JPH10501708A - 過分極した貴ガスを利用した磁気共鳴映像化 - Google Patents

過分極した貴ガスを利用した磁気共鳴映像化

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Abstract

(57)【要約】 少なくとも1種の貴ガスの空間分布をNMR分光法により検出し、さらに前記貴ガスの空間分布の表示を生成することからなる核磁気共鳴分光法による貴ガスの空間分布を映像化する方法。貴ガスは核スピンを有する貴ガス同位元素から選択され、キセノン−129および/またはヘリウム−3が好ましい。貴ガスは熱的に分極、すなわち平衡分極しており、さらに過分極しているのが好ましく、最も好ましいのはアルカリ金属の存在下で光励起によりまたは準安定交換により過分極している貴ガスである。貴ガス空間分布の表示の生成は、空間分布の少なくとも1次元、好ましくは2または3次元にて行われる。本発明により、化学系または生物系、好ましくはヒト被験者または被験動物においてそれらの臓器系や組織の貴ガスを映像化できる。また、少なくとも1種の貴ガスの空間分布を核磁気共鳴映像化する装置には、NMR分光法により貴ガスを映像化する手段および貴ガス、好ましくは過分極キセノン−129および/またはヘリウム−3の映像化可能量を供給および/または貯蔵する手段が含まれている。また、医療用組成物には、生体内麻酔機能およびNMR映像化機能に関して有効な、少なくとも1種の貴ガス、好ましくは過分極キセノン−129および/またはヘリウム−3を含む医療上使用できる2機能性ガスが含まれている。

Description

【発明の詳細な説明】 過分極した貴ガスを利用した磁気共鳴映像化 発明の背景 本発明は一般的には核磁気共鳴映像化方法に関する。とりわけ本発明は核磁気 共鳴分光法による貴ガスの検出と映像化に関する。 麻酔作用の分子的基礎に関する現在の知見は、ほとんどが生体外で行われた実 験研究から導かれたものである。これらの研究の多くの結果の解釈については極 めて異論が多く、たとえば、脂質構造の変化は極めて高濃度、実際には毒性濃度 の麻酔剤において観測されている。生理学的に異常のある動物あるいは非臨床的 用量の麻酔剤を投与された動物から生体外で観察された変化は、これらの薬剤の 効果を臨床的に反映していないように思われる。生きている動物の麻酔剤を検出 したりキャラクタリゼーションする場合に直接的・非侵入的方法を用いることに よりかなりの進歩がなされると考えられている。脂質溶解度とタンパク質結合が ある役割を果たしていることはまちがいないが、今や新しいアイデアが必要にな っている。 この問題に対処するために強力な核磁気共鳴(NMR)技術を持ち込むことが 試みられた。(文献1-3)。ウィルビッチ(Wyrwicz)と共同研究者は無傷の組織内に あるフッ素化麻酔剤を観測するためにフッ素−19(19F)NMR分光法の利用 を始め、麻酔されているウサギの脳から最初の19FNMRスペクトルを記録した 。(文献1,4)。これら初期の研究は生きた動物における麻酔剤の動態を研究で きる可能性があることを証明した。バート(Burt)と共同研究者も19F NMRに よる腫瘍内の膜の変異をモニターするためにハロセイン(halothane)と他のフッ 素化麻酔剤を用いた。(文献5-6)。近年いくつかのグループが、ウサギおよびラ ットの脳の麻酔剤の分子環境に光を当てる19F NMR研究を行った。(文献3,7 )。ハロセイン吸入中頭蓋冠の頂部に置かれた表面コイルを用いて、ダビニョン( d'Avignon)と共同研究者が観測した、おそらく0.1−0.2ppm離れている2つの重 なったシグナルは、横方向緩和時間(T2)の違いを利用して分解できた。(文献3 )。この研究で報告されたエコーディレイ(delay)に対するスピン−エコー振幅の 2重指数関数的依存性は、種々の分子環境にある麻酔剤が19F NMR を用いて生体脳内で識別できることを証明した。わずか0.1ppmの化学シフトによ り分離されたこのような環境は、切除された神経組織の高分解能研究においてウ ィルビッチ(Wyrwicz)らにより以前に報告されている。(文献4)。 このようにNMR映像化に他の化合物を利用する試みがあるにも関わらず、最 新の生物学的磁気共鳴映像化(MRI)は大部分水プロトン、すなわち12O、 NMRシグナルに限定されたままにとどまっている。組織中約80乃至100M の水プロトンの天然存在比があり、且つその磁気モーメントが大きいので水は大 抵の映像化にとって理想的な物質である。プロトンMRIは医療用診断手段とし て極めて大きな価値を持っているにも関わらず、いくつか制約がある。最も目立 つことは、肺組織の水プロトンおよび生物学的に興味深いすべての膜の脂質のプ ロトンが、このような環境におけるT2が短いためにNMRでは観測できないこ とである。(文献8-9)。他の1Hシグナルおよび他の生物学的に興味深い核種から のシグナルは濃度が低すぎる(H2Oの場合の約100Mに比べて10-3乃至1 0-1M)か、望ましくないNMR特性を持っている。12Oを用いて動的な過程 を研究する場合、T1および/またはT2の空間的変化から生ずる有効スピン密度 の差を利用するためにプロトンシグナルの多くを犠牲にしなければならない。( 文献 10)。 種々の貴ガスが麻酔薬として有効であることが知られている。たとえば、キセ ノンはヒトへの使用が認められており、全身麻酔薬としての効能が証明されてい る。医療映像化を目的としてキセノンの特性を活用する試みが以前なされたこと があるが、これまでのところ成功例は極めて少なく、結局、技術としては確率し ていなかった。たとえば、初期の肺の呼吸通気研究では同位元素127Xeが使用さ れた。(文献11-12)。残念なことに、映像の質が悪く臨床への利用は限定され た。しかし、キセノンは脳のコンピューター断層撮影法(CT)による研究にお ける造影増強剤として、(文献13-14)、また局所脳血流量(rCBF)測定のト レーサーとして使用された。(文献15)。 キセノンの同位元素の一つである、キセノン−129(129Xe)は、ゼロでな い核スピン(すなわち、1/2)を持ち、したがって、原理的には核磁気共鳴法に よる研究に適した原子核である。キセノンは磁気共鳴映像化に利用できる可能性 があるにも関わらず、磁気モーメントが小さくかつ一般的に到達できるガスの数 密度が低いことがこれまで、正常平衡(“ボルツマン”としても知られている) 分極、P(0.5-1.5 T(テスラ)臨床映像化システムにおいてPは約10-5)に おける129Xeの磁気共鳴(MR)映像化の実行にあたり克服できない障害であっ た。しかし、普通のNMR法における原子核として用いた水プロトン(1H)と は違い、129Xeから得られる核磁気共鳴シグナルは局部環境に対し異常に敏感 であり、したがって環境に対し異常に特異的である。 129Xeおよび核スピンを有する他の貴ガス同位元素の様々な環境における特 性の細部について研究・報告されている。たとえば、アルバート(Albert)らは いくつかの化学溶液におけるボルツマン分極129Xeの横および縦方向の緩和時間 並びに化学シフトについて研究している。(文献16)。アルバート(Albert)ら および他の研究者は酸素が129Xeの縦方向の緩和時間T1に影響を及ぼしうるこ とも示した。(文献17-18)。ミラー(Miller)らは各種溶媒、タンパク質および 膜中の129Xeおよび131Xeの化学シフトについても研究した。(文献2)。しかし 、これらの論文ではいずれも129Xeを核磁気共鳴映像化に利用する方法につい ては全く触れられていない。 当該技術では核スピンを有する貴ガスの核のような特定の核は平衡分極すなわ ちボルツマン分極を超えて高められ、過分極することが知られている。この種の 方法には、光学的に励起したアルカリ金属蒸気とのスピン交換および準安定交換 がある。 貴ガスの過分極の根底にある物理原理について研究されている。(文献19)。 たとえば、ハッパー(Happer)らはキセノンなどの貴ガス原子とルビジウムなど のアルカリ金属とのスピン交換の物理学について研究した。(文献20)。他にヘ リウムとアルカリ金属の間のスピン交換に関する研究が報告されている。(文献 21-22、49)。アルカリ金属と貴ガスの間のスピン交換の物理学的側面について 報告している論文もある。(文献23-24)。貴ガスを過分極するために準安定交換 を利用した方法については、シーラー(Schearer)らおよびハデイシ(Hadeishi) らが研究している。(文献26-31)。 ケート(Cates)らおよびガヅケ(Gatzke)らによる報告は、過分極した凍結結 晶性129Xeの特性について述べている。(文献32-33)。ケート(Cates)らおよび 他の研究者は、磁気共鳴装置で測定した高キセノン圧におけるルビジウムと129 Xe間のスピン交換速度を報告している。(文献34-35)。しかし、これらの報告は 高度に制御された物理システムにおける129Xeの特性に関するもので、核磁気共 鳴による映像の製作における129Xeの利用方法については全く触れられていな い。 ラフテリー(Raftery)らはNMRスペクトルの解析による表面構造の研究のた めの吸着プローブとして光学的に励起した129Xeについて述べている。(文献36 -37)。ロング(Long)らはポリマー表面に吸着したレーザー分極キセノンの化学 シフトも観測した。(文献38)。 クラーク(Clark)の米国特許第4,856,511号と4,775,522号は被験動物の体内に 溶け込んだ特定のガス類を検出するための核磁気共鳴法について述べている。こ の方法にとって役立つものとして挙げられているガス組成物には、パーフルオロ 炭素などのフッ素化合物がある。クラークの方法に役立つ可能性があるものと考 えられている他のガス類には129Xeも含まれているが、クラークはこれまで129 Xeを被験生物の磁気共鳴映像法への利用を妨げていた問題については全く触れ ていない。 したがって、映像の取得にやたらに長時間を必要とせずにかつ以前は1H NMR によってのみ映像化できる系や環境に限定されることなく、貴ガスの映像化、特 に生物系の貴ガスの映像化を可能にする方法で、核磁気共鳴映像法と関連した上 述の問題点や不都合な点を解決することは当該技術におけるかなりの進歩と言え るであろう。本発明の要約 本発明は少なくとも1種の貴ガスの空間分布を核磁気共鳴(NMR)により検 出し、さらにその貴ガスの空間分布の表示を生成することから構成されている核 磁気共鳴映像化を行う方法を提供する。 好ましい実施態様において、映像化可能量の少なくとも1種の貴ガスを被験者 に投与し、少なくとも1種の貴ガスの磁気共鳴から導かれたラジオ波(RF)シ グナルを検出するためにNMR映像化分光計を用い、少なくとも1種の貴ガス空 間分布の関数として1組のNMRパラメーターデータを得るために検出されたシ グナルを処理し、さらに少なくとも1種の貴ガスの少なくとも1次元の空間分布 の表示を生成するためにその1組のデータを処理し、被験動物またはヒト被験者 の核磁気共鳴映像化を行う方法も提供する。 