリー層に保持された情報の再生層
への転写動作が妨害されてしまい、磁気超解像再生によ
る効果が薄れるという本質的な問題も生じる。
【0015】本発明の目的は、光磁気オーバーライト方
式と磁気超解像技術とを組み合わせた場合でも、記録感
度およびCN比が低下することなくオーバーライト動作
と磁気超解像再生動作とを共に良好に行うことができる
光磁気記録媒体を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、光磁気記録媒体の基板上に少なくとも、外部磁界に
よる副格子磁化方向の反転によって情報が記録される記
録層と、記録層と基板との間に形成され、該記録層の副
格子磁化方向が転写されて情報が保持されるメモリー層
と、メモリー層と基板との間に形成され、該メモリー層
の一部の領域の副格子磁化方向が転写される再生層と、
再生層とメモリー層との間に形成された非磁性層と、記
録層の反基板側に形成され、記録層の副格子磁化方向を
強制的に一方向に揃える初期化層と、記録層と初期化層
との間に形成され、外部磁界による記録層の副格子磁化
方向の反転時に、初期化層による記録層への交換結合力
の伝達を阻止するスイッチング層とが積層されたもので
ある。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の光磁気記録媒体において、メモリー層に保持される情
報が、照射される記録光が強い場合と弱い場合とで互い
に逆向きとなる副格子磁化方向で表されるものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の光磁気記録
媒体において、再生層が、照射される再生光によって該
再生層に生じる温度分布に応じた一部の領域に、メモリ
ー層の副格子磁化方向が転写されるものである。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の光磁気記録媒体において、再生層の一部の領域は、再
生光の照射によって温度が所定温度以上となった領域で
ある。請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の光磁
気記録媒体において、再生層、メモリー層、記録層、ス
イッチング層、および初期化層は、希土類金属および遷
移金属を主体とする磁性体である。
【0019】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の光磁気記録媒体において、記録層のキュリー温度が、
メモリー層およびスイッチング層のキュリー温度よりも
高く、かつ初期化層のキュリー温度よりも低いものであ
る。請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の光磁気
記録媒体において、再生層は、補償温度が室温よりも高
い磁性体である。
【0020】請求項8に記載の発明は、請求項5に記載
の光磁気記録媒体において、メモリー層は、補償温度が
室温よりも低い磁性体である。請求項9に記載の発明
は、請求項5に記載の光磁気記録媒体において、メモリ
ー層の膜厚は、25nmよりも厚く45nmよりも薄い
ものである。請求項10に記載の発明は、請求項5に記
載の光磁気記録媒体において、記録層の膜厚は、15n
mよりも厚く40nmよりも薄いものである。
【0021】請求項11に記載の発明は、請求項10に
記載の光磁気記録媒体において、記録層の膜厚は、初期
化層の膜厚との差の絶対値が30nmよりも小さく、初
期化層の膜厚は、15nmよりも厚いものである。
【0022】(作用)請求項1に記載の発明にかかわる
光磁気記録媒体は、既に情報が記録された後の状態で
は、メモリー層にその情報が保持され、記録層は副格子
磁化方向が初期化層によって一方向に揃えられた状態
(初期状態)となっている。
【0023】情報の書き換え時、新たな情報は一時的に
記録層に記録される。この記録層に一時的に記録される
情報は、記録層の初期状態、もしくは初期状態における
副格子磁化方向が外部磁界によって反転された状態で表
される。この光磁気記録媒体では、スイッチング層によ
って、初期化層による記録層への交換結合力の伝達が阻
止されるときに、外部磁界によって記録層の副格子磁化
方向が反転される。このように記録層に一時的に記録さ
れた新たな情報は、メモリー層に転写される。その後、
記録層は、初期化層によって初期化されて、再び初期状
態に戻る。この光磁気記録媒体では、スイッチング層に
よって、初期化層による記録層への交換結合力の伝達が
復活されているときに、記録層の副格子磁化方向が強制
的に一方向に揃えられて初期化される。また、記録層か
ら情報が転写されたメモリー層は、その情報をそのまま
保持する。こうして、新たな情報は、最終的にメモリー
層に保持される。オーバーライト記録は、このような記
録過程を繰り返すことによって行われる。
【0024】一方、情報の再生時、メモリー層に保持さ
れた情報は、その一部の領域の副格子磁化方向が、非磁
性層を介して再生層に転写される。したがって、この光
磁気記録媒体では、情報を磁気超解像再生することがで
きる。請求項2に記載の発明にかかわる光磁気記録媒体
では、照射される記録光が強い場合には、記録層の副格
子磁化方向が外部磁界によって反転し、記録光が弱い場
合には、記録層は初期状態に保持される。したがって、
メモリー層には、照射される記録光が強い場合と弱い場
合とで互いに逆向きとなる副格子磁化方向で表される情
報が保持される。
【0025】請求項3に記載の発明にかかわる光磁気記
録媒体では、照射される再生光によって再生層に温度分
布が生じ、この温度分布に応じた一部の領域のみに、メ
モリー層の副格子磁化方向が転写される。したがって、
メモリー層に高密度に記録された情報を、正確に再生す
ることができる。請求項4に記載の発明にかかわる光磁
気記録媒体では、再生光の照射によって温度が所定温度
