JPH1034696A - 表皮インサート射出成形方法 - Google Patents

表皮インサート射出成形方法

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JPH1034696A
JPH1034696A JP19937696A JP19937696A JPH1034696A JP H1034696 A JPH1034696 A JP H1034696A JP 19937696 A JP19937696 A JP 19937696A JP 19937696 A JP19937696 A JP 19937696A JP H1034696 A JPH1034696 A JP H1034696A
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skin material
molding
shrinkage
injection molding
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JP19937696A
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Tadayoshi Takahara
忠良 高原
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】積層体における反りを抑制するのに有利な表皮
インサート射出成形方法を提供すること。 【解決手段】賦形により所定の形状に賦形された表皮材
1を用い、表皮材1を成形型3のキャビティに配置した
状態で、表皮材1の表面に、基材4となる樹脂材料を射
出成形することにより表皮材1と基材4とを一体化した
積層体を製造する。射出成形の際における表皮材1の成
形収縮量と基材4の成形収縮量とを略相応させ、積層体
の反りを抑制するようにした。車両用のインストルメン
トパネルに適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表皮インサート射出
成形方法に関する。本発明は表皮材を備えた積層体、例
えば反りが発生し易い薄肉状の積層体、具体的には、車
両の運転席に装備されるインストルメントパネル等を成
形する際に利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来より、真空成形により所定の形状に
賦形された表皮材を用い、表皮材を成形型のキャビティ
に配置した状態で、表皮材の表面に、基材となる樹脂材
料を射出成形することにより表皮材と基材とを一体化し
た積層体を製造する表皮インサート射出成形方法が知ら
れている(特開平7−276421号公報)。
【0003】この方法によれば、表皮材と基材とが一体
化した積層体を製造することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
方法によれば、射出成形の際において、積層体に反りが
生じることがある。特に、本発明者の試験によれば、表
皮材を真空成形により所定の形状に賦形する際に、表皮
材の加工度つまり展開率が大きいものの場合には、展開
率が小さいものの場合に比較して、製造された積層体に
反りが生じ易かった。
【0005】また、車両の運転席に装備されるインスト
ルメントパネル等のように薄肉状の積層体の場合には、
組み付け性や見栄え等の観点から、反りが特に問題とな
り易い。上記したように積層体に反りが発生する要因と
しては、図16から理解できるように、射出成形される
際に表皮材100が加熱されて収縮し、この結果、表皮
材100の収縮量(δ1)が基材200となる樹脂材料
の成形収縮量(δ2)よりも大きくなり、所謂バイメタ
ル効果により積層体に反るが発生するものと推察され
る。
【0006】本発明者が行った試験によれば、図17の
試験結果から理解できるように、表皮材が原反の場合に
は表皮材の加熱収縮率が小さい。しかし表皮材が高展開
つまり表皮材の延伸率が高くなるように(例えば150
%)表皮材を賦形した場合には、表皮材の加熱収縮率が
高くなり、積層体に反りが生じ易くなる傾向があった。
【0007】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、積層体における反りを抑制するのに有利な表皮
