JPH103663A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH103663A
JPH103663A JP15136396A JP15136396A JPH103663A JP H103663 A JPH103663 A JP H103663A JP 15136396 A JP15136396 A JP 15136396A JP 15136396 A JP15136396 A JP 15136396A JP H103663 A JPH103663 A JP H103663A
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JP
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magnetic
sputtering
web
film
temperature
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Application number
JP15136396A
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English (en)
Inventor
Junji Nakada
純司 中田
Makoto Kashiwatani
誠 柏谷
Makoto Nagao
信 長尾
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保磁力が高く、且つ、ディスクの円周方向の
保磁力分布が均一である良好な磁気特性を備えたフレキ
シブルな薄膜型磁気記録媒体を得る。 【解決手段】 搬送支持される厚さ10μm〜200μ
mの連続ウェブW上に、非磁性下地層をスパッタ成膜し
た後、前記非磁性下地層上に面内磁気異方性を有する磁
性層をスパッタ成膜して成る磁気記録媒体の製造方法に
おいて、真空中を搬送される前記ウェブWは、0.6×
Tl≦Tv≦Tl(但し、Tlは非磁性支持体の使用可
能温度)の範囲の支持体処理温度(Tv)で加熱処理さ
れた後、0.5×Tl≦Tu≦Tlの範囲の支持体温度
(Tu)で加熱した状態で前記非磁性下地層がスパッタ
成膜されると共に、前記非磁性下地層のスパッタ成膜に
連続して、前記ウェブWが0.4×Tl≦Tm≦Tlの
範囲の支持体温度(Tm)で加熱した状態で前記磁性層
がスパッタ成膜される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープ、磁気
ディスク、磁気カード等の磁気記録媒体に関し、特に超
高密度記録に適した薄膜型の磁気記録媒体の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、音声・映像情報のディジタル化、
コンピューター等の情報処理装置の発展とマルチメディ
ア化、それらを包含する情報ネットワークの構築・進展
に伴い、情報処理装置の記録メディアは記録容量、記録
再生速度、コスト、小型化、信頼性等の各性能の向上が
求められている。
【0003】特に、磁気ディスク装置は高密度記録に適
した外部記録装置である。磁気ディスク装置に用いられ
る磁気記録媒体としては、酸化物磁性体の粉末を支持体
上に塗布した塗布型磁気記録媒体と、金属磁性体の薄膜
を基板上に蒸着あるいはスパッタリングにより作成した
薄膜型磁気記録媒体とが知られている。塗布型磁気記録
媒体は主に、フロッピィディスク装置に使用されてい
る。薄膜型磁気記録媒体は、前記塗布型磁気記録媒体に
比べて記録膜中の磁性体の密度が高いため、より高記録
密度化に適しており、固定磁気ディスク装置(ハードデ
ィスク装置)や可搬型の固定磁気ディスク装置(リムー
バブルハードディスク装置)に多く用いられている。
【0004】上述の如き、固定磁気ディスク装置に用い
る薄膜型磁気記録媒体である固定磁気ディスクの一般的
な構造としては、基板上に下地層、磁性層、保護層を順
次形成したものが良く知られている。固定磁気ディスク
装置の記録容量を増大するためには、薄膜型磁気記録媒
体の保磁力を高くすることと、ビット境界からの反磁界
を小さくするために、磁気記録媒体の残留磁化値と磁性
層の厚さの積、いわゆるBr×dを小さくすること、さ
らに、媒体ノイズを低減することが必要である。
【0005】前記固定磁気ディスクに用いる薄膜型磁気
記録媒体の基板は、従来からAl−Mg合金が多く用い
られている。そして、ディスク状基板の表面にNiPメ
ッキ層を形成し、その後、ポリッシング加工を施すこと
で、記録・再生時のエラーとなる基体表面の欠陥をなく
している。さらに、ポリッシング加工を施した基板表面
に極めて微細な条痕パターン(溝)や凹凸を付与するテ
クスチャー加工により、CSS動作(コンタクトスター
トストップ)の際の磁気ディスクと磁気ヘッド間の摩擦
係数を低下させ、かつ、磁気ディスクの円周方向の磁気
特性、特に、保磁力Hc、角型比S、保磁力角型比S*
の向上を図っている。又、可搬型の固定磁気ディスク装
置では、磁気ディスクの耐衝撃性の要求が強く、Al−
Mg合金基板の他に、ガラス、銅、チタン、ジルコニ
ア、カルシア、カーボンまたはシリコン等で形成された
基板を使用することも出来る。
【0006】固定磁気ディスクに用いる一般的な薄膜型
磁気記録媒体は、基板上にCrなどの下地膜をスパッタ
成膜し、そして、CoCrPtまたは、CoCrTaな
どの金属磁性体をスパッタ成膜して薄膜磁性膜を形成し
た後、保護膜としてカーボンをスパッタ成膜、あるい
は、ダイヤモンド状カーボン(DLC)をプラズマCV
D法により形成し、最後にパーフロロポリエーテルなど
のようなフッ素系の潤滑層を塗布して完成する。
【0007】また、高記録密度化を実現するために、磁