以上となった一部の領域のみに、メモリー層の副格子磁
化方向が転写される。このように、再生光のスポット領
域よりも小さい再生領域のみに、メモリー層の副格子磁
化方向が転写されるので、メモリー層に高密度に記録さ
れた情報を、正確に再生することができる。
【0026】請求項5に記載の発明にかかわる光磁気記
録媒体では、再生層、メモリー層、記録層、スイッチン
グ層、および初期化層が、希土類金属および遷移金属を
主体とする材料からなるため、各層のキュリー温度を実
用的な温度範囲内に設定することができる。また、各層
の熱的安定性が良好で、かつ熱伝導性が高く、情報を効
率的に記録することができる。さらに、量産性に優れ、
製造コストも低く抑えることができる。
【0027】請求項6に記載の発明にかかわる光磁気記
録媒体では、その温度が、記録層のキュリー温度と初期
化層のキュリー温度との間まで加熱されるような強い記
録光が照射されたときに、記録層の副格子磁化方向が外
部磁界によって反転される。また、その温度が、記録層
のキュリー温度と、メモリー層およびスイッチング層の
キュリー温度との間までしか加熱されないような弱い記
録光が照射されたときには、記録層は初期状態に保持さ
れる。したがって、メモリー層には、照射される記録光
が強い場合と弱い場合とで互いに逆向きとなる副格子磁
化方向で表される情報が保持される。
【0028】請求項7に記載の発明にかかわる光磁気記
録媒体では、再生層は、室温において、全面で面内磁化
する膜である。そして、再生光の照射によって生じる温
度分布のうち、その温度が補償温度近傍まで上昇した領
域でのみ垂直磁化する。よって、この再生層では、再生
光による加熱で垂直磁化した一部の領域のみに、メモリ
ー層の副格子磁化方向が転写される。
【0029】請求項8に記載の発明にかかわる光磁気記
録媒体では、メモリー層の補償温度が室温よりも低いの
で、再生時に、メモリー層の副格子磁化方向が再生層に
良好に転写される。請求項9に記載の発明にかかわる光
磁気記録媒体では、メモリー層の膜厚が25nmよりも
厚く45nmよりも薄いので、再生時に、メモリー層の
副格子磁化方向が再生層に良好に転写される。また、記
録時に、記録層の副格子磁化方向がメモリー層に良好に
転写される。
【0030】請求項10に記載の発明にかかわる光磁気
記録媒体では、記録層の膜厚が15nmよりも厚く40
nmよりも薄いので、記録時に、記録層の副格子磁化方
向が外部磁界によって良好に反転される。また、記録層
の初期化時に、初期化層の副格子磁化方向が記録層に良
好に転写される。請求項11に記載の発明にかかわる光
磁気記録媒体では、記録層の膜厚と初期化層の膜厚との
差の絶対値が30nmよりも小さく、かつ初期化層の膜
厚が15nmよりも厚いので、初期化層の副格子磁化方
向が、他の磁性層からの交換結合力によって反転してし
まうことなく常に一方向に保持される。また、初期化層
からの漏れ磁界が小さくなるので、再生時に、メモリー
層の副格子磁化方向が再生層に良好に転写される。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。図1は、本実施形態の光磁気ディス
ク10の構成を示す断面図である。本実施形態は、請求
項1〜請求項11に対応する。
【0032】この光磁気ディスク10は、図1に示され
るように、レーザ光が照射される側(図1の上方)から
順に、基板21、アンダーコート22、再生層11、非
磁性層12、メモリー層13、中間層14、記録層1
5、スイッチング層16、初期化層17、オーバーコー
ト23、金属層24、樹脂保護層25が積層された構造
となっている。
【0033】光磁気ディスク10では、上記積層された
各層のうち、再生層11と、非磁性層12と、メモリー
層13と、中間層14と、記録層15と、スイッチング
層16と、初期化層17とによって、情報のオーバーラ
イト記録や磁気超解像再生が行われる。これらの再生層
11,非磁性層12,メモリー層13,中間層14,記
録層15,スイッチング層16,初期化層17は、希土
類−遷移金属(RE−TM)合金層10aと総称されて
いる。
【0034】次に、RE−TM合金層10aを構成する
各層11〜17の組成や機能などについて説明する。こ
のRE−TM合金層10aを構成する各層11〜17
は、互いに交換結合もしくは静磁結合している。このう
ち、記録層15は、希土類金属であるジスプロシウム
(Dy)と、遷移金属である鉄(Fe),コバルト(C
o)とからなる垂直磁化膜である。この記録層15の組
成は、原子百分率で表すと、Dyが26%、Feが48
%、Coが26%である(以下、組成の原子百分率を、
Dy26Fe48Co26と表す)。また、記録層15の膜厚
は、20nmである。なお、この記録層15は、オーバ
ーライト記録時に、外部の記録磁界によって副格子磁化
方向が反転されて情報が記録される層である。
【0035】メモリー層13は、希土類金属であるテル
ビウム(Tb)と、遷移金属であるFe,Coとからな
る垂直磁化膜である。このメモリー層13の組成は、T
b18Fe74Co8であり、その補償温度は室温(記録光
や再生光が照射されないときの光磁気ディスク10の温
度に相当する)よりも低い。また、メモリー層13の膜
厚は、35nmである。なお、このメモリー層13は、
上記の記録層15と比べて、キュリー温度が低く、かつ
室温における保磁力が高い。また、このメモリー層13
は、オーバーライト記録時に、上記の記録層15の副格
子磁化方向が転写されて情報が保持される層である。
【0036】中間層14は、希土類金属であるガドリウ
ム(Gd)と、遷移金属であるFe,Coとからなる磁
化膜である。この中間層14の組成は、Gd32Fe64C
o4である。また、中間層14の膜厚は、10nmであ
る。なお、この中間層14は、磁気超解像再生時に、上
記の記録層15とメモリー層13との交換結合力を調整
する層である。
