JPH1038215A - バーナ燃焼方法 - Google Patents

バーナ燃焼方法

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JPH1038215A
JPH1038215A JP16613096A JP16613096A JPH1038215A JP H1038215 A JPH1038215 A JP H1038215A JP 16613096 A JP16613096 A JP 16613096A JP 16613096 A JP16613096 A JP 16613096A JP H1038215 A JPH1038215 A JP H1038215A
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良一 田中
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敏明 長谷川
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俊文 星野
Susumu Mochida
晋 持田
Hirokazu Katsushima
裕和 勝島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の燃焼に比して十分に熱発生速度が低速
な酸化発熱反応を伴いかつ広い空間で安定に燃焼する火
炎を形成する。換言すれば、火炎ボリュームが非常に大
きく安定して燃焼するようにする。 【解決手段】 少なくとも燃焼反応直前には通常の空気
よりもはるかに酸素濃度が低くかつその酸素濃度におけ
る混合気の燃焼安定限界温度以上の高温希釈空気あるい
はそれに相当する酸化剤と燃料とを炉内で接触させて、
十分に低速な酸化発熱反応下に安定燃焼させるようにし
ている。そして、この燃焼は、燃料として炭化水素系燃
料が使用される場合、あるいは炭化水素を含まない燃料
を使用する場合でも炭化水素系燃料あるいは炭化水素を
マーカーとして燃料中に添加することによって、火炎を
緑色化させる状態に燃焼を維持することによって確実に
実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバーナの燃焼方法の
改善に関する。更に詳述すると、本発明は、高温かつ低
酸素の空気で十分に低速な酸化発熱反応下に拡散燃焼さ
せる高温空気燃焼を安定に実現するバーナ燃焼方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に拡散燃焼バーナは、燃料と空気と
を素早く混合して燃焼させるため短炎を形成する。そし
て、火炎部分には燃焼ガスが発生する顕熱の全てが保持
されているため、どうしても火炎の熱流束のピークが発
生し、大量のNOxが発生すると共に均一な熱流束分布
を得ることが困難であった。また、燃料と空気の混合性
を悪くして長炎を形成しようとしても、燃焼が不安定に
なり、不完全燃焼や火炎の吹き飛びなどを起こし易くな
る。そこで、従来の一般的な拡散燃焼方式のバーナで
は、熱流束の均一化を図るためには、たくさんのバーナ
を備え付け、各バーナごとの火炎のボリュームを小さく
して最高熱流束と平均熱流束との差を小さくすることが
行われている。
【0003】しかしながら、勢いよく酸化発熱反応を起
こす以上、火炎ボリュームが小さくなり熱流束のピーク
が発生することを防ぐことはできないので、根本的な解
決策にはなっていない。
【0004】一方、加熱システム内の燃焼ガス温度の差
を低下させるという、伝熱面で最も好ましいとされる温
度場を形成する方法のひとつとして、未燃混合気を希釈
してその質量を増すことにより温度差を無くすことが考
