【発明の詳細な説明】
新規なオピオイドペプチドアンタゴニスト発明の分野
本発明はδオピオイド受容体アンタゴニストである新規な級のオピオイドペプ
チド類似体、それらの合成並びに鎮痛性化合物および免疫抑制化合物としてのそ
れらの使用に関する。背景および従来技術
知られている非ペプチドδオピオイドアンタゴニストはナルトリンドール(na
ltrindole)であり、それはP.S.Portoghese等、J.Med.Chem.31,281-282(1
988)に記載されている。ナルトリンドールは本発明化合物と同様のδアンタゴ
ニスト効力を有するが、δ選択性が非常に小さい。さらにまたナルトリンドール
は受容体結合アッセイで非常に高いμオピオイド受容体親和性(Ki μ=12nM)を有
し、モルモット回腸(GPI)アッセイで強力なμアンタゴニストの性質(Ke=29nM
)を有する(P.S.Portoghese,J.Med.Chem.34,1757-1762(1991)参照)。
別の知られたδ-アンタゴニストはR.Cotton等、Eur.J.Pharmacol.97,331
-332(1984)に記載されているエンケファリン類似体のN,N-ジアリル-Tyr-Aib-A
ib-Phe-Leu-OH(ICI 174864)である。本出願に記載のδアンタゴニストと比較
してICI 174864はδ選択性が遥かに低いし、MVDアッセイではアンタゴニスト効
力が遥かに小さい(効力は40〜1000倍小さい)。
H-Tyr-Tic-Aaa-配列(Tic=1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸
、Aaa=芳香族アミノ酸残基)をN-末端に含有し
ていて、非常に強力で高い選択性を有するアンタゴニストが最近P.W.Sehiller
等、FASEB J.6(No.4)A1575(1992)、国際麻薬研
Sweden,7月10〜15日(1993)開催)、第2回日本ペプチド化学シンポジウム(
静岡、11月9〜13日(1992)開催)、第22回ヨーロッパペプチドシンポジウム(
Interlaken、スイス、9月13〜19日(1992)開催)、Proc.Notl.Acad.Sci.U
SA 89,11871-11875(1992)およびJ.Med.Chem.36,3182-3187(1993)にお
いて開示されている。
すなわち本発明の課題は、高いδアンタゴニスト効力と高いδ選択性の両者を
有するδオピオイドを見出すことにある。本発明
本発明によれば、N-末端にH-Tyr-Tic-ジペプチドセグメントおよびペプチド
配列の3-位に非芳族性アミノ酸残基を含有する下記式Iで定義されるペプチド
が、δアンタゴニストとしての並はずれた効力およびδ受容体に対する高い選択
性を有し、そしてμアンタゴニスト性質は全く欠除していることが見出された。
本発明化合物は一般式I
〔式中、
たは-CH2-CH=CH2であり;
R3、R4、R5およびR6は全てHであるか、または
R4およびR5は両者ともHでありそしてR3およびR6はそれぞれC1〜C6アルキル基
であるか、または
R3、R5およびR6は全てHでありそしてR4はF、Cl、Br、OH、NH2またはNO2であ
り;
R7はC=OまたはCH2であり;
R8はHまたはC1〜C6アルキル基であり;
R9は下記の基
から選択され、
F、Cl、BrまたはIであり、qは0〜3であり、
R12はCOOH、CONH2、CH2OHまたはいずれかの追加のアミノ酸もしくはペプチド
セグメントである)であるか、または
R10は
である〕を有する。
特に好ましい本発明化合物は式IにおいてR1がHまたはCH3から選択され、R2
がHまたはCH3から選択され、R3がHまたはCH3から選択され、R4がHであり、R5
がHであり、R6がHまたはCH3から選択され、R7がCOまたはCH2から選択され、R8
がHまたはCH3から選択さ
BrまたはIであり、qは1〜3でありそしてR12はCOOHである)から選択される化