【0037】再生層11は、希土類金属であるGdと、
遷移金属であるFe,Coとからなる。この再生層11
の組成は、Gd29Fe46Co25であり、その補償温度は
室温よりも高い。また、再生層11の膜厚は、25nm
である。なお、この再生層11は、室温では全面におい
て面内磁化し、磁気超解像再生時に、再生光の照射によ
って生じる温度分布のうち、その温度が補償温度近傍ま
で上昇した領域でのみ垂直磁化する層である。したがっ
て、この再生層11では、再生光による加熱で垂直磁化
した一部の領域(後述する再生領域に相当)のみに、上
記のメモリー層13の副格子磁化方向が転写される。
【0038】非磁性層12は、窒化シリコンの薄膜であ
り、その膜厚は20nmである。なお、この非磁性層1
2は、オーバーライト記録時や超解像再生動作時に、上
記の再生層11とメモリー層13との交換結合力をほぼ
遮断する層である。初期化層17は、希土類金属である
Tbと、遷移金属であるFe,Coとからなる垂直磁化
膜である。この初期化層17の組成は、Tb18Fe16C
o66である。また、初期化層17の膜厚は、上記の記録
層15と同じく、20nmである。なお、この初期化層
17は、上記の記録層15に比べて、キュリー温度が高
く、かつ保磁力が強い層である。この初期化層17は、
オーバーライト記録時に記録光が照射されて最も温度が
上昇する場合でも、その副格子磁化方向は常に一方向に
保持される。したがって、この初期化層17によって、
上記の記録層15は、オーバーライト記録時毎に、その
副格子磁化方向が一方向に強制的に揃えられることにな
る(初期状態)。
【0039】スイッチング層16は、希土類金属である
Tbと、遷移金属であるFe,Coとからなる垂直磁化
膜である。このスイッチング層16の組成は、Tb17F
e77Co6である。また、スイッチング層16の膜厚
は、12nmである。なお、このスイッチング層16
は、上記の記録層15,初期化層17と比べると、キュ
リー温度が低く、かつ保磁力が弱い。したがって、この
スイッチング層16は、オーバーライト記録時におい
て、記録層15の副格子磁化方向が記録磁界によって反
転されるときに、上記の初期化層17による記録層15
への交換結合力の伝達を阻止する。
【0040】以上説明した各層11〜17にて構成され
るRE−TM合金層10aは、アンダーコート22とオ
ーバーコート23とによって保護されている。これらア
ンダーコート22,オーバーコート23は、窒化シリコ
ンからなる。なお、その膜厚は、アンダーコート22が
70nm、オーバーコート23が30nmである。ま
た、オーバーコート23の反基板側に形成された金属層
24は、アルミニウムからなり、膜厚が30nmであ
る。この金属層24は、図1に示される光磁気ディスク
10全体としての記録感度を調整する層である。金属層
24のさらに反基板側に形成された樹脂保護層25は、
基板21上に積層された上記のアンダーコート22,R
E−TM合金層10a,オーバーコート23,金属層2
4を全体的に保護する膜である。
【0041】なお、基板21自体は、直径90mmのポ
リカーボネート基板にて構成され、その片面には、ピッ
チ1.1μmのガイド溝が渦巻き状に形成されている。
次に、基板21上に積層されるアンダーコート22,R
E−TM合金層10a(再生層11,非磁性層12,メ
モリー層13,中間層14,記録層15,スイッチング
層16,初期化層17),オーバーコート23,金属層
24の成膜方法について、概略を説明する。これらの各
層は、周知のスパッタリング法を用いて成膜される。
【0042】これらのうちの非磁性層12,アンダーコ
ート22,オーバーコート23は、上記したように窒化
シリコンからなり、シリコンターゲットが配置されたチ
ャンバー内で成膜される。具体的には、窒化シリコン層
は、チャンバー内のガス圧力を一旦5×exp(−5)Pa
以下となるまで排気し、その後、このチャンバー内にア
ルゴンガスと窒素ガスとを導入して、反応性スパッタリ
ングによって成膜される。
【0043】また、再生層11,中間層14,スイッチ
ング層16,金属層24は、各々の層と同一組成の材料
からなるターゲットが配置されたチャンバー内で、アル
ゴンガスを導入して成膜される。因みに、再生層11を
成膜する場合のターゲットはGd29Fe46Co25合金で
ある。中間層14を成膜する場合のターゲットはGd32
Fe64Co4合金である。スイッチング層16を成膜す
る場合のターゲットはTb17Fe77Co6合金である。
金属層24を成膜する場合のターゲットはアルミニウム
である。
【0044】また、メモリー層13,記録層15,初期
化層17の成膜は、希土類金属ターゲットと遷移金属タ
ーゲットとが別々に配置されたチャンバー内において、
2元同時スパッタリングによって行われる。この場合、
希土類金属ターゲットと遷移金属ターゲットとにそれぞ
れ投入する電力の比を調整することによって、所望の組
成にすることができる。因みに、メモリー層13の成膜
には、TbターゲットとFe90Co10合金ターゲットと
が用いられる。記録層15の成膜には、Dyターゲット
とFe65Co35合金ターゲットとが用いられる。初期化
層17の成膜には、TbターゲットとFe80Co20合金
ターゲットが用いられる。
【0045】なお、上記した各層の膜厚は、スパッタリ
ング時間を調整することによって、所望の値にすること
ができる。ところで、上記構成の光磁気ディスク10に
対して情報の記録や再生を行う記録再生装置は、波長が
680nmの半導体レーザと、開口数N.A.が0.55
の対物レンズと、250(Oe)の磁界を発生する記録磁
石と、光磁気ディスクを回転させるモータ(線速度9m
/sec)とが内蔵されたものである。
【0046】このうち、半導体レーザは、情報の記録に
用いられる場合と再生に用いられる場合とで、出力パワ
ーの設定が異なる。情報の記録に用いられる場合、半導