インサート射出成形方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る表皮イン
サート射出成形方法は、賦形成形により所定の形状に賦
形された表皮材を用い、表皮材を成形型のキャビティに
配置した状態で、表皮材の表面に、基材となる樹脂材料
を射出成形することにより表皮材と基材とを一体化した
積層体を製造する表皮インサート射出成形方法におい
て、射出成形の際における表皮材の成形収縮量と基材の
成形収縮量とを略相応させ、積層体の反りを抑制するよ
うにしたことを特徴とするものである。
【0009】請求項2に係る表皮インサート射出成形方
法は、請求項1において、射出成形の際における表皮材
の成形収縮に樹脂材料が抗するように樹脂材料の収縮対
抗性を高める収縮対抗性付与手段により、樹脂材料で構
成される基材の収縮対抗性を高め、表皮材の成形収縮量
と基材の成形収縮量とを略相応させることを特徴とする
ものである。
【0010】請求項3に係る表皮インサート射出成形方
法は、請求項1において、基材となる樹脂材料から表皮
材に伝達される熱量に基づく表皮材の昇温を抑制する表
皮材昇温抑制手段により、射出成形の際における表皮材
の昇温を抑制し、射出成形の際における表皮材の成形収
縮量と基材の成形収縮量とを略相応させることを特徴と
するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明方法で採用する賦形成形と
しては、賦形型に形成した吸引孔から吸引することによ
り、表皮材を賦形型の型面にはりつけ、表皮材を所定の
形状に賦形成形する真空成形の形態を採用できる。場合
によっては、表皮材をプレス型で賦形する形態を採用す
ることもできる。
【0012】本発明方法で用いる表皮材としては、1層
積層構造、2層積層構造、3層積層構造のいずれのもの
でも良い。それ以外の層積層構造のものでも良い。本発
明で用いる樹脂材料としては射出成形可能な公知の樹脂
から選択して用いることができ、例えばポリオレフィ
ン、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフ
ェニレンオキサイドなどを主要成分とするものを採用で
きる。樹脂材料には、主要成分であるベースポリマーに
必要に応じて配合剤を添加できる。配合剤としては積層
体の種類に応じて選択できるが、フィラーとも呼ばれる
充填剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤等を採用でき
る。配合剤としてはタルク、場合によってはシリカ、カ
オリン、炭酸カルシウム等を採用することもできる。
【0013】本発明方法によれば、射出成形の際におけ
る表皮材の成形収縮量と基材の成形収縮量とを略相応さ
せ、積層体の反りを抑制する。この場合、次の(A)〜
(C)の方策の少なくとも1種を採用できる。勿論、積
層体の種類に応じて、この方策を適宜組み合わせて採用
することも好ましい。 (A)樹脂材料の組成や材質を調整し、射出成形の際に
おける表皮材の成形収縮率と基材の成形収縮率とを略相
応させる。例えば、表皮材の成形収縮率が12/100
0〜18/1000程度、特に15/1000のときに
は、樹脂材料の成形収縮率も12/1000〜18/1
000程度、特に15/1000とする。なお表皮材の
種類にもよるが、樹脂材料の成形収縮率は一般的には1
2/1000〜18/1000程度にできる。
【0014】このように両者の成形収縮率を略相応させ
るにあたっては、樹脂材料に添加される添加剤の含有量
や材質の調整、樹脂材料を構成するベースポリマー分子
量分布の調整を行い得る。但し、基材を構成する樹脂材
料に要求される他の特性(耐衝撃性、耐熱変形防止性
等)を満足する範囲で、樹脂材料の組成や材質を調整す
るのが好ましい。樹脂材料に添加される添加物としては
タルク、ゴムなどを採用できる。ゴムは加硫したものを
採用できる。
【0015】要請される成形収縮率に応じて、タルクの
形状を偏平状、球状にでき、ゴムの形状を偏平状、球状
にできる。例えば、タルク形状が偏平から球状となるよ
うにタルク材質を変更すれば、樹脂材料の成形収縮率が
増加し易い。添加ゴムの分子量分布や添加ゴムの材質に
より、樹脂材料の成形収縮率を調整することもできる。
【0016】また樹脂材料の組成や材質の調整だけで
は、反り防止に限界があるときには、樹脂材料の組成や