別の実施態様では、本発明の方法には少なくとも1種の過分極した貴ガスの検 出と映像化が含まれている。過分極した貴ガスはアルカリ金属とのスピン交換を 介したレーザー分極または準安定交換により過分極されるのが好ましい。貴ガス は、ヘリウム−3、ネオン−21、クリプトン−83、キセノン−129、キセ ノン−131、およびそれらの混合物から選択するのが好ましい。最も好ましい 貴ガスはヘリウム−3かキセノン−129である。過分極貴ガスおよび非過分極 貴ガスおよび/または貴ガス同位元素の組み合わせと同様、貴ガスおよび/また は貴ガス同位元素の組み合わせが考えられる。貴ガスをアルカリ金属とのスピン 交換を介してレーザー分極した場合、アルカリ金属はナトリウム−23、カリウ ム−39、セシウム−133、ルビジウム−85、およびルビジウム−87の中 から選択するのが好ましい。最も好ましいのは、ルビジウム−85かルビジウム −87である。 本発明の方法には少なくとも1種の貴ガスの少なくとも1物理次元の空間分布 の検出および映像化が含まれるのが好ましく、2または3物理次元の検出および 映像化が含まれるのはさらに好ましい。本発明の方法には貴ガスの空間分布を時 間の関数として改変した検出および映像化も含まれる。 貴ガスの表示の生成には貴ガスの少なくとも1物理次元の空間分布の表示の生 成が含まれるのが好ましく、貴ガスの2または3物理次元の表示の生成が含まれ ればより好ましい。表示の生成には、化学シフト、T1緩和、T2緩和、およびT1 ρ緩和などのNMRパラメーターを含む、時間の関数としての貴ガスの1つ以 上の物理次元の空間分布の表示の生成も含まれる。本発明の方法には視覚的表示 の生成が含まれるのが好ましい。 映像化される貴ガスは気体、液体、ゲル、あるいは固体など少なくとも一つの 物理相に空間分布しているのが好ましい。1試料が2つ以上の物理相に分布して いる貴ガスも映像化できる。映像化される貴ガスは固体表面に分布していてもよ い。貴ガスは種々の物質や環境とともに映像化することができる。 貴ガスを用いて映像化する試料には生体外化学系、生体外生物系あるいは生体 内生物系の各種試料がある。生体内生物系の貴ガス分布を映像化する場合、その 系には1つ以上のヒト被験者または被験動物が含まれる。貴ガスはヒト被験者ま たは被験動物の臓器系または身体系に分布するのが好ましい。一方、貴ガスは被 験者の解剖腔に分布することもできる。 本発明の別の実施態様では、生体内麻酔学的機能および核磁気共鳴映像化機能 をもつ医療上利用できる二機能性ガスを含む医療組成物が提供されている。好ま しい実施態様では、ガス組成物はヘリウム−3、ネオン−21、クリプトン−8 3、キセノン−129、およびキセノン−131の中から選ばれた少なくとも1 種の貴ガスが含まれているのが好ましい。貴ガスはヘリウム−3またはキセノン −129であることがより好ましい。貴ガスは過分極されるのが好ましく、アル カリ金属とのスピン交換あるいは準安定交換を介して過分極されるのがより好ま しい。過分極貴ガスおよび非過分極貴ガス並びに貴ガス同位元素の組み合わせも 可能である。 また本発明は、少なくとも1種の貴ガスを検出し、映像化するためのNMR映 像化手段、および映像化可能量の貴ガスを供給する手段を含む核磁気共鳴映像化 装置を提供している。好ましい実施態様では、この装置は映像化可能量の過分極 した貴ガスを供給する手段を具備している。この実施態様の装置は過分極手段、 好ましくはアルカリ金属とのスピン交換あるいは準安定交換を介して貴ガスを過 分極する手段を具備している。貴ガスの供給は連続、不連続、および/または準 連続モードで行うことができ、1種以上の貴ガスを供給する場合は貴ガスは混合 ガスまたは個別のガスとして供給することができ、また一緒または別々のルート および/または別々の時間と期間に供給することもできる。 貴ガスは単独または1種以上の他の成分と組み合わせたガス、液体、または固 体組成物として、ガス、液体、または固体の形をした映像化対象の試料と接触さ せることができる。貴ガスは他の貴ガスおよび/または他の不活性または活性成 分と組み合わせることができる。貴ガスは一つ以上のボーラス(bolus)として投 与したりあるいは連続または準連続的に投与することができる。 本発明はまた、ヒト被験者または被験動物の核磁気共鳴映像化を行う方法を提 供する。実施態様ではこの方法は、映像化可能量の過分極貴ガスの被験者への投 与、核磁気共鳴映像化分光計による過分極貴ガスの核磁気共鳴からのラジオ波シ グナルの発生、発生ラジオ波シグナルの検出、被験者の過分極貴ガスの空間分布 の関数として一組の核磁気共鳴パラメータデータを誘導するための検出ラジオ波 シグナルの処理、および被験者の過分極貴ガスの空間分布の少なくとも一つの空 間次元に対応する表示を導くための前記一組の核磁気共鳴パラメータデータのさ らなる処理から構成されている。 貴ガスは、ガスまたは液体として、単独または他の貴ガスおよび/または他の 不活性あるいは活性成分と組み合わせて、ヒト被験者または被験動物に投与でき る。貴ガスは受動的または能動的吸入あるいは肺や胃腸管などの解剖学的腔に直 接注入して、ガスとして投与することができる。貴ガスは腸内または腸管外への 注入により液体として投与することができる。腸管外(非経口)の好ましい投与 方法としては静注があり、たとえば、血液を貴ガスと体外で接触させ貴ガスに接 触した血液を静脈から再導入する方法がある。 本発明は、核磁気共鳴により少なくとも1種の貴ガスを映像化する方法を提供 することにより、従来技術が持っている不都合を解決する。本発明の方法は、生 体内および生体外の生物系のほか、非生物系における貴ガスの空間的・時間的分 布をNMR映像化する新規で思いがけない程強力な方法を提供する。本発明はま た、シグナル対ノイズ比の高い映像を思いがけない程短時間で得ることができる 。さらに、本発明は従来の1H NMR法では簡単には映像化できない映像化シス テムのほか生物現象を短期間で映像化する方法を提供している。 本発明の他の目的と利点は、以下の開示、図面、および添付請求の範囲からよ り完全に明らかになるであろう。図面の簡単な説明 第1a図はラットの脳シナプトソーム(synaptosome)懸濁液における129Xeの 核磁気共鳴スペクトルを示し、第1b図はラット脳組織のホモジネートの129Xe の核磁気共鳴スペクトルを示し、第1c図はラットの脳全組織標本における129 Xeの核磁気共鳴スペクトルを示す。 第2a図は直径20mmのガラス球を図示し、第2b図は直径20mmのガラス球 におけるボルツマン分極129Xeガスの核磁気共鳴映像を示している。 第3a図は、オクタノール(陰影をつけた部分)とキセノンガス(陰影をつけ ていない部分)を含有する直径20mmのガラス球を図示し、第3b図は、気相お よびオクタノール中の129Xeから得られたNMRシグナルを説明する核磁気共鳴 スペクトルを示し、第3c図は、20mmのガラス球内オクタノール中の129Xe核 磁気共鳴映像を示し、さらに第3d図は、20mmのガラス球内気相中の129Xe核 磁気共鳴映像を示す。 第4図は相互に異なる平行面を表す、過分極129Xeガスファントムの一連の核 磁気共鳴映像を示す。 第5a−5c図は過分極129Xeガスで膨らませたマウスの肺の一連の核磁気共 鳴映像を示し、そして第5d図はマウスの心臓の1Hの核磁気共鳴映像を示す。 第6図は過分極129Xeガスで膨らませたマウスの肺から得られた129Xe核磁気 共鳴強度の低下を時間の関数として説明しているグラフを示す。 第7図は貴ガスの核磁気共鳴映像化のための貴ガス供給装置の縦断面図を示す 。好ましい実施態様の詳細説明 核磁気共鳴分光法は広範な科学分野でよく利用されている分光法である。核磁 気共鳴映像化、特に生物系に応用した場合の実施方法に関する基本的考え方は、 リンク(Rinck)らの「医学における磁気共鳴入門(1990)の特に1−4章(文献39 )」(An Introduction to Magnetic Resonance in Medicine)、およびスターク( Stark)らが編集した「磁気共鳴映像化、第2版、第1巻(1992)(文献40)」(Mag netic Resonance Imaging)の第1章ウエルリ(Wehrli,F.W.)の「磁気共鳴の原理 」(Principles of Magnetic Resonance)、および第2章ウッド(Wood,M.L.)の「 フーリエ映像化」(Fourier Imaging)に認められる。これらの出版物は本明細書 の参考文献に挙げられている。特定の分野では、NMRデータからの映像の生成 を含む、NMR分光法の適用が評判を高めている。医学では、体内の特定の領域 の映像化に水プロトン(12O)を主に用いている、MRI技術がかなり平凡な ものになっている。 それにもかかわらず、いろいろな理由から他の特定の磁気の影響を受けやすい 原子核のMRIへの適応が望まれている。特に、他の元素の物理特性がその原子 核に他の種類の物理および生物系の映像化への素因を与える。医学では、現在利 用できるNMRプローブによってアクセスが困難な身体の領域を映像化しうる他 の原子核が望まれている。貴ガスがMRIに利用できるという思いがけない観測 がなされる以前は、本明細書で述べているように、使用可能な代替核プローブは 存在しなかった。 ゼロでない核スピンを有する貴ガス同位元素はMRIにおいて利用できる可能 性が大きいことが今では判明している。たとえば、129Xeは原理的にはNMRに 適合しているが、天然の存在比は26%であり、また1Hに対する相対感度(通 常のNMRにおける)は2.12×10-2である。129Xeの共鳴周波数は気相お よび凝縮相を通して広範囲(0乃至300ppm)に及び、その上化学環境に異常 に敏感である。(文献2)。 その縦方向の緩和時間、T1、は非常に大きく(実際純気相中では少なくとも 3000秒はあり、理論的には1気圧で56時間もの長時間がありうる)、(文 献32、41)、そして特に化学環境、すなわち酸素濃度に敏感で、(文献17-18)、 さらに他の緩和促進剤の作用に敏感である。(文献2、42、16)。その横方向の緩和 時間も緩和促進剤の影響を受けやすい。(文献16、18、43)。縦方向と横方向の緩 和時間T1とT2はそれぞれ129Xe原子の周りの環境(たとえば、その原子がタン パク質に結合しているか、脂質に溶け込んでいるか、あるいは他の何らかの方法 で束縛されているか)をも暗示している。したがって、化学シフト、T1、およ びT2のデータの組み合わせにより特定の環境における原子核の有無を区別する 根拠および当該環境の特性を明確にする根拠が得られる。 キセノン元素は温和で有効な麻酔剤(文献44)であり、生体による代謝を受け ない。キセノンの非極性溶媒中の溶解度は本質的にはラウールの法則に従う。( 文献45)。肺に吸入されたキセノンは肺循環と速やかに平衡化し、平均して、マ ウスでは1秒または1−2回の呼吸で、ヒトでは約18秒で、一つの血液回路の 全血液と定常状態に達する。(文献13)。(文献46)。キセノンは高度に血管が 存在する組織で迅速に蓄積することが知られている。