体レーザからの光(記録光)のパワーは、記録する情報
に応じて変調される(デューティー比35%)。なお、
記録光の高レベルのパワーは、マーク長さが0.45μ
m、マーク間距離が0.45μmとなるように設定され
る。
【0047】一方、情報の再生に用いられる場合、半導
体レーザからの光(再生光)のパワーは、記録光の低レ
ベルのパワーよりも低いレベル(再生レベル)に設定さ
れる。このような半導体レーザからの光(記録光もしく
は再生光)は、対物レンズなどの光学系によって集光さ
れ、記録再生装置に挿入された光磁気ディスク10に対
して、その基板21側から照射されるようになっている
(図1)。なお、再生光は、その光学系によって光磁気
ディスク10に照射されるときに、直線偏光となる。
【0048】また、記録磁石は、情報の記録中には連続
的にオン状態にされ、再生時にはオフ状態にされる。そ
して、オン状態にされた記録磁石から発生される磁界
は、光磁気ディスク10の記録光が照射される位置に対
して、連続的に印加されるようになっている。この記録
磁石の磁界の向きは、光磁気ディスク10の初期化層1
7の副格子磁化方向とは逆向きとなっている。
【0049】次に、本実施形態の光磁気ディスク10
に、情報がオーバーライト記録される過程について説明
する。ここでは、記録磁石の磁界の向きを「下向き」、
初期化層17の副格子磁化方向を「上向き」として説明
する。
【0050】情報のオーバーライト記録時には、光磁気
ディスク10に、記録する情報に応じて強度変調された
記録光が基板21側から照射されると共に、記録磁石の
下向き磁界が連続的に印加される。なお、初期化層17
の副格子磁化方向は、記録磁石の磁界に拘わらず常に上
向きとなっている。まず、照射される記録光のパワーを
高レベルとした場合の記録過程(高温過程)について説
明する。
【0051】高レベルのパワーの記録光が光磁気ディス
ク10に照射されると、この記録光のスポット領域の中
心部(加熱領域)におけるRE−TM合金層10aは、
記録層15のキュリー温度よりも高い温度(高レベル温
度)まで加熱される。このとき、高レベル温度まで加熱
されたRE−TM合金層10aのうち、少なくともメモ
リー層13,記録層15,スイッチング層16は、磁化
が消失する。すなわち、上記の加熱領域では、メモリー
層13に保持されていた情報(副格子磁化方向)は、消
去されたことになる。
【0052】その後、光磁気ディスク10の回転によっ
て、記録光のスポット領域と光磁気ディスク10とが相
対的に移動すると、高レベルのパワーの記録光による加
熱領域が、光磁気ディスク10面上を移動する。したが
って、上記の高レベル温度まで加熱されていたRE−T
M合金層10aは、記録光のスポット領域から外れた
後、徐々に室温に向かってその温度が低下していく。
【0053】光磁気ディスク10の温度が高レベル温度
から低下し始めると、まず、一旦磁化が消失したメモリ
ー層13,記録層15,スイッチング層16のうち、最
もキュリー温度が高い記録層15の磁化が回復する。こ
のとき、スイッチング層16の磁化はまだ消失したまま
なので、記録層15には初期化層17による交換結合力
が伝達されない。したがって、磁化が回復した記録層1
5の副格子磁化方向は、初期化層17の上向き副格子磁
化方向に影響されることなく、記録磁石の下向き磁界に
ならって下向きとなる。
【0054】さらに光磁気ディスク10の温度が低下す
ると、記録層15の保磁力が増し、一方で、メモリー層
13の磁化が回復する。このとき、このメモリー層13
には、記録層15の下向き副格子磁化方向が転写され
る。そして、メモリー層13の副格子磁化方向は下向き
となる。その後さらに光磁気ディスク10の温度が低下
すると、記録層15の保磁力がさらに増すと共にメモリ
ー層13の保磁力も増し、一方で、スイッチング層16
の磁化が回復する。このとき、このスイッチング層16
には、強い保磁力をもつ初期化層17の上向き副格子磁
化方向が転写される。そして、スイッチング層16の副
格子磁化方向は上向きとなる。
【0055】このように、スイッチング層16の副格子
磁化方向が上向きとなったことによって、記録層15に
は、このスイッチング層16を介して、強い保磁力をも
つ初期化層17による交換結合力が伝達されることにな
る。このとき、記録層15は、その副格子磁化方向が下
向きとなっているが、強い保磁力をもつ初期化層17に
よる交換結合力に抗して、その下向き副格子磁化方向を
保持するだけの保磁力をまだもっていない。したがっ
て、この記録層15には、強い保持力をもつ初期化層1
7の上向き副格子磁化方向がスイッチング層16を介し
て転写される。そして、記録層15の副格子磁化方向
は、初期化層17により下向きから上向きに強制的に反
転されることになる(初期状態)。
【0056】また、このように記録層15の副格子磁化
方向が上向きに反転されて初期化されたことによって、
メモリー層13にも、記録層15による交換結合力が伝
達される。このとき、メモリー層13は、その副格子磁
化方向が下向きとなっているが、記録層15による交換
結合力に抗して、その下向き副格子磁化方向を保持する
だけの保磁力をもっている。したがって、このメモリー
層13は、記録層15の上向き副格子磁化方向に影響さ
れることなく、その下向き副格子磁化方向を保持するこ
とができる。
【0057】このように、光磁気ディスク10に高レベ
ルのパワーの記録光が照射されると、記録層15の副格
子磁化方向は記録磁石の磁界によって一時的に下向きと
なり、この記録層15の下向き副格子磁化方向がメモリ
ー層13に転写された後、記録層15の副格子磁化方向
は再び上向きに戻る(初期状態)。そして、上記の高温
過程を経て、加熱領域におけるメモリー層13の副格子
磁化方向は、記録磁石の下向き磁界と同じく、下向きと
なって保持される。
【0058】続いて、照射される記録光のパワーを低レ
