JPH1045791A - ヒト用注射薬としての一部凍結乾燥によるフルクトース−1,6−ジホスフェート(fdp) - Google Patents

ヒト用注射薬としての一部凍結乾燥によるフルクトース−1,6−ジホスフェート(fdp)

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JPH1045791A
JPH1045791A JP9117928A JP11792897A JPH1045791A JP H1045791 A JPH1045791 A JP H1045791A JP 9117928 A JP9117928 A JP 9117928A JP 11792897 A JP11792897 A JP 11792897A JP H1045791 A JPH1045791 A JP H1045791A
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diphosphate
salt
fdp
vial
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Daburiyuu Sariban Buraian
ブライアン・ダブリュー・サリバン
Daburiyuu Fuotsukusu Ansonii
アンソニー・ダブリュー・フォックス
Jiei Marangosu Pooru
ポール・ジェイ・マランゴス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フルクトース−1,6−ジホスフェート(F
DP)を虚血または低酸素状態の患者および心臓バイパ
ス手術を受ける患者に注射するのに適切な剤型で提供す
る。 【解決手段】 FDP水溶液、または該塩水溶液を、残
留含水量が10%から25%(重量比)である固体物質
を生成するまで凍結乾燥することにより、一部凍結乾燥
FDP、または薬理的に許容な該塩を製造する方法を提
供する。残留含水量が12%から16%(重量比)の範
囲であることが特に望ましく、確実に総不純物を5%以
下、いずれの単不純物も1%以下とすることが可能であ
る。この製剤は、FDPを凍結乾燥バイアルに詰入し、
凍結乾燥工程を遂行することにより、密閉無菌容器内部
で生成される。高含有水分は製品の安定度及び、貯蔵寿
命を減じたり、限定することはない。純度の実質的欠損
なしに1年以上室温保存が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト用注射薬とし
て有用な一部凍結乾燥により調製されたフルクトース−
1,6−ジホスフェートの製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】解糖は細胞によるエネルギー生産及び消
費に必須の基礎的生物学的反応過程であり、生化学、生
理学、細胞生物学のほとんどの教科書において言及され
ている。簡潔には、グルコースがある種の糖−リン酸塩
化合物に転換され、これが酸化されることによりエネル
ギーが放出される。
【0003】フルクトース−1,6−ジホスフェート
は、自然発生による糖−リン酸塩であり、生成後速やか
に、解糖機構の中間生成物として消費される。短命な中
間生成物であるため、通常には細胞中に低濃度でのみ存
在する。1位と6位の炭素にリン酸塩が結合する1、6
異性体のみが、ここでは注目され、FDPと略記され
る。その他の異性体(例えば、フルクトース−2,6−
ジホスフェート)は本発明には関連はなく、FDP、ま
たは、フルクトースジホスフェートの参照より除外され
る。文献によっては、FDPをfructose−1,
6−biphosphate、またはfructose
−1,6−bisphosphateと記述することが
ある。
【0004】過去20年以上にわたり、多数の科学、医
学論文がFDPに虚血症(例えば、心臓発作、出血、脳
溢血時等に生ずる血流不足)に起因する各種組織への損
傷予防効果のあることを示唆してきた。関連文献とし
て、例えば、Markovら1980、1986、19
87;Gregoryら1990;Trimarchi
ら1993、1994;Sanoら1995があり、関
連特許としては、米国特許4,546,095(Mar
kov 1985),4,703,040(Marko
v 1987)及び4,757,052(Markov
1988)がある。上記文献はその数例にすぎず、そ
の他に多数の文献に関連記述がある。
【0005】多数の特許がFDPの合成法及び、精製法
を記述している。合成法は、通常グルコースとリン酸塩
供給体を適切な醗酵条件下において、FDPを生産する
微生物を用いる。これらは、中国特許1,089,65
4A(Ying 1994)米国特許4,530,90
2(Perriら 1985)及び、5,094,94
7(Nakajimaら 1991)を含む。精製法特
許は、通常イオン交換クロマトグラフィー使用を含む;
すなわち、米国特許4,575,549(Dianaら
1986;ドイツ特許DE3,446,927に相当す
る。)米国特許5,434,255(Katayama
ら1995;日本特許JP05271269A2に相当
する。)、中国特許1,0890615A(Yingら
1994)、1,089,616A(Ouyangら
1994)を参照のこと。
【0006】ほぼ20年にわたる先出の技術にもかかわ
らず、医師および手術医の間に未だにFDPの効用に関
して懐疑論や反論を唱えるものが多く、限られた例外
(後述)を除いては、FDPは医師、または手術医によ
って、医療目的に使用されていない。
【0007】虚血症(多くの場合、心臓発作、心停止、
脳溢血、または出血によって死亡する患者及び、あらゆ
る可能な限りのエネルギー供給を必要とする患者を含
む)を罹患する患者へのFDP使用に対する医師の不履
行または、拒否の理由は下記要因によるものと考察され
る。
【0008】(1)FDPは強力な負電荷を持つジホス
フェートである。一般的には、FDPは細胞内に実質量
透過することが出来ないと予測されている。エネルギー
代謝及び、解糖反応は細胞内で行われるため、FDPは
その関連領域に効果を期待するに充分量を取り込まれる
ことができないと予測される。
【0009】(2)また、FDPは血液脳関門を容易に
通過出来ないと推測されるため、脳保護効果はないと考
えられている。脳は他の臓器と比較して、虚血症、また
は低酸素症により、急速かつ永久的損傷を受けやすいた
め、心臓、その他の内臓器官を虚血損傷より保護するF
DPの効用はさほど注目されず、最も重大な永久的脳損
傷の予防の問題解決の補助または処理にならないとの説
のみが強調されている。
【0010】(3)解糖反応において発生するエネルギ
ー量(すなわち、グルコースを分解して2分子のピルビ
ン酸を形成することによる)は、継続して起こるピルビ
ン酸を二酸化炭素と水という最終産物に転換する好気的
酸化によって発生するエネルギーの量のほんの僅かにす
ぎない。組織における虚血症、または低酸素症、すなわ
ち酸素の欠乏がピルビン酸の好気的転換を阻害する条件
下において、FDPの注入では、細胞生存を充分に補助
せしめるに値するATPレベルを供給するには不十分で
あると憶測されている。
【0011】(4)また、酸素欠乏条件下においては、
細胞に対する外生FDPの付加は、直接的には乳酸生産
を増加することにつながることが示されている。例え
ば、Lazzarioらによる1992年の報告には
(330−335ページ)、FDPが酸素欠乏の細胞に
付加されると、FDPは二酸化炭素と水に完全に物質代
謝されるのではなく、約90%が乳酸に変換されること
が記されている。過剰乳酸は、解糖反応機構における最
も重要な酵素と見なされている、解糖反応の総合的進度
を制御及び制限する、フォスフォフルクトキナーゼ(P
FK)と呼ばれる酵素を遮断するため、この乳酸産出の
増加は有害であり得る。従って、FDPの付加に起因す
る乳酸生産の増加は極めて懸念され、虚血症または低酸
素症を罹患するヒトの治療にたいするFDPの使用を懸
念する主要な原因であることは明確である。
【0012】(5)虚血損傷に対する薬剤療法が非常に
困難、かつ不十分であることは、多くの要因によるが、
他方に、特定の薬剤処方が患者に対して適切であると診
断されるのに、1−3時間(またはそれ以上)をしばし
ば要するという事実があげられる。しかしながら、虚血
症発症後それほどの時間が経過すると、薬剤投与開始以
前に、既に広範な細胞死または永久的組織損傷が生じる
ため、往々にして手遅れとなることが多い。
【0013】(6)FDPが有益な効果を持つという論
説に反して、多数の研究においてFDPに効果を見ない
という説が報告されている。この否定的論説の例として
は、Eddyら1981、Pasqueら 1984、
Tortosaら 1993、Angelos 199
3による文献がある。
【0014】(7)過去において、FDPを純正、かつ
安定な形状にて生産することは困難であるとされてき
た。FDPは水との接触により容易に加水分解され、一
つのリン酸グループの結合が分離されると、分子はFD
Pとしての活性を失うことになる。これまでの凍結乾燥
法は純正、かつ安定は該生産には充分に効果的ではなか
ったと考察される。例えば、中国特許1,089,61
6(Ouyangら 1994)は、凍結乾燥法の遭遇
する問題を解決する手段として高温度乾燥による方法を
主張している。純度、及び安定度に関する重要な要因に
ついては、後に詳記する。
【0015】上記またはその他の理由により、これまで
製薬業界はFDPの薬剤としての事実上の開発、使用に
関してはほとんど注目をしていない。僅かな例外を除い
ては、患者が脳溢血、心停止、銃傷、刺傷に起因する非
常に危険な状態にある場合においても、FDPはどの患
者に対しても、いかなる常用手段としても投与されてい
ない。
【0016】第一の例外は、後に説明するBiochemica
Foscamaというイタリア企業によるESAFOSFIN
A商標で販売されている凍結乾燥製剤を含む。この化合
物は、純度必要条件、及び製造工程における無菌条件に
おいて、明らかに他国の評価基準を満たさないにもかか
わらず、中国、イタリア等の数国では既に販売されてい
る。第二は、米国、英国に代表される国においては、折
々小規模の臨床治験として試験されている。
【0017】現時点においては、特殊な化学企業によっ
て、グラム、ミリグラム単位で研究試薬として販売され
ているものを除外しては、全世界で商業的に入手可能な
FDP製剤は二種のみが知られている。この内の一つ
は、ドイツにおいてBoehringer Mannheim社によって
製造されている非無菌バルクである。該物質は出願人
(Cypros Pharmacuetical Corporation,カールスバ
ッド、カリフォルニア)によって購入されており、後に
記載の凍結乾燥製剤の原試料として使用されている。
【0018】市場化されている他のFDP製剤はイタリ