気ディスク装置に関しては、磁気抵抗効果型の磁気ヘッ
ド(MRヘッド)の開発が進められている。また、ヘッ
ド−メディアインターフェイスの問題は、記録媒体−磁
気ヘッド間のスペーシングを低下させる必要があり、固
定磁気ディスク装置の場合、磁気ヘッドの浮上量を小さ
くすることを試みるが、反面磁気ヘッドが磁気ディスク
と接触する確率が高くなる。又、可撓性支持体を用いる
フロッピィディスク装置などでは、支持体の平面性は上
述のAl−Mg合金基板等に比べ劣るため、磁気ヘッド
と磁気ディスクが摺動する頻度が高くなり、また、場合
により常時摺動することも考えられる。
【0008】一般に、固定磁気ディスク用薄膜型磁気記
録媒体の製造方法においては、保磁力Hcを高くし媒体
ノイズを低減するために、前述したAl−Mg合金基板
(Ni−Pメッキ)のポリッシング加工やテクスチャー
加工に加えて、基板加熱条件が重要である。即ち、基板
加熱を行うことで磁性膜を構成する結晶粒子を各々磁気
的に分離させ、かつその結晶粒を小さくすることができ
る。尚、Al−Mg合金基板(Ni−Pメッキ)の加熱
温度は、一般的に200℃〜300℃程度である。
【0009】また、固定磁気ディスク(ハードディス
ク)の金属薄膜の層構成が、Crなどの下地層と、Co
CrPtまたはCoCrTaなどの磁性層との2層構成
になっている理由は、Co系合金薄膜の面内保磁力を高
めるためである。Co系合金薄膜は、一般に、膜垂直方
向に磁化容易軸を有する薄膜に成り易い。一方、ある成
膜条件下で、Cr薄膜を基板に形成し、その上に直接C
o系合金薄膜を形成すれば、CrとCo合金とは格子定
数が近いので、Cr膜上にCo系合金膜がヘテロエピタ
キシャル的に成長することとなる。その結果、Co系合
金薄膜の磁化容易軸が、基板面方向に傾斜して成長し、
面内に高い保磁力を発生させることができる。すなわ
ち、Cr下地層は、Co系合金薄膜の面内保磁力Hcを
始めとする磁気特性を特徴付ける役割を果しており、そ
の成膜条件を適切に設定することが重要であることも、
公知である。
【0010】一方、記録メディアの大容量化、小型化、
低コスト化、可搬性の要求から、厚さ10μm〜100
μmの高分子フィルムを支持体とし、その上に金属磁性
体の薄膜を形成したフレキシブルな薄膜型磁気記録媒体
の開発が進められている。この媒体は、フロッピィディ
スクの持つ耐衝撃性、可搬性、軽量性(記録メディア本
体および回転機構の重量)などの特徴と、薄膜型磁気記
録媒体の高記録密度、低ノイズ特性を共有した性能の実
現が期待されている。
【0011】そして、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等よりな
る高分子フィルムを支持体として用いたフレキシブルな
薄膜型磁気記録媒体の製造方法は、いくつかの方法が考
えられている。例えば、前記高分子フィルムを予めディ
スク状に打ち抜き、基板ホルダーにセットした状態で、
従来の固定磁気ディスクと同様の枚葉式スパッタ装置で
成膜する方法や、複数の基板ホルダーをパレットに装填
し、それが大面積のスパッタターゲット上を通過するこ
とで成膜を行う、パレット通過型スパッタ方法がある。
その他に、生産性が高くコスト的に有利な方法として、
ウェブ搬送連続成膜方法がある。これは、送り出し/巻
き取り装置を有したスパッタリング装置において、高分
子フィルムを連続ウェブとして搬送しつつ、そのウェブ
上にCrなどの下地膜と、CoCrPtなどの磁性膜を
スパッタ成膜して薄膜磁性膜を形成する方法である。
【0012】即ち、高分子フィルムを連続ウェブとして
搬送しつつそのウェブ上にCrなどの下地層と、CoC
rPtなどの磁性層とを形成するウェブ搬送連続成膜方
法では、一般に、スパッタリングカソードを、搬送され
るウェブ表面に対向する位置に設置する。長方形形状を
有し、当該スパッタリングカソード上に設置され、当該
ウェブ表面と対向するCr,CoCrPtなどからなる
スパッタリングターゲットは、その長手方向が、ウェブ
幅方向に一致する。当該ウェブは、当該スパッタリング
ターゲット表面を通過しつつ、その表面に下地層、磁性
層が形成される。その後、前記下地層及び磁性層が形成
されたウェブに保護層及び潤滑層を形成した後、円盤形
状に打ち抜き、円盤形状の薄膜型磁気記録媒体とする。
【0013】従って、このような製法で作成されたフロ
ッピィディスクは、基板の円周方向のテクスチャー加工
はなく、且つ、磁性体の成膜方法も、円周方向の磁気特
性の均一性の確保を考慮したものになっていない。ま
た、前述の如きウェブ状の高分子フィルムを支持体とし
て用いた場合、一枚一枚のディスクのポリッシング加工
や円周方向のテクスチャー加工を施すことは難しい。
【0014】更に、前述したように、固定磁気ディスク
における薄膜磁性膜の保磁力の向上や、低ノイズ化のた
めには、基板加熱が重要な手段であったが、基板となる
高分子支持体は、当然であるが、Al−Mg合金基板と
いった金属に比べて加熱できる温度の制約は大きく、ま
た、その温度は高分子支持体の種類により異なる。従っ
て、ウェブ状の高分子フィルムを支持体として用い、フ
レキシブルな薄膜型磁気記録媒体を作成する場合、従来
の固定磁気ディスクの製造方法をそのまま活用すること
はできない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願発明者等
は、高分子フィルムを連続ウェブとして搬送しつつ、そ
のウェブ上にCrなどの下地膜と、CoCrPtなどの
磁性膜をスパッタ成膜して薄膜磁性膜を形成する方法
で、フレキシブルな薄膜型磁気記録媒体を作成すること
を試みた。具体的には、送り出し/巻き取り装置を有し
た連続スパッタリング装置を用いて、厚さ10μm〜2
00μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等の高分子フィルムを、連続ウェブとして
搬送しつつ、ウェブをスパッタリングターゲットに対向
させ、且つ、空間を搬送させた状態(スパッタ成膜され
るウェブの裏面側に支持機構がない状態)で、外部から
ウェブを加熱することなくCrなどの下地層をスパッタ
成膜し、引き続いて同様のウェブの状態にてCoPtC
r磁性層をスパッタ成膜した。その後、サンプルを直径
3.5インチの円盤形状に打ち抜くことでフロッピィデ
ィスクを作成し、保磁力や円周方向の保磁力分布を測定
した。
【0016】しかし、上記方法で作成したサンプルは、
面内保磁力が、目標最下限値である1000Oe未満と低
く、且つ、ディスクの円周方向の保磁力分布は極めてバ
ラツキが大きいことがわかった。従って、この様な方法
では、保磁力が高く且つ、ディスクの円周方向の保磁力
分布が均一なフレキシブルな薄膜型磁気記録媒体を作成
することが困難であった。即ち、本発明の目的は上記課
題を解消することに係り、保磁力が高く、且つ、ディス
クの円周方向の保磁力分布が均一である良好な磁気特性
を備えたフレキシブルな薄膜型磁気記録媒体を得ること
ができる磁気記録媒体の製造方法を提供することであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、搬
送支持される厚さ10μm〜200μmの非磁性支持体
よりなる連続ウェブ上に、非磁性下地層をスパッタ成膜
した後、前記非磁性下地層上に面内磁気異方性を有する
磁性層をスパッタ成膜して成る磁気記録媒体の製造方法
において、真空中を搬送される前記ウェブは、0.6×
Tl≦Tv≦Tl(但し、Tlは非磁性支持体の使用可
能温度)の範囲の支持体処理温度(Tv)で加熱処理さ
れた後、0.5×Tl≦Tu≦Tlの範囲の支持体温度
(Tu)で加熱した状態で前記非磁性下地層がスパッタ
成膜されると共に、前記非磁性下地層のスパッタ成膜に
連続して、前記ウェブが0.4×Tl≦Tm≦Tlの範
囲の支持体温度(Tm)で加熱した状態で前記磁性層が
スパッタ成膜されることを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法により達成される。
【0018】尚、前記非磁性下地層をスパッタ成膜した
後に前記磁性層をスパッタ成膜するまでの保持時間をt
i (sec)、前記非磁性下地層をスパッタ成膜した後
に前記磁性層をスパッタ成膜するまで保持される空間の
圧力をPi (Torr)とすると、これら保持時間ti
及び圧力Pi が、ti ×Pi ≦600、好ましくはt i
×Pi ≦400、より好ましくはti ×Pi ≦200の
範囲に設定されることが好ましい。ti ×Pi が、この
ような条件範囲になることについての詳細は後述する。
又、好ましくは前記連続ウェブが、成膜ドラムに沿った
状態で搬送支持されると共に、該成膜ドラムで加熱され
ながら前記非磁性下地層及び前記磁性層をスパッタ成膜
される。更に、前記ウェブを真空中で搬送し、前記非磁
性下地層或いは前記磁性層をスパッタ成膜する時の張力
Ts(kgf/m)は、1≦Ts≦50、好ましくは3
≦Ts≦20の範囲に設定されることが好ましい。張力
が1kgf/m以下では、支持体と成膜ドラムとの機械
的な密着が不十分であり、支持体を所望の温度に加熱で
きない。また、張力が50kgf/mを越えてしまう
と、支持体にしわが入ったり、塑性変形が起きやすくな
ってしまう。
【0019】尚、前記非磁性支持体の使用可能温度(T
l)とは、長時間使用時の耐熱性を表す温度のことであ
る。文献(「工業用プラスチックフィルム」 加工技術
研究会編 第208頁)に示されているように、一般
に、高分子支持体を高温に保った時、熱分解、加水分
解、酸化分解あるいは架橋などの化学反応で劣化が進
み、物性が限界値以下に低下してくる。この度合いを、
長時間耐久性と呼び、磁気記録媒体、特に蒸着、スパッ
タ等におけるような高分子支持体が高温に晒されるプロ
セスでは、この長時間耐久性を判断する温度を使用可能
温度として、支持体の選定基準、プロセス条件を決定す
る要因としている。
【0020】前記使用可能温度は、具体的には文献
(「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」 日刊工業新
聞社 第736頁)に記載されているように、プラスチ
ックの耐熱性の指標として一般的に用いられている、上
記長時間使用時の寿命を示す耐熱性の観点で規定された
IEC85の電気絶縁材料耐熱区分の長期耐熱温度を用
いている。当該文献(875頁)では、PENとPET
の比較図において、PENで区分Fの155℃、PET
で区分Eの120℃を示しているが、これが当該耐熱温
度を使用可能温度としている例である。例えばポリエチ
レンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレ
ート(PEN),アラミド,ポリイミドの高分子フィル
ムの使用可能温度は、それぞれ120℃,155℃,1
80℃,210℃である。
【0021】また、本発明の磁気記録媒体の製造方法に
おけるスパッタリング工程で使用するスパッタリングガ
スは、Ar,Kr,XeまたはRn等の中から適宜選択
されるが、特にArが好ましい。本発明の磁気記録媒体
の製造方法及び製造装置を利用して製造される磁気記録
媒体は、非磁性支持体となる高分子フィルム上に、非磁
性下地層、磁性層、保護層及び潤滑層を順次形成した一
般的構造であることが好ましい。
【0022】本発明の磁気記録媒体で使用する非磁性支
持体としては、フレキシブルな厚さ10μm〜200μ
mのポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタ
レート,ポリイミド,ポリアミド,ポリアミドイミド等
の高分子フィルムが好ましい。また、支持体の内部また
は表面に微粉体(フィラー)を含有し、この支持体の表
面に凹凸を形成したものでも良い。さらには、前記高分
子フィルムの表面にシリカ等の無機下塗り層を有したも
のを用いても良い。非磁性支持体の厚さを10μm〜2
00μmとしたのは主として、支持体の剛性を勘案した
からである。厚さが10μm未満といった、剛性の低い
支持体の場合ではスパッタ成膜中に支持体にしわが発生
し易く、その部分がロスとなる可能性がある。逆に厚さ
が200μmを越えた、剛性の高い支持体の場合、磁気
記録媒体のフレキシビリティー(可撓性)が低下するた
めヘッドと磁気記録媒体間に異物が噛込んでも支持体が
変形することで対応できるといった可能性が失われてし
まう。また、支持体の厚みが増すということは、送出/
巻取ロールの長さが短くなることであり、本願発明で用
いるウェブ搬送連続成膜方式のように、真空槽内に送出
/巻取ロールが設置され、連続成膜処理中にロールを交
換することのできない方式では、生産性の観点からも好
ましくない。
【0023】本発明の磁気記録媒体で使用する非磁性下
地層は、Cr系合金膜からなり、Ti,Mo,Si,
V,Cu,W,Ta,NbまたはP等を2原子%〜25
原子%の範囲で含有することが好ましい。この下地層の
厚さは、通常、10nm〜200nm、好ましくは30
nm〜100nmである。前述したように、Cr下地層
は、磁性層であるCo系合金薄膜層の結晶構造を決める
機能を有するが、厚さが10nm未満では、Cr合金層
自体の結晶成長が不十分であり、機能を果たすことがで
きない。また、厚さが200nmを越えると、結晶成長
が過度となり、ノイズの発生、面内保磁力の低下といっ
た影響が生じる。
【0024】本発明の磁気記録媒体で使用する面内磁気
異方性を有する磁性層としては、CoCr,CoNi,
CoCrX,CoNiX等で代表されるCo系合金が好
ましい。X元素は、0原子%〜30原子%の範囲で、L
i、Si、Ca、Yi、V、Cr、Ni、As、Y、Z
r、Nb、Mo、Ru、Rh、Ag、Pt、Ta、Pt
Ta、PtSi、PtB、またはTaB等であり、Co
CrX、CoNiXとして少なくとも1つの元素が適宜
選択され含有されるが、好ましくは、Si、Cr、N
i、Pt、Ta、PtTa、PtSiまたはPtB、特
に好ましくはCr、PtまたはTaが選択される。この
磁性層の厚さは、通常10nm〜200nmの範囲で、
磁気記録媒体の目的、用途に応じて適宜選択すればよい
が、厚さが10nm未満では、保磁力が著しく劣化し、
磁気記録媒体としての機能が付与できず、厚さが200
nmを越えると、結晶粒子サイズが大きくなりすぎ、電
磁変換特性上問題となるノイズの原因となる。
【0025】本発明の磁気記録媒体で使用する保護層
は、ダイヤモンドライクカーボン,グラファイトライク
カーボン,アモルファスカーボン,WC,WMoC,Z
rNbN,B4 C,SiO2 ,ZrO2 等の中から適宜
選択されるが、ダイヤモンドライクカーボンが特に好ま
しい。この保護層の厚さは、通常、2nm〜30nm、
好ましくは5nm〜20nmである。これは、厚さが2
nm未満では、膜強度が弱く、保護層としての機能を果
たすことができない、また、厚さが30nmを越える
と、磁性層と記録再生用のヘッドとの距離が遠くなり、
所謂スペーシングロスが大きくなるからである。これら
の保護層は、公知のCVD、PVD法により形成され
る。
【0026】上記本例の磁気記録媒体で使用する潤滑層
は、炭化水素系潤滑剤として、ステアリン酸、オレイン
酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル
類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸
モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリンア
ルコール、オレインアルコール等のアルコール類、ステ
アリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、またはステア
リルアミン等のアミン類などが好ましい。さらに、フッ
化系潤滑剤として上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の
一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフル
オロポリエーテル基で置換した潤滑剤がより好ましい。
これらの潤滑層の厚さは、0.5nm〜4.0nm、よ
り好ましくは1.0nm〜2.0nmである。これは、
0.5nm未満では、膜強度として不十分であり潤滑層
としての機能を果たせず、4.0nmを越えると保護層
で生じるのと同様なスペーシングロスの問題が発生する
からである。これらの潤滑層は、公知のバー型塗布法、
ディップコート法、グラビアコート法、スプレーコート
法、スピンコート法等で形成される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の一実施形態における磁気記録媒体の製造方法を詳細に
説明する。図1は、本発明に係る連続スパッタリング装
置1の概略構成図であり、図示しない真空排気装置によ
りスパッタ室15内を1.0×10-5Torr以下まで
真空排気可能であり、且つ図示せぬマスフローコントロ
ーラを通じてAr等のスパッタガスをスパッタガス導入
管16より導入し、6×10-4〜1×10-2Torrの
範囲の任意のスパッタ圧力に設定可能である。それは、
スパッタ圧力が下限値の6×10-4Torrより低くな
ると、スパッタリングカソードのグロー放電を安定維持