ベルとした場合の記録過程(低温過程)について説明す
る。低レベルのパワーの記録光が光磁気ディスク10に
照射されると、この記録光のスポット領域の中心部(加
熱領域)におけるRE−TM合金層10aは、記録層1
5のキュリー温度よりも低く、かつ、メモリー層13,
スイッチング層16のキュリー温度よりも高い温度(低
レベル温度)まで加熱される。
【0059】このとき、加熱領域におけるRE−TM合
金層10aのうち、メモリー層13の磁化が消失して、
このメモリー層13に保持されていた情報(副格子磁化
方向)が消去される。また、スイッチング層16の磁化
も消失する。一方、記録層15は、保磁力が減少するも
のの初期化層17による初期状態(上向き副格子磁化方
向)が保持されている。
【0060】その後、光磁気ディスク10の回転によっ
て、記録光のスポット領域と光磁気ディスク10とが相
対的に移動すると、低レベルのパワーの記録光による加
熱領域がディスク面上を移動する。したがって、上記の
低レベル温度まで加熱されていたRE−TM合金層10
aは、記録光のスポット領域から外れた後、徐々に室温
に向かってその温度が低下していく。
【0061】光磁気ディスク10の温度が低下し始める
と、一旦磁化が消失したメモリー層13,スイッチング
層16のうち、まず、メモリー層13の磁化が回復す
る。このとき、このメモリー層13には、記録層15の
上向き副格子磁化方向が転写される。そして、メモリー
層13の副格子磁化方向は上向きとなる。さらに光磁気
ディスク10の温度が低下すると、スイッチング層16
の磁化も回復する。このとき、スイッチング層16に
は、強い保磁力をもつ初期化層17の上向き副格子磁化
方向が転写される。そして、スイッチング層16の副格
子磁化方向も上向きとなる。
【0062】このとき記録層15には、副格子磁化方向
が上向きとなったスイッチング層16を介して、初期化
層17による交換結合力が伝達される。このとき、記録
層15の副格子磁化方向は、初期状態のまま上を向いて
いる(すなわち、初期化層17の副格子磁化方向と同じ
方向)。したがって、記録層15は、上向き副格子磁化
方向がそのまま保持される。
【0063】以上説明したように、光磁気ディスク10
に低レベルのパワーの記録光が照射されると、上記の低
温過程を経て、加熱領域におけるメモリー層13の副格
子磁化方向は、初期化層17の上向き副格子磁化方向と
同じく、上向きとなって保持される。このように、図1
に示される光磁気ディスク10のメモリー層13の副格
子磁化方向は、照射される記録光のパワーが高レベルの
ときには記録磁石の磁界の方向に揃うが、低レベルのと
きには初期化層17の副格子磁化方向(高レベルのとき
とは逆向き)に揃って保持される。
【0064】したがって、記録光のパワーを、記録した
い新たな情報に関連づけて高レベルと低レベルとの間で
変調するだけで、光磁気ディスク10に対して情報をオ
ーバーライト記録することができる。なお、上記のよう
に、オーバーライト記録時の加熱領域は、照射される記
録光のスポット領域よりも小さいため、記録光のスポッ
ト領域よりも小さい領域に高密度に情報を記録すること
ができる。
【0065】次に、本実施形態の光磁気ディスク10の
メモリー層13に保持された高密度な情報を、磁気超解
像再生する場合の過程について説明する。ここでは、上
記と同様に、記録磁石の磁界の向きを「下向き」、初期
化層17の副格子磁化方向を「上向き」として説明す
る。情報の磁気超解像再生時には、光磁気ディスク10
に、再生レベル(記録光の低レベルのパワーよりも低い
レベル)に設定された再生光が、基板21側から照射さ
れる。
【0066】再生レベルのパワーの再生光が光磁気ディ
スク10に照射されると、この再生光のスポット領域の
中心部(再生領域)において、RE−TM合金層10a
は、再生層11の補償温度近傍の温度に加熱される。ま
た、再生光のスポット領域の中心部から外れた領域で
は、RE−TM合金層10aは、再生層11の補償温度
より低い温度に加熱される。
【0067】このとき、再生層11は、補償温度近傍ま
で加熱された再生領域において、面内磁化の状態から垂
直磁化の状態に変化する。また、再生層11のうち、再
生光のスポット領域内であるが、その中心部から外れた
領域(マスク領域)では、温度が補償温度より低いの
で、面内磁化の状態が保持される。また、再生層11の
うち、再生光のスポット領域外では、室温とほぼ同じ温
度となっているので、その全面において面内磁化してい
る。そして、再生層11は、垂直磁化の状態に変化した
再生領域のみにおいて、メモリー層13と結合すること
になる。
【0068】一方、再生層11以外のRE−TM合金層
10a(例えば、情報が保持されたメモリー層13,記
録層15,スイッチング層16など)は、再生光の照射
によって再生層11の補償温度近傍まで加熱されても、
各層(13,15,16)の保磁力がわずかに減少する
だけであり、それぞれの副格子磁化方向に変化はみられ
ない。このため、再生光が照射されても、光磁気ディス
ク10に記録された高密度な情報は、メモリー層13に
保持されている。
【0069】上記したように、再生層11とメモリー層
13とは、再生層11が垂直磁化の状態に変化した再生
領域のみにおいて結合しているので、この再生層11の
再生領域のみに、メモリー層13の高密度な情報(副格
子磁化方向)の一部が転写されることになる。なお、再
生光による情報の再生は、直線偏光の再生光が、再生層
11の照射面で反射したとき、その副格子磁化方向によ
って、偏光面が回転することを用いて行われる。
【0070】なおまた、図1に示される光磁気ディスク
10では、メモリー層13と記録層15との間に中間層
14を形成した。この中間層14によって、メモリー層
13と記録層15との間の交換結合力が調節される。し
たがって、磁気超解像再生時に、再生光の照射によって
メモリー層13が加熱され、その保磁力が減少しても、