アにおいてBiochemica Foscama社によりESAFOS
FINA商標で販売されている凍結乾燥製剤である。出
願人の知り、確信するところによると、以下の工程を含
む方法によって製造されている。 (1)大きな、平らな容器に多量のFDP水溶液をいれ
る。 (2)混合物を凍結して真空状態として水分を除去する
ことにより大きな固形物を得る。 (3)この固形物を粉砕、製粉化することにより小粒子
とする。 (4)バイアルに粉砕した粒子を詰入する。 (5)バイアルを密封する。
【0019】前述の工程はヒト用注射薬としての無菌製
剤製造法としては充分ではない。例えば、該工程におい
て得られる大きな固形物の処理、及び操作時の大型機器
の使用を伴う製造工程は、固形物を小粒子に粉砕する装
置、バイアルに詰入する際の漏斗、及びバイアルの密封
の各工程において最終産物の無菌性に対する深刻な危険
性を含む。(リン糖化合物は容易に有害な微生物生育の
培地となる。)
【0020】遺憾ながら、これらの問題はバイアル詰入
後におけるFDPのオートクレーブもしくはイオン照射
による「終端無菌」工程によって解決することはできな
い。そのような処置はバイアル中のFDPの化学的品
質、及び純度を大幅に低下させる可能性がある。更に
は、FDPは容易に広範囲にわたる細菌により生育の培
地として分解され得ることを考慮せねばならない。密封
されたFDPのバイアル中に細菌混入があると、細菌は
バイアル中で増殖することになる。
【0021】従来の凍結乾燥FDP製剤法による最終産
物においても、いくつかの明らかな欠点がある。これら
は概して均一同質でなく、異なった形状の粒子を含むこ
とがある。すなわち、あるものは小ガラス玉状であった
り、比較的粘質なカラメル状の塊積であったりする。該
試料の化学的純度を試験すると、後述する純度基準を満
たさなかった。また、多少の不安定度が観察され、純正
FDPは結晶状の白い粉末であるにもかかわらず、従来
の技術による粒子は時として(特に大粒子の場合)、封
切らない、密封されたバイアル中で室温保存された場合
でも数日から数週間で黄褐色に変色しはじめることがあ
る。
【0022】出願人の知り、かつ確信するところによる
と、Boehringer Mannheim社(ドイツ本社)、Bioche
mica Foscama社(イタリア)のいずれの企業も米国食
品、薬務局(FDA)、及び英国の医薬管理局(MC
A)、また他の先進国におけるそれに匹敵するような薬
事管理機関よりヒト用のFDP製剤の販売に関する許可
を得ていない。従って、ヒト用注射薬としてのFDPの
販売は、医師による処方がある場合でも、ほとんど全て
の国において禁止されている。出願人以前には、市場化
可能な実質的かつ効果的治療を目的とした、充分な貯蔵
寿命を備えるFDP純正無菌製剤生産の研究・開発に従
事して、薬品の厳格な純度規格及び、安全基準を法律化
している先進国において、適切な政府の許可取得を試み
た企業がなかったことは、衆知の事実である。
【0023】FDPを含む付加的研究が日本、及び中国
において報告され、特許されている。;例えば、日本特
許JP05271269A2、中国特許1,089,61
5A(Yingら1994)、中国特許1,089,616
A(Ouyangら1994)を参照のこと。しかしなが
ら、出願人の知り、かつ確信するところによると、この
いずれの研究も市場化を可能とする製剤の提供に至って
はいない。加えて、前述の発明による製剤は、無菌性を
保持し得る密閉したバイアル中ではなく、バルク・ドラ
ッグとして大量生産されているものである。注射薬を無
菌性保持のために密閉した容器内に安定かつ無菌状態で
保存することを規制化している国においては、バルク・
ドラッグをヒトに注射することは法律的に許可されてい
ない。
【0024】[凍結乾燥]凍結乾燥とは一般に「凍結す
る−乾燥する」と呼ばれる工程の技術的用語である。該
工程においては、該水溶液または懸濁液を固体化するま
で凍結し、充分な期間真空条件下におく(通常には、一
日またはそれ以上)。真空は、水分子を「昇華」−言い
換えれば、液相を経ずに気体化して固相を離れること−
させる。これは、「ドライ・アイス」より二酸化炭素が
蒸発することに相応するものであるが、該工程の進行は
緩慢であり、以下で説明する特殊な条件による高レベル
の真空を必要とする。すなわち、(1)従来の家庭用冷
凍機による凍結温度より一層低い凍結温度を持つこと。
(2)最高レベルの真空:ミリトール単位(1000分
の1トール;典型的大気圧は気圧計と呼ばれるU字型の
機器にて760トール水銀柱が計測される。)の2条件
を提供し、継続可能な特殊室を必要とする。極めて高度
な無菌性と品質管理が要求されるため、薬品の凍結乾燥
は非常に高価な工程である。すなわち、凍結乾燥室にお
ける、適切な凍結、及び真空条件を継続するには多量の
エネルギーが必要とされる上に、各々の生成された一群
の薬品は多くの時間、日数の間全く動かすことなく高価
な特殊室に保存されねばならない。該及びその他の理由
により、製品の無菌性または品質を損なうことなしに、
凍結乾燥工程を迅速化するにはまだかなり長期間をかけ
た改良の努力を要する。
【0025】[残留水分量]薬品の凍結乾燥における最
も重要な要素は、最終含水量である。ほとんどの凍結乾
燥工程は、含水量を7%から10%(重量)に減少させ
る「予備乾燥」期と、それに継続する通常には含水量を
2%以下にまで減少させる「第二乾燥」期を含む。残留
含水量を2%以下に保持することにより、加水分解(ま
たは、薬剤分子内の化学結合を改変する他の化学反応)
を最小に抑えることが可能となる。
【0026】残留含水量に関連する従来の研究は以下に
記述するものがある。 (1)米国特許4,537,883:「乾燥製品の最終含
水量は一般には1.0%以下である。しかしながら、あ
る種の製品、得に生物製品は最終含水量が10%に達す
るものもある。通常には、凍結乾燥物の安定性の向上
は、水溶液に比較して、医薬組成物中の水分の不在に帰
すべきである」と記述されている。
【0027】(2)Adams,G.D.J.,“生物材料の凍
結乾燥、乾燥工学,9(4),(1991)891−92
5ページ”:「長期にわたる乾燥期は第二乾燥と呼ば
れ、脱離により水が除去される。第二乾燥により含水量
は2%または以下に減少される。」と記述がある。
【0028】(3)Greiff,D.,生物製品の凍結乾燥
に関する国際シンポジウム(S.Karger,Basel,ス
イス出版、1977、105−115ページ)記載の
“生物製品の凍結乾燥”によると「乾燥工程期間におい
て、懸濁液は少なくともつぎの3項に記されるような生
物材料を含む。1)低残留水分(3−5%)の乾燥材
料。2)残留水分が3%以下である乾燥材料。3)非乾
燥である凍結材料。
【0029】(4)非経口的薬品協会主催による短期講
座(3月13−14、1996)の教科書として使用さ
れたMichael J.Pikal & Steven L.Nail“凍結乾
燥法”に記載の“製剤と工程のガイドライン”に以下の
記述がある。「第二乾燥:第一の問題は、最適残留水レ
ベルとは何か?この点に関しては製剤開発研究として扱
われるべきであるが、多くの場合、残留水分が低いほど
製品の安定度が高いとされている。しかしながら、含水
量がゼロの場合と1%というような適度な水分レベルと
では製品の安定度に特記すべき差異のないこともある。
最適含水量とされている比較的高い(5%)レベルにつ
いては、安定性の維持に問題があり、この問題を解決し
得る製剤法の開発研究が期待される。」
【0030】(5)FDAの1部門であるCBER(T
he Center for Biological Evaluation and Resear
ch)発行による“乾燥生物製品の残留水分決定に関する
ガイドライン”摘要番号89D−0140、1月、19
90に以下の記載がある。:「残留水分とは、凍結乾燥
(真空昇華)により大量の水溶媒が除去された後、凍結
乾燥ワクチンまたは、他の生物製品に残留する低いレベ
ル水量(通常には、1%−5%以下)を定義する術語で
ある。」
【0031】米国特許5,094,947(Nakajima
ら、1991)及び、5,434,255(Katayama
ら、1995;明らかに日本特許JP05271269
A2に相当する)に記載されるFDP製剤法によると、
時として10%以上の残留水分を含むものもあるが、記
述のごとく、ヒト用注射剤の無菌容器内保存を規定する
国においては合法的許可を得ないバルク処方製剤であ
る。
【0032】出願人の知りかつ確信するところによると
残留水分が10%以上の凍結乾燥薬剤はこれまでに市場
化されていない。従って、出願人による本発明、すなわ
ち残留含水量を少なくとも10%、もしくは25%程度
まで保持し、なおかつ極めて安定性がある「一部凍結乾
燥」によるFDPの製剤法は、極めて画期的と言える。
特に、加水分解の影響を受けやすい二つのリン酸結合を
持つFDPの化学的組成を考慮すると、本発明の意義は
大きい。
【0033】[化学的純度及び安定度の基準]ヒト用薬
剤の化学的純度に対して一般的に広く使用される基準は
以下のごとくである。すなわち、医薬製剤は、5%以上
の総不純物を含有してはならず、いずれの単不純物にお
いても1%を越えてはならない。(該不純物とは、水、
またはその他の希釈剤、担体、及び添加剤は含まな
い。)出願人、及び米国のFDA、英国のMCAを含
む、特定の政府機関により、全てのFDPに関する臨床
治験において、前記の基準が適用、実施されている。
【0034】いずれかの炭素−酸素結合、または酸素−
亜リン酸結合が切断もしくは改変されると、化学的にF
DPの品質は変質する。これは、分子からのいずれかの
リン酸グループの欠失を含み、リン酸結合は容易に加水
分解(水に起因する切断)されるため、主要な問題とな
る。
【0035】FDP分子よりいずれかのリン酸グループ
が分離されると、結果生ずるフルクトース単リン酸はF
DPとしての活性を持たないため価値がない。フルクト
ース単リン酸は、高性能液性クロマトグラフィー(HP
LC)によってFDPと識別される。
【0036】化学的変質は、「カラメル化」と称される
過程、すなわち個々の分子が付着して塊積分子を形成す
ることを含む。「カラメル化」は全ての含糖溶液におけ
る主要な問題である。
【0037】しかしながら、FDPは変質、および解糖
反応機構における活性を欠失することなく、イオン化、
または塩化することが可能である。イオン化、および塩
形成は化学的変質とは見なされない。FDPの保有する
二リン酸グループは、強酸性であり、いずれの水溶液中
においても、塩形状において最も安定である。製造工程
に使用される非毒性溶媒(水、第三ブチル・アルコール
等)は不純物とは見なされないことを特記する。
【0038】FDPにおいては、単不純物を1%以下に
限定することは極めて重要である。加水分解(すなわ
ち、いずれかのリン酸グループの切断はFDPをフルク
トースモノホスフェートに転換する。)により、5%の
総不純物量を問題にする以前に、単不純物量を1%以下