えられる。この希釈を排ガス循環によって行う場合、排
ガス損失を抑えつつガス循環量を増やすには、排ガスの
一部を燃焼用空気に混ぜて再循環せさることが考えられ
る。排ガスの一部を燃焼用空気に混ぜて供給する方法と
しては、従来から排ガス再循環燃焼方法と呼ばれる燃焼
方法がある。この燃焼方法は、低温の排ガスの一部を燃
焼用空気に混ぜることによって、通常の空気よりも2〜
3%程度酸素濃度が低くかつ50℃〜200℃程度に温
められた空気を使って燃焼させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この排
ガス再循環燃焼方法によっても、火炎の最高温度を僅か
に低下させてサーマルNOxを幾分抑制させ得る程度で
あって、加熱システム内例えば炉内での燃焼ガス温度の
差を十分低下させることはできなかった。更にガス循環
量を増加させて温度差を小さくすることも考えられる
が、排ガス再循環量だけを増加させても、酸素濃度が低
くなって燃え難くなり、燃焼の急激な不安定を生じるこ
ととなる。
【0006】また、酸化剤の温度を単独に上げること、
例えば1000℃程度以上の高温にすることは、濃淡燃
焼などの特殊な燃焼方法を採用しない限り、あるいは採
用したとしても、火炎の最高温度が通常の燃焼における
よりもはるかに高くなって大量のNOxを発生させるこ
とになると考えられていたので、一般的に利用すること
ができる燃焼としては殆ど考慮されることがなかった。
【0007】本発明は、通常の燃焼に比して十分に熱発
生速度が低速な酸化発熱反応を伴いかつ広い空間で安定
に燃焼する火炎が形成されるバーナの燃焼方法を提供す
ることを目的とする。換言すれば、本発明は、火炎ボリ
ュームが非常に大きく安定して燃焼するバーナの燃焼方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明者等が種々研究した結果、酸素濃度を通常の
空気よりも遥かに低くしたときの燃焼の不安定性を回復
させるには、空気温度そのものも従来の排ガス再循環燃
焼方法で用いられていたよりも遥かに上げることが不可
欠であることが判明した。
【0009】即ち、燃焼安定条件について考察すると、
空気高温化とガス再循環を組み合わせた高温空気燃焼の
本質的因子は酸化剤の温度と酸素濃度と見ることができ
る。そこで、炭化水素ガスを燃料とした拡散火炎の燃焼
可能範囲が、高温希釈空気温度とその酸素濃度によりど
のように変化するかを実験的に調べた。実験は、図1〜
図7に例示するように、あらかじめ高温空気を窒素で希
釈後、高温予熱空気流に直角方向から燃料噴流が流入す
る交差流れ系で形成される火炎を対象とした。ノズル部
は高温流中にさらされない断熱材で覆われた構造となっ
ている。燃料はLPG(C38 97%)を0.053
3/h (1.380kW)一定とし、高温空気流量は
空気量と窒素希釈量の和を15m3/h 一定とした。希
釈空気温度は1100℃より漸次低下するが、燃焼が不
安定化する条件までとした。空気の窒素希釈割合を変化
させ、その時の希釈空気温度に対する安定燃焼範囲の傾
向を図8にまとめた。この燃焼状態の観察の結果、燃焼
用酸化剤たる空気の温度と熱再循環量即ち希釈空気の酸
素濃度との間には、燃焼用酸化剤の温度が高いほどガス
再循環量を増加できるという関係、換言すれば、燃焼用
酸化剤である希釈空気の温度が高温度であれば酸素濃度
を低くしても燃焼が成立するという関係があることを知
見した。
【0010】更に、この知見に基づいて本発明者等が研
究した結果、燃焼用空気の温度を従来の排ガス再循環燃
焼方法で用いられていたよりも遥かに上げながら空気比
を変えずに燃焼用酸化剤としての酸素濃度を通常の空気