材質の調整と共に、あるいは、場合によっては樹脂材料
の組成や材質の調整を行うことなく、表皮材の組成や材
質を調整し、射出成形の際における表皮材の成形収縮率
と基材の成形収縮率とを略相応させることもできる。こ
の場合、表皮材に添加される添加剤の含有量や材質の調
整、表皮材を構成するベースポリマー分子量分布の調整
を行い得る。表皮材に添加する添加物としてはタルク、
ゴムを採用できる。
【0017】(B)射出成形の際における表皮材の成形
収縮に樹脂材料が抗するように基材の収縮対抗性を高め
る収縮対抗性付与手段により、基材の収縮対抗性を高
め、表皮材の成形収縮量と基材の成形収縮量とを略相応
させることができる。例えば、表皮材の成形収縮率が樹
脂材料の成形収縮率よりも大きい場合には、射出成形の
際における表皮材の成形収縮に樹脂材料が抗するよう
に、収縮対抗性付与手段として、基材となる樹脂材料の
弾性率つまり剛性を高める手段を採用できる。これによ
り、射出成形の際における表皮材の成形収縮量と基材の
成形収縮量とを略相応させることができる。
【0018】このように収縮対抗性付与手段の一例とし
て、樹脂材料を高弾性率化すれば、樹脂材料の剛性が高
まり、基材は変形しにくくなる。即ち、一般的には、歪
み変形量=(応力/弾性率)として示されるため、収縮
する表皮材から樹脂材料に作用する応力が一定であれ
ば、基材となる樹脂材料の弾性率が高い程、樹脂材料の
歪み変形量は小さくなり、樹脂材料で構成された基材ひ
いては積層体は反りにくくなる。
【0019】なお表皮材の種類にもよるが、樹脂材料の
弾性率は例えば2300〜2700MPa程度、特に2
500MPaに設定できる。樹脂材料を高弾性率化する
手段としては、タルク量の増加、ゴム量の減少、樹脂材
料の高結晶化等を採用できる。上記した収縮対抗性付与
手段の別例として、基材の厚みを厚くすることにより、
射出成形の際における表皮材の成形収縮に対する基材の
抵抗性を高め、表皮材の成形収縮に対して基材が打ち勝
つようにする手段を採用することもできる。
【0020】更に、上記した収縮対抗性付与手段の別例
として、表皮材を低弾性率化つまり低剛性化する手段を
採用することもできる。この場合には表皮材の低弾性率
化により、射出成形の際における表皮材の絶対変形量を
減少させ、これにより反りの要因となる上記したバイメ
タル効果が軽減され、射出成形の際における表皮材の成
形収縮量と基材の成形収縮量とを略相応させることがで
きる。
【0021】即ち、一般的には、応力=弾性率×歪み変
形量として示されるため、歪み変形量が一定であれば、
表皮材の弾性率が低い程、表皮材の収縮応力は小さくな
る。このように表皮材の収縮応力が小さくなれば、反り
の要因となるバイメタル効果が軽減され、樹脂材料が収
縮する度合いは低減される。故に積層体は反りにくくな
る。
【0022】表皮材を低弾性率化するにあたっては、表
皮材がタルクやゴムを含む場合には、表皮材に含有され
ているタルク含有量を減少したり、ゴム含有量を増加さ
せたりして達成できる。なお、タルク含有量の減少の割
合、ゴム含有量の増加の割合は、積層体の種類に応じて
選択できる。 (C)本発明方法によれば、射出成形の際に、基材とな
る樹脂材料から表皮材に伝達される熱量に基づく表皮材
の昇温を抑制する表皮材昇温抑制手段を用いることがで
きる。表皮材昇温抑制手段により、射出成形の際におけ
る表皮材の昇温を抑制し、これにより表皮材の昇温に伴
う収縮を抑制し、以て射出成形の際における表皮材の成
形収縮量と基材の成形収縮量とを略相応させる。
【0023】上記した表皮材昇温抑制手段の一例とし
て、表皮材の厚みを厚くして、表皮材の単位表面積あた
りの体積を増大し、これにより表皮材の平均温度の上昇
を抑制する手段を採用できる。射出成形の際に樹脂材料
から表皮材へ伝達される熱量が同一とすれば、表皮材の
肉厚が厚い程、表皮材の平均温度の昇温は抑制され、ひ
いては表皮材の昇温に伴う収縮は抑制される。
【0024】また、上記した表皮材昇温抑制手段の別例
として、樹脂材料から表皮材への熱伝達を低下させるフ
ィルムを表皮材と樹脂材料との間に介在させる手段を採
用することもできる。これにより射出成形の際に表皮材
の昇温を抑制でき、ひいては表皮材の昇温に伴う収縮は
抑制される。上記した表皮材昇温抑制手段の別例とし
て、表皮材の比熱を大きくする配合剤を表皮材に含有さ
せ、その含有量を増加する手段を採用できる。射出成形