に限定することは通常困難である。
【0039】上記の事実は、FDPの一部凍結乾燥、す
なわち含水量を10%以上残留かつ安定である製剤は通
常の技術では明らかに困難であるという主張を裏付けて
いる。FDPのリン酸結合の加水分解は、製剤の適切な
安定度を提供するために解決されなければならない極め
て重要な問題であるため、凍結乾燥化学に通じる研究者
は、通常には加水分解による変質を減少させるために、
たとえ極度の対策を要しても、出来るかぎり含水量を下
げねばならないと予測するはずである。出願者により発
見された結果は意外にもその予想と全く反対の結果を示
した。
【0040】FDP凍結乾燥における他の重要な問題は
化学的安定度である。すなわち、ある一定の、例えば、
一カ月もしくはそれ以上の貯蔵期間後、純度が保持され
なければならない。本発明の目的は、長期間、冷蔵され
ることなく密閉バイアル中に保存されるとき、重大な化
学的変質を生じることなく、医学的使用に耐え得る充分
な安定度と貯蔵寿命を持つFDP製剤を製造することに
ある。製剤がこの目的に到達したか、または合格したか
は、「ベンチ・マーク(水準基標)」試験によって計測
される。従って、与えられたいかなるバッチ(または、
製造工程)について合格または不合格が公正に評価され
得る。
【0041】一カ月安定度試験が水準基標(ベンチ・マ
ーク)として、分析的、及び比較的目的のために採用さ
れる。無菌密閉製剤が、室温にて少なくとも一カ月保存
され、単不純物1%、総不純物5%以下の基準を満たす
場合、実用、かつ一般使用に値する充分な純度と安定度
を持つと見なされる。本発明により提出された製法によ
るFDP製剤はこの純度及び安定度基準を大幅に上回
る。例えば、該出願の直前に開封、分析された一部凍結
乾燥によるサンプルは、室温にて密閉バイアル中に一年
以上保存された後にもかかわらず、総不純物量は1%以
下であった。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
の一つは、一部凍結乾燥によるFDPを、残留含水量を
少なくとも10%から25%(重量比)含有する無菌密
閉製品を生産する方法を提供することにある。
【0043】本発明の他の目的は、残留含水量が10%
から25%(重量比)である一部凍結乾燥によるFDP
が冷蔵なしに室温で数カ月保存の場合、化学的安定、か
つ十分な貯蔵寿命を持つことを提示することにある。
【0044】本発明の他の目的は、残留含水量が12%
から16%である一部凍結乾燥製剤によるFDPが特に
望ましいことを提示することにあり、その理由として
は、含水量が12%以下、または16%以上の製剤と比
較して、該FDPはより堅実に再製可能であり、確実に
製剤できることを提示することにある。
【0045】本発明の他の目的は、より改善された最終
産物を提供するために、FDPの凍結乾燥中において、
第3ブチルアルコールのような二次的気化剤を使用する
ことが出来ることを提示することにある。
【0046】本発明及びその発表は、下記のような重要
な医学的目的のための実用的、効果的、経済的なFDP
用途を可能とする。すなわち、1)心臓発作、銃撃傷、
刺傷、窒息、事故その他の外傷に起因する重大な医学的
非常事態にある患者の緊急医療処置。2)冠動脈バイパ
ス、心臓弁膜交換、または修復等の心肺バイパスを必要
とする手術を受ける患者の前処置。
【0047】本発明の該目的、及びその他の目的は後述
の概要、図、実例の説明により、より明確にされる。
【0048】
【課題を解決するための手段】本発明は、自然発生によ
る化合物であり、解糖反応機構の中間生産物であるフル
クトース−1,6−ジホスフェート(FDP)を含む一
部凍結乾燥製剤による粉末、またはケーキ様固形物質を
調製する実用的、かつ経済的方法を提供する。少なくと
も粉末またはケーキ様物質に10%以上25%程度まで
の水分(重量比)を残留する方法が好ましい。特に好ま
しい残留水分域は、約12%から約16%(重量比)で
ある。驚くべきことには、該高水分容量はFDPの安定
性、貯蔵寿命を低下したり、限定することはなく、より
迅速に、低いコストによる製法を提供する。
【0049】本発明の方法は、下記の工程を含む。 (a)バルク調製によるFDPを水、蒸留水、または脱
イオン化水に溶解することにより、FDPの非無菌溶液
(または、適当な塩、該方法ではFDPのナトリウム
塩)を、好ましくは、少なくとも20%以上40%程度
の濃度(重量/容量)にて調製する。 (b)非無菌水溶液を微生物及びウイルスの除去に可能
な細孔を備えた無菌フィルターを用いて濾過する。 (c)好ましくは、FDPの濾過製剤を、第三ブチルア
ルコール(TBA)のような二次的気化剤の無菌製剤と
混合する。 (d)濾過した無菌FDPを、無菌的に密閉可能なバイ
アルにヒト注射薬一回分として適当な量(FDP5g程
度)詰入する。 (e)密閉可能なバイアル中のFDP水溶液を、重量比
で10%から25%の残留水分量を含む固形のFDPま
たは、該塩を生成するまで、凍結乾燥室において凍結乾
燥する。 (f)バイアルを厳密に密閉する。
【0050】本工程は無菌性を危険にさらす粉砕、操作
またはその他の処理を必要としない。本発明によって発
表されるように、該工程により調製される固形FDP無
菌製剤は化学的に十分安定であるため、室温で一カ月貯
蔵後に測定される不純物は、重量比で総不純物5%以
下、単不純物1%以下にすぎない。該方法によって調製
されるFDP製剤は、重量比で、約12%より16%の
残留水分量を持つが、室温にて、一年以上バイアル内保
存後、安定であることが確認された。該無菌、安定製剤
は心肺バイパス手術患者の前処置等に対するFDPの医
療用途の改善を可能とする。重大な医学的非常事態、す
なわち、心臓発作、自動車事故、銃撃傷、刺傷、窒息状
態等、にある患者の前診断的救急処置を目的とした注射
キットも、本発明により発表される。
【0051】さらに具体化して、該工法によるFDP
(または、該塩)の安定、無菌、固形化製剤を含む投薬
量、及び該バイアルと密閉装置の内部に固形化したFD
Pを詰入し、無菌性を維持するための密閉装置を付随し
たバイアルを提供する。
【0052】本発明は、さらに、フルクトース−1,6
−ジホスフェート、または薬理的に許容な該塩の、以下
に記載する医学的危機にある患者の救急処置用医薬の製
造における用途を提供する。対象患者は次に示す a.出血; b.不整脈; c.感電によるショック; d.心臓虚血症; e.仮死、窒息; f.失神; g.薬物、またはアルコールに起因しない精神錯乱; h.薬物、またはアルコールに起因しない運動機能障
害; i.明確な出血性ショック;
【0053】FDPは、患者が診断を受けるために診療
所または、病院に輸送される以前に、できるだけ迅速
に、好ましくは、事故または負傷現場において、患者に
静脈注射される。この注射は静脈注射をなす訓練を受け
た者は誰でも行うことができる。すなわち、警察官、消
防士、軍人、ライフガード、私設療養所の介護人、及び
心臓病を罹患する人、またはこれに相応する医療問題を
持つ人の家族を意味する。
【0054】本発明は、さらに心臓循環バイパス手術を
受ける患者の手術中の(冠動脈バイパス移植、または心
臓弁膜交換等)処置法における医薬の製造におけるFD
Pの用途を提供する。該方法は、患者にFDPを含有す
る液体製剤を、循環バイパス開始以前に、静脈注射する
ことを含む処置であり、この処置はフルクトース−1,
6−ジホスフェート、または薬理的に許容な該塩を心臓
が鼓動している間に心筋組織内に浸透される。FDPは
治療的有効量、すなわち化学分析(破損細胞によるクレ
アチンキナーゼの放出)、または血行動態(肺動脈楔入
圧の僅かな上昇)により循環系バイパス手術中及び術語
の心臓損傷の減少効果により提示される該投与量、を患
者に注射されなければならない。
【0055】図1は、一区画には、一部凍結乾燥による
粉末または固化FDP,他区画には無菌水また水溶液が
詰入された二隔室よりなる密閉無菌バイアルの断面側図
である。両区画を隔てる隔壁は水とFDPを混合するた
めにその封鎖部位を押しあけることが可能である。これ
によりヒト注射用FDP無菌水溶液が調製される。
【0056】図2は、注射器及び注射針、または迅速に
FDPを水溶液とするために、凍結乾燥FDPと水溶液
両方を含む二隔室バイアル数本を封入し保護する堅固は
ケースを描写する。該注射キットは、緊急用途向けに設
計されたものであり、従って、医師でなくとも、注射方
法を訓練された者であるならば(救急介護人、警察官、
軍人、私設療養院介護人等)によって、心臓発作、銃撃
傷、刺傷、または自動車事故等の危機状態における救助
を目的に使用できる。
【0057】
【発明の実施の形態】本方法は、フルクトース−1,6
−ジホスフェートを含む一部凍結乾燥製剤、すなわち残
留含水量が重量比で少なくとも10%以上より25%程
度までの範囲にある粉末またはケーキ様FDPの調製法
を開示する。該物質は従来のFDP8水和物結晶に含有
される26.18%の含水量よりは少なく、しかし、通
常2%以下の残留水を含有する従来の凍結乾燥薬剤と比
較して含水量は大幅に多い。一部凍結乾燥FDP製剤中
に高率の水分を残留することにより、エネルギー、装
置、工程に要する時間が大幅に減少され、結果として、
該工程は実用的かつ経済的となる。にもかかわらず、本
発表による一部凍結乾燥FDP製剤は品質、安定性、ま
たは無菌性を損なうことがない。
【0058】現在までに得られた結果によると、残留水
分が約12%より約16%の範囲であるのが特に好まし
く、該範囲に含まれる水分において、一貫して確実な品
質製剤が供給される。12%〜16%領域に含まれる水
分外であっても優良な製剤が調製されているが、該製剤
は品質管理上問題があり、均一的に高品質ではない。対
照的に、最終水分量が約12%より約16%である製剤
はより確実であり、偏差が少ない。
【0059】FDPを一部凍結乾燥する本発明の好まし
い具体化は、次に述べる方法を含む。 (1)FDP水溶液を作る。重量比で約10%より約4
0%範囲のFDPを含有することが好ましい。 (2)FDPの水溶液を、望ましい温度で結晶化し、そ
の後、FDPの「ガラス化遷移温度」、すなわち約−3
3℃以下の温度ですぐに昇華(気体に蒸発する)する二
次剤と混合する。該物理的特色により、該二次剤は凍結
固体中に多孔性、及び透過性を生じ、そのため凍結乾燥
期間に凍水が固相を離れるの要する時間を減少させて、
よりよい最終産物を提供する。該二次剤は第三ブチルア
ルコールであり、t−ブタノールとも言われる。エタノ
ール、イソプロパノール、及び他の有機溶媒のような各
種の薬品が同様に使用される。 (3)保存、発送、処理期間中、FDPを無菌凍結乾燥
状態で収容するためのバイアル、または小容器中に規定
量のFDPを詰入する。 (4)適切な凍結温度及び真空条件を生起かつ継続し得
る凍結乾燥室中に該バイアルと混合物を配置する。 (5)混合物を凍結するために、FDPのガラス化遷移