たとえば、10%の脂質と 10%のタンパク質を含有する脳において、(文献10)、0.5−1.0気圧の肺 キセノンの場合、定常状態濃度は膜二分子層において5乃至1.0mM、水において 2乃至4mMと、そして1乃至5mMはタンパク質に結合しているものと予期され る。(文献45、47-48)。キセノンは白質に灰白質の場合の約2倍溶ける。(文献 13)。上記部位各々の129XeのNMR共鳴周波数は異なっており、またコンパー トメント間の交換は化学シフトNMR時間尺度に関して遅い。(文献2、16-17)。 したがって、過分極129Xeが生物系の造影剤として利用できる可能性があること は明らかである。 生物界の物質中に存在する全キセノン濃度は、通常純水中のキセノン溶解度の 約2乃至5倍である。この種の系においてボルツマン分極キセノンを映像化する 試みに付随する問題は、溶解パラメータを決めるためには多くの試料が必要であ ることである。これらの問題は大部分、12Oに比べて129Xeは濃度が低く、磁 気モーメントが小さく、さらに天然存在比が低いことに起因している。水や非極 性媒体に一般に溶けにくい他の貴ガスについても類似の考え方が通用する。 たとえば、キセノンガスで麻酔をかけたラットから採取した生体外脳試料から 8時間かけて得られた第1c図のスペクトルは、3気圧のキセノン圧の下で27 時間かけて得られた第1a図に示すシナプトソーム懸濁液における129Xeスペク トルよりシグナル対ノイズ比(S/N)がかなり小さい。 貴ガスMRIの発展をこれまで阻害してきた問題点は明らかである:すなわち 、典型的な長い縦方向の緩和時間と低いシグナル強度は、長時間にわたる非常に 多くの自由誘導減衰(FIDs)のシグナル平均化を必要とする。生体内NMR 実験を行うためには貴ガスシグナルの異常なほどの強化を必要とすることは明ら かである。ボルツマン貴ガススペクトルの全累積時間は、この種の生物試料では 禁止的に長いものである。 そこで、NMR画像化に貴ガスを利用する能力は、分光計の平均シグナル強度 とシグナル取得能力により直接大いに制約を受ける。現在のNMR分光計の技術 を考えれば、ボルツマン分極キセノンを利用したキセノン映像化を可能にするの に必要な、たとえば、10,000倍の桁の感度の向上は、仮にそれが可能であるとし ても、開発に数十年とは言わないにしても数年はかかると結論づけても無理のな いことである。たとえば、光励起とスピン交換、(文献21-22、32、36)、あるいは 準安定交換を介した過分極により、一層現実的に必要な感度に到達している。( 文献26-31)。この貴ガスシグナルを強化する方法は、通常の熱平衡分極より104 乃至106の桁で大きい貴ガス核分極の発生に利用できる。これらの方法を用い て達成した核分極はオーダー0.25は容易で、(文献32)、スピン密度と分極の積 を、典型的な映像状況におけるプロトン(1H)の場合より少なくともオーダー を一つ大きくすれば1.0に近づけることはできる。したがって、貴ガスの過分極 により磁気共鳴映像を作る新規で見事な方法がえられることが思いがけず今日見 いだされた。 貴ガス、特に129Xeと3He、の過分極という異常な特性が生物系の映像化を 可能にする上で非常に重要であるが、他の要因もこの種の映像を発現する上であ る重要な役割を果たしている。たとえば、貴ガスは、(a)細胞と組織の区分化 、(b)劇的時間依存性分布、および(c)環境酸素濃度および細胞以下の交換 動力学に対する共鳴周波数、T1、およびT2の応答における12Oと比べて本質 的に異なる特性を含む。他の異常な特性を示す。貴ガスの過分極とこれら他の異 常な特性を組み合わせることにより、NMR映像コントラストの新規かつ性質上 異なる信号源として貴ガスの利用が可能になる。たとえば、水プロトンとは反対 に、 129Xeはどこにでも一様に存在することはなく、129Xeの体内における空間的 ・時間的分布は完全にキセノン輸送の解剖学的・生理学的特異性に依存する。( 文献13)。このために軟質組織解剖学、生理学(たとえば、脳血流量、脳活動度 )および病理学(たとえば、脱髄、代謝異常あるいは代謝に変化のある腫瘍や他 の病巣の早期発見)の磁気共鳴映像化(MRI)研究および磁気共鳴分光(MR S)研究において129Xeの利用が可能になる。その上、過分極貴ガスを利用して 得られる大きな磁気共鳴シグナル強度によって、これまでは12Oの場合にのみ 可能であった高速映像化プロトコルの利用が可能になる。 本発明の映像化法は129Xeおよび/または3He核を用いて行うのが好ましい 。しかし、本発明の方法は他の貴ガス、すなわち核スピンを持つ他の貴ガス同位 元素を用いて行うこともできる。3He、129Xeおよび他の貴ガスは、物理特性 および磁気共鳴特性がそれぞれ違うので、用途はそれぞれ別にした方が好ま しい。本発明により利用できる貴ガス原子核のリストを、下の表Iに示す。この リストは説明するためのものであって、限定するためのものではない。 表Iに載せた貴ガス同位元素はいずれも、単独あるいは組み合わせて、本発明 により核磁気共鳴映像化に利用できるが、平衡(ボルツマン)状態にあるガスの 分極度は禁止的に低く、高速で映像を取得する上で妨げになることが知られてい る。T1緩和とT2緩和および原子核の局部環境などシグナルの減衰を支配する種 々のパラメータにより、高速映像が効率的に取得できるかが決まる。これらの制 約は生物系の生体外と生体内から映像を取得する場合、映像化したい事象の時間 手順がしばしば1秒に満たない時間でデータを取得する必要があるので、特に重 要になる。そのために、NMRシグナルの増強が強く望まれている。したがって 、貴ガスはその通常のボルツマン分極に関し過分極するのが好ましい。この種の 過分極はNMR分光計によりデータを取得する前に誘導するのが好ましく、また 当該技術で周知のすべての方法で誘導することができる。 貴ガス中の映像化可能な同位元素の天然の存在比以上のレベルまで各貴ガス中 の映像化可能な同位元素の比率を上げることにより、過分極とは独立にまたは過 分極とともに、貴ガス磁気共鳴シグナルのさらなる増強が得られる。天然の同位 元素存在比が約26%である129Xeの場合、100%129Xeに濃縮されているガ スにおいて、同位元素存在比は4倍弱上がる。貴ガスの過分極性など他の要 因が、普通はシグナルの強化において大きな役割を果たすが、同位元素の濃縮は 本発明の最終的効果に大きく寄与することができる。天然の存在比が約10-6程 度である3Heの場合、特にこれが言える。3Heの過分極性とその非常に大きな 磁気共鳴シグナルでさえも、3Heの低い存在比によりかなり相殺されてしまう 。しかし、3Heは存在比が低いにもかかわらず、崩壊して3Heになるトリチウ ム(3H)が工業的に利用されているので、非常に純粋な形で容易に利用できる 。3Heが容易に利用できる人工的資源であるため、天然の存在比が低いことや 高価な濃縮プロセスに関わる懸念材料は全くない。 貴ガスは本発明により利用する場合、光励起したアルカリ金属蒸気とのスピン −交換相互作用など、当該技術で周知のすべての手段を介して過分極することが できる。(文献34-35、49-50)。光学的励起とスピン−交換は磁場をかけなくとも 実施できるが1G(ガウス)またはそれ以上の弱磁場を用いて行う方が好ましい 。数テスラの磁場におけるNMR磁石空隙における光励起も可能である。実現で きる最大定常状態129Xe核分極はアルカリ金属とのスピン交換を特徴づける時定 数および、たとえば、光励起セルの表面と接触するこよる緩和(T1)を特徴づ ける時定数に依存する。たとえば、T1が約20分の場合、20乃至40%の分 極は完全に実施可能であり、(文献32)、また90%あるいはそれ以上の分極は 達成できるはずである。キセノンは、ガスのT1が長いので氷結して操作したり 貯蔵したり、(文献32)、また数時間とか数日といった時間尺度で重大な磁気損 失なしに、輸送することができる。 光で励起したアルカリ金属蒸気とのスピン交換を介した貴ガスを過分極する技 術は、アルカリ金属の第1主共鳴波長(D1)(たとえば、ルビジウムの場合79 5nm)の円偏光光をアルカリ金属蒸気に照射することにより開始する。21/2基 底状態原子はこのようにして21/2状態に励起され、続いて基底状態に戻る。こ のサイクルが入射D1光の軸に沿って整列した弱(10G)磁場において行われ るならば、基底状態と第1励起状態の間のこのサイクルにより数マイクロ秒でほ ぼ100%原子が分極する。この分極は大抵が、すべてのアルカリ金属に特有な 1原子価電子によって行われる。すなわちこれはこれらの電子のすべてが、励起 光のヘリシティー(helicity)(右回転または左回転の円偏光状態)に依存して 磁場の方向に整列または反対方向に整列したスピンを持っていることを意味して いる。ゼロでない核スピンを持つ貴ガスも存在するならば、そのアルカリ金属原 子は貴ガス原子と衝突し、原子価電子の分極が相互スピンフリップを介して貴ガ ス原子核に移される。このスピン交換は電子と貴ガス原子核の間のフェルミ接触 超微細相互作用によって生じる。励起光を用いてアルカリ金属の分極をほぼ10 0%に維持すると、現在ではこのスピン−交換プロセスを介した多量の様々な貴 ガスにおいて大きな非平衡分極(5%乃至80%)を達成できる。たとえば、現 在利用できるチタン/サファイアレーザーは理論上は高度に分極した129Xeを1 g/時(200cc−気圧/時)供給できる。 光で励起した系におけるスピン交換パートナーとして作用しうるアルカリ金属 にはすべてのアルカリ金属が含まれる。この過分極法に好ましいアルカリ金属に はナトリウム−23、カリウム−39、ルビジウム−85、ルビジウム−87、 およびセシウム−133が挙げられる。 本発明の方法で役立つアルカリ金属同位元素およびそれらの相対存在比および 核スピンを下の表IIに記載する。 このリストは説明するためのものであって、制限するためのものではない。 一方、貴ガスは準安定交換を利用して過分極することができる。(文献28、51) 。 準安定交換の方法には、たとえば、仲介のアルカリ金属を使用せずに3Heを直 接光励起する方法がある。準安定交換の方法には、弱いラジオ波放電による基底 状態3He原子(110)の準安定状態(231)への励起が通常含まれている 。231原子は、3Heの場合1.08μmの波長を有する円偏光光を利用して光に より励起できる。光が23P状態への遷移を推進し、次いで23P原子が壊変して 準安定状態において高い分極を生じる。231状態の分極は、準安定状態原子と 基底状態原子の間の準安定交換衝突を介して基底状態に迅速に移行する。準安定 交換光励起は、スピン交換光励起が作用するのと同じ弱磁場において作用する。 例えば、約0乃至10Torrの概して低圧で類似の分極が実現できる。 本発明の方法は少なくとも1種の貴ガスの少なくとも1物理次元の空間分布の 検出および映像化を含むのが好ましく、2または3物理次元の空間分布の検出お よび映像化を含めばさらに好ましい。本発明の方法には貴ガスの空間分布を時間 の関数として検出および映像化する変更態様も存在する。 貴ガスの表示の生成には貴ガスの空間分布の少なくとも1物理次元の表示の生 成が含まれるのが好ましく、貴ガスの2または3物理次元の表示の生成が含まれ ればさらに好ましい。