することが困難となり、スパッタ圧力が上限値の1×1
-2Torrより高い条件はガス導入系/真空排気系の
装置の要因により困難となるからである。
【0028】図1に示した如く、連続スパッタリング装
置1において、非磁性支持体である厚さ10μm〜20
0μmの高分子フィルム(PET,PEN等)よりなる
連続ウェブWは、送り出し軸2より送り出され、複数の
送り出し側パスローラー3と送り出し側ダンサーロール
4を介して、一対の加熱ドラム21,22から成膜ドラ
ムである2基のメインドラム(表面成膜用)5及びメイ
ンドラム(裏面成膜用)35へ搬送されている。さらに
連続ウェブWは、メインドラム5及びメインドラム35
の周面に沿って搬送支持された後、複数の巻取り側パス
ローラ6と巻取り側ダンサーロール7を介して、巻取り
軸8に巻き取られている。また、搬送される際の連続ウ
ェブWの張力は、送り出し側ダンサーロール4及び巻取
り側ダンサーロール7により、一定に保持されている。
なお、送り出し軸2、加熱ドラム21,22、メインド
ラム5,35及び巻取り軸8は、それぞれ図示せぬ駆動
装置により回転駆動されている。従って、当該装置にお
いては、必要に応じて支持体の表裏の両面にスパッタ成
膜することが可能である。
【0029】前記加熱ドラム21,22としては、蒸気
等を用いるジャケット式ドラム、或いは誘導加熱方式ド
ラム等が適宜選択され、温度制御により加熱ドラム2
1,22の表面温度を25℃〜180℃までの範囲の任
意の温度に調節可能となっている。また、高分子フィル
ムよりなる連続ウェブWの支持体処理温度(Tv)は、
支持体幅方向において、加熱ドラム設定温度に対して、
±1℃の範囲内にあることを赤外線方式放射温度計及
び、接触式熱電対にて確認したので、加熱ドラム設定温
度をもって、連続ウェブWの表面温度、即ち支持体処理
温度(Tv)としてよい。更に、前記メインドラム5,
35の温度制御方式、設定温度、高分子フィルムの温度
との関係も、前記加熱ドラム21,22の場合と同様で
ある。
【0030】送り出し側で前記メインドラム5に対向し
た位置(図中右側)には、メインドラム5の周面に沿わ
せた状態の連続ウェブWの表面にCr膜等よりなる非磁
性下地層をスパッタ成膜するためのスパッタリングター
ゲット9を備えたスパッタリングカソード13が配設さ
れている。このスパッタリングターゲット9には、直流
スパッタリング電源10が接続されており、例えば、直
流スパッタリング電源10から8kWのスパッタパワー
をスパッタリングターゲット9に印加することで、連続
ウェブWの表面上に厚み約100nmのCr膜等よりな
る非磁性下地層をスパッタ成膜する。
【0031】巻取り側で前記メインドラム5に対向した
位置(図中左側)には、メインドラム5の周面に沿わせ
た状態の連続ウェブWの表面にCo系合金等よりなる面
内磁気異方性を有する磁性層をスパッタ成膜するための
スパッタリングターゲット11を備えたスパッタリング
カソード14が配設されている。このスパッタリングタ
ーゲット11には、直流スパッタリング電源12が接続
されており、例えば、直流スパッタリング電源12から
約3kWのスパッタパワーをスパッタリングターゲット
11に印加することで、連続ウェブW表面上に形成され
た非磁性下地層上にさらに厚み約30nmのCo系合金
等よりなる磁性層をスパッタ成膜する。
【0032】送り出し側で前記メインドラム35に対向
した位置(図中右側)には、メインドラム35の周面に
沿わせた状態の連続ウェブWの裏面にCr膜等よりなる
非磁性下地層をスパッタ成膜するためのスパッタリング
ターゲット29を備えたスパッタリングカソード33が
配設されており、例えば、直流スパッタリング電源30
から8kWのスパッタパワーをスパッタリングターゲッ
ト29に印加することで、連続ウェブWの裏面上に厚み
約100nmのCr膜等よりなる非磁性下地層をスパッ
タ成膜する。
【0033】また、巻取り側で前記メインドラム35に
対向した位置(図中左側)には、メインドラム35の周
面に沿わせた状態の連続ウェブWの裏面にCo系合金等
よりなる面内磁気異方性を有する磁性層をスパッタ成膜
するためのスパッタリングターゲット31を備えたスパ
ッタリングカソード34が配設されており、例えば、直
流スパッタリング電源32から約3kWのスパッタパワ
ーをスパッタリングターゲット31に印加することで、
連続ウェブW裏面上に形成された非磁性下地層上にさら
に厚み約30nmのCo系合金等よりなる磁性層をスパ
ッタ成膜する。
【0034】この際、前記加熱ドラム21,22は、真
空中を搬送される前記ウェブWの支持体処理温度(T
v)が、 0.6×Tl≦Tv≦Tl (但し、Tlは非磁性支持体の使用可能温度)となるよ
うに設定される。また、前記メインドラム5,35は、
前記下地層をスパッタ成膜する時の前記ウェブWの支持
体温度(Tu)が、 0.5×Tl≦Tu≦Tl となるように設定されると共に、前記非磁性下地層のス
パッタ成膜に連続して前記磁性層をスパッタ成膜する時
の前記ウェブWの支持体温度(Tm)が、 0.4×Tl≦Tm≦Tl となるように設定される。
【0035】これらの温度条件は、所望の磁気特性と支
持体の熱による影響を勘案して、目的・用途に応じて適
宜設定されるが、磁気特性という観点からは、より具体
的には、 0.8×Tl≦Tv≦Tl 0.7×Tl≦Tu≦Tl 0.6×Tl≦Tm≦Tl が望ましい。更に、好ましくは前記非磁性下地層及び前
記磁性層をスパッタ成膜する時の前記ウェブWの張力T
s(kgf/m)が、1≦Ts≦50、好ましくは3≦
Ts≦20の範囲に設定される。
【0036】即ち、本実施形態の連続スパッタリング装
置1によれば、真空中で前記ウェブWを前記加熱ドラム
21,22により加熱処理した後、該ウェブWの表面と