よりも遥かに低くして行くと、それがある条件に達する
と、酸化発熱反応が通常の空気を用いた場合に比べて非
常に遅いにもかかわらず安定して燃焼する現象が起こ
り、そのときには火炎の可視発光色中に緑色のスペクト
ル成分を出す炭化水素系燃料の燃焼反応中間生成物の割
合の増加が認められる結果、火炎が通常燃焼時の青色よ
りも緑色がかる(緑色化)という現象を知見するに至っ
た。
【0011】即ち、燃焼用空気の温度を上昇させるのに
伴って火炎の可視発光色中における青色の発光スペクト
ル強度に対する緑色の発光スペクトル強度の割合が増加
する傾向があり、更に酸素濃度を下げるとその増加現象
が顕著になることを知見するに至った。火炎は、通常の
酸素濃度(約21%)でかつ常温の空気と燃料とを拡散
燃焼させたとき(以下、通常燃焼という)には、いわゆ
るブルーフレームと呼ばれるように青色をしており、緑
色がかった色になること即ち緑色の発光スペクトル成分
が火炎色に影響を与えるほどに出現することはありえな
かった。通常燃焼時の炭化水素系燃料のリアクションチ
ャートによると、大部分の反応が青色発光スペクトル成
分であるCHラジカルを発生させる反応経路を経る。し
かし、酸化剤の温度を上げかつ酸素濃度を下げて行く
と、緑色発光成分であるC2 ラジカルを発生させる反応
経路を経る反応の割合が増加しあるいは主流となる燃焼
反応が起こっているものと推定される。
【0012】また、各酸素濃度における混合気の燃焼安
定限界温度(通常燃焼において燃焼が不安定になる場合
その限界付近では例えば空気比の値や空気流速の僅かな
変化によって火炎は吹き消えて消失してしまうという特
性が見られる。ところが、高温の空気を不活性ガスで希
釈し、酸素濃度を低下させた場合には、火炎は容易に消
失せず、吹き消えなくなる。しかし、その際、最終排ガ
ス濃度組成中にCO成分を伴うようになる。このような
現象を引き起こす温度、即ちそれよりも温度が低くなる
と吹き消えを起こさないまでも、完全燃焼が困難とな
り、最終排ガス濃度組成中にCO成分を伴うようになっ
て、燃焼が急激に不安定となる温度を本明細書では燃焼
安定限界温度と呼ぶ)以上に予熱された高温希釈空気と
燃料とは、拡散混合して可燃範囲に入ると、保炎機構の
助けを受けてあるいは自発的に燃焼を開始する。しか
も、酸素濃度が通常の空気よりもはるかに低く尚かつ希
釈空気のボリュームが相当大きいので、通常の燃焼に比
して熱発生速度が十分に低速な酸化発熱反応を伴ったも
のとなる。このため、炉内の広範囲で酸化発熱反応を持
続させて安定した燃焼を続け、顕熱が発生する過程で熱
を奪われ炉内の被加熱物を加熱することとなる。しか
も、低酸素濃度でかつ高温の希釈空気によって火炎ボリ
ュームが顕著に増大するため、熱ガス流速が速くなり、
対流伝熱性を格段に向上させる。
【0013】本発明は、かかる知見に基づくものであっ
て、請求項1記載の発明は、酸化剤と燃料とが炉内で接
触して拡散燃焼するバーナ燃焼方法において、少なくと
も燃焼反応直前には通常の空気よりもはるかに酸素濃度
が低くかつその酸素濃度における燃焼安定限界温度以上
の高温希釈空気あるいはそれに相当する酸化剤で拡散燃
焼させるようにしている。
【0014】この拡散燃焼においては、十分に低速な酸
化発熱反応下に拡散燃焼が起こり、熱ガスが流動する間
にも絶えず酸化発熱反応を起こして広範囲で燃焼し続
け、同じ燃焼量の通常燃焼時に比べてはるかに大きなボ
リュームで安定に燃焼する火炎が形成される。そして、
この大きなボリュームの火炎は、広範囲で酸化発熱反応
を持続するため熱流束のピークを作らず、広い領域ある
いは炉内のほぼ全域において顕熱を発生させながら対流
伝熱とふく射伝熱とで被加熱物を加熱することができ
る。
【0015】また、請求項2記載の発明は、上述の高温