の際に樹脂材料から表皮材に伝達される熱量が同一であ
れば、表皮材の比熱が大きい程、表皮材の昇温を抑制で
き、ひいては表皮材の昇温に伴う収縮を抑制できる。表
皮材の比熱を大きくする配合剤としては、タルク等を採
用できる。
【0025】また上記した表皮材昇温抑制手段の別例と
して、射出成形を行う成形型のうち、表皮材側の型温度
(T1)を表皮材と逆側の型温度(T2)よりも低温化
する手段を採用できる。例えば、表皮材側の型温度(T
1)を5〜10°C程度、表皮材と逆側の型温度(T
2)を10〜15°C程度にできる。このようにすれ
ば、射出成形の際における表皮材の平均温度の昇温を抑
制でき、ひいては表皮材の昇温に伴う収縮を抑制でき
る。この場合には、成形型に形成した冷却通路に、冷却
装置を通過した冷えた冷却水を積極的に供給する手段を
採用できる。
【0026】
【実施例】以下、図面を参照して本発明方法の実施例を
説明する。本実施例は、薄肉状の積層体、具体的には、
車両の運転席に装備されるインストルメントパネル(平
均肉厚5.0〜8.0mm)に適用した場合である。賦
形する前の表皮材1の断面を図1に示す。図1に示すよ
うに、表皮材1は3層構造、つまり、第1表皮11と第
2表皮12と第3表皮13とを積層して構成されてい
る。第1表皮11は肉眼にふれるため見栄え性の向上を
意図したものであり、シボや木目等の加飾を施したもの
である。第2表皮12は触感を意図したものであり、3
層のうち最も厚い発泡層シートである。第3表皮13
は、射出成形の際における第2表皮12の保護性を高め
るものであり、第2表皮12のうち第1表皮11と背向
する面に接合されている。第1表皮11は塩化ビニルを
主要成分として構成されている。第2表皮12は発泡ポ
リプロピレンを主要成分として構成されている。第3表
皮13はポリプロピレンを主要成分として構成されてい
る。表皮材1のうち第3表皮13の肉厚が薄い場合に
は、射出成形の際に、溶融状態の樹脂材料の熱やせん断
発熱等の影響による熱損傷で、第3表皮13が破断し、
触感を得るための第2表皮12が損傷するおそれがあ
る。
【0027】表皮材1のうち、賦形する前の肉厚として
は、第1表皮11が0.7〜0.9mm、第2表皮12
が2〜3mmとし、第3表皮13では従来品のインスト
ルメントパネルで0.8〜1.0mmであったものを
1.5〜2.0mmに厚肉化した。表皮材1の第2表皮
12、第3表皮13としては、例示したポリプロピレン
以外のポリオレフィン系樹脂においても同様の効果が得
られる。更に第1表皮11としてポリォレフィン樹脂を
使用したり、第2表皮12として発泡塩化ビニルを使用
した表皮材でも良い。組合わせは、これらいずれの場合
でも良い。
【0028】本実施例では、賦形に先立ち、表皮材1を
所定の温度に加熱する。次に、図2から理解できるよう
に、形状付与性を備えた賦形型として機能する真空成形
型2を用い、真空成形型2に形成されている図略の吸引
孔から吸引することにより、表皮材1を真空成形型2の
賦形型面20に密接させ、所定の形状に賦形する。その
後、表皮材1の余剰部位をトリミングする。賦形の際に
おける表皮材1の延伸率は適宜選択されるものの、一般
的には、120%〜150%〜200%程度である。賦
形が終了したら、表皮材1は真空成形型2から離型され
る。
【0029】図3は射出成形型3の要部を示す。射出成
形型3は金型であり、固定型として機能する第1型31
と、矢印X1方向に移動し得る可動型として機能する第
2型32と、矢印X2方向に移動し得る第1スライドコ
ア33と、矢印X3方向に移動し得る第2スライドコア
34とを備えている。射出成形型3の見切り面には、成
形型面を備えた薄幅状の成形キャビティ36が形成され
ている。
【0030】そして賦形成形により所定の形状に賦形さ
れた表皮材1を、図3に示すように、射出成形型3の成
形キャビティ36に配置する。その状態で、射出成形型
3を型締めする。更に、射出成形型3の成形キャビティ
36に溶融状態の樹脂材料(温度:180〜300°C
程度、射出圧5MPa〜50MPa程度)を注入し、こ
れにより基材4となる樹脂材料を表皮材1の表面に射出
成形して固化させ、以て表皮材1と基材4とを一体化し
たインストルメントパネル5が製造される。
【0031】本実施例によれば、射出成形される樹脂材
料の好ましい組成範囲は、ポリプロピレンをベースと