裏面とに連続して非磁性下地層及び磁性層を成膜するこ
とができる。勿論、本発明はこれに限定されるものでは
なく、前記ウェブWの加熱処理、表面及び裏面への成膜
は、連続させず別々に行うこともできる。
【0037】尚、製造する磁気記録媒体の用途に応じ
て、磁性層のスパッタ成膜後に保護層や潤滑層を形成す
る工程が追加される。また、上記実施形態においては、
非磁性下地層のスパッタ成膜工程と磁性層のスパッタ成
膜工程を連続して行っているが、これらの工程を連続さ
せず別々に行うこともできる。但し、前記非磁性下地層
をスパッタ成膜した後に前記磁性層をスパッタ成膜する
までの時間、即ち保持時間をti (sec)、前記非磁
性下地層をスパッタ成膜した後に前記磁性層をスパッタ
成膜するまで保持される空間の圧力をPi (Torr)
とすると、好ましくはこれら保持時間ti 及び圧力Pi
が、ti ×Pi ≦600、好ましくはti ×Pi ≦40
0、より好ましくはti×Pi ≦200の範囲に設定さ
れる。
【0038】更に、上記実施形態の連続スパッタリング
装置1においては、スパッタ成膜される連続ウェブWが
加熱手段としてのメインドラム5,35に沿った状態で
搬送支持されているが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、加熱手段は接触、非接触方式を問わず、例え
ば赤外線ヒータといった方式でも良く、該加熱工程は何
ら支持体を支持する機構を有しなくとも良い。
【0039】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明の効果を明らか
にする。本実施例における連続スパッタリング装置とし
ては、上記実施形態における連続スパッタリング装置1
を使用した。前記加熱ドラム21,22は、それぞれ直
径:400mm、材質:SUS304、表面をハードク
ロムメッキ0.8S仕上げし、内部は公知の誘導加熱方
式として温度制御可能とした。前記メインドラム5,3
5は、それぞれ直径:600mm、材質:SUS30
4、表面をハードクロムメッキ0.8S仕上げし、内部
は公知の誘導加熱方式として温度制御可能とした。
【0040】前記真空排気装置は、図示しない複数のロ
ータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ、クライ
オポンプより構成した。前記スパッタリングターゲット
9,29としてはCrを用い、これらターゲットのメイ
ンドラム5,35との最短距離はそれぞれ100mmと
され、これらスパッタリングターゲット9,29の大き
さは、幅(ウェブ搬送方向長さ)140mm,長さ(ウ
ェブ幅方向)400mm,肉厚4mmとした。前記スパ
ッタリングターゲット11,31としてはCo68Cr20
Pt12膜(Co系合金の磁性層)を用い、これらターゲ
ットのメインドラム5,35との最短距離はそれぞれ1
00mmとされ、これらスパッタリングターゲット1
1,31の大きさは、幅(ウェブ搬送方向長さ)140
mm,長さ(ウェブ幅方向)400mm,肉厚4mmと
した。
【0041】前記メインドラム5,35と各スパッタリ
ングターゲット9,11,29,31との間には、長さ
(ウェブ幅方向)180mm,幅(ウェブ搬送方向長
さ)250mmの開口部を有すると共に、内部に冷却水
が循環する構造のマスク(図示せず)を配置した。該マ
スクは、材質:SUS304から成る。前記スパッタガ
スとしてはArガスを用い、図示しないマスフローコン
トローラーを通じてスパッタリングターゲット周辺部に
供給した。
【0042】そして、フレキシブルな非磁性支持体であ
る連続ウェブWを幅310mm、長さ500m、厚さ9
0μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム
とし、該連続ウェブWの原反を送り出し軸2にセットし
た状態で、各真空排気ポンプを用いて、スパッタ室15
内を1.0×10-5Torr以下まで真空排気を行なっ
た。
【0043】これらの準備が整った段階で、以下の実験
を行った。 〔実験1〕前記連続ウェブWを搬送速度1m/分、張力
6kgf/幅の条件で送り出し、前記加熱ドラム21,
22の温度(支持体処理温度Tv)を25℃、90℃、
100℃、150℃、170℃に設定して該連続ウェブ
Wの加熱処理を行った後、引き続いて前記メインドラム
5,35の温度(支持体温度Tu,Tm)をそれぞれ1
50℃に固定し、厚み100nmのCr膜(Crの非磁
性下地層)と厚み30nmのCo68Cr20Pt12膜(C
o系合金の磁性層)を前記連続ウェブWの両面に形成し
た。但し、スパッタリングガスとしてはArガスを用
い、Arガスを供給した時のスパッタ圧力は8×10-4
Torrに設定した。
【0044】そして、前記加熱ドラム21,22の温度
(支持体処理温度Tv)を25℃、90℃、100℃、
150℃、170℃に変えて連続ウェブWの両面に形成
した各試料における磁性層の磁気特性を測定した。該磁
気特性は、VSM装置(「VIBRATING SAM
PLE MAGUNETOMETER」 東英工業株式
会社製 VSM−P−7型)により、ウェブの搬送方向
と平行な方向及び垂直な方向の面内保磁力Hc(Oe)を
測定した。その結果を図2に示す。尚、図中の白抜き印
はウェブの搬送方向と平行な方向の面内保磁力Hcの値
を示し、黒印はウェブの搬送方向と垂直な方向の面内保
磁力Hcの値を示す。
【0045】図2から明らかなように、加熱ドラム2
1,22の温度(支持体処理温度Tv)が25℃及び9
0℃の場合は、面内保磁力Hcが1000Oe以下と極め
て低く、且つ、ウェブの搬送方向と平行な方向及び垂直
な方向の面内保磁力Hcのバラツキが±10%以上と極
めて大きかった。これに対し、加熱ドラム21,22の