温度以下に温度を降下させる。 (6)該凍結固形混合物を第一乾燥過程におく。すなわ
ち該過程においては、(a)氷として存在する水分のほ
とんど、及び(b)二次剤、両方を除去するに十分の時
間、乾燥のために規定基準真空が継続される。 (7)残存の凍結物質を第二乾燥過程におく。該過程に
おいては、いわゆる結合水(水和による水)の全てでは
なく幾分かを、望まれる適切な残留水分基準(重量比に
て約12%より約16%)まで除去する。 (8)無菌性及び化学的安定性の存続を保証するために
バイアルを水も漏らさぬ様に密閉する。
【0060】該方法が厳格に遂行されると、密閉したバ
イアル中にヒト用注射薬として適格な高品質、易溶性、
無菌形態の一部凍結乾燥によるFDPを含有する粉末状
もしくはケーキ様残留物を生起する。バイアル中のFD
Pは、少なくとも重量比にて10%以上25%程度まで
の残留水分を含有する。(好ましくは、約12%から約
16%)
【0061】本発明により開示される該方法は、バイア
ル中に室温で保存される場合、数カ月間安定である固形
状のFDP製剤を提供する。ここに言及される「安定」
及び、「安定性」とは、長期の保存期間後においても、
ヒト用薬剤としての前述の純度基準に適合する、または
上回る凍結乾燥製剤を示す。(すなわち、重量比にて5
%以下の総不純物、及び1%以下の単不純物)規格にお
いて言及される試験期間(一カ月)は分析的目的のため
の単なる水準基標に過ぎない。本開示における多数のF
DP製剤は、一年もしくはそれ以上経過しており、5%
総、1%単不純物規定を十分に充足している。
【0062】規格に見合うためには、「安定」FDP製
剤はバイアルんのガラス壁を通して肉眼的に点検された
時、望ましく、均一状態になけらばならない。明らかに
他の凍結乾燥FDPと異なる、明白なカラメル化、また
は肥大化、または塊積粒子形成を起こしてはならない。
【0063】ここに言及される「固形状」とは、粉末
化、顆粒化、ケーキ様、または25%以下の残留水を含
有する非液体形状FDPを示す。安定性及び操作性を考
慮すると、液体混合物(通常、FDPの加水分解のため
に不安定である)と固形状(もし該請求に説明されるよ
うに調製されるとするならば)、とには明確な差があ
る。粉末化、顆粒化、ケーキ様FDPにおける形状の差
異は、水または他の適合する液体が注射液作成のためF
DPに添加されると、相対的に硬いケーキ様FDPでも
迅速に溶解するため、該記載の医療上の用途においては
重要ではない。
【0064】該記載のFDP製剤は、10%から20%
の残留水を含有しており、「一部凍結乾燥」または「凍
結乾燥」と表現される。該物質は、凍結乾燥工程を経過
して、一部凍結乾燥される。しかしながら、該物質は、
発明の従来の技術で説明されたように、薬品における凍
結乾燥の従来の基準からすると、ほんの一部凍結乾燥さ
れたのみである。
【0065】いくつかの凍結乾燥工程における温度と真
空に関するプロファイル(時間的作用)は実施例3−7
に記載する。ここに指摘されるように、正確なプロファ
イルは、混合物におけるFDPの発端濃度、及び、TB
Aが混合液中に存在するか否かにより変化する。実施例
3及び4はFDPが10%または20%である溶液を用
いた初期の実験を説明する。30%または40%のFD
P溶液を用いた実施例5−7における工程が、一般的に
は好ましい。実施例により示唆されるように、残留含水
量を2%もしくはそれ以下にするための完全凍結乾燥に
要する時間に比較して、より迅速に、すなわち2日から
3日にて、該全工程が完了される。
【0066】正確な期間、温度、真空レベルは、さほど
重要ではなく、最終凍結乾燥産物が適格な品質、及び安
定性規格に合うように、必要に応じて変化をさせてもよ
い。例えば、該工程におけるある過程に時間を多くかけ
ることが可能であるならば、該過程はより低温で進行さ
れる。しかしながら、多くの時間とより低い温度はより
多額の費用を意味する。同様に、高真空レベルは乾燥過
程を加速することを可能とするが、「はねとび」(泡が
弾ける沸騰の一つの型で、望ましい粉末もしくはケーキ
様FDPを生成するより、むしろ、容器内壁に固形物質
を付着せしめる)、バイアルよりのFDPの欠失、等の
問題を起因し、最終産物中に不均一な大きさの粒子の発
生及び他の不等質性の原因となるので、該問題は排除す
べきである。従って、本発明の目的は、長期の保存に耐
える、安定、均質、高品質FDP製剤を、一貫して確実
に製造し得る、最も迅速で温度の高いプロファイルを使
用することにある。
【0067】本発明により説明される方法の他の主要な
利点もまた記載すべきである。すなわち、該方法は、粉
末、ケーキ様FDPの最終密閉、無菌容器となるバイア
ルの中にFDP含有液体混合物詰入後において、該凍結
乾燥工程を進行することが可能である。すなわち、該工
程は、粉末またはケーキ様FDPが大量生産(大型浅薄
な容器盆のようなもの)され小バイアルに詰入される以
前に、小さい粒子に製粉、粉砕(または加工)される場
合に要する製粉、粉砕またはその他の操作調製過程を必
要としない。そのような工程は非常に高価な機器を必要
とするだけではなく、蒸発に加えて長期にわたる過程は
無菌性を損なう危険性をはらんでいる。パッケージ内凍
結乾燥、すなわち、最終密閉容器となるバイアルに詰入
された液体混合物より水分を除去する該方法は、大変好
ましく、本発明により発表される該方法により、実用
的、かつ経済的仕様が可能となる。
【0068】該方法の一つの主要な利点は、大幅にコス
トを軽減することにあり、室温にて数カ月も安定かつ無
菌である一部凍結乾燥による注射可能なFDPの実用
的、経済的市販化及び広範囲にわたる配送、販売を可能
とする。他の注射薬の凍結乾燥法は、よく知られてお
り、望むとすれば、完全凍結乾燥FDPを、ほとんどの
凍結乾燥薬剤の従来の含水量において(通常には、重量
比にて約2%または以下)、調製するに直接に参照でき
る過去の技術・方法がある。しかしながら、本発明は、
安定性、安全性、または並外れた高含水量(10%以
上)を含有する一部凍結乾燥によるFDPの効力を減じ
ることなく、十分な高含水量を最終粉末、ケーキ様FD
Pに残すことができるという発明に基づいている。
【0069】全ての適切なFDP塩(すなわち、薬理的
に許容可能な塩)、例えば、ナトリウム塩、またはカル
シウム、マグネシウム塩等の2価塩、または該混合物が
使用可能である。一般には、カリウム塩の急激な注入
は、心機能、またはその他の細胞機能を阻害することが
あるため、静脈注射されるべきではない。最も一般的に
は、ナトリウム塩が使用され、以下に説明されるような
調製方法が開発されていた。本発明に関する用量領域で
は、該塩に含有されるナトリウム量はこれを必要とする
ほとんどのヒトにとって、負の効果はない。病院内使用
においてナトリウムが重大な懸念となる特殊な患者に
は、利尿薬投与により過剰なナトリウムを尿を経由して
排除することができる。
【0070】他の塩は、8水和物として結晶化するナト
リウム塩とは異なった反応を示すことが出願人により確
認されている。従って、他塩(カルシウム、バリウム、
シクロヘキシルアンモニウム塩等)は、必要があれば、
ここに記載したように使用の可能性を検討することがで
きる。
【0071】フルクトース−1,6−ジホスフェート以
外の異性体は使用することが出来ない。ある種の他の異
性体(フルクトース−2.6−ジホスフェートを含む)
は細胞中に自然に発生するが、他の役割を持ち、解糖反
応系の中間産物として合成されたり、消費されたりはし
ない。
【0072】[適切なバイアルの形態]一部凍結乾燥に
よるFDPは、ヒト成人一回分投薬量に相当するFDP
量を詰入する密閉バイアルのような、いかなる種類の密
閉された容器内にでも保存される。ここで広く用いられ
る「バイアル」と言う表現は、少量(例えば、一回分投
薬量)の薬剤の密閉かつ無菌保存、配送、及び操作に適
応するために設計されたいずれもの薬剤包装容器を意味
する。単室バイアル(凍結乾燥FDPのみ詰入し、水を
含まない)は広く知られている。;静脈輸液バッグ用途
のために設計された典型的な単室バイアル(全ての救急
車に携帯されており、従来の注射器と比較して極めて大
量の液体薬剤の注射を可能とする)は米国特許4,87
1,354に例証されている。
【0073】二隔室バイアルもまた既知の技術であり、
FDP含有水溶液を即時的に再製、注射するために、凍
結乾燥FDPと無菌水溶液両方を詰入することが可能で
ある。その一例は、図1に表示される、一般的な二隔室
バイアル方式100である。この種のバイアル装置は、
米国特許4,871,354(POTTS1981)を含
む多種の米国特許において表示されている。該バイアル
方式は、低部隔室112(低部隔室は製造工程において
先に詰入されなければならない)と、細い圧縮バンド1
32により隔離される上部隔室122を限定し、封入す
る平らな底を持つおおよそ円筒形である外壁102から
構成される。
【0074】該バイアル構造は従来より、よく知られて
おり、図1に表示される該バイアルの新案性は、低部隔
室112内の粉末、またはケーキ様一部凍結乾燥FDP
110にある。該バイアルは、また滅菌水120(好ま
しくは、デキストロース、リンゲルの乳酸塩等の他の一
般的組成物、を含有する注射用の水溶液)を上部隔室に
詰入する。
【0075】第二隔室112、及び122は、水を通さ
ない隔壁、または「中隔」130により分離される。該
中隔は、ブチル、またはシリコンゴムのような不活性で
柔軟な物質である不透過ディスクであり、中隔130は
必要とされるまでの期間、FDPを保持する圧縮バンド
132中に押し込められる。
【0076】第二の非剛体プラッグ140は、通常はブ
チルゴム組成によるが、該バイアルの首部に固定され、
金属キャップ150により留金されている。該柔軟プラ
ッグ140は、注射、または輸液用の鋭い注射針が、プ
ラッグ140の比較的浅薄な上部壁142を通して上部
隔室に挿入することを可能とする。該過程は該バイアル
より再製液を移動して、該液を患者に対する注射目的の
ために、皮下注射器または輸液用バッグに装填すること
を可能とする。
【0077】金属キャップ150はプランジャー160
と相互作用して、キャップ150の中央に位置する穴を
通して、プランジャーを押し下げる。プランジャー16
0の側面に位置する外部に伸長した締付取っ手162は
金属キャップにある調節のきく細穴152と相互作用を
して、一旦押し下げられた該プランジャーを該キャップ
中に固定する。
【0078】患者に対するFDPの注射が必要とされる
時には、プランジャー160が押し下げられる。該操作
により、中隔130が圧縮バンド132内の定位置から
はずれる。該過程は次の二要素により補助される。:
(a)隔室112の上部に充填された不活性ガス(通常
には窒素またはアルゴン)には圧縮性があり、圧力下に
おいて中隔130の下行移動が可能とする。:(b)上
部隔室を充填する水溶液は、非圧縮性であり、プランジ
ャーが移動可能となった中隔130を押すための強い圧