確実にメモリー層13の副格子磁化方向が保持されるよ
うになっている。
【0071】このように、情報のオーバーライト記録や
磁気超解像再生の双方が行われる光磁気ディスク10
は、以下の点で優れている。第1に、オーバーライト記
録の過程では、メモリー層13の磁化が回復したとき
に、このメモリー層13に記録層15の副格子磁化方向
を良好に転写させることが必要である。この転写に関し
て、光磁気ディスク10では、以下のような作用効果が
得られる。
【0072】すなわち、図1に示される光磁気ディスク
10では、メモリー層13と再生層11との間に非磁性
層12を形成した。この非磁性層12は、メモリー層1
3と再生層11との間の交換結合力をほぼ遮断するよう
に機能するので、メモリー層13には、記録層15から
の交換結合力が強く作用することになる。したがって、
メモリー層13には、室温で面内磁化している再生層1
1からの悪影響を受けることなく、良好に記録層15の
副格子磁化方向が転写される。
【0073】第2に、光磁気ディスク10に情報の記録
や再生を行う記録再生装置では、その小型化が必要であ
る。この小型化に関して、光磁気ディスク10では、以
下のような作用効果が得られる。すなわち、図1に示さ
れる光磁気ディスク10では、記録層15上に、記録層
15を初期化するための初期化層17,スイッチング層
16を積層した。したがって、この光磁気ディスク10
では、記録再生装置側に、記録層15を初期化するため
の初期化磁石を内蔵する必要がない。したがって、この
場合の記録再生装置は、初期化磁石を内蔵しない簡単な
小型化されたものとなる。
【0074】第3に、情報のオーバーライト記録と磁気
超解像再生との双方を行うことができる光磁気ディスク
10では、膜厚を薄くすることが必要である。この点に
関して、光磁気ディスク10では、以下のような作用効
果が得られる。すなわち、図1に示される光磁気ディス
ク10では、記録層15の副格子磁化方向を強制的に一
方向に揃える初期化動作が、初期化磁石からの静磁界の
作用ではなく、初期化層17,スイッチング層16から
の交換結合力の作用によって行われる。したがって、記
録層15の膜厚を薄くすることができる。
【0075】また、図1に示される光磁気ディスク10
では、メモリー層13と再生層11との間に非磁性層1
2を形成した。この非磁性層12によって、メモリー層
13と再生層11との間の交換結合力がほぼ零になるの
で、再生層11の膜厚を薄くしても、室温における面内
磁化の状態を安定して保持させることができる。さら
に、図1に示される光磁気ディスク10では、全体とし
ての層数が、初期化磁石を記録再生装置に内蔵する場合
(上記の静磁結合MSR/DOW光磁気ディスク)に比
べて、初期化層17,スイッチング層16の分だけ増加
するものの、記録層15の膜厚を薄くすることができる
ので、合計の膜厚は薄くなる。
【0076】第4に、磁気超解像再生の過程では、再生
層11にメモリー層13の副格子磁化方向を良好に転写
させることが必要である。この転写に関して、光磁気デ
ィスク10では、以下のような作用効果が得られる。
【0077】すなわち、図1に示される光磁気ディスク
10では、上記のように記録層15の膜厚を薄くするこ
とができので、記録層15からの漏れ磁界がほぼ無くな
る。したがって、再生層11には、記録層15からの悪
影響を受けることなく、良好にメモリー層13の副格子
磁化方向が転写される。以上説明したように、上記構成
の光磁気ディスク10(図1)によれば、情報のオーバ
ーライト記録および磁気超解像再生が共に良好に行われ
る。
【0078】また、この光磁気ディスク10について実
際に搬送波対雑音強度比(CN比)を測定してみたとこ
ろ、以下のように、46dBという良好なCN比が得ら
れることがわかった。なお、CN比の測定は、CN比が
最大となる再生光のパワーで行った。また、この光磁気
ディスク10は、単に静磁結合型MSR方式と光変調オ
ーバーライト方式とを組み合わせた上記の静磁結合MS
R/DOW光磁気ディスクに比べて、全体の膜厚を薄く
することができるので、記録感度も良好で、実用的なも
のである。
【0079】なお、上記した実施形態の光磁気ディスク
10では、メモリー層13の組成をTb18Fe74Co8
としたが、メモリー層13の組成が異なる複数の光磁気
ディスク10を用意して、そのCN比を互いに比較し
た。表1には、メモリー層13の組成が異なる複数の光
磁気ディスク10についてCN比を測定した結果が示さ
れている。なお、この場合のメモリー層13の膜厚は、
全て上記した実施形態の光磁気ディスク10と同じく3
5nmである。これらの結果のうち、メモリー層13の
Tb組成が18%のものは、上記した実施形態の光磁気
ディスク10に対応している。
【0080】表1に示されるように、メモリー層13の
Tb組成が20%以下の光磁気ディスク(補償温度が室
温よりも低い)では、CN比が44dB以上と良好であ
るが、Tb組成が21%以上のもの(補償温度が室温よ
りも高い)では、CN比が低下することがわかる。この
CN比の低下の理由として、メモリー層13の組成が希
土類金属副格子優勢(REリッチ)になると、メモリー
層13の副格子磁化方向が再生層11に良好に転写され
なくなることが考えられる。
【0081】以上のことから、光磁気ディスク10のC
N比を良好なものとするためには、メモリー層13の組
成を、補償温度が室温よりも低い組成とすることが好ま
しい。
【表1】 また、上記した実施形態の光磁気ディスク10では、メ
モリー層13の膜厚を35nmとしたが、メモリー層1
3の膜厚が異なる複数の光磁気ディスク10を用意し
て、そのCN比を互いに比較した。
【0082】表2には、メモリー層13の膜厚が異なる
複数の光磁気ディスクについてCN比を測定した結果が
示されている。なお、この場合のメモリー層13の組成