合物である。
本発明のさらに好ましい化合物は式IにおいてR1がHまたはCH3から選択され
、R2がHまたはCH3から選択され、R3がCH3であり、R4がHであり、R5がHであり
、R6がCH3であり、R7がCH2であり、R8が
りそしてR12はCOOHである)である化合物である。
る化合物(ペプチド配列の3-位にシクロヘキシルアラニン〔Cha〕残基を含有す
る)である。この3-位のChaの置換が有意にδアンタゴニスト効力を高める。
さらに好ましい本発明化合物は式IにおいてR4およびR5が水素でありそしてR3
およびR6が両者ともメチル基である化合物である。
本発明による好ましい化合物はまた式IにおいてR7が還元されたペプチド結合
の一部分である化合物である。
現在知られている本発明実施の最良の方法は、実施例1、2、5、11、12およ
び15の化合物を用いることにある。合成
ペプチド合成で使用する大抵のBoc-アミノ酸誘導体は商業的に入手し得る。2,
6-ジメチル-チロシン(Dmt)はJ.H Dygos等、Synthesis,No.8(August)pp.74
1-743(1992)に記載のようにして製造した。
全てのペプチドは固相法で製造した。遊離C-末端カルボキシル基を有するペ
プチドの固相合成では通常のポリスチレン/ジビニルベンゼン樹脂を使用したが
、一方ペプチドアミドはp-メチルベンズヒドリルアミン樹脂を使用することに
より合成した。全てのペプチドの製造においてはアミノ基のBoc保護を用いた。
合成は発明者の実験室で広く使用されてきたプロトコルに従って実施した(P.W
Schiller等,Biochemistry 16,1831-1832(1977)参照)。カップリングはCH2C
l2、DMFまたはそれらの混合物中でN,N′-ジシクロヘキシルカルボジイミド/1-
ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBt)、N,N′-ジイソプロピルカルボジイ
ミド/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾリルオキシトリス-(
ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートまたはいずれか他の
適当なカップリング剤を用いて遂行した。各カップリング工程の後にニンヒドリ
ン着色試験によりカップリングの完了を慎重に調べた。十分に組み立てられたペ
プチド鎖を樹脂から開裂させ、スカベンジャーとしてのアニソールの存在下0℃
において液体HFで処理することにより完全に脱保護した(60〜90分間)。
固相ペプチド合成から得た粗生成物は種々のクロマトグラフィー手法または他
の方法による大規模な精製を必要とした。HF分裂および樹脂の抽出に続いてSeph
adex(G-15またはG-25)でのゲル濾過を
常套手段で遂行した。その後の種々の精製工程はSephadex G-25での分配クロマ
トグラフィー(ブタノール-酢酸-ピリジン-水の種々の2相系)、イオン交換ク
ロマトグラフィー(DEAE-Sephadex、SP-SephadexおよびCM-セルロース)および
1%トリフルオロ酢酸中におけるメタノールの一次勾配を用いるオクタデカシリ
ル-シリカカラムでの逆相クロマトグラフィー(低圧)を包含した。必要により
、均質性にするための最終精製は半調製HPLCにより遂行した。分離課題に左右さ
れるが、1回の実施につき2〜20mgのペプチド物質の精製を可能ならしめる半調
製μ-Bondapak C-18カラム(Waters社製;0.7×25cm)を使用した。ある種の高感
度、高効率の分析手法を用いて、製造したペプチドの均質性を証明しそしてそれ
らの構造を同定した。少なくとも2種の相異なる溶媒系での薄層クロマトグラフ
ィーを用いて純度を確認した。さらに、2種または3種の相異なる溶媒系での分
析用HPLCを高感度の純度試験として実験室で常套的に用いた。ペプチド構造の証