空気燃焼下において、燃料として炭化水素系燃料あるい
は炭化水素を含む燃料が使用される場合には、拡散燃焼
で発生する火炎の可視発光色中における青色の発光スペ
クトル強度に対する緑色の発光スペクトル強度の割合が
通常の酸素濃度でかつ常温の空気と燃料とを拡散燃焼さ
せたときよりも顕著に増加させて火炎を緑色化させる状
態に燃焼を維持するようにしている。
【0016】また、請求項3記載の発明は、燃料として
炭化水素を含まない燃料を使用する場合において、炭化
水素系燃料あるいは炭化水素をマーカーとして燃料中に
添加することによって、火炎を緑色化させる状態に燃焼
を維持することを可能としている。
【0017】この高温空気燃焼下における炭化水素系燃
料の燃焼反応中間生成物には、燃料組成や当量比が一定
であっても、酸化剤の温度と酸素濃度の組み合わせごと
に固有のラジカル発光が生じるラジカル成分、即ち青色
の発光スペクトルを出すCHラジカル成分と緑色の発光
スペクトルを出すC2ラジカル成分とが含まれている。
そして、青色の発光スペクトル強度に対する緑色の発光
スペクトル強度の割合が通常の拡散燃焼のときよりも顕
著に増加して火炎を緑色化させていると認められると
き、少なくとも燃焼反応直前には、燃焼に供される空気
あるいはそれに相当する酸化剤は、通常の空気よりもは
るかに酸素濃度が低くかつその酸素濃度における燃焼安
定限界温度以上の高温であり、通常の拡散燃焼に比して
熱発生速度が十分に低速な酸化発熱反応を伴った燃焼、
即ち高温空気燃焼を安定かつ確実に生ずる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0019】まず、空気高温化とガス再循環を組み合わ
せた高温空気燃焼の燃焼安定条件について考察すると、
前述したように、本質的因子は酸化剤の温度と酸素濃度
と見ることができる。そして、高温希釈空気温度とその
酸素濃度により炭化水素ガスを燃料とした拡散火炎の燃
焼可能範囲がどのように変化するかを実験的に調べた図
8の結果からも明らかなように、燃焼用酸化剤たる空気
の温度と熱再循環量即ち希釈空気の酸素濃度との間に
は、燃焼用酸化剤の温度が高いほどガス再循環量を増加
できるという関係、換言すれば、燃焼用酸化剤・希釈空
気の温度が高温度であれば酸素濃度を低くしても燃焼が
成立するという関係があることが理解できる。
【0020】ここで、極めて大きな火炎ボリュームで安
定燃焼させるには、即ち酸化発熱反応を十分に低速にす
るには、酸素濃度をできるだけ通常の空気よりも低くし
尚かつ燃焼用酸化剤の温度をできるだけ高くすることが
必要である。例えば、15%程度以下、より好ましくは
10%以下、最も好ましくは5〜3%程度とすることで
ある。また、希釈空気の温度は、少なくともその酸素濃
度における混合気の燃焼安定限界温度以上、好ましくは
その酸素濃度における混合気の自己着火温度以上とされ
る。因みに、混合気の自己着火温度は、燃焼用酸化剤の
酸素濃度および燃料の種類によっても異なるが、例えば
LPG(C3 8 97%)の場合には、図8に示すよう
に、酸素濃度15%程度では約850℃以上、酸素濃度
10%程度では約880℃以上、酸素濃度3%程度では
約1000℃以上である。また、希釈空気の少なくとも
燃焼反応直前の温度は各酸素濃度における燃焼安定限界
温度よりは上でも保炎機構を必要とする程度の温度、例
えば酸素濃度15%以下で温度600℃以上、酸素濃度
10%以下で800℃以上でも良い。この場合でも、可
視発光中での青色の発光スペクトル成分に対する緑色の
発光スペクトル成分の増加の割合は小さくなるものの通
常燃焼時よりは大きかったことが認められた。
【0021】なお、高温の空気と燃焼排ガスとは、炉内