力を発生させる。
【0079】中隔130が低部隔室112に降下すると
同時に、乾燥FDP110は水溶液120と接触し、バ
イアルを振動させることにより、該二物質は十分に混合
される。該振動過程において、該中隔は低部隔室112
内で動き回っていてかまわず、乾燥FDPが粉末という
よりは、固形ケーキ様である場合、かえって完全混合を
促進させ、より迅速に固体の分砕を介助するための機械
的かきまぜ器として働く。
【0080】該技術における多種の他装置が知られてい
る。一つは、中隔により二つの隔室が分離されているも
のである。米国特許4,258,845により説明されて
おり、“Act-O-Vial”商標でUpjohn社(Kalamazo
o,MI)より販売されている。その他の米国特許によ
る薬剤用二隔室装置は、5,385,546;5,350,
372;5,335,773;4,871,354:4,2
58,845を含む。特許事情が出願人には分からない
が、その他の市場化されている方式がある。AbbotLab
oratoriesによる“UNIVIAL”方式及び“ADD-
Vantage”方式、またSmithKline Beecham社による
“PIGGYBACK”バイアルが含まれる。ほとん
ど、どの装置も、一室に一部凍結乾燥による粉末、また
はケーキ様FDP、そして他室に水を保存するのに適切
である。
【0081】サンディエゴ(カリフォルニア)のIVA
C Medical Systemによる商標“SMART DOS
E”で販売されている装置は特記すべきである。該装置
は米国特許5,398,850及び5,398,851に説
明されている。該装置は二隔室を有する容器ではなく、
無菌デキストロース、リンゲル、または生理的食塩水を
包含する輸液用バッグとポンプの組合せであり、凍結乾
燥薬剤使用を容易にする目的でデザインされたものであ
る。該開示に表されるようにFDPは、標準バイアル中
(実施例では100mLバイアル)で一部凍結乾燥さ
れ、“SMARTDOSE”方式と併用して使用され
る。該方式はある状況、例えば救急車におけるFDP投
与には大変実用的な方式を提供する。
【0082】該発明に開示されるような、無菌、安定な
凍結乾燥FDP製剤は、次記の少なくとも二つの理由に
よりFDPの医療的用途を容易にする。第一に、FDP
の含水物は、細菌汚染のない完全無菌状態においても、
加水分解、及び他の化学的変質を最小化するために、通
常冷蔵を必要とし、水解したFDP混合物をある期間以
上保存しなければならない場合の問題となる。病院や診
療所のような冷蔵庫を常備する状況においても、冷蔵は
面倒であり高価な保存法である。凍結乾燥製剤を使用す
ることにより、冷蔵の必要性を排除(または、冷蔵庫に
収用されるFDP容器の容量を大幅に減少する)するこ
とは、大きな利益を提供する。第二には、FDPの含水
物は、FDPの二つのリン酸結合が容易に加水分解され
やすく、冷蔵されても結局は加水分解されるということ
にある。(前記のように、第二結合の加水分解に対する
弱点を考慮すると、10%またはそれ以上の残留水分を
もつ一部凍結乾燥によるFDPの該安定性は、極めて意
外である。)注射直前まで水液混合物としないことによ
り、このような不必要な化学的変質を最小とすること
が、凍結乾燥製剤の重要な利点である。
【0083】[救急医療使用のための注射キット]図1
に表示されるように、一つ、もしくはそれ以上の凍結乾
燥FDPを詰入するバイアルが、救急用注射キット20
0に含まれる。該キット200は耐久性の堅固なケース
に挿入されており、堅いプラスチックのような鋳型物質
から成る低部202と上部204を持つ。外殻は、注射
器210、注射針212(好ましくは、一本が破損され
た場合を考慮して、少なくとも二本の注射針が配備され
るべきである。)、そして凍結乾燥FDPを詰入するバ
イアル220、を安全に収容する型抜きポケット208
を造った、例えば軽量多孔性の気泡ゴムのようなまたパ
ッド材206を納めている。必要なだけのバイアルを配
備することが可能であり、各バイアルはFDPを標準
量、5g詰入している。
【0084】該バイアル220は、パトカー、消防車、
軍隊車両等向け使用として図1に表示される二隔室バイ
アル、または救急車、私設診療所、診療所等、輸液用バ
ッグに併用される状況向用途として単室バイアルであり
得る。該注射器と注射針は区別された型抜きポケット2
08中に配備され、該注射針は無菌プラスティク包装
(表示されず)内に封入される。各注射針は事故防止、
及び保護のために小堅固プラスティク殻に納められる。
【0085】救急用注射キット200は冷蔵を必要とせ
ず、パトカー、消防車、軍隊車両のトランクの中で予測
されような乱暴な扱いにさらされたとしても、該ケー
ス、及びパッド材は、該バイアル、注射器、注射針を破
損から保護する。該キットはまた私設療養所、ライフガ
ード本部、心臓病、鎌形貧血症等の各種の罹患者の家庭
のような場所において、救急用キャビネット、箱、タン
ス内に保存することができる。
【0086】このような救急用注射キットにおける凍結
乾燥FDPの該包含は重大医療非常事態(例えば、心臓
発作、銃撃傷、刺傷、または自動車事故)にある患者、
犠牲者の緊急現場処置において、救急介護人、警察官、
消防士、軍人、看護婦、私設療養所介護人、心臓病、鎌
形貧血症等の各種の罹患者の家庭のような静脈注射処置
のできる誰によっても実行可能とする。
【0087】虚血性疾患、または酸素欠乏性危機を罹患
する患者に、FDPが出来る限り迅速に投与されると、
特に心臓において、細胞死及び組織損傷を大幅に減少さ
せる。しかしながら、たとえFDPを必要としない患者
に投与されて、該効力の恩恵に預からないとしても、既
知の重大な副作用、または問題となる危険性を生起する
ことはない。
【0088】それゆえ、危機状態におけるFDPの注射
は、患者が完全診断及び処置のために医師、または病院
に輸送されるまで、遅延されるべきではない。;それど
ころか、最大効果を得るためには、事故直後、または患
者が、心臓発作のような医療的非常事態にある症状を呈
し始めた直後に該注射は注加されなければならない。
【0089】FDPの価値ある特徴、すなわち−該投与
を必要とする人間にとっては、保護効果、該投与を必要
としない人間にとっては、極めて低リスクであること
−、は患者が医師による完全処置のために病院に到着す
る以前に注射により投与されることが可能であり、医療
非常事態における前診断的用途によく適している。医師
にはよく知られていることであるが、適切な処置が開始
される速度は、しばしば生存率の大きな差異、患者また
は犠牲者の受ける永久的損傷、重大な医療非常事態後の
個人、家族、社会的コストの原因となる。このような種
類の医療非常時における前診断処置はかつてなく、本発
明により発表される凍結乾燥FDPによって、初めて可
能となる。
【0090】[FDPの即時注射正当化の医療条件]医
師による診断を待たずに、静脈注射処置資格を持つ全て
の人間によって、即時のFDP静脈注射を正当化する各
種の医療症状を以下に列挙する。FDPは軽症患者に
は、推奨または、必要とされない、そのかわり、完全診
断及び処置のために即時の医者または病院への輸送を必
要とするような重大な医療非常事態において使用される
べきである。該非常事態は次の条件を含む。 (1)大量出血。該事態は事故による負傷(自動車事
故、転落、機械または工具による切傷等)、銃撃傷また
は刺傷のような襲撃傷、患者または犠牲者が明白に、外
観において極めて多量な血液を欠失するようなその他の
創傷または負傷に起因する。 (2)心臓発作、心停止、内蔵器出血、出血性ショッ
ク、重症なアレルギー反応の可能性を指摘するような明
白かつ重症な心拍の異常。該異常は異常な多心拍、(頻
脈、極端な場合では、細動)、異常な少心拍(徐脈)、
不整脈(心拍の不規則性)、及び失神または脈拍薄弱)
を含む。 (3)感電ショック、該事態は正常な心機能を崩壊す
る。 (4)切迫した心臓発作の可能性を指示するような心臓
虚血症の症状、すなわち、説明不可能なめまい、または
不安定感、または肢節の一方(特に、肩または腕)のし
びれを呈示ような場合。 (5)仮死窒息状態、すなわち、おぼれ、窒息または一
酸化炭素中毒にある場合。 (6)失神、明白な出血性ショック、または精神錯乱、
無反応、または薬物または飲酒に起因しないと思われる
運動機能調節不能。
【0091】ヒトが、薬物または飲酒癖によらず、明確
に説明可能な理由なしに、意識、一貫性、運動機能を喪
失した場合は、脳溢血、内蔵器出血、昆虫刺または処方
薬剤に対する重症アレルギー反応に起因する可能性があ
る。該症状が医療非常事態を呈示する症例においては、
FDPの注射は極めて有効かつ有益な補助を提供する。
他の症例においては、特に非常事態が脳内に発生してい
る場合は、(テンカン、および脳溢血を含む)FDPは
血液脳関門を通過することが出来ないため直接的にはほ
とんど役にたたない。しかし、そのような場合において
も、FDPは患者に対してほとんど、または全く危険性
を持たないが、脳溢血患者に対してさえ、いくらかの末
梢的効果を提供し得る。;非常事態への適応を困難とし
ている器官、組織体系間に有用な資源が提供されると、
該体系は恒常性の維持に該資源を利用することができ
る。それゆえ、説明不可能な意識、一貫性、運動機能の
喪失症例においては、FDPの、危険を最小におさえる
保護効果の可能性、及び既知の負の効果を持たない事実
を鑑みると、医師により完全な診断が下される以前に、
FDPは即時に投与されるべきである。
【0092】概要すると、FDPは上記の明らかな症状
を罹患する多数の患者において、既知の危険性を有する
ことなく、大いに効果を提供する可能性がある。したが
って、患者における該症状が病院への輸送の正当化に十
分なほど重症な医療非常事態を呈示するならば、上記の
症状を有する患者に対するFDPの該即時的、前診断使
用は正当化される。
【0093】[緊急使用の処方及び投与量]注射器によ
る緊急大量注射の好ましい投与量は一般的には50mgか
ら400mg/kgの範囲である。(すなわち、患者体重1
kgあたりFDPのmg)ほとんどの成人の体重は、50kg
から100kgであり(1101bから2201b)、1
5gのFDPを含有するバイアルを含む緊急注射キット
は体重50kg(1101b)成人に対しては、約300
mg/kg、体重100kg(2201b)の成人に対して
は、約150mg/kgの投与量を提供することができる。
【0094】実施例に説明される全てのバイアルは、5
gのFDPを100mLの型取りガラスバイアルに含有
している。該研究において、これは標準量として使用さ
れている。各バイアル中のFDPの質量を増加すること
は可能であるが、いくつかの理由により経済的、技術的
要素は逆方向を示唆している。(すなわち、各バイアル
におけるより少量のFDP)第一に、該バイアルは凍結
乾燥室の棚にオフセット列に配置される(古典的蜂の巣
型)ため、直径の小さいバイアルは、直径の大きなバイ