明は主としてアミノ酸分析および高速原子衝撃質量スペクトロメトリー(FAB-MS
)に基づいた。アミノ酸分析の場合には、ペプチドを脱気管中において110℃で2
4時間少量のフェノール含有6N HCl中で加水分解した(ある場合にはアミノ酸
の減成を考慮して、12時間および48時間継続の加水分解をも実施した)。加水分
解物は、システムAAコンピューティングインテグレータを具備したBeckman Mode
l 121Cアミノ酸分析器で分析した。FAB質量スペクトロメトリーを用いてペプチ
ドの正確な分子量を確認した。本発明の詳述
以下に本発明を実施例により詳述する。
実施例 1H-Tyr-Tic-Cha-Phe-OH の製造
Boc-Phe-O-樹脂(1g,0.61ミリモルBoc-Phe/g樹脂;Peninsula,Belmont
,CA)を次の順序の各試薬:CH2Cl2(3×1分)、CH2Cl2中の50%(v/v)TFA(3
0分)、CH2Cl2(5×1分)、CH2Cl2中の10%(v/v)DIEA(2×5分)、CH2Cl2
(5×1分)で洗浄した。次いでBoc-Cha-OH(412mg,1.52ミリモル)をCH2Cl2
/DMF(3:1,v/v)中でHOBt(205mg,1.52ミリモル)およびDCC(313mg,1.52
ミリモル)を用いて17時間カップリングさせた。次に樹脂をCH2Cl2(3×1分)
、EtOH(1分)、CH2Cl2(3×1分)で洗浄した。各洗浄液および各反応の上記
順序を以下の変形の下でそれぞれの残基の添加に対して繰り返した。
Boc-Tic-OHのカップリング後に樹脂をCH2Cl2/DMF(3:1,v/v)で洗浄し
、同一量のBoc-Tic-OH、HOBtおよび、CH2Cl2/DMF(3:1,v/v)中のDCCを用
いるリカップリング工程をさらに17時間遂行した。同一のリカップリング工程を
さらに遂行してBoc-Tyr(Boc)-OHをカップリングさせた。CH2Cl2中の50%(v/
v)TFA(30分)による最後の脱保護の後に樹脂をCH2Cl2(3×1分)およびEtO
H(3×1分)で洗浄し次いでデシケータ中で乾燥した。乾燥樹脂を20mlのHFお
よび1mlのアニソール(樹脂のグラム当たり)で、最初は0℃で90分間次に室温
で15分間処理した。HFの蒸発後に樹脂をEt2Oで3回続いて7%AcOHで3回抽出し
た。粗ペプチドは、合一した酢酸抽出物の凍結乾燥によって固形形態で得られた
。
このペプチドは0.5N AcOH中のSephadex-G-25カラムでのゲル濾過、次いで1
%TFA中で0〜80%MeOHの一次勾配を有するオクタデ
カシルシリカカラムでの逆相クロマトグラフィーにより精製した。溶媒蒸発後に
純粋なペプチドを濃AcOH中に溶解しそして凍結乾燥により固形形態で得た。
収量:45mg
FAB-MS:MH+=640
TLC(シリカ) Rf 0.75 n-BuOH/AcOh/H2O
(4/1/5,有機相)
Rf 0.70 n-BuOH/ピリジン/AcOH/H2O
(15/10/3/12)
アミノ酸分析:Tyr 0.96,Phe 1.00
実施例 2H-Tyr-Tic ψ〔CH2-NH〕Cha-Phe-OHの製造
このペプチドの合成は、Tic2とCha残基との間の還元されたペプチド結合の導
入が、Boc-Ticアルデヒドと樹脂結合のH-Cha-Pheジペプチドのアミノ基との還元
アルキル化反応を必要とした以外は、同一樹脂を用いて実施例1の場合のように
して遂行された。N-t-ブトキシカルボニル-L-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-N-メト キシ,N-メチルアミドを経由するN-t-ブトキシカルボニル-L-1,2,3,4-テト ラヒドロイソキノリン-3-アルデヒド(Boc-Ticアルデヒド)の製造
CH2Cl2に溶解したBoc-Tic-OH(2.8g,10ミリモル)およびトリエチルアミン(1.