表示の生成には、化学シフト・T1緩和・T2緩和およびT1 ρ緩和などのNMRパラメータを含めて、貴ガスの空間分布の1以上の物理次 元の表示の生成が含まれるのが好ましい。本発明の方法には視覚表示の生成が含 まれるのが好ましい。 貴ガスの空間分布の表示は、表示することが望ましい情報の種類により、当該 技術で知られているいずれかの方法により生成することができる。これらの方法 は映像生成のため核磁気共鳴データを収集し、操作するための種々の手段を用い る。この種の方法は当該技術で使用できる文献に記載されており、かつこの種の 方法には、制限なしに、フーリエ映像化、平面映像化、エコー平面映像化、投影 −復元(projection-reconstruction)映像化、スピン−ワープ(spin-warp)フーリ エ映像化、高速低アングルショット(FLASH)映像化としても知られている 定常状態における勾配想起(gradient recalled)取得(GRASS)映像化・お よび混成映像化が挙げられる。 この種の映像化法は、たとえば、エルンスト(Ernst)ら、「1次元および2次 元における核磁気共鳴の原理 」。(Principles of Nuclear Magnetic Resonance in One and Two Dimensions)(1987)(文献52)、特に第10章「核磁気共鳴映像 」(Nuclear Magnetic Resonance Imaging)ページ539−564;ウエルリ(S.W.We hrli)ら編、「生物医学的磁気共鳴映像化」(Biomedical Magnetic Reso-nance I maging)の第1章、ショウ(Shaw,D.D.)、「核磁気共鳴の基礎原理」(The Fundam ental Principles of Nuclear Magnetic Resonance)(1988)(文献53);および スターク(Stark)ら編、「磁気共鳴映像化」(Magnetic Resonance Imag-ing)第 1巻、第2版(1992)(文献40)。これらの出版物は本明細書の参考文献に挙げ られている。 映像化法の選択は、研究中の貴ガス原子核の特性、試料の特性および試料と原 子核の相互作用の度合いにより左右される。また、1又はそれ以上の空間次元の 貴ガスの空間分布を表示することが望ましいかどうかおよび一時的あるいは時間 依存性次元を表示することが望ましいかどうかによっても左右される。多次元表 示が望ましい場合は、この種の表現は、たとえば、マルチスライス(multislice) 映像化または容積映像化により作ることができる。 映像や表示はできるだけ迅速で感度のよい方法で作るのが概して好ましい。好 ましい映像化法には、FLASH映像化法・GRASS映像化法およびエコー平 面映像化(EPI)法が挙げられる。これらの方法は、迅速なデータ取得により 映像を作り、貴ガスの分極を保存することができるので好ましい。EPIは比較 的迅速な方法であり、かつ映像あたりのラジオ波(RF)パルスをわずか一つを 必要とするのみであるから、特に好ましい方法である。したがって、利用可能な 最大分極を活用することができる。これらの好ましい方法によりヒト被験者と被 験動物における時間依存現象の迅速な時間分解能も可能になる。この種の用途に は、磁気共鳴血管造影法(MRA)検査、神経系(たとえば、脳)の機能映像化 、並びに心肺の状態や循環生理状態の変動の検査がある。 本発明の核磁気共鳴映像化方法には、複数の映像化様式の重ね合わせもある。 たとえば、129Xeの周波数および他の一つ以上の磁気プローブに同調しうるコイ ルを用いるとデータ解釈の質を向上させる。この種の複合複数映像化方法には、 たとえば、1Hと129Xeの複合映像化および1Heと129Xeの映像化のよう に一つ以上の貴ガスの映像化がある。この実施態様では、個々の色が個々のプロ ーブを表す、フォールス・カラー(false-color)映像の生成を含む、幾何学的映 像重ね合わせや映像重ねが可能である。映像サブトラクト(差し引き)技法も他 のプローブと129Xeの組み合わせあるいは貴ガスプローブの組み合わせを用いる と可能である。 映像化する貴ガスは気体、液体、ゲル、あるいは固体など少なくとも一つの物 理相に空間分布しているのが好ましいが、1試料中の2つ以上の物理相に分布し ている貴ガスも映像化できる。また、映像化する貴ガスは固体表面に分布してい てもよい。貴ガスはゼオライト、キセノンクラスレート(包接化合物)、キセノ ン含水化合物、およびポリマーなど、制約なしに種々の物質や環境とともに映像 化できる。 貴ガスを用いて映像化する試料には生体外化学系、生体外生物系あるいは生体 内生物系の各種試料がある。生体内生物系の貴ガス分布を映像化する場合、その 系には1つ以上のヒト被験者または被験動物が含まれる。貴ガスは、肺組織、神 経組織、脳組織、胃腸組織または心血管組織あるいはそれらの組み合わせを含め て、制約なく、ヒト被験者または対象動物の臓器系または身体系に分布するのが 好ましい。一方、貴ガスは、肺腔、胃腸管腔、腹腔、膀胱腔あるいはそれらの組 み合わせを含めて、制約なく、被験者の解剖腔に分布することもできる。 貴ガスは単独または1種以上の他の成分と組み合わせたガス、液体、または固 体組成物として、ガス、液体、または固体の形をした映像化対象の試料と接触さ せることができる。貴ガスは他の貴ガスおよび/または他の不活性または活性成 分と組み合わせることができる。貴ガスは一つ以上のボーラスとして投与したり あるいは連続または準連続的に投与することができる。 好ましい実施態様において、映像化可能量の過分極貴ガスを被験者へ投与し、 貴ガスの磁気共鳴から導かれたラジオ波シグナルを発生し、検出するためにNM R分光計を用い、貴ガスの空間分布の関数として一組のNMRパラメータデータ を得るために検出シグナルを処理し、そして貴ガスの空間分布の少なくとも一つ の次元に対応する表示を生成するためにその一組のデータをさらに処理すること により、ヒト被験者または被験動物の核磁気共鳴映像化を行う方法が提供されて いる。 貴ガスは、ガスまたは液体として、単独または他の貴ガスおよび/または他の 不活性あるいは活性成分と組み合わせて、ヒト被験者または被験動物に投与でき る。貴ガスは受動的または能動的吸入あるいは肺や胃腸管などの解剖学的腔に直 接注入して、ガスとして投与することができる。貴ガスは腸内または腸管外への 注入により液体として投与することができる。腸管外(非経口)の好ましい投与 方法としては静注があり、たとえば、血液を貴ガスと体外で接触させ貴ガスに接 触した血液を静脈から再導入する方法がある。 精製した貴ガスのコストは、窒素や二酸化炭素など普通のガスのコストに比べ ると比較的割高である。たとえば、70%129Xeまで濃縮したキセノンの場合は 特にコストが高い。しかし、この貴ガスは不活性で生物系で代謝されないので、 回収することはできる。たとえば、ヒト被験者の吐息から約20分にわたりキセ ノンを回収できる。貴ガスの回収および再精製のための装置には、たとえば、コ ールドトラップおよび/またはジルコニウムゲッター(getter)装置がある。貴 ガス回収のため他の装置を使うこともできる。 貴ガスのコストが高いので、大気へのロスを防止するためにほぼ密封された系 内に貴ガスを保持するのが好ましい。密封した封じ込め装置には、ガス容器や圧 縮ガスタンクなどの貴ガス貯蔵容器、試料への導管および試料からの導管、並び に回収装置がある。 貴ガス貯蔵容器には永久または半永久容器あるいは加圧封じ込め装置がある。 一方、貴ガスは、加圧ガスアンプルやボンベなどの使い捨てまたは再充填可能な 1回使用の容器で供給することもできる。貴ガス貯蔵容器は密封した貴ガス供給 回収装置と統合することができるし、あるいは個別に貯蔵しさらに周期的または 必要な時に供給回収装置に取り付け且つ開通させることもできる。 検査対象の試料が、物理構造に関するものであれ、化学系に関するものであれ 、生体外系に関するものであれ、生きた動物またはヒトの患者であれ、あるいは 他の適当な試料であれ、すべてが、環境へのキセノンのロスをほぼ防止する装置 を用いて映像化するのが好ましい。ただし、本発明はこの種の装置がなくても実 施できる。このように試料の映像化は、貴ガスでほぼ満たされているかまたは満 た しうる試料室に保持しながら行う。一方、ヒト被験者または被験動物の場合は、 被験者または被験動物に、貴ガスを投与する際に密封マスクなど投与装置を装着 することができる。このような場合、試料室または貴ガス投与装置は、貴ガス貯 蔵容器および/または貴ガス回収装置に連結しているのが好ましい。 過分極した貴ガスはかなりの時間にわたり過分極状態で貯蔵することができる 。過分極した貴ガスを極低温で貯蔵できる貯蔵設備は、貴ガスを凍結状態で貯蔵 できるような温度を維持できるのが好ましい。凍結129Xeは4.2K(液体ヘリウ ム温度)その場合T1は約100万秒(10日)、から77K(液体窒素温度) その場合T1は約1万秒、の範囲の温度で500G以上の場で適当に維持できる 。ここで必要な磁場は、小さな永久磁石または通常10アンペアまたはそれ以上 の電流を流す大型の電磁石により与えられる。3Heの場合事情は全く異なって いる。緩和速度は、10乃至20Gという弱磁場を、室温/数気圧にてそれをこ れらの条件下で数日生かして保持するのに使える程度のものである。ここで磁場 は、永久磁石でも約1アンペアの電流を流すヘルムホルツのコイル対でもよい。 他の過分極貴ガスの維持に必要な条件は、当業者によって決めることができる。 アルカリ金属とのスピン交換により過分極した貴ガスは、スピン交換過分極法 で使用したアルカリ金属の除去前後いずれでも貯蔵することができる。ルビジウ ムあるいは他のアルカリ金属が系の挙動を妨害するすべての場合に、貴ガスを試 料に導入する前にそのアルカリ金属を除去する。この毒性アルカリ金属の除去は 生物試料において重要で、また試料が生きているヒト被験者や被験動物である場 合は特に決定的に重要である。 アルカリ金属除去装置は映像化部位から離れた場所でも、その部位に近い場所 でも使用することができる。たとえば、アルカリ金属除去装置は試料室または他 の投与装置へ至る導管より前の位置で密封貴ガス投与系に組み込むことができる 。 アルカリ金属除去装置は一般に光励起領域より低温の領域または室への貴ガス 導通用導管を具備している。室温では、ルビジウムの飽和蒸気圧、すなわち液体 ルビジウムがたまっている閉鎖部分の圧力、は約10-9気圧である。肉眼で見え るほど大きい液体ルビジウムのたまりから貴ガスを移動させると、残留ルビジウ ム蒸気は冷たい(たとえば、室温)表面を覆い、そのため被験者に到達すること はない。しかし、当該技術で知られているコールドトラップを使用することが好 ましい。 試料への貴ガスの供給は単一または複数のボーラスを供給することにより行わ れる。この種の供給方法は、貴ガス分布の変化を観察することが重要な系の研究 に普通は適合している。このような系には、とりわけ、解剖学的あるいは生理学 的事象が時間の関数として検査されるヒト被験者または被験動物が含まれるであ ろう。