は、全て上記した実施形態の光磁気ディスクと同じく、
Tb組成が18%のものである。これらの結果のうち、
メモリー層13の膜厚が35nmのものは、上記した実
施形態の光磁気ディスク10に対応している。
【0083】表2に示されるように、メモリー層13の
膜厚が25nmよりも厚く45nmよりも薄い光磁気デ
ィスクでは、CN比が45dB以上と良好であるが、膜
厚が20nm以下のものと、50nm以上のものは、C
N比が低下することがわかる。膜厚が20nm以下の場
合にCN比が低下する理由として、磁気超解像再生時
に、メモリー層13の副格子磁化方向が再生層11に良
好に転写されないことが考えられる。また、膜厚が50
nm以上の場合にCN比が低下する理由としては、オー
バーライト記録時に、記録層15からメモリー層13に
副格子磁化方向が良好に転写されないことが考えられ
る。
【0084】以上のことから、光磁気ディスク10のC
N比を良好なものとするためには、メモリー層13の膜
厚を、25nmよりも厚く45nmよりも薄くすること
が好ましい。
【表2】 さらに、上記した実施形態の光磁気ディスク10では、
記録層15の膜厚を20nmとしたが、記録層15の膜
厚が異なる複数の光磁気ディスク10を用意して、その
CN比を互いに比較した。表3には、記録層15の膜厚
が異なる複数の光磁気ディスクについてCN比を測定し
た結果が示されている。なお、この場合の初期化層17
の膜厚は、全て30nmである。
【0085】表3に示されるように、記録層15の膜厚
が15nmよりも厚く40nmよりも薄い光磁気ディス
クでは、CN比が45dB以上と良好であるが、膜厚が
10nm以下のものはCN比が低下し、45nm以上の
ものはオーバーライト記録ができないことがわかる。膜
厚が10nm以下の場合にCN比が低下する理由とし
て、オーバーライト記録時に、記録層15の副格子磁化
方向が正確に記録磁界に揃わないことが考えられる。ま
た、膜厚が45nm以上の場合にオーバーライト記録が
できない理由としては、初期化層17から記録層15に
副格子磁化方向が良好に転写されないことが考えられ
る。
【0086】以上のことから、光磁気ディスク10のC
N比を良好なものとするためには、記録層15の膜厚
を、15nmよりも厚く40nmよりも薄くすることが
好ましい。
【表3】 また、上記した実施形態の光磁気ディスク10では、初
期化層17の膜厚を20nmとしたが、初期化層17の
膜厚が異なる複数の光磁気ディスク10を用意して、そ
のCN比を互いに比較した。
【0087】表4には、初期化層17の膜厚が異なる複
数の光磁気ディスクについてCN比を測定した結果が示
されている。なお、この場合の記録層15の膜厚は、全
て25nmである。表4に示されるように、初期化層1
7の膜厚が15nm以上の光磁気ディスクでは、CN比
が45dB以上と良好であるが、膜厚が10nm以下の
ものでは、オーバーライト記録ができないことがわか
る。この理由として、初期化層17の磁化方向が、記録
層15からの交換結合力により反転してしまうことが考
えられる。
【0088】以上のことから、光磁気ディスク10のC
N比を良好なものとするためには、初期化層17の膜厚
を、15nmよりも厚くすることが好ましい。
【表4】 さらに、上記した実施形態の光磁気ディスク10では、
記録層15の膜厚と初期化層17の膜厚とを等しくした
が、記録層15の膜厚と初期化層17の膜厚との差が異
なる複数の光磁気ディスク10を用意し、そのCN比を
互いに比較した。
【0089】表5には、記録層15の膜厚と初期化層1
7の膜厚との差が異なる複数の光磁気ディスクについて
CN比を測定した結果が示されている。なお、この場合
の記録層15の膜厚は、全て20nmである。表5に示
されるように、両者の膜厚の差が30nm以下の光磁気
ディスクでは、CN比が45dB以上と良好であるが、
膜厚の差が40nm以上のものでは、CN比が低下する
ことがわかる。この理由として、膜厚の差が大きくなる
につれて、初期化層17からの漏れ磁界が大きくなり、
磁気超解像再生が困難になることが考えられる。
【0090】以上のことから、光磁気ディスク10のC
N比を良好なものとするためには、記録層15の膜厚と
初期化層17の膜厚との差を、30nm以下とすること
が好ましい。
【表5】 さらに、記録層15の膜厚を15nmよりも厚く40n
mよりも薄く(表3)、初期化層17膜厚を15nmよ
りも厚く(表4)、記録層15の膜厚と初期化層17の
膜厚との差を30nm以下(表5)とした光磁気ディス
ク10は、良好なCN比が得られると共に、記録感度も
良好であり、実用的なものである。
【0091】
【発明の効果】上述したように、請求項1に記載の発明
では、記録する情報は一時的に記録層に記録され、その
後、メモリー層に転写される。記録層は、情報をメモリ
ー層に転写してしまうと、初期化層によって初期化され
るが、メモリー層は、記録層から転写された情報をその
まま保持する。こうして、記録する情報は、最終的にメ
モリー層に保持され、オーバーライト記録される。さら
に、メモリー層に保持された情報は、その一部の領域の
副格子磁化方向が、非磁性層を介して再生層に転写され
て、磁気超解像再生される。したがって、光磁気オーバ
ーライト方式と磁気超解像技術とを組み合わせた場合で
も、情報の書き換え速度の高速化が図られると共に、大
容量化が図られた記録感度の良好な光磁気記録媒体とな
る。
【0092】また、請求項2,請求項6に記載の明で
は、記録光の強度を新たな情報に関連づけて変調させる
だけで、簡単に情報のオーバーライト記録を行うことが
できる。さらに、請求項3,請求項4,請求項7に記載
の発明では、再生光のスポット領域よりも小さい再生領
域のみに、メモリー層の副格子磁化方向が転写されるの
で、メモリー層に高密度に記録された情報を、正確に再
生することができる。
【0093】また、請求項5に記載の発明では、各層の