33ml,10ミリモル)の撹拌溶液にBOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリ
ス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)(3.48g,10ミ
リモル)を加えた。5分後に、この溶液にN-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸
塩(1.2
g,12ミリモル)およびトリエチルアミン(1.68ml,12ミリモル)を加えた。反応
を17時間行った。次いで反応混合物をジクロロメタンで希釈し、3N HCl、飽和
NaHCO3水溶液および飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機溶液をMgSO4で乾燥し、溶
媒を蒸発させた。生成する粗生成物のN-t-ブトキシカルボニル-L-1,2,3,4-テ
トラヒドロイソキノリン-3-N-メトキシ、N-メチルアミドをEtOAc/ヘキサン(
1:2,v/v)中のシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーにより精製した
。
収量:2.1g(65%),油状物
TLC(シリカ) Rf 0.57 EtOAc/ヘキサン(1/1)
Rf 0.30 EtOAc/ヘキサン(1/2)
NMR(CDCl3)δ 1.45(9H,t-ブチル),3.00(2H,H-4),3.18(3H,NCH3),3.8(3H
,OCH3),4.42-4.90(3H,2H-1および1H-3),7.17(4H,ar)
エーテル30ml中に溶解したN-t-ブトキシカルボニル-L-1,2,3,4-テトラヒド
ロイソキノリン-3-N-メトキシ、N-メチルアミド(1.2g,4ミリモル)の撹拌
溶液に水素化アルミニウムリチウム190mg(5ミリモル)を加えた。還元反応を
1時間遂行し、次いで反応混合物を水(20ml)中のKHSO4(954mg,7ミリモル)
の溶液で加水分解した。次いで水性相を分離し、50mlずつのエーテルで3回抽出
した。4つの有機相を合一し、3N HCl、飽和NaHCO3水溶液および飽和NaCl水溶
液で洗浄し、最後にMgSO4で乾燥した。溶媒の蒸発後にアルデヒドが油状物とし
て純粋な形態で得られた。
収量:635mg(60%),油状物
TLC(シリカ) Rf 0.84 EtOAc/ヘキサン(1/1)
Rf 0.57 EtOAc/ヘキサン(1/2)
NMR(CDCl3)δ 1.5(9H,t-ブチル),3.0-3.27(2H,H-4),4.4-4.8(3H,1H-3お
よび2H-1),7.0-7.2(4H,ar),9.43(1H,CHO)Boc-Tic アルデヒドとH-Cha-Phe-O樹脂との間の還元アルキル化反応
樹脂をDMF(2×1分)で洗浄し、次いで1%AcOH含有のDMF中におけるBoc-Ti
cアルデヒド(392mg,1.52ミリモル)をこの樹脂に加えた。次にナトリウムシア
ノボロヒドリド(115mg,1.83ミリモル)を40分かけて滴加し、反応を3時間継続
させた。
N-末端チロシン残基のカップリングおよび脱保護の後に、ペプチドを実施例
1に記載のように樹脂から開裂させ、精製しそして凍結乾燥した。
収量:285mg
FAB-MS:MH+=627
TLC(シリカ) Rf 0.73 n-BuOH/AcOH/H2O(4/1/5,有機相)
Rf 0.85 n-BuOH/ピリジン/AcOH/H2O(15/10/3/12)
実施例3〜14の化合物は前記実施例1に記載のようにして合成し、実施例15の
化合物は前記実施例2に記載のようにして合成した。
表1に記載の本発明化合物がδアンタゴニストとして合成され、試験された。
δオピオイドアンタゴニストの試験管内薬理試験
マウス輸精管(MVD)およびモルモット回腸(GPI)の電気的に誘発された収縮
の阻害に基づくバイオアッセイを実施した。GPIアッセイにおいては、オピオイ
ド作用は主としてμオピオイド受容体によって仲介されるが、MVDアッセイにお
いては収縮の阻害は殆どδオピオイド受容体との相互作用による。これらのアッ
セイにおけるアンタゴニスト効力は、いわゆるKe-値〔H.W.Kosterlitz & A.J.
Watt,Br.J.Pharmacol.33,266-276(1968)〕として表示される。アゴニスト
効力は、IC50値(電気的に誘発された収縮の50%阻害を生ずるアゴニストの濃度
)として表示される。単離された器官標本を使用したバイオアッセイ
GPIおよびMVDの各バイアッセイはP.W.Schiller等〔Biochem.Biophys.Res.