一方、試料への貴ガスの供給は連続または準連続供給として行われる。こ の種の供給が望ましいのは普通は、試料の定常状態分析が望まれる場合である。 たとえば、ヒトまたは動物臓器系の高分解能映像化はデータ処理、たとえば、映 像サブトラクトまたはシグナル平均化による定常状態キセノン濃度の逐次的映像 化により可能になる。過分極キセノンあるいは他の貴ガスは、貴ガスNMRシグ ナルが12O NMR映像からデジタルに差し引かれる全身12O NMR映像 におけるコントラストの増強あるいはマーカーとしても使用することができる。 たとえば、過分極キセノンは被験者の胃腸管に入れてそこで胃腸の領域を膨張さ せ、さらにシグナルのデジタル減算が行われる時にコントラストを増強すること ができる。 種々の環境における129XeのNMR特性を説明する比較データが得られている 。たとえば、いろいろな研究グループがn−オクタノール、ベンゼン、水および ミオグロビンなどの環境における129Xeの化学シフトと緩和速度(T1とT2)を 測定した。(文献2、16を参照)。オクタノールは細胞膜の内側に似た比較的非極 性脂質状の環境を代表し、水は水性領域のモデルであり、またミオグロビン溶液 はキセノンが結合することが分かっているタンパク質を代表する。(文献54)。キ セノンの共鳴周波数の測定範囲はガスと凝縮相を通して約300ppmに拡がって いる。(文献2)。これらのモデル生物系で観測された化学シフトの範囲は他の 溶媒で観測された範囲ほど大きくはないが、報告された相当する19F脳共鳴値と 比べると大きい。(文献3)。 その上、T1値の範囲が異常に大きい。表IIIには、オクタノール・水および水 性Fe(III)メトミオグロビン(文献54)中の129Xeの報告されたT1とT2値を 載せてある。なおモデルは2つの主要な細胞コンパートメントである、脂質膜 と細胞膜ゾル(cytosol)を代表している。T1値はオクタノールで80秒、水で1 30秒で、129Xe分極が異常に長い徴候(他の緩和材(relaxer)のない酸素欠乏 性組織)を示している。他の生物環境ではもっと長いT1値が可能である。下限 値は不明である。すなわち、10%Fe(III)メトミオグロビン(強力な緩和 材)におけるT1が5ミリ秒であることは、生物学的下限値はこれよりはるかに 高いことを意味している。タンパク質溶液について見いだされた極端に短いT1 とT2値は、キセノンがメトミオグロビンの常磁性中心に極近いところに結合す るために起きるようである。(文献54)。 300°Kにおけるベンゼン中のT1の値、T1=160秒、はモショス(Mosch os)とライセ(Reisse)が得たT1=240秒よりむしろ、ディール(Diehl)とジョ キサーリ(Jokisaari)の値、すなわち9.4テスラ/300°KにおけるT1=155.0 ±6.2秒、(文献43)、とよく一致している。(文献55)。129XeのT1とT2は 測定値の取得が困難で、したがって稀にしか得られていない。ここに引用した値 は既知データのかなりの部分を占めている。問題点は明らかである、すなわち通 常、縦方向の緩和時間は長く、シグナル強度が低いと多くの自由誘導減衰(FI D)トレース(trace)のシグナル平均化を必要とし、そのために、 全体の累積時間は非常に長くなる。水溶液系では問題は特に深刻である。すなわ ち、上で述べたように、30℃/0.5気圧におけるキセノンの溶解度は、オクタ ノール中が48mMであるのに対し、水中ではわずか2.4mMにすぎないからであ る。 脳組織内の複数の129Xe共鳴を観測する可能性を調べることが望ましいが、5 0−70%の正常なボルツマン分極129Xeの雰囲気を呼吸している生きたマウス の多くが水性の小さな脳容積からの小さなシグナルは、十分なシグナル平均化を 行うにはデータ収集に膨大な時間間隔を必要とする。 必要な時間間隔の間許容できるほど安定であり、2乃至3気圧のキセノンで密 封できるが脳細胞を機能させるには十分近接した系を求めて、シナプトソーム(s ynaptosome)懸濁液におけるキセノンの挙動を研究した。(文献16)。シナプトソ ームはその付着部位から切り取られたシナプス前部神経末端であり、末端神経細 胞領域のモルフォロジーと化学組成並びに膜の大部分の機能を保持する再密封さ れた細胞下偽細胞を形成する。シナプトソームはシナプス後部接着力に富み、シ ナプス後膜、シナプトソームのミトコンドリア、伝達物質レセプター、およびク レフト(cleft)物質の基を構成する。 第1a図は、アルバート(Albert)らが報告した10%(湿り重量)ラット脳 シナプトソーム懸濁液と平衡にある3気圧キセノンの滑らかで、S/N比の高い スペクトルを示している。(文献16)。このスペクトルは0.01Hzのガウスの広が りと約5.0Hzの線の広がりを有する分解能の高いスペクトルである。2つのピー ク、すなわち狭いピークとその高周波側約3.4ppmにあるブロードなピークが認め られる。純水中の129Xeのスペクトルの高周波側0.33ppmに現れた狭いピークは 、体積磁化率シフト効果によるものと思われる。単純な1パルスシーケンスを用 いて集めたが、図に示す程度のシグナル強度と分解能を得るために、このスペク トルは27時間のシグナル平均化を必要とした。 脳組織における129Xeの挙動を調べるためのもう一つのモデルについてもテス トを行った。第1b図は、アルバート(Albert)らが報告したラットの脳ホモジ ネートの試料から得た129Xeスペクトルを示している。(文献16を参照)。このス ペクトルも2つに分かれたピークを示しており、これは複雑な生物系におけ る129Xeの遅い交換の分離も観測できることを指摘している。シナプトソームス ペクトル(第1a図)に比べた場合の高磁場シグナル(水性129Xe)の低下は、 調合物における水分含量の低下を反映している。第1b図のスペクトルは生物系 における129Xeの検査が本来持っている問題点を反映して、8時間のデータ集積 を必要とした。 脳組織における129Xeの挙動が、ラットの脳全体における129Xeからどのよう なシグナルが得られるかを調べることにより研究されたた。(文献16を参照)。第 1c図は、ラットの脳全体試料から得たスペクトルを示し、再び2つに分かれた ピークを示しているが、S/N比はさらに低下している。この2つに分かれたピ ークが、複雑な生物系において129Xeは遅い交換により分離される証拠をさらに 与えている。第1a図と第2b図に比べて高磁場シグナル(水性129Xe)の比率 がさらに低下していることは、この試料の水分含量がさらに低下していることを 反映している。このスペクトルのデータ集積に8時間を要し、これは生物系にお ける129XeからNMRデータを得ることの難さを再び示している。 気相において縦方向の緩和時間が長い129Xeは、磁気双極子−双極子相互作用 および/または酸素の不対電子スピンとのフェルミ接触相互作用により緩和でき ることが知られている。(文献18)。キセノン(および酸素)の水への溶解度は 低い。129Xeシグナルの感度が低いために、ある範囲の水中酸素濃度において一 連のT1測定による129Xeに対する酸素(O2)の緩和速度の決定に必要な時間は 禁止的に長いものになる。 129Xeに対する酸素の緩和速度は、両親媒性膜脂質のモデルとなる唯一の液体 であるオクタノール中で測定した。(文献17)。観測した緩和温度、0.029s-1 m M-1は、凝縮相において遭遇した場合に予想される、気緩和に関する以前の報告 から推定した0.0087s-1mM-1より3倍ほど大きい(文献18)。129Xeに対する酸 素の緩和速度は研究した濃度範囲については一定で、したがって、1/T1は全 生理学的範囲(0乃至0.2気圧、0乃至0.2mM)について酸素濃度の直線的関数 になるであろう。他に緩和材がない場合、T1値は空気飽和脂質では18秒、嫌 気性脂質では80秒になる。これは、凝縮相における129Xeに対する酸素の緩和 速度について報告された最初の値である。このような酸素濃度にお けるT2値は0.5から5.0秒の範囲にあることが測定されている。これらの結果は 生体内の組織で予想されるT1の範囲が1乃至20秒であることを示している。 事実、周知の非常磁性緩和機構の効率が比較的低いことを考えると、多くの組織 におけるT1が数秒以下あるいは数十秒以下にさえならないとは考えにくい。こ れらの結果は129Xe磁気共鳴分光法を利用した生物学的研究にとって極めて重要 である。 ボルツマン分極129Xeを用いると、293°Kのラット血液に溶けた129Xeに ついてT1=38秒(±8秒、標準偏差)と推定できるデータが得られた。(文 献17)。しかし、この一組のデータを得るために12時間を要したので、この結 果は生体内の正常な生理学的T1がどの程度になるか推定するのに役立つだけで ある。 293°Kのラット血液に溶けた129XeについてT1=約38秒であるという 推定は非常に勇気づけられる。12時間かけてボルツマン129Xeを用いて得られ たこの結果は、生理学的血液を代表するものではないが、長期間にわたり室温に 維持した血液中で起きたように思われるこの変化、たとえば、メトヘモグロビン 生成は、T1について観測された値を低下させる傾向がある。他のモデル系のT1 値を推定することもできる。水中の129XeのT1の測定値は300°Kで130 秒であった。(文献16)。タンパク質結合部位との129Xe交換はこの値を引き下 げるが、(文献16)、水性酸素からの寄与は最小にとどまるであろう。オクタノ ール中129XeのT1は、古典的な膜の相モデルによると、80秒である。(文献1 6−17)。膜二分子層はキセノンと酸素の両方を封鎖するので、オクタノールと 水の間のキセノンと酸素の分布比の値、(文献45)、それぞれ20:1と6:1 を、さらに300°Kにおけるオクタノール中の酸素緩和速度0.029s-1mM-1 、(文献17)、を使い十分酸化された膜のキセノンのT1が>15秒であること を推定することができるはずである。各組織におけるT1の実際の値を測定しな ければならずまた測定されるのを待っているが、一方では最小値が分極129Xeが 主要組織中にかなり蓄積するのに十分な期間である15秒を上回ることが期待さ れる。 過分極貴ガスの持つ異常な特性により多様な臓器、身体系および解剖臓器の映 像化が可能になる。この種の解剖臓器は、用途により、生きた被験者または死亡 した被験者において映像化することができ、またこの種の被験者はヒトでも動物 でもよい。たとえば、過分極キセノンは神経組織疾患、血管プラーク(plaque) 、危険な血流、腫瘍の核磁気共鳴映像化並びに感覚刺激に対する脳の応答の機能 映像化を行う上で臨床上極めて重要である。他の貴ガスはそれぞれの特性により いろいろな状況において役立つ。たとえば、3Heは溶解度が低いため、肺や他 の人工的に膨らませた臓器などの解剖腔を映像化する上で臨床上極めて重要であ る。 キセノンと他の脂質可溶性で過分極可能な貴ガス同位元素の溶解度に差がある ために、また一方では脂質膜は12O MRIでは本質的に検出できないので、 脳組織の白質と灰白質の間で貴ガスNMRでの区別が可能になる。