において燃料と接触する前に混合されて所定の温度でか
つ所定の酸素濃度に希釈された高温希釈空気とされて供
給される。ここで、希釈空気としては、炉内を強循環す
る排ガスによって酸素濃度21%の燃焼用空気の酸素濃
度を希釈したものを使用することが経済的でかつ実用的
である。また、空気と燃料とは炉内へそれぞれ別々に直
接噴射され、炉内で拡散混合するように空気ノズルと燃
料ノズルとが配置されている。そして、空気ノズルから
炉内へ噴射される空気は、高温であるからその容量が従
来のものよりも遥かに増大し高速例えば60〜100m
/sあるいはそれ以上の高速度で噴出されることとな
る。そこで、空気噴流に炉内排ガスを巻き込んで所定の
酸素濃度に調整することが望まれる。尚、酸化剤として
の空気は、燃焼反応直前においてその酸素濃度が通常の
空気よりも遥かに低い例えば5〜3%程度であったとし
ても、全体として完全燃焼する酸化剤量となるように空
気比は設定されている。
【0022】図1から図6に空気の酸素濃度と予熱温度
の異なる燃焼状態の観察の結果を示す。図2〜図4には
酸素濃度10%の燃焼用酸化剤を用いて同じ燃料(LP
G)を異なる温度で拡散燃焼させた場合を示している。
この観察結果によると、880℃(図4参照)の場合よ
りも960℃(図3参照)の場合、更にそれよりも10
00℃(図2参照)の場合の方が、火炎ボリュームもよ
り大きくかつより多くの緑色の発光スペクトル成分を出
す燃焼反応中間生成物が認められ、その結果として緑色
がかった火炎となることが認められた。即ち、希釈空気
温度の上昇に伴って、青色の発光スペクトル成分を出す
燃焼反応中間生成物に対する緑色の発光スペクトル成分
を出す炭化水素燃料の燃焼反応中間生成物の割合が増加
し、可視発光中に占める緑色の発光スペクトルの影響が
目視でも認められるほどに相対的に大きくなって火炎の
緑色化の傾向を強めている。
【0023】また、図1の酸素濃度3%の場合と図2の
酸素濃度10%とを比較すると、ほぼ同じ温度(101
0℃と1000℃)でも酸素濃度が低いほど火炎ボリュ
ームが大きくなっていることは明らかである。そしてこ
の場合においても、酸素濃度が低い方即ち酸素濃度3%
の火炎の方が、青色の発光スペクトル成分を出す炭化水
素燃料の燃焼反応中間生成物に対する緑色の発光スペク
トル成分を出す燃焼反応中間生成物の割合が増加し、可
視発光中に占める緑色の発光スペクトルの影響が目視で
も認められるほどに相対的に大きくなって火炎の緑色化
の傾向を強めていることが認められた。反面、同じ燃焼
用酸化剤温度でも酸素濃度が通常の空気と同じ21%で
は、図5に示すように火炎ボリュームが小さく、緑色の
発光スペクトル成分の影響のない青色であることが認め
られた。更に、同じ燃料(LPG)を酸素濃度21%、
温度50℃の燃焼用空気を用いて拡散燃焼させた場合
(図6参照)には、火炎の可視発光色中には青色の発光
スペクトル成分(430〜460nm)を出す燃焼中間
反応生成物に対して緑色の発光スペクトル成分を出す燃
焼反応中間生成物の割合が圧倒的に少ないため、火炎の
色はいわゆるブルーフレームとなった。そして、図7に
示すように、同じ燃料を酸素濃度21%、温度50℃の
燃焼用空気を用いて拡散燃焼させた場合(実線で示す火
炎)と、酸素濃度3%、温度1010℃の高温希釈空気
を用いて拡散燃焼させた場合(仮想線で示す火炎)とで
は、火炎ボリュームに概略ではあるが20倍以上もの差
が生じた。しかも、ボリュームの大きな火炎の可視発光
色中には緑色の発光スペクトル成分を出す炭化水素燃料
の燃焼反応中間生成物が相対的に多量に認められる結
果、緑色がかった火炎の色となった。このことから、酸
素濃度を下げると、前述の緑色の発光スペクトル成分の