Commun 85,1332-1338(1978)〕およびJ.DiMaio等〔J.Med.Chem.25,1432-143
8(1982)〕によって報告されているように実施した。log用量-反応曲線は、それ
ぞれ回腸および血管標本に対する標準として〔Leu5〕エンケファリンを使用して
測定した。そして試験する化合物のIC50値は、A.A.Waterfield等〔Eur.J.Pham
acol.58,11-18(1979)〕によってノルマライズ(normalized)した。δオピオイ
ドアンタゴニストに対するKe値は、固定されたアンタゴニスト濃度(a)の存在
下および不存在下で得られたIC50値の比(DR)から測定した(Ke=a/(DR-1))〔
H.W.Kosterlitz & A.J.Watt,Br.J.Phamacol.33,266-276(1968)〕。これら
の測定は2種の異なるδ-選択性アゴニストのDPDPEおよび〔D-Ala2〕デルトルフ
ィンIを用いて、MVDアッセイで行った。結論
-化合物は全て大きなδアンタゴニスト性質を示す。
-ペプチド配列の3-位にシクロヘキシルアラニン(Cha)残基を含有するペプチ
ドは3-位に芳香族アミノ酸を有する対応するペプチドよりも強いδアンタゴニ
ストである。
-化合物の全ては10μM程度の濃度でGPIアッセイにおいてμアンタゴニスト活
性を全く示さなかった。
-GPIアッセイにおいて大部分の化合物は極めて弱い部分的なμアゴニスト活性
を示した(電気的に誘発された収縮の最大阻害は20%〜53%であった)。オピオイド受容体結合アッセイ
化合物のμおよびδオピオイド受容体結合定数(Ki μ,Ki δ)をラ
ットの脳膜標本の結合部位からの相対的選択性μ-およびδ-放射リガンドの置換
によって測定した〔ChengおよびPrusoffの式(Y.C.ChengおよびW.H.Prusoff,
Biochem.Pharmacol.22,3099-3102(1973))を基にして測定したIC50値から計
算した〕。オピオイド受容体結合研究
全ての新規類似体のμ-、δ-およびκ-オピオイド受容体親和性を、ラットの
脳膜結合部位からのμ-、δ-およびκ-選択性放射リガンドの置換を基にした結
合アッセイで測定した。κ-リガンドの場合においては、κ-結合部位の相対的割
合はラットの脳におけるよりもモルモットの脳において高いので、モルモットの
脳ホモジネートを使用した。本発明者等の実験室において使用されている実験操
作はPasternak等〔Mol.Pharmacol.11,340-351(1975)〕により記載されている
結合アッセイの変形型を示す。カナダの飼育実験室からの雄性スプラグ-ダウレ
ー(Sprague-Dawley)ラット(300〜350g)を断首し、小脳の除去後に脳を氷冷標準
緩衝液(50mMトリス-HCl,pH7.7)30容量中でホモジナイズした。30,000×g、4
℃で30分間遠心分離後に膜を標準緩衝液の最初の容量中で再構成し次いで37℃で
30分間インキュベートした(結合した内因性リガンドを放出するために)。次の
遠心分離および新鮮な標準緩衝液の初期の容量中のペレットの再懸濁によって、
最終膜懸濁液を得た。この膜標本の一部(2ml)を、試験するペプチドおよび以
下に示す放射リガンドの1種を以下に示す最終濃度で含有する標準緩衝液1mlを
使用して25℃で1〜2時間インキュベートした。〔3H〕DAMGO,μ-選択性,0.7n
M;〔3H〕DSLET,〔3H〕DPDPE,または〔3H〕TIPP,δ-選択性,1.0nM; および
〔3H〕U69,563,κ-選択性,0.5nMoインキ
ュベーションは4℃の真空下におけるWhatman GF/Bフィルターを通した濾過に
より終了した。氷冷標準緩衝液5mlずつで2回洗浄した後にフィルターをシンチ
レーションバイアルに移し、そしてProtosol(New England Nuclear社製)1mlで3
0分処理し次いで酢酸0.5mlおよびAquasol(New England Nuclear社製)10mlを加え
た。30分振盪した後にバイアルを40〜45%の効率でカウントした。実験は全て二
重に遂行し、少なくとも3回反復した。3種の放射リガンドのそれぞれの特異的
結合は1ミクロモルの濃度のそれぞれ冷DAMGO、DSLETおよびU69.563の存在下に