し、タルクを5〜22%、ゴムを5〜30%含有するも
のである。なお本明細書では特に断らない限り、%は重
量%を意味する。射出成形後、射出成形型3を型開き
し、薄肉状のインストルメントパネル5を射出成形型3
から離型する。製造されたインストルメントパネル5の
うち、基材4の厚みは3〜5mm、特に3.5mmであ
る。従って製造されたインストルメントパネル5は薄肉
状であり、組み付け時に反りが問題となり易い。
【0032】なお図3、図4は、理解容易化のために表
皮剤1やインストルメントパネル5の厚み方向に拡大し
て描いた図である。図4(A)は、表皮材1が配置され
た射出成形型3の成形キャビティ36に樹脂材料を注入
して装填した状態を示す。図4(B)は、反りがない状
態のインストルメントパネル5の目標形状を示す。基材
4の成形収縮量をK1とし、表皮材1の成形収縮量をK
2としたとき、図4(C)は、K1<K2であり、横断
面ほぼUの形状を呈するインストルメントパネル5が開
く方向に、つまり交差角Mが増加する方向に反った状態
を示す。図4(D)は、K1>K2であり、Uの形状を
呈するインストルメントパネル5が閉じる方向に、つま
り交差角Mが減少する方向に反った状態を示す。なお図
4(C)(D)における破線で示される形状は、インス
トルメントパネル5の横断面の目標形状を意味する。
【0033】本実施例によれば、前述した方策(A)〜
(C)が複合的に採用されている結果、図4(B)に示
すように、製造されたインストルメントパネル5は、全
体的に収縮するものの、インストルメントパネル5に反
りは実質的に発生しなかった。即ち、図3に示す射出成
形型3の成形キャビティ36の横断面の形状と、図4
(B)に示すインストルメントパネル5の横断面の形状
は、実質的に相似形状であった。
【0034】換言すれば、射出成形型3の成形キャビテ
ィ36の横断面における交差角と、図4(B)に示すイ
ンストルメントパネル5の横断面における交差角とは、
実質的に相応していた。従って製造されたインストルメ
ントパネル5は、車体の運転席に良好に組み付けること
ができた。 (試験例)本発明者が行った試験について説明を加え
る。即ち、図1から理解できるように、本試験では表皮
材1は第1表皮11と第2表皮12と第3表皮13とで
構成されている。第1表皮11は厚みが0.7mmの塩
化ビニルを主要成分とするものであり、第2表皮12は
厚みが2.0mmの発泡ポリプロピレンを主要成分とす
るものであり、第3表皮13は厚みが0.7mmのポリ
プロピレンを主要成分とするものである。厚みは射出成
形前のものである。本試験例では射出成形の際における
加熱に起因する表皮材1の成形収縮率は、15/100
0程度である。基材4は厚みが3.5mmであり、高結
晶性ポリプロピレンを主体として、タルクを5〜25
%、エチレン・プロピレンを主成分とするゴムを5〜3
0%含有するものである。
【0035】表1は、本実施例で用いた樹脂材料の配合
割合の1例を示す。更に表1に、樹脂材料の成形収縮率
及び反り変形量を従来例におけるそれと共に示す。
【0036】
【表1】 本試験例で用いた積層体である試験片の形状を図5に示
す。試験片の長さL1は350mmであり、幅L2は1
00mmとした。基本的には上記各試験条件に従って、
以下の各試験を行った。
【0037】図5の仮想線N1に示すように、表皮材1
の側が凹面となるように試験片が反ったときを正(+)
の反りとし、図5の仮想線N2に示すように、表皮材1
の側が凸面となるように試験片が反ったときを負(−)
の反りとした。以下、各試験例について説明する。 (試験例1−1)本試験例では、図6の特性線A1に示
すように、樹脂材料に含まれるタルク含有率を17%
(図6のa1点)から10%(図6のb1点)に低く変
更した。他の条件は変更しなかった。これにより、基材
4を構成する樹脂材料の成形収縮率を、10/1000
付近から15/1000付近へと高く変更した。このよ
うに樹脂材料の成形収縮率が高目となった結果、射出成
形の際における表皮材1の成形収縮率と基材4の成形収
縮率とが略相応した。このような本試験例では積層体の
反りを抑制または防止できた。
【0038】なお樹脂材料の成形収縮率が15/100
0であるとは、成形キャビティにおける寸法が1000
と仮定したとき、樹脂材料で構成された基材4が15ぶ
ん収縮し、その寸法が985となることを意味する。ま