たとえば、脳 神経疾患については、下部髄質と脊髄の白質領域では12O MRIコントラス トは貧弱であるが、一方脂質溶解度の高いキセノンおよび他の貴ガス麻酔剤は過 分極同位元素の映像化を可能にする。この種の映像化は神経組織脱髄を患ってい る患者の場合診断上重要である。過分極貴ガスMRIは、のう胞性や壊死性症状 の他、硬膜下血腫の映像化に使用できるであろう。無血管領域における貴ガスの 取り込みが低いという徴候は、等密度流体採集の意味を明らかにする上で価値が ある。(文献56)。腫瘍と梗塞部分との区別については、虚血性病変では、貴ガ ス洗浄/洗い出しが遅れまた血流が減少し、一方梗塞組織では、貴ガス平衡レベ ルのみが下がる。多発性硬化症の場合、12O MRIはプラークの有用映像を 与えられないことがあるが、一方差別貴ガス取り込み(正常組織では高く脱髄プ ラークでは低い)からは有効なキセノン映像が得られる。同様に、脳血管プラー クと末梢血管プラークでは、プラークは貴ガスを少し取り込むかあるいは全く取 り込まず、貴ガス映像において暗い部分になる。(文献57)。 キセノン(および他の貴ガス麻酔剤)の映像は脳血管、冠状血管および末梢血 管の異常をも指摘し、血管狭窄や動脈瘤の徴候を示す。特に、局部脳血流の測定 が他の技法より大いに正確になる。くも膜下出血の場合血流に対する発作の影響 を調べることができるようになる。 脳組織の機能研究も、本発明の方法により、過分極貴ガス麻酔剤、特にキセノ ンの映像化により劇的に向上することが期待されている。たとえば、視覚、触覚 、 および他の刺激により生じた局所血流の変化は、129Xeシグナル強度の劇的な変 動をもたらすはずである。さらに、神経学的変化と心理状態の間の正確な関係を 解明することは神経生物学者の大きな目標であった。脳波検査ポジトロンエミッ ション(positron emission)断層撮影法(PET)および最近は12OMRIがこ の分野で使用されている。高速電子工学を介して開発され、感度の高い過分極キ セノンMRIはこの分野に対し巨大な貢献をなす潜在能力を持っている。てんか ん、精神分裂病、うつ病および両相性疾患などの疾患状態を研究することができ る。 過分極貴ガスMRIは医療分野において使用する上で無限の可能性を秘めてい ることは明らかである。過分極貴ガスMRIは、少なくとも下記の分野で、通常 のMRI、さらにはX線CTスキャンでさえも、置き換えたり・補足したりする ことができる可能性がある。 (1)肺、心臓および心血管系、 (2)脳、現在の技法では脳膜脂質は視覚でとらえられない。 (3)脳機能、129Xeシグナルは神経組織における代謝変化に直接かつ強く応答 する。 貴ガスMRIは12Oをベースとする映像化を劇的な方法で補完する見込みが ある。過分極により可能になった100万倍近い貴ガス感度の向上により、映像 化において12Oの場合に達成されたものより優れた時間および空間分解能がも たらされる。さらに、脂質中のたとえば、キセノンの溶解度により、現在X線C Tスキャニングのような手技を必要とする臓器の映像化も可能になるはずである 。 次の非制限的実施例は本発明をさらに詳細に説明するためのものである。以下 の実施例において、実験条件は特に指摘がない限り、下記のようであった。すな わち、9.4T広径直立磁石・ASPECT3000コンピューター、BVT1000可変 温度制御装置を備えたブルーカー(Bruker)MSL400分光計を用い、また高 勾配ブルーカーミクロ映像化プローブと129Xeの場合は110.7MHz・1Hの 場合は400MHzで稼働する直径が13.3と20mmのソレノイドトランシーバ ーコイルを用いて磁気共鳴スペクトルを得た。分光計の磁場周波数は映像取得中 ロック(lock)しなかった実施例1 キセノン−酸素およびキセノン−酸素−オクタノール“ボルツマン”映像ファ ントムを標準化した数量的高真空ガス移動法により調製した。70%129Xeに濃 縮したキセノンガスはオハイオ州(OH)マイアミスバーグ(Miamis-burg)のア イソテック社(Isotec Inc.)から入手した。 ハーセ(Haase)らが報告した高速低アングルショット(FLASH)位相再合 焦、自由歳差運動(free precession)、高速勾配エコー映像化シーケンスを用い て映像化した(文献49)。このサンプリング−パルス法はルック(Look)らが最 初に導入した方法であった(文献50)。100mT/mという標準プロトンマイ クロ映像化勾配から、129Xeについて50×50mm2の視界が得られた。空間分 解能を0.8×0.8×8mm3にセットする128×64の記号化マトリックスを用い た。 第2b図はボルツマン平衡分極(T1を下げるために2気圧の酸素を用いた) において5気圧の酸素を含有する20mm129Xeガラスファントムの映像を示して いる。この映像は第3cおよび3d図の映像と対比できる。第3図はボルツマン 平衡分極(T1を下げるために2気圧の酸素を用いた)において約5気圧のキセ ノンを含有する129Xeガス−オクタノールファントムの映像とスペクトルを説明 している。観測した容積映像要素(voxel)あたり1×2×20mm3の分解能は、7 分にわたりFHASH映像化シーケンスを64回反復して集積して達成された。 第3b図に示すようにガスおよびオクタノール相からの129Xeシグナルは186ppm 分離しており、これは映像化勾配がオーバーラップを作らないことを意味してい ることに留意する必要がある。実施例2 ガラス球ファントムの中の過分極129Xeの映像は次のようにして得た。光励 イリノイ州(IL)ロックフォード(Rockford)のピアース(Pierce)から入手 した浸ケイ剤サーファシル(Surfa-sil)を被覆したセルを約10-5Torrに排気し た高真空マニフォールドに取り付け、さらに150℃で約24時間焼成した。シ リコンコーティングは見かけ上ガラス球の壁の上の129Xeの緩和を減らし、より 大きな分極を作ることを可能にする。そこで球に400乃至1800Torrのキセ ノン、75Torrの窒素および数mgの金属ルビジウムを充填した。テストガスあ るいはガス/液体の充填が終わってから、ガラスセルを火炎で密封した。 光学的分極は当該技術で知られている方法、特に以下に述べるケート(Cates )らの方法、(文献35)、により行った。すなわち、セルを85℃に加熱し、 セルの全容積をスペクトラ・フィジックス(Spectra Physics)3900Sチタン −サファイアレーザーからの2乃至4Wの795nmルビジウムD1レーザー光に 曝した。なお、3900Sチタン−サファイアレーザー自身は18乃至23Wで 稼働するスペクトラ・フィジックス171アルゴン−イオンレーザーで励起され た。両レーザーはカルホルニア州(CA)マウンテンビュー(Mountain View)の スペクトラ・フィジックスから入手した。セルのレーザー照射は上述の9.4T磁 石の空隙で9.4Tの磁場強度にて行った。光励起を15乃至20分行った後、セ ルを室温まで冷却し、MR実験に用いた。 ハーセ(Haase)らが報告した高速低アングルショット(FLASH)位相再合 焦、自由歳差運動、高速勾配エコー映像化シーケンスを用いて映像化した(文献 58)。このパルスサンプリング法はルック(Look)らが最初に導入した方法であ った(文献59)。この方法は小さなθの場合、横断方向の投射、すなわちsinθ 、がかなりのシグナル強度を可能にし、一方縦方向投射、すなわち1−sinθ、 における損失がパルスあたりのz軸磁化の小さな損失のみ可能にするという事実 に利点がある。100mT/mという標準プロトンマイクロ映像化勾配から、12 9 Xeについて50×50mm2の視界が得られた。空間分解能を0.37×0.37×1mm3 にセットする128×128の記号化マトリックスを用いた。 第4図は400Torrのレーザー分極キセノンを含有する直径13mmのセルを介 してYおよびZ軸により形成された面内のスライスから得られた一連の映像を示 している。レーザー分極は9.4T磁石の空隙内で行われた。0.37×0.37×1mm3の 分解能を有する各映像を600ミリ秒続く単一FLASHシーケンスに集めた。 第4d図は球の半球末端を介して映像スライスの129Xe強度特性の変動を示して いる。他のスライスは球状ファントムの中心に近いセクションから得たもので、 より均一で一様に輝いている。この実験の場合129Xeの分極はより高圧であるが ボルツマン分極(第3b図で示した)しているキセノンを含有している同一寸法 のセルと比較してシグナルでは25乃至30%であると推定した。実施例3 マウスの肺の核磁気共鳴映像を次の方法により過分極129Xeを用いて得た。 生物試料に特定量の過分極129Xeを供給するためには、いくつかの障害が除去 されねばならない。今までのところ、密封ガラスセルのような非常にきれいな環 境においてのみ129Xeはうまく過分極されている。常磁性不純物はすべてガスの 縦方向の緩和時間T1を大幅に減らし、したがって達成可能な分極を下げるので このような純度が必須である。うまく密封されたセルによる分極技術を存続させ 、また外部試料に分極ガスを供給するためには薄いブレークシール(break seal) を装備したセルが開発されている。ピストンを備えた供給ガラス管を考案し、分 極した129Xeを用意し、セルは供給管内に密封しておき、そしてピストンの作用 によりブレークシールを破り、分極ガスが生物試料内に自由に膨張できるように した。 第7図はNMR分光計の内部で密封セル16から試料へ貴ガス、たとえば129 Xeを供給するために開発した供給管装置10を示している。供給装置10はシ リンダー12を具備しており、シリンダー内をピストン14が軸方向に移動する ように操作できる。シリンダー12は一端で外表面にネジが切られている。この シリンダーのネジとコントロールハンドル22の内表面上のネジとが噛合してい る。このコントロールハンドル22はピストン14に回転可能に取り付けられて いる。この装置には少なくとも一つのOリング24、26を具備している。Oリ ングはピストン14の内表面の間に緊密なガスシールを与えるとともに、一方で はシリンダーに関しピストンの軸運動を可能にしている。シリンダー12の他端 、すなわちコントロールハンドル22を受け入れるように合わされたネジの反対 側では、加圧貴ガスが入っている密封セル16のブレーク可能な頸部18を受け る密封可能な挿入孔20がある。挿入孔20は加圧貴ガスが入っている密封セル 16のブレーク可能な頸部18の周りにガラスシーリングワックスを塗布して密 封する。供給装置10は医学関連試料への導管30へ接続された挿入孔20 と連通した出口28も具備しており、その導管を介して貴ガスを試料に供給する ことができる。供給装置内のデッドスペースは、供給装置10の操作中貴ガスが セル18から医学関連試料へ通過する時に、貴ガスの希釈を少なくするためにで きるだけ小さい方が好ましい。したがって、Oリング24の位置も密封頸部18 の破壊箇所にできるだけ近い方が好ましい。 装置10は試料内の貴ガスを映像化するために用いたNMR分光計の内部で操 作するのが好ましく、したがって、セル16のシールはコントロールハンドル2 2の遠隔操作で破れるように設計している。