おいてインキュベーションを遂行することによって定義した。特異的結合の半-
最大阻害(IC50)の値は半対数のプロットからグラフ的に得た。それから、測定
したIC50値から結合阻害定数(Ki)をChengおよびPrusoffの式〔Biochem.Pharm
acol.22,3099-3102(1973)〕を基にして計算した。μ-、δ-およびκ-代表的結
合アッセイにおけるKi-値の比は調査下における化合物の受容体選択性の測定値
である(例えばKi μKi δはδ-受容体対μ-受容体の選択性を示す)。本発明によ
る化合物はκ-受容体に対して有意な親和性を全く有していなかった。可能な用途
E.E.Abdelhamid等〔J.Pharmacol.Exp.Ther.258,299-303(1991)〕の結果
によって示唆されるように、δアンタゴニストはμアゴニスト型(例えばモルフ
ィン)と組み合わせて用いることにより耐性および依存性の発生を防止し得る。
また本発明によるδアンタゴニストは免疫抑制剤として治療上有用であること
もある。δ-選択性がより低く、純度もより低いδアンタゴニストのナルトリン
ドールの免疫抑制作用は、K.Arakawa等,
Transplantation Proc.24,696-697(1992); Transplantation 53,951-953(19
92)に記載されている。略記
Aib=α-アミノイソ酪酸
Boc=tert-ブトキシカルボニル
Cha=シクロヘキシルアラニン
DAMGO=H-Tyr-D-Ala-Gly-Phe(NαMe)-Gly-オール
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン
Dmt=2′,6′-ジメチルチロシン
DPDPE=〔D-Pen2,D-Pen5〕エンケファリン
DSLET=H-Tyr-D-Ser-Gly-Phe-Leu-The-OH
FAB-MS=高速原子衝撃質量スペクトロメトリー
GPI=モルモット回腸
HOBt=1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
MVD=マウス輸精管
Tic=1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸
TIPP=H-Tyr-Tic-Phe-Phe-OH
U69,593=(5α,7α,8β)-(−)-N-メチル-〔7-(1-ピロリジニル)-1-オ
キサスピロ〔4,5〕デカ-8-イル〕ベンゼンアセトアミド
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年7月5日
【補正内容】
〔式中、
たは-CH2-CH=CH2であり;
R3、R4、R5およびR6は全てHであるか、または
R4およびR5は両者ともHでありそしてR3およびR6はそれぞれC1〜C6アルキル基
であるか、または
R3、R5およびR6は全てHでありそしてR4はF、Cl、Br、I、OH、NH2またはNO2
であり;
R7はC=OまたはCH2であり;
R8はHまたはC1〜C6アルキル基であり;
R9は下記の基
請求の範囲
1.式
〔式中、
たは-CH2-CH=CH2であり;
R3、R4、R5およびR6は全てHであるか、または
R4およびR5は両者ともHでありそしてR3およびR6はそれぞれC1〜C6アルキル
基であるか、または
R3、R5およびR6は全てHでありそしてR4はF、Cl、Br、I、OH、NH2またはN
O2であり;
R7はC=OまたはCH2であり;
R8はHまたはC1〜C6アルキル基であり;
R9は下記の基
から選択され、
F、Cl、BrまたはIであり、qは0〜3であり、
R12はCOOH、CONH2、CH2OHまたはいずれかの追加のアミノ酸もしくはペプチ
ドセグメントである)であるか、または
R10は
である〕で表される化合物。
2.R1がHまたはCH3から選択され、R2がHまたはCH3から選択され、R3がHまた
はCH3から選択され、R4がHであり、R5がHであり、R6がHまたはCH3から選択さ
れ、R7がCOまたはCH2から選択され、
(ここでR11はH、NO2、F、Cl、BrまたはIであり、qは1〜3でありそしてR12
はCOOHである)から選択される請求項1記載の化合物。
3.R1がHまたはCH3から選択され、R2がHまたはCH3から選択され、R3がCH3