温度が100℃及び150℃の場合は、面内保磁力Hc
が1500Oe以上と向上し、同じく、面内保磁力Hcの
バラツキは±5%未満であった。又、加熱ドラム21,
22を170℃まで加熱すると、加熱処理後のウェブW
の搬送シワが著しく、平滑な試料を作成することが困難
であった。
【0046】〔実験2〕前記加熱ドラム21,22の温
度(支持体処理温度Tv)を100℃として連続ウェブ
Wの加熱処理を行った後、引き続いて前記メインドラム
5,35の温度(支持体温度Tu)を25℃、70℃、
90℃、150℃、170℃に設定し、連続ウェブWの
両面に厚み100nmのCr膜(Crの非磁性下地層)
を形成し、該連続ウェブWを巻取り軸8に巻き取った。
その後、直ちに逆転搬送により巻取り軸8から送り出し
軸2に向けて連続ウェブWを送り出し、前記メインドラ
ム5,35の温度(支持体温度Tm)を150℃として
厚み30nmのCo68Cr 20Pt12膜(Co系合金の磁
性層)を前記連続ウェブWの両面に形成した。但し、そ
の他の条件は上記実験1と同様とした。そして、Cr膜
を成膜する際の前記メインドラム5,35の温度(支持
体温度Tu)を25℃、70℃、90℃、150℃、1
70℃に変えて連続ウェブWの両面に形成した各試料に
おける磁性層の磁気特性(ウェブの搬送方向と平行な方
向及び垂直な方向の面内保磁力Hc)を測定した。その
結果を図3に示す。
【0047】図3から明らかなように、Cr下地層を成
膜する際の前記メインドラム5,35の温度(支持体温
度Tu)が25℃及び70℃の場合は、面内保磁力Hc
が1000Oe以下と極めて低く、且つ、ウェブの搬送方
向と平行な方向及び垂直な方向の面内保磁力Hcのバラ
ツキが±10%以上と極めて大きかった。これに対し、
前記メインドラム5,35の温度(支持体温度Tu)が
90℃及び150℃の場合は、面内保磁力Hcが150
0Oe以上と向上し、同じく、面内保磁力Hcのバラツキ
は±5%未満であった。又、前記メインドラム5,35
を170℃まで加熱すると、成膜処理後のウェブWの搬
送シワが著しく、平滑な試料を作成することが困難であ
った。
【0048】〔実験3〕前記加熱ドラム21,22の温
度(支持体処理温度Tv)を150℃として連続ウェブ
Wの加熱処理を行った後、引き続いて前記メインドラム
5,35の温度(支持体温度Tu)を90℃として連続
ウェブWの両面に厚み100nmのCr膜(Crの非磁
性下地層)を形成し、該連続ウェブWを巻取り軸8に巻
き取った。その後、直ちに逆転搬送により巻取り軸8か
ら送り出し軸2に向けて連続ウェブWを送り出し、前記
メインドラム5,35の温度(支持体温度Tm)を25
℃、50℃、70℃、150℃、170℃に設定し、厚
み30nmのCo68Cr20Pt12膜(Co系合金の磁性
層)を前記連続ウェブWの両面に形成した。但し、その
他の条件は上記実験1と同様とした。そして、Co68
20Pt12膜を成膜する際の前記メインドラム5,35
の温度(支持体温度Tm)を25℃、50℃、70℃、
150℃、170℃に変えて連続ウェブWの両面に形成
した各試料における磁性層の磁気特性(ウェブの搬送方
向と平行な方向及び垂直な方向の面内保磁力Hc)を測
定した。その結果を図4に示す。
【0049】図4から明らかなように、磁性層を成膜す
る際の前記メインドラム5,35の温度(支持体温度T
m)が25℃及び50℃の場合は、面内保磁力Hcが1
000Oe以下と極めて低く、且つ、ウェブの搬送方向と
平行な方向及び垂直な方向の面内保磁力Hcのバラツキ
が±10%以上と極めて大きかった。これに対し、前記
メインドラム5,35の温度(支持体温度Tm)が70
℃及び150℃の場合は、面内保磁力Hcが1500Oe
以上と向上し、同じく、面内保磁力Hcのバラツキは±
5%未満であった。又、前記メインドラム5,35を1
70℃まで加熱すると、成膜処理後のウェブWの搬送シ
ワが著しく、平滑な試料を作成することが困難であっ
た。
【0050】〔実験4〕前記加熱ドラム21,22の温
度(支持体処理温度Tv)を150℃として連続ウェブ
Wの加熱処理を行った後、引き続いて前記メインドラム
5,35の温度(支持体温度Tu)を150℃として連
続ウェブWの両面に厚み100nmのCr膜(Crの非
磁性下地層)を形成し、該連続ウェブWを巻取り軸8に
巻き取った。その後、巻取り軸8に保持した保持時間を
i (sec)、保持される空間の圧力をPi (Tor
r)として逆転搬送により巻取り軸8から送り出し軸2
に向けて連続ウェブWを送り出し、前記メインドラム
5,35の温度(支持体温度Tm)を150℃として厚
み30nmのCo68Cr20Pt12膜(Co系合金の磁性
層)を前記連続ウェブWの両面に形成した。但し、その
他の条件は上記実験1と同様とした。そして、保持条件
である(ti ×Pi )をパラメーターとして連続ウェブ
Wの両面に形成した各試料における磁性層の磁気特性
(ウェブの搬送方向と平行な方向及び垂直な方向の面内
保磁力Hc)を測定した。その結果を図5に示す。
【0051】図5に示すように、パラメータが600近
傍で面内保磁力に著しい変化が起きることを確認した。
従って、先に説明したように、面内保磁力の目標下限値
は約1000Oeであるから、パラメータは600以下と
することが好ましい。もっとも、図5より明らかなよう
に、パラメータとして600というのは、かなりクリテ
ィカルな条件であり、本願発明を工業上安定に実施する
という観点から、より低い値、好ましくは200以下に
することがよい。
【0052】上記実験1乃至3から明らかなように、真
空中を搬送される前記ウェブは、0.6×Tl≦Tv≦
Tl(但し、Tlは非磁性支持体の使用可能温度)の範
囲の支持体処理温度(Tv)で加熱処理された後、0.