すなわちコントロールハンドル22 を回すと、ピストン14が頸部16の方に移動し頸部16と接触し・頸部16を 破壊して加圧貴ガスを放出する。 100mg/kgのペントバルビタール・ナトリウムを用いて安楽死させたばか りの30乃至35gのスイス−ウエブスター・マウスから完全な肺を気管と心臓 とともに切除した。気管に外径1mmのシラスティック(Si-lastic)医療用チュー ブを挿入し、心肺試料を内径10mmのガラスシリンダーに置き、これを13.3mmの 映像化コイルに挿入しさらに窒素ガスをどっと流した。分極キセノンガスは、9. 4T磁石の空隙から離れたところで弱磁場(約10mT)において空隙に光をあ てたことを除いては、実施例2と同様に準備した。過分極129Xeはブレークシー ルステムを具備した外径18mmのパイレックス球を利用して供給した。なお、ブ レークシールステムは磁石の空隙内につり下げた緊密な供給用真空ガラス管(図 7で説明した)内に密封されている。マウス気管からのチューブは供給管の端に 取り付けた。ブレークシールが破壊されると、13乃至20気圧/cm3のキセノ ンが肺に自由膨張した。最小量の分極の緩和のみが起こりうる1秒以内に約1気 圧のガスが肺に膨張するようにガス圧力と容積を調整した。 実施例2で述べたNMRプロトコルを用いて映像を得た。第5図は心臓標本の 肺に入る過分極129Xeの分布の時間経過(t=0乃至10秒)を説明する一連の 映像を提供している。映像はレーザー分極129Xeガスで膨張したマウスの肺によ る厚さ1mmのスライスを表している。スライスの平面は存在しない脊椎(すなわ ち、解剖断面)に対し垂直である。容積映像要素のサイズは0.37×0.37×1mm3 であり、一方試料直径は10mmである。 第5a図は膨張直後(すなわち、t=0秒)に得られた肺の129Xe映像を示し ており、したがって、肺はガラス円筒の囲いを完全に満たすように膨張している 。この時点では、肺にはまだ供給系のデッドスペースからの窒素が大部分残って いる。気管、一部の気管支、および肺の周辺部のみに129Xeが到着している。 第5b図は第5a図の映像より約1秒後(すなわち、t=1秒)に得た映像で ある。この時点では、最大限に膨張した肺がかなりの129Xeを受け入れている。 両肺葉のコントラストにはかなりの変化が見られ、また心臓がキセノンガスを閉 め出している小さな中央部はやや暗くなっている。肺葉はそれらが収容されてい る直径10mmのガラス管の内表面に押し付けられて膨張していることに留意する 必要がある。 第5c図は第5b図の映像より7秒後(すなわち、t=8秒)に得た映像であ り、肺が部分的にしぼんでいることを示している。肺葉の輪郭がより明瞭であり 、また中央の心臓空間もよく見える。第5b図の映像の後に残っている129Xe磁 化が、大きな容積映像要素と少数のスライス選択パルスの使用を必要とすると、 間違った考えられたので、この映像のY軸分解能は低い。したがって、これらの 映像を取得するに際し、映像化パラメータがすべて最適化されていなかった。最 適化した場合に得られる分解能は上で得られたものより2乃至4倍よいであろう 。 最後に、第5d図は心肺試料の同じスライスの1H映像を示している。丁度中 央下にある、心臓は強度の主要な源であり、一方試料の目視観測で確認したよう に、1滴の生理食塩水が左上部境界の輪郭をはっきりさせている。 129Xe肺映像は標準プロトンNMR映像化の優れた補足映像である。129Xe映 像は1H映像が暗いところで明るく、1H映像が明るいところで暗い。肺組織は水 のプロトン映像では簡単に見ることはできず、拡大した強度でのみ肺葉のかすか な痕跡が見られる。この現象はプロトンが相対的に不足した結果ではなく、極端 に短いT1値を生ずる高度に複雑なガス−組織界面における体積磁化率の極端な 局部変動によることはほぼ確かであると考えられている。(文献8参照)。明ら かにこれは気相129Xeの問題ではない。 第6図は第5図で映像化した同じ肺において過分極129Xeのもう一つのボーラ スの後の129Xe磁化の時間的変化を示している。129Xeの肺への急速流入 後の129Xe磁化の低下は明らかに単一の指数関数ではない。この曲線は2つの指 数関数の和に分解することができ、また曲線の減衰末端から抽出した約28秒の T1値が得られる。強度の早期低下は、磁化減衰よりむしろ129Xeの肺からのま とまった移動(残留容積への収縮)をおそらく反映したものである。これは第5 b図(キセノン放出後約1秒)の膨れた肺と第5c図(7秒後)の肺の差から明 らかで、すなわち肺葉は収縮し明るい気管支が少なくなっている。この作用は窒 素のボーラスを用いて肉眼で確かめた。 第5図に示した129Xeの映像は、約40mM濃度のキセノンを用いて600ミ リ秒にて得られたが、この濃度は12O映像化の代表的なプロトン濃度である8 0乃至100Mと比べると小さい。それにもかかわらず、シグナル強度、空間分 解能(<0.3mm3)、およびデータ取得速度はすべて、通常の臨床12O−MRIで 得られたものを凌駕している。その上、磁化密度が高いのでいくつかの映像を連 続して迅速に作ることができ、生理プロセスをリアルタイムで追跡することがで きる。 これらの映像はボルツマン分極129Xeかレーザー分極129Xeに関する最初の報 告であると考えられている。第5図はこの方法が肺を映像化する場合の強力な手 段であることを証明しているが、129Xeより磁気モーメントが大きく・気相T1 値が長く、(文献60-61)、かつ値段がかなり安い1Heが結局は肺映像化の原子核 として選択されている。しかし、軽い貴ガスが対抗できないキセノンの特徴には 、129Xe共鳴周波数と環境への緩和時間値の極めて優れた感度の原因となる高い 電子分極性、(文献47)、および非極性溶媒への良好な溶解度が挙げられる。( 文献16-17)。 しかし、この種の用途では、研究しているプロセスの時間尺度に比べて分極12 9 Xeの縦方向の緩和時間が長いことが必要である。肺の中の分極129XeのT1が 磁化プローブを種々の組織に十分輸送できるほど長いであろうか、さらにこれら の組織内のT1映像化に十分なシグナルが生き延びられるであろうか、という疑 問がすぐに生じる。 長い緩和時間(T1>30分)は光励起セルのような手間をかけて作ったきれ いな環境によって達成できるが、生物的状況はこのような理想的状態からはかけ 離れている。たとえば、上に指摘したように、気相の常磁性酸素は129Xeを緩和 速度0.0087s-1mM-1に緩和することを示した。(文献18)。窒素をどっと流し た肺においてT1=約28秒であることを示している測定によると、肺映像化に 使う場合はこれで全く十分である。これは7秒離れた2つの映像が1回のキセノ ンボーラスによって得られるという事実により証明されている。生きて呼吸して いる動物の場合、酸素緩和速度データを用いて、肺胞空気(約110Torr、5.7 mM)に含まれた酸素成分の緩和への寄与を推定できる。キセノン40乃至75 %と酸素20%を呼吸する動物の場合、本発明者らはT1が10乃至15秒程度 であると推定しており、これは肺映像化には明らかに十分な時間である(図9.3c) 。その上、12秒はマウスの5乃至10回の血液循環に相当し、(文献62)、また ヒトの全身循環の時間にほぼ相当する。(文献63)。肺血液は十分な濃度の分極129 Xeを受け入れるはずである。 高い129Xe分極が実現すると、これまで12Oに限定されていた高速映像化プ ロトコルを使用することができるようになる。標準12Oプロトコルに合わせて 本発明者らが用心深く選んだ磁場勾配と取得プログラムが、129Xe磁化サンプリ ングの空の容積映像要素と時間の両方を無駄にしていることに本発明者らは気づ いている。最適パラメータを使わなくとも、コントラストと分解能はすでに十分 な水準に達している。将来映像化パラメータを最適化すると、これら早期映像が 簡単に改良されるであろう。その上、特に、機能映像の場合のより厳しい制限の 下では、ヒト試料の代表的な容積映像要素のサイズは、3×3×8mm3、または これより大きい。(文献64)。これは第5図で表示したものより500倍大きい 容積映像要素を表している。もちろん、これは容積映像要素あたり500倍以上 の129Xeスピンか等価シグナル強度について129Xeを500倍希釈できる可能性 を表している。 本発明者らの研究では比較的高価な同位元素的に濃縮したキセノン(70%12 9 Xe)を用いたが、MRシグナルが1/3になることを犠牲にすれば、安価な天 然存在比のキセノン(26%129Xe)を利用できる。光学的技術によって達成さ れた分極は完全に磁場独立的であるから、(文献32、20)、MRシグナルは磁場 と直線的に増減するだけである。したがって、レーザー分極ガスを用いた MRIは、(ボルツマン分極MRの場合が二次関数的にロスが出るのとは反対に )シグナル強度を直線的に犠牲にするだけでより低い磁場で行うことができる。 事実、ボルツマンスピン過剰に対する過分極スピン過剰の比は磁場の低下ととも に増大し、したがって、1T円筒磁石において比は105である。 種々の生理学的環境における実際の緩和時間が上で推定した時間に近いことが 判明するならば、129Xe映像化の身体の他の部分への拡張は無限であることが分 かるはずである。 本発明の好ましい実施態様であると考えられることについて述べられてきたが 、当業者は本発明の精神から逸脱することなく本発明に対し変更や修正がなされ うることを認め、したがって、この種の変更や修正は本発明の範囲に入るものと 意図されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN (71)出願人 ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニヴァーシティ アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08544−0036 プリンストン (番地なし) ニュー サウス ビルディング フィフ ス フロアー オフィス オブ リサーチ アンド プロジェクト アドミニストレ イション (72)発明者 バラモア ディリップ アメリカ合衆国 ニュージャージー州 11786 ショーアム フォーダム ロード 14 (72)発明者 ケイツ ゴードン ディー ジュニア アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08558 スキールマン クリーヴランド サークル 19 (72)発明者 ドリーハイス バスティアーン アメリカ合衆国 ペンシルバニア州 19007 ブリストル ジェファーソン ア ベニュー 6−349 (72)発明者 ハッパー ウィリアム アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08540 プリンストン リヴァーサイド ドライヴ 559 (72)発明者 サーム ブライアン アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08540 プリンストン ホルジー ストリ ート 226エイ (72)発明者 ウィスニア アーノルド アメリカ合衆国 ニューヨーク州 11733 シトーケット クインシー コート 3 (72)発明者 アルバート ミッチェル エス アメリカ合衆国 ニュージャージー州 11786 ショーアム フォーダム ロード 14