であり、R4がHであり、R5がHであり、R6がCH3であり、R7がCH2であり、R8がH
またはCH3から選択され、R9が
R12はCOOHである)である請求項1記載の式Iの化合物。
4.R7が還元されたペプチド結合の一部分である請求項1記載の式Iの化合物。
5.R4およびR5が水素でありそしてR3およびR6が両者ともメチル基である請求項
1記載の式Iの化合物。
7.H-Tyr-Tic-Cha-Phe-OH;
H-Tyr-Ticψ〔CH2-N〕Cha-Phe-OH;
H-Tyr-Tic-Cha-Pha-NH2;
H-Tyr-Tic-Leu-Phe-OH;
H-Tyr-Tic-Val-Phe-OH;
H-Tyr-Tic-Nva-Phe-OH;
H-Tyr-Tic-Nle-Phe-OH;
H-Tyr-Tic-Ile-Phe-OH;
H-Tyr-Tic-Thr-Phe-OH;
H-Tyr-Tic-Met-Phe-OH;
H-Dmt-Tic-Cha-Phe-OH;
H-D-Dmt-Tic-Cha-Phe-OH; H-Dmt-Tic-Cha-Phe-NH2;
H-Tyr(3′-I)-Tic-Cha-Phe-OH;または
H-Dmt-Ticψ〔CH2-NH〕Cha-Phe-OH
である請求項1記載の化合物。
8.H-Tyr-Tic-Cha-Phe-OH;
H-Tyr-Ticψ〔CH2-NH〕Cha-Phe-OH;
H-Tyr-Tic-Val-Phe-OH;
H-Dmt-Tic-Cha-Phe-OH;
H-D-Dmt-Tic-Cha-Phe-OH;および
H-Dmt-Ticψ〔CH2-NH〕Cha-Phe-OH
である請求項7記載の化合物。
9.治療に使用するための請求項1記載の化合物。
10.鎮痛剤として使用するための請求項1記載の化合物。
11.免疫抑制剤として使用するための請求項1記載の化合物。
12.カップリング工程を不活性溶媒中で適当なカップリング剤を用いて遂行する
、固相合成による請求項1記載の式Iのペプチドの製造方法。
13.不活性溶媒がCH2Cl2、DMFまたはCH2Cl2/DMF(3:1 v/v)の混合物であ
り、カップリング剤がN,N′-ジシクロヘキシルカルボジイミド/1-ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール、N,N′-ジイソプロピルカルボジイミド/1-ヒドロキシベ
ンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾリルオキシトリス-(ジメチルアミノ)
ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートである請求項12記載の方法。
14.ジペプチド樹脂のBoc-Tic-OH残基の付加のための追加工程(リカップリング
工程)およびペプチド樹脂へのBoc-Tyr(Boc)-OH残基の付着のための追加工程(リ
カップリング工程)を遂行する請求項13記載の方法。
15.Boc-Ticアルデヒドと樹脂結合ペプチドのアミノ基との反応が、酸性化したD
MF中でナトリウムシアノボロヒドリドを用いる還元アルキル化をベースとする、
Tic2残基と3-位残基との間に1個の還元されたペプチド結合(-CH2-NH-)を含
有する請求項1記載の式Iのペプチドの製造方法。
16.Tic2残基と3-位残基との間に1個の還元されたペプチド(-CH2-NH-)を有す
る請求項12記載のペプチドを製造するのに用いるN-t-ブトキシカルボニル-L-
1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-アルデヒド(Boc-Ticアルデヒド)の製造
方法。
17.1種以上の製薬担体と一緒に請求項1記載の化合物の有効量を含有する製剤
。
18.鎮痛剤として使用する医薬の製造における請求項1記載の式Iの化合物の使
用。
19.免疫抑制剤として使用する医薬の製造における請求項1記載の式Iの化合物
の使用。
20.請求項1記載の式Iの化合物の有効量を、治療を必要とする患者に投与する
ことからなる疼痛の治療方法。
21.請求項1記載の式Iの化合物の有効量を、治療を必要とする患者に投与する
ことからなる免疫抑制作用を得る方法。
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