キュリー温度を実用的な温度範囲内に設定することがで
きる。また、各層の熱的安定性が良好で、かつ熱伝導性
が高く、情報を効率的に記録することができる。さら
に、量産性に優れ、製造コストも低く抑えることができ
る。さらに、請求項8に記載の発明では、再生時に、メ
モリー層の副格子磁化方向が再生層に良好に転写される
ので、CN比が良好となる。
【0094】また、請求項9に記載の発明では、再生時
に、メモリー層の副格子磁化方向が再生層に良好に転写
され、記録時に、記録層の副格子磁化方向がメモリー層
に良好に転写されるので、CN比が良好となる。さら
に、請求項10に記載の発明では、記録時に、記録層の
副格子磁化方向が外部磁界によって良好に反転され、記
録層の初期化時に、初期化層の副格子磁化方向が記録層
に良好に転写されるので、CN比が良好となる。
【0095】また、請求項11に記載の発明では、初期
化層の副格子磁化方向が、記録層などの他の磁性層から
の交換結合力によって反転してしまうことなく常に一方
向に保持され、かつ初期化層からの漏れ磁界が小さくな
って、再生時に、メモリー層の副格子磁化方向が再生層
に良好に転写されるので、CN比が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態の光磁気ディスク10の構
成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 光磁気ディスク 10a 希土類−遷移金属(RE−TM)合金層 11 再生層 12 非磁性層 13 メモリー層 14 中間層 15 記録層 16 スイッチング層 17 初期化層 21 基板 22 アンダーコート 23 オーバーコート 24 金属層 25 樹脂保護層

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも、 外部磁界による副格子磁化方向の反転によって情報が記
    録される記録層と、 前記記録層と前記基板との間に形成され、該記録層の副
    格子磁化方向が転写されて前記情報が保持されるメモリ
    ー層と、 前記メモリー層と前記基板との間に形成され、該メモリ
    ー層の一部の領域の副格子磁化方向が転写される再生層
    と、 前記再生層と前記メモリー層との間に形成された非磁性
    層と、 前記記録層の反基板側に形成され、前記記録層の副格子
    磁化方向を強制的に一方向に揃える初期化層と、 前記記録層と前記初期化層との間に形成され、前記外部
    磁界による前記記録層の副格子磁化方向の反転時に、前
    記初期化層による前記記録層への交換結合力の伝達を阻
    止するスイッチング層とが積層されていることを特徴と
    する光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 前記メモリー層に保持される情報は、照射される記録光
    が強い場合と弱い場合とで互いに逆向きとなる副格子磁
    化方向で表されることを特徴とする光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 前記再生層は、照射される再生光によって該再生層に生
    じる温度分布に応じた一部の領域に、前記メモリー層の
    副格子磁化方向が転写されることを特徴とする光磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 前記再生層の前記一部の領域は、前記再生光の照射によ
    って温度が所定温度以上となった領域であることを特徴
    とする光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 前記再生層、前記メモリー層、前記記録層、前記スイッ
    チング層、および前記初期化層は、希土類金属および遷
    移金属を主体とする磁性体であることを特徴とする光磁
    気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 前記記録層のキュリー温度は、前記メモリー層および前
    記スイッチング層のキュリー温度よりも高く、かつ前記
    初期化層のキュリー温度よりも低いことを特徴とする光
    磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 前記再生層は、補償温度が室温よりも高い磁性体である
    ことを特徴とする光磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 前記メモリー層は、補償温度が室温よりも低い磁性体で
    あることを特徴とする光磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載の光磁気記録媒体におい
    て、 前記メモリー層の膜厚は、25nmよりも厚く45nm
    よりも薄いことを特徴とする光磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載の光磁気記録媒体にお
    いて、 前記記録層の膜厚は、15nmよりも厚く40nmより
    も薄いことを特徴とする光磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、 前記記録層の膜厚は、前記初期化層の膜厚との差の絶対
    値が30nmよりも小さく、 前記初期化層の膜厚は、15nmよりも厚いことを特徴
    とする光磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011099133A1 (ja) 2010-02-10 2011-08-18 トヨタ自動車株式会社 加減速度検出システム

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