アルより凍結乾燥室の棚空間をよりよく利用できる。よ
り小さいバイアルはよりぴったりと詰められ、棚の水平
空間をよりよく塞ぐことが出来、該バイアル間の空間を
より少なくする。第二には、バイアル中の比較的浅い液
体は深い液体よりも凍結乾燥に必要とする時間が少なく
てすむ;すなわち、凍結乾燥室における時間は高価であ
るが、ガラスバイアルは安価である。また、第三には、
ガラス管より作成されたバイアルは、型取りによるバイ
アルよりも、該壁及び底の厚みにより均一性を持つ。ガ
ラス管より製造されたバイアル中で凍結乾燥された製品
において、該壁均一性要素は、温度差により起こり得る
問題、及び品質不均一性を減少させる。しかしながら、
ガラス管によるバイアルは、通常50mLまたはそれ以
下の容量に限定される;100mLまたはそれ以上を含
有するバイアルは型取りガラスによって造られる必要が
ある。
【0095】全ての該経済的要素は少量の凍結乾燥FD
Pを詰入したより小さいバイアルを指向する。しかし、
型取りガラスバイアル中に各5gを含有する製剤は、こ
こに記載の研究室規模試験においては、均一的に良品質
を備えて生成されてきており、該結果は、製造規模にお
いて、5g/バイアル(またはそれ以上)を含有するバ
イアルが品質を損なうことなく、大量生産出来るかを評
価される予定である。
【0096】現時点においては、ほとんど全ての従来の
注射液(デキストロース溶液、リンゲル乳酸塩溶液、及
び生理的食塩水など)が、ここに記載の乾燥凍結FDP
製剤の再製のための液体として使用出来ると考えられて
いる。FDPは通常、ナトリウムまたは他の塩の形にな
るため、注射後の浸透圧が変化するのを回避または最小
化するのに十分な塩を提供可能であり、蒸留水および脱
イオン水でも適当であるかもしれない。
【0097】また、適切に安定な注射用FDP製剤は、
正しく冷蔵されるならば、完全含水物として、製造及び
保存できる。塩酸のような適当な酸を使用することによ
り、pHが約4または4.5以下に調整されるならば、完
全無菌製剤は4℃冷蔵において、数カ月の貯蔵寿命を持
つ。FDPの最終的変質は、透明(これが好ましく、新
製剤において生じる)から白色でなくなり、黄色を経
て、結局はピンクへの変色(結局はほとんど全ての糖水
溶液に起こる「カラメル化」と呼ばれる過程に起因する
ものと考えられる)により象徴される。
【0098】医療非常事態にあるヒト成人に一回の大量
投与量を静脈注射される場合、好ましくは、虚血及び低
酸素組織損傷を明白に減少させるフルクトース−1、6
−ジホスフェートの一回分投与量を注射器にあらかじめ
充填する。他方、継続的静脈輸液が実行可能であるなら
ば、FDP製剤は10%水溶液、または5%デキストロ
ース水溶液、0.9%生理的食塩水、リンゲルの乳酸
塩、またはその他の従来の静脈液(該液は一般的には、
認定された医師により許可された非経口的栄養、または
輸血用の処方を除外する)を含有する無菌輸液バッグ中
に希釈後、静脈注入することが可能である。該輸液は、
好ましくは、1分間に1mgから約5mg/kgの投与範囲内
であるべきで、虚血、または低酸素組織にできる限り迅
速により多くのFDPを供給するための初回大量注射に
続けて行ってもよい。
【0099】[心肺バイパスを必要とする手術前のFD
P輸液]救急用途のみが、本発明に説明される凍結乾燥
FDPの唯一の有効な用途ではない。他のFDPの医療
用途も、この一部凍結乾燥製剤により大幅により便利と
なる。例えば、冠動脈バイパス(CABG)手術を受け
る患者にFDPが、手術開始前の約30分間にわたり、
静脈注入されると、手術中の心臓に加えられるストレ
ス、及び損傷は大幅に減少されることがヒト臨床治験
(譲受人及び出願人(Cypros Pharmaceutical Corpo
ration)により設計、出資された)において最近証明さ
れている。
【0100】実施例2に記載されるように、心肺バイパ
スの手術の開始直前におけるFDPによる前処置は、手
術に伴うPAWP値(肺前方入部圧)の望ましからぬ上
昇を大幅に減少させる。PAWP値の上昇は心臓病のほ
とんど全ての発症に存在するため、該効果は重要であ
る。該結果はバイパス手術前のFDP前処置が、手術後
の該処置を受けた患者の心臓の機械的パンピング能力
(血行動態)を大幅に改善することを証明する。
【0101】該臨床治験は、図3に呈示されるように、
CK(クレアチンキナーゼ)血液中濃度の減少とPAW
P増加の減少間の正の相関関係も証明した。ほとんどの
症例において、血中CKレベルの上昇した患者は、上昇
PAWP値を示す患者であった。FDP前処置は、無処
置の対照群患者と比較して両方の損傷指標を減少するこ
とができた。
【0102】心臓損傷における生化学的、機械的指標両
方を減少させると同時に両指標間の明白な相関関係を有
するFDP前処置の該効果は、該方法が冠動脈バイパス
手術中に生じる虚血損傷に対する心細胞保護または心筋
保護の重大かつ測定可能な恩恵を持つことの強力な証拠
を提供する。
【0103】人工心肺開始直前におけるFDP前処置
は、心臓と肺の循環バイパスの期間を必要とするほとん
ど全ての種類の手術において、虚血性心臓損傷の減少を
補助することが多分可能であろうと思われる。該手術は
通常は、次の2種類の手術を含む。(1)心臓弁膜交
換。(2)心臓不整脈の原因である心臓組織の分節を除
去または剥離(マイクロ波照射またはその他の処置を用
いて)するある種の手術。加えて、いくつかの新しい種
類の心臓手術及び処置、すなわち一時的心臓虚血を伴っ
たりまたは生起するいろいろな種類の処置法が今日では
開発されている。その一例は、左心壁内部に比較的小さ
な穴をあけるためのレーザー光線の使用を含む。すなわ
ち、該処置により、左心壁の筋組織が左心室を通過する
酸素化血液とに接触及び接近しやすくなる。心筋組織に
いずれかの明白な水準の虚血症を生起するようないずれ
かの手術または他の処置法は、影響を受ける心筋組織に
対する虚血損傷、またはストレスの危険性を減少するた
めに、虚血侵襲及びストレス開始以前に、おそらくFD
P処置を施行されるべきであろう。
【0104】それゆえに、本発明は循環人工心肺を伴う
いずれかの手術を受ける準備中の患者に対するFDPの
静脈投与を教示する。FDPの輸液は、バイパス開始直
前、すなわちバイパス開始約10分から60分前に開始
されるべきである。治療的有効投与量、すなわち患者の
体重1kgあたり約100mgから500mgのFDP
が、一回の大量投与というよりは、少なくとも、10分
間の期間にわたり輸液されるべきである。
【0105】
【実施例】
実施例1:細胞内ATPレベルを上昇するためのFDP
の能力 解糖を増加し、ATPを生成するのに効果的であるため
に、FDPは、解糖が起きる細胞内部に浸透し、または
運ばれ得なければならない。FDPは、2ホスフェート
基を持ち、強い負の電荷を帯びているので、細胞への浸
透割合が低いという困難があると一般に予測される。F
DPの細胞保護能力についての医師間に存在する一般的
な疑問の大部分は、この予測される限界に主に起因して
いる。
【0106】この要因を検討するために、コンフルエン
ス(融合)にまで成長したヒト星状細胞腫を1時間、1
ミクロモルのトリチウム標識(3H)アデノシン(Moro
vekBiochemicals, Inc., Brea,California から購入)と
ともに培養した。細胞外培地に残留するすべての放射線
標識アデノシンは1時間後に洗い流した。
【0107】細胞を2部分標本に分割した。そのひとつ
を6時間3.5mMのFDPとともに培養し、いまひと
つの部分標本(細胞対照母集団を含む)はFDPなしで
同様に培養した。これは、単一の、等しく処理した、同
一日の集団からの細胞を対照細胞として用いられること
を可能にした。細胞の集団に放射線標識アデノシンが供
給されたときに、次のような様々な要因によって、相違
する日に実質的に相違する放射線標識アデノシンの読み
を生じることがあるので、この方法を用いた。(1)特
定の日における細胞の状態および能力、(2)放射線標
識試薬のバッチ間の標識強度の相違、(3)分析装置の
目盛り検定および作動の相違などの要因がある。これら
の相違のために、計数−対−分のデータは日が異なると
大きく変わりやすいが、一方、細胞の単一バッチを対照
と処置の部分標本に分け、両者とも同じ日に同じ試薬お
よび同じ装置を用いて、処理し、試験すると、%の増加
は非常により一貫し、信頼できるものとなる。
【0108】FDP有り、または無しで6時間培養後、
両標本の細胞を殺し、0.4Mの過塩素酸で抽出し、ア
ルカリ−フレオン混合物で中和した。ポリエチレンイミ
ン−セルロース薄層クロマトグラフィーを用いて、AT
P濃度を測定した。放射活性はベックマン液体シンチレ
ーション計数器で測定した。
【0109】結果が示すように、標準的状態において細
胞外液へのFDPの添加は、ATPに転換する放射標識
アデノシン量を大略2倍にした。処理細胞での値は非処
理細胞の平均198.7%、標準偏差17%であった。
嫌気性状態で、細胞内ATPに対する細胞外FDPの増
大効果はさらに強力で、処理細胞値は243±30%で
ある。アデノシンのATPへの転換は細胞内でのみ起き
るので、この結果は、FDPが細胞内のATPレベルを
実質的に増加するのに十分な量で哺乳動物の細胞に入る
ことを直接的に証明している。
【0110】実施例2:限定された患者集団におけるF
DPの安全性 冠状動脈バイパス造形(CABG)手術における心臓循
環バイパスの患者について虚血心臓障害を軽減するFD
Pの効力を検定するために試験を実施した。これらの試
験において、循環バイパス患者は、循環バイパスを始め
る10−30分前から体重kg当たりFDP250mg
の用量でFDPの静脈注入で前もって処置した。これ
は、心臓麻酔下で虚血状態になる前にFDPが心臓組織
に浸透するのに充分な時間を与えた。
【0111】結果が示すように、バイパス前のFDP注
入は、生化学的および機械的手段の両者で測定して、処
理患者に起きた虚血障害の程度を、FDPが投与されて
いない対照患者に比して、有意に低下せしめた。生化学
レベルについて、細胞により血中に放出されたクレアチ
ニンキナーゼ(CK)という酵素の量をFDPは有意に
低下せしめた。CKは、非常に大きい細胞外タンパク質
であり、無傷の細胞膜を通過できないので、この酵素は
心臓病患者における心細胞死および永久的組織障害の程
度を示す指標として普通に用いられる。
【0112】機械的レベルについて、FDPのバイパス
前処置は、“肺前方入部圧”(PAWP)における増加
に関与する血液動態異常を実質的に軽減した。PAWP
価の上昇は、患者の心臓になんらかの異常があるか、な
んらかの形のストレスに襲われていることを示してい
る。ほとんどすべての心臓手術の患者は、手術後数時間
または数日間、PAWP価が増加する。もし、薬剤がP
AWA価の望ましくない増加を軽減し得れば、手術によ
り心臓に課されるストレスの重篤度を下げるのにこの薬
剤が役立つことを示している。