相対的増加現象が顕著になることがわかった。
【0024】このことは、図9及び図10に示す火炎分
光測定結果からも明らかである。例えば、空気を窒素ガ
スで5.1%O2 に希釈し、燃料にLPGを用いて、希
釈空気温度を三条件1000℃、1050℃、1100
℃と変えた際の火炎発光スペクトル測定により、図9の
結果が得られた。火炎の目視観察でも希釈空気温度増加
と共に青色から青緑色に変化するのがわかるが、スペク
トル測定により定量的に把握できた。ただし分光器とC
CDの感度補正はなされていないので各条件毎の相対比
較となる。また、青色の発光スペクトル成分たるCHラ
ジカル(431.5nm)と緑色の発光スペクトル成分
たるC2 スワン帯のひとつのC2 ラジカル(516.5
nm)について、5.1%O2 、21%O2 での希釈空
気温度に対する変化を調べた。図10によれば希釈空気
温度によりC2 ラジカル発光強度がCHラジカルに比べ
増加していることがわかる。
【0025】このことから、燃焼用空気の温度を従来の
排ガス再循環燃焼方法で用いられていたよりも遥かに上
げながら空気比を変えずに燃焼用酸化剤としての酸素濃
度を通常の空気よりも遥かに低くして行くと、それがあ
る条件に達したとき、酸化発熱反応が通常の空気を用い
た場合に比べて非常に遅いにもかかわらず安定して燃焼
する現象が起こり、そのときには火炎の可視発光色中に
緑色のスペクトル成分を出す炭化水素燃料の燃焼反応中
間生成物が得られる結果、通常燃焼時の青色よりも緑色
がかった(緑色化)火炎が生成されることが理解でき
る。
【0026】ところで、所定の温度でかつ所定の酸素濃
度に希釈された高温希釈空気・酸化剤を経済的かつ容易
に供給する手法の一つとして、酸素濃度21%の高温の
空気を高速で炉内へ噴射することによって炉内排ガスを
巻き込んで少なくとも燃料と接触する前には所定の酸素
濃度に希釈する方法が考えられる。しかし、高速の空気
噴流にどの程度の排ガスが巻き込まれるかは予測ないし
計算できず、燃焼反応直前の希釈空気の酸素濃度および
温度を所定の値に設定することは困難である。しかも、
燃焼反応直前の拡散状態にある希釈空気の酸素濃度およ
び温度を測定する手段も従来は存在しない。
【0027】しかしながら、火炎中に緑色の発光スペク
トル成分を出す炭化水素燃料の燃焼反応中間生成物が青
色の発光スペクトル成分の燃焼反応中間生成物に対する
割合が急激に増加して可視発光色中に多く認められる結
果、緑色がかった火炎が形成されるときは、少なくとも
燃焼反応直前には通常の空気よりもはるかに酸素濃度が
低くかつその酸素濃度における燃焼安定限界温度以上に
高温とされた所定の希釈空気と燃料とが混合拡散されて
十分に低速な酸化発熱反応下に拡散燃焼(高温空気燃
焼)を起こしていると推定できる。即ち、空気の予熱温
度、炉内ガスの再循環量などを制御して、通常燃焼時の
いわゆるブルーフレームよりも緑色化した火炎を作り続
ける限り高温空気燃焼を安定に実現できる。
【0028】そこで、例えば、燃焼用空気を噴射するノ
ズルの噴射角度を調整するなどの手法によって燃料噴流
と衝突するまでに巻き込む炉内ガスの量を変化させ、燃
焼反応直前の希釈空気の酸素濃度を調整したり、また
は、炉内に噴出する前に酸化性の微弱なガスあるいは不
活性ガスを注入してその酸素濃度を調整することによ
り、火炎が緑色化するように燃焼を維持する。図1に示
すような好適な高温空気燃焼を実現しているときの火
炎、即ち可視発光色中における青色の発光スペクトル強
度に対する緑色の発光スペクトル強度の割合が通常燃焼
させたときよりも顕著に増加したと認められる火炎は、
通常燃焼時に発生する青色(ブルーフレーム)とは目視
によってもはっきり区別できる程度の緑色がかった色と
なった。