た樹脂材料の成形収縮率と製造された積層体の反り変形
量との関係を試験し、これを図7の特性線A2に示す。
特性線A2に示すように、樹脂材料の成形収縮率が10
/1000(図7のa2点)のときには、積層体は正
(+)の反り変形となり、その反り変形量は+30mm
程度とかなり大きかった。
【0039】しかしながら上記したように樹脂材料の成
形収縮率が15/1000(図7のb2点)となれば、
表皮材1の収縮率に略相応するので、積層体の反り変形
量が0となった。また樹脂材料の成形収縮率が15/1
000を超えれば、積層体は負(−)の反り変形となり
易くなる。 (試験例1−2)本試験例では前述したように表皮材1
の成形収縮率は、15/1000程度である。本試験例
では、図8の特性線A3に示すように、樹脂材料に含ま
れるゴム含有率を15%(図8のa3点)から22%
(図8のb3点)に高く変更した。他の条件は変更しな
かった。これにより基材4を構成する樹脂材料の成形収
縮率を10/1000付近から15/1000付近へと
高く設定できた。以て射出成形の際における表皮材1の
成形収縮率と基材4の成形収縮率とを略相応させた。こ
のような本試験例では積層体の反りを抑制または防止で
きた。
【0040】(試験例1−3)本試験例では、表皮材1
のうち、射出成形される樹脂材料に直接触れる第3表皮
13の加熱の際の収縮率を低減させた。具体的には第3
表皮13に含まれているタルク含有率を15%から30
%に増加するように変更した。他の条件は変更しなかっ
た。このような本試験例では積層体の反りを抑制または
防止できた。
【0041】(試験例2−1)本試験例では、図9の特
性線A4に示すように、樹脂材料のタルク含有率を12
%(図9のa4点)から24%(図9のb4点)に増加
するように変更することにより、基材4を構成する樹脂
材料の弾性率を2000MPa付近から2500MPa
付近に高めに変更し、基材4となる樹脂材料を高剛性化
した。他の条件は変更しなかった。
【0042】これにより射出成形の際における表皮材1
の成形収縮に対する基材4の収縮対抗性を向上させた。
以て表皮材1の成形収縮量と基材4の成形収縮量とを略
相応させた。このような本試験例では積層体の反りを抑
制または防止できた。樹脂材料の弾性率と積層体の変形
量との関係を試験し、これを図10の特性線A5に示
す。特性線A5に示すように、樹脂材料の弾性率が20
00MPa付近(図10のa5点)のときには、樹脂材
料の高剛性化は不充分であり、積層体の変形量は+20
mm程度であった。しかしながら、樹脂材料の弾性率が
2500MPa付近(図10のb5点)のように、基材
4となる樹脂材料を高剛性化すれば、積層体の反り変形
は実質的に0であった。
【0043】(試験例2−2)本試験例では、樹脂材料
に含まれるゴム含有率を23%(図11のa6点)から
11%(図11のb6点)に低減するように変更した。
他の条件は変更しなかった。これにより基材4となる樹
脂材料の弾性率を2000MPa付近から2500MP
a付近に高めに変更し、基材4を構成する樹脂材料を高
剛性化した。これにより射出成形の際における表皮材1
の成形収縮に対する樹脂材料の収縮対抗性を向上させ、
以て表皮材1の成形収縮量と基材4の成形収縮量とを略
相応させた。このような本試験例では積層体の反りを抑
制または防止できた。
【0044】(試験例2−3)本試験例では、他の条件
は変更せずに、樹脂材料で構成される基材4の肉厚を
3.2mmから3.5mmへと10%増加するように変
更した。これにより基材4全体の剛性が向上した。これ
により射出成形の際における表皮材1の成形収縮に対す
る樹脂材料の収縮対抗性を向上させた。よって、射出成
形の際における表皮材1の成形収縮量と基材4の成形収
縮量とを略相応させた。このような本試験例では積層体
の反りを抑制または防止できた。
【0045】(試験例2−4)本試験例では、表皮材1
のうち第3表皮13に含まれるタルク含有量を20%か
ら10%に低減するように設定した。他の条件は変更し
なかった。これにより第3表皮13を低弾性率化させ、
つまり第3表皮13の剛性を低減させた。これにより表
皮材1の収縮に伴う収縮力を低減した。以て射出成形の
際における表皮材1の成形収縮量と基材4の成形収縮量
とを略相応させた。このような本試験例では積層体の反
りを抑制または防止できた。
【0046】また表皮材1のうち第3表皮13に含まれ