【0113】FDPのバイパス前処理において、生化学
的および血液動態的/機械的有効性とには相関関係もあ
る。ふたつの独立の測定を用いて、心臓におけるストレ
スと障害の指標を低下せしめるFDPの能力は、心臓筋
肉が虚血になるに違いない循環バイパスの間、FDPが
心臓にほんとうに効力があり、心臓のストレスと障害を
低下することを確証する。
【0114】これらの試験は、20人の患者(10人は
FDP投与、10人は比較対照のためにプラセボ投与)
で資格ある心臓麻酔科医の監督の下に実施された。これ
らの試験は、Cypros Pharmaceutical Corporation(本
願の譲受人および出願人)の主催でなされ、第二相ヒト
臨床試験に先立ち、食品医薬品局(FDA,米国)およ
び医薬管理局(MCA、英国)の許可を受けて、実施さ
れた。第一相試験(FDPを使用するための健康人での
基準価の確立)は、フルクトースジホスフェートが解糖
中に迅速に消費される短期間の中間体としてのみ生じる
天然の生化学物質であるから、FDAおよびMCAによ
り不必要とされた。
【0115】これらの試験は、プラセボ対照、二重盲検
無作為割り付け法により、臨床試験実施基準(GCP)
のすべてのガイドラインに、およびヘルシンキ宣言の原
則に則って行われた。出願人の知り、かつ確信する限り
では、これが、この方法で保護剤としてまたはこの用途
についてFDPを検定した最初の臨床試験であり、世界
のどこにおいても、この目的のために用いられた他の匹
敵する薬剤はない。
【0116】これらの試験中、試験患者のすべてが低下
した健康状態にあったにもかかわらず、全患者において
FDPのいかなる害作用の兆候も見られなかった。多く
がすでに心臓発作を経験しており、すべてがバロン血管
形成、薬剤治療、他の侵襲の小さい処置よりもむしろ開
胸手術を必要とする重篤な冠動脈閉鎖の患者であった。
【0117】更に、FDPは解糖により迅速に消費され
る存続期間の短い中間体であるので、FDPを必要とし
ないかもしれない患者において、FDPは意味のある危
険性がなく、あるいは、なんらかの意味のある害作用が
あったとしても非常に低いかつ最小の危険性にすぎな
い、と確信できるすべての理由がある。
【0118】出願人が知りかつ確信する限りでは、これ
らは、米国および英国でGCPに完全に基づく実施の試
験において収集されたFDPに関する最初の臨床データ
である。
【0119】実施例3:10%FDP溶液の凍結乾燥 有用な薬剤としてのFDPの可能性が無視され、放置さ
れて来たのに気付き、本出願人Cypros Phar
maceutical Corporationは、適
当な凍結乾燥方法を開発する計画を実行し、数週間ある
いは数カ月保存でき、水と混合して、そしてヒトに注射
できる安定な、かつ無菌の製剤を創生した。
【0120】この製造は、ドイツのベーリンガーマンハ
イム社により製造された非無菌のバルク粉末から始め
た。この粉末はトリ−ナトリウム塩として購入する。結
晶形は8水和物で、FDPの各分子に水8分子が結合し
ている。“水和の水”なる概念(すなわち、結晶形のと
きに、FDPと結合している水)はFDPが水に溶ける
と意味がなくなるが、水含量を26%以下にするには、
凍結乾燥製剤において、FDPが通常の結晶形のときに
結合しているであろう水の少なくとも一部分を除去する
必要がある。
【0121】凍結工程において、FDPがガラス(すな
わち、正常の分子格子構造を有していない固体)を形成
すると、非結晶物質と結び付いた“吸着”又は“結合”
水が存在することになる。この水は凍結乾燥により除去
できる。もし生成物(またはその一部分)が凍結中に結
晶になると、その生成物は8水和物あるいは他の水和結
晶形であることがあり、結晶を溶解または変形すること
なく、従来の凍結乾燥技術によって水を除去することは
非常に困難である。
【0122】上記したバルク末を、10重量%から始め
40重量%までの範囲での種々の濃度で水に完全に溶か
した。液体は孔径0.2ミクロンのゲルマン“Acrodisc
50"フイルターを通した。このサブ−ミクロン濾過はす
べての細菌およびウイルス粒を除去する無菌化工程とし
て機能する。希釈剤は加えず、またpHは調整しなかっ
た。
【0123】濾過した無菌溶液を100mL型取りガラ
スバイアルにいれた。種々の量の液体を濃度に応じて各
バイアルに充填し、ここに記載の試験中を通じて、各バ
イアルにおけるFDPの最終量が5gになるようにし
た。
【0124】透過性の凍結乾燥栓をバイアルに付け、バ
イアルを13℃で凍結乾燥室(Virtis社、 Gardiner, N
Y 製) 内の棚に置いた。温度計を各棚の4バイアル内に
設置した。
【0125】実施例に記載のすべての凍結乾燥について
同じ凍結乾燥室、同じ器具等(バイアル、凍結乾燥栓、
アルミナム栓、不活性気体など)および同じ分析法(バ
イアル内部の温度計、分析試験など)を使用した。試験
した混合物の幾つかにおいて、混合物中に存在するFD
Pの%によって、温度および真空条件に幾分の違いがあ
る。
【0126】次のパラメータは、8水和物の重量として
測定した10%FDP含有液体の凍結乾燥を記載する。
これは、非常に伝統的な方法で研究の初期段階に測定し
た。加えるに、水溶液中での10または20%FDPに
要する溶液は量からしては比較的深いので、要する時間
は長い。30あるいは40%のFDP溶液に関する次の
試験では、より浅い液体を使用し、実質的により短い時
間で、積極的に試験を行った。
【0127】棚を最初は−45℃まで56分間で冷や
し、次いで−67℃まで5時間以上冷やした。減圧を始
めて圧が250mtorrに達したときに、棚温度を−
40℃に上げ、そこで165時間保った。さらに240
時間、棚温度を−20℃から−40℃に保持し、次いで
5時間20℃に上げた。温度を5時間20℃に調整し
た。一巡中を通じて圧を50−100mtorrに保持
した。
【0128】この乾燥過程が完了した後、真空を元に戻
し、窒素またはアルゴンを凍結乾燥室に入れた。バイア
ルを不活性気流の下に大気圧で凍結乾燥機の内で密封し
た。バイアル上にアルミナム帯封を行い、ひだをいれ
た。約14重量%の水分含有の乾燥ケーキ塊ができた。
【0129】この製品の安定性を直ちに、“ CarboPac
PA1" カラムの高性能液体クロマトグラフィー(HPL
C)(Dionex 社 Sunnyvale, CA )分析、ウオターモデ
ル464脈動電流検出器( Waters 社 Milford, MA )を有
するベックマンポンプおよびコントローラ( Beckman
社 Fullerton, CA ) を用いて、求めた。室温で保存し
たときの保存可能期間は少なくとも14カ月(25℃以
下)であった。
【0130】ここに記載した製剤は完全には無菌でない
ことに注意すべきである。FDPの粉末を水に溶かした
後、液体を無菌フィルターにかけたが、本発明に導いた
実験室規模の研究において、粉末およびバイアルは完全
無菌状態で取り扱われていなかった。従って、ここに開
示した優れたレベルは、余剰の安全性を有していると考
えられるべきである。これらの安定性のレベルは、非無
菌実験室規模の取り扱い過程による生物的汚染の大きい
おそれにもかかわらず、達成された。
【0131】実施例4:20%FDP溶液の凍結乾燥 FDP(400gのバルク末、8水和物水を含むナトリ
ウム塩)を水2Lに溶かした。溶液をゲルマンアクロヂ
スク0.2ミクロンフィルターを通し、バイアル(溶液
約25mL/バイアル)に入れた。バイアルを0℃で凍
結乾燥器の棚に置いた。棚を10時間で−40℃、そし
て1.75時間以上−40℃に保持した。棚温度を4.7
5時間以上で−18℃に上げ、次いで2時間で−64℃
に下げた。減圧を開始した。棚温度を−30℃まで上
げ、そのまま9.5日間保った。棚温度を8.5時間以上
で20℃に上げ、そのまま19.5時間保った。この期
間を通して、圧は4−7mtorrに保持した。真空を
解除し、バイアルを大気圧で密封した。
【0132】このケーキの残留水分含量は11.9%で
あった。343日間室温で保存したサンプルのHPLC
分析で全不純物は0.8%であった。
【0133】実施例5:30%FDP溶液の凍結乾燥 FDP(バルク末450g)を1.4Lの水に溶解し、
フィルターを通した。各バイアルに溶液17mLを入れ
た。溶液の深さは、壁のところで測って約14mmであ
り、バイアルの真中ではより浅くなっている。バイアル
を凍結乾燥機の棚に−55℃で置いた。棚を−67℃ま
で冷やし、生成物温度が−65℃になったときに、減圧
を開始した。圧が16mtorrに達したときに、棚温
度を−15℃に上げ、そのままで36時間保持した。棚
温度を30分間以上で20℃に上げ、3.5時間保持し
た。これらの工程中、圧は100mtorr以下であっ
た。真空を元に戻し、大気圧でバイアルを密封した。
【0134】残留水分含量14.5%のケーキを生成し
た。室温で201日間保存したサンプルを分析して、全
不純物は0.7%であった。
【0135】実施例6:40%FDP溶液の凍結乾燥、
TBA無付加 FDP420gを水1.05Lに溶かし、フィルターを
通した。各バイアルに12.5mLを充填し(壁面での
深さ11mm)、凍結乾燥機棚に−57℃で置いた。棚
を−70℃まで冷やし、生成物温度が−68℃に達した
ときに、減圧を開始した。減圧しながら、棚温度を−4
5℃まで上げ、圧が71mtorrになったとき、棚温
度を1.25時間で−10℃まで上げ、そのまま20時
間保持した。次いで、棚温度を30分間以上で23℃に
上げ、19時間保持した。これらの工程中、圧は100
mtorrであった。減圧を元に戻し、大気圧でバイア
ルを密封した。
【0136】得たケーキは崩壊し、薄黄色であった。こ
れは不合格とし、不純物の分析はしなかった。代わり
に、下記のように、適当な凍結乾燥を促進するものとし
てTBAを試験することとした。
【0137】実施例7:10%TBAを有する40%F
DP溶液の凍結乾燥 第三級ブチルアルコール105mLを水600mLに混
合し、この混合物にFDP420gを溶かし、最終容量
が1050mLになるように十分な水を加えた。他の試
験では、FDPを加えた後、TBAを水に加えた。混合
の順序はなんら明白な相違をもたらさなかった。
【0138】溶液をフィルターにかけ、100mLのバ
イアルに12.5mLずつ充填した。バイアルを2.5℃
で凍結乾燥棚に入れた。棚を110分間で−67℃まで
冷やし、生成物の温度が−60℃に達したときに、減圧
を開始した。減圧を行っている間、棚温度が−45℃ま
で上がるのを許容し、1.5時間保持した。棚温度を−
10℃まで68分間で上げ、20時間保持した。次い
で、棚温度を23℃まで30分間で上げ、そのまま17
時間保持した。これら工程中、圧は110mtorr以
下であった。圧を元に戻し、バイアルを密封した。
【0139】多くの破片のある壊れやすいケーキが生成
し、振ると粉末となる。残留水分含量は13.2%であ
った。室温で15日後、HPLCによると全不純物0.