【0029】なお、上述の実施形態は本発明の好適な形
態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能で
ある。例えば、燃焼用酸化剤としては、例えば燃焼用空
気中の酸素濃度を炉内での排ガス再循環によって希釈さ
れたものを使用することが実用的であるがこれに特に限
定されるものではなく、酸素を一定量以上含有する空気
以外の気体をそれとは更に異なる他の気体によって希釈
したもの、あるいは空気を不活性ガス等の希釈気体で希
釈したものなどが使用可能である。排ガスを利用した燃
焼用酸化剤を使用するバーナシステムの場合には、図示
していないが、例えば燃焼ガスの一部が炉外の循環路を
通ってバーナ側へ還流されると共に排出される残りの燃
焼ガスの顕熱を利用して燃焼用空気を蓄熱体などの熱交
換器で予熱し、これら予熱された燃焼用空気と再循環燃
焼ガスとを混合して緑色の発光スペクトル成分を出す燃
焼反応中間生成物が得られる状態の酸素濃度と温度の高
温希釈空気が完全燃焼に必要な空気比を変えない容量で
供給される。
【0030】また、本実施形態では、炭化水素系燃料及
び都市ガスなどの炭化水素を含む燃料の燃焼について主
に説明したが、これに特に限定されず、水素燃料などの
炭化水素を含まない燃料を使った燃焼にも適用できる。
この場合、燃料中に炭化水素系燃料あるいは炭化水素を
マーカーとして添加することによって、拡散燃焼で発生
する火炎の可視発光色中に青色の発光スペクトルと緑色
の発光スペクトルとを伴う燃焼中間生成物を発生させる
ようにして火炎を緑色化させる状態に燃焼を維持するこ
とを実施することもできる。
【0031】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項
1記載の本発明のバーナ燃焼方法によると、少なくとも
燃焼反応直前には通常の空気よりもはるかに酸素濃度が
低くかつその酸素濃度における混合気の燃焼安定限界温
度以上の高温希釈空気あるいはそれに相当する酸化剤で
拡散燃焼させるようにしているので、十分に低速な酸化
発熱反応下に火炎ボリュームを顕著に増大させながら安
定燃焼できる。したがって、熱流束のピークを作らず、
炉内のほぼ全域において顕熱を発生させながら対流伝熱
とふく射伝熱とで被加熱物を加熱することができる。し
かも、酸化発熱反応が通常燃焼時に比べて非常に遅いに
もかかわらず安定して燃焼する現象が起こる。そして、
流速が速く尚かつ広範囲で燃焼し続ける燃焼ガスは、炉
内においてこれまでよりも格段に流速を速めて対流伝熱
性を向上させると共に、炉内の広範囲な領域で流れなが
ら絶えず燃焼し続け、顕熱が発生する過程で熱を奪われ
被加熱物を加熱する。しかも、通常の燃焼時よりもガス
流動が激しくなり、炉内ガスの混合の促進や対流伝熱量
の増加を起こして局部的な温度差が一層解消される。
【0032】よって、請求項1記載の発明によると、火
炎最高温度が大きく低下するのでNOxの発生を大幅に
(100〜10ppm程度)抑制できると共に平均熱流
束を最大熱流束に近づけて高くできるので加熱効率(伝
熱効率)が格段によくなる。また、酸化発熱反応が十分
に低速であるため、燃焼騒音や振動燃焼を抑制できる。
温度場が平坦化し、伝熱速度が増大すれば、炉のダウン
サイジングあるいは加熱時間短縮などの伝熱性能の著し
い改善が図れる。
【0033】また、請求項2記載の発明によると、火炎
を緑色化させる状態に燃焼を維持することで、燃焼に供
される空気あるいはそれに相当する酸化剤の供給状態に
拘わらず、少なくとも燃焼反応直前には、通常の空気よ
りもはるかに酸素濃度が低くかつその酸素濃度における
燃焼安定限界温度以上の高温であり、通常燃焼に比して