5×Tl≦Tu≦Tlの範囲の支持体温度(Tu)で加
熱した状態で前記非磁性下地層がスパッタ成膜されると
共に、前記非磁性下地層のスパッタ成膜に連続して、前
記ウェブが0.4×Tl≦Tm≦Tlの範囲の支持体温
度(Tm)で加熱した状態で前記磁性層がスパッタ成膜
されるされることにより、フレキシブルな非磁性支持体
である連続ウェブW上に面内保磁力Hcが高く、且つ、
ウェブの搬送方向と平行な方向及び垂直な方向の保磁力
分布が均一である良好な磁気特性を備えた磁性層を安定
的に形成することができた。
【0053】又、上記実験4から明らかなように、前記
非磁性下地層をスパッタ成膜した後に前記磁性層をスパ
ッタ成膜するまでの保持時間をti (sec)、前記非
磁性下地層をスパッタ成膜した後に前記磁性層をスパッ
タ成膜するまで保持される空間の圧力をPi (Tor
r)とした際、これら保持時間ti 及び圧力Pi が、t
i ×Pi ≦600の範囲に設定されることにより、フレ
キシブルな非磁性支持体である連続ウェブW上に面内保
磁力Hcが高く、且つ、ウェブの搬送方向と平行な方向
及び垂直な方向の保磁力分布が均一である良好な磁気特
性を備えた磁性層を安定的に形成することができた。
【0054】
【発明の効果】上述した如き本発明の磁気記録媒体の製
造方法によれば、搬送支持される厚さ10μm〜200
μmの非磁性支持体よりなる連続ウェブ上にスパッタ成
膜される磁性層は、面内保磁力が高く、ウェブの搬送方
向と平行な方向及び垂直な方向の保磁力分布が均一であ
る良好な磁気特性を備える。そこで、下地層と磁性層と
の2層構成を備えた金属薄膜を高分子フィルムから成る
連続ウェブ上に成膜し、高記録密度、低ノイズ特性を有
するフレキシブルな薄膜型磁気記録媒体を得ることがで
きる。従って、フロッピィディスクの持つ耐衝撃性、可
搬性、軽量性などの特徴と、薄膜型磁気記録媒体の高記
録密度、低ノイズ特性とを共有した性能の磁気記録媒体
の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造装置に係る連続ス
パッタリング装置の一例を示す製造工程図である。
【図2】実験1における支持体処理温度と面内保磁力と
の関係を示す分布図である。
【図3】実験2におけるCr膜形成時の支持体温度と面
内保磁力との関係を示す分布図である。
【図4】実験3におけるCo68Cr20Pt12膜形成時の
支持体温度と面内保磁力との関係を示す分布図である。
【図5】実験4におけるパラメータ(ti ×Pi )と面
内保磁力との関係を示す分布図である。
【符号の説明】
1 連続スパッタリング装置 2 送り出し軸 3 送り出し側パスローラ 4 送り出し側ダンサーローラ 5,35 メインドラム 6 巻取り側パスローラ 7 巻取り側ダンサーローラ 8 巻取り軸 9,29 スパッタリングターゲット 10,30 直流電源スパッタリング電源 11,31 スパッタリングターゲット 12,32 直流スパッタリング電源 13,33 スパッタリングカソード 14,34 スパッタリングカソード 15 スパッタ室 16 スパッタガス導入管

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 搬送支持される厚さ10μm〜200μ
    mの非磁性支持体よりなる連続ウェブ上に、非磁性下地
    層をスパッタ成膜した後、前記非磁性下地層上に面内磁
    気異方性を有する磁性層をスパッタ成膜して成る磁気記
    録媒体の製造方法において、 真空中を搬送される前記ウェブは、0.6×Tl≦Tv
    ≦Tl(但し、Tlは非磁性支持体の使用可能温度)の
    範囲の支持体処理温度(Tv)で加熱処理された後、
    0.5×Tl≦Tu≦Tlの範囲の支持体温度(Tu)
    で加熱した状態で前記非磁性下地層がスパッタ成膜され
    ると共に、前記非磁性下地層のスパッタ成膜に連続し
    て、前記ウェブが0.4×Tl≦Tm≦Tlの範囲の支
    持体温度(Tm)で加熱した状態で前記磁性層がスパッ
    タ成膜されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記非磁性下地層をスパッタ成膜した後
    に前記磁性層をスパッタ成膜するまでの保持時間をti
    (sec)、前記非磁性下地層をスパッタ成膜した後に
    前記磁性層をスパッタ成膜するまで保持される空間の圧
    力をPi (Torr)とすると、これら保持時間ti
    び圧力Pi が、ti ×Pi ≦600の範囲に設定される
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記連続ウェブが、成膜ドラムに沿った
    状態で搬送支持されると共に、該成膜ドラムで加熱され
    ながら前記非磁性下地層及び前記磁性層をスパッタ成膜
    されることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録
    媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ウェブを真空中で搬送し、前記非磁
    性下地層或いは前記磁性層をスパッタ成膜する時の張力
    Ts(kgf/m)が、5≦Ts≦50の範囲に設定さ
    れることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に
    記載の磁気記録媒体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US4726930A (en) * 1983-10-01 1988-02-23 Toyo Soda Manufacturing Co., Ltd. Apparatus for chromatographic analysis
DE102012201789B4 (de) 2011-02-07 2018-07-12 Globalfoundries Inc. Nicht-flüchtige CMOS-kompatible Logikschaltungen und zugehörige Betriebsverfahren
JP2020527195A (ja) * 2017-07-21 2020-09-03 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 真空チャンバ用の熱処理装置、可撓性基板上に材料を堆積させる堆積装置、真空チャンバ内での可撓性基板の熱処理方法、および可撓性基板の処理方法

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