るゴム含有量を10%から25%に増加するように設定
した。他の条件は変更しなかった。これにより第3表皮
13が低弾性率化し、つまり第3表皮13の剛性が低減
した。従って第3表皮13の加熱に伴う収縮力を低減で
きた。これにより射出成形の際における表皮材1の収縮
力を低減し、以て成形収縮量と基材4の成形収縮量とを
略相応させた。このような本試験例では積層体の反りを
抑制または防止できた。
【0047】(試験例3−1)本試験例では、図1に示
す3層構造の表皮材1のうち、第3表皮13の肉厚と積
層体の変形量との関係を調べる試験を行った。試験結果
を図12に示す。図12の特性線から理解できるよう
に、表皮材1のうち第3表皮13の肉厚が厚くなれば、
他の条件が同一であっても、積層体の反り変形量が低減
する傾向が確認された。
【0048】即ち、他の条件は変更せずに、賦形成形前
の第3表皮13の肉厚は、従来品では0.9mmであっ
たが、1.9mmに変更したところ、肉厚を変更させる
前に比較して、第3表皮13の平均温度を、実測によれ
ば、20°Cとかなり低下させることができた。このよ
うに、第3表皮13の平均温度を低減させ得るため、第
3表皮13の加熱に伴う収縮量を低減できた。これによ
り射出成形の際における表皮材1の成形収縮量と基材4
の成形収縮量とを略相応させた。このような本試験例で
は積層体の反りを抑制または防止できた。
【0049】ちなみに図1に示す3層構造の表皮材1を
用いた従来品において平均温度を測定したところ、図1
3に示すように、基材4を構成する樹脂材料の温度が2
00°C程度のとき、表皮材1のうち第1表皮11が5
0〜100°C程度、第2表皮12が100〜110°
C程度、第3表皮13が110〜200°C程度であっ
た。このように基材4となる樹脂材料に直接触れる第3
表皮13が最も昇温し易いものである。故に、第3表皮
13の昇温を抑制することが、積層体の反り変形防止に
有効である。
【0050】(試験例3−2)本試験例では、図14に
示すように射出成形型3の成形キャビティ36に表皮材
1を配置する際に、樹脂材料と接合可能なフィルム39
を表皮材1に被着した。その後、成形キャビティ36に
樹脂材料を射出成形した。このようにすれば、射出成形
の際に、フィルム39の機能により樹脂材料の熱が表皮
材1に伝達されることを抑制できる。
【0051】これにより射出成形の際における表皮材1
の昇温が抑制され、第3表皮13の加熱収縮量を低減で
きた。以て射出成形の際における表皮材1の成形収縮量
と基材4の成形収縮量とを略相応させた。 (適用例)適用例に係るインストルメントパネル5の横
断面を図15に示す。図15に示すようにインストルメ
ントパネル5は表皮材1に基材4を一体化したものであ
り、薄肉状の積層体である。このようにインストルメン
トパネル5は薄肉状であり、反りが問題となり易い。な
お本発明方法は、インストルメントパネルに限らず、他
の機器にも適用できるものである。
【0052】(付記)上記した記載から、次の技術的思
想も把握できる。 ○請求項1において、表皮材は、外方に露出する第1表
皮と第2表皮と基材に接合される第3表皮とで構成さ
れ、第3表皮の厚みは、第1表皮の厚みよりも厚く設定
されていることを特徴とする表皮インサート射出成形方
法。 ○第3表皮の厚みは、1.5mm〜2.0mmであるこ
とを特徴とする表皮インサート射出成形方法。 ○樹脂材料の成形収縮率は12/1000〜18/10
00、特に15/1000に設定されていることを特徴
とする表皮インサート射出成形方法。 ○樹脂材料の弾性率は2300〜2700MPa、特に
2500MPaに設定されていることを特徴とする表皮
インサート射出成形方法。 ○請求項1に基づく車両用インストルメントパネルの製
造方法。
【0053】
【発明の効果】本発明方法によれば、積層体における反
りを抑制することができる。従って積層体を他の装置や
機器に組み付けられるときには、組み付け性が改善され
る。例えば、積層体がインストルメントパネルである場
合には、インストルメントパネルの組み付け性が改善さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表皮材の要部の断面図である。
【図2】真空成形型に表皮材を賦形させた状態を模式的
に示す構成図である。
【図3】賦形した表皮材を射出成形型の成形キャビティ
に配置した状態を示す構成図である。