1%であった。
【0140】一連の試験において、TBA使用に起因す
る主な相違は、ケーキの構造と色であった。水100%
処方では、得られたFDPケーキは比較的密で堅くなる
傾向にあり、しばしば白色でなく、薄い黄色であった。
TBAを用いると、ケーキは実質的に色が薄くなり、純
粋の輝く白に近くなった。また、密でなく、より壊れや
すく、激しく振るとしばしば粉末となった。
【0141】水混合物中30%または40%FDPおよ
びTBAを用いた上記製剤は、非常に優れた品質を有す
るとみられる一部凍結乾燥製剤を生成した。これらは最
近になって作られたので、保存可能期間についての長期
のデータはできていない。しかし、最初の結果は非常に
良い。
【0142】上記を除き、これらの製剤は、TBAなし
で製造されたもの、およびTBA付加で製造されたもの
を含み、再製して、虚血または低酸素状態に対して緊急
の処置を必要とするヒトあるいは種々の他の形態の外科
処置を必要とするヒトに注射するのに完全に適したもの
と考えられた。
【0143】このように、ヒトへの注射用のFDPの部
分的凍結乾燥形態を製造する、新規で有用な方法を記載
してきた。この凍結乾燥方法により得られる一定の化学
的組成物、基本となる成分として一部凍結乾燥FDPを
含む製造の一定の項目を開示した。製造方法、化学的組
成物および製造項目を、ある特定の実施態様を参照しな
がら図示および記載の目的ですべてを例として示した
が、当業者にとってこれら実施例の様々な修飾、変法お
よび均等が可能なことは明らかであろう。ここでの教示
から直接導き出され、および本発明の精神あるいは範囲
から逸脱していない、いかなる変更も本発明が及ぶもの
と考えるべきである。
【0144】参考 Angelos, M. G. ら “ フルクトース-1,6-ジホスフェ
ートの犬モデルにおける初期心筋梗塞範囲制限の無効
果” Ann. Emerg. Med. 22: 171-177 (1993) Eddy, L. J. ら “ 虚血性心筋層におけるフルクトー
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【図面の簡単な説明】
【図1】 バイアルの縦断面図である。
【図2】 救急用注射キットの描写図である。
【符号の説明】
100…二隔室バイアル方式、102…外壁、110…
一部凍結乾燥FDP、112…低部隔室、120…滅菌
水、122…上部隔室、130…中隔、132…圧縮バ
ンド、140…非剛体プラッグ、142…上部壁、15
0…金属キャップ、152…細穴、160…プランジャ
ー、162…締付取っ手、200…救急用注射キット、
202…低部、204…上部、206…パット材、20
8…型抜きポケット、210…注射器、212…注射
針、220…バイアル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 08/705789 (32)優先日 1996年8月30日 (33)優先権主張国 米国(US) (72)発明者 アンソニー・ダブリュー・フォックス アメリカ合衆国92009カリフォルニア州ラ ンチョ・ラコスタ、ユニコルニオ・ストリ ート2454番 (72)発明者 ポール・ジェイ・マランゴス アメリカ合衆国92024カリフォルニア州エ ンシニタス、ランニング・スプリング・プ レイス2224番

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程、 (a)一定量のフルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または薬理的に許容な該塩を含有する無菌水溶液を
    無菌状態で密閉封印可能な開口バイアル中に入れる (b)適切な凍結および真空条件下、凍結乾燥室におい
    て、重量比で10%から25%の残留水分量を持つ固形
    化フルクトース−1,6−ジホスフェート、または該塩
    を生成するために、十分量の水を除去するまで、バイア
    ル中の水溶液を凍結乾燥する (c)防水状態で該バイアルを密閉する;(なお該手段
    は無菌条件下において実施され、従って、室温で一カ月
    以上貯蔵のバイアルにおいて、重量比で5%以下の総不
    純物、及び1%以下の単不純物を含有する、すなわち化
    学的に十分安定である固形化フルクトース−1,6−ジ
    ホスフェート、または該塩の無菌製剤を生成する)を含
    む、化学的に安定な一部凍結乾燥フルクトース−1,6
    −ジホスフェート、または薬理的に許容な該塩を調製す
    る方法。
  2. 【請求項2】 水溶液が10%から40%のフルクトー
    ス−1,6−ジホスフェートを含有する、請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 水溶液がバイアルに詰入される前段階に
    おいて、無菌化フィルターを通過することにより無菌化
    される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩を含有する水溶液が、−40℃で容易に
    昇華する二次剤を含む、請求項1、2または3に記載の
    方法。
  5. 【請求項5】 二次剤が第三ブチルアルコールである、
    請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 固形化フルクトース−1,6−ジホスフ
    ェート、または該塩が、重量比で12%から16%の残
    留水分を含有する、前述の請求項1〜5のいずれかに記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 以下の工程、 (a)フルクトース−1,6−ジホスフェート、または
    該塩の水溶液を生成する(b)凍結乾燥後、密閉状態に
    フルクトース1,6−ジホスフェート、または該塩を保
    持するように設計された無菌バイアル中に規定量の水溶
    液を詰入する (c)規定量の水溶液を含有するバイアルを凍結乾燥室
    に配置する (d)バイアル中に凍結固体混合物を生成するために、
    凍結乾燥室の温度をフルクトース−1,6−ジホスフェ
    ート、または該塩のガラス遷移化温度以下に降下させる (e)凍結固体混合物より水分子を昇華させるに十分な
    時間、適切な真空、及び冷温条件が継続し得る乾燥工程
    に、希望する含水量を残留するまで、すなわち重量比で
    10%から25%の含水フルクトース−1,6−ジホス
    フェート、または該塩を生成するまで、該凍結固体化混
    合物をおく (f)バイアルが無菌条件にある間にバイアルを密閉封
    印する、従って、フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩が密閉バイアル中に封印される(工程
    (a)より(f)までは、無菌条件下で実施されるた
    め、フルクトース−1,6−ジホスフェート、または該
    塩と水溶液を混合することにより、ヒト用注射薬として
    適応な水性医薬製剤を再製し得る、一部凍結乾燥による
    フルクトース−1,6−ジホスフェート、または該塩の
    密閉封印による無菌製剤を生成する)を含む、請求項1
    〜6のいずれか記載の方法。
  8. 【請求項8】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩が重量比で12%から16%の水分を含
    有する、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 フルクトース−1,6−ジホスフェート
    が重量比で10%から25%の水分を含有し、無菌、す
    なわち無ウイルスかつ無細菌であり、重量比で5%以下
    の総不純物及び1%以下の単不純物を含有し、ヒト用注
    射薬として適応する無菌水性医薬製剤を生成するため
    に、水溶液と混合するに適応な無菌固形化フルクトース
    −1,6−ジホスフェート、または該塩の処方、及びフ
    ルクトース−1,6−ジホスフェートを封入密閉して無
    菌性を維持するためのバイアルを含む製造物品。
  10. 【請求項10】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または薬理的に許容な該塩が、重量比で12%から
    16%の含水量を持つ、請求項9に記載の製造物品。
  11. 【請求項11】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または薬理的に許容な該塩がヒトに注射する必要に
    際し一回大量注射に適応する用量で存在する、請求項9
    に記載の製造物品。
  12. 【請求項12】 固形化フルクトース−1,6−ジホス
    フェート、または該塩が、化学的に十分安定である、す
    なわち室温で少なくとも一カ月貯蔵後、重量比で5%以
    下の総不純物、1%以下の単不純物を含有する、請求項
    9に記載の製造物品。
  13. 【請求項13】 バイアルが二隔室をもち、第一隔室が
    一回投与量の固形化処方、第二隔室が無菌水溶液を含有
    し、二隔室がバイアルの外的操作により壊される完全密
    閉な中隔によって区画されており、フルクトース−1,
    6−ジホスフェート、または該塩を含有する注射水溶液
    の作成のために、フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩と水溶液を混合できるバイアルを含む、
    請求項9に記載の製造物品。
  14. 【請求項14】 (a)虚血性、または低酸素性医学的
    非常事態にあるヒト患者の処置に治療的有効分量の請求
    項9または10に記載の、無菌固形化フルクトース−
    1,6−ジホスフェート、または該塩の製剤を含む、少
    なくとも一つの第一の密閉された封入装置 (b)注射用水溶液の無菌性を損失することなく、フル
    クトース−1,6−ジホスフェート、または該塩の注射
    用水性混合物を作成するために、フルクトース−1,6
    −ジホスフェート、または該塩と混合するための無菌水
    溶液を含む、少なくとも一つの第二の密閉された封入装
    置 (c)無菌包装された、注射筒、注射ポンプ、注射用針
    を含む静脈注射用の注射器部品 (d)凍結乾燥フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩を該水溶液と混合することにより、再製
    されたフルクトース−1,6−ジホスフェート、または
    該塩の注射可能な水性混合物を注射筒に移す手段を含
    む、フルクトース−1,6−ジホスフェートの注射キッ
  15. 【請求項15】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    トを含有する第一の密閉された封入装置と水溶液を含有
    する第二の密閉された封入装置が、単二隔室バイアル、
    すなわち、バイアルの外的操作により壊される完全密閉
    な中隔により区画されており、フルクトース−1,6−
    ジホスフェートまたは該塩と該水溶液が混合されること
    により、フルクトース−1,6−ジホスフェートまたは
    該塩を含有する注射用水溶液を作成する二隔室を含む、
    請求項14に記載のキット。
  16. 【請求項16】 少なくとも10gのフルクトース−
    1,6−ジホスフェート、または該塩を含有する、請求
    項14または15に記載のキット。
  17. 【請求項17】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩が、室温における少なくとも一カ月の貯
    蔵後、重量比で5%以下の総不純物及び1%の単不純物
    を含有する、十分な化学的安定性を持つ、請求項14、
    15または16に記載のキット。
  18. 【請求項18】 (a)より(d)までの構成部分を封
    入する堅固な耐久性素材による非ショック性外殻を含
    む、請求項14〜17のいずれかに記載のキット。
  19. 【請求項19】 下記症状(a)〜(i)から選択され
    る医学的非常事態を呈示する症状を罹患すると思われる
    患者に対する、フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩の静脈注射により、資格を有する医師に
    よる患者症状の診断に先立ち、フルクトース−1,6−
    ジホスフェート、または該塩を患者へ静脈注射するヒト
    患者救急処置向けの医薬製造におけるフルクトース−
    1,6−ジホスフェート、または薬理的に許容な該塩の
    用途。 (a)出血 (b)脈拍異常 (c)感電ショック (d)心虚血症の症状 (e)窒息 (f)失神 (g)薬物または飲酒に起因しないと思われる精神錯乱 (h)薬物または飲酒に起因しないと思われる運動機能
    制御不能 (i)明白な出血性ショック
  20. 【請求項20】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩が、患者体重1kgあたり50mg〜4
    00mgであるフルクトース−1,6−ジホスフェート
    または該塩の投与範囲における初回大量投与として、患
    者に注射される、請求項19に記載の用途。
  21. 【請求項21】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩の初回大量投与に引き続き、患者体重1
    kgあたり1mg〜5mgであるフルクトース−1,6
    −ジホスフェートまたは該塩の投与範囲におけるフルク
    トース−1,6−ジホスフェート、または薬理的に許容
    な該塩の静脈注入される、請求項19または20に記載
    の用途。
  22. 【請求項22】 心臓の循環バイパス手術を受ける準備
    中のヒト患者処置のための方法であり、該方法が心筋保
    護因子としてのフルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、また該塩を含有する液体製剤の患者に対する静脈注
    入を含み、循環バイパス手術の開始に先立ち、フルクト
    ース−1,6−ジホスフェート、または該塩が患者に静
    脈注射され、該条件下、心臓が鼓動しているうちに、フ
    ルクトース−1,6−ジホスフェート、または該塩の心
    筋内浸透を可能とし、フルクトース−1,6−ジホスフ
    ェート、または該塩が、循環バイパスを含む手術中にお
    ける心臓ストレスを減少させることが統計的に証明され
    た治療的有効量が患者に注射される医薬の製造における
    フルクトース−1,6−ジホスフェート、または薬理的
    に許容な該塩の用途。
  23. 【請求項23】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩が、ある継続期間において、患者に静脈
    注射される、請求項22に記載の用途。
  24. 【請求項24】 フルクトース−1,6−ジホスフェー
    ト、または該塩の静脈注射が循環バイパス手術の開始の
    少なくとも約10分前に開始される、請求項22または
    23に記載の用途。
  25. 【請求項25】 患者体重1kgあたり少なくとも約1
    00mgのフルクトース−1,6−ジホスフェート、ま
    たは該塩が投与量で、フルクトース−1,6−ジホスフ
    ェート、または該塩が患者に静脈注射される、請求項2
    2、23または24に記載の用途。
  26. 【請求項26】 循環バイパス手術の開始に先立つフル
    クトース−1,6−ジホスフェート、または該塩の静脈
    注射が、循環バイパス手術中に心臓に循環させる心麻酔
    液へのフルクトース−1,6−ジホスフェート、または
    薬理的に許容な該塩を付加することを補充する、請求項
    22〜25のいずれかに記載の用途。
  27. 【請求項27】 患者に注射されるフルクトース−1,
    6−ジホスフェート、または該塩の投与量が手術中及び
    手術後における心臓組織によるクレアチンキナーゼ放出
    の減少に治療的に有効である、請求項22〜26のいず
    れかに記載の用途。
  28. 【請求項28】 患者に注射されるフルクトース−1,
    6−ジホスフェート、または該塩の投与量が、手術後の
    患者の心臓による血行動態パンピングにおける異常の減
    少に治療的に有効である、請求項22〜26のいずれか
    に記載の用途。
  29. 【請求項29】 患者が閉塞冠動脈の少なくとも一文節
    を置き換えるために手術される者である、請求項22〜
    26いずれかに記載の用途。
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