熱発生速度が十分に低速な酸化発熱反応でありながら安
定燃焼する状態を確実に実現できる。
【0034】更に、請求項3記載の発明によると、火炎
中に緑色の発光スペクトル成分を出さない燃料でも、マ
ーカーとして添加された炭化水素系燃料あるいは炭化水
素から発生する燃焼反応中間生成物によって火炎を緑色
化させることができるので、通常燃焼に比して熱発生速
度が十分に低速な酸化発熱反応でありながら安定燃焼す
る状態を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素濃度3%、温度1010℃の燃焼用酸化剤
を用いた場合の火炎の状態を示す説明図である。
【図2】酸素濃度10%、温度1000℃の燃焼用酸化
剤を用いた場合の火炎の状態を示す説明図である。
【図3】酸素濃度10%、温度960℃の燃焼用酸化剤
を用いた場合の火炎の状態を示す説明図である。
【図4】酸素濃度10%、温度880℃の燃焼用酸化剤
を用いた場合の火炎の状態を示す説明図である。
【図5】酸素濃度21.0%、温度1000℃の燃焼用
酸化剤を用いた場合の火炎の状態を示す説明図である。
【図6】酸素濃度21.0%、温度50℃の燃焼用酸化
剤を用いた場合の火炎の状態を示す説明図である。
【図7】酸素濃度3%、温度1010℃の燃焼用酸化剤
を用いた場合の火炎の状態と酸素濃度21.0%、温度
50℃の燃焼用酸化剤を用いた場合の火炎の状態とを比
較する説明図である。
【図8】燃焼の安定性に対する燃焼用酸化剤の温度と酸
素濃度の影響を示すグラフである。
【図9】空気温度と火炎発光スペクトルとの関係を示す
グラフである。
【図10】CH/C2 ラジカル発光強度の空気温度変化
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 持田 晋 神奈川県横浜市鶴見区尻手2丁目1番53号 日本ファーネス工業株式会社内 (72)発明者 勝島 裕和 神奈川県横浜市鶴見区尻手2丁目1番53号 日本ファーネス工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化剤と燃料とが炉内で接触して拡散燃
    焼するバーナ燃焼方法において、少なくとも燃焼反応直
    前には通常の空気よりもはるかに酸素濃度が低くかつそ
    の酸素濃度における混合気の燃焼安定限界温度以上の高
    温希釈空気あるいはそれに相当する酸化剤で十分に低速
    な酸化発熱反応下に拡散燃焼させることを特徴とするバ
    ーナ燃焼方法。
  2. 【請求項2】 前記燃料として炭化水素系燃料あるいは
    炭化水素を含む燃料が使用される場合において、拡散燃
    焼で発生する火炎の可視発光色中における青色の発光ス
    ペクトル強度に対する緑色の発光スペクトル強度の割合
    が通常の酸素濃度でかつ常温の空気と燃料とを拡散燃焼
    させたときよりも顕著に増加させて火炎を緑色化させる
    状態に燃焼を維持することを特徴とする請求項1記載の
    バーナ燃焼方法。
  3. 【請求項3】 前記燃料として炭化水素を含まない燃料
    が使用される場合において、炭化水素系燃料あるいは炭
    化水素をマーカーとして前記燃料に添加して供給し、拡
    散燃焼で発生する火炎の可視発光色中における青色の発
    光スペクトル強度に対する緑色の発光スペクトル強度の
    割合が通常の酸素濃度でかつ常温の空気と燃料とを拡散
    燃焼させたときよりも顕著に増加させて火炎を緑色化さ
    せる状態に燃焼を維持することを特徴とする請求項1記
    載のバーナ燃焼方法。
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