【図4】(A)は表皮材を配置した射出成形型に樹脂材
料を装填した状態を示す構成図であり、(B)は積層体
の目標形状を示す構成図であり、(C)は積層体が開く
方向に反った状態を示す構成図であり、(D)は積層体
が閉じる方向に反った状態を示す構成図である。
【図5】試験で用いた試験片の形状を示す斜視図であ
る。
【図6】樹脂材料のタルク含有率と樹脂材料の成形収縮
率との関係を示すグラフである。
【図7】樹脂材料の成形収縮率と積層体の反り変形量と
の関係を示すグラフである。
【図8】樹脂材料のゴム含有率と樹脂材料の成形収縮率
との関係を示すグラフである。
【図9】樹脂材料のタルク含有率と樹脂材料の弾性率と
の関係を示すグラフである。
【図10】樹脂材料の弾性率と積層体の反り変形量との
関係を示すグラフである。
【図11】樹脂材料のゴム含有率と樹脂材料の弾性率と
の関係を示すグラフである。
【図12】表皮材の第3表皮の厚みと積層体の変形量と
の関係を示すグラフである。
【図13】射出成形の際における積層体の温度分布を示
す構成図である。
【図14】射出成形型の成形キャビティに配置した表皮
材にフィルムを被着した状態を示す構成図である。
【図15】インストルメントパネルの断面を模式的に示
す構成図である。
【図16】積層体が反っている状態の要部を示す構成図
である。
【図17】表皮材の加熱温度と表皮材の加熱収縮率との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
図中、1は表皮材、11は第1表皮、12は第2表皮、
13は第3表皮、2は真空成形型、3は射出成形型、4
は基材を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】賦形成形により所定の形状に賦形された表
    皮材を用い、前記表皮材を成形型のキャビティに配置し
    た状態で、前記表皮材の表面に、基材となる樹脂材料を
    射出成形することにより前記表皮材と前記基材とを一体
    化した積層体を製造する表皮インサート射出成形方法に
    おいて、 射出成形の際における前記表皮材の成形収縮量と前記基
    材の成形収縮量とを略相応させ、前記積層体の反りを抑
    制するようにしたことを特徴とする表皮インサート射出
    成形方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、射出成形の際における
    前記表皮材の成形収縮に前記樹脂材料が抗するように前
    記樹脂材料の収縮対抗性を高める収縮対抗性付与手段に
    より、前記樹脂材料で構成される基材の収縮対抗性を高
    め、前記表皮材の成形収縮量と前記基材の成形収縮量と
    を略相応させることを特徴とする表皮インサート射出成
    形方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記基材となる樹脂材
    料から前記表皮材に伝達される熱量に基づく前記表皮材
    の昇温を抑制する表皮材昇温抑制手段により、射出成形
    の際における前記表皮材の昇温を抑制し、射出成形の際
    における前記表皮材の成形収縮量と前記基材の成形収縮
    量とを略相応させることを特徴とする表皮インサート射
    出成形方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6652983B1 (en) 1998-02-27 2003-11-25 Nissha Printing Co., Ltd. Sheet for in-mold decorating and in-mold decorated article
JP2005153234A (ja) * 2003-11-21 2005-06-16 Toyoda Gosei Co Ltd 表皮材付き樹脂成形品の成形方法
JP2009196158A (ja) * 2008-02-20 2009-09-03 Sanwa Screen Meiban:Kk インサート成形体及びその製造方法
JP2013006292A (ja) * 2011-06-22 2013-01-10 Toyota Boshoku Corp 車両用内装材の製造方法
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