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.核磁気共鳴(NMR)映像化方法において a)NMRにより貴ガスの空間分布を検出し、さらに b)前記貴ガスの前記空間分布の表示を生成する、 ステップから構成されることを特徴とする核磁気共鳴映像化方法。 2.前記貴ガスがヘリウム−3、ネオン−21、クリプトン−83、キセノン− 129、キセノン−131、およびそれらの混合物からなる群から選択されるこ とを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。 3.前記貴ガスの少なくとも一つのガスに、キセノン−129が含まれることを 特徴とする請求の範囲第2項に記載の方法。 4.前記貴ガスに、ヘリウム−3が含まれることを特徴とする請求の範囲第2項 に記載の方法。 5.前記貴ガスにキセノン−129とヘリウム−3が含まれることを特徴とする 請求の範囲第2項に記載の方法。 6.前記検出するステップの前に前記貴ガスを過分極するステップを更に含むこ とを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。 7.前記過分極するステップが、アルカリ金属とのスピン交換を介して前記貴ガ スを過分極することからなることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の方法。 8.前記過分極するステップが、準安定交換を介して前記貴ガスを過分極するこ とからなることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の方法。 9.前記アルカリ金属が、ナトリウム−23、カリウム−39、セシウム−133 、ルビジウム−85、ルビジウム−87からなる群から選択されていることを特 徴とする請求の範囲第7項に記載の方法。 10.前記アルカリ金属が、ルビジウム−85およびルビジウム−87からなる群 から選択されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の方法。 11.前記検出ステップが、少なくとも1つの物理次元に沿って前記貴ガスの前記 空間分布を検出すること含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。 12.前記検出ステップが、2つの物理次元に沿って前記貴ガスの前記空間分布を 検出することを含むことを特徴とする請求の範囲第11項に記載の方法。 13.前記検出ステップが、3つの物理次元に沿って前記貴ガスの前記空間分布を 検出することからなることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の方法。 14.前記表示に、視覚表示が含まれることを特徴とする請求の範囲第1項に記載 の方法。 15.前記検出ステップが前記生成ステップより先行して行われることを特徴とす る請求の範囲第1項に記載の方法。 16.前記検出ステップと前記生成ステップがほぼ同時に行われることを特徴とす る請求の範囲第1項に記載の方法。 17.前記生成するステップに、NMRパラメータデータから前記表示を生成する ことが含まれることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。 18.前記NMRパラメータデータに、化学シフト、T1緩和、T2緩和、およびT1 ρ緩和からなる群から選ばれた少なくとも一つの物理的に測定できるNMRパ ラメータからコンピューターにより誘導されたデータが含まれることを特徴とす る請求の範囲第17項に記載の方法。 19.前記少なくとも一つの貴ガスが、少なくとも一つの物理相中に分布している ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。 20.前記少なくとも一つの貴ガスが、気相中に分布していることを特徴とする請 求の範囲第19項に記載の方法。 21.前記少なくとも一つの貴ガスが、液体中に分布していることを特徴とする請 求の範囲第19項に記載の方法。 22.前記少なくとも一つの貴ガスが、固体中に分布していることを特徴とする請 求の範囲第19項に記載の方法。 23.前記少なくとも一つの貴ガスが、固体表面に分布していることを特徴とする 請求の範囲第22項に記載の方法。 24.前記少なくとも一つの貴ガスが、少なくとも2つの物理相中に分布している ことを特徴とする請求の範囲第19項に記載の方法。 25.前記少なくとも一つの貴ガスが、生体外化学系に分布していることを特徴と する請求の範囲第1項に記載の方法。 26.前記少なくとも一つの貴ガスが、生体外生物系に分布していることを特徴と する請求の範囲第1項に記載の方法。 27.前記貴ガスが、ヒト被験者または被験動物中に分布していることを特徴とす る請求の範囲第1項に記載の方法。 28.前記貴ガスが、前記ヒト被験者または被験動物の臓器系または身体系に分布 していることを特徴とする請求の範囲第27項に記載の方法。 29.前記貴ガスが、前記ヒト被験者または被験動物の肺組織に分布していること を特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。 30.前記貴ガスが、前記ヒト被験者または被験動物の神経組織に分布しているこ とを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。 31.前記貴ガスが、前記ヒト被験者または被験動物の能組織に分布していること を特徴とする請求の範囲第30項に記載の方法。 32.前記貴ガスが、前記ヒト被験者または被験動物の解剖腔に分布していること を特徴とする請求の範囲第27項に記載の方法。 33.前記解剖腔に、肺腔が含まれることを特徴とする請求の範囲第32項に記載 の方法。 34.前記解剖腔に、胃腸管腔が含まれることを特徴とする請求の範囲第32項に 記載の方法。 35.前記貴ガスをヒト被験者または被験動物に投与することを更に含むことを特 徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。 36.前記貴ガスを投与するステップに、前記貴ガスをガス状にて投与することが 含まれることを特徴とする請求の範囲第35項に記載の方法。 37.前記貴ガスを投与するステップに、前記貴ガスを前記ヒト被験者または被験 動物に受動的または能動的吸入により投与することが含まれることを特徴とする 請求の範囲第36項に記載の方法。 38.前記貴ガスを投与するステップに、前記貴ガスを液体組成物として前記ヒト 被験者または被験動物に投与することが含まれることを特徴とする請求の範囲第 35項に記載の方法。 39.前記貴ガスを投与するステップに、前記貴ガスを非経口注射することが含ま れることを特徴とする請求の範囲第38項に記載の方法。 40.前記貴ガスを投与するステップに、前記貴ガスを静注することが含まれるこ とを特徴とする請求の範囲第39項に記載の方法。 41.前記貴ガスを投与するステップに、血液に前記貴ガスを導入し、更に前記ヒ ト被験者または被験動物に前記貴ガス含有血液を静注することが含まれることを 特徴とする請求の範囲第40項に記載の方法。 42.前記表示が、前記貴ガス空間分布の少なくとも1つの空間次元を表すことを 特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。 43.前記表示が、前記貴ガス空間分布の2つの空間次元を表すことを特徴とする 請求の範囲第1項に記載の方法。 44.前記表示が、前記貴ガス空間分布の3つの空間次元を表すことを特徴とする 請求の範囲第1項に記載の方法。 45.前記表示が、さらに前記貴ガス空間分布の少なくとも1つの空間次元を時間 の関数として表すことを特徴とする請求の範囲第42項に記載の方法。 46.核磁気共鳴映像化装置において、 a)過分極貴ガスの空間分布をNMRにより映像化する手段、および b)前記映像化手段により映像化される試料に映像化可能量の前記過分極貴 ガスを供給する手段、 から構成されていることを特徴とする核磁気共鳴映像化装置。 47.前記供給する手段に、過分極貴ガスを発生するために前記貴ガスを過分極す る手段が含まれることを特徴とする請求の範囲第46項に記載の装置。 48.前記過分極する手段に、アルカリ金属とのスピン交換により前記貴ガスを過 分極する手段が含まれることを特徴とする請求の範囲第47項に記載の装置。 49.前記過分極する手段に、準安定交換により前記貴ガスを過分極する手段が含 まれることを特徴とする請求の範囲第47項に記載の装置。 50.前記過分極する手段に、前記過分極貴ガスを貯蔵する手段が更に含まれるこ とを特徴とする請求の範囲第47項に記載の装置。 51.生体内で麻酔学的機能並びに磁気共鳴映像化機能が同時に有効な医療上使用 できる2機能性ガスを含有することを特徴とする医療用組成物。 52.前記2機能性ガスが、少なくとも一つの過分極貴ガスを含有することを特徴 とする請求の範囲第51項に記載の医療用組成物。 53.前記2機能性ガスが、さらに医療上使用できるキャリアガスを含有すること を特徴とする請求の範囲第51項に記載の医療用組成物。 54.ヒト被験者または被験動物の核磁気共鳴(NMR)映像化を行う方法におい て、 a)前記ヒト被験者または被験動物に映像化可能量の過分極貴ガスを投与し 、 b)核磁気共鳴映像化分光計により過分極貴ガスからラジオ波シグナルを生 成し、 c)過分極貴ガスの核磁気共鳴から導かれたラジオ波シグナルを検出し、 d)過分極貴ガスの空間分布の関数として一組のNMRパラメータデータを 提供するために前記ラジオ波シグナルを処理し、さらに e)過分極貴ガスの空間分布の少なくとも1つの空間次元に対応する表示を 導くために一組のNMRパラメータデータをさらに処理する、 各ステップから構成されていることを特徴とするヒト被験者または被験動物の 核磁気共鳴(NMR)映像化を行う方法。 55.前記投与するステップが、前記ヒト被験者または被験動物へガス組成物を投 与することを含むことを特徴とする請求の範囲第54項に記載の方法。 56.前記投与するステップが、前記ヒト被験者または被験動物による前記ガス組 成物の受動的または能動的吸入を含むことを特徴とする請求の範囲第55項に記 載の方法。 57.前記投与ステップが、少なくとも一つのボーラスとして前記貴ガスの投与を さらに含むことを特徴とする請求の範囲第55項に記載の方法。 58.前記投与ステップが、生成および検出ステップの間に前記貴ガスの連続投与 を含むことを特徴とする請求の範囲第55項に記載の方法。
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